(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】配線・配管材支持装置、および配管材の配設構造
(51)【国際特許分類】
F16L 3/137 20060101AFI20241002BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20241002BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241002BHJP
F16L 3/14 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F16L3/137
F16B2/08 S
H02G3/30
F16L3/14 B
(21)【出願番号】P 2021072752
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-36543(JP,A)
【文献】実開昭61-154385(JP,U)
【文献】国際公開第2019/211053(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/137
F16B 2/08
H02G 3/30
F16L 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をなして長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の通孔を有し、配線・配管材の外周回りに巻き回しされるとともに、構造物に固定される、巻き回し部材と、
前記巻き回し部材の両端部の、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所を留めて、その巻き回し部材の環状を維持する留め具とを、備え、
前記留め具は、前記巻き回し部材の各端部において前記重合箇所の通孔に挿入されてその通孔における前記端部の先端側の内面に当接する挿入部と、前記各端部において前記重合箇所の通孔であって前記挿入部が挿入される通孔とは別の通孔に入り込みその別の通孔における前記端部の先端側に係止する係止部とを、備える、配線・配管材支持装置。
【請求項2】
前記留め具は、ベース部と、そのベース部の一側から延出された前記挿入部を有して前記ベース部と対面するフック部と、前記係止部としての第1係止部および第2係止部とを、備え、
前記フック部は、その基端側に前記挿入部を有し、その挿入部は、一方の前記端部において前記重合箇所の前記通孔に挿入されて、その通孔における、一方の前記端部の先端側の内面に当接するとともに、他方の前記端部において前記重合箇所の前記通孔に挿入されて、その通孔における、他方の前記端部の先端側の内面に当接し、
前記第1係止部は、前記ベース部の他側に設けられて、一方の前記端部において前記重合箇所の前記別の通孔に入り込み、その別の通孔における、一方の前記端部の先端側に係止し、
前記第2係止部は、前記フック部の先端側に設けられて、他方の前記端部において前記重合箇所の前記別の通孔に入り込み、その別の通孔における、他方の前記端部の先端側に係止する、請求項1に記載の配線・配管材支持装置。
【請求項3】
前記第1係止部と前記第2係止部とは、互いに、相手が係止する前記別の通孔に入ることができるように構成されている、請求項2に記載の配線・配管材支持装置。
【請求項4】
厚み方向に圧縮変形可能であるとともに元に戻ろうとする復帰力を有する外層を備えた配管材の配設構造であって、
帯状をなして長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の通孔を有する巻き回し部材が、前記配管材の外周回りに巻き回しされ、その巻き回し部材の両端部が、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされて、その巻き回し部材が環状とされ、その巻き回し部材の巻き回しされる中間部分が構造物に固定されており、
前記巻き回し部材の前記環状を維持する留め具のベース部が、前記環状の外側に配置され、そのベース部から延出された挿入部が、前記両端部の重ね合わされた重合箇所の各通孔を貫くように挿入され、さらに、前記挿入部とは前記巻き回し部材の巻き回し方向にずれて形成された二つの係止部が、前記巻き回し部材の各端部において前記重合箇所の通孔であって前記挿入部が挿入された通孔とは別の通孔にそれぞれ係止して、前記両端部の前記重合箇所が留められており、
前記巻き回し部材によって圧縮された前記配管材の外層の復帰力を受けて、前記巻き回し部材は、その環状が拡径する方向に付勢されて、前記挿入部が挿入された前記各通孔は、その通孔が形成された前記端部の先端側の内面が、前記挿入部に圧接され、前記別の通孔のそれぞれは、その別の通孔が形成された前記端部の先端側が、前記係止部に圧接されている、配管材の配設構造。
【請求項5】
