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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20241002BHJP
   B60R 21/233 20060101ALI20241002BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/233
B60N2/64
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021032954
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133976
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 康二
(72)【発明者】
【氏名】金山 悠
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】川渕 貴之
(72)【発明者】
【氏名】平山 広行
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051414(JP,A)
【文献】特開2018-176906(JP,A)
【文献】特開2017-119497(JP,A)
【文献】特開2019-055660(JP,A)
【文献】特表2011-527965(JP,A)
【文献】特開2012-179956(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026538(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/162065(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0389420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B60R 21/233
B60N 2/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置であって、
前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、
前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有し、
前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面よりも前方に配置され
前記シートバックは、その左右の側部から前方に突出すると共に上下に延びた左右のサイドサポート部を有し、
前記前面は、車幅方向外側の前記サイドサポート部によって形成され、車幅方向内方に向けて後方に傾斜した傾斜面を含み、
前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記傾斜面に当接するサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記サブエアバッグは、膨張展開状態において前方に向けて下方に傾斜する上縁を有する請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
膨張展開状態における前記サブエアバッグの前記上縁は、膨張展開状態における前記メインエアバッグの上縁よりも下方に配置されている請求項に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置であって、
前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、
前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有し、
前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面よりも前方に配置され、
前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記シートバックの前面に当接し、
前記サブエアバッグは、膨張展開状態において前方に向けて下方に傾斜する上縁を有し、
前記サブエアバッグの前記上縁は、膨張展開状態においてシートに着座した乗員の肩関節よりも下方に配置されているサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置であって、
前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、
前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有し、
前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面よりも前方に配置され、
前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記シートバックの前面に当接し、
前記第1連通孔は、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、上下方向における中央より上方に配置されているサイドエアバッグ装置。
【請求項6】
車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置であって、
前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、
前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有し、
