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特許7564733タッチ入力装置、タッチ入力方法、及びタッチ入力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】タッチ入力装置、タッチ入力方法、及びタッチ入力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
G06F3/041 595
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021032367
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133602
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸雄
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-097464(JP,A)
【文献】特開2015-141565(JP,A)
【文献】特表2016-541033(JP,A)
【文献】特開2015-082210(JP,A)
【文献】特開2014-016781(JP,A)
【文献】特開2014-063320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0256944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090672(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0133787(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成部と、
前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定部と、
前記線情報生成部により生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定部により設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化処理部と、
を備え
前記位置検出部は、前記入力範囲における静電容量の検出レベルのピークの重心位置を前記タッチ位置として検出する、タッチ入力装置。
【請求項2】
前記平滑化レベル設定部は、前記入力範囲の面積が閾値以下の場合に、前記平滑化レベルを第1平滑化レベルに設定し、前記入力範囲の面積が前記閾値よりも大きい場合に、前記平滑化レベルを前記第1平滑化レベルよりも平滑化の度合いが大きい第2平滑化レベルに設定する、
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項3】
前記平滑化レベル設定部は、前記入力範囲の面積が大きい程、平滑化の度合いが大きくなるように、前記平滑化レベルを設定する、
請求項1又は請求項2に記載のタッチ入力装置。
【請求項4】
前記平滑化レベル設定部は、前記平滑化レベルとして、指数平滑法における平滑化パラメータを設定し、
前記平滑化処理部は、前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定部により設定される前記平滑化パラメータによる前記指数平滑法を用いて平滑化を行う、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項5】
前記位置検出部は、前記タッチパネルにおける検出値が所定値以上の領域を前記入力範囲として判定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記タッチパネルと前記入力手段との接触領域を前記入力範囲として判定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項7】
一又は複数のプロセッサーが、
タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップにより検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成ステップと、
前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定ステップと、
前記線情報生成ステップにより生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定ステップにより設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化ステップと、
を実行し、
前記位置検出ステップにおいて、前記入力範囲における静電容量の検出レベルのピークの重心位置を前記タッチ位置として検出する、タッチ入力方法。
【請求項8】
タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップにより検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成ステップと、
前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定ステップと、
前記線情報生成ステップにより生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定ステップにより設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのタッチ入力プログラムであって、
