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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】降車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20241002BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B60J5/00 K
G08B21/00 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021107253
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005388
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀之
(72)【発明者】
【氏名】泉川 巌
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-82407(JP,A)
【文献】特開2018-160135(JP,A)
【文献】特開2020-37813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
E05F 15/40
15/73
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動力によって開閉可能に構成された自動ドアを有する車両からの乗員の降車を支援する降車支援装置であって、
複数の異なる態様にて警報を発出することができるように構成された警報発出部と、
前記警報発出部による警報の発出を制御する警報発出制御部と、を備え、
前記警報発出制御部は、
車両の周辺に乗員の降車の妨げになる物体が存在することを示す物体条件の成立を判定し、
前記自動ドアの開閉状態及び開閉動作に基づいて、前記車両内の乗員が降車する意図を有することを示す降車条件の成立を判定し、
前記物体条件が成立し前記降車条件が成立していない場合に前記警報発出部が一次警報を発出するように前記警報発出部を制御し、
前記物体条件が成立し前記降車条件が成立している場合に前記警報発出部が前記一次警報とは異なる態様の二次警報を発出するように前記警報発出部を制御する、
降車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出制御部は、前記自動ドアの開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドアが閉動作中ではない場合に、前記降車条件が成立すると判定する、降車支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出制御部は、前記自動ドアの開閉状態が閉状態である場合、及び、前記自動ドアの開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドアが閉動作中である場合に、前記降車条件が成立しないと判定する、降車支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の降車支援装置であって、
前記二次警報は、前記一次警報よりも、前記車両の乗員に対する注意喚起の高い警報である、降車支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の降車支援装置であって、
前記車両は、乗員の手動操作によって開閉する手動ドアを有し、
前記警報発出制御部は、
前記手動ドアの開閉状態が開状態であるか閉状態であるかを判定し、
前記手動ドアの開閉状態が開状態であると判定した場合、前記自動ドアの開閉状態及び開閉動作にかかわらず、前記降車条件が成立すると判定する、降車支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出制御部は、
前記自動ドアの開閉状態が閉状態であり且つ前記手動ドアの開閉状態が閉状態である場合、及び、前記自動ドアの開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドアが閉動作中でありさらに前記手動ドアの開閉状態が閉状態である場合、前記降車条件が成立しないと判定する、降車支援装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出制御部は、前記車両の後方から前記車両に接近している物体が、前記車両に対して設定された所定の判定基準位置に所定の時間以内に到達すると判断した場合、前記物体条件が成立していると判定する、降車支援装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出部は、点灯及び点滅可能な発光装置を含み、
前記一次警報が前記発光装置の点灯を含み、
前記二次警報が前記発光装置の点滅を含む、降車支援装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の降車支援装置であって、
前記警報発出部は、音声アナウンスを発話可能な発話装置を含み、
前記二次警報が前記発話装置による音声アナウンスの発話を含む、降車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータの駆動力によって開閉する自動ドアを有する車両に搭載される降車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗員が降車しようとすることを検出する第一のセンサと、衝突のリスクなどといった交通の状態を検出する第二のセンサと、第二のセンサにより検出された交通の状態に応じてアラーム信号を発出する警告手段とを有する車両の降車支援装置が開示されている。特許文献1に記載の降車支援装置によれば、他の車両などに接触する可能性がある状況で乗員が降車しようとする際にアラーム信号を発出することにより、乗員に対して注意を喚起できる。このように、乗員が車両から降りる際に他の車両などが接近している場合、乗員に注意喚起するために警告を発出する降車支援装置が知られている。
【0003】
ところで、アクチュエータの駆動力によって開閉するドア(以下、「自動ドア」と記すことがある)を有する車両が知られている。乗員は自動ドアの開閉状態が開状態になってから降車するため、自動ドアの開動作中には乗員は降車する意図を有しているとみなせるが、自動ドアの閉動作中には乗員は降車する意図を有していないとみなせる。このため、乗員が自動ドアの閉動作中に警報が発出されると、乗員はこの警報を煩わしく感じることがある。よって、乗員が降車する意図を有するか否かに応じて警告を異ならせることが要請される。特許文献1には、交通の状態に応じて警告手段を変更する構成は開示されているが、乗員が降車する意図を有するか否かに応じて警告手段を異ならせる構成は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案公告第206049585号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員が降車する意図を有しているか否かを適切に判断するとともに、判断結果に応じて適切な警報を発出できる降車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
アクチュエータ(201,202)の駆動力によって開閉可能に構成された自動ドア(102,103)を有する車両(10)からの乗員の降車を支援する降車支援装置(20)であって、
複数の異なる態様にて警報を発出することができるように構成された警報発出部(216,217,214,215)と、
前記警報発出部(216,217,214,215)による警報の発出を制御する警報発出制御部(210)と、を備え、
前記警報発出制御部(210)は、
車両(10)の周辺に乗員の降車の妨げになる物体が存在することを示す物体条件の成立を判定し、
前記自動ドア(102,103)の開閉状態及び開閉動作に基づいて、前記車両(10)内の乗員が降車する意図を有することを示す降車条件の成立を判定し、
前記物体条件が成立し前記降車条件が成立していない場合に前記警報発出部(210)が一次警報を発出するように前記警報発出部(216,217,214,215)を制御し、