前記巻き回し部材が前記構造物に固定された箇所において、その巻き回し部材を前記構造物に固定するための固定部材と、前記配管材とが当接している、請求項4に記載の配管材の配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井等の構造部に固定される帯状の巻き回し部材を用いて配線・配管材を支持する、配線・配管材支持装置、および配管材の配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線・配管材を吊り下げるための吊り具があった(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、この吊り具23は、配線・配管材21(配線材または配管材)に回される帯体24と、その回されて上方に延びる帯体24の各側を互いに止める止め具25とを備えていた。そして、帯体24は、その一方の側(
図11では、右側)が天井面22まで延びて、その天井面22に帯体固定具26を用いて固定された。ここで、帯体24は、長手方向に並ぶ複数の孔24a、24aを有していた。止め具25は、板状のベース部25aと、そのベース部25aの表裏から突出しそのベース部25aの板面に沿って延びるフック部25b(詳しくは、第1止め部251および第2止め部252)を備えていた。そこで、帯体24の一方の側においては、第1止め部251(フック部25b)の基端部25cが、帯体の孔24aに挿入され、第1止め部251の自由端側に設けられた突状係合部25dが、帯体24の別の孔24aに挿入された。そして、帯体24の他方の側においても、第2止め部252(フック部25b)の基端部25eが、帯体24の孔24aに挿入され、第2止め部252の自由端側に設けられた突状係合部25fが、帯体24の別の貫通孔24aに挿入された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の吊り具23にあっては、帯体24の他方の側(
図11では、左側)において、帯体24が配線・配管材21の重みで下方に引っ張られるのに対し、突状係合部25fが、孔24aの上側に係合しておらず、帯体24の他方の側にかかる張力を第2止め部252(フック部25b)の基端部25eのみで受けていた。このため、帯体24の他方の側における先端部が動いたり捩れたりしやすく、また、孔24aが伸びるように変形したりして、帯体24を安定させることが困難であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、巻き回し部材の両端部を安定して留めることができる、配線・配管材支持装置、および配管材の配設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材支持装置、および配管材の配設構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材支持装置は、帯状をなして長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の通孔を有し、配線・配管材の外周回りに巻き回しされるとともに、構造物に固定される、巻き回し部材と、前記巻き回し部材の両端部の、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所を留めて、その巻き回し部材の環状を維持する留め具とを、備える。ここで、前記留め具は、前記巻き回し部材の各端部において前記重合箇所の通孔に挿入されてその通孔における前記端部の先端側の内面に当接する挿入部と、前記各端部において前記重合箇所の通孔であって前記挿入部が挿入される通孔とは別の通孔に入り込みその別の通孔における前記端部の先端側に係止する係止部とを、備える。
【0007】
この配線・配管材支持装置によると、帯状の巻き回し部材が、配線・配管材の外周回りに巻き回しされ、構造物に固定されるとともに、その巻き回し部材の両端部の、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所が、留め具によって留められる。このとき、巻き回し部材の各端部において、留め具の挿入部が、重合箇所の通孔に挿入され、その通孔における巻き回し部材の端部の先端側の内面に当接し、また、留め具の係止部が、重合箇所の別の通孔に入り込み、その別の通孔における巻き回し部材の端部の先端側に係止する。こうして、巻き回し部材のいずれの端部においても、挿入部と係止部とが、通孔と別の通孔における巻き回し部材の端部の先端側と係り合うことで、巻き回し部材の両端部を安定して留めることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材支持装置は、請求項1に記載の配線・配管材支持装置において、前記留め具は、ベース部と、そのベース部の一側から延出された前記挿入部を有して前記ベース部と対面するフック部と、前記係止部としての第1係止部および第2係止部とを、備える。ここで、前記フック部は、その基端側に前記挿入部を有する。