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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】レーザチップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/16 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01S5/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022521056
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2021078162
(87)【国際公開番号】W WO2021179917
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202010172742.8
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522042418
【氏名又は名称】シェンチェン ライティング インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン ヂャオヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ディン シンチー
(72)【発明者】
【氏名】ウ- ヤン フォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ワン
(72)【発明者】
【氏名】リィァォ グゥイブォ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】トゥ チンミン
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022235(WO,A1)
【文献】特開2006-108225(JP,A)
【文献】特開平09-139550(JP,A)
【文献】特開平10-290043(JP,A)
【文献】特開2009-170463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069165(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102113187(CN,A)
【文献】特開平05-102611(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102891435(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110323284(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108736316(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザチップの製造方法であって、
活性層と前記活性層に順に積層された被覆層及びコンタクト層とを含むレーザエピタキシャル構造を提供するステップと、
前記コンタクト層に第1マスク層を覆い、前記第1マスク層に窓を開けて第1窓領域を形成するステップと、
前記第1窓領域を介して前記コンタクト層を一次エッチングすることで、前記第1窓領域に対応し且つ前記被覆層を露出させる第2窓領域を形成するステップと、
前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して前記被覆層及び前記活性層に対して亜鉛拡散を行うステップと、
前記第1マスク層を除去するステップと、
前記コンタクト層に第2マスク層を覆い、前記第2マスク層に窓を開けて第3窓領域を形成するステップと、
前記第3窓領域を介して前記コンタクト層を二次エッチングすることで、前記第2窓領域を前記第3窓領域に対応するように拡大するステップとを含み、
前記第3窓領域の前記コンタクト層での投影は、前記第2窓領域の周辺に位置する、ことを特徴とするレーザチップの製造方法。
【請求項2】
前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して前記被覆層及び前記活性層に対して亜鉛拡散を行うステップは、
前記第1マスク層と、前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して露出する前記被覆層とに、亜鉛拡散層を覆うことと、
熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させることとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させる前に、
前記亜鉛拡散層に酸化ケイ素層を覆うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させた後、
前記酸化ケイ素層及び前記亜鉛拡散層を順に除去するステップを更に含む、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理方式の処理温度は、600℃以上である、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法は、
前記コンタクト層に絶縁層を設けるステップと、
前記絶縁層及び前記コンタクト層にコンタクト金属層を覆うステップとを更に含み、
