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特許7564701フィルタ装置と換気システムとフィルタ装置の取付構造と建築物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】フィルタ装置と換気システムとフィルタ装置の取付構造と建築物
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20241002BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20241002BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F24F7/10 101D
F24F7/08 101B
F24F13/28
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020207137
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094221
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391052345
【氏名又は名称】ローヤル電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109807
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山方 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 昴
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-187408(JP,A)
【文献】特開2014-134367(JP,A)
【文献】特開2002-168503(JP,A)
【文献】特開2001-4186(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1880631(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1967279(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2109532(KR,B1)
【文献】特開2011-17522(JP,A)
【文献】特開2014-95541(JP,A)
【文献】中国実用新案第206055815(CN,U)
【文献】特開2017-9259(JP,A)
【文献】中国実用新案第212081616(CN,U)
【文献】特開2006-250389(JP,A)
【文献】実開昭54-021867(JP,U)
【文献】実開昭54-021870(JP,U)
【文献】実開昭57-054831(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0100748(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/08
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備え、
上記本体部が、一方の上記給気用ダクト接続部から他方の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、一方の上記排気用ダクト接続部から他方の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えて、
壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行う、フィルタ装置であって、
上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有し、
上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、
上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、
上記フィルタ取出面は、外から上記給気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる給気用フィルタ取出口と、上記給気用フィルタ取出口を閉じる給気側蓋と、外から上記排気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる排気用フィルタ取出口と、上記排気用フィルタ取出口を閉じる排気側蓋と、を備えており、
上記給気側蓋は、上記給気用フィルタ取出口に入る挿入部と、上記給気用フィルタ取出口まわりの面に当る周縁部と、を備えていることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項2】
上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とは、上記ダクト取付面に隣接した太筒部と、上記太筒部より外径を小さく形成された外周面を持った少なくも一つの細筒部と、を備えて、先端側に細くなるように構成されており、
上記太筒部では、平面部と曲面部とが上記太筒部の軸まわりに交互につながって外周面を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
上記給気流路側の上記フィルタ搭載空間は、上記本体部の上記内部に形成されていて更に対向して設けられる第一支持部及び第二支持部と、上記本体部の上記内部に上記給気用フィルタ取出口と対向して形成されていて上記給気流路の上記上流部と上記給気流路の上記下流部との間に設けられた隔壁部と、上記給気側蓋と、で成る内周面で囲われて構成され、
上記第一支持部と上記第二支持部と上記隔壁部と上記給気側蓋とは、上記内周面の周方向に連なる取付溝を設けており、
上記給気用フィルタは、周縁を構成する部分を、上記内周面の上記取付溝に入れて上記給気流路側の上記フィルタ搭載空間に収容され、
上記給気用フィルタ取出口は、上記給気側蓋を外した状態で上記第一支持部の第一端面及び上記第二支持部の第二端面とが現れるように形成され、
上記給気側蓋は、上記第一支持部の上記第一端面に対向する第一対向面と、上記第二支持部の上記第二端面に対向する第二対向面と、を上記挿入部に備え、
さらに、上記給気側蓋の上記挿入部を上記給気用フィルタ取出口に入れて上記給気用フィルタ取出口を閉じた状態で、第一クッション部材を上記第一対向面と上記第一支持部の上記第一端面との間にできる隙間で上記外気が上記給気用フィルタを迂回する位置に設けて下流側へ流れることを規制すると共に、第二クッション部材を上記第二対向面と上記第二支持部の上記第二端面との間にできる隙間で上記外気が上記給気用フィルタを迂回する位置に設けて下流側へ流れることを規制することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
上記給気側蓋で上記給気用フィルタ取出口を閉じた状態を維持する給気側ロック部を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載のフィルタ装置。
【請求項5】
給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備え、
上記本体部が、給気上流側の上記給気用ダクト接続部から給気下流側の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、排気上流側の上記排気用ダクト接続部から排気下流側の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えて、
壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行う、フィルタ装置であって、
上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有し、
上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、
上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、
上記給気下流側の上記給気用ダクト接続部は上記給気上流側の上記給気用ダクト接続部よりも上記ダクト取付面の左右の一方の縁側へずれ、上記排気下流側の上記排気用ダクト接続部は上記排気上流側の上記排気用ダクト接続部よりも上記ダクト取付面の上記一方の縁側へずれて設けられていることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項6】
給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備え、
上記本体部が、給気上流側の上記給気用ダクト接続部から給気下流側の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、排気上流側の上記排気用ダクト接続部から排気下流側の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えて、
壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行う、フィルタ装置であって、
上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有し、
上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、
上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、
上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とは、上記ダクト取付面に隣接した太筒部と、上記太筒部より外径を小さく形成された外周面を持った少なくも一つの細筒部と、を備えて、先端側に細くなるように構成されており、
上記太筒部では、平面部と曲面部とが上記太筒部の軸まわりに交互につながって外周面を形成していることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項7】
上記給気系統と、
上記排気系統と、
上記給気系統と上記排気系統との途中に設けられて上記外気と上記室内空気との間で熱交換を行うと共に上記外気と上記室内空気とをそれぞれ送風するフィルタ非搭載型の換気装置と、
