(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】端末装置、作業車両システム、情報処理方法、およびサーバ装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241002BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241002BHJP
B60S 5/00 20060101ALI20241002BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06Q10/20
B60R16/02 650J
B60S5/00
E02F9/26 A
E02F9/26 Z
(21)【出願番号】P 2018169368
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 徹
(72)【発明者】
【氏名】上田 耕嗣
(72)【発明者】
【氏名】森田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】森 祐一
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸久
(72)【発明者】
【氏名】小川 信一
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】上田 純平
(72)【発明者】
【氏名】若林 弘輝
【合議体】
【審判長】松田 直也
【審判官】緑川 隆
【審判官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051031(JP,A)
【文献】特開平11-094708(JP,A)
【文献】特開平06-330539(JP,A)
【文献】特開2015-082706(JP,A)
【文献】特開2005-202886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60S 5/00
B60R 16/02
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
ディスプレイと、
ユーザ操作に基づく入力を受け付ける入力装置と、を備え、
前記プロセッサは、作業車両の複数の部位のうち、前記作業車両の故障原因と推定される
複数の候補を、前記ディスプレイに表示させ、
前記プロセッサは、
前記入力装置が前記複数の候補のうちから1つの前記部位を選択する入力を受け付けたことに基づき、選択された前記部位が現れるまで前記作業車両を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、前記ディスプレイにさらに表示させる、端末装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記作業車両から発信された情報に基づいて、前記複数の部位のうちから前記複数の候補の各々を特定する、請求項
1に記載の端末装置。
【請求項3】
サーバ装置と通信する通信インターフェイスをさらに備え、
前記プロセッサは、前記部位が選択されたことに基づき、前記通信インターフェイスを介して、前記サーバ装置から前記分解手順を示す動画像または複数の静止画像を取得する、請求項
1または
2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記部位が選択されたことに基づき、選択された前記部位の故障対応マニュアルと、前記分解手順を示す動画像または複数の静止画像を表示させるためのオブジェクトとを、前記ディスプレイに表示させる、請求項
1から
3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記分解手順を示す動画像と、前記分解手順を示す複数の静止画像とを、前記ディスプレイに表示可能であって、
前記プロセッサは、前記部位が選択されたことに基づき、前記オブジェクトとして、前記分解手順を示す動画像を表示させるための第1のオブジェクトと、前記分解手順を示す複数の静止画像を表示させるための第2のオブジェクトとを、前記ディスプレイに表示させる、請求項
4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記複数の候補の各々には、前記故障原因の確率が高い順に順位が対応付けられており、
前記プロセッサは、前記複数の候補を前記ディスプレイに表示させるときには、前記複数の候補の各々の前記順位を前記ディスプレイにさらに表示させる、請求項
1から
5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、予め定められた期間における、前記作業車両とは異なる他の作業車両の故障情報に基づいて前記順位を決定する、請求項
6に記載の端末装置。
【請求項8】
プロセッサと、
ディスプレイと、
通信インターフェイスとを備え、
前記プロセッサは、
前記通信インターフェイスを介して、サーバ装置に故障コードを送信し、
作業車両の複数の部位のうち、前記故障コードに基づき前記サーバ装置にて特定された複数の候補であって、かつ前記作業車両の故障原因と推定される複数の候補を示す情報を、前記通信インターフェイスを介して前記サーバ装置から取得し、
前記情報に基づき、前記複数の候補を前記ディスプレイに選択可能に表示させ、
前記複数の候補のうちから1つの部位が選択され、かつ所定の操作がなされたことに基づき、選択された前記部位が現れるまで前記作業車両を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像の画像データを、前記通信インターフェイスを介して前記サーバ装置から取得し、かつ、前記画像データに基づく画像を前記ディスプレイにさらに表示させる、端末装置。
【請求項9】
作業車両と、
サーバ装置と、
端末装置とを備え、
前記端末装置は、
前記作業車両が故障した場合、前記作業車両の複数の部位のうち、前記作業車両の故障原因と推定される
複数の候補を表示し、
前記複数の候補のうちから1つの前記部位を選択するユーザ操作を受け付けたことに基づき、選択された前記部位を前記サーバ装置に通知し、
前記サーバ装置は、前記端末装置から通知された前記部位が現れるまで前記作業車両を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記サーバ装置から送信された前記分解手順を示す動画像または複数の静止画像をさらに表示する、作業車両システム。
【請求項10】
端末装置の情報処理方法であって、
作業車両の複数の部位のうち、前記作業車両の故障原因と推定される
複数の候補を、前記端末装置が表示するステップと、
表示された前記複数の候補のうちから1つの前記部位を選択するユーザ操作を前記端末装置が受け付けるステップと、
選択された前記部位が現れるまで前記作業車両を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、前記端末装置が表示するステップとを備える、情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサと、
作業車両の部位が現れるまで前記作業車両を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、前記作業車両の部位毎に記憶したメモリと、
端末装置と通信するための通信インターフェイスとを備え、
前記プロセッサは、
前記作業車両が故障した場合、複数の前記部位のうち前記作業車両の故障原因と推定される
複数の候補を、前記通信インターフェイスを介して前記端末装置に通知し、
前記端末装置に対するユーザ操作によって前記端末装置において前記複数の候補のうちの1つの前記部位が選択されたことに基づき、前記通信インターフェイスを介して、選択された前記部位の通知を前記端末装置から受け付け、
前記通知を受け付けたことに基づき、前記端末装置において選択された前記部位が現れるまで前記作業車両を分解する前記分解手順を示す動画像または複数の静止画像を前記メモリから読出し、
読み出された前記分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、前記通信インターフェイスを介して前記端末装置に送信する、サーバ装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記通信インターフェイスを介して、前記作業車両と通信することにより、前記作業車両から発信された情報を取得し、
