(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】防水コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301B
(21)【出願番号】P 2020219079
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 拓也
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-135196(JP,A)
【文献】特開2009-059586(JP,A)
【文献】特開2019-145246(JP,A)
【文献】特開2002-231374(JP,A)
【文献】特開2013-008598(JP,A)
【文献】特開2013-229168(JP,A)
【文献】特表2016-530687(JP,A)
【文献】実開昭56-059780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタの挿入部が係脱可能に挿入される凹状部と、
前記凹状部内に配置され、前記挿入部の接続端子と接触する被接続端子と、
前記凹状部内で、前記接続端子と前記被接続端子との接続領域を囲む筒状部を有し、前記筒状部の先端と前記挿入部との当接により前記筒状部の内側を密閉する状態で、前記先端が挿入方向に押圧される際、前記筒状部の基端が前記挿入方向奥側に移動するよう構成されたパッキン部と、
を有
し、
前記パッキン部は、前記基端から外側に延在する本体部を有し、
前記本体部は、前記挿入方向奥側で前記凹状部の底面部との間に、前記基端が移動可能な空間部を形成し、且つ、前記空間部を圧縮するよう変形し、前記基端を移動させる、
防水コネクタ。
【請求項2】
前記本体部の外周部は、前記空間部を形成するよう前記凹状部の前記底面部から離間させた状態で前記本体部を支持する、
請求項
1記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記本体部の外周部は、前記内側と連通する前記空間部を密閉するよう前記凹状部の外周部に密着する、
請求項
1または2記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記凹状部の底面部には、前記パッキン部の前記挿入方向奥側への移動を案内するガイド溝が設けられ、
前記本体部の外周部には、前記ガイド溝に挿入されて前記ガイド溝と水密的に係合する外周筒状部が設けられている、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
【請求項5】
前記筒状部の前記先端は、断面視先細り形状である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手コネクタに対して防水性を確保した接続を行う防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、安静時のみならず、運動中や日常生活中の生体情報としての心電図を取得する医療用電子機器として、ホルタ心電計が知られている。ホルタ心電計には、被検者に装着された電極が接続され、電極を介して日常生活中の被検者の心電図の収集、測定が可能となっている。
【0003】
ホルタ心電計は、電極とともに、被検者に装着しながら、その被検者の心電図を長時間にわたって記録する必要がある。このため、雨による水滴や手洗いの際にかかる水しぶき程度の着水にも耐え得る生活防水程度の防水処理は勿論のこと、シャワーや入浴での着水にも耐え得ることが必要である。
【0004】
例えば、特許文献1に示すように、ホルタ心電計において、電極側の相手コネクタが挿入されて嵌合し、互いの接続端子どうしが接続される接続部分に防水処理を施した構成が知られている。
【0005】
具体的には、特許文献1の装置本体側のコネクタにおいて、相手コネクタの挿入部が挿入される凹状の収容部を有し、この収容部の底面には、複数の棒状端子が挿通された面状のパッキンが配置されている。一方、相手コネクタの挿入部の先端面には、棒状端子に対応する相手端子が設けられている。この構成により、挿入部を収容部内に挿入すると、先端面がパッキンを底面側に押圧して、先端面と底面との間の水密性が保持され、互いの端子の接合は、防水性を確保した状態で維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構成のように、コネクタの凹状の収容部内に、相手コネクタの挿入部を挿入して電気的に接続する構成では、閉じた空間内で、挿入部を挿入してパッキンを押圧することにより水密性を確保している。このため、接合する端子の組数が多くなる場合等のように、パッキンに対して押圧する範囲が広くなると、一層、大きな押し込む力を用いてパッキンを押圧することが必要となり、その作業に手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、押し込んで接続する際に水密にする範囲が広くなっても、押し込む力を増加させることなく、簡単に、確実に水密で相手コネクタと接続できる防水コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の防水コネクタの一つの態様は、
