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特許7564688硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/00 20060101AFI20241002BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20241002BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20241002BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20241002BHJP
   C09D 133/06 20060101ALI20241002BHJP
   C09D 191/06 20060101ALI20241002BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241002BHJP
【FI】
C08F290/00
C08F265/06
C08L33/06
C09D4/02
C09D133/06
C09D191/06
C09D7/63
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020188770
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077778
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】小高 一義
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-030890(JP,A)
【文献】特開2018-002888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 251/00-283/00、283/01、
283/02-289/00、290/00-290/14、
291/00-297/08、299/00-299/08
C08L 1/00-101/14
C09D 1/00-10/00、101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、
共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートならびにポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の化合物Bと、
還元剤Cと、
ワックスDと、
を含み、
前記化合物Aの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、10~90質量部であり、
前記還元剤Cの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、0.01~20質量部であり、
前記ワックスDの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、0.01~5質量部であり、
引火点が15℃以上である、硬化性組成物。
【請求項2】
分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと
重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートならびにポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の化合物Bと
元剤Cと
ワックスDと、
記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物と
含み、
前記化合物Aの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、10~90質量部であり、
前記還元剤Cの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~20質量部であり、
前記ワックスDの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~5質量部であり、
引火点が15℃以上である、硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物Aが炭素数4の分岐状アルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記化合物Aがメタクリル酸-i-ブチルを含む請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含む被覆材組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を0.1~20cmの厚さで硬化させた硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面や壁面等を被覆するために、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂を使用する方法が知られている。しかし、不飽和ポリエステル系樹脂は、耐溶剤に優れるが、耐候性に劣り、低温施工性が悪い。エポキシ系樹脂は、下地との密着性に優れるが、耐候性に劣り、硬化時間が長く、低温での硬化性に劣る。ポリウレタン系樹脂は、弾力性、柔軟性に優れるが、硬化時間が長い。
【0003】
そこで、これらの樹脂に代えて、硬化時間が短く、低温硬化性に優れ、耐候性、耐薬品性に優れるアクリル系硬化性組成物が、一般に使用されている。しかしながら、アクリル系硬化性組成物は、一般に引火性の高いメタクリル酸メチルを主成分としており、引火による火災の危険性を有している。
【0004】
一方、メタクリル酸メチルを含まないアクリル系硬化性組物が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、アルキルシクロヘキシル骨格を有する(メタ)アクリレート類を主成分とするアクリル系レジンコンクリート組成物が記載されている。しかし、特許文献1に記載の組成物は、硬化被膜の表面の硬化性が劣る傾向にある。
【0005】
特許文献2には、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート等をモノマーとして含有する組成物が記載されている。特許文献3には、炭素数6~16のアルキル(メタ)アクリレートを含むポリマーコンクリート用合成樹脂組成物が記載されている。しかし、特許文献2、3に記載のいずれの組成物も臭気低減に対する効果は不十分であり、被膜表面の硬化性が劣る傾向にある。
【0006】
特許文献4には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物が記載されている。特許文献5には、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物が記載されている。しかし、特許文献4、5に記載のいずれの組成物も、塗膜の表面の硬化性が不十分である。
【0007】
特許文献6には、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルを含む樹脂組成物が記載されている。しかし、硬化物の靭性が乏しく硬化物の強度および伸度を両立できないこと、および硬化物の耐候性が不十分であるという問題点を有していた。
【0008】
特許文献7には、メタクリル酸-2-フェノキシエチルを含む樹脂組成物が記載されている。しかし、硬化物の耐候性が不十分であるという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平01-141851号公報
【文献】特開平5-186539号公報
【文献】特開平6-329456号公報
【文献】特開平10-87770号公報
【文献】特開平10-158364号公報
【文献】特開2015-78264号公報
【文献】特開2004-203949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した各課題を解決すべくなされたものであり、硬化性組成物の引火性が低く、硬化物の機械特性および耐候性に優れ、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料として有用なアクリル系硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、以下の本発明の態様[1]~[]のいずれかによって解決することができる。