取得された前記情報に基づいて、前記複数の部位のうちから前記複数の候補の各々を特定する、請求項
11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記通信インターフェイスを介して、前記作業車両とは異なる他の作業車両から前記他の作業車両の故障情報をさらに取得し、
予め定められた期間における前記他の作業車両の故障情報に基づいて、前記複数の候補の各々に対して、前記故障原因の確率が高い順に順位を付し、
前記複数の候補に対して前記順位を付した状態で、前記複数の候補を前記通信インターフェイスを介して前記端末装置に通知する、請求項
12に記載のサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置、作業機械システム、情報処理方法、およびサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械の故障を診断する故障診断装置が知られている。
たとえば、特許文献1には、このような故障診断装置を有する建設機械が開示されている。当該建設機械は、故障個所の故障コード番号をキャブ内のモニタに表示する。
【0003】
特許文献2には、建設機械と通信する故障診断装置が開示されている。当該故障診断装置には、建設機械のコントローラから送信された、建設機械における操作指令と、建設機械の各部材の動作状況を示した検出信号と、故障コード信号とが入力される。当該故障診断装置には、建設機械の修理マニュアルに記載されている診断手順、故障項目、基準値等を記憶したICメモリカードが挿入される。
【0004】
さらに、特許文献2の故障診断装置は、コントローラからの入力と、ICメモリカードに記憶された情報とに基づき、建設機械の故障を診断するとともに、診断手順等を故障診断端末の表示部に表示する。特許文献2の故障診断装置は、診断結果および処置を表示部に表示する。故障診断装置は、たとえば、不良部品の名称および品番と、当該部品の交換方法とを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-315296号公報
【文献】特開平6-11419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の故障診断装置は、不良と診断された部品の交換方法を文字(テキスト)として表示する。
【0007】
しかしながら、作業機械のサービスマンの習熟度が低い場合、交換方法を文字で確認するだけでは、具体的な作業イメージを想起できない。このため、特許文献2の故障診断装置を利用しても、部品の状態確認および部品の交換等の作業に時間を要する場合がある。
【0008】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、サービスマンが作業機械の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能な端末装置、作業機械システム、情報処理方法、およびサーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に従うと、端末装置は、プロセッサと、ディスプレイとを備える。プロセッサは、作業機械の複数の部位のうち、作業機械の故障原因と推定される候補を、ディスプレイに表示させる。プロセッサは、候補となっている部位が現れるまで作業機械を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、ディスプレイにさらに表示させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の開示によれば、サービスマンが作業機械の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】作業機械システムの概略構成を表した図である。
【
図3】故障コードの入力方法の説明するための図である。
【
図4】ホーム画面で故障コードが入力欄に入力された状態で、オブジェクトが選択されたときに表示される画面を表した図である。
【
図5】画面において通し番号“3”が選択されることによって、故障原因と推定される複数の候補から旋回ロックスイッチが選択されたときに表示される画面を表した図である。
【
図6】後方カバーおよび後方カバー内の分解手順を示す動画像の表示例を表した図である。
【
図7】右コンソールの分解手順を示す1枚目の静止画像の表示例を表した図である。
【
図8】右コンソールの分解手順を示す2枚目の静止画像の表示例を表した図である。
【
図9】右コンソールの分解手順を示す3枚目の静止画像の表示例を表した図である。
【
図10】右コンソールの分解手順を示す最後の静止画像の表示例を表した図である。
【
図11】端末装置のハードウェア構成の典型例を表した図である。
【
図12】サーバ装置のハードウェア構成を表した図である。
【
図13】作業機械システムを構成する各装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図14】作業機械システムにおける処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図15】端末装置における処理の流れを説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、実施形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0013】
以下、サーバ装置と作業機械と端末装置とを有する作業機械システムについて、図面を参照しながら説明する。以下においては、作業機械として、作業車両である油圧ショベルを例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「後」,「右」とは、作業車両の運転席に着座したオペレータを基準とする用語である。
【0014】
<A.システム構成>
図1は、実施形態に基づく作業機械システムの概略構成を表した図である。
【0015】
図1に示されるように、作業機械システム1000は、複数の作業車両1,1Aと、サーバ装置2と、端末装置3とを備えている。なお、作業車両の数は2台に限定されるものではない。端末装置3の数も1台に限定されるものではない。
【0016】
端末装置3は、クライアント装置である。端末装置3は、ポータブルな装置である。端末装置3は、典型的には、タブレット端末である。端末装置3は、作業機械の修理およびメンテナンスを行うサービスマンによって使用される。端末装置3は、作業機械の故障の原因をサービスマンが調査するための支援装置(故障診断支援装置)として機能する。たとえば作業車両1が故障した場合、サービスマンは、端末装置3を作業車両1の場所まで持っていき、当該場所で端末装置3を操作する。
【0017】
端末装置3は、ブラウザを搭載している。端末装置3は、サーバ装置2によって提供されるWebページを表示する。後述する動画像および静止画像を含む各種の画面は、典型的には、Webページとして提供される。
【0018】
作業車両1,1Aと端末装置3とは、ネットワーク5を介して、サーバ装置2と通信可能に接続されている。
図1の例では、作業車両1および端末装置3は、各々が在圏している基地局4を介して、ネットワーク5に接続されている。作業車両1Aは、作業車両1Aが在圏している基地局4Aを介して、ネットワーク5に接続されている。
【0019】
作業車両1,1Aおよび端末装置3と、サーバ装置2との間の通信には、たとえば、3Gの通信規格、4Gの通信規格、3.9G(またはPre-4G)と称されるLTE(Long Term Evolution)に関する通信規格、またはWimax(登録商標)の通信規格が利用され得る。また、作業車両1,1Aおよび端末装置3は、サーバ装置2と、衛星回線を用いて通信してもよい。
【0020】
なお、端末装置3が、本発明における「端末装置」の例である。サーバ装置2が、本発明における「サーバ装置」の例である。作業車両1が、本発明における「作業機械」の例である。作業車両1Aが、本発明における「他の作業機械」の例である。
【0021】
<B.ユーザインターフェイス>
端末装置3において表示されるユーザインターフェイスについて説明する。
【0022】
(b1.分解手順を表示するまでの操作例)
図2は、端末装置3で表示される画面を表している。
