(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】表示装置、表示ドライバ、及び故障検査方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241002BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20241002BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241002BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20241002BHJP
【FI】
G09G3/20 670A
G09G3/20 623B
G09G3/36
G01R31/28 V
G01R31/52
(21)【出願番号】P 2021056891
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一倉 宏嘉
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171627(JP,A)
【文献】特開2001-195033(JP,A)
【文献】特開2005-043661(JP,A)
【文献】特開2006-308630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0260746(US,A1)
【文献】国際公開第2020/230260(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G01R 31/28
G01R 31/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線と、連結線と、前記第1~第nのソース線各々の一端と接続されておりオン状態時に前記一端と前記連結線とを接続する第1~第nのソース線連結スイッチと、を含む表示パネルと、
通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第nの駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、
夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び前記ソース線の他端に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々の前記出力ノードを介して出力する第1~第nの出力回路と、
前記故障検査モード時において、前記第1~第nのソース線連結スイッチのうちで、前記第1~第nのソース線のうちの1のソース線及び他のソース線に接続されているソース線連結スイッチをオン状態、その他のソース線連結スイッチ群をオフ状態に設定すると共に、前記1のソース線に接続されている1の前記出力回路及び前記他のソース線に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて当該出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、
前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記故障検査モードは、前記第1~第nのソース線各々に蓄積される電荷量を初期化するリセットステップを含み、
前記リセットステップでは、前記故障検査制御部が、前記第1~第nの出力回路の各々に含まれる前記オペアンプの出力端を夫々の前記出力ノードに接続させると共に、前記オペアンプの第2入力端を夫々の前記出力ノードに接続させるように制御すると共に、前記第1~第nのソース線連結スイッチを全てオフ状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記故障検査制御部は、前記故障検査モード時において前記第1~第nの出力回路のうちで、前記1の前記出力回路及び前記他の1の前記出力回路からなる一対の出力回路の組み合わせを順次変更して行くことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線と、前記第1~第nのソース線各々の一端に接続されており、オン状態時には前記第1~第nのソース線における互いに隣接する一対のソース線毎に前記一対のソース線の前記一端同士を連結する第1~第nのソース線連結スイッチと、を含む表示パネルと、
通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第nの駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、
夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び前記ソース線の他端に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々の前記出力ノードを介して出力する第1~第nの出力回路と、
前記故障検査モード時において、前記第1~第nのソース線連結スイッチを全てオン状態に設定すると共に、前記一対のソース線毎に、当該一対のソース線のうちの1のソース線に接続されている1の前記出力回路及び前記一対のソース線のうちの他のソース線に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて当該出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、
前記一対のソース線毎に設けられている複数の故障判定回路と、を有し、
前記複数の故障判定回路の各々は、前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持することを特徴とす
る表示装置。
【請求項5】
前記故障検査制御部は、前記通常モード時において、前記第1~第nの出力回路の各々に含まれる前記オペアンプの出力端を夫々の前記出力ノードに接続させると共に、前記オペアンプの第2入力端を夫々の前記出力ノードに接続させるように制御すると共に、前記第1~第nのソース線連結スイッチを全てオフ状態に制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1~第nの出力回路の各々は、
オン状態時に前記オペアンプの出力端と前記出力ノードとを接続する第1のスイッチと、
オン状態時に前記オペアンプの出力端と当該オペアンプの第2入力端とを接続する第2のスイッチと、
オン状態時に前記オペアンプの出力端と前記
故障判定回路とを接続する第3のスイッチと、
オン状態時に前記オペアンプの第2入力端と前記出力ノードとを接続する第4のスイッチと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項7】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を含む表示パネルと、
通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第nの駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、
夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々の前記出力ノードを介して出力する第1~第nの出力回路と、
前記故障検査モード時において、前記第1~第nのソース線のうちの1のソース線に接続されている1の前記出力回路及び他の1のソース線に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて前記1の前記出力回路に含まれる前記出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、
前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記第1~第nのソース線各々の一端が夫々接続されるn個の外部端子と、
オン状態時に前記n個の外部端子を夫々前記第1~第nの出力回路各々の前記出力ノードと接続する第1~第nの出力スイッチを含むことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記故障検査モードは、前記第1~第nのソース線各々に蓄積される電荷量を初期化するリセットステップを含み、
前記リセットステップでは、前記故障検査制御部が、前記第1~第nの出力回路の各々内において前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続させるように制御することを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記故障検査制御部は、前記故障検査モードにおいて前記第1~第nの出力回路のうちから、前記1の前記出力回路及び前記他の1の前記出力回路の組み合わせを順次変更して行くことを特徴とする請求項7~9のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記通常モードでは、前記故障検査制御部は、前記第1~第nの出力回路の各々に含まれる前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に、前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続させるように制御することを特徴とする請求項7~10のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項12】
通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第n(nは2以上の整数)の駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、
夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び外部端子に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々をn個の前記外部端子から出力する第1~第nの出力回路と、
前記故障検査モード時において、前記n個の外部端子のうちの1の外部端子に接続されている1の前記出力回路及び他の1の外部端子に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて前記1の前記出力回路に含まれる前記出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、
前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有することを特徴とする表示ドライバ。
【請求項13】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線と、連結線と、前記第1~第nのソース線各々の他端と接続されておりオン状態時に前記他端と前記連結線とを接続する第1~第nのソース線連結スイッチと、を含む表示パネルと、
夫々が、映像信号に基づく電圧値又は故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧を第1入力端で受けるオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記オペアンプから出力された出力電圧を前記出力ノードを介して前記ソース線に供給する第1~第nの出力回路と、