相手コネクタの挿入部が係脱可能に挿入される凹状部と、
前記凹状部内に配置され、前記挿入部の接続端子と接触する被接続端子と、
前記凹状部内で、前記接続端子と前記被接続端子との接続領域を囲む筒状部を有し、前記筒状部の先端と前記挿入部との当接により前記筒状部の内側を密閉する状態で、前記先端が挿入方向に押圧される際、前記筒状部の基端が前記挿入方向奥側に移動するよう構成されたパッキン部とを有し、
前記パッキン部は、前記基端から外側に延在する本体部を有し、前記本体部は、前記挿入方向奥側で前記凹状部の底面部との間に、前記基端が移動可能な空間部を形成し、且つ、前記空間部を圧縮するよう変形し、前記基端を移動させる構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、押し込んで接続する際に水密にする範囲が広くなっても、押し込む力を増加させることなく、簡単に、確実に水密で相手コネクタと接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施の形態のコネクタの接続状態を示す外観斜視図である。
【
図5】第2パッキン部を外したコネクタの内部構成を示す斜視図である。
【
図9】密着筒部を介した第2パッキン部と相手コネクタとの密着部分を示す拡大図である。
【
図10】本発明に係る一実施の形態のコネクタの動作を示す断面図である。
【
図11】本発明に係る一実施の形態のコネクタと相手コネクタとの接続を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る一実施の形態の防水コネクタであるコネクタの接続状態を示す外観斜視図である。なお、本実施の形態において前,後、左,右とは、上記コネクタの開口側を前方とし、奥行き方向側を後方とする。なお、コネクタの各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向に関わる表現は、絶対的なものでなく相対的なものである。
【0014】
本実施の形態に係るコネクタ10は、例えば、装置本体(図示省略)に接合する接合部10aと、生体情報を取得する生体情報用電極(図示省略)に接続された側の相手コネクタ20とを接合する。具体的には、コネクタ10は、生体情報用電極と、装置本体、例えば、心電計本体との接続を中継する中継コネクタであり、相手コネクタ20と防水性を確保して接続するものであれば、どのようなコネクタにも適用できる。本実施の形態のコネクタ10は、相手コネクタとの接続状態において十分な防水性能と防塵性能とを有するコネクタである。
【0015】
図1に示すコネクタ10は、相手コネクタ20と互いに嵌合するコネクタ装置1を構成する。
【0016】
図2は同コネクタの側面図であり、
図3は、
図1のA-A線断面図である。
コネクタ10は、本実施の形態では、所謂、凹状のソケットタイプであり、相手コネクタ20は、ソケットの凹状内に内嵌する凸状のプラグタイプとしている。なお、コネクタ10をプラグタイプとし、相手コネクタ20をソケットタイプとしてもよい。
【0017】
図4は、相手コネクタの斜視図であり、
図5は、第2パッキン部15を外したコネクタの内部構成を示す斜視図である。
【0018】
図3及び
図4に示すように、本実施の形態の相手コネクタ20は、コネクタ10に挿入される挿入部23を備える。挿入部23は、本体部231の先端に設けられている。なお、本体部231は、基端側から、生体情報用電極に接続されるフレキシブルプリント基板24の一部であるリード241が導出されている。
【0019】
挿入部23の先端面21には、内部に接続端子22を有する挿入孔233が設けられている。挿入孔233は、挿入方向、つまり、コネクタ10との接続方向に沿って形成されており、コネクタ10側の被接続端子14に対応する。なお、挿入孔233に、コネクタ10側の被接続端子14が挿入されることにより、挿入方向で、接続端子22は被接続端子14に当接して電気的に接続する。
【0020】
接続端子22は、面状に形成されたものである。具体的には、相手コネクタ20は、挿入部23の外形部分を構成する第1ハウジング20aの内部に、先端側の部位242に接続端子22を有するフレキシブルプリント基板24と、第2ハウジング20b(
