(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】医療用画像表示装置、医療用画像表示方法、及び医療用画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241002BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20241002BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20241002BHJP
【FI】
A61B5/00 G
G06F3/04845
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2020183494
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】谷 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】木倉谷 伸之
(72)【発明者】
【氏名】村岡 寛
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215563(JP,A)
【文献】特開2007-295369(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198703(WO,A1)
【文献】特開2014-178882(JP,A)
【文献】特開2006-068038(JP,A)
【文献】特開2015-006324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0110348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
A61B 1/00 - 1/32
A61B 6/00 - 6/14
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付処理部と、
前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得される前記拡大画像を前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を示す対応関係表示画像を表示させる表示処理部と、
を備え
、
前記表示処理部は、前記表示画面に表示された前記医療用画像が他の画像に切り替えられた場合に前記拡大画像の表示を維持し、その後に前記拡大画像に対して所定の操作が行われた場合に、前記表示画面に表示された前記他の画像を前記医療用画像に切り替える、医療用画像表示装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記指定位置を識別可能な識別情報を前記医療用画像に重ねて表示させる、
請求項1に記載の医療用画像表示装置。
【請求項3】
前記対応関係表示画像は、前記指定位置と前記拡大画像とを接続する接続画像である、
請求項2に記載の医療用画像表示装置。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記拡大画像を移動可能に表示させ、前記拡大画像が移動した場合に前記対応関係表示画像の位置を更新する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療用画像表示装置。
【請求項5】
前記表示処理部は、前記指定位置を識別可能な識別情報を前記医療用画像に重ねて表示させ、
前記受付処理部は、さらに、前記拡大画像の表示を前記表示画面から削除する削除操作を受け付け、
前記表示処理部は、前記受付処理部が前記削除操作を受け付けた場合に、前記拡大画像及び前記対応関係表示画像の表示を前記表示画面から削除し、前記識別情報の表示を維持する、
請求項1に記載の医療用画像表示装置。
【請求項6】
前記受付処理部は、さらに、前記表示画面から削除された前記拡大画像の表示を前記表示画面に復元する復元操作を受け付け、
前記表示処理部は、前記受付処理部が前記復元操作を受け付けた場合に、前記表示画面から削除された前記拡大画像及び前記対応関係表示画像の表示を前記表示画面に復元する、
請求項5に記載の医療用画像表示装置。
【請求項7】
前記復元操作は、前記識別情報に対する操作である、
請求項6に記載の医療用画像表示装置。
【請求項8】
前記取得処理部は、前記表示画面に対するタッチ操作に応じた形状を有する前記拡大対象範囲に対応する前記拡大画像を取得する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医療用画像表示装置。
【請求項9】
前記受付処理部は、さらに、前記拡大対象範囲を変更する操作を受け付け、
前記取得処理部は、前記拡大対象範囲が変更された場合に、変更後の当該拡大対象範囲に対応する前記拡大画像を取得する、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の医療用画像表示装置。