[1]分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートならびにポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の化合物Bと、還元剤Cと、ワックスDと、を含み、前記化合物Aの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、10~90質量部であり、前記還元剤Cの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、0.01~20質量部であり、前記ワックスDの含有量は、前記化合物Aおよび前記化合物Bの合計100質量部に対し、0.01~5質量部であり、引火点が15℃以上である、硬化性組成物。
]分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートならびにポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の化合物Bと、還元剤Cと、ワックスDと、前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物と、を含み、前記化合物Aの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、10~90質量部であり、前記還元剤Cの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~20質量部であり、前記ワックスDの含有量は、前記化合物A、前記化合物B、ならびに前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~5質量部であり、引火点が15℃以上である、硬化性組成物。
【0012】
]前記化合物Aが炭素数4の分岐状アルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する[1]または[2]項に記載の硬化性組成物。
]前記化合物Aがメタクリル酸-i-ブチルを含む[1]~[]項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【0013】
][1]~[]項のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含む被覆材組成物。
][1]~[]項のいずれか1項に記載の組成物を0.1~20cmの厚さで硬化させた硬化物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、硬化性組成物の引火性が低く、硬化物の機械特性および耐候性に優れ、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料として有用なアクリル系硬化性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよびメタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸およびメタクリル酸」の総称である。「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイルおよびメタクリロイル」の総称である。
【0016】
(化合物A)
本発明に用いられる化合物Aは、分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。引火性の観点から、化合物A中のアルキル基の炭素数は3以上が好ましく、4以上がより好ましい。一方、硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、化合物A中のアルキル基の炭素数は5以下が好ましく、4以下がより好ましい。また、硬化物の強度の観点から、化合物Aとしては(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
【0017】
化合物Aの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル等の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸-i-プロピル、(メタ)アクリル酸-i-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、引火性と硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、炭素数4のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-i-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチルが好ましく、炭素数4の分岐状アルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸-i-ブチルおよび(メタ)アクリル酸-t-ブチルがより好ましく、(メタ)アクリル酸-i-ブチルがさらに好ましい。
【0019】
化合物Aの含有量は、化合物A、化合物B、ならびに任意成分である化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、10~90質量部である。化合物Aの含有量が10質量部未満であると、硬化性組成物の粘度が高くなり、塗工時の作業性が低下する。化合物Aの含有量が90質量部を超えると、硬化性組成物の硬化性が低下する。化合物Aの含有量は、20~85質量部が好ましく、30~80質量部がより好ましい。
【0020】
(化合物B)
本発明に用いられる化合物Bは、共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートならびにポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の化合物である。
【0021】
硬化物の機械特性(最大引張強度)および耐候性の観点から、化合物Bは、共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体であることが好ましい。化合物Aへの溶解性の観点から、前記アクリル重合体中の、共重合成分である炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、共重合成分であるアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物のアルキル基の炭素数は2~8が好ましく、4~6がより好ましい。
【0022】
前記アクリル重合体に用いられる、共重合成分である炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-i-プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-i-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸-n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
【0023】
前記アクリル重合体に用いられる、炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物以外の共重合成分は、共重合可能な化合物であれば特に限定されない。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0024】
これらモノマーを、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の従来知られる各種の方法で重合することによって、共重合成分として炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物を10質量%以上含むアクリル重合体を得ることができる。その質量平均分子量は、5000~200000が好ましく、10000~180000がより好ましい。
【0025】