上記給気系統と上記排気系統との途中に設けられた請求項1から請求項の何れかに記載のフィルタ装置と、を備えた、換気システムであって
上記フィルタ装置は上記給気系統と上記排気系統とで上記換気装置よりも上流側に配置されていることを特徴とする、換気システム。
【請求項8】
屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて上記外気浄化と上記室内空気浄化とを専用に行うフィルタ装置を壁又は床を構成する構造部に取り付ける取付構造であって、
上記フィルタ装置は、給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、上記構造部に固定する取付部と、を備え、
上記本体部が、一方の上記給気用ダクト接続部から他方の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、一方の上記排気用ダクト接続部から他方の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えていて、
上記構造部は、上記構造部の裏側の空間へ通じる開口を構成する取付枠と、上記取付枠の内周面に設けられた支持部と、を備え、
上記フィルタ装置は、上記取付部を上記構造部の上記支持部に固定して、上記構造部の上記開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられており、
上記本体部は、上記構造部の裏側の奥行方向に広がっていて上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、居住空間側を臨むフィルタ取出面と、を有し、
上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、
上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、
上記フィルタ取出面は、外から上記給気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる給気用フィルタ取出口と、上記給気用フィルタ取出口を閉じる給気側蓋と、外から上記排気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる排気用フィルタ取出口と、上記排気用フィルタ取出口を閉じる排気側蓋と、を備えていることを特徴とする、フィルタ装置の取付構造。
【請求項9】
上記取付枠は、平行に設けられていて縦に延びた二本の縦部材と、二本の上記縦部材の端部をつなぐように横に延びており更に平行に設けられた二本の横部材と、を備えて上記開口を構成しており、
上記支持部は、上記縦部材又は上記横部材の対向する二つの内面の一方に第一受部を他方に第二受部を平行に設け、
上記フィルタ装置の上記取付部は、上記第一受部に固定する第一取付部と、上記第一取付部と平行に設けられていて上記第二受部に固定する第二取付部と、を備え、
上記第一取付部が上記第一受部に固定され、上記第二取付部が上記第二受部に固定されて、上記フィルタ装置が上記第一受部と上記第二受部との間の一部を塞ぎ、
板状の遮蔽部が、上記第一受部と上記第二受部とに架け渡されていて、上記第一受部と上記第二受部との間で、上記フィルタ装置で塞がれずに開いた穴を覆っていることを特徴とする、請求項に記載のフィルタ装置の取付構造。
【請求項10】
上記開口を開閉する開閉部を備えたことを特徴とする、請求項又は請求項に記載のフィルタ装置の取付構造。
【請求項11】
屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて上記外気浄化と上記室内空気浄化とを専用に行うフィルタ装置が、給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、壁に固定する取付部と、を備え、
上記本体部が、一方の上記給気用ダクト接続部から他方の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、一方の上記排気用ダクト接続部から他方の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えていて、
上記フィルタ装置を上記壁に取り付けた、建築物であって、
上記壁は、上記壁の裏側の空間へ通じる開口を構成する取付枠と、上記取付枠の内周面に設けられた支持部と、収納部と、を備え、
上記フィルタ装置は、上記取付部を上記壁の上記支持部に固定して、上記壁の上記開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられており、
上記本体部が、上記壁の裏側の奥行方向に広がっていて上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、居住空間側を臨むフィルタ取出面と、を有し、
上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、
上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、
上記フィルタ取出面は、外から上記給気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる給気用フィルタ取出口と、上記給気用フィルタ取出口を閉じる給気側蓋と、外から上記排気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる排気用フィルタ取出口と、上記排気用フィルタ取出口を閉じる排気側蓋と、を備えており、
さらに、上記収納部が上記フィルタ装置の下に設けられていることを特徴とする、建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気や室内空気から異物の捕集を専用に行うフィルタ装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図16の(a)と(b)とに示す、第一種換気を行う従来の換気システム500は、熱交換型の換気装置510と、給気用のダクト520と、排気用のダクト530と、外気や室内空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置540とを備えている。換気装置510やフィルタ装置540は天井裏などに設けられており、フィルタ装置540は給気側と排気側とにそれぞれ設けられている。
【0003】
フィルタ装置540は、図16(b)に示すように、開閉可能に構成された底蓋部541を備えており、底蓋部541が天井550に現れるように設置されている。内部のフィルタの交換の際には底蓋部541を開けて取り出すことができる。このような天井設置型のフィルタ装置540では、フィルタ交換や清掃などのメンテナンスを行う際に台などに載って作業を行う必要がある。
【0004】
フィルタ装置540を高所に設置することに代えて、図16(c)に示すように、壁560の中に設けることもできる。給気側のフィルタ装置540を壁560の中に設ける場合には、天井側から壁560の中のフィルタ装置540までダクト520を配管すると共に、フィルタ装置540から換気装置510までダクト520を配管することで、浄化した外気を換気装置510へ送ることができる。そして、フィルタの交換の際などには、壁面に設けられる点検口560Aから底蓋部541を開けて、作業を行うことができる。排気側のフィルタ装置540を壁560の中に設ける場合も同様である。
【0005】
また、換気システムのフィルタ装置として、室内に設置するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4717641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
居住空間を広く確保するように、給気側と排気側のフィルタ装置540とダクト520,530とを一つの壁560の中に、図16(c)に示すように横に並べて収容すると、幅広のスペースが必要となる。また、給気側と排気側のフィルタ装置540それぞれに対応した点検口560Aも必要となる。さらに、給気側と排気側のフィルタ装置540にダクトを接続する際には、それぞれの点検口560Aを開けて作業を行うため、煩雑となってしまう。
【0008】
そこで、給気側と排気側とを一体化したフィルタ装置であって、壁の中や床の下などに設置するにあたり、給気側と排気側のダクトの接続作業を容易に行えることが望まれる。
【0009】
本発明は、外気の浄化と室内空気の浄化とを専用に行うフィルタ装置と、フィルタ装置を備えた換気システム及びフィルタ装置の取付構造と、さらに建築物とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィルタ装置は、壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行うものである。上記フィルタ装置は、給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備えている。上記本体部が、一方の上記給気用ダクト接続部から他方の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、一方の上記排気用ダクト接続部から他方の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えている。上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有する。上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部とを備えている。上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されている。上記フィルタ取出面は、外から上記給気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる給気用フィルタ取出口と、上記給気用フィルタ取出口を閉じる給気側蓋と、外から上記排気流路の上記上流部のフィルタ搭載空間へ通じる排気用フィルタ取出口と、上記排気用フィルタ取出口を閉じる排気側蓋と、を備えている。上記給気側蓋は、上記給気用フィルタ取出口に入る挿入部と、上記給気用フィルタ取出口まわりの面に当る周縁部と、を備えている。
【0011】
