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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20241002BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20241002BHJP
   F24F 11/83 20180101ALI20241002BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F11/74
F24F11/83
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020209042
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096116
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】正木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】山形 光生
(72)【発明者】
【氏名】竹原 渓吾
(72)【発明者】
【氏名】仝 瀟然
(72)【発明者】
【氏名】篠島 隆司
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-217634(JP,A)
【文献】特開2019-148410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気処理する複数の外調機と、
その外調機から空調対象空間への外気処理後の空気の風量を目標風量に制御する風量制御装置と、
複数の前記外調機の出力制御を行う外調機制御部とが備えられ、
前記風量制御装置は、複数の空調対象空間の夫々に対して備えられ、
前記外調機は、前記風量制御装置よりも少ない数量備えられ、
前記風量制御装置は、前記空調対象空間への外気処理後の空気の風量を、前記空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量に調整する定風量制御装置であり、
前記外調機制御部は、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記風量制御装置の吹出口での風量である制御風量との差を前記空調対象空間の夫々において求めて、求めた前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内に収まるように、複数の外調機の出力制御を行うように構成されている空調システム。
【請求項2】
前記外調機制御部は、出力制御として、前記外調機の風量を決定してその決定した風量になるように外調機の出力を制御する風量制御を行い、
前記外調機制御部は、その風量制御において、実際に外調機の風量を変更した状態で、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの風量判定処理を行い、その風量判定処理の判定結果に応じて外調機の風量を決定している請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記外調機制御部は、出力制御として、運転停止又は運転開始させる前記外調機を決定してその決定した外調機を運転停止又は運転開始させるように外調機の出力を制御する台数制御を行い、
前記外調機制御部は、その台数制御において、実際に外調機を運転停止又は運転開始させた状態で、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの台数判定処理を行い、その台数判定処理の判定結果に応じて運転停止又は運転開始させる外調機を決定している請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記外調機制御部は、前記台数判定処理において、いずれの前記外調機を運転停止又は運転開始させても、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にない場合には、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが最小となる外調機を、運転停止又は運転開始させる外調機として決定する請求項3に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気処理する複数の外調機と、その外調機から空調対象空間への外気処理後の空気の風量を目標風量に制御する風量制御装置とが備えられた空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調システムとして、外気処理する外調機と、その外調機から空調対象空間への外気処理後の空気の風量を制御する風量制御装置とが備えられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような空調システムでは、複数の空調対象空間の夫々に風量制御装置が備えられているのに対して、外調機が、風量制御装置よりも少ない数量備えられている。よって、外調機と風量制御装置との間の距離の違い等により、複数の風量制御装置の間での圧損の違いが生じることになる。そのため、この圧損の違いを考慮することなく、外調機を運転させると、圧損が大きな状態で外調機を運転させてしまい、消費エネルギーの増大を招いてしまう。