を有する表示装置における表示パネルの故障検査方法であって、
前記第1~第nの出力回路のうちの1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続し、
前記第1~第nの出力回路のうちで前記1の出力回路とは異なる他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端と前記出力ノードとの接続を遮断すると共に、当該出力端に代えて当該出力ノードを前記オペアンプの第2入力端に接続し、
前記第1~第nのソース線連結スイッチのうちで、前記1の出力回路及び前記他の1の出力回路各々の前記出力ノードに接続されている一対の前記ソース線に夫々接続されている前記ソース線連結スイッチをオン状態、他のソース線連結スイッチ群をオフ状態にし、
前記他の1の出力回路内の前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧として第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持することを特徴とする故障検査方法。
【請求項14】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を含む表示パネルと、
夫々が、映像信号に基づく電圧値又は故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧を第1入力端で受けるオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記オペアンプから出力された出力電圧を前記出力ノードを介して前記ソース線に供給する第1~第nの出力回路と、を有する表示装置における表示パネルの故障検査方法であって、
前記第1~第nの出力回路のうちの1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続し、
前記第1~第nの出力回路のうちで前記1の出力回路とは異なる他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端と前記出力ノードとの接続を遮断すると共に、前記1の出力回路の前記出力ノードを前記オペアンプの第2入力端に接続し、
前記他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧として第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持することを特徴とする故障検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じた画像を表示する表示装置、表示ドライバ、及び故障検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等の表示パネルを、車両のカーナビゲーション用としてだけでなく各種計器の表示に適用した車両が登場している。この際、車両走行中において、各種計器として用いた表示パネルが故障し、誤った表示がなされるようになると運転に支障が生じる虞がある。
【0003】
そこで、運用中の当該表示パネルに対して、故障が生じているか否かの検査を行い、故障を検知した場合に、その旨を車両の搭乗者に警告する故障検査回路を備えた液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
当該故障検査回路は、液晶表示パネルの複数のソース線各々の一端からモニタ入力信号を供給し、夫々の他端から出力されたモニタ出力信号と所定の期待値とを比較することで、ソース線のショート異常及びオープン異常を検出する。よって、かかる故障検査回路には、各ソース線の一端に夫々個別に接続されている、故障検査用のモニタ入力信号を入力する為のモニタ信号線と、各ソース線の他端から出力されたモニタ出力信号を所定の期待値と比較する比較回路と、が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、特許文献1に記載の故障検査を実現するには、モニタ出力信号と期待値とを比較する比較回路をソースドライバ内に設ける必要があるので、コスト及び装置規模の増大を招く虞があった。また、特許文献1に記載の故障検査では、期待値を閾値として用いた大小比較によって故障判断を行っているので、微量な電流リーク等の故障を精度良く検出することが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、装置規模の増大を抑えて、表示パネルに生じている故障を精度良く検知することが可能な表示装置、表示ドライバ及び故障検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、第1~第n(nは2以上の整数)のソース線と、連結線と、前記第1~第nのソース線各々の一端と接続されておりオン状態時に前記一端と前記連結線とを接続する第1~第nのソース線連結スイッチと、を含む表示パネルと、通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第nの駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び前記ソース線の他端に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々の前記出力ノードを介して出力する第1~第nの出力回路と、前記故障検査モード時において、前記第1~第nのソース線連結スイッチのうちで、前記第1~第nのソース線のうちの1のソース線及び他のソース線に接続されているソース線連結スイッチをオン状態、その他のソース線連結スイッチ群をオフ状態に設定すると共に、前記1のソース線に接続されている1の前記出力回路及び前記他のソース線に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて当該出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有する。
【0009】
また、本発明に係る表示装置は、第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を含む表示パネルと、通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第nの駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々の前記出力ノードを介して出力する第1~第nの出力回路と、前記故障検査モード時において、前記第1~第nのソース線のうちの1のソース線に接続されている1の前記出力回路及び他の1のソース線に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて前記1の前記出力回路に含まれる前記出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有する。
【0010】
本発明に係る表示ドライバは、通常モード時には映像信号に基づく電圧値を有する第1~第n(nは2以上の整数)の駆動電圧を生成する一方、故障検査モード時にはテスト電圧を有するn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成するデコーダ部と、夫々が前記駆動電圧を第1入力端で受けると共に自身の出力端が第2入力端に接続されているオペアンプ、及び外部端子に接続されている出力ノードを含み、前記第1~第nの駆動電圧を夫々前記オペアンプにて個別に増幅したものを第1~第nの出力電圧として夫々をn個の前記外部端子から出力する第1~第nの出力回路と、前記故障検査モード時において、前記n個の外部端子のうちの1の外部端子に接続されている1の前記出力回路及び他の1の外部端子に接続されている他の1の前記出力回路のうちの前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端及び前記出力ノード間の接続を遮断すると共に当該出力端に代えて前記1の前記出力回路に含まれる前記出力ノードを当該オペアンプの第2入力端に接続させる故障検査制御部と、前記他の1の前記出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧とし、前記モニタ電圧を第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する故障判定回路と、を有する。
【0011】
本発明に係る故障検査方法は、第1~第n(nは2以上の整数)のソース線と、連結線と、前記第1~第nのソース線各々の他端と接続されておりオン状態時に前記他端と前記連結線とを接続する第1~第nのソース線連結スイッチと、を含む表示パネルと、夫々が、映像信号に基づく電圧値又は故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧を第1入力端で受けるオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記オペアンプから出力された出力電圧を前記出力ノードを介して前記ソース線に供給する第1~第nの出力回路と、を有する表示装置における表示パネルの故障検査方法であって、前記第1~第nの出力回路のうちの1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続し、前記第1~第nの出力回路のうちで前記1の出力回路とは異なる他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端と前記出力ノードとの接続を遮断すると共に、当該出力端に代えて当該出力ノードを前記オペアンプの第2入力端に接続し、前記第1~第nのソース線連結スイッチのうちで、前記1の出力回路及び前記他の1の出力回路各々の前記出力ノードに接続されている一対の前記ソース線に夫々接続されている前記ソース線連結スイッチをオン状態、他のソース線連結スイッチ群をオフ状態にし、前記他の1の出力回路内の前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧として第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する。
【0012】
また、本発明に係る故障検査方法は、第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を含む表示パネルと、夫々が、映像信号に基づく電圧値又は故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧を第1入力端で受けるオペアンプ、及び前記ソース線に接続されている出力ノードを含み、前記オペアンプから出力された出力電圧を前記出力ノードを介して前記ソース線に供給する第1~第nの出力回路と、を有する表示装置における表示パネルの故障検査方法であって、前記第1~第nの出力回路のうちの1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端を前記出力ノードに接続させると共に前記オペアンプの第2入力端を前記出力ノードに接続し、前記第1~第nの出力回路のうちで前記1の出力回路とは異なる他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端と前記出力ノードとの接続を遮断すると共に、前記1の出力回路の前記出力ノードを前記オペアンプの第2入力端に接続し、前記他の1の出力回路に含まれる前記オペアンプの出力端の電圧をモニタ電圧として第1のタイミングで取り込んで2値化した信号を第1の故障判定信号として保持すると共に、前記第1のタイミングよりも所定の遅延時間だけ遅れた第2のタイミングで前記モニタ電圧を取り込んで2値化した信号を第2の故障判定信号として保持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、映像信号に基づく駆動電圧を増幅した出力電圧を表示パネルの複数のソース線に供給する複数のオペアンプを利用して各ソース線の故障検査を行う。つまり、1のオペアンプで故障検査用のテスト電圧をソース線に供給し、他のオペアンプでテスト結果としてのモニタ電圧を取得する。そして、当該モニタ電圧を夫々異なるタイミングで取り込んで個別に2値化することで、故障の状態を判別し得る故障判定信号を得る。
