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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241002BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20241002BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20241002BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241002BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20241002BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20241002BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20241002BHJP
【FI】
B60L3/00 J
F02D29/06 D
B60L58/20
B60L1/00 L
B60K6/442 ZHV
B60W20/50
B60W20/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020162151
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054892
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大浜 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】矢作 博道
(72)【発明者】
【氏名】山下 進
(72)【発明者】
【氏名】小松 優祐
(72)【発明者】
【氏名】小川 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】佐村 響平
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064424(JP,A)
【文献】特開2010-172137(JP,A)
【文献】特開2005-094883(JP,A)
【文献】特開2009-291037(JP,A)
【文献】特開2015-201978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0197521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0136967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
F02D 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリより供給される直流電力を交流電力に変換し、走行駆動源であるモータに出力するインバータとを含む高電圧系回路と、
前記高電圧バッテリより出力電圧が低い低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリまたは前記高電圧バッテリから供給される電力を用いて更新対象デバイスに係るプログラムの更新を実行する更新部とを含む低電圧系回路と、
前記高電圧系回路と前記低電圧系回路との間に接続され、前記高電圧バッテリの出力電力を降圧して前記低電圧系回路に供給可能なDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータによって前記高電圧バッテリからの出力電圧を降圧して前記低電圧系回路に供給して、前記更新部によって前記更新対象デバイスに係る前記プログラムの更新を開始するときに、当該プログラムの更新開始をトリガとして、前記インバータの動作を制限する制御部と、
を備え
前記制御部は、
車両のイグニッション電源がオフとなった後であって、前記更新対象デバイスに係る前記プログラムの更新を開始するときに、前記インバータから前記モータへ流れる電流の有無を監視しており、前記電流を検出した場合、前記インバータの動作を制限する、車両。
【請求項2】
前記制御部は、
前記インバータの制御電源をオフすることによって、前記インバータの動作を制限する請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、
前記インバータへ前記高電圧バッテリより供給される前記直流電力をオフすることによって、前記インバータの動作を制限する請求項に記載の車両。
【請求項4】
走行駆動源であるエンジンを更に備える請求項1からのいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に設けられるエンジンやモータ、車載装置等を制御するための電子制御装置(以下、「ECU」とも呼ぶ)のプログラムを更新する(以下、「リプログラミング」または「リプロ」とも呼ぶ)技術が提案されている。
【0003】
