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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020060301
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021155112
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 寛昌
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 剛美
(72)【発明者】
【氏名】宮野 知樹
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-052762(JP,A)
【文献】実開昭52-114956(JP,U)
【文献】特開2015-089826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0079575(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、
前記胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を前記周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、
前記複数の凹リブは、互いに、前記胴部の上下方向における位置が同じであり、
前記減圧吸収パネルの底面と前記凹リブの底面とが、面一でつながれていて、
前記複数の減圧吸収パネル及び前記複数の凹リブは、前記胴部の上下方向の中間部に位置しており、
前記胴部は、前記中間部においてくびれるように形成されており、
前記複数の凹リブは、前記胴部のもっともくびれたところに位置している、プラスチックボトル。
【請求項2】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、
前記胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を前記周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、
前記複数の凹リブは、互いに、前記胴部の上下方向における位置が同じであり、
前記減圧吸収パネルの底面と前記凹リブの底面とが、面一でつながれていて、
前記複数の減圧吸収パネル及び前記複数の凹リブは、前記胴部の上下方向の中間部に位置しており、
前記複数の凹リブがある前記上下方向の位置において、前記複数の減圧吸収パネルが前記周方向において前記胴部を占める割合は、50%以上75%以下の範囲であるプラスチックボトル。
【請求項3】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、
前記胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を前記周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、
前記複数の凹リブは、互いに、前記胴部の上下方向における位置が同じであり、
前記減圧吸収パネルの底面と前記凹リブの底面とが、面一でつながれていて、
前記複数の減圧吸収パネル及び前記複数の凹リブは、前記胴部の上下方向の中間部に位置しており、
前記各減圧吸収パネルの前記底面の全領域と前記各凹リブの前記底面の全領域とは、同一の円周面上に位置するプラスチックボトル。
【請求項4】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、
前記胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を前記周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、
前記複数の凹リブは、互いに、前記胴部の上下方向における位置が同じであり、
前記減圧吸収パネルの底面と前記凹リブの底面とが、面一でつながれていて、
前記複数の減圧吸収パネル及び前記複数の凹リブは、前記胴部の上下方向の中間部に位置しており、
前記各減圧吸収パネルは、円形又は楕円形を基本形状とするパネルであるプラスチックボトル。
【請求項5】
前記複数の凹リブの前記周方向における延長線上には、前記各減圧吸収パネルの中心部が位置している、請求項から4のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記各減圧吸収パネルの前記底面は、前記上下方向に平行に延在している、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、
前記胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を前記周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、
