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特許7564520配管撤去前処理装置およびそれを用いた配管撤去前処理方法
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  • 特許-配管撤去前処理装置およびそれを用いた配管撤去前処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】配管撤去前処理装置およびそれを用いた配管撤去前処理方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/028 20060101AFI20241002BHJP
   G01M 3/40 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F16L1/028 L
G01M3/40 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020170395
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062406
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】518310905
【氏名又は名称】株式会社WINビジネスデベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】長崎 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊克
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08656939(US,B2)
【文献】特開2016-056905(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1549635(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/028
G01M 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の配管を任意の位置で切断して撤去する際に用いられる前処理装置であって、撤去される配管の側壁に検知孔を穿孔する穿孔手段、および、前記検知孔を用いて前記配管内部の危険ガスの有無を検出するガス検出手段、前記穿孔手段と、前記ガス検出手段とを、それぞれ独立して配管の中心線に沿うように移動させる移動機構、前記配管内の危険ガスを不活性ガスによってパージするパージ手段、撤去される前記配管内に前記検知孔から発泡性の閉塞剤を注入して前記配管内部を気密に閉塞する閉塞手段、前記穿孔手段、前記ガス検出手段、前記移動機構、前記パージ手段、および、前記閉塞手段を、前記配管の外側に着脱可能に固定する固定手段を備えていることを特徴とし、
前記穿孔手段と、前記ガス検出手段と、は、前記移動機構により移動可能な範囲が一部重複する配管撤去前処理装置。
【請求項2】
前記穿孔手段に、前記配管の穿孔部分を覆うカバーが設けられているとともに、このカバーに、前記不活性ガスを供給するガス供給手段、および、冷却液を供給する冷却液供給手段が連設されていることを特徴とする請求項1に記載の配管撤去前処理装置。
【請求項3】
前記固定手段が前記配管を挟持する固定腕を備え、この固定腕が、前記配管を挟持した状態において、前記穿孔手段の穿孔方向が前記配管の中心へ向かうように前記穿孔手段を固定するようになされていることを特徴とする請求項1に記載の配管撤去前処理装置。
【請求項4】
前記穿孔手段、前記ガス検出手段、および、前記パージ手段が第1ハウジングに組み込まれ、前記閉塞手段が第2ハウジングに組み込まれ、それぞれのハウジングに前記固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配管撤去前処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の配管撤去前処理装置を用い、穿孔手段によって既設の配管の所定位置に検知孔を穿孔する穿孔工程、ガス検出手段によって前記検知孔を介して配管内の危険ガスの有無を検出するガス検出工程、この検出の結果、配管内に危険ガスがあると判断された際に、パージ手段によって配管内を不活性ガスによってパージするパージ工程、このパージ工程後に、閉塞手段によって前記配管内に前記検知孔から発泡性の閉塞剤を注入して配管内部を部分的に気密に閉塞する密封工程からなる作業を、前記配管の撤去すべき部位の両端部近傍において実施することを特徴とする配管撤去前処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の配管を廃棄または取り替え等のために撤去する際に用いられる配管撤去前処理装置およびそれを用いた配管撤去前処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、既設の配管の廃棄または取り替え等のために撤去する場合、配管の該当する部位の両端部を切断して切り離すことによって行なっている。
