(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】放電装置
(51)【国際特許分類】
H01T 19/04 20060101AFI20241002BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20241002BHJP
A61L 9/22 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
H01T19/04
H01T23/00
A61L9/22
(21)【出願番号】P 2020117825
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】江崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大江 信之
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141034(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207385(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/146833(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 19/04
H01T 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を印加することで放電し、繊維の束である放電部材と、
平板形状を有し、前記放電部材を支持する支持部と、
前記支持部を被覆する被覆部材と、
前記被覆部材のうちの一部が内部に配置される絶縁部材と、
を備え、
前記被覆部材のうちの他の一部は前記絶縁部材から突出し、
前記支持部は、
一部が前記絶縁部材から突出する本体部と、前記本体部の先端に位置し前記放電部材を保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記本体部の突出方向と交差する方向において、前記本体部よりも寸法が大きく、
前記被覆部材は、前記支持部のうち、前記絶縁部材の外部に突出する部分と前記絶縁部材の内部に位置する部分とを
含む前記本体部を被覆し、前記保持部を被覆しない、放電装置。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記放電部材のうち前記保持部よりも前記絶縁部材側に位置する部分を覆う、請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記支持部に接続される基板を更に備え、
前記被覆部材は、前記放電部材の側の第1端部と、前記基板の側の第2端部とを有し、
前記第1端部は、前記被覆部材のうち、前記絶縁部材の表面から前記放電部材に向かって突出する端部を示し、
前記第2端部は、前記被覆部材のうち、前記基板に当接する端部を示す、請求項1
又は2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記第1端部は、前記保持部よりも前記絶縁部材の側に配置される、請求項
3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記第1端部を覆う蓋部を更に備える、請求項
4に記載の放電装置。
【請求項6】
前記被覆部材と前記支持部との間に配置され、前記被覆部材と前記支持部との間隙を埋める填補部材を更に備える、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の放電装置。
【請求項7】
前記填補部材の融点は、前記被覆部材の融点よりも低い、請求項
6に記載の放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の放電装置は、ケーシングと、複数の放電電極針と、高電圧基板と、充填剤とを備える。ケーシングは、複数の放電電極針と、高電圧基板と、充填剤とを収容する。複数の放電電極針は、高電圧が印加され、イオンを生成する。高電圧基板は、複数の放電電極針と接続される。高電圧基板は、外部の高電圧電源に接続される。充填剤は、絶縁性の樹脂である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の放電装置では、湿度が高く、結露するような過酷な条件下では、充填剤上の放電電極針のような支持部に水滴が付着して、支持部と充填剤との間に水分が侵入することがある。支持部に水滴が付着することで、放電電極針が腐食する恐れがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、支持部が腐食することを抑制できる放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、放電装置は、放電部材と、支持部と、被覆部材と、絶縁部材とを備える。