IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐伯 午郎の特許一覧

<>
  • 特許-緩衝スリーブを装着した薬物容器 図1
  • 特許-緩衝スリーブを装着した薬物容器 図2
  • 特許-緩衝スリーブを装着した薬物容器 図3
  • 特許-緩衝スリーブを装着した薬物容器 図4
  • 特許-緩衝スリーブを装着した薬物容器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】緩衝スリーブを装着した薬物容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/03 20060101AFI20241002BHJP
   B65D 59/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B65D81/03 100Z
B65D59/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020119318
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016053
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019462(JP,A)
【文献】登録実用新案第058643(JP,Z2)
【文献】実公昭10-014071(JP,Y1)
【文献】実公昭05-005869(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第034291(JP,Z1)
【文献】登録実用新案第031765(JP,Z1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/03
B65D 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の側面に装着され、上部開口と下部開口の何れからも前記容器を出し入れ可能な円筒状の緩衝スリーブであって、
波状に形成された板紙である液体吸収素材により形成され、
前記上部開口側に、前記容器を介して正対し、任意の指が通る複数の把持窓を備える緩衝スリーブを装着した薬物容器
【請求項2】
前記薬物容器はガラス容器である、請求項に記載の薬物容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝スリーブ及び緩衝スリーブを付した薬品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製薬品容器などの輸送には、容器への衝撃による損傷を防ぐため緩衝材が用いられる。例えば、特許文献1には、複数の横長の小空気室を環状に形成し、輪の中に空気を入れることで容器の周囲を空気層で取り囲む空気入り緩衝材が記載されている。
【0003】
特許文献1記載の緩衝材は、輸送中の容器を効果的に保護するものの、容器使用前に取り外す必要があった。容器に対する衝撃は必ずしも輸送中のみではなく、使用中の不注意によっても起こりうるが、使用中の容器は無防備である。
【0004】
また、内容物が液体であって、容器から内容物を取り出す際、内容物が液だれを起こすことがある。液だれにより容器に付着した内容物は、指との間で潤滑剤の役割を果たす場合がある。このような状態で容器を取り扱うと、使用者は容器把持に予期せず失敗する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-180812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、使用中も引き続き容器を保護できる緩衝材を提供しつつ、当該緩衝材により容器・内容物の取り扱いの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、注ぎ口となる先細りの上部開口を有する容器の側面に装着される緩衝スリーブであって、液体吸収素材により形成され、前記上部開口部側に、前記容器を介して正対し、任意の指が通る複数の把持窓を備える緩衝スリーブである。
【0008】
このような構成とすることで、容器に緩衝スリーブを装着することで、輸送中はもとより使用中も容器を保護することができる。また、緩衝材が液体吸収素材であるので、容器の内容物が液体である場合に液だれを吸収できる。更に、把持窓を備えることで、容器を複数の指で直接把持することができる。
【0009】
本発明の前記液体吸収素材は波状に形成された板紙とすることができる。これにより、安価で十分な性能を備える緩衝スリーブを実現することができる。
【0010】
また、本発明は上記の緩衝スリーブを装着した薬物容器とすることができ、前記薬物容器はガラス容器とすることができる。
【0011】
ガラス製薬品容器に上記の緩衝スリーブを装着することで、緩衝スリーブの効果を最もよく発揮することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記緩衝スリーブを付加することで、輸送中のみならず使用中も引き続き容器を保護で
き、内容物の取り扱いの利便性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、スリーブを装着する容器の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る緩衝スリーブの図である。
図3図3は、緩衝スリーブを装着した容器の図である。