前記位置検出ステップにおいて、前記入力範囲における静電容量の検出レベルのピークの重心位置を前記タッチ位置として検出する、タッチ入力プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ入力装置、タッチ入力方法、及びタッチ入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに対してユーザーがタッチペンで手書き入力した場合に、入力位置に対応する座標を結ぶ線を滑らかな曲線で描画する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。例えば、前記技術では、前記入力位置に対応する2点の間を、当該2点の座標とその次の点とを含む3点の座標を通る円弧で補間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-89345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タッチパネルに対して所定の面積を有する入力範囲の入力が行われた場合に、当該入力範囲のいずれかの位置を入力位置として判定する場合がある。この場合において、タッチパネルに対する入力手段がタッチペンなど、先端が細くタッチパネルに対する入力面積が小さい入力手段の場合には、タッチパネルに対する入力範囲のうち入力位置として判定する位置のばらつきが小さくなるため、入力手段の動きに応じた滑らかな線を描画することができる。しかし、タッチパネルに対する入力手段がユーザーの指など、先端が太くタッチパネルに対する入力面積が大きい入力手段の場合には、タッチパネルに対する入力範囲のうち入力位置として判定する位置のばらつきが大きくなるため、入力手段の動きに応じた滑らかな線を描画することが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、タッチパネルに対してタッチ入力する入力手段の動作に応じた線を描画することが可能なタッチ入力装置、タッチ入力方法、及びタッチ入力プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係るタッチ入力装置は、タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成部と、前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定部と、前記線情報生成部により生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定部により設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化処理部と、を備える装置である。
【0007】
本発明の他の態様に係るタッチ入力方法は、一又は複数のプロセッサーが、タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップにより検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成ステップと、前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定ステップと、前記線情報生成ステップにより生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定ステップにより設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化ステップと、を実行する方法である。
【0008】
本発明の他の態様に係るタッチ入力プログラムは、タッチパネルに対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップにより検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報を生成する線情報生成ステップと、前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する平滑化レベル設定ステップと、前記線情報生成ステップにより生成される前記線情報の線に対して、前記平滑化レベル設定ステップにより設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う平滑化ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチパネルに対してタッチ入力する入力手段の動作に応じた線を描画することが可能なタッチ入力装置、タッチ入力方法、及びタッチ入力プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置で利用される検出情報の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置のタッチ操作の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置におけるタッチ位置の検出例の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置において検出されるタッチ位置の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置のタッチ操作の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置において検出されるタッチ位置の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置で実行される平滑化処理を説明するための図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置において平滑化処理を実行した場合のタッチ位置の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置で実行されるタッチ入力処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るタッチ入力装置1は、制御部11と、記憶部12と、タッチパネルディスプレイ13とを備えている。
【0013】
例えばユーザーは、タッチ入力装置1において所定のアプリケーションを実行させて、表示部132に表示される操作画面に対して、所定の入力手段によりタッチ操作を行う。前記入力手段は、ユーザーの指、タッチペン(スタイラスペン、電子ペンなど)などである。
【0014】
タッチパネルディスプレイ13は、タッチパネル131と、表示部132とを備えている。表示部132は、画像を表示するディスプレイであり、例えば液晶ディスプレイである。
【0015】
