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特許7564584水処理装置、方法、プログラム、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】水処理装置、方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20230101AFI20241002BHJP
   C02F 3/34 20230101ALI20241002BHJP
【FI】
C02F3/12 J
C02F3/12 D
C02F3/34 101C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023205546
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 博之
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵太
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-091294(JP,A)
【文献】特開2022-045829(JP,A)
【文献】特開2002-059126(JP,A)
【文献】特開2021-133297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/12
C02F 3/28- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を貯留する排水調整槽と、
前記排水調整槽に流入する前記排水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測する第1計測手段と、
曝気のオン/オフを切り替えることで、前記排水調整槽から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽と、
前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数に基づいて、前記硝化処理における前記曝気の時間を制御する制御手段と
を備える水処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数と、前記排水調整槽から前記生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、前記曝気の時間を制御する請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
前記生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数に基づき、前記水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、前記曝気をオフに切り替えると共に投入する請求項又はに記載の水処理装置。
【請求項4】
前記生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数と、前記排水調整槽から前記生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、前記水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、前記曝気がオフのときに投入する請求項又はに記載の水処理装置。
【請求項5】
排水を貯留する排水調整槽と、
前記排水調整槽に流入する前記排水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測する第1計測手段と、
曝気のオン/オフを切り替えることで、前記排水調整槽から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽と、
前記生物処理槽における処理後の処理水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測する第2計測手段と、
記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値と、前記第2計測手段で計測された電気伝導度に関する値との差が閾値以上となった回数に基づき、前記曝気の時間を制御する制御手段と
を備える水処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値と、前記第2計測手段で計測された電気伝導度に関する値との差が閾値以上となった回数と、前記排水調整槽から前記生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、前記曝気の時間を制御する請求項記載の水処理装置。
【請求項7】
前記生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値と、前記第2計測手段で計測された電気伝導度に関する値との差が閾値以上となった回数に基づき、前記水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、前記曝気がオフのときに投入する請求項又はに記載の水処理装置。
【請求項8】
前記生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、
前記制御手段は、前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値と、前記第2計測手段で計測された電気伝導度に関する値との差が閾値以上となった回数と、前記排水調整槽から前記生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、前記水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、前記曝気をオフに切り替えると共に投入する請求項又はに記載の水処理装置。
【請求項9】
プロセッサを有する水処理装置が実行する方法であって、前記プロセッサが、
排水調整槽に流入する排水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測した計測結果を取得するステップと、
前記排水調整槽から排水が投入され、当該排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽での、前記硝化処理における曝気の時間を、計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数に基づいて設定するステップと、
設定した前記曝気の時間に基づき、前記生物処理槽における曝気のオン/オフを切り替えるステップと
を実行する方法。
【請求項10】
排水を貯留する排水調整槽と、
前記排水調整槽に流入する前記排水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測する第1計測手段と、
曝気のオン/オフを切り替えることで、前記排水調整槽から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽と、
前記第1計測手段で計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数に基づいて、前記硝化処理における前記曝気の時間を制御する制御手段と
を備えるシステム。
【請求項11】
プロセッサを有する水処理装置で実行されるプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
排水調整槽に流入する排水の水質を前記排水の電気伝導度を含めて計測した計測結果を取得するステップと、