【0023】
図2に示されるように、画面320は、ホーム画面に表示される入力枠等に対して、サービスマンが入力操作を行っているときの状態を表している。なお、ホーム画面は、端末装置3にインストールされているアプリケーションプログラムを実行したときに端末装置3で表示される画面である。
【0024】
(1)画面の説明
画面320は、複数のオブジェクト3101~3106と、複数の領域3200,3300,3400,3500とを有する。
【0025】
オブジェクト3101は、ホーム画面を表示させるためのアイコンである。オブジェクト3102は、サービスマンが故障診断を行うときに選択するアイコンである。オブジェクト3103は、作業機械の現在地を地図上で表示させるためのアイコンである。オブジェクト3104は、作業機械のメンテナンス履歴を表示させるためのアイコンである。オブジェクト3105は、ショップマニュアルを表示させるためのアイコンである。オブジェクト3106は、取扱説明書を表示させるためのアイコンである。
【0026】
領域3200は、対象となる作業機械(
図1の場合には作業車両1)についての、機種の入力欄3201と、型式の入力欄3202と、機番の入力欄3203と、顧客名称の入力欄3204と、登録日の入力欄3205と、オブジェクト3206とを有する。
【0027】
領域3300は、不具合部位の入力欄3301と、不具合現象の入力欄3302と、故障コードの入力欄3303とを有する。不具合部位の入力欄3301と、不具合現象の入力欄3302とにおいては、サービスマンは、プルダウンメニューによって入力を行うことができる。
【0028】
領域3400は、対象となる作業機械(
図1の場合には作業車両1)において過去に発生した故障(エラー)に関する表示を行うための領域である。領域3400には、故障コードと、アクションレベルと、エラー名称と、エラーの累積発生回数と、最高気温と、最低気温と、発生SMR(Service Meter Reading:稼動累計時間)と、発生年月日とが自動的に表示される。領域3400に示された故障コード(
図2の例では、「CA731」)は、サービスマンによる操作によって選択可能に構成されている。
【0029】
領域3500は、使用工具の情報と、点検機器の情報とが自動的に表示される。
(2)ホーム画面での状態遷移
サービスマンが、入力欄3201,3202,3203に対してデータを入力した後に、オブジェクト3206を選択すると、端末装置3は、図示されているように、入力欄3204,3205に自動入力を行う。オブジェクト3206が選択されると、端末装置3は、領域3400に、図示されているような故障(エラー)に関する表示をする。
【0030】
詳しくは、端末装置3は、入力欄3201,3202と,3203に対する入力を受け付けると、サーバ装置2に対して入力されたデータを送信する。サーバ装置2は、端末装置3から受信したデータに基づいて、顧客名称と登録日と故障に関する情報とを抽出する。サーバ装置2は、抽出された、顧客名称と登録日と故障に関する情報とを端末装置3に通知する。
【0031】
以上によって、図示されているような、入力欄3201~3205への入力(表示)と、領域3400での表示とが実現される。
【0032】
次に、サービスマンが、領域3400に示された故障コード(
図2の例では、「CA731」)を選択すると、選択された故障コードが領域3300の入力欄3303に自動的に入力される。領域3400に示された故障コードが選択されると、端末装置3は、領域3500に、故障コードに関連した、使用工具の情報と点検機器の情報とを表示する。典型的は、端末装置3は、使用工具の情報と点検機器の情報とを、故障コードに基づいてサーバ装置2から取得する。
【0033】
なお、点検機器とは、工具を用いて点検可能となった状態において、部位(部品)の点検に用いる機器を指す。たとえば、ワイヤーハーネス同士の間に接続することにより、ワイヤーハーネスから分岐路を設けるための機器である。
【0034】
以上によって、図示されているような、領域3300における入力欄3303と、領域3500とにおける表示が実現される。
【0035】
ところで、
図2の例に示すように、端末装置3が、サーバ装置2との通信によって、対象となる作業機械において過去に発生した故障に関する情報を取得し、かつ取得された情報を領域3400に表示する。さらに、サービスマンが、領域3400に表示された故障コードを選択することにより、入力欄3303に故障コードが入力される。しかしながら、故障コードの入力方法は、これに限定されるものではない。たとえば、以下の2つの方法を用いてもよい。
【0036】
1つ目の方法として、作業車両1のオペレータ等からのヒアリングに基づいて故障コードをサービスマンが特定できる場合、サービスマンは、領域3200の入力欄3201~3203への入力を行うことなく、領域3300の入力欄3303に故障コードを入力すればよい。あるいは、サービスマンが作業車両1を操作することにより故障が再現した場合等において、サービスマンが故障コードを特定できるときには、サービスマンは、領域3200の入力欄3201~3203への入力を行うことなく、領域3300の入力欄3303に故障コードを入力すればよい。次いで、2つ目の方法について、
図3に基づいて説明する。
【0037】
図3は、故障コードの入力方法の説明するための図である。
図3に示されるように、画面330は、ホーム画面に表示される入力枠等に対して、サービスマンが入力操作を行ったときの状態を表している。サービスマンは、たとえば作業車両1のオペレータ等からのヒアリングした結果に基づいて、領域3300の入力欄3301,3302に入力を行う。
【0038】
端末装置3は、入力欄3301,3302に対する入力が行われると、こられの入力に基づき決定された故障コードを入力欄3303に表示する。なお、故障コードの決定は、サーバ装置2で行われてもよいし、あるいは端末装置3で行われてもよい。
【0039】
(3)ホーム画面からの画面遷移
図4は、ホーム画面において故障コードが入力欄3303に入力された状態で、オブジェクト3102が選択されたときに表示される画面を表した図である。
【0040】
図4に示されるように、画面340は、領域3600と、領域3700とを有する。
領域3600は、選択可能なオブジェクト3601を含む。サービスマンによって、オブジェクト3601が選択されると、端末装置3は、拡張現実を表示するモードに移行する。このモードでは、サービスマンが端末装置3の裏面(ディスプレイと反対側であって、かつカメラが設けられた面)を作業車両1に向けると、作業車両1に重畳して内部の構造が表示される。
【0041】
端末装置3は、入力欄3303に入力された故障コードに基づいた故障対応マニュアル3701を、領域3700に表示する。故障対応マニュアル3701は、端末装置3がサーバ装置2に対して故障コードを送信することによりサーバ装置2から取得してもよいし、あるいは、端末装置3に予め格納しておいてもよい。
【0042】
故障対応マニュアル3701は、記載欄3710,3720,3730,3740を含む。故障対応マニュアル3701は、少なくとも縦方向にスクロール可能に構成されている。
【0043】
記載欄3710には、故障対応マニュアル3701における通し番号が記載されている。各通し番号は、サービスマンが選択可能となっている。記載欄3720には、作業機械の複数の部位(たとえば、部品)のうち、故障原因と推定される複数の候補が、当該通し番号毎に記載されている。このように、端末装置3では、サービスマンは、通し番号を選択することにより、複数の候補から1つの部位を選択できるようになっている。
【0044】
記載欄3730には、候補(部位)の故障診断手順、測定場所、基準(値)、および備考が、上記通し番号毎に記載されている。記載欄3740には、診断結果および処置が、上記通し番号毎に記載されている。
【0045】
以上のように、端末装置3は、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される複数の候補を、端末装置3のディスプレイに表示する。端末装置3は、複数の候補のうちから1つの部位を選択する入力を受け付ける。
【0046】
端末装置3は、複数の候補のうちから1つの部位を選択する入力を受け付けると、表示画面を画面340から、選択された部位に応じた画面に遷移する。
【0047】
図5は、画面340において通し番号“3”が選択されることによって、故障原因と推定される複数の候補から旋回ロックスイッチが選択されたときに表示される画面を表した図である。
