IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘレウス センサー テクノロジー ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7564607温度センサアセンブリ及び温度センサアセンブリを製造する方法
<>
  • 特許-温度センサアセンブリ及び温度センサアセンブリを製造する方法 図1
  • 特許-温度センサアセンブリ及び温度センサアセンブリを製造する方法 図2
  • 特許-温度センサアセンブリ及び温度センサアセンブリを製造する方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】温度センサアセンブリ及び温度センサアセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20241002BHJP
   H01C 17/28 20060101ALI20241002BHJP
   H01C 1/142 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01K7/18 A
H01C17/28
H01C1/142
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022552291
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2021053078
(87)【国際公開番号】W WO2021175542
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】202020101197.9
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516284998
【氏名又は名称】ヤゲオ ネクセンソス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Yageo Nexensos GmbH
【住所又は居所原語表記】Reinhard-Heraeus-Ring 23, 63801 Kleinostheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブライファス、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフェルス、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナント、カールハインツ
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19830821(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252591(US,A1)
【文献】特開2002-305102(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018203971(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01C 17/28
H01C 1/142
H01C 7/00-7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも1つの温度センサ(2)及び少なくとも1つの給電ライン(3)を備える温度センサアセンブリ(1)を作製する方法であって、
-上面(5)及び下面(6)を有する少なくとも1つの電気絶縁基板(4)を備える温度センサ(2)を提供するステップであって、前記上面(5)の少なくとも一部に少なくとも1つのセンサ接触面(8)を有する温度センサ構造部(7)が形成される、ステップと、
-少なくとも1つの給電ライン接触面(9)を含む給電ライン(3)を提供するステップと、
-焼結ペーストを前記センサ接触面(8)及び/又は前記給電ライン接触面(9)に適用し予備乾燥させて、少なくとも第1の予備適用焼結ペースト層(13)を形成するステップであって、前記予備適用焼結ペースト層(13)は、少なくとも残留反応性を有している、ステップと、
-焼結プロセスを通して第1の焼結層(10)を形成することによって、前記給電ライン(3)を前記温度センサ(2)に接続するステップであって、前記第1の焼結層(10)は、圧力及び/又は温度を加えることによって、前記給電ライン接触面(9)及び/又は前記センサ接触面(8)に適用されている前記第1の予備適用焼結ペースト層(13)から形成される、ステップと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