前記第2窓領域は、前記絶縁層によって充填されている、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記一次エッチングは、溶液ウェットエッチング又は機械ドライエッチングである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1窓領域の寸法は、5μm以上15μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のレーザチップの製造方法で製造された、ことを特徴とするレーザチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ分野に関し、特にレーザチップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光出力パワーを増大させ、信頼性及び耐用年数を向上させることは、常に半導体レーザ分野の研究の重点であり、壊滅的な光学ミラーの損傷は、半導体レーザの最大出力パワー及び信頼性に影響を与える、無視できない重要な要因であり、壊滅的な光学ミラーの損傷とは、レーザキャビティ面の領域が共振空胴内部の高い光放射を吸収した後、当該箇所の温度がその融点を超えることをもたらし、キャビティ面が溶融する壊滅的破壊を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させる方法は、一般的に、キャビティ面の光に対する吸収を減少させることであり、従来技術において、一般的に、エピタキシャル再成長の方式を採用してキャビティ面の付属領域にワイドバンドギャップ材料を改めてエピタキシャル成長させ、さらに光を出力するために関連する透明ウィンドウを形成することにより、キャビティ面の光に対する吸収を減少させる。しかし、エピタキシャル再成長のプロセスは、複雑であり、且つコストが高く、また、エピタキシャル領域のつながり問題が発生し、さらにデバイス性能に影響を及ぼすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させるプロセスが複雑であるという従来技術の問題を解決するために、レーザチップ及びその製造方法を提供する。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する解決手段は、レーザチップの製造方法を提供し、前記方法は、活性層と前記活性層に順に積層された被覆層及びコンタクト層とを含むレーザエピタキシャル構造を提供するステップと、前記コンタクト層に第1マスク層を覆い、前記第1マスク層に窓を開けて第1窓領域を形成するステップと、前記第1窓領域を介して前記コンタクト層を一次エッチングすることで、前記第1窓領域に対応し且つ前記被覆層を露出させる第2窓領域を形成するステップと、前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して前記被覆層及び前記活性層に対して亜鉛拡散を行うステップと、前記第1マスク層を除去するステップと、前記コンタクト層に第2マスク層を覆い、前記第2マスク層に窓を開けて第3窓領域を形成するステップと、前記第3窓領域を介して前記コンタクト層を二次エッチングすることで、前記第2窓領域を前記第3窓領域に対応するように拡大するステップとを含み、前記第3窓領域の前記コンタクト層での投影は、前記第2窓領域の周辺に位置する。
【0006】
本発明に係る一実施形態によれば、前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して前記被覆層及び前記活性層に対して亜鉛拡散を行うステップは、前記第1マスク層と、前記第1窓領域及び前記第2窓領域を介して露出する前記被覆層とに、亜鉛拡散層を覆うことと、熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させることとを含む。
【0007】
本発明に係る一実施形態によれば、熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させる前に、前記亜鉛拡散層に酸化ケイ素層を覆うステップを更に含む。
【0008】
本発明に係る一実施形態によれば、熱処理方式により前記亜鉛拡散層における亜鉛を前記被覆層及び前記活性層へ拡散させた後、前記酸化ケイ素層及び前記亜鉛拡散層を順に除去するステップを更に含む。
【0009】
本発明に係る一実施形態によれば、前記熱処理方式の処理温度は、600℃以上である。
【0010】
本発明に係る一実施形態によれば、前記製造方法は、前記コンタクト層に絶縁層を設けるステップと、前記絶縁層及び前記コンタクト層にコンタクト金属層を覆うステップとを更に含み、前記第2窓領域は、前記絶縁層によって充填されている。
【0011】
本発明に係る一実施形態によれば、前記一次エッチングは、溶液ウェットエッチング又は機械ドライエッチングである。
【0012】
本発明に係る一実施形態によれば、前記第1窓領域の寸法は、5μm以上15μm以下である。
【0013】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する他の解決手段は、前記レーザチップの製造方法で製造された、レーザチップを提供する。
本発明に係る一実施形態によれば、前記レーザチップは、レーザエピタキシャル構造を含み、前記レーザエピタキシャル構造は、活性層と、前記活性層に順に積層された被覆層及びコンタクト層とを含み、前記コンタクト層には、前記被覆層を露出させる窓領域が形成され、前記活性層内及び被覆層内に亜鉛拡散領域が形成され、前記窓領域の前記被覆層での投影は、前記亜鉛拡散領域の周辺に位置し、且つ前記亜鉛拡散領域と一定の距離を隔てる。
【0014】
