(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
E06B1/62 Z
(21)【出願番号】P 2021065075
(22)【出願日】2021-04-07
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】西野 智
(72)【発明者】
【氏名】新口 貴之
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-087963(JP,U)
【文献】特開平09-155896(JP,A)
【文献】特開2017-101472(JP,A)
【文献】特開2013-234543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体開口部に取付けられる枠と、防水シートとを備え、防水シートは、
下枠の室内側壁の室内側に重なる下枠室内側カバー部と、下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面を連続して覆う枠外周側カバー部と、枠外周側カバー部の室外側に設けた室外側はみ出し部分とを一体に有し、枠を躯体開口部に納める前に
下枠室内側カバー部を下枠の室内側壁の室内側面に取付け、枠を躯体開口部に納め
ると下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面が枠外周側カバー部により連続して覆われ、室外側はみ出し部分が下枠及び縦枠のフィンと躯体の室外側面との間に挟まれることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓は、躯体開口部にサッシ枠を取付けて形成されるが、窓まわりの防水性能を向上したいという要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、窓まわりの防水性能を向上できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、躯体開口部に取付けられる枠と、防水シートとを備え、防水シートは、下枠の室内側壁の室内側に重なる下枠室内側カバー部と、下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面を連続して覆う枠外周側カバー部と、枠外周側カバー部の室外側に設けた室外側はみ出し部分とを一体に有し、枠を躯体開口部に納める前に下枠室内側カバー部を下枠の室内側壁の室内側面に取付け、枠を躯体開口部に納めると下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面が枠外周側カバー部により連続して覆われ、室外側はみ出し部分が下枠及び縦枠のフィンと躯体の室外側面との間に挟まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建具は、躯体開口部に取付けられる枠と、防水シートとを備え、防水シートは、下枠の室内側壁の室内側に重なる下枠室内側カバー部と、下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面を連続して覆う枠外周側カバー部と、枠外周側カバー部の室外側に設けた室外側はみ出し部分とを一体に有し、枠を躯体開口部に納める前に下枠室内側カバー部を下枠の室内側壁の室内側面に取付け、枠を躯体開口部に納めると下枠の外周側面と縦枠の下部外周側面が枠外周側カバー部により連続して覆われ、室外側はみ出し部分が下枠及び縦枠のフィンと躯体の室外側面との間に挟まれることで、窓まわりの防水性能が向上する。また、枠を躯体開口部に納める前に防水シートの下枠室内側カバー部を下枠の室内側壁の室内側面に取付けることで、窓の施工性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の建具の一実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】枠と防水シートを分離した状態で室内側から見た斜視図である。
【
図4】防水シートを枠に取付けた状態で室内側から見た斜視図である。
【
図5】同建具の施工手順を示す斜視図であって、枠に防水シートを取付けるときの状態を示す。
【
図6】同建具の施工手順を示す斜視図であって、防水シートを取付けた枠を躯体開口部に納めるときの状態を示す。
【
図7】同建具の施工手順を示す斜視図であって、枠を躯体開口部に納めた状態を示す。
【
図8】同建具の施工手順を示す斜視図であって、枠を躯体開口部に納めた後、枠のまわりに防水シートを貼り付けるときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~4は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、木造住宅の引違い窓に適用したものであって、
図1,2に示すように、躯体開口部3に取付けられる枠1と、枠1内に引違い状に開閉自在に設けた外障子5a及び内障子5bと、外障子5aよりも室外側に上下枠7,8に沿って摺動可能に設けた網戸6を備えている。
【0008】
枠1は、
図1,2に示すように、アルミ形材よりなる上枠7と下枠8と左右の縦枠9,9を四周枠組みして構成してある。枠1は、いわゆる半外付けの枠となっており、室内外方向の中間位置に躯体10への固定用のフィン11が外周側に突出して設けてある。