-前記基板(4)の前記下面(6)又は前記基板(4)のメタライゼーション層(11)の少なくとも一部に焼結ペーストを適用し予備乾燥させて、第2の予備適用焼結ペースト層(12)を形成するステップであって、前記第2の予備適用焼結ペースト層(12)は少なくとも残留反応性を有している、ステップと、
-前記第2の予備適用焼結ペースト層(12)を用いた圧力焼結によって、前記温度センサ(2)をさらなる構成要素に接続するステップと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記給電ライン(3)は可撓性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記給電ライン(3)は、金属ストリップ、及び/又は少なくとも1つの平坦化された端部を有する金属ワイヤ、及び/又は金属コーティングされたポリマー基板、及び/又は特に打ち抜かれた若しくはレーザー加工された若しくはエッチング加工された金属シートから形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記温度センサ構造部(7)は抵抗素子として形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記温度センサ構造部(7)及び/又は前記センサ接触面(8)は、白金材料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板(4)の前記上面(5)上の、前記温度センサ構造部(7)の少なくとも一部に形成される少なくとも1つの不動態化層を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記不動態化層は、ポリイミド材料及び/又はガラス材料及び/又はセラミック材料及び/又はガラスセラミック材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板(4)は、セラミック絶縁材料、特に酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウム及び/又は窒化ケイ素、並びに/又はガラスサンドイッチ材料を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
メタライゼーション層(11)が、前記基板(4)の前記下面(6)上に形成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の焼結層(10)及び/又は第2の焼結層及び/又は前記第1の予備適用焼結ペースト層(13)及び/又は第2の予備適用焼結ペースト層(12)は、金属粒子、特に貴金属粒子を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの温度センサ及び少なくとも1つの給電ラインを備える温度センサアセンブリに関する。さらに、本発明は、温度センサアセンブリを製造するための方法に関する。
【0002】
温度センサを多種多様な接続方法によってさらなる構成要素に接続することが知られている。対応するセンサの寸法は、ますます小さくなっているため、そのような温度センサを接触させることには、対応する困難が伴う。
【0003】
温度センサの接触面を上面で接触させることは、通常、ワイヤボンディング、はんだ付け、又は焼結によって行われる。温度センサの接触面がますます小さくなっているため、これらの接触面の信頼性の高い電気接触は、困難を伴わずには達成することができない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、容易に組み立てられ、接触させることができる改善された温度センサアセンブリを提供することである。本発明のさらなる目的は、そのような改善された温度センサアセンブリを製造するための方法を特定することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の内容による温度センサアセンブリによって、本発明に従って達成される。温度センサアセンブリを製造するための方法に関して、目的は、請求項14に従って達成される。
【0006】
特に、目的は、少なくとも1つの温度センサ及び少なくとも1つの給電ラインを備える温度センサアセンブリによって達成される。温度センサは、上面と下面を有する少なくとも1つの電気絶縁基板を備える。少なくとも1つのセンサ接触面を有する温度センサ構造部が、少なくとも上面の一部に形成される。温度センサアセンブリの給電ラインは、少なくとも1つの給電ライン接触面を備え、給電ライン表面は、少なくとも部分的に第1の焼結層を介してセンサ接触面に接続されている。
