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特許7564481運動メニューの決定システム、プログラムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】運動メニューの決定システム、プログラムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A63B69/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023143842
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2019177076の分割
【原出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2023158077
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅里恵
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154069(JP,A)
【文献】特開2013-244147(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146341(WO,A1)
【文献】特開2016-73789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0218309(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0262664(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 71/06-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは
複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素を含む運動メニューを第1ユーザーに提供し、
前記運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定され、
前記重み付け係数に基づいて前記運動要素を選出し、
前記運動メニューの提供後に、前記第1ユーザーが評価対象動作を実行している間の前記第1ユーザーの動きの動きについての動作データを取得し、
前記動作データに基づいて前記重み付け係数を更新し、
前記更新された重み付け係数に基づいて前記第1ユーザーとの間で少なくとも年齢、性別および体型に関するいずれかの条件を満たす第2ユーザーに提供する前記運動メニューを更新可能とする、
システム。
【請求項2】
プロセッサが、複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素を含む運動メニューを第1ユーザーに提供し、
前記運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定され、
前記重み付け係数に基づいて前記運動要素を選出し、
プロセッサが、前記運動メニューの提供後に、前記第1ユーザーが評価対象動作を実行している間の前記第1ユーザーの動きについての動作データを取得し、
前記動作データに基づいて前記重み付け係数を更新し、
プロセッサが、前記更新された重み付け係数に基づいて前記第1ユーザーとの間で少なくとも年齢、性別および体型に関するいずれかの条件を満たす第2ユーザーに提供する前記運動メニューを更新可能とする、
方法。
【請求項3】
複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素を含む運動メニューを第1ユーザーに提供し、
前記運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定され、
前記重み付け係数に基づいて前記運動要素を選出し、
前記運動メニューの提供後に、前記第1ユーザーが評価対象動作を実行している間の前記第1ユーザーの動きについての動作データを取得し、
前記動作データに基づいて前記重み付け係数を更新し、
前記更新された重み付け係数に基づいて前記第1ユーザーとの間で少なくとも年齢、性別および体型に関するいずれかの条件を満たす第2ユーザーに提供する前記運動メニューを更新可能とする、