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、全ての外調機にて外気処理された空気が導入されるエアーウォールが備えられ、複数の風量制御装置の夫々が、エアーウォールから必要量だけの空気を空調対象空間に供給している。このように、外調機と風量制御装置との間にエアーウォールを備えることで、エアーウォールと風量制御装置との間で圧損の違いが生じるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-302086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、外気処理された空気を外調機からエアーウォールに供給する場合にも、外調機とエアーウォールとの間の距離の違い等によって、複数の外調機の間で圧損に違いが生じることになる。よって、単に、エアーウォールの空気圧力の変化状態に応じて、外調機の風量制御や台数制御を行うだけでは、外調機の圧損の違いが考慮されておらず、依然として、圧損が大きな状態で外調機を運転させてしまう可能性があった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、圧損が大きな状態で外調機を運転させることを抑制して、省エネルギー化を図ることができる空調システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、外気処理する複数の外調機と、
その外調機から空調対象空間への外気処理後の空気の風量を目標風量に制御する風量制御装置と、
複数の前記外調機の出力制御を行う外調機制御部とが備えられ、
前記風量制御装置は、複数の空調対象空間の夫々に対して備えられ、
前記外調機は、前記風量制御装置よりも少ない数量備えられ、
前記風量制御装置は、前記空調対象空間への外気処理後の空気の風量を、前記空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量に調整する定風量制御装置であり、
前記外調機制御部は、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記風量制御装置の吹出口での風量である制御風量との差を前記空調対象空間の夫々において求めて、求めた前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内に収まるように、複数の外調機の出力制御を行うように構成されている点にある。
【0009】
本構成によれば、複数の外調機の出力制御を行うのに当たり、外調機制御部が、各空調対象空間における一定の目標風量に対して各風量制御装置にて制御した制御風量(前記風量制御装置の吹出口での風量)との差のバラツキ度合いが設定範囲内に収まるように、複数の外調機の出力制御を行っている。複数の風量制御装置の間での圧損の違いが大きくなると、風量のバラツキ度合いも大きくなるので、複数の外調機の出力制御を行うのに当たり、風量制御装置にて制御した制御風量のバラツキ度合いを考慮することで、圧損の違いの大きさを考慮することができる。これにより、外調機制御部が、空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量と前述した制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内に収まるように、複数の外調機の出力制御を行うことで、圧損が大きな状態で外調機を運転させるのを抑制することができるので、消費エネルギーの低減を図り、省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記外調機制御部は、出力制御として、前記外調機の風量を決定してその決定した風量になるように外調機の出力を制御する風量制御を行い、
前記外調機制御部は、その風量制御において、実際に外調機の風量を変更した状態で、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの風量判定処理を行い、その風量判定処理の判定結果に応じて外調機の風量を決定している点にある。
【0011】
本構成によれば、外調機制御部は、実際に外調機の風量を変更した状態での風量判定処理の判定結果に応じて外調機の風量を決定しているので、実際に外調機の風量を変更した状態で、空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量と前述した制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを確認しながら、外調機の風量を適切に決定することができる。よって、圧損が大きな状態で外調機を運転させるのを抑制しながら、外調機の風量を適切に変更することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記外調機制御部は、出力制御として、運転停止又は運転開始させる前記外調機を決定してその決定した外調機を運転停止又は運転開始させるように外調機の出力を制御する台数制御を行い、
前記外調機制御部は、その台数制御において、実際に外調機を運転停止又は運転開始させた状態で、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの台数判定処理を行い、その台数判定処理の判定結果に応じて運転停止又は運転開始させる外調機を決定している点にある。
【0013】