【0007】
温度センサ構造部の電気絶縁支持体材料として機能する構成要素は、基板として理解され得る。基板の上面及び基板の下面の表面は、実質的に平面状であり得る。
【0008】
特に、温度値を直接的又は間接的に検出するように適合された構造は、温度センサ構造部として理解されるべきである。例えば、温度センサ構造部は、基板上に蒸着される抵抗ネットワークであり得る。
【0009】
少なくとも1つのセンサ接触面が、温度センサ構造部に接触するために使用される。少なくとも1つのセンサ接触面は、導電性材料から形成することができる。センサ接触面は、温度センサ構造部と同じ材料から形成されることが可能である。
【0010】
例えば、少なくとも1つのセンサ接触面が、温度センサ構造部の1つの端部に形成され得る。本発明の好ましい実施形態では、温度センサは、2つのセンサ接触面を備える。この場合、センサ接触面は、2つのセンサ接触面間の電気抵抗を測定するために、温度センサ構造部の1つの端部にそれぞれ形成され得る。
【0011】
温度センサアセンブリは、少なくとも1つのセンサ接触面に既に接続された給電ラインを備えるため、この形態の温度センサアセンブリは、中間製品として容易に取り扱うことができる。さらに、例えば、プリント回路基板上の温度センサアセンブリの接触は、小さなセンサ接触面が既に接触しているため、比較的簡単である。
【0012】
この目的のために、給電ラインは、少なくとも1つの給電ライン接触面を備え、給電ライン接触面は、少なくとも部分的に第1の焼結層を介してセンサ接触面に接続されている。
【0013】
特に、給電ライン接触面とセンサ接触面との間の完全な接続を既に確立している層が、焼結層として理解される。この完全な接続は、機械的接続及び電気的接続若しくは接触の両方に関する。言い換えれば、焼結層は、好ましくは既に焼結された層である。
【0014】
第1の焼結層は、好ましくは、給電ライン接触面及び/又はセンサ接触面に適用される第1の予備適用焼結ペースト層から形成される。予備適用焼結ペースト層は、依然として反応性である層である。言い換えれば、予備適用焼結ペースト層は、少なくとも残留反応性を有する。したがって、焼結層は、圧力及び/又は温度を加えることによって、予備適用焼結ペースト層から形成される。
【0015】
以下では、「焼結層」と「予備適用焼結ペースト層」という用語の間で区別が行われることが好ましい。予備適用焼結ペースト層は、少なくとも完全に生成されていない焼結層である。予備適用焼結ペースト層は、少なくとも残留反応性をその後の焼結プロセス及び/又は接続プロセスに対して有する。
【0016】
温度センサアセンブリの給電ラインは、好ましくは可撓性である。そのような可撓性設計は、例えば、さらなる給電ライン接触面のさらなる構成要素への接続が、さらなる構成要素の実際の配置とは無関係に可能であるように、給電ラインを曲げることができるため、さらなる構成要素への温度センサの接続が容易に実行され得るという利点を有する。
【0017】
本発明の一実施形態では、給電ラインは、金属ストリップ及び/又は金属ワイヤから形成される。金属ストリップ及び/又は金属ワイヤは、好ましくは、少なくとも1つの平坦化された端部を備える。平坦化された端部は、好ましくは、給電ラインの給電ライン接触面を形成する。
【0018】
さらに、給電ラインは、金属コーティングされたポリマー基板及び/又は金属シートであり得る。金属シートは、特に打ち抜かれるか、又はレーザー加工されるか、又はエッチング加工される。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、温度センサアセンブリが給電ライン支持体を備えることが可能である。少なくとも1つの給電ラインを給電ライン支持体に適用することができる。好ましくは、複数の給電ラインが、給電ライン支持体上に形成される。特に、給電ライン支持体を有する本発明のそのような実施形態において、少なくとも1つの給電ラインは、ペースト、特に銀ペーストから形成され得る。給電ライン支持体は、例えば、フィルム、特にポリイミドフィルムから形成することができる。給電ライン支持体の助けを借りて、少なくとも1つの給電ラインが予備アセンブリステップにおいて既に正しく配置されていることが可能である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、温度センサ構造部は、抵抗素子として形成される。既に説明したように、形成された好ましくは2つのセンサ接触面間の電気抵抗を、そのような温度センサ構造部又は抵抗構造の助けを借りて測定することができる。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態では、温度センサ構造部及び/又は少なくとも1つのセンサ接触面は、白金材料を含む。温度センサ構造部又は少なくとも1つのセンサ接触面は白金材料から形成されることが可能である。温度センサ構造部及び少なくとも1つのセンサ接触面の両方が白金から形成されることが特に好ましい。白金材料の代わりに白金合金を使用することが可能である。