【0003】
このような配管の切断に用いられる切断装置として従来では、たとえば、特許文献1に示されるような装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-59031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の切断装置は配管切断用のプラズマトーチを備え、配管の外面にこの配管を抱き込むように装着され、プラズマトーチを配管の周方向に移動させつつ配管を切断するようにしている。
【0006】
ところで、前記配管が危険ガスあるいは危険ガスを含んだガス用の配管であると、この配管を従来の切断装置を用いて切断すると、切断時に発生する熱や火花により危険ガスが危険な現象を生じさせてしまうことが想定される。
【0007】
本発明は、このような従来の想定される不具合に対応すべくなされたもので、危険ガスあるいは危険ガスを含んだガス用の配管を切断する際に、配管の切断作業に先立って配管内部を前処理することにより、その切断作業を安全に実施し得るようにする配管撤去前処理装置およびそれを用いた配管撤去前処理方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配管撤去前処理装置は、前述した課題を解決するために、既設の配管を任意の位置で切断して撤去する際に用いられる前処理装置であって、撤去される配管の側壁に検知孔を穿孔する穿孔手段、および、前記検知孔を用いて前記配管内部の危険ガスの有無を検出するガス検出手段、前記配管内の危険ガスを不活性ガスによってパージするパージ手段、撤去される前記配管内に前記検知孔から発泡性の閉塞剤を注入して前記配管内部を気密に閉塞する閉塞手段、前記穿孔手段、前記ガス検出手段、前記パージ手段、および、前記閉塞手段を、前記配管の外側に着脱可能に固定する固定手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることにより、配管の切断作業に先立って、配管に穿孔手段によって検知孔を穿孔し、この検知孔を介して、ガス検出手段により配管内部の危険ガスの有無を検出する。
【0010】
ここで、検知孔は必要最小限度の径で済むことから、その加工領域を狭く抑え、かつ、穿孔速度を遅く設定することができる。
これによって、穿孔時の熱や火花の発生を防止することができる。
【0011】
前記ガス検出手段によって、配管内に危険ガスが存在すると検出された場合、パージ手段によって、配管内を不活性ガスによってパージして危険ガスを除去する。
【0012】
このような処理によって、配管内部を、危険ガスによる危険な現象の発生が防止された状態とし、この状態において配管の切断作業の安全性をある程度確保することができる。
【0013】
しかしながら、配管内壁には、たとえば、危険ガスと反応した不純物が付着していることが想定され、この不純物が、配管の切断後に、その切断部分から外部へ放出され、配管周辺を汚染してしまうことが想定される。
【0014】
そこで、本発明では、配管内部の危険ガスの除去後に、配管内に、検知孔を利用して発泡性の閉塞剤を注入することができる。
【0015】
このように閉塞剤を注入すると、この閉塞剤が配管内において発泡し配管内部を所定範囲内で閉塞する。
【0016】
ここで、閉塞剤として気密性を有する材料を用いることにより、配管内のガスが外部へ流出することを防止することができ、配管周辺における汚染防止効果を高めることができる。
【0017】
そして、各構成部材を配管の切断すべき部位の両端部に移動させて、前述した穿孔作業から閉塞作業までの作業を行なう。
【0018】
これによって、配管が、切断すべき範囲において危険ガスによる危険な現象の発生が防止された状態とすることができ、かつ、配管内に不純物が残っていたとしても、この不純物は配管内に閉じ込めることができる。
【0019】
このような処理を行なった後に、配管を閉塞剤によって閉塞した部位若しくはその近傍において切断することにより、配管を切り離して撤去する。
【0020】
このような配管の切断作業に際し、配管内の環境が安全に保持されていることから、この配管を従来の切断装置を用いて切断しても危険ガスによる危険な現象が発生することはない。
【0021】
かつ、配管内に不純物が残っていたとしても、その不純物が配管外部に放出されることはない。
したがって、配管の切断撤去作業を安全に行なうことができる。
【0022】
前記穿孔手段に、配管の穿孔部分を覆うカバーを設けるとともに、このカバーに、不活性ガスを供給するガス供給手段、および、冷却液を供給する冷却液供給手段を連設しておくことが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、穿孔時の温度上昇を抑えて穿孔時の安全性を高め、また、供給される不活性ガスの圧力によって、穿孔によって形成される検知孔から配管内のガスが漏れ出ることを防止して、配管周辺環境の汚染を防止することができる。