【0014】
これにより、故障検査用のテスト電圧をソース線に供給する為の専用の入力回路や、テスト電圧に基づく出力結果と期待値とを比較する比較回路を新たに設けることなく、各ソース線の故障検査を行うことが可能となる。
【0015】
更に、本発明では、テスト電圧をソース線に供給することで得られたモニタ電圧(出力結果)を異なるタイミングで取り込み夫々を2値化したもので故障判定を行うようにしている。これにより、断線故障、短絡故障のみならず、微小な電流リーク故障をも精度よく検知することが可能となる。
【0016】
よって、本発明によれば、装置規模の増大を抑えて、表示パネルに生じている故障を精度良く検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施例による表示装置100の構成を示すブロック図である。
【
図2】ソースドライバ13の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】出力部133の内部構成の一例を示す回路図である。
【
図4】故障検査制御シーケンスと、故障無時における出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【
図5】検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて出力部133及び表示パネル20内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。
【
図6】故障検査制御シーケンスと、短絡故障が生じている際の出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【
図7】故障検査制御シーケンスと、電流リーク故障が生じている際の出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【
図8】第2の実施例による表示装置100Aの構成を示すブロック図である。
【
図9】ソースドライバ13Aの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】出力部133Aの内部構成の一例を示す回路図である。
【
図11】検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて出力部133A内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。
【
図12】第3の実施例による表示装置100Bの構成を示すブロック図である。
【
図13】ソースドライバ13Bの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】出力部133Bの内部構成の一例を示す回路図である。
【
図15】故障検査制御シーケンスと、故障無時における出力部133Bの内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【
図16】検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて出力部133Bに流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。
【
図17】第4の実施例による表示装置100Cの構成を示すブロック図である。
【
図18】ソースドライバ13Cの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】出力部133Cの内部構成の一例を示す回路図である。
【
図20】検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて出力部133C及び表示パネル20B内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る第1の実施例としての表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0020】
表示装置100は、駆動制御部11、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、及び容量性の表示パネル20を有する。
【0021】
表示パネル20には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張するゲート線G1~Gm(mは2以上の整数)と、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するソース線S1~Sn(nは2以上の整数)とが交叉して配置されている。ゲート線とソース線との交叉部には、例えば液晶素子又は有機EL素子としての表示セルPCが形成されている。
【0022】
更に、表示パネル20には、ソース線S1~Sn各々の一端に接続されているソース線連結スイッチSW71~SW7nと、単一の連結線SLとが配置されている。ソース線連結スイッチSW71~SW7nは、各スイッチに対応したn本の連結制御信号SCに応じて個別にオン状態又はオフ状態に設定される。ソース線連結スイッチSW71~SW7nの各々は、オン状態に設定された場合にソース線の他端を連結線SLに接続する一方、オフ状態に設定された場合には当該ソース線の他端をオープン状態にする。よって、ソース線連結スイッチSW71~SW7nのうちの少なくとも2つがオン状態に設定されることで、当該少なくとも2つのスイッチに接続されているソース線の他端同士が連結線SLを介して短絡する。
【0023】
駆動制御部11は、映像信号VSを受け、当該映像信号VSに含まれる水平同期信号に応じて走査信号を生成しこれをゲートドライバ12に供給する。更に、駆動制御部11は、映像信号VSに基づき、取込タイミング信号を含む各種制御信号、及び各画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す表示データ片の系列を含む映像データ信号VPDを生成し、これをソースドライバ13に供給する。
【0024】
尚、駆動制御部11は、電源投入時又は垂直ブランキング期間中は故障検査モードに設定され、その他の期間では通常モードに設定される。つまり、駆動制御部11は、通常モードに設定された時には、上記したように、映像信号VSに基づく表示データ片の系列を含む映像データ信号VPDをソースドライバ13に供給する。
【0025】
一方、故障検査モードに設定された時には、駆動制御部11は、上記した表示データ片の系列に代えて、ソース線S1~Snに夫々対応した故障検査用のテストデータ片(例えば8ビット)の系列を含む映像データ信号VPDをソースドライバ13に供給する。
【0026】
ゲートドライバ12は、駆動制御部11から供給された走査信号に応じて走査パルスを生成し、これを表示パネル20のゲート線G1~Gnに順次択一的に印加する。
【0027】
ソースドライバ13は、上記した映像データ信号VPDを取り込み、当該映像データ信号VPDに基づき、1水平走査期間毎にn個の出力電圧GV1~GVnを生成し、夫々を表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。
【0028】
図2は、ソースドライバ13の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、ソースドライバ13は、データラッチ部131、デコーダ部132、出力部133及び故障検査制御部200を含む。
【0030】
データラッチ部131は、映像データ信号VPDに含まれる表示データ片(又はテストデータ片)の系列を取り込む。データラッチ部131は、1水平走査期間分のn個の表示データ片(又はテストデータ片)を取り込む度に、夫々を表示データJ1~Jnとしてデコーダ部132に供給する。
【0031】
デコーダ部132は、表示データJ1~Jnに夫々対応したn個のデコーダDE1~DEnを含む。デコーダDE1~DEnの各々は、自身が受けた表示データJr(rは1~nの整数)にて示される値に対応した電圧を、互いに異なる電圧値を有する複数の階調電圧のうちから選択し、選択した階調電圧を駆動電圧Prとして、出力部133に供給する。これにより、デコーダDE1~DEnは、夫々が受けた表示データJ1~Jnをアナログの電圧値を有する駆動電圧P1~Pnに変換して、夫々を出力部133に供給する。
【0032】
すなわち、デコーダ部132は、通常モード時には映像信号VSに基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する駆動電圧P1~Pnを出力部133に供給する。一方、故障検査モード時には、デコーダ部132は、テストデータ片に基づくテスト電圧値を有する駆動電圧P1~Pnを出力部133に供給する。
【0033】
出力部133は、故障検査制御部200から供給された故障検査制御データSWC、取込タイミング信号CLK1及びCLK2に応じて、通常モード及び故障検査モードのうちの一方の状態に設定される。
【0034】
出力部133は、通常モード時には、駆動電圧P1~Pnを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を上記した出力電圧GV1~GVnとして生成し、夫々をソースドライバ13の外部端子t1~tnを介して表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。一方、故障検査モード時には、出力部133は、駆動電圧P1~Pnをテスト電圧として受け、当該テスト電圧を表示パネル20のソース線S1~Snに供給することで、ソース線同士の短絡、ソース線の断線又は電流リーク等の故障を検知する故障検査を行う。
【0035】
故障検査制御部200は、電源投入時又は映像データ信号VPDにおける垂直ブランキング期間中は、故障検査モード設定用の故障検査制御データSWCと、取込タイミング信号号CLK1及びCLK2を出力部133に供給する。尚、取込タイミング信号CLK1及びCLK2は互いに異なる位相を有する。例えば、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジのタイミングは、取込タイミング信号CLK2のフロントエッジのタイミングに対して進んでいる。更に、故障検査制御部200は、当該電源投入時又は映像データ信号VPDにおける垂直ブランキング期間中にて、ソース線連結スイッチSW71~SW7nを、一対のスイッチ毎に順次、択一的にオン状態に設定させる連結制御信号SCを外部端子TMを介して表示パネル20に供給する。
【0036】
