(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 602D
(21)【出願番号】P 2023063128
(22)【出願日】2023-04-10
(62)【分割の表示】P 2019228567の分割
【原出願日】2019-12-18
【審査請求日】2023-04-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】末岡 直也
【審査官】奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198451(JP,A)
【文献】特開2021-083655(JP,A)
【文献】特開2019-122487(JP,A)
【文献】特別企画 俺たちはコイツで勝ってきた! 5号機喰える機種ランキング,パチスロ攻略マガジンドラゴン 2019年5月号,株式会社プラントピア,2019年03月20日,p.12-23,p.20「パチスロウルトラマンウォーズ」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
遊技者が受ける遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す複数の出玉率それぞれに対応した複数の設定値のうちいずれかを、操作者の操作に基づいて設定する設定部と、
前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行うことによって複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う内部抽せん部と、
前記遊技進行において、前記内部抽せんによりリプレイのフラグが前記当せんフラグとして成立するリプレイ確率、がそれぞれ予め設定されている複数のRT状態のうちいずれかを設定するRT状態制御部と、
を備え、
複数の前記RT状態には、
前記内部抽せんにより当せんした前記役の入賞を容易にする指示機能に係る性能が前記設定部により設定されている前記設定値に応じて発揮される通常RT状態と、
前記指示機能に係る性能に関する恩恵を含む有利度が、前記通常RT状態よりも高く、かつ、前記設定部により設定されている前記設定値を超える状態で発揮されることが含まれる、特殊RT状態と、
が含まれ、
前記設定部により設定されている前記設定値には、前記設定部により設定されうる最良の設定値が含まれ、
前記RT状態制御部は、前記通常RT状態から前記特殊RT状態へと移行させるための移行条件が成立した場合、前記RT状態を前記特殊RT状態に設定し、
前記内部抽せん部は、前記RT状態が前記特殊RT状態である間、前記特殊RT状態に対応する前記有利度に基づいて前記遊技進行を行うことが可能であり、
前記特殊RT状態は、
前記通常RT状態での前記遊技者による遊技中の操作に基づいて、前記通常RT状態から移行させることが可能なRT状態であり、かつ、
前記通常RT状態から前記特殊RT状態へ移行した以降、前記遊技者以外の者によってRT状態の解除操作が行われない限り、前記通常RT状態へ移行することがないRT状態である、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
遊技者が受ける遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す複数の出玉率それぞれに対応した複数の設定値のうちいずれかを、操作者の操作に基づいて設定する設定部と、
前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行うことによって複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う内部抽せん部と、
前記遊技進行において、前記内部抽せんによりリプレイのフラグが前記当せんフラグとして成立するリプレイ確率、がそれぞれ予め設定されている複数のRT状態のうちいずれかを設定するRT状態制御部と、
を備え、
複数の前記RT状態には、前記内部抽せんにより当せんした前記役の入賞を容易にする指示機能に係る性能が前記設定部により設定されている前記設定値に応じて発揮される通常RT状態と、前記指示機能に係る性能に関する恩恵を含む有利度が前記通常RT状態よりも高い特殊RT状態と、が含まれ、
前記RT状態制御部は、前記通常RT状態から前記特殊RT状態へと移行させるための移行条件が成立した場合、前記RT状態を前記特殊RT状態に設定し、
前記内部抽せん部は、前記RT状態が前記特殊RT状態である間、前記特殊RT状態に対応する前記有利度に基づいて前記遊技進行を行うことが可能であり、
前記特殊RT状態は、
前記通常RT状態での前記遊技者による遊技中の操作に基づいて、前記通常RT状態から移行させることが可能なRT状態であり、かつ、
前記通常RT状態から前記特殊RT状態へ移行した以降、前記遊技者以外の者によってRT状態の解除操作が行われない限り、前記通常RT状態へ移行することがないRT状態であり、
前記通常RT状態、および、前記特殊RT状態は、それぞれ複数のRT状態で構成される、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
遊技者が受ける遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す複数の出玉率それぞれに対応した複数の設定値のうちいずれかを、操作者の操作に基づいて設定する設定部と、
前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行うことによって複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う内部抽せん部と、
前記遊技進行において、前記内部抽せんによりリプレイのフラグが前記当せんフラグとして成立するリプレイ確率、がそれぞれ予め設定されている複数のRT状態のうちいずれかを設定するRT状態制御部と、
を備え、
複数の前記RT状態には、
前記内部抽せんにより当せんした前記役の入賞を容易にする指示機能に係る性能が前記設定部により設定されている前記設定値に応じて発揮される通常RT状態と、
前記指示機能に係る性能に関する恩恵を含む有利度が、前記通常RT状態よりも高く、かつ、前記設定部により設定されている前記設定値を超える状態で発揮されることが含まれる、特殊RT状態と、
が含まれ、
前記RT状態制御部は、前記通常RT状態から前記特殊RT状態へと移行させるための移行条件が成立した場合、前記RT状態を前記特殊RT状態に設定し、
前記内部抽せん部は、前記RT状態が前記特殊RT状態である間、前記特殊RT状態に対応する前記有利度に基づいて前記遊技進行を行うことが可能であり、
前記特殊RT状態は、
前記通常RT状態での前記遊技者による遊技中の操作に基づいて、前記通常RT状態から移行させることが可能なRT状態であり、かつ、
前記通常RT状態から前記特殊RT状態へ移行した以降、前記遊技者以外の者によってRT状態の解除操作が行われない限り、前記通常RT状態へ移行することがないRT状態であり、
前記特殊RT状態は、複数の特別RT状態で構成されており、1つの前記特別RT状態から他の前記特別RT状態へ移行した以降に、前記特殊RT状態から前記通常RT状態へ移行することなく、再度、前記1つの前記特別RT状態へと移行することが可能であるRT状態である、
ことを特徴とす
る遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、スロットマシンには、出玉率などの、遊技者にとっての有利度を規定する設定値が複数段階設けられている。店舗側の操作者(以下、店舗スタッフ)は、店舗の開店前に、スロットマシン1台ごとに設定値を設定していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設定値が高いほど、高い出玉率が対応付けられている。そのため、スロットマシンに設定された設定値が高ければ、遊技者は、投入枚数よりも比較的多くのメダルの払い出しを受けることができる。この場合、遊技者の遊技を続行する意欲は持続する。
【0005】
ところが、設定値が低ければ、メダルの払い出し総数が投入枚数に満たないことが、しばしば生じる。その場合、遊技者は、遊技を続行する意欲をなくしてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、スロットマシンに設定された設定値に関係なく、遊技を続行する意欲を失い難くすることができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
遊技者が受ける遊技媒体の投入総数に対する払出総数の割合を示す複数の出玉率それぞれに対応した複数の設定値のうちいずれかを、操作者の操作に基づいて設定する設定部と、
前記遊技者による前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行うことによって複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う内部抽せん部と、
