(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】出力回路、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241002BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612F
G09G3/20 621B
G09G3/20 623A
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 641C
G09G3/20 680G
(21)【出願番号】P 2021029568
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特許第6795714(JP,B1)
【文献】国際公開第2010/114014(WO,A1)
【文献】特開2010-009005(JP,A)
【文献】特開2006-178356(JP,A)
【文献】特開2021-012327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0063915(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0071455(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106325352(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G09G3/00-3/38
H03F1/00-3/45
3/50-3/52
3/62-3/64
3/68-3/72
H03K19/00
19/01-19/082
19/094-19/096
H03M1/00-1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、
前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、
第1の出力端子と、
ソースが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のPチャネル型トランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、
ソースが前記第2のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のNチャネル型トランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、
オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、
オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、
前記第1のスイッチ及び前記第1のノード間に接続されており、前記第1のスイッチのオン状態を制御する第1の電圧フォロワ回路と、
前記第2のスイッチ及び前記第2のノード間に接続され、前記第2のスイッチのオン状態を制御する第2の電圧フォロワ回路と、
活性時に前記第1のスイッチのオフ状態を制御する第1の制御手段と、
活性時に前記第2のスイッチのオフ状態を制御する第2の制御手段と、を有し、
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記第1のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第1の負荷素子と、前記第1のスイッチのゲート及び前記第1の負荷素子に一端が接続されており前記第1の負荷素子に流す電流を生成する第1の電流源とで構成され、前記第1のノードに供給された前記正極電圧信号の電圧を負側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第1のスイッチのゲートに供給し、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記第2のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第2の負荷素子と、前記第2のスイッチのゲート及び前記第2の負荷素子に一端が接続されており前記第2の負荷素子に流す電流を生成する第2の電流源とで構成され、前記第2のノードに供給された前記負極電圧信号の電圧を正側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第2のスイッチのゲートに供給することを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、前記第3のスイッチのオン状態の制御と連係して活性化制御され、活性時に前記第1のスイッチのゲートに前記基準電源電圧を供給することで前記第1のスイッチをオフ状態に制御し、
前記第2の制御手段は、前記第4のスイッチをオン状態の制御と連係して活性化制御され、活性時に前記第2のスイッチのゲートに前記基準電源電圧を供給することで前記第2のスイッチをオフ状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項3】
前記第1の電流源は、前記第1のスイッチのソースから前記第1の負荷素子を介して前記第1のスイッチのゲートへ流れるシンク電流を生成し、
前記第2の電流源は、前記第2のスイッチのゲートから前記第2の負荷素子を介して前記第2のスイッチのソースへ流れるソース電流を生成し、
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記第1のスイッチのソースに一端が接続され、前記第1のスイッチのソースへ流れる前記第1の電流源と同一の電流値を有するソース電流を生成する第3の電流源を更に含み、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記第2のスイッチのソースに一端が接続され、前記第2のスイッチのソースから流れる前記第2の電流源と同一電流値を有するシンク電流を生成する第4の電流源を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記第1の負荷素子は、夫々が同一の導電型で有り且つダイオード接続されたN(N≧
2)個のトランジスタからなる第1のダイオード接続トランジスタ群を含み、
前記第2の負荷素子は、夫々が同一の導電型で有り且つダイオード接続されたM(M≧
2)個のトランジスタからなる第2のダイオード接続トランジスタ群を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項5】
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記N個のトランジスタ各々の活性化及び非活性化を個別に制御し、活性化させたトランジスタの数に応じて前記第1のスイッチのゲート及びソース間に設定される前記所定の電圧差を調整する第1の電圧差調整手段を更に含み、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記M個のトランジスタ各々の活性化及び非活性化を個別に制御し、活性化させたトランジスタの数に応じて前記第2のスイッチのゲート及びソース間に設定される前記所定の電圧差を調整する第2の電圧差調整手段を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の出力回路。
【請求項6】
前記第1の負荷素子は、前記第1のスイッチのゲート及びソース間に接続されたN個(N≧
2)の抵抗素子からなる第1の抵抗素子群を含み、
前記第2の負荷素子は、前記第2のスイッチのゲート及びソース間に接続されたM個(M≧
2)の抵抗素子からなる第2の抵抗素子群を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項7】
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記第1の抵抗素子群の各抵抗素子の活性化及び非活性化を個別に制御し、活性化させた抵抗素子の数に応じて前記第1のスイッチのゲート及びソース間に設定される前記所定の電圧差を調整する第1の電圧差調整手段を更に含み、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記第2の抵抗素子群の各抵抗素子の活性化及び非活性化を個別に制御し、活性化された抵抗素子の数に応じて前記第2のスイッチのゲート及びソースの間に設定される前記所定の電圧差を調整する第2の電圧差調整手段を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の出力回路。
【請求項8】
前記正極電圧信号及び前記負極電圧信号を所定のタイミングで切替えて前記第1の出力端子から出力するように前記正極電圧信号供給回路、前記負極電圧信号供給回路、前記第3及び第4のスイッチ、前記第1及び第2の制御手段を連動して制御する制御部を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項9】
前記制御部は、
前記正極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる場合には、前記第3のスイッチをオフ状態、前記第4のスイッチをオン状態、前記第1の制御手段を非活性状態、前記第2の制御手段を活性状態に制御すると共に、前記正極電圧信号を前記第1のノードに供給させるように前記正極電圧信号供給回路を制御し且つ前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断させるように前記負極電圧信号供給回路を制御し、
前記負極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる場合には、前記第3のスイッチをオン状態、前記第4のスイッチをオフ状態、前記第1の制御手段を活性状態、前記第2の制御手段を非活性状態に制御すると共に、前記負極電圧信号を前記第2のノードに供給させるように前記負極電圧信号供給回路を制御し且つ前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断させるように前記正極電圧信号供給回路を制御することを特徴とする請求項8に記載の出力回路。
【請求項10】
前記制御部は、制御期間として、前記負極電圧信号から前記正極電圧信号に出力を切替えるための第1の期間と、前記正極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第2の期間と、前記正極電圧信号から前記負極電圧信号に出力を切替えるための第3の期間と、前記負極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第4の期間と、を設け、
前記第1及び第3の期間では、前記正極電圧信号供給回路による前記正極電圧信号の供給を遮断させると共に前記負極電圧信号供給回路による前記負極電圧信号の供給を遮断させ、且つ前記第3及び第4のスイッチを共にオン状態に制御し、前記第1及び第2の制御手段により前記第1及び第2のスイッチの少なくとも一方をオン状態に制御することで、前記基準電源電圧を前記第1及び第2のノードと、前記第1の出力端子に供給し、
前記第2の期間では、前記負極電圧信号供給回路による前記負極電圧信号の供給を遮断させると共に、前記正極電圧信号供給回路により前記正極電圧信号を前記第1のノードに供給させ、且つ前記第3のスイッチをオフ状態、前記第4のスイッチをオン状態、前記第1の制御手段を非活性状態及び前記第2の制御手段を活性状態に制御することで、前記正極電圧信号を前記第1のスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第4のスイッチを介して前記第2のノードに供給し、
