(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】可動式耐風フックの取付構造及び方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20241002BHJP
E06B 9/15 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E06B9/17 T
E06B9/15 D
E06B9/17 S
(21)【出願番号】P 2020178360
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591051988
【氏名又は名称】共栄プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
(72)【発明者】
【氏名】宗和 寛司
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-116193(JP,U)
【文献】実公昭47-20127(JP,Y1)
【文献】実開平3-130894(JP,U)
【文献】特開2011-149191(JP,A)
【文献】米国特許第5657805(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止姿勢と収納姿勢との間で可動な爪部を備えた可動式耐風フックが、スラット面部の長さ方向端部領域に固定された取付板に対して、着脱可能に取り付けられている、可動式耐風フックの取付構造。
【請求項2】
前記取付板は、前記スラット面部に固定された面部と、前記面部に突出形成された係止片と、前記面部と一体形成された被連結部と、を備え、
前記可動式耐風フックは、前記係止片が係止可能な係止受部と、前記被連結部に当接可能な連結部と、を備えている、
請求項1に記載の可動式耐風フックの取付構造。
【請求項3】
前記可動式耐風フックは、前記係止受部に前記取付板の前記係止片が係止し、ケース底面の少なくとも部分が前記取付板の前記面部に当接し、前記連結部が前記取付板の前記被連結部に当接した状態で、前記連結部と前記被連結部を螺子で連結することで、前記取付板に取り付けられている、
請求項2に記載の可動式耐風フックの取付構造。
【請求項4】
前記可動式耐風フックのケース底面には、前記係止片を受け入れ可能なスリットが形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記スリットに前記係止片を受け入れた状態でスラットの長さ方向にスライドすることで、前記係止受部に前記係止片が係止可能となっている、
請求項2、3いずれか1項に記載の可動式耐風フックの取付構造。
【請求項5】
前記可動式耐風フックは、スラットの長さ方向端部に向かってスライドして、前記係止受部が前記係止片に係止可能となっている、
請求項4に記載の可動式耐風フックの取付構造。
【請求項6】
前記スラットの長さ方向端部は、ガイドレール内に位置しており、
前記取付板の前記面部の前記係止片及び前記被連結部を含む部位はガイドレール外に位置している、
請求項2~5いずれか1項に記載の可動式耐風フックの取付構造。
【請求項7】
係止姿勢と収納姿勢との間で可動な爪部を備えた可動式耐風フックの取付方法であって、
スラット面部の長さ方向端部領域には取付板の面部が固定されており、前記面部には係止片が突出形成されており、前記面部には被連結部が一体形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記係止片が係止可能な係止受部と、前記被連結部に当接可能な連結部と、を備えており、
前記可動式耐風フックの前記係止受部に前記取付板の前記係止片を係止させて係止状態とする工程と、
前記係止状態において、前記連結部と前記取付板の前記被連結部が当接状態にあり、当接状態にある前記連結部と前記被連結部を螺子で連結する工程と、
からなる、可動式耐風フックの取付方法。
【請求項8】
前記可動式耐風フックのケース底面には、前記係止片を受け入れ可能なスリットが形成されており、前記スリットに隣接して前記係止片が係止可能な係止受部が形成されており、前記ケース底面には前記連結部が一体形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記スリットに前記係止片を受け入れた状態でスラットの長さ方向にスライドすることで、前記係止受部に前記係止片を係止させて係止状態とする、
請求項7に記載の可動式耐風フックの取付方法。
【請求項9】
前記スラットの長さ方向端部は、ガイドレール内に位置しており、
前記取付板の前記面部の前記係止片及び前記被連結部を含む部位はガイドレール外に位置しており、
前記可動式耐風フックを、スラットの長さ方向端部に向かってスライドさせることで、前記係止受部に前記係止片を係止させる、
請求項8に記載の可動式耐風フックの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンに設けられる耐風フックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンが建物開口部を閉鎖した開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向両端部は、建物開口部の左右のガイドレール内に受け入れられているが、シャッターカーテンに風圧が作用すると、シャッターカーテンが膨らんで、幅方向端部がガイドレールから抜け出てしまうおそれがある。
【0003】
開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向端部がガイドレールから抜け出してしまうことを防止する手段として、耐風フックが知られている。耐風フックは、一般に、所定の耐風性能が要求される重量シャッターに設けられ、いわゆる軽量シャッターでは、標準設備として耐風フックが要求される場合は殆どない。
【0004】
また、従来の耐風フックは、シャッターカーテンを構成するスラットの長さ方向端部に、突出姿勢で常設されており、開口部全閉姿勢のシャッターカーテンの高さ方向に亘って設けられている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
ここで、本発明者等は爪部が収納姿勢と係止姿勢との間で可動である可動式の耐風フックをスラットに設けることを考えた。可動式の耐風フックは、重量シャッターのスラットに設けられる頑丈で構造がシンプルな耐風フックに比べて、構成部品が多くなり、また、構成部品の連動機構が必須となることから、さらには、経年劣化等で動作に支障が出る場合があることから、耐風フックをスラットに取り付けるにあたり、耐風フックのメンテナンス作業や交換作業の作業性を考慮することが重要である。
【文献】実開昭62-85688
【文献】実開昭64-27397
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、爪部が収納姿勢と係止姿勢との間で可動である可動式の耐風フックをスラットに設けるにあたり、耐風フックのメンテナンス作業や交換作業の作業性を考慮した取付構造及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した第1の技術手段は、係止姿勢と収納姿勢との間で可動な爪部を備えた可動式耐風フックが、スラット面部の長さ方向端部領域に固定された取付板に対して、着脱可能に取り付けられている、可動式耐風フックの取付構造である。
1つの態様では、前記可動式耐風フックは、
第1位置と第2位置との間でスライド移動可能な操作部と、
係止姿勢と収納姿勢との間で可動な爪部と、
前記操作部が前記第1位置から前記第2位置へ移動することに連動して、前記爪部を収納姿勢から係止姿勢に移動させる爪部作動機構と、
を備え、
前記爪部作動機構は、収納姿勢にある爪部を先端側へスライド移動させる第1作動機構と、先端側へスライド移動した爪部を回動させて係止姿勢とする第2作動機構と、を備えている。
【0008】
1つの態様では、前記取付板は、前記スラット面部に固定された面部と、前記面部に突出形成された係止片と、前記面部と一体形成された被連結部と、を備え、
前記可動式耐風フックは、前記係止片が係止可能な係止受部と、前記被連結部に当接可能な連結部と、を備えている。
1つの態様では、前記可動式耐風フックは、前記係止受部に前記取付板の前記係止片が係止し、ケース底面の少なくとも部分が前記取付板の前記面部に当接し、前記連結部が前記取付板の前記被連結部に当接した状態で、前記連結部と前記被連結部を螺子で連結することで、前記取付板に取り付けられている。
1つの態様では、前記取付板の前記被連結部は、スラット面部から離間している。
【0009】
1つの態様では、前記可動式耐風フックのケース底面には、前記係止片を受け入れ可能なスリットが形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記スリットに前記係止片を受け入れた状態でスラットの長さ方向にスライドすることで、前記係止受部に前記係止片が係止可能となっている。
1つの態様では、前記取付板はリベットによって前記スラット面部に固定されており、前記ケース底面には、前記リベットに位置して開口ないし切り欠きが形成されている。
【0010】
1つの態様では、前記可動式耐風フックは、スラットの長さ方向端部に向かってスライドして、前記係止受部が前記係止片に係止可能となっている。
1つの態様では、前記スラットの長さ方向端部は、ガイドレール内に位置しており、
前記取付板の前記面部の前記係止片及び前記被連結部を含む部位はガイドレール外に位置している。
1つの態様では、前記可動式耐風フックを、スラットの長さ方向端部に向かってスライドさせることで、前記係止受部に前記係止片を係止させる。
【0011】
本発明が採用した第2の技術手段は、係止姿勢と収納姿勢との間で可動な爪部を備えた可動式耐風フックの取付方法であって、
スラット面部の長さ方向端部領域には取付板の面部が固定されており、前記面部には係止片が突出形成されており、前記面部には被連結部が一体形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記係止片が係止可能な係止受部と、前記被連結部に当接可能な連結部と、を備えており、
前記可動式耐風フックの前記係止受部に前記取付板の前記係止片を係止させて係止状態とする工程と、
前記係止状態において、前記連結部と前記取付板の前記被連結部が当接状態にあり、当接状態にある前記連結部と前記被連結部を螺子で連結する工程と、
からなる、可動式耐風フックの取付方法。
【0012】
1つの態様では、前記可動式耐風フックのケース底面には、前記係止片を受け入れ可能なスリットが形成されており、前記スリットに隣接して前記係止片が係止可能な係止受部が形成されており、前記ケース底面には前記連結部が一体形成されており、
前記可動式耐風フックは、前記スリットに前記係止片を受け入れた状態でスラットの長さ方向にスライドすることで、前記係止受部に前記係止片を係止させて係止状態とする。
1つの態様では、前記スラットの長さ方向端部は、ガイドレール内に位置しており、
前記取付板の前記面部の前記係止片及び前記被連結部を含む部位はガイドレール外に位置しており、
前記可動式耐風フックを、スラットの長さ方向端部に向かってスライドさせることで、前記係止受部に前記係止片を係止させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る可動式耐風フックは、スラット面部の長さ方向端部領域に固定された取付板に対して着脱可能に取り付けられているので、耐風フックのメンテナンス時ないし交換時には、シャッターカーテンを取り外すことなく、耐風フックをスラットに対して脱着させることができ、耐風フックの脱着作業や交換作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】全閉姿勢にあるシャッター装置を屋内側から見た正面図である。
【
図1A】
図1の施錠装置部分を示す部分拡大図である。
【
図2】全閉姿勢にあるシャッター装置の縦断面図である。
【
図2A】
図2のガイドレールの上方部位を示す部分拡大図である。
【
図12】耐風フックユニットの非作動状態(定常状態)を示す図である(蓋板を一部省略して示す。)。
【
図13】
図12の状態から操作板の第1の方向へのスライド移動を開始した図である(蓋板を一部省略して示す。)。
【
図14】
図13の状態から操作板がさらに第1の方向へスライド移動した状態を示す図である(蓋板を一部省略して示す。)。
【
図15】
図14の状態から操作板がさらに第1の方向へスライド移動してロックされた耐風フックの作動状態を示す図である(蓋板を一部省略して示す。)。
【
図16】
図15の作動状態において、係止姿勢にある爪部を押し込んだ状態を示す(蓋板を一部省略して示す。)。
【
図17】上図は、スラット裏面に取付板を固定した図、下図は、取付板に対して耐風フックユニットを取り付ける工程を示す図である。
【
図18】取付板に対して耐風フックを取り付ける工程を示す図である(底板のみ図示)。
【
図19】上図は、スラット裏面に取り付けた耐風フックの非作動状態(操作板が第1位置にある)を示し、下図は、スラット裏面に取り付けた耐風フックの作動状態(操作板が第2位置にある)を示す。
【
図21】スラットが片寄りなくガイドレール内に位置する状態を示し、(A)は非作動状態にある耐風フック(爪部が収納姿勢にある)を示し、(B)は作動状態にある耐風フック(爪部が係止姿勢にある)を示し、(C)はガイドレールの横断面図である。
【
図22】スラットがガイドレール内で片寄った状態を示し、(A)は非作動状態にある耐風フック(爪部が収納姿勢にある)を示し、(B)は爪部がガイドレール底部に当接した状態(爪部は相対的に後方に移動する)で操作板が第2位置でロック状態にある耐風フック、(C)は作動状態にある耐風フック(爪部が係止姿勢にある)を示す。