前記放電部材は、電圧を印加することで放電する。前記支持部は、前記放電部材を支持する。前記被覆部材は、前記支持部を被覆する。前記絶縁部材は、前記被覆部材に被覆された前記支持部の周りに配置される。前記支持部は、平板形状を有し、前記絶縁部材を貫通する。前記被覆部材は、前記支持部のうち、前記絶縁部材の外部に突出する部分と前記絶縁部材の内部に位置する部分とを少なくとも被覆する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の放電装置によれば、支持部が腐食することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る放電装置を示す図である。
【
図2】
図1に示す放電装置のII-II断面を示す図である。
【
図5】本実施形態の第1変形例に係る放電装置の電極を拡大して示す図である。
【
図6】本実施形態の第2変形例に係る放電装置の電極を拡大して示す図である。
【
図7】本実施形態の第3変形例に係る放電装置の電極を拡大して示す図である。
【
図9】本実施形態の第4変形例に係る放電装置の電極を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平面に平行であり、Z軸は鉛直線に平行である。
【0010】
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態1に係る放電装置100を説明する。まず
図1を参照して、実施形態1に係る放電装置100を説明する。
図1は、実施形態1の放電装置100を示す図である。放電装置100は、放電して活性種を発生する。活性種は、イオンを含む。
【0011】
放電装置100は、複数の電極19と、収容部1と、カバー部2とを有する。複数の電極19は、電圧が印加されることで放電する。複数の電極19は、例えば、2つの電極19である。つまり、複数の電極19は、例えば、一対の電極19である。一対の電極19の各々の一部は、カバー部2を貫通する。
【0012】
収容部1は、一対の電極19の一部を収容する。収容部1は、箱型の筐体である。収容部1は、絶縁性を有する。収容部1は、例えば、樹脂で形成される。
【0013】
カバー部2は、収容部1のうちの一対の電極19が配置される部分を覆う。カバー部2は、絶縁性を有する。カバー部2は、例えば、樹脂で形成される。
【0014】
次に
図2を参照して、放電装置100を詳しく説明する。
図2は、
図1に示す放電装置100のII-II断面を示す図である。
図2に示すように、放電装置100は、複数の誘導電極132と、第1基板51と、第2基板52と、第3基板53と、電子部品7と、トランス8と、絶縁部材9とを更に備える。
【0015】
図2に示すように、収容部1は、第1基板51と、第2基板52と、第3基板53と、電子部品7と、トランス8と、絶縁部材9とを収容する。収容部1は、開口13を有する箱形状である。収容部1は、側壁部11と、底壁部12とを有する。
【0016】
底壁部12は、側壁部11を支持する。底壁部12には、トランス8と電子部品7とが配置される。側壁部11は、底壁部12の周りを囲う。側壁部11は、底壁部12から開口13に向かって延びる。
【0017】
複数の誘導電極132は、誘導電極132と電極19との間に電界を形成する。複数の誘導電極132は、例えば、2つの誘導電極132である。つまり、複数の誘導電極132は、例えば、一対の誘導電極132である。一対の誘導電極132の各々は、電極19の周りに配置される。誘導電極132は、環状または略環状である。略環状であることは、周方向において誘導電極132が一部途切れていることを示す。一対の誘導電極132は、第1基板51に接続される。
【0018】
一対の電極19は、例えば、ブラシ状の電極である。一対の電極19は、第2基板52に接続される。高電圧を印加された一対の電極19は、コロナを発生させる。つまり、一対の電極19の各々は、放電してイオンを発生させる。
【0019】
例えば、一対の電極19のうちの一方の電極19は、放電することにより正イオンを放出する。正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子がクラスター化したクラスターイオン(H+(H2O)m(mは零以上の任意の正数))である。更に、例えば、一対の電極19のうちの他方の電極19は、放電することにより負イオンを放出する。負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子がクラスター化したクラスターイオン(O2-(H2O)n(nは零以上の任意の正数))である。
【0020】
正イオン及び負イオン放出する場合、正イオンを放出する電極19と負イオンを放出する電極19との間隔が大きい程、それぞれの電極19から放出されるイオンの量が増加する。
【0021】
