(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】配線・配管材保持具、および配線・配管材保持具の取付構造
(51)【国際特許分類】
F16L 3/14 20060101AFI20241002BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F16L3/14 B
H02G3/30
(21)【出願番号】P 2021058146
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036543(JP,A)
【文献】特開平11-304053(JP,A)
【文献】米国特許第05082216(US,A)
【文献】特開平11-193810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038494(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0009778(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/133、3/14
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設される配線・配管材の外周回りに回されるようにしてその配線・配管材を保持する帯状の保持体と、
構造物に雄ねじ部材を用いて取り付けられるとともに前記保持体を支持する基体とを備え、
前記保持体には、その厚み方向に貫通し前記雄ねじ部材の軸部が貫き可能な通孔が、その長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記基体は、前記構造物側とは反対側となる表と前記構造物側となる裏との表裏に貫通して前記雄ねじ部材の軸部が通される貫通孔を有し、また、
前記基体には、その裏側に配置された前記保持体に係止して、それら基体と保持体との、前記通孔を貫く前記雄ねじ部材の軸心回りの互いの回動を規制する、係止部が設けられ、かつ、
前記基体には、その表側に、前記雄ねじ部材が有する頭部、または、前記雄ねじ部材に螺合したナット体と係合して、前記基体に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制する、係合部が設けられ
、
前記係合部として、前記基体の表側において前記貫通孔の回りに窪むように形成されて、相対的に小さな前記頭部または前記ナット体が嵌まる凹部と、相対的に大きくて前記基体の表側の面に載る前記頭部または前記ナット体と係合する突起とが設けられる、配線・配管材保持具。
【請求項2】
配線・配管材を保持する保持部と、雄ねじ部材が通される貫通孔を有する基部とを備える、配線・配管材保持具が、被取付体に取り付けられてなる、配線・配管材保持具の取付構造であって、
前記基部には、前記被取付体側とは反対側となる表側に、前記雄ねじ部材が有する頭部、または、前記雄ねじ部材に螺合したナット体と係合して、前記基部に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制する、係合部が設けられ、
前記係合部として、前記基部の表側において前記貫通孔の回りに窪むように形成されて、相対的に小さな前記頭部または前記ナット体が嵌まる凹部と、相対的に大きくて前記基部の表側の面に載る前記頭部または前記ナット体と係合する突起とが設けられ、
前記雄ねじ部材が、前記貫通孔を通り、前記被取付体が有する雌ねじ部に螺着されて、前記基部が、前記被取付体と、
前記頭部または
前記ナット体との間に配置されており、
前記基部と一体化されている前記保持部が、敷設経路に沿って敷設される前記配線・配管材の経路途中箇所を、その配線・配管材の外周回りに回されるようにして保持し、
前記係合部としての前記凹部と前記突起のうち一方が、前記頭部または前記ナット体と係合して、前記基部に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制している、配線・配管材保持具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線・配管材を保持する配線・配管材保持具、および配線・配管材保持具の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線・配管材を吊り下げる配線・配管材吊下げ具があった(例えば、特許文献1参照)。