【0048】
図5に示されるように、画面350は、領域3800と、領域3900とを含む。端末装置3は、領域3800に、複数のオブジェクト3801~3805を表示する。端末装置3は、領域3900に、選択された部位の一例である「旋回ロックスイッチ」に関する故障対応マニュアル3901を表示する。故障対応マニュアル3901は、故障対応マニュアル3701の一部を抽出したものである。それゆえ、故障対応マニュアル3901は、旋回ロックスイッチについての、故障診断手順、測定場所、基準(値)、および備考を含む。さらに、故障対応マニュアル3901は、診断結果および処置の情報を含む。
【0049】
サービスマンが、オブジェクト3801を選択すると、端末装置3は、「選択された部位である旋回ロックスイッチが現れるまで作業車両1を分解する分解手順」を示す動画像を、端末装置3のディスプレイに表示する。
【0050】
典型的には、オブジェクト3801が選択されると、端末装置3は、分解手順を示す動画像データをサーバ装置2から取得(ダウンロード)する。サービスマンが、取得された動画像データを再生する入力を端末装置3に対して行うと、端末装置3は動画像データを再生する。これにより、分解手順を示す動画像がディスプレイで表示される。
【0051】
サービスマンが、オブジェクト3802を選択すると、端末装置3は、「選択された部位である旋回ロックスイッチが現れるまで作業車両1を分解する分解手順」を示す複数の静止画像を、端末装置3のディスプレイに表示する。典型的には、端末装置3は、静止画像を1枚ずつ表示する。
【0052】
なお、オブジェクト3801が、本発明における「第1のオブジェクト」の例である。オブジェクト3802が、本発明における「第2のオブジェクト」の例である。
【0053】
(b2.動画による分解手順の表示)
以下では、選択された部位が後方カバー内の特定の部品である場合の分解手順を例に挙げて説明する。
【0054】
図6は、後方カバーおよび後方カバー内の分解手順を示す動画像の表示例を表した図である。
【0055】
図6に示されるように、端末装置3は、分解手順を示す動画像861を含む画面860をディスプレイに表示する。サービスマンが動画像を確認することにより、サービスマンは、分解手順を容易に把握することができる。それゆえ、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。さらには、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の修理または交換作業を速やかに実行可能となる。
【0056】
画面860は、分解手順を時系列で示したテキスト情報862をさらに含む。典型的には、テキスト情報862は、複数の分解手順の各々を示すテキストからなり、各テキストに対して分解順に番号が付され、かつ当該分解順に並べられている。このような表示によれば、サービスマンは、分解作業全体の流れを容易に把握可能となる。
【0057】
サービスマンによる操作に基づき、端末装置3が動画像の再生を開始すると、表示されるシーンに応じたテキストが他のテキストとは異なった態様で表示される。同図の局面ではカバーを取り外しシーンが再生されているため、端末装置3は、「1.カバーを取り外す」といったテキストを強調表示する。このような表示によれば、サービスマンは、この後、どの程度の手順(作業工程)が必要かを容易に把握することができる。
【0058】
さらに、端末装置3は、表示されるシーンに応じたテキスト863を動画像に重畳して表示する。同図の局面ではカバーを取り外すシーンが再生されているため、端末装置3は、「1.カバーを取り外す」といったテキストを動画像に重畳して表示する。このような構成によれば、サービスマンは、テキストを動画像に重畳しない場合に比べて、動画像のシーンが何の手順であるのかを、より明確に理解することができる。
【0059】
なお、端末装置3では、任意のタイミングで動画像の再生停止、再生再開、巻き戻し等が可能となっている。これによれば、サービスマンは、確認したいと所望する箇所を十分に確認可能となる。
【0060】
(b3.静止画による分解手順の表示)
以下では、選択された部位が右コンソール内の特定の部品である場合の分解手順を例に挙げて説明する。
【0061】
図7は、右コンソールの分解手順を示す1枚目の画像(静止画像)の表示例を表した図である。
【0062】
図7に示されるように、端末装置3は、右コンソールの画像8710を含む画面871をディスプレイに表示する。画面871には、オブジェクト8712と、分解方法についての説明文8713とがさらに含まれている。
【0063】
画像8710においては、取り外す部品(本例では、アームレスト)が目立つ態様で表示される。たとえば、アームレストは、本来の色とは異なる色(たとえば赤色)で表示される。これにより、サービスマンは、この局面において取り外す部品を、即座に把握することができる。
【0064】
また、画像8710には、アームレストの取り外しに関連する部品の位置を指し示す画像が含まれている。本例の場合、画像8710には、アームレストを固定しているボルトが、引き出し線とテキストとで表示される。このような表示よれば、サービスマンは、アームレストを外すための部品の位置を容易に把握できる。また、アームレストと同様、端末装置3は、ボルトを本来の色とは異なる色で表示することが好ましい。
【0065】
さらに、画像8710には、アームレストを外す方向を示す矢印の画像がふくまれている。この表示によれば、サービスマンは、アームレストを外す方向(移動方向)を容易に把握することができる。
【0066】
サービスマンは、画像8710とともに説明文8713を確認することにより、より正確に作業内容を把握することができる。典型的には、説明文8713には、画像8710にテキストで表示された部品名(本例の場合、“アームレスト”、“ボルト”)が含まれる。また、説明文8713には、画像8710には示されていない情報(本例の場合、“M8 二面幅6mm”)も含まれ得る。
【0067】
サービスマンは、アームレストを取り外した後にオブジェクト8712を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面871から次の画面に遷移させることができる。
【0068】
図8は、右コンソールの分解手順を示す2枚目の画像(静止画像)の表示例を表した図である。
【0069】
図8に示されるように、端末装置3は、アームレストが取り外された後の右コンソールの画像8720を含む画面872をディスプレイに表示する。画面872には、オブジェクト8721,8722と、分解方法についての説明文8723とがさらに含まれている。
【0070】
画像8720においては、取り外す部品(本例では、燃料ダイヤル)が目立つ態様で表示される。これにより、サービスマンは、この局面において取り外す部品を、即座に把握することができる。
【0071】
また、画像8720には、燃料ダイヤルを外す方向を示す矢印の画像が含まれている。この表示によれば、サービスマンは、燃料ダイヤルを外す方向を容易に把握することができる。
【0072】
サービスマンは、画像8720とともに説明文8723を確認することにより、より正確に作業内容を把握することができる。
【0073】
サービスマンは、燃料ダイヤルを取り外した後にオブジェクト8722を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面872から次の画面に遷移させることができる。なお、サービスマンは、オブジェクト8721を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面872から1つ前の画面871に戻すことができる。
【0074】
図9は、右コンソールの分解手順を示す3枚目の画像(静止画像)の表示例を表した図である。
【0075】
図9に示されるように、端末装置3は、燃料ダイヤルが取り外された後の右コンソールの画像8730を含む画面873をディスプレイに表示する。画面873には、オブジェクト8731,8732と、分解方法についての説明文8733と、注意事項を示した画像8734とがさらに含まれている。
【0076】
画像8730においては、取り外す部品(本例では、ブーツを固定するためのプレート)が目立つ態様で表示される。これにより、サービスマンは、この局面において取り外す部品を、即座に把握することができる。
【0077】
