(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01M 1/38 20060101AFI20241002BHJP
F16C 32/06 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01M1/38
F16C32/06 Z
(21)【出願番号】P 2022541202
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022080539
(87)【国際公開番号】W WO2023123681
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202111669388.0
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510120045
【氏名又は名称】哈爾濱工業大学
【氏名又は名称原語表記】HAERBIN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】劉 占生
(72)【発明者】
【氏名】于 樹博
(72)【発明者】
【氏名】張 樹山
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103439051(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110094424(CN,A)
【文献】特開2001-054267(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112595457(CN,A)
【文献】特開2011-002380(JP,A)
【文献】特開2005-321261(JP,A)
【文献】特開平08-189873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00- 1/38
F16C 32/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置であって、
エアサスペンションキャビティ(1)、エンドカバー(2)、台座(3)、支柱(4)、ディスクシート(5)、および2つの軸方向位置決め装置(6)を含み、
前記2つの軸方向位置決め装置(6)は、スライドウェイ(6-1)、2つのノズル位置決め構造(6-2)および2つのノズル(6-3)をそれぞれ含み、
前記スライドウェイ(6-1)は、軸方向に沿って前記エアサスペンションキャビティ(1)の側部に固定して取り付けられ、
前記スライドウェイ(6-1)には、長さ方向に沿ってシュートが加工され、
前記ノズル位置決め構造(6-2)は直方体構造であり、
前記ノズル位置決め構造(6-2)の一端には、前記スライドウェイ(6-1)にフィットする取り付け溝が加工され、
前記ノズル位置決め構造(6-2)の一端は、それぞれ前記スライドウェイ(6-1)にスライド可能に取り付けられ、
前記ノズル位置決め構造(6-2)の他端には、前記エアサスペンションキャビティ(1)の軸線に平行なノズル取り付け穴が加工され、
前記ノズル(6-3)は前記ノズル取り付け穴内に挿入して取り付けられ、且つ、前記ノズル位置決め構造(6-2)の他端は、前記ノズル取り付け穴と垂直に連通する止めねじ穴が加工され、
前記ノズル(6-3)は前記止めねじ穴を介してノズル位置決め構造(6-2)に接続され、
前記エアサスペンションキャビティ(1)内部には、作業空気キャビティ(1-2)と前記作業空気キャビティ(1-2)と連通する複数の円筒形吸気チャンネル(1-3)が形成され、
前記作業空気キャビティ(1-2)は、前記エアサスペンションキャビティ(1)の一端に位置し、
前記エアサスペンションキャビティ(1)の上面は、円弧状の作業表面(1-1)であり、
前記作業表面(1-1)には、複数の円筒形の吸気チャンネル(1-3)と連通した吸気穴(1-4)が加工され、
前記エンドカバー(2)は、前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記作業空気キャビティ(1-2)に近い前記一端側の端面に固定して取り付けられると共に、前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記作業空気キャビティ(1-2)を密閉し、
前記エンドカバー(2)には、前記作業空気キャビティ(1-2)と連通する複数の空気供給穴(2-2)が加工され、
前記エンドカバー(2)の下端は、前記台座(3)の上端に回転可能に接続され、前記作業空気キャビティ(1-2)と反対側である前記エアサスペンションキャビティ(1)の他端は、前記支柱(4)を介して前記ディスクシート(5)に接続され、
前記エアサスペンションキャビティ(1)の両側部にはそれぞれ軸方向に沿って2つの前記軸方向位置決め装置(6)が取り付けられている