その挿入部は、一方の前記端部において前記重合箇所の前記通孔に挿入されて、その通孔における、一方の前記端部の先端側の内面に当接するとともに、他方の前記端部において前記重合箇所の前記通孔に挿入されて、その通孔における、他方の前記端部の先端側の内面に当接する。また、前記第1係止部は、前記ベース部の他側に設けられて、一方の前記端部において前記重合箇所の前記別の通孔に入り込み、その別の通孔における、一方の前記端部の先端側に係止する。そして、前記第2係止部は、前記フック部の先端側に設けられて、他方の前記端部において前記重合箇所の前記別の通孔に入り込み、その別の通孔における、他方の前記端部の先端側に係止する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材支持装置は、請求項2に記載の配線・配管材支持装置において、前記第1係止部と前記第2係止部とは、互いに、相手が係止する前記別の通孔に入ることができるように構成されている。これにより、第1係止部と巻き回し部材における他方の端部との干渉とか、第2係止部と巻き回し部材における一方の端部との干渉を避けて、別の通孔への係止を的確に行うことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配管材の配設構造は、厚み方向に圧縮変形可能であるとともに元に戻ろうとする復帰力を有する外層を備えた配管材の配設構造である。この配管材の配設構造は、帯状をなして長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の通孔を有する巻き回し部材が、前記配管材の外周回りに巻き回しされ、その巻き回し部材の両端部が、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされて、その巻き回し部材が環状とされ、その巻き回し部材の巻き回しされる中間部分が構造物に固定されている。そして、前記巻き回し部材の前記環状を維持する留め具のベース部が、前記環状の外側に配置され、そのベース部から延出された挿入部が、前記両端部の重ね合わされた重合箇所の各通孔を貫くように挿入され、さらに、前記挿入部とは前記巻き回し部材の巻き回し方向にずれて形成された二つの係止部が、前記巻き回し部材の各端部において前記重合箇所の通孔であって前記挿入部が挿入された通孔とは別の通孔にそれぞれ係止して、前記両端部の前記重合箇所が留められている。そこで、前記巻き回し部材によって圧縮された前記配管材の外層の復帰力を受けて、前記巻き回し部材は、その環状が拡径する方向に付勢されて、前記挿入部が挿入された前記各通孔は、その通孔が形成された前記端部の先端側の内面が、前記挿入部に圧接され、前記別の通孔のそれぞれは、その別の通孔が形成された前記端部の先端側が、前記係止部に圧接されている。
【0011】
この配管材の配設構造によると、帯状の巻き回し部材が、厚み方向に圧縮変形可能で復帰力を有する外層を備えた配管材の外周回りに巻き回しされ、その巻き回しされる中間部分が構造物に固定されるとともに、その巻き回し部材の両端部の、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所が、留め具によって留められている。このとき、配管材の外層の復帰力を受けて、巻き回し部材は、その環状が拡径する方向に付勢され、巻き回し部材の各端部において、挿入部が挿入された通孔は、端部の先端側の内面が、挿入部に圧接され、別の通孔は、端部の先端側が、係止部に圧接されている。こうして、巻き回し部材のいずれの端部においても、挿入部と係止部とが、通孔と別の通孔における巻き回し部材の端部の先端側と係り合うことで、巻き回し部材の両端部を安定して留めることができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る配管材の配設構造は、請求項4に記載の配管材の配設構造において、前記巻き回し部材が前記構造物に固定された箇所において、その巻き回し部材を前記構造物に固定するための固定部材と、前記配管材とが当接している。これにより、配管材を、構造物に近接して設置することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る配線・配管材支持装置、および配管材の配設構造によれば、巻き回し部材のいずれの端部においても、挿入部と係止部とが、通孔と別の通孔における巻き回し部材の端部の先端側と係り合うことで、巻き回し部材の両端部を安定して留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施の形態の、配線・配管材支持装置および配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図2】
図1における留め具部分の拡大断面図である。
【
図3】
図1における固定部材部分の拡大断面図である。
【
図10】この発明の他の実施の形態の、