サービスマンは、画像8730とともに説明文8733を確認することにより、より正確に作業内容を把握することができる。さらに、サービスマンは、注意事項を示した画像8734を確認することにより、適切な作業を行うことが可能となる。なお、画像8734には、典型的には、要部を拡大した画像と、注意内容を表したテキストとが含まれる。
【0078】
サービスマンは、作業車両1のキャブ内のブーツを捲り上げた後にオブジェクト8732を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面873から次の画面に遷移させる。なお、サービスマンは、オブジェクト8731を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面873から1つ前の画面872に戻すことができる。
【0079】
図10は、右コンソールの分解手順を示す最後(4枚目)の静止画像の表示例を表した図である。
【0080】
図10に示されるように、端末装置3は、ブーツを捲り上げた後の右コンソールの画像8740を含む画面874をディスプレイに表示する。画面874には、オブジェクト8741と、分解方法についての説明文8743とがさらに含まれている。画像8740には、要部拡大画像8744,8745が含まれている。
【0081】
画像8740においては、取り外す部品(本例では、カバー)が目立つ態様で表示される。これにより、サービスマンは、この局面において取り外す部品を、即座に把握することができる。
【0082】
サービスマンは、画像8740とともに説明文8743を確認することにより、より正確に作業内容を把握することができる。さらに、サービスマンは、要部拡大画像8744,8745を確認することにより、適切な作業を行うことが可能となる。
【0083】
なお、サービスマンは、オブジェクト8741を選択することにより、端末装置3の表示画面を画面874から1つ前の画面873に戻すことができる。
【0084】
以上のように、端末装置3は、選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す複数の静止画像をディスプレイに表示する。サービスマンが複数の静止画像を確認することにより、サービスマンは、分解手順を容易に把握することができる。それゆえ、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。さらには、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の修理または交換作業を速やかに実行可能となる。
【0085】
(b4.分解手順以外のコンテンツの表示)
(1)立体配置図
サービスマンが、
図5に示したオブジェクト3803を選択すると、端末装置3は、選択された部位である旋回ロックスイッチの立体配置図を、端末装置3のディスプレイに表示する。端末装置3は、周辺の部品とともに旋回ロックスイッチを3次元的に示した図を表示する。典型的には、オブジェクト3803が選択されると、端末装置3は、立体配置図の画像データをサーバ装置2から取得し、かつ当該画像データに基づいて立体配置画像を端末装置3のディスプレイに表示する。
【0086】
旋回ロックスイッチの立体配置図の表示によって、サービスマンは、容易に、旋回ロックスイッチの位置を立体的に把握できる。
【0087】
サービスマンが立体配置図の一部の領域を指定することにより、端末装置3は、指定された領域の拡大図(立体配置図)を表示する。これによれば、サービスマンは、より詳細な立体配置図を確認することができる。
【0088】
(2)コネクタピンの図
サービスマンが、オブジェクト3804を選択すると、端末装置3は、選択された部位である旋回ロックスイッチのコネクタピンの図を、端末装置3のディスプレイに表示する。典型的には、オブジェクト3804が選択されると、端末装置3は、コネクタピンの画像データをサーバ装置2から取得し、かつ当該画像データに基づいてコネクタピンの図を端末装置3のディスプレイに表示する。
【0089】
コネクタピンの図の表示によって、サービスマンは、ピンの情報を確認できるため、故障診断を迅速に進めることができる。
【0090】
(3)パーツカタログ
サービスマンが、オブジェクト3805を選択すると、端末装置3は、選択された部位である旋回ロックスイッチのパーツカタログを、端末装置3のディスプレイに表示する。なお、パーツカタログは、旋回ロックスイッチをパーツ(ボルト、ナット、スプリング、…)に分解した図、各パーツの詳細情報(品番等)等を含む。典型的には、オブジェクト3805が選択されると、端末装置3は、パーツカタログの画像データをサーバ装置2から取得し、かつ当該画像データに基づいてパーツカタログの図を端末装置3のディスプレイに表示する。
【0091】
パーツカタログの表示によって、サービスマンは、自身が選択した部品を構成する各パーツの品番等を確認できる。したがって、速やかに修理の段取りをすることが可能となる。
【0092】
<C.ハードウェア構成>
(c1.端末装置)
図11は、端末装置3のハードウェア構成の典型例を表した図である。
【0093】
図11に示されるように、端末装置3は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ301と、メモリ302と、通信インターフェイス303と、電源回路304と、タッチスクリーン305と、操作キー306と、アンテナ307とを含む。
【0094】
メモリ302は、データを不揮発的に格納するROM3021と、プロセッサ301によるプログラムの実行により生成されたデータ、または入力されたデータを揮発的に格納するRAM3022と、データを不揮発的に格納するフラッシュメモリ3023とを含む。構成要素301~306は、相互にデータバスによって接続されている。
【0095】
タッチスクリーン305は、ディスプレイ3051と、タッチパネル3052により構成される。アンテナ307は、通信インターフェイス303用のアンテナである。通信インターフェイス303は、たとえば、サーバ装置2に対するデータの送信処理およびサーバ装置2から送信されたデータの受信処理を行なう。タッチスクリーン305は、各種のデータを表示し、かつ操作入力を受け付けるためのデバイスである。
【0096】
端末装置3における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサ301により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、フラッシュメモリ3023に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス303等を介してダウンロードされた後、フラッシュメモリ3023に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ301によってフラッシュメモリ3023から読み出され、RAM3021に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ301は、そのプログラムを実行する。
【0097】
同図に示される端末装置3を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、メモリ302、記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、端末装置3の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0098】
なお、プロセッサ301が、本発明における「端末装置のプロセッサ」の例である。ディスプレイ3051が、本発明における「ディスプレイ」の例である。タッチパネル3052が、本発明における「入力装置」の例である。通信インターフェイス303が、本発明における「端末装置の通信インターフェイス」の例である。
【0099】
(c2.サーバ装置)
図12は、サーバ装置2のハードウェア構成を表した図である。
【0100】
図12に示されるように、サーバ装置2は、プロセッサ201と、メモリ202と、通信インターフェイス203と、操作キー204と、モニタ205と、リーダライタ206とを備える。メモリ202は、典型的には、ROM2021と、RAM2022と、HDD(Hard Disc)2023とを含む。リーダライタ206は、記憶媒体としてのメモリカード299からプログラムを含む各種のデータを読み出したり、メモリカード299にデータを書き込んだりする。