図4図4は、緩衝スリーブを装着した容器の使用状態を示した図である。
図5図5は、緩衝スリーブの装着方法の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の形態の一例を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1は、スリーブを装着する容器の一例を示す図である。本実施形態では、容器10は、遮光ガラスで形成された薬品容器であって、口部11と、首部12と、肩部13と、胴部14と、底部15とを備える。口部11は、別途樹脂製等のキャップを付け外しすることができ、内容物を出し入れする際にはキャップを取り外す。内容物が液体の場合、口部11は注ぎ口として機能する。首部12、肩部13、胴部14には、内容物の種別を示すラベルを貼付されていることがある。容器の用途、形態、材質は様々であるが、本発明は容器が胴部14を有していれば適用できる。
【0016】
図2は、実施形態に係る緩衝スリーブの図である。スリーブ1は筒状に形成され、注ぎ口側開口部2と、底側開口部3と、把持穴4、5とを備える。本実施形態では、スリーブ1は平らな板紙で形成されたライナー部と波型の板紙で形成されたフルート部とを接着した、所謂片段ボールで形成されている。スリーブ1を容器に装着した際には、ライナー部が容器の胴部14に当接し、フルート部が弾性変形して衝撃を吸収緩和するので、スリーブ1は緩衝材として機能する。またスリーブ1は板紙の性質上液体を吸収するので、液体吸収素材としても機能する。スリーブ1の素材は吸水性のある樹脂シートであってもよいし、エンボス加工を施した板紙であってもてもよい。また、容器10が十分に軽量であれば、フルート部のみを素材とすることもできる。
【0017】
把持穴4、5は、注ぎ口側開口部2の側に開口部と並行して設けられる。把持穴4,5は、一例としては、注ぎ口側開口部2側を上、底側開口部3側を下として上下30mm、左右55mmの長方形であり、使用者は把持穴に任意の指を入れて把持穴の先にあるものを押さえることができる。なお、任意の指が把持穴を通る形状であれば、把持穴は必ずしも長方形である必要はなく、楕円形等の形状を取ってよいし、機能を損なわない程度のデザイン性があってもよい。
【0018】
図3は、緩衝スリーブを装着した容器の図である。把持穴4、5は緩衝スリーブ1を容器10に装着した場合に、容器10を介して正対する。これにより、使用者は把持穴4、5を介して親指と人差し指で容器10の胴部14を保持することができるので、緩衝スリーブ1を装着したまま、容器を取り扱うことができる。また、使用者が容器を直接把持しているので、使用中にスリーブが抜けて落下するなどして、保護されていない容器が衝撃を受ける事態を防ぐことができる。
【0019】
図4は、緩衝スリーブを装着した容器の使用状態を示した図である。本例における容器10は薬品容器であって、内容物20は液体である。内容物20を他の容器に移動する際に発生した液だれ21は、容器の縁を流れて緩衝スリーブに到達する。緩衝スリーブは液体吸収素材で形成され、容器の肩部13の直下の胴部14の全面を覆っているため、容器の肩部13を流れ下ってきた液だれ21を止めて吸収する。この構成により、液だれが起
きたとしても把持穴が開いている箇所までは内容物20が到達しないので、内容物20に起因する想定外の把持失敗を防ぐことができる。
【0020】
図5は、緩衝スリーブの装着方法の一例を示した図である。スリーブ素材の横幅は容器10の外周寸法に合わせて形成されるが、その両端に更に5mm程度の、貼り合わせ部6を備えている。貼り合わせ部6同士を両面テープで貼り合わせることで、容器10の胴部分に対応する筒状のスリーブ1を形成することができる。同様にスリーブ1の内側面に容器貼り合わせ部7を設け、容器貼り合わせ部7に張り付けた両面テープを容器10に貼りつけることで、容器10とスリーブ1との位置関係を一定程度固定することもできる。容器とスリーブとが一定程度固定されている場合、把持穴ではなくスリーブ1自体を把持した場合にも、容器10を取り扱うこともできる。
【0021】
なお、貼り合わせには両面テープではなく接着剤を使用してもよい。また予め片端に嵌め込み穴を、他端に嵌め込み穴と同じ大きさの突出部を形成し、突出部を嵌め込み穴に挿入後逆方向に屈曲させることによりスリーブを形成してもよい。このような構成を取る場合、突出部の先端に更にかえしを形成しておき、かえしを寝かせた突出部をはめ込み穴に挿入した後にかえしを立てて固定してもよい。
【0022】
本発明に係る緩衝スリーブは、更に下記のように応用をすることができる。緩衝スリーブは液体吸収素材で構成されているので、インクジェットプリンタで内容物の情報を印刷できる。このようにすれば、緩衝スリーブをラベルとして機能させることができるので、使用者は容器のラベルを確認するために緩衝スリーブを取り外す必要はない。
【0023】
また、緩衝スリーブに発色層を挿入しておき、液体を吸収した場合に発色するようにすることもできる。また、予め内容物に反応して発色する試薬を染み込ませておくこともできる。このようにすることで、使用者は液だれを早期に認識することができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・・緩衝スリーブ
2・・・注ぎ口側開口部
3・・・底側開口部
4・・・把持穴
5・・・把持穴
6・・・張り合わせ部
7・・・容器張り合わせ部
10・・・容器
11・・・口部
12・・・首部
13・・・肩部
14・・・胴部
15・・・底部
20・・・内容物
図1
図2
図3
図4
図5