ことを特徴とする高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項2】
前記作業表面(1-1)の断面の円弧に対応する中心角の数値が60°~180°であることを特徴とする請求項1に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項3】
前記複数の吸気チャンネル(1-3)の分配位置は、円周方向に沿って中央から両端にかけて徐々にまばらになるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項4】
前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記一端側の端面には、シール溝(1-5)が加工され、
前記シール溝(1-5)は前記作業空気キャビティ(1-2)の周囲に配置され、
前記シール溝(1-5)内にはゴムまたはシリコーンのシールストリップが取り付けられ、
取り付けられた前記ゴム又はシリコーンのシールストリップは、前記エンドカバー(2)によって圧着され、
前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記一端側の端面には、複数のねじ穴(1-6)が加工され、エンドカバー(2)には、前記複数のねじ穴(1-6)それぞれの位置に対応する第1円筒形貫通穴(2-1)が加工され、
前記エンドカバー(2)と前記エアサスペンションキャビティ(1)とは、前記ねじ穴(1-6)および前記第1円筒形貫通穴(2-1)を介してボルトによって接続されていることを特徴とする請求項3に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項5】
前記作業空気キャビティ(1-2)と反対側の前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記他端の下端には、内凹状半球面(1-7)が加工され、
前記支柱
(4)の上端には、前記半球面(1-7)とフィットする外凸状半球面(4-1)が加工され、
前記ディスクシート(5)にはディスクシートネジ穴(5-1)が加工され、
前記支柱(4)には前記ディスクシートネジ穴(5-1)とフィットする雄ネジ(4-2)が加工され、
前記支柱(4)と前記ディスクシート(5)は、前記雄ネジ(4-2)および前記ディスクシートネジ穴(5-1)を介して接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項6】
前記エンドカバー(2)の下端には、第2円筒形貫通穴(2-3)が貫通して加工され、
前記台座(3)には前記第2円筒形貫通穴(2-3)のサイズと一致する第3円筒形貫通穴(3-1)が加工され、
前記エンドカバー(2)と前記台座(3)とは、前記第2円筒形貫通穴(2-3)および前記第3円筒形貫通穴(3-1)を介してピンによって接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項7】
前記エンドカバー(2)および前記台座(3)は、前記ピンの軸中心に沿って0°~±8°の角度でスイングする可能であることを特徴とする請求項6に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項8】
前記ディスクシート(5)にはストップロッド(5-2)が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置による釣合わせ方法であって、
静釣合わせ待機の回転リング状部品をエアサスペンションキャビティ(1)の上に配置し、回転リング状部品が水平になるように、高さと水平度を調整するステップS1と、
外部から供給される空気は、作業空気キャビティ(1-2)および吸気穴(1-4)によって前記エアサスペンションキャビティ(1)の上面の作業表面(1-1)と回転リング状部品の内面の間に支持力を有する空気層を形成して、回転リング状の部品を浮かせるステップS2と、
前記回転リング状部品を回転させたときに前記回転リング状部品に静不釣合いがある場合、不釣り合いの大きさを含む位相は自動的に最低点まで回転して静止し、その位相で減重したり、その反対側の位相で加重したりすることを、回転リング状部品が静止後の最下点の位相がランダムになるまで繰り返して、回転リング状部品の静釣合わせ操作が完了するステップS3と