【請求項10】
前記受付処理部は、さらに、前記拡大対象範囲に対応する前記拡大画像の表示倍率を変更する操作を受け付け、
前記取得処理部は、前記表示倍率が変更された場合に、変更後の当該表示倍率に対応する前記拡大画像を取得する、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の医療用画像表示装置。
【請求項11】
一又は複数のプロセッサーが、
表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付ステップと、
前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得される前記拡大画像を、前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を表示する対応関係表示画像を表示させる表示ステップと、
を実行
し、
前記表示ステップにおいて、前記表示画面に表示された前記医療用画像が他の画像に切り替えられた場合に前記拡大画像の表示を維持し、その後に前記拡大画像に対して所定の操作が行われた場合に、前記表示画面に表示された前記他の画像を前記医療用画像に切り替える、医療用画像表示方法。
【請求項12】
表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付ステップと、
前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得される前記拡大画像を、前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を表示する対応関係表示画像を表示させる表示ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための医療用画像表示プログラム
であって、
前記表示ステップにおいて、前記表示画面に表示された前記医療用画像が他の画像に切り替えられた場合に前記拡大画像の表示を維持し、その後に前記拡大画像に対して所定の操作が行われた場合に、前記表示画面に表示された前記他の画像を前記医療用画像に切り替える、医療用画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像を表示する医療用画像表示装置、医療用画像表示方法、及び医療用画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面に表示された全体画像の一部を拡大させて、拡大させた一部の画像(拡大対象)を全体画像に重ねて表示させる機能(所謂ルーペ機能)が知られている。例えば特許文献1には、全体画像が表示された表示画面に対してタッチ操作があったときに、タッチ位置に対応する位置を含む拡大対象領域の拡大画像を当該位置において当該全体画像に重ねて表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、拡大画像が全体画像における拡大対象の位置に重ねて表示されるため、拡大対象の位置が分かり難くなったり、拡大前の元画像が見難くなったりするなど、利便性が低いという問題が生じる。特に、病理画像などの医療用画像を利用する医療現場では、拡大前の元画像、拡大画像などを用いて患者の診断を行うため、より利便性の高い機能が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、医療用画像の一部を拡大する機能の利便性を向上させることが可能な医療用画像表示装置、医療用画像表示方法、及び医療用画像表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る医療用画像表示装置は、表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付処理部と、前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得処理部と、前記取得処理部により取得される前記拡大画像を前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を示す対応関係表示画像を表示させる表示処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る医療用画像表示方法は、一又は複数のプロセッサーが、表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付ステップと、前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得される前記拡大画像を、前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を表示する対応関係表示画像を表示させる表示ステップと、を実行する方法である。
【0008】