図13に示すように、この配線・配管材吊下げ具14は、配線・配管材11を保持する帯体15と、その帯体15を天井面12に固定するための帯体固定具16とを備えていた。ここで、帯体固定具16と帯体15には、孔(図示せず)があけられており、その孔を通るビス等の固着具13が、天井面12に固着されることで、帯体固定具16とともに帯体15が、天井面12に固定された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の配線・配管材吊下げ具14においては、天井面12への固定に、固着具13として、例えば頭部付きボルト等の雄ねじ部材を用いた場合、その雄ねじ部材が、配線・配管材11から伝わる振動で緩み、配線・配管材11の的確な保持が困難となる虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材を的確に保持することができる、配線・配管材保持具、および配線・配管材保持具の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材保持具、および配線・配管材保持具の取付構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、敷設される配線・配管材の外周回りに回されるようにしてその配線・配管材を保持する帯状の保持体と、構造物に雄ねじ部材を用いて取り付けられるとともに前記保持体を支持する基体とを備える。ここで、前記保持体には、その厚み方向に貫通し前記雄ねじ部材の軸部が貫き可能な通孔が、その長手方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、前記基体は、前記構造物側とは反対側となる表と前記構造物側となる裏との表裏に貫通して前記雄ねじ部材の軸部が通される貫通孔を有する。また、前記基体には、その裏側に配置された前記保持体に係止して、それら基体と保持体との、前記通孔を貫く前記雄ねじ部材の軸心回りの互いの回動を規制する、係止部が設けられる。さらに、前記基体には、その表側に、前記雄ねじ部材が有する頭部、または、前記雄ねじ部材に螺合したナット体と係合して、前記基体に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制する、係合部が設けられる。そして、前記係合部として、前記基体の表側において前記貫通孔の回りに窪むように形成されて、相対的に小さな前記頭部または前記ナット体が嵌まる凹部と、相対的に大きくて前記基体の表側の面に載る前記頭部または前記ナット体と係合する突起とが設けられる。
【0007】
この配線・配管材保持具によると、基体が保持体を支持するが、このとき、雄ねじ部材の軸部が、基体の貫通孔を通り保持体の通孔を貫き、さらに、基体の係止部が保持体に係止することで、基体と保持体との互いの回動が規制されて、それら基体と保持体とは一体化される。そして、保持体が、敷設される配線・配管材の外周回りに回されることで、その保持体の回動が制限され、その保持体と一体化した基体の係合部が、雄ねじ部材の頭部または雄ねじ部材に螺合したナット体と係合することで、頭部を有する雄ねじ部材の、構造物に対する回転、または、雄ねじ部材に螺合するナット体の、雄ねじ部材に対する回転が制限される。こうして、雄ねじ部材とかナット体の回転が制限されることで、雄ねじ部材が構造物に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく、配線・配管材を的確に保持することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材保持具の取付構造は、配線・配管材を保持する保持部と、雄ねじ部材が通される貫通孔を有する基部とを備える、配線・配管材保持具が、被取付体に取り付けられてなる、配線・配管材保持具の取付構造である。ここで、前記基部には、前記被取付体側とは反対側となる表側に、前記雄ねじ部材が有する頭部、または、前記雄ねじ部材に螺合したナット体と係合して、前記基部に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制する、係合部が設けられる。そして、前記係合部として、前記基部の表側において前記貫通孔の回りに窪むように形成されて、相対的に小さな前記頭部または前記ナット体が嵌まる凹部と、相対的に大きくて前記基部の表側の面に載る前記頭部または前記ナット体と係合する突起とが設けられる。そこで、この取付構造においては、前記雄ねじ部材が、前記貫通孔を通り、前記被取付体が有する雌ねじ部に螺着されて、前記基部が、前記被取付体と、前記頭部または前記ナット体との間に配置されている。そして、前記基部と一体化されている前記保持部が、敷設経路に沿って敷設される前記配線・配管材の経路途中箇所を、その配線・配管材の外周回りに回されるようにして保持する。また、前記係合部としての前記凹部と前記突起のうち一方が、前記頭部または前記ナット体と係合して、前記基部に対する、前記雄ねじ部材の軸心を中心とする、前記頭部を有する前記雄ねじ部材または前記ナット体の回転を規制している。
