(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】画像送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241002BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
G06F13/00
(21)【出願番号】P 2021014460
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】小野木 健二
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-044402(JP,A)
【文献】特開2002-232487(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/104701(JP,A1)
【文献】特開2010-041564(JP,A)
【文献】特開2013-223169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/38687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザーが設定した電子メールアドレスに画像データを送信する通信部と、
ユーザーの設定を受け付ける操作部と、
ユーザーを認証するユーザー認証部と、
予め定められた事案ごとに前記事案の適用対象となる
対象ユーザーおよび前記対象ユーザーごとに送信可能な対象ドメインを記憶する記憶部と、
前記通信部、前記操作部
、前記ユーザー認証部および前記記憶部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
画像データを送信すべき電子メールアドレスをユーザーが設定したとき、前記ユーザー認証部によって認証されたユーザーが前記事案の対象ユーザーであるか否かを判定し、対象ユーザーである場合、前記電子メールアドレスのドメイン部分が、前記対象ユーザーが送信可能な対象ドメインと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記電子メールアドレスの設定を受け付け、
一方、前記ユーザーが対象ユーザーでないか、または前記電子メールアドレスのドメイン部分が、前記対象ユーザーが送信可能な対象ドメインと一致しない場合、前記電子メールアドレスの設定を受け付けないことを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
前記画像データの送信設定を設定する送信設定部をさらに備え、
前記記憶部は、前記事案の対象ドメインごとに予め定められた送信設定を記憶し、
前記制御部は、前記電子メールアドレスのドメイン部分が前記事案の対象ドメインと一致する場合、前記対象ドメインに基づいて定められた送信設定に基づき、前記送信設定部に前記画像データの送信設定を設定させる請求項
1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記送信設定は、画像データへの電子透かしの付加、パスワードによる保護および有効期限の少なくとも1つを含む請求項
2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
ユーザーに各種情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記対象ドメインに基づいて定められた送信設定に基づき、前記送信設定部に前記画像データの送信設定を設定させる場合、当該送信設定の内容を前記表示部に表示させる請求項2
または3に記載の画像送信装置。
【請求項5】
ユーザーに各種情報を表示する表示部をさらに備え、
前記記憶部は、画像データの送信履歴および前記事案の有効期限を記憶し、
前記制御部は、予め定められたタイミングで、前記事案の有効期限および前記事案に係る前記画像データの送信履歴のリストを前記表示部に表示させる請求項
1~3のいずれか1つに記載の画像送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像送信装置に関し、より詳細には、電子メールにより画像データを送信する機能を有する画像送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの画像形成装置において、設定された宛先にスキャンした画像データをe-mailにより送信する画像送信機能を有するものが知られている。
【0003】
このような画像送信装置において、操作に不慣れなユーザーが送信先の電子メールアドレスを誤って入力してしまうことにより、誤った送信先に画像データを誤送信してしまう問題がある。
【0004】
このような問題を解決すべく、従来、送信可能なドメイン名のみを予め登録しておき、送信可能なドメイン名を含む電子メールアドレスについてのみ送信を許可する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、送信可能な電子メールアドレスのドメイン名を登録するドメイン登録部と、送信先として入力された電子メールアドレスのドメイン名が前記ドメイン登録部に登録されていない場合に前記送信先の電子メールアドレスへの画像データの送信を制限する制限部とを備え、前記制限部による送信制限の設定および前記アドレス登録部に登録されたアドレス一覧の編集を、前記管理者権限を持つ管理者にのみ許可することを特徴とする画像送信装置の発明も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-304292号公報
【文献】特開2013-223169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、秘密保持条項を含む契約を結んだ相手にスキャンした画像データを送信するような場合に、従来の設定を用いて電子メールアドレスのドメイン名ごとに契約内容や取り決めに準じて予め定められたデフォルトの設定をユーザーが行うことは可能である。
しかしながら、同一の契約で複数の契約先が存在する場合に、複数のドメイン名についてそれぞれ同じ設定を手入力するのは煩雑である。
【0008】
また、同一の相手と複数の契約を結んでいる場合には、どの契約に関連するものであるかによって異なる有効期限やパスワードを送信する電子データに付与したいという状況が生じることもある。
しかしながら、電子メールアドレスのドメイン名が同一となるため、ドメイン名に基づいてデフォルト設定を行うという方法では、このような状況への対応が困難となる。
【0009】
また、各ユーザーがどの契約に関与しているかによっても秘密保持対象となる取引先が異なるため、管理者がこれらの契約すべてを把握して各ユーザーの送信設定を管理するのは困難であり、秘密保持対象とみなされない形で誤って情報が外部に漏れてしまうおそれがあった。