前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面よりも前方に配置され、
前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記シートバックの前面に当接し、
前記メインエアバッグは、内部を第1室と第2室とに分割する隔壁を有し、
前記隔壁は、前記第1室と前記第2室とを連通する第2連通孔を有し、
前記第1室にはインフレータが設けられ、
前記第1連通孔は、前記第1室と前記サブエアバッグの内部とを連通するサイドエアバッグ装置。
【請求項7】
車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置であって、
前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、
前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有し、
前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面よりも前方に配置され、
前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記シートバックの前面に当接し、
前記シートバックの車幅方向における外方にはドアが設けられ、
前記ドアには、車幅方向における内方に突出すると共に、上方を向く載置面を備えたアームレストが設けられ、
膨張展開状態における前記サブエアバッグの下縁は、前記載置面よりも上方に配置されているサイドエアバッグ装置。
【請求項8】
膨張展開状態における前記サブエアバッグの下縁は、水平に前後に延びている請求項に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項9】
前記ドアの上部には窓開口が設けられ、
膨張展開状態における前記サブエアバッグの上縁は、前記窓開口よりも下方に配置されている請求項又は請求項に記載のサイドエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用シートのシートバックに設けられるサイドエアバッグ装置を開示している。サイドエアバッグ装置は、シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグと、メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、連通孔を介してメインエアバッグと連通し、メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-179956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るサイドエアバッグ装置は、メインエアバッグとサブエアバッグの結合部が、車幅方向から見てシートバックと重なる位置に配置されている。そのため、サブエアバッグは、膨張展開時にシートバックの前面側に回り込み難い。そのため、乗員とメインエアバッグとの間に空間が形成され、乗員の拘束性能が低下するという問題がある。また、膨張展開時にサブエアバッグがシートバックと当接するため、サブエアバッグの膨張展開時の位置が安定しないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、メインエアバッグ及びサブエアバッグを有するサイドエアバッグ装置において、サブエアバッグの膨張展開時の位置を安定させると共に乗員拘束性能を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両用シート(3)のシートバック(7)に設けられるサイドエアバッグ装置(1)であって、前記シートバックの車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開するメインエアバッグ(31)と、前記メインエアバッグの車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔(51)を介して前記メインエアバッグと連通し、前記メインエアバッグから車幅方向における内方に向けて膨張展開するサブエアバッグ(32)とを有し、前記第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、前記シートバックの前記外側部の前面(7A)よりも前方に配置され、前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記シートバックの前面に当接する。
【0007】
この態様によれば、第1連通孔の少なくとも一部が、膨張展開状態におけるメインエアバッグにおいて、シートバックの外側部の前縁よりも前方に配置されているため、サブエアバッグがシートバックの前面側に円滑に回り込むことができる。膨張展開したサブエアバッグはシートバックの前面に当接するため、位置が安定する。シートバックの前面に当接したサブエアバッグは、乗員とメインエアバッグとの隙間を埋めて乗員を拘束する。これにより、サイドエアバッグ装置は、サブエアバッグの膨張展開時の位置を安定させると共に乗員拘束性能を向上させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記シートバックは、その左右の側部から前方に突出すると共に上下に延びた左右のサイドサポート部(27)を有し、前記前面は、車幅方向外側の前記サイドサポート部によって形成され、車幅方向内方に向けて後方に傾斜した傾斜面(27A)を含み、前記サブエアバッグが、膨張展開状態において前記傾斜面に当接するとよい。
【0009】