前記遊技進行において、前記内部抽せんによりリプレイのフラグが前記当せんフラグとして成立するリプレイ確率、がそれぞれ予め設定されている複数のRT状態のうちいずれかを設定するRT状態制御部と、
を備え、
複数の前記RT状態には、前記内部抽せんにより当せんした前記役の入賞を容易にする指示機能に係る性能が前記設定部により設定されている前記設定値に応じて発揮される通常RT状態と、前記指示機能に係る性能を前記遊技者が受ける遊技に関する恩恵として表す有利度が前記通常RT状態とは異なっている特殊RT状態と、が含まれ、
前記RT状態制御部は、前記通常RT状態から前記特殊RT状態へと移行させるための移行条件が成立した場合、前記RT状態を前記特殊RT状態に設定し、
前記内部抽せん部は、前記RT状態が前記特殊RT状態である間、前記特殊RT状態に対応する前記有利度に基づいて前記遊技進行を行う
ことを特徴とする遊技機である。
【0008】
また、第1の発明では、
前記特殊RT状態では、前記有利度が前記通常RT状態よりも高く設定されている
ことができる。
【0009】
また、第1の発明では、
複数の前記設定値には、前記出玉率および前記指示機能に係る性能の少なくとも1つが最も高い最高設定値と、前記出玉率および前記指示機能に係る性能の少なくとも1つが前記最高設定値よりも低い1以上の他設定値と、が含まれ、
前記他設定値が設定されている状態にて前記RT状態が前記特殊RT状態に設定された場合、前記内部抽せん部は、前記最高設定値の前記指示機能に係る性能を、前記特殊RT状態に対応する前記有利度として、前記遊技進行を行う
ことができる。
【0010】
また、第1の発明では、
複数の前記設定値には、前記出玉率および前記指示機能に係る性能の少なくとも1つが最も高い最高設定値と、前記出玉率および前記指示機能に係る性能の少なくとも1つが前記最高設定値よりも低い1以上の他設定値と、が含まれ、
前記特殊RT状態では、前記有利度が前記通常RT状態よりも高く設定されており、
前記最高設定値が設定されている状態にて前記RT状態が前記特殊RT状態に設定された場合、前記内部抽せん部は、前記最高設定値に対応する前記指示機能に係る性能よりも高い性能を前記特殊RT状態に対応する前記有利度として、前記遊技進行を行う
ことができる。
【0011】
また、第1の発明では、
前記有利度は、前記設定値を示唆する設定示唆演出の出現率を更に表すものである
ことができる。
【0012】
また、第1の発明では、
前記RT状態を記憶するRAMと、
前記RAMを初期化するための操作を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記RAMを初期化するための操作を受け付けた場合に、前記RT状態をリセットするリセット部と、
を更に備える、
ことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊技者は、遊技を続行する意欲を失い難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図4】スロットマシンがART機である場合の、RT状態における状態遷移を説明する図である。
【
図5】通常RT状態および特殊RT状態と、有利度との関係を説明する図である。
【
図6】遊技区間における状態遷移を説明する図である。
【
図7】遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図8】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】他の実施形態において、スロットマシンがAT機である場合の、遊技状態、遊技区間およびRT状態における状態遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0016】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0017】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0018】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。液晶画面3、スピーカ102および電飾部は、報知部に相当する。
【0019】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0020】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0021】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0022】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0023】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0024】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を制御部6に出力する。
【0025】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0026】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0027】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。または、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることを告知する。
【0028】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0029】
演出ボタン46は、遊技中に、演出にあわせて遊技者によって押下されるボタンである。演出ボタン46が押下されると、演出に変化がもたらされる場合がある。
【0030】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0031】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図2参照)。
【0032】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72(RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、受付部に相当)を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0033】
回転リールユニット2は、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、
図3に示す複数の図柄が、当該リール20の周方向に沿って、間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0034】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0035】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0036】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。
【0037】
設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。なお、本実施形態では、設定変更ボタン72が押下された場合にも、制御部6を構成するRAMが初期化される場合を例示する。
【0038】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
【0039】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技の開始が可能となる。
【0040】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0041】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。本実施形態における特定の役には、後述する特殊移行役も含まれる。
【0042】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作をいう。
【0043】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0044】
<遊技中の内部状態について>
遊技中は、複数のRT状態の中から1つのRT状態が設定されるとともに、遊技区間の種類が設定される。設定されたRT状態および遊技区間に基づいて、内部抽せんが行われる。
【0045】
-RT状態について-
図4に示すように、本実施形態にかかる複数のRT状態には、通常RT状態と、特殊RT状態とが含まれる。通常RT状態および特殊RT状態は、排他的に成立する。
【0046】