前記排水調整槽から排水が投入され、当該排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えることが可能な一槽式の生物処理槽での、前記硝化処理における曝気の時間を、計測された電気伝導度に関する値が閾値以上となった回数に基づいて設定するステップと、
設定した前記曝気の時間に基づき、前記生物処理槽における曝気のオン/オフを切り替えるステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水処理装置、方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、下水二次処理水、ごみ埋め立て地からの浸出水、河川、し尿、産業排水等の窒素含有排水中から効率よく窒素を除去することができる間欠曝気方式の窒素含有排水の処理方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-253990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、間欠曝気処理が行われる反応槽内のpH変化をpH計で連続的に測定してその屈曲点から硝化反応の終了を検知し、硝化開始から屈曲点が出現するまでの時間である硝化時間を算出する。この硝化時間と予め求められている硝化速度とから、原水窒素濃度を推定する。この原水窒素濃度から反応槽の窒素負荷を一定にするために原水流量を制御する。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、下水二次処理水、ごみ埋め立て地からの浸出水、河川、し尿、産業排水等の窒素含有排水中から効率よく窒素を除去することを想定している。つまり、特許文献1では、ある程度均質化した汚泥から効率よく窒素を除去することを想定しており、供給される被処理水の水質が変動する環境における駆動は想定されていない。
【0006】
本開示の目的は、供給される被処理水の水質が変動する環境下において、効率的に硝化脱窒が可能な一槽式硝化脱窒処理を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の水処理装置は、排水を貯留する排水調整槽と、排水調整槽に流入する排水の水質を計測する第1計測手段と、曝気のオン/オフを切り替えることで、排水調整槽から供給される排水に対する処理を切り替えることが可能な生物処理槽と、第1計測手段の計測結果に基づいて、処理における曝気の時間を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、供給される被処理水の水質が変動する環境下において、効率的に硝化脱窒が可能な一槽式硝化脱窒処理を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水処理装置1の一例の全体の構成図である。
図2】生物脱窒に係るパラメータを設定する際の制御部50の動作の例を表すフローチャートである。
図3】生物脱窒に係る制御を実行する際の制御部50の動作の例を表すフローチャートである。
図4】生物脱窒に係る工程の一例を表す模式図である。
図5】生物脱窒に係る工程のその他の例を表す模式図である。
図6】曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間の際のORP、DO、及びpHの推移を表す図である。
図7】曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間の際のNPOC、及びT-Nの推移を表す図である。
図8】生物脱窒に係るパラメータを設定する際の制御部50の動作のその他の例を表すフローチャートである。
図9】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
<1.概要>
本実施形態に係る水処理装置は、例えば、需要家から排出される排水(以下、単に排水という)を循環させて再生させるための装置である。再生させた水は、例えば、トイレ洗浄、お風呂、シャワー、洗濯、食器洗い等の生活用水として使用可能である。また、再生した水は、飲用水として用いてもよい。つまり、水処理装置は、小型の循環型水処理装置である。
【0012】
水処理装置は、例えば、需要家から出される排水(生活排水、汚水等)を処理して浄化する、排水調整槽、生物処理槽、処理水貯留槽がコンパクトにまとめられた処理槽モジュールを含む。生物処理槽では、硝化処理と脱窒処理とが、所定の時間比率で切り替えられる一槽式硝化脱窒処理が実施される。水処理装置は、排水調整槽へのし尿の投入を監視し、監視結果に応じ、硝化処理と脱窒処理との時間を設定する。また、水処理装置は、監視結果に応じ、硝化処理から脱窒処理へ切り替える際に添加する、水素供与体の量を調整する。
【0013】
<2.全体構成>
本実施形態に係る水処理装置1の全体構成について説明する。図1は、水処理装置1の一例の全体の構成図である。図1では、水処理装置1が循環式トイレ100で利用される場合を例に示している。
【0014】
本実施形態に係る循環式トイレ100は、例えば、上水・下水設備が行き届かない地域、例えば、山間部等に建設される住居、別荘、山小屋、仮設住宅、又は移動型住宅等のトイレとして用いられる。また、循環式トイレ100は、例えば、野外のイベント会場、工事現場、又は災害時の避難所等に一時的に仮設されるトイレとして用いられる。循環式トイレ100を用いることで、排水が処理されて循環水として再利用することが可能となるため、上水・下水設備が整備されていなくとも、トイレを使用することができる。
【0015】
なお、本実施形態に係る水処理装置1は、循環式トイレ100以外でも利用可能である。水処理装置1は、例えば、台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水の再生に使用されてもよい。このとき、例えば、水処理装置1において、最終段の水槽から需要家による実際の水の使用までの間に、ろ過ユニット、及びUV殺菌ユニット等が設置されてもよい。ろ過ユニットは、例えば、逆浸透膜、ナノろ過膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜等の物理ろ過の他、生物ろ過、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂等の化学ろ過等により実現される。UV殺菌ユニットは、水を殺菌する。また、水処理装置1において、トイレ排水と、台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水とが異なる処理系統で処理されるようにしてもよい。
【0016】
図1に示すように、水処理装置1は、トイレの便器2と複数の排水管により連結されている。水処理装置1は、排水調整槽10と、生物処理槽20と、処理水貯留槽30と、オゾン発生器40とを備える。排水調整槽10、生物処理槽20、および処理水貯留槽30は、所定の槽間で水を送出可能なように、複数の排水管により連結されている。複数の排水管それぞれにはポンプが設けられ、ポンプの送り先となる槽における水位が所定の範囲内となるように、かつ可能な限り、定量連続運転となるように、それぞれのポンプの駆動が制御される。なお、図1はあくまで一例であり、水処理装置1は他の構成であってもよい。例えば、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30は、一連のプロセスを実施する一つのモジュールに含まれていてもよい。また、水処理装置1における少なくとも一部のポンプは必須ではなく、重力、オーバフロー、サイフォンの原理等、その他の物理現象を利用して送液してもよい。
【0017】