放出された正イオン及び負イオンの各々は、例えば、空気中を浮遊するカビ菌を取り囲み、カビ菌の表面上で化学反応を起こす。化学反応によって活性種のヒドロキシルラジカル(・OH)が生成される。そしてヒドロキシルラジカル(・OH)の作用により、カビ菌が除去される。
【0022】
第1基板51には、一対の誘導電極132が配置される。第1基板51は、一対の誘導電極132に電気的に接続される。第1基板51は、いわゆるプリント基板である。第1基板51は、第2基板52よりも開口13の側に配置される。第1基板51は、トランス8とリード線で接続される。第1基板51は、トランス8を介して第3基板53と接続される。
【0023】
第2基板52には、一対の電極19が配置される。第2基板52は、一対の電極19に電気的に接続される。第2基板52は、いわゆるプリント基板である。第2基板52は、第3基板53よりも開口13の側に配置される。第2基板52は、トランス8とリード線で接続される。第2基板52は、トランス8を介して第3基板53と接続される。
【0024】
第3基板53には、回路が形成される。具体的には、第3基板53には、第1基板51、第2基板52、トランス8、及び、電子部品7と電気的に接続するための回路が形成される。更に具体的には、第3基板53は、パターンによって、トランス8と、電子部品7とは電気的に接続される。具体的には、第3基板53は、トランス8の端子と接続される。第3基板53は、電子部品7と第2基板52との間に配置される。
【0025】
電子部品7は、例えば、電源端子、ダイオード、抵抗素子、トランジスタ、コンデンサなどを含む。電源端子は、外部の電源にパターンを介して接続される。
【0026】
トランス8は、電子部品7で生じた電圧を昇圧し、発生した高電圧を一対の電極19に印加する。
【0027】
絶縁部材9は、絶縁性を有する。絶縁部材9は、例えば、ウレタン樹脂、または、エポキシ樹脂である。絶縁部材9は、例えば、時間の経過によって硬化する。また、例えば、絶縁部材9は、温度(熱)または光(紫外線)によって硬化する。
【0028】
カバー部2は、収容部1の開口13を覆う。カバー部2は、本体部21と、一対の開口20とを含む。一対の開口20には、一対の電極19のそれぞれが挿通される。
【0029】
次に、
図3と
図4とを参照して、放電装置100を更に詳しく説明する。
図3は、
図2に示す電極19を拡大して示す図である。発明の理解を容易にするために、
図3及び
図4では電極19、第2基板52、及び、絶縁部材9を示している。
図4は、
図3の電極19を別の角度から見た図である。
【0030】
図3及び
図4に示すように、電極19は、支持部191と、放電部材192とを含む。
【0031】
支持部191は、放電部材192を支持する。支持部191は、放電部材192とともに電圧が印加される。支持部191は、本体部194を有する。本体部194は、第2基板52を貫通する。更に、本体部194は、絶縁部材9を貫通する。
【0032】
図4に示すように、本体部194は、平板形状を有する。本体部194は、互いに対向する一対の第1面191Aと、互いに対向する一対の第2面191Bと、第1支持端部191Cと、第2支持端部191Dとを有する。一対の第2面191Bは、一方の第1面191Aと他方の第1面191Aとの間に配置される。第1面191Aの幅は、第2面191Bの幅より大きい。つまり、第1面191Aの面積は、第2面191Bの面積より大きい。換言すると、本体部194は、薄い板である。
【0033】
第1支持端部191Cは、第1方向D1の側の端部である。第1方向D1は、第2基板52から放電部材192へ向かう方向を示す。第1支持端部191Cは、絶縁部材9を貫通して、絶縁部材9の外部に突出する。第1支持端部191Cは、絶縁部材9の外部に突出する部分CAに対応する。
【0034】
第2支持端部191Dは、第2方向D2の側の端部である。第2支持端部191Dは、第2基板52に接続される。第2方向D2は、放電部材192から第2基板52へ向かう方向を示す。第2支持端部191Dのうちの一部は、第2基板52を貫通する。第2支持端部191Dのうちの他の一部は、絶縁部材9の内部に位置する。第2支持端部191Dのうちの他の一部は、絶縁部材9の内部に位置する部分CBに対応する。
【0035】
放電部材192は、電圧を印加することで放電する。
【0036】
また、放電装置100は、被覆部材201を更に有する。被覆部材201は、支持部191を被覆する。被覆部材201は、加熱によって収縮する樹脂である。被覆部材201は、筒形状を有する。被覆部材201は、例えば、熱収縮チューブである。収縮前の被覆部材201は、支持部191よりも大きい円筒形状である。収縮後の被覆部材201は、支持部191よりも小さい円筒形状となる。したがって、収縮後の被覆部材201は支持部191を覆うことが可能である。
【0037】