【
図23】シャッターカーテンに面圧が作用した場合の耐風フックの作用を説明する図であって、上図は、シャッターカーテンを屋内側に膨らませるように面圧が作用した場合、下図は、シャッターカーテンを屋外側に膨らませるように面圧が作用した場合を示す。
【
図24】本実施形態に係るシャッターカーテンの構成を詳細に説明する図である。
【
図25】開口部全閉姿勢で耐風フックが作動状態にあり、シャッターカーテンに風圧が作用した時のシャッターカーテンの挙動を模式化して示す図であり、耐風フックが設けられたスラットを示す横断面図である。
【
図26】開口部全閉姿勢で耐風フックが作動状態にあり、シャッターカーテンに風圧が作用した時のシャッターカーテンの動きを模式化して示す図であり、座板を示す横断面図である。
【
図27】開口部全閉姿勢で耐風フックが作動状態にあり、シャッターカーテンに風圧が作用した時のシャッターカーテンの動きを模式化して示す図であり、開口部上方部位に位置するスラットを示す横断面図である。
【
図28】他の実施形態に係る耐風フックユニットの非作動状態(定常状態)を示す図である。
【
図29】他の実施形態に係る耐風フックユニットの作動状態を示す図である。
【
図30】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【
図31】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【
図32】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【
図33】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【
図34】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【
図35】長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに可動式耐風フックが取り付けられた状態を示す図である。
【
図36】取付板と可動式耐風フックの底板との係止状態を示す長さ方向端部がガイドレール内に位置するスラットに対する可動式耐風フックの取付工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]シャッターの全体構成
図1は本実施形態に係るシャッター装置の正面図、
図2は本実施形態に係るシャッター装置の縦断面図である。本実施形態に係るシャッター装置は、手動式の軽量シャッターであるが、軽量シャッター、手動式シャッターは例示であって、本発明を限定するものではなく、本発明は、例えば、開閉機を備えた電動式シャッターにも適用され得る。
【0016】
シャッターカーテン1は、開口幅方向に延びる長尺状の複数枚のスラット10を高さ方向に連結してなり、下端に座板11を備えており、シャッターカーテン1の上端は吊元10´を介して開口部上方に配置された巻取体2に連結されている。建物開口部の幅方向左右両端にはガイドレール3が立設されており、シャッターカーテン1の昇降時ないし全閉姿勢時に、ガイドレール3の溝部にシャッターカーテン1の幅方向両端部(スラット10の長さ方向両端部)を受け入れるようになっている。
【0017】
開口部全閉状態において、シャッターカーテン1が巻取体2に巻き取られることで、シャッターカーテン1の幅方向両端部位がガイドレール3に案内されながら上昇して建物開口部を開放し、開口部全開状態において、シャッターカーテン1が巻取体2から繰り出されることで、シャッターカーテン1の幅方向両端部位がガイドレール3に案内されながら下降して建物開口部を閉鎖するようになっている。
【0018】
本実施形態に係るシャッター装置は、手動式シャッターである。巻取体2は、バランススプリング2´によってシャッターカーテン1を巻き取る方向に付勢されており、全開姿勢にあるシャッターカーテン1に、当該シャッターカーテン1を下降させる力を手動で作用させて降下を始動させると、シャッターカーテン1が手動操作力と自重で降下して床面FLないし地面に着床して全閉姿勢となり、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1に、当該シャッターカーテン1を上昇させる力を手動で作用させて上昇を始動させると、手動操作力とバランススプリングの付勢力によってシャッターカーテン1が巻き取られながら上昇して全開姿勢となる。
【0019】
図1Aに示すように、シャッターカーテン1の高さ方向中間部位よりも下方に位置して施錠装置19が設けてある。施錠装置19は、シャッターカーテン1の所定高さ位置のスラット10に設けられ、スラット10の長さ方向中央部位に設けた操作部190と、操作部190からスラット10の長さ方向両端部へ向けて水平に延びる左右のロッド191と、左右のロッド191の先端に形成された多段状の爪部を備えた係止部192と、を備え、ガイドレール3内には開口部全閉状態の施錠装置19の高さ位置に対応して被係止部(図示せず)が設けてある。開口部全閉状態において、施錠装置19の操作部190を回動することで、スラット10の長さ方向端縁103から係止部192が突出して被係止部に係止し、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1の上動が規制される。施錠装置19は、開口部全閉状態におけるシャッターカーテン1の上動を規制するものであり、係止部192と被係止部の係合状態は、係止部192の上動を規制するように係合されており、この施錠装置19の係合状態は、スラット10の端部がガイドレール3から抜け出るような動きに対抗することはできない。
【0020】
巻取体2の長さ方向両端部は、左右の板状のブラケットBに支持されている。本実施形態では、建物開口部の上方にはシャッターケース20が設けてあり、巻取体2はシャッターケース20内に位置している。すなわち、シャッターケース20は、巻取体2に巻き取られたシャッターカーテン1を収納するシャッター収納空間を提供している。なお、本実施形態では、シャッターケース20がシャッター収納空間となっているが、天井内空間がシャッター収納空間を形成するものでもよい。シャッターケース20の下面には、建物開口部の全幅に亘って、昇降時にシャッターカーテン1が通過する横長の開口が形成されており、横長の開口に近接して、建物開口部の全幅に亘って延びる内まぐさ21、外まぐさ22が設けてある。内まぐさ21、外まぐさ22の長さ方向両端部は、左右のブラケットB(上部ガイド23)に支持されている。ガイドレール3は、建物開口部の全高に亘って延びており、ガイドレール3の上端には、内まぐさ21、外まぐさ22の高さ位置に対応して、上方に向かって拡開状の上部ガイド23が設けてある。
図2Aに示すように、上部ガイド23は、ブラケットBの下方部位に固定されている。上部ガイド23は、上端に向かって湾曲状に拡開する一対のガイド部230、230と、垂直状の底片231(上下に傾斜状のテーパ2310、2311が形成されている)と、が形成されており、ガイド部230の下面232の下側には、ガイドレール3の上端36を受け入れる凹状部を備えており、凹状部の前側には、開口部全開状態に、座板11の幅広部111が当接する被当接部233が形成されている。一対のガイド部230、230の下端部位の溝幅は、ガイドレール3のガイド溝35の幅と略同じである。
【0021】
開口部全閉状態において、シャッターカーテン1の下端の座板11は床面FLないし地面等に着床している。座板11の長さ方向両端部は、ガイドレール3の内部に位置している。本実施形態に係る座板11は、最下端のスラット10に連結された立ち上がり部110と、立ち上がり部110の下端に位置して水平状に延びる幅広部111と、を備えており、立ち上がり部110の長さ方向の左右両端部がガイドレール3の内部に位置している。幅広部111の長さ寸法は、開口幅寸法よりも短く、ガイドレール3のガイド溝35(
図21(C))の幅よりも幅広であり、幅広部111の下面が床面FLに当接している。座板11は、スラット10に比べて肉厚で頑丈にできており、スラット10よりも機械的強度が大きい。
【0022】
図2に示すように、開口部全閉状態において、シャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´が開口高に亘って建物開口部を閉鎖しており、略垂直姿勢にあるシャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´のスラット10の幅方向両端部はガイドレール3の溝内に位置している。略垂直姿勢にあるシャッターカーテン1の上方部位1Dを構成するスラット10は、シャッターケース20内に位置しており、これらのスラット10の長さ方向両端部位は、ガイドレール3の上端の上方に位置している。シャッターケース20の下端に位置するスラット10は、内外のまぐさ21、22の間に位置して、長さ方向両端部が上部ガイド23内に位置している。
【0023】
図1、
図2、
図24に示すように、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´の高さ方向の中間部位に位置する複数枚のスラット(本実施形態では4枚)10の長さ方向両端部には可動式の耐風フックFが設けてある。可動式の耐風フックFは、可動の爪部4を備えている。シャッターカーテン1の開閉時や通常の開口部全閉時には、爪部4は収納姿勢にあり、開口部全閉時に爪部4が突出姿勢となることで耐風フックとして機能するようになっている。ガイドレール3の内部には、開口部全閉姿勢におけるシャッターカーテン1の各耐風フックFの高さ位置に対応する高さに位置して、フック受け16が設けてある。
【0024】
[B]耐風フック
[B-1]概要
本実施形態に係る耐風フックFは、耐風フック組立体ないし耐風フックユニットであり、爪部4(
図4)、中間板5(
図5)、圧迫板6(
図6)、操作板7(
図7)、底板8(
図8)、蓋板9(
図9)、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13、ロックスプリング14、から組み立てられている。これらの要素は、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13を除いて、板状要素であり、所定形状の金属板を折り曲げたり打ち抜いたりすることで得られる。
【0025】
図3に示すように、本実施形態では、底板8と蓋板9とから可動式耐風フックFのケース(底板8の底面部80、蓋板9の上面部90、垂下壁91、第1側壁92、第2側壁93から5面が閉塞され、先端側が開口している)が形成されており、内部に、爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13、ロックスプリング14が収納されている。本実施形態に係る耐風フックFは、取付板15(
図10)を介して、スラット10の面部に取り付けられる。より具体的には、スラット10の長さ方向端部に取付板15を固定し、この取付板15に対して耐風フックFのケース(底板8の底面部80)を取り付けるようになっている。
【0026】
爪部4は、収納姿勢と係止姿勢との間で可動であり、操作板7、中間板5、圧迫板6は、スライド移動可能である。操作板7のスライド移動に連動して、爪部4は、収納姿勢から係止姿勢、係止姿勢から収納姿勢へ移動するようになっている。操作板7と中間板5は、第1コイルスプリング12を介して連結されており、操作板7のスライド移動に連動して中間板5がスライド移動するようになっている。爪部4の基端側部位は、中間板5の先端側部位に遊びを持って係止ないし遊嵌しており、中間板5のスライド移動に連動して、爪部4が、収納姿勢と係止姿勢との間で可動となっている。中間板5と圧迫板6は、第2コイルスプリング13を介して連結されており、圧迫板6は、操作板7のスライド移動に連動する中間板5のスライド移動に連動して、操作板7及び中間板5と一体でスライド移動可能となっている。
【0027】
以下に、耐風フックFを構成する各要素について詳細に説明する。説明は、主として各図に示す各要素の姿勢に基づくものであり、耐風フックFが実際にスラット10に取り付けられた時の各要素の姿勢とは異なる点に留意されたい。本明細書において、耐風フックFがスラット10の長さ方向端部に取り付けられた状態において、スラット10の長さ方向中央から遠い側を先端側ないし前側、近い側を基端側ないし後側という。操作板7が最も基端側ないし後側に移動した時の位置を第1位置、最も先端側ないし前側に移動した時の位置を第2位置と呼び、操作板7が第1位置から第2位置へスライド移動する方向(先端側ないし前方へ向かう方向)を第1の方向、第2位置から第1位置へスライド移動する方向(基端側ないし後方へ向かう方向)を第2の方向という。
【0028】
[B-2]爪部
図4に示すように、爪部4は、前側部分40と後側部分41とから側面視「く」状に一体形成された本体を備え、本体の先端(前側部分40の先端)には側面視「レ」状の係止片42が折り返し状に一体形成されている。前側部分40と係止片42との角度は鋭角である。
【0029】
爪部4の基端側部位は、後側部分41の基端側部位41´と、基端側部位41´の幅方向両端部位から垂下する一対の垂下片43と、一対の垂下片43の間に位置して、基端側部位41´から垂直に立ち上がる立ち上がり片44と、を備えている。後側部分41と垂下片43の角度は略直角であり、後側部分41と立ち上がり片44の角度は略直角である。側面視において、垂下片43と立ち上がり片44は直線状に延びており、この直線に対して後側部分41が垂直に延びている。係止片42と立ち上がり片44は、本体(前側部分40と後側部分41)に対して同じ側(
図4の態様では上側)に折り曲げ形成されている。
【0030】