水処理装置1は、制御部50を備える。制御部50は、例えば、水処理装置1に含まれる構成を制御する。また、水処理装置1は、例えば、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30内、又はこれらに接続される管における種々の物性を検出するためのセンサユニットを含む。
【0018】
<3.排水調整槽10>
排水調整槽10は、便器2の下流に配置され、便器2から排出された排水を一時的に貯留する。便器2には、例えば、粉砕圧送ポンプが設置されてもよい。粉砕圧送ポンプは、排水に含まれる汚物等を粉砕し、粉砕した汚物を排水と共に排水調整槽10へ送出する。
【0019】
排水調整槽10には、ブロワ11が設けられている。ブロワ11は、連続的又は間欠的に空気を排水調整槽10の内部に送出する。ブロワ11から送出される空気により、排水調整槽10の内部に貯留される排水が攪拌される。排水調整槽10と、生物処理槽20との間には、ポンプ66が設置されている。ポンプ66は、排水調整槽10に貯留される排水を生物処理槽20へ送出する。
【0020】
排水調整槽10内、又は排水調整槽10の近傍には、排水調整槽10に流入する排水の水質を計測するための計測器12が設置されている。具体的には、例えば、計測器12は、排水調整槽10の手前の流路、排水調整槽10の投入口、排水調整槽10内の空隙部、又は排水調整槽10内の排水中等に設置される。計測器12は、例えば、排水の電気伝導度を計測する。計測器12は、計測結果としてのEC値を制御部50へ送信する。
【0021】
<4.生物処理槽20>
生物処理槽20の構成の一例について説明する。
生物処理槽20は、排水調整槽10から排出された排水に含まれる有機化合物に対して、微生物を利用して分解処理する。また、生物処理槽20では、微生物の働きで窒素化合物を除去する生物脱窒が行われる。生物脱窒では、好気性細菌と通性嫌気性細菌とを組み合わせ、排水中の窒素化合物と炭素化合物とを分解する。生物脱窒は、好気環境下で行われる硝化工程と、無酸素環境下で行われる脱窒工程とを含む。
【0022】
硝化工程では、硝化細菌により、排水中の窒素成分を、亜硝酸、又は硝酸まで酸化する。硝化細菌は、槽内の十分な溶存酸素の存在が条件となる好気性細菌の一種である。
【0023】
脱窒工程では、硝化工程で硝化された水を溶存酸素のない嫌気的条件下におき、脱窒細菌による嫌気呼吸を利用して、亜硝酸、及び硝酸を窒素ガスへ還元する。
【0024】
生物処理槽20は、例えば、単一の槽で形成されており、当該単一の槽で硝化工程と、脱窒工程とを実施する。生物処理槽20には、撹拌機23、膜ろ過ユニット25、ブロワ26、ブロワ27が設置されている。撹拌機23は、例えば、攪拌羽根を有するミキサーにより実現される。撹拌機23は、例えば、制御部50の制御に基づくタイミングで攪拌羽根を回転させることで、混合液を攪拌し、混合液に含まれる微生物と有機物等との接触を促す。これにより、撹拌機23は、脱窒工程において駆動される。
【0025】
膜ろ過ユニット25は、例えば、MF(精密ろ過膜)、UF(限外ろ過膜)、NF(ナノろ過膜)、セラミックフィルタ、金属膜のうち少なくともいずれかにより実現される。膜ろ過ユニット25は、生物処理された水をろ過し、処理水とする。生物処理槽20と、処理水貯留槽30との間には、ポンプ67が設置されている。ポンプ67は、膜ろ過ユニット25によりろ過された処理水を処理水貯留槽30へ送出する。
【0026】
ブロワ26は、例えば、制御部50の制御に基づくタイミングで、空気(又は酸素)を生物処理槽20の内部に供給する。ブロワ26から供給される空気により、硝化工程における好気循環が維持される。
【0027】
ブロワ27は、例えば、膜ろ過ユニット25の下方に設置されている。ブロワ27は、例えば、制御部50の制御に基づくタイミングで、空気(又は酸素)を膜ろ過ユニット25に供給する。ブロワ27から供給される空気により、膜ろ過ユニット25が洗浄される。
【0028】
生物処理槽20には、供給部80が設置されている。供給部80は、例えば、制御部50の制御に基づくタイミングで、生物処理槽20に水素供与体を供給する。水素供与体は、生物処理槽20内の他物質に水素を与えて還元させ、それ自体は脱水素されて酸化される物質である。水素供与体は、例えば、メタノール、及びエタノール等のアルコールであってもよいし、グルコース等の糖類等であってもよい。
【0029】
生物処理槽20、撹拌機23、膜ろ過ユニット25、ブロワ26、ブロワ27、供給部80により、生物処理モジュール3が形成されると称してもよい。
【0030】
<5.制御部50>
制御部50は、水処理装置1全体の動作を制御する。具体的には、例えば、制御部50は、生物処理槽20における生物脱窒を制御する。例えば、制御部50は、排水調整槽10に流入する排水のEC値に基づき、硝化工程、及び脱窒工程のサイクルを設定する。以下では、硝化工程のサイクルを曝気サイクルと称し、脱窒工程のサイクルを無酸素サイクルと称する。
【0031】
より具体的には、例えば、水処理装置1の立ち上げ時において、制御部50は、計測器12により計測されたEC値が所定の閾値、例えば、1000μS/cm以上となったか否かを判断する。制御部50は、閾値以上となった場合、その水利用はし尿排水を含む利用であるとみなす。制御部50は、生物処理槽20で実施される生物脱窒に係る一連の工程の間に閾値以上のEC値が計測された回数をカウントする。本実施形態において、生物脱窒に係る一連の工程は、例えば、投入工程、硝化工程、脱窒工程、及び引抜工程を含む。投入工程は、生物処理槽20に排水を投入する工程である。引抜工程は、生物処理槽20から生物処理された処理水を引き抜く工程である。
【0032】
また、例えば、水処理装置1が定常運転状態になった後、制御部50は、計測器12により計測されたEC値と、生物処理槽20から引き抜かれた処理水について計測されたEC値との差が所定の閾値、例えば、1000μS/cm以上となったか否かを判断してもよい。制御部50は、閾値以上となった場合、その水利用はし尿排水を含む利用であるとみなす。循環による水の浄化が繰り返されると、再生水のEC値が高い値で推移する。そのため、排水調整槽10に投入される排水のEC値と、再生水のEC値との差分を取ることで、し尿排水が投入されたことを高精度に検出可能となる。制御部50は、生物処理槽20で実施される生物脱窒に係る一連の工程の間に閾値以上の差分値が計測された回数をカウントする。
【0033】
なお、生物処理槽20から引き抜かれた処理水は、例えば、生物処理槽20における処理後の処理水と換言可能であり、生物処理槽20の膜ろ過ユニット25の通過後、トイレ2までの経路の水であってよい。可能であれば、処理水貯留槽30からトイレ2までの経路の水であることが望ましい。生物処理槽20から引き抜かれた処理水のEC値は、例えば、生物処理槽20から処理水貯留槽30の流路、処理水貯留槽30内、処理水貯留槽30からトイレ2までの流路中等に設置される計測器28により計測される。
【0034】
制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値に基づき、次の一連の工程における曝気サイクルと、無酸素サイクルとを設定する。制御部50は、例えば、カウント値に基づき、曝気サイクルと、無酸素サイクルとが所定の比率を維持するように値を設定する。具体的には、制御部50は、例えば、カウント値に基づき、曝気サイクルと、無酸素サイクルとが3:1の比率を維持するように値を設定する。所定の比率は、例えば、事前の実験により想定される安定した生物脱窒が運用可能であることが把握されている比率である。例えば、曝気サイクル:無酸素サイクル=3:1であれば、安定した生物脱窒が運用可能であることが把握されている。また、環境によっては、曝気サイクル:無酸素サイクル=1:3のように変動し得る。環境に応じた最適な比率が設定され、本実施形態における処理が実施される。
【0035】
