(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】エニオンを提供するための方法およびデバイス、デバイスの使用
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20241002BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20241002BHJP
H10N 50/20 20230101ALI20241002BHJP
【FI】
G06N10/40
H10B61/00
H10N50/20
(21)【出願番号】P 2021573515
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020066120
(87)【国際公開番号】W WO2020249630
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-12
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】312016078
【氏名又は名称】ヨハネス、グーテンベルク-ウニフェルジテート、マインツ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス、ノスヘルファー
(72)【発明者】
【氏名】チェーティル、マグネ、デルハイム、ハルス
(72)【発明者】
【氏名】カリン、エバーショル-シッテ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ、リッツィ
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/001753(WO,A1)
【文献】特開2013-247267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052806(US,A1)
【文献】Kjetil M.D.Hals, et.al,"Composite topological excitations in ferromagnet-superconductor heterostructures",arXiv.org[online],米国,Cornell University,2016年07月09日,[検索日 2024.06.10],インターネット<URL:https://arxiv.org/pdf/1603.07550.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/40
H10B 61/00
H10N 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トポロジカル量子計算に使用可能な少なくとも1つのエニオンを提供するための方法であって、
-少なくとも1つの磁気テクスチャ(15)を含む磁性体(10)を提供するステップ、
-少なくとも1つのボルテックス(35)を含む超伝導体(30)を提供するステップ、および、
-前記磁性体(10)を前記超伝導体(30)に結合することによって、少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)を生成するステップであって、各磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)は、前記超伝導体(30)におけるそれぞれの前記磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)の前記ボルテックス(35)に局在化されたエニオンを結び付ける、ステップ、
を含
み、
前記磁性体(10)は、磁性体のグリッドを形成するように構造化される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁気テクスチャ(15)はスキルミオンを備え、および/または、
前記少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス
・ペア(50a、50b)は、スキルミオン-ボルテックス・ペアを備え、および/または、
前記エニオンは、マヨラナ・ゼロ・モードである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁性体(10)を前記超伝導体(30)に結合することは、前記磁性体(10)および前記超伝導体(30)に基づいてヘテロ構造(100)が形成されるように、前記磁性体(10)および前記超伝導体(30)を配置することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
-スピントロニクス技法を用いて、移動される磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)に結び付けられた前記エニオンがブレイディングされるように、少なくとも2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)を移動させるステップ、
をさらに含み、前記スピントロニクス技法は、特に、磁場勾配を前記磁性体(10)に印加すること、電場を前記磁性体(10)に印加すること、スピン・トルクを前記磁性体(10)内に誘導すること、マグノンを前記磁性体(10)内に誘導すること、温度勾配を前記磁性体(10)内に発生させること、および/または、熱揺らぎを前記磁性体(10)内に発生させることを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)は、少なくとも1つの走査トンネル顕微鏡チップ(40)を用いて前記2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)を移動すること、および/または、電流を前記磁性体(10)内に印加することによって、ブレイディングされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-2つのエニオンを融合することによって情報を読み出すステップ、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
磁性体(10)を提供することは、
前記磁性体のグリッドを形成するように前記磁性体(10)を構造化することを含み、前記磁性体のグリッドは、好ましくは複数の電極(13)を備え、および/または、前記磁性体のグリッドは、長方形または三角形の断面を有するギャップ(17)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのエニオンを提供するためのデバイス(100)であって、
-前記デバイス(100)の動作モードにおいて、少なくとも1つの磁気テクスチャ(15)を含む、磁性体(10)、
-前記デバイス(100)の前記動作モードにおいて、少なくとも1つのボルテックス(35)を含む、超伝導体(30)、
を備え、
前記磁性体(10)および前記超伝導体(30)は、少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)が前記デバイス(100)の前記動作モードで生成されるように、互いに結合されるように配置され、各磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)は、前記超伝導体(30)内の前記それぞれの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(50a、50b)の前記ボルテックス(35)に局在化されたエニオンを結び付け
、
前記磁性体(10)は、磁性体のグリッドを形成するように構造化される、
デバイス(100)。
【請求項9】
前記磁性体(10)および前記超伝導体(30)はヘテロ構造を形成し、および/または、絶縁層(20)が前記磁性体(10)と前記超伝導体(30)との間に配置される、請求項8に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記
磁性体のグリッドは、長方形または三角形のジオメトリを有し、および/または、
前記
磁性体のグリッドは、長方形または三角形の断面を有するギャップ(17)を備え、および/または、