【0024】
前記固定手段を、配管を挟持する固定腕によって構成し、この固定腕により配管を挟持した状態において、穿孔手段を、その穿孔方向が配管の中心へ向かうように固定することが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、穿孔によって形成される検知孔を配管の中心へ向けることができる。
これによって、配管内のガス検知の際に、検出するガスの層の厚みを厚くして検出効率を高めることができ、また、閉塞剤を充填する際に、その充填を配管内部の最も広い部位から開始して内壁に沿うように充填することにより、閉塞剤を配管内に均一にかつ確実に注入することができる。
【0026】
また、穿孔手段、ガス検出手段、および、パージ手段を一組として第1ハウジングに組み込んだ構成とし、閉塞手段を別途設けられた第2ハウジングに組み込んだ構成とし、それぞれのハウジングに固定手段を設けた構成とすることができる。
【0027】
このような構成とすることにより、穿孔作業、ガス検出作業、および、パージ作業と、閉塞作業をそれぞれ独立して行なうようにすることができる。
【0028】
そして、本発明の配管撤去前処理方法によれば、配管撤去に伴う切断作業を安全に行なうことができる前処理を有効に実施することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、危険ガスの取り扱いに用いられた配管を切断除去する際に、配管の切断に先立って配管内を安全な状態として、配管切断作業時の危険性を除去するとともに、切断後の周囲環境の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態を示すもので、図3のIV-IV線断面図である。
図5】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
図6】本発明の一実施形態の作用を説明するための側面図である。
図7】本発明の一実施形態における配管の切断位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
これらの図において、符号1は、本実施形態にかかる配管撤去前処理装置(以下、前処理装置と略称する)を示す。
【0032】
本実施形態の前処理装置1は、図3に示すように、撤去される配管Pの側壁に検知孔2を穿孔する穿孔手段3、および、検知孔2を用いて配管P内部の危険ガスの有無を検出するガス検出手段4、配管P内の危険ガスを不活性ガスによってパージするパージ手段5、撤去される配管P内に検知孔2から発泡性の閉塞剤L(図5参照)を注入して配管P内部を気密に閉塞する閉塞手段6、穿孔手段3、ガス検出手段4、パージ手段5、および、閉塞手段6を、配管Pの外側に着脱可能に固定する固定手段7を備えている。
【0033】
穿孔手段3、ガス検出手段4、および、パージ手段5は、図3に示すように、第1ハウジングH内に組み込まれて一体化されている。
【0034】
穿孔手段3は、穿孔を行なうドリル8と、このドリル8を回転駆動するモータ9と、このモータ9およびドリル8を配管Pの径方向に沿って前後動させる第1移動機構10と、ドリル8、モータ9、および、第1移動機構10を一体的に配管Pの中心線に沿うように移動させる第2移動機構11によって構成されている。
【0035】
ガス検出手段4は、穿孔された検知孔2に抜き差しされ、配管P内のガスを吸引する吸気管12と、この吸気管12を配管Pの径方向に沿って前後動させる第3移動機構13と、吸気管12および第3移動機構13を一体的に配管Pの中心線に沿うように移動させる第4移動機構14と、吸気管12によって吸引されたガスを取り込んでこの吸引ガスを特定する気体特定器15と、この気体特定器15から気体特定後に排出されるガスを浄化して外気へ放出するフィルタ16とによって構成されている。
【0036】
パージ手段5は、不活性ガス、たとえば、窒素ガスが充填されたボンベ17と、このボンベ17を吸気管12に連通させるガス供給管18とによって構成されている。
【0037】
このガス供給管18には、後述するコントローラAによって制御される開閉弁が設けられており、この開閉弁の制御により、吸気管12を経て配管P内に不活性ガスを注入するようになっている。
【0038】
配管Pに不活性ガスが注入されると、配管内の既存のガスが不活性ガスによって吸気管12と検知孔2との隙間から外部へ追い出されることにより、不活性ガスに置換される。
【0039】
一方、図3および図4に示すように、固定手段7によって支持されたカバー19が、検知孔2を覆うように配置されており、このカバー19に配管Pから排出されるガスが流入するようになっている。
【0040】