つまり、制御部50は、カウント値が第1カウント値以上である場合、曝気サイクルを3時間とし、無酸素サイクルを1時間とする。また、制御部50は、カウント値が第2カウント値以上、第1カウント値未満である場合、曝気サイクルを1時間とし、無酸素サイクルを20分とする。また、制御部50は、カウント値が第3カウント値以上、第2カウント値未満である場合、曝気サイクルを30分とし、無酸素サイクルを10分とする。なお、曝気サイクルの値と、無酸素サイクルの値とは、一例であり、(曝気サイクルの値、無酸素サイクルの値)=(3時間、1時間)より長くてもよいし、(30分、10分)より短くてもよい。なお、制御部50は、カウント値に加え、流量計により計測された、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の流量も考慮して、環境に応じた最適な比率を維持するように曝気サイクル及び無酸素サイクルの時間の長さを決定してもよい。
【0036】
また、制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値が0回である場合、曝気サイクルを0分とし、無酸素サイクルを0分とする。これにより、一連の工程に、曝気サイクル、及び無酸素サイクルが含まれなくなり、投入工程、及び引抜工程のみが含まれることになる。その結果、無用に曝気する必要がなく節電できる。また、水素供与体の添加による消費を抑制し、且つ水処理の一連の工程に要する時間サイクルを短縮できる。
【0037】
なお、以上では、制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値に基づき、次の一連の工程における曝気サイクル及び無酸素サイクルを設定するようにしたが、制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値に基づき、次の一連の工程における曝気サイクルを設定し、設定した曝気サイクルに基づき、無酸素サイクルを設定してもよい。
【0038】
制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値に基づき、次の一連の工程において供給部80から投入する水素供与体の量を設定する。なお、制御部50は、カウント値に加え、流量計により計測された、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量も考慮して水素供与体の量を決定してもよい。例えば、制御部50は、所定の排水量に対する、計測された排水量の割合をかけることで、水素供与体の量を決定する。排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量は、生物処理槽20から引き抜かれた処理水の容量に基づいて算出されてもよい。
【0039】
制御部50は、設定した曝気サイクル、及び無酸素サイクルに基づき、例えば、ポンプ66、ポンプ67、撹拌機23、ブロワ26、ブロワ27、供給部80を制御する。また、制御部50は、設定した水素供与体の量に基づき、供給部80を制御する。
【0040】
具体的には、例えば、制御部50は、一連の工程において、ポンプ66を制御し、排水調整槽10から生物処理槽20へ排水を供給する。制御部50は、排水の投入と共に、ブロワ26を駆動させ、生物処理槽20における曝気を開始する。制御部50は、所定の量の排水を投入すると、ポンプ66を停止させる。制御部50は、排水の投入を停止させると、曝気サイクルを開始する。制御部50は、所定時間が経過して曝気サイクルが終了すると、ブロワ26を停止させる。制御部50は、ブロワ26を停止させると同時に供給部80を制御し、設定した量の水素供与体を生物処理槽20に供給させる。制御部50は、ブロワ26を停止させると同時に撹拌機23を駆動する。制御部50は、ブロワ26を停止させると、無酸素サイクルを開始する。制御部50は、所定時間が経過して無酸素サイクルが終了し、ブロワ27を駆動させると同時に、ポンプ67を駆動させ、膜ろ過ユニット25により処理水をろ過させながら、生物処理槽20から処理水を引き抜く。
【0041】
無酸素サイクルを開始させるタイミングで水素供与体が供給されることで、例えば、溶存酸素のない無酸素性雰囲気と、亜硝酸、硝酸の酸素分子を還元させるのに必要な水素供与体とが存在することになる。このため、脱窒工程において、亜硝酸、硝酸の酸素分子の還元反応が効果的に促進される。
【0042】
<6.処理水貯留槽30>
処理水貯留槽30は、排水が生物処理されて得られた処理水を貯留する槽である。つまり、処理水貯留槽30は、便器2へ供給する処理水を貯留する。言い換えると、処理水貯留槽30は、排水が生物処理槽20で処理されて得られた処理水を貯留する。処理水貯留槽30には、便器2に繋がる配管41が連結されている。
【0043】
配管41に設けられたポンプ63は、便器2を洗浄するための処理水を、配管41を通して便器2に供給する。ポンプ63は、例えば、便器2が利用された際に駆動される。ポンプ63の駆動は、ユーザからの指示に応じてでもよいし、便器2の使用の検知に応じてでも構わない。また、循環式トイレ100が長期間不使用となることが想定される場合、ポンプ63は、所定の間隔で駆動してもよい。
【0044】
処理水貯留槽30には、例えば、オゾン発生器40で生成されたオゾンガスが供給される。
オゾン発生器40は、オゾンガスを、処理水貯留槽30内の処理水中、すなわち、処理水貯留槽30の液相に供給する。なお、オゾン発生器40は、オゾンガスを、処理水貯留槽30の気相に供給してもよい。
【0045】
オゾン発生器40によるオゾンガスの発生方式は、例えば、放電法(無声放電方式)、電気分解法(水電解セル方式)、紫外線法(水銀UVランプ方式・無水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)等がある。紫外線法(無水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)は、オゾンガス生成時に大気中に存在する窒素から有害な窒素酸化物を生成せず、不純物の少ないオゾンガスを生成することが可能である。不純物の少ないオゾンガスを生成することで、オゾン発生器40の稼働時間を低減でき、電力消費を抑えると共に、オゾン発生器40の長寿命化を図ることが可能である。不純物の少ないオゾンガスを生成することで、水循環システム設備の小型化、劣化・損傷箇所の削減が可能であるため、保守頻度低減にもつながる。
【0046】
処理水貯留槽30内においてオゾンガスは、強力な酸化力により、処理水を脱色、殺菌し、消臭(以下、オゾン処理という)する。処理水に供給されたオゾンガスのうち、処理水中でのオゾン処理に使用されなかった余剰オゾンガス(槽内の気体)は、処理水貯留槽30の上部に形成される空間に充満した後、排水調整槽10、又は/及び生物処理槽20へ供給され再利用することが可能となる。これにより、例えば、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30の消臭、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30内の水の殺菌、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30内の水の脱色等が可能となる。
【0047】
本実施形態において処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、例えば、既存の浄水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも低くすることが可能である。既存の浄水設備では、脱色槽(オゾン処理槽)に水が貯留される時間が短いため、短時間でオゾンガスと水とを接触させる必要がある。一方で、本実施形態では、処理水は処理水貯留槽30に長時間貯留されるため、オゾンガスと処理水とは長時間接触することになる。このような貯留時間の差から、処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、既存の浄水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも低くてもよくなる。