本発明のフィルタ装置は、給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備え、上記本体部が、給気上流側の上記給気用ダクト接続部から給気下流側の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、排気上流側の上記排気用ダクト接続部から排気下流側の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えて、壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行うものであって、上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有し、上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、上記給気下流側の上記給気用ダクト接続部は上記給気上流側の上記給気用ダクト接続部よりも上記ダクト取付面の左右の一方の縁側へずれ、上記排気下流側の上記排気用ダクト接続部は上記排気上流側の上記排気用ダクト接続部よりも上記ダクト取付面の上記一方の縁側へずれて設けられていることを特徴とする。
本発明のフィルタ装置は、給気用フィルタと排気用フィルタとを内部に設けた本体部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの給気用ダクト接続部と、筒状に形成されていて上記本体部に設けられて外に突き出た二つの排気用ダクト接続部と、を備え、上記本体部が、給気上流側の上記給気用ダクト接続部から給気下流側の上記給気用ダクト接続部へ通じる給気流路と、排気上流側の上記排気用ダクト接続部から排気下流側の上記排気用ダクト接続部へ通じる排気流路と、を上記内部に備えて、壁又は床の開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられ、且つ屋外側の取込口から室内側の給気口へ外気を送る給気系統と室内側の還気口から屋外側の排出口へ室内空気を送る排気系統との途中に設けられて、上記外気の浄化と上記室内空気の浄化とを専用に行うものであって、上記本体部は、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、上記ダクト取付面とは異なる方向を臨むフィルタ取出面と、を有し、上記給気流路と上記排気流路とは、上流部と、上記上流部と並んで設けられた下流部と、上記ダクト取付面から離れて上記上流部と上記下流部とをつなぐ中間部と、を備え、上記上流部が上記フィルタ取出面に寄せて配置されていると共に、上記下流部が上記フィルタ取出面から離れて上記上流部の後に配置されており、上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とは、上記ダクト取付面に隣接した太筒部と、上記太筒部より外径を小さく形成された外周面を持った少なくも一つの細筒部と、を備えて、先端側に細くなるように構成されており、上記太筒部では、平面部と曲面部とが上記太筒部の軸まわりに交互につながって外周面を形成していることを特徴とする。
本発明の換気システムは、上記給気系統と、上記排気系統と、上記給気系統と上記排気系統との途中に設けられて上記外気と上記室内空気との間で熱交換を行うと共に上記外気と上記室内空気とをそれぞれ送風するフィルタ非搭載型の換気装置と、上記給気系統と上記排気系統との途中に設けられた上記フィルタ装置と、を備えている。上記フィルタ装置は上記給気系統と上記排気系統とで上記換気装置よりも上流側に配置されている。
【0012】
本発明の取付構造は、上記フィルタ装置を壁又は床を構成する構造部に取り付けるものである。上記構造部は、上記構造部の裏側の空間へ通じる開口を構成する取付枠と、上記取付枠の内周面に設けられた支持部と、を備えている。上記フィルタ装置は、取付部を上記構造部の上記支持部に固定して、上記構造部の上記開口を奥行方向へ延ばした収容空間に設けられている。上記本体部は、上記構造部の裏側の奥行方向に広がっていて上記給気用ダクト接続部と上記排気用ダクト接続部とを配置するダクト取付面と、居住空間側を臨むフィルタ取出面と、を有する。
さらに本発明の建築物は、上記フィルタ装置を上記壁に設けており、上記壁には収納部が上記フィルタ装置の下に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、図16に示す従来例と異なり、壁や床の裏側で広いスペースを利用せずに、収容することができる。これにより、壁や床に設けた一つの開口に設置でき、また給気側と排気側のフィルタの取出しなども一つの開口を利用して行えて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の実施形態に係るフィルタ装置を示す斜視図であり、(b)は(a)のフィルタ装置の正面図であり、(c)は(a)のフィルタ装置の右側面図であり、(d)は(a)のフィルタ装置の平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るフィルタ装置の分解斜視図である。
図3】(a)は図1(a)のフィルタ装置の本体部を示す正面図であり、(b)は(a)の本体部の右側面図であり、(c)は(a)の本体部の平面図であり、(d)は(a)の本体部の分解斜視図である。
図4】(a)と(b)は図1(a)のフィルタ装置の本体部の内部構造を示す概略図である。
図5図3(d)のセンター部の部分拡大図である。
図6】(a)は図1(a)のフィルタ装置のダクト接続部を示す正面図であり、(b)は(a)のダクト接続部の平面図であり、(c)は(b)のS1-S1線に沿ったダクト接続部の断面図であり、(d)は(c)の断熱筒部を構成する分割部品を示す斜視図である。
図7】(a)と(b)はそれぞれ図1(a)のフィルタ装置のダクト接続例を示す図である。
図8】(a)は図1(a)のフィルタ装置の給気側のフィルタ取出口の拡大正面図であり、(b)は図3(d)のフロント部の部分拡大図であり、(c)は虫取フィルタなどをフィルタ搭載空間に入れた状態を示す図である。
図9】(a)は図1(a)のフィルタ装置の給気側蓋の拡大背面図であり、(b)は図1(a)のフィルタ装置の給気側蓋の拡大左側面図であり、(c)は(a)のS2-S2線に沿った給気側蓋の断面図である。
図10】(a)は図1(a)のフィルタ装置の排気用フィルタ取出口の拡大正面図であり、(b)は図3(d)のフロント部の部分拡大図である。
図11】(a)は図1(a)のフィルタ装置の排気側蓋の拡大背面図であり、(b)は(a)のS3-S3線に沿った排気側蓋の断面図であり、(c)は図1(a)のフィルタ装置の排気側蓋の拡大左側面図である。
図12】(a)は図1(a)のフィルタ装置を建築物に設置した取付構造を示す正面図であり、(b)は(a)の取付構造の分解斜視図である。
図13】(a)は図12(a)のS4-S4に沿った取付構造の断面図であり、(b)はフィルタ装置を収容する収容空間を示す図であり、(c)は図12(a)の取付構造で遮蔽部の取付を説明するための斜視図であり、(d)は遮蔽部の拡大右側面図であり、(e)は遮蔽部の他の取付例を説明するための図である。
図14図1(a)のフィルタ装置を用いた換気システムの配管図である。
図15】(a)と(b)は図1(a)のフィルタ装置を取り付けた壁の変形例を示す斜視図である。
図16】(a)は従来の換気システムの平面図であり、(b)は従来の換気システムの側面図であり、(c)は従来の換気システムのフィルタ装置を壁の裏側に収容した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(フィルタ装置1)
図1の(a)は本発明の実施形態に係るフィルタ装置1を示す斜視図であり、(b)はフィルタ装置1の正面図であり、(c)はフィルタ装置1の右側面図であり、(d)はフィルタ装置1の平面図である。図2はフィルタ装置1の分解斜視図である。フィルタ装置1は、給気用フィルタと排気用フィルタとを収容した本体部10と、本体部10に取り付けられた四つのダクト接続部20と、本体部10を覆う本体カバー部30と、を備えている。
【0016】
(本体部10)
図3の(a)は本体部10の正面図であり、(b)は本体部10の右側面図であり、(c)は本体部10の平面図である。本体部10は、発泡スチロール製であり、外気が流れる給気流路と室内空気が流れる排気流路とを内部に備えて、外形が直方体型に構成されている。本体部10は天面部110と側面部(正面部120と、左側面部130、右側面部130′と背面部120′)と底面部110′とを備えている。また、面取部140が背面部120′と底面部110′との間に設けられている。
【0017】
図3(c)に示すように、天面部110は、周縁が一対の長辺縁と一対の短辺縁とで構成されて、長方形状に広がっている。本体部10には、四つの取付穴111が天面部110に設けられている。二つの取付穴111が前側の長辺縁に沿って並んでおり、他の二つの取付穴111がそれらより後方で後側の長辺縁に沿って並んでいる。左の短辺縁に近い二つの取付穴111が給気流路に通じるものであり、前側が入口であり、後側が出口である。また、右の短辺縁に近い他の二つの取付穴111が排気流路に通じるものであり、前側が入口であり、後側が出口である。
【0018】
図3(d)は本体部10の分解斜視図であり、本体部10はフロント部11とリア部12とセンター部13とが合わさって構成されている。フロント部11は、正面部120と、その周縁から延びた天面部110,底面部110′,左側面部130及び右側面部130′の各一部と、それらの内側に設けられる内部構造と、を備えている。リア部12は、背面部120′と、その周縁から延びた天面部110,底面部110′,左側面部130及び右側面部130′の各一部と、それらの内側に設けられる内部構造と、を備えている。センター部13は、天面部110,底面部110′,左側面部130及び右側面部130′の各一部と、それらの内側に設けられる内部構造と、を備えている。
【0019】
フロント部11とリア部12とセンター部13とは、天面部110の取付穴111を分割した半円の弧状縁部111Aをそれぞれ設けており、フロント部11とセンター部13とが合わさることで前側の二つの取付穴111が構成される。後側の二つの取付穴111もリア部12とセンター部13とが合わさって構成される。フロント部11とリア部12とセンター部13とは、一方の接合面に設けた凸部を他方の接合面に設けた凹部に嵌めると共に、合わさる接合面の間に接着剤を介在させて、接合した状態が維持されている。
【0020】