【0010】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明による画像送信装置は、ネットワークを介してユーザーが設定した電子メールアドレスに画像データを送信する通信部と、ユーザーの設定を受け付ける操作部と、予め定められた事案ごとに前記事案の適用対象となる対象ドメインを記憶する記憶部と、前記通信部、前記操作部および前記記憶部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、画像データを送信すべき電子メールアドレスをユーザーが設定したとき、前記電子メールアドレスのドメイン部分が前記事案の対象ドメインと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記電子メールアドレスの設定を受け付け、一方、前記電子メールアドレスのドメイン部分が前記事案の対象ドメインと一致しない場合、前記メールアドレスの設定を受け付けないことを特徴とする。
【0012】
この発明において、「画像送信装置」は、例えば、電子メールにより画像データを送信する装置である。
また、「予め定められた事案」とは、法的な裏付けのある合意形態としての契約のほかに、各種の取引、プロジェクトなどがあげられる。
また、「予め定められた事案ごとに前記事案の適用対象となる対象ドメイン」は、例えば、事案が秘密保持契約である場合は、当該秘密保持契約を結んだ取引先のメールアドレスのドメインである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、予め定められた契約ごとに前記契約の適用対象となる対象ドメインと一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、前記電子メールアドレスの設定を受け付けるため、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置を実現できる。
【0014】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0015】
(2)ユーザーを認証するユーザー認証部をさらに備え、前記記憶部は、予め定められた事案ごとに前記事案の適用対象となる対象ユーザーおよび前記対象ユーザーごとに送信可能な前記対象ドメインを記憶し、前記制御部は、画像データを送信すべき電子メールアドレスをユーザーが設定したとき、前記ユーザー認証部によって認証されたユーザーが前記事案の対象ユーザーであるか否かを判定し、対象ユーザーである場合、前記電子メールアドレスのドメイン部分が、前記対象ユーザーが送信可能な対象ドメインと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記電子メールアドレスの設定を受け付け、一方、前記ユーザーが対象ユーザーでないか、または前記電子メールアドレスのドメイン部分が、前記対象ユーザーが送信可能な対象ドメインと一致しない場合、前記メールアドレスの設定を受け付けないものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、ユーザー認証部によって認証されたユーザーが予め定められた事案の対象ユーザーであり、かつ、電子メールアドレスのドメイン部分が、前記対象ユーザーが送信可能な対象ドメインと一致する場合にのみ、前記電子メールアドレスの設定を受け付けるため、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置を実現できる。
【0017】
(3)前記画像データの送信設定を設定する送信設定部をさらに備え、前記記憶部は、前記事案の対象ドメインごとに予め定められた送信設定を記憶し、前記制御部は、前記電子メールアドレスのドメイン部分が前記事案の対象ドメインと一致する場合、前記対象ドメインに基づいて定められた送信設定に基づき、前記送信設定部に前記画像データの送信設定を設定させるものであってもよい。
【0018】
このようにすれば、送信先が関連する事案に基づいて予め定められた送信設定が送信すべき画像データに設定されるため、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置を実現できる。
【0019】
(4)前記送信設定は、画像データへの電子透かしの付加、パスワードによる保護および有効期限の少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0020】
このようにすれば、送信先が関連する事案に基づいて、電子透かしの付加やパスワードによる保護および有効期限などの予め定められた送信設定が送信すべき画像データに設定されるため、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置を実現できる。
【0021】
(5)ユーザーに各種情報を表示する表示部をさらに備え、前記制御部は、前記対象ドメインに基づいて定められた送信設定に基づき、前記送信設定部に前記画像データの送信設定を設定させる場合、当該送信設定の内容を前記表示部に表示させるものであってもよい。
【0022】
このようにすれば、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密を保持すべき相手に対して従来よりも適切に画像データを送信することが可能な画像送信装置において、送信先が関連する事案に基づいて送信すべき画像データに予め定められた送信設定が設定する際に当該送信設定の内容が表示部に表示されるため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像送信装置を実現できる。
【0023】
(6)ユーザーに各種情報を表示する表示部をさらに備え、前記記憶部は、画像データの送信履歴および前記事案の有効期限を記憶し、前記制御部は、予め定められたタイミングで、前記事案の有効期限および前記事案に係る前記画像データの送信履歴のリストを前記表示部に表示させるものであってもよい。
【0024】
このようにすれば、予め定められたタイミングで、送信先が関連する事案の有効期限および前記事案に係る前記画像データの送信履歴のリストが表示部に表示されるため、従来よりもユーザーの利便性の高い画像送信装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明のデジタル複合機を含むネットワークシステムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図1のデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のPCの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のデジタル複合機のアドレス帳の宛先の登録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1のデジタル複合機の表示部に表示されたセキュリティポリシー設定画面の一例である。
【
図6】
図1のデジタル複合機の表示部に表示されたドメインに基づくセキュリティポリシー設定画面の一例である。
