(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】弾性Vリブドベルト用の高さ調整可能なファンアタッチメントが一体化されたシリンダヘッドハウジングおよびシリンダヘッドを有する内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 67/06 20060101AFI20241002BHJP
F01P 5/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F02B67/06 B
F02B67/06 F
F01P5/04 H
(21)【出願番号】P 2022508576
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020000170
(87)【国際公開番号】W WO2021069089
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】102019007007.0
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】スリワ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クロスターベルク,ヨハネス
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205779251(CN,U)
【文献】米国特許第03362243(US,A)
【文献】特公昭53-034243(JP,B1)
【文献】米国特許第02526242(US,A)
【文献】独国特許出願公開第10317507(DE,A1)
【文献】米国特許第01639449(US,A)
【文献】米国特許第01002848(US,A)
【文献】実開昭60-121549(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 67/00
F01P 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケース(1)
と、シリンダーヘッド(2)と、内燃機関のクランクシャフトに対してファンを移動可能に配置する装置とを備え
、このファンを移動可能に配置する装置はファンコンソール(3)と、ファンベアリング(5)と、ファンを駆動するベルトドライブとを含み、このベルトドライブはベルト(8)を介して駆動接続されてた第1プーリーと第2プーリーを含み、第1プーリーは上記ファンベアリング(5)上に配置されている内燃機関であって、
シリンダクランクケース(1)および/またはシリンダヘッド(2)にガイド溝(6)が一体形成され、
上記ファンベアリング(5)がT―スロットブロックであり、
このT―スロットブロックが上記ガイド溝(6)内で軸線方向に変位可能である、
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
ベルト(8)がVリブドベルトである請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
ファンベアリング(5)に形成されたネジ孔を貫通するネジ(10)を固定する孔(7)
をファンコンソール(3)が有する請求項1
または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
上記ファンコンソール(3)がアセンブリ/クランプツール(9)を有する請求項1~
3のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項5】
上記アセンブリ/クランプツール(9)が着脱可能に構成されている請求項
4に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性Vリブドベルト用の高さ調節可能なファンアタッチメントが一体化されたシリンダクランクケースおよびシリンダヘッドを有する内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の内燃機関は例えば[特許文献1](特開2008-31937号公報)や[特許文献2](特開2001-220771号公報)で公知である。
【0003】
[特許文献1](特開2008-31937号公報)に開示の発明では圧縮機がエンジンの出力軸の軸心に垂直な水平方向でエンジンに対して一方の側に配置され、オルタネーターが他方の側に配置される。
【0004】
[特許文献2](特開2001-220771号公報)に開示の発明ではエンジンの上側にオルタネーターとコンプレッサーがエンジンの出力シャフトのシャフト中心方向に並んで配置され、また、エンジンの上側でオルタネーターとコンプレッサーがエンジンのシャフト中心に垂直な水平方向に並んで配置されている。
【0005】
[特許文献3](欧州特許第EP0884210A1号公報)にはクランクシャフトに接続された第1ベルトプーリーから第1ベルトドライブを介してクランクシャフトによって駆動できるクーラントポンプやファンなどの内燃機関のユニットを駆動するための装置が提案されている。この場合、第1プーリーはベルトを介してクーラントポンプシャフトに接続された第2プーリーにドライブ接続される。第3プーリーはクーラントポンプシャフトに接続される。第3プーリーはクランクシャフトまたはクランクシャフトの延長部に取り付けられ、クランクシャフトに対して回転できるように第4プーリーと一緒に第2ベルトドライブを形成する。ファンは第4プーリーに駆動接続される。この発明ではファンドライブを強化できるが、クーラントポンプシャフトに追加のベルトプーリーを設ける必要があり、これは追加の負荷による漏れのリスクを増加させ、多くの場合、スペース上の理由で高い実装コストを必要とする。もう1つの欠点は補助ユニットに追加のベアリング負荷がかかり、必要に応じてそれを再設計する必要がある点にある。
【0006】
[特許文献4](ドイツ特許第DE2318104号公報)に開示のファンはエンジン速度とスリップクラッチの関数で駆動されるVベルトドライブを介して駆動される。スリップクラッチの駆動部分はVベルトプーリーに回転固定状態で接続され、Vベルトプーリーを駆動する。ベアリングに対して回転可能であり、シャフトに対して同軸にスリップクラッチの一部があり、その上で、スリップクラッチの被駆動部分とファンが回転ロック方式で関節運動する。この構成の欠点は速度から分離されている場合でも、共通のシャフトが原因で補助ユニットに追加のベアリング負荷がかかることであり、 スリップクラッチも必要になる。
【0007】