前記
磁性体のグリッドは、電圧が印加され得る複数の電極(13)を備える、
請求項8または9に記載のデバイス(100)。
【請求項11】
前記磁性体のグリッドは、前記磁気テクスチャ(15)が移動可能な複数の経路を形成し、前記経路の各々は好ましくは2つの端部を有し、また前記端部の各々は、好ましくは電極(13)を備える、請求項
8から10
のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記磁性体(10)および前記超伝導体(30)を前記動作モードで動作させるように構成された、動作ユニットをさらに備える、請求項8から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
トポロジカル量子計算および/または量子メモリのための、請求項8から12のいずれか一項に記載の前記デバイス(100)の使用。
【請求項14】
-少なくとも2つのエニオンを提供するために前記デバイス(100)を動作させること、および、
-前記少なくとも2つのエニオンの少なくとも1つのペアをブレイディングすることによって、少なくとも1つの量子ビットを提供すること、
を含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
-少なくとも1つの前記エニオン・ペアの前記エニオンを融合することによって、情報を読み出すこと、
をさらに含む、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トポロジカル量子計算に使用され得るエニオンを提供するための方法およびデバイスに関する。さらに、本発明はデバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
量子技術を実現すること、およびそれらを商業的に応用することは、次世代の大きな課題の1つである。たとえばEUは、10億ユーロの期待予算を伴う大規模な長期研究構想として、量子通信、量子シミュレーション、量子計算、ならびに量子メトロロジおよびセンシングという、4つの応用領域に焦点を合わせる、欧州フラッグシップ・プログラムを開始した。従来の二値論理ユニット(ビット)ではなく、いわゆる量子ビットに基づく情報を記憶および処理することは、従来のコンピュータでは実質的に実行不可能な計算問題に取り組むことを可能にする。量子計算は、現在、その初期段階の研究分野であるが、量子コンピュータの実現における経済的利益は莫大であるため、この領域を前進させるいずれの発明も大きな成果と見なされる可能性がある。たとえば現在、ほんの数例を挙げると、超伝導量子ビット、イオン・トラップ、窒素空孔中心(nitrogen vacancy centers)、および量子ドットなどの、いくつかの異なる物理的プラットフォームに取り組んでいる学術研究センターと産業界の研究センターとの間で、激しい競争が進行中である。
【0003】
量子計算の領域における大いに前途有望な分野は、トポロジー的性質を活用して不安定性を回避する、トポロジカル量子計算の分野である。ここでは、基礎となる材料(エニオンと呼ばれる)のトポロジカル励起によって論理上の部分空間が構築され、計算ゲートはそれらの被制御交換(controlled exchange)、すなわちブレイディングによって実行される。
【0004】
トポロジカル量子コンピュータは、3次元時空(すなわち、1つの時間的な次元に加えて2つの空間次元)においてブレイドを形成するために、その世界線が互いの回りを通る、エニオンと呼ばれる2次元準粒子を採用する量子コンピュータである。これらのブレイドは、コンピュータを構成する論理ゲートを形成する。トラップされた量子粒子を使用することに対しての量子ブレイドに基づく量子コンピュータの利点は、はるかに安定していることである。小さな累積摂動により量子状態のデコヒーレンスが生じ、計算にエラーを引き起こす可能性があるが、こうした小さな摂動はブレイドのトポロジー的性質を変化させない。エニオンは2次元空間内の準粒子である。エニオンはフェルミ粒子でもボース粒子でもないが、フェルミ粒子のように、同じ状態を占めることはできない。したがって、2つのエニオンの世界線は交差または合流できず、このことによりそれらの経路は時空において安定したブレイドを形成することができる。エニオンがブレイディングされるとき、系の量子状態の変換はエニオンの軌道(ブレイド群に従って分類される)のトポロジカルクラスにのみ依存する。したがって、軌道内の小さなエラーは、系の状態に記憶される量子情報を破壊しない。
【0005】
今日のトポロジカル量子計算における大きな課題は、エニオンのブレイディングを実行するための、堅固で安定した、効率的な技法を開発することである。いくつかの異なる技法が提案されているが、いずれもまだ実現されていない。また、以前提案された技法には実際的な欠点がある。最もよく知られた提案はTジャンクション(T-junctions)の手法であり、J. Alicea等による「Non-Abelian statistics and topological quantum information processing in 1D wire networks」、Nat. Phys.、vol.7、412~417頁、2011年5月、D. Aasen等による「Milestones toward Majorana-based quantum computing」、Phys.Rev.X、vol.6、031016頁、2016年8月、および、B. Bauer等による「Dynamics of Majorana-based qubits operated with an array of tunable gates」、SciPost Phys.、vol.5、004頁、2018年7月に記載されるように、T字型の半導電性ワイヤが超伝導体上に置かれ、縁部の状態を交換することによってブレイディングが実行される。この技法の問題は、ゲート電圧を使用して実行され得るが、実験的に行うことが困難な、局所化学ポテンシャルの時間依存同調(time dependent tuning)を必要とすることである。加えて、これは1次元系である。しかしながら、エニオンは2次元系の概念であるため、ブレイディングは2次元で行うことが好ましい。
【0006】
【0007】
さらに、これまでのところ、いくつかの凝縮系において実験的に見つかったゼロエネルギー・モードが実エニオンである場合、大きな不確実性が存在する。見つかったモードがエニオンである場合、唯一の確実な方法はそれらをブレイディングすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、前述の欠点を克服することである。特に、本発明の課題は、モードをエニオンとして明確に識別するために、こうしたモードが生成され得るプラットフォームを提供すること、ならびに、それらをトポロジカル量子計算および量子メモリのために使用することである。さらに本発明の課題は、現在利用可能な技術の助けによってエニオンの準粒子のブレイディングを可能にする、方法およびデバイスを提供すること、したがって、トポロジカル量子計算コンピュータの実現のための中心基盤を提供することである。これらの課題は、独立請求項において定義される特徴によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、トポロジカル量子計算に使用可能な少なくとも1つのエニオンを提供するため、ならびに特に操作および/またはブレイディングするための方法が提供される。方法は、
-少なくとも1つの磁気テクスチャを含む磁性体を提供するステップ、
-少なくとも1つのボルテックスを含む超伝導体を提供するステップ、および、
-磁性体を超伝導体に結合することによって、少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを生成するステップであって、各磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、超伝導体におけるそれぞれの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアのボルテックスに局在化されたエニオンを結び付ける、ステップ、
を含む。
【0010】