また、故障検査制御部200は、電源投入時又は映像データ信号VPDにおける垂直ブランキング期間以外の期間では、通常モード設定用の故障検査制御データSWCを出力部133に供給する。更に、故障検査制御部200は、当該電源投入時又は映像データ信号VPDにおける垂直ブランキング期間以外の期間において、ソース線連結スイッチSW71~SW7nを全てオフ状態に設定させる連結制御信号SCを外部端子TMを介して表示パネル20に供給する。
【0037】
図3は、出力部133の内部構成を示す回路図である。
【0038】
図3に示すように、出力133は、駆動電圧P1~Pnを夫々個別に受ける出力回路BC1~BCnと、故障判定回路FJCと、を含む。尚、出力回路BC1~BCnは同一の内部構成を有する。よって、以下に、出力回路BC1を抜粋してその内部構成について説明する。
【0039】
出力回路BC1は、出力アンプとしてのオペアンプAP1と、故障検査制御データSWCに応じて夫々個別にオン状態又はオフ状態に設定されるスイッチSW3~SW5と、を含む。オペアンプAP1は、駆動電圧P1を第1の入力端としての例えば非反転入力端で受ける。オペアンプAP1の出力端はスイッチSWを介して出力ノードn1と接続されていると共に、スイッチSW4を介して自身の第2の入力端としての例えば反転入力端に接続されている。
【0040】
スイッチSW3は、オン状態に設定されている場合にはオペアンプAP1の出力端を出力ノードn1に接続する一方、オフ状態に設定されている場合には、オペアンプAP1の出力端及び出力ノードn1間の接続を遮断する。スイッチSW4は、オン状態に設定されている場合にはオペアンプAP1の出力端をオペアンプAP1の反転入力端に接続する一方、オフ状態に設定されている場合には、オペアンプAP1の出力端及び反転入力端間の接続を遮断する。スイッチSW5は、オン状態に設定されている場合にはオペアンプAP1の出力端をモニターノードn2を介して故障判定回路FJCに供給する一方、オフ状態に設定されている場合には、オペアンプAP1の出力端及びモニターノードn2間の接続を遮断する。スイッチSW6は、オン状態に設定されている場合には出力ノードn1をオペアンプAP1の反転入力端に接続する一方、オフ状態に設定されている場合には、オペアンプAP1の反転入力端及び出力ノードn1間の接続を遮断する。
【0041】
尚、スイッチSW3及びSW5は相補的にオン状態及びオフ状態に夫々設定されるものである。よって、スイッチSW3及びSW5は、故障検査制御データSWCに基づき、オペアンプAP1の出力端を、出力ノードn1及びモニターノードn2のうちのいずれか一方に選択的に接続する。また、スイッチSW4及びSW6も相補的にオン状態及びオフ状態に夫々設定されるものである。よって、スイッチSW4及びSW6は、オペアンプAP1の反転入力端子を、自身の出力端及び出力ノードn1のうちのいずれか一方に選択的に接続する。
【0042】
すなわち、スイッチSW3~SW6は、オペアンプAP1の出力端を、出力ノードn1及びモニターノードn2のうちの一方に選択的に接続すると共に、当該オペアンプAP1の反転入力端を自身の出力端及び出力ノードn1のうちの一方に選択的に接続する接続切換部として機能する。
【0043】
ところで、
図3は、故障検査制御部200から通常モード設定用の故障検査制御データSWCが供給された場合でのスイッチSW3~SW6の状態を示している。すなわち、通常モード設定用の故障検査制御データSWCに応じて、出力回路BC1~BCn各々のスイッチSW3及びSW4がオン状態、スイッチSW5及びSW6がオフ状態に設定される。よって、通常モード時には、出力回路BC1~BCn各々のオペアンプAP1は自身の出力端子が反転入力端に接続されている、いわゆるボルテージフォロワとなる。これにより、例えば出力回路BC1のオペアンプAP1は、非反転入力端で受けた駆動電圧P1に対応した電圧値を有する出力電圧GV1を出力ノードn1を介して出力する。
【0044】
故障判定回路FJCは、フリップフロップ(以下、FFと称する)31及び32と、検査結果レジスタ40を含む。
【0045】
FF31及び32は、出力回路BC1~BCnのうちの1つの出力回路のオペアンプAP1から出力された電圧を、モニターノードn2を介して夫々のD端子で受ける。尚、以降、当該モニターノードn2を介してFF31及び32各々のD端子が受ける電圧を、モニタ電圧と称する。
【0046】
FF31は、D端子で受けたモニタ電圧を、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジのタイミングで取り込む。この際、FF31は、取り込んだモニタ電圧の電圧値が所定閾値以上である場合には論理レベル1、当該所定閾値より低い場合には論理レベル0の2値信号を保持し、これを故障判定信号f1として検査結果レジスタ40に供給する。
【0047】
FF32は、D端子で受けたモニタ電圧を、取込タイミング信号CLK2のフロントエッジのタイミング、つまりFF31よりも遅れたタイミングで取り込む。この際、FF32は、取り込んだモニタ電圧の電圧値が所定閾値以上である場合には論理レベル1、当該所定閾値より低い場合には論理レベル0の2値信号を保持し、これを故障判定信号f2として検査結果レジスタ40に供給する。
【0048】
検査結果レジスタ40は、表示パネルのソース線S1~Snにおける一対のソース線毎に、その一対のソース線に対する故障検査結果としての故障判定信号f1及びf2を記憶する。尚、故障判定信号f1及びf2にて示される論理レベルの組み合わせにより、対応する一対のソース線毎に、故障が生じているか否かの判断、及び故障の状態、つまりソース線同士の短絡故障、断線故障、電流リーク故障を区別して表す。
【0049】
以下に、上記した故障検査モードでの動作について説明する。
【0050】
尚、故障検査モードでは、ソース線S1~Snを一対毎に順に故障検査することで、全ソース線を検査するが、ここでは、一対のソース線S1及びS2を抜粋して故障検査の動作について説明する。
【0051】
[故障検査結果:故障無]
図4は、ソース線S1及びS2を故障検査する際の故障検査制御シーケンスと、故障(断線、短絡、電流リーク)無時における、出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【0052】
尚、
図4では、ソース線S1の駆動を担う出力回路BC1のスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、ソース線S2の駆動を担う出力回路BC2のスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表す。また、その他の出力回路BC3~BCn各々に含まれるスイッチSW3~SW6については全てSW3c~SW6cと表す。
【0053】
図4に示すように、当該故障検査制御シーケンスは、リセットステップPER1と、これに続く検査ステップPER2とから構成される。
【0054】
先ず、リセットステップPER1では、故障検査制御部200が、故障検査制御データSWCによって、スイッチSW3a~SW3c及びSW4a~SW4cを全てオン状態、スイッチSW5a~SW5c及びSW6a~SW6cを全てオフ状態に設定する。また、故障検査制御部200は、連結制御信号SCによって、ソース線連結スイッチSW71~SW7nを全てオフ状態に設定する。上記した各スイッチの設定によれば、出力回路BC1~BCn各々のオペアンプAP1は、上記した通常モード時での動作と同様に自身の非反転入力端で受けた電圧(P1~Pn)を増幅した電圧を出力ノードn1を介して、対応するソース線に供給する。
【0055】
ここで、リセットステップPER1では、駆動制御部11が、ソース線S1~Snに夫々対応したn個のテストデータ片として、所定の低電圧値、例えば電圧値1V(ボルト)を表すテストデータ片を含む映像データ信号VPDをデータラッチ部131に供給する。この際、データラッチ部131は、1水平走査ライン分のn個のテストデータ片を
図4に示す取込信号LOADのタイミングで取り込み、夫々を表示データJ1~Jnとしてデコーダ部132に供給する。
【0056】
よって、リセットステップPER1では、
図4に示すように、1V(ボルト)の電圧値を有するテスト電圧としての駆動電圧P1~Pnが、出力回路BC1~BCnに供給される。これにより、出力回路BC1~BCnの各々に含まれるオペアンプAP1は、1V(ボルト)の電圧をスイッチSW3及び出力ノードn1を介して、対応する外部端子(t1~tn)に供給する。これにより、
図4に示すように、出力回路BC1~BCnに夫々対応する外部端子(t1~tn)上の電圧、つまり1V(ボルト)の電圧値を有する端子電圧V1~Vnがソース線S1~Snに供給される。
【0057】
つまり、リセットステップPER1では、出力回路BC1~BCn各々のオペアンプAP1により、ソース線S1~Snを共通の低電圧、例えば1V(ボルト)で充電することで、ソース線S1~Snの各々を均一な電荷状態にリセットする。
【0058】
次に、検査ステップPER2では、故障検査制御部200が、故障検査制御データSWCにより、出力回路BC2のスイッチSW3b及びSW4bをオフ状態に切り替え、当該出力回路BC2のスイッチSW5b及びSW6bをオン状態に切り替える。これにより、出力回路BC2のオペアンプAP1bは、非反転入力端で受けた駆動電圧P2と、反転端子で受けた電圧との差分に対応した電流を出力するコンパレータとして機能する。
【0059】
また、検査ステップPER2では、故障検査制御部200は、連結制御信号SCにより、故障検査対象のソース線S1及びS2に接続されているソース線連結スイッチSW71及びSW72をオン状態に切り替える。更に、故障検査制御部200は、
図4に示すように単一のパルスを含む取込タイミング信号CLK1、及びこの取込タイミング信号CLK1に含まれる単一のパルスよりも所定の遅延時間WPだけ遅れたタイミングで表れる単一のパルスを含む取込タイミング信号CLK2を、故障判定回路FJCに供給する。
【0060】
また、検査ステップPER2では、駆動制御部11が、ソース線S1~Snに供給すべきテスト電圧を表す以下のテストデータ片群を含む映像データ信号VPDをデータラッチ部131に供給する。つまり、駆動制御部11は、ソース線S1及びS3~Snに夫々供給する所定の高電圧値、例えば9V(ボルト)のテスト電圧を表すテストデータ片群と、ソース線S2に供給する、上記FF31及び32各々の所定閾値Thに相当する電圧値、例えば5V(ボルト)のテスト電圧を表すテストデータ片と、を含む映像データ信号VPDをデータラッチ部131に供給する。すると、データラッチ部131は、1水平走査ライン分のn個のテストデータ片を取り込み、夫々を表示データJ1~Jnとしてデコーダ部132に供給する。
【0061】
これにより、出力回路BC1及びBC3~BCnに供給されるテスト電圧としての駆動電圧P1及びP3~Pn各々の電圧値が、
図4に示すように1V(ボルト)から9V(ボルト)に推移する。更に、出力回路BC2に供給されるテスト電圧としての駆動電圧P2の電圧値が
図4に示すように1V(ボルト)から、FF31及び32各々の所定閾値Thに相当する5V(ボルト)に推移する。
【0062】
図5は、上記した検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて出力部133及び表示パネル20内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。尚、
図5では、