を含むことを特徴とする高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静釣合わせ装置および方法に関し、詳しくは、回転リング状部品の静釣合わせ分野に属する、高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転リング状の部品(リングギア、ブッシングなど)は、製造業、航海、航空、宇宙飛行などの分野で広く使用されている部品の一種である。回転リング状部品は製造中、材料の欠陥、設計エラー、その他の要因の影響により、必然的に静不釣合い質量が発生する。回転リング状部品が主軸と一緒に回転する過程で、これらの静不釣合い質量はシステムの異常な振動を引き起こし、機器の損耗を増加させ、システムの壊滅的な損傷さえも増加させ、システムの安全性と信頼性を著しく低下させる。静釣合わせ技術は回転リング状部品の静不釣合い質量を低減し、機器やシステムの振動レベルを下げることができ、安全性や信頼性を向上させるために重要である。
【0003】
リングギアやブッシングなどの回転リング状部品の外面は円筒形ではないため、バランスガイドレールや転がり軸受スイングフレームなどの既存の静釣合わせ装置は、回転リング状部品の静釣合わせに直接使用できず、通常、ローターとブッシングを組み合わせて使用される。しかし、ローターとブッシング自体の不つりあい質量、およびハードコンタクトの摩擦トルクが大きいため、回転リング状部品の静釣合わせの精度が大幅に低下する。
【0004】
国際公開番号がWO2020/224614 A1であり、国際出願番号がPCT/CN2020/088949であって、発明の名称が「ローター静釣合わせ用スプリット型調節可能スイング角静圧ガス軸受装置および回転リング状部品の静釣合わせエアサスペンション支持装置」である発明特許において、具体的に回転リング状部品静釣合わせのエアサスペンション支持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2020/224614号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献に記載の当該装置は、回転リング状部品の静釣合わせにおいて以下のようないくつか問題がある。
(1)当該エアサスペンション支持装置のエアサスペンション支持構造は、シングルサポートの方式を採用し、且つ静釣合わせ時に回転リング状部品はエアサスペンション支持構造の上にスリーブして設置する必要があるため、当該エアサスペンション支持装置はサイドサポートの方式を採用する必要があり、サイドサポートとシングルサポートを組み合わせたサポート方式は、既存の回転リング状部品のエアサスペンション静釣合わせ装置は、部品の長さが短い場合には適しているもの、長さの長い回転リング状部品の静釣合わせには不向きである。
【0007】
(2)当該エアサスペンション支持装置のエアサスペンション構造はシングルサポートの方式を採用しているため、当該エアサスペンション支持装置は高さの調整しかできず、水平度の調整を行うことができない。
【0008】
(3)当該エアサスペンション支持装置のエアサスペンション構造と両側の軸方向位置決め装置の調整範囲が狭いため、任意の長さの回転リング状部品の軸方向の位置決めを行うことができない。
【0009】
(4)当該エアサスペンション支持構造内の作業空気キャビティは一体型空洞であるため、エアサスペンション支持構造の上部は曲面シート構造を形成し、エアサスペンション支持構造の強度と剛性を大幅に低下させ、その結果、既存の回転リング状部品のエアサスペンション的静釣合わせ装置は、軽量部品の場合には適しているが、重量の重い回転リング状部品の静釣合わせには適していない。
【0010】
このように、従来の回転リング状部品のエアサスペンション静釣合わせ装置には、部品の長さが短い場合にのみ適し、長さが長い回転リング状部品を静釣合わせできないという問題がある。
【0011】
本発明は、従来の回転リング状部品のエアサスペンション静釣合わせ装置に存在する部品の幅が短い場合にのみ適し、幅が長い回転リング状部品を静釣合わせできないという問題を解決し、更に、高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置であって、エアサスペンションキャビティ(1)、エンドカバー(2)、台座(3)、支柱(4)、ディスクシート(5)、および2つの軸方向位置決め装置(6)を含み、前記2つの軸方向位置決め装置(6)は、スライドウェイ(6-1)、2つのノズル位置決め構造(6-2)および2つのノズル(6-3)をそれぞれ含み、前記スライドウェイ(6-1)は、軸方向に沿って前記エアサスペンションキャビティ(1)の側部に固定して取り付けられ、前記スライドウェイ(6-1)には、長さ方向に沿ってシュートが加工され、前記ノズル位置決め構造(6-2)は直方体構造であり、前記ノズル位置決め構造(6-2)の一端には、前記スライドウェイ(6-1)にフィットする取り付け溝が加工され、前記ノズル位置決め構造(6-2)の一端は、それぞれ前記スライドウェイ(6-1)にスライド可能に取り付けられ、前記ノズル位置決め構造(6-2)の他端には、前記エアサスペンションキャビティ(1)の軸線に平行なノズル取り付け穴が加工され、前記ノズル(6-3)は前記ノズル取り付け穴内に挿入して取り付けられ、且つ、前記ノズル位置決め構造(6-2)の他端は、前記ノズル取り付け穴と垂直に連通