通常、リプログラミングは、車両およびエンジンが停止しているときに実行される。そのため、12V補機バッテリ(低電圧バッテリ)などのバッテリに蓄電された電力を用いてリプロが行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-166434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、プログラム容量の増加等から、リプロに要する時間が長くなる傾向がある。リプロに要する時間が長くなるとリプロに必要となる電力が増加するため、リプロを実行する際にバッテリに電力が十分に蓄電されていなかった場合、プログラムの更新が電力不足により中断されてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、12V補機バッテリ(低電圧バッテリ)の充電量が不足している場合には、車両走行用のモータを駆動させるための高電圧バッテリの出力電力を降圧して、リプロ用電力として利用することで、リプロを実行することが考えられる。しかし、リプロ用電力を供給するために高電圧バッテリのリレーを接続したときに、高電圧バッテリの電力がインバータから走行用のモータへ意図せずに供給されて、モータが誤作動するおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、リプロの実行に係りモータが誤作動することを抑制することが可能な車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリより供給される直流電力を交流電力に変換し、走行駆動源であるモータに出力するインバータとを含む高電圧系回路と、前記高電圧バッテリより出力電圧が低い低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリまたは前記高電圧バッテリから供給される電力を用いて更新対象デバイスに係るプログラムの更新を実行する更新部とを含む低電圧系回路と、前記高電圧系回路と前記低電圧系回路との間に接続され、前記高電圧バッテリの出力電力を降圧して前記低電圧系回路に供給可能なDC-DCコンバータと、前記DC-DCコンバータによって前記高電圧バッテリからの出力電圧を降圧して前記低電圧系回路に供給して、前記更新部によって前記更新対象デバイスに係る前記プログラムの更新を開始するときに、当該プログラムの更新開始をトリガとして、前記インバータの動作を制限する制御部と、を備え、前記制御部は、車両のイグニッション電源がオフとなった後であって、前記更新対象デバイスに係る前記プログラムの更新を開始するときに、前記インバータから前記モータへ流れる電流の有無を監視しており、前記電流を検出した場合、前記インバータの動作を制限する
【0010】
また、前記制御部は、前記インバータの制御電源をオフすることによって、前記インバータの動作を制限してもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記インバータへ前記高電圧バッテリより供給される前記直流電力をオフすることによって、前記インバータの動作を制限してもよい。
【0012】
また、走行駆動源であるエンジンを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リプロの実行に係りモータが誤作動することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る車両を説明するための機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る制御装置により制御される電装系回路を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る高電圧バッテリ制御部による高電圧バッテリの目標充電率の制御を説明する図である。
図4】本実施形態に係るリプロ実行許可画面を説明する図である。
図5】本実施形態に係る車両におけるリプロに係る制御処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本実施形態に係る車両におけるリプロ作業制御処理を説明するためのフローチャートである。
図7】変形例に係る車両におけるリプロ作業制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る車両1を説明するための機能ブロック図である。ここでは、走行駆動源としてエンジン10とモータ12とを備える車両1を例示する。本実施形態の車両1は、所謂パラレルハイブリッド方式の車両に相当し、主としてエンジン10を動力源として出力軸14を回動し、三相交流式のモータ12は、動力源ではあるものの、あくまでエンジン10を補助する役割を担う。かかるエンジン10とモータ12とを併用する走行モードを併用モードと呼ぶ。
【0017】
また、発進時や加速時等、エンジン10の回転数が高まらない低速走行時には、エンジン10のパワーやトルクが上がらないため、クラッチ16が解放され、走行モードが、併用モードから、モータ12のみが動力源として用いられるEV(Electric Vehicle)モードに切り換わる。なお、発進時や加速時以外であっても、走行状態に応じて、併用モードとEVモードとを切り換えることができる。
【0018】
ISG(Integrated Starter Generator)18は、エンジン10の出力軸14との間に、ベルト20等の無端状部材が張架されることでエンジン10と接続され、動力をエンジン10に伝達し、エンジン10の始動を補助するスタータモータとして機能するとともに、回生発電を行うオルタネータとしても機能する。ここで、エンジン10が始動されるタイミングとしては、車両1の走行開始時のみならず、EVモードから併用モードへの切り換え時や、アイドリングストップからの復帰時等、様々なタイミングが考えられる。
【0019】
制御装置22は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路等を含む。制御装置22は、車両1全体、あるいは、車両1に搭載された様々なデバイスを制御する。例えば、制御装置22は、後述する高電圧バッテリ32(図2を参照)および低電圧バッテリ42(図2を参照)を含む電装系回路の各部を制御する。
【0020】
また、制御装置22は、無線通信部50a(図2を参照)と接続されており、無線通信部50aを介して外部装置と各種のデータを送受信することができる。無線通信部50aは、ネットワーク100を介してデータ配信センタ102と無線により通信することが可能である。データ配信センタ102は、車両1に搭載される更新対象デバイス44を制御するためのプログラムの更新(以下、「リプログラミング」または「リプロ」とも称する。)に必要なリプログラミング情報(以下、「リプロ情報」とも称する。)を配信する機能を担う。リプロ情報には、例えば、リプロを実行する対象である更新対象デバイス44(後述する図2を参照)を指定する情報、および、リプロで用いられる更新用データの情報を含む。