本発明の他の態様に係る医療用画像表示プログラムは、表示画面に表示される医療用画像に対して拡大対象範囲を指定する操作を受け付ける受付ステップと、前記拡大対象範囲が指定された場合に、当該拡大対象範囲に対応する拡大画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得される前記拡大画像を、前記医療用画像における前記拡大対象範囲が指定された指定位置とは異なる所定位置に表示させると共に、前記拡大画像と前記指定位置との対応関係を表示する対応関係表示画像を表示させる表示ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、医療用画像の一部を拡大する機能の利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る医療用画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る医療用画像表示システムで利用される病理画像情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る医療用画像表示システムで実行される医療用画像表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係るディスプレイの表示画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る医療用画像表示システム1は、医療用画像表示装置10と、ディスプレイ20とを備えている。ディスプレイ20は、画像を表示する表示パネルであり、例えば液晶ディスプレイである。また、ディスプレイ20は、タッチパネルを備えており、ユーザーのタッチ操作を受け付ける。医療用画像表示装置10及びディスプレイ20は一体に形成されてもよい。例えば医療用画像表示装置10及びディスプレイ20は、タッチパネル機能を備えたモバイル端末であってもよい。医療用画像表示装置10は、本発明の医療用画像表示装置の一例である。
【0013】
医療用画像表示装置10及びディスプレイ20は、通信ケーブルCaにより接続されている。なお、医療用画像表示装置10及びディスプレイ20は、無線通信により接続されてもよい。
【0014】
医療用画像表示システム1は、病院などの医療機関に導入され、病理検査の検体画像(病理画像)などの医療用画像を表示する。前記医療用画像は、病理画像に限定されず、レントゲン画像、染色画像、超音波診断画像などであってもよい。本実施形態では、医療用画像の一例として、病理検査装置(顕微鏡)による病理画像を挙げて説明する。
【0015】
図1に示すように、医療用画像表示装置10は、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、通信部14とを備えている。
【0016】
操作部13は、ユーザーの操作を受け付けるマウス、又はキーボードである。操作部13は、医療用画像表示装置10に接続可能な外部機器である。
【0017】
通信部14は、ディスプレイ20との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また、通信部14は、他の機器とデータ通信可能に構成されてもよい。例えば、通信部14は、種々の検査装置(病理検査装置など)などとデータ通信可能であってもよい。
【0018】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。
【0019】
記憶部12には、制御部11に後述の医療用画像表示処理(
図8参照)を実行させるための医療用画像表示プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記医療用画像表示プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録され、医療用画像表示装置10が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記医療用画像表示プログラムは、クラウドサーバーから配信されて記憶部12に記憶されてもよい。
【0020】
また、記憶部12には、患者ごとの医療情報(病理画像、レントゲン画像、染色画像、所見(検査所見)、サマリー、薬歴など)が記憶されている。例えば、記憶部12には、病理画像情報DB1のデータが記憶されている。
【0021】
図2は、病理画像情報DB1の一例を示す図である。病理画像情報DB1には、患者ごとに、病理検査装置による検査結果に関する情報が登録される。例えば
図2に示すように、病理画像情報DB1には、患者ID、病理画像、検査位置、検査日時、検査条件、所見などの情報が含まれる。前記患者IDは、患者の識別情報である。前記病理画像は、患者の検体を撮影した画像であり、例えば顕微鏡写真である。前記検査位置は、患者の検体の位置(部位)を示す情報である。前記検査日時は、検査を行った日時、すなわち検体を採取又は撮影した日時である。前記検査条件は、検体画像の撮影条件であり、例えば顕微鏡の倍率(拡大率)である。前記所見は、検査に対する医師の診断内容である。病理画像情報DB1には、病理検査が行われる度に前記各情報が登録される。