前記複数の凹リブは、互いに、前記胴部の上下方向における位置が同じであり、
前記減圧吸収パネルの底面と前記凹リブの底面とが、面一でつながれていて、
前記複数の減圧吸収パネル及び前記複数の凹リブは、前記胴部の上下方向の中間部に位置しており、
前記胴部は、
前記複数の減圧吸収パネルよりも上側に、前記周方向に均等間隔に配置された複数の上側減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルよりも下側に、前記周方向に均等間隔に配置された複数の下側減圧吸収パネルと、をさらに有するプラスチックボトル。
【請求項8】
前記複数の上側減圧吸収パネルは、前記周方向に凹リブでつながれることなく、互いに独立するように配置され、
前記複数の下側減圧吸収パネルは、前記周方向に凹リブでつながれることなく、互いに独立するように配置されている、請求項に記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
前記複数の上側減圧吸収パネル間の間隔と前記複数の下側減圧吸収パネル間の間隔とは同じであるが、これらの間隔は前記複数の減圧吸収パネル間の間隔とは異なる、請求項に記載のプラスチックボトル。
【請求項10】
前記各減圧吸収パネルの中心部は、前記各上側減圧吸収パネルの中心部及び前記各下側減圧吸収パネルに対して前記周方向にオフセットされている、請求項に記載のプラスチックボトル。
【請求項11】
前記胴部の上端部には、前記複数の上側減圧吸収パネルよりも上側に周リブが形成され、
前記胴部の下端部には、前記複数の下側減圧吸収パネルよりも下側に周リブが形成されている、請求項7から10のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項12】
前記複数の上側減圧吸収パネル及び/又は前記複数の下側減圧吸収パネルは、底面が凹状の湾曲面となっている、請求項7から11のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項13】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部において複数の減圧吸収パネルと複数の凹リブとが、それぞれ周方向に均等間隔に配置されると共に、前記胴部の上下方向における第1の高さ位置で前記周方向に交互に配置され且つ互いに底面が面一でつながれていて、
前記胴部は、上下方向の中間部においてくびれるように形成されており、
前記第1の高さ位置は、前記胴部のもっともくびれたところである、プラスチックボトル。
【請求項14】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部において複数の減圧吸収パネルと複数の凹リブとが、それぞれ周方向に均等間隔に配置されると共に、前記胴部の上下方向における第1の高さ位置で前記周方向に交互に配置され且つ互いに底面が面一でつながれていて、
前記第1の高さ位置において、前記複数の減圧吸収パネルと前記複数の凹リブとは一つの円周面を画定するプラスチックボトル。
【請求項15】
前記第1の高さ位置には、前記各減圧吸収パネルの中心部が位置している、請求項13又は14に記載のプラスチックボトル。
【請求項16】
胴部を備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部において複数の減圧吸収パネルと複数の凹リブとが、それぞれ周方向に均等間隔に配置されると共に、前記胴部の上下方向における第1の高さ位置で前記周方向に交互に配置され且つ互いに底面が面一でつながれていて、
前記胴部は、
前記複数の減圧吸収パネルよりも上側に、前記周方向に均等間隔に配置された複数の上側減圧吸収パネルと、
前記複数の減圧吸収パネルよりも下側に、前記周方向に均等間隔に配置された複数の下側減圧吸収パネルと、
前記胴部の上端部であって、前記複数の上側減圧吸収パネルよりも上側に形成された上側周リブと、
前記胴部の下端部であって、前記複数の下側減圧吸収パネルよりも下側に形成された下側周リブと、をさらに有するプラスチックボトル。
【請求項17】
前記各減圧吸収パネルの中心部は、前記各上側減圧吸収パネルの中心部及び前記各下側減圧吸収パネルの中心部に対して前記周方向にオフセットされている、請求項16に記載のプラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用のPETボトルとして用いられるプラスチックボトル(以下、単に「ボトル」ともいう。)では、一般に、胴部の周リブの下側に複数の減圧吸収パネルを設けている(例えば特許文献1の図1参照)。この周リブによってボトルの強度を確保している。また、減圧吸収パネルによって、飲料の充填後等に生じる負圧を吸収することで、ボトル全体の変形を抑制している。
【0003】