【0021】
また、制御装置22は、後述するカーナビゲーションシステム制御部52a(図2を参照)を備え、カーナビゲーションシステム制御部52aは、制御装置22に接続された表示部24に地図情報等の様々な情報を表示可能としている。
【0022】
図2は、本実施形態に係る制御装置22により制御される電装系回路を示すブロック図である。図2に示すように、車両1に搭載される電装系回路は、高電圧系回路30、低電圧系回路40およびDC-DCコンバータ60を備える。高電圧系回路30は、高電圧バッテリ32と、高電圧リレー34と、インバータ36と、インバータ用リレー37と、監視ECU38とを備えている。高電圧リレー34は、高電圧系回路30における高電圧バッテリ32の電気的な接続のON/OFFを切り替えるリレー装置である。インバータ36は、高電圧バッテリ32の直流電力を交流電力に変換し、モータ12に出力する。また、インバータ用リレー37は、高電圧系回路30におけるインバータ36の電気的な接続のON/OFFを切り替えるリレー装置である。制御装置22の監視ECU38は、高電圧リレー34、インバータ用リレー37、および後述するインバータ制御電源リレー49を制御する。また、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36からモータ12へ流れる電流を監視する。
【0023】
また、低電圧系回路40は、低電圧バッテリ42と、更新対象デバイス44と、更新部46と、車両負荷48、インバータ制御電源リレー49とを備える。低電圧バッテリ42は、高電圧バッテリ32より出力電圧が低い充電可能なバッテリである。低電圧バッテリ42は、例えば、12V補機バッテリであり、車両1に搭載される各種の車載装置(補機)に、比較的低電圧(例えば12V)の直流電力を供給する。更新部46は、制御装置22の指示に基づいて、更新対象デバイス44に係るプログラムの更新(リプログラミング)を実行するプログラム更新ツールである。更新部46は、低電圧バッテリ42または高電圧バッテリ32から供給される電力を用いて、更新対象デバイス44に係るリプログラミングを実行する。なお、車両負荷48とは、例えば、不図示のドアミラーモータ、パワーウィンドウモータ、ラジエータファンモータ等の電気負荷が挙げられる。また、インバータ制御電源リレー49は、低電圧系回路40からインバータ36へ供給されるインバータ制御電源36aの電気的な接続のON/OFFを切り替えるリレー装置である。
【0024】
なお、更新対象デバイス44としては、具体的には、例えば、エンジン10の制御を行うエンジン制御部10a、モータ12の制御を行うモータ制御部12a、高電圧バッテリ32の制御を行う高電圧バッテリ制御部32a、高電圧リレー34の制御を行う高電圧リレー制御部34a、低電圧バッテリ42の制御を行う低電圧バッテリ制御部42a、ネットワーク100を介してデータ配信センタ102と無線により通信を行う無線通信部50a、カーナビゲーションシステムの制御を行うカーナビゲーションシステム制御部52a、ユーザの操作に基づいて車両1のイグニッション電源(IG電源)をIG-ON(READY-ON)またはIG-OFF(READY-OFF)に制御するIG電源制御部54a、DC-DCコンバータ60の動作制御を行うDC-DCコンバータ制御部60a等である。
【0025】
また、DC-DCコンバータ60は、高電圧系回路30と低電圧系回路40との間に接続される。DC-DCコンバータ60は、高電圧系回路30の高電圧バッテリ32の出力電力を降圧して、降圧した電力を低電圧系回路40の低電圧バッテリ42、更新対象デバイス44、更新部46、車両負荷48等に供給可能である。
【0026】
高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率(SOC)の範囲、すなわち上限値及び下限値を設定し、この目標充電率の範囲に基づいて高電圧バッテリ32の充放電を制御する。
【0027】
図3は、高電圧バッテリ制御部32aによる高電圧バッテリ32の目標充電率の制御を説明する図である。図3(a)に示すように、リプロの実行が予約されていない通常時には、高電圧バッテリ制御部32aは、目標充電率の範囲として、通常値のSOC上限値および通常値のSOC下限値に設定する。通常値のSOC上限値としては、例えば、高電圧バッテリ32の満充電を100%とした場合の90%とすることができる。また、通常値のSOC下限値としては、例えば、高電圧バッテリ32の満充電を100%とした場合の50%とすることができる。なお、通常値のSOC下限値およびSOC上限値の具体的な値は、これら数値の具体例に限定されるものではない。
【0028】
そして、無線通信部50aが、ネットワーク100を介してデータ配信センタ102から、リプロ情報を受信して、リプロの実行が予約された場合、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を、通常時の下限値(通常値のSOC下限値)よりも高い値(リプロ予約準備値)へと変更する。一方、SOC上限値については、高電圧バッテリ制御部32aは、通常値のSOC上限値に設定する。
【0029】
詳細には、無線通信部50aはネットワーク100を介してデータ配信センタ102からリプロ情報を受信したとき、高電圧バッテリ制御部32aは、リプロの実行が予約されたと判定する。そして、高電圧バッテリ制御部32aは、受信したリプロ情報に基づいて、更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力(以下、「リプロ必要電力」とも称する。)を導出する。
【0030】