好ましくは、複数のエニオン、特に少なくとも2つのエニオンが、本方法によって提供される。したがって、磁性体は少なくとも2つの磁気テクスチャを含み、超伝導体は少なくとも2つのボルテックスを含み、少なくとも2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは磁性体を超伝導体に結合することによって生成される。
【0011】
磁性体は、薄い磁気層として提供され得る。これは、強磁性、反強磁性、またはフェリ磁性の材料を含み得るか、またはそれらの材料であり得る。可能な磁性体は、磁気テクスチャ、および特にスキルミオンが生成され得る、MnSi、FeCoSiなどの、任意の材料を含む。特に、CoFeB、FeGe、またはFe/Irなどの、磁気テクスチャまたはスキルミオンを可能にするために反転対称を壊すように調整された層状系が、磁性体として使用され得る。界面相互作用に応じて、Coまたはパーマロイも使用され得る。磁性体のサイズは、少なくとも1つのスキルミオンを含むことができるように選択される。スキルミオンのサイズは、およそ典型的ならせん長さスケールであり、典型的には1nmから5μmの範囲内である。スキルミオンをホストすることで知られる材料の概要は、たとえば、K. Everschor-Sitte等による、「Perspective: Magnetic skyrmions - Overview of recent progress in an active research field」、Journal of Applied Physics 124、240901(2018年)、https://doi.org/10.1063/1.5048972の表Iに与えられており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。磁気層の厚みは、およそ1nmから100nmであってよい。
【0012】
超伝導体、特に第2種超伝導体は、超伝導層として提供され得る。たとえばNb、YBCOなどの銅酸化物系(Cuprate based)の第2種超伝導体、NbSe2、ホウ素ドープ・ダイヤモンドまたは炭化ケイ素(silicon carbide)などの共有結合超伝導体、あるいは、C60Cs2RbまたはC60Rbxなどの炭素系化合物(carbon based compounds)が、超伝導体として使用され得る。超伝導体の寸法は、少なくとも1つのボルテックスが収容できるものであり得る。特に、超伝導体の寸法は、磁性体の寸法より大きいか、またはおよそ磁性体の寸法であり得る。
【0013】
磁気テクスチャは、一般に、任意の磁気構造またはスピン構造を備えることができる。好ましくは、磁気テクスチャは磁気局在構造であり、特に局在スピン構造またはスピン・テクスチャである。好ましくは、磁気テクスチャはトポロジカル磁気テクスチャであり、特にトポロジカル磁気局在構造である。この点で、周知の数学的概念であるトポロジーは、一方の構造から他方の構造への連続マッピングが存在することから2つの構造が等価である系を示すことに留意されたい。物理学では、この概念は、2つのトポロジー的に別個の構成を分離する有限エネルギー障壁に変わる。
【0014】
磁気テクスチャは、スキルミオン、アンチスキルミオン、スキルミオニウム、バイスキルミオン、および/または、超伝導ボルテックス上で結び付けられるのに適した任意の他のスピン・テクスチャであってよい。磁性体におけるこうした磁気テクスチャをどのように生成し、消滅させ、および移動させるかの情報を含む、(トポロジカル)磁気テクスチャの動物園(zoo)の概要は、K. Everschor-Sitte等による、「Perspective: Magnetic skyrmions - Overview of recent progress in an active research field」、J.Appl.Phys.124、240901(2018年)、https://doi.org/10.1063/1.5048972(特に、その中の
図1および第IV項を参照のこと)に与えられており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特に、この文書(特に、その中の第IV.A項)に記載されるように、スキルミオンは、磁場、熱励起、スピン・トルク、および/または電場によって発生され得る。したがって、好ましい実施形態において、磁気テクスチャを含む磁性体を提供するステップは、磁場、電場、電磁場、熱励起、および/またはスピン・トルクによって、磁性体内に磁気テクスチャを発生させるステップを含む。追加して、フェリ磁性スキルミオンの生成に関する最近の文書は、Woo等による「Deterministic creation and deletion of a single magnetic skyrmion observed by direct time-resolved X-ray microscopy」、Nature Electronics、vol.1、288~296頁、2018年5月、https://www.nature.com/articles/s41928-018-0070-8である。磁気テクスチャが磁性体内で一般にどのように生成され得るかはすでに周知であるため、これは本明細書ではより詳細に記載されない。
【0015】
磁気テクスチャを含むかまたはホストする磁性体を提供することは、特に、磁気テクスチャが磁性体内に存在するように、磁性体が準備および動作されることを意味する。同様に、ボルテックスを含むかまたはホストする超伝導体を提供することは、特に、超伝導ボルテックスまたはアブリコソフ渦糸などのフラクソンが超伝導体内に存在するように、超伝導体が準備および動作されることを意味する。
【0016】
磁性体を超伝導体に結合することによって、少なくとも磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア、すなわち、磁性体内に含まれる磁気テクスチャと超伝導体内に含まれるボルテックスからなるペアが、生成または形成される。言い換えれば、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアにおいて、磁性体の磁気テクスチャは超伝導体のボルテックスに結合されるかまたは結び付けられる。磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、スピン・テクスチャ-ボルテックス・ペアとも呼ばれ、準粒子と見なされ得る。
【0017】
本記述の意味では、「結合する」という用語は、特に、いわゆる「近接効果」が生じるように、磁性体および超伝導体が互いに配置および/または接近されることを意味する。近接効果の結果として、磁性体の特性が超伝導体内に導入され、その逆もまた同様である。言い換えれば、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、磁性体の磁気テクスチャと超伝導体のボルテックスとの間の引力相互作用の結果として生成される。超伝導体-強磁性体ヘテロ構造における近接効果に関するさらなる一般情報について、A. I. Buzdinによる「Proximity effects in superconductor-ferromagnet heterostructures」、Rev.Mod.Phys.、vol.77、issue3、935~976頁、2005年9月、American Physical Society、DOI:10.1103/RevModPhys.77.935、https://link.aps.org/doi/10.1103/RevModPhys.77.935が参照され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
【0019】