充填方法にはアセプティック充填とホットフィル充填があり、このうち、アセプティック充填は、ホットフィル充填に比べて、発生する負圧のレベルは大きくない。とはいえ、アセプティック充填の場合であっても、減圧吸収パネルが要求されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願明細書9340314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の減圧吸収パネルを周リブの下側に配置する従来のデザインでは、他のボトルとの差別化を図るのには限界がある。とはいえ、例えば、ボトルから周リブをなくしたのでは、ボトルの強度を確保することができず、その結果、柔らかくて持ちにくくなってしてしまうし、ボトルの流通や自販機適応性に支障をきたしてしまう。
【0006】
本発明は、減圧吸収機能と強度確保とを両立しつつ、既存のボトルにはない魅力的なデザインを可能とするプラスチックボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプラスチックボトルは、胴部を備え、胴部は、胴部の周方向に均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルと、複数の減圧吸収パネルにおける隣り合う減圧吸収パネル同士を周方向につなぐ複数の凹リブと、を有し、複数の凹リブは、互いに、胴部の上下方向における位置が同じであり、減圧吸収パネルの底面と凹リブの底面とが、面一でつながれているものである。
【0008】
本発明の別の態様に係るプラスチックボトルは、胴部を備え、胴部において複数の減圧吸収パネルと複数の凹リブとが、それぞれ周方向に均等間隔に配置されると共に、胴部の上下方向における第1の高さ位置で周方向に交互に配置され且つ互いに底面が面一でつながれているものである。
【0009】
このような態様によれば、均等間隔に配置された複数の減圧吸収パネルによって減圧吸収機能を確保できると共に、減圧吸収パネル間をつなぐ複数の凹リブによって強度を確保することができる。とりわけ、底面に関して凹リブと面一につながる減圧吸収パネルは、凹リブと同じ深さを具備し得るので、減圧吸収パネルによっても強度を確保できる。すなわち、複数の減圧吸収パネルと複数の凹リブとの組み合わせによって、両者がつながれている上下方向の位置(第1の高さ位置)では、周方向に途切れなく続く周リブが実質的に構成されるようになる。したがって、このような減圧吸収パネルは、最初の段階(例えばアセプティック充填後)では、減圧吸収機能を発揮してボトル変形を抑制し、次の段階(例えば流通時、使用時又は開栓後)では、凹リブとともに横強度(周方向に対する強度)を確保するように機能する。また、このような組み合わせのデザインは、既存のボトルにはないデザインとなり、他のボトルデザインと大きく差別化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るプラスチックボトルの正面図である。
図2図1のプラスチックボトルの背面図である。
図3図2のIII-III線で切断した端面図である。
図4A】別の実施態様に係るプラスチックボトルの正面図である。
図4B】別の実施態様に係るプラスチックボトルの右側面図である。
図5A】また別の実施態様に係るプラスチックボトルの正面図である。
図5B】また別の実施態様に係るプラスチックボトルの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るプラスチックボトル(以下、「ボトル」という。)を説明する。以下の説明では、ボトルの底部が存在する方を下側とし、ボトルの口部が存在する方を上側とする。上下方向とは、高さ方向を意味する。横断面とは、ボトルの中心軸に直交する平面における断面形状を意味し、縦断面とは、この中心軸を含む平面における断面形状を意味する。
【0012】
図1及び2に示すように、ボトル1は、上側から順に、口部2、肩部3、胴部4及び底部5を有する。これらの部分(2、3、4及び5)は、一体に形成され、内部に非炭酸飲料を貯留するための有底筒状のボトル壁を構成する。とりわけ、ボトル1は、非炭酸飲料のうち、お茶(緑茶を含む)やジュースなどの、アセプティック充填される飲料に適したものである。ボトル1は、例えば内容量が425mlである。
【0013】
ボトル1は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形等の延伸成形法により成形される。
ボトル1の製造工程の一例を説明する。まず、金型内に熱可塑性樹脂を射出し、プリフォームを射出成形する。プリフォームは、口部2と同形状の口部と、その下側につながる有底の筒状部と、で構成される。射出成形後は、プリフォームをブロー成形機にセットして、プリフォームの筒状部を加熱する。そして、延伸ロッドによって筒状部を縦方向に延伸させると共に、圧縮空気を吹き込んで筒状部を横方向に延伸させる。延伸させた筒状部の部位を金型の内面に押し付け、その後固化させる。これにより、肩部3、胴部4及び底部5が成形され、ボトル1の一連の成形が完了する。
【0014】