図4と同様に出力回路BC1のスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、出力回路BC2のスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表し、出力回路BC3~BCn各々に含まれるスイッチSW3~SW6を全てSW3c~SW6cと表す。更に、
図5では、出力回路BC1に含まれるオペアンプAP1をAP1a、出力回路BC2に含まれるオペアンプAP1をAP1b、出力回路BC3~BCn各々に含まれるオペアンプAP1をAP1cと表す。
【0063】
図5の太線矢印に示すように、検査ステップPER2では、出力回路BC1のオペアンプAP1aから出力された電流が、ノードn1、ソース線S1、ソース線連結スイッチSW71、SW72、ソース線S2、出力回路BC2のノードn1及びスイッチSW6bを介して、出力回路BC2のオペアンプAP1bの反転入力端に流れ込む。
【0064】
これにより、出力回路BC1から出力された電圧が1V(ボルト)から9V(ボルト)に推移し、当該電圧に対応した端子電圧V1がソース線S1の一端に印加される。
【0065】
ここで、ソース線S1及びS2に故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていなければ、ソース線S1及びS2に寄生する寄生容量の影響により、出力回路BC2の端子電圧V2の電圧値が
図4に示すように端子電圧V1よりも緩やかに上昇して9V(ボルト)に至る。
【0066】
そして、この端子電圧V2が出力回路BC2のスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、出力回路BC2のオペアンプAP1bは、テスト電圧としての駆動電圧P2と端子電圧V2との差分に対応した電流を出力する。これにより、出力回路BC2のオペアンプAP1bの出力端の電圧(以下、モニタ電圧と称する)VQの電圧値が、
図4に示すように1V(ボルト)の状態から徐々に上昇する。
【0067】
検査ステップPER2では、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJCのFF31及び32各々のD端子に供給される。
【0068】
この際、ソース線S1及びS2に故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていなければ、
図4に示すように、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジの時点では、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Th(例えば5ボルト)より低い。よって、FF31は、論理レベル0の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。一方、
図4に示すように、取込タイミング信号CLK2のフロントエッジの時点では、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Th以上となるので、FF32は、論理レベル1の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0069】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=0
f2=1
であることから、ソース線S1及びS2には故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていないことを示す故障検査結果(f1=0、f2=1)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0070】
[故障検査結果:短絡故障]
次に、ソース線S1及びS2に短絡故障が生じている場合での動作について説明する。
【0071】
図6は、ソース線S1及びS2同士に短絡故障が生じている場合における出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【0072】
尚、
図6において、取込信号LOAD、取込タイミング信号CLK1及びCLK2、故障検査制御データSWC、連結制御信号SC、駆動電圧P1~Pnに基づく故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)の動作については、
図4に示すものと同一である。
【0073】
すなわち、ソース線S1及びS2同士が短絡、例えば外部端子t1、t2の近傍の領域で両者が短絡していると、電流経路が変化し、寄生容量の影響が小さくなる。これにより、
図6に示すように、出力回路BC2の端子電圧V2の電圧値が、
図4に示す端子電圧V2よりも急峻に上昇して9V(ボルト)に到る。そして、この端子電圧V2が出力回路BC2のスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、出力回路BC2のオペアンプAP1bは、テスト電圧としての駆動電圧P2と端子電圧V2との差分に対応した電流を出力する。これにより、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されるモニタ電圧VQは、
図6に示すように、
図4に示すモニタ電圧VQよりも急峻に1V(ボルト)の状態から上昇する。
【0074】
検査ステップPER2では、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJCのFF31及び32各々のD端子に供給される。この際、
図6に示すように、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジの時点で、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Thより高くなる。よって、FF31は、論理レベル1の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。同様に、FF32も、論理レベル1の故障判定信号f2を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0075】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=1
f2=1
であることから、ソース線S1及びS2に短絡故障が生じていることを示す故障検査結果(f1=1、f2=1)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0076】
[故障検査結果:電流リーク故障、断線故障]
次に、ソース線S1及びS2に電流リーク故障が生じている場合での動作について説明する。
【0077】
図7は、ソース線S1又はS2に電流リーク故障が生じている場合における出力部133の内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【0078】
尚、
図7において、取込信号LOAD、取込タイミング信号CLK1及びCLK2、故障検査制御データSWC、連結制御信号SC、駆動電圧P1~Pnに基づく故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)の動作については、
図4に示すものと同一である。
【0079】
すなわち、ソース線S1又はS2に電流リークが生じていると、出力回路BC1のオペアンプAP1aから、ソース線S1及びS2を介して出力回路BC2の外部端子t2に送出された電流に伴う端子電圧V2の電圧上昇の速度が低下する。つまり、
図7に示すように、出力回路BC2の端子電圧V2の電圧値が、
図4に示す端子電圧V2よりも緩やかに上昇して9V(ボルト)に到る。そして、この端子電圧V2が出力回路BC2のスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、出力回路BC2のオペアンプAP1bはテスト電圧としての駆動電圧P2と端子電圧V2との差分に対応した電流を出力する。これにより、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されるモニタ電圧VQは、
図7に示すように、
図4に示すモニタ電圧VQよりも緩やかに1V(ボルト)の状態から上昇する。
【0080】
検査ステップPER2では、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJCのFF31及び32各々のD端子に供給される。この際、
図7に示すように、取込タイミング信号CLK1及びCLK2各々のフロントエッジの時点では共に、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Thより低い。よって、FF31は、論理レベル0の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。同様に、FF32も、論理レベル0の故障判定信号f2を出力し、これをソース線S1及びS2に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0081】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=0
f2=0
であることから、ソース線S1及びS2に電流リーク故障が生じていることを示す故障検査結果(f1=0、f2=0)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0082】
尚、ソース線S1及びS2間に断線故障が生じている場合にも、故障検査結果(f1=0、f2=0)が得られる。
【0083】
ところで、故障検査制御部200は、上記したソース線S1及びS2のみならず、他のソース線群に対しても一対毎に順に故障検査を行う。すなわち、故障検査制御部200は、テスト電圧をソース線に供給する役目を担う出力回路(上記実施例ではBC1)、及びソース線を経た電圧に基づくモニタ電圧VQを故障判定回路FJCに供給する役目を担う出力回路(上記実施例ではBC2)の組み合わせを順次、変更して行く。
【0084】
以上、詳述したように、表示装置100では、故障検査モード時には、デコーダ部132が、映像信号に基づく電圧値に代えて故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧P1~Pnを出力回路BC1~BCnに供給する。
【0085】
ここで、先ず、リセットステップPER1において、出力回路BC1~BCnが、低電圧(例えば1ボルト)のテスト電圧値を有する出力電圧GV1~GVnを表示パネル20のソース線S1~Sn各々の一端に供給する。これにより、ソース線S1~Snの各々に蓄積される電荷量を初期化する。
【0086】