前記第4の期間では、前記正極電圧信号供給回路による前記正極電圧信号の供給を遮断させると共に、前記負極電圧信号供給回路により前記負極電圧信号を前記第2のノードに供給させ、且つ前記第3のスイッチをオン状態、前記第4のスイッチをオフ状態、前記第1の制御手段を活性状態及び前記第2の制御手段を非活性状態に制御することで、前記負極電圧信号を前記第2のスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第3のスイッチを介して前記第1のノードに供給することを特徴とする請求項8又は9に記載の出力回路。
【請求項11】
第2の出力端子と、
第3及び第4のノードと、
オン状態時に前記第2の出力端子と前記第3のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第3のノードとの接続を遮断する第5のスイッチと、
オン状態時に前記第2の出力端子と前記第4のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第4のノードとの接続を遮断する第6のスイッチと、
オン状態時に前記第3のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第3のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第7のスイッチと、
オン状態時に前記第4のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第4のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第8のスイッチと、
前記第5のスイッチ及び前記第3のノード間に接続され、前記第5のスイッチのオン状態を制御する第3の電圧フォロワ回路と、
前記第6のスイッチ及び前記第4のノード間に接続され、前記第6のスイッチのオン状態を制御する第4の電圧フォロワ回路と、
前記第5のスイッチのオフ状態を制御する第3の制御手段と、
前記第6のスイッチのオフ状態を制御する第4の制御手段と、を更に備え、
前記正極電圧信号供給回路は、前記第1のノード又は前記第3のノードへの前記正極電圧信号の供給又は遮断を制御し、
前記負極電圧信号供給回路は、前記第2のノード又は前記第4のノードへの前記負極電圧信号の供給又は遮断を制御し、
前記第5のスイッチは、ソースが前記第3のノードに接続され、ドレインが前記第2の出力端子に接続された第2のPチャネル型トランジスタスイッチで構成され、
前記第6のスイッチは、ソースが前記第4のノードに接続され、ドレインが前記第2の出力端子に接続された第2のNチャネル型トランジスタスイッチで構成され、
前記第3の電圧フォロワ回路は、前記第5のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第3の負荷素子と、前記第5のスイッチのゲート及び前記第3の負荷素子に一端が接続されており前記第3の負荷素子に流す電流を生成する第3の電流源とで構成され、前記第3のノードに供給された前記正極電圧信号の電圧を負側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第5のスイッチのゲートに供給し、
前記第4の電圧フォロワ回路は、前記第6のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第4の負荷素子と、前記第6のスイッチのゲート及び前記第4の負荷素子に一端が接続されており前記第4の負荷素子に流す電流を生成する第4の電流源とで構成され、前記第4のノードに供給された前記負極電圧信号の電圧を正側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第6のスイッチのゲートに供給することを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項12】
前記正極電圧信号又は前記負極電圧信号の一方を前記第1の出力端子から出力し、前記正極電圧信号又は前記負極電圧信号の他方を前記第2の出力端子から出力するとともに、前記第1の出力端子及び前記第2の出力端子から出力する電圧極性を所定のタイミングで切替えるように、前記第3、第4、第7及び第8のスイッチ、前記正極電圧信号供給回路及び前記負極電圧信号供給回路、前記第1~第4の制御手段を連動して制御する制御部を含むことを特徴とする請求項11に記載の出力回路。
【請求項13】
前記制御部は、
前記正極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させ、前記負極電圧信号を前記第2の出力端子から出力させる場合には、前記第3及び第8のスイッチをオフ状態、前記第4及び第7のスイッチをオン状態、前記第1及び第4の制御手段を非活性状態、前記第2及び第3の制御手段を活性状態に制御すると共に、前記正極電圧信号を前記第1のノードに供給させるように前記正極電圧信号供給回路を制御し且つ前記負極電圧信号を前記第4のノードへ供給させるように前記負極電圧信号供給回路を制御し、
前記負極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させ、前記正極電圧信号を前記第2の出力端子から出力させる場合には、前記第3及び第8のスイッチをオン状態、前記第4及び第7のスイッチをオフ状態、前記第1及び第4の制御手段を活性状態、前記第2及び第3の制御手段を非活性状態に制御すると共に、前記負極電圧信号を前記第2のノードに供給させるように前記負極電圧信号供給回路を制御し且つ前記正極電圧信号を前記第3のノードへ供給させるように前記正極電圧信号供給回路を制御することを特徴とする請求項12に記載の出力回路。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力することを特徴とするデータドライバ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、複数の前記出力回路から正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を出力するデータドライバと、
前記複数の階調電圧信号を受ける複数のデータ線を有する液晶表示パネルと、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極性及び負極性の電圧を出力する出力回路、表示パネルを駆動する表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主要な表示装置として、表示デバイスにアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを用いた液晶表示装置が一般的に知られている。
【0003】
液晶パネルには、2次元画面の垂直方向に夫々伸張する複数のデータ線と、2次元画面の水平方向に夫々伸張する複数のゲート線と、が交叉して配置されている。更に、これら複数のデータ線と、複数のゲート線との各交叉部には、データ線及びゲート線に接続されている画素部が形成されている。
【0004】
液晶表示装置には、かかる液晶パネルと共に、各画素の輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する階調データ信号を1水平走査期間単位のデータパルスでデータ線に供給するデータドライバが含まれている。
【0005】
データドライバは、液晶パネルの劣化を防ぐために、正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号と、を所定のフレーム期間毎に交互に液晶パネルに供給する極性反転駆動を行う。
【0006】
このような極性反転駆動を行う出力回路として、階調データ信号に対応した正極性の駆動電圧及び負極性の駆動電圧を受け、両者のうちの一方を交互に選択して液晶パネルに出力するスイッチ群を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1の
図8~
図10のSW1~SW12を参照)。
【0007】
当該特許文献1に記載の出力回路では、スイッチSW1~SW12を用いることで、正極性の駆動電圧(5V)を出力パッドOUT1から出力している状態(同文献の
図8の状態)から負極性の駆動電圧(-5V)を出力パッドOUT1から出力する状態(同文献の
図10の状態)に切り替える。
【0008】
更に、このような極性切替を行うにあたり、特許文献1に記載の出力回路では、同文献の
図9に示すように、一旦、各スイッチの一端を0Vの状態に設定してから同文献の
図10に示す状態に切り換えている。これにより、各スイッチの耐圧を液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧素子で構成できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1(同文献の
図8~
図10)では、OUT1及びOUT2と接続される出力選択スイッチ(SW5~SW8)は、両端の耐圧を液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧素子にできるが、該スイッチを液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧トランジスタスイッチで構成する場合、Pチャネル型とNチャネル型を抱き合わせた相補型スイッチは使用に適さず、単一導電型のトランジスタスイッチで構成しなければならない。
【0011】
この理由を以下に説明する。
【0012】
例えば、正極性の駆動電圧の電圧値の範囲をVGND(0V)~VDDH(5V)、負極性の駆動電圧の電圧値の範囲をVDDL(-5V)~VGND(0V)とする。ここで特許文献1(同文献の
図8~
図10)に示す正極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチSW5をNチャネル型トランジスタスイッチで構成した場合を考える。Nチャネル型トランジスタスイッチSW5は第1端子に供給される正極性の駆動電圧を出力するため、その制御端には最大で正極電源電圧VDDHが供給される。ここでNチャネル型トランジスタスイッチSW5の第2端子に接続される出力端子OUT1が、負極性から正極性への極性反転により基準電源電圧VGNDに駆動されるとき、出力端子OUT1が負極性の駆動電圧から基準電源電圧VGNDに十分近づいていないと、Nチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端と第2端子に接続される出力端子OUT1との間の電圧差が耐圧を超過するリスクがある。そのリスクを避けるには、極性反転時に出力端子OUT1への基準電源電圧VGNDの駆動時間を十分確保する必要があるが、出力期間の短い動作条件での高速駆動は難しい。
【0013】
また、正極性の駆動電圧の電圧値が正極電源電圧VDDHに近い場合、Nチャネル型トランジスタスイッチSW5は、その制御端に正極電源電圧VDDHが供給されても、正極電源電圧VDDHからNチャネル型トランジスタの閾値電圧内の電圧範囲は出力することができない。
【0014】
一方、出力選択スイッチSW5をPチャネル型トランジスタスイッチで構成した場合を考える。Pチャネル型トランジスタスイッチSW5は第1端子に供給される正極性の駆動電圧を出力するため、その制御端には、正極性の駆動電圧に対し低電圧側の耐圧内の電圧を供給するよう制御する。この場合、Pチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端と第2端子に接続される出力端子OUT1との間の電圧差が耐圧を超過するリスクはない。また、Pチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端の供給電圧を正極性の駆動電圧に対し適切に制御すれば、任意の正極性の駆動電圧をPチャネル型トランジスタスイッチSW5により出力することができる。
【0015】
したがって、正極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチは、Pチャネル型トランジスタスイッチ単独で構成するのが最適である。同様に、負極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチは、Nチャネル型トランジスタスイッチ単独で構成するのが最適である。
