IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社bajjiの特許一覧

特許7564578取引システム、取引方法、及び管理サーバ
<>
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図1
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図2
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図3
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図4
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図5
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図6
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図7
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図8
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図9
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図10
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図11
  • 特許-取引システム、取引方法、及び管理サーバ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】取引システム、取引方法、及び管理サーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241002BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20241002BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20241002BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0207
G06Q30/0241
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023156376
(22)【出願日】2023-09-21
【審査請求日】2023-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344866
【氏名又は名称】株式会社bajji
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎和
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特許第7320311(JP,B1)
【文献】特開2018-041433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0156754(US,A1)
【文献】登録実用新案第3238289(JP,U)
【文献】特表2021-502017(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0014052(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0098312(KR,A)
【文献】IoTNEWS編集部,bajji、環境貢献型NFT「capture.x」で貯まったポイントを「楽天ポイント」に交換できるサービスを開始,2023年07月20日,https://iotnews.jp/sustainability/229906/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバとブロックチェーンとを備えた取引システムであって、
前記管理サーバが、ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンを前記ブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する制御部を備えた
取引システム。
【請求項2】
前記管理サーバでは、前記制御部が、前記ユーザ端末より送られてきた前記非代替性トークンに対する応援通知を受け付け、前記非代替性トークンに関連する前記セルに対する応援数として管理すると共に、前記ユーザの端末に対して前記応援通知の送信に対するインセンティブを算出し付与する
請求項1に記載の取引システム。
【請求項3】
前記管理サーバでは、前記制御部が、前記ユーザ端末により特定された前記セルに対応する前記CO削減のステータス、前記応援数を含む管理情報を特定し、前記管理情報に関わる表示データを前記ユーザ端末に送信し、
前記セルに対して所定の企業又は所定の地方自治体の広告が関連付けられている場合には、前記表示データに前記広告を含める
請求項2に記載の取引システム。
【請求項4】
管理サーバとブロックチェーンとを備えた取引システムによる方法であって、
前記管理サーバの制御部が、ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンを前記ブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する
取引方法。
【請求項5】
前記管理サーバの前記制御部が、前記ユーザ端末より送られてきた前記非代替性トークンに対する応援通知を受け付け、前記非代替性トークンに関連する前記セルに対する応援数として管理すると共に、前記ユーザの端末に対して前記応援通知の送信に対するインセンティブを算出し付与する