本発明に用いる化合物Bとして、前記アクリル重合体の他には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートを使用できる。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いるポリオールは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。前記ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の2価フェノールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加反応生成物類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、メチルペンタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸等の多塩基酸およびその無水物との反応で得られるポリエステルポリオール類;アルキレングリコールとラクトンとから得られるポリラクトンジオール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールと、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のカーボネート化剤との反応で得られるカーボネート結合を有するポリカーボネートジオール類等が挙げられる。これらポリオールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
これらポリオールの中では、硬化性の観点から、ポリカーボネートジオール類が好ましく、ブタンジオール、ペンタンジオールまたはヘキサンジオールを用いて合成したポリカーボネートジオールがより好ましい。また、低温での硬化物の機械特性(破断点伸度)の観点から、ポリブチレングリコールが好ましい。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いるポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。前記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、これら化合物と水やトリメチロールプロパン等とのアダクト化合物や三量体環化化合物等もポリイソシアネートとして使用できる。これらポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトンと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物等が挙げられる。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
また、必要に応じて、水酸基含有(メタ)アクリレートの代わりにアリル基含有アルコールを使用してもよい。このアリル基含有アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0031】
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により得ることができる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0032】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、多塩基酸またはその無水物と、多価アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸またはグリシジル(メタ)アクリレートとを、公知の方法で反応させて得ることができる。多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としては、前記多塩基酸の無水物が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0033】
ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートの分子量について特に制限は無いが、塗工時の作業性の観点から、その質量平均分子量が30000以下であることが好ましい。
【0034】
化合物Bの使用量は、化合物A、化合物B、ならびに任意成分である化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、5~90質量部であることが好ましい。化合物Bの使用量は、前記合計100質量部に対し、15~80質量部がより好ましく、20~70質量部がさらに好ましい。
【0035】
(化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物)
本発明の硬化性組成物は、任意成分として、前記化合物Aおよび前記化合物B以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-i-オクチル、(メタ)アクリル酸-n-ノニル、(メタ)アクリル酸-i-ノニル、(メタ)アクリル酸-n-デシル、(メタ)アクリル酸-i-デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸-2-ジシクロペンテノキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニ、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸フェニルフェニル、(メタ)アクリル酸フェニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸(1-ナフチル)メチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、ジ(メタ)アクリル酸ジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリカーボネートジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート等の化合物A以外の(メタ)アクリル酸エステル化合物、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニル基含有単量体等が挙げられる。
【0036】
(還元剤C)
本発明に用いられる還元剤Cは、硬化反応を促進させることができる。還元剤Cとしては、具体的には、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、トリ-n-ブチルアミン、N-エチル-N-ヒドロキシエチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン等のアミン類;ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト等の多価金属触媒等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
還元剤Cの添加量は、化合物A、化合物B、ならびに任意成分である化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~20質量部である。硬化性とポットライフや作業性とのバランス等の観点から、還元剤Cの添加量は、前記合計100質量部に対し、0.1~5質量部が好ましく、0.2~2質量部がより好ましい。
【0038】
(ワックスD)
本発明の硬化性組成物は、化合物A、化合物B、任意成分である化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物ならびに還元剤Cに加えて、ワックスDを含むことができる。ワックスDは、空気遮断作用を有し、硬化性を高める働きがある。ワックスDの具体例としては、パラフィン類、ポリエチレン類、ステアリン酸等の高級脂肪酸類等が挙げられ、空気遮断作用の観点からパラフィンワックスが好ましい。これらのワックスは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
ワックスDの添加量は、化合物A、化合物B、ならびに任意成分である化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.01~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。
【0040】
本発明の硬化性組成物には、さらに、種々の特性を改善する目的で、例えば、シランカップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、染料、顔料、消泡剤、重合抑制剤、充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0041】
本発明の硬化性組成物は、引火性の観点から、引火点が15℃以上であることが好ましい。なお、本発明において、硬化性組成物の引火点とは、硬化性組成物の総量中に5質量%以上含まれるラジカル重合性化合物(化合物A、化合物B、ならびに化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物)のうち、最も引火点の低いラジカル重合性化合物の引火点(最低引火点)を意味する。
【0042】
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、通常使用される撹拌機を使用して前述の各化合物を混合撹拌する方法を挙げることができる。