処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動メニューの決定システム、プログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運動動作を行っているユーザーの画像を取得し、その画像に基づいて人間動作スクリーニングスコアを生成し、そのスコアに基づいてパーソナル化エクササイズプログラムを生成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-73789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなユーザーへの運動メニューの提供にあたり、ユーザーの身体改善にとってより効果的な運動メニューを提供したいというニーズが生じていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、より効果的な運動メニューを提供可能な運動メニューの決定システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ユーザーに提供する運動メニューを決定するシステムであって、運動メニュー提供部と、係数変更部を備え、前記運動メニュー提供部は、複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素を含む運動メニューを提供し、前記運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定され、前記運動メニュー提供部は、前記重み付け係数に基づいて前記運動要素を選出し、前記係数変更部は、前記運動メニューの提供後に取得された前記ユーザーの動作データに基づいて、前記重み付け係数を変更する、システムが提供される。
【0007】
このような構成とすることで、ユーザーが運動メニューを実施したあとに、運動要素の選出に関する重み付け係数を変更することにより、より効果的な運動要素を選出して運動メニューを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の決定システム1の構成図である。
図2】携帯端末10の外観を示す図である。
図3】携帯端末10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る決定システム1の機能ブロック図である。
図5図5Aは、評価項目設定テーブルT1の一例を示す図である。図5Bは、重み付け係数設定テーブルT2の一例を示す図である。
図6】評価対象動作と評価項目と運動候補の関係を説明するための図である。
図7】運動メニューの決定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】評価項目の評価結果の一例を示す図である。
図9図9Aは、運動メニューと運動要素の関係を説明するための図である。図9Bは、図9Aにおける運動要素の選出について説明するための図である。
図10】評価項目の評価結果の一例を示す図である。
図11図11Aは、運動メニューと運動要素の関係を説明するための図である。図11Bは、運動要素の重み付け係数の変更について説明するための図である。
図12】第2実施形態に係る決定システム1の機能ブロック図である。
図13】第3実施形態に係る決定システム1の構成図である。
図14】サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。
図15】第3実施形態に係る決定システム1の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
<1.第1実施形態>
(1-1.決定システム1の全体構成)
図1に示すように、本発明の第1実施形態の決定システム1は、携帯端末10を備える。携帯端末10は、複数のアプリケーションプログラムをインストール可能な、スマートフォンやタブレット端末などを用いることができる。
【0011】
本実施形態では、携帯端末10はカメラ20を備え、ユーザーUを前側から撮影するように配置されている。なお、図1に示す構成は例示であって、携帯端末10は、ユーザーUの前側以外の位置に配置されていてもよい。
【0012】
(1-2.携帯端末10の構成)
図2に示すように、携帯端末10の筐体12には、その正面12Aに、画面に画像を表示する画像表示手段であるタッチパネルディスプレイ14が備えられる。タッチパネルディスプレイ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)及びタッチセンサを備える。LCDは、各種画像を表示し、タッチセンサは、指、スタイラス、又はペン等の指示体を用いて行われる各種入力操作を受け付ける。
【0013】
また、携帯端末10の正面12Aには、音が入力されるマイクロフォン16、音を出力するスピーカ18、及び被写体を撮像するカメラ20が備えられる。カメラ20は、筐体12の正面12Aだけでなく筐体12の背面にも備えられる。さらに、筐体12の側面12Bには、携帯端末10を起動又は停止させるための電源ボタンやスピーカ18が出力する音のボリューム調整ボタン等の操作ボタン22が備えられる。
【0014】
また、携帯端末10の筐体12には、メモリカードが挿入されるスロットやUSB(Universal Serial Bus)端子等が備えられる。
【0015】
図3は、携帯端末10の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
携帯端末10は、上記構成に加え、制御部24、記憶部26、通信部28を備える。
【0017】
制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、携帯端末10の全体の動作を制御する。