する止めねじ穴が加工され、前記ノズル(6-3)は前記止めねじ穴を介してノズル位置決め構造(6-2)に接続され、前記エアサスペンションキャビティ(1)内部には、作業空気キャビティ(1-2)と前記作業空気キャビティ(1-2)と連通する複数の円筒形吸気チャンネル(1-3)が形成され、前記作業空気キャビティ(1-2)は、前記エアサスペンションキャビティ(1)の一端に位置し、前記エアサスペンションキャビティ(1)の上面は、円弧状の作業表面(1-1)であり、前記作業表面(1-1)には、複数の円筒形の吸気チャンネル(1-3)と連通した吸気穴(1-4)が加工され、前記エンドカバー(2)は、前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記作業空気キャビティ(1-2)に近い前記一端側の端面に固定して取り付けられると共に、前記エアサスペンションキャビティ(1)の前記作業空気キャビティ(1-2)を密閉し、前記エンドカバー(2)には、前記作業空気キャビティ(1-2)と連通する複数の空気供給穴(2-2)が加工され、前記エンドカバー(2)の下端は、前記台座(3)の上端に回転可能に接続され、前記作業空気キャビティ(1-2)と反対側である前記エアサスペンションキャビティ(1)の他端は、前記支柱(4)を介して前記ディスクシート(5)に接続され、前記エアサスペンションキャビティ(1)の両側部にはそれぞれ軸方向に沿って2つの前記軸方向位置決め装置(6)が取り付けられている。
【0013】
更に、作業表面(1-1)の断面の円弧に対応する中心角の数値は60°~180°である。
【0014】
更に、複数の吸気チャンネル(1-3)の分配位置は、円周方向に沿って中央から両端にかけて徐々にまばらになるように配置されている。
【0015】
更に、エアサスペンションキャビティ(1)の一端側の端面には、シール溝(1-5)が加工され、シール溝(1-5)は作業空気キャビティ(1-2)の周囲に配置され、シール溝(1-5)内にはゴムまたはシリコーンのシールストリップが取り付けられ、取り付けられたゴム又はシリコーンのシールストリップは、エンドカバー(2)によって圧着され、エアサスペンションキャビティ(1)の一端側の端面には、複数のねじ穴(1-6)が加工され、エンドカバー(2)には、複数のねじ穴(1-6)それぞれの位置に対応する第1円筒形貫通穴(2-1)が加工され、エンドカバー(2)とエアサスペンションキャビティ(1)とは、ねじ穴(1-6)および第1円筒形貫通穴(2-1)を介してボルトによって接続されている。
【0016】
更に、作業空気キャビティ(1-2)と反対側の前記エアサスペンションキャビティ(1)の他端の下端には、内凹状半球面(1-7)が加工され、支柱(4)の上端には、半球面(1-7)とフィットする外凸状半球面(4-1)が加工され、ディスクシート(5)にはディスクシートネジ穴(5-1)が加工され、支柱(4)にはディスクシートネジ穴(5-1)とフィットする雄ネジ(4-2)が加工され、支柱(4)とディスクシート(5)は、雄ネジ(4-2)およびディスクシートネジ穴(5-1)を介して接続されている。
【0017】
更に、エンドカバー(2)の下端には、第2円筒形貫通穴(2-3)が貫通して加工され、台座(3)には第2円筒形貫通穴(2-3)のサイズと一致する第3円筒形貫通穴(3-1)が加工され、エンドカバー(2)と台座(3)とは、第2円筒形貫通穴(2-3)および第3円筒形貫通穴(3-1)を介してピンによって接続されている。
【0018】
更に、エンドカバー(2)および台座(3)は、ピンの軸中心に沿って0°~±8°の角度でスイングできる。
【0020】
更に、空気供給穴(2-2)の直径は0.1~0.2mmである。
【0021】
更に、ディスクシート(5)にはストップロッド(5-2)が取り付けられている。
【0022】
本発明は高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置に基づく方法を更に提供し、静釣合わせ待機の回転リング状部品をエアサスペンションキャビティ(1)の上に配置し、回転リング状部品が水平になるように、高さと水平度を調整するステップS1と、外部から供給される空気は、作業空気キャビティ(1-2)および吸気穴(1-4)によってエアサスペンションキャビティ(1)の上面の作業表面(1-1)と回転リング状部品の内面の間に支持力を有する空気層を形成して、回転リング状の部品を浮かせるステップS2と、回転リング状部品を回転させたときに回転リング状部品に静不釣合いがある場合、不釣り合いの大きさを含む位相は自動的に最低点まで回転して静止し、その位相で減重したり、その反対側の位相で加重したりすることを、回転リング状部品が静止後の最下点の位相がランダムになるまで繰り返して、回転リング状部品の静釣合わせ操作が完了するステップS3とを含む。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比較して本発明は、以下のような有益な技術的効果を有する。