【0022】
なお、他の実施形態として、病理画像情報DB1などの医療情報の一部又は全部が、医療用画像表示装置10からアクセス可能なサーバーに記憶されてもよい。この場合、医療用画像表示装置10の制御部11は、前記サーバーから前記病理画像を取得して、後述の医療用画像表示処理(
図8参照)などの各処理を実行してもよい。例えば、病理画像情報DB1は、病院の病理検査部門のサーバーに個別に記憶されてもよい。そして、医療用画像表示装置10の制御部11は、前記病理検査部門のサーバーから前記病理画像を取得してもよい。
【0023】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより医療用画像表示装置10を制御する。
【0024】
具体的に、制御部11は、
図1に示すように、受付処理部111、取得処理部112、表示処理部113などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記医療用画像表示プログラムに従った各種の処理を実行することによって、受付処理部111、取得処理部112、及び表示処理部113として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記医療用画像表示プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0025】
受付処理部111は、ユーザー(医療従事者)の各種操作を受け付ける。具体的には、受付処理部111は、検査対象の患者の病理画像を選択する操作、ディスプレイ20の表示画面に表示された病理画像に対して拡大対象範囲を指定する操作、当該拡大対象範囲を変更する操作、当該病理画像の拡大画像を移動する操作、当該拡大画像の表示倍率を変更(拡大、縮小)する操作、当該拡大画像の表示を表示画面から削除する削除操作、前記表示画面から削除された前記拡大画像の表示を前記表示画面に復元する復元操作などを受け付ける。受付処理部111は、本発明の受付処理部の一例である。
【0026】
例えばユーザーがディスプレイ20に表示された設定画面において検査対象の患者の患者IDを入力すると、表示処理部113は、病理画像情報DB1(
図2参照)から当該患者IDに対応する病理画像C1を取得してディスプレイ20に表示させる(
図3参照)。
図3に示す表示画面においてユーザーが病理画像C1の一部を拡大して観察する場合に、病理画像C1に対して拡大対象範囲A1を指定する。例えば
図3に示すように、ユーザーはディスプレイ20の表示画面を指などの入力手段によりタッチしながら所定の範囲を囲むことにより拡大対象範囲A1を指定する。受付処理部111は、拡大対象範囲A1を指定する操作を受け付ける。
【0027】
取得処理部112は、ユーザーにより拡大対象範囲A1が指定された場合に、拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1を取得する。すなわち、取得処理部112は、表示画面に対するタッチ操作に応じた形状を有する拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1を取得する。拡大対象範囲A1は、前記タッチ操作に応じた幾何学形状であってもよいし、前記タッチ操作に沿ったフリーハンドの形状であってもよい。ここでは、拡大対象範囲A1は、前記タッチ操作に応じた幾何学形状である円形状の範囲である。
【0028】
取得処理部112は、拡大対象範囲A1の画像をキャプチャして複製する。なお、取得処理部112は、拡大対象範囲A1を含む所定のエリアの画像をキャプチャして複製してもよいし、病理画像C1全体を複製してもよい。また、制御部11は、複製した画像を、画像IDと指定された位置の位置情報(座標情報)とを関連付けて記憶部12に記憶する。取得処理部112は、本発明の取得処理部の一例である。
【0029】
表示処理部113は、各種情報をディスプレイ20に表示させる。具体的には、表示処理部113は、ユーザーにより指定された患者IDに対応する病理画像C1をディスプレイ20に表示させる(
図3参照)。また、表示処理部113は、取得処理部112により取得される拡大画像B1をディスプレイ20に表示させる。
【0030】
ここで、従来の技術によれば、
図4に示すように、拡大画像B1は拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1に表示される。このように、拡大画像B1が全体画像における拡大対象範囲A1の位置に重ねて表示されるため、拡大前の元の画像が見難くなったりするなど、利便性が低下する問題が生じる。
【0031】
これに対して、本実施形態では、表示処理部113は、