【
図7】
図1のデジタル複合機の表示部に表示されたジョブ設定画面の一例である。
【
図8】
図1のデジタル複合機のジョブ設定の一例である。
【
図9】
図1のデジタル複合機の契約案件登録設定の一例である。
【
図10】
図1のデジタル複合機のユーザーごとの契約案件登録設定の一例である。
【
図11】
図1のデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図1のデジタル複合機の表示部に表示された確認メッセージの一例を示す説明図である。
【
図13】前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれていない場合におけるこの発明の実施形態2に係るデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態2に係るデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機の宛先選択画面における各宛先の表示・非表示判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれていない場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機の宛先選択画面における各宛先の表示・非表示判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】この発明の実施形態5に係るデジタル複合機のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
【
図21】この発明の実施形態5に係るデジタル複合機の契約有効期限満了時のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
【
図22】この発明の実施形態5に係るデジタル複合機の契約有効期限延長時のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0027】
〔実施形態1〕
図1~
図3に基づき、この発明の画像送信装置の一実施形態であるデジタル複合機1について説明する。
【0028】
図1は、この発明のデジタル複合機1を含むネットワークシステム100の構成の一例を示す説明図である。また、
図2は、
図1のデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。また、
図3は、
図1のPC2の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、この発明のネットワークシステム100において、デジタル複合機1は、ネットワーク3を通じて接続されたメールサーバー4,4A,4B,4Cを介して、取引先ABCDE株式会社に属するパーソナルコンピュータPC2A、FGHIJ株式会社に属するPC2BおよびKLMNO株式会社に属するPC2Cと電子メールを送受信可能に構成される。
【0030】
なお、以下の説明において、PC2A、PC2BおよびPC2CをまとめてPC2として説明する。
【0031】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、コピー機能やプリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能およびメール送信機能を有するMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)等の装置である。
【0032】
デジタル複合機1は、画像データを添付した電子メールをメールサーバー4に送信し、メールサーバー4は、ネットワーク3を通じて接続されたメールサーバー4A,4B,4Cを介して、所望のPC2A,2B,2Cに当該電子メールを送信する。
【0033】
図2に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像データ取得部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、タイマ16、操作パネル17、給紙部18およびユーザー認証部19を備える。
【0034】
以下、デジタル複合機1の各構成要素について説明する。
【0035】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
【0036】
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、操作パネル17等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0037】
画像データ取得部11は、原稿台に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
また、有線/無線ネットワーク3を経由して外部の情報処理装置等から画像データを取得するものであってもよく、USB等に記録された画像データを取得するものであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0038】
画像形成部12は、画像データ取得部11によって取得され、画像処理部14によって処理された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
【0039】
LSU121は、デジタル信号からなる画像データの情報に対応するレーザー光を帯電状態にある図示しない感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0040】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
【0041】
記憶部13は、印刷等のジョブに関する情報や画像データなどジョブの実行に必要なデータを記憶する。
また、記憶部13は、ユーザー認証用に記憶されたユーザーのログイン名やパスワードなどの情報を記憶する。
【0042】
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0043】
画像処理部14は、操作部172から入力された印刷等のジョブの指令に基づき、画像データ取得部11から入力された画像データを適正な電気信号に変換して拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0044】
通信部15は、ネットワーク3を介して、PC2や携帯情報端末、情報処理装置等の外部機器との通信をおこない、メール等を通じてこれらの外部機器に画像データ等を送信する部分である。
【0045】
タイマ16は、時間を計測してカウントする部分であり、例えば、内蔵時計やネットワーク3を通じて時刻を取得する。
【0046】
操作パネル17は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部171および操作部172を備える。