次に、検査ステップPER2において、ソース線S1~Snのうちの一対のソース線(例えばS1、S2)の他端同士をソース線連結スイッチSW7にて連結する。ここで、デコーダ部132が、高電圧(例えば9ボルト)のテスト電圧値を有する第1の駆動電圧(例えばP1)を、上記した一対のソース線のうちの一方のソース線(例えばS1)に対応した第1の出力回路(例えばBC1)に供給する。更に、デコーダ部132は、高電圧(例えば5ボルト)のテスト電圧値を有する第2の駆動電圧(例えばP2)を、上記した一対のソース線のうちの他方のソース線(例えばS2)に対応した第2の出力回路(例えばBC2)に供給する。よって、第1の出力回路に含まれるオペアンプAP1の非反転入力端には第1の駆動電圧が供給され、第2の出力回路に含まれるオペアンプAP1の非反転入力端には第2の駆動電圧が供給される。この間、第2の出力回路内では、上記した他方のソースに接続されている出力ノードn1とオペアンプAP1の出力端との間の接続をスイッチSW3によって遮断し、当該出力ノードn1をオペアンプAP1の反転入力端に接続する。したがって、上記した一方のソース線(例えばS1)に供給したテスト電圧が当該一方のソース線及び他方のソース線(例えばS2)、及び第2の出力回路の出力ノードを介して、当該第2の出力回路のオペアンプAP1の反転入力端に帰還供給される。これにより、第2の出力回路のオペアンプAP1は、上記した一対のソース線(例えば、S1、S2)の寄生容量の影響を受けた電圧を出力する。そこで、第2の出力回路のオペアンプAP1から出力された電圧をモニタ電圧VQとし、故障判定回路FJCにて当該モニタ電圧VQに基づき上記した一対のソース線に対する故障(断線、短絡、電流リーク、故障無)を判定する。
【0087】
このように、表示装置100は、映像信号に基づく駆動電圧を増幅した出力電圧を表示パネルの複数のソース線に供給するオペアンプAP1を利用して故障検査を行う。つまり、オペアンプAP1で故障検査用のテスト電圧をソース線に供給し、他のオペアンプでテスト結果としてのモニタ電圧VQを取得する。そして、当該モニタ電圧VQを夫々異なるタイミングで取り込んで個別に2値化することで、故障の状態を判別し得る故障判定信号(f1、f2)を得る。
【0088】
これにより、故障検査用のテスト電圧をソース線に供給する為の専用の入力回路や、テスト電圧の供給によって得られた出力結果としてのモニタ電圧と、期待値とを比較する比較回路を新たに設けることなく、表示パネルのソース線の故障検査を行うことが可能となる。
【0089】
また、上記したようにモニタ電圧VQを互いに所定の遅延時間WPだけ隔てた取込タイミング(CLK1、CLK2)で取り込み、夫々を2値化したもの(f1、f2)で故障判定を行うようにしている。ここで、テスト電圧の電圧値を切り替えた際(例えば1ボルトから5又は6ボルト)に得られるモニタ電圧VQの電圧値の変化速度は、例えばソース線からの電流リーク量によって変わる。よって、上記した遅延時間WPを適切な長さに設定することで、ソース線に生じている微小な電流リーク故障を精度よく検知することが可能となる。
【0090】
従って、表示装置100によれば、装置規模の増大を抑えて、表示パネルに生じている故障を精度良く検知することが可能となる。
【実施例2】
【0091】
図8は、本発明に係る第2の実施例としての表示装置100Aの構成を示すブロック図である。
【0092】
表示装置100Aは、駆動制御部11、ゲートドライバ12、ソースドライバ13A及び表示パネル20Aを有する。
【0093】
尚、駆動制御部11及びゲートドライバ12については、
図1に示すものと同一であるので、その動作説明は省略する。
【0094】
表示パネル20Aは、
図1に示す表示パネル20から、ソース線連結スイッチSW71~SW7n、連結線SL、及び連結制御信号SC用の配線を省いたものであり、その他の構成は表示パネル20と同一である。
【0095】
ソースドライバ13Aは、
図1に示すソースドライバ13と同様に、駆動制御部11から供給された映像データ信号VPDに基づき、1水平走査期間毎にn個の出力電圧GV1~GVnを生成し、夫々を表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。
【0096】
図9は、ソースドライバ13Aの内部構成の一例を示すブロック図である。
【0097】
ソースドライバ13Aは、データラッチ部131、デコーダ部132、出力部133A及び故障検査制御部200Aを含む。尚、データラッチ部131及びデコーダ部132については、
図2に示すものと同一であるので、その動作説明は省略する。
【0098】
故障検査制御部200Aは、故障検査制御部200と同様に、故障検査制御データSWC、取込タイミング信号号CLK1及びCLK2を生成し、夫々を出力部133Aに供給する。ただし、故障検査制御部200Aは、故障検査制御部200とは異なり、連結制御信号SCの生成及び表示パネル20Aへの出力は行わない。
【0099】
出力部133Aは、故障検査制御部200Aから供給された故障検査制御データSWC、取込タイミング信号CLK1及びCLK2に応じて、出力部133と同様に通常モード及び故障検査モードのうちの一方の状態に設定される。出力部133Aは、通常モード時には、デコーダ部132から供給された駆動電圧P1~Pnを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を出力電圧GV1~GVnとして夫々を、外部端子t1~tnを介して表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。一方、故障検査モード時には、出力部133Aは、表示パネル20Aのソース線S1~Snに対して、ソース線同士の短絡、ソース線の断線及び電流リーク等の故障検査を行う。
【0100】
図10は、出力部133Aの内部構成を示す回路図である。
【0101】
尚、出力部133Aは、出力回路BC1~BCnに代えて出力回路BC1A~BCnAを採用したものであり、故障判定回路FJCについては
図3に示すものと同一である。
【0102】
出力回路BC1A~BCnAは互いに同一の回路構成からなり、出力回路BC1~BCnの各々と同様に接続されたスイッチSW3~SW6、及び出力アンプとしてのオペアンプAP1を含む。ただし、出力回路BC1A~BCnAの各々には、他の出力回路の出力ノードn1と接続される接続ノードn3が含まれている。更に、出力回路BC1A~BCnAの各々に含まれるスイッチSW6は、オン状態時には、出力ノードn1ではなく接続ノードn3を、オペアンプAP1の反転入力端に接続する接続形態を有する。例えば、
図10に示す一例では、出力回路BC2Aの接続ノードn3が出力回路BC1Aの出力ノードn1と接続されている。よって、出力回路BC2AのスイッチSW6aは、オン状態時には、出力回路BC1Aの出力ノードn1を、出力回路BC2AのオペアンプAP1の反転入力端に接続する。
【0103】
尚、出力回路BC1A~BCnA各々に含まれるスイッチSW3及びSW5は相補的にオン状態及びオフ状態に夫々設定されるものである。よって、スイッチSW3及びSW5は、故障検査制御データSWCに基づき、オペアンプAP1の出力端を、出力ノードn1及びモニターノードn2のうちのいずれか一方に選択的に接続する。また、スイッチSW4及びSW6も相補的にオン状態及びオフ状態に夫々設定されるものである。よって、スイッチSW4及びSW6は、オペアンプAP1の反転入力端子を、自身の出力端及び接続ノードn3のうちのいずれか一方に選択的に接続する。
【0104】
すなわち、スイッチSW3~SW6は、オペアンプAP1の出力端を、出力ノードn1及びモニターノードn2のうちの一方に選択的に接続すると共に、当該オペアンプAP1の反転入力端を自身の出力端及び接続ノードn3のうちの一方に選択的に接続する接続切換部として機能する。
【0105】
このように、
図8~
図10に示す表示装置10Aでは、表示パネル20に含まれているソース線連結スイッチSW71~7nを削除し、出力回路BC1A~BCnAの各々内で、隣接する出力回路BCの出力ノードn1を、接続ノードn3及びスイッチSW6を介してオペアンプAP1の反転入力端に供給するようにしている。
【0106】
尚、出力部133Aに対しても出力部133と同様に、取込信号LOAD、取込タイミング信号CLK1及びCLK2、故障検査制御データSWC、駆動電圧P1~Pnに基づき、
図4に示す故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)に従った制御が施される。
【0107】
図11は、故障検査制御シーケンスの検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて、出力部133A内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。尚、
図11では、出力回路BC1AのスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、出力回路BC2AのスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表している。また、その他の出力回路BC3A~BCnA各々に含まれるスイッチSW3~SW6については全てSW3c~SW6cと表している。更に、
図11では、出力回路BC1Aに含まれるオペアンプAP1をAP1a、出力回路BC2Aに含まれるオペアンプAP1をAP1b、出力回路BC3A~BCAn各々に含まれるオペアンプAP1をAP1cと表す。
【0108】
図11の太線矢印にて示すように、当該検査ステップPER2では、出力回路BC1AのオペアンプAP1aから出力された電流が、ノードn1、出力回路BC2Aの接続ノードn3、及びスイッチSW6bを介して、出力回路BC2AのオペアンプAP1bの反転入力端に流れ込む。
【0109】
これにより、出力回路BC1Aから出力された電圧が1V(ボルト)から9V(ボルト)に推移し、当該電圧に対応した端子電圧V1がソース線S1の一端に印加される。
【0110】
ここで、ソース線S1に故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていなければ、ソース線S1に寄生する寄生容量の影響により、端子電圧V1の電圧値が緩やかに上昇して9V(ボルト)に至る。
【0111】
そして、この端子電圧V1が出力回路BC2Aの接続ノードn3、及びスイッチSW6bを介してオペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、出力回路BC2AのオペアンプAP1bはテスト電圧としての駆動電圧P2と端子電圧V1との差分に対応した電流を出力する。これにより、出力回路BC2AのオペアンプAP1bの出力端の電圧であるモニタ電圧VQが1V(ボルト)の状態から徐々に上昇する。
【0112】
検査ステップPER2では、出力回路BC2AのオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJCのFF31及び32各々のD端子に供給される。
【0113】
この際、ソース線S1に故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていなければ、
図4に示すように、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジの時点では、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Thより低い。よって、FF31は、論理レベル0の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。一方、
図4に示すように、取込タイミング信号CLK2のフロントエッジの時点では、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Th以上となるので、FF32は、論理レベル1の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0114】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=0