【0009】
この配線・配管材保持具の取付構造によると、基部と保持部とは一体化されている。そして、保持部が、敷設される配線・配管材の外周回りに回されることで、その保持部の回動が制限され、その保持部と一体化した基部の係合部が、雄ねじ部材の頭部または雄ねじ部材に螺合したナット体と係合することで、頭部を有する雄ねじ部材の、被取付体に対する回転、または、雄ねじ部材に螺合するナット体の、雄ねじ部材に対する回転が制限される。こうして、雄ねじ部材とかナット体の回転が制限されることで、雄ねじ部材が被取付体に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく、配線・配管材を的確に保持することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る配線・配管材保持具によれば、保持体と一体化した基体に、雄ねじ部材の頭部または雄ねじ部材に螺合したナット体と係合する係合部を設けることで、雄ねじ部材とかナット体の回転が制限され、雄ねじ部材が構造物に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく、配線・配管材を的確に保持することができる。
【0011】
また、この発明に係る配線・配管材保持具の取付構造によれば、保持部と一体化した基部に、雄ねじ部材の頭部または雄ねじ部材に螺合したナット体と係合する係合部を設けることで、雄ねじ部材とかナット体の回転が制限され、雄ねじ部材が被取付体に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく、配線・配管材を的確に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施の形態の、配線・配管材保持具の取付構造の正面図である。
【
図3】
図1における留め具部分の拡大断面図である。
【
図12】この発明の他の実施の形態の、
図2相当図である。
【
図13】従来の配線・配管材吊下げ具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1~
図11は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。2は、被取付体としての構造物を示す。3は、雄ねじ部材を示す。4は、前記配線・配管材1を保持する配線・配管材保持具を示す。5は、配線・配管材保持具4の取付構造を示す。
【0015】
配線・配管材保持具4は、敷設される配線・配管材1の外周回りに回されるようにしてその配線・配管材1を保持する帯状の保持体6と、構造物2に雄ねじ部材3を用いて取り付けられるとともに保持体6を支持する基体7とを備える。ここで、保持体6には、その厚み方向に貫通し雄ねじ部材3の軸部3aが貫き可能な通孔6aが、その長手方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、基体7は、構造物2側とは反対側となる表と構造物2側となる裏との表裏に貫通して雄ねじ部材3の軸部3aが通される貫通孔7aを有する。この基体7には、その裏側に配置された保持体6に係止して、それら基体7と保持体6との、前記通孔を貫く雄ねじ部材3の軸心3b回りの互いの回動を規制する、係止部7bが設けられている。すなわち、雄ねじ部材3が、基体7の貫通孔7aと保持体6の通孔6aとに挿入され、基体7の係止部7bが保持体6に係止することで、それら基体7と保持体6との互いの動きが規制されて、それら基体7と保持体6とは一体化される。さらに、基体7には、その表側に、雄ねじ部材3が有する頭部3c、または、雄ねじ部材に螺合したナット体(図示実施の形態においては、雄ねじ部材3が有する頭部3c)と係合して、基体7に対する、雄ねじ部材3の軸心3bを中心とする、前記頭部3cを有する雄ねじ部材3または前記ナット体(図示実施の形態においては、前記頭部3cを有する雄ねじ部材3)の回転を規制する、係合部7cが設けられている。
【0016】