本発明によれば、エニオンは磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアに結び付けられ、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアのボルテックスに局在化される。すなわち、エニオンは完全に超伝導体内に局在化される。特に、本発明では、本発明によるデバイスまたはシステムにおいて、少なくとも2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが存在するとき、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアに結び付けられるエニオンは、すべてそれぞれの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア内に局在化されることがわかっている。特に、各磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、確実に1つの(すなわち1つのみの)エニオンに結び付く。したがって、本発明によれば、エニオンが準粒子(すなわち、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア)にのみ局在化される、デバイスまたはシステムが提供される。これは有利に、エニオンに個別に対処することを可能にする。
【0020】
本発明による方法および対応するデバイスまたはシステムは、既知の実験技法(本明細書では「スピントロニクス・ツールボックス」と呼ばれる)を用いてエニオンを最初にブレイディングすることを可能にする。特に、本発明による生成された磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、継続的に展開するスピントロニクス・ツールボックスによって制御可能である。したがって、これは、エニオンの操作、および、最終的にトポロジカル量子情報処理へのアクセスを、決定的に容易にする。さらにブレイディングは、有利に、実際の2次元系において実行され得、誤り訂正はほとんどもしくはまったく必要ない。さらに、本発明による提案された方法およびデバイスは、量子計算セットアップを目指す現在の仮説における別の大きな課題を解決する、スケーラビリティを可能にする。
【0021】
好ましい実施形態において、磁気テクスチャはスキルミオンを含むかまたはスキルミオンである。追加または代替として、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、スキルミオン-ボルテックス・ペアを含むかまたはスキルミオン-ボルテックス・ペアである。追加または代替として、エニオンはマヨラナ・ゼロ・モードを含むかまたはマヨラナ・ゼロ・モードである。スキルミオンは、一意のトポロジーを伴う渦状の磁気テクスチャである。特に、スキルミオンは、中心磁化がその境界とは反対方向にあり、球体にいったんマッピングされ得る、任意のスピン構造である。この意味で、放射対称性のスキルミオンは、その放射状プロファイルおよびねじり角という2つの量によって特徴付けられ得る。
【0022】
さらなる好ましい実施形態において、超伝導体は第2種超伝導体であり、シュブニコフ相にあるように動作される。これは、キュリー温度(Curie-temperature)より低い温度で超伝導体の2つの臨界磁場BC1とBC2との間に磁場を印加することによって達成され得る。特に、アブリコソフ渦糸格子が、超伝導体内に形成され得る。
【0023】
さらなる好ましい実施形態において、磁性体を超伝導体に結合することは、磁性体および超伝導体に基づいてヘテロ構造が形成されるように、磁性体および超伝導体を配置することを含む。特に、磁性体は直接、超伝導体上に配置され得る。特に、磁性体を超伝導体上に配置することによって、磁気層内の磁気テクスチャ(たとえば、スキルミオン)と超伝導体内のボルテックスとの間に引力相互作用が生じる。この引力相互作用に起因して、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが生成される。代替として、磁気テクスチャが電流によって移動される場合(下記を参照)、磁性体および超伝導体は薄い絶縁層によって分離され得る。絶縁層の厚みdは、磁気層内の磁気テクスチャと超伝導体内のボルテックスとの間の引力相互作用が依然として存在し、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを生成するのに十分であるように、選択される。言い換えれば、絶縁層の厚みdは、超伝導体内の電流は無視できるほどであるが、ヘテロ構造は依然として磁気テクスチャとボルテックスとを結合する著しい交換磁場を経験するように、選択される。これは、交換磁場および電流が層厚みdの関数として異なるように増減するため、可能である。交換磁場はd2に比例し、電流はd4に比例する。たとえば、絶縁層の厚みdは、数オングストロームの範囲内(たとえば、0.2nmから5nm)であってよい。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、方法はさらに、スピントロニクス技法を用いて、移動される磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアに結び付けられた(および局在化された)エニオンがブレイディングされるように、少なくとも2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを移動させるステップを含む。2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアをブレイディングすることによって、計算ゲート、すなわち量子ビットが提供され得る。好ましくは、2つの隣接する磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが移動される。特に、厳密に2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが移動される。スピントロニクス技法は、特に、磁場勾配を磁性体に印加すること、電場を磁性体に印加すること、スピン・トルクを磁性体内に誘導すること、マグノンを磁性体内に誘導すること、温度勾配を磁性体内に発生させること、および/または、熱揺らぎを磁性体内に発生させることを含む。こうした確立した「スピントロニクス技法」を用いることによって、エニオン(特に、マヨラナ・ゼロ・モード)は2次元超伝導体内で操作され得る。いわゆるスピントロニクス・ツールボックスは周知されており、世界中の研究室で毎日処理されている。「スピントロニクス・ツールボックス」に関しては、すでに上記で引用された、K. Everschor-Sitte等による、「Perspective: Magnetic skyrmions - Overview of recent progress in an active research field」、Journal of Applied Physics vol.124、240901(2018年)、https://doi.org/10.1063/1.5048972、特にその中の第IV項が参照され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。たとえば、スピン・トルクは、磁気テクスチャを操作するための電流誘起トルクである。顕著な例は、世界的ないくつかのグループで実験的に実行された、STT(スピン・トランスファー・トルク)およびSOT(スピン軌道トルク)である。電場による磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアの移動は、たとえば、走査トンネル顕微鏡(STM)チップを用いて実行され得る。マグノンを含むスピン・テクスチャを動かす1つの特定の手法は、温度勾配の使用である。ここで、
熱スピン流は角運動量を伝えることが可能であり、追加してエントロピー効果も同様に、スピン構造の動きを引き起こすことが可能である。さらに、いかなる外部ドライブもなしに、磁気テクスチャまたはスキルミオンは、高温での非常に弱くピン留めされたサンプルにおける熱揺らぎに起因して、それらの位置をランダムに変更することができる。
【0025】
さらなる好ましい実施形態において、2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、少なくとも1つの走査トンネル顕微鏡(STM)チップを用いて2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを移動すること、および/または、電流(電流パルスを含む)を磁性体内に印加することによって、ブレイディングされる。それらのトポロジーに起因して、スキルミオンは、カーブ・ショットの間のボールの回転と同様に、マグナス力を経験し、したがって印加された電流に沿って移動する。
