(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】加湿および凝縮液管理用の微細構造を備える医療用部品
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61M16/16 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020180665
(22)【出願日】2020-10-28
(62)【分割の表示】P 2018192895の分割
【原出願日】2014-03-14
【審査請求日】2020-11-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/NZ2013/000113
(32)【優先日】2013-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2013-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ライス、アデーブ、ハーミーズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、ジョン、シムズ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】井上 哲男
【審判官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504460(JP,A)
【文献】実開昭63-65452(JP,U)
【文献】特開平6-235538(JP,A)
【文献】特開2005-111048(JP,A)
【文献】特開昭62-106773(JP,A)
【文献】特許第6490602(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00-16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿器と使用するのに好適である医療用の加湿チャンバであって、
液体の水を貯留するように構成された内部空間を画定する外壁であって、前記液体の水が、使用中、前記内部空間内で蒸発し、水蒸気を生成するように構成された、外壁と、
前記内部空間に設けられた、前記液体の水および前記水蒸気の混合を容易にする混合要素であって、前記加湿チャンバからより多くの水分と熱を抽出できるように
、表面に水を吸い上げて広げる微細構造を
有する複数のブレードを備える混合要素と、を具備
し、
前記混合要素が、前記加湿チャンバを通るガスの流れに応じて回転可能である、加湿チャンバ。
【請求項2】
前記混合要素が、前記加湿チャンバと一体である、請求項
1に記載の加湿チャンバ。
【請求項3】
前記混合要素が、前記加湿チャンバのチャンバ本体によって支持されている、請求項1
または2に記載の加湿チャンバ。
【請求項4】
前記混合要素が、前記加湿チャンバのチャンバ本体の上壁から下方に延在する、請求項1
または2に記載の加湿チャンバ。
【請求項5】
前記混合要素が、
前記複数のブレードを備えたタービンである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項6】
水が水入口から前記加湿チャンバ内に入るのを制御する二重弁装置をさらに具備し、
前記二重弁装置は、それぞれが閉鎖位置と開放位置とに移動可能な第1弁および第2弁を含み、
前記第1弁は、フロートによって制御され、
前記第2弁は、アクチュエータ装置によって制御される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項7】
前記フロートは、前記内部空間内の前記液体の水に浮遊し、前記液体の水の水位に応じて上昇および下降するように構成されている、請求項
6に記載の加湿チャンバ。
【請求項8】
前記アクチュエータ装置は、水位センサおよび弁アクチュエータを備える、請求項
6または
7に記載の加湿チャンバ。
【請求項9】
前記第2弁が、通常は前記閉鎖位置に付勢され、前記弁アクチュエータによって前記開放位置に移動する、請求項
8に記載の加湿チャンバ。
【請求項10】
前記外壁は、前記加湿チャンバのチャンバ本体の側壁を構成する平面壁を含み、
前記水位センサが、前記平面壁に位置している、請求項
8または
9に記載の加湿チャンバ。
【請求項11】
ガスが流入する入口ポートと、
前記内部空間を流れたガスが流出する出口ポートと、をさらに具備し、
前記加湿チャンバの前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記平面壁に隣接して位置している、請求項
10に記載の加湿チャンバ。
【請求項12】
前記タービンの底面が、回転軸を画定する突起を備える、請求項
5に記載の加湿チャンバ。
【請求項13】
前記タービンが基部を備え、前記複数のブレードが前記基部に接続可能である、請求項
5または12に記載の加湿チャンバ。
【請求項14】
前記複数のブレードが、平面形状である、請求項
13に記載の加湿チャンバ。
【請求項15】
前記入口ポートと前記出口ポートとの間に前記加湿チャンバ内のガスの流れを誘導するように構成された少なくとも1つの内側ガイド壁をさらに具備し、
前記
内側ガイド壁は、前記加湿チャンバ内に同心円状に配置されている、請求項
11に記載の加湿チャンバ。
【請求項16】
前記
内側ガイド壁が、前記加湿チャンバの頂部から見るとU字型であり、前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記U字型のそれぞれの端部の近くに位置している、請求項
15に記載の加湿チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月14日に出願された、「MEDICAL COMPONENTS WITH MICROSTRUCTURES FOR HUMIDIFICATION AND CONDENSATE MANAGEMENT」と題する米国仮特許出願第61/785,895号明細書、2013年6月25日に出願された、「MEDICAL COMPONENTS WITH MICROSTRUCTURES FOR HUMIDIFICATION AND CONDENSATE MANAGEMENT」と題する国際出願PCT/NZ2013/000113号明細書、および2013年12月23日に出願された、「MEDICAL COMPONENTS WITH MICROSTRUCTURES FOR HUMIDIFICATION AND CONDENSATE MANAGEMENT」と題する米国仮特許出願第61/920,423号明細書の利益を主張し、それらの各々は、全体として参照に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、医療用に好適な部品に関し、より詳細には、気道陽圧(PAP)、レスピレータ(人工呼吸器)、麻酔、ベンチレータ(人工換気器)および送気(insufflation)システム等、患者に加湿ガスを提供しかつ/または患者から加湿ガスを除去するために好適な部品に関する。
【背景技術】
【0003】
医療用回路では、さまざまな部品が、患者にかつ患者から加湿ガスを自然にまたは人工的に搬送する。たとえば、PAPまたは補助呼吸回路等のいくつかの呼吸回路では、患者が吸入するガスは、吸気チューブを介して呼吸加湿器からマスク等の患者インタフェースに送達される。別の例として、チューブは、加湿ガス(一般にCO2)を送気回路において腹腔内に送達することができる。これは、患者の内臓の「乾燥」を防止するのに役立つことができ、かつ外科手術からの回復に必要な時間を短縮することができる。
【0004】
これらの医療用途において、ガスは、好ましくは、飽和レベルに近い湿度を有しかつ体温に近い温度(通常、33℃と37℃との間の温度)での条件で送達される。高湿度ガスが冷却する際に、部品の内面に凝縮または「レインアウト(rain-out)」が生じる可能性がある。医療用回路において加湿および凝縮液管理を改善することができる部品が依然として必要とされている。したがって、本明細書に記載するいくつかの部品および方法の目的は、従来技術によるシステムの問題のうちの1つまたは複数を改善し、または少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、加湿および/または凝縮液管理用の微細構造を備える医療用部品とこうした部品を製造する方法とが、さまざまな実施形態で開示されている。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、医療用回路で使用される部品は、使用時に液体と接触する第1領域と、第1領域とは別個の第2領域と、第1領域および第2領域と連通し、使用時に第1領域から第2領域に液体を吸い込む(wick)ように構成された微細構造化面とを備え、微細構造化面は、平衡接触角が約π/2ラジアン未満である基板を備える。
【0007】
さまざまな実施形態では、上述した部品は、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。
【0008】
使用時、第2領域を、相対的に高速の空気にさらすことができ、使用時、第1領域を、相対的に低速の空気にさらすことができる。第2領域を、熱源と連通するように構成することができる。微細構造化面を、熱源と連通するように構成することができる。微細構造化面は、略平行マイクロチャネルを備えることができる。
【0009】
微細構造化面は、各々が、表面から突出しかつ間に第1チャネルを画定する、同様の寸法を有する第1隆起および第2隆起を含む、略逆台形状構造を備えることができる。第1隆起および第2隆起の高さは、約30μmおよび約200μmの範囲内であり得る。
【0010】
略逆台形状構造は、第1チャネル内のかつ第1隆起に隣接する第2チャネルと、第1チャネル内のかつ第2隆起に隣接する第3チャネルとを備えることができ、第2チャネルおよび第3チャネルが、同様の寸法を有し、かつ第1チャネルから凹陥している。第2チャネルおよび第3チャネルの深さは、約5μmおよび約10μmの範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約2倍および約5倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約2倍および約3倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約3倍および約5倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約3倍および約5倍の範囲内であり得る。
【0011】
略逆台形状構造に対する臨界接触角θは、式:
【数1】
を満たすことができ、式中、λは、第1チャネルの基部の断面幅の、第1チャネルの基部から測定された隆起の断面高さに対する比であり、φは、垂直軸と第1隆起または前記第2隆起の側面との間の角度である。
【0012】
マイクロチャネルは略正方形状であり得る。マイクロチャネルに対する臨界接触角θは、式:
【数2】
を満たすことができ、式中、Xは、正方形状チャネルに対する高さ対幅のアスペクト比を表す。マイクロチャネルは略V字型であり得る。マイクロチャネルの臨界接触角θは、式:
【数3】
を満たすことができ、式中、βは、V字形状の角度を表す。微細構造化面はマイクロピラーを備えることができる。マイクロピラーは、実質的に同じ断面寸法を有することができる。マイクロピラーのうちの少なくともいくつかは、他のマイクロピラーと異なる断面寸法を有することができる。微細構造化面は、マイクロリッジによって境界が定められた逆台形を備えることができる。
【0013】
さまざまな実施形態では、上述した部品をマスクに組み込むことができる。マスクは、第2領域と連通するドレンをさらに備えることができる。
【0014】
さまざまな実施形態では、上述した部品を導管に組み込むことができる。部品は、導管の内壁の少なくとも一部を形成することができる。導管は、導管の内腔内の挿入物であり得る。導管の壁を、熱源と連通するように構成することができる。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、医療用回路で使用される部品は、液体を保持するように構成されたリザーバ部分と、液体の蒸発を容易にするように構成された、リザーバ部分に隣接する蒸発器部分と、リザーバ部分から蒸発器部分に液体を搬送するように構成された微細構造化面とを備えている。
【0016】
さまざまな実施形態では、上述した部品は、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。
【0017】
蒸発器部分は加熱可能であり得る。微細構造化面は、リザーバ部分の近くで相対的に低く、蒸発器部分の近くで相対的に高いアスペクト比を有し、アスペクト比が勾配に沿って増大する、マイクロチャネルを備えている。微細構造化面は、リザーバ部分の近くで略水平に延在する第1マイクロチャネルと、蒸発器部分の近くで略垂直に延在する第2マイクロチャネルとを備えることができ、第1マイクロチャネルは、第2マイクロチャネルに液体を搬送するように構成されている。
【0018】
さまざまな実施形態では、上述した部品をマスクに組み込むことができる。
【0019】
さまざまな実施形態では、上述した部品を、加湿器と使用するのに好適な加湿チャンバに組み込むことができる。部品は、加湿チャンバの内壁の少なくとも一部を形成することができる。加湿チャンバは、加湿器の加熱器基部によって加熱されるように構成された壁を備えることができる。加湿チャンバは、加湿器とは別個の加熱部材によって加熱されるように構成された壁を備えることができる。加湿チャンバは、少なくとも、蒸発器部分の近くの加湿チャンバの壁の上またはその壁にわたって配置された断熱材をさらに備えることができる。
【0020】
加湿チャンバは、加湿チャンバ内のガスの流れを誘導するように構成された少なくとも1つの内側ガイド壁をさらに備えることができる。少なくとも1つの内側ガイド壁は、複数のガイド壁を備える。複数のガイド壁を同心状に配置することができる。複数のガイド壁の隣接するものの間に流路を画定することができる。複数のガイド壁は、複数の流路を画定することができ、流路のうちの少なくともいくつかは、互いに対してサイズが異なる。1つまたは複数のガイド壁は、略U字型であり、加湿チャンバの入口ポートと出口ポートとの間に延在することができる。微細構造化面は、1つまたは複数のガイド壁の少なくとも一部を形成することができる。
【0021】
加湿チャンバは、加湿チャンバ内に、水の気相および液相の混合を促進する混合要素をさらに備えることができる。混合要素は、加湿チャンバを通るガスの流れに応じて移動可能であり得る。混合要素は、複数のブレードを備えたタービンであり得る。部品は、複数のブレードのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0022】
加湿チャンバは、水が水入口から加湿チャンバ内に入るのを制御する二重弁装置をさらに備えることができ、弁のうちの少なくとも一方はフロートによって制御されない。第1弁を、フロートによって制御することができ、第2弁を、水位センサおよび弁アクチュエータを備えたアクチュエータ装置によって制御することができる。第2弁を、通常は閉鎖位置に付勢することができ、弁アクチュエータによって開放位置に移動させることができる。
【0023】
加湿チャンバは、平面壁を備えることができ、水位センサを平面壁に配置することができる。入口ポートおよび出口ポートを平面壁に隣接して配置することができる。
【0024】
さまざまな実施形態では、上述した部品を導管に組み込むことができる。微細構造化面は、導管の内壁の少なくとも一部を形成することができる。微細構造化面を、導管の内腔内の挿入物に配置することができる。導管の壁は、熱源と連通するように構成されている。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、加湿ガスと使用する医療用回路部品は、内部に空間を画定する壁を備え、壁の少なくとも一部は、平衡接触角が約π/2ラジアン未満である外側面を有する基板の中および上に複数の微細構造を含む表面を備え、微細構造は、使用時に、液体の水を保持する第1領域から、患者へのまたは患者からの空気流にさらされる第2領域まで液体を吸い込むように構成されており、微細構造は、基板の外面より低い側部および底部を有する第1マイクロチャネルと、基板の外面より高い側部を有する第2マイクロチャネルとを備え、第2マイクロチャネルの側部は、第1マイクロチャネルの周囲またはその間の隆起によって形成される。
【0026】
さまざまな実施形態では、上述した医療用回路は、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。
【0027】
微細構造は、各々が、表面から突出する同様の寸法を有し、かつ間に第1チャネルを画定する第1隆起および第2隆起を含む、略逆台形状構造であり得る。第1隆起および第2隆起の高さは、約30μmおよび約40μmの範囲内であり得る。略逆台形状構造は、第1チャネル内のかつ第1隆起に隣接する第2チャネルと、第1チャネル内のかつ第2隆起に隣接する第3チャネルとを備えることができ、第2チャネルおよび第3チャネルは、同様の寸法を有し、かつ第1チャネルから凹陥している。第2チャネルおよび第3チャネルの深さは、約5μmおよび約10μmの範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約2倍および約3倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約3倍および約5倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約2倍および約5倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約3倍および約5倍の範囲内であり得る。第1チャネルの高さは、第2チャネルおよび第3チャネルの深さの約3倍および約5倍の範囲内であり得る。
【0028】
略逆台形状構造に対する臨界接触角θは、式:
【数4】
を満たすことができ、式中、λは、第1チャネルの基部の断面幅の、第1チャネルの基部から測定された隆起の断面高さに対する比であり、φは、垂直軸と第1隆起または第2隆起の側面との間の角度である。
【0029】
マイクロチャネルは略正方形状であり得る。第1マイクロチャネルに対する臨界接触角θは、式:
【数5】
を満たすことができ、式中、Xは、正方形状チャネルに対する高さ対幅のアスペクト比を表す。第1マイクロチャネルは略V字型であり得る。第1マイクロチャネルの臨界接触角θは、式:
【数6】
を満たすことができ、式中、βは、V字形状の角度を表す。
【0030】
いくつかの実施形態では、医療用回路で使用する部品は、上に配置された液体を分散させるように構成された、略水平の平面微細構造化面を備えている。流れるガスの経路に微細構造化面を配置することができ、微細構造化面の上に液体を分配するように、液体ディスペンサを構成することができる。
【0031】
さまざまな実施形態では、微細構造化面は表面不規則性を含む。
【0032】
さまざまな実施形態では、表面不規則性は、顆粒、隆起、溝、チャネルおよび粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