【0047】
表示部171は、各種情報の表示を行う部分である。
表示部171は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0048】
制御部10は、表示部171を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0049】
操作部172は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0050】
給紙部18は、給紙カセット、手差トレイに格納された用紙を画像形成部12まで搬送する部分である。
【0051】
ユーザー認証部19は、操作部172から入力されたログイン名やパスワード等の情報と、記憶部13に予め記録された対応情報とを比較することによって、当該ユーザーが正規ユーザーであるか否かの認証を行う部分である。
【0052】
なお、ユーザー認証部19は、図示しないカードインターフェース部を通じてユーザーのICカードから読み取られたユーザーID等の情報に基づいて、当該ユーザーが正規ユーザーであるか否かの認証を行うようにしてもよい。
【0053】
<PC2の概略構成>
次に、
図3に基づき、PC2の概略構成を説明する。
【0054】
図3に示すように、PC2は、制御部20、記憶部21、画像処理部22、通信部23、表示部24および操作部25を備える。
【0055】
なお、制御部20、記憶部21、画像処理部22、通信部23、表示部24および操作部25はそれぞれ、
図2の制御部10、記憶部13、画像処理部14、通信部15、表示部171および操作部172と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0056】
<この発明の実施形態1のデジタル複合機1のアドレス帳の宛先の登録処理>
次に、
図4~
図10に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1のアドレス帳の宛先の登録処理について説明する。
【0057】
図4は、
図1のデジタル複合機1のアドレス帳の宛先の登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図4において、ユーザーがアドレス帳の宛先の登録を開始した状況を想定する。
図4のステップS1において、制御部10は、宛先情報に入力された電子メールアドレスのドメイン部分をチェックする(ステップS1)。
【0059】
次に、ステップS2において、制御部10は、ドメイン部分から当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスか否かを判定する(ステップS2)。
【0060】
当該宛先が社外アドレスでない場合(ステップS2の判定がNoの場合)、すなわち社内アドレスである場合、制御部10は、処理を終了する。
【0061】
一方、当該宛先が社外アドレスである場合(ステップS2の判定がYesの場合)、ステップS3において、制御部10は、カウンタ値CNに0を入力し(ステップS3)、続くステップS4において、リストを空リストとする(ステップS4)。
【0062】
次に、制御部10は、登録済みの契約情報ごとにステップS5の処理を繰り返す(ステップS5)。
ここで、ステップS5の処理には、ステップS6~S12の処理が含まれる。
【0063】
ステップS6において、所定の契約の対象ユーザーによる入力か否かを判定する(ステップS6)。
【0064】
対象ユーザーでない場合(ステップS6の判定がNoの場合)、ステップS5に戻って繰り返し処理を継続する(ステップS5)。
【0065】
一方、ステップS6において、対象ユーザーである場合(ステップS6の判定がYesの場合)、制御部10は、契約先ごとにステップS7の処理を繰り返す(ステップS7)。
ここで、ステップS7の処理には、ステップS8~S10の処理が含まれる。
【0066】
制御部10は、契約先の電子メールアドレスごとにステップS8の処理を繰り返す(ステップS8)。
ここで、ステップS8の処理には、ステップS9~S10の処理が含まれる。
【0067】
ステップS9において、制御部10は、入力された電子メールアドレスのドメイン部分を登録済みのセキュリティポリシーのドメインと照合する(ステップS9)。
【0068】
次に、ステップS10において、制御部10は、入力された電子メールアドレスのドメイン部分が登録済みのセキュリティポリシーのドメインと一致するか否かを判定する(ステップS10)。
【0069】
入力された電子メールアドレスのドメイン部分が登録済みのセキュリティポリシーのドメインと一致する場合(ステップS10の判定がYesの場合)、ステップS11において、制御部10は、リストに契約名および契約先の情報を追加する(ステップS11)。
【0070】
次に、ステップS12において、制御部10は、カウンタ値CNに1を加え(ステップS12)、ステップS5に戻って繰り返し処理を継続する(ステップS5)。
【0071】
一方、ステップS10において、入力された電子メールアドレスのドメイン部分が登録済みのセキュリティポリシーのドメインと一致しない場合(ステップS10の判定がNoの場合)、制御部10は、契約先ごと(ステップS7)および電子メールアドレスのドメインごと(ステップS8)に入力された電子メールアドレスのドメイン部分との照合判定(ステップS10)を繰り返すものとする。
【0072】
繰り返しの結果、ステップS10の判定がすべてNoだった場合は、ステップ5に戻って登録済みの契約情報ごとの繰り返し処理を継続する。
【0073】
ステップ5において、すべての登録済みの契約情報に対する繰り返し処理が完了すると、制御部10はステップS13に進み、カウンタ値CNの値を判定する(ステップS13)。
【0074】
ステップS13において、カウンタ値CNの値が0の場合、操作を行っているユーザーが登録済みのすべての契約情報で対象とされていない、あるいは入力された電子メールアドレスが契約情報ごとに設定されているセキュリティポリシーのいずれにも適合しなかったことを意味するので、ステップS14において、制御部10は、当該電子メールアドレスを登録不可とする(ステップS14)。
【0075】
あるいは、管理権限をもつ管理ユーザーに承認を求める通知を電子メールで送信し、個別のセキュリティポリシーを設定して承認してもらうことにより、当該宛先を登録できるようにしてもよい。
【0076】
一方、ステップS13において、カウンタ値CNの値が2以上の場合、ステップS15において、制御部10は、リストから情報を取得する(ステップS15)。
【0077】
カウンタ値CNの値が2以上の場合は、2以上の登録済みの契約情報において、電子メールアドレスのドメイン部分が一致したことに対応する。
【0078】
この場合、ステップS16において、制御部10は、契約名選択画面を表示部171に表示させ、操作部172にユーザーからの入力を複数選択可能に受け付けさせる(ステップS16)。
【0079】
その後、制御部10は、後述するステップS18の処理を行う。