更に、通常RT状態にはRT0~RT2が含まれ、特殊RT状態にはRT3~RT5が含まれる。RT0~RT5は、それぞれ排他的に成立するRT状態である。このRT0~RT5それぞれには、内部抽せんによりリプレイのフラグが当せんフラグとして成立するリプレイ確率が、予め定められている。リプレイとは、遊技者がメダルをベットすることなく次遊技を行うことが可能となる役である。
【0047】
なお、本実施形態にかかる「リプレイ確率」とは、リプレイの他、RT移行リプレイなどの、再遊技役すべてを含めた再遊技役合成当せん確率である。
【0048】
通常RT状態に含まれるRT0は、制御部6のRAMクリア時、RT2の際にRT0移行リプレイが入賞した時、に移行するRT状態である。RT状態がRT0である場合のリプレイ確率は、例えば1/7.3である。
【0049】
RT1は、RT0の際に、役のフラグ「RT1移行リプレイ」が成立して入賞した場合に移行するRT状態である。RT状態がRT1である場合のリプレイ確率は、例えば1/7.3である。このRT1は、ART(アシストリプレイタイム)準備中などの場合に滞在するRT状態である。
【0050】
RT2は、RT1の際に、役のフラグ「RT2移行リプレイ」が成立して入賞した場合に移行するRT状態である。RT状態がRT2である場合のリプレイ確率は、例えば1/1.4である。このように、RT2では、リプレイがRT0,RT1よりも高い確率で出現する。従って、RT2は、ART中に滞在するRT状態である。RT状態がRT2である際に、内部当せんによりRT0移行リプレイが成立(当せん)して入賞した場合、RT状態はRT2からRT0に移行される。
【0051】
なお、RT0移行リプレイ、RT1移行リプレイ、およびRT2移行リプレイは、RT状態の移行を可能にする移行役の一例である。
【0052】
特殊RT状態に含まれるRT3は、通常RT状態である場合に、特殊移行役が成立して入賞した時、に移行するRT状態である。特殊移行役とは、RT状態を特殊RT状態に移行させるための役であって、その当せん確率は、移行リプレイを含むリプレイやベル、レア役などよりも、はるかに低く設定されている。特殊移行役の当せん確率の一例としては、1/65000に設定されている。なお、本実施形態では、この特殊移行役の当せん確率については、設定値に限らず一定値である場合を例示する。
【0053】
RT4は、RT3の際に、役のフラグ「RT4移行リプレイ」が成立して入賞した場合に移行するRT状態である。RT状態がRT4である場合のリプレイ確率は、例えば1/7.3である。このRT4は、ART準備中などの場合に滞在するRT状態である。
【0054】
RT5は、RT4の際に、役のフラグ「RT5移行リプレイ」が成立して入賞した場合に移行するRT状態である。RT状態がRT5である場合のリプレイ確率は、例えば1/1.4である。このように、RT5では、リプレイがRT3,RT4よりも高い確率で出現する。従って、RT5は、ART中に滞在するRT状態である。RT状態がRT5である際に、内部当せんによりRT3移行リプレイが成立(当せん)して入賞した場合、RT状態はRT5からRT3に移行される。
【0055】
そして、RT3~RT5のいずれかである特殊RT状態の下で、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72のいずれかが押下された場合、RT状態は、特殊RT状態から通常RT状態のRT0へと移行される。
【0056】
つまり、RT0はRT3、RT1はRT4、RT2はRT5と、通常RT状態の下かそれとも特殊RT状態の下かが異なっているはいるが、それぞれ対応しているといえる。
【0057】
-通常RT状態および特殊RT状態について-
本実施形態では、
図5に示すように、通常RT状態および特殊RT状態それぞれに、「有利度」が予め対応付けられている。有利度とは、遊技者が受ける遊技に関する恩恵を表すものである。有利度には、メダル(遊技媒体に相当)の出玉に関する恩恵と、出玉との直接的な関連はないが遊技者が安心して遊技を行えるようにするために遊技者に与える演出的な恩恵とが含まれる。
【0058】
メダルの出玉に関する恩恵には、ARTにおける指示機能(アシスト機能)の性能が含まれる。指示機能とは、内部抽せんにおいて押し順役が当せんフラグとして成立した場合、その押し順役のストップスイッチ40の正解押し順を液晶画面3およびスピーカ102などの報知部を介して遊技者に報知させる機能をいう。つまり、指示機能は、内部抽せんにより当せんした役の入賞を容易にする機能といえる。この指示機能は、遊技区間が「有利区間」である場合に、働くことが可能となる。遊技区間が、当該「有利区間」に移行する区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なる。
【0059】
具体的に、指示機能の性能としては、区間移行抽せんの抽せん確率の他、ART当せん率、CZ当せん率、ARTゲーム数の上乗せ確率、ART継続率の抽せん確率、正解押し順の発生率、有利区間の性能などが挙げられる。このような指示機能にかかる処理などを含む指示機能の性能も、設定値に応じて異なっている。つまり、「有利度」には、有利区間中の入賞に係る条件装置の作動確率の増加度合いについても含まれている。
【0060】
通常RT状態における有利度は、スロットマシン1に設定済みの設定値に準拠している。つまり、RT状態が通常RT状態である場合、既に設定されている設定値に応じた指示機能の性能(例えば、設定値に応じて指示機能にかかる抽せん性能)が発揮されて、遊技進行が行われる。その結果、通常RT状態では、既に設定されている設定値に応じた出玉率にて、メダルが支払われる。
【0061】
一方で、特殊RT状態における有利度は、通常RT状態とは異なっている。本実施形態では、特殊RT状態における有利度が通常RT状態よりも高く設定されている。例えば、スロットマシン1の設定値として、6段階(設定1~設定6)が予め定義されており、上述した出玉に関する恩恵は、設定1が最も低く設定6が最も高いものとする。設定値が1から6へと高くなるにつれて、出玉に関する恩恵である有利度も、徐々に上昇するように予め設定されているものとする。すると、設定値は、出玉に関する恩恵が最も高い最高設定値である設定6と、出玉に関する恩恵が当該設定6よりも低い5つの他設定値(設定1~5)とに、大別できる。
【0062】
店舗スタッフが他設定値(設定1~5)のいずれかに設定した状態にて、遊技中に特殊移行役が内部当せんし入賞したことにより、RT状態が通常RT状態から特殊RT状態へと移行した場合、出玉に関する恩恵である有利度は、実際の設定値(他設定値)に準拠した恩恵から、設定6と同等の恩恵に上昇される。本実施形態では、RT状態に紐づけられた有利度を参照して遊技進行が行われるため、RT状態が特殊RT状態に移行した以後、遊技者は、実際の設定値(設定1~5)よりも高い、特殊RT状態に対応する(設定6と同等の)有利度に基づく恩恵を受けることができる。
【0063】
特に、
図4に示すように、通常RT状態と特殊RT状態との間の状態移行は、特殊移行役の入賞やRAMリセットによって生じるものであり、後述する遊技区間の移行(通常区間から有利区間、または、有利区間から通常区間)によっては生じない。RT状態が特殊RT状態である間に、いくら遊技区間が移行したとしても、特殊RT状態は維持される。従って、遊技者は、遊技の過程で有利区間が終了したとしても、その影響を受けずに、維持されている特殊RT状態に基づく有利度に応じた恩恵を、RAMリセットまたは設定変更されない限りは引き続き受けられる。
【0064】
また、最高設定値である設定6がスロットマシン1に設定された状態での遊技中に、特殊移行役が当せんして入賞し、その結果RT状態が通常RT状態から特殊RT状態へと移行した場合、出玉に関する恩恵である有利度は、実際の設定6に準拠した恩恵から、更に上昇されることができる。例えば、通常RT状態では、ART中の上乗せゲーム数の最大値が設定6にて300Gとした場合、特殊RT状態では、この最大値が666Gへと増加される。つまり、特殊RT状態の場合、指示機能の性能が通常RT状態よりも高くなる。
【0065】
有利度に含まれる「演出的な恩恵」とは、設定された設定値を示唆する設定示唆演出の出現率を表すものが該当する。
【0066】
通常RT状態では、設定示唆演出の出現率は、設定値に準拠している。従って、RT状態が通常RT状態である場合、既に設定されている設定値に応じた出現確率にて、当該設定値に対応した設定示唆演出が液晶画面3およびスピーカ102を介して報知される。
【0067】
一方で、特殊RT状態の場合、設定示唆演出の出現率である有利度は、通常RT状態よりも高く設定されている。例えば、設定値に特化した設定示唆演出などの任意の設定示唆演出については、特殊RT状態での出現確率が通常RT状態での出現確率よりも高いため(例えば2倍)、出現し易くなる。
【0068】
特に、最高設定値(設定6)に設定された状態にて遊技が行われ、その遊技中に特殊移行役が内部当せんし入賞したことにより、RT状態が通常RT状態から特殊RT状態へと移行した場合、設定示唆演出は通常RT状態時よりも出現し易くなる。その中でも、設定6であることを表す確定演出は、通常RT状態時よりも出現し易くなる。これにより、遊技者は、設定6であることを通常RT状態時よりも把握できる確率が高まる。設定6の確定演出を確認した後、遊技者は、安心して遊技を続行することができる。それ故、設定示唆演出の出現確率が上昇することも、遊技者が受ける遊技に関する恩恵の1つ、といえる。