f2=1
であることから、ソース線S1には故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていないことを示す故障検査結果(f1=0、f2=1)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0115】
一方、ソース線S1が断線している場合には、ソース線S1に寄生する寄生容量が小さくなるので、出力回路BC1Aの端子電圧V1の電圧値が、
図6と同様に急峻に上昇して9V(ボルト)に到る。そして、この端子電圧V1が出力回路BC2AのスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、端子電圧V1の電圧上昇に追従して、出力回路BC2AのオペアンプAP1bから出力されるモニタ電圧VQも急峻に上昇するので、取込タイミング信号CLK1及びCLK2各々のフロントエッジの時点で、モニタ電圧VQの電圧値は所定閾値Thより高くなる。よって、FF31は、論理レベル1の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。同様に、FF32も、論理レベル1の故障判定信号f2を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0116】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=1
f2=1
であることから、ソース線S1に断線故障が生じていることを示す故障検査結果(f1=1、f2=1)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0117】
また、ソース線S1が他のソース線と短絡している、或いはソース線S1に電流リークが生じている場合には、出力回路BC1AのオペアンプAP1aから送出された電流に伴う端子電圧V1の電圧上昇の速度が低下する。つまり、出力回路BC1Aの端子電圧V1の電圧値が、
図7に示す端子電圧V2と同様に緩やかに上昇して9V(ボルト)に到る。そして、この端子電圧V1が出力回路BC2AのスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、端子電圧V1の緩やかな電圧上昇に追従して、出力回路BC2AのオペアンプAP1bから出力されるモニタ電圧VQも緩やかに上昇する。これにより、取込タイミング信号CLK1のフロントエッジ及び取込タイミング信号CLK2のフロントエッジの時点においてモニタ電圧VQの電圧値は共に所定閾値Thより低くなる。よって、FF31は、論理レベル0の故障判定信号f1を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。同様に、FF32も、論理レベル0の故障判定信号f2を出力し、これをソース線S1に対応付けして検査結果レジスタ40に記憶させる。
【0118】
この際、故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=0
f2=0
であることから、ソース線S1に短絡故障や電流リーク故障が生じていることを示す故障検査結果(f1=0、f2=0)が検査結果レジスタ40に格納される。
【0119】
以上、詳述したように、表示装置100Aでは、故障検査モード時には、デコーダ部132が、映像信号に基づく電圧値に代えて故障検査用のテスト電圧値を有する駆動電圧P1~Pnを出力回路BC1A~BCnAに供給する。
【0120】
ここで、先ず、リセットステップPER1において、出力回路BC1A~BCnAが、低電圧(例えば1ボルト)のテスト電圧値を有する出力電圧GV1~GVnを表示パネル20Aのソース線S1~Sn各々の一端に供給する。これにより、ソース線S1~Snの各々に蓄積される電荷量を初期化する。
【0121】
次に、検査ステップPER2において、デコーダ部132が、高電圧(例えば9ボルト)のテスト電圧値を有する第1の駆動電圧(例えばP1)を、一対のソース線(例えばS1、S2)のうちの一方のソース線(例えばS1)に対応した第1の出力回路(例えばBC1A)に供給する。更に、デコーダ部132は、高電圧(例えば5ボルト)のテスト電圧値を有する第2の駆動電圧(例えばP2)を、上記した一対のソース線のうちの他方のソース線(例えばS2)に対応した第2の出力回路(例えばBC2A)に供給する。よって、第1の出力回路に含まれるオペアンプAP1の非反転入力端には第1の駆動電圧が供給され、第2の出力回路に含まれるオペアンプAP1の非反転入力端には第2の駆動電圧が供給される。この間、第2の出力回路内では、上記した他方のソースに接続されている出力ノードn1とオペアンプAP1の出力端との間の接続をスイッチSW3によって遮断し、第1の出力回路の出力ノードn1をオペアンプAP1の反転入力端に接続する。これにより、第2の出力回路のオペアンプAP1は、上記した一方のソース線の寄生容量の影響を受けた電圧を出力する。そこで、第2の出力回路のオペアンプAP1から出力された電圧をモニタ電圧VQとし、故障判定回路FJCにおいて当該モニタ電圧VQに基づき上記した一対のソース線に対する故障(断線、短絡、電流リーク、故障無)を判定する。
【0122】
このように、表示装置100Aでは、表示装置100と同様に、映像信号に基づく駆動電圧を増幅した出力電圧を表示パネルの複数のソース線に供給するオペアンプAP1を利用して故障検査を行う。つまり、1のオペアンプAP1で故障検査用のテスト電圧をソース線に供給し、他のオペアンプでテスト結果としてのモニタ電圧VQを取得する。そして、当該モニタ電圧VQを夫々異なるタイミングで取り込んで個別に2値化することで、故障の状態を判別し得る故障判定信号(f1、f2)を得る。
【0123】
これにより、故障検査用のテスト電圧をソース線に供給する為の専用の入力回路や、テスト電圧の供給によって得られた出力結果としてのモニタ電圧と、期待値とを比較する比較回路を新たに設けることなく、表示パネルのソース線の故障検査を行うことが可能となる。
【0124】
また、上記したようにモニタ電圧VQを互いに所定の遅延時間WPだけ隔てた取込タイミング(CLK1、CLK2)で取り込み、夫々を2値化したもの(f1、f2)で故障判定を行うようにしている。ここで、テスト電圧の電圧値を切り替えた際(例えば1ボルトから5又は6ボルト)に得られるモニタ電圧VQの電圧値の変化速度は、例えばソース線からの電流リーク量によって変わる。よって、上記した遅延時間WPを適切な長さに設定することで、ソース線に生じている微小な電流リーク故障を精度よく検知することが可能となる。
【0125】
更に、表示装置100Aによれば、
図1に示すようなソース線連結スイッチSW71~SW7nを設けずとも、上記した表示装置100と同様に、各ソース線の故障(断線、短絡、電流リーク)の状態を検査することが可能となる。
【実施例3】
【0126】
図12は、本発明に係る第3の実施例としての表示装置100Bの構成を示すブロック図である。
【0127】
表示装置100Bは、駆動制御部11、ゲートドライバ12、ソースドライバ13B及び表示パネル20Aを有する。
【0128】
尚、駆動制御部11、ゲートドライバ12及び表示パネル20Aについては、
図8に示すものと同一であるので、その説明は省略する。
【0129】
ソースドライバ13Bは、
図8に示すソースドライバ13Aと同様に、駆動制御部11から供給された映像データ信号VPDに基づき、1水平走査期間毎にn個の出力電圧GV1~GVnを生成し、夫々を表示パネル20Aのソース線S1~Snに供給する。
【0130】
図13は、ソースドライバ13Bの内部構成の一例を示すブロック図である。
【0131】
ソースドライバ13Bは、データラッチ部131、デコーダ部132、出力部133B及び故障検査制御部200Bを含む。尚、データラッチ部131及びデコーダ部132については、
図9に示すものと同一であるので、その動作説明は省略する。
【0132】
故障検査制御部200Bは、故障検査制御部200Aと同様に、取込タイミング信号号CLK1及びCLK2を生成し、夫々を出力部133Aに供給する。尚、故障検査制御部200Bは、故障検査制御データSWCに代えて故障検査制御データSWCaを出力部133Aに供給する。
【0133】
出力部133Bは、故障検査制御部200Bから供給された故障検査制御データSWCa、取込タイミング信号CLK1及びCLK2に応じて、出力部133Aと同様に通常モード及び故障検査モードのうちの一方の状態に設定される。出力部133Bは、通常モード時には、デコーダ部132から供給された駆動電圧P1~Pnを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を出力電圧GV1~GVnとして夫々を、外部端子t1~tnを介して表示パネル20Aのソース線S1~Snに供給する。一方、故障検査モード時には、出力部133Bは、表示パネル20Aのソース線S1~Snに対して、ソース線同士の短絡、ソース線の断線及び電流リーク等の故障検査を行う。
【0134】
図14は、出力部133Bの内部構成を示す回路図である。
【0135】
図14に示すように、出力部133Bは、出力回路BC1A~BCnA、故障判定回路FJC、及び出力スイッチSW91~SW9nを含む。尚、出力部133Bは、出力回路BC1A~BCnA各々の出力ノードn1と、対応する外部端子(t1~tn)との間に、出力スイッチSW91~SW9nを夫々設けたものであり、これら出力回路BC1A~BCnA及び故障判定回路FJCは
図10に示すものと同一である。
【0136】
図15は、ソース線S1及びS2を故障検査する際の故障検査制御シーケンスと、故障(断線、短絡、電流リーク)無時における、出力部133Bの内部の各配線の電圧推移を示す波形図である。
【0137】
尚、
図15では、出力回路BC1AのスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、出力回路BC2AのスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表している。また、その他の出力回路BC3A~BCnA各々に含まれるスイッチSW3~SW6については全てSW3c~SW6cと表している。
【0138】
図15に示すように、出力回路BC1A~BCnA各々のスイッチ群(SW3a~SW6a、SW3b~SW6b、SW3c~SW6c)は、故障検査制御データSWCaに応じて、
図4に示す故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)と同様な形態でオンオフ制御される。
【0139】
また、出力スイッチSW91~SW9nは、故障検査制御データSWCaに応じて、
図15に示すように、リセットステップPER1では、全てオン状態に設定される。そして、検査ステップPER2において、検査対象となるソース線S1の駆動を担う出力回路BC1Aの出力スイッチSW91、及びソース線S2の駆動を担う出力回路BC2Aの出力スイッチSW92のみが、故障検査制御データSWCaに応じてオフ状態に切り替わる。
【0140】
更に、出力部133Bに対しても、出力部133Aと同様に、取込信号LOAD、取込タイミング信号CLK1及びCLK2、故障検査制御データSWCa、駆動電圧P1~Pnに基づき、
図4に示す故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)に従った制御が施される。
【0141】