爪部4は、可動要素であって、シャッター開閉時や通常の開口部全閉状態では、収納姿勢にあって、シャッターの開閉動作を妨げることがないようになっている。爪部4は、第1位置にある操作板7が第1の方向にスライド移動することに連動して、収納姿勢から先端に向かってスライド移動してケース先端(上面部90の先端縁900、第1側壁92の先端縁921、第2側壁93の先端縁931)から突出し、さらに、回動して、係止姿勢を取るようになっている。爪部4が係止姿勢にある時に操作板7は第2位置にあり、第2位置にある操作板7が第2の方向にスライド移動することに連動して、爪部4は係止姿勢から収納姿勢となる。
【0031】
[B-3]中間板
図5に示すように、中間板5は、所定の長さ寸法、幅寸法を備えた概ね長方形状の面部50を備え、面部50の先端側は幅広部51となっており、面部50の先端(幅広部51の先端)には、幅広部51の全幅に亘って垂直状に立ち上がる立ち上がり片52が形成され、幅広部51の基端側には、垂直状に立ち上がる一対の立ち上がり片53が形成されている。
【0032】
面部50の基端には立ち上がり片54が形成されている。面部50には長さ方向に延びる開口55が形成されており、開口55の基端は立ち上がり片54まで達しており、立ち上がり片54には第1コイルスプリング12の基端側(後端)の連結部540が形成されている。開口55の先端には第2コイルスプリング13の先端側(前端)の連結部である立ち上がり片56が形成されている。
【0033】
面部50の側縁500には、面部50の長さ方向中央よりも基端側に位置して、幅方向に突出する一対の突片57が形成されている。各突片57は面部50の先端側に位置する前縁570を備えている。
【0034】
中間板5の先端側には、幅広部51の幅方向両端部位において、立ち上がり片52と、立ち上がり片53と、が形成されており、立ち上がり片52と、立ち上がり片53と、幅広部51の幅方向両端部位から一対の凹溝58が形成されている。幅広部51の幅寸法は、爪部4の幅寸法と略同じである。立ち上がり片53の幅寸法は、爪部4の垂下片43の幅寸法よりも僅かに大きい。爪部4の立ち上がり片44の幅寸法は、中間板5の左右の立ち上がり片53間の距離よりも小さい。立ち上がり片52の高さは、立ち上がり片53の高さよりも低い。凹溝58には爪部4の基端側部位の垂下片43が遊びを有した状態で受け入れられるようになっており、爪部4の基端側部位の垂下片43は、凹溝58に受け入れられた状態で回動可能である。
【0035】
[B-4]圧迫板
図6に示すように、圧迫板6は、略方形状の面部60と、面部60の先端の幅狭の当接部61と、面部60の基端の幅狭の垂下片62と、を備えている。面部60には、前後方向に延びる開口63が形成されており、開口63の後端は垂下片62の上半部まで達しており、垂下片62の下半部には第2コイルスプリング13の後端側の連結部620が形成されている。
【0036】
圧迫板6の先端に形成された当接部61の幅寸法は、爪部4の立ち上がり片44の幅寸法及び中間板5の一対の立ち上がり片53間の寸法よりも小さい。圧迫板6は、面部60の先端側の幅方向両端部の下面を、中間板5の立ち上がり片53の上端に載置(当接)させ、かつ、当接部61を、爪部4(垂下片43が凹溝58に受け入れられている)の立ち上がり片44の外面に当接させ、面部60を中間板5の面部50の前側部位に対向させ、面部60の基端側の垂下片62の下端を面部50の上面に当接させた状態でセットされる。圧迫板6を中間板5に対してセットした状態では、中間板5の立ち上がり片56は、圧迫板6の面部60の開口63の前方に位置する。
【0037】
中間板5の立ち上がり片56は、圧迫板6の連結部620に対して、前方に所定距離離れている。第2コイルスプリング13は、引張コイルスプリングであり、引張した状態で、先端側(前端)が中間板5の立ち上がり片56に連結され、基端側(後端)が圧迫板6の連結部620に連結されている。中間板5の先端側立ち上がり片53の外面(後側の面)には底板8の第1側壁81、第2側壁82の先端が当接しており、中間板5の後方側への移動が規制されている(なお、この移動規制は任意であって、移動を規制しないようにしてもよい)。中間板5と圧迫板6を連結する第2コイルスプリング13の付勢力は、圧迫板6を前方に移動させるように作用し、圧迫板6の先端の当接部61は、爪部4の基端側部位の立ち上がり片44を押圧するように当該立ち上がり片44に当接している。
【0038】
第2コイルスプリング13が中間板5及び圧迫板6に取り付けられた状態において、中間板5の面部50の前側部位と圧迫板6の面部60は対向しており、第2コイルスプリング13は、上側の一部が面部60の開口63に位置し、下側の一部が面部50の開口55に位置するようになっている。第2コイルスプリング13に位置して開口55、63を形成することで、中間板5の面部50と圧迫板6の面部60との間の間隔を可及的に小さくして、可動式耐風フックFのケースの厚さを薄くして、コンパクトにしている。なお、開口55、63に代えて、面部50、60に凹状の溝部を係止して、第2コイルスプリング13を部分的に受け入れるようにしてもよい。
【0039】
圧迫板6は、中間板5の上に載っており、中間板5の前後のスライド移動に伴って中間板5と共にケース内で前後にスライド移動するが、圧迫板6は中間板5の上にスライド可能に載っており、第2コイルスプリング13の長さの変化に応じて、中間板5に対して相対的にスライド移動可能である。
【0040】
[B-5]操作板
図7に示すように、操作板7は、平面視略方形状の面部70と、面部70の先端に位置して垂下する垂下片71と、面部70の基端に位置して垂下する垂下片72と、垂下片72の下端から後方に向かって伸びる後面部73と、後面部73の後端から立ち上がる立ち上がり片74と、を備えている。垂下片71、72の幅寸法は、面部70の幅寸法よりも僅かに小さく、後面部73、立ち上がり片74の幅寸法は、垂下片72の幅寸法と同じである。
【0041】
垂下片71の下端部位は所定幅に切り欠かれて凹部710が形成されている。凹部710の幅寸法は、中間板5の面部50の幅寸法よりも僅かに大きく、垂下片71は、凹部710に中間板5の面部50を受け入れた状態で下端が底板8の底面部80に当接し、垂下片71の内面(後側の面)が、中間板5の突片57の前縁570に当接ないし係止するようにしてセットされる。この時、操作板7の面部70は中間板5の面部50の後側部位に対向している。すなわち、中間板5の面部50の前側部位には圧迫板6の面部60が対向しており、中間板5の面部50の後側部位には操作板7の面部70が対向しており、平面視において、圧迫板6の面部60と操作板7の面部70が前後方向に並んでケース内に納まっている。
【0042】
操作板7の面部70には、前端から後方に向かって開口75が形成されており、垂下片71には第1コイルスプリング12の前端の連結部711が形成されている。操作板の垂下片71の連結部711は、中間板5の立ち上がり片54の連結部540に対して、前方に所定距離離れている。第1コイルスプリング12は、引張コイルスプリングであり、所定長に引張された状態で、先端側(前端)が垂下片71の連結部711に連結され、基端側(後端)が立ち上がり片54の連結部540に連結されている。
【0043】
操作板7は先端の垂下片71の内面が中間板5の突片57の前縁570に係止することで、中間板5に対して後方への移動が規制されており、中間板5は先端の立ち上がり片53の外面が底板8の第1側壁81、第2側壁82の先端縁(前端縁)810、820に当接することで、後方への移動が規制されている。操作板7と中間板5を連結する第1コイルスプリング12の付勢力は、操作板7を前方にスライド移動させる力に対抗するように作用し、操作板7を前方にスライド移動させる際に、第1コイルスプリング12が引張された長さを保持しつつ、操作板7と中間板5が一体で先端側に移動するようになっている。
【0044】
第1コイルスプリング12が中間板5及び操作板7に取り付けられた状態において、中間板5の面部50の後側部位と操作板7の面部70は対向しており、第1コイルスプリング12は、上側の一部が面部70の開口75に位置し、下側の一部が面部50の開口55に位置するようになっている。第1コイルスプリング12に位置して開口55、75を形成することで、中間板5の面部50と操作板7の面部70との間の間隔を可及的に小さくして、可動式耐風フックFのケースの厚さを薄くして、コンパクトにしている。なお、開口55、75に代えて、面部50、70に凹状の溝部を係止して、第1コイルスプリング12を部分的に受け入れるようにしてもよい。
【0045】
図7、
図20に示すように、操作板7の面部70の一方の側縁700には、底板8の第2側壁82に取り付けたロックスプリング14が位置する凹部701が形成されている。凹部701は、平面視前側の傾斜縁702、後側の傾斜縁703、底縁704から平面視概ね台形状であり、凹部701の底縁704には、先端側に位置する第1突部76、基端側に位置する第2突部77が形成されている。第1突部76の前側に位置して第1嵌合受部78が形成されており、第2突部77の後側に位置して第2嵌合受部79が形成されている。本実施形態に係るロックスプリング14は板バネであって、突状の嵌合突部140を備えている。
【0046】
ロックスプリング14の嵌合突部140が第1嵌合受部78と嵌合状態(第1嵌合状態)にある時には、操作板7は第1位置にあり、耐風フックFは非作動状態(爪部4は収納姿勢)にある。操作板7の第1位置は、ロックスプリング14の嵌合突部140が第1嵌合受部78と嵌合状態(第1嵌合状態)となることで保持される。ロックスプリング14の嵌合突部140が第2嵌合受部79と嵌合状態(第2嵌合状態)にある時には、操作板7は第2位置にあり、耐風フックFは作動状態(爪部4は係止姿勢)にある。操作板7の第2位置は、ロックスプリング14の嵌合突部140が第2嵌合受部79と嵌合状態(第2嵌合状態)となることで保持される。第1嵌合状態及び第2嵌合状態は、操作板7の立ち上がり片74に指を掛けて、手動で操作板7をスライド操作することによって解除可能である。操作板7が第1位置と第2位置の間で前後方向にスライド移動する際には、ロックスプリング14の嵌合突部140が凹部701の底縁704に摺接する(
図13、
図14参照)。
【0047】
図20に示すように、操作板7の面部70の上面には、前後方向に隣接して前側に位置して第1表示部G、後側に第2表示部Rが設けてある。第1表示部Gは、耐風フックFが非作動状態にあることを示し、第2表示部Rは、耐風フックFが作動状態にあることを示す。第1表示部Gと第2表示部Rは視覚的に識別可能となっている。典型的には、第1表示部Gと第2表示部Rは色で識別可能となっている。本実施形態では、第1表示部Gは緑色のシールであり、第2表示部Rは赤色のシールである。なお、色シールは例示であって、第1表示部G、第2表示部Rは、所定の色の塗料を面部70の所定領域に塗布したものでもよく、塗料は蛍光塗料や蓄光塗料であってもよい。また、第1表示部Gと第2表示部Rは、記号や文字によって識別可能であってもよい。
【0048】
[B-6]底板
図8に示すように、底板8は、底面部80と、底面部80の側縁から対向状に立ち上がる第1側壁81、第2側壁82とを備えている。第1側壁81は垂直状の先端縁810を備え、後端には係止突縁811が形成されている。第2側壁82は垂直状の先端縁820を備え、後端には係止突縁821が形成されている。第1側壁81、第2側壁82の長さ寸法は、底面部80の長さ寸法よりも短く、底面部80は、第1側壁81、第2側壁82の先端縁810、820よりも前方に位置する前側部80Aと、第1側壁81、第2側壁82に対応する中間部80Bと、第1側壁81、第2側壁82の後側に位置する後側部80Cと、を備えている。底面部80(前側部80A)の先端には湾曲状の周縁を備えた突片83が突成されている。底面部80(後側部80C)の後端側には、立ち上がり片84と、水平片85と、垂下片86が形成されている。シャッター開閉時や開口部全閉姿勢時に、スラット10が開口部幅方向に片寄ると、突片83がガイドレール3の底壁32の内面に接触し得るが、突片83の湾曲状の周縁が底壁32の内面や底片231(テーパ2310、2311)に摺接することで、シャッターの円滑な開閉を可能とする。
【0049】
第1側壁81、第2側壁82の前方部位と底面部80との間にはスリット87が形成されている。底面部80には、前側部80Aの基端及び中間部80Bの側方に位置して開口ないし切り欠き部801が形成されており、スリット87は前側部80Aの基端の切り欠き部801と一体形成されている。第1側壁81、第2側壁82の前端側には、螺子孔812、822が形成されている。
【0050】
第2側壁82の後側半部には、ロックスプリング14を装着するための凹状の切り欠きが形成されている。凹状の切り欠きの底縁には、両端に近接して突片823、823が形成されており、突片823の前側、後側に隣接して被係止部824、824が形成されており、突片823間に空間825が形成されている。ロックスプリング14は板バネであって、突状の嵌合突部140と、嵌合突部140の両側に位置する細幅片141、141と、細幅片141、141の先端の湾曲状の係止片142、142と、を備えており、係止片142、142を、被係止部824、824に係止させ、細幅片141、141、嵌合突部140を第2側壁82の内側に位置させて、嵌合突部140が内側に突出するように取り付けられ、嵌合突部140は、操作板7の面部70の側縁700の凹部701に位置することになる(
図12等参照)。ロックスプリング14の嵌合突部140が、第1突部76、第2突部77を乗り越える時に、嵌合突部140が空間825に入り込むようになっている。
【0051】