さまざまな実施形態では、液体ディスペンサは、微細構造化面の上に一度に1滴、液体を分配するように構成された少なくとも1つのドロッパを備えている。
【0034】
さまざまな実施形態では、液体ディスペンサは、微細構造化面から上方に距離を置いて配置された実質的に平坦なプレートを備え、プレートは複数の孔を含み、その孔を通って、液体が下方の微細構造化面の上に落下することができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、医療用回路で使用する部品は、上に配置された液体を分散させるように構成された、略水平の平面微細構造化面を備えており、微細構造化面は、流れるガスの経路に配置され、液体ディスペンサは、微細構造化面の上に液体を分配するように構成されている。
【0036】
さまざまな実施形態では、上述した部品は、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。
【0037】
微細構造化面は表面不規則性を含むことができる。表面不規則性は、顆粒、隆起、溝、チャネルおよび粒子からなる群のうちの少なくとも1つを含むことができる。液体ディスペンサは、微細構造化面の上に一度に1滴、液体を分配するように構成された少なくとも1つのドロッパを備えることができる。液体ディスペンサは、微細構造化面から上方に距離を置いて配置された実質的に平坦なプレートを備えることができ、プレートは複数の孔を含み、その孔を通って、液体が下方の微細構造化面の上に落下することができる。
【0038】
少なくとも1つの実施形態では、加湿器と使用するのに好適である加湿チャンバは、内部空間を画定する外壁と、内部空間内の、加湿チャンバ内の空気の流れを誘導するように構成された、少なくとも1つの内側ガイド壁とを備えている。
【0039】
さまざまな実施形態では、上述した加湿チャンバは、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。
【0040】
少なくとも1つの内側ガイド壁は、複数のガイド壁を備えることができる。複数のガイド壁を同心状に配置することができる。複数のガイド壁の隣接するものの間に流路を画定することができる。複数のガイド壁は、複数の流路を画定することができ、流路のうちの少なくともいくつかは、互いに対してサイズが異なる。1つまたは複数のガイド壁は、略U字型であり、加湿チャンバの入口ポートと出口ポートとの間に延在することができる。微細構造化面は、1つまたは複数のガイド壁の少なくとも一部を形成することができる。1つまたは複数のガイド壁を、加湿チャンバの上壁に取り付けることができる。
【0041】
加湿チャンバは、加湿チャンバ内に、水の気相および液相の混合を容易にする混合要素をさらに備えることができる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、加湿器と使用するのに好適である加湿チャンバは、内部空間を画定する外壁と、水の気相および液相の混合を容易にする、加湿チャンバ内の混合要素とを備えている。
【0043】
さまざまな実施形態では、上述した加湿チャンバは、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。混合要素は、加湿チャンバを通るガスの流れに応じて移動可能であり得る。混合要素は、複数のブレードを備えたタービンであり得る。
【0044】
加湿チャンバは、水が水入口から加湿チャンバ内に入るのを制御する二重弁装置をさらに備えることができ、弁のうちの少なくとも一方は、フロートによって制御されない。第1弁を、フロートによって制御することができ、第2弁を、水位センサおよび弁アクチュエータを備えたアクチュエータ装置によって制御することができる。第2弁を、通常は閉鎖位置に付勢することができ、弁アクチュエータによって開放位置に移動させることができる。
【0045】
加湿チャンバは、平面壁を備えることができ、水位センサを平面壁に配置することができる。入口ポートおよび出口ポートを平面壁に隣接して配置することができる。
【0046】
タービンの底面は、回転軸を画定する突起を備えることができる。タービンは、基部を備えることができ、基部に複数のブレードを接続可能とすることができる。ブレードは概してまたは実質的に平面であり得る。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、加湿器と使用するのに好適な加湿チャンバは、内部空間を画定する外壁と、水が内部空間に入るのを可能にする水入口と、水が水入口から加湿チャンバに入るのを制御する一次弁であって、フロートによって制御される一次弁と、水が水入口から加湿チャンバに入るのを制御する二次弁であって、フロートによって制御されない二次弁とを備えている。
【0048】
さまざまな実施形態では、上述した加湿チャンバは、以下の特性のうちの1つ、いくつかまたはすべてとともに、本開示の別の場所に記載する特性を有する。二次弁を、水位センサおよび弁アクチュエータを備えるアクチュエータ装置によって、制御することができる。第2弁を、通常は閉鎖位置に付勢することができ、弁アクチュエータによって開放位置に移動させることができる。第2弁は、弁体アセンブリを備えることができ、弁体アセンブリは、通常弁体アセンブリを第2弁の閉鎖位置に付勢する一体型ばねアームを有している。加湿チャンバは、平面壁を備えることができ、平面壁に水位センサを配置することができる。入口ポートおよび出口ポートを、平面壁に隣接して配置することができる。
【0049】
これらおよび他の実施形態について、以下より詳細に説明する。
【0050】
ここで、図面を参照して、開示するシステムおよび方法のさまざまな特徴を実施する実施形態例について説明する。図面および関連する説明は、本開示の範囲を限定するためではなく実施形態を例示するために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】1本または複数本の医療用チューブ、加湿チャンバおよび患者インタフェースを組み込んだ医療用回路の概略図を示す。
【
図3A-B】少なくとも1つの実施形態によるチューブ例のための内部部品の第1拡大縦断面図および第2拡大縦断面図を示す。
【
図5A】チューブ用の内部部品の正面斜視図を示す。
【
図5B】正面斜視図に示す
図5の内部部品の第1拡大部分を示す。
【
図6】チューブ内の気流速度および温度のプロファイルの概略図を示す。
【
図8A】微細構造の第1形態を含む、加湿チャンバ例の斜視図を示す。
【
図8B-C】
図8Aの微細構造の第1拡大部分および第2拡大部分の正面図を示す。
【
図9A】微細構造の第2形態を含む加湿チャンバ例の斜視図を示す。
【
図9B-C】
図9Aの微細構造の第1拡大部分および第2拡大部分の正面図を示す。
【
図10A】患者インタフェース例の正面斜視図を示す。
【
図10B】導電性フィラメントを組み込んだ患者インタフェース例の正面図を示す。
【
図11A】微細構造を含む患者インタフェース例の背面図を示す。
【
図11D】微細構造を含む患者インタフェース例の背面図を示す。
【
図12A】微細構造を組み込んでいないインタフェース面の水滴形成の概略図を示す。
【
図12B】微細構造を組み込んだインタフェース面の水の広がりの概略図を示す。
【
図13】微細構造からの蒸発に対する追加された熱の効果を概略的に示す。
【
図14】ダイヘッドへのホッパ供給式のスクリュフィーダを含み、コルゲータで終端する、医療用チューブの製造方法の概略図である。
【
図15】医療用管のための渦巻き形成製造方法の概略図である。
【
図16】連続したマイクロチャネルにおける吸込み(ウィッキング)に対する条件例のグラフである。
【
図18A-L】連続した微細構造および別個の微細構造の画像を示す。
【
図19A】微細構造を組み込んだ入口チューブを有する加湿チャンバの斜視図を示す。
【
図19B】入口チューブと使用される予備加湿カラーの側面図を示す。
【
図20】蒸発を促進するために粗面を用いることができる実施形態を示す。
【
図21】蒸発を促進するために粗面を用いることができる別の実施形態を示す。
【
図22】表面上のいくつかの微細構造の不規則性を示す。
【
図23】蒸発スタックまたはタワーを含む加湿チャンバの実施形態を示す。
【
図24B】逆台形微細構造における毛管充填長と毛管充填時間との間の関係のグラフ図である。
【
図25A】平面状表面上に微細構造を形成する方法で使用するのに好適な装置を示す。
【
図26A-H】平面状表面に微細構造を形成する方法を示す。
【
図27A-F】平面状表面に微細構造を形成する別の方法を示す。
【
図28A-D】平面状表面に微細構造を形成する別の方法を示す。
【
図30B】
図30Aの微細構造化シートを備えた加湿チャンバで使用される挿入物の概略図を示す。
【
図31】加湿チャンバを通してガス流を誘導するガイド機構を含む加湿チャンバを示す。
【
図32】ガイド機構、二重弁装置、および二重弁装置の二次弁用のアクチュエータを示す、
図31の加湿チャンバの部分断面図である。
【
図34】タービンの形態の混合要素を含む加湿チャンバの概略上面図である。
【
図35】加湿チャンバとは別個の
図34のタービンの斜視図である。
【
図36】タービンの底面における摩擦低減機構を示す
図34のタービンの側面図である。
【
図37A】1つまたは複数の医療用チューブ、加湿器チューブおよび患者インタフェースを組み込んだ医療用回路の概略図を示す。
【
図37B-C】加湿器チューブ例の側面図および正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図面を通して、参照番号を頻繁に再使用して、参照される(または同様の)要素間の対応関係を示す。さらに、各参照番号の最初の数字(複数可)は、その要素が最初に現れる図を示す。
【0053】
以下の詳細な説明は、新たな医療用回路部品と、送気、麻酔または呼吸回路の部品等、こうした部品を形成する方法とを開示する。上で説明したように、これらの部品は、加湿および/または凝縮液管理用の微細構造を含む。開示する微細構造は、種々の医療用回路における、チューブ(たとえば吸気呼吸チューブおよび呼気呼吸チューブ、ならびにベンチレータ、加湿器、フィルタ、排水器、サンプルライン、コネクタ、ガス分析器等、呼吸回路のさまざまな要素の間の他の管)、Yコネクタ、カテーテルマウント、加湿器、ならびに患者インタフェース(たとえば、鼻および顔面を覆うマスク、鼻マスク、カニューレ、鼻ピロー等)、フロート、プローブおよびセンサを含む、種々の部品に組み込むことができる。医療用回路は、広義語であり、当業者に対するその通常のかつ慣例の意味が与えられるべきである(すなわち、特別なまたは特化された意味に限定されるべきではない)。したがって、医療用回路は、ベンチレータ/ブロワと患者インタフェースとの間に単一の吸気呼吸チューブを備えることができるいくつかのCPAPシステム等の開回路とともに、閉回路を含むように意図されている。
【0054】
本明細書に記載する装置および方法を実施するいくつかの例示的な実施形態に関する詳細について、図を参照して以下に説明する。本発明は、これらの詳細な実施形態に限定されない。
【0055】
医療用回路
本開示をより詳細に理解するために、最初に
図1を参照する。
図1は、少なくとも1つの実施形態による医療用回路を示す。より詳細には、
図1は、呼吸回路例を示す。こうした呼吸回路は、たとえば、持続、可変あるいは二段階気道陽圧(PAP)システムまたは他の形態の呼吸療法であり得る。後に説明するように、呼吸回路は、1本または複数本の医療用チューブ、加湿器および患者インタフェースを含む。医療用回路のこれらの部品および他の部品のうちの任意のものまたはすべてが、加湿および/または凝縮液管理用の微細構造を組み込むことができる。微細構造は、概して、1ミクロン(μm)~1000μm(または約1μm~約1000μm)の範囲のマイクロスケール寸法を有する構造として定義することができる。
【0056】
図1の回路において、以下のようにガスを搬送することができる。乾燥ガスは、ベンチレータ/ブロワ105から、乾燥ガスを加湿する加湿器107まで進む。いくつかの実施形態では、ベンチレータ/ブロワ105を加湿器107と一体化することができる。加湿器107は、吸気チューブ103の入口109(加湿ガスを受け取る端部)に出口ポート111を介して連結し、それにより、加湿ガスを吸気チューブ103に供給する。吸気チューブは、患者に呼吸ガスを送達するように構成されたチューブである。ガスは、吸気チューブ103を通って出口113(加湿ガスを排出する端部)まで、その後、出口113に接続された患者インタフェース115を通って患者101まで流れる。この例では、出口113はYピースアダプタである。出口113には、呼気チューブ117も連結している。呼気チューブは、吐出された加湿ガスを患者から遠ざけるように構成されたチューブである。ここで、呼気チューブ117は、患者インタフェース115からの吐出された加湿ガスをベンチレータ/ブロワ105に戻す。少なくとも1つの構成による吸気チューブ103および/または呼気チューブ117は、微細構造を備えることができる。これらのチューブ(および他のチューブ)について、後により詳細に説明する。
【0057】
この例では、乾燥ガスは、通気孔119からベンチレータ/ブロワ105に入る。ファン121が、空気または他のガスを通気孔119から引き込むことによって、ベンチレータ/ブロワ105へのガス流を促進することができる。ファン121を、たとえば可変速ファンとすることができ、その場合、電子コントローラ123がファン速度を制御する。特に、電子コントローラ123の機能を、電子マスタコントローラ125によって、電子マスタコントローラ125からの入力および/またはダイヤル127を介する圧力あるいはファン速度の使用者が設定した値に応じて制御することができる。
【0058】
加湿器107は、ある容量の水130または他の好適な加湿液を収容する加湿チャンバ129を備えている。好ましくは、加湿チャンバ129は、使用後に加湿器107から取外し可能である。取外し可能であることにより、加湿チャンバ129をより容易に滅菌または廃棄することができる。しかしながら、加湿器107の加湿チャンバ129部分を一体構造とすることができる。加湿チャンバ129の本体を、非導電性ガラスまたはプラスチック材料から形成することができる。しかしながら、加湿チャンバ129はまた、導電性部品も含むことができる。たとえば、加湿チャンバ129は、加湿器107の加熱板131と接触するかまたはそれに関連する高熱伝導性基部(たとえば、アルミニウム基部)を含むことができる。例として、加湿器107は、ニュージーランド、オークランド(Auckland,New Zealand)のFisher & Paykel Healthcare Limitedの呼吸加湿商品系列の加湿器のいずれか等、独立型加湿器であり得る。例としての加湿チャンバ129は、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Simsによる米国特許第5,445,143号明細書に記載されている。
【0059】
少なくとも1つの実施形態による加湿チャンバ129は、微細構造を備えることができ、それについては本明細書においてさらに詳細に説明する。
【0060】
加湿器107はまた、電子制御部も含むことができる。この例では、加湿器107は、電子マスタコントローラ125を含む。好ましくは、電子マスタコントローラ125は、関連するメモリに格納されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースコントローラである。たとえば、ユーザインタフェース133を介する使用者が設定した湿度値または温度値入力および他の入力に応じて、電子マスタコントローラ125は、加湿チャンバ129内の水130を加熱するために加熱板131に通電すべきとき(または通電すべきレベル)を確定する。
【0061】
あらゆる好適な患者インタフェース115を組み込むことができる。患者インタフェースは、広義語であり、それには、当業者に対してその通常のかつ慣例の意味が与えられるべきであり(すなわち、特別の意味または特化された意味に限定されるべきではなく)、限定なしにマスク(気管マスク、フェイスマスクおよび鼻マスク等)、カニューレおよび鼻ピローを含む。温度プローブ135は、患者インタフェース115の近くで吸気チューブ103に、または患者インタフェース115に連結することができる。温度プローブ135は、患者インタフェース115の近くまたは患者インタフェース115における温度をモニタリングする。温度プローブに関連する加熱フィラメント(図示せず)を用いて、吸気チューブ103および/または患者インタフェース115の温度を、飽和温度を超えて上昇させるように、患者インタフェース115および/または吸気チューブ103の温度を調整することができ、それにより望ましくない凝縮に対する可能性が低減する。
【0062】
少なくとも1つの実施形態による患者インタフェース115は、微細構造を備えることができ、それについては詳細に後述する。
【0063】
図1において、吐出された加湿ガスは、患者インタフェース115から呼気チューブ117を介してベンチレータ/ブロワ105まで戻される。呼気チューブ117に、吸気チューブ103に関して上述したように、凝縮の可能性を低減させるために温度プローブおよび/または加熱フィラメントを組み込むことができる。さらに、呼気チューブ117は、吐出ガスをベンチレータ/ブロワ105に戻す必要はない。別法として、吐出された加湿ガスを、周囲環境に直接、または空気スクラバ/フィルタ(図示せず)等の他の補助機器に送ることができる。いくつかの実施形態では、呼気チューブは完全に省略される。
【0064】
上述したように、医療回路例の吸気チューブ103、呼気チューブ117、加湿チャンバ129および/または患者インタフェース115は、微細構造を備えることができる。これらの部品の考察は以下の通りである。しかしながら、本発明はこれらの実施形態によって限定されず、開示する微細構造を、加湿空気等の加湿ガスと接触しかつ/またはそれを搬送する種々の医療用部品に組み込むことができることが企図されている。
【0065】
微細構造を備えた医療用チューブ
図2は、少なくとも1つの実施形態による、医療用回路で使用するのに好適なチューブ201の斜視図を示す。