また、配線・配管材保持具4の取付構造5は、配線・配管材1(詳しくは、直進性を有する配線・配管材1)を保持する保持部6x(図示実施の形態においては、保持体6)と、雄ねじ部材3(詳しくは、雄ねじ部材3の軸部3a)が通される貫通孔7aを有する基部7x(図示実施の形態においては、基体7)とを備える、複数の配線・配管材保持具4が、間隔をあけて構造物2(被取付体)に取り付けられてなる、配線・配管材保持具の取付構造である。この取付構造5においては、雄ねじ部材3(詳しくは、軸部3a)が、基部7xの貫通孔7aを通り、構造物2が有する雌ねじ部2a(例えば、構造物2に埋設あるいは固定されたナット部材等の雌ねじ部)に螺着されて、基部7xが、構造物2と、雄ねじ部材3が有する頭部3cまたは雄ねじ部材に螺合したナット体(図示実施の形態においては、雄ねじ部材3が有する頭部3c)との間に配置されている。そこで、基部7xと一体化されている保持部6xが、敷設経路に沿って敷設される配線・配管材1の経路途中箇所を、その配線・配管材1の外周回りに回されるようにして保持している。そして、基部7xに設けられた係合部7cが、前記頭部3cまたは前記ナット体(図示実施の形態においては、前記頭部3c)と係合して、基部7xに対する、雄ねじ部材3の軸心3bを中心とする、前記頭部3cを有する雄ねじ部材3または前記ナット体(図示実施の形態においては、前記頭部3cを有する雄ねじ部材3)の回転を規制している。
【0017】
具体的には、構造物2は、例えば天井からなり、その天井に対し、配線・配管材1が、配線・配管材保持具4によって吊り下げられる。雄ねじ部材3は、図示実施の形態においては、六角ボルトからなり、六角形状の頭部3cを有する。そして、この雄ねじ部材3を構造物2の雌ねじ部2aにねじ込むことで、その雄ねじ部材3の頭部3cと構造物2とで、基体7と保持体6とを挟持し、保持体6は、構造物2に当接する。
【0018】
保持体6は、例えば合成樹脂製あるいは金属製であって、一定幅で帯状に形成されている。そして、前記通孔6aは、保持体6の幅中央に位置し、その保持体6の長手方向に沿って一定の間隔(図示実施の形態においては、等間隔)で並ぶように複数設けられる。また、保持体6は、これら通孔6a、6aに加えて、通孔6a、6a間に、小径となる孔6bを有している。
【0019】
基体7は、例えば合成樹脂製であって、板状に形成されている。この基体7は、構造物2側となる裏側の面(図示実施の形態においては、上面)が、帯状の保持体6が載る載置面7dとなっている。この載置面7dは、保持体6に沿う方向の両端部分を除いて、平面状に形成され、両端部分が、構造物2から離れる側に湾曲して形成されている。
【0020】
前記貫通孔7aは、基体7の中央位置に設けられる。前記係止部7bは、例えば二つ設けられ、それぞれの係止部7bは、載置面7dの湾曲する各端部分に、突出するようにして形成される。これら係止部7b、7bは、保持体6にあけられた孔(図示実施の形態においては、通孔6a)に嵌まることでその保持体6に係止する。そして、一方の係止部7b(図示実施の形態においては、左側の係止部)は、保持体6の前記孔(通孔6a)を抜けて保持体6の外側の面を抑えることができるように、鉤状(L字状)に折れ曲がって形成されている。
【0021】
前記係合部7cは、基体7の表側(図示実施の形態においては、下面側)において、貫通孔7aの回りに窪むように形成される。詳細には、この係合部7cは、貫通孔7aを取り囲むように突出する突部7eに設けられる。そして、係合部7cは、雄ねじ部材3の六角形状の頭部3cと同じ六角形状をして、その頭部3cが嵌まる凹部701からなって、その頭部3c(詳しくは、頭部3cの外周面)と係合する。そこで、この凹部701からなる係合部7cへの頭部3cの入り込み量は、雄ねじ部材3のネジピッチよりも大きくなっている。また、基体7の表側には、突起702が、例えば二つ設けられる。この突起702は、雄ねじ部材3の頭部3cが大きく、凹部701に嵌まらない場合の係合部7cとなるものであり、頭部3cは、基体7の表側の面(詳しくは、前記突部7e)に載り、突起702は、その頭部3c(詳しくは、頭部3cの外周面)と係合する。
【0022】
ところで、保持体6は、構造物2に取り付けられる基体7に支持されて、配線・配管材1の外周回りに回されるようにして配線・配管材1を保持するが、図示実施の形態においては、保持体6は、基体7と配線・配管材1の両方を取り囲むように巻回されて、重なり合う両端部6c、6cが、留め具8により互いに留められる。この留め具8は、例えば合成樹脂製であって、保持体6の両端部6c、6cを挟むようにして対向するベース部8aおよびフック部8bと、それらベース部8aとフック部8bとを一側で繋ぐとともに保持体6の一方の端部6cと他方の端部6cに位置する各孔(図示実施の形態においては、通孔6a)に挿入される挿入部8cと、ベース部8aの他側に設けられて、一方の端部6cにおける挿入部8cが挿入された孔(通孔6a)とは別の孔(図示実施の形態においては、通孔6a)に係止する一方の係止片8dと、他方の端部6cにおける挿入部8cが挿入された孔(通孔6a)とは別の孔(図示実施の形態においては、通孔6a)に係止する他方の係止片8eとを備える。