【0043】
本発明の硬化性組成物の硬化方法としては、従来知られるレドックス系触媒を用いて硬化する方法を挙げることができる。硬化に用いる硬化剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;ジアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。低温硬化性と短時間硬化性等の観点から、硬化剤としては過酸化ベンゾイルが好ましい。前記過酸化ベンゾイルは、取り扱い上の危険を避けるため、不活性の液体または固体として、濃度25~50質量%程度に希釈した溶液状、ペースト状または粉体状の状態で用いることが好ましい。
【0044】
前記硬化剤は、硬化性組成物を硬化させる直前に添加してもよい。硬化剤の添加量は、硬化性とポットライフや作業性とのバランス等の観点から、硬化性組成物100質量部に対し0.1~10質量部が好ましい。
【0045】
本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の厚みは、0.1~20cmであることが好ましい。硬化物の厚みが前記範囲内であれば、硬化物表面にベタツキを生じにくくなる。
【0046】
本発明の硬化性組成物の用途は特に限定されないが、例えば、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料に好適に使用することができる。例えば、本発明の硬化性組成物を用いて被覆材を製造すれば、前記被覆材は、低温硬化性、耐候性、耐薬品性に優れるというアクリル系樹脂本来の特性に加えて、低引火性であり安全面に優れたものとなる。
【実施例
【0047】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の記載中、「部」は「質量部」を意味する。また、実施例および比較例の各評価は、以下の評価方法に従って実施した。
【0048】
<シラップ組成物(S-1)の製造>
冷却器を備えた反応容器内に、化合物Aとしてメタクリル酸-i-ブチル69部、還元剤CとしてN,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン(以下、「PTEO」と略す、日本乳化剤(株)製、「商品名:PTEO」)0.4部、ワックスDとして、融点55℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス1」と略す)0.5部、融点66℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス2」と略す)0.4部、および融点75℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス3」と略す)0.3部を添加した。さらに、化合物A、化合物B以外のラジカル重合性化合物として、ジメタクリル酸トリエチレングリコール(以下、「PDE150と略す」、日油(株)製、「商品名:ブレンマーPDE-150」)を5部、添加剤として、メチルハイドロキノン(以下、「MEHQ」と略す)0.01部、および有機アミド化合物(三木理研工業(株)製、「商品名:リケンレジンFCS-42」)1部を加えた。反応容器内のこれらの化合物を撹拌しながら、化合物Bとして、共重合比率(質量比)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸-n-ブチル=60/40の共重合体(質量平均分子量65000、以下、「重合体1」と略す)26部を加えた。
次いで、反応容器内の溶液を60℃に昇温し、温度を60℃に維持したまま2時間撹拌した。重合体1が完全に溶解したことを確認した後、反応容器内の溶液を23℃に降温し、シラップ組成物(S-1)を得た。
【0049】
<シラップ組成物(S-2)~(S-22)の製造>
各成分を、表1-1~表1-3および表2-1~表2-2に記載の割合にした以外は、シラップ組成物(S-1)の製造と同様にしてシラップ組成物(S-2)~(S-22)を得た。なお、表1-1~表1-3および表2-1~表2-2中の数字は、各成分の質量部を表す。また、表1-1~表1-3および表2-1~表2-2中の略語の詳細を表3-1~表3-2に記載した。
【0050】
[実施例1~15、比較例1~7]
(S-1)~(S-22)の各シラップ組成物100質量部に、硬化剤としてパーカドックスCH-50L(過酸化ベンゾイルおよびフタル酸ジシクロヘキシルの混合物、化薬アクゾ(株)製、商品名、過酸化ベンゾイルの含有率:50質量%)2部を加えた後、混合することで硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物について、以下の評価方法に従い引火性を評価した。さらに、前記硬化性組成物を用いて、以下の評価方法に従い硬化物を作製し、得られた硬化物について、機械特性および耐候性を評価した。評価結果を表4および表5に示す。
【0051】
<評価方法>
<引火性>
硬化性組成物の総量中に5質量%以上含まれるラジカル重合性化合物のうち、最も引火点の低いラジカル重合性化合物の引火点を最低引火点とし、以下の評価基準に従い評価した。なお、各ラジカル重合性化合物の引火点は、各メーカー発行のSDS記載値を採用した。
評価基準
◎:最低引火点が35℃以上
〇:最低引火点が25℃以上、35℃未満
△:最低引火点が15℃以上、25℃未満
×:最低引火点が15℃未満
【0052】
<機械特性>
硬化性組成物を23℃の環境下でセルキャストに流し込み、硬化させた。厚み3mmで硬化させた樹脂硬化物を、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム」に規定する打ち抜き具にて、ダンベル状1号形に5本成形した。
成形した5本の試験片について引張試験機((株)エー・アンド・デイ製、商品名:「テンシロン万能引張試験機」)にて引張試験を実施し、最大引張強度(単位:N/mm)および破断点伸度(%)を測定し、以下の評価基準に従い評価した。ただし、JIS K 6251に記載の引張速度は500mm/minであるが、本発明では引張速度20mm/minで実施した。
【0053】
(最大引張強度)
評価基準
◎:最大引張強度が25N/mm以上
〇:最大引張強度が20N/mm以上25N/mm未満
△:最大引張強度が15N/mm以上20N/mm未満
×:最大引張強度が15N/mm未満
【0054】
(破断点伸度)
評価基準
◎:破断点伸度が5.0%以上
〇:破断点伸度が3.0%以上5.0%未満
△:破断点伸度が2.0%以上3.0%未満
×:破断点伸度が2.0%未満
【0055】
<耐候性>
硬化性組成物を23℃の環境下でアクリル板(三菱ケミカル(株)製、商品名:「白色アクリライト」)にアプリケーターを用いて300μmの厚さで塗装し硬化させ、試験体を得た。試験体の塗装面に対し、JIS A 6909 7.18耐候性試験A法に準拠し、キセノンランプを300時間照射した。さらに試験体の塗装面を分光式色差計(コニカミノルタジャパン(株)製、商品名:「CM-5」)を用いて、旧JIS K 7105(JIS K 7373)に準拠して試験体のYI(黄色度)を測定し、以下の評価基準に従い評価した。
評価基準
〇:YIが10未満
×:YIが10以上
【0056】
【表1-1】
【0057】
【表1-2】
【0058】
【表1-3】
【0059】
【表2-1】
【0060】
【表2-2】
【0061】
【表3-1】
【0062】
【表3-2】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
表4に示すように、実施例で作製した硬化性組成物は引火性が低く、その硬化物は良好な機械強度および耐候性を示した。
一方で、表5に示すように、比較例1で作製した硬化性組成物は、化合物Bを含まず、化合物B以外の重合体を含むため樹脂液が分離し、硬化物の機械強度および耐候性の評価を実施できなかった。
比較例2で作製した硬化性組成物は化合物Aを含まないため、その硬化物は耐候性が不良であった。
比較例3~4で作製した硬化性組成物は化合物Aおよび化合物Bを含まないため、その硬化物は耐候性が不良であった。
比較例5で作製した硬化性組成物は化合物Aを含まないため、その硬化物は機械特性および耐候性が不良であった。
比較例6~7で作製した硬化性組成物は化合物Aを含まないため、その硬化物は機械特性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物の引火性が低く、硬化物の機械特性および耐候性に優れており、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料に好適に使用することができる。