図2に示すように、チューブ201を波形とすることができ、それにより、チューブの可撓性が有利に向上する。しかしながら、いくつかの実施形態では、チューブ201は、相対的に平滑な非波形壁を有することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、幼児あるいは新生児の患者にかつ/またはそうした患者からガスを搬送するためにチューブ201を使用することができる。いくつかの実施形態では、年長の子供および成人等、標準的な患者にかつ/または標準的な患者からガスを搬送するために、チューブ201を使用することができる。本明細書に記載する「幼児用」および「標準」医療用チューブのいくつかの寸法例は、これらの寸法に対するいくつかの好ましい範囲とともに、2011年6月3日に出願された本願の譲受人が所有する米国仮特許出願第61/492,970号明細書、2012年3月13日に出願された同第61/610,109号明細書に、かつ本願の譲受人が所有する国際公開第2011/077250A1号パンフレットに記載されており、それらの各々は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。幼児用チューブおよび標準チューブの長さの例は、1m~2m(または約1m~約2m)であり得る。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、チューブ201は、1種または複数種のポリマーを含む押出成形品から形成されている。好ましくは、ポリマーは、結果として得られるチューブ201に概して可撓性があるように選択される。好ましいポリマーとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィンプラストマー(POP)、エチレンビニルアセテート(EVA)、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの材料のうちの2種以上の混合物が挙げられる。ポリマー(複数可)は、押出成形品全体の少なくとも98.4(あるいは約98.4)重量パーセント(wt.%)、98.5(あるいは約98.5)wt.%、98.6(あるいは約98.6)wt.%、98.7(あるいは約98.7)wt.%、98.8(あるいは約98.8)wt.%、98.9(あるいは約98.9)wt.%、99.0(あるいは約99.0)wt.%、99.1(あるいは約99.1)wt.%、99.2(あるいは約99.2)wt.%、99.3(あるいは約99.)wt.%、99.4(あるいは約99.4)wt.%、99.5(あるいは約99.5)wt.%、99.6(あるいは約99.6)wt.%、99.7(あるいは約99.7)wt.%、99.8(あるいは約99.8)wt.%または99.9(あるいは約99.9)wt.%を形成する。特定の実施形態では、押出成形品は、99.488(あるいは約99.488)wt.%または約99.49(あるいは約99.49)wt.%のLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、チューブ201は、全体として参照により本明細書に組み込まれる、本願の譲受人が所有する国際公開第2001/077250A1号パンフレットに記載されているように発泡ポリマーから形成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、微細構造を、アルミニウム箔、真鍮および銅等の軟質金属材料から形成することができる。いくつかのこうした実施形態では、選択される材料は、高い表面エネルギーを有することができる。いくつかの実施形態では、基板材料にコーティングすることができ、基板材料は、基板材料の表面エネルギーを増大させる添加物を含むことができる。いくつかの実施形態では、微細構造が形成されずに金属のみを使用することは、単に表面エネルギーが高いために有利であり得る。しかしながら、微細構造をたとえば金属から、まず軟質金属を膜または薄膜にし、その後、材料を打抜き加工して微細構造を形成することにより、形成することができる。その後、打抜き加工された材料を用いて、本開示の加湿装置におけるあらゆる好適な部品を形成することができる。たとえば、チューブ201の少なくとも内部を、微細構造を形成するように打抜き加工されている場合もあればされていない場合もある金属から形成することができる。またいくつかの実施形態では、打抜き加工された金属膜が、加湿チャンバ内のあらゆる構造(壁、タワー、フィン、基部等)に表面を形成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、チューブ201は、1つまたは複数の導電性フィラメントを備えることができる。いくつかの実施形態では、チューブ201は、2つまたは4つの導電性フィラメントを備えることができ、チューブ201の一端または両端において、導電性フィラメントの対を接続ループにすることができる。チューブ201の外側に1つまたは複数のフィラメントを配置する、たとえば、チューブ201の外側にらせん状に巻回することができ、またはチューブ201の内壁に配置する、たとえば、内腔壁に沿ってらせん状に巻回することができる。フィラメントについては後により詳細に考察する。
【0070】
液体と専用の微細構造を含む表面との間の相互作用により、液体が表面上にかつ微細構造の内側または上に広がることができることが分かった。この相互作用は、液体-気体界面面積を増大させ、表面の上部における液体層の厚さを低減させることがさらに分かった。表面積の増大と厚さの低減との組合せにより、平坦な表面上の同じ容量の液体の液体に比較して、液体蒸発が促進される。後述するように、表面積の増大、厚さの低減および加熱の組合せにより、液体蒸発がさらに促進される。したがって、さまざまな実施形態において、
図3A(正確な縮尺ではない)に示すように、チューブ201の内壁は微細構造301を備えている。
図3Bに、微細構造301の一部の第1拡大図を示す。
図3Bは、
図3Aより拡大した微細構造301を示す。
図3Aおよび
図3Bにおいて、微細構造301は、チューブ201に沿って軸方向に配置されている(すなわち、微細構造は、チューブ201の長手方向長さに対して垂直な方向に延在している)。
【0071】
ポリマーは、一般に表面エネルギーが低く、湿潤性が不十分になる。ポリマーチューブ201上の微細構造301の水の広がり能力を向上させるために、1種または複数種のポリマーを、表面エネルギーを増大させる1種または複数種の材料で処理することが有利であり得る。カチオン系界面活性剤等の界面活性剤が、特に望ましい添加材であり得る。好適な表面改質剤としては、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、エトキシル化アミン、アルカンスルホン酸ナトリウム塩およびラウリン酸ジエタノールアミドならびにこれらの物質を含む添加剤が挙げられる。Clariant(ニュージーランド(New Zealand))Ltd.によって製品名「418LD Masterbatch Antistatic」で提供されるMLDNA-418が、有効成分として5(±0.25)%モノステアリン酸グリセリン(CAS番号123-94-4)を含む表面改質剤のマスタバッチである。好ましくは、表面改質剤は、押出成形品全体の少なくとも約0.05(あるいは約0.05)wt.%、0.1(あるいは約0.1)wt.%、0.15(あるいは約0.15)wt.%、0.2(あるいは約0.2)wt.%、0.25(あるいは約0.25)wt.%、0.3(あるいは約0.3)wt.%、0.35(あるいは約0.35)wt.%、0.4(あるいは約0.4)wt.%、0.45(あるいは約0.45)wt.%、0.5(あるいは約0.5)wt.%、1.1(あるいは約1.1)wt.%、1.2(あるいは約1.2)wt.%、1.3(あるいは約1.3)wt.%、1.4(あるいは約1.4)wt.%または1.5(あるいは約1.5)wt.%を含む。たとえば、少なくとも1つの実施形態では、チューブ押出成形品は、表面改質剤の0.25wt.%(または約0.25wt.%)を含む。別の例として、少なくとも1つの実施形態では、チューブ押出成形品は、表面改質剤の0.5wt.%(または約0.5wt.%)を含む。
【0072】
チューブ201または他の実施形態の水の広がり能力を向上させるために、他の界面活性剤または他の親水化剤等の他の材料も利用することができる。たとえば、あらゆる好適なアニオン系、カチオン系あるいは非イオン系界面活性剤あるいは他の親水化剤、またはこうした界面活性剤あるいは親水化剤の組合せを使用することができる。好適な親水化剤は、概して組成物の親水特性を向上させることができるあらゆる1種または複数種の作用物質であり得る。いくつかの構成では、界面活性剤または親水化剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第0480238B1号明細書に記載されているもの等、エトキシル化脂肪アルコールを含むことができる。いくつかの構成では、界面活性剤または親水化剤は、ノニルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール-モノエステルおよびジエステル、ソルビタンエステル、ポリエチレングリコール-モノエーテルおよびジエーテルならびに欧州特許第0268347B1号明細書に記載されている他のもの、または全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第87/03001号パンフレットに記載されているもの等、非イオン系パーフルオロアルキル化表面活性物質を含むことができる。いくつかの構成では、界面活性剤または親水化剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれる上述した国際公開第87/03001号パンフレットおよび欧州特許第0231420B1号明細書に記載されているような親水性シリコンオイル等の湿潤剤を含むことができる。いくつかの構成では、界面活性剤または親水化剤は、全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/001869号パンフレット、特に第13頁および第14頁に記載されているもの等、ポリエーテルカルボシランを含むことができる。他のこうした好適な作用物質は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/001869号パンフレットにおいて参照されているように、米国特許第5,750,589号明細書、同第4,657,959号明細書および欧州特許第0231420B1号明細書に記載されている。いくつかの構成では、界面活性剤または親水化剤は、上述した米国特許第4,657,949号明細書および国際公開第2007/001869号パンフレットに記載されているもの等、シロキサン可溶化基を含むエトキシル化界面活性剤を含むことができる。こうしたエトキシル化界面活性剤の例は、米国ニューヨーク州アルバニー(Albany,New York USA)のMomentive Performance Materials,Inc.から入手可能な界面活性コポリマーのSILWET(登録商標)系列(たとえば、SILWET(登録商標)L-77)、および米国オハイオ州カヤホガフォールズ(Cuyahoga Falls,Ohio USA)のEmerald Performance Materials,LLCから入手可能なMASIL(登録商標)SF19である。
【0073】
いくつかの実施形態では、微細構造が形成された後、微細構造化面に1種または複数種の親水化剤が塗布される。たとえば、微細構造化面を、メタノールまたはエタノール等の揮発性溶剤におけるELVAMIDE(登録商標)ナイロンマルチポリマー樹脂(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE)のE.I.du Pont de Nemours & Co.)の懸濁液に浸漬し、懸濁液を噴霧し、または他の方法で塗布することができる。その後、揮発性溶剤を蒸発させる。揮発性溶剤が蒸発した後、ELVAMIDE(登録商標)の薄い(1μmおよび10μmの範囲、または約1μmおよび約10μmの範囲)層が微細構造をコーティングし、表面親水性を向上させる。
【0074】
表面エネルギーを増大させるために他の方法も使用することができる。好適な方法には、物理的方法、化学的方法および放射線による方法がある。物理的方法としては、たとえば、物理吸着およびラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)膜が挙げられる。化学的方法としては、強酸による酸化、オゾン処理、化学吸着および火炎処理が挙げられる。放射線による方法としては、プラズマ(グロー放電)、コロナ放電、光活性化(UV)、レーザ、イオンビーム、電子ビームおよびガンマ線照射が挙げられる。
【0075】
好適な表面改質方法または表面改質剤を選択することにより、ゴニオメータ等の角度測定装置によって測定可能であるように、50(または約50)度(°)、45(または約45)°、40(または約40)°、35(または約35)°、30(または約30)°、25(または約25)°、20(または約20)°未満の表面特性接触角を有するチューブ壁を提供することができる。たとえば、35°(または約35°)未満の表面特性接触角を有するチューブ壁によって有用な結果が得られる。望ましくは、接触角はπ/2(または約π/2)未満である。より好ましくは、接触角は0°または約0°である。
【0076】
以下の表1は、表面改質剤で処理されたサンプルと放射線で処理されたサンプルとを含む、さまざまなLLDPEサンプルに対する接触角測定値を示す。接触角測定値は、ASTM規格D7334、2008、「Standard Practice for Surface Wettability of Coatings,Substrates and Pigments by Advancing Contact Angle Measurement」に従って行われた静的液滴形成試験(static drop shape testing)法に基づいている。
【0077】
【0078】
5%のMLDNA-418表面改質剤を含むサンプルは、試験した他の表面改質法と比較して最も低い測定接触角をもたらした。
【0079】
上述したように、いくつかの実施形態では、バルクポリマー押出成形品に添加材が添加される。添加材がチューブの有用な寿命のために表面を補充するように、ポリマーマトリックスに材料を添加することが望ましい可能性がある。いくつかの構成では、たとえば、ポリマーの表面に材料をコーティングすることにより、ポリマーの表面処理として材料を添加することができる。たとえば、微細構造化面に対して、HYDRON曇り止めコーティング(ペンシルヴェニア州、ランカスター(Lancaster,Pennsylvania)のMXL Industries)、HCAF-100(テキサス州コーパスクリスティ(Corpus Christi,Texas)のExxene Corporation)等のEXXENE曇り止めコーティングおよびMAKROLON曇り止め(Bayer Corporation)等の添加材をブラシかけし、噴霧し、または他の方法でコーティングして、添加材の薄い(たとえば、1μmまたはその辺り)コーティングを生成することができる。表面コーティングは、コストが低くかつ製造が容易であるため望ましい可能性がある。
【0080】
いくつかの構成では、通気性ポリウレタン、たとえば、ESTANE58245(オハイオ州ウィクリフ(Wickliffe,Ohio)のLubrizol Corporation)、通気性ポリエステル、たとえば、ARNITEL VT3108(オランダ国シタルト(Sittard,Netherlands)のDSM Engineering Plastics)、または通気性ポリアミド、たとえば、PEBAX(フランス国コロンブ(Colombes,France)のArkema)等の親水性材料の薄膜を、表面改質剤としてキャストことができる。これらの親水性材料は、湿気を吸収し、非常に湿潤性となることができる。親水性薄膜を実装する方法例は、溶剤に通気性ポリマーを溶解することと、混合物をキャストすることと、溶剤を蒸発させ、それにより微細構造の上に通気性材料の薄膜を残すこととを含む。たとえば、ESTANE58245ペレットをジメチルホルムアミド(DMF)溶剤のテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、マイクロフライス加工プロセスを用いて真鍮またはアルミニウムから加工された微細構造上にキャストすることができる。薄膜に対する典型的な寸法は、1μm~10μm(または約1μm~約10μm)の範囲である。好ましくは、溶剤、通気性材料および微細構造材料の組合せは、たとえば、微細構造を溶剤で溶解することによって、微細構造の形状および品質が実質的に影響を受けないように、選択される。
【0081】
いくつかの実施形態は、
図3Aおよび
図3Bに示す垂直形態により加湿および凝縮液管理を有利に改善することができるという認識を含む。
図1に示すように、チューブ(たとえば、吸気チューブ103または呼気チューブ117)は、概して水平方向に延在しているが、特にチューブの端部近くでは、いくつかの部分が垂直に延在することができ、いくつかの部分を傾斜させることができる。重力の作用下で、凝縮液はチューブの垂直部分および傾斜部分を下り、略水平チューブの最下点において溜まる傾向がある。微細構造が略水平チューブ底部に対して垂直であるとき、微細構造は、溜まった凝縮液を重力に抗して垂直に移動させる。この作用により、チューブ壁の凝縮液の量、したがって空気流にさらされる凝縮液の表面積が増大する。空気流にさらす凝縮液の表面積を増大させることにより、凝縮液が空気流に蒸発する可能性が増大する。したがって、垂直形態により、チューブ内に溜まった凝縮液が低減し、チューブを通して流れる空気が湿度の所望のレベルを飽和近くで維持する可能性が高くなる。
【0082】
この構成は、チューブ内腔内に延在するいかなる構造もないために、チューブ内腔内の空気流にもたらす分断が最小限であるため、有利であり得る。少なくとも1つの実施形態は、蒸発を促進するために、微細構造が内腔内に延在するかまたは二幸を覆う必要がないという認識を含む。
【0083】
図19Aは、加湿チャンバ129の実施形態を示し、その入口ポート701には、微細構造1903を組み込んだチューブ1901が取り付けられている。チューブ1901の他端は、ベンチレータ/ブロワ(図示せず)から通じる波形乾燥ライン1909が接続されている。空気は、ベンチレータ/ブロワから乾燥ライン1909に入り、チューブ1901を通って入口ポート901に入り、その後、加湿チャンバ129に入るように流れる。チューブ1901は非波形壁を有している。水等の液体を、入口ポート701の幾分かの距離上方においてチューブ1901内に一定量供給することができ、それにより、水は、加湿チャンバ129の方向において微細構造1903を通りかつそれに沿って進む。いくつかの実施形態によれば、
図19Aに示すように、微細構造1903をチューブの方向において長手方向に向けることができる。別法として、微細構造1903をチューブ壁に沿った円周方向に向けることができる。
図19Aのチューブ901を、加湿チャンバ129に流れ込むガスを予備加湿するために有利に使用することができる。
【0084】
いくつかの構成では、チューブ1901の内面に液体を計量しながら供給することができ、それにより、制御された導入によって、液体が、チューブ1901の周縁に、かつ微細構造および重力を用いることにより、チューブ1901の内面に沿って広がる。流量絞り弁等、あらゆる好適な速度制限装置を用いて、液体の導入を制御することができる。チューブ1901内に流れ込む水の速度は、速度制限装置を用いて、チューブ1901内の水と微細構造との間の相互作用を最大限にするように調節することができる。たとえば、チューブ1901内の水の量を増大させることにより、発生する蒸発の量を増大させることができる。しかしながら、微細構造1903は、水で完全に覆われずかつコーティングされない場合に最も有効であり得る。蒸発は、主に水の際および周囲構造に沿って粗面上で発生することが分かった。したがって、水に対する際の数を最大限にするように、チューブ1901を通って流れる水の量を制御することが望ましい場合がある。
【0085】
図19Bは、