【0069】
まとめると、通常RT状態から特殊RT状態へは、特殊移行役が当せんして入賞しない限り、移行しない。従って、特殊移行役をひかない限り、遊技者は、RT状態が通常RT状態であるスロットマシン1にて遊技を行い、通常RT状態に対応した有利度に従って遊技進行が行われる。特殊移行役を引いた後、遊技者は、RT状態が特殊RT状態であるスロットマシン1にて遊技を行い、特殊RT状態に対応した、通常RT状態よりも高い有利度に従って遊技進行が行われる。
【0070】
-遊技区間について-
遊技区間とは、指示機能に関する処理が行われるか否かを決定するための状態である。
図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0071】
通常区間とは、指示機能にかかる処理およびART抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。
【0072】
有利区間は、指示機能にかかる処理およびART抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、ART状態ではない一般遊技状態での有利区間と、ART状態で遊技が進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0073】
なお、上述した遊技区間の区間移行制御と、上述した通常RT状態と特殊RT状態間の移行制御とは、個別に行われる。遊技区間が移行したとしても、RT状態は、通常RT状態または特殊RT状態にて維持される。例えば、RT状態が特殊RT状態である間に、遊技区間が通常区間から有利区間に移行したとしても、または有利区間から通常区間に移行したとしても、RT状態は、設定変更またはRAMクリアされない限り、特殊RT状態のままである。
【0074】
これにより、特殊RT状態にてARTが進行し、そのARTが終了して有利区間が通常区間に移行したとしても、RT状態は引き続き特殊RT状態である。従って、遊技者は、特殊移行役を成立させて入賞させた後は、遊技区間の移行に関係なく、一旦入賞させた特殊移行役に対応する有利度にて、遊技を続行することができる。
【0075】
-ARTについて-
RT状態や遊技区間とは別途、遊技中の内部状態には、
図7に示すように、一般遊技状態およびART(アシストリプレイタイム)状態を含む遊技状態が存在する。一般遊技状態とART状態とは排他的な関係にあり、遊技状態は、一般遊技状態およびART状態のいずれかを採り得る。
【0076】
一般遊技状態とは、ART状態でない状態、つまり指示機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリアボタン71を用いたRAMクリア後、設定変更ボタン72を用いた設定変更後、ART終了後などから、ART抽せんに当せんするまでの間、遊技状態は一般遊技状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、ART抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0077】
ART状態とは、内部抽せんにより当せんした押し順役の、ストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせる指示機能、が働いている状態である。一般遊技状態では、押し順役が内部当せんしたとしても、その正解押し順をアシストする機能(指示機能)は働かない。それ故、ART状態は、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態といえる。
【0078】
例えば、一般遊技状態の下で、ART抽せんによりARTが当せんしたあと、遊技状態は、一般遊技状態からART状態に移行される。ART状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数(例えば、50ゲーム)が経過するまでの間、または、ART状態にて遊技が開始されてからメダルが払い出された総枚数が所定枚数に達するまでの間、押し順役のフラグが成立した場合には、上述した指示機能が実行される。
【0079】
ART状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過後、または、ART状態にて遊技が開始されてからメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合に、遊技状態は、ART遊技状態から一般遊技状態に移行する。一般遊技状態への移行は、ARTが一旦終了したことを意味する。
【0080】
このARTは、50ゲームを1セットとして構成され、当該ARTのセット中に次のセットが継続されるか否かの継続抽せんが行われる。ART中にレア役が当せんした場合には、当せんしたレア役の種類に応じて、ARTのゲーム数が上乗せされる。この上乗せは、ART状態にて行われる。
【0081】
通常RT状態にてARTが行われる場合、内部抽せんにて高確率でリプレイが当せんするRT2にて遊技が進行するように、指示機能が働く。ART中にRT状態がRT0に転落しても、RT1移行リプレイが入賞するためのアシストがなされて当該RT1移行リプレイが入賞することで、RT状態はRT0からRT1に移行される。更に、RT2移行リプレイが入賞するためのアシストがなされてRT2移行リプレイが入賞することで、RT状態はRT1からRT2に移行される。
【0082】
また、RT状態が通常RT状態にてARTが行われている間、RT2が維持されるように、指示機能が働く。
【0083】
このように、通常RT状態の場合、ARTは、通常RT状態のうち主にRT2の状態にて実行される遊技状態、といえる。また、通常RT状態の際に、RT2ではなくRT0,RT1であっても、遊技状態がART状態であることがある。例えば、ART抽せんによりARTが当せんしたが、未だRT状態がRT2に至っていないART準備状態の場合が、これに該当する。ART準備状態とは、例えばRT状態がRT1であってRT2移行リプレイが入賞する前の状態、が挙げられる。
【0084】
また、ART中であってRT状態がRT2である場合に、役のフラグ「RT0移行リプレイ」が成立した時、RT0移行リプレイの入賞を回避するべく、RT0の正解押し順ではない押し順や目押し内容を報知する指示機能が働いたものの、その報知に従わなかったためRT0移行リプレイが入賞してしまった場合、RT状態は、RT2からRT0に転落する。この場合も、遊技状態は、ART状態のままである。
【0085】
上述したように、通常RT状態で行われるARTは、RT状態が主にRT2の場合に実行される。但し、RT状態がRT2の場合に、必ずしもARTが実行されているとは限らない。ART中ではないがRT状態がRT2である場合も存在する。具体的には、ART状態ではない一般遊技状態にて、かつRT状態がRT1である間に、RT2移行リプレイが偶然入賞することにより、RT状態がRT1からRT2に移行する場合もあり得る。
【0086】
上記では、RT状態が通常RT状態の場合について説明したが、RT状態が特殊RT状態の場合にも、上記と同様にARTが行われる。特殊RT状態の場合、上記で説明した「RT0」は「RT3」に、「RT1」は「RT4」に、「RT2」は「RT5」に、それぞれ読み替えるものとし、詳細な説明は省略する。
【0087】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部62を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて、演出に関する制御を行う。
【0088】
メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、RT状態、遊技状態および遊技区間それぞれがどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部62のRAMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0089】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、設定部614、区間制御部615、RT状態制御部616、遊技状態制御部617およびリセット部618として機能する。サブ制御部62は、演出制御部620として機能する。
【0090】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時のRT状態、遊技状態および遊技区間に基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびレバー43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、回転リール制御部611などに送信される。