【0016】
しかしながら、出力選択スイッチを単一導電型トランジスタスイッチとした構成において、正極性の駆動電圧を出力するPチャネル型トランジスタスイッチの制御端には、基準電源電圧VGND近傍の正極性の駆動電圧出力時に少なくとも負極性の電圧の供給制御が必要となるが、極性を跨いだ制御は容易ではない。同様に、負極性の駆動電圧を出力するNチャネル型トランジスタの制御端も極性跨いだ制御は容易ではない。
【0017】
そこで、本発明は、基準電源電圧に対して正極及び負極の電圧信号で容量性負荷を駆動する出力回路において、正極性又は負極性の駆動電圧を容量性負荷が接続される出力端子へ出力する出力選択スイッチを、単一導電型トランジスタスイッチで構成すると共に、該単一導電型トランジスタスイッチの制御端への電圧供給を制御する制御回路を簡素化し、且つ該出力回路を低耐圧トランジスタで構成して省面積化(低コスト化)を実現することを目的とする。また、本発明は、液晶表示装置のデータドライバの出力部に本発明の出力回路を適用する場合に好適なデータドライバの構成と制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る出力回路は、基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、第1の出力端子と、ソースが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のPチャネル型トランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、ソースが前記第2のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のNチャネル型トランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、前記第1のスイッチ及び前記第1のノード間に接続されており、前記第1のスイッチのオン状態を制御する第1の電圧フォロワ回路と、前記第2のスイッチ及び前記第2のノード間に接続され、前記第2のスイッチのオン状態を制御する第2の電圧フォロワ回路と、活性時に前記第1のスイッチのオフ状態を制御する第1の制御手段と、活性時に前記第2のスイッチのオフ状態を制御する第2の制御手段と、を有し、前記第1の電圧フォロワ回路は、前記第1のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第1の負荷素子と、前記第1のスイッチのゲート及び前記第1の負荷素子に一端が接続されており前記第1の負荷素子に流す電流を生成する第1の電流源とで構成され、前記第1のノードに供給された前記正極電圧信号の電圧を負側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第1のスイッチのゲートに供給し、前記第2の電圧フォロワ回路は、前記第2のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第2の負荷素子と、前記第2のスイッチのゲート及び前記第2の負荷素子に一端が接続されており前記第2の負荷素子に流す電流を生成する第2の電流源とで構成され、前記第2のノードに供給された前記負極電圧信号の電圧を正側に所定の電圧差だけシフトした電圧を前記第2のスイッチのゲートに供給する。
【0019】
また、本発明に係る表示ドライバは、上記した出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力する。
【0020】
また、本発明に係る表示装置は、上記した出力回路を複数含み、複数の前記出力回路から正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を出力する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る出力回路では、第1のスイッチ(Pチャネル型トランジスタ)が、第1のノードを介して基準電源電圧より高い正極性の電圧信号を受け、オン状態時に当該正極性の電圧信号を出力端子から出力する。更に、第2のスイッチ(Nチャネル型トランジスタ)が、第2のノードを介して基準電源電圧より低い負極性の電圧信号を受け、オン状態時に当該負極性の電圧信号を上記した出力端子から出力する。
【0022】
ここで、第1及び第2のスイッチは、以下の構成を有する第1及び第2の電圧フォロワ回路によってオン状態に制御される。
【0023】
第1の電圧フォロワ回路は、第1のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第1の負荷素子、及び第1の負荷素子に流す電流を生成する第1の電流源を含む。第1の電圧フォロワ回路は、当該第1の負荷素子及び第1の電流源により、第1のノードに供給された正極電圧信号の電圧を負側に所定の電圧差だけシフトした電圧を生成して第1のスイッチのゲートに供給する。これにより、正極電圧信号の電圧値が基準電源電圧の近傍であっても、第1のスイッチのオン状態を維持させることが可能となる。
【0024】
第2の電圧フォロワ回路は、第2のスイッチのソース及びゲート間に接続されている第2の負荷素子、及び第2の負荷素子に流す電流を生成する第2の電流源を含む。第2の電圧フォロワ回路は、当該第2の負荷素子及び第2の電流源により、第2のノードに供給された負極電圧信号の電圧を正側に所定の電圧差だけシフトした電圧を生成して第2のスイッチのゲートに供給する。これにより、負極電圧信号の電圧値が基準電源電圧の近傍であっても、第2のスイッチのオン状態を維持させることが可能となる。
【0025】
更に、出力回路には、オン状態時に第1及び第2のノードを個別に基準電源電圧に設定する第3及び第4のスイッチと、活性状態時に第1及び第2のスイッチを個別にオフ状態に設定する第1及び第2の制御手段とが設けられている。第1及び第2の制御手段は、正極電圧信号を出力端子から出力するときは第2のスイッチをオフに設定するとともに第2のノードを基準電源電圧に設定し、負極電圧信号を出力端子から出力するときは、第1のスイッチをオフに設定するとともに第1のノードを基準電源電圧に設定する。
【0026】
上記した構成によれば、基準電源電圧より高い正極電圧信号及び当該基準電源電圧よりも低い負極電圧信号を扱うにあたり、各スイッチとして、負極電圧信号の最低電圧から正極電圧信号の最大電圧までの電圧範囲の1/2の耐圧のトランジスタを用いることが可能となる。更に、上記した第1及び第2の電圧フォロワ回路のような、負荷素子及び当該負荷素子に電流を流す電流源を含む簡素なアナログ回路で、第1及び第2のスイッチに対して、オン状態を維持し得る、極性を跨いだ制御を実現している。
【0027】
よって、本発明によれば、正極性の電圧及び負極性の電圧のうちの一方を選択的に出力することができる出力回路、当該出力回路を含む表示ドライバ及び表示装置を、簡易な構成で省面積化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】出力回路100の構成の一例を示す回路図である。
【
図2A】正極電圧信号Vp(V11)に追従させて電圧フォロワ回路50が生成するゲート電圧Vg11の波形を示す波形図である。
【
図2B】負極電圧信号Vn(V21)に追従させて電圧フォロワ回路60が生成するゲート電圧Vg21の波形を示す波形図である。
【
図3】
図1に示す出力回路100の第1の変形例としての出力回路100-1を示す回路図である。
【
図4】
図1に示す出力回路100の第2の変形例としての出力回路100-2を示す回路図である。
【
図5】
図1に示す出力回路100の第3の変形例としての出力回路100-3を示す回路図である。
【
図6】
図4に示すダイオード接続トランジスタ回路51aの変形例としてのダイオード接続トランジスタ回路51a-1を示す回路図である。
【
図7】
図5に示す抵抗素子回路51bの変形例としての抵抗素子回路51b-1を示す回路図である。
【
図8】
図1に示す制御部101が生成する制御信号S12~S14、S22~S24の一例を示すタイムチャートである。
【
図9】本発明に係る出力回路の他の実施例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
【
図10】本発明に係る出力回路を含むデータドライバ73を有する表示装置400の構成を示すブロック図である。
【
図11】データドライバ73の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明に係る出力回路の一例としての出力回路100の構成を示す回路図である。
【0030】
まず、かかる出力回路100に供給される電源電圧について説明する。
【0031】
出力回路100に供給される電源電圧は、基準電源電圧VGND、当該基準電源電圧VGNDよりも高電圧を有する正極電源電圧VDDH、基準電源電圧VGNDよりも低電圧を有する負極電源電圧VDDLの3系統である。つまり、これら3系統の電源電圧の大小関係は、
VDDH>VGND>VDDL
とされる。なお、上記3系統の電源電圧以外に、電源電圧VDDLとVDDH間の電位をもつ別の電源電圧を有する場合には、その別の電源電圧を必要に応じて利用することも可能である。
【0032】
よって、出力回路100を構成する各素子を低耐圧化して回路面積の低減(コスト削減)を図るためには、その耐圧としては、電圧差(VDDH-VGND)及び(|VDDL-VGND|)を超えるものの、電圧差(VDDH-VDDL)未満で、できるだけ低い耐圧(以降、耐圧VDDTと記す)であることが望ましい。
【0033】
出力回路100は、基準電源電圧VGNDより高電位の信号を正極性電圧信号、基準電源電圧VGND以下の電位を有する信号を負極性電圧信号として受け、これら正極性電圧信号及び負極性電圧信号を、所定のタイミングで切り替えて一つの容量性負荷(例えば液晶表示装置のデータ線)に出力することで、当該容量性負荷を駆動(極性反転駆動)する出力回路である。
【0034】
図1に示すように出力回路100は、一つの容量性負荷に接続される出力端子DL1と、ノードNs11及びNs21と、正極電圧信号供給回路10Aと、負極電圧信号供給回路20Aと、出力選択スイッチ11及び21と、スイッチ12、13、22及び23と、電圧フォロワ回路50及び60と、制御部101を含む。
【0035】
図1に示すように、正極電圧信号供給回路10Aは、増幅回路10及びスイッチ14を含む。増幅回路10は、基準電源電圧VGND~正極電源電圧VDDHの範囲内の電位を有する入力電圧信号Vpiを受け、これを増幅した信号を正極電圧信号Vpとして出力する。スイッチ14は、ノードNs11への正極電圧信号Vpの供給及び遮断を制御する。尚、スイッチ14は広い電圧範囲の正極電圧信号Vpを通すためPチャネル及びNチャネルの両導電型からなる相補型スイッチで構成される。スイッチ14の両端は同じ正極電圧範囲の端子であり、単純に相補型スイッチとして構わない。また、増幅回路10はスイッチ14の機能を内部に含む構成としてもよく、その場合は増幅回路10の出力ノードはノードNs11となる。また増幅回路10としては、入力電圧信号Vpiと同じ電位の正極電圧信号Vpを増幅出力するボルテージフォロワに限定されず、入力電圧信号Vpiの電位に対して異なる電位を有する正極電圧信号Vpを増幅出力する増幅回路でも構わない。本明細書では、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ供給する正極性の電圧信号をV11又はVpとして説明する。
【0036】
上記した構成により、正極電圧信号供給回路10Aは、基準電源電圧VGND~正極電源電圧VDDHの範囲内の電位を有する正極性の信号を正極電圧信号Vpとして生成し、これをノードNs11に供給する、又はその供給の遮断を行う。
【0037】