図3(d)に示すように、本体部10は、内部を左の給気側と右の排気側とに分ける給排気仕切部171を設けている。図4は本体部10の内部構造を説明するための図であり、(a)が給排気仕切部171で分けられた給気側の構成を示す概略図であり、(b)が排気側の構成を示す概略図である。
【0021】
給気側は、天面部110の入口と出口から奥深く入った深部を除いて前側と後側とに分ける隔壁部172Aを設けて、外気が深部で折り返して天面部110側へ戻るように給気流路を構成している。具体的には、給気流路は、隔壁部172Aよりも前方に設けられていて外気が入口(天面部110)から深部へ向けて流れる上流部180Uと、隔壁部172Aよりも後方に設けられていて外気が深部から出口(天面部110)へ向けて流れる下流部180Dと、上流部180U及び下流部180Dよりも天面部110から離れた深部として隔壁部172Aの下を通って上流部180Uと下流部180Dとをつなぐ中間部180Mと、を備えている。なお、給気用フィルタが上流部180Uに設けられる。
【0022】
排気側も内部に隔壁部172Bを設けて折り返し型の排気流路として、上流部180Uと中間部180Mと下流部180Dとを備えて、天面部110に設けた入口から出口へ向けて室内空気が流れる空間を構成する。また、排気側では、中板部191Aを底面部110′と平行に内部に設けて、中間部180Mが給気流路の中間部180Mよりも浅い位置に設けられている。なお、排気用フィルタが上流部180Uに設けられる。
【0023】
図5図3(d)のセンター部13の一部を拡大した斜視図である。天面部110では、取付穴111まわりの近接領域が近接領域の周りの周辺領域よりも窪んで広がる凹面部112として形成され、さらに凹面部112の周縁に段差部113を設けている。また、凹面部112と段差部113とで構成される窪みは後述するダクト接続部20の太筒部220の端面に合うように形成されている。
【0024】
図3(a)に示すように、本体部10は、給気用フィルタ取出口121と排気用フィルタ取出口122とを、フィルタ取出面としての正面部120に設けている。給気用フィルタ取出口121が給気流路の上流部180Uに通じ、排気用フィルタ取出口122が排気流路の上流部180Uに通じている。給気用フィルタ取出口121が発泡スチロール製の給気側蓋15で塞がれ、排気用フィルタ取出口122が発泡スチロール製の排気側蓋16で塞がれる。
【0025】
(ダクト接続部20)
図6の(a)はダクト接続部20の正面図であり、(b)はダクト接続部20の平面図であり、(c)は(b)のS1-S1線に沿ったダクト接続部20の断面図であり、(d)はダクト接続部20を構成する分割部品260Aを示す斜視図である。ダクト接続部20は、筒型を成し、一方の本体取付側の開口端から他方の先端側の開口端へ亘って内部が流路として形成されている。
【0026】
ダクト接続部20は、本体取付側の開口端部に外へ張り出すフランジ部210と、フランジ部210との間に溝部215を構成してフランジ部210よりも外側へ張り出しており本体部10の天面部110に寄せて設けられる太筒部220と、太筒部220よりも外径を小さく形成されて太筒部220から先端側へ延びた中間筒部230と、中間筒部230よりも外径を小さく形成されて中間筒部230から延びて先端側の開口端を構成する先端筒部240と、を備えている。段部225,235が太筒部220と中間筒部230との間に、また中間筒部230と先端筒部240との間に設けられている。
【0027】
図6(b)に示すように太筒部220では、平面部221と曲面部222とがダクト接続部20の内部を通る軸Cまわりに交互につながって外周面を構成する。図示例では、ダクト接続部20の軸Cまわりに等角度の間隔で設けられた長方形状に広がる四つの平面部221と、ダクト接続部20の軸Cを中心として径が一定の四つの曲面部222と、から構成されている。
【0028】
平面部221は、矩形型の周縁の内、平行の一対の縁部221Aを軸Cと平行に配置している。また、二つの平面部221は、一部を外側へ突き出して構成された突出部250を設けており、突出部250は平面部221のフランジ部210側の縁部221Bに隣接して設けられている。また二つの突出部250は軸対称に設けられている。太筒部220は、フランジ部210側を臨み本体部10に取り付けた状態で凹面部112に当る端面223を備え、端面223の一部が二つの突出部250によって形成されている。
【0029】
なお、図3(c)に示すように天面部110の凹面部112は、突出部250の形に対応して広がる突出収容領域112Aを有する。天面部110の突出収容領域112Aは取付穴111と同様に分割構成されており、前側の凹面部112であれば一部がフロント部11に設けられ残りがセンター部13に、また後側の凹面部112であれば一部がセンター部13に残りがリア部12に設けられている。
【0030】
中間筒部230と先端筒部240では、それぞれ外周面が外径を一定にした円筒面として形成されている。
【0031】
図6(c)の断面図に示すように、ダクト接続部20では、フランジ部210と太筒部220と中間筒部230とが一体に形成されており更に先端筒部240よりも厚くまた断熱性を高く構成された断熱筒部260として構成され、先端筒部240が断熱筒部260とは別体に構成されている。
【0032】
断熱筒部260は、図6(d)に示す発泡スチロール製の分割部品260Aを二つ用いて構成されている。分割部品260Aは軸Cを通って断熱筒部260を二分する形態を成し、また分割部品260Aは太筒部220で突出部250を設けていない平面部221を分けるように分割構成されている。二つの分割部品260Aが先端筒部240の一部を包むように合わさって、ダクト接続部20を構成する。
【0033】
先端筒部240は、円筒部241と、円筒部241の一方の開口端側で外側へ張り出したフランジ部242と、を備えて、例えば塩化ビニル樹脂などの合成樹脂材を成形して構成されている。先端筒部240は断熱筒部260の内周面に設けられたフランジ用溝部261にフランジ部242を入れて固定されており、他方の端部側が断熱筒部260の開口から外に現れてその外周面がダクト取付面を構成する。
【0034】
ダクト接続部20は、本体部10を組み立てる過程で本体部10の取付穴111に端部を入れて取り付けられる。天面部110で前側に設けられる二つのダクト接続部20であれば、フロント部11とセンター部13とを合わせる際に、フロント部11とセンター部13とに設けられた弧状縁部111Aをそれぞれダクト接続部20の溝部215に差し込み、フロント部11とセンター部13とでダクト接続部20を挟むことで、ダクト取付面としての天面部110に取り付けられる。
【0035】
本体部10とダクト接続部20とはそれぞれ分割構成されており、両者が一体になった状態では、それぞれの部品が合わさる方向が異なるように、ダクト接続部20が本体部10に取り付けられている。ダクト接続部20の本体部10への取付の際に、ダクト接続部20の突出部250を天面部110の突出収容領域112Aに配置すると、図1(d)のフィルタ装置1の平面図に示すように、本体部10の表面に現れる接合ライン115とダクト接続部20の表面に現れる接合ライン265とが非平行、具体的には接合面の向きが90度異なるようにダクト接続部20が本体部10に取り付けられる。
【0036】
天面部110で後側に設けられる二つのダクト接続部20も、センター部13とリア部12とで端部の溝部215を弧状縁部111Aで挟んで、天面部110に取り付けられている。なお、図1(b)では、後側に設けられる二つのダクト接続部20を破線で表している。
【0037】
図1(d)に示すように、フィルタ装置1は、ダクト接続部20を天面部110で前側に二つ、後側に二つ設けている。給気上流側のダクト接続部20は、天面部110で、前側の長辺縁と左側の短辺縁とがつながる隅部に寄せて設けられ、排気上流側のダクト接続部20が天面部110の前側の長辺縁に沿って給気上流側のダクト接続部20と並ぶように設けられている。排気下流側のダクト接続部20が後側の長辺縁と右側の短辺縁とがつながる他の隅部に寄せて設けられ、給気下流側のダクト接続部20が、後側の長辺縁に沿って排気下流側のダクト接続部20と並ぶように設けられている。給気下流側のダクト接続部20は給気上流側のダクト接続部20よりも右側の短辺縁側へずれ、更に排気上流側のダクト接続部20よりも左側の短辺縁側へずれて設けられている。排気下流側のダクト接続部20は排気上流側のダクト接続部20よりも右側の短辺縁側へずれて設けられている。
また、各ダクト接続部20は、太筒部220の平面部221の向きを揃えて天面部110に取り付けられていると共に、ダクト接続部20の四つの平面部221が本体部の側面部(正面部120、左側面部130、右側面部130′及び背面部120′)と同じ方向を臨むように取り付けられている。さらに天面部110では、天面部110の周縁と各ダクト接続部20との間隔、つまり各ダクト接続部20において天面部110の周縁に最も近くに配置される平面部221と天面部110の周縁との間隔が、ダクト接続部20間の間隔よりも小さく設定されて、各ダクト接続部20は天面部110の周縁に寄せて配置されている。
【0038】
(ダクトの接続)
図7の(a)と(b)はダクト接続例を示す図であり、ダクトの呼び径に応じて、ダクト接続部20の取付面を替えて行う。例えばφ125mmの細いダクトあれば、図7(a)に示すように、ダクト接続部20の先端筒部240を、ダクト50が中間筒部230と先端筒部240との間に設けられる段部235に当るまで差し込む。ダクト50の端部がダクト接続部20の先端筒部240を覆った状態で、ダクト50の端部をバンドやテープでダクト接続部20に固定する。バンドでの締め付けは、ダクト接続部20の先端筒部240の外側で行う。テープ55の貼り付けは、ダクト接続部20の中間筒部230が成す外周面からダクト50の外周面に亘って行う。
【0039】
また、例えばφ150mmの太いダクトであれば、図7(b)に示すように、ダクト接続部20の先端筒部240と共に中間筒部230をダクト50の端部の中に入れ、太筒部220と中間筒部230との間に設けられる段部225に当るまで差し込む。ダクト50の端部がダクト接続部20の先端筒部240と中間筒部230とを覆った状態で、ダクト50の端部をバンドやテープでダクト接続部20に固定する。バンドでの締め付けは、ダクト接続部20の中間筒部230の外側で行う。テープ55の貼り付けは、ダクト接続部20の太筒部220が成す外周面(平面と曲面)からダクト50の外周面に亘って行う。
【0040】
(給気用フィルタ)