図5に示すように、取得処理部112により取得される拡大画像B1を病理画像C1における拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1とは異なる所定位置P2に表示させる。これにより、ユーザーは、拡大前の元画像と拡大画像B1とを比較しながら観察することができるため利便性を向上させることができる。
【0032】
なお、所定位置P2は、指定位置P1の拡大対象範囲A1に重ならない位置であればよい。また、表示処理部113は、病理画像C1全体のうち、拡大画像B1が見易い位置に表示させてもよい。例えば、表示処理部113は、拡大画像B1の輝度(色度)と拡大画像B1を重ねる領域の輝度との差が大きい位置に拡大画像B1を表示させる。これにより、拡大画像B1を目立たせることができる。例えば、拡大画像B1が暗い画像である場合には、表示処理部113は、病理画像C1のうち明るい領域に拡大画像B1を重ねて表示させる。
【0033】
また、表示処理部113は、
図6に示すように、拡大画像B1と指定位置P1との対応関係を示す接続画像B3を表示させる。接続画像B3は、例えば、拡大画像B1の元の位置である拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1を指し示すオブジェクト画像(例えば矢印画像)である。また、表示処理部113は、
図6に示すように、指定位置P1を識別し易いように、指定位置P1を示す指定位置画像B2(本発明の識別情報の一例)を病理画像C1に重ねて表示させてもよい。
図6では、指定位置画像B2は、点線画像で示されている。なお、表示処理部113は、拡大対象範囲A1の外形に一致する指定位置画像B2を表示せることが望ましい。
【0034】
表示処理部113は、
図6に示すように、拡大画像B1と指定位置画像B2とを接続(連結)する接続画像B3を表示させる。これにより、拡大画像B1と指定位置P1との対応関係が明確になる。
【0035】
接続画像B3は、本発明の対応関係表示画像の一例である。本発明の対応関係表示画像は、接続画像B3に限定されない。例えば、表示処理部113は、指定位置画像B2の枠線の種類、色、又はフォントを拡大画像B1の枠線の種類、色、又はフォントに一致させてもよい。この場合、拡大画像B1及び指定位置画像B2の枠線は、本発明の対応関係表示画像の一例である。また例えば、表示処理部113は、拡大画像B1及び指定位置画像B2のそれぞれに同一の番号、記号、文字などのテキスト画像を付してもよい。この場合、前記テキスト画像は、本発明の対応関係表示画像の一例である。
【0036】
このように、表示処理部113は、取得処理部112により取得される拡大画像B1を病理画像C1における拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1とは異なる所定位置P2に表示させると共に、拡大画像B1と指定位置P1との対応関係を示す接続画像B3を表示させる。
【0037】
ここで、ユーザーは、所定位置P2に表示された拡大画像B1を移動させる操作(移動操作)を行うことが可能である。例えば
図7に示すように、ユーザーは、所定位置P2に表示された拡大画像B1を指でタッチした状態で任意の位置(所定位置P3)に移動させることが可能である。受付処理部111は前記移動操作を受け付ける。表示処理部113は、拡大画像B1を移動先の所定位置P3に表示させる。また、表示処理部113は、拡大画像B1の表示位置を移動させると共に、接続画像B3の位置を拡大画像B1の位置に応じて変更する。例えば
図7に示すように、表示処理部113は、所定位置P3の拡大画像B1と指定位置P1の指定位置画像B2とを接続する接続画像B3を表示させる。このように、表示処理部113は、拡大画像B1を移動可能に表示させ、拡大画像B1が移動した場合に接続画像B3の位置を更新する。表示処理部113は、本発明の表示処理部の一例である。
【0038】
[医療用画像表示処理]
以下、
図8を参照しつつ、医療用画像表示装置10の制御部11によって実行される医療用画像表示処理について説明する。
【0039】
なお、本発明は、前記医療用画像表示処理に含まれる一又は複数のステップを実行する医療用画像表示方法の発明として捉えることができ、ここで説明する当該医療用画像表示処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記医療用画像表示処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記医療用画像表示処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーが当該医療用画像表示処理における各ステップを分散して実行する医療用画像表示方法も他の実施形態として考えられる。
【0040】
先ずステップS11において、制御部11は、ユーザーから病理画像C1を選択する選択操作を受け付けたか否かを判定する。制御部11がユーザーから前記選択操作を受け付けると(S11:Yes)、処理はステップS12に移行する。制御部11はユーザーから前記選択操作を受け付けるまで待機する(S11:No)。例えば、制御部11は、病理画像情報DB1(