【0048】
<7.生物処理槽20の動作>
以下、生物処理槽20における生物脱窒の際の動作について詳細に説明する。
【0049】
(生物脱窒に係るパラメータの設定)
図2は、生物脱窒に係るパラメータを設定する際の制御部50の動作の例を表すフローチャートである。制御部50は、例えば、図2で示される処理を、生物脱窒に係る一連の工程の間に実施する。
【0050】
ステップS11において、制御部50は、計測器12で計測されたEC値を取得する。具体的には、例えば、計測器12は、設置された位置に供給される排水のEC値を、所定の周期で計測する。計測器12は、計測したEC値を、制御部50へ送信する。
【0051】
ステップS12において、制御部50は、計測器12で計測されたEC値に基づき、所定のカウント値を計測する。具体的には、例えば、水処理装置1を立ち上げた後、所定の期間が経過するまで、又は、所定回数の工程が実施されるまでは、制御部50は、計測器12により計測されたEC値が所定の閾値、例えば、1000μS/cm以上となった回数をカウントする。
【0052】
また、例えば、水処理装置1が立ち上げられてから所定の期間が経過した後、又は、所定回数の工程が実施された後、つまり、水処理装置1が定常運転状態になった後、制御部50は、計測器12で計測されたEC値と、生物処理槽20から引き抜かれた処理水について計測されたEC値との差が所定の閾値、例えば、1000μS/cm以上となった回数をカウントする。なお、水処理装置1を立ち上げた後、所定の期間が経過するまで、又は、所定回数の工程が実施されるまで、の要件に限定されず、例えば、EC値が所定の値に達するまで、との要件であってもよい。
【0053】
ステップS13において、制御部50は、生物脱窒に係る一連の工程が終了したか否かを判断する。具体的には、例えば、制御部50は、投入工程、硝化工程、脱窒工程、及び引抜工程が終了したか否かを判断する。終了していない場合、制御部50は、処理をステップS11へ移行させ、一連の工程が終わるまでステップS11~ステップS13の動作を繰り返す。終了した場合、制御部50は、処理をステップS14へ移行させる。
【0054】
ステップS14において、制御部50は、カウント値に基づいて生物脱窒に係るパラメータを設定する。具体的には、例えば、制御部50は、カウント値に基づき、次の一連の工程における曝気サイクルと、無酸素サイクルとを設定する。具体的には、制御部50は、例えば、カウント値が0回である場合、曝気サイクルを0分とし、無酸素サイクルを0分とする。制御部50は、例えば、カウント値が1回以上である場合、カウント値に基づき、曝気サイクルと、無酸素サイクルとが所定の比率、例えば、3:1を維持するように値を設定する。
【0055】
また、制御部50は、例えば、カウント値に基づき、次の一連の工程において供給部80から投入する水素供与体の量を設定する。具体的には、例えば、制御部50は、カウント値に基づき、次の一連の工程における水素供与体の量をカウント値×n(ml)とする。
【0056】
(生物脱窒に係る制御)
図3は、生物脱窒に係る制御を実行する際の制御部50の動作の例を表すフローチャートである。図3で示される処理は、例えば、生物脱窒に係る一連の工程における制御部50の処理を表す。
【0057】
図4は、生物脱窒に係る工程の一例を表す模式図である。図5は、生物脱窒に係る工程のその他の例を表す模式図である。図4、5に示される例では、生物処理槽20における処理と、EC値との計測タイミングとが示されている。図4に示される例では、曝気サイクルが3時間であり、無酸素サイクルが1時間である場合が示されている。図5に示される例では、曝気サイクルと、無酸素サイクルとが0分である場合が示されている。
【0058】
ステップS21において、制御部50は、生物処理槽20に排水の投入、及び曝気を開始する。具体的には、例えば、制御部50は、ポンプ66を制御し、排水調整槽10から生物処理槽20へ排水を供給する。制御部50は、排水の投入と共に、ブロワ26を駆動させ、生物処理槽20における曝気を開始する。
【0059】
ステップS22において、制御部50は、所定の量の排水を投入すると、ポンプ66を停止させ、曝気サイクルを開始する。具体的には、制御部50は、所定の要件を満たすと、ポンプ66を停止させる。所定の要件は、例えば、以下が含まれる。
・排水調整槽10の貯水量が所定容量になったこと
・生物処理槽20へ所定量の排水を供給したこと
・生物処理槽20の貯水量が所定容量になったこと
【0060】
制御部50は、排水の投入を停止すると、先の一連の工程で設定した曝気サイクルのカウントを開始する。
【0061】
ステップS23において、制御部50は、曝気サイクルが終了すると、ブロワ26を停止させ、供給部80を制御する。具体的には、例えば、制御部50は、曝気サイクルを開始させてから3時間が経過すると、ブロワ26を停止させる。制御部50は、ブロワ26を停止させると同時に供給部80を制御し、先の一連の工程で設定した量の水素供与体を生物処理槽20に添加させる。
【0062】
制御部50は、曝気サイクルが終了すると、無酸素サイクルを開始させ、撹拌機23を駆動させる。具体的には、例えば、制御部50は、曝気サイクルが終了すると、先の一連の工程で設定した無酸素サイクルのカウントを開始する。
【0063】
ステップS24において、制御部50は、無酸素サイクルが終了すると、生物処理槽20から処理水を引き抜く。具体的には、例えば、制御部50は、無酸素サイクルを開始させてから1時間が経過すると、ポンプ67を駆動させ、膜ろ過ユニット25により処理水をろ過させながら、生物処理槽20から処理水を引き抜く。制御部50は、ポンプ67を駆動させると同時にブロワ27を駆動させ、膜ろ過ユニット25を洗浄する。
【0064】
図6は、曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間の際のORP(Oxidation-Reduction Potential)、DO(Dissolved Oxygen)、及びpHの推移を表す図である。図6に示される例では、図4図5で示されるように、不連続で排水が投入される場合でなく、排水が連続投入される場合の各値の推移を表している。図6において、横軸は時間(h)を表し、縦軸はORP、DO、及びpHを表す。ORP、DO、及びpHを計測する計測器は、例えば、生物処理槽20内に設置されている。図6によれば、し尿を含む排水が連続投入される場合であっても、曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間と設定することで、生物処理槽20において安定した生物脱窒が期待できることがわかる。
【0065】
図7は、曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間の際のNPOC(Non-Purgeable Organic Carbon)、及びT-N(Total Nitrogen)の推移を表す図である。図7に示される例では、図4図5で示されるように、不連続で排水が投入される場合でなく、排水が連続投入される場合の各値の推移を表している。図7において、横軸は時間(h)を表し、縦軸はNPOC、及びT-Nを表す。NPOCは、例えば、TOCに基づいて算出され、TOCを計測する計測器は、例えば、生物処理槽20内に設置されている。T-Nは、例えば、EC値に基づいて算出され、EC値を計測する計測器は、例えば、生物処理槽20内に設置されている。図7によれば、し尿を含む排水が連続投入される場合であっても、曝気サイクル:3時間、無酸素サイクル:1時間と設定することで、窒素成分が除去しきれていることがわかる。