本構成によれば、外調機制御部は、実際に外調機を運転停止又は運転開始させた状態での台数判定処理の判定結果に応じて運転停止又は運転開始させる外調機を決定しているので、実際に外調機を運転停止又は運転開始させた状態で、空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量と前述した制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを確認しながら、運転停止又は運転開始させる外調機を適切に決定することができる。よって、圧損が大きな状態で外調機を運転させるのを抑制しながら、外調機の運転台数を適切に変更することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記外調機制御部は、前記台数判定処理において、いずれの前記外調機を運転停止又は運転開始させても、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にない場合には、前記空調対象空間の夫々に対する前記一定の目標風量と前記制御風量との差のバラツキ度合いが最小となる外調機を、運転停止又は運転開始させる外調機として決定する点にある。
【0015】
本構成によれば、外調機制御部は、いずれの外調機を運転停止又は運転開始させても、空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量と前述した制御風量との差のバラツキ度合いが設定範囲内にない場合には、空調対象空間の夫々に対する一定の目標風量と前述した制御風量との差のバラツキ度合いが最小となる外調機を、運転停止又は運転開始させる外調機として決定しているので、圧損が大きな状態で外調機を運転させるのを極力抑制しながら、外調機の運転台数を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】空調システムの概略構成を示す図
図2】台数制御での外調機の運転台数を示す図
図3】台数判定処理を示すフローチャート
図4】風量判定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る空調システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
この空調システム1は、図1に示すように、複数の階層を有する建物2に適用されており、外気処理する外調機3と、その外調機3から空調対象空間5への外気処理後の空気の風量を目標風量に制御する風量制御装置4とが備えられている。
【0018】
外調機3及び風量制御装置4は、ともに複数備えられているが、外調機3は、建物2の最上階、中間階、最下階の夫々に対応して備えられているのに対して、風量制御装置4は、複数階層の全ての階において、複数備えられている。風量制御装置4は、建物2における複数の空調対象空間5の夫々に対して備えられ、外調機3は、風量制御装置4よりも少ない数量備えられている。
【0019】
外調機3は、供給される熱媒体を用いて、建物2外から吸引した外気を所定温度や所定湿度に調整する外気処理を行い、その外気処理した外気を供給可能に構成されている。外調機3は、外気処理の対象を外気のみとするだけでなく、例えば、外気と空調対象空間5からの還気との混合気を外気処理の対象とすることもできる。
【0020】
外調機3は、外気処理した空気(外気のみ又は外気と還気との混合気)を、供給ダクト6を通して空調対象空間5に供給している。供給ダクト6は、建物2の最上階、中間階、最下階の夫々に配設された外調機3に接続された上流側部位6aと、建物2の上下方向の全長に亘る中間部位6bと、各階の空調対象空間5に接続された下流側部位6cとを有している。これにより、供給ダクト6は、外調機3からの外気処理後の空気を、上流側部位6aから中間部位6bを経由する状態で下流側部位6cに供給して、各階の空調対象空間5の夫々に対して供給可能としている。供給ダクト6の上流側部位6aの夫々には、外調機3からの外気の供給量を調整自在な供給量調整弁7が備えられている。
【0021】
風量制御装置4は、空調対象空間5への外気処理後の空気の風量を所定の一定風量に調整する定風量制御装置として備えられている。風量制御装置4は、各階の空調対象空間5の夫々に接続された供給ダクト6の下流側部位6cに備えられ、複数の空調対象空間5の夫々に対して所定の一定風量の空気を供給している。
【0022】
この空調システム1では、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)の大きさに応じて、複数の外調機3の出力制御を行う外調機制御部8が備えられている。空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)については、外調機制御部8が、空調対象空間5にて外気空調運転が要求されているか否かの運転指令情報、空調対象空間5の温度情報や湿度情報等の各種の情報に基づいて、空調対象空間5における空調負荷を取得している。
【0023】
外調機制御部8は、複数の外調機3の出力制御として、運転停止又は運転開始させる外調機3を決定してその決定した外調機3を運転停止又は運転開始させるように外調機3の出力を制御する台数制御と、外調機3の風量を決定してその決定した風量になるように外調機3の出力を制御する風量制御とを行う。
【0024】
外調機制御部8は、台数制御を行うことで、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)の大きさに応じて、外調機3の運転台数を決定してその決定した運転台数の外調機3を運転させている。そして、外調機制御部8は、風量制御を行うことで、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)の大きさに応じて、運転させている各外調機3の風量を決定してその決定した風量になるように各外調機3の出力を制御している。
【0025】