請求項4に記載の取引方法。
【請求項6】
前記管理サーバの前記制御部が、前記ユーザ端末により特定された前記セルに対応する前記CO削減のステータス、前記応援数を含む管理情報を特定し、前記管理情報に関わる表示データを前記ユーザ端末に送信し、
前記セルに対して所定の企業又は所定の地方自治体の広告が関連付けられている場合には、前記表示データに前記広告を含める
請求項5に記載の取引方法。
【請求項7】
ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンをブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する制御部を備えた
管理サーバ。
【請求項8】
前記制御部が、前記ユーザ端末より送られてきた前記非代替性トークンに対する応援通知を受け付け、前記非代替性トークンに関連する前記セルに対する応援数として管理すると共に、前記ユーザの端末に対して前記応援通知の送信に対するインセンティブを算出し付与する
請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記制御部が、前記ユーザ端末により特定された前記セルに対応する前記CO削減のステータス、前記応援数を含む管理情報を特定し、前記管理情報に関わる表示データを前記ユーザ端末に送信し、
前記セルに対して所定の企業又は所定の地方自治体の広告が関連付けられている場合には、前記表示データに前記広告を含める
請求項8に記載の管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、CO回収設備を始めとする環境改善に貢献する設備等のデジタルツインを非代替性トークン化し、当該非代替性トークンの取引を可能とし、設備と消費者の距離を縮め、脱炭素社会の実現を加速させる技術に係り、特に地域をマップ上で所定単位に細分化したセルごとに、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果を可視化し、共有し、取り組みに対するモチベーションを高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、脱炭素社会(カーボンニュートラル)に向けて世界が動き始めている。ここ1年間で約400億トンのCOが排出されおり、0.4億トンのCOは回収され、その利活用が始まっている。カーボンニュートラルな社会を実現するためには、COの排出量を減らすのと同時に、現在の数百倍規模まで回収量を増やすことが求められている。
【0003】
地球温暖化問題はCOの排出が最大の原因といわれており、私たち個々人の行動変容が重要である。しかし、車の運転を控えること、買い物時にマイバッグを持参することなど、CO削減のための様々な取り組みが掲げられる一方で、目に見えないCOというものに対して身近に感じづらく、行動が続かないという課題もある。
【0004】
ここで、特許文献1では、受付部、決定部、出力部及び記憶部を備え、記憶部は、決定装置を動作させるための各種プログラムを記憶し、受付部は、目標年度までに削減すべき温室効果ガスの目標削減量を受け付け、決定部は、目標削減量に基づいて、予め定められたアルゴリズムに従って目標年度までの対象年度毎の目標削減量を決定する脱炭素社会の構築に向けた決定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7021388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、CO回収設備を始めとする環境改善に貢献する設備等と消費者の距離を縮め、世界中の人々の行動変容に働きかけ、2050年脱炭素社会の実現という大きな目標に向けて世界の動きを加速させるのに寄与する従来技術は存在しない。
【0007】
また、地域単位で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果について確認できる従来技術は存在せず、地域に根付いた企業や、地域に思い入れのあるユーザが、脱炭素社会の実現に向けた取り組みについて、より前向きに取り組めるようなプラットフォームについても従来は存在しない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境改善に貢献する設備等と消費者の距離を縮め、世界中の人々の行動変容に働きかけ、脱炭素社会の実現という大きな目標に向けて世界の動きを加速させると共に、地球を例えば緯度経度等といった所定単位で分割した仮想世界を構築し、その分割したひとマスをセルと定義し、当該セルごとに割り当てられた脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果を可視化及び共有化し、社会及びユーザの取り組みに対するモチベーションを高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る取引システムは、管理サーバとブロックチェーンとを備えた取引システムであって、前記管理サーバが、ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンを前記ブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する制御部を備えた。
【0010】
本発明の他の態様に係る取引方法は、管理サーバとブロックチェーンとを備えた取引システムによる方法であって、前記管理サーバの制御部が、ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンを前記ブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する。
【0011】