図19Aのボックス1910の領域におけるチューブ1901に液体を送達する手段例を示す。液体供給チューブ(図示せず)は、投入口1913を介してカラー1911に液体を提供し、カラー1911は、チューブ1901に液体を供給する。上述したような任意選択的な速度制限装置(図示せず)を用いて、カラー1911への液体の量を調節することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、液体供給チューブは、速度制限装置とカラー1911との間に延在することができる。カラー1911は、任意選択的に、スリーブ1915の外面にマイクロチャネルを含むことができ、マイクロチャネルは、チューブ1901のマイクロチャネルと流体連通することができる。さらに、カラー1911は、乾燥ライン1909が連結することができるポートを含むことができる。チューブ1901を下るかまたは通って加湿チャンバ129に向かって流れる空気は、チューブ1901の内面から水を蒸発させかつ押し流し始める。したがって、加湿チャンバ129に達する空気は、少なくとも幾分かの水蒸気をすでに取得している。
【0086】
いくつかの実施形態では、チューブ1901の上にまたは中にヒータワイヤ1907を組み込むことができる。
図19Aのヒータワイヤ1907は、チューブ1901の外側(または外面)に概略図で示されている。別法として(またはさらに)、ヒータワイヤ1907をチューブ1901内に(たとえば、チューブ内腔内にまたは内腔壁に)配置し、かつ/またはチューブ1901壁に埋め込むことができる。熱ジャケット(図示せず)が、チューブ1901の少なくとも一部に組み込まれるかまたはそれを包囲することも可能である。熱ジャケットは、流れるガスへの水または液体の蒸発をさらに促進することができる。いくつかの実施形態では、熱ジャケットを有するのではなく、または熱ジャケットを有することに加えて、チューブ1901の1つまたは複数の部分にヒータを印刷することができる。いくつかの実施形態では、チューブは、加熱素子を提供するように、厚膜加熱素子、エッチングされた箔またはワイヤ素子等の構造を含むことができる。
【0087】
微細構造1903を備えたチューブ1901は、あらゆる好適な方法でかつあらゆる好適な材料を用いて形成することができる。いくつかの実施形態では、チューブ1901は、親水性ポリマーから形成された波形シートから形成することができる。形成されると、結果として得られる構造の内面の長さの少なくとも一部に微細構造1903が伸びているチューブ1901を形成するように、波形材料を巻き付けることができる。いくつかの実施形態では、微細構造1903はV字型トレンチである。いくつかの実施形態では、V字型トレンチは、谷を備え、谷は、シートが平坦に配置されたときに隣接する谷から約30μm離れている。いくつかの構成では、シート、したがって結果として得られるチューブ1901は、約150mm長とすることができ、チューブ1901を形成するように折り畳まれると、約20mmの直径を有することができる。
【0088】
図37Aは、
図1の加湿器107を除いた
図1のシステムの代替形態を示す。乾燥ガスがベンチレータ/ブロワ105から加湿器チューブ3701まで進み、加湿器チューブ3701が乾燥ガスを加湿する。加湿器チューブ3701は吸気チューブ103に連結し、吸気チューブ103は、出口113(この例では、Yピースアダプタ)を介して患者101に加湿ガスを送達する。呼気チューブ117もまた出口113に連結している。ここで、呼気チューブ117は、吐出された加湿ガスを患者インタフェース115からベンチレータ/ブロワ105に戻す。少なくとも1つの構成による吸気チューブ103および/または呼気チューブ117は、本開示に記載するように微細構造を備えることができる。加湿器チューブ3701は、微細構造化導管3705を備えている。微細構造化導管の(内腔に隣接する)内壁は、本明細書に記載するように微細構造を備えている。微細構造を円周方向に配置することができる。別法として、微細構造を長手方向に配置することができる。微細構造化導管3705は、望ましくは非波形である。しかしながら、いくつかの実施形態では、微細構造化導管3705は波形であり得る。
【0089】
図37Bにより詳細に示すように、微細構造化導管3705に隣接して液体供給導管3703を配置することができる。液体供給導管3703は、加湿器チューブ3701に加湿液を提供する。液体供給導管3703を通って流れる液体を、フロースルーシステムとして送達することができる。別法として、再循環器を介して液体を送達することができる。望ましくは、液体の導入は、流量絞り弁等の好適な速度制限装置を用いて制御される。液体供給導管3703の内腔は、微細構造化導管3705の内腔と流体連通している。たとえば、内腔は、複数の小さいまたは毛管サイズの孔を介して、小さいまたは毛管サイズのチャネルを介して、半透過性膜を介して、またはナイロン等の液体透過性材料を介して連通することができる。液体導管1905の直径、孔またはチャネルのサイズ、膜の透過性および/または材料の密度は、液体がチューブ1901の内面に提供される速度をさらに制御するように選択することができる。
図37C、すなわち
図37Aおよび
図37Bの微細構造化導管3705および液体供給導管3703の正面図に示すように、使用時、液体供給導管3703内の液体は、微細構造化導管3705内に進む。液体は、吸い上げられ、微細構造化導管3705の表面にわたって広がり、微細構造化導管3705を通って流れる空気は液体を吸収し、それにより空気を加湿する。
【0090】
液体供給導管の代りとして、微細構造化導管3705の前方端に(すなわち、ベンチレータ/ブロワ105に近い方の端部に)カラーを配置することができる。カラーは、
図19Bに関連して記載したカラー1911と本質的に同様であり得る。
【0091】
図4は、例としての微細構造301aの断面を示す。この実施形態例では、微細構造301aは、楔状構造を備えた連続したマイクロチャネルである。連続したマイクロチャネルは、概して、寸法が1000μm(または約1000μm)以下である連続したチャネルとして定義することができる。少なくとも1つの実施形態では、マイクロチャネルは、深さdが20μm~40μm(または、約20μm~40μm)、最大幅wが20μm(または、約20μm)および角度θが30°~60°(または約30°~60°)である。いくつかの実施形態では、チューブ表面は、マイクロチャネル対中実体比は1:1(または約1:1)である。上述した寸法は限定するものではなく、さらなる好適な寸法についてはより詳細に後述する。これらの実施形態例と上述したチューブ寸法例との尺度が異なるため、微細構造化面は、ラブオンチップ(lab-on-a-chip)等の閉鎖系ではなく、開放系において存在しかつ作用することができる。
【0092】
いくつかの実施形態は、マイクロチャネル内の液体の動きが、慣性力または重力ではなく、主に表面力に基づくという認識を含む。幾つかの実施形態はまた、微細構造の特徴的な寸法が
【数7】
として定義されるように毛管長(L
c)より小さい場合、表面力が優位となり、式中、σは表面張力を表し、ρは流体密度を表し、gは重力加速度定数(9.8m/s
2)を表す、という認識も含む。室温の水の場合、毛管長は約2.3mmである。上述した認識に従って、約2.3mm未満のマイクロスケール寸法により、室温での水に対して表面現象を観察することができる。しかしながら、微細構造のサイズは、毛管吸込み、表面積の増大および/またはまたは膜厚の低減が観察可能であるか否かを常に示すとは限らないことが分かった。したがって、いくつかの実施形態では、微細構造は、π/2(または約π/2)未満の平衡接触角を有する基板を含む。等温(または、略等温)条件下で、かつ毛管長より小さい長さ尺度で、微細構造のアスペクト比および臨界平衡接触角によって決まる吸込みの基準を定義することができる。正方形のトレンチの場合、関係は
【数8】
として表わすことができ、式中、Xは高さ対幅のアスペクト比である。V字型溝の場合、関係は
【数9】
として表わすことができ、式中、βは溝の楔の角度である。
図16は、連続したマイクロチャネル、特に正方形の溝(1601)およびV字型の溝(1603)における吸込みに対する条件例のグラフである。曲線の下の領域では、チャネル内への吸込みが発生する傾向がある。曲線のわずかに上方の領域では、複数の準安定平衡状態への液滴の広がりが観察されるが、吸込みは発生しない傾向がある。曲線の十分に上方の領域では、液滴の広がりは観察されず、吸込みは発生しない。特徴的な寸法が液体に対する毛管長より小さい(それにより、表面張力が粘性力より優位である)場合、表面湿潤性およびチャネルアスペクト比の異なる組合せにより、マイクロチャネル内に液体が吸い上げられることになる。しかしながら、概して、θ
critが曲線を下回るような条件である場合、液体はチャネル内に吸い上げられる。
【0093】
上記認識に従って、吸込みを促進するために、アスペクト比が高くかつ/または表面エネルギーが高い(接触角が低い)構造が望ましいと判断された。上述したもの等の界面活性剤により、接触角は略0°になる可能性があり、そのため、吸込みは容易に発生することができる。大部分のポリマー表面にわたる平衡接触角は約0.87ラジアン(約50°)より大きく、そのため、湿潤を促進するためにより深いチャネルを実装することができる。
【0094】
表面粗さまたは微細構造(たとえば、規則的な微細構造)は、液滴の分散を促進することができ、したがって、液滴の厚さ/深さを低減させることができ、それにより、平衡接触角が約90°未満であるときに液体/気体表面積が増大する。マイクロチャネルの表面粗さはまた、吸込みの役割を果たすことも可能である。マイクロチャネル内の微細構造化バンプまたはナノ構造化バンプは、固体/液体/気体接触線を固定するように作用し、表面積を増大させ、かつ/または凝縮のための核生成サイトとして作用することができると考えられる。
図17は、
図18Cに示すものに類似するが、環境型走査電子顕微鏡を使用して見たマイクロチャネルを示す。表面上に粗さを明確に見ることができる。いくつかの構成では、表面粗さは、接触角が約90°を超える場合に広がりおよび蒸発に有害な影響を与える可能性があり、それは、液滴が相対的に広がらず、それにより液体/気体表面積が低減するためである。少なくともこの理由で、平衡接触角が約90°未満である構造が概して好ましい。
【0095】
微細構造の多くの異なる形状が所望の結果を達成することができる。たとえば、連続したマイクロチャネルの輪郭は、正弦曲線状または鋭利なトレンチであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルは、アスペクト比が、距離、たとえば化学的勾配または物理的勾配によって増大する。いくつかの実施形態では、チャネル深さ勾配を用いて、特定の方向における液体の移動が制御される。液体は、より深いチャネルの方向に移動する傾向があることが分かった。勾配は、ヒステリシスが遅い場合に、基板が液滴をより高いエネルギーの領域に向かってそのエネルギーを低下させるために移動させることができるため、望ましい可能性がある。勾配はまた、液体の吸込みを加速するかまたは他の方法で促進することも可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、チャネル深さ勾配を用いて、液体をより空気流量の高い領域に向かって移動させ、それにより、蒸発が増大する。いくつかの実施形態では、構造の垂直壁に沿ってより大きいチャネルを用いて、水を構造の底部から波形構造の頂部まで向け、それにより、水は加熱素子により近づいて蒸発する。
【0096】
さらに、微細構造は連続している必要はない。不連続の微細構造は、液体が分散するのに役立ち、それにより蒸発を加速する。粗面では、大部分の蒸発が固体構造と液体との遷移部の周囲で(すなわち、液体の際で)発生することが分かった。したがって、構造全体の粗さを増大させることにより、遷移領域が増大し、蒸発が促進される。たとえば、表面は、円筒状、角錐状または立方体形状のポストまたはピラー等、不連続な特徴を備えることができる。微細構造はまた、上述した特徴の階層も備えることができる。いくつかの実施形態では、不連続の特徴は、均一であるかまたは部分的に均一である。いくつかの実施形態では、不連続の特徴は、表面上にランダムに分散されている。たとえば、いくつかの実施形態は、表面を横切って広がるかまたは表面に付着した不規則な形状を有する結晶を利用する。いくつかの実施形態では、不規則な(すなわち、平滑ではない)表面は、有利に蒸発を促進することができる。
【0097】
図20および
図21は、液体の蒸発を促進するために不規則な表面または粗面を利用する実施形態を示す。
図20は、わずかな量の液体を出す、粗面2001から幾分かの距離Dに位置する液体ディスペンサ2003を利用して、粗面2001に液体を付与することができることを示す。いくつかの構成では、液滴は、一度に1滴として放出される。いくつかの構成では、液滴は、接触時に跳ねかえる可能性があり、その結果より小さい液滴になる。
【0098】
各液滴は、粗面2001に接触し、粗面2001にわたって迅速に広がることができ、それにより、粗面2001の上に流れるガスへの液体の蒸発を促進する。いくつかの実施形態では、粗面2001は加熱されて、通過するガスへの液体の蒸発をさらに促進する。
図20における実施形態では、単一の液体ディスペンサ2003またはドロッパのみがあるように示されているが、いくつかの実施形態は、2つ以上の液体ディスペンサ2003を備えることができる。
図21に示すように、粗面2001の上の液体の被覆率を増大させるために、粗面2001の上のさまざまな場所に複数の液体ディスペンサ2101を配置することができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、複数の孔を備える表面が液体ディスペンサ2101としての役割を果たす。水等の液体が、表面の上に流れることができる。そして、液体は、表面の複数の孔を通って下にある粗面2001まで下方に滴下または落下する。ガスが、2つの表面(すなわち、第1表面および粗面2001)の間に流れることができ、落下する液体を蒸発させ、その後、粗面または不規則面2101の微細構造の間に分散させる。
図21は、いくつかの実施形態において、加湿される空気等のガスの流れを、粗面2001の上に比較的平坦な流れを形成するように運ぶかまたは形作ることができることをさらに示す。こうした構成により、より多くのガスを粗面2001と相互作用させることができる。
【0099】
図22は、高さおよび幅が変化する複数の隆起2201を含む1タイプの粗面を示す。高さ対幅比がより高い(たとえば、より急峻な勾配を有する)粗面は、液体を広げ、蒸発を増大させると考えられる。いくつかの構成では、より急峻な勾配を有することが、接触線の数を増加させると考えられる。いくつかの実施形態では、液体と粗面との間の接触線の数を増加させることが、蒸発を増大させると考えられる。いくつかの実施形態では、相対的に高い隆起2201が存在することにより、液体を粗面との間の接触線の数を増加させることができ、それにより、相対的に低い隆起2203を有する表面に対して蒸発が増大する。いくつかの実施形態では、粗面に加えられる熱の使用により、特に接触線における蒸発の速度を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、一体化した微細構造、すなわち下にある表面に一体的に接続された微細構造を有する表面を使用することにより、下にある表面が加熱された場合により優れた熱伝達を可能にすることができる。こうした構成により、液体の蒸発に役立つ熱の能力を向上させることができる。
【0100】
図20~
図22に関する上記考察は、粗面または不規則な表面に関するが、規則的なパターンを有する微細構造化面は同様の結果を達成することができる。粗面上の液滴と同様に、微細構造がある表面上の液滴は、微細構造または表面不規則性のない平滑な表面より迅速に広がりかつ通過するガス内に蒸発する。いくつかの実施形態では、微細構造は均一である。いくつかの実施形態では、微細構造は、すべての微細構造が同じでない場合、パターンに従ってサイズが決められかつ配置される。
【0101】
上述した吸込み基準が満足されると、水は、Lucas-Washburn動力学と呼ばれる所定の動力学でマイクロチャネルおよび/またはマイクロピラー内に吸い込まれる。吸込み長(L)は、チャネルが均一な断面である限り、チャネルの形状またはアスペクト比に関らず、時間(t)の平方根に比例して増大する(L=A√t)。Aは、表面張力、粘度、チャネルの断面積および接触角の関数である。したがって、この関係の強さ(すなわち、Aの値)を決めるものは、これらのパラメータのうちのいくつかまたはすべてによって決まる。
【0102】
いくつかの実施形態は、低い接触角、高いアスペクト比、高い表面張力および低い粘度により吸込みを促進することができるという認識を含む。吸込み長が時間の平方根に比例するため、吸込みの速度は、吸込み長さに反比例し、かつ時間の平方項に反比例する。言い換えれば、吸込みは、距離および時間の経過によって減速する。
【0103】
図18A~
図18Lは、連続した微細構造および不連続の微細構造の画像を示す。
図18Aにおける基板材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。他の図における基板材料はアクリル樹脂である。
【0104】
図18AにおけるV字型溝は、両刃かみそり刃を用いて切断されている。他の微細構造は、3Dプリンタ(ProJet HD3000)を用いて製作された。いくつかの実施形態では、微細構造または微細構造を組み込んだ表面を、直接射出成形または熱エンボス加工によって製造することができる。これらの図には示さないが、Performance MicroTool(ウィスコンシン州ジェーンズビル(Janesville,Wisconsin))によって販売されているもの等、マイクロエンドミルを備えたCNC(コンピュータ数値制御)機械を用いて微細構造を機械加工することも可能である。
図18Bおよび
図18Cは正方形状溝を示す。
図18Dは、トポグラフィに勾配を有する正方形マイクロチャネルアレイの正面図を示し、特に、マイクロチャネルの長端の正面図を示す。
図18Eは、
図18Dのマイクロチャネルの短端の正面図を示す。
図18Fは、
図18Dの正方形マイクロチャネルアレイの側面図を示す。本明細書において考察するように、トポグラフィに勾配があることにより、吸込みの動力学(特に、速度-時間関係)を、距離によって深さが変化する微細構造を有することにより変更することができる可能性がある。このトポグラフィは、望ましくは、液体が表面で蒸発し凝縮する方法に影響を与えることができる。こうした可変深さ構成を、エンボス加工、機械加工またはキャスティングによって達成することができる。
図18Gは、界面活性剤で処理されなかった正方形溝上の液滴を示す。
図18Hは、界面活性剤で処理された正方形溝上の液滴の広がりを示す。
図18Iおよび
図18Jは、異なる倍率でのピラーのある表面の下向きの図を示す。
図18Kは、ピラーのある表面の側面図を示す。
【0105】
図18Lは、
図18Aの微細構造の形状の逆である表面形状を画定する微細構造の別の実施形態を示す。
図18Lの微細構造は、交互の高い隆起および低い隆起を備え、それらの各々は、小さいチャネルまたは第1マイクロチャネルによって互いに分離されている。好ましくは、高い隆起は、低い隆起より実質的に高く、低い隆起の2倍~3倍以上の高さである。図示する配置では、低い隆起は、たとえば、約3倍~5倍幅広である等、高い隆起より実質的に幅が広い。いくつかの実施形態では、小さいチャネルの断面高さは、5μmおよび10μmの範囲(または、約5μmおよび約10μmの範囲)であり、隆起の断面高さは、40μm(またはその辺り)等、30μmおよび200μmの範囲(または、約30μmおよび200μmの範囲)である。