【0080】
次に、ステップS13において、カウンタ値CNの値が1の場合、ステップS17において、制御部10は、リストから情報を取得する(ステップS17)。
【0081】
続くステップS18において、制御部10は、契約に紐付けられたセキュリティポリシー情報を取得し、表示部171に表示させてユーザーに確認を促す(ステップS18)。
【0082】
ここで、
図5~
図10に基づき、管理者が事前に行うセキュリティポリシー設定について説明する。
【0083】
図5は、
図1のデジタル複合機1の表示部171に表示されたセキュリティポリシー設定画面の一例である。
セキュリティポリシーの設定は、管理権限をもつ管理ユーザーによって予め設定される。
【0084】
図5の例において、契約名「X1に関する秘密保持契約」、有効期限「2021/03/06」、対象ユーザー、契約先名称1「ABCDE株式会社」、ドメイン「*@abcde.co.jp; *@123-abcde.co.jp」およびジョブ設定が設定される。
【0085】
図5においては、単一の契約先しか設定できないように見えるが、複数の契約先およびドメインを設定できるようしてもよい。
【0086】
また、
図6は、
図1のデジタル複合機1の表示部171に表示されたドメインに基づくセキュリティポリシー設定画面の一例である。
【0087】
図6に示すように、管理権限をもつ管理ユーザーは、ドメイン別にセキュリティポリシー設定を行ってもよい。
【0088】
図6の例において、ドメイン「*@abcde.co.jp; *@123-abcde.co.jp」、組織名称「ABCDE株式会社」、契約名1「X1に関する秘密保持契約」、有効期限「2021/03/06」、対象ユーザーおよびジョブ設定が設定される。
【0089】
図6においては、単一の契約情報しか設定できないように見えるが、複数の契約情報、また当該契約情報に紐づけられた対象ユーザーおよびジョブ設定を設定できるようにしてもよい。
【0090】
図7は、
図1のデジタル複合機1の表示部171に表示されたジョブ設定画面の一例である。
【0091】
図5に示すセキュリティポリシー設定画面において、契約先のドメインごとに設定されるジョブ設定の一例を
図7に示す。
【0092】
図7の例に示すように、契約ごとのセキュリティポリシーに設定されるジョブ設定として、「送信時の確認メッセージ」が「有効」、「PDFファイルの保護」が「有効」、「デフォルトパスワード」、「印刷の禁止」が「無効」などの設定がされている。
【0093】
図8は、
図1のデジタル複合機1のジョブ設定項目の一例である。
図8に示すように、ジョブ設定例として、「送信時の確認メッセージ」について「有効/無効」、「PDFファイルの保護」について「有効/無効」、「デフォルトパスワード」、「印刷の禁止」について「有効/無効」、「契約失効後の文書無効化」について有効/無効」、「ウォーターマークの付加」について「有効/無効」および「詳細設定(文書・色・濃度など)」、「通信履歴の記録」について「有効/無効」の設定などがあげられる。
【0094】
図9は、
図1のデジタル複合機1の契約案件登録設定の一例である。
契約案件登録設定は、管理権限をもつ管理ユーザーによって予め設定される。
【0095】
図9の例において、ABCDE株式会社(ドメイン名:abcde.co.jp)と、X1に関する秘密保持契約(2021/03/06まで有効)およびX2に関する秘密保持契約(2020/12/31まで有効)を結んでいる旨が設定されている。
また、FGHIJ株式会社(ドメイン名:fghij.com)とソフトウェアサポート契約(2021/7/31まで有効)を結んでいる旨が設定されている。
また、KLMNO株式会社(ドメイン名:klmno.co.jp)との間の契約についても同様に設定される。
【0096】
図10は、
図1のデジタル複合機1のユーザーごとの契約案件登録設定の一例である。
ユーザーごとの契約案件登録設定は、管理権限をもつ管理ユーザーによって予め設定される。
【0097】
通常は、上記セキュリティポリシーの登録時にユーザーリストから選択することで、各ユーザーが関与する契約案件が設定される。
また、新規ユーザーを追加登録する際や既存ユーザーの設定を変更する際に登録済みの契約案件のリストから選択して設定できるようにしてもよい。
【0098】
図10の例において、XXYYZZ社(ドメイン名:xxyyzz.co.jp)は、ABCDE株式会社(ドメイン名:abcde.co.jp)と、X1に関する秘密保持契約(2021/03/06まで有効)およびX2に関する秘密保持契約(2020/12/31まで有効)を結んでいる旨が設定されている。
また、FGHIJ株式会社(ドメイン名:fghij.com)とKLMNO株式会社(ドメイン名:klmno.co.jp)との間の契約についても同様に設定される。
【0099】
ここで、XXYYZZ社のユーザーが、ABCDE株式会社とのX1に関する秘密保持契約に関与している場合、管理ユーザーは、
図10に示すように、社内(ドメイン名:xxyyzz.co.jp)およびABCDE株式会社(ドメイン名:abcde.co.jp)の秘密保持契約X1にチェックを入れる。
【0100】
次に、
図4のステップS19において、制御部10は、電子メールアドレス(宛先情報)と契約情報を関連付けて登録する(ステップS19)。
【0101】
次に、
図11および
図12に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理について説明する。
【0102】
図11は、
図1のデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
図11のステップS21,S22,S24~S34,S36,S38およびS39の処理はそれぞれ、
図4のステップS1~S13,S15,S16およびS18の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図4と異なる
図11のステップS23,S35,S37およびS40の処理について説明する。
【0103】
図11において、ユーザーがe-mail送信等のジョブの実行時に宛先を直接入力した場合を想定する。
【0104】
図11のステップS21において、制御部10は、宛先情報に入力された電子メールアドレスのドメイン部分をチェックする(ステップS21)。
【0105】
次に、ステップS22において、制御部10は、ドメイン部分から当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスか否かを判定する(ステップS22)。
【0106】
当該宛先が社外アドレスでない場合(ステップS22の判定がNoの場合)、ステップS23において、制御部10は、宛先設定が成功したものとしてユーザーの入力を受け付け(ステップS23)、処理を終了する。
【0107】
次に、ステップS26の繰り返し処理の結果、ステップS34の判定においてカウンタ値CNの値が0の場合、ステップS35において、制御部10は、宛先設定を不可としてユーザーの入力を受け付けない(ステップS35)。