底板8の底面部80と第1側壁81、第2側壁82間に囲まれた空間には、操作板7、中間板5、圧迫板6が底面部80の長さ方向にスライド移動可能に収容される。中間板5の面部50の幅寸法は、第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法よりも小さく、一対の突片57の先端間の寸法は、第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法と略同じ(僅かに小さい)であり、第1側壁81、第2側壁82に対して摺動可能となっている。圧迫板6の面部60の幅寸法、操作板7の面部70の幅寸法は、第1側壁81、第2側壁82間の寸法と略同じ(僅かに小さい)であり、第1側壁81、第2側壁82に対して摺動可能となっている。中間板5の先端側の幅広部51の幅寸法は、第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法よりも大きく、第1側壁81、第2側壁82の外面間の寸法と略同じである。
【0052】
底板8に中間板5をセットした状態において、第1側壁81、第2側壁82の先端縁810、820が、中間板5の第2立ち上がり片53の外面に当接しており、中間板5にセットした操作板7の面部70の基端の垂下片72は、第1側壁81、第2側壁82の後端と略一致している。
【0053】
[B-7]蓋板
図9に示すように、蓋板9は、平面視長方形状の上面部90と、上面部90の基端の垂下壁91と、上面部90の幅方向両端の側縁から垂下する第1側壁92と、第2側壁93と、を備えており、先端側は開放状となっている。蓋板9の長さ寸法は、底板8の長さ寸法よりも短く、底板8の側壁81、82の長さ寸法よりも長い。上面部90の先端側には開口94が形成されており、上面部90の基端側には開口95が形成されている。第1側壁92、第2側壁93には、上面部90の開口94の後方に位置する部位において、U字状の挿通孔920、930が形成されている。基端の垂下壁91の下端を切り欠いて凹部910が形成されている。凹部910の幅寸法は、操作板7の後面部73の幅寸法よりも僅かに大きい。
【0054】
開口94には、爪部4の基端側部位の立ち上がり片44が位置するようになっている。爪部4の立ち上がり片44は、爪部4の移動時に、開口94内を前後方向に移動する。開口94は後側の第1縁部940と、前側の第2縁部941を備えており、操作板7が第1位置ある時に、立ち上がり片44は第1縁部940に近接ないし当接しており、操作板7が第1の方向に移動する時に、立ち上がり片44は開口94内を前方に移動して第2縁部941に当接するようになっている。
【0055】
開口95には、操作板7の面部70の部分が露出するようになっており、操作板7が第1位置ある時に、第1表示部Gが開口95に位置して露出し、操作板7が第2位置にある時に、第2表示部Rが開口95に位置して露出するようになっている。
【0056】
蓋板9の第1側壁92と第2側壁93の内面間の寸法は、底板8の第1側壁81と第2側壁82の外面間の寸法よりも僅かに大きく、底板8に対して蓋板9を被せることで耐風フックFのケースを形成するようになっている。垂下壁91の幅方向両端部の上半部に位置して、係止孔96が形成されており、底板8の第1側壁81、第2側壁82の後端の係止突縁811、821を係止孔96に係止させることで、底板8の長さ方向に対する蓋板9の位置決めをしている。この時、蓋板9の第1側壁92、第2側壁93の挿通孔920、930が、底板8の第1側壁81、第2側壁82の螺子孔812、822にそれぞれ一致しており、螺子17によって、蓋板9の第1側壁92、第2側壁93を底板8の第1側壁81、第2側壁82に固定するようになっている。
【0057】
[B-8]耐風フックの組立
底板8に対して、中間板5、爪部4、圧迫板6、操作板7、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13、ロックスプリング14を配置してセットし、蓋板9を被せることで、底板8と蓋板9からなるケース内に、これらの要素を収納して耐風フックユニットを形成するようになっている。セット時には、爪部4が収納姿勢で操作板7が第1位置にある状態として、蓋板9を被せて、蓋板9を底板8に固定することで、各要素の位置を固定する。
【0058】
中間板5の幅広部51の幅寸法は、底板8の第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法よりも大きく、第1側壁81、第2側壁82の先端の先端側に位置している。中間板5の突片57間の寸法は、底板8の第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法と略同じであり、中間板5は面部50を底面部80の上面に載置した状態で、長さ方向にスライド可能となっている。中間板5は、面部50を底板8の底面部80に載せて、先端側の幅広部51の幅方向両端の立ち上がり片53の外面を底板8の第1側壁81、第2側壁82の先端縁810、820に当接させた状態でセットされる。この状態から、中間板5は前方にスライド移動可能である。
【0059】
爪部4は、本体(前側部分40と後側部分41)の折れ曲がり部を底板8の底面部80の前側部80Aに当接させ、基端側部位(後側部分41の基端側部位41´と垂下片43で形成される隅部)を中間板5の先端側部位の一対の立ち上がり片52に係止させた姿勢とする。爪部4の基端側部位の垂下片43と立ち上がり片44は、凹溝58の底面(幅広部51)に対して傾斜姿勢にあり、また、一対の垂下片43は遊びを有した状態で凹溝58に受け入れられている。この状態から、爪部4は本体の折れ曲がり部が底板8の底面部80の前側部80Aに摺接しながら前方にスライド移動可能であり、かつ、前側部80Aから立ち上がるように回動可能である。
【0060】
操作板7の面部70の幅寸法は、底板8の第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法と略同じであり、垂下片71の内面の下端部位が中間板5の突片57の前縁570に当接し、下端が底板8の底面部80の上面に当接し、後面部73が底板8の底面部80の上面に当接した状態で設けられる。この時、操作板7の面部70の上面は水平状に延びている。
【0061】
第1コイルスプリング12は、外力が作用しない自然長の状態から引張した状態で、先端が操作板7の連結部711に連結され、基端が中間板5の連結部540に連結されており、第1コイルスプリング12は、上側の一部が面部70の開口75に位置し、下側の一部が面部50の開口55に位置するようになっている。
【0062】
操作板7の面部70の側縁700の第1嵌合受部78に、底板8の第2側壁82に取り付けたロックスプリング14の嵌合突部140を嵌合させて第1嵌合状態とすることで、操作板7の第1位置がロックされる。この状態から、第1嵌合状態を解除することで、操作板7は前方にスライド移動可能である。
【0063】
圧迫板6の幅寸法は、底板8の第1側壁81、第2側壁82の内面間の寸法と略同じであり、先端側部位の左右端部が凹溝58を形成する立ち上がり片53の上端に載置し、垂下片62の下端が中間板5の面部50の上面に当接した状態で設けられる。この時、圧迫板6の面部60は水平状に延びている。
【0064】
第2コイルスプリング13は、外力が作用しない自然長の状態から引張した状態で、先端が中間板5の連結部(立ち上がり片56)に連結され、基端が圧迫板6の連結部620に連結されており、第2コイルスプリング13は、上側の一部が面部60の開口63に位置し、下側の一部が面部50の開口55に位置するようになっている。
【0065】
圧迫板6は、先端の当接部61が、爪部4の基端側部位の傾斜姿勢立ち上がり片44を前方へ押圧するように当接している。この状態から、圧迫板6は、操作板7及び中間板5と一体で前方にスライド移動可能である。
【0066】
底板8に中間板5、爪部4、操作板7、圧迫板6をセットした状態で、蓋板9を被せ、底板8の第1側壁81、第2側壁82の後端の係止突縁811、821を係止孔96に係止させて位置決めした状態で、螺子17によって、蓋板9の第1側壁92、第2側壁93を底板8の第1側壁81、第2側壁82に固定する。中間板5の幅広部51の幅寸法は、蓋板9の第1側壁92、第2側壁93の内面間の寸法と略同じであり(僅かに小さい)、中間板5の幅広部51の幅方向両端縁は、蓋板9の第1側壁92、第2側壁93の内面に摺接している。中間板5の突片57の幅方向端縁は底板8の第1側壁81、第2側壁82の内面に摺接している。したがって、中間板5は前側がケース内面に摺接し、後側がケース内面に摺接しており、ケースに対して安定してスライド(摺動)可能となっている。操作板7の後面部73は凹部910を通って後方に延びており、立ち上がり片74が、操作板7をスライド操作する際の指掛け部となっている。爪部4の一部は、上面部90の先端縁900、第1側壁92の先端縁921、第2側壁93の先端縁931よりも前方に位置している。爪部4の基端側部位の立ち上がり片44は、開口94の第1縁部940に寄った側に位置している。蓋板9の上面部90と操作板7の面部70は近接対向しており、開口95には操作板7の面部70の第1表示部Gが露出している。ケースの基端側部位の表面には、上面部90、第1側壁92、第2側壁93を覆うように傷防止シール97が貼り付けてあり、シャッターカーテン1の巻取時にケース表面とスラット10が直接接触することを防止している。
【0067】
[B-9]取付板
可動式耐風フックFは、取付板15を介して、スラット10の長さ方向端部に取り付けられる。
図10に示すように、取付板15は平面視長方形状の面部150からなる。面部150は長さ方向に延びる側縁1500、1500と、前端縁1501と、を備え、側縁1500、1500の長さ方向の中間より前方に位置して一対のスライド係止片151が立ち上がり状に形成されている。面部150の後端側には立ち上がり片152が形成され、さらに、立ち上がり片152から後方に向かって後片153が形成されており、後片153には螺子孔154が形成されている。
【0068】
図17に示すように、スラット10は、所定高さの面部100と、面部100の上端に一体形成された上側インターロック部101と、面部100の下端に一体形成された下側インターロック部102と、からなり、面部100は側面視ないし断面視において膨出状ないし略台形状である。本明細書において、膨出した側を表面、凹んだ側を裏面とする。スラット10の裏面側には空間が形成されており、この空間に納まるように耐風フックFが取り付けられる。
【0069】
図17、
図18を参照しつつ、本実施形態に係る耐風フックFの取り付けについて説明する。
図17に示すように、取付板15の面部150の裏面を、スラット10の面部100の裏面に当接させ、取付板15の前端縁1501を、スラット10の長さ方向端縁103に一致させて、リベット155で固定する。
【0070】
スラット10の裏面の長さ方向端部に位置して取り付けた取付板15に対して、耐風フックFを取り付ける。
図17、
図18上図に示すように、取付板15の面部150の表面に、耐風フックFの底板8の底面部80を正面から仮取り付けする。この時、一対のスライド係止片151を、底面部80に形成されたスリット87に挿入させて、底面部80を面部150の表面に当接させる。リベット155は、底面部80に形成された切り欠き部801内に位置している。底面部80の後方の立ち上がり片84は取付板15の面部150の後方の立ち上がり片152に当接しており、水平片85は後片153に当接している。
【0071】
図18上図の状態から、取付板15に対して耐風フックFを先端側へスライド移動させることで、スライド係止片151に対してスリット87が移動することで、スライド係止片151とスリット87が係止して、
図18下図の状態となる。
図18下図において、耐風フックFの底面部80の先端縁800はスラット10の長さ方向端縁103に一致しており、突片83はスラット10の長さ方向端縁103から突出している。後片153の螺子孔154と水平片85の挿通孔850は一致しており、耐風フックFの後端側部位と取付板15の後端側部位を螺子18で固定する。なお、
図18下図において、リベット155は切り欠き部801の略中央に位置している。耐風フックFを取り外す際には、螺子18を取り外して、耐風フックFを取付板15に対して、スライド係止片151とスリット87の係止状態を解除させる方向にスライドさせればよい。耐風フックFを取付板15を介して、スラット10に取り付けることで、耐風フックFの交換作業が容易となる。
【0072】
[B-10]フック受け
ガイドレール3の内部には、作動状態にある耐風フックFが係止可能なフック受け16が設けてある。
図2、
図21(C)に示すように、ガイドレール3はガイドレール下地材3´を介して躯体ないし壁体Wから持ち出し状に取り付けられている。ガイドレール3は、対向状の第1側壁30、第2側壁31と、第1側壁30、第2側壁31の基端側を接続する底壁32と、から断面視コ字形状を備え、第2側壁31がガイドレール下地材3´に固定されている。第1側壁30の前側部位33と第2側壁31の前側部位34との間にスラット10の長さ方向端部を受け入れるガイド溝35が形成されている。ガイドレール3の内部において、ガイド溝35から同幅で底壁32に延びる空間がスラット端部受け入れ空間となっている。本実施形態では、フック受け16は、ガイドレール3の所定高さに位置して、ガイドレール3の第1側壁30の内面に固定される。フック受け16は、ガイドレール3の内部に設けられるが、スラット端部受け入れ空間には位置しておらず、シャッターカーテン1の開閉動作に影響を与えることが無い。なお、本実施形態に係るシャッターは正巻であるが、シャッターが逆巻の場合には、ガイドレール3の第2側壁1に代えて第1側壁30がガイドレール下地材3´に固定される。したがって、正巻の場合には、フック受け16はシャッター芯に対して、ガイドレール下地材3´から遠い側に位置するが、逆巻の場合には、フック受け16はシャッター芯に対して、ガイドレール下地材3´に近い側に位置することになる。
【0073】