前記物体条件が成立し前記降車条件が成立している場合に前記警報発出部(216,217,214,215)が前記一次警報とは異なる態様の二次警報を発出するように前記警報発出部を制御する。
【0007】
本発明によれば、車両内の乗員が降車する意図の有無を自動ドアの開閉状態及び開閉動作に応じて適切に判断し、判断結果に応じて適切な警報を発出できる。
【0008】
前記警報発出制御部(210)は、前記自動ドア(102,103)の開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドア(102,103)が閉動作中ではない場合に、前記降車条件が成立すると判定する、
という構成であってもよい。
【0009】
前記警報発出制御部(210)は、前記自動ドア(102,103)の開閉状態が閉状態である場合、及び、前記自動ドア(102,103)の開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドア(102,103)が閉動作中である場合に、前記降車条件が成立しないと判定する、
という構成であってもよい。
【0010】
これらの構成によれば、車両内の乗員が降車する意図を有しているか否かに応じて、適切な警報を発出することができる。すなわち、自動ドアの開閉状態が開状態である場合に降車条件が成立すると判定する構成では、乗員が降車する意図を有しておらず自動ドアを閉動作させている間も降車条件が成立していると判定される。これに対して、上記構成によれば、自動ドアの閉動作中は降車条件が成立しないと判定することによって、乗員が降車する意図を有しているか否かを適切に判断できる。そして、物体条件が成立しているが降車条件が成立していない場合には一次警報が発出され、物体条件および降車条件が成立している場合には一次警報とは異なる二次警報が発出される。このため、乗員が降車する意図を有しているか否かの判断結果に応じて適切な警報を発出できる。
【0011】
前記二次警報は、前記一次警報よりも、前記車両の乗員に対する注意喚起の程度が高い警報である、
という構成であってもよい。
【0012】
降車条件が成立している場合には、降車条件が成立していない場合に比較して、乗員が降車する可能性が高い。したがって、二次警報による注意喚起の程度(すなわち警報のレベル)を一次警報の注意喚起の程度よりも高くすることによって、降車しようとする乗員に対して強い注意喚起を与えることができる。
【0013】
前記車両(10)は、乗員の手動操作によって開閉する手動ドア(104,105)を有し、
前記警報発出制御部(210)は、
前記手動ドア(104,105)の開閉状態が開状態であるか閉状態であるかを判定し、
前記手動ドア(104,105)の開閉状態が開状態であると判定した場合、前記自動ドア(102,103)の開閉状態及び開閉動作にかかわらず、前記降車条件が成立すると判定する、
という構成であってもよい。
【0014】
前記警報発出制御部(210)は、
前記自動ドア(102,103)の開閉状態が閉状態であり且つ前記手動ドア(104,105)の開閉状態が閉状態である場合、及び、前記自動ドア(102,103)の開閉状態が開状態であり且つ前記自動ドア(102,103)が閉動作中でありさらに前記手動ドア(104,105)の開閉状態が閉状態である場合、前記降車条件が成立しないと判定する、
という構成であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、手動ドアと自動ドアの両方を有している車両において、手動ドアと自動ドアの状態に応じて適切な警報を発出できる。すなわち、手動ドアが開状態でれば、当該手動ドアから乗員が降車する意図を有していると判定することで、当該手動ドアから降車する意図を有する乗員に対して注意を促すことができる。したがって、手動ドアと自動ドアの両方を有している車両について、乗員が降車する意図を有しているか否かを適切に判断できるとともに、判断結果に応じて適切な警報を発出できる。
【0016】
前記警報発出制御部(210)は、前記車両(10)の後方から前記車両(10)に接近している物体が、前記車両(10)に対して設定された所定の判定基準位置(S)に所定の時間以内に到達すると判断した場合、前記物体条件が成立していると判定する、
という構成であってもよい。
【0017】
このような構成によれば、車両の後方から接近する物体を「車両の周辺に存在し乗員の降車の妨げになる物体」であると判定できる。このため、降車する意図を有する乗員に対して、後方から接近する物体(例えば、後方から接近する車両)に対する注意を促すことができる。
【0018】
前記警報発出部(216,217,214,215)は、点灯及び点滅可能な発光装置(214,215)を含み、
前記一次警報が前記発光装置(214,215)の点灯を含み、
前記二次警報が前記発光装置(214,215)の点滅を含む、
という構成であってもよい。
【0019】
本発明において「点灯」とは、発光している状態を維持する動作をいうものとし、「点滅」とは発光と消灯を繰り返す動作をいうものとする。このような構成であれば、二次警報の乗員に対する注意喚起の程度を一次警報に比較して高くできる。したがって、乗員が降車する意図を有しているか否かの判断結果に応じて適切な警報を発出できる。
【0020】
前記警報発出部(216,217,214,215)は、音声アナウンスを発話可能な発話装置(217)を含み、
前記二次警報が前記発話装置(217)による音声アナウンスの発話を含む、
という構成であってもよい。
【0021】
このような構成であれば、二次警報の乗員に対する注意喚起の程度を一次警報に比較して高くできる。
【0022】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称および/または符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称および/または符号によって規定される実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、車両を示す模式図である。
図2図2は、降車支援装置を示す図である。
図3図3は、降車支援ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(車両および降車支援装置の構成)
図1は車両10を示す模式図である。図1においては、車両10の前側を矢印Frで示し、車両10の後側を矢印Rrで示し、車両10の右側を矢印Rで示し、車両10の左側を矢印Lで示す。車両10は、乗員の乗降用のドアとして、車体101の右側(右側面)に設けられている右スライドドア102および右ヒンジドア104と、車体101の左側(左側面)に設けられている左スライドドア103および左ヒンジドア105とを有している。なお、ヒンジドアは「スイングドア」と称されることもある。右スライドドア102および左スライドドア103は、それぞれ車体101に対してスライド式に移動することにより開閉するように構成されている。右ヒンジドア104および左ヒンジドア105は、それぞれ車体101に対して図略のヒンジを中心に回転することにより開閉するように構成されている。これらのドアのうち、右スライドドア102と左スライドドア103は後述するアクチュエータ(右スライドドアアクチュエータ201および左スライドドアアクチュエータ202)の駆動力により開閉する自動ドアであり、右ヒンジドア104と左ヒンジドア105は乗員等の手動操作(人力)により開閉する手動ドアである。
【0025】
降車支援装置20は車両10に搭載される。図2に示すように、降車支援装置20は、右スライドドアアクチュエータ201(以下、「右SDA201」と記す)と、左スライドドアアクチュエータ202(以下、「左SDA202」と記す)と、右スライドドア動作センサ203(以下、「右SD動作センサ203」と記す)と、左スライドドア動作センサ204(以下、「左SD動作センサ204」と記す)と、右スライドドア開閉センサ205(以下、「右SD開閉センサ205」と記す)と、左スライドドア開閉センサ206(以下、「左SD開閉センサ206」と記す)と、右ヒンジドア開閉センサ207(以下、「右HD開閉センサ207」と記す)と、左ヒンジドア開閉センサ208(以下、「左HD開閉センサ208」と記す)とを有している。さらに降車支援装置20は、ドア制御ECU209と、右BSM・ECU210と、左BSM・ECU211と、右後側方レーダー212と、左後側方レーダー213と、右BSMインジケータ214と、左BSMインジケータ215と、メータ装置216と、マルチメディア装置217と、を有している。なお、以下の説明では、右SD開閉センサ205と、左SD開閉センサ206と、右HD開閉センサ207と、左HD開閉センサ208とを、「開閉センサ」と総称することがある。