【0018】
記憶部26は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を含み、制御部24による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。
【0019】
記憶部26は、さらに、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含み、画像等の各種データ及び制御部24の処理に利用されるプログラム等を保存する。記憶部26に記憶されるプログラムは、例えば、携帯端末10の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェア制御するためのドライバ、電子メールやウェブブラウジング、その他各種機能を実現するためのアプリケーションプログラム等である。また、記憶部26には、詳細を後述する本実施形態に係る決定方法を実行するためのプログラムが予め記憶されている。
【0020】
通信部28は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、携帯電話網等の通信網に接続する機能を有する。なお、通信部28は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。
【0021】
これら制御部24、記憶部26、通信部28、タッチパネルディスプレイ14、マイクロフォン16、スピーカ18、カメラ20、及び操作ボタン22は、システムバス30を介して相互に電気的に接続されている。従って、制御部24は、記憶部26へのアクセス、タッチパネルディスプレイ14に対する画像の表示、ユーザーによるタッチパネルディスプレイ14や操作ボタン22に対する操作状態の把握、マイクロフォン16への音の入力、スピーカ18からの音の出力、カメラ20に対する制御、及び通信部28を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行える。
【0022】
(1-3.機能ブロック図)図4は、本実施形態に係る決定機能に関する機能ブロック図である。
【0023】
図4に示すように、制御部24は、データ取得部31と、運動メニュー提供部32と、評価項目決定部33と、係数変更部34を含む。
【0024】
データ取得部31は、運動メニューの提供対象であるユーザーUが、評価対象動作を実行している間のユーザーUの動きについての動作データを取得する。評価対象動作とは、ユーザーUの運動能力や身体状態の評価に用いることができる任意の動作であり、所定ポーズ状態での静止動作であってもよく、動きのある動作であってもよい。
【0025】
運動メニュー提供部32は、データ取得部31が取得した動作データに基づいて、評価対象動作に関連付けられている複数の運動候補の中から、1つまたは複数の運動要素を選出し、当該運動要素を組み合わせて運動メニューを提供する。詳細は後述するが、各運動候補には、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定されている。運動メニュー提供部32は、当該重み付け係数に基づいて複数の運動候補の中から運動要素を選出し、ユーザーに提供する運動メニューを決定する。
【0026】
評価項目決定部33は、評価対象動作に関連付けられた複数の評価項目の内から、運動メニューを実施することにより改善されることを目的とする改善対象の評価項目を決定する。評価項目とは、評価対象動作を実行するために止むを得ずに行う動作に関連した項目のことである。評価対象動作および評価項目については、詳細を後述する。
【0027】
係数変更部34は、運動メニューがユーザーUに提供された後に、再度取得されたユーザーUの動作データに基づいて、当該運動メニューを構成する運動要素として選出された運動候補に設定されている重み付け係数を変更する。
【0028】
記憶部26は、一例として、評価項目設定テーブルT1と、重み付け係数設定テーブルT2を備える。各テーブルの構成については、詳細を後述する。
【0029】
上述した制御部24が備える各機能構成は、記憶部26に記憶されているコンピュータプログラムによって実現されてもよい。また、当該コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納され、必要に応じて当該記録媒体から読み出されてもよい。
【0030】
(1-4.テーブル構成)
図5Aおよび図5Bを参照し、評価項目設定テーブルT1および重み付け係数設定テーブルT2のテーブル構成を説明する。なお、図5Bに示す例では、視認性の観点から一部のレコードを省略している。
【0031】
図5Aに示すように、評価項目設定テーブルT1は、「No」列と、「評価対象動作」列と、「評価項目」列を備える。「No」列は、テーブル内のレコードを一意に識別するための連番を保持する。「評価対象動作」列は、評価対象動作の名称を保持する。「評価項目」列は、評価項目の名称を保持する。
【0032】