【0106】
小さいチャネルは、たとえば、およそ高い隆起の幅等、あらゆる好適なサイズであり得る。小さいチャネルの断面積は、隣接する高い隆起の断面積のおよそ1/2に等しい。さらに、高い隆起は、それらの間に大きいチャネル(第2マイクロチャネルまたは主チャネルとも呼ぶ)を画定し、それは、小さいチャネルと連通するかまたは連続することができる。大きいチャネルの深さを、最大2倍~3倍、またはそれより大きい等、小さいチャネルの深さより大きくすることができる。小さいチャネルの断面形状を概して三角形、正方形または台形とすることができ、大きいチャネルは、逆台形に概して類似する断面形状を有することができる。低い隆起は、好ましくは、高い隆起より著しく大きい面積を画定するため、低い隆起の上面は、材料または基板の外面として見ることができ、小さいチャネルは外面から凹陥し、高い隆起は外面から突出する。
【0107】
図18Lの実施形態を、
図24Aに示すようにモデル化することができる。等温(または略等温)条件下で、かつ毛管長より小さい長さ尺度で、アスペクト比、チャネル形状および臨界接触角によって決まる吸込みの基準を定義することができる。
図18Lおよび
図24Aの逆台形形状の場合、関係は、
【数10】
として近似することができ、式中、λは高さ対幅のアスペクト比の逆数であり、すなわち、λ=W/Hであり、φは、
図24Aに示す角度である。材料の平衡接触角が臨界角θ
crit未満であるときに湿潤が発生し、材料の平衡接触角が臨界角θ
critを超えるときに湿潤は発生しない。
【0108】
さらに、
図24Aの実施形態では、毛管充填長(L)および毛管充填時間(t)との間の関係を以下のように表すことができ、
【数11】
式中
【数12】
および
【数13】
(すなわち、最終毛管高さ)
【数14】
(すなわち、流体に対する毛管長)
【数15】
(すなわち、液体-固体接触長)
A
L=H
2(λ+tanφ)(すなわち、断面積)
であり、かつ、σは流体の表面張力を表し、μは流体の粘度を表し、ρは流体の密度を表し、θ
eは流体の接触角を表し、gは重力定数であり、残りの変数(Hおよびφ)は、
図24Aに示すチャネル形状を表す。平衡高さに達するおよその時間は、以下のように表すことができる。
【数16】
【0109】
毛管が垂直でない場合、上述したモデルは、Lfにsin αを掛けることによって変更され、αは、流れ方向に対する水平軸からの傾斜角である。
【0110】
図24Bは、水に対する逆台形微細構造における毛管充填長(L)と毛管充填時間(t)との上述した関係のグラフ図であり、H=5×10
-5mであり、λ=2.13であり、φ=0.218ラジアンであり、θ
e=0.262ラジアンである。
図18Lに示す小さいチャネルは、湿潤に対する臨界角、θ
crit(それを下回ると湿潤が発生することができる)を変更することができることに留意するべきである。
【0111】
小さいチャネルが、小さいチャネルのそれぞれの形状(すなわち、三角形、正方形または台形)に対する臨界接触角公式を満足させるために必要なものより小さいアスペクト比を有し、かつ主チャネルに対する湿潤基準が満たされるとき、構造の表面積を増大させることにより、小さいチャネルは、(マイクロリッジ間の空間を含み、小さいチャネルおよび主チャネル両方を包含する)複合チャネルにおける湿潤を促進することが観察された。液体は、小さいチャネルおよび主チャネルを同じ速度で流れることがさらに観察された。
【0112】
小さいチャネルが、小さいチャネルのそれぞれの形状に対して臨界接触角公式を満足させるために必要なものより大きいアスペクト比を有し、かつ主チャネルに対する湿潤基準が満たされるとき、液体は、小さいチャネルおよび主チャネルを独立して流れることも観察された。この効果により、主チャネルにおいて流体に対して利用可能な表面積が低減し、それにより、液体が小さいチャネルにおいてより迅速に流れることができる一方で、主チャネルにおける流れを遅くすることができる。小さいチャネル内の液体は、典型的には、非常に薄い膜(6μmおよび10μmの範囲、または約6μmおよび約10μmの範囲)であり、それは、主チャネルにおける液体より高速に蒸発する。したがって、アスペクト比が大きい小さいチャネルは、蒸発を促進することができる。
【0113】
小さいチャネルが、小さいチャネルのそれぞれの形状に対して臨界接触角公式を満足させるために必要なものより大きいアスペクト比を有し、かつ主チャネルに対する湿潤基準が満たされないとき、液体は小さいチャネルを流れ、主チャネルを流れないことがさらに観察された。
【0114】
再び
図3Aに戻ると、微細構造301は、チューブ201の全長に沿って、または凝縮液を収集する可能性がある中心部分等、チューブ201の長さの一部に沿って延在することができる。別法として、微細構造301は、チューブ201に沿って、微細構造のない部分によって分離された規則的なまたは不規則な間隔で延在することができる。上述した図は、チューブ201の内周を囲む微細構造301を示す。微細構造301は、しかしながら、すべての実施形態において内周全体を囲む必要はない。たとえば、円周の半分または1/4に微細構造301を配置することができる。
【0115】
液体の1滴がその直径を何倍も広げることができ、液体の真下の基板に熱が加えられる場合に、非常に効率的な液体の蒸発を達成することができることが分かった。したがって、いくつかの実施形態では、上述した1つまたは複数のフィラメントは、加熱フィラメントを含む。加熱フィラメントを、チューブ201の壁に埋め込むかまたは封入することができる。たとえば、チューブ201の壁のチューブ内腔の周囲に1つまたは複数のフィラメントをらせん状に巻回することができる。全体として参照により本明細書に組み込まれる、Huddardらによる米国特許第6,078,730号明細書に記載されているように、チューブ201内に、たとえばらせん状巻回形態で1つまたは複数のフィラメントを配置することができる。加熱フィラメントの配置は、上述した形態のうちの1つに限定されない。さらに、加熱フィラメントを、上述した形態の組合せで配置することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、チューブ201は、微細構造を備える内部部品を備えている。
図5Aに、例としての内部部品501を示す。内部部品501は、上述したように微細構造301を含む。
図5Bに、内部部品501の拡大図を示す。例としての内部部品501は、ぎざぎざの付いたストリップである。内部部品501はチューブ(図示せず)内に、その底部がチューブ内の凝縮液503にさらされるように、配置されかつ構成される。内部部品501のぎざぎざは、チューブが内部部品501を概して適所に保持するように、チューブの波形を補完するようなサイズとしかつそのように構成することができる。
図5Bにおいて、微細構造301は、内部部品501の長手方向長さに沿って内部部品501の両軸方向表面を覆うように垂直に延在している。別法として、微細構造301は、1つの軸方向表面を覆うことができる。いくつかの構成では、微細構造301は、長手方向長さの一部に沿って、または長手方向長さの規則的な間隔または不規則な間隔に沿って延在することができる。内部部品501は、2つ以上のぎざぎざの付いたストリップを含むことができる。たとえば、内部部品は、2つのぎざぎざの付いたストリップを含むことができ、長手方向長さに沿ってぎざぎざを有するプラス符号に似ている。これらの実施形態は限定するものではない。より多数のストリップを組み込むことができる。しかしながら、チューブ内腔を通る気流を促進しかつ/またはチューブ可撓性を向上させるために、より少ないストリップを有することが有利である場合がある。
【0117】
内部部品501を含めることは、内部部品501によって微細構造301がチューブ内腔内に延在しチューブ201内腔の中心に達することができるため、有利であり得る。
図6に示すように、気流速度は、チューブ壁からチューブ内腔の中心(中心線)まで上昇し、中心線で最大に達する。したがって、
図5Aおよび
図5Bにおいて微細構造301から発生する水は、温かい、より高速な気流にさらされる。凝縮液をチューブの中心の近くでより高速な空気速度にさらすことにより、凝縮液が空気流内に蒸発する可能性が高くなる。
【0118】
内部部品501に対して代替構成が可能である。たとえば、内部部品501を、チューブ201の内側に巻回することができる。この構成は、微細構造がチューブ201内腔内にある距離を延在するのを可能にし、チューブ201壁より高い気流速度にさらされるため、望ましい場合がある。少なくとも1つの実施形態では、内部部品501は、その少なくとも一部がチューブ内腔の中心で交差するように巻回される。
【0119】
上述したように、微細構造化面に熱を加えることにより、蒸発率を劇的に上昇させることができることが分かった。したがって、上述した実施形態のうちのいずれの内部部品501も、加熱フィラメントを組み込むことができ、それにより、チューブに沿った気流の加熱を促進し、したがって微細構造における凝縮液が気流内に蒸発する可能性を高めることができる。内部部品501に1つまたは複数の加熱フィラメントを組み込むことにより、凝縮液が温かい内部部品で発生する可能性も低下する。蒸発は、固体表面、液滴および蒸発した気体が接触する接触領域において最高であることが分かった。これは、熱表面に近接するためである。固体に近いほど、質量が移動する。したがって、いくつかの実施形態は、より多くのより幅の狭いチャネルがあることが望ましい可能性があるという認識を含む。たとえば、5つの200μmのチャネルを有する表面より10個の100μmのチャネルを有する表面の方が、高い蒸発率を達成することができる。
【0120】
微細構造の上述した構成は、1つまたは複数のポンプを使用することなく液体を輸送するために使用することができるため有利であり得ることを留意するべきである。さらに、いくつかの実施形態は、液体移動が毛管作用によって駆動されるため、微細構造化面は液体を方向付けるためにポンプを必要としないという認識を含む。
【0121】
チューブを製造するさらなる方法
上述したように、チューブを、1種または複数種の押出ポリマー成分から作製することができる。(組成物、表面改質剤、表面エネルギーを増大させる方法を含む)押出成形品の特性は上述している。
【0122】
図14を参照して、第1製造方法について説明する。本方法は、長手方向軸を有する細長い導管と、長手方向軸に沿って延在する内腔と、内腔を包囲する壁とを備えている。押出成形中に、導管の上に微細構造をプレス加工するかまたは他の方法で形成することができる。押出成形後に、導管に微細加工を、成形し、印刷し、切り込み、熱成形し、または他の方法で形成することも可能である。
図4、
図8Dおよび
図9Dに示すように、鋭利な物体を用いて表面にマイクロチャネルを切り込むことにより、マイクロチャネルの頂部の周囲に隆起した縁をもたらすことができることが観察された。したがって、いくつかの方法では、表面均一性を向上させるために、マイクロチャネル形成後に表面を研削または研磨することが望ましい場合がある。本方法はまた、波形ダイによる等、細長い導管に波形を付けることも含むことができる。より詳細には、プロセスは、押出成形品材料(すなわち、押出成形用材料)のマスタバッチを混合するかまたは準備することと、押出成形ダイヘッドにマスタバッチを供給することと、上述したように押出成形品を押出成形することと、(任意選択的に)金型ブロックのエンドレスチェーンを用いて、細長い導管をコルゲータに供給して波形チューブを形成することとを含む。
【0123】
図14は、供給ホッパ1401が設けられている設定を概略的に示し、供給ホッパ1401は、モータ1405によって駆動されるスクリュフィーダ1403を通して、ダイヘッド1407に向かう方向Aに送られる、原材料(たとえば、マスタバッチおよび他の材料)を受け入れる。溶融チューブ1409が、ダイヘッド1407から押出成形される。任意選択的に、溶融チューブ1409の上または中に導電性フィラメントを同時押出成形することができる。
【0124】
30mm~40mm径スクリューおよび典型的には0.5mm~1.0mmの間隙で12mm~16mmの環状ダイヘッドが備えられたWelex押出成形機が、低コストのチューブを迅速に製造するのに好適であることが分かった。同様の押出成形機は、American Kuhne(ドイツ国(Germany))、AXON AB Plastics Machinery(スウェーデン王国(Sweden))、AMUT(イタリア共和国(Italy))およびBattenfeld(ドイツ国および中国)によって提供される。Unicor(登録商標)(ドイツ国ハスフルト(Hassfurt,Germany))によって製造されかつ提供されるもの等のコルゲータが、波形付けステップに好適であることが分かった。同様の機械は、OLMAS(イタリア共和国カラーテ・ブリアンツァ(Carate Brianza,Italy))、Qingdao HUASU Machinery Fabricate Co.,Ltd(中華人民共和国青島膠州(Qingdao Jiaozhou City,P.R.China))またはTop Industry(Chengdu)Co.,Ltd.(中華人民共和国成都市(Chengdu,P.R. of China))によって提供されている。
【0125】
製造中、溶融チューブ1409は、ダイヘッド1407から出た後、コルゲータの一連の回転金型/ブロックの間を通され、波形チューブに形成される。溶融チューブは、ブロックを通してスロットおよびチャネルを介してチューブの外側にかけられる真空、および/または押出成形機ダイのコアピンの中心を通して空気チャネルを介してチューブの内部にかけられる圧力によって形成される。内圧がかけられる場合、空気圧がチューブに沿って縦方向に漏れるのを防止するために、ダイのコアピンから延出しかつ波形の内側に密に適合する、特別な形状の長い内部ロッドが必要である場合がある。
【0126】
チューブはまた、エンドコネクタ継手に接続するために平坦なカフ領域も含むことができる。したがって、製造中、成形プラスチックエンドコネクタ継手を、摩擦嵌合、接着結合、オーバモールドにより、または熱溶接あるいは超音波溶接により、永久的に固定しかつ/または気密にすることができる。
【0127】
本明細書に記載する実施形態によりチューブを製造する別の好適な方法は、
図15に示すように、渦巻きの形成を含む。概して、本方法は、テープを押出成形することと、マンドレルの周囲に押出成形テープを渦巻き状に巻回し、それにより、長手方向軸を有する細長い導管、長手方向軸に沿って延在する内腔および内腔を包囲する壁を形成することとを含む。本方法はまた、任意選択的に、細長い導管に波形を付けることも含むことができる。押出成形中、テープの上に微細構造をプレス加工するかまたは他の方法で形成することができる。押出成形後に、テープに、微細構造を成形し、印刷し、切り込み、熱成形し、または他の方法で形成することができる。さらに、組み立てられた導管に、微細構造を成形し、印刷し、切り込み、熱成形し、または他の方法で形成することも可能である。いくつかの方法では、表面均一性を向上させるために、マイクロチャネル形成後に表面を研削または研磨することが望ましい場合がある。
【0128】
押出成形プロセスは、押出成形品材料(たとえば、押出成形用材料)のマスタバッチを混合するかまたは準備することと、押出成形ダイヘッドにマスタバッチを供給することと、押出成形品をテープに押出成形することとを含む。
【0129】
そして、押出成形または予備成形されたテープはらせん状に巻回される。いくつかの実施形態では、補強ビードがテープの巻の上に重なる。ビードは、チューブのために押しつぶしに対してらせん状補強を提供することができ、テープの重なった部分を融着または接合するための熱源、化学接着剤または機械的接着剤も提供することができる。
【0130】
図15には、コルゲータ1505に入る前に押出成形機のダイ1503から出る溶融押出成形チューブ1501を示す。コルゲータ1505を出る時、形成された管状部品の外側の周囲に、ヒータワイヤ1507が巻回される。
【0131】
図15を参照して上述した好ましいタイプのチューブ製造の1つの利点は、金型ブロックBのうちのいくつかが、管状部材と同時に形成されるエンドカフの特徴を含むことができるということである。複雑性を低減し二次製造プロセスをなくすことにより、製造速度を著しく上昇させることができる。この方法は、別個のカフ形成プロセスに対する改善であるが、従来技術による平坦なカフの不都合は、コルゲータが、この領域におけるチューブの壁厚さを増大させることができるように減速しなければならない(押出成形機は同じ速度であり続ける)ということである。カフ厚さは、カフアダプタ継手によるフープ強度および封止特性の追加を達成するために、カフ厚さが増大する。さらに、この相対的に厚い領域における溶融ポリマーの熱は、コルゲータブロックとの限られた接触時間の間に除去することは困難であり、これは、チューブ製造ラインの最大運転速度に対する重要な制限因子となる可能性がある。
【0132】
平面微細加工化面を製造する追加の方法
加湿チャンバ壁等を含む、平面状表面に、サイズが5μmおよび30μmの範囲(または、約5μmおよび約30μmの範囲)である微細構造を形成することができる。本明細書で用いる平面状表面は、非管状面を広く指す。「平面状表面」という用語は、加湿チャンバおよびタービン型インペラブレードの壁等、湾曲面を包含する。「平面状表面」という用語はパドル型インペラブレード等、実質的に平坦な表面も包含する。
【0133】
微細構造を形成する少なくとも1つの方法は、精密切刃を備えた装置を準備することを含む。
図25Aは、好適な装置2500を示す。
図25Aの装置2500は、かみそり刃等の微細切刃2501と、一端に調整可能おもり2503とを備えている。装置2500は、加湿チャンバ2505用のテンプレートを切断しているように示されている。
図25Bは、
図25Aの装置2500で使用するのに好適な切刃2501の一例の詳細を示す。
図25Cは、
図25Aの装置2500で使用するのに好適な切刃2501の別の例の断面を示す。
図25Cの切刃2501についてはより詳細に後述する。装置を、平面状表面の上で装置を引くことができるCNC機械に取り付けることができる。切刃によって加えられる力は、1Nおよび2Nの範囲(または、約1Nおよび約2Nの範囲)であり得る。平面状表面に対して好適な材料としては、アクリル樹脂およびポリプロピレン等のプラスチックならびにアルミニウム等の金属が挙げられる。装置は、選択された間隔で表面に切り込み、V字型溝、チャネルまたはトレンチを生成する。溝またはトレンチの深さを変更するようにおもりを調整することができる。特に、アクリル樹脂等の硬質表面材料が使用される場合、この方法によって、溝、チャネルまたはトレンチの階層(たとえば、溝内溝、チャネル内チャネルまたはトレンチ内トレンチ)を形成することができる。
【0134】
アクリル樹脂等の硬質表面材料が切り込まれる場合、結果としての溝、チャネルおよび/またはトレンチは粗い側壁を有することが分かった。したがって、微細加工された溝、チャネルまたはトレンチの側壁を平滑化する手段を提供することが望ましい可能性がある。平滑化手段は、切断中に切刃2501を加熱することを含む。平滑化手段はまた、切断の後に表面材料を加熱することも含むことができる。さらに別の平滑化手段は、塩化溶剤等、側壁の不完全な部分を溶解するのに好適な溶剤に表面材料をさらすことを含む。