この態様によれば、サブエアバッグが車幅方向内方に向けて後方に傾斜した傾斜面にガイドされて乗員側に膨張展開する。これにより、サイドエアバッグ装置は、乗員の拘束性能を向上させることができる。
【0010】
上記の態様において、前記サブエアバッグは、膨張展開状態において前方に向けて下方に傾斜する上縁(32A)を有するとよい。
【0011】
この態様によれば、膨張展開時にサブエアバッグの上縁が乗員の腕を上方に持ち上げることができる。これにより、サブエアバッグが乗員の胴部に当接することができ、乗員の拘束性能が向上する。
【0012】
上記の態様において、膨張展開状態における前記サブエアバッグの前記上縁は、膨張展開状態における前記メインエアバッグの上縁よりも下方に配置されているとよい。
【0013】
この態様によれば、サブエアバッグが乗員側に向けて膨張展開することができる。
【0014】
上記の態様において、前記サブエアバッグの前記上縁は、膨張展開状態においてシートに着座した乗員(100)の肩関節(101)よりも下方に配置されているとよい。
【0015】
この態様によれば、サブエアバッグが乗員の胴部の上部を確実に拘束することができる。
【0016】
上記の態様において、前記第1連通孔は、膨張展開状態における前記メインエアバッグにおいて、上下方向における中央より上方に配置されているとよい。
【0017】
この態様によれば、サブエアバッグが乗員の胴部の上部、すなわち胸部の側部に対応した位置に配置される。これにより、サブエアバッグが乗員の胴部の上部を確実に拘束することができる。
【0018】
上記の態様において、前記メインエアバッグは、内部を第1室(61)と第2室(62)とに分割する隔壁(63)を有し、前記隔壁は、前記第1室と前記第2室とを連通する第2連通孔(64)を有し、前記第1室にはインフレータ(33)が設けられ、前記第1連通孔は、前記第1室と前記サブエアバッグの内部とを連通するとよい。
【0019】
この態様によれば、メインエアバッグの膨張展開が完了するよりも前にサブエアバッグが膨張展開を開始することができる。
【0020】
上記の態様において、前記シートバックの車幅方向における外方にはドア(11)が設けられ、前記ドアには、車幅方向における内方に突出すると共に、上方を向く載置面(14)を備えたアームレスト(13)が設けられ、膨張展開状態における前記サブエアバッグの下縁は、前記載置面よりも上方に配置されているとよい。
【0021】
この態様によれば、サブエアバッグ及びメインエアバッグの上部は、ドアのアームレストより上側の部分と乗員との間の空間を埋めることができる。これにより、乗員の拘束性能を向上させることができる。
【0022】
上記の態様において、膨張展開状態における前記サブエアバッグの下縁は、水平に前後に延びているとよい。
【0023】
この態様によれば、サブエアバッグをアームレストの上方の空間に対応させて配置することができる。
【0024】
上記の態様において、前記ドアの上部には窓開口(15)が設けられ、膨張展開状態における前記サブエアバッグの上縁は、前記窓開口よりも下方に配置されているとよい。
【0025】
この態様によれば、サブエアバッグが乗員の胴部に対応した位置に配置され、胴部を確実に支持することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の構成によれば、メインエアバッグ及びサブエアバッグを有するサイドエアバッグ装置において、サブエアバッグの膨張展開位置を安定させると共に乗員拘束性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係るサイドエアバッグ装置の膨張展開状態を示す側面図
図2】サイドエアバッグ装置の膨張展開状態を示す正面図
図3】サイドエアバッグ装置の収納状態を示す断面図
図4】サイドエアバッグ装置の膨張展開状態を示す説明図
図5】サイドメンバ及びケースの側面図
図6】メインエアバッグ及びサブエアバッグの展開状態を示す説明図
図7】(A)~(C)メインエアバッグ及びサブエアバッグの折り畳み手順を示す説明図
図8】(D)~(F)メインエアバッグ及びサブエアバッグの折り畳み手順を示す説明図
図9】(G)~(I)メインエアバッグ及びサブエアバッグの折り畳み手順を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のサイドエアバッグ装置の実施形態について説明する。以下の説明では、サイドエアバッグ装置が設けられるシート及び車両を基準として各方向を定める。前後方向は車両の前後方向と一致し、左右方向は車両の車幅方向と一致する。
【0029】
図1及び図2に示すように、サイドエアバッグ装置1は、車両2のシート3に設けられる。シート3は、車両2の車室4内に設けられている。本実施形態では、シート3は、前列左側のシートを構成する。シート3は、シートクッション6と、シートバック7と、ヘッドレスト8を有する。シートクッション6は、車室4の底部を形成するフロア9に設けられている。シートクッション6は、乗員100の臀部を下方から支持する上面6Aを有する。シートバック7はシートクッション6の後部から上方に延びている。シートバック7は、乗員100の背部を後方から支持する前面7Aを有する。ヘッドレスト8は、シートバック7の上端に設けられ、後方から乗員100の頭部を支持する。
【0030】
図2に示すように、シート3の車幅方向外方には、車両2のドア11が設けられている。ドア11の下部の車内側面にはドアトリム12が設けられている。ドアトリム12は、車幅方向内方に突出すると共に前後に延びたアームレスト13を有する。アームレスト13は、その上部に上方を向く載置面14を有する。ドア11の上部には窓開口15が設けられている。窓開口15の下縁は略水平に前後に延びている。窓開口15には、昇降可能なウインドウガラス16が設けられている。