【0022】
好ましくは、少なくとも2つのセンサ接触面が形成される場合、両方の接触面が基板の上面に形成される。これは、センサ接触面の接触性を改善するのに役立つ。あるいは、接触面のうちの1つが基板の異なる側に形成されることも可能である。
【0023】
本発明の一実施形態では、温度センサアセンブリは、基板の上面上の、温度センサ構造部の少なくとも一部に、かつ/又は好ましくは表面全体にわたって形成される少なくとも1つの不動態化層を備える。有利には、不動態化層を形成することにより、温度センサ構造部の表面における大幅に低減された反応容量が達成され得る。言い換えれば、温度センサ構造部の表面は、不動態化層によって、特に腐食に対して保護される。したがって、温度センサ構造部の表面での反応容量が低下するため、温度センサ要素を長期間にわたって高精度で動作させることができる。
【0024】
例えば、不動態化層は、少なくとも1つのポリイミド材料又は1つのガラス材料及び/又は1つのセラミック材料及び/又は1つのガラスセラミック材料を含むことができる。本発明のさらなる実施形態では、不動態化層は、ポリイミド材料又はガラス材料、及び/又はセラミック材料及び/又はガラスセラミック材料からなる。
【0025】
基板は、好ましくは、セラミック絶縁材料、特に酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウム及び/又は窒化ケイ素を含む。さらに、基板がガラスサンドイッチ材料を含むことが可能である。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、基板がプリント回路基板材料を含むことが可能である。
【0027】
セラミック絶縁材料は、良好な機械的、化学的、熱的、及び電気的特性の組み合わせを有利に提供する。
【0028】
基板の下面にメタライゼーション層を形成することができる。メタライゼーション層は、好ましくは、銀材料及び/又は金材料及び/又は金属合金を含む。これらの金属は、温度センサに関連して特に良好なメタライゼーション層を形成することが見出された。
【0029】
第2の焼結層及び/又は第2の焼結ペースト層は、メタライゼーション層上又は基板の下面に形成され得る。既にターゲットとする方式で予備適用焼結ペースト層に熱が加えられかつ/又は圧力が加えられている場合、第2の焼結層が存在する。第2の焼結層及び/又は第2の焼結ペースト層に関しては、上記の第1の焼結層及び/又は第1の焼結ペースト層に関連する説明が参照される。
【0030】
好ましくは、予備適用焼結ペースト層から第2の焼結層が形成される。
【0031】
次に、第2の焼結層及び/又は第2の焼結ペースト層が中間製品の一部となり得、それに基づいて、温度センサアセンブリが当初この段階まで製造され、顧客に輸送され、続いて顧客で適切に設置される。
【0032】
第2の焼結層及び/又は第2の焼結ペースト層は、特に、温度センサをプリント回路基板に取り付けて接触させるために使用される。
【0033】
給電ラインと温度センサとの間の接続を形成する焼結層又は予備適用焼結ペースト層は、以下において第1の焼結層又は第1の予備適用焼結ペースト層として常に理解されるべきであることを指摘するべきである。
【0034】
センサとさらなる構成要素、特に構成要素支持体との間の接続を形成する焼結層又は予備適用焼結ペースト層は、第2の焼結層として、又は第2の予備適用焼結ペースト層として理解されるべきである。
【0035】
「第1」及び「第2」という用語は、焼結層/予備適用焼結ペースト層のうちどれが1番目又は2番目に適用されるかに関して何も述べていない。
【0036】
第1の焼結層はまた、上部焼結層と称され得る。第1の予備適用焼結ペースト層はまた、上部予備適用焼結ペースト層と称され得る。第2の焼結層はまた、下部焼結層と称され得る。第2の予備適用焼結ペースト層はまた、下部予備適用焼結ペースト層と称され得る。
【0037】
第1の焼結層及び/又は第2の焼結層及び/又は第1の予備適用焼結ペースト層及び/又は第2の予備適用焼結ペースト層は、好ましくは金属粒子、特に貴金属粒子、特に好ましくは銀粒子及び/又は金粒子及び/又は白金粒子を含む。
【0038】
