(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】入力装置、処理システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241002BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241002BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 124
G06F3/041 410
G09G3/20 612T
G09G3/20 623D
G09G3/20 623C
G09G3/20 623R
G09G3/20 624C
G09G3/20 691D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020086716
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大亮
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060195(JP,A)
【文献】特開2018-067316(JP,A)
【文献】特表2016-535882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041 - 3/047
G09G 3/00 - 3/08
G09G 3/12
G09G 3/16
G09G 3/19 - 3/26
G09G 3/30
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、変動電圧を有するセンシング信号でセンサ電極を駆動し、
表示更新のために、前記表示フレームの第1表示
更新期間と前記表示フレームの第2表示
更新期間との間、第1定電圧で前記センサ電極を駆動し、前記非表示更新期間が前記第1表示
更新期間と前記第2表示
更新期間の間にあり、
前記非表示更新期間の第2部分と前記非表示更新期間の第3部分の少なくとも1つの間、第2定電圧で前記センサ電極を駆動し、
前記非表示更新期間の前記第1部分が、前記非表示更新期間の前記第2部分の後、かつ、前記非表示更新期間の前記第3部分の前にあり、前記第1定電圧が、前記第2定電圧と異なる
ように構成されたドライバと、
前記非表示更新期間の前記第2部分と前記非表示更新期間の前記第3部分の少なくとも一つの間、表示パネルの第1データ線を第3定電圧で駆動するように構成されたソースドライバと、
を備える入力装置用の処理システム
であって、
前記第1データ線が、前記表示パネルのサブピクセルの列に接続され、かつ、前記センサ電極および/または前記センサ電極と前記処理システムとを接続する配線に容量的に接続された
処理システム。
【請求項2】
前記ソースドライバが、更に、前記非表示更新期間の前記第1部分の間に
前記第1データ線にガード信号を出力し、
前記ガード信号が、前記ソースドライバと前記センサ電極の間の容量カップリングを緩和する
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記ガード信号が、周波数と、位相と、振幅とからなる群から選択された少なくとも1つを前記センシング信号と共通にしている
請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第3定電圧が、前記第2定電圧と異なる
請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記非表示更新期間の前記第1部分の間、前記ガード信号を出力することは、前記ガード信号を前記第1データ線に出力することを含む
請求項2に記載の処理システム。
【請求項6】
前記ソースドライバは、前記非表示更新期間の前記第2部分の間と、前記第3部分の間とに、前記第1データ線に選択的に接続され、前記非表示更新期間の前記第1部分の間、前記第1データ線から選択的に切断され、
前記第1データ線は、前記非表示更新期間の前記第1部分の間、電気的にフローティングされる
請求項2に記載の処理システム。
【請求項7】
前記ソースドライバは、さらに、
前記非表示更新期間の前記第2部分の間と、前記第3部分の間とに、前記表示パネルの第2データ線に選択的に接続され、
前記非表示更新期間の前記第1部分の間、選択的に前記第2データ線から切断され、
前記第2データ線は、前記非表示更新期間の前記第1部分の間、電気的にフローティングされる
請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
表示パネルの複数のデータ線と
複数のセンサ電極と、
処理システムと、
を備え、
前記処理システムは、
表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、変動電圧を有するセンシング信号で前記複数のセンサ電極のうちの或るセンサ電極を駆動し、
表示更新のために、前記表示フレームの第1表示
更新期間と前記表示フレームの第2表示
更新期間との間、第1定電圧で前記或るセンサ電極を駆動し、前記非表示更新期間が前記第1表示
更新期間と前記第2表示
更新期間の間にあり、
前記非表示更新期間の第2部分と前記非表示更新期間の第3部分の少なくとも1つの間、第2定電圧で前記或るセンサ電極を駆動し、
前記第2定電圧が、前記第1定電圧と異なり、
前記非表示更新期間の前記第1部分が、前記非表示更新期間の前記第2部分の後、かつ、前記非表示更新期間の前記第3部分の前にあり、
前記非表示更新
期間の第2部分と、前記非表示更新期間の第3部分との少なくとも一つの間、前記複数のデータ線のうちの第1データ線を第3定電圧で駆動し、
前記非表示更新期間の前記第1部分の間に
前記第1データ線にガード信号を出力し、
前記ガード信号が、前記処理システムと前記或るセンサ電極の間の容量カップリングを緩和する
ように構成され
、
前記第1データ線が、前記表示パネルのサブピクセルの列に接続され、かつ、前記複数のセンサ電極のうちの前記或るセンサ電極および/または前記或るセンサ電極と前記処理システムとを接続する配線に容量的に接続された
入力装置。
【請求項9】
表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、変動電圧を有するセンシング信号でセンサ電極を駆動することと、
表示更新のために、前記表示フレームの第1表示
更新期間と前記表示フレームの第2表示
更新期間との間、第1定電圧で前記センサ電極を駆動し、前記非表示更新期間が前記第1表示
更新期間と前記第2表示
更新期間の間にあることと、
前記非表示更新期間の第2部分と前記非表示更新期間の第3部分の少なくとも1つの間、第2定電圧で前記センサ電極を駆動し、前記第2定電圧が、前記第1定電圧と異なり、前記非表示更新期間の前記第1部分が、前記非表示更新期間の前記第2部分の後、かつ、前記非表示更新期間の前記第3部分の前にあることと、
前記非表示更新期間の前記第2部分と前記非表示更新期間の前記第3部分の少なくとも一つの間、表示パネルの第1データ線を第3定電圧で駆動することと、
を含
み、
前記第1データ線が、前記表示パネルのサブピクセル
の列に接続され、かつ、前記センサ電極および/または前記センサ電極に接続された配線に容量的に接続された
入力センシングの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、概して電子装置に関し、より詳細には容量センシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近接センサ装置を含む入力装置は、様々な電子システムで使用され得る。近接センサ装置は表面で区切られたセンシング領域を含んでもよく、センシング領域内で近接センサ装置は1以上の入力オブジェクトの存在、位置、力、および/または動きを決定する。近接センサ装置は、電子システムにインタフェースを提供するために使用される場合がある。例えば、近接センサ装置は、より大きなコンピュータシステム用の入力装置、例えばノートブックまたはデスクトップコンピュータに統合されたタッチパッド、または、その周辺のタッチパッドとして、使用され得る。近接センサ装置は、小型コンピュータシステム、例えば携帯電話に統合されたタッチスクリーンにもよく使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施の形態において、入力装置用の処理システムは、ドライバモジュールとソースドライバとを備える。ドライバモジュールは、表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、センサ電極をセンシング信号で駆動するように構成されている。センシング信号は変動電圧を備える。ソースドライバは、非表示更新期間の第2部分と非表示更新期間の第3部分との少なくとも1つの間、表示パネルの第1データ線を第1定電圧で駆動するように構成されている。ソースドライバは、さらに、非表示更新期間の第1部分の間、ガード信号を出力するように構成されている。非表示更新期間の第1部分は、非表示更新期間の第2部分の後で、かつ、非表示更新期間の第3部分の前に生じる。さらに、ガード信号は、センシング信号と共通の周波数と、位相と、振幅との少なくとも1つを有する変動電圧を備える。