このカバー19は、コントローラAによって開閉制御される開閉弁を介して気体特定器15へ連通させられており、配管Pから排出されたガスが気体特定器15へ送り込まれるようになっている。
【0041】
気体特定器15へ送り込まれたガスは、フィルタ16によって浄化されて外部へ排出されるようになっている。
【0042】
さらに、カバー19には、不活性ガスのガス供給管18から分岐され、コントローラAによって開閉制御される開閉弁が設けられた分岐管20が接続されており、配管Pから排出されるガスに不活性ガスを混合させて、配管Pから排出されるガスを希釈するようになっている。
【0043】
さらに、カバー19には、穿孔時における発熱を抑制するための冷却手段が連設されている。
【0044】
この冷却手段は、別途設けられた冷却液供給装置21と、この冷却液供給装置21とカバー19とを連通し、コントローラAによって開閉制御される開閉弁を備えた給液管22を備えている。
【0045】
冷却液供給装置21は、冷却液を貯留するタンク23と、このタンク23内の冷却液を圧送するポンプ24を備えている。
【0046】
閉塞手段6は、図5に示すように、第2ハウジングJ内に組み込まれており、検知孔2に挿入される注入管25と、この注入管25に連通状態で接続され閉塞剤が貯留されているタンク(26・27)と、注入管25を配管Pに抜き差しする第5移動機構28と、閉塞剤の注入動作を制御する注入コントローラ29と、第5移動機構28の作動を制御する移動コントローラ30とによって構成されている。
【0047】
注入コントローラ29および移動コントローラ30は、コントローラAからの制御信号に基づき、閉塞剤の注入およびその停止、および、注入管25の抜き差しを制御するようになっている。
【0048】
ここで、本実施形態においては、閉塞剤として、2液を混合させることによって発泡させる硬質ウレタンフォームを用いた例を示す。
【0049】
固定手段7は、第1ハウジングHと第2ハウジングJのそれぞれに設けられている。
【0050】
この固定手段7は、第1ハウジングHと第2ハウジングJのそれぞれに下方へ向けて垂設された4本の支持ロッド31と、この支持ロッド31の下端部に揺動可能に装着された円弧状の挟持腕32と、この挟持腕32を、支持ロッド31を支持部材として揺動させる流体圧シリンダ等の揺動機構33とによって構成されている。
【0051】
そして、固定手段7は、各支持ロッド31を配管Pの外面に位置決め当接させた後に、揺動機構33によって各挟持腕32を揺動させて配管Pの外面に当接させることにより、挟持腕32によって配管Pを挟み込んで第1ハウジングHと第2ハウジングJを配管Pに固定するようになっている。
【0052】
ついで、このように構成された本実施形態の前処理装置1の使用手順とともに、本発明の配管撤去前処理方法を説明する。
【0053】
まず、ボンベ17、冷却液供給装置21、および、コントローラAを、撤去する配管Pから離れた位置に設置するとともに、これらを穿孔手段3、ガス検出手段4、パージ手段5、閉塞手段6、および、固定手段7へ電気的あるいは機械的に接続しておく。
【0054】
ついで、クレーン等により、穿孔手段3、ガス検出手段4、パージ手段5、閉塞手段6、および、固定手段7を第1ハウジングHとともに吊り上げて、撤去する配管Pの切断する部位に位置させる。
【0055】
これより、コントローラAから固定手段7へ駆動信号を送出して、固定手段7の挟持腕32を配管Pの外面へ向けて揺動させて当接させることにより、この挟持腕32によって配管Pを挟持させて第1ハウジングHを、図3に示すように、配管Pの所定位置、すなわち、配管Pの切断する一端側の部位に固定する。
【0056】
この状態において、ドリル8が配管Pの中心に向けて配置されるとともに、配管Pの外面で、検知孔2を穿孔する部位にカバー19が当接させられて検知孔2を穿孔する部位が覆われる。
【0057】
これより、第1および第2移動機構10・11を駆動して、ドリル8によって配管Pに検知孔2を穿孔する。
【0058】
この穿孔作業時に、カバー19内に、必要に応じて冷却液供給装置21から冷却剤を供給することにより、ドリル8や配管Pの温度上昇を抑制することができる。
【0059】
ここで、検知孔2は必要最小限度の径で済むことから、その加工領域を狭く抑え、かつ、穿孔速度を遅く設定することができる。
これによって、穿孔時の熱や火花の発生を防止することができる。
【0060】
したがって、これらの相乗作用により、配管P内のガスが熱せられることによる危険な現象の発生を防止することができる。
【0061】
検知孔2の穿孔が終了すると、ドリル8を待避させた後に、コントローラAから第3移動機構13および第4移動機構14に駆動信号を送出することにより、吸気管12を穿孔された検知孔2内へ挿入する。
【0062】
ついで、気体特定器15を作動させることにより、配管P内のガスを吸気管12によって吸引して気体特定器15へ送り込む。
【0063】
気体特定器15にガスが送り込まれると、そのガス成分が分析され危険ガス、たとえば、水素ガスであるか否かが判定され、判定後のガスがフィルタ16によって浄化された後に外気へ放出される。