本発明の他の態様に係る管理サーバは、ユーザ端末、及び企業サーバと通信し、少なくとも前記企業サーバより送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンをブロックチェーン上に発行し、前記ユーザ端末との間で前記非代替性トークンに係る取引を実行し、前記非代替性トークンを、地球を所定の緯度経度単位で細分化したセルと関連付けて管理し、前記企業サーバより送信された前記非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいて前記セルごとのCO削減のステータスを特定し、前記ステータスが所定のステータスになると前記セルを指標する指標画像を前記セルの地理情報に基づいて生成する制御部を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境改善に貢献する設備等と消費者の距離を縮め、世界中の人々の行動変容に働きかけ、脱炭素社会の実現という大きな目標に向けて世界の動きを加速させると共に、地球を例えば緯度経度等といった所定単位で分割した仮想世界を構築し、その分割したひとマスをセルと定義し、当該セルごとに割り当てられた脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果を可視化及び共有化し、社会及びユーザの取り組みに対するモチベーションを高める技術を提供することができる。
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る取引システムの構成図である。
図2】同取引システムの管理サーバの構成図である。
図3】同取引システムのユーザ端末の構成図である。
図4】同取引システムによる非代替性トークンの発行等に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図5】同取引システムによる非代替性トークンの取引等に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図6】同取引システムによるセル単位での成果の可視化に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図7】同取引システムによる指標となる画像の生成に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図8】ユーザ端末での画面表示例を示す図である。
図9】ユーザ端末での画面表示例を示す図である。
図10】ユーザ端末での画面表示例を示す図である。
図11】ユーザ端末での画面表示例を示す図である。
図12】ユーザ端末での画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0015】
本発明の実施形態に係る取引システム、取引方法、及び管理サーバは、CO回収設備やメガソーラー設備など、脱炭素社会に向けた設備に係るデジタルツインの非代替性トークン(non-fungible token;以下、NFTと略記)の取引を行うマーケットプレイスを提供するものである。ここでいう設備には、工場、スマートシティ等も概念的には含まれることは勿論である。
【0016】
一般のユーザは、NFTの購入によって設備のデジタルオーナーになると、各設備の日々のCO回収量をチェックすることができ、CO回収量に応じて価値を獲得でき、蓄積した価値を活用できるようになる。このように、自身がデジタルオーナーとなった設備のCO回収量が日々可視化され、確認可能となることから、一般のユーザは、「CO削減」をより身近に感じることができるようになる。
【0017】
したがって、一般のユーザにとってなじみが薄かった脱炭素ハードテックとの橋渡しとなると共に、CO回収設備と消費者との距離を縮めるという新たな手法によって、世界中の人々の行動変容に働きかけ、2050年脱炭素社会の実現という大きな目標に向けて世界の動きを加速させるのに寄与するものである。
【0018】
本発明の実施形態に係る取引システム、取引方法、及び管理サーバは、上記効果を実現するために、NFTのマーケットプレイスを運営、管理する。当該マーケットプレイスによれば、NFTの売買のみならず、NFTの転売、オークション等、様々な取引が可能である。このマーケットプレイスでの取引の過程で、NFTの価値は向上し、累積された価値は、NFTのステータス、資産価値を示すものとなるだろう。
【0019】
以上に加えて、本発明の実施形態に係る取引システム等によれば、地球を例えば緯度経度等といった所定単位で分割した仮想世界を構築し、その分割したひとマスをセルと定義し、当該セルごとに割り当てられた脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果(例えばCO削減量等)を可視化及び共有化する。この成果の可視化、共有化によれば、地域に根付いた企業や地域に思い入れのあるユーザの取り組みに対するモチベーションを高め、取り組みを更に加速させることも可能となる。
【0020】
図1には、本発明の実施形態に係る取引システムの構成を示し説明する。
【0021】
同図に示されるように、本発明の実施形態に係る取引システムは、脱炭素社会に向けた設備のデジタルツインに係るNFTの取引を実現するものである。同取引システムは、管理サーバ1と、ユーザ端末2と、企業サーバ3と、中継サーバ4と、ブロックチェーン5とを備えている。管理サーバ1は、ユーザ端末2,企業サーバ3、及び中継サーバ4とインターネット等のネットワーク6を介して接続されている。ユーザ端末2としては、スマートフォンやタブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等、各種のものを採用することができる。
【0022】