【0026】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、2つのエニオンを融合することによって情報を読み出すステップを含む。特に、読み出される情報は、量子ビットの形の論理情報である。2つのエニオン、すなわちエニオン・ペア(たとえば、2つのマヨラナ)はフェルミ粒子状態を形成し、これは電子によって占有されるかまたは占有されない。2つのエニオンを互いに対して移動し、その後エニオンを融合することによって、電子が生成されるかまたはされない。したがって、読み出しステップは、好ましくは電子の検出および/または電流測定を含む。
【0027】
さらなる好ましい実施形態において、磁性体を提供することは、磁性体のグリッドを形成するように磁性体を構造化することを含む。グリッドは、光学および/または電子ビーム・リソグラフィなどの標準作製技法を使用することによって、構造化または形成され得る。したがって、提供される磁性体はグリッドとして形成される。磁性体のグリッドは、好ましくは複数の電極を備える。電極には電圧が印加され得、したがって、磁性体またはそのグリッド内に電流が誘導され得る。電極は、電流を用いて磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを移動させる働きをする。電極は、光学および/または電子ビーム・リソグラフィならびに真空蒸着などの、標準作製技法を使用することによって、作製され得る。特に、グリッドのジオメトリは、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアがグリッド内で、特にグリッドの事前に定義された経路内で、互いの周りを移動され得るように構成される。好ましくは、グリッドのジオメトリは、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが、グリッド内で、またはグリッドの事前に定義された経路に沿って、独立して移動され得るように構成される。言い換えれば、グリッドは好ましくは、たとえば電流によって少なくとも1つのテクスチャ-ボルテックス・ペアがそれに沿って移動され得る、1つまたは複数の(事前に定義された)経路を備えるかまたは定義する。特に、グリッドは複数のこうした経路を備えるかまたは定義する。経路の数は、磁性体内に存在する磁気テクスチャの数に依存し得る。グリッドは、長方形または三角形の断面を有するギャップを備えることができる。ギャップの数は、磁性体内に存在する磁気テクスチャの数に、およびしたがって、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアの数に依存し得る。特に、より多くの磁気テクスチャおよび/または磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが生成されるほど、ギャップ内にはより多くのギャップが存在しなければならない。磁性体をグリッドとして構造化または形成する結果として、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアの被制御操作および/または移動、ならびにしたがって、エニオンの被制御ブレイディングが可能になる。
【0028】
特に、方法は、2つのエニオンが互いの周りを移動するように、グリッドの電極のうちの少なくともいくつかに電圧を印加すること、それによってエニオンをブレイディングすることによって、2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア、およびしたがって2つのエニオンを移動するステップを含む。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、エニオンを提供するため、また特に操作およびブレイディングするための、デバイスが提供される。デバイスは、
-デバイスの動作モードにおいて、少なくとも1つの磁気テクスチャを含む、磁性体、
-デバイスの動作モードにおいて、少なくとも1つのボルテックスを含む、超伝導体、
を備え、
磁性体および超伝導体は、少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアがデバイスの動作モードで生成されるように、互いに結合されるように配置され、各磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、超伝導体内のそれぞれの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアのボルテックスに局在化されたエニオンを結び付ける。
【0030】
特に、複数のエニオン、特に少なくとも2つのエニオンが、デバイスによって提供される。したがって、磁性体は少なくとも2つの磁気テクスチャを含み、超伝導体は少なくとも2つのボルテックスを含み、磁性体を超伝導体に結合することによって少なくとも2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアが生成される。
【0031】
動作モードは、デバイスが少なくとも1つのエニオンを提供するように動作されるモードである。特に、デバイスを動作モードで動作させることは、少なくとも1つの磁気テクスチャを磁性体内に生成するため、および、少なくとも1つのボルテックスを超伝導体内に生成するために必要な、温度、磁場、電場などの任意の条件が満たされることを意味する。たとえば、少なくとも1つのボルテックスを超伝導体内に生成するために、超伝導体は、超伝導体のキュリー温度より低い温度で、超伝導体の2つの臨界磁場BC1とBC2との間に磁場を印加することによって達成される、シュブニコフ相内で動作され得る。さらに、磁性体内に少なくとも1つの磁気テクスチャを生成するために、上記を参照して、磁場および/または電場による磁気テクスチャの発生、熱励起および/またはスピン・トルクによる磁気テクスチャの発生などの、任意の利用可能な技法が使用され得る。
【0032】
好ましい実施形態において、磁性体および超伝導体、特に第2種超伝導体は、ヘテロ構造を形成するように配置される。
【0033】
さらなる好ましい実施形態において、デバイスは、磁性体と超伝導体との間に配置される絶縁層を備える。
【0034】
さらなる好ましい実施形態において、磁性体は磁性体のグリッドを形成するように構造化され、グリッドは好ましくは長方形または正方形のジオメトリを有する。代替として、グリッドは三角形のジオメトリまたは形状、すなわち三角形の構造または格子を伴うジオメトリを有する。特に、グリッドは複数のギャップを有し、ギャップの各々は好ましくは長方形の断面、および/または二次断面(quadratic cross section)または三角形断面を有する。これらのジオメトリを用いると、エニオンをグリッド内で、またはグリッドの事前に定義された経路に沿って移動することによって、エニオンの任意のブレイドを実行することが可能である。したがって、グリッドに起因して、磁気テクスチャおよびしたがって磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは、被制御様式で操作、移動、および/またはブレイディングされ得る。
【0035】
さらなる好ましい実施形態において、磁性体のグリッドは、電圧を印加可能な複数の電極を備える。電極は、電流を用いて磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを移動させる働きをする。電極の数は、デバイスまたはシステム内のエニオンの数と共に増減し得る。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、磁性体のグリッドは、磁気テクスチャが移動可能な複数の(事前に定義された)経路を形成する。それらの機能性に起因して、経路またはレーンは電流経路とも呼ばれ得る。磁気テクスチャ(特に、スキルミオン)は、電極を介して経路を通じて電流を印加することによって、これらの経路に沿って移動され得る。したがって、本実施形態では、磁気テクスチャの移動は電流駆動である。好ましくは、経路の各々は2つの端部を有する。さらに端部の各々は、好ましくは電極を備える。したがって、グリッドによって形成される(電流)経路の数は、電極の数の半分である。
【0037】