具体的には、リプロ情報は、例えば、更新対象デバイス44に係るプログラム容量、更新対象デバイス44へ更新用のプログラムを書き込む際の書き込み速度、リプロ中の単位時間当たりの消費電力、および、更新部46と更新対象デバイス44との通信速度等の各種情報を含む。高電圧バッテリ制御部32aは、これら各種情報の全部または一部に基づいて、リプロ必要電力を導出する。
【0031】
そして、導出されたリプロ必要電力に基づいて、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を、通常値よりも高いリプロ予約準備値へと変更する。例えば、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を、通常値(例えば、満充電の50%)よりも高いリプロ予約準備値(例えば、満充電の70%)に設定する。ここで、上記導出されたリプロ必要電力が大きいほど、目標充電率のSOC下限値(リプロ予約準備値)は、大きな値に設定されることが好ましい。これにより、高電圧バッテリ32を十分に充電してリプロ必要電力以上の充電量を確保できるので、リプロ実行時の電力不足を防止できる。
【0032】
なお、本実施形態では、リプロ情報に基づいて、高電圧バッテリ制御部32aが、更新対象デバイス44に係るリプロ必要電力を導出し、導出されたリプロ必要電力に基づいて、高電圧バッテリ制御部32aが高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を変更することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、無線通信部50aが、ネットワーク100を介してデータ配信センタ102から、リプロ情報を受信して、リプロの実行が予約された場合に、高電圧バッテリ制御部32aは、予め定められた所定のSOC下限値を、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値(リプロ予約準備値)として設定してもよい。例えば、リプロ予約準備値のSOC下限値として、高電圧バッテリ32の満充電を100%とした場合の70%に予め設定しておいてもよい。
【0033】
あるいは、リプロ情報の一部に、更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力に関する必要電力情報を含ませてもよい。この場合には、必要電力情報に基づいて、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を変更することとなる。
【0034】
そして、上記高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値をリプロ予約準備値に設定変更した後、当該リプロ予約準備値以上の充電量となるまで高電圧バッテリ32が充電される。次いで、リプロの実行が予約されているときに、ユーザが車両1をREADY-OFFとする操作(IG-OFF操作)を行うと、更新部46は、低電圧バッテリ42の充電量および高電圧バッテリ32の充電量を確認する。
【0035】
図4は、本実施形態に係るリプロ実行許可画面24aを説明する図である。低電圧バッテリ42の充電量が更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力量以上であり、低電圧バッテリ42を用いて更新対象デバイス44に係るリプロを実行可能な場合、または、高電圧バッテリ32の充電量がリプロ予約準備値以上である場合には、図4に示すように、カーナビゲーションシステム制御部52aは、リプロを実行することに関してユーザへ許可を求めるリプロ実行許可画面24aを、表示部24に表示する。
【0036】
リプロ実行許可画面24aには、例えば、「リプロを実行すると、リプロの終了まで車両1が使用できなくなる旨」の注意文、および、リプロの実行の可否(YESまたはNO)のいずれかをユーザが選択可能なボタン画像が表示される。
【0037】
そして、ユーザによって、リプロ実行許可画面24aのYESのボタンが押下されて、リプロの実行が許可されると、リプロ作業が開始される。一方、ユーザによってリプロ実行許可画面24aのNOのボタンが押下されて、リプロの実行が拒否された場合、および、ユーザによってリプロ実行許可画面24aのYESおよびNOのいずれのボタンも押下されなかった場合には、リプロ作業は開始されない、
【0038】
リプロ作業が開始すると、低電圧バッテリ42を用いて更新対象デバイス44に係るリプロを実行可能な場合には、更新部46は低電圧バッテリ42の電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロを実行する。
【0039】
一方、低電圧バッテリ42の充電量が十分ではなく、低電圧バッテリ42を用いて更新対象デバイス44に係るリプロを実行できない場合には、高電圧バッテリ32を用いたリプロを実行するため、高電圧リレー制御部34aが高電圧リレー34を接続し、高電圧バッテリ32の電力をDC-DCコンバータ60に出力可能にする。そして、DC-DCコンバータ制御部60aは、DC-DCコンバータ60の動作を開始して、高電圧バッテリ32からの出力電力を降圧して、降圧した電力を低電圧系回路40へと供給する。
【0040】
そして、更新部46は、高電圧バッテリ32から低電圧系回路40に供給される電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロの実施を開始する。このとき、リプロの開始をトリガとして、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を行う。
【0041】