ここで、「ユーザ」とは、NFTの購入等の取引を所望する一般消費者等を意味する。図1では、ユーザ端末2を1つだけ図示しているが、実際には複数のユーザ端末2が存在している。一方、「企業」とは、脱炭素社会に向けた設備の所有者等であり、本サービスで自己の設備に係るNFTの取引を所望する主体である。図1では、企業サーバ3を1つだけ図示しているが、実際には複数の企業の企業サーバ3が存在している。この企業サーバ3の中には、設備の所有者のほか、後述するセルに対して、企業PRやキャンページを実施する企業、地方自治体も含まれることは勿論である。
【0023】
ブロックチェーン5とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータに暗号技術を組み合わせた上で、NFTを同期して記録するものである。本実施形態では、ブロックチェーン5としては、例えば、スマートコントラクト機能を備えた分散型アプリケーションプラットフォーム等を採用できる。但し、これには限定されず、多種多様なプラットフォームと連携することができる。
【0024】
このような構成において、脱炭素社会に向けた設備等の所有者である企業は、本サービスによる取引を所望とする場合には、サービスの申し込みを行う。この申込の際には、企業サーバ3は、設備等に係るデータを管理サーバ1に送信する。管理サーバ1では、この申込を受け付けると、設備等に係るデータ等に基づいてデジタルツインを生成する。ここで、「デジタルツイン」とは、例えば、企業等で稼働している脱炭素社会に向けた設備等の単なる見た目上の複製ではなく、当該設備等の稼働情報等を現実世界と仮想世界とで同期可能とするデータ等である。本実施形態では、企業から送信されてきた脱炭素社会に向けた設備等のイメージデータや仕様データ等に基づいてデジタルツインを生成するが、それは現実世界の設備等の稼働データとの同期を実現するものとなる。
【0025】
続いて、管理サーバ1は、デジタルツインについてNFTをブロックチェーン5上に発行し、分散台帳管理を行う。これ以降、NFTは、管理サーバ1が運営するマーケットプレイスにて、一般に購入希望者が募られ、リクエストに応じて購入等、各種の取引が実行されることになる。
【0026】
ユーザ端末2より、NFTの購入のリクエストがあると、管理サーバ1は、当該NFTの登録情報を更新し、所定の決済処理を実行した後、取引完了に係る通知をユーザ端末2に送信する。ここで、登録情報の更新とは、管理サーバ1の内部で管理しているNFT登録情報に購入者としてのユーザのユーザ情報を紐づける内部処理であって、ブロックチェーン5で管理されているNFTの所有者は運営者のままである。管理サーバ1は、購入者からNFTの所有権の移転に関するリクエストを受けたときには、スマートコントラクトに対してトランザクションを実行して、NFTの所有権の移転を行う。
【0027】
本サービスに参加している企業では、企業サーバ3が、既にNFT化された対象である脱炭素社会に向けた設備等の稼働情報を、定期的に中継サーバ4に送信する。中継サーバ4は、複数の企業サーバ3から個別に送信された稼働情報をとりまとめて蓄積する。管理サーバ1は、予め定められた所定のタイミングで、中継サーバ4より蓄積された稼働情報を読み出し、当該稼働情報に基づいて、NFT購入者であるユーザに還元すべき価値を演算し、ユーザ情報と関連付けられている価値情報を更新する。
【0028】
ユーザは、マーケットプレイスのマイページ等で、蓄積された価値をいつでも確認することができ、更に電子決済等において当該価値を活用できる。ここで、価値とは、ポイント、マイル、仮想通貨、金融資産性トークン、及びサービス内通貨の少なくともいずれかである。例えば、ポイントは1ポイント1円等として普段使うものであり、マイルは100マイルがコーヒー一杯に交換する、100マイルをある業者のポイント200ポイントに交換するなどの資産価値を有する。
【0029】
以上に加えて、本実施形態に係る取引システムでは、地球を特定の緯度経度単位で分割したメッシュ状の仮想世界を構築し、その分割した際のひとマスをセルと定義し、NFTに紐づく設備が現実世界で削減したCO削減量のうち、NFTのデジタルオーナーが応援通知(以下、エールと称する)を送った日のCO削減量のみを仮想世界におけるCO削減慮としてカウントアップする。したがって、NFTのデジタルオーナーは、仮想世界におけるCO削減量を所望とするセルに割り当て、セルごとにカーボンニュートラル達成していくことで、最終的に全世界でのカーボンニュートラルの達成に貢献していることを実感することができる。また、各セルでカーボンニュートラルが達成されると、そのセルの地理情報や達成日時等のデータを入力として、当該セル(地域)を指標するAIアート(リワード画像)を生成し、デジタルオーナーに付与する。尚、リワード画像は、AIアートを基本とするが、セルにゆかりのあるアーティストやキャラクターとのコラボレーションアートや企業タイアップアート等でもよいものとする。
【0030】
取引システムは、CO削減のステータス、指標画像(リワード画像を含む)、NFTのデジタルオーナーによるエールの数、及び寄付額、実設備の稼働量、CO削減パワー等を管理しているので、ユーザ等は、セル単位でのCO削減に向けた取り組みの成果を確認することが可能となる。また、各セルに対して、当該セルに係る地域に根付いた企業や地方自自体によるPRやキャンペーンを実施することも可能となっている。
【0031】
さらに、取引システムは、エールを送ったデジタルオーナーに対して、環境貢献度が記載されたデジタル証明書(指標画像)を発行、付与する。従って、ユーザは、各セルの指標画像を確認することで、自己が応援しているセル、つまり地域のCO削減の達成度合いを、可視化された指標画像で適宜確認できるので、ユーザの地域支援に関わるモチベーションは高まり、支援活動の促進、ひいては地域ごとのCO削減に関わる取り組みの加速化を図ることが可能となる。
【0032】
図2(a)、図2(b)、図2(c)には、取引システムの管理サーバの構成を示し説明する。
【0033】