【0023】
次に、以上の構成からなる配線・配管材保持具4、および配線・配管材保持具4の取付構造5の作用効果について説明する。配線・配管材保持具4において、基体7が保持体6を支持するが、このとき、雄ねじ部材3の軸部3aが、基体7の貫通孔7aを通り保持体6の通孔6aを貫き、さらに、基体7の係止部7bが保持体6(詳しくは、保持体6における軸部3aが貫く通孔6aとは別の通孔6a)に係止することで、基体7と保持体6との互いの回動が規制されて、それら基体7と保持体6とは一体化される。そして、保持体6が、敷設される配線・配管材1の外周回りに回されることで、その保持体6の回動が制限され、その保持体6と一体化した基体7の係合部7cが、雄ねじ部材3の頭部3cまたは雄ねじ部材に螺合したナット体(図示実施の形態においては、雄ねじ部材3の頭部3c)と係合することで、頭部3cを有する雄ねじ部材3の、構造物2に対する回転、または、雄ねじ部材に螺合するナット体の、雄ねじ部材に対する回転(図示実施の形態においては、頭部3cを有する雄ねじ部材3の、構造物2に対する回転)が制限される。雄ねじ部材3とかナット体(図示実施の形態においては、雄ねじ部材3)の回転が制限されることで、雄ねじ部材3が構造物2に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく(図示実施の形態においては、雄ねじ部材3が構造物2に対し緩むことがなく)、配線・配管材1を的確に保持することができる。
【0024】
すなわち、保持体6と一体化した基体7に、雄ねじ部材3の頭部3cまたは雄ねじ部材に螺合したナット体と係合する係合部7cを設けることで、雄ねじ部材3とかナット体の回転が制限され、雄ねじ部材3が構造物2に対して緩んだり、ナット体が雄ねじ部材に対して緩んだりすることがなく、配線・配管材1を的確に保持することができる。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、基体7には、係止部7bが二つ設けられているが、一つのみであってもよい。また、係止部7bは、保持体6の孔(図示実施の形態においては、通孔6a)に係止するが、保持体6の側面に係止するものであってもよい。
【0026】
また、配線・配管材保持具4で配線・配管材1を保持したとき、保持体6は、構造物2に当接しているが、雄ねじ部材3の長さを長くするなどして、保持体6が構造物2から離れた状態で、配線・配管材1を保持してもよい。
【0027】
また、雄ねじ部材3は、頭部3cを有しているが、
図12に示すように、頭部を有しない、例えば吊りボルトからなって、基体7の係合部7c(詳しくは、凹部701)が、その吊りボルトからなる雄ねじ部材3に螺合したナット体9(詳しくは、ナット体9の外周面)と係合して、基体7に対する、雄ねじ部材3の軸心3bを中心とする、ナット体9の回転を規制してもよい。そして、ナット体9が大きく、凹部701に嵌まらない場合には、ナット体9は、基体7の表側の面(詳しくは、突部7e)に載り、突起702が、そのナット体9(詳しくは、ナット体9の外周面)と係合する。また、図示実施の形態においては、保持体6は、構造物2から離れているが、雄ねじ部材3の長さを短くするなどして、保持体6が構造物2に当接する(つまり、ナット体9と構造物2とで、基体7と保持体6とを挟持する)ようにしてもよい。
【0028】
また、被取付体は、構造物2、例えば天井からなるが、天井以外に、壁とか柱とか梁等の構造物からなってもよく、また、構造物以外のものであってもよい。
【0029】
また、基部7xと保持部6xとは、互いに分離した部材である基体7と保持体6とからなって、それらが組み合わされて一体化されるが、はじめから一体化された一つの部材からなっていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 配線・配管材
2 構造物(被取付体)
2a 雌ねじ部
3 雄ねじ部材
3a 軸部
3b 軸心
3c 頭部
4 配線・配管材保持具
5 取付構造
6 保持体
6x 保持部
6a 通孔
7 基体
7x 基部
7a 貫通孔
7b 係止部
7c 係合部
9 ナット体