負極電圧信号供給回路20Aは、増幅回路20及びスイッチ24を含む。増幅回路20は、負極電源電圧VDDL~基準電源電圧VGNDの範囲内の電位を有する入力電圧信号Vniを受け、これを増幅した信号を負極電圧信号Vnとして出力する。スイッチ24は、ノードNs21への負極電圧信号Vnの供給及び遮断を制御する。尚、スイッチ24は広い電圧範囲の負極電圧信号Vnを通すためPチャネル及びNチャネルの両導電型からなる相補型スイッチで構成される。スイッチ24の両端は同じ負極電圧範囲の端子であり、単純に相補型スイッチとして構わない。また、増幅回路20はスイッチ24の機能を内部に含む構成としてもよく、その場合は増幅回路20の出力ノードはノードNs21となる。また増幅回路20としては、入力電圧信号Vniと同じ電位の負極電圧信号Vnを増幅出力するボルテージフォロワに限定されず、入力電圧信号Vniの電位に対して異なる電位を有する負極電圧信号Vnを増幅出力する増幅回路でも構わない。本明細書では、負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ供給する電圧信号をV21又はVnとして説明する。
【0038】
上記した構成により、負極電圧信号供給回路20Aは、負極電源電圧VDDL~基準電源電圧VGNDの範囲内の電位を有する負極性の信号を負極電圧信号Vnとして生成し、これをノードNs2に供給、又はその供給の遮断を行う。
【0039】
出力選択スイッチ11は、第1端子(以後、ソースと記す)がノードNs11に接続され、第2端子(以後、ドレインと記す)が出力端子DL1に接続されたPチャネル型トランジスタ(以後、Pチャネル型トランジスタスイッチ11とも記す)で構成される。出力選択スイッチ11は、オン状態時にノードNs11の電圧信号V11を出力端子DL1へ出力する。
【0040】
出力選択スイッチ21は、ソースがノードNs21に接続され、ドレインが出力端子DL1に接続されたNチャネル型トランジスタ(以後、Nチャネル型トランジスタスイッチ21とも記す)で構成される。出力選択スイッチ21は、オン状態時にノードNs21の電圧信号V21を出力端子DL1へ出力する。
【0041】
スイッチ12は、例えばノードNs11と基準電源電圧VGNDが供給される基準電源端子間に接続されたNチャネル型トランジスタスイッチで構成される。スイッチ12は、制御部101から供給された制御信号S12に応じてオン状態又はオフ状態に制御される。スイッチ12は、オン状態時にノードNs11に基準電源電圧VGNDを印加する。
【0042】
スイッチ22は、例えばノードNs21と基準電源端子間に接続されたPチャネル型トランジスタスイッチで構成される。スイッチ22は、制御部101から供給された制御信号S22に応じてオン状態又はオフ状態に制御される。スイッチ22は、オン状態時にノードNs21に基準電源電圧VGNDを印加する。
【0043】
スイッチ13は、例えば出力選択スイッチ(Pチャネル型トランジスタスイッチ)11のゲートNg11と基準電源端子との間に接続されたPチャネル型トランジスタスイッチで構成される。スイッチ13は、スイッチ12のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ12と共にオンとされるとき、出力選択スイッチ11をオフに制御する。なおスイッチ13は、出力選択スイッチ11のゲートNg11とノードNs11との間に設けることも可能である。
【0044】
スイッチ23は、例えば出力選択スイッチ(Nチャネル型トランジスタスイッチ)21のゲートNg21と基準電源端子との間に接続されたNチャネル型トランジスタスイッチで構成される。スイッチ23は、スイッチ22のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ22と共にオンとされるとき、出力選択スイッチ21をオフに制御する。なおスイッチ23も、出力選択スイッチ21のゲートNg21とノードNs21との間に設けることも可能である。
【0045】
スイッチ12、13、22、23は、正極又は負極の電圧信号(Vp又はVn)を出力端子DL1へ出力する動作において、出力選択スイッチ11、21の少なくとも一方がオンに制御されるとき、他方はオフに制御される。
【0046】
尚、スイッチ12~14、22~24のオンオフ制御は、制御部101から出力される制御信号S12~S14、及びS22~S24によって行われる。
【0047】
電圧フォロワ回路50は、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間に接続された負荷素子51と、負荷素子51の一端に接続され、当該負荷素子51に流れる電流値を設定する電流源52とを含む。かかる構成により、電圧フォロワ回路50は、出力選択スイッチ11のソースに供給される電圧信号V11に追従し、電圧信号V11の電圧を所定の電圧差だけシフトした電圧をゲート電圧Vg11として出力選択スイッチ11のゲートに供給する。
【0048】
尚、負荷素子51は、その抵抗値と流れる電流値により出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧差を設定する。これにより、各素子の耐圧を耐圧VDDT以下にすることが可能となる。負荷素子51は、抵抗素子やダイオード接続トランジスタで構成できる。
【0049】
電流源52は、出力選択スイッチ11のゲートNg11と負荷素子51との接続点と、例えば負極電源電圧VDDLが供給される負極電源端子との間に接続される。電流源52は、出力選択スイッチ11のソースから負荷素子51を介して出力選択スイッチ11のゲートNg11へ流れる所定の電流値を有するシンク電流を生成する。なお電流源52を、負極電源電圧VDDLと異なる負極側電源端子に接続してもよい。
【0050】
電圧フォロワ回路50により、Pチャネル型の出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧(絶対値)は閾値電圧(絶対値)以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ11がオン状態に維持され、正極電圧信号Vpが出力端子DL1へ出力される。
【0051】
電圧フォロワ回路60は、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間に接続された負荷素子61と、負荷素子61の一端に接続され、当該負荷素子61に流れる電流値を設定する電流源62とを含む。かかる構成により、電圧フォロワ回路60は、出力選択スイッチ21のソースに供給される電圧信号V21に追従し、電圧信号V21の電圧を所定の電圧差だけシフトして電圧をゲート電圧Vg21として出力選択スイッチ21のゲートに供給する。
【0052】
尚、負荷素子61は、その抵抗値と流れる電流値により出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧差を設定する。これにより、各素子の耐圧を耐圧VDDT以下にすることが可能となる。負荷素子61は、抵抗素子やダイオード接続トランジスタで構成できる。
【0053】
電流源62は、出力選択スイッチ21のゲートと負荷素子61との接続点と、例えば正極電源電圧VDDHが供給される正極電源端子との間に接続される。電流源62は、出力選択スイッチ21のゲートNg21から負荷素子61を介して出力選択スイッチ21のソースへ流れる所定の電流値を有するソース電流を生成する。なお電流源62を、正極電源電圧VDDHと異なる正極側電源端子に接続してもよい。
【0054】
電圧フォロワ回路60により、Nチャネル型の出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧は閾値電圧以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ21がオン状態に維持され、負極電圧信号Vnが出力端子DL1へ出力される。
【0055】
次に、
図1に示す出力回路100の素子耐圧について説明する。
【0056】
出力回路100を構成する各素子は、出力電圧範囲よりも小さい耐圧VDDTの低耐圧素子で構成され、最小耐圧は出力電圧範囲の約1/2程度とされる。具体的には、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11までは、基準電源電圧VGND~正極電源電圧VDDHの範囲内に保たれるため、増幅回路10及びスイッチ14は、低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。同様に負極電圧信号供給回路20AからノードNs21までの経路の電圧は、基準電源電圧VGNDから負極電源電圧VDDLの範囲内に保たれるため、増幅回路20及びスイッチ24は、低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。
【0057】
出力選択スイッチ(Pチャネル型トランジスタスイッチ)11は、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが出力されるとき、電圧フォロワ回路50によりオン状態に制御される。この際、出力選択スイッチ11のソース、ドレインの各電圧はVGND~VDDHの正極電圧範囲内とされる。出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧差は、電圧フォロワ回路50により、耐圧VDDT以内に制御される。尚、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnが出力されるときは、スイッチ12及び13により、出力選択スイッチ11のゲート及びソースに基準電源電圧VGNDが供給され、当該出力選択スイッチ11はオフ状態に制御される。
【0058】
したがって、出力選択スイッチ11のドレインが接続されている出力端子DL1に負極電圧信号Vnが出力されていても、出力選択スイッチ11のソース、ドレイン、ゲートの各端子間電圧は耐圧VDDT以内に制御される。なお、出力端子DL1から出力する電圧信号を、正極電圧信号Vpから負極電圧信号Vnへ切り替える時は、例えばスイッチ12をオンのまま、スイッチ13をオフに制御すると共に、電圧フォロワ回路50を動作せることにより、出力端子DL1を正極電圧の状態から一旦、基準電源電圧VGNDの状態に駆動する。その後、負極電圧信号Vnの出力動作に切り替える。これにより、出力選択スイッチ11の各端子間電圧差を低い耐圧VDDT以内に保つことができる。
【0059】
出力選択スイッチ(Nチャネル型トランジスタ)21は、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnが出力されるとき、電圧フォロワ回路60によりオン状態に制御される。この際、出力選択スイッチ21のソース、ドレインの各電圧はVGND~VDDLの負極電圧範囲内とされる。出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧差は、電圧フォロワ回路60により、耐圧VDDT以内に制御される。尚、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが出力されるときは、スイッチ22及び23により、出力選択スイッチ21のゲート及びソースに基準電源電圧VGNDが供給され、当該出力選択スイッチ21はオフ状態に制御される。
【0060】
したがって、出力選択スイッチ21のドレインが接続された出力端子DL1に正極電圧信号Vpが出力されていても、出力選択スイッチ21のソース、ドレイン、ゲートの各端子間電圧は耐圧VDDT以内に制御される。なお、出力端子DL1から出力する電圧信号を、負極電圧信号Vnから正極電圧信号Vpへ切り替える時には、例えばスイッチ22をオンのまま、スイッチ23をオフに制御すると共に、電圧フォロワ回路60を動作せることにより、出力端子DL1を負極電圧の状態から一旦、基準電源電圧VGNDの状態に駆動する。その後、正極電圧信号Vpの出力動作に切り替える。これにより、出力選択スイッチ21の各端子間電圧差を低耐圧である耐圧VDDT以内に保つことができる。
【0061】
以上のように、