言い換えれば、第1及び/又は第2の予備適用焼結ペースト層を生成するために必要な焼結ペーストは、金属粒子、特に貴金属粒子、特に好ましくは銀粒子及び/又は金粒子及び/又は白金粒子を含み得る。焼結ペーストは、例えば、ステンシル印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はジェット印刷及び/又はディスペンシング及び/又は転写印刷によって適用することができる。
【0039】
焼結ペーストの、給電ライン接触面及び/又はセンサ接触面及び/又はメタライゼーション層への、並びに/又は基板の下面への適用は、所定の構造で行われ得る。構造は、特に、基板の構造及び/又は温度センサ構造部に正確に適用され得る。焼結ペーストは、言及された技術によってそのような形状で予備適用され得る。
【0040】
本発明による温度センサアセンブリにより、一方で輸送が容易であり、他方でさらなる構成要素に容易に適用かつ/又は接続される、温度センサアセンブリが提供され得る。これは、機械的接続及び電気的接続の両方に関する。
【0041】
少なくとも1つのセンサ接触面が、温度センサ構造部に電気的に接続されている。給電ラインの給電ライン接触面は、同様に給電ラインに電気的に接続されている。
【0042】
「焼結」という用語は、一般に、材料を生成又は変更するための方法を説明する。この場合、多くの場合高圧下で、微細化されたセラミック又は金属材料が加熱され、温度は主成分の溶融温度未満に維持される。したがって、ワークピースの形態又は形状が維持される。
【0043】
好ましくは、焼結ペーストは、焼結プロセスの前に乾燥される。焼結プロセス中、接続される要素又は部分は、位置決めされ、次いで圧力下で又は加圧せずに、かつ任意選択で高温下で互いに接続される。
【0044】
生産技術の観点から、組み立ての前に、接続される表面の少なくとも1つに焼結ペーストを適用することが有利である。焼結ペーストを表面に適用し、予備乾燥させる。この適用及び予備乾燥のステップは、予備適用とも呼ばれる。これは、表面の接続に関して、当初の焼結ペーストの印刷及び乾燥プロセスが不要である利点を有する。予備適用された焼結ペースト層は、もはや接着しないため、その後の組み立て中の構成要素の取り扱いが簡略化される。
【0045】
温度センサアセンブリを、実際に接続される構成要素上、特に接続されるプリント回路基板上に配置した後、最終的な焼結接続、すなわち実際の焼結層が、接続される構成要素を押圧する温度制御可能なスタンプによって生成され得る。
【0046】
あるいは、焼結層又は予備適用焼結ペースト層の代わりに、基板の下面又はメタライゼーション層に異なる接続層を適用して、基板又は温度センサをさらなる構成要素、特にプリント回路基板に接続することが可能である。例えば、温度センサは、さらなる構成要素、特にプリント回路基板に接着層を介して接続されることが可能である。好適な接着剤層は、例えば、反応性接着剤を含む層である。反応性接着剤は、例えば、エポキシ接着剤及び/又はシアノアクリレート接着剤であり得る。
【0047】
特に好ましくは、給電ラインは、平坦な材料、特に平坦な金属ストリップから形成される。平坦な給電ラインの形成は、そのような給電ラインが電源電子基板(PEB)の製造において既に使用されているという利点を有する。平坦な給電ラインは、大電流密度搬送能力と誘導磁場の低発生を併せ備える。したがって、温度センサを電力電子基板に統合するときに、電力半導体素子の接続に使用されている同じ給電ラインを使用することが可能である。これは、製造プロセスを大幅に簡素化する。
【0048】
さらなる本発明の好ましい実施形態は、金属コーティングされたポリマー基板で作製された給電ラインを含む。これは、金属化ポリイミドフィルムであり得る。そのような金属化ポリイミドフィルムは、特に低電力電子機器の分野で使用され、温度センサに接触させるのに特に好適であるため、特に有利である。金属化ポリイミドフィルムは特に費用効率性が高く、貯蔵ロールから直接適用することができ、非常に柔軟である。
【0049】
平坦な給電ラインの形成はまた、温度センサアセンブリの上面に平坦な構造を形成することができるという利点も有する。平坦な給電ライン、したがって平坦な給電ライン接触面の形成により、これらの給電ライン及び温度センサの表面は、ほぼ一平面内にある。その結果、温度センサと表面に対して押圧されるヒートシンクとの間の熱接触が増加する。このようにして、電力電子基板の両面冷却を実現することができる。言い換えれば、基板は、その上面及びその下面の両方で、ヒートシンクに接続され得る。
【0050】
本発明のさらなる態様は、本発明による温度センサアセンブリを製造するための方法に関する。