同図に示されるように、管理サーバは、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、バスラインを介して通信可能に接続されている。このほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等のネットワーク6と有線又は無線で接続され、ユーザ端末2、企業サーバ3、及び中継サーバ4等との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0034】
そして、記憶部13は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、ソリットステートドライブ(SSD;Solid State Drive)等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを記憶している。ここで、記憶部13は、例えば、ユーザ情報記憶部14、企業情報記憶部15、デジタルツイン記憶部16、NFT記憶部17、管理情報記憶部18、及び取引情報記憶部19を有している。
【0035】
すなわち、より詳細には、ユーザ情報記憶部14は、ユーザIDと紐づけて、ユーザの氏名、メールアドレス、決済情報、取引履歴情報、及び価値履歴情報、エール情報(残エールポイント、年間獲得エールポイント、生涯獲得エールポイントを含む)等を記憶したデータベースである。企業情報記憶部15は、企業の名称、設備の所在地(所在地の緯度及び経度等)管理者のメールアドレス、決済情報、取引履歴情報(商品IDを含む)、PR情報、キャンペーン情報等を記憶したデータベースである。さらに、デジタルツイン記憶部16は、商品IDと紐づけて、当該商品に係るデジタルツイン情報等を紐づけて記憶したデータベースである。
【0036】
NFT記憶部17は、NFTIDと紐づけて、当該NFTの対象としたデジタルツイン情報を特定するための商品ID、提供者(企業ID)、購入者(ユーザID)、所有者、取引条件等を記憶したデータベースである。
【0037】
そして、管理情報記憶部18は、CO2削減ステータス、指標画像、エール情報(例えばエール数等)、寄付情報(例えば寄付額等)、実設備の稼働量、CO2削減パワー、企業PR情報(企業IDを含む)、キャンペーン情報等を記憶したデータベースである。取引情報記憶部19は、取引IDと紐づけて、取引対象を特定するNFTID、取引履歴情報等を記憶したデータベースである。なお、これらは、あくまでも一例であって、本願発明がこれらに限定されないことは勿論である。
【0038】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現され、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、例えば、送受信制御部11a、デジタルツイン管理部11b、NFT管理部11c、マーケットプレイス管理部11d、取引処理部11e、稼働管理部11f、価値演算部11g、及び決済部11hとして機能する。制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成される。
【0039】
このような構成において、送受信制御部11aは、通信部12を介したユーザ端末2や企業サーバ3等とのデータの送受信を制御する。例えば、送受信制御部11aは、通信部12を介して、ユーザ端末2からのNFT購入のリクエストを受け付け、企業サーバ3からのサービス申込のリクエストを受け付ける受信部、ユーザ端末2や企業サーバ3に各種通知を送信する送信部として機能し、各種の送受信を制御する。
【0040】
デジタルツイン管理部11bは、企業サーバ3から送信されてきた脱炭素社会に向けた設備に係るイメージデータや仕様データ等に基づいてデジタルツインを生成し、当該デジタルツインをデジタルツイン記憶部16に登録し、管理する。
【0041】
NFT管理部11cは、より具体的には、図2(b)に示されるように、NFT発行部11c-1、NFT登録部11c-2、及びトランザクション実行部11c-3を有している。NFT発行部11c-1は、デジタルツイン記憶部16より、デジタルツインを読み出し、当該デジタルツインに基づくNFTをブロックチェーン5上に発行する。NFT登録部11c-2は、発行されたNFTをNFTIDと紐づけてNFT記憶部17に登録し、管理する。これにより、NFTは、管理サーバ1とブロックチェーン5の複数のノードで共有され、改ざん不能な状態で、分散台帳管理される。トランザクション実行部12c-3は、例えば、購入者であるユーザより、NFTの所有権の移転等のリクエストがあった場合に、ブロックチェーン5のスマートコントラクトに働きかけて所有権移転等のトランザクションを実行する。
【0042】
マーケットプレイス管理部11dは、NFTの売買等に関わるマーケットプレイスを提供し、その運営を管理する。具体的には、マーケットプレイスにて、購入可能なNFTをその価値等の取引情報と共にユーザに提示し、その取引を運営する。尚、詳細は後述するが、ユーザ端末2では、ウェブブラウザ機能により、Webサービスとしてのマーケットプレイスを活用し、あるいは、取引を行うためのアプリケーションプログラムをインストールすることで、マーケットプレイスを活用する。
【0043】
取引処理部11eは、企業サーバ3からの本サービスへの申し込みのリクエストや、ユーザ端末2によるNFTの購入のリクエストに基づいて、それら取引を処理し、記憶部13の登録情報を更新すると共に、取引完了等に係る通知を各者に送信する。例えば、取引処理部11eは、企業サーバ3から本サービスへの申し込みのリクエストを受けた場合には、企業情報記憶部15の登録情報(取引履歴情報等)や取引情報記憶部19の登録情報を更新する。一方、取引処理部11eは、ユーザ端末2からNFTの購入のリクエストを受けた場合には、ユーザ情報記憶部14の登録情報(取引履歴情報等)や取引情報記憶部19の登録情報を適宜更新する。取引処理部11eは、マーケットプレイスにおけるNFTの購入、販売、転売、及びオークション等、様々な取引の処理を司る。