口部2は、上端が開口しており、非炭酸飲料の注ぎ口として機能する。口部2の開口は、図示省略したキャップにより開閉される。肩部3は、円形の横断面が下方にかけて徐々に拡大してなり、口部2の下端を胴部4の上端につなげる。底部5は、ボトル1の設置面となる部位を有する底壁10と、底壁10と胴部4の下端とをつなぐ周壁12と、を具備する。口部2、肩部3及び底部5の形状は、特に限定されるものではなく、適宜設計することができる。
【0015】
胴部4は、円形の横断面を基調とする円筒状の部分である。胴部4は、上下方向の中間部が上端部及び下端部よりも径が小さくなるように形成されている。すなわち、胴部4は、上下方向の中間部においてくびれるように形成されている。このもっともくびれたところに(すなわち第1の高さ位置H1に)、複数の減圧吸収パネル21と複数の凹リブ23とが周方向に交互に配置されている。また、複数の減圧吸収パネル21及び複数の凹リブ23は、それぞれ周方向に均等間隔に配置されている。
【0016】
ここでは、減圧吸収パネル21及び凹リブ23の数は、それぞれ2つとなっている。2つの減圧吸収パネル21はボトル1の中心軸Y―Yを挟んで対向し、同様に、2つの凹リブ23はボトル1の中心軸Y―Yを挟んで対向している。このように、二つの減圧吸収パネル21及び二つの凹リブ23の配置は、ボトル1の中心軸Y―Yに対して対称となっている。
【0017】
減圧吸収パネル21は、飲料の充填後等に生じる負圧を吸収するように機能する。減圧吸収パネル21は、正面視、円形を基本形状とするパネルとして形成されている。減圧吸収パネル21の中心部31(ここでは円の中心に相当する。)は、第1の高さ位置H1に位置している。したがって、減圧吸収パネル21の中心部31は、凹リブ23の周方向における延長線上に位置している。
【0018】
減圧吸収パネル21は、胴部4のボトル壁に凹状に形成されている。ここでは、パネル深さは一定となっている。具体的には、減圧吸収パネル21は、円形の底面33と、底面33の周縁部から立ち上がる周壁面35と、を有しており、周壁面35が、減圧吸収パネル21の周りの胴部4の外面につながっている。底面33は、ボトル1の中心軸Y―Yと平行に延在している。また、底面33は、胴部4が円形の横断面からなるため、中心軸Y―Y側に曲率中心を有する湾曲面となっている(参照:図3)。底面33は、人がボトル1を把持するときに指の腹を受け入れることが可能なサイズとなっている。例えば、底面33の直径は、約3cmである。
【0019】
凹リブ23は、胴部4の強度を上げるものであり、胴部4のボトル壁に凹状に形成されている。凹リブ23は、縦断面が略半円形又は横向きの台形などからなる。凹リブ23において中心軸Y―Yにもっとも近いところにある部分が、凹リブ23の底面41となっている。凹リブ23は、底面41の上下の部分に、底面41から立ち上がる上側斜面42及び下側斜面43を有しており、上側斜面42及び下側斜面43が、凹リブ23の周りの胴部4の外面につながっている。凹リブ23の高さ(上側斜面42の上端から下側斜面43の下端までの縦断面の距離)は、例えば、減圧吸収パネル21の高さ(上下方向の長さ)の1/3~1/4となっている。
【0020】
凹リブ23の周方向の両端は、二つの減圧吸収パネル21、21のそれぞれにつながっている。すなわち、凹リブ23は、隣り合う減圧吸収パネル21、21同士を周方向につないでいる。具体的には、凹リブ23の底面41は、隣り合う減圧吸収パネル21、21の各底面33につながり、凹リブ23の上側斜面42及び下側斜面43は、隣り合う減圧吸収パネル21、21の各周壁面35につながっている。この場合、減圧吸収パネル21と凹リブ23とは、最も深い箇所で、面一で(すなわち段差なく)つながれている。具体的には、減圧吸収パネル21の底面33と凹リブ23の底面41とは、面一でつながれている。
【0021】
そして、上記のように、底面33はボトル1の中心軸Y―Yと平行に延在しているため、底面33の全領域と底面41の全領域とは、同一の円周面上(中心軸Y―Yからの距離が同じ面上)に位置している。別の見方をすると、第1の高さ位置H1において、複数の減圧吸収パネル21と複数の凹リブ23とは一つ円周面を画定している(参照:図3)。ここで、第1の高さ位置H1において、複数の減圧吸収パネル21が周方向において胴部4を占める割合は、50%以上75%以下の範囲とすることが好ましい。50%未満であると、減圧吸収機能が不足するからであり、75%を超えると、意匠性をもたらすパネルとなりにくくなるからである。なお、本実施形態では、上記割合は66%となっている。
【0022】
胴部4は、減圧吸収パネル21よりも上側に複数の上側減圧吸収パネル51及び上側周リブ53を有していると共に、減圧吸収パネル21よりも下側に複数の下側減圧吸収パネル61及び下側周リブ63を有している。上側周リブ53は、胴部4の上端部に位置し、肩部3の下部につながっている。下側周リブ63は、胴部4の下端部に位置し、底部5の周壁12につながっている。上側周リブ53及び下側周リブ63は、周方向に一続きの凹状の溝として形成されている。ボトル1は、上側周リブ53及び下側周リブ63が存在する箇所において、最大径部を構成されている。これにより、ボトル1のベンダビリティ(自販機適応性)や搬送性などを確保されている。