図11に示すように、フック受け16は、ガイドレール3の見付方向に延びる第1辺160と、ガイドレール3の見込方向に延びる第2辺161と、から平面視ないし断面視L形状を有しており、第1辺160をガイドレール3の第1側壁30の内面に固定してなり、第2辺161はガイドレール3の内部において第1側壁30から見込方向に延びている。本実施形態では、上下の2箇所で第1側壁30に固定されているが、3箇所以上で固定してもよい。第2辺161の幅寸法は、第2辺161がガイドレール3の内部に受け入れられたスラット10の長さ方向端部に緩衝しない寸法となっている。フック受け16は、開口部全閉状態における各耐風フックFの高さに対応した高さ位置に固定されている。本実施形態では、各耐風フックFに対応して1つのフック受け16が設けてあり、
図1に示すように、左右それぞれ4つのフック受け16が設けてある。フック受け16は所定の高さを備えた長尺部材であり、本実施形態では、スラット10の高さ寸法よりも高い。
【0074】
フック受け16の上端には上面162が形成されており、下端には下面163が形成されている。上面162及び下面163は平面視長方形状であり、第1辺160よりも大きい見付寸法を備えているが、第2辺161と略同じ見込寸法を備えており、通常時のシャッターカーテン1の昇降を妨げないようになっている。
係止姿勢にある爪部4がそのまま上動すると、上面162に当接して、それ以上のシャッターカーテン1の上動を規制するようになっている。本実施形態に係るフック受け16は上下対称形状となっており、上下を反転させた時には、下面163は被当接部として機能するようになっている。上下反転させて用いることを考慮しない場合には、下面163は任意要素である。フック受け16は所定形状の板材を折り曲げ形成して一体的に形成されている。
【0075】
[C]耐風フックの動作
操作板7、中間板5、圧迫板6は、底板8と蓋板9からなるケースに対して前後方向に移動可能に収納されており、爪部4は、操作板7のスライド移動操作に連動して、収納姿勢と係止姿勢との間で可動となっている。耐風フックFの各要素の動作について、
図12~
図16を参照しつつ、詳細に説明する。なお、
図12~
図16は本実施形態に係る耐風フックFの各要素の姿勢や位置を例示するものであって、各要素の姿勢や位置についての説明は本発明を限定する目的で解釈されるものではない点に留意されたい。
【0076】
図12は、操作板7が第1位置にあり、耐風フックの爪部4が収納姿勢にある状態を示している。爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7は、基端側に位置している。
図15は、操作板7が第2位置にあり、耐風フックの爪部4が係止姿勢にある状態を示している。爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7は、先端側に位置している。
図13は、
図12の状態から、爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7が前方に移動して、爪部4の基端側部位の立ち上がり片44が開口94の第2縁部941に当接した状態を示す図であり、
図14は、
図13の状態から中間板5、操作板7が前方に移動し、爪部4が回動する状態を示す図であり、
図14の状態から
図15の状態となる。
図12に示す状態から
図15に示す状態は一連の動作である。
図16は、
図15に示す状態において、爪部4を押し込むような力が作用した状態を示す図である。
【0077】
[C-1]耐風フックの非作動状態
図12において、爪部4は収納姿勢にあり、耐風フックFが非作動状態にある。耐風フックFの非作動状態における各要素の姿勢・位置について説明する。爪部4の本体は、前側部分40と後側部分41の折り曲り部が底板8の底面部80の前側部80Aの上面に当接し、前側部分40及び後側部分41は底面部80の前側部80Aの上面から傾斜状に立ち上がるように延びている。爪部4の基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44は、立ち上がり片44の上端が前方、垂下片43の下端が後方となるような位置関係で、凹溝58の底部に対して側面視傾斜姿勢にある。前側部分40の先端側部位及び係止片42は、蓋板9の先端縁900、第1側壁92の先端縁921、第2側壁93の先端縁931よりも先端側に位置し、爪部4の係止片42が底面部80の先端縁800の内側に位置し、係止片42の先端が蓋板9の上面部90と略同じ高さ位置にある。底板8の底面部80の先端縁800及び突片83は、爪部4の前側部分40の先端側部位及び係止片42の前方に位置している。
【0078】
爪部4の立ち上がり片44は開口94の第1縁部940に接触ないし近接している。爪部4の垂下片43は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53から先端側に僅かに離間して位置しており、垂下片43、および/あるいは、後側部分41の基端側部位41´は立ち上がり片52に接触ないし近接している。1つの態様では、垂下片43の基端側と後側部分41の基端側部位41´で形成される隅部が、立ち上がり片52の上端に係止している。なお、垂下片43が、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53に近接ないし接触していてもよい。
【0079】
圧迫板6の面部60の先端側部位の下面は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53の上端に当接しており、当接部61は、爪部4の基端側部位の傾斜姿勢にある立ち上がり片44に当接して、立ち上がり片44を先端側へ押圧している。底板8の第1側壁81、第2側壁82の先端縁810、820は、中間板5の先端側の幅広部51に形成した立ち上がり片53の外面に当接している。操作板7の垂下片71は、凹部710に中間板5の面部50を受け入れた状態で、垂下片71の内面が、中間板5の突片57の前縁570に当接している。ロックスプリング14の嵌合突部140が、操作板7の面部70の側縁700に形成した第1嵌合受部78と嵌合状態(第1嵌合状態)にあり、操作板7は第1の位置が保持されている。すなわち、
図12に示す非作動状態がロックされている。
図12の状態では、操作板7、中間板5、圧迫板6、爪部4は、基端側に位置しており、ロック状態を解除することで、先端側に向かって(第1の方向)移動可能となっている。
【0080】
操作板7と中間板5は、第1コイルスプリング12によって連結されており、第1位置にある操作板7を第1の方向に移動させると、第1コイルスプリング12の先端側が第1の方向に移動し、第1コイルスプリング12の基端側が第1の方向に移動することで、中間板5の基端側が第1の方向に移動する。この時、第1コイルスプリング12は付勢力によって長さが維持された状態(伸びることなく)で移動する。中間板5の先端側が第1の方向に移動すると、凹溝58内に遊嵌された爪部4の基端側部位が第1の方向へ移動する。
【0081】
操作板7と圧迫板6は第2コイルスプリング13によって連結されており、操作板7を第1の方向に移動させると、第2コイルスプリング13の先端側が第1の方向に移動し、中間板5を介して第2コイルスプリング13の基端側が第1の方向に移動することで、圧迫板6の基端側が第1の方向に移動する。圧迫板6は、先端の当接部61が爪部4の立ち上がり片44の基端部位に当接した状態を維持しながら第1の方向へ移動する。
【0082】
第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13は同一の引張コイルスプリングから形成されており、
図12の状態では、第1コイルスプリング12の長さは、第2コイルスプリング13の長さよりも幾分長い。すなわち、第1コイルスプリング12が元の長さに戻ろうとする力(付勢力)は、第2コイルスプリング13が元の長さに戻ろうとする力(付勢力)よりも大きい。第1コイルスプリング12の付勢力は、第1コイルスプリング12が伸びようとする力に対抗し、第2コイルスプリング13の付勢力は、第2コイルスプリング13が伸びようとする力に対抗する。第1コイルスプリング12の付勢力は、
図16の状態における、爪部4の係止姿勢への回動復帰力に関係し、この回動復帰力を大きくしたければ、第1コイルスプリング12の付勢力を大きくすればよい。第2コイルスプリング13の付勢力は、圧迫板6が爪部の基端側部位(立ち上がり片44)を前方に押圧する力に関係し、この押圧力を大きくしたければ、第2コイルスプリング13の付勢力を大きくすればよい(初期時において、第1コイルスプリング12の付勢力を超えない範囲で)。第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13の付勢力は、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13の連結位置を変えたり、バネのタイプを変えたりすることによって変更することができる。例えば、中間板5において、前縁570の位置をより前側に位置させることで、セット時の第1コイルスプリング12をより伸長させて付勢力を大きくすることができる。
【0083】
[C-2]非作動状態から作動状態への動き
図12の状態において、操作板7を第1の方向へスライド移動させると、爪部4の基端側の立ち上がり片44が開口94の先端側の第2縁部941に当接するまで、操作板7、中間板5、圧迫板6が一体で第1の方向へ移動して、
図13の状態となる。
【0084】
図12の状態から
図13の状態になる時には、爪部4は
図12における収納姿勢を維持した状態で第1の方向にスライド移動する。
図12の状態において、中間板5の先端側部位の立ち上がり片52の先端(上端)が爪部4の基端側部位(後側部分41の基端側部位41´)に当接しており、また、圧迫板6の先端の当接部61が爪部4の基端側部位(立ち上がり片44)を先端側に押圧しており、この状態で中間板5が第1の方向にスライド移動すると、中間板5の先端側部位の立ち上がり片52の先端(上端)が爪部4の後側部分41の基端側部位41´に当接した状態で第1の方向に移動し、圧迫板6が中間板5と一体で、圧迫板6の先端の当接部61が爪部4の立ち上がり片44を先端側に押圧しながら第1の方向に移動し、爪部4の基端側部位の立ち上がり片44が開口94の第2縁部941に当接することで、
図13の状態となる。操作板7の第1の方向への継続したスライド移動に連動して、さらに、
図13の状態から
図14の状態を経て、操作板7が第2位置まで移動して第2嵌合状態となって、
図15の耐風フックFの作動状態となる。なお、操作板7が第1位置から第2位置へ第1の方向へスライド移動することに連動して、中間板5は第1の方向(前方)へスライド移動し、中間板5の先端側の一対の立ち上がり片53の外面は、底板8の第1側壁81の先端縁810、第2側壁82の先端縁820からそれぞれ離れていく。
【0085】
図13の状態では、爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7は、
図12の状態に比べて、底板8及び蓋板9に対して先端側に位置している。
図13の状態では、圧迫板6の先端の当接部61は、第2縁部941に当接した爪部4の立ち上がり片44に当接して押圧しており、さらなる先端側への移動が規制されている。爪部4の基端側部位の立ち上がり片44の第1の方向への移動が規制された状態で、中間板5の先端側部位(凹溝58を備えた部位)が第1の方向へスライド移動すると、爪部4の基端側部位の垂下片43は凹溝58内に遊びを持って受け入れられており、凹溝58内で回動可能となっていることから、爪部4の基端側部位(後側部分41の基端側部位41´、あるいは/および、垂下片43)が、中間板5の先端側部位(立ち上がり片52、あるいは/および、立ち上がり片53)に前方に押されることで、爪部4は、第2縁部941に当接した立ち上がり片44を支点として本体(前側部分40及び後側部分41)が底面部80から浮き上がるように回動する。操作板7及び中間板5が、
図12の状態から
図13の状態に移動する時に、押圧板6の当接部61が常時爪部4の基端側部位の立ち上がり片44を前方に押圧しているので、爪部4は回動することなく、
図12の状態の姿勢を維持しながら施前方へスライド移動する。
【0086】
図12、
図13では、爪部4の基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44は、底面部80の前側部80A及び凹溝58の底面(幅広部51)に対して傾斜姿勢にあるが、爪部4の本体が底面部80の前側部80Aから離れるように回動するにしたがって、基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44の底面部80の前側部80A及び凹溝58の底面(幅広部51)に対する傾斜角度が大きくなっていく。
図13の状態から、操作板7が第1の方向へ継続して移動すると、立ち上がり片44が開口94の第2縁部941に当接した状態の爪部4に対して、中間板5の先端側部位(凹溝58を備えた部位)が第1の方向へ移動し、立ち上がり片44を支点として、傾斜姿勢の立ち上がり片44及び垂下片43が垂直姿勢へと回動していく。
図14に示すように、爪部4の基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44が傾斜姿勢から垂直姿勢へと回動する過程で、爪部4の前側部分40及び先端側の係止片42が底面部80の前側部80Aから立ち上がっていき、垂下片43及び立ち上がり片44が、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53の内面に沿って垂直姿勢となり、後側部分41が水平姿勢となると、爪部4が係止姿勢となる。爪部4の基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44が垂直姿勢にある時には、垂下片43は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53の内面に当接ないし近接しており、後側部分41の下面は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片52の上端から離間している。