【0108】
なお、予め定められた承認手続により管理ユーザーの承認が完了した場合、所定の権限を有しない一般ユーザーも宛先設定できるようにしてもよい。
【0109】
一方、
図11のステップS34において、カウンタ値CNの値が2以上の場合、ステップS36において、制御部10は、リストから情報を取得する(ステップS36)。
【0110】
次に、ステップS37において、制御部10は、契約名選択画面を表示部171に表示させ、操作部172にユーザーからの入力を受け付けさせる(ステップS37)。
ただし、この場合、当該入力は複数選択不可とする。
【0111】
次に、ステップS39において、契約に紐付けられたセキュリティポリシー情報を取得し、表示部171に表示させてユーザーに確認を促した後(ステップS39)、続くステップS40において、宛先設定が成功したものとしてユーザーの入力を受け付ける(ステップS40)。
【0112】
図12は、
図1のデジタル複合機1の表示部171に表示された確認メッセージの一例を示す説明図である。
【0113】
図12の例において、ABCDE株式会社のA社員の宛先を入力した場合を想定する。
このとき、「Aさん(ABCDE株式会社)へのe-mail送信ジョブには下記設定が適用されます。」というメッセージが表示部171に表示される。
【0114】
そして、当該メッセージの下には、「ウォーターマーク(CONFIDENTIAL)」、「PDFファイルをパスワードで保護する」、「PDFファイルの有効期限:2020/03/06」のように、予め定められたジョブ設定が表示される。
【0115】
このようにして、予め定められた契約ごとに前記契約の適用対象となる対象ドメインと一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、前記電子メールアドレスの設定を受け付けるため、誤送信を抑止できる。
さらに、契約ごとに登録されたセキュリティポリシーに沿った設定が自動的に適用されるため、電子メールにおいて個別の宛先に対する設定を行うことなく、契約を結んだ相手に対して従来よりも適切に画像送信を行うことが可能なデジタル複合機1を実現できる。
【0116】
〔実施形態2〕
次に、
図13および
図14に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理について説明する。
【0117】
実施形態2に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同一であるため、説明を省略する。
【0118】
図13は、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれていない場合におけるこの発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0119】
図13のステップS21~S40の処理はそれぞれ、
図11のステップS21~S40の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図11と異なる
図13のステップS41の処理について説明する。
【0120】
図13のステップS40において、宛先設定が成功したものとしてユーザーの入力を受け付けた後(ステップS40)、続くステップS41において、制御部10は、ステップS26からステップS38の処理で取得した契約情報をジョブと対応付け、後の複数宛先設定時のフィルタに用いる設定として記憶部13に記憶させる(ステップS41)。
【0121】
図14は、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態2に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0122】
この場合、開始の時点で社外アドレス設定時にジョブと対応付けられた契約情報が宛先のフィルタに用いられる設定として記憶部13に保持されている(
図13のステップS41)。
【0123】
図14のステップS51~S53およびS55~S58の処理はそれぞれ、
図13のステップS21~S23およびS28~S31の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図13と異なる
図14のステップS54,S59およびS60の処理について説明する。
【0124】
図14のステップS52において、宛先情報に入力された電子メールアドレスの宛先が社外アドレスである場合(ステップS52の判定がYesの場合)、ステップS54において、制御部10は、フィルタとして記憶部13に記憶されている契約情報を参照する(ステップS54)。
【0125】
次に、制御部10は、契約先ごとにステップS55の処理を繰り返す(ステップS55)。
【0126】
そして、ステップS58において、制御部10は、入力された電子メールアドレスのドメイン部分が登録済みのドメインと一致するか否かを判定する(ステップS58)。
【0127】
ドメインが一致する場合(ステップS58の判定がYesの場合)、ステップS59において、制御部10は、宛先設定が成功したものとしてユーザーの入力を受け付ける(ステップS59)。
【0128】
一方、どの契約先にも一致するドメインが1つもない場合(ステップS58の判定がNoの場合)、入力された電子メールアドレスがジョブと対応付けられた契約と無関係であるか、または誤ったアドレスであるとみなし、ステップS60において、制御部10は、当該電子メールアドレスでの宛先追加設定を不可とする(ステップS60)。
【0129】
このようにして、個別の宛先に対する設定を行うことなく、契約を結んだ相手に対して従来よりも適切に画像送信を行うことが可能なデジタル複合機1において、社外アドレスの宛先設定が成功した場合、フィルタとして保持して後の宛先設定の際に参照するため、効率のいいデジタル複合機1を実現できる。
【0130】
〔実施形態3〕
次に、
図15および
図16に基づき、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理について説明する。
【0131】
実施形態3に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同一であるため、説明を省略する。
【0132】
図15は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0133】
実施形態3において、ユーザーが登録済みの宛先からe-mail送信等のジョブの実行時に宛先を選択した場合を想定する。
【0134】
図15のステップS61において、制御部10は、選択された電子メールアドレスのドメイン部分をチェックする(ステップS61)。
【0135】
次に、ステップS62において、制御部10は、ドメイン部分から当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスか否かを判定する(ステップS62)。