【0135】
本装置はまた、平面状表面に
図18Lに示すもの等の微細構造を形成する方法で使用するのにも適している。まず
図26Aを参照すると、方法は、上述したような金属またはプラスチック等、テンプレート材料2601の上で装置の刃を引くことにより、テンプレート材料2601に溝付き面を形成することを含む。
図26Bに示すように、方法は、テンプレート材料2601の溝付き面の上に第1印象材2603を塗布することをさらに含む。この目的で、エラストマー印象材(たとえば、ポリエーテル、ポリビニルシロキサン(PVS)、ポリエーテル-PVS混成物、アルギン酸、シリコーンおよびシリコーンゴム)が特に適している。第1印象材2603を、5分間(または約5分間)等、ある期間、硬化させることができる。
図26Cにおいて、テンプレート材料2601が除去され、テンプレート材料2601のパターンから反転したパターンを有する第1印象材2603が残る。
【0136】
図26Dにおいて、第1印象材2603に第2印象材2605が塗布される。この場合もまた、第2印象材に対して、上で特定したもの等のエラストマー印象材が適している。第2印象材2605を、5分間(または約5分間)等、ある期間、硬化させることができる。
図26Eにおいて、第1印象材2603が除去され、第1印象材2603のパターンから反転したパターンを有する第2印象材2605が残る。言い換えれば、テンプレート材料2601(
図26A)の元のパターンが、第2印象材2605(
図26E)に再現される。
【0137】
図26Fに示すように、第2印象材2605と目標面2607との間に、硬化性材料2609が塗布される。目標面2607の例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレンあるいはポリカーボネート等のプラスチック、またはアルミニウム等の金属が挙げられる。たとえば、硬化性材料2609を、プラスチックの加湿チャンバ目標面2607に塗布することができ、硬化性材料2609に第2印象材2605を重ねることができる。付着を促進するために、第2印象材2605を塗布する前に、たとえばサンディングにより、目標面2607の表面を粗化することができる。硬化性材料2609に対して好適な材料としては、UV硬化性アクリル樹脂および熱硬化性エポキシまたは熱硬化性アクリル樹脂が挙げられる。硬化性材料2609がUV硬化性である場合、第2印象材2605および目標面2607のいずれかまたは両方は、好ましくは、UVに対して透過性(たとえば、光に対して透過性)であるべきである。
図26Fにおいて、目標面2607は、たとえば透明なプラスチックである。
図26Gにおいて、UV光2611は、目標面2607を通過し、硬化性材料2609を硬化させて目標面2607の上に固化した被覆層を形成する。別法として、目標面2607-硬化性材料2609-第2印象材2605複合体を加熱することができ、それにより、熱硬化性材料2609を硬化させる。
図26Hにおいて、第2印象材2605が除去されて、微細構造化面を有する固化した被覆層2613を備えた目標面2607が現われる。
【0138】
図27A~
図27Fは、
図26A~
図26Hに関して上述したものに類似する方法に含まれる材料を示す。
図27A~
図27Fの材料は、平面状表面に
図18Aにおけるものに類似する微細構造を形成するのに適している。まず
図27Aを参照すると、方法は、上述したような金属またはプラスチック等のテンプレート材料2701の上で装置の刃を引くことにより、テンプレート材料2701の上に溝付き面を形成することを含む。
図27Bに示すように、方法は、テンプレート材料2701の溝付き面の上に印象材2703(上述したようなエラストマー印象材等)を塗布することをさらに含む。
図27Cにおいて、テンプレート材料2701が除去され、テンプレート材料2701のパターンから反転したパターンを有する印象材2703が残る。
【0139】
図27Dに示すように、印象材2703と金属またはプラスチックの平面状表面等、目標面2707との間に、硬化性材料2709(上述したようなUV硬化性または熱硬化性材料等)が塗布される。付着を促進するために印象材2703を塗布する前に、たとえばサンディングにより、目標面2707の表面を粗化することができる。
【0140】
図27Eに示すように、UV光2711が、印象材2703を通過し、硬化性材料2709を硬化させて、目標面2707の上に固化した被覆層を形成する。別法として、望ましい場合は、UV光2711は目標面2707を通過することができる。UV光を通過させる表面は、好ましくは、UV光に対して透過性であるように選択される。上述したように、硬化性材料2709が熱硬化性である場合、目標面2707-硬化性材料2709-第2印象材2705複合体を加熱して、硬化性材料2709を固化させることができる。
図27Fにおいて、印象材2703が除去されて、微細構造化面を有する固化した被覆層2713を備えた目標面2707が現われる。
【0141】
図28A~
図28Dは、平面状表面の上に微細構造を形成する別の方法を示す。まず
図28Aを参照すると、方法は、上述したような金属またはプラスチック等のテンプレート材料2801の上で装置の刃を引き、テンプレート材料2801の上に溝付き面を形成することを含む。
図28Bに示すように、テンプレート材料2801とシリコーン等のエラストマー成形材料2803との間に、硬化性材料2809(UV硬化性アクリル樹脂等)が塗布される。
図28Cにおいて、UV光2811が、成形材料2803を通過し、硬化性材料2809を硬化させる。
図28Dにおいて、テンプレート材料2801が除去されてモールド2815が現われる。そして、モールド2815を用いて、微細構造化パターンを所望の表面に転写することができる。
【0142】
上述した方法に関連する図に示す特徴の相対的なサイズは、正確な縮尺で描かれていないことに留意するべきである。
【0143】
微細構造を形成する少なくとも1つの方法は、ホイール型ピザカッタに類似するホイール形状を有する切刃を準備することを含む。切刃は、直線状精密切刃がホイール形状切刃に置き換えられていることを除き、
図25Bの切刃2501に類似している。
図25Cに、ホイール形状切刃2501の概略断面を示す。寸法は、正確な縮尺で示されていない。こうした断面は、平面状表面に逆台形微細構造を形成するのに好適な二重切断面2511、2513を示す。特に金属面を切断する場合、ホイール形状切刃2501は、直線状刃より平滑な縁および側壁を生成することができることがさらに分かった。したがって、
図25Cの切刃2501によって形成される逆台形には、大きいチャネル内の小さいチャネルがない可能性がある。
【0144】
上述した方法において、ホイール形状精密切刃2501を使用することができる。ホイール形状切刃2501はまた、射出成形、射出-圧縮成形または熱エンボス加工において使用するのに好適な金型を形成する方法においても有用である。方法は、金型の表面において装置のホイール形状切刃2501を引き、それにより、金型の表面を変形させることを含む。したがって、結果として得られる微細構造が、金型の表面に刻印され、射出成形、射出-圧縮成形および/または熱エンボス加工によって、後に微細構造を再現することができ、その場合、表面にはネガ形状が再現される。
【0145】
熱エンボス加工は、高アスペクト比での再現の忠実度を向上させることが観察されたため、特に望ましい可能性がある。アモルファスポリマーを熱エンボス加工する場合、有利なエンボス加工温度は、ガラス遷移温度を30℃(または約30℃)超える。半結晶ポリマーを熱エンボス加工する場合、結晶溶融温度を10℃以下(または約10℃以下)超える温度が有利であり得る。有利なエンボス加工圧は10MPa(または約10MPa)である。
【0146】
図18Lを参照して上述したように、逆台形微細構造化面は、主チャネル内の小さいチャネルと主チャネルの幅を画定する高い隆起とを備えることができる。小さいチャネルは、高い隆起の間の間隙が増大するに従い、主チャネル内に現れることができる。
図26Aを参照して示すように、逆台形微細構造化面を形成する先行ステップは、テンプレート材料2601の上で刃を引くことにより、テンプレート材料2601の上に溝付き面を形成することを含むことができる。溝をさらに互いに離れるように間隔を空けて配置することにより、より浅い溝とより大きい変位バンプとがもたらされ、溝を互いに近づけるような間隔で配置することにより、より深い溝とより小さい変位バンプとがもたらされる。溝が互いにより間隔を近づけて配置される場合、変位した材料の少なくとも一部が、最大の完全な応力の方向に移動し、上方ではなく下方に流れて、変位バンプを形成する。しかしながら、アルミニウムまたはポリカーボネート(M70)等のより軟質なテンプレート材料ではなく、アクリル樹脂(M90)またはベークライト(bakelite)(M95)等のより硬質なテンプレート材料が選択される場合、上記効果は低減することがさらに分かった。
【0147】
図29A~
図29Cは、テンプレート材料の上でパターンを反転させた後に得られる逆台形微細構造を示す。暗い部分は固体微細加工を表し、相対的に明るい部分は空いた空間を表している。
図29Aにおける間隔は50μmであり、
図29Bにおける間隔は70μmであり、
図29Cにおける間隔は110μmである。
図29A~
図29Cは、(テンプレート材料の溝に対応する)高い隆起の間の間隔が狭いほど、低い隆起の高さが低減し、高い隆起の間の間隔が広がるほど、低い隆起の高さが増大することを示す。
【0148】
したがって、小さいチャネルが望ましい場合、テンプレート材料の上における変位バンプの形成を促進するために、テンプレートの溝をさらに離れるように間隔を空けることが有利であり得る。テンプレート材料の上における変位バンプの形成を促進するように、より硬質なテンプレート材料を選択することも有利であり得る。高い隆起の高さを増大させるために、テンプレート材料の溝をより近づけるような間隔で配置することができる。高いピークのより高い高さを促進するために、より軟質なテンプレート材料を選択することも有利であり得る。
【0149】
微細構造を形成する方法において、回転旋盤も有用である。旋盤により、旋盤の周囲に巻き付けられた、プラスチック面等の可撓性面に連続した微細構造化渦巻きを形成することが可能である。プラスチック面を旋盤から除去し、所望の形状に平坦化することができる。望ましい場合は、上述したように、別の面に渦巻きを転写することができる。
【0150】
微細構造を備えた可撓性シート
次に
図30Aを参照すると、いくつかの実施形態は、微細構造3001を備えた可撓性平面シート3000を含む。本明細書に開示する微細構造のいずれも、こうしたシート3000と使用するのに適している。
図30Aにおいて、微細構造3001は、上述したように、回転旋盤を用いて形成されたため、斜方向に示されている。
【0151】
シート3000は、ポリエステル、ポリウレタンまたはポリアミド等の可撓性プラスチックを含むことができる。プラスチックは、熱伝導性であり得る。たとえば、プラスチックに、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、セラミック(たとえば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ベリリウムおよび/または酸化アルミニウム)粒子または金属(たとえば、銅、銀、金、アルミニウムおよび/またはニッケル)粒子等の1種または複数種の熱伝導性充填材を分散させることができる。シート3000の一方または両方の外面が微細構造3001を備えることができる。上述したもの等の好適な方法を用いて、微細構造3001を形成することができる。加熱フィラメントおよび/または検知フィラメント等、1つまたは複数の導電性フィラメントを、シートの中または上に配置することができる。好ましくは、1つまたは複数の導電性フィラメントは、微細構造3001において液体の流れを妨げないように、シート3000内に配置される。しかしながら、他の構成も好適である。たとえば、シート3000の一方の外面に微細構造3001を配置することができ、シート3000の他方の外面に加熱フィラメントを配置することができる。いくつかの実施形態では、外面のうちの一方が、加湿チャンバまたは患者インタフェース等の構造への取付を容易にするように事前に取り付けられた接着剤を備えている。別法として、取り付ける前に外面に接着剤を塗布することができる。
【0152】
加熱フィラメントを備える実施形態では、加熱フィラメントの近位側に大きい表面積の微細構造3001を配置することが望ましい場合がある。したがって、加熱フィラメントを、概して曲がりくねったパターンに配置することができる。しかしながら、格子状形態、コイルまたはリング等、種々の形態が可能である。
【0153】
いくつかの実施形態は、微細構造が加湿チャンバにおけるガスの吸水を増大させることができるという認識を含む。微細構造は、水の蒸発に利用可能な加湿チャンバの表面積を増大させることができる。液体の水が、微細構造を通して吸い上げられ、微細構造にわたって流れるガスが、水を水蒸気として吸収する。したがって、上述したシート3000は、
図30Bに示すように、加湿チャンバ挿入物3005に使用するのに好適であり得る。挿入物3005は、一方または両方の表面に微細構造3001を備える可撓性のプラスチック平面シート3000を備えることができる。
図30Bに示すように、挿入物は、シート3000の表面に配置された熱伝導性プラスチック裏当て3003をさらに備えることができる。裏当て3003は、加湿チャンバの底部の近くで加熱素子からの熱を伝達し、それにより、裏当て3003と接触するシート3000上の微細構造3001からの蒸発を促進するように構成されている。挿入物3005は、裏当て3003がある実施形態でもない実施形態でも、1つまたは複数の加熱フィラメント等、1つまたは複数の導電性フィラメントをさらに備えることができる。上述したように、1つまたは複数の導電性フィラメントを配置することができる。
【0154】
微細構造を備えた加湿チャンバ
上述したように、いくつかの実施形態は、微細構造が、加湿チャンバにおいてガスの吸水を増大させることができるという認識を含む。微細構造は、水の蒸発に利用可能な加湿チャンバの表面積を増大させることができる。液体の水は、微細構造を通して吸い込まれ、微細構造の上を流れるガスが、水蒸気として水を吸収する。
【0155】
次に、少なくとも1つの実施形態による加湿チャンバ129を示す
図7を参照する。加湿チャンバ129は、概して入口ポート701および出口ポート703を備えている。加湿チャンバ129は、(
図1の加熱板131として上述した)加熱板に設置されるように構成され、それにより、加湿チャンバ129の基部705が加熱板131と接触する。基部705は、好ましくは、アルミニウムおよび銅等、熱伝導性が優れた金属を含む。加湿チャンバ129は、ある容量の水等の液体を保持するようにさらに構成されている。使用時、液体は、基部705の実質的な部分と接触する。加熱板131は、加湿チャンバ129の基部705を加熱し、それにより、加湿チャンバ129内の液体の少なくとも一部を蒸発させる。使用時、ガスは、入口ポート701を介して加湿チャンバ129内に流れ込む。ガスは、加湿チャンバ129内で加湿され、出口ポート703を通って加湿チャンバ129から流れ出る。
【0156】
図8Aは、加湿チャンバ129の微細構造801に対する形態例を示す。先のセクションで考察した微細構造801の特性は参照により組み込まれる。この例で示すように、微細構造801は、加湿チャンバ129の周囲に内壁において垂直に配置されている。言い換えれば、微細構造801は、加湿チャンバ129の基部705に対して垂直(実質的に垂直)である。
図8Aにおける微細構造801は、単に例示の目的で、実際のサイズより大きく示されている。垂直微細構造801は、加湿チャンバ129の側面を上方に水130を移送し、それにより、水130のより広い表面積が、加湿チャンバ129内の空気流にさらされる。少なくとも1つの実施形態では、微細構造801は、加湿チャンバ129の基部から、加湿チャンバ129の高さの100%、99%、95%、95%~99%の間、90%または90%~95%の間(またはその辺り)の距離まで延在している。加湿チャンバ129高さは、50mm(または約50mm)であり得る。いくつかの構成では、微細構造801による吸収を促進するために、水130に、SILWET界面活性剤(米国ニューヨーク州アルバニー(Albany,New York USA)のMomentive Performance Materials)などの1種または複数種の添加剤を含めることができる。
【0157】
図8Aにおいて、微細構造801は、加湿チャンバ129の円周全体に配置されているが、いくつかの実施形態では、微細構造801は、円周全体に配置されなくてもよいことを理解するべきである。たとえば、微細構造801は、加湿チャンバ129の単一部分に、または加湿チャンバ129の周囲にランダムなまたは一定の間隔で配置することができる。
【0158】
図8Bは、
図8Aの微細構造801の一部の第1拡大図を示す。
図8Bに示すように、水130は、垂直微細構造801を上昇する。微細構造801の中または上のマイクロスケールの水滴は、加湿チャンバ129内の空気流にさらされる。
図8Cは、
図8Aの微細構造801の一部の第2拡大図を示す。
図8Cに示すように、空気は、加湿チャンバ129を通って微細構造801を横切って流れ、微細構造801における水滴の少なくとも一部を蒸発させる。微細構造801からの蒸発した水は、蒸気として空気流に入る。
【0159】
上述した図に示すように、微細構造801は、加湿チャンバ129において水130のより広い表面積を、通過する空気流にさらし、それにより、いかなる微細構造もない加湿チャンバと比較して、加湿チャンバ129の効率を向上させる。
【0160】
図8Dは、微細構造801の一例の断面を示す。この実施形態例では、微細構造801のうちの1つが楔状マイクロチャネルである。本明細書に記載する他の微細構造の特性を、加湿チャンバ129形態に対して微細構造801に組み込むことも可能である。
【0161】
図9Aは、加湿チャンバ129の微細構造に対する別の形態例を示す。図示するように、微細構造を、加湿チャンバ129内で垂直にかつ水平に配置することができる。垂直に配置された微細構造は、基部705に対して垂直(または略垂直)であり、901で示されており、水平に配置された微細構造は、基部705に対して平行(または略平行)であり、903で示されている。この場合もまた、微細構造901および903は、単に例示の目的で、実際のサイズより大きく示されている。概して、
図9Aの形態では、垂直に配置された微細構造901は、加湿チャンバ129の側面の上方に水130を移送する。水平に配置された微細構造903は、マイクロスケールの水滴を、加湿チャンバ129の頂部の周囲で垂直に配置された微細構造901から広げ、いかなる微細構造もない加湿チャンバと比較して、水のより広い表面積を空気流にさらす。それによって、微細構造901および903により、加湿チャンバ129の効率が向上する。
【0162】
図9Bは、
図9Aの微細構造901および903の一部の第1拡大図を示す。
図9Bに示すように、水は、垂直に配置された微細構造901を上昇する。マイクロスケールの水滴が、そのそれぞれの垂直に配置された微細構造901の頂部に達すると、水滴は、その後、その対応する水平に配置された微細構造903(または微細構造群)に沿って移動する。