【0031】
図3に示すように、シートバック7は、骨格をなすシートバックフレーム21と、シートバックフレーム21に支持されたパッド22と、パッド22に被せられた表皮材23とを有する。シートバックフレーム21は、上下に延びる左右のサイドメンバ25を有する。左右のサイドメンバ25は、左右に延びるアッパメンバ及びロアメンバによって互いに接続されているとよい。左右のサイドメンバ25の下端はシートクッション6の骨格をなすシートクッションフレームに結合されている。左右のサイドメンバ25の内、車幅方向において車外側に配置されたサイドメンバ25(以下、車外側のサイドメンバ25という)は、面が左右を向く側壁部25Aと、側壁部25Aの前縁及び後縁から車幅方向内方に突出した前後の縁壁部25Bとを有する。
【0032】
パッド22は、左右に延びて左右のサイドメンバ25の前側に配置されたパッド前部22Aと、パッド前部22Aの左右の端部から後方に延びて対応する左右のサイドメンバ25の左右外方に配置された左右のパッド側部22Bとを有する。表皮材23は、パッド22の表面に沿って配置されている。パッド前部22Aと、車幅方向外側のパッド側部22Bとの境界部には、上下に延びる第1破断予定部22Cが形成されている。第1破断予定部22Cは、パッド前部22A及びパッド側部22Bのいずれよりも小さい引張荷重で破断する。第1破断予定部22Cの厚みは、パッド前部22A及びパッド側部22Bのいずれの厚みよりも小さく設定されている。表皮材23において、第1破断予定部22Cに対向する部分には、第2破断予定部23Aが形成されている。第2破断予定部23Aは、表皮材23の他の部分よりも小さい引張荷重で破断する。第2破断予定部23Aは例えばスリットと、スリットを縫合する比較的強度が低い縫合糸とによって形成されているとよい。
【0033】
シートバック7の前部は、パッド22及び表皮材23によって形成され、その左右の側部に前方に突出すると共に上下に延びた左右のサイドサポート部27を有する。左右のサイドサポート部27は、その前部に車幅方向におけるシート3の中央側に向けて後方に傾斜した左右の傾斜面27Aを有する。すなわち、車幅方向外側の傾斜面27Aは、車幅方向内方に向けて後方に傾斜している。左右の傾斜面27Aは、シートバック7の前面7Aの一部を構成する。
【0034】
図1図2及び図4に示すように、サイドエアバッグ装置1は、メインエアバッグ31と、メインエアバッグ31に結合されたサブエアバッグ32と、メインエアバッグ31内に配置され、ガスを発生させるインフレータ33と、折り畳まれたメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32とインフレータ33とを収容するケース34とを有する。他の実施形態ではケース34が省略され、折り畳まれたメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が所定の荷重で破断するテープ等の結束部材によって保持されていてもよい。
【0035】
メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、収納状態(図3参照)、展開状態(図6参照)、及び膨張展開状態(図1図2図4参照)を取り得る。収納状態では、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が折り畳まれ、ケース34に収容可能な状態になる。展開状態では、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が平面状に展開し、互いに重なった状態になる。膨張展開状態では、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の内部に空気が供給され、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が膨らんだ状態になる。
【0036】
図3に示すように、インフレータ33は、円柱状に形成されたハウジング33Aと、ハウジング33Aから径方向外方に延びる少なくとも1つの結合部33Bを有する。結合部33Bは、スタッドボルトであるとよい。結合部33Bは、メインエアバッグ31及びケース34を貫通して突出し、サイドメンバ25の側壁部25Aにナットによって締結されている。インフレータ33がシートバック7に固定されることによって、サイドエアバッグ装置1がシートバック7に固定される。サイドエアバッグ装置1がシートバック7に固定された状態において、インフレータ33はサイドメンバ25と平行に上下に延びている。インフレータ33の下端は、ワイヤハーネスによって車両2の電子制御装置と接続されている。電子制御装置は、閾値以上の加速度を検出したときに、ワイヤハーネスを介してインフレータ33に所定の電流を供給する。インフレータ33は電子制御装置から電流が供給されたときにガスを発生させ、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32を膨張させる。例えば、ハウジング33A内には、電流の供給を受けて点火する点火器と、点火器に点火されることによってガスを発生するガス発生剤とが設けられているとよい。
【0037】
図3及び図5に示すように、ケース34は、車幅方向外方に向けて開口した箱形のケース本体部37と、ケース本体部37の開口を閉じるケース蓋部38とを有する。ケース本体部37の底部がサイドメンバ25の側壁部25Aに当接し、インフレータ33の結合部33Bがケース本体部37の底部を貫通している。ケース34は上下方向に延びている。ケース34の前側の上部34Aは上方に向けて後方に傾斜している。ケース34の前後幅は、上方にかけて漸減している。ケース本体部37にメインエアバッグ31、サブエアバッグ32、インフレータ33が収容された後に、ケース蓋部38がケース本体部37の開口を閉塞する。ケース蓋部38の前縁、上縁、及び下縁には、上下に延びる第3破断予定部38Aが形成されている。