【0026】
ドア制御ECU209と、右BSM・ECU210と、左BSM・ECU211とは、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置である。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を読み出し、RAMに展開して実行することにより各種機能を実現するように構成されている。そして、ドア制御ECU209、右BSM・ECU210、メータ装置216、およびマルチメディア装置217は、CANを介して信号を送受信可能に接続されている。なお、BSMは、“Blind Spot Monitor”の略であり、ECUは“Electronic Control Unit”の略であり、CANは“Controller Area Network”の略である。
【0027】
右SDA201は、本発明のアクチュエータの例であり、駆動力源が出力する駆動力によって右スライドドア102を自動的に(乗員等の手動操作によらずに)開閉するように構成されている。左SDA202は、本発明のアクチュエータの例であり、駆動力源が出力する駆動力によって左スライドドア103を自動的に開閉するように構成されている。なお、右SDA201および左SDA202の構成は特に限定されるものではなく、公知の各種の構成が適用できる。右SD動作センサ203は、右SDA201の動作状態(具体的には、右SDA201が右スライドドア102を閉動作中であるか、開動作中であるか、停止中であるか)を検出可能に構成されている。左SD動作センサ204は、左SDA202の動作状態(具体的には、左SDA201が左スライドドア103を閉動作中であるか、開動作中であるか、停止中であるか)を検出可能に構成されている。右SD動作センサ203および左SD動作センサ204は、それぞれドア制御ECU209に接続されている。そして、ドア制御ECU209は、右SD動作センサ203による右SDA201の動作状態の検出結果、および左SD動作センサ204による左SDA202の動作状態の検出結果を取得する。なお、右SD動作センサ203及び左SD動作センサ204は、例えば右SDA201及び左SDA202の駆動力源がモータである場合、モータの回転動作および回転方向を検知することにより、右SDA201及び左SDA202の動作状態を検出することができる。
【0028】
右SD開閉センサ205は、右スライドドア102の開閉状態(閉状態であるか開状態であるか)を検出可能に構成されている。左SD開閉センサ206は、左スライドドア103の開閉状態を検出可能に構成されている。右HD開閉センサ207は、右ヒンジドア104の開閉状態を検出可能に構成されている。左HD開閉センサ208は、左ヒンジドア105の開閉状態を検出可能に構成されている。なお、本実施形態において、各ドアの開状態は、各ドア102,103,104,105に設けられている図略のドアロック装置のラッチ機構がアンラッチ状態(すなわち、各ドア102,103,104,105の車体に対する移動が許容される状態)であることを言う。閉状態は、各ドア102,103,104,105に設けられているドアロック装置のラッチ機構がラッチ状態(各ドア102,103,104,105が車体101に設けられている開口を塞いでおり、かつ、車体に対して移動できない状態)であることを言う。そして、各開閉センサ205,206,207,208は、開閉状態の検出対象であるドア102,103,104,105の開閉状態が開状態であることを検出している期間中、当該ドアの開閉状態が開状態にあることを示す開信号を発生し、開閉状態の検出対象であるドア102,103,104,105が閉状態であることを検出している期間中、当該ドア102,103,104,105が閉状態にあることを示す閉信号を発生する。各開閉センサ205,206,207,208は、ドア制御ECU209に接続されている。そして、ドア制御ECU209は、各開閉センサ205,206,207,208による各ドア102,103,104,105の開閉状態の検出結果を取得する。
【0029】
ドア制御ECU209は、乗員などによる所定の操作部材に対する操作に応じて、右SDA201よび左SDA202を駆動する。例えば、車両10には、所定の操作部材として、スライドドア102,103を開放および閉鎖するための図略のドア開閉スイッチが設けられている。そして、ドア制御ECU209は、ドア開閉スイッチへの右スライドドア102を開放するための操作を検出すると、右スライドドア102が開放するように右SDA202を駆動する。また、ドア制御ECU209は、ドア開閉スイッチへの右スライドドア102を閉鎖するための操作を検出すると、右スライドドア102が閉位置に移動するように右SDA202を駆動する。左スライドドア103についても同様である。このように、右スライドドア102および左スライドドア103は、それぞれ右SDA201の駆動力および左SDA202の駆動力によって開閉する。
【0030】
右BSM・ECU210および左BSM・ECU211は、降車支援を行う中枢となる制御装置であり、後述する降車支援制御を実行可能に構成されている。右BSM・ECU210と左BSM・ECU211とは、マスタースレーブ方式によりローカルバスによって互いに信号を送受信可能に接続されている。本実施形態では、右BSM・ECU210がマスターであり左BSM・ECU211がスレーブである。マスターである右BSM・ECU210はCANに接続されている。
【0031】
右BSM・ECU210は、ドア制御ECU209を介して各開閉センサ205,206,207,208による各ドア102,103,104,105の開閉状態の検出結果を取得できる。さらに、右BSM・ECU210は、ドア制御ECU209を介して各SD動作センサ203,204による各自動ドア(右スライドドア102および左スライドドア103)の動作状態の検出結果を取得できる。そして、右BSM・ECU210は、取得したこれらの検出結果に基づいて、各ドア102,103,104,105の開閉状態と、右スライドドア102および左スライドドア103の動作状態とを判定できる。
【0032】
右後側方レーダー212は車体101(例えば、リアバンパーの裏側に設けられた部材)の右後コーナー部に固定されており、車両10の右後側方の所定の領域(以下、「右検出エリアAR」と記す)に向かって電波を照射し、照射した電波の反射波を受信する。左後側方レーダー213は車体101の左後コーナー部に固定されており、車両10の左後側方の所定の領域(以下、「左検出エリアAL」と記す)に向かって電波を照射し、照射した電波の反射波を受信する。そして、右後側方レーダー212および左後側方レーダー213は、右検出エリアARと左検出エリアALのそれぞれに存在する物体の位置(右後側方レーダー212および左後側方レーダー213のそれぞれに対する相対距離および相対方向)、相対速度、物体のサイズ(幅)等を含む情報を検出及び取得する。以下、この情報を「物標情報」と記す。すなわち、右後側方レーダー212は右検出エリアARに存在する物体についての物標情報を取得でき、左後側方レーダー213は左検出エリアALに存在する物体についての物標情報を取得できる。なお、物標情報は、右後側方レーダー212および左後側方レーダー213のそれぞれに対する物標の相対位置、相対速度および物体のサイズ等を直接的に表す情報であってもよいし、演算によってそれらが算出できる情報であってもよい。
【0033】
右後側方レーダー212は右BSM・ECU210に接続されており、取得した右検出エリアARに存在する物体についての物標情報を右BSM・ECU210に送信する。左後側方レーダー213は左BSM・ECU211に接続されており、取得した左検出エリアALに存在する物体についての物標情報を左BSM・ECU211に送信する。そして、右BSM・ECU210は、右後側方レーダー212により取得されたた右検出エリアARに存在する物体についての物標情報を取得するとともに、左後側方レーダー213により取得されたた左検出エリアALに存在する物体についての物標情報を左BSM・ECU211を介して取得する。