1、本発明のエアサスペンションキャビティ1上面の作業表面1-1と回転リング状部品内面はフィットし、外部から供給される空気は、作業空気キャビティ1-2内に入り、更に複数の吸気穴1-4からエアサスペンションキャビティ1の外部に噴出し、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1と回転リング状部品内面の間に一定の支持力を有する空気層を形成して、回転リング状の部品を浮かせた後、静釣合わせを行うことができる。
【0024】
2、本発明は高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置を提供し、他の回転部品の助けを借りずに、回転リング状部品に対して直接静釣合わせを行うことができて、ローターやブッシングなどの回転部品自体の不釣合い質量の影響を排除でき、且つ、回転リング状部品はエアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1から空気層を介して離間しており、摩擦トルクが低いため、回転リング状部品の静釣合わせ精度を大幅に向上させることができる。
【0025】
3、本発明のエアサスペンションキャビティ1は、両側部を軸方向位置決め装置6により二重支持する方法を採用しているので、本発明の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置は、幅の短い回転リング状部品の静釣合わせに使用できる。また、幅の長い回転リング状部品の静釣合わせに使用でき、静釣合わせ装置の汎用性が大幅に向上する。
【0026】
4、本発明は、支柱4を回転させることにより、エアサスペンションキャビティの水平度を迅速に調整でき、支柱4を回転させてエアサスペンションキャビティの片側の高さを調整する場合、エアサスペンションキャビティ1、エンドカバー2と台座3はピンの軸中心に沿って回転し、エアサスペンションキャビティ1の水平度を迅速に調整できて、静釣合わせの効率を向上させることができる。
【0027】
5、本発明のエアサスペンションキャビティ1の両側にはそれぞれ軸方向に沿って2つの軸方向位置決め装置6を取り付けられ、スライドウェイ6-1は、ボルト締めによってエアサスペンションキャビティ1の底部に接続されて固定され、ノズル6-3は、ノズル位置決め構造6-2によってスライドウェイ6-1内で軸方向および垂直方向にスライドすることができて、回転リング状部品の端面の位置に調整し、外部から供給される空気はノズル6-3を介して回転リング状部品の端面にガスを噴出することで、回転リング状部品が軸方向に移動するのを防ぐことができ、幅やサイズの異なる回転リング状部品の静釣合わせに抵抗可能になり、静釣合わせの汎用性を向上させた。
【0028】
6、本発明のエアサスペンションキャビティ1は、内部に円弧状の作業空気キャビティ1-2および、作業空気キャビティ1-2に連通する複数の円筒形空洞である吸気チャンネル1-3が形成され、既存のエアサスペンション支持装置と比較して、本発明の吸気チャンネル1-3は、エアサスペンションキャビティ1内に分散配置されていることから、エアサスペンションキャビティ1の強度を効果的に改善することができ、本発明のエアサスペンションキャビティ1は重い部品にも適用することが可能になり、さらに、重い回転リング状部品の静釣合わせを行うことができる。また、複数の吸気チャンネル1-3の分配位置は、円周方向に沿って中央から両端にかけて徐々にまばらになるように配置されており、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1の頂部にある吸気穴1-4の数は比較的多く、回転リング状部品を指示する支持力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の具体的な実施形態一の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の斜視図である。
【
図2】本発明のエアサスペンションキャビティの断面図である。
【
図3】本発明のエアサスペンションキャビティの側面図である。
【
図8】本発明の具体的な実施形態五のディスクシートの断面図である。
【
図9】本発明の軸方向位置決め装置の正面図である。
【
図10】本発明の軸方向位置決め装置の側面図である。
【
図11】本発明の具体的な実施形態五の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の回転リング状部品に対する静釣合わせ時の斜視図である。
【
図12】本発明の具体的な実施形態十の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の斜視図である。
【
図13】本発明の具体的な実施形態十のディスクシートの断面図である。
【