図5Aに示す例では、評価対象動作Xに対して、評価項目X1~X3が関連付けられており、評価対象動作Yに対して、評価項目Y1~Y4が関連付けられている。上述したように、評価項目とは、評価対象動作を実行するために止むを得ずに行う動作に関連した項目である。一例として、評価対象動作が「片足立ち」の場合に、評価項目として「上体の揺れ」、「前傾」などを挙げることができる。
【0033】
本実施形態では、評価項目ごとにA(良)、B(可)、C(不可)の3段階での評価が行われる。上述した例だと、ユーザーUが評価対象動作としての「片足立ち」を行っている際に、たとえば評価項目としての「上体の揺れ」が評価され、揺れの度合いが小さい場合には評価がA(良)となり、揺れの度合いが大きい場合には評価がC(不可)となる。このように、ユーザーUが行う評価対象動作ごとに、当該評価対象動作に関連づけられた評価項目ごとに、内容に応じた評価が行われる。
【0034】
図5Bに示すように、重み付け係数設定テーブルT2は、「No」列と、「評価項目」列と、「運動候補」列と、「重み付け係数」列を備える。「No」列と「評価項目」列は、評価項目設定テーブルT1と同様である。
【0035】
「運動候補」列は、運動候補の名称を保持する。運動候補とは、ユーザーUに提供する運動メニューを構成する運動要素の候補であり、評価項目ごとに複数の運動候補が対応づけられている。「重み付け係数」列は、運動候補ごとに設定された重み付け係数の値を保持する。重み付け係数は、各運動候補の選出されやすさを示す係数であり、係数の値が大きいほど選出されやすくなるように設定されている。複数の運動候補から選出された運動要素を組み合わせることにより、運動メニューが決定される。
【0036】
図6は、評価対象動作、評価項目、運動候補およびその重み付け係数の関係を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、評価対象動作Xには、評価項目X1~X3が関連付けられている。評価項目X1には、運動候補X1a~X1gが関連付けられており、それぞれに重み付け係数が設定されている。運動メニュー提供部32は、重み付け係数に基づいて運動候補の中から運動要素を選出し、ユーザーUに提供する運動メニューを決定する。
【0037】
(1-5.決定処理の流れ)
図7を参照し、決定システム1を用いた運動メニューの決定処理の流れを説明する。なお、以下においては、図6で示した評価対象動作XおよびYをユーザーUが行った場合について説明する。
【0038】
ステップS110において、データ取得部31は、ユーザーUが、評価対象動作XおよびYを実行している間のユーザーUの動きについての動作データを取得する。
【0039】
ステップS120において、評価項目決定部33は、取得された動作データに基づいて、ユーザーUが実施した評価対象動作XおよびYに関連づけられた評価項目ごとの評価を行う。図8には、評価項目X1~Y4までの評価結果の一例が示されている。このように、評価対象動作XおよびYに関連付けられた評価項目X1~Y4について、A(良)、B
(可)、C(不可)の3段階での評価が行われる。
【0040】
ステップS130において、評価項目決定部33は、改善対象の評価項目を決定する。図8に示す例では、評価項目X3と評価項目Y3の評価結果がC(不可)となっている。そこで、評価項目決定部は、評価結果がC(不可)となっている評価項目X3およびY3を、改善対象の評価項目として決定する。
【0041】
ステップS140において、運動メニュー提供部32は、ユーザーUに提供する運動メニューを決定する。図9Aに示すように、運動メニューは、8つの運動要素から構成される。1つの運動要素は、一例として、3分間の運動および休憩を含む。ユーザーUは、提供された運動メニューとして、8つの運動要素を順番に行うこととなる。
【0042】
図9Aに示す例では、1番目と2番目の運動要素は準備運動として、7番目と8番目の運動要素は整理運動として、予め定められた運動要素が設定されている。3番目と4番目の運動要素は、改善対象の評価項目として決定された評価項目X3に関連付けられた運動候補X3a~X3fから選出される。また、5番目と6番目の運動要素は、改善対象の評価項目として決定された評価項目Y3に関連付けられた運動候補Y3a~Y3fから選出される。
【0043】
ここで、改善対象の評価項目に関連付けられた運動候補からの運動要素の選出にあたっては、重み付け係数が考慮された抽選が行われる。具体的には、運動候補X3n(n=a~fのいずれか)が選出される確率P(X3x)は、以下の(式1)で算出される。すなわち、重み付け係数が高い運動候補ほど、運動要素としてより選出されやすくなるように構成されている。このようにして、評価項目X3に関連付けられた運動候補が運動要素として選出される。
【0044】
【数1】
(式1)P(X3n)=X3nの重み付け係数/(X3a~X3f)の重み付け係数の総和
【0045】
同様に、運動メニュー提供部32は、評価項目Y3に関連付けられた運動候補からの運動要素の選出にあたって、重み付け係数が考慮された抽選を行う。一例として、運動候補Y3n(n=a~fのいずれか)が選出される確率P(Y3n)は、以下の(式2)で算出される。