【0091】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー43操作時のRT状態および設定値の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役、メダルの払い出しのある押し順役の他、RT0移行リプレイ~RT2移行リプレイ、RT3移行リプレイ~RT5移行リプレイ、などが含まれる。
【0092】
ART状態で遊技が行われる場合には、押し順ベルや押し順リプレイなどの、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順リプレイには、RT0移行リプレイ~RT5移行リプレイが該当する。
【0093】
押し順ベルが当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順ベルが入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順ベルが当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順ベルは入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0094】
押し順リプレイが当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順リプレイが入賞し、その役に応じてRT状態が移行される。押し順リプレイが当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順リプレイは入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。押し順リプレイ自体が入賞しない場合には、RT状態は移行しない、とすることができる。
【0095】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんはしているが、その正解押し順は報知されない。押し順が偶然にも正解だった場合にはその役が入賞するが、不正解の場合は、当該押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。
【0096】
本実施形態の内部抽せん部610は、RT状態を通常RT状態から特殊RT状態に移行させるための特殊移行役のフラグの当否についても、内部抽せんを行う。特殊移行役のフラグが当せんした場合、その旨はRT状態制御部616に送信される。
【0097】
特に、本実施形態の内部抽せん部610は、RT状態が通常RT状態であるか特殊RT状態であるかを判定し、判定した通常RT状態または特殊RT状態それぞれに対応する有利度に基づいて、内部抽せんや遊技進行を行う。従って、内部抽せん部610は、RT状態が特殊RT状態である場合、当該特殊RT状態に対応する、通常RT状態よりも高い有利度に基づいて遊技進行を行う。
【0098】
具体的に、最高設定値である設定6がスロットマシン1に設定されている状態にて、RT状態が特殊RT状態に設定された以後、内部抽せん部610は、ARTの上乗せゲーム数が通常RT状態時よりも高いことを特殊RT状態に対応する有利度として、遊技進行を行う。また、内部抽せん部610は、設定示唆演出の出現確率が、通常RT状態時よりも高いことを特殊RT状態に対応する有利度として、遊技進行を行う。
【0099】
一方、最高設定値でない他設定である設定1~5がスロットマシン1に設定されている状態にて、RT状態が特殊RT状態に設定された以後、内部抽せん部610は、最高設定値(設定6)に対応する指示機能の性能を、特殊RT状態に対応する有利度として、遊技進行を行う。
【0100】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、各ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0101】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0102】
遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、内部抽せん結果である当せんフラグが示す役(特殊移行役含む)に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0103】
当せんフラグが押し順ベルや押し順リプレイなどの押し順役の場合、回転リール制御部611は、遊技者が3つのストップスイッチ40をどの順番で操作したかを判定する。この判定結果は遊技結果判定部613などに送られる。
【0104】
また、遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ40が操作された時の、対応する回転リール40の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0105】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて、遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0106】
また、押し順ベルや押し順リプレイなどの押し順役が内部当せんした際に、遊技者が操作したストップスイッチ40の順番に従って、遊技結果判定部612は、その押し順役が入賞したか否かを判定する。ストップスイッチ40が正解押し順通りに操作された場合、遊技結果判定部612は、押し順役が入賞したと判定する。ストップスイッチ40が正解押し順通りに操作されなかった場合、遊技結果判定部612は、押し順役が入賞しなかった(取りこぼされた)と判定する。
【0107】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0108】
具体的に、媒体管理部613は、遊技者の操作に基づいてメダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、遊技者の操作に基づいてメダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0109】
内部抽せんによって、払い出しのある役を含む役のフラグが当せんフラグとして成立し、かつ、遊技者の操作に基づいて当該役が入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0110】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果、または精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0111】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0112】
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジを算出する。メダルの差枚数およびレンジは、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジをリセットする。
【0113】
―設定部―
設定部614は、店舗スタッフの操作に基づいて、複数の設定値のうちいずれかを設定する。この操作においては、設定変更ボタン72が利用される。設定された設定値は、メイン制御部61のRAM内に格納される。
【0114】
-区間制御部-
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、有利区間および通常区間のいずれかを設定することにより、有利区間と通常区間とを含む遊技区間についての区間制御を行う。
【0115】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。区間制御部615は、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定(移行)する。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。
【0116】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、RT状態に対応する有利度に応じて異なっている。一例としては、RT状態に対応する有利度に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる抽せんの当せん確率が異なっている。
【0117】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、遊技状態がART状態から一般遊技状態に移行したか否かを判定する。一般遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0118】
また、区間制御部615は、有利区間の状態でのゲーム数が1500ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0119】
また、区間制御部615は、RAMクリアボタン71の押下によってRAMがクリアされた場合や、設定変更ボタン72が押下された場合、ボタン71,72が押下される直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0120】