【0034】
なお、右検出エリアARおよび左検出エリアALの具体的な範囲は特に限定されるものではない。右検出エリアARには、車両10の右後方から車両10に接近する物体(特に、車両10の右側に接近する物体)を検出できる領域が含まれれば良く、左検出エリアALには、車両10の左後方から車両10に接近する物体(特に、車両10の左側に接近する物体)を検出できる領域が含まれれば良い。また、右検出エリアARには、右サイドミラーでは映らない(換言すると、運転席に着座する運転者から見えない)領域である右側死角領域が含まれる。同様に、左検出エリアALには、左サイドミラーでは映らない領域である左側死角領域が含まれる。
【0035】
右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215は、本発明の発光装置の例であり、それぞれ発光可能な光源(例えばLEDなど)を有している。そして、右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215は、光源を発光させることによって警報を発出できる(すなわち、車両10の乗員に対して注意喚起を行うことができる)。右BSMインジケータ214は右サイドミラーに組み込まれており、左BSMインジケータ215は左サイドミラーに組み込まれている。ただし、右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215は、必ずしもサイドミラーに設けられている必要はなく、例えば、Aピラーの車室内側に設けられてもよい。右BSMインジケータ214は、右BSM・ECU210に接続されている。右BSM・ECU210は、右BSMインジケータ214に点灯指令および点滅指令を送信することにより、右BSMインジケータ214を点灯および点滅させることができる。左BSMインジケータ215は、左BSM・ECU211に接続されている。左BSM・ECU211は、左BSMインジケータ215に点灯指令および点滅指令を送信することにより、左BSMインジケータ215を点灯および点滅させることができる。また、右BSM・ECU210は、左BSM・ECU211に点灯指令および点滅指令を送信することにより、左BSMインジケータ215を点灯および点滅させることができる。
【0036】
メータ装置216は、車両10の車室内(例えばインストルメントパネル内)の運転席前方に設置されており、種々の計器類(例えば速度計)を含む。このメータ装置216は、車両10内の乗員に対して音、光、および画像の少なくとも一つを用いた警報を発出できるように構成されている。具体的には、メータ装置216は、鳴動できるブザー218と、画像を表示できるMID219(マルチインフォメーションディスプレイ)と、発光可能な表示灯220とを有している。そして、右BSM・ECU210は、CANを介して、メータ装置216にブザー鳴動指令を送信することによりブザー218を鳴動させること、メータ装置216に画像表示指令を送信することによりMID219に所定の画像を表示させること、メータ装置216に点灯指令および点滅指令を送信することにより表示灯220を点灯および点滅させること、ができるように構成される。一方、左BSM・ECU211は、右BSM・ECU210にブザー鳴動指令を送信することにより右BSM・ECU210を介してメータ装置216のブザー218を鳴動させること、右BSM・ECU210に画像表示指令を送信することにより右BSM・ECU210を介してメータ装置216のMID219に所定の画像を表示させること、右BSM・ECU210に点灯指令および点滅指令を送信することにより右BSM・ECU210を介して表示灯220を点灯および点滅させること、ができるように構成される。なお、メータ装置216のブザー218とMID219と表示灯220の具体的な構成は限定されるものではなく、公知の各種の構成が適用できる。
【0037】
マルチメディア装置217は、車両10の車室内(例えばセンタークラスター内)に配設されている。このマルチメディア装置217は、車両10の乗員に対して音声および画像の少なくとも一方を用いた警報を発出することができるように構成されている。具体的には、マルチメディア装置217は、増幅器221(アンプ)およびスピーカ222を有しており、音声メッセージを発話可能に構成されている。さらに、マルチメディア装置217は、ディスプレイ223を有しており、種々の画像を表示できるように構成されている。このディスプレイ223は、ナビゲーション用のディスプレイとして利用することもできる。マルチメディア装置217は、本発明の発話装置の例である。右BSM・ECU210は、CANを介してマルチメディア装置217に発話指令を送信することによって、マルチメディア装置217に所定の音声メッセージを発話させることができるとともに、画像表示指令を送信することにより所定の画像を表示させることができる。左BSM・ECU211は、右BSM・ECU210に発話指令を送信することにより、右BSM・ECU210を介してマルチメディア装置217に所定の音声メッセージを発話させることができるとともに、右BSM・ECU210に画像表示指令を送信することにより、右BSM・ECU210を介してマルチメディア装置217に所定の画像を表示させることができる。
【0038】
このように、降車支援装置20は、互いに異なる態様にて警報を発出可能な複数の装置(警報発出部)を有している。
【0039】
(降車支援制御)
次に、降車支援装置20が実行する降車支援制御について説明する。降車支援装置20は、「車両10の周辺に車両10内の乗員の降車の妨げになる物体(以下、「要注意物体」と記す)が存在する」とみなせる所定の条件が成立しているか否かを、車両10(車体101)の右側と左側のそれぞれについて、所定の周期で繰り返し判定する。以下、この条件を「物体条件」と記す。なお、この物体条件は、「車両10内の乗員に対して車両10の周辺に存在する物体への注意を喚起すべき条件」ということもできる。降車支援装置20は、物体条件が成立していると判定している場合、「各ドア102,103,104,105から車両10内の乗員が降車する意思を有している」とみなせる所定の条件が成立しているか否かを、各ドア102,103,104,105について、所定の周期で繰り返し判定する。以下、この条件を「降車条件」と記す。
【0040】
そして、降車支援装置20は、車両10の右側と左側の少なくとも一方側について物体条件が成立していると判定しているが、物体条件が成立している側に設けられている全てのドア102,103,104,105について降車条件が成立していないと判定している間、一次警報を発出する。さらに、降車支援装置20は、車両10の右側と左側の少なくとも一方側について物体条件が成立していると判定しており、かつ、物体条件が成立している側に設けられている1つ以上のドア102,103,104,105について降車条件が成立していると判定している間、一次警報とは異なる二次警報を発出する。一方、降車支援装置20は、車両10の右側と左側の両側について物体条件が成立していないと判定されている間には、各ドア102,103,104,105について降車条件が成立しているか否かを判定せず、かつ、一次警報と二次警報のいずれも発出しない。換言すると、降車支援装置20は、車両10の右側と左側の両側について物体条件が成立していないと判定されている間には、いずれかのドア102,103,104,105について降車条件が成立していたとしても、一次警報と二次警報のいずれも発出しない。
【0041】
(物体条件)