本発明に係る一実施形態によれば、前記レーザチップは、前記コンタクト層に順に積層された絶縁層及びコンタクト金属層を更に含み、前記窓領域は、前記絶縁層によって充填されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、下記のようになる。従来技術と異なり、本願は、まずコンタクト層に第1マスク層を覆い、第1マスク層に窓を開けて第1窓領域を形成し、さらに第1窓領域に基づきコンタクト層をエッチングして第2窓領域を形成することで、被覆層を露出させ、その後、亜鉛拡散層を覆い、熱処理方式により亜鉛拡散を実現し、さらに被覆層及び活性層に亜鉛拡散領域を形成することで、キャビティ面の局所の量子井戸成分の原子が互いに拡散するように効果的にすることができ、さらにキャビティ面の局所のバンドギャップ幅を向上させ、さらにキャビティ面の局所の光に対する吸収を減少させ、壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させ、さらにレーザチップ全体の耐用年数及び品質を向上させることができる。一方、レーザエピタキシャル構造に直接に拡散を行うことに比べ、本願は、窓を開ける方式により、亜鉛拡散層を量子井戸により近接させることができ、それにより、拡散効率を向上させ、熱処理時間が長すぎることによってレーザチップの他の層にドーピングが発生するという問題を防止することができるため、レーザチップの他の層に悪影響を与えない。一方、まずコンタクト層に窓を開けてから第1マスク層を覆うことではなく、まずコンタクト層に第1マスク層を覆うため、第1マスク層が高低レベル(一部がコンタクト層の窓領域内に位置し、一部が部分的にコンタクト層に位置する)に起因して、熱処理方式の環境で熱応力によって破断することを防止することができ、さらに第1マスク層が破断することによって第1マスク層が失効するという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願に係るレーザチップの製造方法の第1実施例の模式的なフローチャートである。
図2図1におけるレーザエピタキシャル構造の一実施形態の構成模式図である。
図3図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図4図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図5図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図6図1におけるステップS14のサブステップの模式的なフローチャートである。
図7図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図8図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図9図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図10図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図11図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図12】本願に係るレーザチップの製造方法の第2実施例の模式的なフローチャートである。
図13図1におけるレーザエピタキシャル構造の他の実施形態の構成模式図である。
図14】本願に係るレーザチップの一実施形態の構成模式図である。
図15】本願に係るレーザチップの他の実施形態の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における解決手段を明確に完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに得る他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0018】
なお、本発明の実施例に「第1」、「第2」等に関する説明があれば、この「第1」、「第2」等の説明は説明目的のみに用いられ、その相対的な重要性を指示するか又は暗示するか又は指示された技術的特徴の数量を暗黙的に示すと理解することができない。これにより、「第1」、「第2」が限定された特徴は少なくとも一つの当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。また、各実施例の間の技術案は互いに組み合わせることができるが、当業者が実現できることを基礎としなければならず、技術案の組み合わせが互いに矛盾するか又は実現できない場合にこのような技術案の組み合わせが存在せず、本発明が求める保護範囲内にないと考えられるべきである。
【0019】
図1に示すように、図1は、本願に係るレーザチップの製造方法の第1実施例の模式的なフローチャートであり、具体的に、以下のステップを含み、
S11では、レーザエピタキシャル構造を提供し、レーザエピタキシャル構造は、活性層と、活性層に順に積層された被覆層及びコンタクト層とを含む。
【0020】
図2に示すように、レーザエピタキシャル構造10を提供し、当該レーザエピタキシャル構造10は、活性層100、被覆層200及びコンタクト層300を含む。ここで、被覆層200とコンタクト層300とは、活性層100に順に積層されている。
【0021】
S12では、コンタクト層に第1マスク層を覆い、第1マスク層に窓を開けて第1窓領域を形成する。
【0022】
図3及び図4に示すように、コンタクト層300に第1マスク層310を覆い、第1マスク層310に窓を開けることで、第1マスク層310に第1窓領域311を形成し、第1窓領域311によりコンタクト層300を露出させることができる。
【0023】
選択可能に、第1マスク層310は、具体的にSiNx層であってもよい。
【0024】
選択可能に、第1窓領域311の寸法は、具体的に必要な共振空胴の寸法に基づいて予め設定することができ、5μm以上15μm以下であってもよい。例えば5μm、10μm又は15μmであってもよい。
【0025】
S13では、第1窓領域を介してコンタクト層を一次エッチングすることで、第1窓領域に対応し且つ被覆層を露出させる第2窓領域を形成する。
【0026】
図5に示すように、第1窓領域311を介してコンタクト層300を一次エッチングすることで、コンタクト層300に第2窓領域320を形成することができ、被覆層200は、第2窓領域320により露出することができる。
【0027】