【0004】
一実施の形態において、入力装置は、表示パネルの複数のデータ線と、複数のセンサ電極と、処理システムとを備える。処理システムは、表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、複数のセンサ電極のうちのセンサ電極をセンシング信号で駆動するように構成されている。センシング信号は変動電圧を備える。処理システムは、さらに、非表示更新期間の第2部分と非表示更新期間の第3部分との少なくとも1つの間、複数のデータ線のうちの第1データ線を第1定電圧で駆動するように構成されている。さらに、処理システムは、非表示更新期間の第1部分の間、ガード信号を出力するように構成されている。非表示更新期間の第1部分は、非表示更新期間の第2部分の後で、かつ、非表示更新期間の第3部分の前に生じる。さらに、ガード信号は、センシング信号と共通の周波数と、位相と、振幅との少なくとも1つを有する変動電圧を備える。
【0005】
一実施の形態において、入力センシングのための方法は、表示フレームの非表示更新期間の第1部分の間、センサ電極をセンシング信号で駆動することを備える。センシング信号は変動電圧を備える。方法は、さらに、非表示更新期間の第2部分と非表示更新期間の第3部分との少なくとも1つの間、表示パネルの第1データ線を第1定電圧で駆動することを備える。さらに、方法は、非表示更新期間の第1部分の間、ガード信号を出力することを備える。非表示更新期間の第1部分は、非表示更新期間の第2部分の後で、かつ、非表示更新期間の第3部分の前に、生じる。さらに、ガード信号は、センシング信号と共通の周波数と、位相と、振幅との少なくとも1つを有する変動電圧を備える。
【0006】
本開示の上記特徴を詳細に理解できるように、上記に簡潔に要約した本開示をより具体的に、実施の形態を参照し、そのいくつかを添付図面に示して説明する。ただし、添付図面は、単に典型的な実施の形態を示したもので、それゆえ、本開示は他の同じ有効な実施の形態を許容し得るように、発明の範囲を限定することを意図しないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、1以上の実施の形態における例示的な入力装置を表す。
【0008】
【
図2】
図2は、1以上の実施の形態における例示的な入力装置を表す。
【
図3】
図3は、1以上の実施の形態における例示的な入力装置を表す。
【0009】
【
図4】
図4は、1以上の実施の形態における入力装置を動作するためのフローチャートである。
【0010】
【
図5】
図5は、1以上の実施の形態において、入力装置を動作する際に利用される波形を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、可能なかぎり、同一の参照番号を使用して、図に共通する同一の要素を表す。一実施の形態で開示された要素は、特定の記載がなくとも他の実施の形態に有益に活用され得ると考えられる。ここで参照される図面は、特に明記されない限り、縮尺どおりに描かれていると理解すべきではない。また、表現と説明とを明確にするため、図面は、しばしば単純化され、詳細または構成要素は省略されている。図面と論考は、以降で論じられる原理を説明するのを助け、類似の名称は類似の要素を示す。
【0012】
以下の詳細な説明は、本来単なる例示であって、本開示または本出願と、本開示の使用とを限定する意図はない。さらに、前述の背景、概要、または、以下の詳細な説明に示された任意の表現または暗黙の理論に拘束する意図はない。
【0013】
1以上の実施の形態において、センサ電極に駆動される電圧変化のスルーレートを、1以上のデータ線を定電圧で駆動することで、制御し得る。例えば、表示更新から入力センシングに変化するとき、センサ電極に駆動される電圧変化のスルーレートは減少する場合があり、対応する装置により生成される電磁干渉(EMI;electromagnetic interference)を低減する。
【0014】
本開示の実施の形態による
図1に示すような例示の入力装置100は、電子システム(図示せず)に入力を提供するように構成され得る。この文書に用いられるように、文言「電子システム」は広く電子的に情報を処理できる任意のシステムに属する。ある限定されない電子システムの例には、すべてのサイズと形状のパーソナルコンピュータ、例えばデスクトプコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット、webブラウザ、電子書籍リーダ、携帯情報端末(PDAs;personal digital assistants)、自動車のマルチメディア・エンターテイメント・デバイスなどが含まれる。追加の電子システムの例には、複合入力装置、例えば入力装置100と別個のジョイスティックまたはキースイッチとを含む物理キーボードが含まれる。さらに電子システムの例には、データ入力装置(例えばリモートコントローラとマウス)、データ出力装置(例えば表示スクリーンとプリンタ)のような周辺機器が含まれる。他の例には、リモートターミナル、キオスク、テレビゲーム機器、例えばテレビゲーム・コンソール、携帯ゲーム装置などが含まれる。他の例には、通信装置(例えば、スマートフォンのような携帯電話)と、メディア装置(例えばレコーダー、エディタ、プレイヤー(テレビ、セットトップボックス、音楽プレイヤー、デジタルフォトフレーム、デジタルカメラなど))とが含まれる。加えて、電子システムは、入力装置のホストまたはスレーブでもよい。また、電子システムは、電子装置に属してもよい。
【0015】
入力装置100は、電子システムの物理部分として実装されてもよく、電子システムから物理的に分かれていてもよい。一実施の形態では、電子システムはホストデバイスに属してもよい。
必要に応じて、入力装置100は、バス、ネットワーク、その他の有線または無線の相互接続の任意の1つ以上を用いた電子システムの一部と通信してもよい。例として、I2C、SPI、PS/2、USB(universal serial bus)、ブルートゥース(登録商標)、RF、IRDAが含まれる。
【0016】
図1に、入力装置100を、センシング領域120内の1つ以上の入力オブジェクト140により与えられた入力を感知するように構成された近接センサ装置として表す。入力オブジェクト140の例には、
図1に示すように、指と、スタイラスとが含まれる。典型的な近接センサ装置は、タッチパッド、タッチスクリーン、タッチセンサ装置などでよい。
【0017】
センシング領域120は、入力装置100がユーザ入力、例えば1以上の入力オブジェクト140により与えられるユーザ入力を検知できる、入力装置100の上方、周囲、内、および/または至近の任意の空間を包含する。詳細なセンシング領域の大きさ、形状、位置は、実施の形態ごとに大きく変化し得る。ある実施の形態では、センシング領域120は、入力装置100の表面から信号雑音比により十分な精度でオブジェクトを検知できなくなるまでの空間内に1以上の方向に延びている。このセンシング領域120が特定の方向に延びる距離は、様々な実施の形態において、ミリメートル未満、ミリメートル、センチメートル、それ以上のオーダーでよく、使用されるセンシング技術の種類と要求精度とで大きく変化し得る。このため、ある実施の形態のセンシング入力は、入力装置100の表面に一切接触しないことと、入力装置100の入力表面、例えばタッチ表面に接触することと、入力装置100の入力表面に接触して、ある程度の力または圧力が加えられることと、および/またはこれらの組み合わせとを備える。様々な実施の形態において、入力表面は、センサ電極(本明細書ではセンシング電極とも呼ばれる)を内部に備えるケースの表面で提供されてもよく、センサ電極または任意のケースを覆うように利用されるフェイスシートなどで提供されてもよい。ある実施の形態では、センシング領域120は、入力装置100の入力表面上に投影されたときに長方形を有する。入力装置100のどの表面にも接触しない入力オブジェクトは、ホバリング入力オブジェクトとも呼ばれる場合がある。
【0018】
入力装置100は、センサ構成要素とセンシング技術との任意の組み合わせを利用し、センシング領域120内のユーザ入力を検知し得る。入力装置100は、ユーザ入力を検知するための1以上のセンサ要素を備える。いくつかの限定されない例として、入力装置100は容量の、エラスタンスの、抵抗の、インダクタンスの、磁気の、音波の、超音波の、および/または光学の技術を使用してもよい。
【0019】
ある実装は、1次元、2次元、3次元または高次元空間に及ぶイメージ(例えば容量信号)を提供するように構成される。ある実装は、特定の軸または平面に沿った入力の投影を提供するように構成される。
【0020】
入力装置100のある容量実装において、電圧または電流が加えられて電場を生成する。入力オブジェクトの近くで電場の変化が起こり、電圧、電流などの変化として検知され得る容量結合において検知可能な変化が生じる。