【0087】
本実施形態では、
図12の状態から
図14の状態に至る時に、第2コイルスプリング13は少し伸び、第1コイルスプリング12の長さは実質的に不変である。
図14の状態から
図15の状態に至る時に、第2コイルスプリング13は伸長を続け、第1コイルスプリング12も伸長する(この段階において、第2コイルスプリング13の伸びは第1コイルスプリング12の伸びよりも大きい)。爪部4の基端側の立ち上がり片44が開口94の先端側の第2縁部941に当接した後に、操作板7が第1の方向へスライド移動すると、中間板5が第1の方向へスライド移動し、この時、圧迫板6は中間板5に対して相対的にスライド移動し、圧迫板6と中間板5を連結する第2コイルスプリング13は引張して付勢力が増大していく。この力は、爪部4の係止姿勢を保持する力として作用する。
【0088】
図12の状態において、操作板7の立ち上がり片74に指を掛けて、第1位置にある操作板7を第1の方向へ移動させる力を作用させると、ロックスプリング14の嵌合突部140と第1嵌合受部78の第1嵌合状態が解除される。操作板7が第1の方向へスライド移動して、
図12の状態から
図15の状態になる時に、底板8の第2側壁82に設けたロックスプリング14の嵌合突部140は、操作板7の面部70の側縁700に設けた凹部701の底縁704に摺接し、操作板7が第2位置となる時に、ロックスプリング14の嵌合突部140と第2嵌合受部79が嵌合して第2嵌合状態となり、操作板7の第2位置が保持される。
【0089】
[C-3]耐風フックの作動状態
図15において、爪部4は係止姿勢にあり、耐風フックFが作動状態にある。耐風フックFの作動状態における各要素の姿勢・位置について説明する。爪部4の本体は、前側部分40と後側部分41の折り曲り部が底板8の底面部80の前側部80Aから離間するように立ち上がり、後側部分41が底面部80の前側部80Aの上面に略平行に延びている。
【0090】
爪部4の基端側部位の垂下片43及び立ち上がり片44は、中間板5の先端側部位の第2立ち上がり片53の内面に当接ないし近接して、凹溝58の底部(幅広部51)に対して略垂直姿勢にある。爪部4の基端側部位の立ち上がり片44は、蓋板9の上面部90の開口94の第2縁部941に当接しており、水平姿勢にある後側部分41の上面は、蓋板9の上面部90の下面に当接ないし近接している。
【0091】
水平姿勢にある後側部分41の下面は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片52の上端から離間している。前側部分40は全体が蓋板9の先端縁900、第1側壁92の先端縁921、第2側壁93の先端縁931よりも先端側に位置し、前側部分40の先端から係止片42が折り返し状に延びている。係止姿勢にある爪部4の係止片42とフック受け16との位置関係については後述する。爪部4の先端(係止片42の基端と前側部分40の先端からなる折り曲り部)は、突片83の先端と略同じ位置にある。
【0092】
圧迫板6の面部60の先端側部位は、中間板5の先端側部位の立ち上がり片53の上端の後方に位置しており、当接部61は、爪部4の基端側部位の垂直姿勢にある立ち上がり片44に当接して、立ち上がり片44を開口94の第2縁部941に押圧している。圧迫板6は中間板5に対して相対的にスライド移動し、圧迫板6と中間板5を連結する第2コイルスプリング13は引張して付勢力が増大していく。この力は、爪部4の係止姿勢を保持する力として作用する。
図15に示すように、圧迫板6の面部60の先端側の幅方向中央部位の下面は、立ち上がり片56の上端に載っており、圧迫板6の水平姿勢が維持されている。
【0093】
中間板5の先端側の幅広部51に形成した立ち上がり片53の外面は、底板8の第1側壁81、第2側壁82の先端縁810、820から前方に離間している(
図12の状態と異なる)。操作板7の垂下片71は、凹部710に中間板5の面部50を受け入れた状態で、垂下片71の内面が、中間板5の突片57の前縁570に当接している(
図12の状態を同じである)。
【0094】
ロックスプリング14の嵌合突部140が、操作板7の面部70の側縁700に形成した第2嵌合受部79と嵌合状態(第2嵌合状態)にあり、操作板7は第2の位置が保持されている。すなわち、爪部4の係止姿勢、すなわち、耐風フックFの作動状態がロックされている。
【0095】
[C-4]耐風フックの作動状態における爪部の回動
図16は、爪部4が係止姿勢にあり、耐風フックFが作動状態にある時に、係止姿勢の爪部4に対して、当該爪部4を収納姿勢に戻すような力が作用した状態を示す図である。底板8の底面部80前側部80Aから離間するように回動した爪部4を前側部80Aに近づけるように押し込むと、爪部4は、爪部4の基端側部位の立ち上がり片44が開口94の第2縁部941に当接した状態で、垂下片43及び立ち上がり片44が垂直姿勢から傾斜姿勢となるように回動し、後側部分41の基端側部位41´あるいは/および、垂下片43が、中間板5の先端側部位の立ち上がり片52の上端に当接して、あるいは/および、垂下片43が立ち上がり片53に当接して、中間板5を後方(ケース内に押し込むように)に移動させる。
【0096】
圧迫板6の当接部61が、爪部4の基端側部位の傾斜姿勢にある立ち上がり片44に当接して、立ち上がり片44を開口94の第2縁部941に押圧しているが、中間板5が後側へ押されているため、
図15の状態で引張していた第2コイルスプリング13の長さは
図16の状態では短くなっている。
【0097】
操作板7の第2位置は、ロックスプリング14の嵌合突部140と第2嵌合受部79の嵌合状態(第2嵌合状態)が維持されることで、ロック状態が保持されており、中間板5が後方に移動することで、中間板5の突片57の前縁570は、操作板7の垂下片71から後方に離れていく。この時、第1コイルスプリング12は伸びていき、中間板5を第1の方向へ移動させるような力が付勢される。ロックスプリング14の嵌合突部140と第2嵌合受部79の嵌合状態(第2嵌合状態)が外れる力よりも、第1コイルスプリング12が伸びる力(
図15の状態から
図16の状態となる時)が小さく、中間板5の第2の方向への移動に連動して、第1コイルスプリング12が伸長することで、第2嵌合状態が外れるようなことがない。爪部4に作用した力が解除されると、中間板5は、第1コイルスプリング12の付勢力(縮む力)で前方(第1の方向)に移動し、爪部4は、
図15に示す係止姿勢に復帰する。
【0098】
[D]他の実施形態に係る耐風フック
図28、
図29を参照しつつ、他の実施形態に係る耐風フックF´について説明する。耐風フックF´は、爪部4、中間板5、圧迫板6、操作板7、底板8、蓋板9、第1コイルスプリング12、第2コイルスプリング13、ロックスプリング14、を備えている点において、耐風フックFと共通しており、これらの要素の説明や動作については、以下の相違点を除いて、耐風フックFの説明を援用することができる。
【0099】
耐風フックFでは、操作板7が第1位置にある時に、ロックスプリング14の嵌合突部140と、操作板7の面部70の側縁700に形成した第1嵌合受部78が嵌合状態(第1嵌合状態)となることで、操作板7の第1位置が保持されてる。耐風フックF´では、第3コイルスプリング24を設けることで、操作板7の第1位置を保持するようにしている。具体的には、第3コイルスプリング24の前端は、操作板7の面部70の後側に位置する垂下片72に連結されており、第3コイルスプリング24の後端は、蓋板9の垂下壁91に連結されている。耐風フックF´では、第1位置にある操作板7が第1の方向に移動する時に、第3コイルスプリング24が最初に伸び、次いで、第2コイルスプリング13が伸び、最後に、第1コイルスプリング12が伸びる。
【0100】
図28は、耐風フックF´の非作動状態を示し、操作板7は第1位置にある。
図29は、耐風フックF´の作動状態を示し、操作板7は第2位置にある。操作板7が第1位置にある時には、第3コイルスプリング24によって、操作板7の第1位置が保持されている。操作板7が第1位置から第2位置へスライド移動すると、操作板7の後面部73の側縁に形成した嵌合受部79´にロックスプリング14の嵌合突部140が嵌合して、操作板7の第2位置を保持し、耐風フックF´の作動状態をロックする。操作板7が第1位置から第2位置へスライド移動する際に、第3コイルスプリング24は伸長して元の長さに復帰する力が蓄勢されていく。
図29の状態において、第2位置の嵌合状態を解除して、第2位置にある操作板7を第1位置へスライド移動させると、第3コイルスプリング24によって、操作板7の第2の方向へのスライド移動が補助され、第3コイルスプリング24によって操作板7の第1位置が保持される。
【0101】
[E]可動式の耐風フックを備えたシャッター
本実施形態に耐風フックを備えたシャッターについて説明する。
図1、
図2に示すように、全閉姿勢にあるシャッターカーテン1の高さ方向の中間部位に位置する複数枚のスラット(本実施形態では4枚)10の長さ方向両端部には可動式の耐風フックFが設けてある。可動式の耐風フックFは、可動の爪部4を備えており、非作動状態(爪部4が収納姿勢)と作動状態(爪部4が係止姿勢)の間で切替操作が必要となる。シャッターカーテン1の開閉時や通常の開口部全閉時には、爪部4は収納姿勢にあり、開口部全閉時に爪部4が突出姿勢となることで耐風フックとして機能するようになっている。ガイドレール3の内部には、開口部全閉姿勢におけるシャッターカーテン1の各耐風フックFの高さ位置に対応する高さに位置して、フック受け16が設けてある。
【0102】
[E-1]耐風フックの収納状態と作動状態の目視確認
図19は、耐風フックFが取り付けられたスラット10の長さ方向端部を裏面側から見た正面図、及び、側面図である。耐風フックFは、底板8の底面部80をスラット10に向け、蓋板9の上面部90が裏面側(屋内側)に対向するようにして、スラット10の裏面側の凹状部に取り付けられている。耐風フックFは、底板8の底面部80の先端縁800をスラット10の長さ方向端縁103に一致させて、スラット10に取り付けられている。本実施形態では、耐風フックFは、取付板15を介してスラット10に取り付けてある。
【0103】
シャッターカーテン1の全閉姿勢において、耐風フックFの先端側部位は、ガイドレール3の内部に位置している。すなわち、耐風フックFは、ガイドレール3の内部に位置する第1部分(内側部位)と、ガイドレール3の外側に位置する第2部分(外側部位)と、からなり、第1部分(内側部位)には、爪部4、蓋板9の上面部90に形成した開口94が含まれ、第2部分(外側部位)には、蓋板9の上面部90に形成した開口95、開口94と開口95の間に位置して、蓋板9の上面部90に設けた注意事項の表示、操作板7の後面部73及び立ち上がり片(指掛け部)74が含まれる。
【0104】
上図は、耐風フックFの非作動状態を示し、爪部4は収納姿勢にあり、操作板7は第1位置にある。操作板7の面部70に設けた第1表示部Gが、蓋板9の上面部90に形成した開口95に位置して、開口95から露出している。爪部4は、スラット10の長さ方向端縁103から突出しない位置にある。爪部4の基端側部位の立ち上がり片44は、蓋板9の上面部90の開口94の第1縁部940に近接している。底面部80の先端の突片83は、スラットの長さ方向端縁103から突出している。
【0105】
下図は、耐風フックFの作動状態を示し、爪部4は係止姿勢にあり、操作板7は第2位置にある。操作板7の面部70に設けた第2表示部Rが、蓋板9の上面部90に形成した開口95に位置して、開口95から露出している。爪部4の先端の係止片42は、スラット10の長さ方向端縁103から突出している。爪部4の基端側部位の立ち上がり片44は、蓋板9の上面部90の開口94の第2縁部941に当接している。底面部80の先端の突片83は、スラットの長さ方向端縁103から突出した爪部4(係止片42と前側部分40との角部)と略同じ位置にある。
【0106】
耐風フックFの蓋板9の上面部90には、開口94と開口95の間に位置して、注意事項が表示されている。注意事項は、第2表示部Rが開口95から露出している時にはロック中(作動状態)であり、第1表示部Gが開口95から露出している時にはロック解除状態(非作動状態)であり、「第2表示部Rが開口95から露出している時には、シャッターを開閉しないでください」と表示されている。
【0107】
耐風フックFは、ガイドレール3の内部に位置する第1部分(内側部位)と、ガイドレール3の外側に位置する第2部分(外側部位)と、を備え、第2部分(外側部位)には、開口95に位置して当該開口95から露出する第1表示部Gないし第2表示部R、及び、注意事項表示が位置しており、開口部全閉状態において、シャッターカーテン1を上昇させようとした時に、操作者は、第1表示部Gが露出しているか、第2表示部Rが露出しているかを目視で判定することができる。
【0108】
本実施形態では、シャッターカーテン1には複数個の耐風フックFが設けてあるが、耐風フックFは全閉姿勢にあるシャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´の高さ方向の中間部位に位置する複数枚のスラット(本実施形態では4枚)10の長さ方向両端部に設けてあり、全ての耐風フックFは、開口高に比較して、限られた一定の高さ領域内に位置しており、複数の耐風フックFが同一の視野内に含まれることから、耐風フックFの状態の目視確認作業を良好に行うことができる。
【0109】
[E-2]耐風フックの収納状態と作動状態
図21は、開口全閉状態にあるシャッター装置の幅方向端部の横断面図であり、耐風フックFが取り付けられたスラット10の長さ方向端部がガイドレール内に受け入れられた状態を示し、耐風フックFはガイドレール内に位置する第1部分(内側部位)とガイドレールの外側に位置する第2部分(外側部位)とを備えている。