タッチパネル131は、タッチパネル131に対するユーザーのタッチ操作を受け付ける。タッチパネル131は、静電容量方式のタッチパネルであってもよいし、赤外線方式のタッチパネルであってもよいし、感圧方式のタッチパネルであってもよい。すなわち、タッチパネル131は、ユーザーのタッチ操作を受け付けることが可能な装置であればよい。タッチパネル131は、表示部132の前面に配置されてもよいし、表示部132に内蔵されてもよい。また、タッチパネル131及び表示部132は、互いに離れた場所に配置され、互いに通信可能に構成されてもよい。以下では、静電容量方式のタッチパネル131が表示部132の前面に配置され、タッチパネル131及び表示部132が一体に形成された一体型のタッチパネルディスプレイ13を例に挙げて説明する。
【0016】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、検出情報D1(図2参照)などのデータが記憶される。検出情報D1の詳細は後述する。
【0017】
また、記憶部12には、制御部11に後述のタッチ入力処理(図10参照)を実行させるためのタッチ入力プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記タッチ入力プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録され、タッチ入力装置1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記タッチ入力プログラムは、クラウドサーバーから配信されて記憶部12に記憶されてもよい。
【0018】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりタッチ入力装置1を制御する。
【0019】
ここで、タッチ位置(入力位置)の検出方法の一例を説明する。図3には、タッチパネル131に対してタッチペンによりタッチ入力した状態を模式的に示している。図4には、タッチパネル131の表示画面をXY平面とした場合のタッチ位置におけるXY座標に対応する静電容量の検出レベルの分布を示している。例えば、制御部11は、静電容量の検出レベルのピークの重心座標をタッチ位置として検出する。
【0020】
前記入力手段が、タッチペンなど、先端が細くタッチパネル131に対する入力面積が小さい入力手段の場合、図5に示すように、タッチパネル131に対する入力範囲のうちタッチ位置として判定する位置(重心位置)のばらつきが小さくなるため、タッチペンの動きに応じた滑らかな線を描画することができる。
【0021】
これに対して、図6には、タッチパネル131に対してユーザーの指によりタッチ入力した状態を模式的に示している。前記入力手段が、ユーザーの指など、先端が太くタッチパネル131に対する入力面積が大きい入力手段の場合、図7に示すように、タッチパネル131に対する入力範囲のうちタッチ位置として判定する位置(重心位置G1)のばらつきが大きくなるため、指の動きに応じた滑らかな線を描画することが困難になる。この点、本実施形態に係るタッチ入力装置1は、タッチパネル131に対してタッチ入力する入力手段の動作に応じた線を描画することを可能にする構成を備えている。
【0022】
具体的に、制御部11は、図1に示すように、位置検出部111、線情報生成部112、平滑化レベル設定部113、平滑化処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記タッチ入力プログラムに従った各種の処理を実行することによって、位置検出部111、線情報生成部112、平滑化レベル設定部113、平滑化処理部114として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記タッチ入力プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0023】
位置検出部111は、タッチパネル131に対するユーザーのタッチ操作のタッチ位置を検出する。具体的には、位置検出部111は、タッチパネル131(表示部132の表示面)において入力手段(ユーザーの指、タッチペンなど)によって入力(指定)された位置座標を検出する。例えば、位置検出部111は、入力手段とタッチパネル131との間の静電容量の変化を検出することにより前記位置座標を検出する。
【0024】
また、位置検出部111は、タッチパネル131に対する入力手段によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出する。例えば、位置検出部111は、タッチパネル131における検出値(図4に示す検出レベル)が所定値以上の領域を前記入力範囲として判定する。また例えば、位置検出部111は、タッチパネル131と入力手段との接触領域(接触面積)を前記入力範囲として判定する。前記入力手段がタッチペンの場合(図3参照)、接触領域は小さくなり、前記入力手段がユーザーの指の場合(図6参照)、接触領域はタッチペンの場合よりも大きくなる。
【0025】
そして、位置検出部111は、前記入力範囲における重心位置G1をタッチ位置として検出する。例えば、位置検出部111は、前記接触領域における重心位置G1をタッチ位置として検出する。図7に示す例では、ユーザーの指による前記接触領域の重心位置G1を示している。位置検出部111は、検出したタッチ位置を検出情報D1の実測値に登録する(図2参照)。なお、重心位置G1は、指をタッチパネル131にタッチするごとに、指とタッチパネル131との接触状況に応じて、前記接触領域の中でばらつきが生じ得る。
【0026】
なお、位置検出部111は、入力手段がタッチパネル131に接触したときに変化する検出レベルに基づいてタッチ位置を検出してもよいし、入力手段がタッチパネル131に近付いたときに変化する検出レベル、すなわち入力手段が非接触の状態で変化する検出レベルに基づいてタッチ位置を検出してもよい。すなわち、本発明の入力手段による入力方法(タッチ操作)は、接触によるタッチ操作及び非接触によるタッチ操作を含む。
【0027】
線情報生成部112は、位置検出部111により検出される複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報L1を生成する。線情報生成部112は、検出情報D1の実測値に基づいて線情報L1を生成する。例えば、前記入力手段がタッチペンの場合、線情報生成部112は、図5に示すように、滑らかな線情報L1を生成する。一方、前記入力手段がユーザーの指の場合、線情報生成部112は、図7に示すように、ばらつきのある線情報L1を生成する。