【0021】
ある容量の実装は、容量センシング要素のアレイ、または、他の規則的または非規則的なパターンを利用して、電場を生成する。ある容量実装において、分離したセンシング要素を互いにオーミックショートして、より大きなセンサ電極を形成してもよい。ある容量実装は、均一な抵抗を有し得る抵抗シートを利用する。
【0022】
ある容量実装は、センサ電極と入力オブジェクトとの間の容量結合の変化に基づく「自己容量」(よく「絶対容量」とも呼ばれる)のセンシング方法を利用する。様々な実施の形態において、センサ電極近くの入力オブジェクトは、そのセンサ電極近くの電場を変更し、したがって計測される容量結合を変化する。一実装において、絶対容量センシング方法は、基準電圧、例えばシステム接地に対するセンサ電極を変調して、センサ電極と入力オブジェクトとの間の容量結合を検知することで作動する。ある実装では、センシング要素は実質的に透明な金属メッシュ(例えば、ディスプレイのサブピクセルからの認識可能な伝送損失を最小限に抑えるように配列された反射金属または吸収金属のフィルム)で形成されてもよい。さらに、センサ電極は表示装置のディスプレイを覆うように設けられてもよい。センシング電極は、表示装置の共通基板(例えば、リジッドまたはフレキシブル有機発光ダイオード(OLED;organic light emitting diode)ディスプレイのカプセル化層)に形成されてもよい。ジャンパー層用のビアを持つ追加の誘電層も実質的に透明な金属メッシュ材で(例えば、ユーザ入力とOLEDカソードとの間に)形成されてもよい。ジャンパー層のジャンパーは、第1グループの電極と接続して、第2グループのセンサ電極をクロスオーバーし得る。
【0023】
ある容量実装は、センサ電極間の容量結合の変化に基づき「相互キャパシタンス」(よく「トランスキャパシタンス」とも呼ばれる)センシング方法を利用する。様々な実施の形態において、センサ電極近くの入力オブジェクトは、センサ電極間の電場を変更し、これにより測定される容量結合を変化する。一実装において、トランスキャパシタンスセンシング方法は、1以上の送信センサ電極(本明細書では「送信電極」または「送信部」とも呼ばれる)と1以上の受信センサ電極(本明細書では「受信電極」または「受信部」とも呼ばれる)との間の容量結合を検知することで作動する。その結合は、システム接地に接続された入力オブジェクトがセンサ電極に近づくとき減少する場合がある。送信センサ電極は、トランスキャパシタンスのセンシング信号を送信するために、基準電圧、例えばシステム接地、に対して変調され得る。受信センサ電極は、結果信号の受信を容易にするために、基準電圧に対して実質的に一定に保たれてもよく、送信センサ電極に対して変調されてもよい。結果信号は、1以上のキャパシタンスのセンシング信号、および/または、1以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応した影響を含んでもよい。センサ電極は、送信部または受信部専用でもよく、送信と受信との両方を行うように構成されてもよい。
【0024】
図1において、処理システム110は、入力装置100の一部として示されている。
処理システム110は、センシング領域120内の入力を検知するように入力装置100のハードウェアが動作するように構成される。処理システム110は、1以上の集積回路(ICs;integrated circuits)チップ、および/または、他の回路部コンポーネントの一部またはすべてを備える。例えば、相互キャパシタンスセンサ装置のための処理システムは、送信センサ電極に信号を送信するように構成された送信回路部、および/または、受信センサ電極で信号を受信するように構成された受信回路部を備える。処理システム110は、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integration circuit)でもよい。ある実施の形態において、処理システム110は、電子的に読み取り可能な命令、例えばファームウェアコード、ソフトウェアコード、および/または同様のものも備える。ある実施の形態において、処理システム110を備えるコンポーネントは、入力装置100のセンサ電極の近くのように、一緒に配置されてもよい。他の実施の形態において、処理システム110の構成要素は、入力装置100のセンシング要素に近い1以上の構成要素と、他の1以上の構成要素と物理的に分離されている。例えば、入力装置100はデスクコンピュータに接続される周辺機器でもよく、処理システム110は、デスクトップコンピュータの中央処理装置と、中央処理装置から分離された1以上のICs(他の実施の形態では、関連するファームウェア)との上で実行されるように構成されたソフトウェアを備えてもよい。他の例として、入力装置100は物理的に電話に統合されてもよく、処理システム110は電話の主処理部(例えばモバイルデバイス・アプリケーションプロセッサー、または、任意の他の中央処理装置)の一部である回路とファームウェアとを備えてもよい。ある実施の形態において、処理システム110は入力装置100の実装のみを行ってもよい。他の実施の形態において、処理システム110は、他の機能、例えば表示スクリーンの作動と、ハプティックアクチュエーターの駆動なども実行してもよい。
【0025】
処理システム110は、処理システム110の異なる機能を扱うモジュールのセットとして実装されてもよい。各モジュールは、処理システム110の一部である回路部、ファームウェア、ソフトウェア、または、これらの組み合わせを備えてもよい。様々な実施の形態において、モジュールの異なる組み合わせを使用してもよい。モジュールは、ハードウェア、例えばセンサ電極、表示スクリーンを作動してもよい。さらに、モジュールはデータ、例えばセンサ信号、位置情報、レポート情報を処理してもよい。
【0026】
ある実施の形態において、処理システム110は、直接的な1以上の操作によるセンシング領域120内のユーザ入力(またはユーザ入力なし)に応答する。例示的な操作には、作動モードの変更が含まれ、GUI操作、例えばカーソルの動きと、選択と、メニュー操作と、他の機能とも含まれる。ある実施の形態において、処理システム110は、電子システム、例えば別個の中央処理システムがある場合の処理システム110から分離した電子システムの中央処理システムのいくつかの部分に、入力(または入力なし)についての情報を提供する。ある実施の形態において、電子システムのいくつかの部分は、処理システム110から受信した情報を処理して、モード変更操作とGUI操作とを含むすべての操作を容易にするように、ユーザ入力に基づいて実行する。
【0027】
例えば、ある実施の形態において、処理システム110は、入力装置100のセンシング要素を作動して、センシング領域120内への入力(または入力なし)を示す電気信号を生成する。処理システム110は、電子システムに提供する情報を生成する際に、電気信号に対して任意の適度の処理を実行してもよい。例えば、処理システム110は、センサ電極から得られたアナログ電気信号をデジタル化してもよい。他の実施の形態として、処理システム110はフィルタリングまたは他の信号の調整を実行してもよい。フィルタリングは、適切なセンシング時間にアナログまたはデジタルに変換された信号(例えば、FIRデジタルまたはIIRスイッチキャパシタフィルタリング用の信号)の復調と、サンプリングと、重み付けと、累積との1以上を備えてもよい。センシング時間は、表示出力期間(例えば表示ラインの更新期間またはブランキング期間)に関連してもよい。さらに別の例として、処理システム110は、情報がユーザ入力からの電気信号とベースライン信号との差を反映するように、ベースラインを差し引いてもよく、別の方法で表してもよい。ベースラインから、空間的にフィルタリング(例えば復調、累積)され、低い空間周波数センシングベースラインから取り出された表示更新信号(例えば、サブピクセルデータ信号、ゲート選択と切断との信号、または、エミッション制御信号)が得られてもよい。さらに、ベースラインはセンサ電極と1以上の近接電極との間の容量結合を補ってもよい。近接電極は、ディスプレイ電極、ダミーセンサ電極、および/または、センサ電極と容量的に接続され得る他の誘導性オブジェクトでもよい。加えて、ベースラインはデジタルまたはアナログ手段を用いて補われてもよい。さらなる例として、処理システム110は、位置情報の決定、コマンドのような入力の認識、手入力の認識などを行ってもよい。
【0028】
本明細書で用いられる「位置情報」は、絶対位置と、相対位置と、速度と、加速度と、空間的情報の他の形式とを広く含む。典型的な「0次元」位置情報は、近い/遠い、または、接触/非接触情報を含む。典型的な「1次元」位置情報は、軸に沿った位置を含む。典型的な「2次元」位置情報は、平面での運動を含む。典型的な「3次元」位置情報は、空間における瞬間または平均速度を含む。さらに、例には、空間情報の他の表示を含む。位置情報の1以上の形式に関する履歴データも、決定され、および/または、記録されてもよく、例えば、時間経過に伴う位置、動き、または、瞬間速度を追跡した履歴データを含む。