図8の(a)は給気用フィルタ取出口121の拡大正面図であり、(b)は図3(d)のフロント部11で給気用フィルタ取出口121部分を拡大した図であり、(c)は給気用フィルタを取り付けた状態を示す図である。フィルタ装置1は上流部180Uにフィルタ搭載空間を有し、また上流部180Uがフィルタ取出面としての正面部120に寄せて設けられていて、給気側蓋15を正面部120から取り外すとフィルタ搭載空間が現れる。フィルタ搭載空間には、給気用フィルタとして、清浄フィルタ61と虫取フィルタ62と高機能フィルタ63とを収容することができる。なお、図8(c)では、清浄フィルタ61と虫取フィルタ62と高機能フィルタ63とをハッチングを付して表している。
【0041】
フィルタ装置1では、給気上流側のダクト接続部20から給気下流側のダクト接続部20まで延びる給気流路が構成されている。また、給気流路の一部の内周面がフィルタ搭載空間を構成する。フィルタ搭載空間を構成する本体部10の内面は上流部180Uを構成する部分であり、給気用フィルタ取出口121よりも内部に入った箇所に設けられる。具体的には左側面部130の内側の面と、給排気仕切部171の給気側の面と、隔壁部172Aの上流部180U側の面である。フィルタ搭載空間は本体部10の内面と給気側蓋15の裏側の面とで囲われている。
【0042】
実施形態では、本体部10は、対向して設けられた第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとを内部構造として備えており、これらは外側の面を構成する側面部や正面部120などの部分と一体に発泡成形によって形成されていて、第一フィルタ支持部18Aが左側面部130の内側の内面を構成し、第二フィルタ支持部18Bは給排気仕切部171の給気側の内面を構成している。
【0043】
給気用フィルタ取出口121は、第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bの間隔やそれらに支えられる給気用フィルタよりも大きく開くように形成されている。第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとは、給気用フィルタ取出口121を通して装置外側を臨む第一端面18A′と第二端面18B′とを備えている。給気用フィルタ取出口121は給気側蓋15が嵌る内周面121Aを有していて、第一端面18A′と第二端面18B′とは給気用フィルタ取出口121に隣接して、給気用フィルタ取出口121の奥に設けられている。第一端面18A′は第一フィルタ支持部18Aによって形成される給気流路の内面18A″の縁から給気用フィルタ取出口121の内周面121Aの奥側の縁に亘って平らに広がっている。第二端面18B′は、第二フィルタ支持部18Bによって形成される給気流路の内面18B″の縁から給気用フィルタ取出口121の内周面121Aの奥側の縁に亘って平らに広がっている。
【0044】
また、正面部120は、給気用フィルタ取出口121のまわりの近接領域が近接領域の周りの周辺領域よりも本体部10の内側へ窪んで広がる凹面部121Bとして形成されている。
【0045】
図9の(a)は給気側蓋15の拡大背面図であり、(b)は給気側蓋15の拡大左側面図であり、(c)は(a)のS2-S2線に沿った給気側蓋15の断面図である。給気側蓋15は、給気用フィルタ取出口121に嵌る挿入部151と、挿入部151が給気用フィルタ取出口121に嵌った状態で給気用フィルタ取出口121まわりの凹面部121Bに被さる周縁部152と、を備えている。
挿入部151は、第一フィルタ支持部18Aの第一端面18A′に対向する第一対向面151Aと、第二フィルタ支持部18Bの第二端面18B′に対向する第二対向面151Bと、給気用フィルタ取出口121の内周面121Aに当たる側面151A′,151B′と、向い合う対向側面151A″,151B″と、を有する。給気側蓋15の裏側では対向側面151A″,151B″の間が凹部153として形成されている。なお、給気側蓋15が給気用フィルタ取出口121を閉じた状態で挿入部151が給気用フィルタ取出口121に入りその内周面121Aに密着する構成に代えて、挿入部151が給気用フィルタ取出口121の内周面121Aとの間にクリアランスを設けて、給気用フィルタ取出口121に入るように構成されてもよい。また、第一対向面151Aは、後述する清浄フィルタ61用の取付溝154を境に上流側と下流側とに分かれて形成されているが、連続した一つの面として形成されてもよい。第二対向面151Bも、同様に、二つの面に分けたものに代えて、一つの面として形成されてもよい。
給気側蓋15は背面視で挿入部151よりも外側へ張り出した周縁部152を備えて、本体部10の給気用フィルタ取出口121よりも大きく形成されており、裏側には周縁部152の全体に亘って平らに形成された凹面対向部152Aを備えている。
【0046】
(清浄フィルタ61)
清浄フィルタ61は、矩形型のフィルタ枠部と、フィルタ枠部を覆って広がっており合成繊維材が密に絡まって構成された濾材としての捕集部と、を備えて、図2に示すように平板状に形成されており、また清浄フィルタ61は流路断面積よりも大きく形成されている。
【0047】
本体部10は給気流路を構成する内面に清浄フィルタ61の三つの縁部61Aを嵌める取付溝192を備えている。図8(a)に示すように取付溝192が第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとにそれぞれ設けられていると共に、給気用フィルタ取出口121に対向して本体部10の内部構造を成す隔壁部172Aに設けられている。第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとは、清浄フィルタ61の縁部61Aの寸法よりも奥行方向の寸法が小さく設定されていて、第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bの取付溝192に両側の縁部61Aを入れて架け渡した状態では、清浄フィルタ61の一部が第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bよりも給気用フィルタ取出口121側へ張り出す。このように張り出した清浄フィルタ61の部分が給気側蓋15によって支えられており、図9(a)に示すように給気側蓋15は、給気用フィルタ取出口121に入る挿入部151に、清浄フィルタ61の他の一つの縁部61Aを嵌める取付溝154を備えている。取付溝154は、給気側蓋15の裏側で、第一対向面151Aから第二対向面151Bへ亘って凹部153を含めて形成されている。
四つの取付溝192,154が給気流路の内周面で周方向に連なるように設けられていて、清浄フィルタ61を収容した状態では四つの縁部61Aが本体部10と給気側蓋15で支えられて、捕集部が外気の流れを阻むように流れ方向と直交する方向へ給気流路内全体に広がる。
【0048】
給気側蓋15の挿入部151を給気用フィルタ取出口121に嵌めて給気用フィルタ取出口121を閉じた状態で、挿入部151の第一対向面151A及び第二対向面151Bを第一端面18A′及び第二端面18B′(第一フィルタ支持部18A及び第二フィルタ支持部18B)に直接当て或いはクッション部材を介して間接的に当てて、給気側蓋15を取り付けることが望ましい。クッション部材は第一対向面151Aと第一端面18A′との間にできる隙間と、第二対向面151Bと第二端面18B′との間にできる隙間で、それぞれ外気が清浄フィルタ61を迂回する位置に設けられる。これにより、清浄フィルタ61の外側を通って下流側に通じる迂回流路として隙間が生じることを防止できる。
本実施形態のフィルタ装置1は、図8(a)に二点鎖線で示すように、第一端面18A′及び第二端面18B′にそれぞれ、発泡ウレタンなどで連続気泡に形成されたクッション部材17(第一クッション部材及び第二クッション部材)を設けている。クッション部材17は、清浄フィルタ61の取付溝192よりも下流側で取付溝192に寄せて設けられており、またクッション部材17は、第一端面18A′(第二端面18B′)で取付溝192に沿って給気流路側の縁から給気用フィルタ取出口121の内周面121Aの端へ向けて取付溝192を超えた位置まで延びる横部17Aと、横部17Aの給気流路側の端につながっていて第一端面18A′(第二端面18B′)の給気流路側の縁に沿って後述する高機能フィルタ63用の取付溝194を超えた位置まで延びる縦部17Bと、からL字型に形成されている。給気側蓋15を外した状態ではクッション部材17は膨らんでおり、給気側蓋15で給気用フィルタ取出口121を閉じると、クッション部材17は挿入部151の第一対向面151A(第二対向面151B)に押されて変形するが、第一端面18A′(第二端面18B′)と挿入部151の第一対向面151A(第二対向面151B)との間の隙間を塞ぐ。なお、図示例に限らずクッション部材17は、形状,数や配置などを変えて、外気が清浄フィルタ61や高機能フィルタ63の捕集部(濾材)を迂回して下流側へ流れることを規制してもよい。
【0049】
また、正面部120は、発泡ウレタンなどで連続気泡に形成された図示省略のクッション部材を凹面部121Bに口まわりの全体に亘って設けている。給気側蓋15で給気用フィルタ取出口121を閉じると、給気側蓋15の凹面対向部153がクッション部材を変形させて凹面部121Aに近接する。
【0050】
(虫取フィルタ62)
本体部10は、虫取フィルタ62を給気流路で清浄フィルタ61の上流側に設けている。虫取フィルタ62は、図2に示すように、皿状に形成された下部621と、下部621に被さる上部622と、を備えている。下部621は底と底及び側面とに開いた貫通口を持った下部本体と、下部本体の貫通口に設けられた通気性のメッシュ材と、を備えている。上部622は、流入口と、外側で流入口まわり全体に設けられるリング状であり発泡ウレタンなどで連続気泡に形成されたクッション部材625と、を備えている。下部621と上部622とは、例えば一方に設けた一対の嵌合用凸部を他方に設けた一対の嵌合用溝部に入れ且つスライドさせて連結させたり、一方に設けた爪部を他方に設けた爪受部に掛けて連結させたり、互いの開口端が合わさって一体になるように構成されている。虫フィルタ62では、外気は上部622の流入口から内部に入り下部621のメッシュ材を通過して外に出て更に下流側へ流れ、虫はメッシュ材で進行を阻まれて内部に収容される。
【0051】