【0110】
図21(A)では、耐風フックFは非作動状態にあり、爪部4は収納姿勢にある。爪部4は、スラット10の厚さ内に位置しており、また、フック受け16は、ガイド溝35からガイドレール3の底壁32に向かうスラット端部受け入れ空間内に突出しないような見込寸法となっており、シャッターカーテン1の昇降時に、スラット10や耐風フックFがフック受け16に干渉して、シャッター開閉動作を妨げることがないようになっている。
図21(A)では、操作板7は第1位置にあり、操作板7を第1位置から第2位置へスライド移動させることで、
図21(B)の作動状態となり、操作板7の第2嵌合受部79とロックスプリング14の嵌合突部140が嵌合状態となって、作動状態がロックされる。
【0111】
図21(B)では、耐風フックFは作動状態にあり、爪部4は係止姿勢にある。爪部4の前側部分40はスラット10の長さ方向端縁103から底壁32及び第1側壁30に向かって平面視傾斜状に延びており、前側部分40の先端に折り返し状に形成された係止片42は、フック受け16の第1辺160の内面に近接ないし接触している。係止片42は、フック受け16の第2辺161の内面の後方に離間位置した状態にある。
【0112】
図22は、開口全閉状態にあるシャッター装置の幅方向端部の横断面図であり、耐風フックFが取り付けられたスラット10の長さ方向端部がガイドレール内に受け入れられた状態を示し、かつ、スラット10がガイドレール3の底側に片寄りした場合を示す。
【0113】
図22(A)では、耐風フックFは非作動状態にあり、爪部4は収納姿勢にある。爪部4は、スラット10の厚さ内に位置しており、また、フック受け16は、ガイド溝35からガイドレール3の底壁32に向かうスラット端部受け入れ空間に突出しないような見込寸法となっており、シャッターカーテン1の昇降時に、スラット10や耐風フックFがフック受け16に干渉して、シャッター開閉動作を妨げることがないようになっている。耐風フックFの底板8の底面部80の先端の突片83は、ガイドレール3の底壁32の内面に当接しており、収納姿勢にある爪部4とガイドレール3の底壁32の内面とは所定距離離間しており、爪部4が突出する空間が確保されている。
【0114】
図22(A)では、操作板7は第1位置にあり、
図22(A)の状態から操作板7を第1位置から第2位置へスライド移動させると、操作板7の第1方向への移動に連動して、爪部4がスライド移動しようとするが、爪部4は所定距離突出した時に、爪部4の端部(前側部分40と係止片42で形成する角部)がガイドレール3の底壁32の内面に当接し、継続して操作板7が第1の方向へスライド移動すると、操作板7に対して相対的に爪部4がケース内部に押し込まれるように移動し(操作板7が第1の方向に移動した時に中間板5は移動せずに、第1コイルスプリング12が伸びる)、操作板7が第2位置まで移動すると、操作板7の第2嵌合受部79とロックスプリング14の嵌合突部140が嵌合状態となって、作動状態がロックされる。
【0115】
図22(B)では、耐風フックFは作動状態(操作板7の第2嵌合受部79とロックスプリング14の嵌合突部140が嵌合状態)にあるが、爪部4は収納姿勢にある。爪部4は、係止姿勢へ回動する方向に付勢されている。耐風フックFの内部状態は、
図16と類似の状態にある。
【0116】
図22(B)の状態において、スラット10の片寄りが解消されると、中間板5の先端の突片83がガイドレール3の底壁32の内面から離間し、爪部4は係止姿勢へ回動して、
図22(C)の状態となる。
図22(C)の状態は
図21(B)の状態と同じであって、爪部4の前側部分40はスラット10の長さ方向端縁103から底壁32及び第1側壁30に向かって平面視傾斜状に延びており、前側部分40の先端に折り返し状に形成された係止片42は、フック受け16の第1辺160の内面に近接ないし接触している。係止片42は、フック受け16の第2辺161の内面の後方に離間位置した状態にある。また、
図22(C)の状態において、スラット10がガイドレール3の底壁32側に片寄ると、係止姿勢にある爪部4が底壁32に当たってケース側に押し込まれるが、爪部4が少し押し込まれた時に、突片83がガイドレール3の底壁32に当接することで、爪部4の押し込みを規制し、爪部4がさらにケース側に押し込まれて操作板7の第2位置のロック状態が解除されるようなことがない。
【0117】
図23は、
図21(B)の状態、
図22(C)の状態において、シャッターカーテン1に風圧(面圧)が作用した場合のスラット10の長さ方向端部及び耐風フックFの挙動を示す図である。上図は、シャッターカーテン1に作用した風圧が正圧の場合を示し、シャッターカーテン1が屋内側に膨らむことで、スラット10の長さ方向端部は、平面視傾斜姿勢となり、爪部4が第1辺160と第2辺161の隅部に係止した状態を示している。スラット10の表面側部位がガイドレール3の第1側壁30の前側部位33に当接している。下図は、シャッターカーテン1に作用した風圧が負圧の場合を示し、シャッターカーテン1が屋外側に膨らむことで、スラット10の長さ方向端部は、平面視傾斜姿勢となり、爪部4が第1辺160と第2辺161の隅部に係止した状態を示している。スラット10の裏面側部位がガイドレール3の第2側壁31の前側部位34に当接している。本実施形態に係る爪部4は回動可能なので、被係止部(フック受け16)に対する耐風フックFの姿勢に応じて、爪部4が適切な回動角度で被係止部と係止可能となっている。このことは、従来の固定式の耐風フックに比べて有利な点の1つである。実際、下図の態様では、爪部4は上図の態様に対して回動した状態(
図16の姿勢に近い状態)で、より確実に被係止部に係止するようになっている。
【0118】
[E-3]カーテン開放規制手段
本実施形態では、上述の通り、開口部全閉状態において、耐風フックFの作動状態、非作動状態を目視確認する手段を備えており、耐風フックFの状態を表示することで、耐風フックFが作動状態にある場合(第1表示部Gが表示されている時)には、シャッターカーテン1の開放操作を行わないようになっている。しかしながら、1つないし複数の耐風フックFが作動状態(爪部4が係止姿勢にある)にあることを見落として、シャッターカーテン1を開放させてしまうことがあり得る。この場合、ガイドレール3の上端の上部ガイド23の下面232に爪部4が勢いよく当たって、爪部4ないし上部ガイド23が損傷してしまうおそれがある。また、仮に、上部ガイド23を設計変更したとしても、シャッターカーテン1が巻取体2に巻き取られる時に、係止姿勢にある爪部4が干渉して巻きが乱れたり、異音が発生したりするおそれがある。
【0119】
本実施形態に係るフック受け16は、ガイドレール3の見付方向に延びる第1辺160と、ガイドレール3の見込方向に延びる第2辺161と、から平面視ないし断面視L形状を有しており、第1辺160及び第2辺161から、係止姿勢にある爪部4が係止可能な被係止部が形成されている。フック受け16は、開口部全閉状態における各耐風フックFの高さに対応した高さ位置に固定されている。本実施形態では、各耐風フックFに対応して1つのフック受け16が設けてあり、
図1に示すように、左右それぞれ4つのフック受け16が設けてある。フック受け16は所定の高さを備えた長尺部材であり、本実施形態では、スラット10の高さ寸法よりも高い。なお、高さ方向に間隔を存して位置する複数の耐風フックに、1つのフック受け16が対応するようにしてもよい。
【0120】
各フック受け16の上端には上面162が形成されている。上面162は、耐風フックFが非作動状態(爪部4が収納姿勢にある)にある時には、シャッターカーテン1の昇降動作を妨げないが、耐風フックFが作動状態にある時には、係止姿勢にある爪部4の上方に離間して位置し、爪部4が当接可能な被当接部を形成している。耐風フックFが作動状態にある時にシャッターカーテン1を上昇させると、係止姿勢にある爪部4が上面162に下方から当接して、シャッターカーテン1の上昇を規制するようになっている。
【0121】
したがって、1つあるいは複数の耐風フックFが作動状態(爪部4が係止姿勢にある)にある時に、誤ってシャッターカーテン1を上昇させようとした時には、係止姿勢にある爪部4が上昇して上面162に当接して、それ以上のシャッターカーテン1の上動を規制するようになっている。開口部全閉状態のシャッターカーテン1の耐風フックFの高さに対応するフック受け16の取付位置の精度において、フック受け16の被係止部(第1辺160及び第2辺161)が耐風フックFの爪部4の高さに対応していればよく、また、被当接部(上面162)の高さ位置は、耐風フックFの係止姿勢にある爪部4の上方に離間することが許容されるので、ガイドレール3に対してフック受け16を厳密な位置で取り付ける必要がなく、取付作業効率が良い。本実施形態では、被当接部(上面162)は、係止姿勢にある爪部4の上方に離間して位置しており、シャッターカーテン1が少し上昇してから(床面Fと座板11の間に隙間がある状態)、さらなる上昇を規制するものでよい。なお、電動シャッターの場合には、負荷検知でシャッターカーテンの上昇を停止させることができる。あるいは、係止姿勢にある爪部4を検知するセンサを設けることで耐風フックFの作動状態を検知するようにしてもよい。
【0122】
[E-4]シャッターの耐風構造
図2、
図24に示すように、シャッターカーテン1は、高さ方向に延びた垂直姿勢において、下から上に向かって4つの部位1A~1Dから構成され、各部位1A~1Dは、複数枚のスラットを含んでいる。シャッターカーテン1は、開口部全閉状態において、建物開口部の全高に対応する開口部閉塞部位1´と、建物開口部の上方に位置する上方部位1Dと、からなり、開口部閉塞部位1´は、上方部位1Dの下方に位置する上側部位1Cと、下端に座板11を備えた下側部位1Aと、上側部位1Cと下側部位1Aの間の中間部位1Bと、からなる。シャッターカーテン1の上方部位1Dの少なくとも1枚のスラット10は、建物開口部上方で当該建物開口部の幅方向に延びる内まぐさ21、外まぐさ22に対向しており、開口部閉塞部位1´の幅方向両端部は、ガイドレール3の内部に位置している。
【0123】
中間部位1Bの複数枚のスラット10のうちの1枚ないし複数枚のスラット10の長さ方向両端部には耐風フックFが設けてある。耐風フックFは、開口部全閉状態におけるシャッターカーテン1の裏面側に位置して設けられている。本実施形態では、4本のスラット10の長さ方向両端部に耐風フックFが設けてある。耐風フックFの個数は、図示の態様に限定されるものではなく、例えば、耐風フックFは、シャッターカーテン1の幅方向両端部にそれぞれ2個~6個設けられる。1つの実施形態では、下端から15枚目、18枚目、22枚目、25枚目のスラット10の開口幅方向両端部に耐風フックFが設けてある。すなわち、複数の耐風フックFが、スラット2枚おきないし3枚おきで設けてある。中間部位1Bは、下端から14枚目のスラットから26枚目のスラットによって構成されている。シャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´において、中間部位1Bの上側及び下側に位置するスラット10には耐風フックは設けられておらず、複数の耐風フックFは、開口部閉塞部位1´の中間部位1Bに集中して設けてある。
【0124】
下側部位1Aは、座板11を含む複数枚のスラット10から構成されており、手動式シャッターにおいて、下側部位1Aのスラット10に施錠装置19が設けられる。1つの実施形態では、下側部位1Aは、座板から下端から13枚目のスラット10によって構成されており、下端から13枚目のスラット10に施錠装置19が設けてある。開口部全閉状態のシャッターカーテン1の所定高さに位置して施錠装置19を設けてある場合に、全ての耐風フックFは、施錠装置19の上方に位置して設けてある。
【0125】
シャッターカーテン1の開口部閉塞部位1´の下側部位1Aの高さ寸法をH1とし、中間部位1Bの高さ寸法をH2とし、上側部位1Cの高さ寸法をH3とすると、H1≧H2である。1つの態様では、開口高が変化しても、下側部位1Aの高さ寸法H1は一定である。中間部位1Bの高さ寸法H2は、H2≦H1であり、開口高が大きくなると、上側部位1Cの高さ寸法H3が大きくなる。現場の開口高に関わらず、耐風フックFが取り付けられる最下端のスラット10の位置が、開口下端から一定とすることで、耐風フックFやフック受け16の取付作業性が向上する。また、全ての耐風フックFが開口部閉塞部位1´の中間部位1Bにあるので、耐風フックFを非作動状態と作動状態との間で切り替えるための作業性が良い。
【0126】
シャッターカーテン1は、工場で分割して用意され、分割した状態で梱包されて現場に搬入されて組み立てられる。本実施形態では、座板11の直上のスラット10から施錠装置19が設けられたスラット10の直下のスラット10までを第1セットS1、実質的に中間部位1Bに対応する複数枚のスラット10を第2セットS2、実質的に上側部位1C及び上方部位1Dに対応するスラット10を第3セットとし、第1セットS1、第2セットS2、第3セットS3毎に1つあるいは複数の梱包セットが用意される。耐風フックFを備えたスラット10は全て第2セットS2に含まれる。座板11、施錠装置19を備えたスラット10は、梱包セットとは別個に用意される。これらの梱包の態様は一例であって、例えば、第1セットS1と第2セットS2を同梱してもよい。
【0127】
ガイドレール3の内部には、開口部全閉姿勢におけるシャッターカーテン1の耐風フックの高さ位置に対応する高さに位置して、フック受け16が設けてある。耐風フックFが非作動状態にある時には、耐風フックFの爪部4は収納姿勢にあって、フック受け16から離間しており、シャッターカーテン1の昇降動作に影響を与えることがない。
【0128】