【0038】
図4及び図6に示すように、メインエアバッグ31は、シートバック7の車幅方向における外側部から前方かつ上下方向に膨張展開する。メインエアバッグ31は、第1シート材41と第2シート材42とを有する。第1シート材41と第2シート材42とは、互いに重ね合わされ、外周縁において互いに縫合されている。第1シート材41と第2シート材42とは、1枚の連続したシート材を折り返すことによって形成されてもよい。第1シート材41及び第2シート材42は、例えばナイロン又はポリエステルを素材とする織布であるとよい。
【0039】
メインエアバッグ31の膨張展開状態において、第1シート材41はメインエアバッグ31の車幅方向内側を向く部分を構成し、第2シート材42はメインエアバッグ31の車幅方向外側を向く部分を構成する。第1シート材41及び第2シート材42は、前後に延びると共に、上下に延びている。本実施形態では、第1シート材41及び第2シート材42の上下幅は前後幅に対して大きく形成されている。
【0040】
第1シート材41の後部には、インフレータ33を挿入するための挿入孔43と、インフレータ33の2つの結合部33Bが通過するための2つの第1透孔44及び2つの第2透孔45とが形成されている。挿入孔43、2つの第1透孔44、及び2つの第2透孔45のそれぞれは、第1シート材41を貫通している。第2シート材42には、2つの第2透孔45と対応する位置に2つの第3透孔46が形成されている。2つの第3透孔46は第2シート材42を貫通している。2つの第1透孔44は、挿入孔43の上方であって、挿入孔43を通過して上下に延びる直線上に互いに間隔をおいて配置されている。2つの第1透孔44の上下方向における間隔は、インフレータ33の2つの結合部33Bの間隔と等しく設定されている。2つの第2透孔45のそれぞれは、2つの第1透孔44の後方に配置されている。
【0041】
インフレータ33は、挿入孔43を通してメインエアバッグ31の内部に配置される。インフレータ33の下端部は挿入孔43からメインエアバッグ31の外部に突出していてもよい。インフレータ33の2つの結合部33Bは、2つの第1透孔44を通過してメインエアバッグ31の外部に突出している。図7(A)に示すように、第1シート材41及び第2シート材42の後端部は、後述する第5折り線L5で第1シート材41側に折り返されている。第5折り線L5は、2つの第1透孔44と2つの第2透孔45との間を上下に延びている。これにより、2つの第2透孔45及び2つの第3透孔46が、2つの第1透孔44と対向する位置に配置される。これにより、2つの第1透孔44から突出した2つの結合部33Bは、第2透孔45及び第3透孔46を通過する。その結果、インフレータ33とサイドメンバ25との間には、2重に重ねられた第1シート材41と第2シート材42とが配置される。このようにして、メインエアバッグ31がインフレータ33とサイドメンバ25とに固定される。
【0042】
図4及び図6に示すように、サブエアバッグ32は、メインエアバッグ31の車幅方向における内側部に結合され、第1連通孔51を介してメインエアバッグ31と連通し、メインエアバッグ31から車幅方向における内方に向けて膨張展開する。サブエアバッグ32は、第3シート材53と第4シート材54とを有する。第3シート材53と第4シート材54とは、互いに重ね合わされ、外周縁において互いに縫合されている。第3シート材53と第4シート材54とは、1枚の連続したシート材を折り返すことによって形成されてもよい。第3シート材53及び第4シート材54は、第1シート材41と同様のシート材によって形成されているとよい。
【0043】
メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の膨張展開状態において、第3シート材53はサブエアバッグ32の車幅方向外側を向く部分を構成し、第4シート材54はサブエアバッグ32の車幅方向内側を向く部分を構成する。第3シート材53及び第4シート材54は、前後に延びると共に、上下に延びている。本実施形態では、第3シート材53及び第4シート材54の上下幅は前後幅に対して大きく形成されている。
【0044】
サブエアバッグ32の第3シート材53は、メインエアバッグ31の第1シート材41と対向し、環状の結合部55によって第1シート材41に結合されている。結合部55では、第3シート材53と第1シート材41とが互いに重ね合わされ、縫合されている。第1連通孔51は、環状の結合部55の内側に形成され、第1シート材41及び第3シート材53を厚み方向に貫通している。第1連通孔51は円形に形成されている。
【0045】
図4に示すように、メインエアバッグ31は、内部を第1室61と第2室62とに分割する隔壁63を有する。隔壁63は、第1シート材41と同様のシート材によって形成されているとよい。隔壁63は上下に延び、車幅方向内側の側縁において第1シート材41に縫合され、車幅方向外側の側縁において第2シート材42に縫合されている。隔壁63の上縁及び下縁は、第1シート材41及び第2シート材42に対して移動可能に配置されてもよく、第1シート材41及び第2シート材42に縫合されてもよい。隔壁63と第1シート材41との縫合部、隔壁63と第2シート材42との縫合部は上下に直線状に延びている。縫合部は、第1シート材41及び第2シート材42の前後方向における中央よりも後方に配置されているとよい。
【0046】
第1室61は、隔壁63の後方、すなわちメインエアバッグ31の後部に形成される。第2室62は、隔壁63の前方、すなわちメインエアバッグ31の前部に形成される。メインエアバッグ31の膨張展開状態において、第1室61の容積は、第2室62の容積に比べて小さく形成されてもよい。