台数制御では、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)の大きさが大きいほど、運転台数を多くするように決定しており、風量制御においても、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)の大きさが大きいほど、外調機3の風量が大きくなるように決定している。
【0026】
ただし、外調機3をインバータ制御する場合には、外調機3の運転台数を減らすよりも1台当たりの外調機3の風量を減少させる方が省エネに効果的であるので、なるべく多くの台数にて外調機3を運転させるようにしている。そこで、外調機3の1台あたりで絞ることができる風量を設定しており、台数制御では、要求風量が運転状態の外調機3にて絞ることができる風量を下回る場合のみ、外調機制御部8が、運転させる台数を1台減らすようにしている。このようにして、台数制御では、全ての空調対象空間5における空調負荷(外気空調負荷)を賄うための要求風量がシステム全体の最大風量に対してどのような範囲になるのかによって、外調機制御部8が運転台数を決定している。
【0027】
例えば、上述の如く、3台の外調機3を備える場合には、図2に示すように、全ての空調対象空間5における空調負荷を賄うための要求風量がシステム全体の最大風量の33%~100%の第1設定範囲である場合には、外調機制御部8が運転台数を3台に決定し、要求風量がシステム全体の最大風量の11%~33%の第2設定範囲である場合には、外調機制御部8が運転台数を2台に決定し、要求風量がシステム全体の最大風量の0%~11%の第3設定範囲である場合には、外調機制御部8が運転台数を1台に決定している。ちなみに、第1~第3設定範囲をどのような範囲に設定するかは適宜変更することができる。
【0028】
台数制御では、運転台数を増減させる場合に、外調機制御部8が、実際に外調機3を運転停止又は運転開始させた状態で、各空調対象空間5における目標風量に対して各風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの台数判定処理を行い、その台数判定処理の判定結果に応じて運転停止又は運転開始させる外調機3を決定している。
【0029】
図示は省略するが、風量制御装置4の吹出口等に備えられた風量センサによって風量制御装置4の吹出口等における風量を検出しているので、外調機制御部8は、各風量センサの検出情報に基づいて、各風量制御装置4にて制御した制御風量を取得している。また、空調対象空間5における目標風量は、風量制御装置4にて制御すべき所定の一定風量となっている。これにより、外調機制御部8は、各風量センサの検出情報に基づいて取得した風量制御装置4にて制御した制御風量と空調対象空間5における目標風量とを比較することで、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している。
【0030】
台数判定処理では、どの外調機3を運転停止又は運転開始させるかを定めた台数変更パターンを複数種予め設定している。そして、外調機制御部8は、ある1つの台数変更パターンに複数の外調機3の運転状態を実際に制御する台数変更処理を行った上で、各風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定する台数変更パターン判定処理を行っており、これらの動作を繰り返し行うことで、複数種の台数変更パターンから実際に実行する1つの台数変更パターンを決定している。
【0031】
台数判定処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3は、建物2の最上階、中間階、最下階に備えられた3台の外調機3について、運転台数を3台から2台に減少させる場合を示しており、台数変更パターン1~3の3種類の台数変更パターンを設定している。
【0032】
台数変更パターンについては、最下階の外調機3を第1外調機3a、中間階の外調機3を第2外調機3b、最上階の外調機3を第3外調機3cとした場合に、台数変更パターン1が、第1外調機3aを運転停止させ、第2外調機3b及び第3外調機3cを運転継続させるパターンに設定されている。台数変更パターン2が、第2外調機3bを運転停止させ、第1外調機3a及び第3外調機3cを運転継続させるパターンに設定され、台数変更パターン3が、第3外調機3cを運転停止させ、第1外調機3a及び第2外調機3bを運転継続させるパターンに設定されている。
【0033】
図3に示すように、外調機制御部8が、まず、台数変更パターン1にて台数変更処理を行った上で、台数変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#1、ステップ#2)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#2のYesの場合)、運転台数を減少させるときのパターンを、台数変更パターン1に決定している(ステップ#3)。
【0034】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#2のNoの場合)、台数変更パターン2にて台数変更処理を行った上で、台数変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#4、ステップ#5)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#5のYesの場合)、運転台数を減少させるときのパターンを、台数変更パターン2に決定している(ステップ#6)。