【0028】
平滑化レベル設定部113は、平滑化処理部114が線情報L1の線を平滑化するための平滑化レベルを設定する。具体的には、平滑化レベル設定部113は、位置検出部111により判定される前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベルを設定する。
【0029】
平滑化レベル設定部113は、前記入力範囲の面積が閾値以下の場合に、前記平滑化レベルを第1平滑化レベルα1に設定し、前記入力範囲の面積が前記閾値よりも大きい場合に、平滑化レベルを第1平滑化レベルα1よりも平滑化の度合いが大きい第2平滑化レベルα2に設定する。前記閾値は、前記入力手段に応じて予め設定される。
【0030】
例えば、平滑化レベル設定部113は、前記平滑化レベルとして、指数平滑法における平滑化パラメータα(平滑化定数)を設定する。第1平滑化レベルα1及び第2平滑化レベルα2は、平滑化パラメータαの一例である。すなわち、第1平滑化レベルα1は第1平滑化パラメータα1に相当し、第2平滑化レベルα2は第2平滑化パラメータα2に相当する。
【0031】
平滑化処理部114は、線情報生成部112により生成される線情報L1の線に対して、平滑化レベル設定部113により設定される前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う。具体的には、平滑化処理部114は、平滑化レベル設定部113により設定される平滑化パラメータαに基づく指数平滑法を用いて、線情報L1の線を平滑化する処理を実行する。
【0032】
図8は、前記指数平滑法による平滑化処理を説明するための図である。例えば、平滑化処理部114は、以下の前記指数平滑法に対応する算出式により、タッチ位置を予測する。
X座標の予測値A(t+1)=αX(t)+(1-α)A(t)
Y座標の予測値B(t+1)=αY(t)+(1-α)B(t)
【0033】
上記算出式において、X(t)は、時刻tにおけるタッチ位置のX座標の実測値を表し、Y(t)は、時刻tにおけるタッチ位置のY座標の実測値を表している。A(t)は、時刻tにおけるタッチ位置のX座標の予測値を表し、Y(t)は、時刻tにおけるタッチ位置のY座標の予測値を表している。時刻tの次の時刻t+1におけるX座標の予測値A(t+1)及びY座標の予測値B(t+1)は、時刻tの実測値及び予測値に基づいて算出される。平滑化パラメータαは、0<α<1を満たす係数である。
【0034】
上記算出式に示すように、平滑化パラメータαが大きい程、実測値(X,Y)の影響が大きくなり平滑化の度合いが小さく(弱く)なり、平滑化パラメータαが小さい程、過去の予測値(A,B)の影響が大きくなり平滑化の度合いが大きく(強く)なる。
【0035】
平滑化処理部114は、上記算出式により算出したタッチ位置の予測値を検出情報D1の予測値に登録する(図2参照)。例えば、平滑化処理部114は、時刻tの時点で前記指数平滑法により算出した時刻t+1の予測値を検出情報D1に登録する。そして、平滑化処理部114は、前記実測値による線情報L1の線を、前記予測値(A,B)を結ぶ線に補正して平滑化を行う。
【0036】
ここで、例えば前記入力手段がタッチペンの場合、前記入力範囲の面積が閾値以下になるため、平滑化レベル設定部113は、平滑化パラメータαを第1平滑化パラメータα1に設定する。これに対して、例えば前記入力手段がユーザーの指の場合、前記入力範囲の面積が閾値よりも大きくなるため、平滑化レベル設定部113は、平滑化パラメータαを第2平滑化パラメータα2(但し、α1>α2)に設定する。
【0037】
そして、前記入力手段がタッチペンの場合、平滑化処理部114は、以下の算出式によりタッチ位置の予測値を算出する。
X座標の予測値A(t+1)=α1X(t)+(1-α1)A(t)
Y座標の予測値B(t+1)=α1Y(t)+(1-α1)B(t)
【0038】
また、前記入力手段がユーザーの指の場合、平滑化処理部114は、以下の算出式によりタッチ位置の予測値を算出する。
X座標の予測値A(t+1)=α2X(t)+(1-α2)A(t)
Y座標の予測値B(t+1)=α2Y(t)+(1-α2)B(t)
【0039】
これにより、前記入力手段がタッチペンの場合、実測値(X,Y)の影響が大きくなり平滑化の度合いが小さくなる。よって、図5に示すように、タッチペンの動きに応じた滑らかな線を描画することが可能になる。
【0040】
これに対して、前記入力手段がユーザーの指の場合、過去の予測値(A,B)の影響が大きくなり平滑化の度合いが大きくなる。これにより、図9に示すように、ユーザーの指の動きに応じた滑らかな線を描画することが可能になる。
【0041】
他の実施形態として、平滑化レベル設定部113は、前記入力範囲の面積が大きい程、平滑化の度合いが大きくなるように、前記平滑化レベルを設定してもよい。すなわち、平滑化レベル設定部113は、前記入力範囲の面積が大きい程、平滑化パラメータαを小さい値に設定する。これにより、前記入力範囲の面積が大きい程、過去の予測値(A,B)の影響が大きくなるため、平滑化の度合いが強くなる。また、前記入力範囲の面積が小さい程、実測値(X,Y)の影響が大きくなるため、平滑化の度合いが弱くなる。
【0042】
本発明の平滑化の方法は、指数平滑法を用いた方法に限定されず、周知の方法を適用することができる。
【0043】
[タッチ入力処理]
以下、図10を参照しつつ、タッチ入力装置1の制御部11によって実行されるタッチ入力処理について説明する。
【0044】
なお、本発明は、前記タッチ入力処理に含まれる一又は複数のステップを実行するタッチ入力方法の発明として捉えることができ、ここで説明する当該タッチ入力処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記タッチ入力処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記タッチ入力処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーが当該タッチ入力処理における各ステップを分散して実行するタッチ入力方法も他の実施形態として考えられる。
【0045】
先ずステップS1において、制御部11は、タッチパネル131に対するユーザーの前記タッチ操作(タッチ入力)を検出したか否かを判定し、前記タッチ操作を検出した場合(S1:Yes)に、処理はステップS2に移行する。制御部11は、前記タッチ操作を検出するまで待機する(S1:No)。