【0046】
【数2】
(式2)P(Y3n)=Y3nの重み付け係数/(Y3a~Y3f)の重み付け係数の総和
【0047】
このようにして、運動メニュー提供部32は、8つの運動要素で構成された運動メニューを決定し、ユーザーUへ提供する。運動メニューを提供されたユーザーUは、所定の実施期間(たとえば、半年間)において当該運動メニューを所定の頻度(たとえば、週に1回)実施する。
【0048】
ステップS150において、データ取得部31は、評価対象動作XおよびYを実行している間のユーザーUの動きについての動作データの再取得を行う。当該再取得は、ユーザーUによる運動メニューの実施期間後に行われるのが好ましいが、実施期間中に行っても良い。
【0049】
ステップS160において、評価項目決定部33は、改善対象の評価項目の再評価を行う。図10に再評価結果の一例を示す。この例では、評価項目X3の評価結果がB(可)に改善している。一方、評価項目Y3の評価結果は、前回と同じC(不可)となっている。
【0050】
ステップS170において、係数変更部34は、重み付け係数設定テーブルT2で設定されている重み付け係数の変更を行う。図11Aおよび図11Bに示すように、係数変更部34は、評価結果が改善された評価項目X3に関連付けられた運動候補の内、ユーザーUに提供された運動メニューを構成する運動要素として選出された運動候補X3bおよびX3dについて、改善に寄与した運動要素として重み付け係数の変更を行う。
【0051】
図11Bに示す例では、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.3ずつ増やしている。その結果、以降の運動メニューの選出において、運動候補X3bおよびX3dが運動要素としてより選出されやすくなり、ユーザーへ提供される運動メニューが評価項目の改善につながる可能性が高くなる。
【0052】
以上のようにして、本実施形態に係る決定システム1は、運動メニュー提供部32と、係数変更部34を備える。運動メニューは、複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素によって構成される。運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定される。運動メニュー提供部32は、重み付け係数を考慮して運動要素を選出する。係数変更部34は、運動メニューの提供後に、当該運動メニューを構成する運動要素として選出された運動候補の重み付け係数を変更する。
【0053】
このような構成とすることにより、ユーザーが運動メニューを実施したあとに、運動要素の選出に関する重み付け係数を変更することにより、より効果的な運動要素を選出して運動メニューを提供することが可能となる。
【0054】
なお、上記実施形態においては、評価項目X3の評価結果がC(不可)からB(可)に改善した場合に、評価項目X3に関連付けられた運動候補の内、ユーザーUに提供された運動メニューを構成する運動要素として選出された運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.3ずつ増やしているが、この重み付け係数の変更の度合いは適宜設定すればよい。
【0055】
一例として、評価項目X3の評価結果がB(可)からA(良)に改善した場合であれば、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.2ずつ増やし、C(不可)からA(良)に改善した場合であれば、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.7ずつ増やしてもよい。
【0056】
また、評価項目X3の評価結果が悪化した場合に、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を変更させてもよい。一例として、評価項目X3の評価結果がA(良)からB(可)に悪化した場合であれば、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.2ずつ減らし、B(可)からC(不可)に悪化した場合であれば、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.3ずつ減らし、A(良)からC(不可)に悪化した場合であれば、運動候補X3bおよびX3dの重み付け係数を0.7ずつ減らしてもよい。
【0057】
<2.第2実施形態>
以下、図12を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、決定システム1は、制御部24の機能として、運動候補更新部35をさらに備える点で第1実施形態と異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0058】
運動候補更新部35は、評価項目に関連付けられた運動候補の追加および削除が可能に構成されている。より具体的には、重み付け係数設定テーブルT2に対してレコードの追加および削除を行うことにより、評価項目に関連付けられた運動候補の追加および削除が可能となっている。