【0023】
上側減圧吸収パネル51は、上側周リブ53と減圧吸収パネル21との間に位置している。同様に、下側減圧吸収パネル61は、下側周リブ63と減圧吸収パネル21との間に位置している。複数の上側減圧吸収パネル51は、周方向に均等間隔に配置されており、ここでは、その数は4つとなっている。また、複数の上側減圧吸収パネル51は、周方向に凹リブでつながれておらず、互いに独立するように配置されている。これらの均等間隔の配置、数及び独立配置の点は、複数の下側減圧吸収パネル61についても同様である。
【0024】
上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61は、いずれも、正面視、円形を基本形状とするパネルとして形成されている。上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61のそれぞれの大きさは、減圧吸収パネル21の大きさと同程度となっている。また、上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61は、底面が凹状の湾曲面となっている。具体的には、上側減圧吸収パネル51の底面は、上下方向において湾曲しており、その湾曲の曲率中心はボトル1の外側に位置している。この点、下側減圧吸収パネル61も同様である。
【0025】
上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61は、パネル深さや、それらの周りの胴部4の外面に対するつなぎ方の態様を同様にしてもよいし、互いに異ならせてもよい。例えば、上側減圧吸収パネル51のパネル深さは、下側減圧吸収パネル61のパネル深さよりも浅くしてもよい。また、上側減圧吸収パネル51は、その周りの胴部4の外面に対して滑らかに又はほぼ段差なくつながられるようにするのに対し、下側減圧吸収パネル61は、その周りの胴部4の外面に対して段差つきでつながられるようにしてもよい。このような設計は、下側減圧吸収パネル61と下側周リブ63との距離を、上側減圧吸収パネル51と上側周リブ53との距離よりも長く設定できる場合に有用である。下側減圧吸収パネル61について、パネル深さを大きくして、周辺の外面に対して段差をつけることで、隣り合う下側減圧吸収パネル61、61間の柱部分65の強度が高くなる。よって、座屈強度を大きくすることができる。なお、図1及び2に示す例では、上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61のパネル深さは互いに同程度であるが、中央の減圧吸収パネル21のパネル深さよりも浅くなっている。
【0026】
複数の上側減圧吸収パネル51間の間隔と複数の下側減圧吸収パネル61間の間隔とは、同じとなっている。しかし、これらの間隔は、複数の減圧吸収パネル21間の間隔とは異なっており、複数の減圧吸収パネル21間の間隔よりも短くなっている。そして、上側減圧吸収パネル51の中心部71(ここでは円の中心に相当する。)と下側減圧吸収パネル61の中心部81(ここでは円の中心に相当する。)とは、中心軸Y―Yと平行な同一直線上に位置している。しかし、減圧吸収パネル21の中心部31は、これらの中心部71、81とは同一直線上になく、これらの中心部71、81に対して周方向にオフセットされている。オフセットの量は適宜設計可能である。ここでは、減圧吸収パネル21の中心部31は、隣り合う下側減圧吸収パネル61、61間の柱部分65の中心を通過する、中心軸Y―Yと平行な直線上に位置している。
【0027】
以上説明した実施形態に係るボトル1によれば、胴部4において複数の減圧吸収パネル21と複数の凹リブ23とが、それぞれ周方向に均等間隔に配置されると共に、第1の高さ位置H1で周方向に交互に配置され且つ互いに底面33、41が面一でつながれている。これによれば、複数の減圧吸収パネル21によって減圧吸収機能を確保できると共に、減圧吸収パネル21、21間をつなぐ複数の凹リブ23によって強度を確保することができる。
【0028】
とりわけ、凹リブ23の底面41と面一につながる底面33を有する減圧吸収パネル21は、凹リブ23と同じ深さを具備するので、減圧吸収パネル21によっても強度を確保することができる。すなわち、複数の減圧吸収パネル21と複数の凹リブ23との組み合わせによって、第1の高さ位置H1では、周方向に途切れなく続く周リブが実質的に構成されるようになる。したがって、このような減圧吸収パネル21は、最初の段階(例えばアセプティック充填後)では、減圧吸収機能を発揮してボトル変形を抑制し、次の段階(例えば流通時、使用時又は開栓後)では、凹リブ23とともに横強度(周方向に対する強度)を確保するように機能する。また、このような減圧吸収パネル21と凹リブ23とを周方向につなぐという組み合わせは、既存のボトルにはないデザインとなり、他のボトルデザインと大きく差別化させることができる。
【0029】