ここで、物体条件およびその判定方法について説明する。右BSM・ECU210は、右後側方レーダー212により右検出エリアARに存在する物体が検出された場合、右後側方レーダー212から取得した物標情報(具体的には、車両10から物体までの距離、および物体の速度など)に基づいて、当該物体が車両10に対してあらかじめ設定されている判定基準位置Sに到達するまでの時間を算出する。本実施形態では、判定基準位置Sは、図1に示すように、車両10の後端部を通過し車幅方向(左右方向)に平行な線Sのうち車両10の車幅方向端部から所定の距離(例えば3m)以内の線Sを判定基準位置Sとして用いる。ただし、判定基準位置Sは、車両10の後端部の中心から所定の距離の位置であってもよい。そして、右BSM・ECU210は、検出された物体の少なくとも一部(例えば前端部)が判定基準位置Sに達するまでの時間を、「物体が判定基準位置Sに到達するまでの時間」として算出する。同様に、左BSM・ECU211は、左後側方レーダー213により左検出エリアALに存在する物体が検出された場合、左後側方レーダー213から取得した物標情報に基づいて、当該物体が車両10に対してあらかじめ設定されている判定基準位置Sに到達するまでの時間を算出する。そして、左BSM・ECU211は、検出された物体の少なくとも一部(例えば前端部)が判定基準位置Sに達するまでの時間を、「物体が判定基準位置Sに到達するまでの時間」として算出し、算出結果を右BSM・ECU210に送信する。
【0042】
右BSM・ECU210は、右後側方レーダー212により検出された物体が判定基準位置Sに到達するまでの時間が閾値以下であるか否かを判定する。右BSM・ECU210は、この時間が所定の閾値以下である場合、車両10の右側に要注意物体が存在すると判定する。すなわち、右BSM・ECU210は、車両10の右側について物体条件が成立していると判定する。同様に、右BSM・ECU210は、左BSM・ECU211により算出された「物体が判定基準位置Sに到達するまでの時間」(すなわち、左後側方レーダー213により検出された物体が判定基準位置Sに到達するまでの時間)が閾値以下であるか否かを判定する。右BSM・ECU210は、この時間が所定の閾値以下である場合、車両10の左側について物体条件が成立していると判定する。右BSM・ECU210は、このような物体条件が成立しているか否かの判定(要注意物体が存在するか否かの判定)を、車両10の右側と左側のそれぞれについて、所定の周期で繰り返し実行する。
【0043】
(降車条件)
次に、降車条件およびその判定方法について説明する。右BSM・ECU210は、各開閉センサ205,206,207,208による各ドア102,103,104,105の開閉状態が開状態であるか閉状態であるかの検出結果と、各SD動作センサ203,204による各SDA201,202の動作状態の検出結果とを、ドア制御ECU209から取得する。そして、右BSM・ECU210は、これらの検出結果に基づいて、各ドア102,103,104,105の開閉状態が閉状態であるか開状態であるかを判定する。さらに、右BSM・ECU210は、各スライドドア102,103が閉動作中であるか否かを判定する。なお、本実施形態において、「スライドドア102,103が閉動作中である」とは、「スライドドア102,103の開閉状態が開状態であり、かつ、開閉状態が開状態であるスライドドア102,103が右SDA201または左SDA202の駆動力によって閉位置に向かって移動中である」ことを意味する。ただし、「スライドドア102,103が閉動作中である」には、乗員等の手動操作によって閉位置に向かって移動中であることが含まれてもよい。また、本実施形態では、右BSM・ECU210は、各SD動作センサ203,204による各SDA201,202の動作状態の検出結果を取得し、各SDA201,202が各スライドドア102,103を閉位置に向けて移動させている動作を実行中である場合、「各スライドドア102,103が閉動作中」であると判定する。
【0044】
そして、右BSM・ECU210は、車両10の右側のドア(右スライドドア102および右ヒンジドア104)が、以下の状態(a)と状態(b)の何れかの状態にある場合、車両10の右側のドアについて降車条件が成立していると判定する。同様に、右BSM・ECU210は、車両10の左側のドア(左スライドドア103および左ヒンジドア105)が、以下の状態(a)と状態(b)の何れかの状態にある場合、車両10の左側のドアについて降車条件が成立していると判定する。
状態(a)開閉状態が開状態であるドアが存在すると判定され、かつ、開閉状態が開状態であるドアに手動ドア(ヒンジドア)が含まれると判定された状態
状態(b)開閉状態が開状態であるドアが自動ドア(スライドドア)のみであると判定され、かつ、当該自動ドアが閉動作中ではない(すなわち開動作中または動作停止中)と判定された状態
【0045】
一方、車両10の右側のドアと左側のドアのそれぞれが、上記状態(a)と状態(b)のいずれの状態にない場合、右BSM・ECU210は、車両10の右側のドアと左側のドアのそれぞれについて降車条件が成立していないと判定する。具体的には、右BSM・ECU210は、車両10の右側のドアが、以下の状態(c)と状態(d)の何れかの状態にある場合、車両10の右側のドアについて降車条件が成立していないと判定する。同様に、右BSM・ECU210は、車両10の左側のドアが、以下の状態(c)と状態(d)の何れかの状態にある場合、車両10の左側のドアについて降車条件が成立していないと判定する。
状態(c)開閉状態が開状態であるドアが存在しないと判定された状態
状態(d)開閉状態が開状態であるドアが自動ドア(スライドドア)のみであると判定され、かつ、当該自動ドアが閉動作中であると判定された状態
【0046】
(一次警報と二次警報)
物体条件が成立していると判定されているが、降車条件は成立していないと判定されている場合、降車支援装置20は一次警報を発出する。一次警報は、乗員に対して車両10の後方から車両10に接近している物体(要注意物体)が存在することを知らせる(注意喚起する)ための警報である。一方、物体条件が成立していると判定されているときに、降車条件が成立していると判定されている場合、降車支援装置20は一次警報とは異なる二次警報を発出する。二次警報は、あるドアから降車しようとする乗員に対して、車両10の当該ドアが設けられている側に接近している物体(要注意物体)が存在することを知らせる警報である。なお、一次警報および二次警報の具体例については後述する。
【0047】
なお、一次警報を発出している間に降車条件が成立していると判定された場合、降車支援装置20は一次警報の発出を終了して二次警報の発出を開始する。すなわち、一次警報から二次警報に切り替える。反対に、降車支援装置20は、二次警報を発出している間に、物体条件が成立している状態のままで降車条件が成立していないと判定した場合、二次警報の発出を終了して一次警報の発出を開始する。すなわち、降車支援装置20は、二次警報から一次警報に切り替える。
【0048】
また、降車支援装置20は、一次警報または二次警報を発出している間に、物体条件が成立していないと判定した場合、一次警報または二次警報を停止する。このような場合としては、例えば、車両10の後方から接近してきた他の車両が車両10の側方を通過して車両10よりも前方に移動した場合が挙げられる。
【0049】
(一次警報)
ここで一次警報の例について説明する。一次警報として、
・右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点灯
・メータ装置216の表示灯220の点灯
・メータ装置216のMID220による所定の注意喚起画像の表示
・マルチメディア装置217のディスプレイ223による所定の注意喚起画像表示
の1つまたは複数が適用される。なお、本発明の実施形態において「点灯」とは、発光している状態を維持する動作というものとし、「点滅」とは発光と消灯を繰り返す動作をいうものとする。
【0050】
右BSM・ECU210は、本発明の警報発出制御部の例である。右BSM・ECU210は、一次警報の発出に用いられる装置(または当該装置を制御する他の装置)に対して一次警報発出指令を送信することにより、当該装置に一次警報を発出させることができる。すなわち、右BSM・ECU210は、一次警報の発出に用いられる装置(または当該装置を制御する他の装置)を制御することにより、当該装置に一次警報を発出させることができる。そして、右BSM・ECU210が一次警報発出指令を送信している間、一次警報の発出が継続される。具体的には、一次警報が「右BSMインジケータ214の点灯」である場合、右BSM・ECU210は、右BSMインジケータ214に対して、一次警報発出指令として点灯指令を送信することにより、右BSMインジケータ214を点灯させる。また、一次警報が「左BSMインジケータ215の点灯」である場合、右BSM・ECU210は、左BSM・ECU211に対して、一次警報発出指令として点灯指令を送信する。この場合、左BSM・ECU211は、右BSM・ECU210から一次警報発出指令を受信すると、左BSMインジケータ215に点灯指令を送信して左BSMインジケータ215を点灯させる。