【0029】
ある実施の形態において、入力装置100は、処理システム110またはいくつかの他の処理システムにより作動される追加の入力コンポーネントとともに実装される。これらの追加の入力コンポーネントは、センシング領域120への入力における冗長機能性、またはいくつかの他の機能性を提供してもよい。
図1には、入力装置100を使用する項目の選択を容易にするために使用され得る、センシング領域120近くのボタン130が示されている。追加の入力コンポーネントの他の形式として、スライダ、ボール、ホイール、スイッチなどが含まれる。対照的に、ある実施の形態において、入力装置100は、他の入力コンポーネントなしに実装されてもよい。
【0030】
ある実施の形態において、入力装置100は、タッチスクリーンインタフェースと、表示スクリーンの少なくとも一部にオーバーラップするセンシング領域120とを備える。例えば、センシング領域120は、少なくとも表示スクリーン(または表示パネル)のアクティブ領域の部分にオーバーラップしてもよい。表示パネルのアクティブ領域は、画像が更新される表示パネルの部分に対応してもよい。1以上の実施の形態において、入力装置100は、表示スクリーンにオーバーラップする実質的に透明なセンサ電極を備え、関連する電子システムのためのタッチスクリーンインタフェースを提供してもよい。表示パネルは、ユーザに視覚的インタフェースを表示可能な任意の形式の動的なディスプレイでもよく、任意の形式の発光ダイオード(LED;light emitting diode)、OLED、ブラウン管(CRT;cathode ray tube)、液晶ディスプレイ(LCD;liquid crystal display)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL;electroluminescence)、または他の表示技術を含んでもよい。入力装置100と、表示パネルとは、物理的な要素を共有してもよい。例えば、ある実施の形態は、いくつかの同じ電極コンポーネントを、表示とセンシングとに利用してもよい。他の例として、表示パネルは、処理システム110により一部または全体で作動されてもよい。
【0031】
本開示の多数の実施の形態を完全に機能する装置の内容で説明しているが、本開示の機構が様々な形式のプログラム製品、例えばソフトウェアとして配布できることを理解されよう。
例えば、本開示の機能を、電子処理装置に読み取り可能な情報搬送媒体、例えば非一時的のコンピュータ読み取り可能で、および/または、記録可能で/書き込み可能で、並びに、処理システム110に読み取り可能な情報搬送媒体上のソフトウェアプログラムとして実装して配布してもよい。加えて、本開示の実施の形態は、配布を行うために使用される媒体の特定の形式にかかわらず、同様に適用される。非一時的の電子読み取り可能媒体の例には、様々なディスク、メモリースティック、メモリーカード、メモリーモジュールなどが含まれる。電子読み取り可能な媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフ、または、任意の他の記憶技術に基づいてもよい。
【0032】
図2は、1以上の実施の形態による入力装置200を表す。入力装置200は、入力装置100と同様に構成されてもよい。図示された実施の形態において、入力装置200は表示パネル202と、処理システム110と、選択機構230とを含む。1以上の実施の形態において、入力装置200は、自動車のマルチメディアシステムへの入力装置として機能してもよい。例えば、入力装置200は、自動車のインフォテイメントシステムの一部でもよい。他の実施の形態において、入力装置200は、
図1に関する前述の記載のように、他の形式の電子システムのための入力装置である。
【0033】
表示パネル202は、データ線240と、センサ電極250とを含む。表示パネル202は、データ線240とセンサ電極250とを含み、
図3に関してより詳細に記載されている。一実施の形態において、表示パネル202に表示される画像は表示フレームの間に更新される。
図3に関してより詳細に説明され得るように、表示パネル202の更新は、表示フレームの間に表示更新信号でデータ線240とセンサ電極250とを駆動することを含んでもよい。一実施の形態において、16msごとに1度または60Hzの表示フレームレートで表示フレームを更新してもよい。他の実施の形態において、他の表示フレームレートが用いられてもよい。例えば、特に48Hz、120Hz、180Hz、220Hz、および240Hzの表示フレームレートが用いられる場合がある。
【0034】
一実施の形態において、各表示フレームは、1以上の表示更新期間(例えば表示期間)と1以上の非表示更新期間(例えばタッチ期間または非表示期間)とを含んでもよい。表示更新期間の間、表示パネル202を更新するために、1以上の要素(例えばデータ線240、センサ電極250)は表示更新信号で駆動される。さらに、各非表示更新期間の間、容量センシングが生じ、表示パネル202の更新が一時停止されてもよい。様々な実施の形態において、表示更新期間と非表示更新期間とはオーバーラップしない。例えば、非表示更新期間が表示フレームの表示更新期間の合間に生じ得る。さらに、各表示更新期間は、表示パネル202の表示ラインが更新される間の表示ライン更新期間に対応する。表示ラインは、
図3に関してより詳細に記載されている。様々な実施の形態において、各非表示更新期間は、少なくとも表示ライン更新期間と同じ長さでもよい。そのような実施の形態において、非表示更新期間は、長い水平ブランキング期間、長いHブランキング期間、または、分散ブランキング期間(distributed blanking period)と呼ばれる場合がある。さらに、各非表示更新期間は、2以上の表示ライン更新期間より長くてもよい。他の実施の形態において、非表示更新期間は、表示フレームの水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間との組み合わせを備えてもよい。
【0035】
一実施の形態において、センサ電極250は、表示パネル202を更新する際に使用される1以上のディスプレイ電極を備える。1以上の実施の形態において、ディスプレイ電極は、1以上のVcom電極(共通電極)のセグメント、データ線、ゲート線、アノード電極、カソード電極、または、任意の他のディスプレイ要素を備える。一実施の形態において、共通電極は透明基板(ガラス基板、TFTガラス、または、任意の他の透明材料)上に、または、カラーフィルターガラスの底部上に配置されてもよい。1以上の実施の形態において、共通電極、または複数の共通電極を、容量センシングと表示更新との両方に利用してもよい。
図3に関してより詳細に記載され得るように、様々な実施の形態において、共通電極は、複数の共通電極を形成するように分けられ、センサ電極250が1以上の共通電極を備えてもよい。
【0036】
処理システム110は、ドライバモジュール210とソースドライバ220とを含む。ドライバモジュール210は、配線260を介して、センサ電極250に接続されてもよい。一実施の形態において、ドライバモジュール210は、センシング信号でセンサ電極250を駆動して、センサデータを取得する。例えば、ドライバモジュール210は、表示フレームの第1非表示更新期間の第1部分(例えば非表示更新期間520の部分526)の間、センシング信号でセンサ電極250を駆動してもよい。センシング信号でセンサ電極250を駆動することは、
図3に関してより詳細に後述する絶対容量センシング、および/または、トランスキャパシタスセンシングに対応し得る。
図5は例示的なセンシング信号510を表す。1以上の実施の形態において、処理システム110は容量センシング用と表示更新用とを構成して、処理システム110は、タッチアンドディスプレイドライバ統合(TDDI;touch and display driver integration)デバイスとも呼ばれる場合がある。
【0037】
一実施の形態において、センシング信号は変動電圧信号である。さらに、センシング信号は、風波数と、振幅と、位相とを有する。例えば、センシング信号は、約100kHzから約2MHzまでの範囲内の周波数を有してもよい。もっとも、他の実施の形態において、他の周波数を利用してもよい。さらに、センシング信号は約1Vから約10Vまでの範囲内のピークトゥーピーク振幅を有してもよい。もっとも、他の実施の形態において、他の振幅を利用してもよい。一実施の形態において、センシング信号のセンター電圧は約-3Vから約0Vまでの範囲内でもよい。あるいは、センシング信号のセンター電圧は、約0Vから約3Vまでの範囲内でもよい。もっとも、他の実施の形態において、他のセンター電圧を使用してもよい。1以上の実施の形態について、センシング信号は励振信号(VstimまたはVguard)と呼ばれる場合がある。
【0038】