図14】本発明の具体的な実施形態十の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の回転リング状部品に対する静釣合わせ時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(具体的な実施形態一)
図1から
図10を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置および方法であって、エアサスペンションキャビティ1、エンドカバー2、台座3、支柱4、ディスクシート5、および2つの軸方向位置決め装置6が含まれ、エアサスペンションキャビティ1の内部には、作業空気キャビティ1-2と作業空気キャビティ1-2と連通する軸方向に長尺の複数の円筒形空洞である吸気チャンネル1-3が形成されている。作業空気キャビティ1-2は、エアサスペンションキャビティ1の一端側の端面に円弧状に凹設され、エアサスペンションキャビティ1の上面は、円弧状の作業表面1-1を成す。作業表面1-1には、複数の吸気チャンネル1-3と連通した吸気穴1-4が加工され、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1の曲率は、回転リング状部品の内輪の曲率と同じに設定されている。エンドカバー2は、作業空気キャビティ1-2が形成されたエアサスペンションキャビティ1の一端側端面に固定して取り付けられて、エンドカバー2により、エアサスペンションキャビティ1の作業空気キャビティ1-2が密閉されている。エンドカバー2には、作業空気キャビティ1-2と連通する空気供給穴2-2が加工され、エンドカバー2の下端は、台座3の上端と回転可能に接続されている。作業空気キャビティ1-2と反対側のエアサスペンションキャビティ1の他端は、支柱4を介してディスクシート5に接続され、支柱4を介してエアサスペンションキャビティ1の水平度を調整でき、エアサスペンションキャビティ1の軸線に平行な両側部にはそれぞれ軸方向に沿って2つの軸方向位置決め装置6が取り付けられている。作業時には、外部から供給される空気が、空気供給穴2-2を介して作業空気キャビティ1-2、吸気チャンネル1-3を経て吸気穴1-4からエアサスペンションキャビティ1の外部に噴出され、エアサスペンションキャビティ1の上面の作業表面1-1と回転リング状部品内面との間に、支持力を有する空気層を形成して回転リング状の部品を浮かせた後、静釣合わせ行う。
【0031】
(具体的な実施形態二)
図1および
図3を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の作業表面1-1の断面の円弧に対応する中心角の数値は60°~180°である。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一と同じである。
【0032】
(具体的な実施形態三)
図1および
図2を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の複数の円筒形空洞である吸気チャンネル1-3の配置位置は、エアサスペンションキャビティ1の断面円周方向に沿って中央から両端にかけて徐々にまばらになるように配置されている。このように複数の吸気チャンネル1-3を配置することで、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1の頂部にある吸気穴1-4の数は比較的多く、本発明の支持力を向上できる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一又は二と同じである。
【0033】
(具体的な実施形態四)
図1、
図3および
図4を参照して本実施形態を説明する。本実施形態のエアサスペンションキャビティ1の一端側の端面には、シール溝1-5が加工され、シール溝1-5は円弧状の作業空気キャビティ1-2の周囲を囲むように配置され、シール溝1-5内にはゴムまたはシリコーンのシールストリップが取り付けられ、ゴム又はシリコーンのシールストリップは、エンドカバー2が圧着することにより、作業空気キャビティ1-2および各吸気チャンネル1-3の気密性が保持されるようになっている。エアサスペンションキャビティ1の一端側端面のシール溝1-5の周囲には、複数のエアサスペンションキャビティのねじ穴1-6が加工され、エンドカバー2には、エアサスペンションキャビティの各ねじ穴1-6それぞれの位置に対応する第1円筒形貫通穴2-1が加工され、エンドカバー2とエアサスペンションキャビティ1とは、エアサスペンションキャビティのねじ穴1-6および第1円筒形貫通穴2-1を介してボルトによって接続されている。このように、エアサスペンションキャビティ1とエンドカバー2とをボルトにより接続することで、部品の組み立ておよびゴムまたはシリコーンのシールストリップの交換が容易になっている。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二又は三と同じである。