【0047】
隔壁63は、第1室61と第2室62とを連通する少なくとも1つの第2連通孔64を有する。本実施形態では、隔壁63の中央部に2つの第2連通孔64が上下に間隔をおいて配置されている。
【0048】
第1連通孔51は、第1シート材41の第1室61を形成する部分に設けられている。すなわち、サブエアバッグ32の内部は、第1連通孔51を介して第1室61と連通している。言い換えると、第1連通孔51は、第1シート材41において、第1シート材41と隔壁63との縫合部よりも後方に配置されている。
【0049】
図6に示すように、第1シート材41及び第2シート材42の少なくとも一方の前端部には、少なくとも1つの第1排気孔66が設けられている。第1排気孔66は、メインエアバッグ31の内部と外部とを連通し、メインエアバッグ31の内圧を低下させる。本実施形態では、第1シート材41の前端部に2つの第1排気孔66が上下に間隔をおいて設けられている。第3シート材53及び第4シート材54の少なくとも一方の前端部には、少なくとも1つの第2排気孔67が設けられている。第2排気孔67は、第2エアバッグの内部と外部とを連通し、サブエアバッグ32の内圧を低下させる。本実施形態では、第4シート材54の前端部に1つの第2排気孔67が設けられている。
【0050】
展開状態及び膨張展開状態において、サブエアバッグ32の上下幅はメインエアバッグ31の上下幅よりも小さく、サブエアバッグ32の前後幅はメインエアバッグ31の前後幅よりも小さい。また、膨張展開状態において、サブエアバッグ32の左右幅はメインエアバッグ31の左右幅よりも小さい。
【0051】
図1及び図6に示すように、第1連通孔51及び結合部55は、第3シート材53の中央部に配置されている。サブエアバッグ32は、第1連通孔51及び結合部55から上方及び下方に延びると共に、前方及び後方に延びている。
【0052】
図1及び図4に示すように、第1連通孔51の少なくとも一部は、膨張展開状態におけるメインエアバッグ31において、シートバック7の外側部の前面7Aよりも前方に配置されている。より具体的には、膨張展開状態において、第1連通孔51は、サイドサポート部27の傾斜面27Aより前方に配置されている。第1連通孔51は前端部が張展開状態におけるメインエアバッグ31において、シートバック7の外側部の前面7Aよりも前方に配置されていればよい。第1連通孔51の全体、すなわち第1連通孔51の後縁がシートバック7の外側部の前面7Aよりも前方に配置されていてもよい。
【0053】
サブエアバッグ32は、第1連通孔51から車幅方向における内方に向けて膨張展開し、シートバック7の前面7Aより前方に延びる。サブエアバッグ32の後部は、シートバック7の前面7Aに当接し、前面7Aに沿って車幅方向内方に延びる。特に、膨張展開状態において、サブエアバッグ32の後部は、サイドサポート部27の傾斜面27Aに当接している。
【0054】
サブエアバッグ32の上縁32Aは、膨張展開状態において前方に向けて下方に傾斜している。上縁32Aは、第1連通孔51及び結合部55の上方からサブエアバッグ32の前縁にかけて傾斜している。膨張展開状態におけるサブエアバッグ32の上縁32Aは、膨張展開状態におけるメインエアバッグ31の上縁よりも下方に配置されている。サブエアバッグ32の上縁32Aは、膨張展開状態においてシート3に着座した乗員100の肩関節101よりも下方に配置されている。
【0055】
図2に示すように、膨張展開状態におけるサブエアバッグ32の下縁32Cは、アームレスト13の載置面14よりも上方に配置されている。この態様によれば、サブエアバッグ32及びメインエアバッグ31の上部は、ドア11のアームレスト13より上側の部分と乗員100との間の空間を埋めることができる。これにより、乗員100の拘束性能を向上させることができる。膨張展開状態におけるサブエアバッグ32の下縁は、水平に前後に延びている。すなわち、膨張展開状態におけるサブエアバッグ32の下縁は、アームレスト13の載置面14と平行に延びている。この態様によれば、サブエアバッグ32をアームレスト13の上方の空間に対応させて配置することができる。膨張展開状態における前記サブエアバッグ32の上縁は、窓開口15の下縁よりも下方に配置されている。この態様によれば、サブエアバッグ32が乗員100の胴部に対応した位置に配置され、胴部を確実に支持することができる。
【0056】
次に、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の折り畳み方法について説明する。最初に、図6に示すように、展開状態のメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が平面上に配置される。この状態では、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、メインエアバッグ31のサブエアバッグ32側と相反する側(紙面奥側)から第2シート材42、第1シート材41、第3シート材53、第4シート材54の順番で積層されている。また、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の前縁が図6の紙面右側に配置され、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の後縁が紙面左側に配置されている。
【0057】
メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、以下の手順に従って、第1~第10折り線L1~L10で折り返され、折り畳まれた収納状態となる。
【0058】