具体的には、支持部191に収縮前の被覆部材201を挿通させる。そして、被覆部材201を加熱する。そして、被覆部材201が一対の第1面191Aの表面と一対の第2面191Bの表面とに密着するまで、被覆部材201は収縮する。つまり、被覆部材201は、被覆部材201と支持部191との間隙を低減させつつ、支持部191を被覆する。
【0038】
被覆部材201は、支持部191を被覆することで、外力によって支持部191が屈曲することを低減する。例えば、被覆部材201は、支持部191が
図3に示す第3方向D3に屈曲することを低減する。第3方向D3は、一方の第1面191Aから他方の第1面191Aへ向かう方向に沿う方向を示す。
図3に示すように、第3方向D3における支持部191の厚みは、
図4に示す第4方向D4における支持部191の厚みと比較して薄い。第4方向D4は、一方の第2面191Bから他方の第2面191Bへ向かう方向に沿う方向を示す。第4方向D4は、第3方向D3と交差する。つまり、支持部191は、第3方向D3に屈曲しやすく、第4方向D4には屈曲しにくい。よって、被覆部材201は、支持部191が第3方向D3に屈曲することを低減できる。また、被覆部材201の周りには、絶縁部材9が充填される。
【0039】
具体的には、
図3と
図4とに示すように、被覆部材201は、支持部191のうち、絶縁部材9の外部に突出する部分CAと、絶縁部材9の内部に位置する部分CBとを被覆する。つまり、被覆部材201と支持部191との間に水分が侵入することを抑制できる。したがって、支持部191に水滴が付着することを抑制できる。この結果、支持部191が腐食することを抑制できる。
【0040】
引き続き、
図3と
図4とを参照して電極19を更に詳しく説明する。
図3と
図4とに示すように、放電部材192は、複数の繊維である。つまり、放電部材192は、繊維の束である。複数の繊維の各々は、導電体である。放電部材192は、例えば、炭素繊維である。放電部材192は、例えば、金属、導電性繊維、導電性樹脂であってもよい。放電部材192の複数の繊維は、放電時にその一部が広がる。
【0041】
電極19の支持部191は、保持部193を更に有する。保持部193は、放電部材192を保持する。保持部193は、支持部191から延設される。保持部193は、支持部191と同じ材質であり、支持部191と一体成型される。また、保持部193は、複数の繊維の放電部材192を束ねる。つまり、保持部193は、放電部材192がブラシ状になるように保持する。
【0042】
保持部193は、第1保持片193Aと第2保持片193Bとを有する。第1保持片193Aと第2保持片193Bとは、放電部材192の基端部を保持する。具体的には、第1保持片193Aと第2保持片193Bとは、カシメ変形によって、放電部材192の基端部を保持する。第1保持片193Aと第2保持片193Bとが放電部材192の基端部を保持することで放電部材192は、ブラシ状となる。
【0043】
また、
図3と
図4とに示すように、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、被覆部材201のうち、絶縁部材9の表面9Sから放電部材192に向かって突出する端部を示す。具体的には、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、放電部材192よりも絶縁部材9の側であり、絶縁部材9の表面9Sよりも放電部材192の側に配置される。第1被覆端部201Aは、絶縁部材9から突出する被覆部材201のうちの他の一部である。第1被覆端部201Aは、「第1端部」の一例に相当する。そして、被覆部材201の第2被覆端部201Bは、被覆部材201のうち、第2基板52に当接する端部を示す。第2被覆端部201Bは、絶縁部材9の内部に配置される被覆部材201のうちの一部である。つまり、第2基板52から放電部材192までの間の支持部191を被覆部材201が覆う。第2被覆端部201Bは、「第2端部」の一例に相当する。したがって、第2基板52から放電部材192までの間において、支持部191を被覆できる。この結果、支持部191が露出する部分を低減させつつ、被覆部材201と支持部191との間に水が侵入することを更に抑制できる。
【0044】
更に、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、保持部193よりも絶縁部材9の側に配置される。被覆部材201は放電部材192に近づくほど、放電部材192の放電を弱める可能性がある。したがって、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、保持部193を被覆しない。この結果、被覆部材201が放電部材192の放電を弱めることを抑制できる。
【0045】
(変形例1)
次に、
図5を参照して、実施形態1の放電装置100の第1変形例を説明する。第1変形例では、被覆部材201が保持部193を被覆する点で実施形態1と主に異なる。以下、第1変形例が本実施形態と異なる点を説明する。
【0046】
図5は、第1変形例の放電装置100の電極19を拡大して示す図である。発明の理解を容易にするために、