【0101】
プロセッサ201は、メモリ202に格納されたプログラムを実行する。RAM2022は、各種のプログラム、プロセッサ201によるプログラムの実行により生成されたデータ、およびユーザによって入力されたデータを一時的に格納する。ROM2021は、不揮発性の記憶媒体であり、典型的には、BIOS(Basic Input Output System)およびファームウェアを格納している。HDD2023は、OS(Operating System)、各種のアプリケーションプログラム等を記憶している。
【0102】
メモリ202に格納されるプログラム等のソフトウェアは、メモリカード、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、メモリカードリーダライタ、その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、インターフェイスを介してダウンロードされた後、RAM2022に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ201によってRAM2022から読み出され、さらにHDD2023に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ201は、そのプログラムを実行する。
【0103】
同図に示されるサーバ装置2を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、メモリ202、メモリカード、その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。
【0104】
なお、記録媒体は、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、CD(Compact Disc)-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られない。たとえば、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体であって、搬送波等の一時的な媒体を含まない。
【0105】
さらに、ここでいうプログラムとは、プロセッサ201により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0106】
なお、プロセッサ201が、本発明における「サーバ装置のプロセッサ」の例である。メモリ202が、本発明における「サーバ装置のメモリ」の例である。通信インターフェイス203が、本発明における「サーバ装置の通信インターフェイス」の例である。
【0107】
<D.機能的構成>
図13は、作業機械システム1000を構成する各装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【0108】
図13に示されるように、作業機械システム1000は、作業車両1と、サーバ装置2と、端末装置3とを備えている。
【0109】
(d1.作業車両1)
作業車両1は、制御部151と、通信部153とを備えている。
【0110】
制御部151は、作業車両1の全体的な動作を制御する。制御部151は、作業車両1のコントローラ(図示せず)に対応する。通信部153は、基地局等を介して、サーバ装置2と通信する。
【0111】
作業車両1で故障が発生すると、制御部151は、通信部153を用いて、発生した故障に対応付けられた故障コードをサーバ装置2に送信する。
【0112】
なお、作業車両1A(
図1参照)も、作業車両1と同様の構成を有する。
(d2.サーバ装置2)
サーバ装置2は、制御部251と、記憶部252と、通信部253とを備えている。
【0113】
制御部251は、順位付与部2511を有する。順位付与部2511の処理については、後述する。
【0114】
記憶部252は、故障手順、分解手順、故障履歴、取扱説明書、およびショップマニュアルを、デジタルデータとして機種および型式毎に記憶している。なお、記憶部252には、サーバ装置2を動作させるためのオペレーティングシステム等のプログラムが格納されている。
【0115】
制御部251は、サーバ装置2の全体的な動作を制御する。制御部251は、通信部253を介して、作業車両1(1A)と通信する。制御部251は、通信部253を介して、作業車両1から故障コードを取得する。制御部251は、通信部253を介して、端末装置3とさらに通信する。端末装置3との間で送受信されるデータについては、後述する。
【0116】
なお、制御部251は、
図12におけるプロセッサ201に対応する。より詳しくは、プロセッサ201がメモリ202に格納されたプログラムを実行することにより、制御部251が実現される。通信部253は、
図12における通信インターフェイス203に対応する。記憶部252は、
図12におけるメモリ202に対応する。
【0117】
(d3.端末装置3)
端末装置3は、制御部351と、記憶部352と、通信部353と、入力部354と、表示部355とを備えている。
【0118】
制御部351は、端末装置3の全体的な動作を制御する。制御部351は、通信部353を介して、サーバ装置2と通信する。制御部351は、サービスマンが入力部354を介して入力したデータを受け付ける。制御部351は、表示部355に各種の画像を表示させる。
【0119】
なお、制御部351は、
図11におけるプロセッサ301に対応する。より詳しくは、プロセッサ301がメモリ302に格納されたプログラムを実行することにより、制御部351が実現される。通信部353は、
図11における通信インターフェイス303に対応する。記憶部352は、
図11におけるメモリ302に対応する。入力部354は、
図11におけるタッチパネル3052および操作キー306に対応する。表示部355は、
図11におけるディスプレイ3051に対応する。
【0120】
(d4.データ通信および表示)
次に、端末装置3とサーバ装置2との間で送受信されるデータについて説明する。
【0121】
端末装置3において、入力欄3303に故障コードが入力された状態(
図2参照)で、サービスマンによってオブジェクト3102が選択されると、端末装置3は、故障コードをサーバ装置2に送信する。
【0122】
サーバ装置2は、端末装置3から故障コードを受信すると、故障コードに基づいた故障対応マニュアルを端末装置3に対して送信する。上述したように、当該故障対応マニュアルは、故障診断手順を含む。端末装置3は、故障対応マニュアルを受信すると、
図4の画面340の例に示したように、故障対応マニュアルを表示部355に表示する。
【0123】
サービスマンが故障対応マニュアルにおいて通し番号(
図4の例の場合、記載欄3710の通し番号)を1つ選択すると、選択された番号がサーバ装置2に通知される。サーバ装置2は、端末装置3から番号の通知を受け付けると、番号に対応した部品(選択された部位)に関する故障対応マニュアルを端末装置3に送信する。上述したように、当該故障対応マニュアルは、故障診断手順を含む。
【0124】
端末装置3は、
図5の画面350の例に示したように、選択された部位に関する故障対応マニュアル(
図5の例では故障対応マニュアル3901)と、分解手順を示す動画像を表示させるためのオブジェクト3801と、分解手順を示す静止画像を表示させるためのオブジェクト3802と、立体配置図を表示させるためのオブジェクト3803と、コネクタピン図を表示させるためのオブジェクト3804と、パーツカタログを表示させるためのオブジェクト3805とを含む画面を表示する。
【0125】
サービスマンがオブジェクト3801を選択すると、端末装置3は、「選択された部位が現れるまで作業機械を分解する分解手順」を示す動画像の送信を、サーバ装置2に対して要求する。サーバ装置2は、端末装置3からの要求に従って、分解手順を示す動画像を端末装置3に対して送信する。端末装置3は、サーバ装置から動画像を取得すると、サービスマンによる再生指示基づき動画像を再生する。
【0126】
サービスマンがオブジェクト3802を選択すると、端末装置3は、「選択された部位が現れるまで作業機械を分解する分解手順」を示す複数の静止画像の送信をサーバ装置2に対して要求する。サーバ装置2は、端末装置3からの要求に従って、分解手順を示す複数の静止画像を端末装置3に対して送信する。端末装置3は、サーバ装置から複数の静止画像を取得すると、静止画像を表示部355に表示する。