ドライバモジュール210は、さらに、表示フレームの表示更新期間の間、表示更新用にセンサ電極250を駆動するように構成されてもよい。例えば、ドライバモジュール210は、表示フレームの表示更新期間の間、コモン電圧でセンサ電極250を駆動してもよい。コモン電圧は定電圧でもよい。例えば、コモン電圧は直流(DC;direct current)電圧でもよい。1以上の実施の形態において、コモン電圧は約-2Vから約2Vまでの範囲内でもよい。もっとも、他の実施の形態において、他の電圧を使用してもよい。さらに、
図3に関してより詳細に記載され得るように、センサ電極250は、表示更新期間の間、定電圧を印加されるとき、表示更新用の共通電極として機能する。
【0039】
一実施の形態において、ドライバモジュール210は、ドライバモジュール210がセンサ電極250をセンシング信号で駆動する前に、第1定電圧でセンサ電極250を駆動する。例えば、ドライバモジュール210は、センサ電極250をセンシング信号で駆動する前に、センサ電極250をコモン電圧から第1定電圧に変化する。第1定電圧はDC電圧でもよい。一実施の形態において、ドライバモジュール210は、第1非表示更新期間の第2部分(例えば、
図5の非表示更新期間520の部分522)の間、センサ電極250をコモン電圧から第1定電圧に変化する。非表示更新期間の第2部分は、第1非表示更新期間の第1部分の前に生じる。さらに、ドライバモジュール210は、第1非表示更新期間の第3部分の間、かつ、センサ電極250をセンシング信号で駆動した後に、第2定電圧からコモン電圧にセンサ電極250を変化する。第1非表示更新期間の第3部分(例えば、
図5の非表示更新期間520の部分524)は、第1非表示更新期間の第1部分の後に生じる。さらに、第2定電圧はDC電圧でもよい。さらに、第2定電圧は、第1定電圧に対して、等しくても、大きくても、または、小さくてもよい。
【0040】
ソースドライバ220は、データ線240a、240bに接続されている。一実施の形態において、ソースドライバ220は、データ線240a、240bに選択機構230を介して接続されている。他の実施の形態において、選択機構230は省略され、ソースドライバ220はデータ線240aまたはデータ線240bに直接接続されていてもよい。ソースドライバ220は、サブピクセルデータ信号でデータ線240を駆動して、表示パネル202を更新してもよい。
【0041】
さらに、ソースドライバ220は、少なくとも第1非表示更新期間の第1部分の間と、センサ電極250をセンシング信号で駆動している間とに、ガード信号を出力するように構成されてもよい。ガード信号は、変動電圧を有してもよい。さらに、ガード信号は、周波数と、振幅と、位相との少なくとも1つがセンシング信号と共通でもよい。1以上の実施の形態において、ガード信号の周波数と、振幅と、位相とは、センシング信号の周波数と、振幅と、位相と同じである。例示的なガード信号、例えばガード信号542を
図5に表す。ガード信号を出力することで、ソースドライバ220とセンサ電極250と配線260との間の容量結合を低減する。データ線240がソースドライバ220に接続されている実施の形態において、ソースドライバ220はデータ線240をガード信号で駆動する。これにより、データ線240とセンサ電極250と、および/または配線260の間の容量は低減される。
【0042】
ソースドライバ220は、第1非表示更新期間の第2部分と第3部分との間、第3定電圧を出力する。第3定電圧はDC電圧でもよい。さらに、第3定電圧は、第1定電圧および/または第2定電圧と同じでも、異なっても(例えば、より大きくても、または、より小さくても)よい。一実施の形態において、ソースドライバ220は、第1非表示更新期間の第2部分と第3部分との間、1以上のデータ線240a、240bを第3定電圧で駆動する。一実施の形態において、ソースドライバ220は、第1非表示更新期間の第2部分と第3部分との間、1以上のデータ線240a、240bを第3定電圧で駆動する。
【0043】
選択機構230は、マルチプレクサでもよい。他の実施の形態において、選択機構230は、他の形式のスイッチングデバイスでもよい。一実施の形態において、第1表示更新期間の第1部分の間、選択機構230は、データ線240aをソースドライバ220に接続する。さらに、第1表示更新期間の第2部分の間、選択機構230は、データ線240bをソースドライバ220に接続する。一実施の形態において、選択機構230は、非表示更新期間の間、1以上のデータ線240aとデータ線240bとをソースドライバ220に接続するように構成されてもよい。例えば、第1非表示更新期間の第2部分の間、選択機構230は、データ線240a、240bをソースドライバ220に接続する。さらに、第1非表示更新期間の第3部分の間、選択機構230は、データ線240a、240bをソースドライバ220に接続してもよい。さらに、非表示更新期間の第1部分の間、スイッチング機構はデータ線240a、240bをソースドライバ220に接続するか、データ線240a、240bをソースドライバ220から切断する。
【0044】
図3に、1以上の実施の形態による入力装置300を表す。図示するように、入力装置300は表示パネル302と、処理システム110とを含む。
【0045】
表示パネル302は、データ線240と、ゲート線310と、サブピクセル352と、センサ電極350と、配線360とを含む。表示パネル302は、ゲート選択回路部380を付加的に含んでもよい。一実施の形態において、表示パネル302を更新することは、各サブピクセル352に駆動される電圧を更新することを含む。
【0046】
各サブピクセル352は、サブピクセル電極とサブピクセル回路部とを含んでもよい。サブピクセル回路部は、サブピクセル電極を関連する1つのゲート線310と関連する1つのデータ線240とに接続する。
サブピクセル回路部は、各サブピクセルのアクティブと非アクティブと、各サブピクセル352に駆動する電圧とを制御するように構成された1以上のトランジスタと1以上のキャパシタとを含んでもよい。例えば、サブピクセル回路部は、サブピクセル352のサブピクセル352電極を、対応する1つのデータ線240に駆動されるデータ信号で接続してもよい。
【0047】
サブピクセル352は、ピクセルを形成するようにグループ化されてもよい。例えば、サブピクセル352は、第1形式のサブピクセルと、第2形式のサブピクセルと、第3形式のサブピクセルとを含んでもよい。さらに、各ピクセルは、第1形式のサブピクセルと、第2形式のサブピクセルと、第3形式のサブピクセルとを含んでもよい。他の実施の形態において、サブピクセルは、第4形式またはそれ以上のサブピクセルを含んでもよく、各ピクセルは各形式のサブピクセルを含んでもよい。様々な実施の形態において、各ピクセルは、少なくとも1つの形式のサブピクセルを1つより多く含んでもよい。例えば、各ピクセルは第2形式のサブピクセルを2つ含んでもよい。一実施の形態において、異なる形式のサブピクセル352は、異なる色に対応する。例えば、第1形式のサブピクセルは赤色のサブピクセルでもよく、第2形式のサブピクセルは緑色のサブピクセルでもよく、第3形式のサブピクセルは青色のサブピクセルでもよい。他の実施の形態において、他の色が利用されてもよい。例えば、第4形式のサブピクセルは白色に対応してもよい。
【0048】
サブピクセル352は、複数の行と列とに配置されてもよい。サブピクセル352の各行は、表示ラインに対応してもよい。あるいは、表示ラインは、共通する期間の間に更新されるサブピクセル352のグループに対応してもよい。さらに、表示ラインの各サブピクセル352が更新されているときに対応する期間は、表示ライン更新期間と呼ぶ場合がある。
【0049】
ゲート線310が1以上のサブピクセル352に接続されている。ゲート線310は、更新するためのサブピクセル352を選択するように、ゲート選択信号で駆動されてもよい。例えば、ゲート線310aは、更新するためのゲート線310aに接続されたサブピクセル352を選択するように、ゲート選択信号で駆動される。様々な実施の形態において、各ゲート線310は、関連する行のサブピクセル352に接続されている。1以上の実施の形態において、少なくとも2のゲート線310は、共通する行のサブピクセル352に接続されている。様々な実施の形態において、ゲート線310は、表示パネル202の基板(図示せず)の1以上の金属層内に設けられている。
【0050】