【0044】
管理部11fは、図2(c)に示されるように、セル管理部11f-1、設備NFT管理部11f-2、及び設備管理部11f-3からなる。セル管理部11f-1は、更にステータス管理部11f-1aと指標画像管理部11f-1bを備える。設備NFT管理部11f-2は、更にエール情報管理部11f-2aと寄付情報管理部11f-2bを備える。そして、設備管理部11f-3は、更に稼働量管理部11f-3aとCO2削減パワー管理部11f-3bを備える。
【0045】
セル管理部11f-1では、ステータス管理部11f-2は、稼働情報から演算部11gにより算出されたCO削減量に基づいて、セルのCO削減活動に関わるステータスを特定し、管理情報記憶部18の登録情報を更新、管理する。この例では、ステータスは、「初期状態(CO充満状態)」、「CO削減中」、「カーボンニュートラル達成」の3段階を想定しているが、これには限定されない。指標画像管理部11f-1bは、例えば、セルのステータスが更新されるごとに生成部11iにより生成されるデジタル証明書や、カーボンニュートラル達成時に生成されるリワード画像等の指標画像について、管理情報記憶部18の登録情報を更新、管理する。
【0046】
設備NFT管理部11f-2では、エール数管理部11f-4は、セルごとに、NFTオーナーから送られた応援通知であるエール数等のエール情報を管理しており、所定のタイミングで、管理情報記憶部18の登録情報を更新する。寄付額管理部11f-5は、演算部11gにより算出されたNFTオーナーからのエールに伴う寄付額等の寄付情報に基づき、管理情報記憶部18の登録情報を更新する。
【0047】
そして、設備管理部11f-3では、稼働量管理部11f-1は、送受信制御部11aの制御の下、通信部12を介して、中継サーバ4より稼働情報を受信すると、当該稼働情報に基づいて、管理情報記憶部18の登録情報を更新、管理する。CO削減パワー管理部11f-3は、稼働情報から演算部11gにより算出されたセルのCO2削減パワー(kg/day)に基づいて、管理情報記憶部18の登録情報を更新、管理する。
【0048】
演算部11gは、NFTに関わる設備の稼働情報からセルのCO削減量、CO削減パワーを算出し、NFTオーナーからのエールに伴い寄付額を算出する。更に、演算部11gは、エールを送ったユーザに対するインセンティブ(エールポイント)を算出し、ユーザ情報記憶部14の登録内容を更新する。エールポイントの算定ルールについては、例えば、ベースポイントにNFTの販売額の10%/30日のように定めることができ、この例の場合、購入して31日以降は、ベースポイントのみとなる。但し、算定ルールは一例であって、これには限定されない。ユーザは、エールポイントを、単に受け取るだけではなく、別のNFTの購入の際に充当したり、外部の各種外部ポイントに交換したりするなどして、適宜活用することができる。
【0049】
さらに、演算部11gは、予め定められたタイミングで、稼働情報記憶部18の登録情報を読み出し、追加稼働量等に基づいて、所定の演算式の下で、各NFTに対して新たに付与される価値を演算し、ユーザ情報記憶部14を参照し、当該NFTの購入者であるユーザの登録情報(価値履歴情報)を更新する。
【0050】
このような処理が定期的に行われるので、ユーザは、自己のNFTに対応する設備の稼働量の現状や、それにより還元された価値等を随時確認することで、脱炭素社会に向けた取り組みに自己が参加しているという認識を高めることが可能となる。尚、「価値」とは、ポイント、マイル、仮想通貨、金融資産性トークン、及びサービス内通貨のいずれかである。価値演算部11gは、上記稼働情報に加えてNFTの資産価値、各種キャンペーン等に応じて、価値を演算してもよいことは勿論である。より具体的には、価値演算にあたって、地域によってレートを変更したり、発行数に上限がある場合に、市場の需要供給に合わせてレートを変更したり、することも可能である。
【0051】
決済部11hは、NFTの取引(例えば、購買など)が行われた場合等において、電子決済を実行する。例えば、ユーザ端末2によりNFTの購入がなされた場合には、ユーザ情報記憶部14の登録情報(決済情報)を参照して、購入代金の引き落とし処理を実行したり、当該NFTに係る設備の企業に対して、販売対価の入金処理を実行したりする。但し、これには限定されない。一般に、ブロックチェーン上での取引の場合には、ウォレットを介して決済がなされるが、本システムでは、NFTの所有者が運営者である状態下では、対ユーザについては内部管理になるため、一般的な電子決済により決済を行うことができ、ユーザにとっても簡便である。
【0052】
生成部11iは、セルのカーボンニュートラルの達成時に、当該セルの地理情報や達成日時を入力として、セルに係る地域(土地)を描いたAIアート(リワード画像;指標画像に概念上含まれる)を生成すると共に、CO2削減の目標達成度合いに応じて、環境貢献度が記載されたデジタル証明書(指標画像に概念上含まれる)を生成する。この生成された指標画像は、管理情報記憶部18に登録情報の一部として記憶される。
【0053】
なお、管理サーバ1は、一又は複数のサーバにより構成することが可能である。すなわち、例えば、NFT管理に関わる機能と、マーケットプレイス管理に関わる機能とを、複数のサーバに振り分け、処理を分散させることも可能である。
【0054】
図3には、取引システムのユーザ端末の構成を示し説明する。
【0055】
同図に示されるように、ユーザ端末2は、制御部21、通信部22、操作部23、表示部24、及び記憶部25を有する。各部21~25は、バスラインを介して通信自在に接続されている。通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等のネットワーク6と有線又は無線で接続され、管理サーバ1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、SSD等で実現されるもので、CPUやMPU等からなる制御部21で実行されるアプリケーションプログラム等を記憶している。