【0059】
このような構成とすることにより、効果の低い運動メニューを削除したり、新しい運動メニューを追加したりすることにより、ユーザーへ提供する運動メニューの質を向上することが可能となる。
【0060】
<3.第3実施形態>
以下、図13図15を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、決定システム1は、サーバ40を備える点で上記実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
図13に示すように、決定システム1は、携帯端末10とサーバ40を備える。携帯端末10は、通信回線5を介してサーバ40と通信可能に構成される。
【0062】
図14に示すように、サーバ40は、サーバ40全体の動作を司る制御部41、制御部41による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられ、また各種プログラム及び各種データ等が予め記憶された記憶部42を備えている。
【0063】
サーバ40は、通信回線5を介して携帯端末10等の他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行う通信部44を備えている。また、キーボード及びマウス等で構成されて各種操作の入力を受け付ける操作入力部45、各種画像を表示する例えば液晶ディスプレイ装置等のモニタ46を備えていてもよい。
【0064】
これら制御部41、記憶部42、通信部44、操作入力部45、モニタ46は、システムバス47を介して相互に電気的に接続されている。
【0065】
図15に示すように、第3実施形態では、携帯端末10はデータ取得部31を備え、運動メニュー提供部32と、評価項目決定部33と、係数変更部34とは、サーバ40の機能として実現される。また、評価項目設定テーブルT1と、重み付け係数設定テーブルT2とは、サーバ40に記憶されている。このような構成としても、第1実施形態と同様の作用および効果を実現することができる。
【0066】
<4.その他の実施形態>
以上、実施形態について説明したが、本願の技術的範囲の適用範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0067】
たとえば、複数の評価対象動作や評価項目に対して、改善対象として決定する際の優先順位を設定してもよい。この場合、評価項目決定部33は、複数の評価対象動作の間に設定される優先順位、または、複数の評価項目の間に設定される優先順位に基づき、改善対象の評価項目を決定してもよい。
【0068】
また、運動メニュー提供部32は、あるユーザーの動作データに基づき変更部が変更した重み付け係数に基づいて、他のユーザーに運動メニューを提供してもよい。すなわち、複数のユーザーにおいて、重み付け係数設定テーブルT2を共有する仕様としてもよい。この場合、より好ましくは、所定の条件(年齢、性別、体型など)を満たすユーザー間で重み付け係数設定テーブルT2を共有することにより、ユーザーUが満たす所定の条件ごとに、より効果的な運動メニューを提供することが可能となる。
【0069】
また、上記実施形態では、1つの運動メニューは、8つの運動要素から構成されていたが、この形態に限定されることはない。たとえば、準備運動および整理運動の運動要素をそれぞれ1つとしてもよいし、評価項目に関連付けられる運動要素の数を適宜変更してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、改善対象の評価項目の再評価において、評価結果が改善された場合に運動メニューを構成する運動要素として選出された運動候補の重み付け係数を変更しているが、この例に限定されることはない。たとえば、運動メニューを構成していない他の運動候補の重み付け係数を変更してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末10を用いて決定システム1を構成しているが、決定システム1を構成している装置の少なくとも1つは、通信可能で且つ撮影機能を有する任意の装置(例:ウェブカメラ)であってもよい。
【0072】
さらに、本発明は、上述の決定システムを実現させるためのコンピュータを機能させるプログラムとして実現することもできる。
【0073】
さらに、本発明は、上述のプログラムを格納する、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【0074】
<5.実施形態の特徴>
以下、本発明の実施形態の特徴をまとめる。
【0075】
決定システム1は、運動メニュー提供部32と、係数変更部34を備える。運動メニュー提供部32は、複数の運動候補の中から選出される1つまたは複数の運動要素を含む運動メニューを提供する。運動候補のそれぞれには、選出されやすさを重み付けする重み付け係数が設定される。運動メニュー提供部32は、重み付け係数を考慮して運動要素を選出する。係数変更部34は、運動メニューの提供後に取得された前記ユーザーの動作データに基づいて、重み付け係数を変更する。