ゲート選択回路部380は、ゲート線310にゲート選択信号を駆動して、更新するためにサブピクセル352の選択(アクティブ)と非選択(非アクティブ)とを行うように構成されてもよい。ゲート選択信号は、ゲートハイ信号またはVGHと、ゲートロー信号またはVGLとの間での電圧変化を含んでもよい。1以上の実施の形態において、VGHとVGLとは、サブピクセル352のサブピクセル回路部の選択トランジスタにおけるオン電圧とオフ電圧とに対応する。選択トランジスタは、サブピクセル352のアクティブと非アクティブとを制御するように構成されている。一実施の形態において、ゲート選択信号がVGLからVGHに変化するとき、駆動されたゲート電極に接続されたサブピクセル352は更新するために選択されてもよい。さらに、ゲート選択信号がVGHからVGLに変化するとき、駆動されたゲート電極に接続されたサブピクセル352は更新するために選択されなくてもよい。あるいは、様々な実施の形態において、VGHが選択トランジスタのオフ電圧に対応し、VGLが選択トランジスタのオン電圧に対応してもよい。そのような実施の形態において、ゲート選択信号はVGHからVGLに変化して更新するためにゲート電極を選択し、VGLからVGHに変化して更新するためにゲート電極を選択しなくてもよい。一実施の形態において、VGHは正電圧であり、VGLは負電圧である。例えば、VGHは約15Vでもよく、VGLは約-10Vでもよい。もっとも、他の実施の形態において、他の電圧を用いてもよい。
【0051】
データ線240はサブピクセル352の列に接続されてもよい。さらに、データ線は、サブピクセル352を更新するように、サブピクセルデータ信号をサブピクセル352に伝達してもよい。サブピクセルデータ信号は電圧信号でもよい。さらに、各サブピクセルデータ信号の値は、各対応するサブピクセル352における輝度レベルに対応してもよい。データ線240は、表示パネル202の基板(図示せず)の1以上の金属層内に配置されてもよい。
【0052】
センサ電極350は、分離された共通電極のセグメントから形成されてもよい。センサ電極350は、容量センシング用と表示更新(例えば表示パネル302の更新)用とを構成されてもよい。一実施の形態において、センサ電極350は、表示更新の間、サブピクセル352のためのコモン電圧の参照先として機能してもよい。例えば、1以上のセンサ電極350は表示更新のためのコモン電圧で駆動されてもよい。さらに、センサ電極350は、容量センシングのためのセンシング信号で駆動されてもよい。
【0053】
1以上の実施の形態において、各センサ電極350は、サブピクセルの2以上の行の部分、および/または、サブピクセルの2以上の列の部分に関連付けられてもよい。さらに、センサ電極350とサブピクセル352のサブピクセル電極とは、それらが互いに水平に分離されるように、配置されてもよい。一実施の形態において、センサ電極350は、2以上の行のサブピクセル352と、複数列のサブピクセル352とにオーバーラップするように配置されている。そのような実施の形態において、センサ電極350はサブピクセル352のサブピクセル電極から鉛直に分離されてもよい。
【0054】
1以上の実施の形態において、センサ電極350の数は、
図3の実施の形態から変更されてもよい。例えば、
図3の実施の形態では12のセンサ電極が表されているが、他の実施の形態において、12より多くのまたは少ないセンサ電極を用いてもよい。例えば、1以上の実施の形態において、表示パネル202は、数百のセンサ電極350を有してもよい。入力装置300がコモン層に設けられたセンサ電極350を含む実施の形態において、入力装置300は、アドバンスド・マトリックス・パッド(AMP;advanced matric pad)技術と呼ばれる場合がある。
【0055】
選択機構230は、データ線240を処理システム110のソースドライバ220に接続する。各選択機構230は、2以上のデータ線240に接続されてもよい。一実施の形態において、各選択機構230は、各ピクセルを形成するサブピクセル352の数に対応する数のデータ線240に接続されている。例えば、一実施の形態において、ピクセルが3つのサブピクセル352で形成され、各選択機構230は3つのデータ線に接続されている。一実施の形態において、データ線240a、240b、240cは選択機構230aに接続され、データ線240d、240e、240fとは選択機構230bに接続されている。他の実施の形態において、データ線240は異なるグループを形成して選択機構230に接続されてもよい。例えば、一実施の形態において、データ線240a、240bが選択機構230aに接続され、データ線240c、240dが選択機構230bに接続されてもよい。他の実施の形態において、データ線240a、240b、240c、240dが選択機構230aに接続され、データ線240e、240fと図示されないデータ線とが選択機構230bに接続されてもよい。
【0056】
選択機構230は、表示ライン更新期間の間、対応する各サブピクセル352が対応するサブピクセルデータ信号で更新されるように、データ線240をソースドライバ220に接続し、かつ、切断してもよい。例えば、選択機構230aは、第1表示ライン更新期間の間、データ線240aに接続されたサブピクセル352を更新するために、データ線240aをソースドライバ220aに接続し、かつ、データ線240bとデータ線240cとをソースドライバ220aから切断してもよい。さらに、選択機構230aは、第2表示ライン更新期間の間、データ線240bに接続されたサブピクセル352を更新するために、データ線240bをソースドライバ220aに接続し、かつ、データ線240aとデータ線240cとをソースドライバ220aから切断してもよい。加えて、選択機構230aは、第3表示ライン更新期間の間、データ線240cに接続されたサブピクセル352を更新するために、データ線240cをソースドライバ220aに接続し、かつ、データ線240aとデータ線240bとをソースドライバ220aから切断してもよい。一実施の形態において、選択機構230は、関連する各データ線240に対応するソースドライバ220を同時に接続してもよい。他の実施の形態において、選択機構230は、関連する各データ線240を対応するソースドライバ220aから同時に切断してもよい。
【0057】
様々な実施の形態において、選択機構230が省略されて、データ線240がソースドライバ220に直接接続されてもよい。例えば、各データ線240は関連するソースドライバ220に直接接続されてもよい。
【0058】
ソースドライバ220は、データ線240をサブピクセルデータ信号で駆動して、選択されたサブピクセル352を対応する表示ライン更新期間の間に更新してもよい。例えば、サブピクセル352をサブピクセルデータ信号で駆動することで、サブピクセル352のサブピクセル電極に電圧レベルを印加する。サブピクセル352のサブピクセル電極における電圧レベルとセンサ電極350の電圧レベルとの差は、各サブピクセル352の輝度を決定して、各ピクセルの輝度および/または色を決定してもよい。
【0059】
1以上の実施の形態において、処理システム110は、各センサ電極350に、対応する配線360を介して接続されている。配線360は表示パネル302の基板(図示せず)における1以上の層内に設けられてもよい。一実施の形態において、1以上のマルチプレクサは、2以上の配線と電極とが各マルチプレクサに接続されるように、配線360と処理システム110との間に接続されてもよい。ドライバモジュール210は、容量センシングと表示更新とのために各センサ電極350を駆動してもよい。1以上の実施の形態において、表示更新のためにセンサ電極350を駆動することは、センサ電極をコモン電圧(例えば基準電圧)で駆動することを含む。コモン電圧は定電圧(例えばDC電圧)でもよい。一実施の形態において、表示更新期間(例えば
図5の表示更新期間530、または、532)の間、2以上のセンサ電極350はコモン電圧で駆動される。さらに、容量センシングのためにセンサ電極350を駆動することは、センサ電極を1以上のセンシング信号とガード信号とで駆動することを含んでもよい。一実施の形態において、ドライバモジュール210は、非表示更新期間の少なくとも一部分(例えば
図5の非表示更新期間520の部分526)の間、容量センシングのためにセンサ電極350を駆動する。
【0060】
一実施の形態において、ドライバモジュール210は、容量センシング用に構成された回路部を備える。例えば、ドライバモジュール210は、センシング信号を駆動するように構成された1以上の送信部と、結果として生じる信号を受信するように構成された1以上の受信部とを含んでもよい。送信部は、1以上の増幅器、および/または、他の回路要素を含んでもよい。受信部は、特に、1以上のアナログ・フロント・エンド(AFEs;analog front ends)、フィルタ、アナログ-デジタル変換器(ADCs;analog-to-digital converters)、復調器を含む場合がある。
【0061】
一実施の形態において、ドライバモジュール210は、トランスキャパシタンスセンシングのために、センサ電極350を作動するように構成されている。そのような実施の形態において、ドライバモジュール210は、送信器信号を第1の1以上のセンサ電極350に駆動し、かつ、第2の1以上のセンサ電極350、または他のセンサ電極(図示せず)から結果信号を受信する。送信器信号は、前述のようにセンシング信号でもよい。様々な実施の形態において、ドライバモジュール210は、絶対容量センシングのためにセンサ電極350を作動するように構成されている。そのような実施の形態において、ドライバモジュール210は、絶対容量センシングのために、絶対容量センシング信号をセンサ電極350に駆動して、結果信号をセンサ電極350で受信するように構成されている。一実施の形態において、絶対容量センシング信号は、前述のようにセンシング信号である。