図1の出力回路100は、出力選択スイッチ11、21を含めて、低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。
【0062】
次に、
図2A及び
図2Bを参照して、電圧フォロワ回路50及び60の作用について説明する。
【0063】
図2Aは、正極電圧信号Vpが連続して出力されるときの、出力選択スイッチ11のソースに供給される電圧信号V11と、電圧フォロワ回路50により制御される出力選択スイッチ11のゲート電圧Vg11の信号波形を示している。
【0064】
図2Aにおいて、電圧信号V11は、時刻t1で、基準電源電圧VGND寄りの正極電圧から正極電源電圧VDDH寄りの正極電圧に変化し、時刻t2で再び基準電源電圧VGND寄りの正極電圧に変化する波形例を示している。
【0065】
出力選択スイッチ11のゲート電圧Vg11は、負側で且つ負荷素子51の両端電圧差により設定される電圧差を維持しつつ、電圧信号V11に追従してその電圧値が変化する。負荷素子51の両端電圧差は、正極電源電圧VDDHと基準電源電圧VGNDとの電圧差程度、又は、負極電源電圧VDDLと基準電源電圧VGNDとの電圧差(絶対値)程度が好ましい。これにより、出力選択スイッチ11の各端子間電圧差、負荷素子51及び電流源52の両端電圧差が耐圧VDDT内の電圧範囲に制御される。なお、負荷素子51の両端電圧差を、負極電源電圧VDDLと基準電源電圧VGNDとの電圧差(絶対値)程度よりも小さい値に設定する場合、電圧信号V11が正極電源電圧VDDH近傍のときに出力選択スイッチ11のゲート電圧Vg11が基準電源電圧VGNDを超過して正極電圧を取る場合がある。このような設定の場合には、予め出力選択スイッチ11のゲートNg11と負極電源電圧端子間に接続される電流源52を複数素子の縦積み構成としてもよい。これにより該複数素子の各々は確実に耐圧VDDT内の電圧範囲に制御される。
【0066】
図2Bは、負極電圧信号Vnが連続して出力されるときの、出力選択スイッチ21のソースに供給される電圧信号V21と、電圧フォロワ回路60により制御される出力選択スイッチ21のゲート電圧Vg21の信号波形を示している。
【0067】
図2Bにおいて、電圧信号V21は、時刻t1で、基準電源電圧VGND寄りの負極電圧から負極高位電源電圧VDDL寄りの負極電圧に変化し、時刻t2で再び基準電源電圧VGND 寄りの負極電圧に変化する波形例を示している。
【0068】
出力選択スイッチ21のゲート電圧Vg21は、正側で且つ負荷素子61の両端電圧差により設定される電圧差を維持しつつ、電圧信号V21に追従してその電圧値が変化する。負荷素子61の両端電圧差は、正極電源電圧VDDHと基準電源電圧VGNDとの電圧差程度、又は、負極電源電圧VDDLと基準電源電圧VGNDとの電圧差(絶対値)程度が好ましい。これにより、出力選択スイッチ21の各端子間電圧差、負荷素子61及び電流源62のそれぞれの両端電圧差が耐圧VDDT内の電圧範囲に制御される。なお、負荷素子61の両端電圧差を、正極電源電圧VDDHと基準電源電圧VGNDとの電圧差程度よりも小さい値に設定する場合、電圧信号V21が負極電源電圧VDDL近傍のときに出力選択スイッチ21のゲート電圧Vg21が基準電源電圧VGNDを超過して負極電圧を取る場合がある。このような設定の場合には、予め出力選択スイッチ21のゲートNg21と正極電源電圧端子間に接続される電流源62を複数素子の縦積み構成としてもよい。これにより該複数素子の各々は確実に耐圧VDDT内の電圧範囲に制御される。
【0069】
このように、出力回路100では、Pチャネル型トランジスタからなる第1のスイッチ(11)が、第1のノード(Ns11)を介して基準電源電圧(VGND)より高い正極電圧信号(Vp)を受け、オン状態時に当該正極電圧信号を出力端子(DL1)から出力する。更に、Nチャネル型トランジスタからなる第2のスイッチ(21)が、第2のノード(Ns21)を介して基準電源電圧より低い負極電圧信号(Vn)を受け、オン状態時に当該負極電圧信号を出力端子(DL1)から出力する。
【0070】
ここで、第1及び第2のスイッチ(11,21)は、以下の構成を有する第1及び第2の電圧フォロワ回路(50、60)によってオン状態に制御される。第1の電圧フォロワ回路(50)は、第1のスイッチ(11)のソース及びゲート間に接続されている第1の負荷素子(51)、及び第1の負荷素子に流す電流を生成する第1の電流源(52)を含む。かかる構成により、第1の電圧フォロワ回路は、第1のノードに供給された正極電圧信号(Vp)の電圧を負側に所定の電圧差だけシフトした電圧を第1のスイッチのゲートに供給することで、正極電圧信号の電圧値に拘わらず、第1のスイッチのオン状態を維持させる。一方、第2の電圧フォロワ回路(60)は、第2のスイッチ(21)のソース及びゲート間に接続されている第2の負荷素子(61)、及び第2の負荷素子に流す電流を生成する第2の電流源(62)を含む。かかる構成により、第2の電圧フォロワ回路は、第2のノードに供給された負極電圧信号(Vn)の電圧を正側に所定の電圧差だけシフトした電圧を第2のスイッチのゲートに供給することで、負極電圧信号の電圧値に拘わらず、第2のスイッチのオン状態を維持させる。
【0071】
更に、当該出力回路は、オン状態時に第1及び第2のノードを個別に基準電源電圧に設定する第3及び第4のスイッチ(12、22)と、活性状態時に第1及び第2のスイッチを個別にオフ状態に設定する第1及び第2の制御手段(13、23)と、を含む。これにより、正極電圧信号を出力端子(DL1)から出力するときは、第2のスイッチ(21)をオフ状態に制御すると共に第2のノード(Ns21)を基準電源電圧に設定する。一方、負極電圧信号を出力端子(DL1)から出力するときは、第1のスイッチ(11)をオフ状態に制御すると共に第1のノード(Ns11)を基準電源電圧に設定する。
【0072】
かかる構成によれば、基準電源電圧より高い正極電圧信号及び当該基準電源電圧よりも低い負極電圧信号を扱う各スイッチとして、負極性電圧信号の最低電圧(VDDL)~最大電圧(VDDH)の電圧範囲の約1/2の耐圧(VDDT)のトランジスタを用いることが可能となる。更に、電圧フォロワ回路(50、60)のような、負荷素子(51、61)及び当該負過素子に電流を流す電流源(52、62)を含む簡素なアナログ回路で、出力選択スイッチ(11、21)に対して当該出力選択スイッチのオン状態を維持し得る、極性を跨いだ制御を実現している。
【0073】
よって、当該構成によれば、正極電圧信号及び負極電圧信号のうちの一方を選択的に出力する出力回路を簡易な構成で省面積化(低コスト化)することが可能となる。
【0074】
なお、
図1に示す出力回路100及び以下の各実施例は、シリコン基板などの半導体基板上に形成されるPチャネル型及びNチャネル型のMOSトランジスタ回路で構成することができる。また、ガラスやプラスチックなどの絶縁性基板上に形成されるPチャネル型及びNチャネル型の薄膜トランジスタ回路でも構成することができる。なお、MOSトランジスタで構成する場合のバックゲートについても、ゲート、ドレイン、ソースの各端子との電圧差が低い耐圧VDDT内となるように制御される。
【実施例2】
【0075】
図3は、
図1に示す出力回路100の第1の変形例としての出力回路100-1を示す回路図である。
【0076】
尚、
図3に示す出力回路100-1は、出力回路100の電圧フォロワ回路50及び60のみを電圧フォロワ回路50-1及び60-1に変更したものであり、他の構成は
図1に示すものと同一である。電圧フォロワ回路50-1及び60-1は、電圧フォロワ回路50及び60と同様に
図2A及び
図2Bの動作を実現する。
【0077】
図3に示す電圧フォロワ回路50-1は、
図1に示す電圧フォロワ回路50の構成に、更に出力選択スイッチ11のソースに接続され、出力選択スイッチ11のソースへ流れる電流源52と同一の電流値を有するソース電流を生成する電流源53を備える。具体的には、電流源53は、例えば出力選択スイッチ11のソースと正極電源電圧VDDHとの間に接続され、当該電流源52が生成する電流と同一電流値を有する定電流を、出力選択スイッチ11のソースに供給する。これにより、正極電圧信号供給回路10Aの増幅回路10の駆動能力が比較的低い場合でも、出力選択スイッチ11のソースから負荷素子51に流れる電流消費の影響、すなわち出力オフセットの増加を防ぐことができる。
【0078】
同様に、
図3に示す電圧フォロワ回路60-1は、
図1に示す電圧フォロワ回路60の構成に、更に出力選択スイッチ21のソースに接続され、出力選択スイッチ21のソースから流れる電流源62と同じ電流値を有するシンク電流を生成する電流源63を備える。具体的には、出力選択スイッチ21のソースと負極電源電圧VDDLとの間に接続され、当該電流源62が生成する電流と同一電流値を有する定電流を、出力選択スイッチ11のソースから引き抜く。これにより負極電圧信号供給回路20Aの増幅回路20の駆動能力が比較的低い場合でも、負荷素子61から出力選択スイッチ21のソースに流れる電流消費の影響、すなわち出力オフセットが増加を防ぐことができる。
【0079】
なお、増幅回路10、20が、負荷素子51、61に流れる電流に対して十分高い電流能力を備えている場合には、電流源53、63を設ける必要はない。
【0080】
また、以下で説明する
図4~
図7に示す各実施例では電流源53、63を設けない構成例を示すが、電流源53又は63を備えた構成を採用しても良い。
【実施例3】
【0081】
図4は、
図1に示す出力回路100の第2の変形例としての出力回路100-2を示す回路図である。
【0082】
尚、
図4に示す出力回路100-2は、電圧フォロワ回路50及び60として、その構成の具体例を表す電圧フォロワ回路50-2及び60-2を採用したものである。電圧フォロワ回路50-2及び60-2は、電圧フォロワ回路50及び60と同様に夫々
図2A及び
図2Bの動作を実現する。
【0083】
電圧フォロワ回路50-2は、負荷素子51として、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間に、N個(N≧1)のダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタが接続されてなるダイオード接続トランジスタ回路51aを設けたものである。N個のダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタは、各々のソース側が出力選択スイッチ11のソースに接続され、各々のドレイン及びゲート側が出力選択スイッチ11のゲートと電流源52との接続点に共通接続される。尚、ダイオード接続トランジスタ回路51aを、夫々がダイオード接続されている複数のPチャネル型トランジスタで構成する場合、直列形態、又は並列形態、或いは直列と並列の混合形態で接続してもよい。電流源52は、Pチャネル型トランジスタ回路51aに流れる電流値を設定する。
【0084】
ここで、ダイオード接続トランジスタ回路51aの抵抗値を決定するN個のダイオード接続トランジスタの構成、各トランジスタサイズ、及び上記した電流値により、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧(絶対値)は閾値電圧(絶対値)以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ11はオン状態に維持され、正極電圧信号Vpが当該出力選択スイッチ11を介して出力端子DL1へ出力される。
【0085】
なお、
図4では省略するが、ダイオード接続トランジスタ回路51aは、N個のダイオード接続構成のNチャネル型トランジスタ回路で構成することも可能である。その場合、N個のダイオード接続構成のNチャネル型トランジスタは、各々のドレイン及びゲート側が出力選択スイッチ11のソースに接続され、各々のソース側が出力選択スイッチ11のゲートと電流源52との接続点に共通接続される。但し、負荷素子51を、