図5では電極19、第2基板52、及び、絶縁部材9を示している。
図5に示すように、保持部193は、第1保持端部193Cと第2保持端部193Dとを有する。
【0047】
第1保持端部193Cは、放電部材192の側の端部である。つまり、第1保持端部193Cは、第1方向D1の側の端部である。
【0048】
第2保持端部193Dは、絶縁部材9の側の端部である。つまり、第2保持端部193Dは、第2方向D2の側の端部である。第2保持端部193Dは支持部191の本体部194と連続する。
【0049】
図5に示すように、第1変形例の被覆部材201は、支持部191のうち、第2基板52から放電部材192までの範囲を覆う。具体的には、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、第1保持端部193Cの位置に配置される。また、被覆部材201の第2被覆端部201Bは第2基板52と当接する。したがって、支持部191の全体が被覆部材201に覆われる。この結果、支持部191の露出する部分を低減し、支持部191に水分が付着することを更に抑制できる。
【0050】
(変形例2)
次に、
図6を参照して、実施形態1の放電装置100の第2変形例を説明する。第2変形例では、填補部材202と蓋部203とを有する点で実施形態1と主に異なる。以下、第2変形例が本実施形態と異なる点を説明する。
【0051】
図6は、第2変形例に係る放電装置100の電極19を拡大して示す図である。発明の理解を容易にするために、
図6では電極19、第2基板52、及び、絶縁部材9を示している。
【0052】
また、
図6に示すように、本実施形態の放電装置100は、蓋部203と、填補部材202とを更に備える。
【0053】
蓋部203は、被覆部材201の第1被覆端部201Aを覆う。したがって、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、蓋部203によって閉塞される。この結果、第1被覆端部201Aから被覆部材201の内部に水分が侵入することを更に抑制できる。
【0054】
また、蓋部203は第1被覆端部201Aの外縁まで覆っていなくてもよい。蓋部203は、第1被覆端部201Aのうち、少なくとも支持部191と第1被覆端部201Aとの境界部分を覆う。少なくとも支持部191と第1被覆端部201Aとの境界部分を覆うことで、被覆部材201の内部に水分が侵入することを抑制できる。
【0055】
蓋部203は、樹脂であり、熱可塑性を有する。つまり、蓋部203は、加熱によって形が変わる。よって、蓋部203を被覆部材201の第1被覆端部201Aに配置して、蓋部203を加熱することで、蓋部203は被覆部材201と支持部191との間隙に侵入する。したがって、蓋部203は被覆部材201と支持部191との間隙を低減させる。この結果、被覆部材201と支持部191との間隙に水分が侵入することを更に抑制できる。
【0056】
填補部材202は、被覆部材201と支持部191との間に配置される。填補部材202は、被覆部材201と支持部191との間隙を埋める。したがって、被覆部材201と支持部191との間隙が低減する。この結果、被覆部材201と支持部191との間隙に水分が侵入することを抑制しつつ、被覆部材201が支持部191から脱落することを抑制できる。
【0057】
填補部材202は、接着剤である。填補部材202は、被覆部材201の内面に塗布される。填補部材202は、樹脂であり、熱可塑性を有する。つまり、填補部材202は、温度により形態が変わる。具体的には、填補部材202は、加熱により液体となる。また、填補部材202は、冷却により固体となる。また、
図6に示すように、支持部191の外側には3種類の樹脂が配置される。具体的には、支持部191の外側には、填補部材202と、被覆部材201と、絶縁部材9とが順番に配置される。
【0058】
填補部材202の融点は、被覆部材201の融点よりも低い。具体的には、填補部材202は、被覆部材201が収縮する温度で融ける。つまり、被覆部材201の加熱によって填補部材202が融けて、填補部材202は被覆部材201と支持部191との間隙に侵入する。そして、填補部材202が冷却されて固体となり、被覆部材201と支持部191とを接着する。したがって、被覆部材201の加熱と同時に、被覆部材201と支持部191との間隙を減少させつつ、被覆部材201と支持部191とを接着できる。この結果、被覆部材201と支持部191とを接着する手間を抑制できる。
【0059】
(変形例3)
次に、
図7と
図8とを参照して、実施形態1の放電装置100の第3変形例を説明する。第3変形例では、放電部材192の形状が実施形態1と主に異なる。以下、第3変形例が本実施形態と異なる点を説明する。
【0060】
図7は、第3変形例に係る放電装置100の電極19を拡大して示す図である。発明の理解を容易にするために、
図8では電極19、第2基板52、及び、絶縁部材9を示している。