図16は、当該故障検査制御シーケンスの検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて、出力部133B内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。尚、
図16では、出力回路BC1AのスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、出力回路BC2AのスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表している。更に、
図11では、出力回路BC1Aに含まれるオペアンプAP1をAP1a、出力回路BC2Aに含まれるオペアンプAP1をAP1bと表す。
【0142】
図16の太線矢印にて示すように、当該検査ステップPER2では、出力回路BC1AのオペアンプAP1aから出力された電流が、ノードn1、出力回路BC2Aの接続ノードn3及びスイッチSW6bを介して、出力回路BC2AのオペアンプAP1bの反転入力端に流れ込む。
【0143】
これにより、出力回路BC1Aから出力された電圧が1V(ボルト)から9V(ボルト)に推移し、当該電圧に対応した端子電圧V1が、出力回路BC2AのオペアンプAP1bの反転入力端に供給される。この間、出力スイッチSW91がオフ状態となっているので、ソース線S1の寄生容量の影響を受けることなく、出力回路BC2AのオペアンプAP1bの反転入力端の電圧が、端子電圧V1に追従して上昇して9V(ボルト)に到る。よって、出力回路BC1A及びBC2Aに故障が生じていなければ、出力回路BC2AのオペアンプAP1bは、端子電圧V1とテスト電圧としての駆動電圧P2との差分に対応した電流を出力し、それに伴いモニタ電圧VQが
図15に示すように上昇する。
【0144】
検査ステップPER2では、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJCのFF31及び32各々のD端子に供給される。
【0145】
尚、出力部133Bに含まれる故障判定回路FJCでは、
図15に示す故障検査制御シーケンスに従った故障検査により、検査結果レジスタ40に格納された故障判定信号f1及びf2の内容が、
f1=0
f2=1
とはならない場合に、故障有りと判定する。
【0146】
ところで、
図12に示す表示装置100Bでは、上記した
図15に示す故障検査制御シーケンスに従った故障検査を実施すると共に、出力スイッチSW91~SW9nを全てオン状態に固定することで、
図8に示す表示装置100Aで実施した故障検査(
図4)を行う。
【0147】
この際、
図15に示す故障検査制御シーケンスに従った故障検査、及び
図8に示す表示装置100Aで実施した故障検査(
図4)の両方で故障有りの結果が得られた場合には、不良の発生箇所は表示パネル20Aではなく、ソースドライバ13Bであると判定する。
【0148】
よって、出力部133Bは、表示パネル20Aの各ソース線との接続を遮断できる出力スイッチSW91~9nを設けている。これにより、ソースドライバ13Bを表示パネル20Aと接続した状態での故障検査と、両者の接続を遮断した状態での故障検査とを行うことができるので、不良箇所が表示パネル20A側にあるのか、或いはソースドライバ13B側にあるのかを特定することが可能となる。
【実施例4】
【0149】
図17は、本発明に係る第4の実施例としての表示装置100Cの構成を示すブロック図である。
【0150】
表示装置100Cは、駆動制御部11、ゲートドライバ12、ソースドライバ13C及び表示パネル20Bを有する。
【0151】
尚、駆動制御部11及びゲートドライバ12については、
図1に示すものと同一であるので、その動作説明は省略する。
【0152】
表示パネル20Bには、
図1に示す表示パネル20と同様にソース線S1~Sn、ゲート線G1~Gn、及びソース線連結スイッチSW71~7nが設けられている。ただし、表示パネル20Bに設けられているソース線連結スイッチSW71~SW7nは単一の連結制御信号SCaによって共通にオン状態又はオフ状態に制御される。
【0153】
また、
図17に示すように、ソース線連結スイッチSW71~SW7nの各々の一端はソース線S1~Snの一端に夫々個別に接続されている。また、ソース線連結スイッチSW71~SW7nのうちの奇数番目のソース線連結スイッチSW7(2k-1)(kは1以上の整数)と、これに隣接する偶数番目のソース線連結スイッチSW7(2k)との組み合わせからなる一対のスイッチ毎に、その一対のスイッチの他端同士が連結線SL1~SL(n/2)によって接続されている。
【0154】
ソースドライバ13Cは、
図1に示すソースドライバ13と同様に、駆動制御部11から供給された映像データ信号VPDに基づき、1水平走査期間毎にn個の出力電圧GV1~GVnを生成し、夫々を表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。
【0155】
図18は、ソースドライバ13Cの内部構成の一例を示すブロック図である。
【0156】
ソースドライバ13Cは、データラッチ部131、デコーダ部132、出力部133C及び故障検査制御部200Cを含む。尚、データラッチ部131及びデコーダ部132については、
図2に示すものと同一であるので、その動作説明は省略する。
【0157】
故障検査制御部200Cは、故障検査制御部200と同様に、故障検査制御データSWC、取込タイミング信号号CLK1及びCLK2を生成し、夫々を出力部133Cに供給する。ただし、故障検査制御部200Cは、ソース線連結スイッチSW71~SW7nをオン状態又はオフ状態に制御する連結制御信号として、単一の連結制御信号SCaを外部端子TMを介して表示パネル20Bに供給する。
【0158】
出力部133Cは、故障検査制御部200Cから供給された故障検査制御データSWC、取込タイミング信号CLK1及びCLK2に応じて、出力部133と同様に通常モード及び故障検査モードのうちの一方の状態に設定される。出力部133Cは、通常モード時には、デコーダ部132から供給された駆動電圧P1~Pnを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を出力電圧GV1~GVnとし、夫々を、外部端子t1~tnを介して表示パネル20Bのソース線S1~Snに供給する。一方、故障検査モード時には、出力部133Cは、表示パネル20Bのソース線S1~Snに対して、ソース線同士の短絡、ソース線の断線及び電流リーク等の故障検査を行う。
【0159】
図19は、出力部133Cの内部構成を示す回路図である。
【0160】
出力部133Cは、出力部133と同様に、
図3に示す出力回路BC1~BCnを含む。ただし、出力部133Cでは、
図19に示すように、出力回路BC1~BCnのうちの奇数番目の出力回路BC(2k-1)(kは1以上の整数)と、これに隣接する偶数番目の出力回路BC(2k)との組み合わせからなる一対の出力回路毎に、1つの故障判定回路FJC(k)が設けられている。
【0161】
当該出力部133Cに対しても、出力部133と同様に、取込信号LOAD、取込タイミング信号CLK1及びCLK2、故障検査制御データSWC、駆動電圧P1~Pnに基づき、
図4に示す故障検査制御シーケンス(PER1、PER2)に従った制御が施される。
【0162】
尚、当該故障検査制御シーケンスのリセットステップPER1では、故障検査制御部200Cが、連結制御信号SCaにより、ソース線連結スイッチSW71~SW7nを全てオフ状態に設定する。そして、検査ステップPER2において、故障検査制御部200Cは、連結制御信号SCaにより、ソース線連結スイッチSW71~SW7nの全てをオン状態に切り替える。
【0163】
図20は、故障検査制御シーケンスの検査ステップPER2において、テスト電圧に応じて、出力部133C及び表示パネル20B内に流れる電流の経路を太線矢印にて表す回路図である。
【0164】
尚、
図20では、出力回路BC1からBCnのうちからBC1及びBC2を抜粋してその内部に流れる電流の経路を表している。更に、
図20において、出力回路BC1のスイッチSW3~SW6をSW3a~SW6aと表し、出力回路BC2のスイッチSW3~SW6をSW3b~SW6bと表している。更に、
図20では、出力回路BC1に含まれるオペアンプAP1をAP1a、出力回路BC2に含まれるオペアンプAP1をAP1bと表す。
【0165】
図20の太線矢印にて示すように、当該検査ステップPER2では、奇数番目の出力回路BC1のオペアンプAP1aから出力された電流が、スイッチSW3a、ノードn1、ソース線S1、ソース線連結スイッチSW71、SW72、ソース線S2、偶数番目の出力回路BC2のノードn1及びスイッチSW6bを介して、出力回路BC2のオペアンプAP1bの反転入力端に流れ込む。
【0166】
これにより、出力回路BC1から出力された電圧に対応した端子電圧V1がソース線S1の一端に印加される。ここで、ソース線S1及びS2に故障(断線、短絡、電流リーク)が生じていなければ、ソース線S1及びS2に寄生する寄生容量の影響により、出力回路BC2の端子電圧V2の電圧値が端子電圧V1よりも緩やかに上昇する。この端子電圧V2が出力回路BC2のスイッチSW6bを介して、オペアンプAP1bの反転入力端に供給される。よって、出力回路BC2のオペアンプAP1bは、テスト電圧としての駆動電圧P2と端子電圧V2との差分に対応した電流を出力する。これにより、出力回路BC2のオペアンプAP1bの出力端の電圧であるモニタ電圧VQの電圧値が上昇する。検査ステップPER2では、出力回路BC2のオペアンプAP1bから出力されたモニタ電圧VQがモニターノードn2を介して故障判定回路FJC1のFF31及び32各々のD端子に供給される。
【0167】
出力部133Cでは、上記したような出力回路BC1及びBC2での動作が、出力回路BC3及びBC4、出力回路BC5及びBC6、・・・、出力回路BC(n-1)及びBCnでも同時に行われる。そして、これら一対の出力回路毎に設けられた故障判定回路FJCにおいて、前述したような故障判定が為され、夫々の故障検査結果が格納される。
【0168】
よって、表示装置100Cでは、表示パネル20Bに配置されているソース線連結スイッチSW71~SW7nを単一の連結制御信号SCaによって一斉にオンオフ制御している。よって、
図1に示す表示装置100の表示パネル20のように、ソース線連結スイッチSW71~SW7nを個別にオンオフ制御する為のn個の連結線制御信号を伝送する為の配線が配線されるものに比べて、表示パネルの小型化を図ることが可能となる。
【0169】
ところで、上記した第1~第4の実施例における出力回路BC1~BCn、BC1A~BCnAの各々には、スイッチSW3~SW6が含まれている。しかしながら、第1及び第4の実施例における出力回路BC1~BCnについては、テスト電圧をソース線に供給する役目を担う出力回路(以下、テスト電圧出力回路と称する)を固定するのであれば、このテスト電圧出力回路からスイッチSW3~SW6を省いても良い。この際、テスト電圧出力回路に含まれるオペアンプAP1は、通常モード又は故障検査モードのいずれの場合でも、自身の出力端が自身の反転入力端に接続されたボルテージフォロワとなる。
【符号の説明】
【0170】
11 駆動制御部
13、13A~13C ソースドライバ
20、20A、20B 表示パネル
100、100A~100C 表示装置
133、133A~133C 出力部
AP1 オペアンプ
FJC 故障判定回路
SW3~6、SW71~7n スイッチ