図9Cは、
図9Aの微細構造901および903の一部の第2拡大図を示す。
図9Cに示すように、空気は、加湿チャンバ129を通り微細構造901および903を横切って流れ、微細構造901および903において水滴の少なくとも一部を蒸発させる。微細構造901および903からの蒸発した水は、蒸気として空気流に入る。代替形態(図示せず)では、加湿チャンバ129を、水が重量に抗するのではなく、重力によって微細構造を下るように構成することができる。さらに、チャネルおよびピンの組合せが、あらゆる所望の方式で流れを方向付けることができる。
【0163】
垂直微細構造901は、
図8Dおよび本開示の別の場所において上述したものと同様とすることができ、それらの形状および特定の上記考察は、参照によりここに組み込まれる。
図9Dは、例としての水平微細構造903の断面を示す。
【0164】
図9A~
図9Dにおける垂直に配置された微細構造901および水平に配置された微細構造903の形状および形態は、単に例示の目的である。本発明は、開示した実施形態に限定されない。
【0165】
チューブ実施形態に関して上で説明した理由により、表面の湿潤性および水広がり特性を向上させるために、所望の表面エネルギーを有する表面と組み合わせて微細構造を利用することが望ましい可能性がある。金属およびガラスが、相対的に高い表面エネルギーおよび優れた湿潤性を有するものとして知られている。したがって、加湿チャンバ129の内面は、金属またはガラスを含むことができる。アルミニウムまたは銅等の金属が、熱を容易に通すことも可能であり、それにより加湿チャンバ129内の蒸発率を上昇させることできるため、望ましい可能性がある。ガラスは、その光透過性により、使用者が、加湿チャンバ129内の液体レベルを視覚的に検査することができるため、望ましい可能性がある。プラスチックは、コストが低く製造において使用が容易であるため、加湿チャンバ129に対する特に望ましい材料である。しかしながら、上で説明したように、プラスチックは、相対的に表面エネルギーが低い。したがって、上で説明したように、表面エネルギーを増大させるために、プラスチックを添加剤で処理することが望ましい可能性がある。少なくとも1つの構成では、加湿チャンバ129壁は、ポリ(メチルメタクリレート)プラスチックを含み、内壁は金等の導電性金属の層でコーティングされている。別の構成では、加湿チャンバ129壁の内面は、セラミック材料、ガーネットまたはTiO2等の焼結材料を含む。
【0166】
上述したように、微細構造化面に熱を加えることにより、蒸発率を劇的に上昇させることができることが分かった。したがって、加湿チャンバ129は、壁に加熱フィラメントを組み込むことができ、それにより、壁の加熱を促進し、したがって、微細構造の中または上の液体が蒸発する可能性を高めることができる。少なくとも1つの構成では、加湿チャンバ129への熱伝達を促進するために、加湿チャンバ129の周囲に加熱シュラウドを配置することができる。さらに、加湿チャンバ129内の熱損失を防止し保温を促進するために、加湿チャンバ129の周囲に断熱ジャケットを配置することができる。
【0167】
図23は、複数のスタック2303を含む加湿チャンバ2301の実施形態を示し、スタック2303は、スタック2303の表面のうちの少なくとも一部に微細加工2305を有している。図示するように、スタック2303を複数のフィンまたは壁として配置することができるが、他の構成は、タワー、柱、またはフィン、タワーおよび柱の組合せを含むことができる。図示するように、加湿チャンバ2301を通る空気流の方向に向けられたフィンとしてスタック2303を配置することができる。しかしながら、加湿チャンバ2301を通る流れの中に延在し、微細構造2305とのより大きい混合および相互作用、したがって蒸発を引き起こすように、他の構成も使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、加湿チャンバ2301を通過するガスに対して不規則な流れパターンまたは乱流をもたらすように、異なるスタックは異なる高さを有することができる。
【0168】
図示する実施形態では、加湿チャンバ2301を加熱することができる。いくつかの実施形態では、複数のスタック2303のうちの1つまたは複数は、蒸発をさらに促進するように、金属等の熱伝導性材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、複数のスタック2303の各々のすべての露出面が微細構造2305を組み込むことができ、それにより、水2307を加湿チャンバ2301の底部から、空気流量が高いか空気の湿気が少ない加湿チャンバ2301の部分まで引き上げることができ、したがって、水のより多くを蒸発させることができる。加湿チャンバ2301は、正方形ボックスとして示されているが、矩形、円柱、球形、ドーム等、他の形状を使用することができる。
【0169】
加湿システム内のあらゆる構造に、微細構造を組み込むことができる。1つのこうした構造は、加湿チャンバ自体の基部または底部である。いくつかの実施形態では、加湿チャンバの底部に微細構造または不規則な表面特徴を用いることにより、流体を分散させ、蒸発を促進するためにより広い表面積をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、微細構造を使用することは、液体の深さを低減させるように作用し、それにより蒸発を促進することができる。いくつかの実施形態では、微細構造を、整列あるいは直線状パターンまたは円形パターン等のパターンに構成することができる。いくつかの実施形態では、整列または直線状パターンは、円形パターンより表面積を増大させる。いくつかの実施形態では、パターンはなく、表面は、不規則な突起または表面不規則性を備える。
【0170】
加湿チャンバで使用するガイド壁
図31~
図33を参照すると、(たとえば、
図1に示すような)加湿器107に適合する加湿チャンバ3102は、好ましくは、熱伝導性材料(たとえば、アルミニウム)から構成される熱伝達基部3106に結合された加湿チャンバ本体3104を備えている。貯水器(図示せず)が、使用時に、液体の水を水入口3108から加湿チャンバ3102に供給する。加湿チャンバ3102は、加湿器107において加熱板131によって熱伝達基部3106を通して熱エネルギーが供給される結果として、液相および気相の両方の水を含む。加湿チャンバ3102、本明細書に開示した加湿チャンバ129と多くの点で同様であり得る。詳細には記載しない加湿チャンバ3102の特徴は、加湿チャンバ129の対応する特徴と同様であり得るか、または別の好適な配置であり得る。
【0171】
液体の水は、水入口3108から加湿チャンバ3102に入り、1つまたは複数の弁等、好適な制御装置により、加湿チャンバ3102に入ることができる水の量に応じたレベルまで上昇する。図示する配置では、二重弁装置3110が、貯水器または他の水供給部から加湿チャンバ3102内に液体の水が入るのを制御する。二重弁装置3110は、一次弁システム3112および二次弁システム3114を備えている。いくつかの構成では、一次弁システム3112および二次弁システム3114のうちの少なくとも一方は、フロートによって制御される。図示する配置では、一次弁システム3112は一次フロート3116によって制御され、一次フロート3116は、空気あるいはガスが充填された、封止された要素、または水位によって上昇および下降することができる他の浮力構造から少なくとも部分的に構成され得る。好ましくは、二次弁システム3114は、フロートによって制御されず、代替的な装置によって操作され、それにより、後述するように、通常の二次フロートを省略し、それによって他の有利な特徴のために空間を提供することができる。いくつかの構成では、一次弁システム3112も二次弁システム3114もフロートによって制御されない。代りに、各弁システム3112、3114は、水位センサおよびアクチュエータ装置等、代替的な装置によって制御される。したがって、一次弁システム3112および二次弁システム3114のいずれかまたは両方を、フロートによって、またはたとえばセンサベースアクチュエータ等、代替装置によって制御することができる。フロート制御弁は、通常は開放していることが多く、加湿チャンバ3102内の水位が上昇する結果として閉鎖する。センサおよび弁アクチュエータは、通常開放しまたは通常閉鎖することができ、アクチュエータによって他の位置まで移動させることができる。フロート弁をセンサおよびアクチュエータ弁と置き換える利点は、水表面積をフロートで覆うことがなく、それにより水蒸気を生成するために利用可能な表面積が増大するということである。
【0172】
図示する第1または一次フロート3116は、結合アーム3118等、結合装置を含み、それは、合わせて一次フロート3116の回転軸を画定する一対の枢支部材3122(一方のみを示す)によってヒンジブラケット3120に枢支接続されている。ヒンジブラケット3120を、加湿チャンバ本体3104によって支持することができる。たとえば、ヒンジブラケット3120の上部を、加湿チャンバ本体3104の水入口3108部分に結合(たとえば、締結、スナップフィットまたは接着)することができ、望ましい場合は、ヒンジブラケット3120の下部は、加湿チャンバ本体3104の側面に当接することができる。したがって、一次フロート3116は、加湿チャンバ3102内で水位とともに上昇および下降する。
【0173】
一次フロート3116は、一次弁システム3112を作動させる。特に、一次フロート3116はプッシュロッド3124を移動させ、プッシュロッドは、一次フロート3116の結合アーム3118に枢支結合された第1部または下端部3128と、第2部または上端部3126とを含む。上端部3126は、二重弁装置3110の第1弁座3132と協働する弁体3130を含む。弁体3130および第1弁座3132は、第1または一次弁システム3112の一部を形成する。弁体3130は、第1弁座3132と直接または間接的に係合して、一次弁システム3112を閉鎖し、水が一次弁システム3112を介して加湿チャンバ3102に入るのを阻止するかまたは実質的に防止する少なくとも実質的なシールを生成することができる。第1弁座3132から弁体3130を分離して、一次弁システム3112を開放し、加湿チャンバ3102内に水が入るのを可能にすることもできる。一次フロート3116、結合アーム3118、プッシュロッド3124および第1弁座3132は、加湿チャンバ3102内の所望の水位に達すると、一次弁システム3112を閉鎖し、実際の水位が所望の水位より下に下降すると、一弁システム3112を開放し、それにより好ましくはアクチュエータ水位を所望の水位でまたはその近くで維持するような、サイズであり、比率であり、そのように配置され、または他の方法で構成される。
【0174】
二次弁システム3114は、冗長またはフェイルセーフ機構として一次弁システム3112とともに動作する。好ましくは、一次弁システム3112は、通常動作条件下で水が加湿チャンバ3102に入るのを制御する。しかしながら、一次弁システム3112が誤動作する可能性があるか、または何らかの理由で、水位が所望の水位を超えて上昇する可能性がある場合、二次弁システム3114は、好ましくは、閉鎖して、水が加湿チャンバ3102に入るのを阻止または停止する。二次弁システム3114はまた、水位が所望の水位未満に低下したときにも開放して、水の再充填および加湿器107の連続使用を可能にすることができる。
【0175】
二次弁システム3114は、可動弁体アセンブリ3134を含み、それは、弁体要素3136が二次弁システム3114の第2弁座3138と直接または間接的に接触して、水が二次弁システム3114を介して加湿チャンバ3102に入るのを阻止または停止する閉鎖位置と、弁体要素3136が二次弁システム3114の第2弁座3138と接触せず、それにより水が、二次弁システム3114を介して加湿チャンバ3102に入ることができる開放位置との間で移動可能である。弁体アセンブリ3134を、通常、開放位置または閉鎖位置のうちの一方に付勢することができ、適切な場合に、好適なアクチュエータによって、開放位置または閉鎖位置のうちの他方に移動させることができる。いくつかの構成では、弁体アセンブリ3134は、通常、閉鎖位置に付勢され、加湿チャンバ3102が加湿器107に適切に組み付けられたとき等、いくつかの条件下で開放位置に付勢される。
【0176】
図示する配置では、弁体アセンブリ3134は、一対の枢支部材3140(一方のみを示す)によってヒンジブラケット3120に枢支接続されている。図示する弁体アセンブリ3134は、基部3142および保持キャップ3144を含み、それらは、それらの間に二次プッシュチューブ3146を支持する。基部3142は、枢支部材3140を画定または支持する。二次プッシュチューブ3146は、弁体要素3136を画定または支持する。好ましくは、基部3142は、半球形部分3148を画定し、二次プッシュチューブ3146は、協働して玉継手機構を形成する相補的な半球状部分3150を画定し、それにより、2つの回転軸を中心とする基部3142に対する二次プッシュチューブ3146の回転が可能になる。したがって、基部3142の広範囲の枢動を通して、二次プッシュチューブ3146の望ましい向きを維持することができる。たとえばかつ限定なしに、スナップフィット機構、機械的締結具、接着剤または超音波溶接等、あらゆる好適な機構により、保持キャップ3144を基部3142に固定することができる。好ましくは、保持キャップ3144と二次プッシュチューブ3146との間に空間が設けられ、それにより、保持キャップ3144は、二次プッシュチューブ3146の基部3142からの分離を阻止する一方で、二次プッシュチューブ3146が基部3142に対して比較的自由に移動するのを可能にする。
【0177】
図示する弁体アセンブリ3134は、通常、1つまたは複数のばねアーム3152等、1つまたは複数の付勢要素によって閉鎖位置に付勢される。好ましくは、基部分3142と単体形成される一対の横方向に間隔を空けて配置されたばねアーム3152(一方のみを示す)が設けられる。図示するばねアーム3152は、半球状部分3148から下方に突出し、ヒンジブラケット3120と接触する。ばねアーム3152を、図示するように湾曲させることができ、または相対的にあるいは実質的に直線状とすることができる。直線状ばねアームは、基部3142の残りの部分に対して角度が付けられ、下方向および後方向に突出してヒンジブラケット3120と接触することができる。図示するばねアーム3152は、最初は、基部3142の残りの部分から下方に略直線状に突出し、端部において後方向に湾曲してヒンジブラケット3120と接触する。基部3142から分離した付勢要素、保持キャップ3144または弁体アセンブリ3134の他の図示する部品を含む、他の付勢機構も使用することができる。特定の配置に関らず、好ましくは、ばねアーム3152は、弁体アセンブリ3134を閉鎖位置に向かって付勢する傾向がある付勢力を提供するように構成される。
【0178】
好ましくは、加湿器107は、弁体アセンブリ3134を、ばねアーム3152の付勢力に抗して開放位置まで移動させる機構を含む。特に、弁体アセンブリ3134は、好ましくは、加湿チャンバ3102が加湿器107の基部の上に配置されたとき等、加湿器107の通常動作中に、開放位置まで移動する。図示する配置では、加湿器107は、弁体本体3134を開放位置まで選択的に移動させる、アクチュエータロッド3156等のアクチュエータ本体を含むアクチュエータ装置3154を含む。アクチュエータロッド3156は、好ましくは、加湿器107の制御システム(たとえば、電子マスタコントローラ125)によって、加湿器107の通常動作中に弁体アセンブリ3134を開放位置まで移動させるように操作される。一次弁3112が誤動作するかまたは望ましくにほど高い水位が検知されたとき、加湿器107は、アクチュエータロッド3156を移動させて、弁体アセンブリ3134が閉鎖位置から移動して二次弁3114を閉鎖させるのを可能にすることができる。好ましくは、二次弁3114が閉鎖位置にあるとき、水は、二重弁装置3110を介して加湿チャンバ3102に入ることができない。いくつかの構成では、アクチュエータロッド3156の一部は、加湿チャンバ3102、およびアクチュエータロッド3156の少なくともいくつかの部分において加湿チャンバ3102内に突出する部分の外側に配置される。加湿チャンバ本体3104は、可撓性膜またはシール要素3158を含むかまたは支持することができ、そこを介して、アクチュエータロッド3156は弁体アセンブリ3134に作用する。シール要素3158は、アクチュエータロッド3156の弁体アセンブリ3134に向かう移動に適応するように伸張する。したがって、こうした配置では、アクチュエータロッド3156は、加湿チャンバ3102の内部空間に物理的に入らず、それは、シール要素3158が、加湿チャンバ3102の内部空間とアクチュエータロッド3156との間に障壁を維持するためである。水平向きで示されているが、アクチュエータロッド3156を、たとえば垂直向き等、他の向きで提供することができる。こうした配置では、アクチュエータロッド3156は、上方から弁体アセンブリ3134に向かって延在することができる。
【0179】
好ましくは、加湿器107は、加湿チャンバ3102内の水位を検知する水位検知装置3160を含む。加湿器107は、水位検知装置3160によって提供される水位情報を用いて、アクチュエータ装置3154、特にアクチュエータロッド3156の動作を制御することができる。いくつかの構成では、水位検知装置3160は、光センサであり得るセンサ3162を含む。センサ3162は、水位が所望のレベルを超えるかまたは別法として所望のレベルであるかあるいはそれを下回るか否かを検出するように構成することができる。実際の水位が所望の水位を超えるとき、センサ3162は、加湿器107の制御システムに好適な信号(信号がないことを含む)を提供することができ、それにより、アクチュエータロッド3156(または他のアクチュエータ装置3154)が移動して、弁体アセンブリ3134が閉鎖位置まで移動するのを可能にすることができる。実際の水位が所望のレベル以下である場合、センサ3162は、加湿器107の制御システムに好適な信号(信号がないことを含む)を提供することができ、それにより、アクチュエータロッド3156(または他のアクチュエータ装置3154)が移動して弁体アセンブリ3134を開放位置まで移動させることができる。いくつかの構成では、加湿器107の制御システムは、加湿器107に電力が提供されるかまたは電源が入れられた場合、センサ3162が機能している場合、かつ水位が所望のレベル以下である場合にのみ、弁体アセンブリ3134を開放位置まで移動させる。好適な光センサとしては、たとえば、LEDセンサあるいはLDRセンサ、または加湿チャンバ3102内の水の存在または不在を検出することができる他のセンサタイプを挙げることができる。別法として、センサ3162は、水位を検出するかまたは特定のレベルにおける水の存在または不在を確定するように構成された、デジタル画像処理を行うカメラであるかまたはそれを含むことができ、それを加湿器107の制御システムに組み込むことができる。
【0180】