ここで、当該第2窓領域320は、第1窓領域311に対応し、且つ第1窓領域311の寸法に等しく、即ち、第1窓領域311と第2窓領域320とは、被覆層200での投影が重なる。
【0028】
選択可能に、一次エッチングは、具体的に、溶液ウェットエッチング又は機械ドライエッチングであってもよい。コンタクト層300は、被覆層200とは、成分が異なるため、被覆層200に影響を与えず、予め設定された比率の溶液を用いてコンタクト層300をエッチングし、又はエッチングナイフによりコンタクト層300の厚みに応じてコンタクト層300に対して機械的なドライエッチングを行ってもよい。
【0029】
S14では、第1窓領域及び第2窓領域を介して被覆層及び活性層に対して亜鉛拡散を行う。
【0030】
第1窓領域311及び第2窓領域320を介して被覆層200及び活性層100に対して亜鉛拡散を行う。
【0031】
図6を参照すると、図6は、図1に示すステップS14のサブステップであり、具体的に以下のステップを含む。
【0032】
S141では、第1マスク層と、第1窓領域及び第2窓領域を介して露出する被覆層とに、亜鉛拡散層を覆う。
【0033】
図7に示すように、第1マスク層310と、第1窓領域311及び第2窓領域320を介して露出する被覆層200とに、亜鉛拡散層330を覆う。
【0034】
選択可能に、亜鉛拡散層330は、具体的にZnO:SiOであり、具体的に、スパッタリング方式を採用して第1マスク層310と露出する被覆層200とに亜鉛拡散層330を形成してもよい。
【0035】
S142では、亜鉛拡散層に酸化ケイ素層を覆う。
【0036】
選択可能な実施例では、さらに亜鉛拡散層330に酸化ケイ素層340を覆ってもよい。さらに酸化ケイ素層340を覆うことにより、亜鉛拡散層330と被覆層200とがより良い密着効果を有することができ、さらに亜鉛拡散効果を増強させることができる。
【0037】
S143では、熱処理方式により亜鉛拡散層における亜鉛を被覆層及び活性層へ拡散させる。
【0038】
熱処理方式により、亜鉛拡散層330における亜鉛は、被覆層200及び活性層100に拡散することができる。
【0039】
図7及び図8に示すように、熱処理方式の環境で、亜鉛拡散層330における亜鉛は、被覆層200の方向に向かって拡散し始め、さらに活性層100に拡散し、それにより、被覆層200及び活性層100の原子拡散を実現し、被覆層200及び活性層100に亜鉛拡散領域110を形成する。
【0040】
選択可能に、レーザエピタキシャル構造10の各層が準安定界面であり、且つ亜鉛原子が強い拡散性を有するため、被覆層200及び活性層100に対して亜鉛拡散を行うことにより、レーザエピタキシャル構造10におけるキャビティ面の局所の量子井戸成分の原子が互いに拡散するようにすることができ、さらにキャビティ面の局所のバンドギャップ幅を向上させることができ、さらにキャビティ面の局所の光に対する吸収を減少させることができ、壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させ、さらにレーザチップ全体の耐用年数及び品質を向上させることができる。
【0041】
選択可能に、熱処理方式の処理温度は、具体的に、600℃以上であってもよい。
【0042】
上記実施例のステップS141において、第1窓領域311及び第2窓領域320に露出する被覆層200に亜鉛拡散層330を覆うだけでなく、さらに第1マスク層310に亜鉛拡散層330を覆うため、後続の亜鉛拡散過程において、第1マスク層310に位置する亜鉛拡散層330は、第1窓領域311及び第2窓領域320に位置する第2マスク層330に絶えずに亜鉛原子を提供することができ、それにより、被覆層200における亜鉛原子濃度を高いレベルに維持することができ、さらに亜鉛拡散全体の効果を向上させることができる。
【0043】
S144では、酸化ケイ素層と亜鉛拡散層を順に除去する。
【0044】
亜鉛拡散を完了した後、酸化ケイ素層340と亜鉛拡散層330を順に除去してもよい。
【0045】
上記実施例では、まずコンタクト層300に第1マスク層310を覆い、第1マスク層310に窓を開けて第1窓領域311を形成し、さらに第1窓領域311に基づきコンタクト層300をエッチングして第2窓領域320を形成することで、被覆層200を露出させ、その後、亜鉛拡散層330を覆い、熱処理方式により亜鉛拡散を実現し、さらに被覆層200及び活性層100に亜鉛拡散領域110を形成することで、キャビティ面の局所の量子井戸成分の原子が互いに拡散するように効果的にすることができ、さらにキャビティ面の局所のバンドギャップ幅を向上させ、さらにキャビティ面の局所の光に対する吸収を減少させ、壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させ、さらにレーザチップ全体の耐用年数及び品質を向上させることができる。一方、レーザエピタキシャル構造10に直接に拡散を行うことに比べ、本願は、窓を開ける方式により、亜鉛拡散層330を量子井戸により近接させることができ、それにより、拡散効率を向上させ、熱処理時間が長すぎることによってレーザチップの他の層にドーピングが発生するという問題を防止することができるため、レーザチップの他の層に悪影響を与えない。一方、まずコンタクト層300に窓を開けてから第1マスク層310を覆うことではなく、まずコンタクト層300に第1マスク層310を覆うことにより、第1マスク層310が高低レベル(一部がコンタクト層300の窓領域内に位置し、一部分が部分的にコンタクト層300に位置する)に起因して、熱処理方式の環境で熱応力によって破断することを防止することができ、さらに第1マスク層310が破断することによって第1マスク層310が失効するという問題を解決する。
【0046】
S15では、第1マスク層を除去する。
【0047】
亜鉛拡散を完了した後、第1マスク層310を除去してもよい。
【0048】