図3参照)とを有して構成されている。第1ハウジング20a内において、第2ハウジング20bは、外面にフレキシブルプリント基板24の先端側の部位242を撓ませて取り付けられている。相手コネクタ20では、先端面21側で、挿入孔233と対向する部位に面状の接続端子22が配置されている。
【0021】
また、相手コネクタ20には、可撓性を有する係合爪236が設けられている。係合爪236は、挿入部23の外面、ここでは第1ハウジング20aの上面から基端側である本体部231側(挿入方向と逆方向である抜脱方向)に向かって上面から離間するように突出して設けられている。
【0022】
係合爪236は、挿入部23がコネクタ10の凹状部12内に挿入される際に、凹状部12内の上面に当接して、挿入部23の上面側に押圧されて畳まれた状態となる(
図11参照)。係合爪236は、凹状部12内で、端子同士14、22が接続状態であるときに、コネクタ10側の被係合部16内で付勢力が開放されて、被係合部16に係合する。これにより、相手コネクタ20は、コネクタ10からの抜脱方向への移動が制限され、接続状態が維持される。
【0023】
一方、本実施の形態のコネクタ10は、
図3に示す挿入部23が挿入される凹状に形成された凹状部12を有し、この凹状部12に挿入される挿入部23と係合することにより、互いの端子(被接続端子14、接続端子22)を、防水性を確保した状態で接合する。互いの端子を含む双方の接合部分は、凹状部12の内側に配置された第1パッキン部18により、水密性及び防塵性が確保され、これに加えて、第2パッキン部15により水密性及び防塵性が確保されている。
【0024】
コネクタ10は、具体的には、接合部10a及び凹状部12を有するコネクタ本体13の他、凹状部12内に配置され、挿入部23の接続端子22と接合する被接続端子14と、第1パッキン部18と、第2パッキン部15と、逃げ空間部19とを有する。
【0025】
コネクタ本体13は、一端側に開口した凹状部12を備え、他端側に接合部10aを備える。なお、接合部10aは、凹状部12の開口方向とは異なる方向で装置本体と接続可能に構成されている。
【0026】
凹状部12には、開口を介して挿入部23が挿入される。凹状部12は、挿入部23の係合爪236と係合する被係合部16を有する。凹状部12は、挿入方向に沿う周壁面の一面(ここでは、上側面)に被係合部16を有し、底面には、被接続端子14が、開口側に向かって複数並び一様に突出して設けられている。凹状部12の底面(挿入方向奥側の面)は、コネクタ本体13の内部底部(挿入方向奥側の面)132により形成される。
【0027】
内部底部132は、コネクタ本体13において、凹状部12の開口側からみて、凹状部12の奥側、つまり、挿入方向側に配置される。内部底部132は、凹状部12の底面部分に配置される第2パッキン部15により覆われている。この第2パッキン部15との間で、内部底部132は、第2パッキン部15の変形(具体的には、第2パッキン部15の筒凹部の基端の移動)のための隙間である逃げ空間部19を有している。
【0028】
内部底部132には、複数の被接続端子14が挿入方向に沿って延在するように、挿通して配置されている。被接続端子14は、内部底部132から開口側に向かって突出しており、被接続端子14は、第2パッキン部15も挿通している。
【0029】
内部底部132の外面には、突出する被接続端子14を囲むように、環状(ここでは楕円形状)のガイド溝1322が形成され、ガイド溝1322には、第2パッキン部15の位置決め脚部155が内挿されている。すなわち、ガイド溝1322は、凹状部12の底面部に設けられ、第2パッキン部15の挿入方向奥側への移動を案内する。ガイド溝1322には、後述するパッキン本体1522(本体部)の外周部である位置決め脚部155のフランジ部(外周筒状部)1552が水密的に係合する。これにより、第2パッキン部15を凹状部12内に設ける際に、第2パッキン部15の位置決めとして機能し、外れにくく、製品自体の組み立てを容易にする。なお、内部底部132と第2パッキン部15との関係についての詳細は後述する。
【0030】
被係合部16は、凹状部12内で、相手コネクタ20の係合爪236の変形を開放する空間162を有し、復元して挿入部23の外面から離間する位置に位置した係合爪236に係合して、相手コネクタ20の抜脱方向への移動を規制する。
【0031】
被係合部16は、係合爪236を収容する空間162と、係合爪236を押下して解放するためのリリースボタン164と、リリースボタン164を係止状態となる方向に付勢する付勢部材166とを有する。
【0032】
付勢部材166は、リリースボタン164を移動して、解放状態(空間162内から係合爪236が外れた位置に位置させる状態)から係合状態(空間162に係合爪236を位置させる状態)に移動するように付勢する。付勢部材166は、本実施の形態では、コイルスプリングを用いて、リリースボタン164を上方に付勢している。