なお、区間制御部615は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0121】
―RT状態制御部―
RT状態制御部616は、遊技進行において、RT状態の設定(移行)制御を行う。
【0122】
具体的に、RT状態制御部616は、メイン制御部61のRAMがクリアされた直後は、RT状態を、通常RT状態のRT0に設定する。遊技開始後から特殊移行役が成立して入賞するまでの間、RT状態制御部616は、遊技進行にて成立し入賞した移行リプレイに応じて、RT状態を、通常RT状態におけるRT0~RT2のうちいずれかに設定する(移行させる)。
【0123】
遊技中に特殊移行役が成立し入賞した場合、RT状態制御部616は、RT状態を、通常RT状態から特殊RT状態におけるRT3に移行させる(設定する)。以後、RT状態制御部616は、遊技進行にて成立し入賞した移行リプレイに応じて、RT状態を、特殊RT状態におけるRT3~RT5のうちいずれかに設定する(移行させる)。
【0124】
特に、RT状態が特殊RT状態である間に、遊技区間が有利区間から通常区間またはその逆に移行したとしても、RT状態制御部616は特殊RT状態を維持する。つまり、一旦特殊移行役が入賞しRT状態が特殊RT状態に移行した後は、メイン制御部616のRAMがクリアされない限り、遊技区間の区間移行に関係なく特殊RT状態が維持される。
【0125】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部617は、遊技状態を、一般遊技状態またはART状態のいずれかに設定する。
【0126】
具体的に、
図7に示すように、遊技状態設定部617は、ART抽せんの結果に基づいて、遊技状態をART状態に設定するか否か(すなわち、ARTに当せんしたか否か)を判定する。遊技区間が有利区間である場合に行われるART抽せんに当せんした場合、遊技状態設定部617は、遊技状態をART状態に設定する。逆に、ART抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態設定部617は、遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。ARTが終了した場合、遊技状態設定部617は、遊技状態をART状態から一般遊技状態に移行させる。
【0127】
―リセット部―
リセット部618は、店舗スタッフの操作に基づいて、上述したRT状態を含む遊技データをリセットするリセット処理、を行う。具体的に、RT状態を含む遊技データは、メイン制御部61のRAMに記憶されている。リセット部618は、店舗スタッフがRAMクリアボタン71または設定変更ボタン72を押下した場合に、メイン制御部61のRAMを初期化することで、記憶中のRT状態を消去する。これにより、現在のゲーム数などの消去に加えて、たとえ現在のRT状態が特殊RT状態であるとしても、そのRT状態は解除され、RT状態はデフォルト設定である通常RT状態に設定される。
【0128】
―演出制御部―
演出制御部620は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGM、音声などをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部620は、ARTに当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0129】
演出制御部620は、ART中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。
【0130】
また、演出制御部620は、遊技者の遊技中に、設定示唆演出の報知条件が満たされた場合、設定示唆演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1の設定値の把握材料とすることができる。
【0131】
ここで、前記報知条件としては、所定のレア役のフラグが内部当せんした場合、ART状態に当せんした場合、ART終了時、などが挙げられる。
【0132】
<スロットマシン1の動作処理の流れ>
図8を用いて、本実施形態にかかるスロットマシン1の動作処理の流れを、主にRT状態移行とRT状態を参照した遊技進行とに焦点をあてて説明する。
【0133】
まず、店舗スタッフが、RAMクリアボタン71または設定変更ボタン72を押下し、リセット部618がリセット処理を行うと(ステップst11のYes)、RT状態制御部616は、RT状態をリセットして、通常RT状態に設定する(ステップst12)。RT状態制御部616は、通常RT状態のうち、デフォルト設定であるRT0に設定する(ステップst13)。
【0134】
遊技者による遊技が開始された後、内部抽せん部610は、遊技者によるレバー43の操作に応じて内部抽せんを行うとともに遊技進行を行う。この内部抽せんにより、移行リプレイが入賞した場合(ステップst14のYes)、RT状態制御部616は、入賞した移行リプレイの種類に応じて、通常RT状態におけるRT0~RT2内にて、RT状態を移行させる(ステップst15)。この動作は、内部抽せんにより特殊移行役が入賞するまで行われる(ステップst16のNo)。
【0135】
ステップst11から、ステップst16における特殊移行役が入賞するまでの間、内部抽せんの結果などに応じた遊技区間の区間移行制御や遊技状態の状態制御は、通常RT状態に対応する有利度に従って行われる。従って、ステップst11~ステップst16までの間、スロットマシン1に設定された設定値に準拠した有利度にて、役やARTが当せんしたり、遊技区間の区間移行制御が行われたり、当該設定値に応じたメダルの払い出しなどが行われたりする。
【0136】
遊技中に、遊技者の操作に応じて特殊移行役が内部当せんして入賞すると(ステップst16のYes)、RT状態制御部616は、RT状態を、通常RT状態から特殊RT状態に移行させる(ステップst17)。RT状態制御部616は、特殊RT状態のうち、デフォルト設定であるRT3に設定する(ステップst18)。
【0137】
内部抽せん部610は、遊技者によるレバー43の操作に応じて内部抽せんを行うとともに遊技進行を行う。この内部抽せんにより、移行リプレイが入賞した場合(ステップst19のYes)、RT状態制御部616は、入賞した移行リプレイの種類に応じて、特殊RT状態におけるRT3~RT5内にて、RT状態を移行させる(ステップst20)。この動作は、メイン制御部61のRAMがリセットされるまで行われる(ステップst21のNo)。
【0138】
ステップst17にてRT状態が特殊RT状態に設定された後、内部抽せんの結果などに応じた遊技区間の区間移行制御や遊技状態の状態制御は、特殊RT状態に対応する有利度に従って行われる。よって、ステップst17~ステップst21までの間、通常RT状態時よりも高い有利度にて、役やARTが当せんしたり、遊技区間の区間移行制御が行われたり、当該設定値に応じたメダルの払い出しなどが行われたりする。
【0139】
例えば、設定値が設定1~5である場合は、設定6に準拠した有利度にて、役やARTが当せんしたり、遊技区間の区間移行制御が行われたり、当該設定値に応じたメダルの払い出しなどが行われたりする。設定値が既に設定6である際、ARTでのゲーム数を上乗せする場合、そのゲーム数が通常RT状態時よりも増大する。
【0140】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、複数の回転リール20と、複数の回転リール20の回転を開始させるための操作を受け付けるレバー43(スタートスイッチ)と、遊技者が受けるメダル(遊技媒体)の投入総数に対する払出総数の割合を示す複数の出玉率それぞれに対応した複数の設定値のうちいずれかを、店舗スタッフ(操作者)の操作に基づいて設定する設定部614と、遊技者によるレバー43(スタートスイッチ)の操作に基づいて内部抽せんを行うことによって複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせて、遊技進行を行う内部抽せん部610と、遊技進行において、内部抽せんによりリプレイのフラグが当せんフラグとして成立するリプレイ確率、がそれぞれ予め設定されている複数のRT状態のうちいずれかを設定するRT状態制御部616と、を備え、複数のRT状態には、内部抽せん610により当せんした役の入賞を容易にする指示機能に係る性能が設定部614により設定されている設定値に応じて発揮される通常RT状態と、指示機能に係る性能を遊技者が受ける遊技に関する恩恵として表す有利度が通常RT状態とは異なる特殊RT状態と、が含まれ、RT状態制御部616は、通常RT状態から特殊RT状態へと移行させるための移行条件が成立した場合、RT状態を特殊RT状態に設定し、内部抽せん部610は、RT状態が特殊RT状態である間、特殊RT状態に対応する有利度に基づいて遊技進行を行うものである。
【0141】
<発明の効果>