具体的には、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断して、高電圧バッテリ32の直流電力がインバータ36へ供給されないようにする。あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断して、インバータ制御電源36aの電力が低電圧系回路40からインバータ36へ供給されないようにする。特に、インバータ36の制御に係るデバイスのリプロを実行する際に、プログラムの更新に係る不具合等により、インバータ36からモータ12へ高電圧バッテリ32の出力電力が意図せずに供給されて、モータ12が誤作動するおそれが生じる。上記のようにして、リプロの開始をトリガとしてインバータ36の動作の制限を行うことで、インバータ36からモータ12へ電力が意図せずに供給されることを抑制できるので、モータ12が誤作動することを抑制することができる。
【0042】
そして、リプロの実施が終了すると、DC-DCコンバータ制御部60aは、DC-DCコンバータ60の動作を終了し、高電圧リレー制御部34aは、高電圧リレー34の接続を切断する。
【0043】
(制御方法)
図5は、本実施形態に係る車両1におけるリプロに係る制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図5に示すように、まず、制御装置22のIG電源制御部54aは、ユーザの操作に基づいてIG電源をオンにして、車両1をREADY-ON(IG-ON)の状態に制御する(S101)。
【0045】
次いで、制御装置22は、無線通信部50aを通じてデータ配信センタ102と無線通信することにより、データ配信センタ102から配信されるリプロデータのうち、自車両1で未受信のリプロデータが存在するか否かを確認する(S103)。ここで、リプロデータは、更新対象デバイス44に係るプログラムを更新するための更新用データを含むデータである。データ配信センタ102は、更新対象デバイス44のリプログラミングの必要性が発生した場合に、そのリプログラミングを実行するためのリプロデータを含むリプロ情報を、ネットワーク100を通じて各車両1に配信する。
【0046】
S103の判定の結果、未受信のリプロデータが存在しない場合(ステップS103のNO)、制御装置22の高電圧バッテリ制御部32aは、リプロ受信済フラグがオンであるか判定する(ステップS105)。リプロ受信済フラグがオンである場合、自車両1でリプロデータを既に受信済みであるが、そのリプロデータでリプロを未実行であるので、当該リプロを実行する必要がある状態(リプロが予約された状態)であることを表す。
【0047】
S105の判定の結果、リプロ受信済フラグがオフである場合(ステップS105のNO)には、リプロを実行する必要がないので、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32のSOC下限値およびSOC上限値を通常値に設定する(ステップS107)。この結果、その後の車両1の走行中などに、高電圧バッテリ32は、通常の目標充電率の範囲内で充電される(図3(a)参照。)。
【0048】
そして、制御装置22のIG電源制御部54aは、ユーザの操作に基づいて車両1をREADY-OFF(IG-OFF)に制御し(ステップS109)、当該制御処理を終了する。
【0049】
一方、S105の判定の結果、リプロデータ受信済フラグがオフである場合(ステップS105のYES)、後述のS117に進む。
【0050】
また、上記S103の判定の結果、未受信のリプロデータが存在し、データ配信センタ102からリプロデータを受信する必要がある場合(ステップS103のYES)には、制御装置22は、データ配信センタ102からネットワーク100および無線通信部50aを通じて、リプロデータを含むリプロ情報を受信する(ステップS111)。
【0051】
次いで、制御装置22の高電圧バッテリ制御部32aは、データ配信センタ102から受信したリプロ情報に基づいて、更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力を導出し(ステップS113)、リプロデータ受信済フラグをオンにする(ステップS115)。すなわち、無線通信部50aがリプロデータを受信すると、リプロデータ受信済フラグがオンされ、リプロが予約されることとなる。なお、リプロデータ受信済フラグは、リプロの実行が完了するまでオフされることはない。
【0052】
さらに、上記ステップS105においてリプロデータ受信済フラグがオンであると判定された場合(ステップS105のYES)、および、上記ステップS113においてリプロデータ受信済フラグがオンされた場合に、制御装置22の高電圧バッテリ制御部32aは、リプロが予約されたと判定し、導出された更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力に基づいて、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を、通常値よりも高いリプロ予約準備値へと設定変更するとともに、SOC上限値を通常値に設定する(ステップS117)。この結果、その後の車両1の走行中などに、高電圧バッテリ32は、リプロ予約時の特殊な目標充電率の範囲内で充電される(図3(b)参照。)。
【0053】
その後、車両1が停止した場合などに、制御装置22のIG電源制御部54aは、ユーザの操作に基づいて車両1をREADY-OFF(IG-OFF)に制御する(ステップS119)。
【0054】
次いで、制御装置22は、低電圧バッテリ42の充電量を確認し、低電圧バッテリ42の充電量が更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力量以上であるか否か、すなわち、低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能であるか否かを判定する(ステップS121)。
【0055】