あるいは、ガス貯留施設へ回収される。
【0064】
危険ガスであると判定されると、コントローラAによって吸気管12の接続がパージ手段5へ切り替えられる。
【0065】
吸気管12がパージ手段5へ接続されると、このパージ手段5から吸気管12を経て配管P内に不活性ガスが注入される。
【0066】
このように、配管P内に不活性ガスが注入されると、この不活性ガスにより配管P内の危険ガスが吸気管12と検知孔2との隙間から押し出され、カバー19を経て気体特定器15へ送り込まれた後に、フィルタ16によって浄化された後に外部へ放出され、あるいは、ガス貯留施設へ回収される。
【0067】
ここで、カバー19内へ、ガス供給管18から分岐管20によって分岐した不活性ガスを供給することにより、配管Pから押し出された危険ガスを希釈して気体特定器15へ送り込むことができる。
【0068】
このような処理によって、配管P内部の危険ガスを不活性ガスに置換し、危険ガスによる危険な現象の発生が防止された状態とし、この状態において配管の切断作業の安全性をある程度確保することができる。
【0069】
ついで、固定手段7による配管Pの挟持状態を解除して、第1ハウジングHを、配管Pの切断領域の他端側へ移動させて、前述した穿孔作業から危険ガスのパージ作業に至る作業を繰り返す。
【0070】
そして、配管Pの切断領域の他端側への作業を終えると、この部位に、クレーン等によって閉塞手段6を設置するとともに、固定手段7によって固定する。
【0071】
ついで、コントローラAによって制御される第5移動機構28によって注入管25を検知孔2内に挿入した後に、タンク26・27に貯留されている閉塞剤の2液を混合しつつ注入管25を経て配管P内に注入する。
【0072】
配管P内に注入された閉塞剤は発泡により膨張し、配管P内部を閉塞する。
本実施形態においては気密性を有する硬質ウレタンフォームを用いたことにより、気密に閉塞することができる。
【0073】
そして、検知孔2が配管Pの中心へ向かって穿孔されていることにより、閉塞剤の充填を配管P内部の最も広い部位から開始して内壁に沿うように充填することができ、閉塞剤を配管P内に均一にかつ確実に注入することができる。
【0074】
ついで、前述した閉塞作業を、配管Pの切断領域の他端側に穿孔した検知孔2に対して行なうことにより、配管Pの切断すべき領域の両端を閉塞することができるとともに、この領域内部を不活性ガスが充填された安全な状態とすることができる。
【0075】
このような閉塞作業は、配管Pの内壁には、たとえば、危険ガスと反応した不純物が付着していることが想定され、この不純物が、配管Pの切断後に、その切断部分から外部へ放出されることにより、配管P周辺が汚染されてしまうことを防止するためのものである。
【0076】
このような閉塞作業を終えた後に、図7(a)に示すように、配管Pを、配管Pの切断すべき領域の両端において、閉塞剤Lを含む部位をカッター34(ワイヤーソーも含む)によって切断することによって切り離し撤去する。
あるいは、切断を、閉塞剤Lよりも外側の部位で切断して撤去する。
【0077】
これによって、配管が、切断すべき範囲において危険ガスによる危険な現象の発生が防止された状態とすることができ、かつ、配管内に不純物が残っていたとしても、閉塞剤Lにより不純物を配管内に閉じ込めることができる。
【0078】
このような配管Pの切断作業に際し、配管P内の環境が安全に保持されていることから、この配管を従来の切断装置を用いて切断しても危険ガスによる危険な現象が発生することはない。
【0079】
かつ、配管P内に不純物が残っていたとしても、その不純物が配管外部に放出されることはない。
したがって、配管の切断撤去作業に伴う周辺の汚染を防止することができる。
【0080】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法、あるいは、配置構成等は一例であって、適用する配管の種類や設計要求等に基き種々変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 (配管撤去)前処理装置
2 検知孔
3 穿孔手段
4 ガス検出手段
5 パージ手段
6 閉塞手段
7 固定手段
8 ドリル
9 モータ
10 第1移動機構
11 第2移動機構
12 吸気管
13 第3移動機構
14 第4移動機構
15 気体特定器
16 フィルタ
17 ボンベ
18 ガス供給管
19 カバー
20 分岐管
21 冷却液供給装置
22 給液管
23 タンク
24 ポンプ
25 注入管
26 タンク
27 タンク
28 第5移動機構
29 注入コントローラ
30 移動コントローラ
31 支持ロッド
32 挟持腕
33 揺動機構
34 カッター
A コントローラ
H 第1ハウジング
J 第2ハウジング
L 閉塞剤
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7