【0066】
以上のように、上記実施形態では、水処理装置1は、排水を貯留する排水調整槽10を有する。水処理装置1は、排水調整槽に流入する排水の水質を計測する第1計測手段(計測器12)を有する。水処理装置1は、曝気のオン/オフを切り替えることで、排水調整槽10から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽20を有する。水処理装置1は、第1計測手段12の計測結果に基づいて、硝化処理における曝気の時間を制御する制御手段(制御部50)を有する。これにより、水処理装置1は、排水調整槽10に投入される排水の水質に基づき、一槽式の生物処理槽20において、硝化反応に最適な曝気量(曝気時間を含む)を制御することが可能となる。
【0067】
したがって、本実施形態に係る水処理装置1によれば、供給される被処理水の水質が変動する環境下において、効率的に硝化脱窒が可能な一槽式硝化脱窒処理を提供できる。また、水処理装置1によれば、ブロワ時間が減少することにより消費電力を抑えることが可能となる。また、水処理装置1によれば、排水の状態に応じた最適な量の水素供与体を添加できるため、水素供与体の消費量を抑えることが可能となる。
【0068】
また、上記実施形態では、制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値が閾値以上となった回数に基づき、曝気の時間を制御する。これにより、水処理装置1は、硝化処理と脱窒処理とを高精度に切り替えることが可能となる。
【0069】
また、上記実施形態では、制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値が閾値以上となった回数と、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量とに基づき、曝気の時間を制御する。これにより、水処理装置1は、硝化処理と脱窒処理とをより高精度に切り替えることが可能となる。
【0070】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20へ水素供与体を投入する投入手段(供給部80)を備える。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値が閾値以上となった回数に基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する。このように、曝気をオフに切り替えるタイミングで水素供与体を添加することで、好気環境から直ちに無酸素状態に切り替えることが可能となる。そのため、好気反応と無酸素反応とが別々の槽で実施されているかの如く、環境を瞬時に切り替えることが可能となる。
【0071】
通常、好気環境後、液体内に溶存する空気が抜けないため、無酸素状態への切り替えが進まず、処理効率が落ちる、又は処理が長引くとの課題があった。曝気をオフに切り替えるタイミングで水素供与体を添加することで、槽内環境が即座に切り替わるため、単一の生物処理槽20において、効率的な硝化脱窒が可能となる。
【0072】
また、水処理装置1は、排水調整槽10に投入される排水の水質に基づき、一槽式の生物処理槽20において、硝化反応を脱窒反応に切り替えるのに適した水素供与体の量を制御することが可能となる。
【0073】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20へ水素供与体を投入する投入手段80を備える。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値が閾値以上となった回数と、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量とに基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する。排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量にも基づいて水素供与体の量を設定するため、水素供与体の使用量をより適切な量に設定することが可能となり、水素供与体の使用量を抑えることが可能となる。
【0074】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20における処理後の処理水の水質を計測する第2計測手段28を有する。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値と、第2計測手段28で計測された計測値との差が閾値以上となった回数に基づき、曝気の時間を制御する。これにより、水処理装置1において、水を繰り返し循環させる場合であっても、水処理装置1は、硝化処理と脱窒処理とを高精度に切り替えることが可能となる。
【0075】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20における処理後の処理水の水質を計測する第2計測手段28を有する。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値と、第2計測手段28で計測された計測値との差が閾値以上となった回数と、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量とに基づき、曝気の時間を制御する。これにより、水処理装置1において、水を繰り返し循環させる場合であっても、水処理装置1は、硝化処理と脱窒処理とをより高精度に切り替えることが可能となる。
【0076】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20へ水素供与体を投入する投入手段80を備える。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値と、第2計測手段で計測された計測値との差が閾値以上となった回数に基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する。このように、曝気をオフに切り替えるタイミングで水素供与体を添加することで、好気環境から直ちに無酸素状態に切り替えることが可能となる。また、水処理装置1において、水を繰り返し循環させる場合であっても、排水調整槽10に投入される排水の水質に基づき、一槽式の生物処理槽20において、硝化反応を脱窒反応に切り替えるのに適した水素供与体の量を制御することが可能となる。
【0077】
また、上記実施形態では、水処理装置1は、生物処理槽20へ水素供与体を投入する投入手段80を備える。制御手段50は、第1計測手段12で計測された計測値と、第2計測手段28で計測された計測値との差が閾値以上となった回数と、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量とに基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する。このように、曝気をオフに切り替えるタイミングで水素供与体を添加することで、好気環境から直ちに無酸素状態に切り替えることが可能となる。また、水処理装置1において、水を繰り返し循環させる場合であっても、排水調整槽10から生物処理槽20へ供給される排水の排水量にも基づいて水素供与体の量を設定するため、一槽式の生物処理槽20において、水素供与体の使用量をより適切な量に設定することが可能となり、水素供与体の使用量を抑えることが可能となる。
【0078】
<変形例>