【0062】
1以上の実施の形態において、トランスキャパシタンスセンシング方法は、センサ電極間の容量結合における変化に基づいている。例えば、トランスキャパシタンスセンシング方法は、センサ電極350間、または、センサ電極350と図示されていない他のセンサ電極との間の容量結合における変化に基づいてもよい。様々な実施の形態において、センサ電極350近くの入力オブジェクト(例えば入力オブジェクト140)はセンサ電極間の電場を変更し、したがって測定される容量結合が変化する。一実施の形態において、トランスキャパシタンスセンシング方法は、2以上のセンサ電極350間の容量結合を検出することで作動する。
【0063】
一実施の形態において、絶対容量(または自己キャパシタンス)センシング方法は、駆動された(または変調された)センサ電極350と入力オブジェクト(例えば入力オブジェクト140)と間の容量結合における変化に基づいている。様々な実施の形態において、センサ電極350の近くの入力オブジェクトは、駆動されたセンサ電極近くの電場を変更し、したがって駆動されたセンサ電極の測定される絶対容量結合を変化する。
【0064】
1以上の実施の形態において、処理システム110は決定モジュール390を追加的に含んでもよい。決定モジュール390は、入力オブジェクト(例えば入力オブジェクト14)についての位置情報をドライバモジュール210により受信された結果信号から決定するように構成されてもよい。1以上の実施の形態において、決定モジュール390は、結果信号をドライバモジュール210から受信して、2以上のセンサ電極350間、または、1以上のセンサ電極350と入力オブジェクト(例えば入力オブジェクト140)との間の容量結合における変化の測定値を決定する。さらに、決定モジュール390は、容量結合における変化の測定値に基づき、1以上の入力オブジェクト140について位置情報を決定してもよい。一実施の形態において、決定モジュール390は、結果信号からベースラインを取り除き、ベースライン結果信号に基づき容量結合における変化を決定し、決定された容量結合における変化から位置情報を決定する。さらに、1以上の実施の形態において、決定モジュール390は、容量結合における変化から容量イメージを決定し、容量イメージから入力オブジェクト(例えば入力オブジェクト140)についての位置情報を決定する。
【0065】
一実施の形態において、容量結合の局所的な容量センシングの領域は、「容量ピクセル」と称される場合がある。容量ピクセルは、絶対容量センシング方法を用いる実施の形態におけるセンサ電極350の個別のセンサ電極と基準電圧との間と、トランスキャパシタンスセンシング方法を用いる実施の形態における送信部電極と受信部電極として使用されたセンサ電極350のグループ間とで形成されてもよい。例えば、絶対容量センシングを用いる実施の形態において、容量ピクセルは、入力オブジェクト140からの平行場間が入力装置300のシステム接地に接続する場所の間に形成されてもよい。さらに、トランスキャパシタンスセンシング方法を用いる実施の形態において、容量ピクセルは、第1センサ電極のフリンジフィールドが近接するセンサ電極に最も強く接続する場所に形成されてもよい。様々な実施の形態において、センサ電極350間、またはセンサ電極350と入力オブジェクト間の測定値のセットは、「容量イメージ」または1以上の容量プロファイルに沿った位置の容量ピクセルを形成するように、決定モジュール390に利用されてもよい。
【0066】
一実施の形態において、ゲート選択回路部380は処理システム110の有する共通集積回路(IC)チップ内に設けられてもよい。他の実施の形態において、ゲート選択回路部380が第1ICチップ内に設けられ、処理システム110が第2ICチップ内に設けられてもよい。さらに、選択機構230は、処理システム110の有する共通ICチップ内に設けられてもよい。様々な実施の形態において、選択機構230は、表示パネル302の基板上に設けられてよい。
【0067】
1以上の実施の形態において、処理システム110は、表示データをホストデバイスから受信し、表示データを処理してサブピクセルデータ信号を生成するように構成されたハードウェア、および/または、ファームウェア要素を含んでもよい。例えば、処理システム110は、MIPI(mobile industry processor interface)受信部を含んでもよい。さらに、処理システム110は、表示更新に使用されるタイミング信号を生成するように構成されたタイミング制御回路部を含んでもよい。一実施の形態において、処理システム110は、表示更新のために、表示データをホストデバイスから受信するように構成されている。ドライバモジュール210は、サブピクセル352を更新するために、表示データを処理して、データ線240に駆動されるサブピクセル更新信号を生成してもよい。
【0068】
1以上の実施の形態において、処理システム110は、ゲート選択回路部380と選択回路部制御配線392を介して通信するように構成されてもよい。一実施の形態において、処理システム110は、ゲート選択回路部380に制御信号を伝送する。制御信号は、表示更新のために選択されるゲート線310を示してもよい。一実施の形態において、制御信号は、更新するためにゲート線310を選択する順番を示してもよい。1以上の実施の形態において、制御信号がクロック信号であり、ゲート選択回路部380は、クロック信号の立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジに基づき、表示更新のためにゲート線310を選択する。
【0069】
1以上の実施の形態において、処理システム110は、選択機構230と通信するように構成されてもよい。例えば、処理システム110は、選択機構230に1以上のデータ線240を対応するソースドライバ220に接続または切断するように指示する制御信号を伝送してもよい。
【0070】
図4は、1以上の実施の形態による入力装置(例えば、入力装置100、200、または300)を作動する方法400のフローチャートを表す。以降において、方法400の作動は、
図5のタイミング図に関して説明され得る。オペレーション410として、センサ電極はセンシング信号で駆動される。例えば、一実施の形態において、センサ電極350の第1センサ電極は、ドライバモジュール210によりセンシング信号で駆動される。例示的なセンシング信号、センシング信号510を
図5に表す。センシング信号510は、1以上の電圧変化を有する変動電圧を含む。一実施の形態において、センシング信号510は、約-1Vから約-3Vまでの範囲内のセンター電圧を有する変動電圧を含む。さらに、センシング信号510の振幅は、約2Vのピークトゥーピークから約5Vのピークトゥーピークでもよい。あるいは、センシング信号510は、約1Vから約3Vまでの範囲内のセンター電圧を含んでもよく、約2Vのピークトゥーピークから約5Vのピークトゥーピークまでの範囲内の振幅を有してもよい。他の実施の形態において、他のセンター電圧、および/または、他の振幅を利用してもよい。一実施の形態において、ドライバモジュール210は、非表示更新期間520の少なくとも一部分の間、センシング信号510でセンサ電極350aを駆動する。
【0071】
一実施の形態において、1以上のセンサ電極350が表示更新のためにコモン電圧512で駆動される。例えば、ドライバモジュール210は、表示更新期間530の間、センサ電極350aをコモン電圧512で駆動する。様々な実施の形態において、センサ電極350aをセンシング信号、例えばセンシング信号510で駆動する前に、センサ電極350aの電圧はコモン電圧512から定電圧514に変化される(例えばオペレーション412)。一実施の形態において、ドライバモジュール210は、非表示更新期間520の部分522の間、センサ電極350aの電圧をコモン電圧512から定電圧514に変化する。定電圧514は、コモン電圧512より小さくても、大きくてもよい。さらに、定電圧514はDC電圧でもよい。1以上の実施の形態において、定電圧514は、センシング信号510のセンター電圧、センシング信号510の最大電圧、センシング信号510の最小電圧、または、センシング信号510の最大電圧と最小電圧との間の任意の電圧でもよい。図示されているように、非表示更新期間520の部分522は、非表示更新期間520の部分526の前で、かつ、非表示更新期間520の部分526と表示更新期間530との間で生じる。
【0072】
一実施の形態において、ドライバモジュール210は、非表示更新期間520の部分524の間、センサ電極350aを定電圧516からコモン電圧512に変化する。定電圧516は、定電圧514に等しくてもよい。あるいは、定電圧516は、定電圧514より大きくても、小さくてもよい。したがって、センサ電極350aは、表示更新期間532の間、コモン電圧512で駆動される。表示更新期間530と表示更新期間532とは、1以上の表示ライン更新期間に対応してもよい。一実施の形態において、表示更新期間530と、表示更新期間532と、非表示更新期間520とは、共通の表示フレームの一部でもよい。さらに、非表示更新期間520は表示更新期間530と、表示更新期間532との間に生じる。