【0127】
(d5.順位付与)
再び
図4を参照して、端末装置3は、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される複数の候補を表示する。この例では、端末装置3は、複数の候補を、通し番号とともに、この順に表示する場合を説明した。
【0128】
しかしながら、このような表示態様に限定されず、順位付与部2511(
図13参照)によって、複数の候補の各々に優先順位を付与した状態で、各候補を表示してもよい。
【0129】
サーバ装置2においては、複数の候補の各々に対して、故障原因の確率が高い順に順位が対応付けられている。典型的には、サーバ装置2は、予め定められた期間における、作業車両1とは異なる他の作業機械(たとえば、作業車両1A)の故障情報に基づいて順位を決定する。
【0130】
なお、他の作業機械は、作業車両1と同じ機種であることが好ましい。他の作業機械は、作業車両1と同じ機種であって、かつ同じ型式であることがさらに好ましい。
【0131】
端末装置3は、サーバ装置から故障対応マニュアル3701を受信したことに基づき複数の候補を表示するときには、当該複数の候補の各々の順位をさらに表示する。端末装置3は、たとえば、記載欄3720に優先順位を表示する。このような表示によれば、サービスマンは、端末装置3の診断画面に示された部品を順位に従って確認することにより、故障個所を速やかに特定することが可能となる。
【0132】
なお、サーバ装置2は、複数の候補の各々を順位に従ってソートした状態の診断画面を端末装置3に対して送信してもよい。この場合、端末装置3では、たとえば上位から順に、複数の候補が表示される。このような表示によれば、サービスマンは、複数の候補について、故障の確率の高い順序を即座に知ることができる。それゆえ、サービスマンは、候補のソートがされていない場合に比べて、故障個所を速やかに特定することが可能となる。
【0133】
<E.処理の流れ>
図14は、作業機械システム1000における処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0134】
図14に示されるように、シーケンスSQ1において、作業車両1で故障が発生すると、作業車両1は故障コードをサーバ装置2に対して送信する。なお、シーケンスSQ2に示すように、サーバ装置2は、故障コードを端末装置3に対して通知してもよい。
【0135】
シーケンスSQ3において、端末装置3からサーバ装置2に対して故障コードが送信される。シーケンスSQ4において、サーバ装置2は、受信した故障コードに対応する故障対応マニュアル(たとえば、
図4の故障対応マニュアル3701)を端末装置3に送信する。
【0136】
シーケンスSQ5において、端末装置3は、サービスマンによって番号を用いて選択された部位(たとえば、3番の「旋回ロックスイッチ」)をサーバ装置2に通知する。シーケンスSQ6において、サーバ装置2は、選択された部位の故障対応マニュアル(たとえば、
図5の故障対応マニュアル3901)を端末装置3に送信する。
【0137】
シーケンスSQ7において、選択された部位の故障対応マニュアルが表示された画面(たとえば、
図5の画面350)におけるサービスマンのアイコン選択操作に基づき、端末装置3が、「選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順」を示す動画像または複数の静止画像の送信をサーバ装置2に要求する。
【0138】
シーケンスSQ8において、サーバ装置2は、端末装置3からの要求に応じて、「選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順」を示す動画像または複数の静止画像を、端末装置3に対して送信する。
【0139】
これにより、端末装置3において、サービスマンは動画像または複数の静止画像を確認することができる。
【0140】
図15は、端末装置3における処理の流れを説明するためのフロー図である。
図15に示されるように、端末装置3は、ステップS1において、サービスマンによる故障コードの入力を受け付ける。なお、サービスマンによる故障コードの入力は、必須ではない。
【0141】
ステップS2において、端末装置3は、サービスマンによる操作に基づき、故障コードをサーバ装置2に対して送信する。ステップS3において、端末装置3は、故障診断手順を含む故障対応マニュアルをサーバ装置2から受信する。ステップS4において、端末装置3は、故障対応マニュアルを表示する(
図4参照)。
【0142】
ステップS5において、端末装置3は、複数の候補(部位)から1つの部位を選択するサービスマン操作を受け付ける。たとえば、
図4の例では、端末装置3は、記載欄3710の番号“3”等を選択する操作を受け付ける。ステップS6において、端末装置3は、選択された部位の番号をサーバ装置2に対して送信する。
【0143】
ステップS7において、端末装置3は、サーバ装置2から、「選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順」を示す画像(動画または複数の静止画)を取得する。ステップS8において、端末装置3は、取得した分解手順を表示する。
【0144】
<F.まとめ>
(f1.端末装置)
上述した端末装置3の動作のうちから複数の局面における動作を抽出すると以下のとおりである。
【0145】
(1)端末装置3は、プロセッサ301(制御部351)と、ディスプレイ3051(表示部355)とを備える。
【0146】
プロセッサ301は、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される候補を、ディスプレイ3051に表示させる。プロセッサ301は、当該候補となっている部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、ディスプレイ3051にさらに表示させる。
【0147】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0148】
(2)端末装置3は、ユーザ操作に基づく入力を受け付けるタッチパネル3052(入力部354)をさらに備える。
【0149】
プロセッサ301は、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される複数の候補(互いに異なる複数の候補)を、ディスプレイ3051に表示させる。プロセッサ301は、タッチパネル3052が複数の候補のうちから1つの部位を選択する入力を受け付けたことに基づき、選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、ディスプレイ3051にさらに表示させる。
【0150】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0151】
(3)端末装置3は、サーバ装置2と通信する通信インターフェイス303(通信部353)をさらに備える。プロセッサ301は、部位が選択されたことに基づき、通信インターフェイス303を介して、サーバ装置2から分解手順を示す動画像または複数の静止画像を取得する。
【0152】
これによれば、分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、端末装置3に予め記憶させておく必要がなくなる。
【0153】
(4)プロセッサ301は、部位が選択されたことに基づき、選択された部位の故障対応マニュアルと、分解手順を示す動画像または複数の静止画像を表示させるためのオブジェクトとを、ディスプレイ3051に表示させる。
【0154】
これによれば、サービスマンが故障対応マニュアルを確認した後に、分解手順を示す画像の確認が必要と判断した場合にオブジェクトを選択する操作をサービスマンが行うことにより、端末装置3では、分解手順を示す動画像または複数の静止画像が表示される。それゆえ、端末装置3は、部位が選択された後に自動的に動画像等が再生されてしまう構成に比べて、ユーザにとっての利便性が優れている。
【0155】
(5)プロセッサ301は、分解手順を示す動画像と、分解手順を示す複数の静止画像とを、ディスプレイ3051に表示可能である。プロセッサ301は、部位が選択されたことに基づき、上記オブジェクトとして、分解手順を示す動画像を表示させるためのオブジェクト3801(