最初に、図6に示す状態において、メインエアバッグ31の挿入孔43を通過してインフレータ33がメインエアバッグ31の内部に配置される。このとき、インフレータ33の2つの結合部33Bが、対応する第1透孔44を通過してメインエアバッグ31の外方に突出するように配置される。
【0059】
次に、図7(A)に示すように、メインエアバッグ31の後端部が2つの第1透孔44と2つの第2透孔45との間を上下に延びる第5折り線L5に沿ってサブエアバッグ32側(紙面手前側)に折り返される。このとき、2つの第2透孔45及び2つの第3透孔46が2つの第1透孔44と重なり、インフレータ33の2つの結合部33Bが対応する第2透孔45を通過して突出する。
【0060】
次に、図7(A)に示すように、メインエアバッグ31の前部が上下に延びる第6折り線L6に沿ってサブエアバッグ32側と相反する側に折り返され、図7(B)に示す状態になる。第6折り線L6は、サブエアバッグ32の前縁よりも前方に配置されている。第6折り線L6は、第1排気孔66と重なる位置に配置されてもよい。
【0061】
次に、図7(B)に示すように、サブエアバッグ32の後部が結合部55の後方を通過し、上下に延びる第3折り線L3に沿ってメインエアバッグ31と相反する側に折り返され、図7(C)に示す状態になる。他の実施形態では、第3折り線L3は、結合部55の前方を通過して上下に延びていてもよい。
【0062】
次に、図7(C)に示すように、サブエアバッグ32の上部が、結合部55の上方を通過し、かつ前後に延びる第1折り線L1に沿ってメインエアバッグ31と相反する側に折り返され、図8(D)に示す状態になる。このように、サブエアバッグ32が、第3折り線L3で折り返された状態で、第1折り線L1で折り返されることが好ましい。他の実施形態では、サブエアバッグ32は第1折り線L1で折り返された後に第3折り線L3で折り返されてもよい。
【0063】
次に、図8(D)に示すように、メインエアバッグ31の上部が、第1折り線L1よりも上方かつインフレータ33よりも上方を前後に延びる第2折り線L2に沿って折り返され、図8(E)に示す状態になる。第2折り線L2は、第1折り線L1と平行に延び、かつインフレータ33の延在方向と直交する方向に延びている。メインエアバッグ31の上部は、第2折り線L2において第2折り線L2に沿ってサブエアバッグ32と相反する側に折り返されているとよい。第2折り線L2において折り返されたメインエアバッグ31の上部71は、第1折り線L1よりも上方に配置されている。すなわち、第2折り線L2において折り返されたメインエアバッグ31の上部71は、第1折り線L1において折り返されたサブエアバッグ32の上部と厚み方向において互いに重なり合わない。メインエアバッグ31の上端縁は、第2折り線L2で折り返されることによって第1折り線L1上に配置されてもよい。
【0064】
次に、図8(E)に示すように、メインエアバッグ31の下部が、結合部55より下方かつインフレータ33よりも下方を前後に延びる第4折り線L4に沿って折り返され、図8(F)に示す状態になる。第4折り線L4は、サブエアバッグ32の下縁よりも下方に配置されているとよい。第4折り線L4は第2折り線L2と平行に配置されているとよい。
【0065】
次に、図8(F)に示すように、第6折り線L6で折り返された状態のメインエアバッグ31の前部は、上下に延びる2つの第7折り線L7及び第8折り線L8においてZ折り(外三つ折り)され、図9(G)に示す状態になる。第7折り線L7及び第8折り線L8は、サブエアバッグ32の前縁よりも前方に配置されている。
【0066】
次に、図9(G)に示すように、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、上下に延びる軸線を中心として、前方から後方にかけて紙面手前側に巻かれ、図9(H)に示す状態になる。なお、他の実施形態では、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、上下に延びる複数の軸線に沿って蛇腹状に折り畳まれてもよい。
【0067】
次に、図9(H)に示すように、巻かれたメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、その下部が前後に延びる第9折り線L9及び第10折り線L10でZ折りされ、上下方向に短縮される。これにより、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32が、図9(I)に示す収納状態になる。収納状態において、メインエアバッグ31及びサブエアバッグ32は、メインエアバッグ31の膨張時に破断するテープ等の結束部材によって、形態が保持されているとよい。収納状態において、インフレータ33の結合部33Bは外方に向けてメインエアバッグ31から外方に突出している。
【0068】
収納状態に折り畳まれたメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32はケース34内に収容される。インフレータ33の結合部33Bは、ケース34の底部に形成された貫通孔を通過して外部に突出する。また、インフレータ33から延びるワイヤ―ハーネスは、配線孔を通過して外部に延びている。このようにして、サイドエアバッグ装置1がユニットとして構成される。
【0069】
図8(E)に示すように、サブエアバッグ32の上部が第1折り線L1で折り返され、メインエアバッグ31の上部が第2折り線L2で折り返されているため、収納状態におけるサブエアバッグ32装置の上下方向における長さを短縮することができる。サブエアバッグ32の上部とメインエアバッグ31の上部とが上下にオフセットして配置された第1折り線L1及び第2折り線L2によって折り返されているため、膨張展開時にサブエアバッグ32及びメインエアバッグ31が独立して膨張展開することができる。これにより、メインエアバッグ31とサブエアバッグ32とが円滑に展開でき、かつコンパクトな収納状態を取り得るサイドエアバッグ装置1を提供することができる。