【0035】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#5のNoの場合)、台数変更パターン3にて台数変更処理を行った上で、台数変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#7、ステップ#8)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#8のYesの場合)、運転台数を減少させるときのパターンを、台数変更パターン3に決定している(ステップ#9)。
【0036】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#8のNoの場合)、台数変更パターン1~3のいずれのパターンでもバラツキ度合いが設定範囲内になっていないので、運転台数を減少させるときのパターンを、台数変更パターン1~3のうちから、バラツキ度合いが最小となる台数変更パターンに決定している(ステップ#10)。
【0037】
つまり、外調機制御部8は、台数判定処理において、いずれの外調機3を運転停止又は運転開始させても、各空調対象空間5における目標風量に対して各風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いが設定範囲内にない場合には、制御風量のバラツキ度合いが最小となる外調機3を、運転停止又は運転開始させる外調機3として決定している。
【0038】
図3では、運転台数を減少させる場合を例示しているが、運転台数を増加させる場合も、図3と同様に、ある1つの台数変更パターンにて台数変更処理を行った上で、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定する台数変更パターン判定処理を行い、これらの動作を繰り返し行うことで、複数種の台数変更パターンから実際に実行する1つの台数変更パターンを決定している。
【0039】
このように、台数制御では、外調機制御部8が、運転台数を増減させる場合に、風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いを考慮した台数判定処理を行うことで、外調機3の圧損の違いの大きさを考慮しながら、台数変更パターンを決定することができる。よって、外調機制御部8が、台数判定処理にて決定した台数変更パターンにて運転台数の増減を行うことで、圧損を小さくする状態で外調機3の運転台数を増減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0040】
この実施形態では、台数制御だけではなく、風量制御においても、風量を増減させる場合に、外調機制御部8が、実際に外調機3の風量を変更した状態で、各空調対象空間5における目標風量に対して各風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かの風量判定処理を行い、その風量判定処理の判定結果に応じて外調機3の風量を決定している。
【0041】
台数判定処理の場合と同様に、外調機制御部8は、各風量制御装置4に対応する各風量センサの検出情報に基づいて、各風量制御装置4にて制御した制御風量を取得しているので、外調機制御部8は、各風量センサの検出情報に基づいて取得した風量制御装置4にて制御した制御風量と空調対象空間5における目標風量とを比較することで、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している。
【0042】
風量判定処理では、どの外調機3をどれだけの風量に変更するかを定めた風量変更パターンを複数種予め設定している。そして、外調機制御部8は、ある1つの風量変更パターンに複数の外調機3の風量状態を実際に制御する風量変更処理を行った上で、各風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定する風量変更パターン判定処理を行っており、これらの動作を繰り返し行うことで、複数種の風量変更パターンから実際に実行する1つの風量変更パターンを決定している。
【0043】
風量判定処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4は、運転台数が3台であり、3台の外調機3の全体風量を3X〔m/h〕(ここで、Xは設定された任意の値)だけ減少させる場合を示しており、風量変更パターン1~4の4種類の風量変更パターンを設定している。
【0044】
風量変更パターンについては、最下階の外調機3を第1外調機3a、中間階の外調機3を第2外調機3b、最上階の外調機3を第3外調機3cとした場合に、風量変更パターン1が、第1外調機3a、第2外調機3b及び第3外調機3cのそれぞれがX〔m/h〕ずつ風量を減少させるパターンに設定されている。風量変更パターン2が、第1外調機3aが(X+α)〔m/h〕だけ風量を減少させ、第2外調機3b及び第3外調機3cが(X‐α/2)〔m/h〕だけ風量を減少させるパターンに設定されている。ここで、αは設定された任意の値としている。風量変更パターン3が、第2外調機3bが(X+α)〔m/h〕だけ風量を減少させ、第1外調機3a及び第3外調機3cが(X‐α/2)〔m/h〕だけ風量を減少させるパターンに設定されている。風量変更パターン4が、第3外調機3cが(X+α)〔m/h〕だけ風量を減少させ、第1外調機3a及び第2外調機3bが(X‐α/2)〔m/h〕だけ風量を減少させるパターンに設定されている。
【0045】
図4に示すように、外調機制御部8が、まず、風量変更パターン1にて風量変更処理を行った上で、風量変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#11、ステップ#12)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#12のYesの場合)、風量を減少させるパターンを、風量変更パターン1に決定している(ステップ#13)。