【0056】
制御部21は、ウェブブラウザ機能を有し、管理サーバ1の提供するマーケットプレイスを活用し、NFTの購入等、取引を実行することができる。あるいは、記憶部25に取引等に関わるアプリケーションプログラムをインストールし、実行することで、取引機能が実現され、管理サーバ1の提供するマーケットプレイスを活用し、NFTの購入等、各種取引を行うことができるようになる。
【0057】
以下、図4のフローチャートを参照して、取引システムによるNFTの発行等に係る処理の流れを説明する。
【0058】
企業サーバ3より、本サービスへの申し込みのリクエストがなされると(S1)、管理サーバ1では、送受信制御部11aが、この申込みを受け付ける(S2)。そして、管理サーバ1では、デジタルツイン管理部11bが、企業サーバ3から申し込み時に送信されてきた脱炭素社会に向けた設備に係るイメージデータや仕様データ等に基づいてデジタルツインを生成し、当該デジタルツインをデジタルツイン記憶部16に登録する(S3)。
【0059】
続いて、管理サーバ1では、NFT管理部11cが、NFTの発行を行う。より具体的には、NFT発行部11c-1が、デジタルツイン記憶部16より、デジタルツインを読み出し、当該デジタルツインに基づくNFTをブロックチェーン5上に発行する。NFT登録部11c-2が、発行されたNFTをNFTIDと紐づけてNFT記憶部17に登録し、管理する(S4,S5)。これにより、NFTは、管理サーバ1とブロックチェーン5の複数のノードで共有され、改ざん不能な状態で、分散台帳管理される(S6)。
【0060】
次に、図5のフローチャートを参照して、取引システムによるNFTの取引等に係る処理の流れを説明する。ここでは、NFTの購入を例に挙げて説明する。
【0061】
ユーザ端末2では、表示画面上で購入可能な脱炭素社会に向けた設備のデジタルツインや購入条件等を確認することができる。即ち、画面上にNFTが購入可能な脱炭素社会に向けた設備の一覧が示され、画面上段領域をスワイプすることで、対象を切り替え、順次確認することができる。そして、購入を検討する対象が定まると、画面上で価格等の購入条件や、その設備の稼働実績等を確認することができる。
【0062】
こうして購入を所望とする設備等が決まり、購入指示がなされると、ユーザ端末2より購入申し込みのリクエストがなされる(S11)。そして、管理サーバ1では、送受信制御部11aが、この申込みを受け付ける(S12)。続いて、管理サーバ1では、取引処理部11eが、購入に関わる処理を実行し、記憶部13の登録情報を更新する(S13)。より具体的には、ユーザ情報記憶部14の取引履歴情報等を更新すると共に、取引情報記憶部19の登録情報を更新する。
【0063】
管理サーバ1では、決済部11hが、NFT購入に伴う決済処理を実行し(S14)、取引処理部11eが、取引完了に係る通知をユーザ端末2に送信する(S15)。ユーザ端末2では、通信部22を介して通知を受信し、制御部21の制御の下、表示部24に通知内容を表示することで、購入が完了した旨を確認することができる(S16)。
【0064】
以上、NFTの購入に係る処理の流れを説明したが、NFTの転売、オークションについても、略同様の手順で、取引処理部11eが処理を実行する。例えば、オークションであれば、所定の入札期間における最高値を付けたユーザに対して、購入を許可し、上記手順で処理を実行することとなる。
【0065】
次に、図6のフローチャートを参照して、取引システムによるセルに関わる管理情報の閲覧に関わる処理の流れを説明する。
【0066】
ユーザ端末2において、初期画面において、成果の確認が所望されるセルが選択されると、制御部21は、管理サーバ1に対して管理情報の閲覧要求を送信する(S21)。管理サーバ1では、送受信制御部11aが、この閲覧要求を受け付け(S22)、管理部11fが当該セルに関わる管理情報を管理情報記憶部18より抽出する(S23)。
【0067】
より詳細には、稼働量管理部11f―3aがNFTに紐づく設備の稼働力を抽出し、CO削減パワー管理部11f-3bがCO削減パワーを抽出し、ステータス管理部11f-1aがCO削減に係るステータスを抽出し、エール情報管理部11f-2aがセルに関わるエール数を抽出し、寄付情報管理部11f-2bが寄付額を抽出する。
【0068】
続いて、生成部11iが、上記管理部11fが抽出した管理情報に関わる表示データを生成し(S24)、送受信制御部11aが、表示データを、通信部12を介してユーザの端末2に送信する(S25)。ユーザ端末2では、制御部21の制御の下、表示部24にマップ上の特定されたセルに関わる管理情報が確認可能に表示される(S27)。こうして、管理情報の閲覧に関わる処理を終了する。
【0069】
ここで、ユーザ端末2で表示される管理情報の閲覧画面は、例えば図8に示される通りである。同図に示されるように、マップ上に、特定されたセルがハイライト表示されると共に、その下段に、セル上の設備の緯度、経度、所在住所、ステータス、CO削減パワー、エール数、寄付額等がそれぞれ示される。この特定されたセルに対して、企業PRが設定されている場合には、図9に示されるように、当該セルを支援している企業の社標の表示と、リンクが貼られる。さらに、特定のキャンペーンが設定されている場合には、図10に示されるように、キャンペーンの詳細が、表示される。
【0070】
したがって、セル単位で、CO削減に関わる取り組みの実績を確認することができると共に、当該セル(地域)に根付いた企業等とNFTオーナーとの橋渡しをすることも可能となり、協働により脱炭素社会の実現に拍車がかかることが期待できる。
【0071】
次に、図7のフローチャートを参照して、取引システムによるセルのC02削減量等に応じた指標画像生成に関わる処理の流れを説明する。
【0072】