本体部10の給気流路の上流部180Uでは、天面部110と虫取フィルタ62との間に、図3(d)や図4(a)に示すように、天面部110と平行に広がる中板部191Bを設けていて、外気は中板部191Bに設けられた貫通口191Cを経てフィルタ搭載空間へ流れるように構成されている。また、本体部10は、図8(a)に示すように、給気流路を構成する内面に虫取フィルタ62の両端を入れる取付溝193を備えている。虫取フィルタ62は、端を取付溝193に入れて給気流路に収まると、上部622の口まわりのクッション部材625が中板部191Bの貫通口191Cまわりの面に当って変形し、中板部191Bに密着する。虫取フィルタ62は、下流側の清浄フィルタ61と離れて給気流路に収容されている。
【0052】
(高機能フィルタ63)
フィルタ装置1は、清浄フィルタ61と虫取フィルタ62とに加えて、高機能フィルタ63を給気流路に設けて、使用してもよい。高機能フィルタ63は、清浄フィルタ61よりも細かい異物を捕集するものであり、清浄フィルタ61の捕集部よりも大きく広がりPM2.5などの微粒子を捕集する濾材としてのシートを角筒のケースの中に折って収容しており、ケースの外側で筋状に延びた取付用の凸部635を有する。本体部10は、給気流路を構成する内面に高機能フィルタ63の三つの凸部635を入れる取付溝194を備えている。取付溝194が第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとにそれぞれ設けられていると共に、給気用フィルタ取出口121に対向した隔壁部172Aに設けられている。第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bとは、高機能フィルタ63の凸部635の寸法(長さ)よりも奥行方向の寸法が小さく設定されていて、第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bの取付溝194に両側の凸部635を入れて架け渡した状態では、高機能フィルタ63の一部が第一フィルタ支持部18Aと第二フィルタ支持部18Bよりも外側へ張り出す。このように張り出した高機能フィルタ63の部分が給気側蓋15によって支えられており、図9(a)に示すように給気側蓋15は給気流路を構成する内面に高機能フィルタ63の他の一つの凸部635を嵌める取付溝155を備えている。取付溝155は、給気側蓋15の裏側で、第一対向面151Aから第二対向面151Bへ亘って凹部153を含めて形成されている。これらの四つの取付溝194,155が給気流路の内周面で周方向に連なるように設けられている。
【0053】
給気用フィルタ取出口121を給気側蓋15で閉じると、周縁の凸部635が本体部10と給気側蓋15の取付溝194,155に嵌り、上流側の清浄フィルタ61と離れて給気流路に収容され、さらに微粒子を捕集するシートが外気の流れを阻むように配置される。また、蓋をした状態で、給気用フィルタ取出口121側に張り出すケースの一部は、給気側蓋15の裏に設けられる凹部153に入る。なお、蓋を開けた状態で給気用フィルタ取出口121は、図8(c)に示すように正面視で高機能フィルタ63の下の空間の一部SP1が現れるように形成されている。これにより、高機能フィルタ63が収容されている状態で高機能フィルタ63の下に指を入れて掴むことができ、取出しが容易となる。
【0054】
(フィルタ搭載空間)
清浄フィルタ61は、平面視で虫取フィルタ62や高機能フィルタ63と比べて縦と横の寸法が大きく形成されている。さらに本体部10の給気側のフィルタ搭載空間を、虫取フィルタ62を支える溝部193を設けた内面で囲われる虫取部分V1と、清浄フィルタ61を支える溝部192を設けた内面で囲われる清浄部分V2と、高機能フィルタ63を支える溝部194を設けた内面で囲われる高機能部分V3とに分けると、清浄部分V2は虫取部分V1や高機能部分V3よりも断面積が大きく、つまり空間が広く構成されている。図示例の清浄部分V2では、清浄フィルタ61に隣接する上流側と下流側の空間の幅W2は、虫取フィルタ62の下流側の幅W1や高機能フィルタ63の上流側の幅W3よりも広く設定されており、清浄フィルタ61は周縁のフィルタ枠部の部分を除いて捕集部の広い領域で外気を受けるように配置されている。
【0055】
(排気用フィルタ)
図10の(a)は排気用フィルタ取出口122の正面図であり、(b)は図3(d)のフロント部11で排気用フィルタ取出口122部分を拡大した図である。フィルタ装置1は排気流路の上流部180Uにフィルタ搭載空間を有し、また上流部180Uがフィルタ取出面としての正面部120に寄せて設けられていて、排気側蓋16を正面部120から取り外すとフィルタ搭載空間が現れる。フィルタ搭載空間には、排気用フィルタとして清浄フィルタ61を収容することができる。
【0056】
フィルタ装置1では、排気上流側のダクト接続部20から排気下流側のダクト接続部20まで延びる排気流路が構成されている。また、排気流路の一部の内周面がフィルタ搭載空間を構成する。フィルタ搭載空間を構成する本体部10の内面は上流部180Uを構成する部分であり、排気用フィルタ取出口122よりも内部に入った箇所に設けられる。具体的には給排気仕切部171の排気側の面と、右側面部130′の内側の面と、隔壁部172Bの上流部180U側の面である。フィルタ搭載空間は本体部10の内面と排気側蓋16の裏側の面とで囲われている。
【0057】
実施形態では、本体部10は、対向して設けられた第一フィルタ支持部19Aと第二フィルタ支持部19Bとを内部構造として備えており、これらは外側の面を構成する側面部や正面部120などの部分と一体に発泡成形によって形成されていて、第一フィルタ支持部19Aが給排気仕切部171の排気側の内面を構成し、第二フィルタ支持部19Bは右側面部130′の内側の内面を構成している。
【0058】
排気用フィルタ取出口122は、第一フィルタ支持部19Aと第二フィルタ支持部19Bの間隔やそれらに支えられる排気用フィルタよりも大きく開くように形成されている。第一フィルタ支持部19Aと第二フィルタ支持部19Bとは、排気用フィルタ取出口122を通して外側を臨む第一端面19A′と第二端面19B′とを備えている。排気用フィルタ取出口122は、排気側蓋16が嵌る内周面122Aを有して、第一端面19A′と第二端面19B′とは排気用フィルタ取出口122に隣接して排気用フィルタ取出口122の奥に設けられている。第一端面19A′は第一フィルタ支持部19Aによって形成される排気流路の内面19A″の縁から排気用フィルタ取出口122の内周面122Aの奥側の縁に亘って平らに広がっている。第二端面19B′は、第二フィルタ支持部19Bによって形成される排気流路の内面19B″の縁から排気用フィルタ取出口122の内周面122Aの奥側の縁に亘って平らに広がっている。
【0059】
また、正面部120では、排気用フィルタ取出口122のまわりの近接領域が給気用フィルタ取出口121の周りの近接領域と同様に凹面部122Bとして形成されており、凹面部122Bには図示省略のクッション部材を設けている。
【0060】
図11の(a)は排気側蓋16の拡大背面図であり、(b)は(a)のS3-S3線に沿った排気側蓋16の断面図であり、(c)は排気側蓋16の拡大左側面図である。排気側蓋16は、排気用フィルタ取出口122に嵌る挿入部161と、挿入部161が排気用フィルタ取出口122に嵌った状態で排気用フィルタ取出口122まわりの凹面部122Bに被さる周縁部162と、を備えている。排気側蓋16は背面視で挿入部161よりも外側へ張り出した周縁部162とを備えて、本体部10の排気用フィルタ取出口122よりも大きく形成されており、裏側には周縁部162の全体に亘って平らに形成された凹面対向部162Aを備えている。なお、排気側蓋16が排気用フィルタ取出口122を閉じた状態で挿入部161が排気用フィルタ取出口122に入りその内周面122Aに密着する構成に代えて、挿入部161が排気用フィルタ取出口122の内周面122Aとの間にクリアランスを設けて、排気用フィルタ取出口122に入るように構成されてもよい。
【0061】
本体部10は、図10(a)に示すように排気流路を構成する内面に清浄フィルタ61の三つの縁部61Aを嵌める取付溝192を備えている。排気側蓋16は、挿入部160で排気流路を構成する内面に、清浄フィルタ61の他の一つの縁部61Aを嵌める取付溝163を備えている。これらの四つの取付溝192,163が、給気流路の取付溝192,154と同様に、排気流路の内周面で周方向に連なるように設けられていて、清浄フィルタ61を収容した状態では四つの縁部61Aが本体部10と排気側蓋16で支えられて、捕集部が室内空気の流れを阻むように流れ方向と直交する方向へ広がっている。
【0062】
なお、排気用フィルタ取出口122は、フィルタ搭載空間に加えて、それよりも下流側の空間も現れ、また手を入れることができるように大きく形成されている。
【0063】
実施形態では、排気流路のフィルタ搭載空間が天面部110寄りに設けられ、給気流路のフィルタ搭載空間が排気流路のフィルタ搭載空間よりも底面部110′側にずれて設けられている。さらに、給気側の清浄フィルタ61と排気側の清浄フィルタ61とは天面部110や底面部110′と平行に設けられていると共に、それぞれを底面部110′側の仮想水平面に投影すると一部の領域が重なるように上下に並んで配置されている。
【0064】
(本体カバー部30)
本体カバー部30は、図2に示すように、正面部120を除いて本体部10の三つの側面部を覆うステンレス製の第一被覆部31と、第一被覆部31にネジで固定することができ本体部10の正面部120を覆う例えばステンレス製の第二被覆部32と、を備えている。
【0065】
第一被覆部31は、本体部10の左側面部130を覆う左プレート部311と、本体部10の背面部120′を覆う背面プレート部312と、本体部10の右側面部130′を覆う右プレート部313とを備えている。さらに左プレート部311と背面プレート部312と右プレート部313とは、それぞれ天面部110や底面部110′の周縁領域に当る当接部314A,314Bを上端部や下端部に内側へ折れ曲がるように設けている。第一被覆部31は、左プレート部311と背面プレート部312と右プレート部313とが連なって、本体部10を内側へ入れるように構成されている。
【0066】
第一被覆部31では、内側の奥行が本体部10の寸法より大きく設定されていて、左プレート部311と右プレート部313とが本体部10の正面部120よりも前方に張り出している。また、フィルタ装置1を家屋の壁や床の構造部へ固定するための第一取付部315Aや第二取付部315Bが左プレート部311と右プレート部313の端部に、外側へ折れ曲がるように設けられている。
【0067】