【0009】
本建具は、窓まわりの防水性能を向上するために、枠1に防水シート2が取付けてある。防水シート2は、
図1,2,3,4に示すように、フィン11よりも室内側の左右の縦枠9,9の下端部の外周側面を覆う縦枠外周側カバー部12と、フィン11よりも室内側の下枠8の外周側面を覆う下枠外周側カバー部13と、下枠8の室内側壁15の室内側に重なる下枠室内側カバー部14と、躯体10から室外側にはみ出してフィン11の室内側面に当接して配置される室外側はみ出し部分4とを一体に有している。防水シート2は、合成樹脂等よりなる柔軟なシートを用いて、縦枠外周側カバー部12と下枠外周側カバー部13と下枠室内側カバー部14と室外側はみ出し部分4とが、切れ目なく互いに連続するように形成されている。
【0010】
下枠8は、
図1,3に示すように、室内側壁15の室内側面の下部に防水シート取付材16が全長にわたって取付けてある。防水シート取付材16は、上部に室内側が開口した防水シート保持溝17を有している。防水シート2は、下枠室内側カバー部14の上縁部を防水シート取付材16の防水シート保持溝17に挿入し、その上からゴム製の押えロープ18を防水シート保持溝17の全長に押し込んで押えることで、枠1に取付けられている。
【0011】
本建具は、このように枠1に防水シート2が取り付けられていることで、万が一、下枠8と縦枠9,9とのコーナー部から雨水が漏水したとしても、防水シート2があることで躯体10に雨水が浸入するのを防ぐことができる。
【0012】
躯体10の室外側面には、
図8に示すように、透湿防水シート(防水シート)19,20が貼り付けられる。枠1の左右両側に貼り付けられる透湿防水シート19は、フィン11と躯体10の室外側面に跨って貼られ、その下部19aは枠1に取付けた防水シート2の室外側はみ出し部分4の室外側に重合している。枠1の下方に貼り付けられる透湿防水シート20は、その上部20aが枠1に取付けた防水シート2の室外側はみ出し部及分4び枠1の両側の防水シート19の室内側に重合している。
このように透湿防水シート19,20が貼り付けてあることで、防水シート2,19,20同士の継ぎ目から躯体10に雨水が浸入するのを防止できる。
【0013】
次に、本建具の施工手順を説明する。まず、
図5に示すように、予め枠組みされた枠1に防水シート2を縦枠9,9の外周側から下枠8の外周側にわたって取付ける。防水シート2の取り付けは、下枠室内側カバー部14の上縁部を下枠8の防水シート取付材16の防水シート保持溝17に挿入し、押えロープ18で押さえて取付ける(
図1参照)。
次に、
図6に示すように、防水シート2を取付けた枠1を躯体開口部3に室外側から納める。すると、
図7に示すように、防水シート2の室外側はみ出し部分4が躯体10の室外側にはみ出し、フィン11と躯体10との間に介在する。その後、四周のフィン11に室外側からスクリュー釘を打ち込んで枠1を躯体10に固定する。
その後、
図8に示すように、躯体10の室外側面に透湿防水シート19,20を貼る。このとき、枠1の左右両側の透湿防水シート19は、下部19aが枠1の防水シート2の室外側はみ出し部分4の室外側に重なり、枠1の下側の透湿防水シート20は、上部20aが枠1の防水シート2の室外側はみ出し部分4の室内側に重なるようにする。なお、枠1の下側の透湿防水シート20は、防水シート2付きの枠1を躯体開口部3に納める前に、あらかじめ躯体10の室外側面に貼っておくこともできる。
その後、通常のサッシの場合と同様に、室外側に図示しない外壁材を施工し、外壁材と枠1の間をシール材でシールする。
【0014】
以上に述べたように本建具は、躯体開口部3に取付けられる枠1と、防水シート2とを備え、防水シート2は、枠1を躯体開口部3に納める前に縦枠9,9の外周側から下枠8の外周側にわたって取付けてあり、枠1を躯体開口部3に納めた状態で防水シート2の室外側はみ出し部分4が躯体10の室外側面を覆っていることで、窓まわりの防水性能が向上する。また、枠1を躯体開口部3に納める前に防水シート2を枠1に取付けることで、窓の施工性も向上する。
下枠8は、室内側面に溝(防水シート保持溝)17を有し、防水シート2は、下枠8の溝17に挿入し、押えロープ18で押さえて取付けられるようにしたので、枠1への防水シート2の取り付けが簡単に行える。
さらに、防水シート2の上端部に上方の防水シート(透湿防水シート)19の下部19aが室外側から重合し、防水シート2の下端部が下方の防水シート(透湿防水シート)20の上部20aに室外側から重合しているので、枠1の防水シート2と上方及び下方の防水シートと19,20の継ぎ目から雨水が躯体10に浸入するのを防止し、窓まわりの防水性能をより一層向上できる。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。枠の形状、材質は、適宜変更することができる。下枠に防水シート取付用の溝が一体成形してあってもよい。防水シートは、防水性を確保できるものであればよく、具体的な材質は問わない。本発明の建具は、引違い窓に限らず、あらゆる窓種に適用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 枠
2 防水シート
3 躯体開口部
4 室外側はみ出し部分