管理サーバ1では、セルのステータス(例えば、カーボンニュートラル達成など)に応じて、生成部11iが、セルの緯度、経度を住所に変換し(S31)、その住所における季節や天気といった環境情報を取得し(S32)、住所と環境情報をプロンプトに含めて情景を生成系AIによりテキスト化し(S33)、このテキスト化された情景をプロンプトに含めて、画像生成AIにより指標画像を生成する(S34)。こうして、指標画像生成に関わる処理を終了する。
【0073】
この生成された指標画像の一例は、図11,12に示される。即ち、初期状態では、図11に示されるようなメンバーパスポート画像によりセルの評価が提示され、その後、CO削減が進むと、上記処理により、図12に示されるような指標画像が生成され、提示されることになる。従って、ユーザは、この指標画像の切り替わりにより、自己が支援しているセルのCO2削減の実績を実感することができ、支援に対するモチベーションの向上が図られ、全体として脱炭素社会に向けた取り組みが加速される。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0075】
即ち、本発明の実施形態によれば、管理サーバ1とブロックチェーン5とを備えた取引システムであって、管理サーバ1が、ユーザ端末2、及び企業サーバ3と通信し、少なくとも企業サーバ3より送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンをブロックチェーン5上に発行し、ユーザ端末2との間で非代替性トークンに係る取引を実行し、非代替性トークンを、地域を所定単位で細分化したセルと関連付けて管理し、企業サーバ3より送信された非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいてCO削減の目標達成度合いを特定し、目標達成度合い応じてセルを指標する指標画像を生成する制御部11を備えた取引システムが提供される。
【0076】
ここで、管理サーバ1では、制御部11が、ユーザ端末2より送られてきた代替性トークンに対する応援通知(エール)を受け付け、非代替性トークンに関連するセルに対する応援数(エール数)として管理すると共に、ユーザ端末2に対して応援通知の送信に対するインセンティブを算出し付与してもよい。
【0077】
さらに、管理サーバ1では、制御部11が、ユーザ端末2により特定されたセルに対応するCO削減のステータス、応援数(エール数)を含む管理情報を特定し、管理情報に関わる表示データをユーザ端末2に送信し、セルに対して所定の企業又は所定の地方自自体の広告が関連付けられている場合には、表示データに広告を含めてもよい。
【0078】
従って、脱炭素社会に向けた設備等のデジタルツインについて発行されたNFTの取引を実現し、取引後の当該設備の稼働状態等に応じて価値が購入者に付与されるので、一般消費者を脱炭素社会に向けた取り組みの一員とし、意識を向上させると共に、企業、ユーザ、及び運営者の各者にメリットのある仕組みを社会に提供することが可能となる。
【0079】
特に、マップ上、セルにより地域を所定単位で細分化し、当該セルごとに脱炭素社会に向けた取り組みの成果を可視化することが可能となるので、地域に根付いた企業や、地域に思い入れのあるユーザの取り組みに対するモチベーションを高め、より取り組みを促進させることも可能となる。
【0080】
尚、デジタルツインには、アニメやゲームキャラクターの内容を含めることも可能となるので、その選択により、幅広い層のユーザに遡及することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0082】
例えば、地方創生(ふるさと納税)との組み合わせ、またデジタルツインと日本のアニメやゲームキャラクターとの連携の可能性、そして世界中の設備を対象とできることによるサービスの広がりが期待できる。
【符号の説明】
【0083】
1…管理サーバ、2…ユーザ端末、3…企業サーバ、4…中継サーバ、5…ブロックチェーン、6…ネットワーク、11…制御部、11a…送受信制御部、11b…デジタルツイン管理部、11c…非代替性トークン管理部、12c-1…非代替性トークン発行部、11c-2…非代替性トークン登録部、11c-3…トランザクション実行部、11d…マーケットプレイス管理部、11e…取引処理部、11f…管理部、11f-1…セル管理部、11f-1a…ステータス管理部、11f-1b…指標画像管理部、11f-2…設備NFT管理部、11f-2a…エール情報管理部、11f-2b…寄付情報管理部、11f-3…設備管理部、11f-3a…稼働量管理部、11f-3b…CO2削減パワー管理部、11g…価値演算部、11h…決済部、11i…生成部、12…通信部、13…記憶部、14…ユーザ情報記憶部、15…企業情報記憶部、16…デジタルツイン記憶部、17…非代替性トークン記憶部、18…管理情報記憶部、19…取引情報記憶部、21…制御部、22…通信部、23…操作部、23…表示部、24…記憶部。
【要約】
【課題】地球を例えば緯度経度等で分割した仮想世界を構築し、分割したひとマスをセルと定義し、当該セルごとに割り当てられた脱炭素社会の実現に向けた取り組みの成果を可視化及び共有化する。
【解決手段】本発明は、管理サーバ1、ブロックチェーン5を備えた取引システムであって、管理サーバ1が、ユーザ端末2及び企業サーバ3と通信し、企業サーバ3より送信された設備情報に基づいて生成されたデジタルツインについて非代替性トークンをブロックチェーン5上に発行し、ユーザ端末2との間で非代替性トークンに係る取引を実行し、非代替性トークン及びセルを管理し、企業サーバ3より送信された非代替性トークンに係る設備の稼働情報に基づいてCO削減のステータスを特定し、環境貢献度が記載されたデジタル証明書を生成する制御部を備えた取引システムである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12