その結果、低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能ではない場合(ステップS121のNO)には、制御装置22は、高電圧バッテリ32の充電量を確認し、高電圧バッテリ32の充電量(実際のSOC)がリプロ予約準備値(目標充電率のSOC下限値)以上であるかを判定する(ステップS123)。
【0056】
その結果、高電圧バッテリ32の充電量がリプロ予約準備値以上である場合(ステップS123のYES)、および、低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能である場合(ステップS121のYES)には、制御装置22のカーナビゲーションシステム制御部52aは、表示部24にリプロ実行許可画面24a(図4を参照。)を表示する(ステップS125)。
【0057】
次いで、制御装置22は、ユーザによって、リプロ実行許可画面24aのYESのボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS127)。その結果、リプロ実行許可画面24aのYESのボタンが操作されて、ユーザによりリプロの実行が許可された場合には(ステップS127のYES)、制御装置22は、更新部46を用いてリプロ作業制御処理(ステップS200)を実行する。リプロ作業制御処理(ステップS200)については、後述する。リプロ作業制御処理(ステップS200)が終了すると、制御装置22は、リプロデータ受信済フラグをオフし、当該処理を終了する。
【0058】
一方、上記S127においてリプロ実行許可画面24aのNOのボタンが操作された場合、および、ユーザによってリプロ実行許可画面24aのYESおよびNOのいずれのボタンも操作されなかった場合(ステップS127)には、制御装置22は、リプロ作業を実行せずに、処理を終了する。また、上記S123において高電圧バッテリ32の充電量がリプロ予約準備値未満である場合(ステップS123のNO)にも、制御装置22は、リプロ作業を実行せずに、処理を終了する。
【0059】
(リプロ作業制御処理)
図6は、本実施形態に係る車両1における上記したリプロ作業制御処理(図5のステップS200)を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図6に示すように、まず、制御装置22は、低電圧バッテリ42の充電量を確認し、低電圧バッテリ42の充電量が更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力量以上であるか、すなわち、低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能であるか判定する(ステップS201)。
【0061】
その結果、上記ステップS201において低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能であると判定された場合(ステップS201のYES)には、制御装置22は更新部46にリプロの実行を指示し、更新部46は、低電圧バッテリ42の電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロを実行する(ステップS203)。そして、リプロの実行が終了する(ステップS205のYES)と、当該処理が終了する。
【0062】
一方、低電圧バッテリ42でリプロの実行が可能ではない場合(ステップS201のNO)には、制御装置22の高電圧リレー制御部34aは、高電圧リレー34を接続して(ステップS207)、DC-DCコンバータ制御部60aは、DC-DCコンバータ60の動作を開始して、高電圧バッテリ32からの出力電力を降圧して、降圧した電力を低電圧系回路40へと供給する(ステップS209)。この結果、低電圧バッテリ42が、高電圧バッテリ32から供給される電力を用いて充電可能となる。さらに、低電圧系回路40において、高電圧バッテリ32から供給される電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロを実行可能となる。
【0063】
次に、制御装置22は更新部46にリプロの実行を指示し、更新部46は、高電圧バッテリ32の電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロを開始する(ステップS211)。
【0064】
このとき、リプロの開始をトリガとして、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を行う(ステップS213)。具体的には、上記したように、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断(OFF)して、高電圧バッテリ32の直流電力がインバータ36へ供給されないようにする。あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断(OFF)して、インバータ制御電源36aがインバータ36へ供給されないようにする。
【0065】
その後、リプロの実行が終了する(ステップS217のYES)と、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を解除する。具体的には、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断(OFF)していた場合には、インバータ用リレー37の接続をONする。
【0066】
あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断していた場合には、インバータ制御電源リレー49の接続をONする。次に、DC-DCコンバータ制御部60aは、DC-DCコンバータ60の動作を終了し(ステップS221)、高電圧リレー制御部34aは、高電圧リレー34の接続を切断し(ステップS223)、当該処理が終了する。
【0067】
以上、説明したように、本実施形態では、リプロの開始をトリガとして、インバータ36の動作の制限を行う。これにより、インバータ36が誤作動を生じるおそれを抑制することが可能となる。