【0034】
(具体的な実施形態五)
図2、
図7および
図8を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の作業空気キャビティ1-2と反対側であるエアサスペンションキャビティ1の他端側の下端には、内凹状半球面1-7が形成され、支柱4の上端には、半球面1-7とフィットする外凸状半球面4-1が形成され、ディスクシート5にはディスクシートネジ穴5-1が加工され、支柱4にはディスクシートネジ穴5-1とフィットする雄ネジ4-2が加工され、支柱4とディスクシート5は、雄ネジ4-2およびディスクシートネジ穴5-1を介して接続されている。このように設定して、支柱4を回転させることにより、エアサスペンションキャビティの水平度を迅速に調整でき、静釣合わせ効率を向上することができる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二、三又は四と同じである。
【0035】
(具体的な実施形態六)
図4、
図5および
図6を参照して本実施形態を説明する。本実施形態のエンドカバー2の下端には、第2円筒形貫通穴2-3が貫通して加工され、台座3には第2円筒形貫通穴2-3のサイズと一致する第3円筒形貫通穴3-1が加工され、エンドカバー2と台座3の間は、第2円筒形貫通穴2-3および第3円筒形貫通穴3-1を介してピンによって接続されている。これにより、支柱4を回転させてエアサスペンションキャビティの片側の高さを調整する場合に、エアサスペンションキャビティ1およびエンドカバー2と台座3とが、ピンの軸中心に沿って回転し、エアサスペンションキャビティ1の水平度を迅速に調整することができる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二、三、四又は五と同じである。
【0036】
(具体的な実施形態七)
図1から
図10を参照して本実施形態を説明する。本実施形態のエンドカバー2および台座3は、ピンの軸中心に沿って0°~±8°の角度でスイングできる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二、三、四、五又は六と同じである。
【0037】
(具体的な実施形態八)
図1を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の各軸方向位置決め装置6は、スライドウェイ6-1、2つのノズル位置決め構造6-2および2つのノズル6-3を含み、スライドウェイ6-1は、軸方向に沿ってエアサスペンションキャビティ1の側端に固定して取り付けられ、スライドウェイ6-1には、長さ方向に沿ってシュートが加工され、ノズル位置決め構造6-2は長方体構造であり、ノズル位置決め構造6-2の一端には、スライドウェイ6-1にフィットする取り付け溝が加工され、2つのノズル位置決め構造6-2の一端は、それぞれスライドウェイ6-1にスライド可能に取り付けられ、ノズル位置決め構造6-2の他端には、エアサスペンションキャビティ1の軸線に平行なノズル取り付け穴が加工され、ノズル6-3はノズル取り付け穴内に挿入して取り付けられ、且つ、ノズル位置決め構造6-2の他端は、ノズル取り付け穴と垂直に連通する止めねじ穴が加工され、ノズル6-3は止めねじを介してノズル位置決め構造6-2に接続される。このように設定して、スライドウェイ6-1は、ボルト締めによってエアサスペンションキャビティ1の底部(下部)に接続されて固定され、ノズル6-3は、ノズル位置決め構造6-2によってスライドウェイ6-1内で軸方向および垂直方向にスライドすることができて、回転リング状部品の端面の位置に調整し、外部から供給される空気はノズル6-3を介して回転リング状部品の端面にガスを噴出することで、回転リング状部品が軸方向に移動するのを防ぐことができる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二、三、四、五、六又は七と同じである。
【0038】
(具体的な実施形態九)
図1と
図2を参照して本実施形態を説明する。本実施形態の空気供給穴2-2の直径は、0.1~0.2mmである。こうすることで、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1に空気供給穴2-2が直接加工され、これは、既存のスロットル穴と比較して、加工がより簡単であり、加工効率を改善することができる。他の構成要素および接続関係は、具体的な実施形態一、二、三、四、五、六、七又は八と同じである。
【0039】
(具体的な実施形態十)
図12、
図13、