第二被覆部32は、正面部120を覆う正面プレート部321と、正面プレート部321の周縁から折れ曲がって天面部110や底面部110′の周縁領域に当る当接部322A,322Bと、第一被覆部31の左プレート部311や右プレート部313で正面部120より前方突き出る部分の内面に当る当接部322C,322Dと、清浄フィルタ61や給気側蓋15等を通す貫通穴323と、清浄フィルタ61や排気側蓋16を通す貫通穴324と、を備えている。
【0068】
さらに、図1(b)に示すように、第二被覆部32には、給気側蓋15で給気用フィルタ取出口121を閉じた状態を維持する給気側ロック部71と、排気側蓋16で排気用フィルタ取出口122を閉じた状態を維持する排気側ロック部72と、を備えている。
【0069】
(給気側ロック部71)
給気側ロック部71は、給気側蓋15を押さえる板状部711を備え、板状部711の回転軸712が正面プレート部321で貫通穴323に隣接する平滑な領域に設けられて、板状部711を給気側蓋15に当る位置と給気側蓋15から離れる位置とに動かすことができる。給気側蓋15は、図9(c)に示すように、表側の面に、周縁の一部を窪ませて給気側ロック部71の板状部711が入るロック用凹部156を備えており、ロック用凹部156の受面が給気側ロック部71の板状部711で押さえられて蓋をした状態が維持され、また給気側蓋15の挿入部151と第一支持部18A及び第二支持部18Bとの間にはクッション部材17が介在して外気が迂回する隙間を塞ぎ、周縁部152では凹面対向部152Aがクッション部材を介して給気用フィルタ取出口121まわりの凹面部121Bに密着する。なお、給気側蓋15は、第一取付部315A及び第二取付部315Bよりも前方に張り出さないように、給気側ロック部71で押さえられている。
【0070】
(排気側ロック部72)
排気側ロック部72は、給気側ロック部71と同様に構成されていて、回転軸722が貫通穴324に隣接する平滑な領域に設けられて、板状部721を排気側蓋16に当る位置と排気側蓋16から離れる位置とに動かすことができる。排気側蓋16は、図11(c)に示すようにロック用凹部165を表側の面に備えていて、第一取付部315A及び第二取付部315Bよりも前方に張り出さないように排気側ロック部72で押さえられている。なお、実施形態では、給気側ロック部71と排気側ロック部72とをそれぞれ二つ設けているが、三つ以上設けて蓋をした状態を維持してもよい。
【0071】
次に、以上のように構成されたフィルタ装置1を壁81の開口に設ける場合を例に、フィルタ装置1の取付構造80を説明する。図12の(a)はフィルタ装置1の取付構造80の正面図であり、(b)は(a)の取付構造80の分解斜視図であり、図13(a)は図12(a)のS4-S4に沿った取付構造80の断面図である。
家屋は構造部として壁81とこの壁81から離れて設けられた壁81′とを備えていて、壁81と壁81′の間には床位置から天井位置までに亘って広がる大きな空間が設けられている。取付構造80では、居住空間に隣接する壁81を利用してフィルタ装置1を壁81の裏側の空間に収容するように構成されている。壁81は、二本の柱81A,81Bと、下地を構成する板又はボードなどのパネル811と、を備えており、壁81′は下地を構成する板又はボードなどのパネル811′を備えている。なお、図12では壁81のパネル811を省略している。
【0072】
フィルタ装置1の取付構造80は、図12(b)に示すように、壁81に設けられていて室内側から壁81の裏側の空間に通じる開口を構成する取付枠82と、開口を開閉する開閉部83と、開閉部83から離れて取付枠82の内周面に設けられていてフィルタ装置1を固定するための支持部84と、フィルタ装置1が壁81の裏側の空間に収まった状態でフィルタ装置1のダクト接続部20を隠す遮蔽部40と、を備えている。
【0073】
取付枠82は、二本の柱81A,81Bの間に設けられて上下に離れて横に延びた横部材としての横木部821A,821Bと、上下の横木部821A,821Bの間に設けられて互いに離れて縦に延びた縦部材としての間柱部822A,822Bと、を備え、横木部821A,821Bが間柱部822A,822Bの上下の端部をそれぞれつなぐように設けられて矩形の枠状に構成されている。横木部821A,821Bと間柱部822A,822Bとしてそれぞれ棒状に長く形成された角材を用いる。なお、図13(a)に示すように、パネル811が、取付枠82の開口を除いて、柱81A,81Bと横木部821A,821Bと間柱部822A,822Bとを覆っている。
【0074】
支持部84は、上下の横木部821A,821Bの間で縦に延びた第一受部84Aと第二受部84Bとを備えている。第一受部84Aと第二受部84Bとは、二本の間柱部822A,822Bの間で離れて平行に延びていて、第一受部84Aが一方の間柱部822Aに寄せて設けられ、第二受部84Bが他方の間柱部822Bに寄せて設けられている。
第一受部84Aと第二受部84Bとして、取付枠82を構成する角材よりも細く形成されたものを用いる。第一受部84Aと第二受部84Bは図13(a)に示すようにそれぞれ取付枠82の内周面で室内側の端から壁81の裏側へずれて配置されている。取付枠82の内周面が成す開口は正面視で例えば縦600mm、横600mmの寸法に設定し、第一受部84A(第二受部84B)で第一取付部315A(第二取付部315B)が当たる面の幅を30mmとすると、第一受部84Aと第二受部84Bの間隔w′が540mmになる。
【0075】
開閉部83は、フィルタ装置1が通ることができる枠穴831Aを有した正方形状の開閉枠部831と、開閉枠部831に着脱自在に取り付けられて枠穴831Aを塞ぐ閉塞パネル832と、を備えている。開閉枠部831は、図13(a)に示すようにパネル811の縁に当てて、取付枠82の室内側の開口端にパネル811を介在させて取り付けられている。なお、開閉部83として、開閉枠部831及び閉塞パネル832に代えて、ヒンジで開閉する扉を利用することもできる。
【0076】
図13(b)はフィルタ装置1を収容する前の取付構造80の断面図である。取付構造80では、壁81の開口を奥行方向へ延ばした収容空間v′に、換言すれば取付枠82の内周面で囲われた空間と取付枠82の内周面を奥行方向へ延ばした仮想の内周面で囲われた空間とに、フィルタ装置1とそれを取り付けるための支持部84とを配置する。具体的な設置方法は、例えば新築の家屋に設ける場合には家屋の構築過程で壁81の作製と共にフィルタ装置1を取り付けて取付構造80を構成する。また、フィルタ装置1を交換する場合には壁81の開口を利用し、以下のように、フィルタ装置1を室内側から壁81の裏側に入れて設置する。
【0077】
フィルタ装置1を本体カバー部30の背面プレート部側から第一受部84Aと第二受部84Bとの間を通し、図13(a)に示すように左プレート部311と右プレート部313の先端側に設けた第一取付部315Aと第二取付部315Bとを第一受部84Aと第二受部84Bの室内側の面に当てる。なお、フィルタ装置1を開閉枠部831に入れる際、本体部10が面取部140を設けているので、フィルタ装置1を傾けた状態で一部を入れてから、傾きの無い元の状態に戻して、第一取付部315Aと第二取付部315Bとを第一受部84Aと第二受部84Bとに当てることもできる。
フィルタ装置1が収容空間v′に入った状態で、本体部10の位置を調整した後、第一取付部315A及び第二取付部315Bをネジやくぎ等で第一受部84Aと第二受部84Bとに固定する。フィルタ装置1は図示例の向きに限らず、第一受部84Aと第二受部84Bとを横に延びるように設けて、本体部10の天面部110と底面部110′とが横を向いた状態で取り付けることもできる。
【0078】
(床下への収容)
床に設置する場合、壁81の横木部821Aや間柱部822A等と同様に棒状に長く形成された角材を横部材及び縦部材として用いて上に口を開けた取付枠82を構成し、床面を形成するパネル811で開口を除いて取付枠82と取付枠82につながる周辺の根太などとを覆う。開閉部83がパネル811の縁に設けられている。なお、取付枠82の内周面には、第一受部84A及び第二受部84Bとしての桟を2本設けると共に他の2本の桟を加えて枠型に配置して開閉部83を支えることが望ましい。フィルタ装置1は、背面プレート部312を下に、第一被覆部31を上にした状態で、床の開口を下方(奥行方向)へ延ばした収容空間v′に収容する。
【0079】
(ダクトの接続)
図13(c)は遮蔽部40を取り付ける前の取付構造80の斜視図である。家屋では、給気側と排気側のそれぞれ上流と下流のダクト50が、端部をフィルタ装置1に寄せて配管されている。また、フィルタ装置1を収容空間v′に入れた状態で壁81を正面視すると、フィルタ装置1の縦と横の寸法が、開口や矩形型の枠穴831Aの縦と横の寸法よりも小さく設定されているため、開口の奥に、ダクト取付面としての天面部110が開口の奥で壁81の裏側の奥行方向に広がり、天面部110の上に突き出る四つのダクト接続部20も室内側から見える位置に配置される。そこで、フィルタ装置1へのダクトの接続は、図13(c)に示すようにフィルタ装置1が枠穴831Aの奥の収容空間v′に収まった状態で、室内側から枠穴831Aを通して行うことができる。例えば、先に、前側のダクト接続部20よりも奥行方向に離れて、奥に配置される二つのダクト接続部20(給気下流側と排気下流側)に対応するダクト50をそれぞれ接続し、次に枠穴831A寄りに配置される二つのダクト接続部20(給気上流側と排気上流側)に対応するダクト50をそれぞれ接続する。
【0080】
(遮蔽部40の取付)
ダクト接続後、図13(c)に示すように第一受部84Aと第二受部84Bの間では一部がフィルタ装置1によって塞がれずに開いていて、穴85として残る。そこで、取付構造80は、枠穴831A(開閉部83)とダクト接続部20との間に遮蔽部40を設けている。遮蔽部40は、図2図13(d)とに示すように、矩形状に広がっており両端の短辺側の縁部に第一受部84Aと第二受部84Bへの固定用の穴を設けたパネル部41と、パネル部41の一方の長辺縁から向きを変えて延びた延出部42と、延出部42の縁から向きを変えて広がった本体側固定部43と、を備えており、例えばステンレスや合成樹脂によって構成されている。遮蔽部40の取付は、パネル部41を第一受部84Aと第二受部84Bとに架け渡すように各短辺側の端部を第一受部84Aと第二受部84Bとに当ててネジやくぎ等で第一受部84Aと第二受部84Bとに固定し、また本体側固定部43を正面プレート部321に当ててネジでフィルタ装置1に固定する。
【0081】