上述したように、水入口3108は、第1弁座3132および第2弁座3138を含む二重弁装置3110を組み込んでいる。図示する弁作動機構は、同軸外側円筒状二次プッシュチューブ3146内に位置するプッシュロッド3124を含む。プッシュロッド3124および二次プッシュチューブ3146は、自由にかつ互いに独立して移動することができる。水入口3108に面しているプッシュロッド3124の端部は、鈍い先端までテーパ状となり、弁体3130を形成している。プッシュロッド3124の弁体3130および二次プッシュチューブ3146の弁体要素3136は、可撓性封止膜であり得る弁シール要素3164によって覆われている。好ましくは、弁シール要素3164は、二次プッシュチューブ3146のリムの上にぴったりと適合するように構成され、したがって、二次プッシュチューブ3146をプッシュロッド3124に浮動接続で結合する。したがって、好ましくは、弁シール要素3164は、それぞれの弁が閉鎖位置にあるときに第1弁座3132および第2弁座3138と直接接触する。さらに、弁シール要素3164は、二次弁システム3114が一次弁システム3112の位置に関らず閉鎖したときに、水が水入口3108を介して加湿チャンバ3102に入るのを防止することができる。弁シール要素3164を、たとえば、柔軟であるが強固な、たとえば医療グレードシリコーンゴム材料である材料から作製することができる。
【0181】
加湿チャンバ3102には、入口ポート3170および出口ポート3172がさらに備えられている。加湿のプロセスでは、加湿チャンバ3102の熱伝達基部3106に、加湿器107から熱が提供され、それにより、加湿チャンバ3102を通過するガスと混合する液体の水の表面から蒸気が上昇する。二重フロート装置を利用する加湿器設計では、二次フロートは、典型的には、一次フロートよりサイズが物理的に大きく、加湿チャンバの著しい容積を占有する。二次フロートの大きいサイズは、二次弁の閉鎖力を増大させるのに有用である。図示する加湿チャンバ3102において二次フロートをなくすことにより、他の有利な特徴の提供が容易になり、その少なくとも一部について後述する。
【0182】
いくつかの構成では、加湿チャンバ3102は、加湿チャンバ3102内でガス流の一部を入口ポート3170と出口ポート3172との間で誘導または方向付けることができる、1つまたは複数のガイド壁3180等のガス流誘導特徴および/または表面積拡大特徴を含む。図示する配置では、加湿チャンバ3102は、互いに間隔を空けて配置されて1つまたは複数の流路3182を画定する複数のガイド壁3180を備えている。ガイド壁3180は、内側ガイド壁を含むことができ、いくつかの構成では、加湿チャンバ本体3104の外壁がガイド壁を形成することができる。図示する配置では、ガイド壁3180が、概して同心状に配置されている。いくつかの構成では、ガイド壁3180および/または流路3182は、可変高さ/深さを有することができる。図示する配置では、隣接する流路3182は、交互に異なる深さを有し、すなわち、浅い流路3182が深い流路3182の深さの約半分である。流路3182の幅は、所望の流れ特性に応じて概して同じであるかまたは異なり得る。好ましくは、流路3182は、加湿チャンバ3102の内部空間の実質的な高さにわたって延在し、熱伝達基部3106または加湿チャンバ3102の他の底面と接触することができるが、必ずしも接触する必要はない。
【0183】
図示する配置では、ガイド壁3180および流路3182は、加湿チャンバ3102の頂部から見ると略U字型である。入口ポート3170および出口ポート3172は、U字型流路3182のそれぞれの端部の近くに位置している。好ましくは、ガイド壁3180および流路3182は、流れ経路の実質的な部分または実質的に全体に沿って入口ポート3170と出口ポート3172との間に延在する。図示する流路3182は、流路3182を通して並流を可能にするように構成されている。すなわち、加湿チャンバ3102に入るガス流は、利用可能な流路3182の間で分割される。しかしながら、他の配置では、流路3182は、加湿チャンバ3102を通るガス流が利用可能な流路3182のうちの複数またはすべてを連続的に通過して、加湿チャンバ3102内の常駐時間を延長するように、直列に配置することができる。したがって、加湿チャンバ3102を通して蛇行する流れ経路を画定するように、ガイド壁3180を構成することができる。有利には、ガイド壁3180は、本明細書に記載する微細構造のうちのいずれかを配置するための追加の表面積を提供して、加湿チャンバ3102を通るガス流に利用可能な水の総表面積を増大させる。さらに、加湿チャンバ3102の1つまたは複数の壁(たとえば、内側ガイド壁3180および/または外壁)は、加湿器107の加熱器基部によって加熱されるように構成された壁を備えることができる。加湿チャンバ3102は、加湿器107とは別個の加熱部材によって加熱されるように構成された壁を備えることができる。加湿チャンバ3102は、少なくとも、蒸発器部分の近くで加湿チャンバ3102の壁の上にまたは壁にわたって配置された断熱材をさらに備えることができる。いくつかの構成では、微細構造のための表面積を増大させかつガス流の誘導をほとんどまたはまったく提供しないように、壁3180を主にまたは完全に提供することができる。
【0184】
図示するように、入口ポート3170および出口ポート3172を、二重弁装置3110の両側に配置することができる。ガイド壁3180は、加湿チャンバ3102を通る入口ポート3170と出口ポート3172との間の所望のガス流を容易にし、それにより、入口ポート3170および出口ポート3172を、加湿チャンバ本体3104の壁またはその近く等、要求に応じて、加湿チャンバ3102全体に対して配置することができる。たとえば、入口ポート3170および/または出口ポート3172を、たとえば、加湿チャンバ本体3104の後壁3184にまたはその近くに配置することができる。図示する配置では、後壁3184は概して平面であり、それにより、光(または他の)センサ3162の使用を容易にし、実際的にし、または可能にすることができる。さらに、ガイド壁3180を設けることにより、加湿チャンバ本体3104に対して略円筒状以外の形状の使用を可能にするかまたは実際的にすることができ、それにより、加湿チャンバ3102内の水の利用可能な表面積を増大させることができ、かつ/または加湿チャンバ3102内の水をより効率的に加熱するために熱伝達基部3106の表面積を増大させることができる。
【0185】
加湿チャンバで使用するタービン
図34~
図37を参照すると、ガイド壁3180の代りにまたはそれに加えて、加湿チャンバ3102は、微細構造のために利用可能な表面積を増大させかつ/または加湿チャンバ3102内の水の気相および液相の混合を容易にする他の構造を含むことができる。たとえば、いくつかの構成では、二次フロートをなくすことにより、加湿チャンバ3102内の水の気相および液相の混合を容易にする混合要素または構造3186のために、加湿チャンバ3102内に空間を提供する。図示する配置では、混合要素3186は、加湿チャンバ3102内でかつそれに対して回転可能なタービンである。代替配置では、タービンまたは他の混合構造3186は、二次フロートの一部を形成するかまたは他の方法で二次フロートに一体化されることが可能であり、かつ/または可動である代りに固定され得る。他の配置では、上述したように、たとえばかつ限定なしに、フロート制御弁およびセンサ/アクチュエータ制御弁を含む、二重弁装置3110のためのあらゆるタイプまたは組合せの弁作動装置を使用することができる。固定混合構造3186を、加湿チャンバ3102の底面に支持することができ、または、たとえば加湿チャンバ本体3104の上壁から下方に延在する等、加湿チャンバ本体3104によって支持するかまたはそれと一体的にすることができる。
【0186】
好ましくは、タービン3186は、基部3190に固定された複数のブレード3188を備えている。図示する配置では、ブレード3188は、基部3190とは別個であり、ブレード3188とスナップフィット機構を提供することができる複数のタブ3192によって適所に保持される。ブレード3188および基部3190を合わせて一体構造として形成することを含む、ブレード3188を基部3190に固定する他の好適な方法または機構も使用することができる。ブレード3188を、基部3190の上に放射状に配置することができ、または図示するように半径方向の整列からずらすことができる。いくつかの構成では、ブレード3188を、タービン3186の回転軸に対して垂直方向に傾斜させるかまたは他の方法で角度を付けることができる。図示するブレード3188は、概してまたは実質的に平面であり、それは、本明細書に記載するように、微細構造の形成を可能にするのに有利であり得る。しかしながら、他の構成では、ブレード3188を幅および/または長さ方向において湾曲させることができる。
【0187】
いくつかの構成では、タービン3186は、加湿チャンバ3102を通るガス流に応じて回転可能であり得る。他の構成では、加湿チャンバ3102を通るガス流に応じて、他のタイプの可動混合要素3186が移動可能であり得る。図示する配置では、タービン3186は、加湿チャンバ3102内を移動するガスの流れ経路内に配置される。望ましい場合は、タービン3186を出入りするガスの流れを容易にするために、ガイド壁3180または他のガイド構造も設けることができる。上述したように、タービン3186は、水の気相および液相の混合を容易にすることができ、それにより、より均質な温度混合のために加湿チャンバ3102からより多くの湿気および熱を抽出することができる。タービン3186または他の混合要素の回転速度が低い場合であっても、液相および気相を有利に混合することができることが企図される。
【0188】
加湿チャンバ3102を通って移動するガスの所望の流れ経路を容易にするかまたは方向付けるように、入口ポート3170および出口ポート3172を位置決めすることができる。たとえば、図示するように、入口ポート3170および出口ポート3172を、加湿チャンバ3102の平面壁3184にまたはその近くで水入口3108および二重弁装置3110の両側に配置することができる。水平面にあるように示されているが、入口ポート3170および出口ポート3172を、要求に応じて、垂直方向または他の方向に向けることができる。こうした配置では、入口ポート3170および出口ポート3172は、タービン3186に対して概してまたは実質的に接線であり得る。他の配置では、入口ポート3170および出口ポート3172は、破線によって示すように、タービン3186に対して概してまたは実質的に半径方向に向けられ得る。
【0189】
別法として、入口ポート3170を、タービン3186の上方に位置決めする等、概してタービン3186の回転軸に位置決めすることができる。こうした配置では、ガス流は、タービン3186の中心部に入り、ブレード3188の間を出口ポート3172まで外側に流れる。非回転混合要素3186がある構成では、ガス流を、混合要素3186の特定の場所(たとえば中心)に向け、混合要素3186によって要求に応じて(たとえば外側に)分散させることができる。
【0190】
好ましくは、タービン3186は、回転に対する抵抗を最小限にするように、加湿チャンバ3102に対して回転するように支持される。たとえば、加湿チャンバ3102内で、加湿チャンバ3102の底面(たとえば、熱伝達基部3106)の底面のすくなくともわずかに上方で水の上に浮遊するように、タービンを構成することができる。タービン3186が加湿チャンバ3102の表面と接触したときに摩擦を低減させるかまたは最小限にするために、タービン3186の底面に突起3194(たとえば、尖った突起または円錐形突起)を設けることができる。他の配置では、突起3194が加湿チャンバ3102の表面と意図的に接触するかまたはその上に載るように、タービン3186を構成することができる。
【0191】
好ましくは、加湿チャンバ3102内の所望の水位は、タービン3186の基部3190の上方であり、それにより、本明細書に記載するように、微細構造を介してブレード3188上で垂直に水の吸込みを容易にするように、液体の水がブレード3188の下方部分と接触する。タービン3186の回転を著しく妨げないために、たとえばかつ限定なしに、タブ3192またはその下方等に、基部3190の上面よりわずかに上方に、所望のまたは通常の水位3196があり得る。好ましくは、所望のまたは通常の水位3196は、タービン3186の回転を過度に妨げることなく所望の量の水をブレード3188の上方に吸い上げるのを容易にするかまたは達成するのに十分高いように選択される。
【0192】
微細構造を備えた患者インタフェース
患者インタフェース設計の設計において、凝縮液管理は重要な問題である。したがって、いくつかの実施形態は、限定されないが、マスク(気管マスク、フェイスマスクおよび鼻マスク)、カニューレおよび鼻ピローを含む患者インタフェースに微細構造を組み込むことができるという認識を含む。
【0193】
図10Aは、患者インタフェース115の一例の正面図を示す。呼吸療法の分野において患者インタフェース115を使用することができる。患者インタフェース115は、陽圧呼吸療法の形態に特に有用である。たとえば、持続気道陽圧(「CPAP」)治療を施すために患者インタフェース115を使用することができる。さらに、可変気道陽圧(「VPAP」)治療および二層性気道陽圧(「BiPAP」)治療で患者インタフェース115を使用することができる。あらゆる好適なCPAPシステムで患者インタフェース115を使用することができる。
【0194】
患者インタフェース115は、あらゆる好適なマスク形態を備えることができる。たとえば、本発明のいくつかの特徴、態様および利点は、鼻マスク、フルフェイスマスク、口鼻マスクまたは他のあらゆる陽圧マスクで有用であり得る。図示するインタフェースはフルフェイスマスク1001である。マスク1001は、概して、マスクアセンブリ1003および接続ポートアセンブリ1005を備えている。マスクアセンブリ1003は、概して、使用時に使用者の顔面と接触するマスクシール1007を備えている。
【0195】
図10Bは、1つまたは複数の導電性フィラメント1009を組み込んだ、
図10Aのマスク1001の構成を示す。
図10Bに示すように、導電性フィラメントを概して曲がりくねったパターンで配置することができる。しかしながら、格子状形態、コイルまたはリング等、種々の形態が可能である。
【0196】
マスク1001の壁の外面(すなわち、使用中に周囲空気に面するように構成されたマスク1001の表面)に1つまたは複数の導電性フィラメント1009を取り付けることができる。マスク1001の壁の内面(すなわち、使用中に患者に面するように構成されたマスク1001の表面)に1つまたは複数の導電性フィラメント1009を取り付けることも可能である。1つまたは複数の導電性フィラメント1009はまた、マスク1001壁に埋め込むかまたは他の方法で組み込むことができる。後者の形態は、患者が導電性フィラメント1009に接触するのを防止することができるため望ましい可能性がある。上述した形態の組合せもマスク1001に組み込むことができる。さらに、マスク1001の壁自体、またはマスク1001の壁の少なくとも一部は導電性であり得る。たとえば、マスク1001は、導電性ポリマーまたは導電性金属を含むことができる。
【0197】
図11Aは、
図10のマスク1001の背面図である。
図11Aは、マスクの内面における微細構造1101の形態例を概して示す。先のセクションで考察した微細構造1101の特性は、参照により組み込まれる。例としてのマスク1001は、長手方向軸LAおよび横方向軸TAを有している。マスク1001は、長手方向軸LAの一方の側の第1部分1103と、長手方向軸LAの他方の側の第2部分1105とを備えている。概して、微細構造1101は、横方向軸TAに対して平行にマスク1001の下側に沿って延在している。長手方向軸LAの両側の微細構造は、鏡像パターンを形成する。微細構造1101は、正確な縮尺で描かれておらず、単に例示の目的のものである。
【0198】
図11Bは、
図11Aの微細構造1101の一部の第1拡大図を示す。
図11Cは、微細構造1101の一例の断面を示す。この実施形態例では、微細構造はマイクロチャネルである。微細構造は、上述したものと同様とすることができ、それらの形状および特性の考察は参照によりここに組み込まれる。
【0199】
後に説明するように、いくつかの実施形態は、患者インタフェースに微細構造を組み込むことにより、マイクロスケールの水滴(すなわち、直径が1000μm(または約1000μm)を超える水滴)の形成を防止するかまたは低減させることにより、凝縮液管理を改善することができるという認識を含む。
図12Aは、微細構造を組み込んでいないインタフェース表面における水滴形成の概略図を示す。対照的に、
図12Bは、微細構造を組み込んだインタレース面における水の広がりの概略図を示す。両方の図において、1201は、インタフェースの外面(すなわち、使用中に周囲空気に面するように構成されたインタフェースの表面)を示し、1203は、インタフェースの内面(すなわち、使用中に患者に面するように構成されたインタフェースの表面)を示す。
【0200】
患者インタフェースは、非常に高い湿度状態になる。ボックス1205および1207に示すように、インタフェースの内面1203が平滑(または比較的平滑)である場合、患者インタフェースの内面に水滴が容易に発生する可能性がある。ボックス1209に示すように、使用時、これらの水滴は、患者インタフェースの下方領域まで下り、一緒に溜まるかまたは患者の顔面に滴下する。ボックス1211~1213に示すように、患者インタフェースの内面1203に微細構造を組み込むことにより、この問題を改善することができる。ボックス1211および1213に示すように、微細構造は、微細構造の長さ(または少なくとも長さの一部)に沿って凝縮液を広げ、それにより、凝縮液が液滴を形成するのが防止される。ボックス1215に示すように、凝縮液は微細構造に沿って広い表面積にわたって広がるため、凝縮液はより容易に蒸発することができる。この広がり作用により、凝縮液が下方領域で溜まるかまたは患者の顔面に滴下する可能性も低減する。いくつかの実施形態では、内面1203に微細構造を組み込むことにより、凝縮液を、患者インタフェースからスポンジまたは通気性膜等、吸収性層(図示せず)上に向け直すことができる。
【0201】
図11Dは、
図10Aのマスク1001の背面図を示す。
図11Dは、マスクの内面において微細構造1101に沿って凝縮液が広がっていることを概略的に示す。
【0202】
少なくともいくつかの構成では、1つまたは複数の導電性フィラメント1009(
図10B)は、マスク1001の壁を加熱するように構成された1つまたは複数のフィラメントを含む。1つまたは複数の導電性フィラメント1009が少なくとも1つの加熱フィラメントを含む場合、その加熱フィラメントは、電源に接続され、それにより、マスク1001の本体に熱を加えることができる。
図13に示すように、加えられた熱により、微細構造の中または上で広がる凝縮液の蒸発が加速される。
【0203】
本発明の上述した説明は、その好ましい形態を含む。本発明の範囲から逸脱することなく、それら形態に対して変更を行うことができる。本発明が関連する当業者に対して、添付の特許請求の範囲において定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造の多くの変更ならびに大幅に異なる実施形態および応用が、示唆されよう。本明細書の開示および説明は、単に例示的なものであり、いかなる意味においても限定されるように意図されていない。