このように、本実施形態に係るボトル1は、減圧吸収パネル21と凹リブ23との組合せからなるレイアウトによって、デザインの美しさと機能性とのバランスで良好に機能するものとなる。
【0030】
また、本実施形態においては、複数の減圧吸収パネル21及び複数の凹リブ23は、胴部4の上下方向の中間部に位置している。これにより、人の目を引きやすい胴部4の中間部に関して、減圧吸収機能と強度確保を両立しつつ、魅力的なデザインとすることができる。また、胴部4の中間部は人によって把持される箇所となり得るところ、上記したように、減圧吸収パネル21は人の指の腹を受け入れることが可能なサイズとされている。このため、持ち易さにも配慮されている。加えて、減圧吸収パネル21及び凹リブ23による実質的な周リブ構造によって強度が確保されているため、グリップ感も良好となる。
【0031】
さらに、胴部4が中間部においてくびれるように形成されていて、そのもっともくびれたところに減圧吸収パネル21及び凹リブ23が位置している。このようなくびれとも相まって、持ち易さがより一層向上されている。
【0032】
また、減圧吸収パネル21の底面33は、上下方向に平行に延在している。このような面構成とすることで、指の腹をあてがいやすく、ボトルの把持が安定し易くなるため、持ち易さがさらに向上されている。
【0033】
また、胴部4には、中間部に均等間隔に配置した減圧吸収パネル21に加えて、上部及び下部にそれぞれ均等間隔に配置した上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61も形成されている。これにより、ボトル全体として、減圧吸収することができる。また、減圧吸収パネル(51、21、61)の数を上から順に4-2-4としている。このようなパネルレイアウトとすることで、減圧吸収パネルを胴部全体にバランスよく配置することができ、胴部全体として、安定した減圧吸収が可能となる。
【0034】
さらに、減圧吸収パネル21の中心部は、上側減圧吸収パネル51の中心部71及び下側減圧吸収パネル61の中心部81に対して周方向にオフセットされている。具体的には、減圧吸収パネル21の中心部31は、隣り合う下側減圧吸収パネル61、61間の柱部分65の中心及び隣り合う上側減圧吸収パネル51、51間の柱部分55の中心を通過する、中心軸Y―Yと平行な直線上に位置している。このようなオフセット配置とすることで、ボトル1の座屈強度を向上することができる。
【0035】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0036】
例えば、減圧吸収パネル(21、51、61)のレイアウトを変えてもよい。上述した例では減圧吸収パネルの数を上から順に4-2-4としたが、例えばこれを6-3-6としてもよい(参照:図4A及び4B)。別の例では、減圧吸収パネルの数を上から順に2-4-2としてもよい(参照:図5A及び5B)。レイアウト以外の他の特徴は、上記した実施形態を踏襲することができる。
【0037】
また、減圧吸収パネル(21、51、61)は、円形以外の形状を基本形状とするパネルであってもよい。例えば、減圧吸収パネル(21、51、61)は、楕円形又は多角形(三角形など)を基本形状とするパネルであってもよい。
【0038】
さらに、減圧吸収パネル(21、51、61)は、これらの基本形状自体及び/又はその外側に他の形状が付加されたものであってもよい。例えば、減圧吸収パネル(21、51、61)の底面の一部に窪みを付加してもよい。そのような窪みを付加することで、動物や人などのキャラクタを模した減圧吸収パネル(21、51、61)とすれば、ボトル1の意匠性・デザイン性を高めることができる。一例を上げると、減圧吸収パネル(21、51、61)をキャラクタの顔と想定した場合に、減圧吸収パネル(21、51、61)の底面において、キャラクタの目、鼻、口などに相当する箇所に窪みを付加してもよい。また、減圧吸収パネル(21、51、61)の基本形状の外側に窪みを付加してもよい。一例を上げると、減圧吸収パネル(21、51、61)をキャラクタの顔と想定した場合に、減圧吸収パネル(21、51、61)の基本形状(例えば円形)の一部につながるように、キャラクタのはねた髪や角を表す窪みを付加してもよい。
【0039】
また、上側減圧吸収パネル51及び下側減圧吸収パネル61は、いずれも底面が凹状の湾曲面としたが、いずれか一方のみをそのような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…プラスチックボトル、2…口部、3…肩部、4…胴部、5…底部、10…底壁、12…周壁、21…減圧吸収パネル、23…凹リブ、31…中心部、33…底面、35…周壁面、41…底面、42…上側斜面、43…下側斜面、51…上側減圧吸収パネル、53…上側周リブ、55…柱部分、61…下側減圧吸収パネル、63…下側周リブ、65…柱部分、71…中心部、81…中心部、H1…第1の高さ、Y-Y…中心軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B