【0033】
リリースボタン164をコネクタ本体13の内側に押圧することにより、リリースボタン164の底面は、凹状部12内で係合爪236を押圧する。これにより、係合爪236の被係合部16への係合状態が開放され、相手コネクタ20をコネクタ10から外すことが可能となる。
【0034】
被接続端子14は、棒状体であり、挿入方向、つまり、接触方向に沿って配置され、挿入方向に伸縮自在である。被接続端子14は、例えば、スプリングプローブである。被接続端子14は、筒状本体141内から筒状本体141の一端側に、先端が突出するプランジャ部142を有し、筒状本体141の他端側は閉塞されて棒状部141aが延在方向に突出して設けられている。プランジャ部142は、他端側が筒状本体141内で摺動自在に配置されている。プランジャ部142は、筒状本体141内で、プランジャ部142と筒状本体141の他端との間に架設されたスプリング143により、一端側に付勢されている。
【0035】
被接続端子14は、内部底部132に、プランジャ部142と棒状部141aとが挿入方向で突出した状態で、筒状本体141が固定されている。プランジャ部142は、第2パッキン部15を挿通し、凹状部12内に突出している。
【0036】
被接続端子14は、先端で接続端子22に当接した際に、当接方向と逆方向で押圧されても、第2パッキン部15を挿通した状態で、接触状態を確実に確保したまま移動できる。
【0037】
本実施の形態では、被接続端子14は、相手コネクタ20の挿入部23の先端面に設けられた挿入孔233に当接する。被接続端子14は、挿入孔233内で、挿入部23内の接続端子22に押圧した状態で確実に接触する。
【0038】
第1パッキン部18は、凹状部12の内周面に配置された環状部材であり、挿入部23の外周面が摺動し、この外周面と凹状部12との間の水密性を確保する。これにより、第2パッキン部15を介した挿入部23の先端面21と凹状部12の底面部(内部底部132)との接触部分は、密閉される。
【0039】
図6は、第2パッキン部15の平面図であり、
図7は、第2パッキン部15の後方斜視図であり、
図8は、
図6のB-B線断面図である。
【0040】
第2パッキン部15は、
図3に示すように、コネクタ本体13において、凹状部12の底面部分で、被接続端子14を囲むように配置されているとともに、背面側に逃げ空間部19を空けた状態で配設されている。
【0041】
第2パッキン部15は、凹状部12内で、接続端子22と被接続端子14との接続領域Sを囲む筒状部15a(
図8参照)を有する。本実施の形態では、筒状部15aは、密着筒部158と、パッキン本体152における貫通孔154を囲む部位とに相当する。
【0042】
第2パッキン部15は、筒状部15a(
図8参照)の先端(密着筒部158の先端15b)と挿入部23との当接により筒状部の内側を密閉する状態で、先端15bが挿入方向に押圧される際、筒状部の基端(パッキン本体152における背面側の貫通孔154の開口端15c)が挿入方向奥側に移動する。筒状部15aの基端15cは、逃げ空間部19に移動する。
【0043】
第2パッキン部15は、接続端子22、被接続端子14、或いは、接続端子22及び被接続端子14どうしの接続領域Sを囲むように配置され、挿入方向に移動する挿入部23に当接して接続領域を水密で密閉し、防水性及び防塵性を確保する。
【0044】
第2パッキン部15は、弾性体であり、変形により凹状部12内の挿入部23の先端面21と、凹状部12の底面部であるコネクタ本体13の内部底部132との間を、双方の端子14、22同士が接合した状態で密閉し、水密性、防塵性を確保する。
【0045】
第2パッキン部15は、凹状部12と挿入部23との間の被接続端子14、接続端子22、及びこれらの接合部分のうちの少なくとも一つの周囲を水密で囲むように配置される。
【0046】
第2パッキン部15は、例えば、可撓性を有する樹脂等の弾性材料として、シリコンゴム等の柔軟で防水性を有するゴム系の材料で構成されることが好ましい。第2パッキン部15は、パッキン本体152と、貫通孔154と、位置決め脚部155と、係合部156と、密着筒部158とを有する。位置決め脚部155は、係合部156とともに、パッキン本体152の中央部の外周部ともいえる。
【0047】
パッキン本体152は、筒状部の基端から外側(挿入方向と直交する方向に延在するものであり、挿入方向奥側で内部底面132(凹状部12の底面部)との間に、基端が移動可能な逃げ空間部19を形成する。このパッキン本体152は、コネクタ本体13において凹状部12の底面より奥側の内部底部132を被うように配置され、且つ、逃げ空間部19を空けて配置される。
【0048】