開口部全閉状態において、必要に応じて、操作板7を第1位置から第2位置へスライド操作して、耐風フックFを非作動状態から作動状態として、爪部4を係止姿勢とする。本実施形態に係る耐風構造の設置方法は、耐風フックFが非作動状態にあるシャッターカーテン1を下降させて建物開口部を全閉するステップ、開口部全閉状態において、耐風フックFの操作板7を第1の方向にスライド移動させて、耐風フックFを作動状態とするステップと、からなり、作動状態にある耐風フックFの爪部4は係止姿勢にあり、ガイドレール3内のフック受け16に係止可能な状態となっている。開口部全閉状態において、耐風フックFを作動状態にセットしておくことで、シャッターカーテン1に面圧が作用した場合に、高さ方向中間部位の複数の耐風フックがフック受け16に係止することで面圧に対抗するようになっている。
【0129】
開口部全閉状態において、垂直姿勢のシャッターカーテン1は、下側部位1A、中間部位1B、上側部位1C、上方部位1Dとからなり、下側部位1Aは、スラット10よりも剛性の大きい座板11を備えており、中間部位1Bの複数枚のスラット10の幅方向両端部には耐風フックFが設けてあり、上側部位1Cの上端に位置する1本以上のスラット10、あるいは/および、上方部位1Dの下端に位置する1本以上のスラット10は、内まぐさ21、外まぐさ22に対向している。
【0130】
開口部全閉状態のシャッターカーテン1に所定以上の大きさの風圧が作用した場合には、開口部閉塞部位1´の中間部位1Bの幅方向両端部の複数の耐風フックFが左右のガイドレール3内のフック受け16に係止することで、風圧に対抗するようになっている(
図23、
図25)。
【0131】
開口部全閉状態の下端部位においては、開口部閉塞部位1´の下側部位1Aの下端の座板11の幅方向両端部がガイドレール3に内側から当接して、風圧に対抗するようになっている(
図26)。座板11は、スラット10よりも機械的強度が大きく、スラット10に比べて変形し難く、長さ方向両端部がガイドレール3の前側部位33ないし前側部位34に当接することで、ガイドレール3から抜けることが防止される。
【0132】
開口部全閉状態の上端部位においては、上方部位1Dの下端に位置する1本以上のスラット10、あるいは/および、上側部位1Cの上端に位置する1本以上のスラット10の幅方向の中央部位が、内まぐさ21に当接することで、風圧に対抗するようになっている(
図27)。本実施形態では、外まぐさ22の強度は内まぐさ21の強度よりも小さいが、外まぐさ22に隣接して躯体Wが位置しており、シャッターカーテン1を屋内側に膨らませる方向に面圧が作用した場合には、上方部位1Dの下端に位置する1本以上のスラット10、あるいは/および、上側部位1Cの上端に位置する1本以上のスラット10の幅方向の中央部位が、躯体Wに当接することで、風圧に対抗するようになっている。
【0133】
本実施形態では、開口部全閉状態のシャッターカーテン1に所定以上の大きさの風圧が作用した場合には、開口部閉塞部位1´の中間部位1Bの幅方向両端部位に設けた耐風フックFが、ガイドレール3内のフック受け(被係止部)16に係止すると共に、開口部閉塞部位1´の上端に位置するスラット10の幅方向の中央部位が構造体(まぐさ21、22や躯体)に当接し、座板11の幅方向両端部がガイドレール3に内側から当接して、風圧に対向するようになっている。開口高や開口幅が大きくなると、開口部閉塞部位1´に作用する面圧も大きくなるが、開口高や開口幅が大きくなるにしたがって、座板11、および/あるいは、まぐさ21、22の強度を段階的に大きくすることで、耐風フックFの数を増やすことなく、面圧に対抗することができる。
【0134】
[F]耐風フックの取付構造及び方法
図8、
図10、
図30~
図36を参照しつつ、耐風フックFの取付構造及び方法について説明する。本実施形態に係る耐風フックFは、スラット10の面部100の裏面の長さ方向端部領域に固定された取付板15に対して着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、取付板15に対する耐風フックFの着脱可能な取付手段は、係止手段及び螺子18(
図19、
図35)を用いた止着手段の組み合わせである。本実施形態に係る耐風フックFは、スラット10の面部100の長さ方向端部領域に固定された取付板15に対して着脱可能に取り付けられているので、耐風フックFのメンテナンス時ないし交換時には、シャッターカーテン1を取り外すことなく、耐風フックFをスラット10に対して脱着させることができる。
【0135】
図10に示すように、取付板15は平面視長方形状の面部150からなる。面部150は長さ方向に延びる側縁1500、1500と、前端縁1501と、を備え、側縁1500、1500の長さ方向の中間より前方に位置して一対のスライド係止片151が面部150に対して垂直状に立ち上がり形成されている。面部150の後端側には立ち上がり片152が形成され、さらに、立ち上がり片152から後方に向かって後片153が形成されており、後片153には螺子孔154が形成されている。
【0136】
取付板15は、面部150をスラット10の面部100に当接させた状態で、リベット155で固定されており、面部150の後方側に一体形成された後片(被連結部)153は、スラット10の面部100から離間して浮いた状態にある。本実施形態では、取付板15の面部150の側縁1500において、立ち上がり状のスライド係止片151の根元を含む領域が平面視台形状の浅い凹部15000に形成されており、一対のスライド係止片151の外面間の寸法は、面部150の幅寸法と略同じとなっている。
【0137】
スライド係止片151は、面部150から垂直に立ちあがる第1部分1510と、第1部分1510から後方(スラット10の長さ方向端部ないしガイドレール3から離間する方向)に向かって一体的に延びる第2部分1511と、からなり、第2部分1511と面部150との間には側面視において隙間1512が形成されている。
【0138】
図8に示すように、耐風フックFの底板8において、底面部80と、第1側壁81、第2側壁82の前方部位との間にはスリット87が形成されている。スリット87は、第1側壁81と底面部80との角部、第2側壁82と底面部80との角部をそれぞれ切り欠くように形成されおり、スリット87は、取付板15のスライド係止片151を正面から受け入れ可能となっている。
【0139】
スリット87に取付板15のスライド係止片151を受け入れた状態で、耐風フックF(底板8)を前方(スラット10の長さ方向端部ないしガイドレール3に向かう方向)にスライドさせると、スライド係止片151が底面部80のスリット87に隣接する幅方向端部領域(係止受部)802に係止するようになっている(
図35、
図36参照)。この時、幅方向端部領域(係止受部)802は、スライド係止片151の第2部分1511と面部150との間に形成された隙間1512に位置している。スライド係止片151と幅方向端部領域(係止受部)802の係止状態において、取付板15に対して耐風フックFをカーテン裏面から手前に外すような力が作用した時には、スライド係止片151の第2部分1511が幅方向端部領域(係止受部)802に当接係止することによって、係止状態が維持されるようになっている。
【0140】
底面部80の後方には立ち上がり片84が一体形成され、さらに、水平片85が後方に向かって一体的に延びており、水平片85には挿通孔850が形成されている。耐風フックFの底板8の底面部80の幅方向端部領域(係止受部)802にスライド係止片151が係止した状態において、底面部80の後端側の水平片(連結部)85と取付板15の後端側の後片153(被連結部)は当接しており、後片153の螺子孔154と水平片85の挿通孔850は一致しており、耐風フックFの後端側部位と取付板15の後端側部位が螺子18(
図19、
図35)で固定される。
【0141】
底面部80には、前側部80Aの基端及び中間部80Bの側方に位置して開口ないし切り欠き部801が形成されており、スリット87は前側部80Aの基端の切り欠き部801と一体形成されている。切り欠き部801は、取付板15をスラット10の面部100に固定している4本のリベット155の頭部の相対的な移動範囲(位置が固定されたリベット155に対して耐風フックFが移動する)を含む領域に形成されており、取付板15に対する耐風フックFのスライド移動時に、リベット155と底面部80が干渉することがないようになっている。
【0142】
図30~
図35を参照しつつ、耐風フックFを取付板15から取り外した後に、再び耐風フックFを取り付ける工程を説明する。耐風フックFが取り外された状態において、スラット10の長さ方向端部はガイドレール3内に位置しており、取付板15の面部150の前側部位もガイドレール内に位置している。取付板15のスライド係止片151は、ガイドレール3の溝部の少し外側に位置している。取付板15の後端側の後片153(被連結部)は、スラット10の面部100から離間して浮いた状態にある。
【0143】
図30に示すように、耐風フックFを取付板15に対して傾けた姿勢(前端部位をガイド溝部に近づけ、後端部位をスラット10から離間させた姿勢)として、
図31~
図33に示すように、前端部位をガイド溝に挿入させながら、底面部80のスリット87から取付板15のスライド係止片151を受け入れるように、後端部位を取付板15に近づけていき、
図34に示す姿勢とする。
【0144】
図34に示す姿勢では、耐風フックFの底面部80のスリット87に取付板15のスライド係止片151が受け入れられており、耐風フックFの底板8の底面部80は取付板15の面部150に当接しており、底面部80の後方の立ち上がり片84は取付板15の面部150の後方の立ち上がり片152に当接しており、水平片85は後片153に当接している。後片153の螺子孔154と水平片85の挿通孔850はズレている。各リベット155は各切り欠き部801の前側(ガイドレール3に近い側)に寄った位置にある。耐風フックFは、スラット10に対する正規の取付位置に対して後方に位置しており、底面部80の突片83はスラット10の長さ方向端縁103と略一致している。
【0145】
図34の姿勢において、取付板15に対して耐風フックFを先端側(ガイドレール3の底壁32へ向かう側)へスライド移動させることで、スライド係止片151に対してスリット87が移動することで、スライド係止片151と幅方向端部領域(係止受部)802が係止して、
図35に示す姿勢となる。
【0146】
図35の姿勢において、スライド係止片151と幅方向端部領域(係止受部)802が係止状態にあり、耐風フックFの底面部80の先端縁800はスラット10の長さ方向端縁103に一致しており、突片83はスラット10の長さ方向端縁103から突出している。リベット155は切り欠き部801の略中央に位置している。底面部80の後方の立ち上がり片84は取付板15の面部150の後方の立ち上がり片152から前側に離間しており、水平片85は後片153に当接している。後片153の螺子孔154と水平片85の挿通孔850は一致しており、螺子18を用いて後片153と水平片85を連結する。後片153と水平片85は、スラット10の面部100から離間しているので、足の短い螺子18を用いることで、螺子18をスラット10に当接ないし螺着させることなく、後片153と水平片85を連結することができる。
【0147】
図35の姿勢において、耐風フックFのガイドレール3に近い側が取付板15にスライド係止されることで、取付板15に対して手前に向かうような移動が規制されており、耐風フックFの後端側部位と取付板15の後端側部位を螺子18で止着することで、耐風フックFのガイドレール3から遠い側が取付板15に固定される。このように、本実施形態では、係止手段及び螺子18を用いた止着手段の組み合わせから、取付板15に対する耐風フックFの着脱可能な取付手段が構成されている。
【0148】
耐風フックFを取り外す際には、螺子18を取り外して、耐風フックFを取付板15に対して、スライド係止片151と幅方向端部領域(係止受部)802の係止状態を解除させる方向にスライドさせればよい。より具体的には、耐風フックFの取り外し作業は、(ア)螺子18(
図19参照)を取り外す工程、(イ)耐風フックFをガイドレール3から離れる方向にスライドさせて、スライド係止片151と幅方向端部領域(係止受部)802の係止状態を解除する工程(底面部80の立ち上がり片84が取付板15の立ち上がり片152に当接するまでスライドさせることで係止状態が解除される)、(ウ)スライド係止片151をスリット87に位置させた状態で、耐風フックFを傾けながら手前に引いて、スリット87を通して耐風フックFを取り外す工程と、からなる。耐風フックFの取り外し作業は、シャッターカーテン1を取り外すことなく行うことができる。
【0149】
取付板15は、その面部150の裏面を、スラット10の面部100の裏面に当接させ、取付板15の前端縁1501を、スラット10の長さ方向端縁103に一致させて位置決めし、リベット155で固定されている。本実施形態では4箇所においてリベット155で固定されている。なお、取付板15は、ガイドレール3の外部に位置する部位において、リベット155で固定されているため、後付けで取付板15をスラット10に固定することも可能である。但し、この場合、スラット10の取付板15の前端縁1501及びスラット10の長さ方向端縁103はガイドレール内に位置して外から見えないので、スラット10の長さ方向端縁103からの所定距離を計測して目印を付けること等によって、スラット10に対する取付板15の取付位置を決定する必要がある。
【符号の説明】
【0150】
1 シャッターカーテン
3 ガイドレール
10 スラット
100 面部
8 底板(ケース底面)
80 底面部
85 水平片(連結部)
850 挿通孔
87 スリット
801 切り欠き部
802 幅方向端部領域(係止受部)
15 取付板
150 面部
151 スライド係止片
153 後片(被連結部)
154 螺子孔
155 リベット
18 螺子
F 耐風フック