【0051】
本発明による方法は、原則として、以下の方法のステップに基づく。
-上面及び下面を有する少なくとも1つの電気絶縁基板を含む温度センサを提供するステップであって、上面の少なくとも一部に少なくとも1つのセンサ接触面を有する温度センサ構造部が形成される、ステップと、
-少なくとも1つの給電ライン接触面を含む給電ラインを提供するステップと、
-焼結ペーストをセンサ接触面及び/又は給電ライン接触面に適用するステップと、
-少なくとも第1の予備適用焼結ペースト層を形成するステップと、
-焼結プロセスを通して焼結層を形成することによって、給電ラインを温度センサに接続するステップ。
【0052】
本発明による温度センサアセンブリは、以下の例示的な方法の助けを借りて製造及び/又はさらに使用することができる。
【0053】
製造方法の第1の実施形態:
第1の方法ステップでは、焼結ペーストが少なくとも1つのセンサ接触面に適用される。第1の予備適用焼結ペースト層が形成される。焼結ペーストは、基板の下面又は基板のメタライゼーション層の少なくとも一部に適用される。第2の予備適用焼結ペースト層が形成される。
【0054】
続いて、温度センサは、第2の予備適用焼結ペースト層を用いた圧力焼結によってさらなる構成要素に接続され、センサ接触面は、給電ラインの給電ライン接触面に接続される。接続される給電ラインに関する圧力焼結プロセスと、接続されるさらなる構成要素に関する圧力焼結プロセスとは、同時に又は連続的に行われ得る。
【0055】
もし、第1の変形例に従って、温度センサが最初にさらなる構成要素に接続される場合、第1の圧力焼結プロセスにおいて、温度制御可能なスタンプが第1の予備適用焼結ペースト層に作用しないことを確実にしなければならない。続いて、少なくとも1つの給電ラインが、温度センサのセンサ接触面に関連付けて、給電ライン接触面と共に位置決めされ、圧力焼結プロセスによって接続される。
【0056】
製造方法の第2の実施形態:
第1のステップでは、焼結ペースト層が基板の下面又はメタライゼーション層に適用される。最初に、第2の予備適用焼結ペースト層が形成される。その後、温度センサは、予備適用焼結ペースト層を介してさらなる構成要素に接続される。
【0057】
その後、少なくとも1つのセンサ接触面及び/又は少なくとも1つの給電ライン接触面の少なくとも一部に焼結ペーストを適用する。第1の予備適用焼結ペースト層が形成される。
【0058】
続いて、給電ライン接触面がセンサ接触面に対して位置決めされる。給電ライン接触面が、第1の予備適用焼結ペースト層を介してセンサ接触面に接続される焼結プロセスがこれに続く。この点に関し、給電ライン、特に給電ライン接触面を、温度センサ、特にセンサ接触面上に押圧する温度制御可能なスタンプを使用することが好ましい。
【0059】
製造方法の第3の実施形態
第1のステップでは、第1の予備適用焼結ペースト層が形成される。この目的のために、焼結ペーストが、少なくとも1つのセンサ接触面に、及び/又は給電ラインの少なくとも1つの給電ライン接触面に適用される。
【0060】
次に、温度センサは、さらなる構成要素に接続される。この目的のために、温度センサは、基板の下面で、又はメタライゼーション層上で、少なくとも1つのさらなる構成要素に接続される。この接続は、接着層及び/又ははんだ層及び/又は焼結層を介して形成されることが可能である。
【0061】
次に、給電ラインが温度センサに接続される。この目的のために、第1の焼結層が、少なくとも1つの給電ライン接触面と少なくとも1つのセンサ接触面との間で焼結プロセスを介して形成される。
【0062】
製造方法の第4の実施形態
第1のステップでは、少なくとも1つの給電ラインの少なくとも1つの給電ライン接触面に第1の焼結ペーストが適用されて、第1の予備適用焼結ペースト層が形成される。
【0063】
その後、又はそれ以前に、又は同時に、温度センサが、さらなる構成要素、特に構成要素支持体に接続される。この目的のために、基板の下面又は温度センサのメタライゼーション層は、さらなる構成要素、特に構成要素支持体に接続されている。この接続は、好ましくは、温度センサとさらなる構成要素、特に構成要素支持体との間に第2の焼結層を形成することによって行われる。
【0064】
本発明のさらなる特徴及び利点が、以下の説明から明らかになる。
【0065】
例示的な実施形態を使用し、添付の図面を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図面において、
図1】本発明による温度センサアセンブリの第1の実施形態を示す。
図2】本発明による温度センサアセンブリの第2の実施形態を示す。