S16では、コンタクト層に第2マスク層を覆い、第2マスク層に窓を開けて第3窓領域を形成し、第3窓領域のコンタクト層での投影は、第2窓領域の周辺に位置する。
【0049】
図9に示すように、第1マスク層310を除去した後、さらにコンタクト層300に第2マスク層370を覆ってもよい。また、第2マスク層370に窓を開けることにより、第2マスク層370に第3窓領域371を形成し、第3窓領域371のコンタクト層300での投影は、第2窓領域320の周辺に位置する。即ち、第2窓領域320のコンタクト層300での投影は、第3窓領域371のコンタクト層300での投影の内周領域に位置する。
【0050】
選択可能に、第2マスク層370は、具体的に、フォトリソグラフィマスクであってもよい。
【0051】
S17では、第3窓領域を介してコンタクト層を二次エッチングすることにより、第2窓領域を第3窓領域に対応するように拡大する。
【0052】
図10及び図11に示すように、第3窓領域371を介してコンタクト層300を二次エッチングすることにより、第2窓領域320を第3窓領域371に対応するように拡大する。選択可能に、他の予め設定された比率の溶液を用いてコンタクト層300をウェットエッチングしてもよい。
【0053】
エッチングが完了した後、第2マスク層370を除去してもよい。
【0054】
上記実施例では、コンタクト層300に第2マスク層370を覆い、第2窓領域320に加え、第2マスク層370に窓を開け、第2窓領域320を拡大させるために、コンタクト層300をエッチングすることで、亜鉛拡散の領域を直接位置決めすることができ、従来のいくつかのイオン注射などの方式により亜鉛拡散を実現する方法に比べ、亜鉛拡散の領域を改めて位置決めする必要がなく、亜鉛拡散の領域を直接レーザ共振空胴の領域とすることができ、さらにプロセスを効果的に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0055】
上述したように、本願は、まずコンタクト層300に第1マスク層310を覆い、第1マスク層310に窓を開けて第1窓領域311を形成、第1窓領域311に基づきコンタクト層300をエッチングして第2窓領域320を形成することにより、被覆層200を露出させ、その後、亜鉛拡散層330を覆い、熱処理方式により亜鉛拡散を実現し、さらに被覆層200及び活性層100に亜鉛拡散領域110を形成し、キャビティ面の局所の量子井戸成分の原子が互いに拡散するように効果的にすることができ、さらにキャビティ面の局所のバンドギャップ幅を向上させることができ、さらにキャビティ面の局所の光に対する吸収を減少させ、壊滅的な光学ミラーの損傷閾値を向上させ、レーザチップ全体の耐用年数及び品質を向上させることができる。また、さらに、コンタクト層300に第2マスク層370を覆い、第2窓領域320に加え、第2マスク層370に窓を開けて、第2窓領域320を拡大させるために、コンタクト層300をエッチングすることで、亜鉛拡散の領域に直接位置決めすることができ、従来のいくつかのイオン注射などの方式により亜鉛拡散を実現する方法に比べ、亜鉛拡散の領域を改めて位置決めする必要がなく、亜鉛拡散の領域を直接レーザ共振空胴の領域とすることができ、さらにプロセスを効果的に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0056】
図12に示すように、図12は、本願に係るレーザチップの製造方法の第2実施例の模式的なフローチャートであり、具体的に、以下のステップを含む。
【0057】
S21では、コンタクト層に絶縁層を設ける。
【0058】
図13に示すように、コンタクト層300に、さらに絶縁層400を設ける。且つ、第2窓領域320は、絶縁層400によって充填されている。選択可能に、当該絶縁層400のコンタクト層300での投影は、第2窓領域320の周辺に位置する。
【0059】
図13に示すように、絶縁層400は、主に第2窓領域320を囲んで設けられ、コンタクト層300の全体を完全に被覆していない。
【0060】
S22では、前記絶縁層及び前記コンタクト層にコンタクト金属層を覆う。
【0061】
その後、絶縁層400及びコンタクト層300にさらにコンタクト金属層500を覆う。
【0062】
上記実施例では、さらにコンタクト層300に絶縁層400を設け、絶縁層400及びコンタクト層300にコンタクト金属層500を覆うことにより、レーザチップの製造を完了する。
【0063】
図14に示すように、本願は、さらにレーザチップ1を提供し、当該レーザチップ1は、基板20と、基板20に設けられたレーザエピタキシャル構造10とを含み、当該レーザエピタキシャル構造10は、活性層100と、活性層100に順に積層された被覆層200及びコンタクト層300とを含み、コンタクト層300には、被覆層200を露出させる窓領域350が形成され、活性層100内及び被覆層200内に亜鉛拡散領域110が形成され、窓領域350の被覆層200での投影は、亜鉛拡散領域110の周辺に位置し、亜鉛拡散領域110と一定の距離を隔てる。
【0064】
図15に示すように、レーザチップ1は、コンタクト層300に順に積層された絶縁層400及びコンタクト金属層500を更に含み、窓領域350は、絶縁層400によって充填されている。
【0065】
以上は、単に本発明の実施例であり、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を利用して行われた等価結果若しくは等価フロー変換、又は他の関連する技術分野に直接的若しくは間接的に応用することは、いずれも同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
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図2
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図11
図12
図13
図14
図15