なお、図13(e)は遮蔽部40の他の取付例を説明するための壁81の開口の正面図であり、上記の構成に加えて、第三受部84Cを取付枠82の中に設けている。図13(e)では、取付枠82を構成する横木部821A,821Bと間柱部822A,822Bとをハッチングを付して表し、遮蔽部40を二点鎖線で表し、パネル811を省略している。第三受部84Cは、第一受部84Aと同様に棒状に長く形成された角材であり、第一受部84Aと第二受部84Bの端部をつなぐように横木部821Aの内面に当てて設けられている。図示を省略するフィルタ装置1を収容した後に、遮蔽部40は、両短辺側の端部を第一受部84Aと第二受部84Bに当てると共に、一方の長辺側の端部を第三受部84Cに当て、他方の長辺側の端部に設けた本体側固定部43をフィルタ装置1の正面プレート部321に当てた状態で、第一受部84A及び第二受部84Bとフィルタ装置1とに固定する。遮蔽部40を当てる第三受部84Cを設けることで、遮蔽部40と取付枠82の内周面との間に隙間をつくらずに第一受部84Aと第二受部84Bの間の穴85を閉じることができる。これにより、ダクト55やダクト接続部20、さらに壁81の裏側の家屋の構造が遮蔽部40で隠れるため、居住空間の美観を確保することができる。
【0082】
(換気システム)
図14は壁81の裏側に収容したフィルタ装置1を用いた換気システム90の配管図である。換気システム90は、屋外側の取込口91Aから室内側の給気口91Bへ外気を送る給気系統91と、室内側の還気口92Aから屋外側の排出口92Bへ室内空気を送る排気系統92と、給気系統91と排気系統92との途中に設けられて外気と室内空気との間で熱交換を行うと共に外気と室内空気とをそれぞれ送風するフィルタ非搭載型の換気装置93と、給気系統91と排気系統92との途中に設けられたフィルタ装置1と、を備えている。
【0083】
換気装置93は外気と室内空気との間で熱交換を行う熱交換部と、熱交換部を内部に収容した換気本体部と、換気本体部から外に突き出た給気用と排気用それぞれ二つ設けたダクト接続部と、外気を送る外気用送風機と、室内空気を送る室内空気用送風機と、を備えている。換気本体部は、給気用の一方のダクト接続部から給気用の他方のダクト接続部へ通じる給気流路と、排気用の一方のダクト接続部から排気用の他方のダクト接続部へ通じる排気流路と、を内部に備えている。また、熱交換部が、外気を通す第一シート材と室内空気を通す第二シート材とを交互に重ねて構成されていて、給気流路と排気流路が交差する位置に設けられている。なお、熱交換型の換気装置として、フィルタを給気流路と排気流路とに設けたものも利用することができる。
【0084】
図示例の換気システムは、換気装置93を洗面所の天井裏に設け、フィルタ装置1を廊下に隣接した収納クローゼットの奥壁の裏側の空間に設けている。
【0085】
(給気系統91)
図14では給気用のダクト50を太い実線で表しており、給気用のダクト50は、屋外に面する外壁に設けた取込口91Aからフィルタ装置1の給気上流側のダクト接続部20へ向けて、またフィルタ装置1の給気下流側のダクト接続部20から換気装置93の給気上流側のダクト接続部へ向けて、さらに換気装置93の給気下流側のダクト接続部から和室やリビングの天井に設けた給気口91Bへ向けて配管されている。なお、図示例の換気装置93の下流側では、分岐部91Cを設けて複数の部屋へ熱交換と浄化を行った外気を送っている。
【0086】
(排気系統92)
図14では排気用のダクト50を破線で表しており、排気用のダクト50は、洗面所やトイレの天井に設けた複数の還気口92Aから合流部92Cへ向けて、合流部92Cからフィルタ装置1の排気上流側のダクト接続部20へ向けて、またフィルタ装置1の排気下流側のダクト接続部20から換気装置93の排気上流側のダクト接続部へ向けて、さらに換気装置93の排気下流側のダクト接続部から外壁に設けた排出口92Bへ向けて配管されている。なお、フィルタ装置1の上流側では、還気口92Aの数に応じて合流部92Cを設け、また還気口92Aが一つであれば合流部92Cを設けずに還気口92Aとフィルタ装置1の排気上流側のダクト接続部20とをダクト50でつなぐ。
【0087】
換気システム90では、外気はフィルタ装置1で浄化され更に換気装置93で室内空気との熱交換を経て、居住空間へ給気される。また、室内空気はフィルタ装置1で浄化され更に換気装置93で外気との熱交換を経て、屋外へ排気される。
【0088】
(給気用フィルタなどのメンテナンス)
虫取フィルタ62や清浄フィルタ61をフィルタ装置1から取り出し、洗浄など行って捕集した異物、例えば虫や塵埃を除去し、再びフィルタ装置1に戻して外気や室内空気の浄化に用いる。なお、換気システムにおいては、フィルタ装置1の設置場所を壁81に代えて換気装置93と共に階間にし、更に開閉部83を上の階の床に設けることもでき、この場合、床の開閉部83を開けて、本体部10から清浄フィルタ61や虫取フィルタ62を取出して、メンテナンス作業を行う。
【0089】
実施形態のフィルタ装置1によれば、外気と室内空気をそれぞれ浄化することができる。また本体部10の給気流路に清浄フィルタ61と虫取フィルタ62を設けている場合、清浄フィルタ61の上流側と下流側が虫取フィルタ62を設けた空間V1と異なり、広く構成されて、広い面で外気や室内空気を受けて圧力損失を低減することができる。
【0090】
フィルタ装置1がコンパクトに構成されていることで、図16に示す従来例と異なり、壁や床の裏側で広いスペースを利用せずに、収容することができる。これにより、壁や床に設けた一つの開閉枠部831の枠穴831A(開閉部83)を通して収容空間v′へ入れて設置したり、給気側と排気側のダクトとの接続も行えて便利である。
【0091】
フィルタ装置1は、使用の際には開閉部83が閉じられているため、居住空間の美観を損なわず、また壁の裏側などに収容されているため居住空間を広く確保することができる。また、交換や修理などの際にも、フィルタ装置1は支持部84へのネジやくぎ等を外すと収容空間v′から枠穴831Aを通して室内側へ容易に取り出すこともできる。
【0092】
取付構造80において、フィルタ装置1を壁81に設けた場合には壁81はフィルタ装置1の下を収納部として構成することができ、例えば図15の(a)に示すように居住空間側へ開いた扉無しの収納スペースとして、また(b)に示すようにクローゼットとして、活用することができる。
【0093】
フィルタ装置1が本体部10の天面部110に4つのダクト接続部20を設けているので、給気側と排気側とで場所を変えずに開閉部83の開閉枠部831に手を入れて、ダクト50の接続作業を行うことができる。また、4つのダクト接続部20が天面部110に設けられていても、各ダクト接続部20が離れていてダクト接続部20の間に手や腕を入れることができるので、ダクト50の接続を容易に行うことができる。
【0094】
フィルタ装置1が設置された状態で、板状の遮蔽部40が二つの第一受部84Aと第二受部84Bの間で、本体部10で塞がれずに開いた穴85を覆うことで、ダクト50や壁の中の構造などが室内側から見えなくなり、居住空間の美観を損なうことがない。
【0095】
フィルタ装置1の清掃などのメンテナンスは、天井の点検口を開けてからフィルタを取り出すなどの高所の作業と異なり、壁や床の開閉部83から閉塞パネル832を外せば、給気側蓋15と排気側蓋16とが低い位置に現れるため、容易に本体部10の中の清浄フィルタ61を出したり、本体部10の中に手を入れて内部の清掃、例えば底を拭いたりすることもできる。
【0096】
フィルタ装置1が、給気系統91と排気系統92で換気装置93よりも上流側に配置されていることで、熱交換型の換気装置93としてフィルタ非搭載型のものを利用することができる。これにより、例えば天井の点検口を開けて行う換気装置からフィルタを取り出すメンテンナンス作業を無くすことができる。
【0097】
本発明は、上記の説明や図示例に限定されるものではなく、寸法、構成部材の配置、構成やその構成材料などを変えて実施をすることができる。
家屋やマンションなどの建築物の取付枠82の縦と横の寸法の比率を変えて、その開口に適したサイズにフィルタ装置を構成することもできる。また、取付先の開口を設けた構造部も、部屋と部屋との間に設けられる壁などに代えて、屋外を臨む壁(外壁)を対象としてもよい。
天面部に設けるダクト接続部20や本体部10の内部の給気側と排気側の配置を上記の実施形態の構成のものと逆にしたり、取付穴として入口と出口を縦に並べたり、給気側と排気側の入口が横に並ばないように前後に位置をずらしたり、給気側と排気側の出口が横に並ばないように前後に位置をずらしたり、ダクト接続部20やその取付穴の配置を変えて構成することもできる。
ダクト接続部20は、細筒部として中間筒部230と先端筒部240の両方を備えるものに代えて一方だけを備えるように構成したり、中間筒部230と先端筒部240の何れも太筒部220と一体に成形したりして、構成を変えてもよい。
構造部へ固定するための第一取付部315A及び第二取付部315Bをカバー部30(左プレート部311、右プレート部313)から分離したブラケットとして構成してもよい。また、カバー部は、本体部の全体を覆うなど被覆領域を変えて構成したり、合成樹脂材を成形したケースを利用してもよい。
構造部の支持部は、二本の角材に代えて、枠状に一体に構成されたものやアングルなどの金具などを用いてもよい。
本体部に収容する給気用フィルタや排気用フィルタは、上記の清浄フィルタなどに代えて、NOxなどのものを捕集する他のフィルタを使用したり、収容するフィルタの組み合わせを変えて利用するように構成してもよい。
排気系統のダクトのフィルタ装置への接続として、上記実施形態における接続例とは逆に手前側のダクト接続部に排気下流側のダクトを接続し、奥側のダクト接続部に排気上流側のダクトを接続してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 フィルタ装置
10 本体部
11 フロント部
12 リア部
13 センター部
110 天面部
111 取付穴
111A 弧状縁
120 正面部
121 給気用フィルタ取出口
122 排気用フィルタ取出口
192 取付溝
20 ダクト接続部
220 太筒部
221 平面部
222 曲面部
230 中間筒部
240 先端筒部
30 本体カバー部
31 第一被覆部
315A 第一取付部
315B 第二取付部
32 第二被覆部
40 遮蔽部
61 清浄フィルタ
62 虫取フィルタ
63 高機能フィルタ
71 給気側ロック部
72 排気側ロック部
80 取付構造
90 換気システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16