図2参照)から、検査対象の患者の患者IDに対応する病理画像C1を選択する選択操作を受け付ける。
【0041】
ステップS12において、制御部11は、選択された病理画像C1を取得する。例えば、制御部11は、記憶部12の病理画像情報DB1(
図2参照)から前記選択された病理画像C2を取得する。
【0042】
次にステップS13において、制御部11は、ユーザーから拡大対象範囲A1を指定する指定操作を受け付けたか否かを判定する。制御部11がユーザーから前記指定操作を受け付けると(S13:Yes)、処理はステップS14に移行する。制御部11はユーザーから前記指定操作を受け付けない場合(S13:No)、処理はステップS11に戻る。例えば
図3に示す病理画像C1に対してユーザーが指で所定の範囲を囲む操作を行うと、制御部11は、当該所定の範囲に対応する拡大対象範囲A1の指定操作を受け付ける。ステップS13は、本発明の受付ステップの一例である。
【0043】
ステップS14において、制御部11は、ユーザーが指定した拡大対象範囲A1(指定位置P1)に対応する拡大画像B1を取得する。制御部11は、表示画面に対するタッチ操作に応じた形状を有する拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1を取得する。ステップS14は、本発明の取得ステップの一例である。
【0044】
次にステップS15において、制御部11は、拡大画像B1を所定位置に表示させる。例えば
図5に示すように、制御部11は、拡大画像B1を病理画像C1における拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1とは異なる所定位置P2に表示させる。制御部11は、拡大前の病理画像C1と、拡大後の拡大画像B1とを比較可能なように、拡大画像B1を指定位置P1から離れた所定位置P2において病理画像C1に重ねて表示させる。
【0045】
次にステップS16において、制御部11は、指定位置P1を識別可能な識別情報である指定位置画像B2を病理画像C1に重ねて表示させる。例えば
図6に示すように、制御部11は、指定位置P1を示す指定位置画像B2を病理画像C1に重ねて表示させる。
【0046】
次にステップS17において、制御部11は、拡大画像B1と指定位置P1との対応関係を示す接続画像B3を表示させる。例えば
図6に示すように、制御部11は、拡大画像B1と指定位置P1とを接続し、拡大画像B1の元の位置である指定位置P1を指し示す矢印画像の接続画像B3を病理画像C1に重ねて表示させる。ステップS15~S17は、本発明の表示ステップの一例である。
【0047】
以上のようにして、制御部11は、前記医療用画像表示処理を実行する。なお、ユーザーが拡大画像B1を移動する移動操作を行った場合には、制御部11は、ユーザーの移動操作に応じて、拡大画像B1の位置及び接続画像B3の位置を更新する(
図7参照)。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る医療用画像表示装置10は、ディスプレイ20の表示画面に表示される医療用画像(病理画像C1)に対して拡大対象範囲A1を指定する操作を受け付け、拡大対象範囲A1が指定された場合に、拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1を取得し、取得した拡大画像B1を前記医療用画像における拡大対象範囲A1が指定された指定位置P1とは異なる所定位置P2に表示させると共に、拡大画像B1と指定位置P1との対応関係を示す対応関係表示画像(接続画像B3)を表示させる。これにより、拡大画像B1が全体画像における拡大対象の位置(拡大対象範囲A1の指定位置P1)から離れた位置に表示されるため、指定位置P1が分かり難くなったり、拡大前の元画像が見難くなったりするなどの問題が生じない。また、ユーザーは、拡大前の元画像と拡大画像B1とを比較しながら観察することができる。よって、医療用画像の一部を拡大する機能の利便性を向上させることが可能になる。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態として、受付処理部111は、さらに、拡大画像B1の表示を表示画面から削除する削除操作を受け付けてもよい。ここで、表示処理部113は、
図6等に示すように、拡大画像B1に、拡大画像B1の表示を削除する削除ボタンD1を表示させる。ユーザーは、拡大画像B1を表示画面から削除したい場合に削除ボタンD1をタッチする。受付処理部111は、ユーザーの前記削除操作を受け付ける。表示処理部113は、受付処理部111が前記削除操作を受け付けると、
図9に示すように、拡大画像B1及び接続画像B3の表示を前記表示画面から削除する。また、表示処理部113は、
図9に示すように、指定位置画像B2の表示を維持する。このように、指定位置画像B2の表示を維持することにより、拡大画像B1が削除された後でもユーザーは自身が指定した位置を認識することができる。