さらなる好ましい実施形態において、デバイスは、磁性体および/または超伝導体を動作モードにするように構成された、動作ユニットを備える。言い換えれば、動作ユニットは、少なくとも1つの磁気テクスチャを磁性体内に生成するように、および/または、少なくとも1つのボルテックスを超伝導体内に生成するように、構成される。したがって、動作ユニットは、少なくとも1つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(およびしたがってエニオン)が形成または発生される動作モードで、デバイスを動作させるように構成される。動作ユニットは、少なくとも1つの磁気テクスチャを磁性体内に、および/または、少なくとも1つのボルテックスを超伝導体内に、発生させるのに必要な、任意のユニットを備えることができる。より具体的には、動作ユニットは、磁気テクスチャ発生ユニットおよび/またはボルテックス発生ユニットを備えることができる。磁気テクスチャ発生ユニットは、少なくとも1つの磁気テクスチャを磁性体内に発生させるように構成され、またボルテックス発生ユニットは、少なくとも1つのボルテックスを超伝導体内に発生させるように構成される。好ましくは動作ユニット、および特に磁気テクスチャ発生ユニットは、以下のユニット、すなわち、磁性体内に磁場を発生させるための磁場ユニット、磁性体内に磁場勾配を発生させるための磁場勾配ユニット、磁性体内に電場を発生させるための電場ユニット、磁性体内にスピン・トルクを発生させるためのスピン・トルク発生ユニット、磁性体内にマグノンを発生させるためのマグノン発生ユニット、磁性体内に温度勾配を発生させるための温度勾配発生ユニット、および、磁性体内に熱揺らぎを発生させるための熱揺らぎ発生ユニットのうちの、少なくとも1つを備える。さらに好ましくは、動作ユニット、および特にボルテックス発生ユニットは、磁場を超伝導体に印加するための磁場ユニット、および、超伝導体をそのキュリー温度より低く冷却するための冷却ユニットを備える。さらに、動作ユニットは、動作ユニットに含まれる他のユニットのうちのいずれかを制御するための制御ユニットを備えることができる。制御することは、事前に定義されるかまたは調整可能なパラメータに基づいて実行され得、パラメータは、デバイスの磁性体および/または超伝導体に依存する。
【0038】
さらに本発明のさらなる態様は、トポロジカル量子計算および/または量子メモリのための本発明によるデバイスの使用である。
【0039】
任意の量子回路は、CNOTゲートおよび単一の量子ビット回転の組み合わせを使用して、任意の精度までシミュレートされ得る。2つのエニオンまたはマヨラナは、1つの量子ビットに対応する。「実計算」は最低限2つの量子ビット、すなわち4つのエニオンまたはマヨラナで実行され得る。4つのエニオンで、必要なすべての量子ゲートについて最低計算基準が実現され得る。したがって、特に4つのエニオンまたはマヨラナを提供することによって、本発明によるデバイスがトポロジカル量子計算に使用され得、その一般原則は、たとえばD. A. Ivanov等による「Non-Abelian Statistics of Half-Quantum Vortices in p-Wave Superconductors」、Phys.Rev.Lett.、vol.86、issue 2、268~271頁、2001年1月、American Physical Society、DOI:10.1103/PhysRevLett.86.268、https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.86.268に記載されている。
【0040】
加えて、本発明による方法およびデバイスは、量子ビット密度が簡単に、より多くの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアを追加することによって増加され得るため、本質的にスケーラブルである。基本的限界は単に、ペアの反発長さスケールによって与えられるにすぎず、現在研究されているシステムではおよそ10マイクロメートルである。1量子ビットは4つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアによって表され得るため、約105量子ビット/cm2の量子ビット密度を可能にする。トポロジカル量子計算への経路を長期的に明らかにすることで、量子誤り訂正の複雑さのかなりの軽減につながり、したがって材料およびエネルギー資源が節約される。
【0041】
本発明は、高い計算能力、すなわち、同様の計算精度について以前提案されたシステムの量子ビット密度よりも少なくとも千倍高い量子ビット密度を可能にする(ここではより多くの誤り訂正が必要であるため、典型的には従来の超伝導量子ビットシステムで達成可能な100量子ビット/cm2に対して105量子ビット/cm2)。したがって本発明は、トポロジカル量子計算を小型化することができる。特に、同じ量子ビット密度を伴う、以前に提案されたシステムの千分の一未満のデバイス・サイズが可能である。さらに、本発明により、現在の古典的コンピュータではまだ解決できない問題を解決する際に用いることができる、トポロジカル量子計算が可能である。たとえば、より多くの化学、薬学、または医学的な問題が計算され得る。また、ニューラル・ネットワーク・システムが加速され得、より良好なパターン認識が可能である。さらに、材料開発の分野および符号化における改良が達成され得る。
【0042】
好ましい実施形態において、デバイスの使用は、
-少なくとも2つのエニオンを提供するためにデバイスを動作させること、および、
-少なくとも2つのエニオンの少なくとも1つのペアをブレイディングすることによって、少なくとも1つの量子ビットを提供すること、
を含む。
【0043】
さらなる好ましい実施形態において、デバイスの使用は、少なくとも1つのエニオン・ペアを融合することによって、情報を読み出すことをさらに含む。
【0044】
前述のさらなる独立態様について、また特にこの点に関して好ましい実施形態について、第1の態様の実施形態に関する上記または下記での説明も有効である。特に、本発明の1つの独立態様およびこの点に関して好ましい実施形態について、それぞれの他の態様の実施形態に関する上記または下記での説明も有効である。
【0045】
課題を解決するための個々の実施形態は、図面を参照して例として下記で説明される。この場合、説明される個々の実施形態は、特許請求される主題を実装するために不可欠ではないが、特定の適用において望ましい特性を提供する、特徴を一部有する。この点で、下記で説明される実施形態の特徴をすべては有していない実施形態は、説明される技術的教示に該当する様式で開示されるものと見なされることも意図される。さらに、不必要な繰り返しを避けるために、特定の特徴は、下記で説明される実施形態の中から個々の実施形態に関してのみ言及される。したがって、個々の実施形態は、それらのみではなく、共同的にも考慮されるものと意図されることが指摘される。この共同的考慮に基づいて、当業者であれば、個々の実施形態が他の実施形態の個々の特徴または複数の特徴を含めることによっても、修正され得ることを理解されよう。個々の実施形態と、他の実施形態に関して説明される個々の特徴または複数の特徴との体系的組み合わせが望ましく好都合であり、したがって、考慮されるべきであり、説明によって包含されるものとも見なされるものと意図されることが指摘される。
【0046】
好ましい実施形態の下記の説明の解釈、および添付の図面から、本発明の上記および他の目的、特徴、および利点がより明らかとなろう。本明細書で説明される主題の他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から、明らかとなろう。実施形態は別々に説明されているが、それらの単一の特徴および機能性は、追加の実施形態を損なうことなく組み合わせられ得ることを理解されたい。本開示は単なる例として例証されており、添付の図面によって限定されるものではない。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は、下記の図面に関して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の一例によるデバイスを分解図で示す概略図である。
【