図8は、
図7の電極19を別の角度から見た図である。
【0061】
図8に示すように、放電部材192は、先端が尖った平板である。換言すると、放電部材192は、三角形状の薄板である。放電部材192は、導電体である。放電部材192は、支持部191から延設される。放電部材192は、支持部191と同じ材質であり、支持部191と一体成型される。
【0062】
また、
図7と
図8とに示すように、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、放電部材192よりも絶縁部材9の側であり、絶縁部材9の表面9Sよりも放電部材192の側に配置される。そして、被覆部材201の第2被覆端部201Bは、第2基板52に当接する。つまり、第2基板52から放電部材192までの間の支持部191を被覆部材201が覆う。したがって、第2基板52から放電部材192までの間において、支持部191を被覆できる。この結果、支持部191が露出する部分を低減させつつ、被覆部材201と支持部191との間に水が侵入することを更に抑制できる。
【0063】
更に具体的には、第3変形例の被覆部材201の第1被覆端部201Aは、支持部191と放電部材192との境界部分に隣接して配置される。また、被覆部材201の第2被覆端部201Bは第2基板52と当接する。したがって、支持部191の全体が被覆部材201に覆われる。この結果、支持部191の露出する部分を低減し、支持部191に水分が付着することを更に抑制できる。
【0064】
(変形例4)
次に、
図9を参照して、実施形態1の放電装置100の第4変形例を説明する。第4変形例では、電極19の形状が実施形態1と主に異なる。以下、第4変形例が本実施形態と異なる点を説明する。
【0065】
図9は、第4変形例に係る放電装置100の電極19を拡大して示す図である。発明の理解を容易にするために、
図9では電極19、第2基板52、及び、絶縁部材9を示している。
【0066】
図9に示すように、支持部191は、円柱形状である。支持部191の本体部194は、第1支持端部191Cと、第2支持端部191Dとを有する。
【0067】
第1支持端部191Cは、第1方向D1の側の端部である。第1支持端部191Cは、絶縁部材9を貫通して、絶縁部材9の外部に突出する。第2支持端部191Dは、第2方向D2の側の端部である。第2支持端部191Dは、第2基板52に接続される。第2支持端部191Dのうちの一部は、第2基板52を貫通する。第2支持端部191Dのうちの他の一部は、絶縁部材9の内部に位置する。
【0068】
放電部材192は、先端が尖った針状である。放電部材192は、導電体である。放電部材192は、支持部191から延設される。放電部材192は、支持部191と同じ材質であり、支持部191と一体成型される。
【0069】
また、
図9に示すように、被覆部材201の第1被覆端部201Aは、放電部材192よりも絶縁部材9の側であり、絶縁部材9の表面9Sよりも放電部材192の側に配置される。そして、被覆部材201の第2被覆端部201Bは、第2基板52に当接する。つまり、第2基板52から放電部材192までの間の支持部191を被覆部材201が覆う。したがって、第2基板52から放電部材192までの間において、支持部191を被覆できる。この結果、支持部191が露出する部分を低減させつつ、被覆部材201と支持部191との間に水が侵入することを更に抑制できる。
【0070】
更に具体的には、第4変形例の被覆部材201の第1被覆端部201Aは、支持部191と放電部材192との境界部分に隣接して配置される。また、被覆部材201の第2被覆端部201Bは第2基板52と当接する。したがって、支持部191の全体が被覆部材201に覆われる。この結果、支持部191の露出する部分を低減し、支持部191に水分が付着することを更に抑制できる。
【0071】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
(1)本実施形態で説明した放電装置100は、例えば、空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ガスファンヒーター、石油ファンヒーター、電気ファンヒーター、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置、及び、電子レンジなどの電気機器に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、放電装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0074】
9 :絶縁部材
9S :表面
52 :第2基板(基板)
100 :放電装置
191 :支持部
192 :放電部材
193 :保持部
201 :被覆部材
201A :第1被覆端部(第1端部)
201B :第2被覆端部(第2端部)
202 :填補部材
203 :蓋部