[特許文献5](ドイツ出願公開第DE10324314A1号公報)が提案する自動車用内燃機関は流体摩擦クラッチおよびファン速度増加手段によって駆動できる。ファンは燃焼機関のクランクシャフトに対して同軸に配置される。補助ユニットは、クランクシャフトに軸方向に平行に設けることができ、ステップアップトランスミッションを備えた一般的な第1ベルトドライブを介して内燃エンジンによって駆動できる。ファンはクランクシャフトから直接駆動することができるか、または、ファン速度を上げるために流体摩擦クラッチの補助ユニットによる第2ベルト駆動を持ち、クラッチを介してオンまたはオフに切り替えることができる第2駆動列を介して駆動することもできる。この解決方法の欠点は構造が複雑になり、ファン駆動を実現するためのコンポーネントコストが比較的高くなり、例えばスリップクラッチとフリーホイール要素が必要になる。
【0008】
内燃機関の開発では、エンジンのコンパクトさに注意を払う必要がある。特に、エンジンに取付けられるデバイスをコンパクトに保つためにはエンジンの長さが重要になる。エンジンの長さの基準はシリンダークランクケースとファンアタッチメント付きシリンダーヘッドである。公知の構造では、高さ調節可能なファンブラケット、シリンダークランクの前または上、および/または、シリンダーヘッドの前またはそれに螺合されたハウジングが示されている。一部のコンソールはVリブドベルトのテンション要素に対応し、あるいは、Vリブドベルトの張力要素がシリンダークランクケースおよび/またはシリンダーヘッドに固定され、ファンアタッチメントはファンコンソールに取り付けられ、ファンアタッチメントはベルトプーリーとファンベアリングを含むファンに対応する。これらには十分な大きさの設置スペースが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-31937号公報
【文献】特開2001-220771号公報
【文献】欧州特許第EP0884210A1号公報
【文献】ドイツ特許第DE2318104号公報
【文献】ドイツ出願公開第DE10324314A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の欠点を回避するために、先行技術で知られているアプローチをさらに発展させることにある。特に、本発明の目的は、簡単な構成要素で、費用効果に優れ、設置スペースをほとんど必要としない、生産および組立て方法が改善されたファン駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、独立請求項の特徴を有する装置によって達成される。また、本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載してある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ファン、プーリー、ファンベアリング等のファンアタッチメントを備えた内燃機関を示す図。
【
図2】ファン側から見た[
図1]の内燃機関の端面図。
【
図3】ファンアタッチメントを取り外し、ファンベアリングを取り外した時の内燃機関の図。
【
図4】ファンアタッチメントを有する内燃機関の前方平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
[
図1]および[
図2]には、ファン、ベルトプーリー、ファンベアリング5などのファンアタッチメントを備えた内燃エンジンが示している。この構成でエンジンの全長が大幅に短縮される。これは高さ調節可能なファンコンソール(Lufterkonsole)3をシリンダークランクケース(Zylinderkurbelgehause)1およびシリンダーヘッド (Zylinder kopf)2中に統合(integriert、一体化)することによって実現された。本発明では、ファン、ベルトプーリーおよびファンベアリング(Lufterlagerung)4を含むファンアタッチメントがシリンダーブロック1および/またはシリンダーヘッド2に直接取り付けられる。ファンベアリング(Lufterlagerung)5はT-スロットナット(T-Nut-Mutter)またはT-スロットブロック(T-Nut-Stein)-スライドブロック-
の形で2つの内側ガイド溝
6中を走行する。このファンベアリング5にはネジ10を受け入れるための4つのネジ孔が配置されている。この
ようなブロック(Stein)は例えば工作機械の機械テーブルとワークピースを接続するために使用されている。
本発明の場合には、スライドブロック
5はT-スロット中、ここではシリンダークランクケース1および/またはシリンダーヘッド2に形成されたガイド溝6中を軸方向に移動でき、ワークピースに対応した特殊ネジを用いてねじ込み点を作成し、所定の
高さの孔7の
所に調整
して固定できる。
【0014】
アセンブリ/クランプツール(Montage- /Spann-Werkzeug)9を使用して、ファン、ベルトプーリーおよびファンベアリング4を含むファンアタッチメントを所望の位置まで移動し、次いで、ネジ10を使用してシリンダークランクケース1および/またはシリンダーヘッド2に螺合することで、弾性Vリブドベルト8に張力(プレテンション)を加えることができる。アセンブリ/クランプツール9は当接部材(Widerlager)で構成され、この当接部材はガイド溝6上でシリンダーヘッド2にねじ込むことができ、スライドブロック11のネジ山と螺合したラックを受け入れるためのガイドボアを有し、取り外し自在に配置されている。ラックには当接部材の所にナットが配置され、それによってファンベアリング5の高さを調整することができる。アセンブリ/クランプツール9はネジ10を用いてファンが作業位置に取付られた後に、外すことができる。
【0015】
あるいは、上記のスライドブロックのネジ10を受け入れるための4つの貫通穴にネジ山を設け、ネジ10によってスライディングブロックをガイド溝6に対してクランプ(保持)することによってファンベアリング5を高さを変えて配置することもできる。
【0016】
[
図3]は[
図1]および[
図2]の内燃機関からファンベアリング5を取り外した状態を示している。
このファンベアリング5の後部
がスライドブロック
ナット11
として設計されている。ファンベアリング5はこのスライドブロック
ナット11によってシリンダクランクケース1およびシリンダヘッド2のガイド溝6中を案内され、ネジ10によって
孔7のネジ山の作業位置に固定される。
【0017】
[
図4]はファンベアリング5を有する内燃機関の端部平面図である。ここではファンベアリング5のスライドブロック11がガイド溝6中にあり、ファンベアリング5はシリンダヘッド2およびシリンダクランクケース1中に組み込まれている。
【符号の説明】
【0018】
1 シリンダクランクケース
2 シリンダヘッド
3 ファンコンソール(Lufterkonsole)
4 ファンベアリング(Lufterlagerung)
5 ファンベアリング(Lufterlagerung)
6 ガイド溝
7 所定ピッチの孔(vorgegebener Lochstich)
8 Vリブドベルト
9 アセンブリ/クランプツール
10 ネジ
11 T-スロットナット/ナット(T-Nutenstein/ -mutter)