図5参照)と、分解手順を示す複数の静止画像を表示させるためのオブジェクト3802(
図5参照)とを、ディスプレイ3051に表示させる。
【0156】
これによれば、サービスマンは、オブジェクト3801を選択することにより、分解手順を示す動画像を見ることができる。また、サービスマンは、オブジェクト3802を選択することにより、分解手順を示す複数の静止画像を見ることができる。
【0157】
(6)複数の候補の各々には、故障原因の確率が高い順に順位が対応付けられている。プロセッサ301は、複数の候補をディスプレイ3051に表示させるときには、当該複数の候補の各々の順位をディスプレイ3051にさらに表示させる。
【0158】
これによれば、サービスマンは、端末装置3の診断画面に示された部品を順位に従って確認することにより、故障個所を速やかに特定することが可能となる。
【0159】
(f2.サーバ装置)
上述した端末装置3の動作のうちから複数の局面における動作を抽出すると以下のとおりである。
【0160】
(1)サーバ装置2は、プロセッサ201(制御部251)と、作業車両1の部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、作業車両1の部位毎に記憶したメモリ202(記憶部252)と、端末装置3と通信するための通信インターフェイス203(通信部253)とを備える。
【0161】
プロセッサ201は、作業車両1が故障した場合、上記複数の部位のうち作業車両1の故障原因と推定される候補を、通信インターフェイス203を介して端末装置3に通知する。プロセッサ201は、候補となっている部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像をメモリ202から読出す。プロセッサ201は、読み出された分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、通信インターフェイス203を介して端末装置3に送信する。
【0162】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0163】
(2)プロセッサ201は、作業車両1が故障した場合、上記複数の部位のうち作業車両1の故障原因と推定される複数の候補(互いに異なる複数の候補)を、通信インターフェイス203を介して端末装置3に通知する。プロセッサ201は、通信インターフェイス203を介して、端末装置3から複数の候補のうちの1つの部位の通知を受け付けたことに基づき、端末装置3から通知された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像をメモリ202から読出す。プロセッサ201は、読み出された分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、通信インターフェイス203を介して端末装置3に送信する。
【0164】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0165】
(3)プロセッサ201は、通信インターフェイス203を介して、作業車両1と通信することにより、作業車両1から発信された情報(故障コード)を取得する。プロセッサ201は取得された情報に基づいて、複数の部位のうちから複数の候補の各々を特定する。
【0166】
これによれば、サーバ装置2は、端末装置3に対して、故障コードに応じた複数の候補を提示することができる。
【0167】
(4)プロセッサ201は、通信インターフェイス203を介して、作業車両1とは異なる他の作業車両1Aから他の作業車両1Aの故障情報をさらに取得する。プロセッサ201は、予め定められた期間における、他の作業車両1Aの故障情報に基づいて順位を決定する。
【0168】
これによれば、サーバ装置2は、複数の候補に対して順位を付した状態で、複数の候補を端末装置3に通知することができる。
【0169】
(f3.作業機械システム)
上述した作業機械システム1000の動作のうちから1つの局面における動作を抽出すると以下のとおりである。
【0170】
(1)作業機械システム1000は、作業車両1と、サーバ装置2と、端末装置3とを備える。
【0171】
端末装置3は、作業車両1が故障した場合、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される候補を表示する。端末装置3は、候補となっている部位をサーバ装置2に通知する。
【0172】
サーバ装置2は、端末装置3から通知された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、端末装置3に送信する。端末装置3は、サーバ装置2から送信された分解手順を示す動画像または複数の静止画像をさらに表示する。
【0173】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0174】
(2)端末装置3は、作業車両1が故障した場合、作業車両1の複数の部位のうち、作業車両1の故障原因と推定される複数の候補を表示する。端末装置3は、複数の候補のうちから1つの部位を選択する入力を受け付ける。端末装置3は、選択された部位をサーバ装置2に通知する。
【0175】
サーバ装置2は、端末装置3において選択された部位が現れるまで作業車両1を分解する分解手順を示す動画像または複数の静止画像を、端末装置3に送信する。端末装置3は、サーバ装置2から送信された分解手順を示す動画像または複数の静止画像をさらに表示する。
【0176】
これによれば、サービスマンは、作業車両1の故障原因と推定される部位の状態を速やかに確認可能となる。
【0177】
<G.変形例>
上記の実施の形態においては、サーバ装置2が、
図13に示したように、故障診断手順、分解手順、故障履歴、取扱説明書、ショップマニュアルを記憶しており、端末装置3が必要に応じて取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0178】
端末装置3が、故障診断手順、分解手順、故障履歴、取扱説明書、ショップマニュアルを、予め記憶していてもよい。また、サービスマンが作業車両1を検査する際に、必要なデータを事前にサーバ装置2から読出し、端末装置3に記憶させてもよい。作業車両1は通信圏外の場所で使用される場合もあり、端末装置3が分解手順等のデータを取得できない状況も予想される。このような状況であっても、端末装置3では、分解手順を示す画像を表示可能となる。
【0179】
また、端末装置3のプロセッサ301が、サーバ装置2の代わりに、作業車両1から発信された情報(故障コード)に基づいて、作業車両1の複数の部位のうちから複数の候補の各々を特定してもよい。
【0180】
さらに、端末装置3のプロセッサ301が、順位付与部2511を備え、サーバ装置2の代わりに、予め定められた期間における、作業車両1とは異なる他の作業機械(たとえば、作業車両1A)の故障情報に基づいて順位(優先順位)を決定してもよい。
【0181】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0182】
1,1A 作業車両、2 サーバ装置、3 端末装置、4,4A 基地局、5 ネットワーク、151,251,351 制御部、153,253,353 通信部、201,301 プロセッサ、202,302 メモリ、203,303 通信インターフェイス、204,306 操作キー、252,352 記憶部、305 タッチスクリーン、320,330,340,350,860,871,872,873,874 画面、354 入力部、355 表示部、861 動画像、862 テキスト情報、863 テキスト、1000 作業機械システム、2511 順位付与部、3051 ディスプレイ、3052 タッチパネル、3101,3102,3103,3104,3105,3106,3206,3601,3801,3802,3803,3804,3805,8712,8721,8722,8731,8732,8741 オブジェクト、3200,3300,3400,3500,3600,3700,3800,3900 領域、3201,3202,3203,3204,3205,3301,3302,3303 入力欄、3701,3901 故障対応マニュアル、3710,3720,3730,3740 記載欄、8710,8720,8730,8734,8740 画像、8713,8723,8733,8743 説明文、8744,8745 要部拡大画像。