【0136】
当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスでない場合(ステップS62の判定がNoの場合)、ステップS63において、制御部10は、宛先設定が成功したものとしてユーザーの選択を受け付け(ステップS63)、処理を終了する。
【0137】
一方、当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスである場合(ステップS62の判定がYesの場合)、ステップS64において、制御部10は、選択された宛先情報に関連付けられた契約情報を取得する(ステップS64)。
【0138】
続いて、ステップS65において、制御部10は、当該契約情報のうち、対象ユーザーに関するものを抽出する(ステップS65)。
【0139】
次に、ステップS66において、制御部10は、当該契約情報のうち、対象ユーザーに関するものが2つ以上あるか否かを判定する(ステップS66)。
【0140】
2つ以上ある場合(ステップS66の判定がYesの場合)、ステップS67において、制御部10は、契約名選択画面を表示部171に表示させ、操作部172にユーザーからの入力を受け付けさせる(ステップS67)。
ただし、この場合、当該入力は複数選択不可とする。
【0141】
その後、制御部10は、後述するステップS68の処理を行う。
【0142】
一方、ステップS66の判定において、当該契約情報のうち、対象ユーザーに関するものが1つである場合(ステップS66の判定がNoの場合)、ステップS68において、制御部10は、契約に紐付けられたセキュリティポリシー情報を取得し、表示部171に表示させてユーザーに確認を促した後(ステップS68)、続くステップS69において、宛先設定が成功したものとしてユーザーの選択を受け付ける(ステップS69)。
【0143】
図16は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の宛先選択画面における各宛先の表示・非表示判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0144】
図16のステップS71において、電子メールアドレスの宛先が社外アドレスか否かを判定する(ステップS71)。
【0145】
当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスでない場合(ステップS71の判定がNoの場合)、すなわち、社内アドレスである場合、ステップS72において、制御部10は、当該宛先を表示部171に表示させる(ステップS72)。
【0146】
一方、当該電子メールアドレスの宛先が社外アドレスである場合(ステップS71の判定がYesの場合)、ステップS73において、制御部10は、当該宛先情報に関連付けられた契約情報を取得する(ステップS73)。
【0147】
次に、ステップS74において、制御部10は、対象ユーザーの操作か否かを判定する(ステップS74)。
対象ユーザーの操作である場合(ステップS74の判定がYesの場合)、ステップS75において、制御部10は、当該宛先を表示部171に表示させる(ステップS75)。
一方、対象ユーザーの操作でない場合(ステップS74の判定がNoの場合)、ステップS76において、制御部10は、当該宛先を表示部171に表示させない(ステップS76)。
【0148】
それゆえ、宛先の選択画面において、登録済みの社外アドレスについて、宛先情報に関連付けられた契約情報を取得して、対象ユーザーの操作である場合にのみ、当該社外アドレスを表示部171に表示される。
【0149】
このようにして、ユーザーが登録済みの宛先からe-mail送信等のジョブの実行時に宛先を選択する場合においても、個別の宛先に対する設定を行うことなく、秘密保持契約を結んだ相手に対して従来よりも適切に画像送信を行うことが可能なデジタル複合機1を実現できる。
【0150】
〔実施形態4〕
次に、
図17~
図19に基づき、この発明の実施形態4に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理について説明する。
【0151】
実施形態4に係るデジタル複合機1の概略構成は、実施形態1(
図2)と同一であるため、説明を省略する。
【0152】
図17は、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれていない場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0153】
図17のステップS61~S69の処理はそれぞれ、
図15のステップS61~S69の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図15と異なる
図17のステップS70の処理について説明する。
【0154】
図17のステップS69において、宛先設定が成功したものとしてユーザーの入力を受け付けた後(ステップS69)、続くステップS70において、制御部10は、ステップS64からステップS67の処理で取得した契約情報をジョブと対応付け、後の複数宛先設定時のフィルタに用いる設定として記憶部13に記憶させる(ステップS70)。
【0155】
図18は、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機1のジョブ実行時の宛先設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0156】
この場合、開始の時点で社外アドレス設定時にジョブと対応付けられた契約情報が宛先のフィルタに用いられる設定として記憶部13に保持されている(
図17のステップS70)。
【0157】
図18のステップS81~S83,S85およびS86の処理はそれぞれ、
図17のステップS61~S63,S68およびS69の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図17と異なる
図18のステップS84の処理について説明する。
【0158】
図18のステップS82において、電子メールアドレスの宛先が社外アドレスである場合(ステップS82の判定がYesの場合)、ステップS84において、制御部10は、フィルタとして保持している契約情報を参照する(ステップS84)。
【0159】
次に、ステップS85において、制御部10は、契約に紐付けられたセキュリティポリシー情報を取得し、表示部171に表示させてユーザーに確認を促した後(ステップS85)、続くステップS86において、宛先設定が成功したものとしてユーザーの選択を受け付ける(ステップS86)。
【0160】
図19は、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれている場合におけるこの発明の実施形態4に係るデジタル複合機1の宛先選択画面における各宛先の表示・非表示判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0161】