【0076】
このような構成とすることで、ユーザーが運動メニューを実施したあとに、運動要素の選出に関する重み付け係数を変更することにより、より効果的な運動要素を選出して運動メニューを提供することが可能となる。
【0077】
係数変更部34は、前記運動メニューに含まれる運動要素に設定される前記重み付け係数を変更する。
【0078】
このような構成とすることで、運動メニューに含まれる運動要素に設定される重み付け係数を変更することとなり、運動要素についての重み付け係数の設定を確実に行うことができる。
【0079】
決定システム1は、データ取得部31をさらに備える。データ取得部31は、ユーザーが評価対象動作を実行している間の当該ユーザーの動きについての動作データを取得し、運動メニュー提供部32は、動作データに基づいて、評価対象動作に関連付けられている複数の運動候補の中から選出された運動要素によって構成された運動メニューを提供する。
【0080】
このような構成とすることにより、データ取得部が取得した動作データに基づいて、運動要素の選出を行うことにより、よりユーザーの身体状況に適合した運動メニューの提供が可能となる。
【0081】
決定システム1は、評価項目決定部33をさらに備える。評価対象動作には、複数の評価項目が関連付けられており、評価項目決定部33は、動作データに基づいて、複数の評価項目のうちから改善対象の評価項目を決定し、運動メニュー提供部32は、改善対象の評価項目に関連付けられた運動候補を選出して運動メニューを提供する。
【0082】
このような構成とすることにより、改善対象とされた評価項目に関連付けられた運動要素によって運動メニューを構成することにより、ユーザーの身体状況において、より問題の大きい箇所から改善し得る運動メニューを提供することが可能となる。
【0083】
評価項目決定部33は、運動メニューの提供後に取得された動作データに基づいて、改善対象の評価項目が改善されているかどうかを評価し、係数変更部34は、改善されている評価項目において運動要素として選出された運動候補について、以降の選出時に選ばれやすくなるように重み付け係数を変更する。
【0084】
このような構成とすることにより、ユーザーの身体状況を改善させた運動メニューの運動要素として選出された運動候補を選ばれやすくすることにより、より効果的な運動メニューの決定が可能となる。
【0085】
評価項目決定部33は、複数の評価対象動作の間に設定される優先順位に基づき、改善対象の評価項目を決定する。
【0086】
このような構成とすることにより、優先順位の高い評価対象動作に関連付けられた評価項目を改善対象とすることにより、より効果的な運動メニューの提供が可能となる。
【0087】
評価項目決定部33は、複数の評価項目の間に設定される優先順位に基づき、改善対象の評価項目を決定する。
【0088】
このような構成とすることにより、優先順位の高い評価項目を改善対象とすることにより、より効果的な運動メニューの提供が可能となる。
【0089】
決定システム1は、運動候補の追加および削除が可能な運動候補更新部35をさらに備えてもよい。
【0090】
このような構成とすることにより、効果の低い運動メニューを構成した運動候補を削除したり、新しい運動候補を追加したりすることにより、ユーザーへ提供する運動メニューの質を向上することが可能となる。
【0091】
運動メニュー提供部32は、あるユーザーの動作データに基づき変更部が変更した重み付け係数に基づいて、他のユーザーに運動メニューを提供する。
【0092】
このような構成とすることにより、運動メニューの効果をユーザー間で共有することとなり、より効果的な運動メニューの提供が可能となる。
【0093】
運動メニュー提供部32は、所定の条件を満たすユーザーの動作データに基づき変更部が変更した重み付け係数に基づいて、他のユーザーに運動メニューを提供する。
【0094】
このような構成とすることにより、年齢や体型などの所定の条件を満たすユーザーの運動メニューの提供結果を用いることになり、より効果的に運動メニューを提供することが可能となる。
【0095】
本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 :決定システム
10 :携帯端末
12 :筐体
12A :正面
12B :側面
14 :タッチパネルディスプレイ
16 :マイクロフォン
18 :スピーカ
20 :カメラ
22 :操作ボタン
24 :制御部
26 :記憶部
28 :通信部
30 :システムバス
31 :データ取得部
32 :運動メニュー提供部
33 :評価項目決定部
34 :係数変更部
35 :運動候補更新部
40 :サーバ
41 :制御部
42 :記憶部
44 :通信部
45 :操作入力部
46 :モニタ
47 :システムバス
T1 :評価項目設定テーブル
T2 :重み付け係数設定テーブル
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