パッキン本体部152は、逃げ空間部19を圧縮するよう変形し、筒状部の基端、つまり、背面側の貫通孔154の開口縁を移動させる。これにより、パッキン本体部152を介して密着筒部158は、先挿入部23の先端面21に対して、より密着性を高めた状態で当接することができる。
【0049】
パッキン本体152は、コネクタ本体13の内部底部132が矩形状であるので、これに対応した形状を有する。本実施の形態では、内部底部132及び凹状部12の底面部分も矩形状であるので、パッキン本体152は、矩形状に形成されている。
【0050】
貫通孔154には、被接続端子14が挿通されている。貫通孔154は、被接続端子14に対応する位置に、パッキン本体152の厚さ方向(挿入方向と同じ)に貫通して設けられている。なお、貫通孔154を挿通する端子は、相手コネクタ20の接続端子22を棒状の端子とし、被接続端子を、貫通孔154を挿通する棒状の相手コネクタの接続端子と、パッキン本体152の背面側(奥側)で接続する構成としてもよい。
【0051】
位置決め脚部155は、パッキン本体152の背面側、つまり、挿入方向側の面から突出して設けられた筒状体である。位置決め脚部155は、内部底部132のガイド溝1322に内嵌して、位置決めされるとともに、内部を密閉するように配置される。
位置決め脚部155は、筒状部の内側と連通する逃げ空間部19を密閉するように凹状部の外周部(ここでは、内部底部132のガイド溝1322の外側の面1322a)に密着する。
【0052】
位置決め脚部155の突端部外周には、外方に突出するフランジ部1552が設けられている。フランジ部1552は、変形して、フランジ部1552の外側にあるガイド溝1322の内周面に密着する。これにより、フランジ部1552は、パッキン本体152の表面(開口側の面)側と背面側とを水密的に仕切る。フランジ部1552は、パッキン本体152と内部底部132との間への塵の侵入を防ぎ防塵性も確保できる。
【0053】
係合部156は、コネクタ本体13(具体的には内部底部132)において、逃げ空間部19を形成するよう凹状部12の底面部(内部底部132)から離間させた状態でパッキン本体152を支持する。係合部156は、第2パッキン部15を内部底部132に、凹状部12の開口方向で被うように取り付けた際に、内部底部132と係合して、内部底部132の表面と、パッキン本体との間の逃げ空間部19を容易に形成する。
【0054】
係合部156は、本実施の形態では、パッキン本体152の背面よりも背面側に突出しした位置に設けられ、内部底部132の外周部或いは外周部の一部に係合する。
【0055】
係合部156は、例えば、パッキン本体152の左右両端部側で張出して設けられ、パッキン本体152の背面よりも奥側で、内部底部132において挿入方向と直交する方向である長手方向で、離間する左右両端部側の外縁部1324に係合する。
【0056】
図3に示すように係合部156は、内部底部132の外縁部1324に係合することにより、パッキン本体152を、凹状部12の奥側で、内部底部132を覆うように、逃げ空間部19を空けた凹状部12の底面として位置させる。パッキン本体152は、内部底部の外面と対向するように、挿入方向と直交して配置される。
【0057】
逃げ空間部19は、第2パッキン部15が弾性変形して奥側に突出する際に、具体的には、パッキン本体152の中央部が奥側に移動する際に、その移動を可能にする空間である。
【0058】
逃げ空間部19は、パッキン本体152において被接続端子14が挿通する貫通孔154の形成部分(中央部)の裏面側に形成される空間である。
【0059】
密着筒部158は、第2パッキン部15の一部であるので、パッキン本体152と同様の弾性材料で一体に成形されており、変形可能である。密着筒部158は、第2パッキン部15において相手コネクタ20を押圧した際、相手コネクタ20に密着して、相手コネクタとの水密性を確保する。
【0060】
密着筒部158は、パッキン本体152の表面側で突出する筒状体であり、内部空間が貫通孔154に連続するように設けられている。
【0061】
密着筒部158は、具体的には、挿入部23の先端面21において、挿入孔233の開口縁部に密着し、挿入孔233と貫通孔154とを水密で連通させる。
【0062】
図6及び
図8に示すように、密着筒部158は、パッキン本体152の表面側で貫通孔154を囲むように突出する筒状本体1582と、先端側に向かって外径が小さくなる先端部1584とを有する。
【0063】
図9は、密着筒部158を介した第2パッキン部15と相手コネクタ20との密着部分を示す拡大図である。
密着筒部158では、先端部1584は先端側に向かって外径が小さくなり、先細り形状である。これにより、先端部1584は、相手コネクタ20に接触した際に、変形しやすくなっており、相手コネクタ20に押圧された場合、変形しやすく相手コネクタ20の接触部分に密着した状態となる。