図2a】1つのスキルミオン-ボルテックス・ペアを伴う系における、マヨラナ・ゼロ・モードのシミュレートされた確率密度を示す図である。
【
図2b】2つのスキルミオン-ボルテックス・ペアを伴う系における、マヨラナ・ゼロ・モードのシミュレートされた確率密度を示す図である。
【
図3】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアはSTMチップを用いて移動される。
【
図4a】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図4b】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図4c】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図5】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図である。
【
図6a】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図6b】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図6c】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図6d】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つの磁気テクスチャおよびしたがって2つの磁気テクスチャ-ボルテックス・ペアは電流を用いて移動される。
【
図7】本発明の別の例によるデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
下記の詳細な説明は、本発明の例示的実施形態に関する。本発明の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内で可能である。たとえば下記の説明において、磁気テクスチャはスキルミオンであると見なされるが、アンチスキルミオンまたはスキルミオニウムなどの他の磁気テクスチャが可能である。図面全体を通じて、同じ参照記号は同じかまたは同様の要素に使用される。
【0050】
図1は、本発明の一例によるデバイス100を分解図で示す概略図である。デバイス100は磁性体10および超伝導体30を備える。磁性体10はスキルミオン15を含み、と同時に超伝導体30はボルテックス35を含む。磁性体10は超伝導体30の上部に配置され、それによってヘテロ構造を形成する。結合された超伝導および磁気層を備えるデバイスまたはヘテロ構造100において、エニオン担持超伝導ボルテックス35は、磁気スキルミオン15を介して制御され得る。それによって、エニオンをブレイディングすること、および、スピントロニクス技法を使用してトポロジカル量子計算を実行することが可能である。
【0051】
特に、スキルミオン15をホストする磁性体10は、第2種超伝導体30に結合される。それによって、特定のトポロジカル準粒子、いわゆるスキルミオン-ボルテックス・ペアが形成される。本発明において、これらのスキルミオン-ボルテックス・ペアは、ブレイディングに使用され得るマヨラナ・モードを結び付けることがわかっている。スキルミオン-ボルテックス・ペアの利点は、マヨラナ・モードの局在化は超伝導体30のボルテックス35において完全に発生すること、および、スキルミオン15は、境界において追加のマヨラナ・モードを得ることなく、この効果を増強さえすることである。以前に、マヨラナ・モードは、磁気(より高位の)スキルミオンと超伝導体との結合において(それらをボルテックスに結合することなく)出現することが提案された。しかしながら、これらのマヨラナ・モードは、それらの量子計算に対する有用性に関して大きな欠点を有する。第一に、こうした系において、マヨラナ・モードは、交換磁場によってスキルミオンにごく弱く結び付けられる。さらに、追加のマヨラナ・モードがスキルミオンの境界に現れ、ブレイディングを妨害する。
【0052】
図1に例証されるデバイス100において、スキルミオン-ボルテックス・ペアは、被制御様式で生成および消滅され得る。このために、超伝導体30は、アブリコソフ渦糸格子を形成するように動作され得、磁気スキルミオンは標準手段によって磁性体10に書き込まれ得る。スキルミオンとボルテックスとの間の引力相互作用に起因して、スキルミオン-ボルテックス・ペアが形成される。磁性体内のスキルミオンを消滅させることによって、スキルミオン-ボルテックス・ペアも消滅され得る。スキルミオンは、走査トンネル顕微鏡を使用することによっても書き込みおよび消滅され得ることに留意されたい。
【0053】
ボゴリューボフ・ド・ジェンヌ方程式を自己無撞着に解くことによって、本発明では、特定のパラメータ・レジームにおいて、超伝導体-強磁性体ヘテロ構造は、一種のエニオンである、マヨラナ・モードをホストすることがわかっている。1つのみのスキルミオン-ボルテックス・ペアを伴う系では、2つのマヨラナ・ゼロ・モードが見られ、1つのモードはスキルミオン-ボルテックス・ペア内に局在化され、もう1つはサンプルの縁部上に局在化される。この状況は、1つのスキルミオン-ボルテックス・ペアを伴う系における、マヨラナ・ゼロ・モードのシミュレートされた確率密度を示す、
図2aに例証される。Lはサンプルの寸法(長さおよび幅)を表す。縁部のマヨラナ・モードは、わかりやすくするために3倍で拡大される。
【0054】
2つのスキルミオン-ボルテックス・ペアが存在するとき、
図2bに例証されるように、2つのマヨラナ・モードは2つのペアの各々において局在化され、
図2bは、2つのスキルミオン-ボルテックス・ペアを伴う系における、マヨラナ・ゼロ・モードのシミュレートされた確率密度を示す。マヨラナ・モードが準粒子にのみ局在化されるこうしたセットアップは、マヨラナ・モードに個別に対処することを可能にする。
【0055】
スキルミオン-ボルテックス・ペアは強く結び付けられ、たとえば、超伝導体NbSe2の単層についての理論推定値は、およそ2.3meVの超伝導体内の近接誘導性交換磁場が、これらの実験的系の典型的な温度スケール(3K)を超える結び付きを生み出すことを示す。したがって、スピントロニクス・ツールボックスを使用して、スキルミオンを、およびしたがって、エニオンを担持するスキルミオン-ボルテックス・ペアを、移動させることができる。
【0056】
磁気テクスチャを移動させるための被制御バージョンは、
図3に例証されるように、走査トンネル顕微鏡(STM)によるものである。
図3は、本発明の別の例によるデバイス100を示す概略図である。この例において、磁性体10は絶縁体20によって超伝導体から分離される。第1および第2のスキルミオン-ボルテックス・ペア50a、50bは、それぞれSTMチップによって移動される。それによって、スキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bに結び付けられたエニオンは、互いの周りを移動され得、またしたがってブレイディングされ得る。言い換えれば、スキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bは、両方のペア50aおよび50bが交換されるまで、円形の動きを追うためにSTMチップを用いてドラッグされる。これは原理の証明には良いセットアップであるが、スケーラビリティについてはまったく非実用的である。
【0057】
図4a~
図4cは、本発明の別の例によるデバイス100を示す概略図であり、スケーラビリティのために使用され得る。
図4a~
図4cのデバイス100はまた、磁性体10および超伝導体30を備える。磁性体10は、磁性体のグリッドとして形成され、超伝導体30の上部に配置される。磁性体のグリッドは、複数のギャップ17、すなわち、磁性体が存在しないエリアを備える。磁性体10は、薄い絶縁層20によって超伝導体から分離され、スキルミオンおよびしたがってスキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bを移動させるために電流が使用される。絶縁層20の役割は、超伝導体30を、磁性体10に印加される電流から保護することである。絶縁層の厚みdは、超伝導体30内の電流が無視できる程度であるが、依然としてスキルミオンおよびボルテックスを結合する著しい交換磁場を経験するように、選択される必要がある。これが可能であるのは、交換磁場および電流が絶縁層の厚みdの関数として異なって拡縮するためである。交換磁場はd