図3】本発明による温度センサアセンブリの第3の実施形態を示す。
【0067】
以下では、同一構成要素及び同一作用の構成要素には同じ参照符号が使用される。
【0068】
図1は、本発明による温度センサアセンブリ1の第1の実施形態を示す。当該温度センサアセンブリは、本質的に、温度センサ2及び少なくとも1つの給電ライン3を備える。温度センサ2は、上面5及び下面6を有する電気絶縁基板4を備える。温度センサ構造部7は、基板4の上面5の少なくとも一部に形成されている。
【0069】
2つのセンサ接触面8も同様に見ることができる。温度センサ構造部7及びセンサ接触面8は、好ましくは同じ材料から形成される。特に好ましくは、それらは白金材料から形成される。
【0070】
給電ライン3は、可撓性である。示される例では、給電ライン3は、平坦な金属ストリップから形成される。給電ライン3は、金属コーティングされたポリマー基板から形成されることが可能である。給電ライン3の前端部は、給電ライン接触面9を備える。給電ライン接触面9は、好ましくは、センサ接触面8に接続される給電ライン3の部分である。センサ接触面8のうちの1つは、給電ライン3の図示された給電ライン接触面9に第1の焼結層10を介して接続されている。
【0071】
図1は、1つの給電ライン3のみを示す。さらなるセンサ接触面8は、好ましくは、後の方法ステップ(図示せず)で給電ライン3に同様に接続される。この点に関し、第1の予備適用焼結ペースト層13が既に形成されている。第1の焼結層10と第1の予備適用焼結ペースト層13との間の差は、第1の予備適用焼結ペースト層13は、給電ライン3、特に給電ライン接触面9への接続を可能にするために残留反応性を有することである。焼結プロセスが完了すると、既に図1に示されているように、第1の焼結層10が形成される。
【0072】
示される例では、温度センサ2は、基板4の下面6上にメタライゼーション層を備える。メタライゼーション層11は、好ましくは、銀材料及び/又は金材料及び/又は金属合金を含む。次に、第2の予備適用焼結ペースト層12が、メタライゼーション層11に適用される。この第2の予備適用焼結ペースト層12は、温度センサアセンブリ1を、さらなる構成要素、特に構成要素支持体に接続するために使用される。
【0073】
示されている温度センサアセンブリ1は、この形態で中間生成物として輸送することができる。この目的のために、さらなる給電ライン3を、第1の予備適用焼結ペースト層13に適用することができる。
【0074】
この形態で中間製品を顧客に輸送することができる。層12は、残留反応性を有する予備適用焼結ペースト層であるため、温度センサアセンブリ1は、さらなる構成要素(図示せず)、特に構成要素支持体に容易に接続することができる。
【0075】
さらに、給電ライン3が同様に、第2の端部(図示せず)上に給電ライン接触面を含むことが可能である。このさらなる給電ライン接触面は、既に予備適用焼結ペースト層を含むことができる。さらに、給電ラインのさらなる端部を、異なる接続技術によってさらなる構成要素に接続することが可能である。
【0076】
図2に従う実施形態は、本質的に、図1による実施形態に関連して既に説明されている、同じ要素又は層を含む。
【0077】
しかしながら、メタライゼーション層も、予備適用焼結ペースト層も基板4の下面6に適用されていないことが分かる。
【0078】
図2に示される温度センサアセンブリ1はまた、中間製品として顧客に輸送され得る。基板4のさらなる構成要素、特に構成要素支持体への接続は、例えば、接着層(図示せず)を介して行われ得る。さらに、予備適用焼結ペースト層が、接続される構成要素上、特に構成要素支持体上に形成されることが可能であり、その結果、基板4の下面6が、この予備適用焼結ペースト層上に配置され、続いてそれに接続され得る。
【0079】
図3は、温度センサアセンブリ1のさらなる実施形態の断面図を示す。
【0080】
給電ライン3は、給電ライン支持体14に適用される。給電ライン支持体14は、例えばポリイミドフィルムからなり得、給電ライン3は、例えば、印刷されたAgペーストのストリップからなり得る。給電ライン3は、第1の焼結層10を介してセンサ接触面8に接続されている。
【0081】
第1の焼結層10は、接合前に給電ライン3及び/又はセンサ接触面8に予備適用されている。
【0082】
符号の説明
1 温度センサアセンブリ
2 温度センサ
3 給電ライン
4 基板
5 上面
6 下面
7 温度センサ構造部
8 センサ接触面
9 給電ライン接触面
10 第1の焼結層
11 メタライゼーション層
12 第2の予備適用焼結ペースト層
13 第1の予備適用焼結ペースト層
14 給電ライン支持体

図1
図2
図3