なお、前に設定済みの宛先に社外アドレスの宛先が含まれていない場合の宛先の表示・非表示判定処理は、実施形態3(
図16)と同じであるため、説明を省略する。
【0162】
図19のステップS91~S93,S95およびS96の処理はそれぞれ、
図16のステップS71~S73,S75およびS76の処理に対応するため、説明を省略する。
ここでは、
図16と異なる
図19のステップS94の処理について説明する。
【0163】
図19のステップS93において、制御部10は、当該宛先情報に関連付けられた契約情報を取得した後(ステップS93)、続くステップS94において、制御部10は、ジョブと対応付けられた契約を含むか否かを判定する(ステップS94)。
【0164】
ジョブと対応付けられた契約を含む場合(ステップS94の判定がYesの場合)、ステップS95において、制御部10は、当該宛先を表示部171に表示させる(ステップS95)。
一方、ジョブと対応付けられた契約を含まない場合(ステップS94の判定がNoの場合)、ステップS96において、制御部10は、当該宛先を表示部171に表示させない(ステップS96)。
【0165】
それゆえ、宛先の選択画面において、登録済みの社外アドレスを複数設定する場合において、最初の社外アドレス設定時にジョブと対応付けられた契約情報を取得して、当該契約に関連する宛先である場合にのみ、当該社外アドレスを表示部171に表示される。
【0166】
このようにして、ユーザーが登録済みの宛先からe-mail送信等のジョブの実行時に宛先を選択する場合においても、個別の宛先に対する設定を行うことなく、契約を結んだ相手に対して従来よりも適切に画像送信を行うことが可能なデジタル複合機1において、社外アドレスの宛先設定が成功した場合、契約情報をフィルタとして保持して後の宛先設定の際に参照するため、契約とは無関係な宛先への誤送信を抑止しながら効率よく複数の宛先の設定が可能なデジタル複合機1を実現できる。
【0167】
〔実施形態5〕
次に、
図20~
図22に基づき、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1における、契約と関連する履歴情報の表示とそこから行える操作について説明する。
【0168】
実施形態5に係るデジタル複合機1は、予め定められた設定に基づいて、送信ジョブの実行ごとに送信履歴の情報およびデータを記憶部13に記憶する。
この場合、契約名、ジョブの送信日時、送信ファイル名、発信者、送信画像の低解像度版(予め定められたページ分)、OCRの結果等を記憶部13に記憶する。
【0169】
図20は、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
ユーザーは、表示部171の操作画面から当該送信履歴を確認することができるが、管理用ウェブページからも当該送信履歴を確認できるようにしてもよい。
【0170】
送信履歴の確認画面の一例として、
図20に示すように、「あなたが契約名『X1に関する秘密保持契約』に関連して行った送信ジョブの履歴は以下の通りです。絞り込みを行う場合は見出し行の項目をクリックしてください。」というメッセージとともに、ジョブの送信履歴が確認画面に表示される。
【0171】
図20の例においては、「宛先」、「送信日時」、「件名」、「送信ファイル名」、「メール本文」および「画像確認」の6項目からなるリストが表示される。
【0172】
図21は、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1の契約有効期限満了時のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
【0173】
送信履歴の記録が有効に設定されている場合、制御部10は、所定のタイミングで当該契約に紐付けられたユーザーに契約の有効期限を通信部15に通知させるとともに、当該契約に関するジョブの送信履歴のリストを送信させる。
【0174】
また、予め定められたタイミングでユーザーに契約有効期限の通知メールを送信し、当該通知メールにジョブの送信履歴を参照できるウェブページのURLに接続を記載するようにしてもよい。
【0175】
送信履歴の確認画面の一例として、
図21に示すように、「契約名『X1に関する秘密保持契約』の有効期限は2020/12/31までです。あなたがこの契約に関連して行った送信ジョブの履歴は以下の通りです。絞り込みを行う場合は見出し行の項目をクリックしてください。」というメッセージとともに、ジョブの送信履歴が確認画面に表示される。
【0176】
なお、契約有効期限の満了後、当該契約に関する文書が閲覧できなくなるようにしてもよい。
【0177】
図22は、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1の契約有効期限延長時のジョブの送信履歴の確認画面の一例を示す説明図である。
【0178】
また、契約有効期限の延長が行われた場合、当該契約に紐付けられたユーザーが送信したジョブおよび画像が記憶部13に記憶されているものを抽出し、所定のウェブページにリスト表示して、当該ユーザーが参照できるようにしてもよい。
【0179】
送信履歴の確認画面の一例として、
図22に示すように、「契約名『X1に関する秘密保持契約』の有効期限が2021/12/31まで延長されました。あなたがこの契約に関連して行った送信ジョブのうち、下記のものについては有効期限を再設定したPDFおよび電子メール送信ファイルの再作成と送信が可能です。希望するものを選択してください。」というメッセージとともに、ジョブの送信履歴が確認画面に表示される。
【0180】
ユーザーは、必要な項目にチェックを入れて選択し、「実行」ボタンを押下すると、保存されていた画像から新たな有効期限を反映したPDFファイルが生成されるため、契約期限を更新した画像を手軽に送信することが可能になる。
【0181】
このようにして、個別の宛先に対する設定を行うことなく、契約を結んだ相手に対して従来よりも適切に画像送信を行うことが可能なデジタル複合機1において、契約有効期限が更新された場合、新たな有効期限を反映した画像ファイルをユーザーが手軽に送信できるデジタル複合機1を実現できる。
【0182】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
【0183】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0184】
1:デジタル複合機、 2,2A,2B,2C:PC、 3:ネットワーク、 4,4A,4B,4C:メールサーバー、 10,20:制御部、 11:画像データ取得部、 12:画像形成部、 13,21:記憶部、 14,22:画像処理部、 15,23:通信部、 16:タイマ、 17:操作パネル、 18:給紙部、 19:ユーザー認証部、 24,171:表示部、 25,172:操作部、 100:ネットワークシステム、 121:LSU、 CN:カウンタ値