2に比例すると同時に電流はd
4に比例する。マヨラナをブレイディングするために、2つのスキルミオン-ボルテックス・ペア50a、50bは、対向伝搬電流を用いて移動され得る。この駆動は、i)スキルミオン-ボルテックス・ペア50が動的に解消されないこと、およびより重要にはii)超伝導状態がその(準)ゼロ・エネルギー励起セクタ内に残ることを、保証するために十分低速である必要がある。基準ii)は、結果的に最も厳しいものとなり、可能なスキルミオン速度の推定値がおよそ40m/sであることにつながる。
【0058】
図4a~
図4cに示されるように、磁性体10のグリッドは長方形のジオメトリを有し、A、B、C、・・・Pと標示された複数の電極13を備える。
図4aによれば、電極OとFとの間に電圧が印加される。これが、電極Oと電極Fとの間に配置される第1の事前に定義された電流経路に沿って、第1のスキルミオン-ボルテックス・ペア50aを電極Fに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。同時に、電極Nと電極Gとの間に反対電圧が印加され、これによって、電極Gと電極Nとの間に配置される第2の事前に定義された電流経路に沿って、第2のスキルミオン-ボルテックス・ペア50bを電極Nに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。続いて、
図4bに例証されるように、電極Cと電極Jとの間に電圧が印加される。これが、電極Cと電極Jとの間に配置される事前に定義された電流経路に沿って、第1のスキルミオン-ボルテックス・ペア50aを電極Jに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。同時に、電極Bと電極Kとの間に反対電圧が印加され、これによって、電極Bと電極Kとの間に配置される事前に定義された電流経路に沿って、第2のスキルミオン-ボルテックス・ペア50bを電極Bに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。したがって、
図4a~
図4cに例証される手順によって、スキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bに結び付けられたマヨラナは、それらの位置を交換することによってブレイディングされている。
図4a~
図4cによれば、スキルミオン-ボルテックス・ペアは、負の電圧を伴う電極から、正の電圧を伴う電極へと移動する。
【0059】
図5は、本発明の別の例によるデバイス100を上面図で示す概略図である。この例は、
図4a~
図4cに示された例に基づき、より多くの量子ビットを提供するためのそのスケーラビリティを例証する。示された例において、磁性体10のグリッドは超伝導体30の上部に配置され、グリッドは二次ギャップ17を有する。
【0060】
図6a~
図6dは、本発明の別の例によるデバイスを示す概略図であり、2つのスキルミオン、およびしたがって2つのスキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bは、電流によって移動される。
図4a~
図4cのデバイス100は、長方形ジオメトリを伴う磁性体のグリッドを有するが、
図6a~
図6dのデバイス100は、三角形ジオメトリを伴う磁性体10のグリッドを有する。
【0061】
図4a~
図4cのように、磁性体10は薄い絶縁層(
図6a~
図6dでは不図示、によって超伝導体30から分離され、スキルミオン、およびしたがってスキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bを移動させるために電流が使用される。
図6a~
図6dでは、電極13はQ、R、S、T、U、およびVで標示される。マヨラナをブレイディングするために、スキルミオン-ボルテックス・ペア50a、50bは以下のように移動される。
図6aによれば、電極Vと電極Sとの間に電圧が印加される。これが、電極Vと電極Sとの間に配置される事前に定義された電流経路に沿って、第1のスキルミオン-ボルテックス・ペア50aを電極Sに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。続いて、
図6bによって例証されるように、電極Tと電極Qとの間に電圧が印加される。これが、電極Tと電極Qとの間に配置される事前に定義された電流経路に沿って、第2のスキルミオン-ボルテックス・ペア50bを電極Qに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。続いて、
図6cによって例証されるように、電極Rと電極Uとの間に電圧が印加される。これが、電極Rと電極Uとの間に配置される事前に定義された電流経路に沿って、第1のスキルミオン-ボルテックス・ペア50aを電極Uに向かって駆動または移動させる電流を誘導する。したがって、
図6a~
図6dに例証される手順によって、スキルミオン-ボルテックス・ペア50aおよび50bに結び付けられるマヨラナは、それらの位置を交換することによってブレイディングされている。
図6a~
図6cによれば、スキルミオン-ボルテックス・ペアは、負の電圧を伴う電極から、正の電圧を伴う電極へと移動する。
【0062】
図7は、本発明の別の例によるデバイス100を上面図で示す概略図である。この例は、
図6a~
図6dに示された例に基づき、より多くの量子ビットを提供するためのそのスケーラビリティを例証する。示された例において、磁性体10のグリッドは超伝導体30の上部に配置され、グリッドは三角形のギャップを有する。
図7の破線は、事前に定義された電流経路Pのうちの1つを示す。経路は2つの端部を有し、各々の端部は電極13を備える。
【0063】
任意のトポロジカル量子ゲートの中心であるエニオンをブレイディングできることで、本格的なトポロジカル量子コンピュータに向けて経路を開く。任意のゲートの機能性を検証するために、系を読み出さなければならない。これは、2つのエニオンを融合することによって実行され得る。スキルミオン-ボルテックス・ペアに結び付けられたエニオンの融合を達成するための可能な方式は、スキルミオンのうちの1つをピン留めし、他のスキルミオンをその中に移動させることである。エニオンを融合することによって、系の状態に記憶された論理情報にアクセスすることができる。
【0064】
要約すると、本発明では、エニオンを、特に最も単純な非アーベルクラスの、すなわちマヨラナ・ゼロ・エネルギー・モードのエニオンを、以前のいずれの他の理論的提案よりも実用的なやり方で、生成し、操作し、および読み出すために、実験的で実現可能なプラットフォームが提供される。特に、最新の観察がなされておらず、トポロジカル量子計算の分野における主要な欠落構成要素である、ブレイディングのために決定的な証拠が得られる実験を実行するための直接的手段が提供される。本発明は、エニオンの生成、ブレイディング、および融合を可能にするだけでなく、量子ビットの数を増大させる可能性も提供するため、トポロジカル量子計算についての道を開き、いくつかの課題を解決する。より具体的には、本発明は、現在利用可能な技術の助けによって、エニオンの準粒子のブレイディングを可能にし、したがって、トポロジカル量子コンピュータの実現のための中心基盤を証明および提供する。
【符号の説明】
【0065】
10 磁性体(磁気層)
13 電極
15 磁気テクスチャ(スキルミオン)
17 磁性体内のギャップ
20 絶縁体(絶縁層)
30 超伝導体(超伝導層)
35 超伝導ボルテックス
40 走査トンネル顕微鏡(STM)チップ
50 磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(スキルミオン-ボルテックス・ペア)
50a 第1の磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(第1のスキルミオン-ボルテックス・ペア)
50b 第2の磁気テクスチャ-ボルテックス・ペア(第2のスキルミオン-ボルテックス・ペア)
100 デバイス(磁性体-超伝導体ヘテロ構造)
P 経路