【0070】
第2折り線L2において折り返されたメインエアバッグ31の上端部が厚み方向においてサブエアバッグ32と重ならないため、収納状態におけるサイドエアバッグ装置1の上端部の幅を抑制することができる。これにより、下部に対して上部の前後幅が小さいシートバック7の側部内にサイドエアバッグ装置1を配置することができる。
【0071】
また、図8(F)に示すように、第4折り線L4において、メインエアバッグ31の下部が折り返されているため、収納状態におけるサブエアバッグ32装置の上下方向における長さを短縮することができる。
【0072】
次に、サイドエアバッグ装置1の作動について説明する。車両2の電子制御装置が、加速度センサからの信号に基づいて所定の加速度を検出したときに、ワイヤハーネスを介してインフレータ33に電流を供給する。これにより、インフレータ33がガスを発生する。メインエアバッグ31は発生したガスによって膨張し、ケース蓋部38の第3破断予定部38A、及びシートバック7の第1破断予定部22C及び第2破断予定部23Aを破断してシートバック7の側部から前方に向けて膨張する。
【0073】
インフレータ33で発生したガスによって、最初にメインエアバッグ31の第1室61が膨張する。その後、第1室61から第1連通孔51を介してサブエアバッグ32にガスが供給されサブエアバッグ32が膨張すると共に、第1室61から第2連通孔64を介して第2室62にガスが供給され、第2室62が膨張する。
【0074】
サブエアバッグ32の上端部及びメインエアバッグ31の上端部が互いに相反する方向に折り返されているため、サブエアバッグ32及びメインエアバッグ31は、互いに独立して膨張展開することができる。
【0075】
第1室61が膨張して第1連通孔51がシートバック7の前面7Aよりも前方に配置された状態においてサブエアバッグ32が膨張する。そのため、サブエアバッグ32はシートバック7の側部と干渉することなく、シートバック7の前面7A側に向けて円滑に膨張することができる。また、収納状態においてサブエアバッグ32の後部が第3折り線L3に沿って前方に折り返されている。そのため、サブエアバッグ32が膨張するときに、サブエアバッグ32の後部は第3折り線L3を中心として前方から後方に向けて回動する。これにより、サブエアバッグ32はシートバック7の側部と干渉することなく、シートバック7の前面7A側に向けて円滑に膨張することができる。
【0076】
図4に示すように、膨張展開状態において、サブエアバッグ32の後部がシートバック7の傾斜面27Aに当接するため、サブエアバッグ32の位置が安定する。また、メインエアバッグ31とサブエアバッグ32とがシートバック7のサイドサポート部27を挟持するため、シートバック7に対するメインエアバッグ31及びサブエアバッグ32の位置が安定する。
【0077】
シートバック7の前面7Aに当接したサブエアバッグ32は、乗員100とメインエアバッグ31との隙間を埋めて乗員100を拘束する。これにより、サイドエアバッグ装置1は、サブエアバッグ32の膨張展開時の位置を安定させると共に乗員100の拘束性能を向上させることができる。
【0078】
図1に示すように、膨張展開時にサブエアバッグ32の上縁32Aが乗員100の腕を上方に持ち上げることができる。これにより、サブエアバッグ32が乗員100の胴部に当接することができ、乗員100の拘束性能が向上する。サブエアバッグ32の前側上縁32Aは、膨張展開状態においてシート3に着座した乗員100の肩関節101よりも下方に配置されている。これにより、サブエアバッグ32は、乗員100の胴部の上部を確実に拘束することができる。また、第1連通孔51が、膨張展開状態におけるメインエアバッグ31において、上下方向における中央より上方に配置されている。これにより、サブエアバッグ32が乗員100の胴部の上部、すなわち胸部の側部に対応した位置に配置される。その結果、サブエアバッグ32が乗員100の胴部の上部を確実に拘束することができる。
【0079】
膨張展開状態におけるサブエアバッグ32の上縁は、膨張展開状態におけるメインエアバッグ31の上縁よりも下方に配置されている。そのため、サブエアバッグ32の上端部はメインエアバッグ31に側方から安定性良く支持される。これにより、サブエアバッグ32が乗員100側に向けて安定性良く膨張展開することができる。
【0080】
メインエアバッグ31の内部が隔壁63によって第1室61及び第2室62に区画され、第1室61にサブエアバッグ32が連通している。そのため、メインエアバッグ31の膨張展開が完了するよりも前にサブエアバッグ32が膨張展開を開始することができる。
【0081】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 :サイドエアバッグ装置
2 :車両
3 :シート
7 :シートバック
7A :前面
11 :ドア
12 :ドアトリム
13 :アームレスト
14 :載置面
15 :窓開口
21 :シートバックフレーム
22 :パッド
25 :サイドメンバ
27 :サイドサポート部
27A :傾斜面
31 :メインエアバッグ
32 :サブエアバッグ
32A :上縁
32C :下縁
33 :インフレータ
33A :ハウジング
33B :結合部
34 :ケース
34A :上部
51 :第1連通孔
55 :結合部
61 :第1室
62 :第2室
63 :隔壁
64 :第2連通孔
100 :乗員
101 :肩関節
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9