本実施形態では、RT状態は、指示機能に係る性能が設定値に応じて発揮される通常RT状態と、当該指示機能に係る性能を遊技に関する恩恵として表す有利度が当該通常RT状態時よりも高い特殊RT状態と、を含む。遊技中に特殊RT状態に移行する移行条件が成立した場合、RT状態は、通常RT状態から特殊RT状態へと移行され、特殊RT状態に対応する有利度に基づいて遊技進行が行われる。つまり、遊技中に特殊RT状態への移行条件が成立すれば、遊技者は、当該移行条件の成立前よりも、指示機能に係る性能が有利な状態にて、遊技を行うことができる。指示機能に係る機能が高いほど、遊技者は、出玉的な恩恵を得られる。従って、遊技者は、特殊RT状態への移行を望みながら遊技を行うことができるとともに、特殊RT状態へと移行すれば、遊技を続行する意欲を持続することができる。
【0142】
また、有利度は、設定されたスロットマシン1の設定値を示唆する設定示唆演出の出現率、を更に表すものである。つまり、遊技者は、特殊RT状態への移行後、出玉的な恩恵を受けるのみならず、設定示唆演出を通常RT状態時よりも多く見たりすることができる。
【0143】
また、最高設定以外の設定(設定1~5のいずれか)が設定されている状態にてRT状態が特殊RT状態に設定された場合、内部抽せん部610は、設定6の指示機能に係る性能を、特殊RT状態に対応する有利度として、遊技進行を行う。これにより、遊技者は、特殊RT状態への移行後、実際の設定値(設定1~5)に対応した指示機能に係る性能よりも高い性能の下でARTを遊技でき、これにより実際の設定値(設定1~5)よりも多くの出玉を得ることができる。
【0144】
また、最高設定である設定6が設定されている状態にてRT状態が特殊RT状態に設定された場合、内部抽せん部610は、設定6の指示機能に係る性能よりも高い性能を特殊RT状態に対応する有利度として、遊技進行を行う。これにより、遊技者は、特殊RT状態への移行後、設定6に対応した指示機能に係る性能よりも高い性能の下でARTを遊技できる。
【0145】
また、RT状態は、メイン制御部61のRAMに記憶されるが、RAMクリアボタン71または設定変更ボタン72が押下されると、リセット部618は当該RAMをリセットする。これにより、RT状態は、特殊RT状態から通常RT状態に移行し、スロットマシン1のRT状態は、特殊移行役が当せんする前の状態に戻る。従って、遊技者は、再び1から、RT状態を特殊RT状態へと移行させること望みながら遊技できる。
【0146】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0147】
前記実施形態では、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72の両方が設けられており、いずれのボタン71,72の操作によっても、RT状態がリセットされると説明した。しかし、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72のいずれか一方のみが、RT状態をリセットするための操作を受け付けるボタンとして機能していてもよい。例えば、RT状態は、設定変更ボタン72を押下してもリセットされることはなく維持され、RAMクリアボタン71を押下した場合にのみリセットされる仕様であってもよい。
【0148】
また、RT状態のリセット処理が行われるトリガは、ボタン71,72の押下以外であってもよい。例えば、メイン制御部61とサブ制御部62とを電気的につなぐハーネスを、一時的に断線させることをトリガとして、RT状態のリセット処理が行われてもよい。また、遊技者が遊技をやめてから一定時間経過した場合や、遊技者がスロットマシン1から離れてから一定時間経過した場合に、RT状態のリセット処理が行われてもよい。
【0149】
また、リセット部618は設けられなくてもよい。例えば、特殊RT状態から通常RT状態へと転落(移行)させるための転落移行役を予め設けておき、その転落移行役が遊技中に当せんして入賞したことにより、RT状態は特殊RT状態から通常RT状態へと移行してもよい。この場合の転落移行役の当せん確率は、特殊移行役の当せん確率よりも高かったり、低かったり、同等としたりすることができる。
【0150】
また、特殊RT状態のリセット処理の実行指示を受け付けるためのボタンを、筐体10の外部に設けておき、遊技者が当該ボタンを押下することができてもよい。つまり、遊技者の意思により、特殊RT状態をリセットできる仕様であってもよい。
【0151】
前記実施形態では、特殊移行役の当せん確率が設定値に関係なく一定である場合を例示したが、特殊移行役の当せん確率は設定値に応じて異なっていてもよい。例えば、特殊移行役の当せん確率は、設定値が低いほど高く、設定値が高いほど低くなるように定められたり、奇数設定ほど高く偶数設定ほど低くなるように定められることができる。
【0152】
また、前記実施形態において、スロットマシン1の設定値として、出玉率がそれぞれ98%,108%,115%である3つの設定値(設定1,6,H)を予め設けておき、設定変更ボタン72によって設定可能な設定値は、このうちの2つ(設定1,6)としてもよい。設定Hでについての出玉に関する恩恵を、特殊RT状態に対応する有利度として対応づけることができる。この場合、遊技者は、設定1または設定6での遊技中に、内部抽せんによって特殊移行役を当せんさせてRT状態を特殊RT状態へと移行させた場合にのみ、特殊RT状態に対応する設定Hでの遊技を体験することができる。
【0153】
前記実施形態では、有利度が設定値と関連している場合について説明した。しかし、有利度は、設定値とは別の概念であってもよい。例えば、特殊RT状態には、通常RTとは異なる出玉の払い出され方(例えば、波が穏やか、波が荒い、Aタイプのように所定枚数のメダルが払い出されることを繰り返す)を、有利度として定義づけることができる。つまり、特殊RT状態の有利度は、設定値に応じた通常RT状態における指示機能に係る性能と異なってさえいればよい。RT状態が通常RT状態から特殊RT状態へと移行した場合、遊技者は、通常RT状態とは異なる出玉の出方を楽しむことができる。
【0154】
このように、有利度と設定値とを異なるものとすることで、有利度および設定値それぞれを複数段階ずつ設けておけば、有利度と設定値との組み合わせパターン分だけ、遊技進行の制御が可能となる。従って、遊技者は、バラエティに富んだ遊技を楽しむことができる。
【0155】
演出制御部620は、RT状態が特殊RT状態へと移行したことを、演出や履歴画面を通じて遊技者に報知させてもよい。
【0156】
前記実施形態で述べた設定示唆演出は、演出映像であってもよいし、演出映像以外であってもよい。演出映像以外の設定示唆演出としては、例えば以下が挙げられる。
(a)特殊RT状態での遊技中に、特殊RT状態中および/または設定6でしか揃うことのない役(レアリプレイ)や特殊な図柄を、回転リール20上に揃わせるとともに特殊な音を発生させる。
(b)特殊RT状態での遊技中に、通常RT状態時も共通して当せんすることのできる役が当せんした際、その役を、特殊RT状態中および/または最高設定値でしか揃うことのない揃い方(7揃い、V字揃いなど)で回転リール20に揃わせるとともに特殊な音を発生させる。
(c)特殊RT状態での遊技中に、逆押しを促す映像が液晶画面3に表示され、その押し順に従ってストップスイッチ40が押下されることにより、特殊な図柄(V字揃い、7揃い)の配列が回転リール20に揃う。
(d)特殊RT状態での遊技中に、当せんしたレアリプレイのうち一部の場合において、押し順を遊技者に当てさせる演出が発生する。遊技者が押した順が正解であった場合に、回転リール20が自動で再度回転および停止をして、特殊な図柄(赤7がV字揃う)の配列が揃う。
(e)特殊RT状態でのARTの終了画面に、設定6に伴う画面を表示させる。
【0157】
なお、設定示唆演出は、必須ではない。
【0158】
前記実施形態では、最高設定値である設定6が設定されている状態で特殊RT状態に移行した後、設定示唆演出の出現率が通常RT状態時よりも高まると説明したが、これは必須ではない。
【0159】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
【0160】
前記実施形態の遊技状態には、一般遊技状態およびART状態の他に、CZ状態が含まれていてもよい。CZ状態とは、一般遊技状態やART状態ではないが、ARTへの突入確率やリプレイ確率が一般遊技状態よりも高い状態である。特殊RT状態に移行後、ARTへの突入確率と同様に、特殊RT状態に対応する有利度に応じて、CZ状態への突入確率も変化してもよい。
【0161】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大1500Gに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ART状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0162】
前記実施形態では、スロットマシン1が、ART機である場合を例示した。しかし、スロットマシン1は、ARTとボーナスとの混合機やAT機であってもよい。
【0163】