【0051】
一次警報が「メータ装置216の表示灯220の点灯」である場合、右BSM・ECU210は、メータ装置216に対して、一次警報発出指令として点灯指令を送信することにより、メータ装置216の表示灯220を点灯させる。一次警報が「メータ装置216のMID220による所定の注意喚起画像の表示」である場合、右BSM・ECU210は、メータ装置216に対して、一次警報発出指令として画像表示指令を送信することによりMID219に所定の注意喚起画像を表示させる。一次警報が「マルチメディア装置217のディスプレイ223による所定の注意喚起画像表示」である場合、右BSM・ECU210は、マルチメディア装置217に対して、一次警報発出指令として画像表示指令を送信することにより、マルチメディア装置217のディスプレイ223に所定の注意喚起画像を表示させる。
【0052】
(二次警報)
次に二次警報の例について説明する。二次警報は、一次警報と異なる内容の警報である。さらに、二次警報は一次警報に比較して、乗員に対する注意喚起の程度が高い警報である。二次警報として、
・右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点滅
・メータ装置216の表示灯220の点滅
・メータ装置216のMID220による所定の注意喚起画像の表示
・メータ装置216のブザー218の鳴動(例えば、ビープ音の発出)
・マルチメディア装置217のディスプレイ223による所定の注意喚起画像の表示
・マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話(例えば、「後方から車両が接近しています。ご注意ください」などの音声の発出)
の1つまたは複数が適用される。
【0053】
そして、右BSM・ECU210は、二次警報の発出に用いられる装置(または当該装置に接続されている装置)に対して二次警報発出指令を送信することにより、当該装置に二次警報を発出させることができる。すなわち、右BSM・ECU210は、二次警報の発出に用いられる装置(または当該装置に接続されている装置)を制御することにより、当該装置に二次警報を発出させることができる。そして、右BSM・ECU210が二次警報発出指令を送信している間、二次警報の発出が継続される。具体的には、二次警報が「右BSMインジケータ214の点滅」である場合、右BSM・ECU210は、右BSMインジケータ214に対して、二次警報発出指令として点滅指令を送信することにより、右BSMインジケータ214を点滅させる。また、二次警報が「左BSMインジケータ215の点滅」である場合、右BSM・ECU210は、左BSM・ECU211に対して、二次警報発出指令として点滅指令を送信する。この場合、左BSM・ECU211は、右BSM・ECU210から二次警報発出指令を受信すると、左BSMインジケータ215に点滅指令を送信することによって左BSMインジケータ215を点滅させる。
【0054】
二次警報が「メータ装置216の表示灯220の点滅」である場合、右BSM・ECU210は、メータ装置216に対して、二次警報発出指令として点滅指令を送信することにより、メータ装置216の表示灯220を点滅させる。二次警報が「メータ装置216のMID220による所定の注意喚起画像の表示」である場合、右BSM・ECU210は、メータ装置216に対して、二次警報発出指令として画像表示指令を送信することにより、MID219に所定の注意喚起画像を表示させる。二次警報が「メータ装置216のブザー218の鳴動」である場合、右BSM・ECU210は、メータ装置216に対して、二次警報発出指令としてブザー鳴動指令を送信することにより、ブザー218を鳴動させる。
【0055】
二次警報が「マルチメディア装置217のディスプレイ223による所定の注意喚起画像表示」である場合、右BSM・ECU210は、マルチメディア装置217に対して、二次警報発出指令として画像表示指令を送信することにより、ルチメディア装置217のディスプレイ223に所定の注意喚起画像を表示させる。二次警報が「マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話」である場合、右BSM・ECU210は、マルチメディア装置217に対して二次警報発出指令として発話指令を送信することにより、スピーカ222に所定の音声アナウンスを発話させる。
【0056】
なお、一次警報と二次警報の具体的な組み合わせは特に限定されない。好ましくは、二次警報が一次警報よりも乗員に対する注意喚起の程度が高くなるような、一次警報と二次警報との組み合わせが良い。このような一次警報と二次警報との組み合わせとして、例えば、一次警報が、聴覚により認識可能な警報を含まず視覚により認識可能な警報であり、二次警報が、聴覚により認識可能な警報を含む警報、という組み合わせが適用できる。より具体的には、一次警報が「右BSMインジケータ214および/または左BSMインジケータ215のそれぞれの点灯」であり、二次警報が「右BSMインジケータ214および/または左BSMインジケータ215のそれぞれの点滅」と「ブザー218の鳴動、MID220による所定の注意喚起画像の表示、マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話」の何れかとの組み合わせである、という組み合わせが適用できる。これは、車両10がマルチメディア装置217を備えない場合、またはマルチメディア装置217に電力が供給されておらず動作できない場合にも、二次警報の乗員に対する注意喚起の程度を一次警報よりも高くできるようにするためである。
【0057】
また、一次警報が「右BSMインジケータ214および/または左BSMインジケータ215のそれぞれの点灯」であり、二次警報が「右BSMインジケータ214および/または左BSMインジケータ215のそれぞれの点滅」である、という組み合わせを適用することもできる。これによれば、二次警報にて各インジケータを点滅させることにより、各インジケータを点灯させる一次警報よりも、注意喚起の程度を高めることができる。
【0058】
なお、一次警報および二次警報が「メータ装置216のMID220による所定の注意喚起画像の表示」および「マルチメディア装置217のディスプレイ223による所定の注意喚起画像の表示」である場合、二次警報として表示される注意喚起画像は、一次警報として表示される注意喚起画像とは異なる画像であり、かつ、一次警報として表示される注意喚起画像よりも乗員に対する注意喚起の程度が高い画像が適用される。例えば、一次警報として表示される注意喚起画像が静止画であり、二次警報として表示される注意喚起画像が動画である、という組み合わせが適用される。
【0059】
また、二次警報として、乗員が触覚より認識可能な警報が適用されてもよい。例えば、車両の各座席に振動装置が設けられており、二次警報としてこの振動装置を動作させるという構成であってもよい。また、各ドアのインサイドドアハンドルに振動装置が設けられており、二次警報としてこの振動装置を動作させるという構成であってもよい。これによれば、例えば一次警報の発出中にドアを開けた場合に、一次警報が二次警報に切り替わって振動装置が動作して降車しようとする乗員に振動が伝達される。これにより降車しようとしている乗員により強い注意喚起を与えることができる。
【0060】
このような構成によれば、乗員が降車する意図を有しているか否かを適切に判断できる。そして、乗員の降車意図の有無、および、自動ドアである右スライドドア102および左ドア103の開閉状態に応じて、適切な警報を発出できる。すなわち、仮に自動ドアが開状態である場合に降車条件が成立すると判定する構成では、乗員が降車する意図を有していないために自動ドアを閉動作させている間も降車条件が成立していると判定される。本実施形態によれば、自動ドアの閉動作中は降車条件が成立しないと判定することによって、乗員が自動ドアから降車する意図を有しているか否かを適切に判断できる。