上記実施形態では、制御部50は、先の一連の工程の間にカウントされたカウント値に基づき、次の一連の工程における種々のパラメータを設定している。しかしながら、カウントを計測する期間は、先の一連の工程の間に限定されない。例えば、図5で示されるように、先のカウント値によっては、曝気サイクル、及び無酸素サイクルが0分になることがある。このような場合、一連の工程に係る期間が短くなり、排水調整槽10に排水が溜まりきらないことがある。そこで、以下のような条件を設定し、条件を満たすまで排水調整槽10から生物処理槽20へ排水を投入しないようにしてもよい。
・排水調整槽10に所定容量以上の排水が貯留されていること
・排水調整槽10に所定容量以上の排水が投入されたこと
【0079】
上記の条件が存在する場合、例えば、排水調整槽10に、水位計、又は流量計等が設置されている。
【0080】
制御部50は、例えば、投入工程、硝化工程(0分)、脱窒工程(0分)、及び引抜工程が終了した後、上記の条件の少なくともいずれかが満たされるまでカウント値を計測する。制御部50は、脱窒工程(0分)、及び引抜工程が終了し、上記の条件の少なくともいずれかが満たされた場合、カウント値に基づき、次の一連の工程におけるパラメータを設定する。
【0081】
図8は、生物脱窒に係るパラメータを設定する際の制御部50の動作のその他の例を表すフローチャートである。図8において、図2と同じ処理には同じ番号を付している。
【0082】
ステップS31において、制御部50は、排水調整槽10の排水に関する所定の条件を満たすか否かを判断する。具体的には、例えば、制御部50は、排水調整槽10に所定容量以上の排水が貯留されていること、又は、排水調整槽10に所定容量以上の排水が投入されたこと等の条件を満たすか否かを判断する。条件を満たさない場合、制御部50は、処理をステップS32へ移行させる。条件を満たす場合、制御部50は、処理をステップS14へ移行させる。
【0083】
ステップS32において、制御部50は、計測器12で計測されたEC値を取得し、取得したEC値に基づき、所定のカウント値を計測する。制御部50は、回数をカウントすると、処理をステップS31へ移行させる。
【0084】
また、上記実施形態では、EC値に基づくカウント値を参照し、生物脱窒に係るパラメータを設定する場合を説明した。しかしながら、生物脱窒に係るパラメータの設定は、EC値に基づくカウント値のみを参照するものに限定されない。例えば、制御部50は、曝気サイクルにおける生物処理槽20内の環境を監視し、監視結果に基づいて曝気サイクルを変更してもよい。また、制御部50は、変更後の曝気サイクルに基づいて無酸素サイクルを変更してもよい。
【0085】
具体的には、例えば、制御部50は、曝気サイクルにおいて、生物処理槽20内のDO、ORP、pH、T-N、NPOC、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせの推移を監視し、硝化処理が終了するのが、設定している曝気サイクルよりも早いことが予想される場合、曝気サイクルを短縮する。制御部50は、短縮させた曝気サイクルの例えば、1/3程度になるように、無酸素サイクルを更新する。また、制御部50は、短縮させた曝気サイクルに基づき、水素供与体の添加量を更新する。このように、生物処理槽20内の環境に基づいてパラメータを更新することで、生物処理槽20内の環境をリアルタイムに生物脱窒の制御に反映させることが可能となる。そのため、生物処理槽20による生物脱窒がより短時間化されると共に、生物処理槽20における生物脱窒をより効率的に運用することが可能となる。
【0086】
また、制御部50は、曝気サイクルにおける二酸化炭素の濃度を監視し、二酸化炭素の濃度の上昇が止まると推定されるタイミングで曝気サイクルを終了させるように、曝気サイクルを更新してもよい。制御部50は、更新した曝気サイクルに基づき、無酸素サイクルを更新する。また、制御部50は、更新した曝気サイクルに基づき、水素供与体の添加量を更新する。これにより、生物処理槽20による生物脱窒がより短時間化されると共に、生物処理槽20における生物脱窒をより効率的に運用することが可能となる。
【0087】
また、制御部50は、無酸素サイクルにおける生物処理槽20のT-Nを監視し、T-Nが所定値以下となったら無酸素サイクルを終了させ、引抜工程へ移行してもよい。これにより、生物処理槽20による生物脱窒がより短時間化させることが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、供給部80が水素供与体を添加する場合を例に説明したが、供給部80から添加されるのは、水素供与体に限定されない。供給部80は、有機物を添加してもよい。有機物とは、生物処理槽20内の微生物の基質として供給される化合物である。循環式トイレ100が長期間不使用となった場合には、有機物が含まれる排水の生物処理槽20への供給が滞るため、生物処理槽20内の微生物は基質不足となり死滅するおそれがある。これを防ぐために、有機物を生物処理槽20内に供給する必要がある。すなわち、生物処理槽20に有機物を連続して供給することにより、生物処理槽20に存在する通性嫌気性細菌へ基質を供給し続けることが可能となる。有機物は取扱性の観点から、流動体が望ましい。なお、流動体とは、液体に限られず、ジェル状態の物質も含まれる。また、流動体としては低分子構造が好ましく、例えば炭素数が3以下の有機化合物がより好ましい。炭素数が3以下の低分子構造を有する化合物の方が、生物分解性が高いためである。
【0089】
供給部80は、例えば、複数の間隔で継続して間欠的に生物処理槽20へ有機物を滴下してもよいし、常時所定の流量で連続的に生物処理槽20へ有機物を滴下してもよい。供給部80からの有機物の供給量は任意に設定してもよい。例えば、排水の量を基準に有機物の毎月の供給量を設定してもよい。
【0090】
また、上記実施形態実施形態では、生物処理モジュール3が、生物処理槽20、撹拌機23、膜ろ過ユニット25、ブロワ26、ブロワ27、供給部80を有する場合を説明した。しかしながら、生物処理モジュール3の構成は、これに限定されない。生物処理モジュール3が有するブロワは、1つであってもよい。つまり、例えば、ブロワ27は、ブロワ26を兼ねてもよい。また、ブロワ26は、ブロワ27を兼ねてもよい。
【0091】
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図9は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0092】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0093】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0094】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0095】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0096】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0097】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図9に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0098】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0099】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0100】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0101】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0102】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0103】