図14を参照して本実施形態を説明する。本実施形態と実施形態五との違いは、本実施形態のディスクシート5にストップロッド5-2が取り付けられ、支柱4を回転させることにより、エアサスペンションキャビティ1の水平度を調整でき、ストップロッド5-2は水平度の調整過程でディスクシート5の回転を防ぐ。具体的には、ストップロッド5-2は、ディスクシート5の下部を垂直に貫通するように取り付けられ、且つストップロッド5-2は、ディスクシートネジ穴5-1の下側に位置する。
【0040】
更に、本発明の高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置に基づく方法を更に提供し、静釣合わせ待機の回転リング状部品をエアサスペンションキャビティ1の上に配置し、回転リング状部品が水平になるように、高さと水平度を調整するステップS1と、外部から供給される空気は、作業空気キャビティ1-2、吸気チャンネル1-3および吸気穴1-4によってエアサスペンションキャビティ1の上面の作業表面1-1と回転リング状部品の内面の間に支持力を有する空気層を形成して、回転リング状の部品を浮かせるステップS2と、回転リング状部品を回転させたときに回転リング状部品に静不釣合いがある場合、不釣り合いの大きさを含む位相は自動的に最低点まで回転して静止し、その位相で減重したり、その反対側の位相で加重したりすることを、回転リング状部品が静止後の最下点の位相がランダムになるまで繰り返して、回転リング状部品の静釣合わせ操作が完了するステップS3とを含む。
【0041】
<静釣り合わせ作業手順>
図1から
図14を参照し、本発明に記載される高精度回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の作業手順を以下に説明する。
まず、回転リング状部品の内部支持エアサスペンション静釣合わせ装置の台座3を平台に固定し、エアサスペンションキャビティ1の一端のエンドカバー2はピンシャフトを介して台座3に回転可能に接続させ、静釣合いを検出する回転リング状部品をエアサスペンションキャビティ1の上に配置して、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1と回転リング状部品内面を接触させる。
次に、ディスクシート5を平台に置き、支柱4の下端をディスクシート5にねじ込んで取り付け、ディスクシート5にストップロッド5-2を取り付け、支柱4上端の外凸状半球面4-1をエアサスペンションキャビティ1の他端の内凹状半球面1-7に嵌め合わせて取り付け、支柱4を回転させてエアサスペンションキャビティ1の水平度を速やかに調整し、ストップロッド5-2は水平度の調整過程でディスクシート5の回転を防ぎ、具体的には、作業する場合、ストップロッド5-2を押したまま、支柱4を回転させる。
さらに、静釣合い検出の回転リング状部品の幅サイズに応じて、スライドウェイ6-1における軸方向位置決め装置6のノズル6-3の位置を調整し、次に、ノズル6-3と回転リング状部品の端面との間の距離を調整し、外部から供給されるガスをノズル6-3を介して回転リング状部品の端面に噴出することで、回転リング状部品が軸方向に移動するのを防ぐ。
最後に、一定圧力の空気を、空気供給穴2-2から作業空気キャビティ1-2、円筒形の吸気チャンネル1-3に送給し、吸気穴1-4からエアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1と回転リング状部品の内面との間に噴出することにより、エアサスペンションキャビティ1の作業表面1-1と回転リング状部品の内面との間に一定の支持力を有する空気層を形成して、回転リング状部品を浮かせた状態で静釣合わせを行う。
【0042】
なお、上記の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するためのものであって、それらを限定するためのものではない。本発明は、先行する実施形態を参照して詳細に説明されたが、先行する実施形態に記録された技術的解決策を修正するか、その技術的特徴の一部に対して同等の代替を行うことは依然として可能であり、これらの修正または代替は、本発明の様々な実施形態の技術的解決策の精神および範囲から対応する技術的解決策の本質を逸脱しないことが当業者には理解できるはずである。そして、本発明の実施形態の技術は、本発明の実施形態の中で、その技術的特徴の一部に相当する。
【符号の説明】
【0043】
1 エアサスペンションキャビティ、
1-1 作業表面、
1-2 作業空気キャビティ、
1-3 円筒形の吸気チャンネル、
1-4 吸気穴、
1-5 シール溝、
1-6 エアサスペンションキャビティのねじ穴、
1-7 内凹状半球面、
2 エンドカバー、
2-1 第1円筒形貫通穴、
2-2 空気供給穴、
2-3 第2円筒形貫通穴、
3 台座、
3-1 第3円筒形貫通穴、
4 支柱、
4-1 外凸状半球面、
4-2 雄ネジ、
5 ディスクシート、
5-1 ディスクシートネジ穴、
5-2 ストップロッド、
6 軸方向位置決め装置、
6-1 スライドウェイ、
6-2 ノズル位置決め構造、
6-3 ノズル