【0046】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#12のNoの場合)、風量変更パターン2にて風量変更処理を行った上で、風量変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#14、ステップ#15)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#15のYesの場合)、風量を減少させるパターンを、風量変更パターン2に決定している(ステップ#16)。
【0047】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#15のNoの場合)、風量変更パターン3にて風量変更処理を行った上で、風量変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#17、ステップ#18)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#18のYesの場合)、風量を減少させるパターンを、風量変更パターン3に決定している(ステップ#19)。
【0048】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#18のNoの場合)、風量変更パターン4にて風量変更処理を行った上で、風量変更パターン判定処理を行い、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定している(ステップ#20、ステップ#21)。バラツキ度合いが設定範囲内にある場合には(ステップ#21のYesの場合)、風量を減少させるパターンを、風量変更パターン4に決定している(ステップ#22)。
【0049】
バラツキ度合いが設定範囲外である場合には(ステップ#21のNoの場合)、風量変更パターン1~4のいずれのパターンでもバラツキ度合いが設定範囲内になっていないので、風量を減少させるパターンを、風量変更パターン1~4のうちから、バラツキ度合いが最小となる風量変更パターンに決定している(ステップ#23)。
【0050】
図4では、外調機3の風量を減少させる場合を例示しているが、外調機3の風量を増加させる場合も、図4と同様に、ある1つの風量変更パターンにて風量変更処理を行った上で、バラツキ度合いが設定範囲内にあるか否かを判定する風量変更パターン判定処理を行い、これらの動作を繰り返し行うことで、複数種の風量変更パターンから実際に制御する1つの風量変更パターンを決定している。
【0051】
このように、風量制御では、外調機制御部8が、外調機3の風量を増減させる場合に、風量制御装置4にて制御した制御風量のバラツキ度合いを考慮した風量判定処理を行うことで、外調機3の圧損の違いの大きさを考慮しながら、風量変更パターンを決定することができる。よって、外調機制御部8が、風量判定処理にて決定した風量変更パターンにて外調機3の風量の増減を行うことで、圧損を小さくする状態で外調機3の風量を増減させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0053】
(1)上記実施形態では、外調機制御部8が、各風量制御装置4に対応する各風量センサの検出情報に基づいて、各風量制御装置4にて制御した制御風量を取得しているが、例えば、各風量制御装置4の吹出口における吹出圧力を検出する圧力センサを備え、外調機制御部8が、各風量制御装置4における各圧力センサの検出情報に基づいて、各風量制御装置4にて制御した制御風量を取得することもできる。
【0054】
(2)上記実施形態では、台数判定処理において、台数変更パターン1~3の3種類の台数変更パターンを設定しているが、パターンの内容や数については適宜変更が可能である。
【0055】
例えば、第1外調機3aの1台のみを運転させている状態において、運転台数を1台から2台に増加させる場合には、台数変更パターン1を、第2外調機3bを運転開始させ、第3外調機3cを運転停止させたままとするパターンに設定し、台数変更パターン2を、第3外調機3cを運転開始させ、第2外調機3bを運転停止させたままとするパターンに設定して、2種類の台数変更パターンを設定することもできる。
【0056】
(3)上記実施形態では、風量判定処理において、風量変更パターン1~4の4種類の風量変更パターンを設定しているが、パターンの内容や数については適宜変更が可能である。
【0057】
例えば、第1外調機3a及び第2外調機3bを運転させている状態において、外調機3の全体風量を2X〔m/h〕(ここで、Xは設定された任意の値)だけ増加させる場合には、風量変更パターン1を、第1外調機3a及び第2外調機3bのそれぞれがX〔m/h〕ずつ風量を増加させるパターンに設定し、風量変更パターン2を、第1外調機3aが(X+α)〔m/h〕だけ風量を増加させ、第2外調機3bが(X‐α)〔m/h〕だけ風量を増加させるパターンに設定し、風量変更パターン3を、第1外調機3aが(X‐α)〔m/h〕だけ風量を増加させ、第2外調機3bが(X+α)〔m/h〕だけ風量を増加させるパターンに設定して、3種類の風量変更パターンを設定することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 空調システム
3 外調機
4 風量制御装置
5 空調対象空間
8 外調機制御部
図1
図2
図3
図4