図4に示すダイオード接続トランジスタ回路51aで実現する場合、出力選択スイッチ11と同一導電型のトランジスタで構成するのが好ましい。負荷素子51を出力選択スイッチ11と異なる導電型のトランジスタで構成した場合、トランジスタの閾値電圧のプロセスばらつきや動作環境による変動が導電型毎に異なるため、出力選択スイッチ11のオン抵抗の変動が生じやすい。一方、負荷素子51を出力選択スイッチ11と同じ導電型のトランジスタで構成した場合、トランジスタの閾値電圧のプロセスばらつきや動作環境による変動が連動するため、出力選択スイッチ11のオン抵抗の変動が生じにくくすることができる。
【0086】
電圧フォロワ回路60-2は、負荷素子61として、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間に、M個(M≧1)のダイオード接続構成のNチャネル型トランジスタが接続されてなるダイオード接続トランジスタ回路61aを設けたものである。M個のダイオード接続構成のNチャネル型トランジスタは、各々のソース側が出力選択スイッチ21のソースに接続され、各々のドレイン及びゲート側が出力選択スイッチ21のゲートと電流源62との接続点に共通接続される。尚、ダイオード接続トランジスタ回路61aを、夫々がダイオード接続されている複数のNチャネル型トランジスタで構成する場合、直列形態、又は並列形態、或いは直列と並列の混合形態で夫々を接続してもよい。電流源62は、ダイオード接続トランジスタ回路61aに流れる電流値を設定する。
【0087】
ここで、ダイオード接続トランジスタ回路61aの抵抗値を決定するM個のダイオード接続トランジスタの構成、各トランジスタサイズ、及び上記した電流値により、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧が閾値電圧以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ21はオン状態に維持され、負極電圧信号Vnが当該出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1へ出力される。
【0088】
なお、
図4では省略するが、ダイオード接続トランジスタ回路61aは、M個のダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタで構成することも可能である。その場合、M個のダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタは、各々のドレイン及びゲート側が出力選択スイッチ21のソースに接続され、各々のソース側が出力選択スイッチ21のゲートと電流源62との接続点に共通接続される。但し、負荷素子61をダイオード接続構成トランジスタで構成する場合、出力選択スイッチ21と同じ導電型のトランジスタで構成するのが好ましい。負荷素子61を出力選択スイッチ21とは異なる導電型のトランジスタで構成した場合、トランジスタの閾値電圧のプロセスばらつきや動作環境による変動が導電型毎に異なるため、出力選択スイッチ21のオン抵抗の変動が生じやすい。一方、負荷素子61を出力選択スイッチ21と同一導電型のトランジスタで構成した場合、トランジスタの閾値電圧のプロセスばらつきや動作環境による変動が連動するため、出力選択スイッチ21のオン抵抗の変動を生じにくくすることができる。
【実施例4】
【0089】
図5は、
図1に示す出力回路100の第3の変形例としての出力回路100-3を示す回路図である。
【0090】
尚、出力回路100-3は、電圧フォロワ回路50及び60として、その構成の他の具体例を表す電圧フォロワ回路50-3及び60-3を採用したものである。電圧フォロワ回路50-3及び60-3は、電圧フォロワ回路50及び60と同様に、夫々
図2A及び
図2Bの動作を実現する。
【0091】
電圧フォロワ回路50-3は、負荷素子51として、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間にN個(N≧1)の抵抗素子が接続されて構成された抵抗素子回路51bを含む。抵抗素子回路51bを複数の抵抗素子で構成する場合、夫々を直列形態、又は並列形態、或いは直列及び並列の混合形態で接続してもよい。電流源52は、抵抗素子回路51bに流れる電流値を設定する。
【0092】
ここで、抵抗素子回路51bの抵抗値及び上記した電流値により、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧(絶対値)が閾値電圧(絶対値)以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ11がオン状態に維持され、正極電圧信号Vpが当該出力選択スイッチ11を介して出力端子DL1へ出力される。
【0093】
電圧フォロワ回路60-3は、負荷素子61として、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間にM個(M≧1)の抵抗素子が接続されて構成された抵抗素子回路61bを含む。抵抗素子回路61bを複数の抵抗素子で構成する場合、夫々を直列形態、又は並列形態、或いは直列及び並列の混合形態で接続してもよい。電流源62は、抵抗素子回路61bに流れる電流値を設定する。
【0094】
ここで、抵抗素子回路61bの抵抗値及び上記した電流値により、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧は閾値電圧以上に制御される。これにより、出力選択スイッチ21がオン状態に維持され、負極電圧信号Vnが出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1へ出力される。
【実施例5】
【0095】
図6は、
図4に示す出力回路100-2の電圧フォロワ回路50-2に含まれるダイオード接続トランジスタ回路51aの変形例としてのダイオード接続トランジスタ回路51a-1を示す回路図である。
【0096】
図6に示すダイオード接続トランジスタ回路51a-1は、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定値を調整可能とする機能を
図4に示すダイオード接続トランジスタ回路51aに追加したものである。尚、
図6には、ダイオード接続トランジスタ回路51a-1と共に、これと接続される周辺の回路(11、13、52)が示されているが、以下に、当該ダイオード接続トランジスタ回路51a-1の構成のみ説明する。
【0097】
図6において、ダイオード接続トランジスタ回路51a-1では、出力選択スイッチ11のソース(ノードNs11)とゲート(Ng11)との間に、ダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタ501~503が縦積みに接続されている。なおPチャネル型トランジスタ502及び503のそれぞれのゲートとソースとの間には、スイッチ512、513が接続されている。
【0098】
また、Pチャネル型トランジスタ501と並列に、夫々がダイオード接続された構成を有するPチャネル型トランジスタ504及び505が接続されている。
【0099】
Pチャネル型トランジスタ504のゲート・ドレイン間には、オン時にダイオード接続の構成を活性化するスイッチ514aが接続され、ゲート・ソース間にはオン時にダイオード接続構成を非活性化するスイッチ514bが接続される。スイッチ514a及び514bは一方がオンのとき、他方はオフに制御する。同様にPチャネル型トランジスタ504のゲート・ドレイン間、及びゲート・ソース間にもスイッチ515a、515bがそれぞれ接続されている。
【0100】
Pチャネル型トランジスタ501~505は、いずれも、ダイオード接続構成の活性化時には自身のゲートとドレインとが接続される。
【0101】
Pチャネル型トランジスタ501~503は、1個あたりのドレイン・ソース間の電圧が出力選択スイッチ11の閾値電圧(絶対値)以上を有する所定電圧の3段分を、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧に設定する。このとき、スイッチ512及び513のうちの一方、又は両方をオンすることで、縦積みの段数が1~3段に切替可能となり、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定値を大きく調整することができる。
【0102】
一方、並列接続のPチャネル型トランジスタ501、504、505は、ダイオード接続構成1段分の電圧差を微調整するために設けられている。つまり、スイッチ514a、515aの一方又は両方をオンすることで、Pチャネル型トランジスタ501、504、505のドレイン・ソース間の電圧差を微調整することができる。
【0103】
上記した構成により、
図6に示すダイオード接続トランジスタ回路51a-1は、N個のダイオード接続構成のPチャネル型トランジスタによるダイオード接続構成を活性化又は非活性化する制御をスイッチ(512~514)で行うことで、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定値を調整可能としている。
【0104】
なお、
図4に示す出力回路100-2の電圧フォロワ回路60-2についても、
図6に示す構成と同様の変形が可能である。つまり、
図4に示すダイオード接続トランジスタ回路61aについても、
図6と同様に、M個からなるダイオード接続構成のNチャネル型トランジスタを、縦積みや並列接続を組合せて構成し、スイッチにより、各Nチャネル型トランジスタのダイオード接続構成の活性化又は非活性化を制御することで、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧の設定値を調整することができる。
【実施例6】
【0105】
図7は、
図5に示す出力回路100-3の電圧フォロワ回路50-3に含まれる抵抗素子回路51bの変形例としての抵抗素子回路51b-1を示す回路図である。
【0106】
図7に示す抵抗素子回路51b-1は、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定値を調整可能とする機能を追加した構成である。尚、
図7には、抵抗素子回路51b-1と共に、これと接続される周辺の回路(11、13、52)が示されているが、以下に、当該抵抗素子回路51b-1の構成のみ説明する。
【0107】
図7に示すように、抵抗素子回路51b-1は、出力選択スイッチ11のソース(ノードNs11)とゲート(Ng11)との間に、抵抗素子521~523が直列形態で接続されたものである。なお、抵抗素子522及び523には、それぞれと並列に、スイッチ532、533が接続されている。スイッチ532、533は、夫々を個別にオンまたはオフすることで、抵抗素子回路51b-1を、抵抗521の単独抵抗値、抵抗521及び522の合成抵抗値、抵抗521及び523の合成抵抗値、抵抗521~533の合成抵抗値の4段階の抵抗値に制御する。これにより、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定電圧値を大きく調整することが可能となる。
【0108】
このように、
図6に示す抵抗素子回路51b-1は、N個の抵抗素子を組合せ、スイッチにより各抵抗素子の活性化、非活性化を制御することで、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧の設定値を調整できる機能を備えている。
【0109】
なお、
図5に示す出力回路100-3の電圧フォロワ回路60-3の抵抗素子回路61bについても
図7に示す構成と同様の変形が可能である。つまり、
図5に示す抵抗素子回路61bについても、
図7と同様に、N個の抵抗素子を接続し、スイッチにより各抵抗素子の活性化、非活性化を制御することで、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧の設定値を調整することが可能となる。
【実施例7】
【0110】
図8は、
図1に示す制御部101が生成する制御信号S12~S14、S22~S24の一例を示すタイムチャートである。
【0111】
尚、