【0050】
また、受付処理部111は、さらに、前記表示画面から削除された拡大画像B1の表示を前記表示画面に復元する復元操作を受け付けてもよい。ユーザーは、削除した拡大画像B1を再び表示画面に表示させたい場合に指定位置画像B2をタッチする。受付処理部111は、ユーザーの前記復元操作を受け付ける。表示処理部113は、受付処理部111が前記復元操作を受け付けると、
図6に示すように、拡大画像B1及び接続画像B3を再び前記表示画面に表示させる。これにより、ユーザーは、一度指定した指定位置P1の拡大画像B1を削除したり、再表示させたりすることができる。なお、前記復元操作は、ユーザーによる指定位置画像B2に対する所定の操作である。
【0051】
他の実施形態として、受付処理部111は、さらに、拡大対象範囲A1を変更する変更操作を受け付けてもよい。例えば
図10に示すように、ユーザーは、拡大対象範囲A1を拡大させたい場合に、拡大画像B1の外枠の両サイドを二本の指でタッチして広げる。受付処理部111は、ユーザーの前記変更操作(拡大操作)を受け付ける。取得処理部112は、拡大対象範囲A1が変更された場合に、変更後の拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1を取得する。例えば、取得処理部112は、記憶部12に記憶された病理画像C1の複製画像において、拡大画像B1を広げた外枠の位置に対応する領域の画像を取得する。
【0052】
表示処理部113は、受付処理部111が前記変更操作を受け付けると、
図10に示すように、拡大対象範囲A1が拡大された拡大画像B1と、表示位置が変更された接続画像B3とを病理画像C1に重ねて表示させる。ユーザーが拡大画像B1の外枠を狭める操作を行った場合には、表示処理部113は、拡大対象範囲A1が縮小された拡大画像B1と、表示位置が変更された接続画像B3とを病理画像C1に重ねて表示させる。
【0053】
他の実施形態として、受付処理部111は、さらに、拡大対象範囲A1に対応する拡大画像B1の表示倍率を変更する変更操作を受け付けてもよい。例えば
図11に示すように、ユーザーは、拡大画像B1の表示倍率を拡大させたい場合に、拡大画像B1の内側の領域を二本の指でタッチして広げる。受付処理部111は、ユーザーの前記変更操作(倍率拡大操作)を受け付ける。取得処理部112は、二本の指によるタッチ位置の移動後の位置(幅)に対応する拡大画像B1を取得する。例えば、取得処理部112は、記憶部12に記憶された病理画像C1の複製画像において、前記タッチ位置の移動量に応じた表示倍率の拡大画像を取得する。すなわち、取得処理部112は、前記表示倍率が変更された場合に、変更後の当該表示倍率に対応する拡大画像B1を取得する。
【0054】
表示処理部113は、受付処理部111が前記倍率変更操作を受け付けると、
図11に示すように、表示倍率が拡大された拡大画像B1と、所定位置P2に対応する接続画像B3とを病理画像C1に重ねて表示させる。ユーザーが拡大画像B1の表示倍率を縮小する操作を行った場合には、表示処理部113は、表示倍率が縮小された拡大画像B1と、接続画像B3とを病理画像C1に重ねて表示させる。
【0055】
他の実施形態として、表示処理部113は、前記表示画面に表示された医療用画像が他の画像に切り替えられた場合に拡大画像B1の表示を維持し、その後に拡大画像B1に対して所定の操作が行われた場合に、前記表示画面に表示された前記他の画像を前記医療用画像に切り替えてもよい。例えば、ユーザーが、病理画像C1に対応する拡大画像B1が表示された状態(
図6参照)で他の病理画像C2を選択すると、表示処理部113は、
図12に示すように、病理画像情報DB1(
図2参照)から当該患者IDに対応する病理画像C2を取得して前記表示画面に表示させる(
図3参照)。この場合に、表示処理部113は、
図12に示すように、拡大画像B1の表示を維持して、拡大画像B1を病理画像C2に重ねて表示させる。これにより、ユーザーは、例えば同一患者の異なる部位の病理画像同士を比較して観察することができる。
【0056】
また、ユーザーがその後に拡大画像B1に対して所定の操作を行った場合に、表示処理部113は、表示画面に表示された病理画像C2を元の病理画像C1に切り替える。例えば
図12に示す表示画面において、ユーザーが拡大画像B1をタッチした場合に、表示処理部113は、病理画像C2を削除して、病理画像C1を表示させる。この場合に、表示処理部113は、さらに、指定位置画像B2及び接続画像B3を表示させてもよい(
図6参照)。
【符号の説明】
【0057】
1 :医療用画像表示システム
10 :医療用画像表示装置
20 :ディスプレイ
111 :受付処理部
112 :取得処理部
113 :表示処理部
A1 :拡大対象範囲
B1 :拡大画像
B2 :指定位置画像
B3 :接続画像
C1 :病理画像
D1 :削除ボタン
DB1 :病理画像情報
P1 :指定位置
P2 :所定位置
P3 :所定位置