【0061】
そして、本実施形態に係る降車支援装置20は、物体条件が成立しているが降車条件が成立していない場合には一次警報を発出し、物体条件および降車条件が成立している場合に二次警報を発出する。一次警報と二次警報とは互いに異なるから、物体条件が成立しているが降車条件が成立していない場合と、物体条件が成立しているとともに降車条件が成立している場合とで、降車支援装置20が発出する警報が異なる。すなわち、乗員が降車する意図を有しているとみなせる場合と乗員が降車する意図を有さないとみなせる場合とで警報を異ならせることができるから、乗員の降車する意図の有無に応じて適切な警報を発出できる。
【0062】
さらに、二次警報は一次警報に比較して乗員に対する注意喚起の程度が高いから、乗員が降車する意図を有する場合には降車する意図を有さない場合に比較して、乗員に対する注意喚起の程度が高い警告を発出できる。したがって、乗員が降車する意図を有しているか否かの判断結果に応じてより適切な警報を発出できる。
【0063】
具体的には、右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215が点灯しているよりも点滅している方が、乗員に対する注意喚起の程度(警報のレベル)が高い。そして、一次警報に、「右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点灯」が含まれ、二次警報に「右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点滅」が含まれると、二次警報による警報のレベルを一次警報に比較して高くできる。また、マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスが発話されると、発話されない場合に比較して、乗員に対する警報のレベルが高い。そして、一次警報に、「マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話」が含まれず、二次警報に「マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話」が含まれると、二次警報による警報のレベルを一次警報に比較して高くできる。
【0064】
さらに、乗員が降車する意図がないにもかかわらず二次警報が発出されること(または継続されること)が防止される。すなわち、各スライドドア102,103の閉動作中は、乗員は当該スライドドア102,103から降車する意図がないとみなせる。一方で、各スライドドア102,103の閉動作中は当該スライドドア102,103の開閉状態が開状態であるため、単に「各スライドドア102,103の開閉状態が開状態である場合に二次警報を発出する」という制御では、各スライドドア102,103の閉動作中に二次警報が発出される。そして、降車する意図がないにもかかわらず二次警報が発出されると、乗員は二次警報に違和感を持つおそれがある。本実施形態に係る降車支援装置20は、物体条件が成立しており、かつ、各スライドドア102,103の開閉状態が開状態である場合であっても、当該スライドドア102,103が閉動作中であれば二次警報ではなく一次警報を発出する制御を実行する。これにより、乗員が降車する意図を有していない場合に二次警報が発出されないようにできるから、乗員が二次警報に対して違和感を持たないようにできる。
【0065】
特に、二次警報が一次警報に比較して乗員に対する注意喚起の程度が高い構成では、自動ドアであるスライドドアの閉動作中に(すなわち、乗員が降車する意図を有していないとみなせる間に)二次警報が発出されると、乗員は二次警報に対して煩わしさを感じるおそれがある。本実施形態では、開閉状態が開状態であるドアが自動ドアのみであり、かつ当該自動ドアがアクチュエータの駆動力によって閉動作中である間は、二次警報が発出されない。このような構成によれば、乗員が二次警報に対して煩わしさを感じないようにできる。
【0066】
また、本実施形態によれば、手動ドアである右ヒンジドア104の開閉状態が開状態であれば、開閉状態が開状態である右ヒンジドア104から乗員が降車する意図を有していると判定される。すなわち、右ヒンジドア104の開閉状態が開状態であれば、右スライドドア102の開閉状態および開閉動作にかかわらず、右ヒンジドア104について降車条件が成立すると判断される。このため、右ヒンジドア104から降車する意図を有する乗員に対して注意を促すことができる。手動ドアである左ヒンジドア105についても同様である。したがって、このような構成によれば、手動ドアと自動ドアの両方を有する車両10において、乗員が降車する意図を有しているか否かを適切に判定できるとともに、手動ドアと自動ドアの両方の開閉状態に応じて適切な警報を発出することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、右ヒンジドア104および左ヒンジドア105が閉位置に向かって移動中であるか否かは判定されない。右ヒンジドア104および左ヒンジドア105は、自動ドアである右スライドドア102および左スライドドア103に比較して、短時間で閉位置に移動させることができる。このため、右ヒンジドア104および左ヒンジドア105が閉位置に移動している間に二次警報が発出されても、乗員は右ヒンジドア104および左ヒンジドア105を直ちに閉位置に移動させることにより二次警報の発出を停止させることができるから、二次警報に対する違和感や煩わしさが少ない。
【0068】
また、本実施形態によれば、車両10の後方から接近する物体を「車両の周辺に存在し乗員の降車の妨げになる物体」であると判定できる。このため、降車する意図を有する乗員に対して、後方から接近する物体(例えば、後方から接近する車両)に対する注意を促すことができる。
【0069】
なお、前記実施形態では、物体条件が成立しており、かつ降車条件が成立している場合に二次警報を発出する制御を示したが、このような構成に限定されない。例えば、物体条件が成立しており、かつ降車条件が成立しているある場合、一次警報に加えて二次警報を発出するという制御であってもよい。換言すると、二次警報が一次警報を包含していてもよい。
【0070】
(具体的動作)
次に、右BSM・ECU210の具体的な動作について説明する。図3は、右BSM・ECU210のCPUが実行する降車支援ルーチンを示すフローチャートである。右BSM・ECU210のCPUは、図3に示す降車支援ルーチンを所定の周期で繰り返し実行する。この降車支援ルーチンを実行するためのコンピュータプログラムは、あらかじめ右BSM・ECU210のROMに格納されている。そして、右BSM・ECU210のCPUは、このコンピュータプログラムをROMから読み出し、RAMに展開して実行する。これにより、降車支援制御が実現する。なお、以下の説明では、右BSM・ECU210のCPUを、単に「CPU」と略して記すことがある。また、以下の説明では、一次警報が「右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点灯」であり、二次警報が「右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215のそれぞれの点滅」および「マルチメディア装置217のスピーカ222による所定の音声アナウンスの発話」である例を示す。
【0071】
ステップS101において、CPUは、車両10の右側と左側のそれぞれについて、物体条件が成立しているか不成立であるかを判定する。CPUは、車両10の左右両側について物体条件が不成立であると判定した場合、ステップS102に進む。
【0072】
ステップS102に進んだタイミングにおいて一次警報と二次警報のいずれもが発出されていない場合、CPUは、一次警報と二次警報のいずれもが発出されていない状態を維持する。すなわち、CPUは、右BSMインジケータ214および左BSMインジケータ215に対し一次警報発出指令を送信せず、マルチメディア装置217に対して二次警報発出指令を送信しない。また、CPUは、ステップS102に進んだタイミングで右BSMインジケータ214と左BSMインジケータ215の一方または両方に対し一次警報発出指令を送信している場合、一次警報発出指令の送信を停止する。これにより、一次警報の発出が停止される。同様に、CPUは、ステップS102に進んだタイミングでマルチメディア装置217に対して二次警報発出指令を送信している場合、二次警報発出指令の送信を停止する。これにより、二次警報の発出が停止される。このように、物体条件が不成立である間は、一次警報と二次警報とはいずれも発出されない。