図8では、出力回路100が正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnを周期的に交互に切り替えて出力する、いわゆる極性反転駆動を行う場合に制御部101が生成する制御信号の一例を表す。また、
図8では、正極電圧信号Vpを出力する正極駆動期間(T2)、及び負極電圧信号Vnを出力する負極駆動期間(T4)の各々において、スイッチ12~14及び22~24に対するオンオフ制御と、ノードNs11の正極電圧信号V11、ノードNs21の負極電圧信号V21、出力端子DL1への出力電圧VDL1の電圧波形を表す。尚、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnは、それぞれの極性に対応した電圧範囲内で、単一又は複数のステップ信号であってもよい。
【0112】
正極駆動期間T2と負極駆動期間T4との間には切替期間T1及びT3が設けられており、当該切替期間において、素子の耐圧超過を防止するため、出力端子DL1は一旦基準電源電圧VGNDに駆動される。また正極駆動期間T2及び負極駆動期間T4に関しては、同極性の複数の電圧信号を順次出力する複数期間に分割してもよい。
【0113】
ここで、例えば、スイッチ12、23はNチャネル型トランジスタスイッチ、スイッチ13、22はPチャネル型トランジスタスイッチ、スイッチ14、24は相補型トランジスタスイッチとする。
【0114】
各スイッチを制御する制御信号S12~S14、S22~S24は、それぞれが制御するスイッチの電圧極性に応じた電源電圧が供給されている。相補型トランジスタスイッチ14、24については、Nチャネル型トランジスタスイッチに供給する電源電圧により、オンオフの制御状態を示す。
【0115】
尚、
図8に示す一例では、切替期間T1の直前(初期状態)を、負極電圧信号供給回路20Aにて生成された負極電圧信号Vnが出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1に供給された状態、つまり、負極駆動期間T4での動作状態にあるとする。
【0116】
図8において、まず切替期間T1では、制御信号S14及びS24によりスイッチ14及び24は共にオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、制御信号S12及びS13によりスイッチ12及び13は共にオン状態とされ、出力選択スイッチ(Pチャネル型トランジスタスイッチ)11のゲート及びソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧フォロワ回路50は非活性状態となり、出力選択スイッチ11はオフ状態、ノードNs11の正極電圧信号V11は基準電源電圧VGNDとなる。また、制御信号S22によりスイッチ22はオン状態とされ、出力選択スイッチ(Nチャネル型トランジスタスイッチ)21のソース(ノードNs21)に基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S23によりスイッチ23はオフ状態とされており、電圧フォロワ回路60により出力選択スイッチ21はオン状態とされる。
【0117】
したがって、ノードNs21の負極電圧信号V21は基準電源電圧VGNDに引き上げられ、出力端子DL1の出力電圧VDL1も出力選択スイッチ21を介して基準電源電圧VGNDに引き上げられる。
【0118】
次に、正極駆動期間T2では、制御信号S22及びS23によりスイッチ22及び23は共にオン状態とされ、出力選択スイッチ21のゲート及びソース(ノードNs21)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧フォロワ回路60は非活性化し、出力選択スイッチ21はオフ状態、ノードNs21の負極電圧信号V21は基準電源電圧VGNDとなる。また制御信号S12及びS13によりスイッチ12及び13は共にオフ状態とされ、電圧フォロワ回路50が活性化して出力選択スイッチ11はオン状態とされる。さらに制御信号S24によりスイッチ24はオフ状態とされ、負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は引き続き遮断される。
【0119】
一方、制御信号S14によりスイッチ14はオン状態とされ、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ正極電圧信号Vp(V11)が供給される。そして、オン状態の出力選択スイッチ11を介して出力端子DL1の出力電圧VDL1が正極電圧信号Vpに引き上げられる。なお、正極駆動期間T2において、正極電圧信号供給回路10Aから出力する電圧Vpを変化させても、電圧フォロワ回路50により出力選択スイッチ11のオン状態が保持されるため、出力電圧VDL1も電圧Vpに追随して変化する。
【0120】
次に、切替期間T3では、制御信号S14及びS24によりスイッチ14及び24は共にオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、制御信号S22及びS23によりスイッチ22及び23は引き続き共にオン状態とされ、電圧フォロワ回路60は非活性化し、出力選択スイッチ21はオフ状態が継続され、ノードNs21の負極電圧信号V21も基準電源電圧VGNDが保持される。一方、制御信号S12によりスイッチ12はオン状態とされ、出力選択スイッチ(Pチャネル型トランジスタスイッチ)11のソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S13によりスイッチ13は引き続きオフ状態とされており、電圧フォロワ回路50により出力選択スイッチ11はオン状態が維持される。
【0121】
したがって、ノードNs11の電圧信号V11は基準電源電圧VGNDに引き下げられ、出力端子DL1の出力電圧VDL1も出力選択スイッチ11を介して基準電源電圧VGNDに引き下げられる。
【0122】
次に、負極駆動期間T4では、制御信号S12及びS13によりスイッチ12及び13は共にオン状態とされ、出力選択スイッチ11のゲート及びソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧フォロワ回路50は非活性化し、出力選択スイッチ11はオフ状態となり、ノードNs11の電圧信号V11は基準電源電圧VGNDが維持される。また制御信号S22及びS23によりスイッチ22及び23は共にオフ状態とされ、電圧フォロワ回路60が活性化して出力選択スイッチ21はオン状態とされる。さらに制御信号S14によりスイッチ14はオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10Aからの電圧信号の供給は引き続き遮断される。一方、制御信号S24によりスイッチ24はオン状態とされ、負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ負極電圧信号Vn(V21)が供給される。そして、オン状態の出力選択スイッチ21を介して、出力端子DL1の出力電圧VDL1が負極電圧信号Vpに引き下げられる。なお、負極駆動期間T4において、負極電圧信号供給回路20Aから出力する負極電圧信号Vnの電圧値を変化させても、電圧フォロワ回路60により出力選択スイッチ21のオン状態が保持されるため、出力電圧VDL1も負極電圧信号Vnの電圧値に追随して変化する。
【0123】
なお、切替期間T1、T3では、電圧フォロワ回路50又は60の一方が非活性化する。そこで、非活性化された電圧フォロワ回路50又は60に含まれる電流源の電流を一時的に遮断するスイッチを更に備えていてもよい。
【0124】
また、上記実施例では、正極駆動期間と負極駆動期間とを交互に切り替える駆動制御例を説明したが、電源投入時や電源オフ時では、電源電圧の立上げや立下げに応じた制御を行う。例えば、電源電圧の立上げや立下げ時には、出力端子DL1に外部接続される容量性負荷を基準電源電圧に駆動するため、例えば、制御部101は、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aの電圧信号の供給を遮断し(スイッチ14、24をオフ)、スイッチ12、22を共にオン、スイッチ13、23を共にオフとなるように制御する。さらに電圧フォロワ回路50、60を共に活性化させ、出力選択スイッチ11、21が共にオンとなるように制御してもよい。
【実施例8】
【0125】
図9は、本発明に係る出力回路の他の実施例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
【0126】
図9に示す出力回路200は、出力回路100が1系統の負荷に正極電圧信号又は負極電圧信号を交互に出力するのに対し、2系統の負荷の一方に正極電圧信号、他方に負極電圧信号を出力し且つ両者の極性を交互に切り替える極性反転駆動を行うものである。
【0127】
尚、
図9に示す出力回路200では、
図1に示す正極電圧信号供給回路10Aに代えて正極電圧信号供給回路10Bを採用し、負極電圧信号供給回路20Aに代えて負極電圧信号供給回路20Bを採用し、制御部101に代えて制御部201を採用している。更に、
図9に示す出力回路200では、第2の出力端子DL2、スイッチ32~34、42~44、出力選択スイッチ31及び41、電圧フォロワ回路50A及び50Bを新たに設けたものであり、それ以外の他の構成は、
図1に示すものと同一である。
【0128】
図9において、正極電圧信号供給回路10Bは、正極電圧信号Vp(VGND<Vp<VDDH)の2系統のノードNs11又はNs31への供給、遮断を制御する。負極電圧信号供給回路20Bは、負極電圧信号Vn(VGND>Vn>VDDL)の2系統のノードNs21又はNs41への供給、遮断を制御する。
【0129】
出力選択スイッチ31は、ソースがノードNs31に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたPチャネル型トランジスタで構成される。出力選択スイッチ41は、ソースがノードNs41に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたNチャネル型トランジスタで構成される。
【0130】
電圧フォロワ回路50Aは、出力選択スイッチ(Pチャネル型トランジスタスイッチ)31のゲート・ソース間に接続され、電圧フォロワ回路50と同じ作用を行う。電圧フォロワ回路60Aは、出力選択スイッチ(Nチャネル型トランジスタスイッチ)41のゲート・ソース間に接続され、電圧フォロワ回路60と同じ作用を行う。
【0131】
スイッチ32は、ノードNs31と基準電源電圧VGNDを供給する基準電源端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成される。スイッチ42は、ノードNs41と基準電源端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成される。スイッチ33は、出力選択スイッチ31のゲートと基準電源端子との間に接続されたPチャネル型トランジスタで構成される。スイッチ43は、出力選択スイッチ41のゲートと基準電源端子との間に接続されたNチャネル型トランジスタで構成される。なお、スイッチ33は、出力選択スイッチ31のゲートとノードNs31間を接続するスイッチに置換可能であり、スイッチ43は、出力選択スイッチ41のゲートとノードNs41間を接続するスイッチに置換可能である。
【0132】
図9において、ノードNs11及びNs21から出力端子DL1までの回路202と、ノードNs31及びNs41から出力端子DL2までの回路203は、互いに同じ機能を有し、一方が正極電圧信号の出力動作を行うときには、他方が負極電圧信号の出力動作を行う。
【0133】
図9に示す正極電圧信号供給回路10Bは、
図1に示す正極電圧信号供給回路10Aに、ノードNs31への正極電圧信号Vpの供給、遮断を制御するスイッチ34を追加したものである。スイッチ34も広い電圧範囲の正極電圧信号Vpを通すため、スイッチ14と同様に相補型スイッチで構成される。
【0134】