【0073】
オペレーション420において、定電圧がソースドライバによりデータ線に駆動される。例えば、ソースドライバ220aは、非表示更新期間520の部分522の間、定電圧540を出力してもよい。定電圧540はDC電圧でもよい。さらに、定電圧540は、定電圧514より大きくても、小さくても、等しくてもよい。一実施の形態において、方法400はオペレーション422を含み、オペレーション422は各データ線240を対応するソースドライバ220に接続する。例えば、各選択機構230a、230bは、非表示更新期間520の部分522の間、関連するデータ線240を対応する1つのソースドライバ220a、220bに接続する。一実施の形態において、制御信号550と、制御信号552と、制御信号554とは、選択機構230aにデータ線240aと、データ線240bと、データ線240cとをソースドライバ220aと接続することを指示する非表示更新期間520の部分522の間、高位を維持する。一実施の形態において、制御信号の数は、各選択機構230に接続されるデータ線240の数に対応してもよい。1以上の実施の形態において、選択機構230は、非表示更新期間520の部分522の間、各ソースドライバ220に利用できるデータ線240の総数より少ない数を接続する。
【0074】
様々な実施の形態において、1以上のソースドライバ220は出力信号556を出力する。一実施の形態において、ソースドライバ220a、220bは、非表示更新期間520の部分522の間、出力信号556の定電圧540を対応するデータ線240のそれぞれに印加する。データ線240に生じる対応する信号は、データ線信号560のように表される。例えば、非表示更新期間520の部分522の間、データ線信号560はソースドライバ、例えばソースドライバ220a、220bの出力信号556と同様である。
【0075】
一実施の形態において、1以上のデータ線240を定電圧540で駆動することで、センサ電極350aにおいてコモン電圧512と定電圧514との間の変化におけるスルーレートを変更する。例えば、1以上のデータ線240がセンサ電極350aおよび/または配線360aに容量的に接続されているので、データ線240を定電圧540で駆動することで、センサ電極350aおよび/または配線360aが受ける負荷容量が変化する。加えて、負荷容量の変化は、コモン電圧512と定電圧514との間の変化におけるスルーレートを調整する。一実施の形態において、コモン電圧512と定電圧514との間の変化におけるスルーレートの調整により、対応する入力装置(例えば入力装置100、200、または、300)により生成される電磁干渉(EMI)が低減される。さらに、センサ電極350aおよび/または配線360aが受ける負荷容量の低減により、センシング信号(例えばセンシング信号510)のスルーレートが増加してもよい。一実施の形態において、データ線240を定電圧540で駆動することによりコモン電圧512と定電圧514との間の変化におけるスルーレートを調整することで、処理システム110から専用のスルーレート制御回路部を省略して、処理システム110のコストが低減される。専用のスルーレート制御回路部の省略により、処理システム110および/または入力装置(例えば、入力装置100、200、または300)の製造コストが低減される。さらに、処理システム110のチップサイズは、専用のスルーレート制御回路を含む処理システム110と比較して、縮小され得る。
【0076】
様々な実施の形態において、入力装置のEMIの低減により、入力装置(例えば入力装置100、200、および/または300)の適用性も増加し得る。例えば、入力装置(例えば入力装置100、200、および/または300)により放射されるEMIを低減することで、入力装置が含まれ得る電子システム(例えば、パーソナルコンピュータデバイス、携帯電話、タブレット、自動車など)の数が増加し得る。様々な実施の形態において、非表示更新期間520の部分522の間にデータ線240を定電圧で駆動することで、1以上の無線帯域で入力装置100を駆動するときに生成されるEMIを最小化する。無線帯域は、特に、振幅変調(AM;amplitude modulation)帯域、周波数変調(FM;frequency modulation)帯域である場合がある。
【0077】
オペレーション430において、ガード信号はソースドライバにより出力される。例えば、ソースドライバ220a、220bは、非表示更新期間520の部分526の間、ガード信号542を出力する。一実施の形態において、ソースドライバ220は、非表示更新期間520の部分526の間、1以上のデータ線240に接続される。例えば、オペレーション432において、データ線240は、対応する1つのソースドライバ220a、220bに接続される。これに応じて、1以上のデータ線240は、非表示更新期間520の部分526の間、ガード信号542で駆動される。一実施の形態において、制御信号550と、制御信号552と、制御信号554とは、非表示更新期間520の部分526の間、高電圧に設定され、選択機構230にデータ線240をソースドライバ220に接続するように指示を与える。
【0078】
様々な実施の形態において、オペレーション434において、選択機構230はデータ線240をソースドライバ220から切断する。例えば、選択機構230は、非表示更新期間520の部分526の間、データ線240をソースドライバ220から切断する。データ線240をソースドライバ220から切断することで、データ線240は電気的にフローティングされる。さらに、電気的にフローティングされるデータ線240がセンサ電極350および/または配線360に容量的に接続されるように、データ線240は、非表示更新期間520の部分526の間、容量結合を介してセンシング信号510で変調される。一実施の形態において、制御信号550と、制御信号552と、制御信号554とは、非表示更新期間520の部分526の間、低電圧に設定され、選択機構230にデータ線240をソースドライバ220から切断するように指示を与える。
【0079】
方法400は、オペレーション432とオペレーション434との1つを含んでもよい。例えば、一実施の形態において、方法400はオペレーション432を含み、オペレーション434が省略される。 他の実施の形態において、方法400はオペレーション434を含み、オペレーション432が省略される。
【0080】
オペレーション440において、定電圧がソースドライバによりデータ線に駆動される。例えば、ソースドライバ220aは、非表示更新期間520の部分524の間、定電圧544を1以上のデータ線240aと、データ線240bと、データ線240cとに駆動してもよい。定電圧544はDC電圧でもよい。さらに、定電圧544は、定電圧516より大きくても、小さくても、等しくてもよい。1以上の実施の形態において、定電圧546は、定電圧540より大きくても、小さくても、等しくてもよい。一実施の形態において、オペレーション440はオペレーション422を含み、オペレーション422は各データ線240を対応するソースドライバ220に接続する。例えば、各選択機構230a、230bは、非表示更新期間520の部分524の間、関連するデータ線240を対応する1つのソースドライバ220a、220bに接続する。一実施の形態において、制御信号550と、制御信号552と、制御信号554とは、非表示更新期間520の部分524の間、高位を維持して、選択機構230aにデータ線240aと、データ線240bと、データ線240cとをソースドライバ220aに接続するように指示を与える。一実施の形態において、制御信号の数は、各選択機構230に接続されるデータ線240の数に対応してもよい。一実施の形態において、選択機構230は、非表示更新期間520の部分524の間、使用できるデータ線240の総数より少ない数を各ソースドライバ220に接続する。
【0081】
ソースドライバ220a、220bは、定電圧544を各ソースドライバ220a、220bに接続された対応するデータ線240のそれぞれに駆動する。一実施の形態において、1以上のデータ線240を定電圧544で駆動することで、先に説明した非表示更新期間520の部分522の間に定電圧540をデータ線240に駆動することと同様に、センサ電極350aにおいて定電圧とコモン電圧512との間の変化におけるスローレートを変更する。
【0082】
このように、本明細書で述べた実施の形態と例とは、本技術とその詳細な応用と関する実施の形態を最もよく説明するために提示され、それゆえ、当業者が本開示を作成および使用することができるように示された。しかし、当業者は、前述の説明と例とが、単に図示と例示との用途のために提示されていることを認識するだろう。前述の記載は、開示された厳密な形式で本開示を網羅している意図も、開示された厳密な形式に本開示を限定する意図もない。