【0073】
CPUは、ステップS101において、車両10の右側と左側の少なくとも一方側について物体条件が成立していると判定した場合、ステップS103に進む。ステップS103において、CPUは、物体条件が成立していると判定した側と同じ側の手動ドア(ヒンジドア)の開閉状態が開状態であるか閉状態であるかを判定する。CPUは、物体条件が成立していると判定した側の手動ドアが閉状態であると判定した場合、ステップS104に進む。
【0074】
ステップS104において、CPUは、物体条件が成立していると判定した側と同じ側の自動ドア(スライドドア)の開閉状態が開状態であるか閉状態であるかを判定する。CPUは、物体条件が成立していると判定した側と同じ側の自動ドアが閉状態であると判定した場合、ステップS105に進む。
【0075】
ステップS105に進んだ場合とは、車両10の左右の少なくとも一方側について物体条件が成立していると判定されたが、物体条件が成立していると判定された側のドアが全て(手動ドアおよび自動ドアを含めて)閉状態であると判定された場合である。この場合、CPUは、物体条件が成立していると判定した側について降車条件が成立していないと判定する。そして、CPUは、ステップS105において、物体条件が成立していると判定した側について一次警報を発出するための処理を実行する。具体的には、車両10の右側において物体条件が成立していると判定された場合であれば、CPUは、右BSMインジケータ214に対して一次警報発出指令として点灯指令を送信する。一方、車両10の左側において物体条件が成立していると判定した場合であれば、CPUは、左BSM・ECU211に対して一次警報発出指令として点灯指令を送信する。そして、この降車支援ルーチンをいったん終了する。
【0076】
CPUは、ステップS103において物体条件が成立していると判定した側の手動ドアの開閉状態が開状態であると判定した場合、ステップS106に進む。ステップS106において、CPUは、二次警報を発出する処理を実行する。具体的には、車両10の右側において物体条件が成立していると判定し、右ヒンジドア104(手動ドア)の開閉状態が開状態であると判定された場合、CPUは、右BSMインジケータ214に対して二次警報発出指令として点滅指令を送信するとともに、マルチメディア装置217に対して二次警報発出指令として発話指令を送信する。なお、CPUは、ステップS106に進んだタイミングで右BSMインジケータ214に対して一次警報発出指令として点灯指令を送信している場合、一次警報発出指令の送信を停止するとともに、二次警報発出指令の送信を開始する。また、CPUは、ステップS106に進んだタイミングで右BSMインジケータ214およびマルチメディア装置217に対して二次警報発出指令を送信している場合、二次警報発出指令の送信を継続する。そして、この降車支援ルーチンをいったん終了する。
【0077】
CPUは、ステップS104において、物体条件が成立していると判定した側と同じ側の自動ドアの開閉状態が開状態であると判定した場合、ステップS107に進む。ステップS107において、CPUは、当該自動ドアが閉動作中であるか否かを判定する。そして、CPUは、自動ドアが閉動作中であると判定した場合、降車条件が成立していないと判定する。この場合、CPUは、ステップS105に進み、一次警報を発出する処理を実行し、その後、この降車支援ルーチンをいったん終了する。一方、CPUは、ステップS107において、自動ドアが閉動作中ではないと判定した場合、降車条件が成立したと判定する。この場合、CPUは、ステップS106に進み、二次警報を発出する処理を実行し、その後、この降車支援ルーチンをいったん終了する。
【0078】
このような降車支援ルーチンによれば、車両10の左右両側について物体条件が成立していないと判定された場合(ステップS101において「Y」)、車両10の左右両側について降車条件が成立しているか否かを判定することなく(成立しているか否かにかかわりなく)、一次警報と二次警報はいずれも発出されない(ステップS102)。
【0079】
また、車両10の左右の少なくとも一方側について物体条件が成立したと判定されたが(ステップS101において「N」)、物体条件が成立したと判定された側と同じ側のドアがすべて閉状態であると判定された場合(ステップS103において「Y」、かつ、ステップS104において「Y」)、降車条件が成立していないと判定される。この場合、一次警報が発出される(ステップS105)。
【0080】
また、車両10の左右の少なくとも一方側について物体条件が成立したと判定され(ステップS101において「N」)、かつ、物体条件が成立したと判定された側に開閉状態が開状態であるドアが存在すると判定された場合(ステップS103において「N」、または、ステップS104において「N」)、降車条件が成立したと判定され、二次警報が発出される(ステップS106)。ただし、開閉状態が開状態であるドアが自動ドアのみであり(ステップS103において「Y」、かつ、ステップS104において「N」)、かつ、当該自動ドアが閉動作中であれば(ステップS107において「Y」)、降車条件は成立していないと判定される。そしてこの場合、一次警報が発出される(ステップS105)。
【0081】
なお、ここでは、車両10が手動ドアと自動ドアの両方を有する場合についての降車支援ルーチンを説明したが、車両10が手動ドアを有さず自動ドアのみを有する場合には、ステップS103を無くせばよい。
【0082】
以上、本実施形態に係る降車支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0083】
例えば、前記実施形態では、降車支援装置がアクチュエータの駆動力によって開閉する自動ドアと手動操作(人力)によって開閉する手動ドアとを有する車両に搭載される構成を示したが、降車支援装置は乗降用のドアが自動ドアのみである車両にも搭載可能である。さらに、本実施形態では自動ドアとしてスライドドアを示したが、自動ドアはスライドドアに限定されるものではない。
【0084】
さらに、前記実施形態では、右BSM・ECU210が降車支援ルーチンを実行する構成を示したが、右BSM・ECU210以外の装置が降車支援ルーチンを実行してもよい。より具体的には、左BSM・ECU211が降車支援ルーチンを実行してもよい。また、ドア制御ECU209が降車支援ルーチンを実行してもよい。このほか、降車支援装置20が、右BSM・ECU210、左BSM・ECU211、およびドア制御ECU209以外の他のECUを有しており、当該他のECUが降車支援ルーチンを実行してもよい。さらに、複数の装置が協働して降車支援ルーチンを実行してもよい。このように、降車支援ルーチンを実行する装置は限定されるものではない。
【0085】
また、一次警報を発出する装置と二次警報を発出する装置とが互いに異なる装置であってもよく、同じ装置であってもよい。
【0086】
また、物体条件の具体的な内容、判定条件(判定基準)、および判定方法は適宜設定されるものであり、前記実施形態に示す内容、判定条件、および判定方法に限定されるもので経ない。また、前記実施形態では、自動ドアであるスライドドアが閉動作中であるか否かを、各SDAの動作状態に基づいて判定する構成を示したが、自動ドアがアクチュエータの駆動力によって閉動作中であるか否かを判定できればよく、検出方法および検出手段は限定されない。
【符号の説明】
【0087】
10…車両、102…右スライドドア、103…左スライドドア、20…降車支援装置、201…右スライドドアアクチュエータ(右SDA)、202…左スライドドアアクチュエータ(左SDA)、203…右スライドドア動作センサ(右SD動作センサ)、204…左スライドドア動作センサ(左SD動作センサ)、205…右スライドドア開閉センサ(右SD開閉センサ)、206…左スライドドア開閉センサ(左SD開閉センサ)、210…右BSM・ECU、214…右BSMインジケータ、215…左BSMインジケータ、216…メータ装置、217…マルチメディア装置
図1
図2
図3