図9に、スロットマシン1がAT機である場合の、遊技区間、遊技状態およびRT状態の移行を示す。AT機には、ボーナスが内部的に当せんしてはいるが入賞していないボーナス内部状態が存在する。一般的に、このボーナス内部状態では、RT状態の移行は禁じられている。しかし、この例では、そのボーナスをあえて揃えて入賞させることでボーナス内部状態を解除させ、そのタイミングでRT状態を移行させることを実現している。
【0164】
図9の前提として、RT状態には、通常RT状態と、当該通常RT状態よりも有利度が高く設定されている特殊RT状態との、2種類が存在する。ボーナスとしては、2種類のボーナスBB1,BB2が存在する。このボーナスのうち、BB2は、前記実施形態にて説明した特殊移行役に対応している。
【0165】
まず、ボーナスが当せんしていないボーナス非内部状態の場合、RT状態制御部616は、RT状態を通常RT状態に設定し、区間制御部615は、遊技区間を通常区間に設定する(ステップ#1)。遊技状態制御部617は、遊技状態を一般遊技状態に設定する。このボーナス非内部状態にて、遊技がスタートする。
【0166】
遊技中、内部抽せん部610は、遊技者のレバー43操作に従って、ボーナスBB1,BB2を含む各種役の内部抽せんを行う。区間制御部615は、レア役の当せんタイミングなどに遊技区間の区間抽せんを行う。
【0167】
内部抽せんより、遊技区間を移行するための役が当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に移行させる(ステップ#11,ステップ#21)。スロットマシン1の動作の流れには、ボーナス非内部状態(ステップ#11)の右上に位置する「ルート1」と、右下に位置する「ルート2」との2つが存在する。動作の流れは、内部抽せんによりボーナスBB1が当せんした場合は「ルート1」(ステップ#12)、ボーナスBB2が当せんした場合は「ルート2」をたどる(#ステップ22)。
【0168】
なお、ステップ#12,#22のいずれも、ボーナスBB1,BB2は、内部的に当せんはしているが、回転リール20にボーナス図柄が揃うことでの入賞は未だしていない状態となる。つまり、ステップ#12,#22のいずれにおいても、ボーナス内部状態に移行される。
【0169】
ステップ#11,#12のルート1、ステップ#21,#22のルート2のどちらにおいても、内部抽せん部610は、ボーナス内部状態下にてAT抽せんを別途行う(ステップ#13,#23)。どちらのルート1,2でも、回転リール制御部611の制御により、内部的に当せんしているボーナスBB1,BB2に対応する図柄がやがて回転リール20上に揃えられて、当該ボーナスBB1,BB2は入賞する(ステップ#14,#24)。
【0170】
ボーナス入賞後(ステップ#14,#24)、遊技者は、入賞したボーナスBB1,BB2のゲームを消化する。このゲーム消化中は、払い出されたメダルの枚数が規定された払出枚数に達するまで、押し順役の正解押し順役がアシストされる。
【0171】
ボーナスBB1,BB2の終了後に、ステップ#13,#23におけるAT抽せんにてATが当せんしていた場合(ATの継続含む)、ATの遊技が開始される。AT中、ボーナス内部状態下でのAT抽せん、当せんしたボーナスBB1,BB2の図柄を揃えての入賞および消化、が繰り返される。AT終了後、スロットマシン1の流れは、ボーナス非内部状態(ステップ#1)へと戻る。
【0172】
ステップ#13,#23におけるAT抽せんにてATが当せんしなかった場合、遊技状態は一般遊技状態にて維持される。この場合、有利区間にて一般遊技が行われ、ゲーム数が天井規定ゲーム数に達した場合、ボーナスBB1,BB2の図柄を揃える指示が表示される。遊技者によって当該図柄が揃えられると、ボーナスBB1,BB2が入賞し、払い出し枚数に達するまで押し順役の正解押し順がアシストされることでボーナスBB1,BB2のゲームが消化されていく。
【0173】
以上で説明した2つのルートのうち、「ルート1」にて当せんしたボーナスBB1は、RT状態を特殊RT状態へと移行させるための特殊移行役ではない。そのため、「ルート1」では、ボーナスBB1が入賞してボーナス内部状態が解除されたとしても、RT状態制御部616は、RT状態の移行を行わない。つまり、ルート1では、RT状態は固定(維持)される。
【0174】
一方、「ルート2」にて当せんしたボーナスBB2は、RT状態を特殊RT状態へと移行させるための特殊移行役である。そのため、「ルート2」では、ボーナスBB2の当せん時(ステップ#22)、ボーナスB22の入賞時およびボーナスB22を消化し終わったとき(ステップ#24)、のいずれかにおいて、RT状態制御部616は、RT状態を特殊RT状態に設定する(移行させる)。つまり、ルート2を介することで、RT状態は、ボーナスBB2の入賞に関連して特殊RT状態に移行される。
【0175】
まとめると、一度でもボーナスBB2が当せんして入賞すれば、「ルート2」を経て、RT状態は通常RT状態から特殊RT状態に移行される。ボーナスBB2の入賞により、ボーナス内部状態は解除されるため、RT状態を移行させることが可能となる。「ルート1」ではRT状態は移行されずに維持されるため、一度でも「ルート2」を経れば、その後にボーナス非内部状態や「ルート1」を経ても、RT状態は特殊RT状態にて維持される。
【0176】
従って、「ルート2」を経た後は、特殊RT状態に対応する有利度、すなわち通常RT状態よりも高い有利度に基づいて、AT抽せんなどの遊技進行が行われる。これにより、AT機においても、遊技者は、実際の設定値がいくつであっても、特殊移行役であるボーナスBB2が入賞することを望みながら遊技を行うことができるとともに、ボーナスBB2が入賞すれば、遊技を続行する意欲を持続することができる。
【0177】
なお、AT機においても、特殊RT状態に対応する有利度としては、前記実施形態と同様、指示機能の性能や出玉率、設定示唆演出の出現率が通常RT状態よりも高まるが挙げられる。指示機能の性能としては、AT当せん確率、CZ当せん確率、ATゲーム数の上乗せ確率、AT継続率の抽せん確率、正解押し順の発生率が挙げられる。また、有利度としては、レアリプレイの成立確率、フリーズ発生確率、などが挙げられる。
【0178】
なお、
図9では、ステップ#11とステップ#12、ステップ#21とステップ#22が、それぞれ個々に行われる場合を例示した。しかし、ステップ#11とステップ#12は同時のタイミングで行われ、ステップ#21とステップ#22は同時のタイミングで行われてもよい。
【0179】
スロットマシン1は、RTを特殊RT状態に移行させる特殊移行役以外に、ボーナスを搭載していてもよい。その場合、ボーナスが当せん、入賞またはボーナスゲームが終了しても、RT状態制御部616は、RT状態の設定を行わない(RT状態を移行させない)。ボーナスの当せん直前のRT状態を維持させる当該ボーナスは、1種BBまたは2種BBであることができるが、2種BBであることが望ましい。
【0180】
前記実施形態では、RT状態の移行が、移行リプレイの入賞によって行われると説明した。しかし、RT状態を移行させる契機は、例えば押し順ベルの取りこぼし目の発生時のように、移行リプレイの入賞以外であってもよい。
【0181】
前記実施形態では、有利区間に移行する区間移行抽せんの当せん確率が、設定値に応じて異なると説明したが、これに限定されない。有利区間に移行する区間移行抽せんの当せん確率は、設定値如何に関わらず一定であってもよい。
【0182】
前記実施形態では、特殊RT状態へと状態を移行するための移行条件が、特殊移行役の入賞時(図柄が揃った時)である場合を説明したが、移行条件はこれに限定されない。他の移行条件としては、特別移行役が入賞はしていないが当せんした場合、特別移行役がボーナスである際はそのボーナスゲームが終了した場合、リール窓200に特定の出目が現われた状態で回転リール20が停止した場合、ボーナスゲームの終了時や特定の出目が現れてから所定ゲームが消化された場合、などが挙げられる。
【0183】
図4において、RT状態がRT2の時に特殊移行役が入賞するとRT3に移行するため、リプレイ確率が下がってしまい、ART消化中であるにも拘わらずART準備中に戻り、メダルが減るおそれがある。そこでこの場合、ART準備中で減ったメダルの枚数を補てんするべく、遊技状態制御部617は、ART準備中での消化ゲーム数に基づいてARTでのゲーム数を上乗せしたり、ART準備中の消化ゲームに関わらず固定で所定ゲーム数を上乗したりしてもよい。
【0184】
前記実施形態では、有利度が、指示機能の性能と設定示唆演出の出現率とを、遊技者が受ける遊技に関する恩恵として表す場合を説明した。しかし、有利度は、指示機能の性能のみを、遊技者が受ける遊技に関する恩恵として表すものであってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 スロットマシン(遊技機)
20 回転リール
40 ストップスイッチ
43 レバー(スタートスイッチ)
71 RAMクリアボタン(受付部)
72 設定変更ボタン(受付部)
610 内部抽せん部
614 設定部
615 区間制御部
616 RT状態制御部
618 リセット部