【0064】
また、本実施の形態における、相手コネクタ20の接触部分は、
図3及び
図9に示すように、先端面21における挿入孔233の開口縁部2332であり、座繰り状に形成されている。すなわち、開口縁部2332は、相手コネクタ20の内部に向かって内径が小さくなっている。
【0065】
双方の端子14、22を接続するように、挿入部23をコネクタ本体13の凹状部12に挿入すると、開口縁部2332に密着筒部158の先端部1584に当接することになり、より多くの接触面で当接し、密着する。これにより、先端部1584が垂直に先端面21に密着する場合と比較して密着面積が増加することにより、水密性を高めることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第2パッキン部15における筒状部15aの先端15bを密着筒部158の先端部1584として説明したが、これに限らず、例えば、第2パッキン部15の構成において密着筒部158が無く、第2パッキン部15のパッキン本体152の前面側全体で、挿入部23の先端面21に密着して、接続領域Sを囲む構成としてもよい。
【0067】
本実施の形態では、コネクタ10のコネクタ本体13には相手コネクタ20の接続端子(面状接点部)22と同数の被接続端子14が設けられ、ここでは、凹状部12の底面部分及び先端面21に多数の端子組(2段で5本ずつ)設けられている。
よって、相手コネクタ20の挿入部23を、コネクタ本体13の凹状部12に挿入する場合、内部の空気が抜けにくいこともあり、挿入部23が係合しにくい。
これに対して、本実施の形態では、密着筒部158の背面側に逃げ空間部19が設けられている。
【0068】
図10は、本発明に係る一実施の形態のコネクタの動作を示す断面図である。
第2パッキン部15が挿入部23の先端面21により凹状部12の奥側に押圧される場合、密着筒部158は変形して、奥側に押圧される。すると、パッキン部15のパッキン本体152が、奥側、つまり背面側の逃げ空間部19で変形することとなり、第2パッキン部15が変形しつつ、挿入部23との水密を確保ししつつ双方を係合できる。
【0069】
このように、挿入部23を凹状部12内に挿入して接合する場合、接続する端子の組数が多く、底面部分に設けたパッキン部分の反力が大きくなり、
図3に示す接合状態になることが困難となる場合が考えられる。本願発明は、第2パッキン部15の背面側、とくに密着筒部158の背面側に、逃げ空間部19が形成されているので、第2パッキン部15を変形させて、双方を容易に水密で接続することができる。
【0070】
本実施の形態のコネクタ10では、第2パッキン部15のパッキン本体152の背面側に逃げ空間部19を有する構成としたが、第2パッキン部15のパッキン本体152が背面側に変形可能であれば、どのよう構成されてもよく、逃げ空間部19は無くてもよい。すなわち、第2パッキン部15は、筒状部(密着筒部158)の内側を密閉する状態で、筒状部18の先端を挿入方向に押圧される際、筒状部の基端が前記挿入方向奥側に移動するように構成されていればよい。
【0071】
なお、係合状態を解放する場合、リリースボタン164を押下するだけで、係合爪236を、空間162内から外れた位置に位置させて解放状態として、相手コネクタ20をコネクタ10から外したりすることを容易に行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るコネクタは、押し込んでコネクタを接続する際に水密にする範囲が広くなっても、押し込む力を増加させることなく、簡単に、確実に水密で相手コネクタと接続できる効果を有し、携帯型医療機器等として有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 コネクタ装置
10 コネクタ
10a 接合部
12 凹状部
13 コネクタ本体
14 被接続端子
15 第2パッキン部(パッキン部)
15a 筒状部
15b 先端
15c 基端
16 被係合部
18 第1パッキン部
19 逃げ空間部(空間部)
20 相手コネクタ
21 底面部
21 先端面
22 接続端子
23 挿入部
24 フレキシブルプリント基板
241 リード
242 先端側の部位
132 内部底部
141 筒状本体
141a 棒状部
142 プランジャ部
143 スプリング
152 パッキン本体(本体部)
154 貫通孔
155 位置決め脚部(外周部)
156 係合部(外周部)
158 密着筒部
162 空間
164 リリースボタン
166 付勢部材
231 本体部
233 挿入孔
236 係合爪
1322 ガイド溝
1324 外縁部
1552 フランジ部(外周筒状部)
1582 筒状本体
1584 先端部
2332 開口縁部