【0068】
以上、本実施形態に係る車両1におけるリプロ処理の制御方法について説明した。本実施形態によれば、以下の効果がある。
【0069】
従来、リプロの実行を行う際に用いる電力は、通常、低電圧バッテリ42により提供される。しかしながら、低電圧バッテリ42のSOC減少時等には、リプロの実行に必要な電力が不足してしまう場合がある。リプロが電力不足で中断してしまうと、車両1の正常動作に悪影響が生じてしまい、場合によっては、リプロの対象となる更新対象デバイス44そのものを交換する必要が生じてしまうおそれがある。
【0070】
一方、無線通信によってリプロデータを受信して、受信したリプロデータに基づいてリプロを実行する場合には、車両1を外部電源に有線接続すると、利便性が阻害されてしまうため、リプロを行う際に外部電源による電源供給を行うことは好ましくない。
【0071】
そこで、モータ駆動用の高電圧バッテリ32を備える電動車両(HEV,EV)では、低電圧バッテリ42がリプロに必要となる電力が不足する場合には、高電圧バッテリ32の出力電圧を降圧してリプロに活用することが考えられる。しかし、リプロ開始時に、高電圧バッテリ32のSOCが低下していた場合、リプロを実行することができない。特に、停車中に高電圧バッテリ32の充電を実施できないパラレルハイブリッド方式の場合、この問題が発生しやすい。
【0072】
そこで、本実施形態では、上記したように、制御装置22は、更新対象デバイス44に係るリプロが予約されたときに、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を通常時の下限値(通常値のSOC下限値)よりも高い値(リプロ予約準備値)へと変更する。これにより、リプロを実行する際に、高電圧バッテリ32の充電量をリプロの実行に必要な充電量とすることができるため、リプロが電力不足により中断されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0073】
さらに、上記したように、更新対象デバイス44に係るリプロデータを無線通信部50aによって受信したときに、制御装置22が、更新対象デバイス44に係るリプロが予約されたと判定する。これにより、いち早く高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値をリプロ予約準備値へと変更することができる。そのため、リプロが予約された後に、IG-OFFに制御された際には、基本的には、高電圧バッテリ32が十分に充電された状態となる。
【0074】
また、上記したように、リプロデータを無線通信部50aによって受信したときに、制御装置22が、リプロデータに基づいて、更新対象デバイス44に係るリプロに必要な電力を導出し、導出された電力に基づいて、高電圧バッテリ32の目標充電率の下限値を変更する。これにより、高電圧バッテリ32を十分に充電してリプロ必要電力以上の充電量を確保することができるので、リプロ実行時の電力不足を抑制することができる。
【0075】
上記したように、パラレルハイブリッド方式の場合、停車中に高電圧バッテリ32の充電を実施できない。本実施形態のように、リプロ予約に基づいて高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値をリプロ予約準備値へと変更することで、リプロが電力不足により中断されてしまうことを抑制することが可能となるため、パラレルハイブリッド方式の場合に、特に有効となる。
【0076】
また、従来、12V補機バッテリ(低電圧バッテリ42)の充電量が不足している場合には、車両走行用のモータ12を駆動させるための高電圧バッテリ32の出力電力を降圧して、リプロ用電力として利用することで、リプロを実行する場合において、リプロ用電力を供給するために高電圧リレー34を接続したときに、高電圧バッテリ32の電力がインバータ36から走行用のモータ12へ意図せずに供給されて、モータ12が誤作動するおそれがあった。
【0077】
そこで、本実施形態では、リプロの開始をトリガとして、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を行う。これにより、インバータ36からモータ12へ電力が意図せずに供給されることを抑制できるので、モータ12が誤作動することを抑制することができる。
【0078】
このとき、具体的には、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断して、高電圧バッテリ32の直流電力がインバータ36へ供給されないようにする。すなわち、高電圧バッテリ32の直流電力がインバータ36へ供給されないようにすることにより、インバータ36からモータ12へ電力が意図せずに供給されることを抑制できるので、モータ12が誤作動することを抑制することができる。
【0079】
あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断して、インバータ制御電源36aからインバータ36へ電力が供給されないようにする。すなわち、インバータ制御電源36aからインバータ36へ電力が供給されないようにすることにより、インバータ36からモータ12へ電力が意図せずに供給されることを抑制できるので、モータ12が誤作動することを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態のように、低電圧バッテリ42でリプロの実行ができなかった場合に、高電圧バッテリ32によってリプロの実行をすることが可能となるため、リプロが電力不足により中断されてしまうことを抑制することが可能となるため、パラレルハイブリッド方式の場合に、特に有効となる。
【0081】
(変形例に係るリプロ作業制御処理)