本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs (Application Specific Integrated Circuits)、CPU (a Central Processing Unit)、従来型の回路、および/又はそれらの組合せを含む、circuitry又はprocessing circuitryにおいて実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含み、 circuitry又はprocessing circuitryとみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する、programmed processorであってもよい。
本明細書において、circuitry、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、本明細書に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。
当該ハードウェアがcircuitryのタイプであるとみなされるプロセッサである場合、当該circuitry、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアの組合せである。
【0104】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0105】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
排水を貯留する排水調整槽と、排水調整槽に流入する排水の水質を計測する第1計測手段と、曝気のオン/オフを切り替えることで、排水調整槽から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽と、第1計測手段の計測結果に基づいて、硝化処理における曝気の時間を制御する制御手段とを備える水処理装置。
(付記2)
制御手段は、第1計測手段で計測された計測値が閾値以上となった回数に基づき、曝気の時間を制御する(付記1)に記載の水処理装置。
(付記3)
制御手段は、第1計測手段で計測された計測値が閾値以上となった回数と、排水調整槽から生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、曝気の時間を制御する(付記1)に記載の水処理装置。
(付記4)
生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値が閾値以上となった回数に基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する(付記2)又は(付記3)に記載の水処理装置。
(付記5)
生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値が閾値以上となった回数と、排水調整槽から生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する(付記2)又は(付記3)に記載の水処理装置。
(付記6)
生物処理槽における処理後の処理水の水質を計測する第2計測手段を有し、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値と、第2計測手段で計測された計測値との差が閾値以上となった回数に基づき、曝気の時間を制御する(付記1)に記載の水処理装置。
(付記7)
生物処理槽における処理後の処理水の水質を計測する第2計測手段を有し、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値と、第2計測手段で計測された計測値との差が閾値以上となった回数と、排水調整槽から生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、曝気の時間を制御する(付記1)に記載の水処理装置。
(付記8)
生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値と、第2計測手段で計測された計測値との差が閾値以上となった回数に基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する(付記6)又は(付記7)に記載の水処理装置。
(付記9)
生物処理槽へ水素供与体を投入する投入手段を備え、制御手段は、第1計測手段で計測された計測値と、第2計測手段で計測された計測値との差が閾値以上となった回数と、排水調整槽から生物処理槽へ供給される排水の排水量とに基づき、水素供与体の量を設定し、当該設定した量の水素供与体を、曝気をオフに切り替えると共に投入する(付記6)又は(付記7)に記載の水処理装置。
(付記10)
プロセッサを有する水処理装置が実行する方法であって、プロセッサが、排水調整槽に流入する排水の水質を計測した計測結果を取得するステップと、排水調整槽から排水が投入され、当該排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽での、硝化処理における曝気の時間を計測結果に基づいて設定するステップと、設定した曝気の時間に基づき、生物処理槽における曝気のオン/オフを切り替えるステップとを実行する方法。
(付記11)
排水を貯留する排水調整槽と、排水調整槽に流入する排水の水質を計測する第1計測手段と、曝気のオン/オフを切り替えることで、排水調整槽から供給される排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽と、第1計測手段の計測結果に基づいて、硝化処理における曝気の時間を制御する制御手段とを備えるシステム。
(付記12)
プロセッサを有する水処理装置で実行されるプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、排水調整槽に流入する排水の水質を計測した計測結果を取得するステップと、排水調整槽から排水が投入され、当該排水に対する硝化処理と脱窒処理とを切り替えて実施する一槽式の生物処理槽での、硝化処理における曝気の時間を計測結果に基づいて設定するステップと、設定した曝気の時間に基づき、生物処理槽における曝気のオン/オフを切り替えるステップとを実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0106】
1…水処理装置
10…排水調整槽
20…生物処理槽
30…処理水貯留槽
40…オゾン発生器
50…制御部
80…供給部
100…循環式トイレ
【要約】
【課題】供給される被処理水の水質が変動する環境下において、効率的に硝化脱窒が可能な一槽式硝化脱窒処理を提供する。
【解決手段】本実施形態の水処理装置は、排水を貯留する排水調整槽と、排水調整槽に流入する排水の水質を計測する第1計測手段と、曝気のオン/オフを切り替えることで、排水調整槽から供給される排水に対する処理を切り替えることが可能な生物処理槽と、第1計測手段の計測結果に基づいて、処理における曝気の時間を制御する制御手段とを備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
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図5
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図9