【0046】
次にステップS2において、制御部11は、タッチパネル131に対する入力手段によるタッチ操作における入力範囲を判定する。例えば、制御部11は、タッチパネル131における検出値(図4に示す検出レベル)が所定値以上の領域を前記入力範囲として判定する。また、制御部11は、タッチパネル131と入力手段との接触領域(接触面積)を前記入力範囲として判定する。
【0047】
次にステップS3において、制御部11は、前記タッチ操作のタッチ位置(位置座標)を検出する。具体的には、制御部11は、前記入力範囲における重心位置をタッチ位置として検出する。例えば、制御部11は、前記接触領域における重心位置をタッチ位置として検出する。図7に示す例では、制御部11は、ユーザーの指による前記接触領域の重心位置G1をタッチ位置として検出する。制御部11は、検出したタッチ位置を検出情報D1の実測値に登録する(図2参照)。ステップS1~S3は、本発明の位置検出ステップの一例である。
【0048】
次にステップS4において、制御部11は、検出した複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報L1を生成する。具体的には、制御部11は、検出情報D1の実測値に基づいて線情報L1を生成する。ステップS4は、本発明の線情報生成ステップの一例である。
【0049】
次にステップS5において、制御部11は、前記入力範囲(例えばタッチパネル131と入力手段との接触領域)の面積が閾値以下であるか否かを判定する。前記入力範囲の面積が閾値以下である場合(S5:Yes)、処理はステップS61に移行し、前記入力範囲の面積が閾値よりも大きい場合(S5:No)、処理はステップS62に移行する。
【0050】
ステップS61では、制御部11は、指数平滑法における平滑化パラメータα(平滑化定数)を第1平滑化パラメータα1に設定する。一方、ステップS62では、制御部11は、指数平滑法における平滑化パラメータαを第2平滑化パラメータα2(但し、α1>α2)に設定する。
【0051】
このように、例えば前記入力手段がタッチペンの場合、前記入力範囲の面積が閾値以下になるため、制御部11は、平滑化パラメータαを第1平滑化パラメータα1に設定する。一方、例えば前記入力手段がユーザーの指の場合、制御部11は、前記入力範囲の面積が閾値よりも大きくなるため、平滑化パラメータαを第2平滑化パラメータα2(α1>α2)に設定する。ステップS61,S62の後、処理はステップS7に移行する。ステップS61,S62は、本発明の平滑化レベル設定ステップの一例である。
【0052】
ステップS7において、制御部11は、線情報L1の線に対して、指数平滑法を用いて、第1平滑化パラメータα1又は第2平滑化パラメータα2に応じた平滑化処理を実行する。具体的には、前記入力手段がタッチペンの場合(S61)、制御部11は、以下の算出式によりタッチ位置の予測値を算出する。
X座標の予測値A(t+1)=α1X(t)+(1-α1)A(t)
Y座標の予測値B(t+1)=α1Y(t)+(1-α1)B(t)
【0053】
また、前記入力手段がユーザーの指の場合(S62)、制御部11は、以下の算出式によりタッチ位置の予測値を算出する。
X座標の予測値A(t+1)=α2X(t)+(1-α2)A(t)
Y座標の予測値B(t+1)=α2Y(t)+(1-α2)B(t)
【0054】
そして、制御部11は、線情報L1の線を、前記予測値(A,B)を結ぶ線に補正する平滑化処理を実行する。これにより、前記入力手段がタッチペンの場合、実測値(X,Y)の影響が大きくなり平滑化の度合いが弱くなるため、タッチペンの動きに応じた滑らかな線を描画することが可能になる(図5参照)。また、前記入力手段がユーザーの指の場合、過去の予測値(A,B)の影響が大きくなり平滑化の度合いが強くなるため、ユーザーの指の動きに応じた滑らかな線を描画することが可能になる(図9参照)。ステップS7は、本発明の平滑化ステップの一例である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチ入力装置1は、タッチパネル131に対する入力手段(ユーザーの指、タッチペンなど)によるタッチ入力における入力範囲を判定し、当該入力範囲内のいずれかの位置をタッチ位置として検出し、検出した複数の前記タッチ位置を結ぶ線の情報である線情報L1を生成する。またタッチ入力装置1は、前記入力範囲の面積に基づいて、平滑化の度合いを示す平滑化レベル(平滑化パラメータα)を設定し、生成さした線情報L1の線に対して、設定した前記平滑化レベルに応じた平滑化を行う。
【0056】
上記の構成によれば、タッチパネル131に対する入力手段がタッチペンなど、先端が細くタッチパネル131に対する入力面積が小さい入力手段の場合に、タッチパネル131に対する入力範囲のうち入力位置として判定する位置のばらつきが小さくなるため、入力手段の動きに応じた滑らかな線を描画することができる。また、タッチパネル131に対する入力手段がユーザーの指など、先端が太くタッチパネル131に対する入力面積が大きい入力手段の場合であっても、平滑化の度合いを強める平滑化レベルを設定することにより、タッチパネル131に対する入力範囲のうち入力位置として判定する位置のばらつきを小さくすることができるため、入力手段の動きに応じた滑らかな線を描画することが可能になる。よって、タッチパネル131に対してタッチ入力する入力手段の動作に応じた線を描画することが可能となる。
【0057】
尚、本発明に係るタッチ入力装置は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態を自由に組み合わせること、或いは各実施形態を適宜、変形又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 :タッチ入力装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :タッチパネルディスプレイ
111 :位置検出部
112 :線情報生成部
113 :平滑化レベル設定部
114 :平滑化処理部
131 :タッチパネル
132 :表示部
図1
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