上記図6に示す実施形態では、リプロの開始をトリガとして、インバータ36の動作の制限を行うこととしたが、本発明はこれに限定されるものではない。図7は、本発明の一実施形態の変形例に係る車両1におけるリプロ作業制御処理(図5のステップS200)を説明するためのフローチャートである。以下では、上記した図6と異なる箇所についてのみ説明する。
【0082】
制御装置22が更新部46にリプロの実行を指示し、更新部46が、高電圧バッテリ32の電力を用いて、更新対象デバイス44のリプロを開始する(ステップS211)と、制御装置22の監視ECU38は、リプロ開始をトリガとして、インバータ36の出力電流の監視を行う(ステップS213)。制御装置22の監視ECU38は、リプロの実行が終了するまでの間、インバータ36の出力電流の監視を継続する。そして、制御装置22の監視ECU38が、インバータ36の出力電流を検出すると(ステップS213のYES)、このインバータ36の出力電流の検出をトリガとして、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を行う(ステップS215)。
【0083】
具体的には、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断(OFF)して、高電圧バッテリ32の直流電力がインバータ36へ供給されないようにする。あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断(OFF)して、低電圧系回路40からインバータ制御電源36aがインバータ36へ供給されないようにする。
【0084】
そして、リプロの実行が終了する(ステップS217のYES)と、制御装置22の監視ECU38は、インバータ36の動作の制限を解除する(ステップS219)。具体的には、制御装置22の監視ECU38は、インバータ用リレー37の接続を切断(OFF)していた場合には、インバータ用リレー37の接続をONする。あるいは、制御装置22の監視ECU38は、インバータ制御電源リレー49の接続を切断(OFF)していた場合には、インバータ制御電源リレー49の接続をONする。
【0085】
次に、DC-DCコンバータ制御部60aは、DC-DCコンバータ60の動作を終了し(ステップS221)、高電圧リレー制御部34aは、高電圧リレー34の接続を切断し(ステップS223)、当該処理が終了する。
【0086】
以上、説明したように、変形例では、インバータ36の出力電流の検出をトリガとして、インバータ36の動作の制限を行う。これにより、インバータ36が誤作動を生じるおそれを抑制することが可能となる。さらに、インバータ36の出力電流の検出が行われないうちは、インバータ用リレー37やインバータ制御電源リレー49の切断動作を行わないため、インバータ用リレー37やインバータ制御電源リレー49の寿命が短くなることを抑制することができる。
【0087】
また、上記実施形態および変形例では、更新対象デバイス44に監視ECU38が含まれない場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、更新対象デバイス44に監視ECU38が含まれることとしてもよい。この場合、監視ECU38と同じ機能を有する別の第2の監視ECUを設ける。すなわち、監視ECU38のリプロ実行時には、第2の監視ECUによって、インバータ36の動作の制限を行う。このようにすれば、車両1のすべてのデバイスをリプロの実行対象として設定することが可能となる。なお、監視ECU38の機能を持たせるデバイスの個数については、特に限定されず、3個以上としてもよい。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
また、上記実施形態では、ユーザがリプロの実行を許可した場合、即時にリプロの実行を開始することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザがリプロの実行を許可した場合において、リプロを実際に実行する時間をユーザが任意に指定することとしてもよい。この場合には、ユーザが任意に設定した時間に達すると、更新部46がリプロの実行を開始することとなる。なお、ユーザが任意に設定した時間に達した場合に、車両1が走行中等でリプロの実行ができない場合には、車両1の停止後に再度、リプロ実行許可画面24aを表示してユーザにリプロの許可を求めることとしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、リプロ情報を受信して、リプロの実行が予約された場合、高電圧バッテリ制御部32aは、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を通常時よりも高い値(リプロ予約準備値)へと変更する一方、SOC上限値については、通常値に設定することとした。しかし、本発明は、かかる例に限定されず、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC上限値を通常時よりも高い値に変更するとともに、高電圧バッテリ32の目標充電率のSOC下限値を通常時よりも高い値(リプロ予約準備値)へと変更することとしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、車両1がパラレルハイブリッド方式の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、非プラグインハイブリッド車(ハイブリッド車)等、様々な車種に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
22 制御装置(制御部)
30 高電圧系回路
32 高電圧バッテリ
38 監視ECU
40 低電圧系回路
42 低電圧バッテリ
44 更新対象デバイス
46 更新部
60 DC-DCコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7