尚、正極電圧信号供給回路10Bに含まれる増幅回路10は、これらスイッチ14、34の機能を内部に含む構成としてもよい。
【0135】
負極電圧信号供給回路20Bは、
図1に示す負極電圧信号供給回路20Aに、ノードNs41への負極電圧信号Vnの供給、遮断を制御するスイッチ44を追加したものである。スイッチ44も広い電圧範囲の負極電圧信号Vnを通すため、スイッチ24と同様に相補型スイッチで構成される。尚、負極電圧信号供給回路20Bに含まれる増幅回路20は、これらスイッチ24、44の機能を内部に含む構成としてもよい。
【0136】
図9に示す出力回路200では、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御するスイッチ12~14、22~24の各々は
図8の正極駆動期間T2(前後の切替期間を含む)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御するスイッチ32~34、42~44の各々に対しては、スイッチ12~14、22~24の負極駆動期間T4(前後の切替期間を含む)での制御と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnを出力する。
【0137】
一方、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnを出力するときは、出力端子DL1への出力を制御するスイッチ12~14、22~24の各々に対して、
図8の負極駆動期間T4(前後の切替期間を含む)での制御と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御するスイッチ32~34、42~44の各々に対しては、スイッチ12~14、22~24の正極駆動期間T2(前後の切替期間を含む)での制御と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ正極電圧信号Vpを出力する。
【0138】
制御部201は、
図1に示す制御部101と同様に、
図8に示すタイミングで上記した制御信号S11~S13、S22~S24を生成する。更に、制御部201は、前述した信号形態の制御信号S32~S34、S42~S44を生成する。なおスイッチ14、24、34、44がそれぞれ相補型スイッチで構成される場合は、S14、S24、S34、S44のそれぞれの相補信号も制御部201で生成される。
【0139】
このように、
図9に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、
図8に示す駆動制御が行われる。ただし、出力端子DL2に対する駆動制御については、
図8に示す駆動制御において、正極電圧信号Vpの供給期間と負極電圧信号Vnの供給期間が入れ替わったものとなる。すなわち、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが供給されているときは、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnが供給され、出力端子DL1へ負極電圧信号Vpが供給されているときは、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnが供給される。
【0140】
尚、
図9に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、各素子を低耐圧素子で構成することができる。したがって出力回路の省面積化及び低価格化を図ることが可能となる。
【実施例9】
【0141】
図10は、本発明に係る出力回路を有するデータドライバ73を含む液晶表示装置400の概略構成を示すブロック図である。
【0142】
図10において、画素単位毎の液晶表示デバイスを含むアクティブマトリクス型表示パネル71には、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS1~Smと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線D1~Dnとが形成されている。水平走査ライン及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。表示セルは、少なくともスイッチ素子と画素電極とを含み、水平走査ラインの走査パルスに応じてスイッチ素子がオン状態となるときに、データ線の階調電圧信号がスイッチ素子を介して画素電極に印加され、画素電極に印加された階調電圧に応じて液晶表示デバイスの輝度が制御される。なお、
図11において、具体的な表示セルの構成は記載を省略している。
【0143】
駆動制御部74は、制御信号等も一体化された映像信号VDを受け、当該映像信号VD中から水平同期信号に基づくタイミング信号を生成して走査ドライバ72に供給する。また、駆動制御部74は、映像信号VDに基づき各種の制御信号群、並びに各画素の輝度レベルを例えば8ビットの輝度階調で指す画素データPDの系列を生成してデータドライバ73に供給する。
【0144】
走査ドライバ72は、駆動制御部74から供給されたタイミング信号に基づき、水平走査パルスを表示パネル71の水平走査ラインS1~Smの各々に順次印加する。
【0145】
データドライバ73は、例えばLSI(Large Scale Integrated Circuit)等の半導体装置に形成されている。データドライバ73は、駆動制御部74から供給された画素データPDを1水平走査ライン分、つまりn個毎に、各画素データPDに対応した階調電圧を有する階調電圧信号G1~Gnに変換する。そして、データドライバ73は、当該階調電圧信号G1~Gnを表示パネル71のデータ線D1~Dnに印加する。なお、走査ドライバ72又はデータドライバ73は、回路の一部又は全てが表示パネルと一体形成されてもよい。またデータドライバ73は、複数個のLSIで構成されてもよい。
【0146】
図11は、データドライバ73の内部構成を示すブロック図である。
【0147】
図11に示すように、データドライバ73は、シフトレジスタ600、データレジスタラッチ回路700、レベルシフト回路800、レベル電圧発生回路500、デコーダ回路900、及び出力増幅回路2000を含む。また
図10の駆動制御部74から供給される制御信号や映像デジタル信号を受けて、ドライバ内部で必要なクロック信号や制御信号を生成し、映像デジタル信号とのタイミング調整を行った信号群を出力するインターフェイス回路(不図示)も含む。
図11では、説明の便宜上、インターフェイス回路の詳細は省略する。なお電源電圧は、シフトレジスタ600、データレジスタラッチ回路700には基準電源電圧VGND及び正極低位電源電圧VCCHが少なくとも供給され、負極側信号が生成されるブロックには、負極低位電源電圧VCCLも供給される。レベルシフト回路800、レベル電圧発生回路500、デコーダ回路900、及び出力増幅回路2000には、少なくとも基準電源電圧VGND、正極高位電源電圧VDDH及び負極高位電源電圧VDDLが供給される。
【0148】
シフトレジスタ600は、スタートパルスに応じて、クロック信号CLKに同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチ回路700に供給する。
【0149】
データレジスタラッチ回路700は、映像デジタル信号、極性反転信号(POL)、タイミング制御信号等を受けて、シフトレジスタ600から供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、映像デジタル信号を所定個毎に取り込み、該所定個の映像デジタル信号をラッチタイミングでレベルシフト回路800に供給する。
【0150】
なおデータレジスタラッチ回路700は、極性反転信号(POL)に基づき、正極又は負極に対応したレベルシフタ80P又は80Nへ映像デジタル信号を選択出力する。
【0151】
レベルシフト回路800は、正極用レベルシフタ80Pと負極用レベルシフタ80Nを備える。正極用レベルシフタ80Pは、低振幅(VGND/VCCH)の映像デジタル信号をアナログ電圧振幅(VGND/VDDH)の正極映像デジタル信号に変換する。負極用レベルシフタ80Nは、低振幅(VGND/VCCL)の映像デジタル信号をアナログ電圧振幅(VGND/VDDL)の負極映像デジタル信号に変換する。データレジスタラッチ回路700から供給された所定個の映像デジタルデータ信号は、極性反転信号(POL)に応じて、正極用レベルシフタ80P又は負極用レベルシフタ80Nに送られ、極性毎に対応するアナログ電圧振幅に拡幅され、正極デコーダ90P又は負極デコーダ90Nへ送られる。
【0152】
デコーダ回路900は、2出力毎に正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組で構成される。なおデコーダ回路900内の極性毎のデコーダ90P、90Nの並び順は変更可能である。
【0153】
レベル電圧発生回路500は、互いに電圧値が異なる複数のレベル電圧を正極用と負極用を生成し、デコーダ90P、90Nへそれぞれ供給する。
【0154】
デコーダ回路900は、正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組の2出力を単位として、レベルシフト処理後の映像デジタル信号に対応したレベル電圧を、上記した複数のレベル電圧の中から選択し、極性毎に選択したレベル電圧を出力増幅回路2000に供給する。
【0155】
出力増幅回路2000は、例えば
図9の出力回路200で構成される。出力増幅回路2000は、極性反転信号(POL)とスイッチ制御信号群を受け、デコーダ回路900で選択された極性毎のレベル電圧をそれぞれ演算増幅して、極性反転信号(POL)に応じてデータドライバの2つの出力端子毎に、一方に正極電圧信号(Vp)、他方に負極電圧信号(Vn)を出力する。なお出力増幅回路2000では、極性反転信号(POL)に応じて、例えば
図9の出力回路200の制御信号S12~S14、S22~S24、S32~S34、S42~S44が制御され、スイッチ12~14、22~24、32~34、42~44各々のオン、オフが制御される。なお
図10の各制御信号を生成する制御部201は、出力増幅回路2000の複数の出力回路200に対して共通に設けてもよい。
【0156】
図11のデータドライバのブロック図において、アナログ電圧振幅の電圧範囲を有するブロックは、レベルシフト回路800、デコーダ回路900、出力増幅回路2000とレベル電圧発生回路500である。
【0157】
またレベル電圧発生回路500は、正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)とに分けて構成することができる。出力増幅回路2000も正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)のそれぞれの耐圧の素子で構成することができる。
【0158】
すなわち、
図11のデータドライバは、出力端子へは負極電圧信号と正極電圧信号のVDDL~VDDHの電圧範囲の液晶駆動電圧信号が出力されるが、データドライバを構成する素子は、液晶駆動電圧範囲の約2分の1の正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)又は負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)で動作可能な低耐圧VDDTの素子で構成することができる。低耐圧VDDTのトランジスタの場合、例えば、ゲート絶縁膜を薄くすることができ、そのトランジスタで構成する出力回路を省面積で実現できるようになる。また耐圧が下がることで、素子間隔も狭くできる。このように
図11のデータドライバは、省面積で構成できるため、低価格化が可能になる。
【符号の説明】
【0159】
10A 正極電圧信号供給回路
11、21 出力選択スイッチ
12~14、22~24 スイッチ
20A 負極電圧信号供給回路
50、60 電圧フォロワ回路
73 データドライバ
100、200 出力回路
400 表示装置