図1相当図である。
【
図11】従来の吊り具を示す正面図および要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~
図9は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。2は、天井等の構造物を示す。3は、配線・配管材支持装置を示す。4は、配管材の配設構造を示す。
【0017】
配線・配管材支持装置3は、帯状をなして長手方向に間隔をあけて並ぶ複数の通孔6c、6cを有する巻き回し部材6と、留め具8とを備える。巻き回し部材6は、配線・配管材1の外周回りに巻き回しされるとともに、構造物2に(詳しくは、その巻き回しされる中間部分が構造物2に)固定される。留め具8は、巻き回し部材6の両端部6a、6aの、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所6bを留めて、その巻き回し部材6の環状を維持するものである。この留め具8は、巻き回し部材6の各端部6aにおいて前記重合箇所6bの通孔6cに挿入されてその通孔6cにおける前記端部6aの先端側の内面に当接する挿入部8aと、巻き回し部材6の各端部6aにおいて前記重合箇所6bの通孔6cであって挿入部8aが挿入される通孔6cとは別の通孔6cに入り込みその別の通孔6cにおける前記端部6aの先端側に係止する係止部8bとを、備える。すなわち、巻き回し部材6は、配線・配管材1の外周回りに巻き回しされて、構造物2に(詳しくは、中間部分が構造物2に)固定されると、配線・配管材1の重さを受けたり、配線・配管材1を締め付けたりしたときの、巻き回し部材6に作用する張力により、巻き回し部材6は、その環状が拡径しようとする(つまり、巻き回し部材6は、その両端部6a、6aの先端が、巻き回し方向に沿って互いに近接する方向へ移動しようとする)。このとき、挿入部8aと係止部8bとの位置関係は、挿入部8aが、通孔6cにおける、巻き回し部材6の端部6aの先端側の内面に当接し、かつ、係止部8bが、別の通孔6cにおける、巻き回し部材6の端部6aの先端側に係止する関係にある。
【0018】
詳細には、巻き回し部材6は、両端部6a、6aのうちの一つが、環状の外側に位置する外側端部となり、両端部6a、6aのうちのもう一つが、環状の内側に位置する内側端部となっている。そして、留め具8は、ベース部8cと、そのベース部8cの一側から延出された前記挿入部8aを有してベース部8cと対面するフック部8dと、前記係止部8bとしての第1係止部801および第2係止部802とを、備える。ここで、フック部8dは、その基端側に前記挿入部8aを有し、その挿入部8aは、巻き回し部材6の一方の端部601(6a)(図示実施の形態においては、外側端部)において前記重合箇所6bの通孔6cに挿入されて、その通孔6cにおける、巻き回し部材6の一方の端部601(6a)の先端側の内面に当接するとともに、巻き回し部材6の他方の端部602(6a)(図示実施の形態においては、内側端部)において前記重合箇所6bの通孔6cに挿入されて、その通孔6cにおける、巻き回し部材6の他方の端部602(6a)の先端側の内面に当接する。また、第1係止部801は、ベース部8cの他側に設けられて、巻き回し部材6の一方の端部601(6a)において前記重合箇所6bの別の通孔6cに入り込み、その別の通孔6cにおける、巻き回し部材6の一方の端部601(6a)の先端側に係止する。第2係止部802は、フック部8dの先端側に設けられて、巻き回し部材6の他方の端部602(6a)において前記重合箇所6bの別の通孔6cに入り込み、その別の通孔6cにおける、巻き回し部材6の他方の端部602(6a)の先端側に係止する。そして、第1係止部801と第2係止部802とは、互いに、相手が係止する前記別の通孔6cに入ることができるように構成されている。
【0019】
また、図示実施の形態においては、配線・配管材1として配管材101を支持する例を示している。この配管材101は、厚み方向に圧縮変形可能であるとともに元に戻ろうとする復帰力を有する外層1aを備える。そこで、この配管材101の配設構造4は、前記巻き回し部材6が、配管材101の外周回りに巻き回しされ、その巻き回し部材6の両端部6a、6aが、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされて、その巻き回し部材6が環状とされ、その巻き回し部材6の巻き回しされる中間部分が構造物2に固定されている。また、巻き回し部材6の前記環状を維持する留め具8のベース部8cが、前記環状の外側に配置され、そのベース部8cから延出された挿入部8aが、巻き回し部材6の両端部6a、6aの重ね合わされた重合箇所6bの各通孔6cを貫くように挿入され、さらに、挿入部8aとは巻き回し部材6の巻き回し方向にずれて形成された二つの係止部8b、8b(詳しくは、第1係止部801と第2係止部802)が、巻き回し部材6の各端部6aにおいて前記重合箇所6bの通孔6cであって挿入部8aが挿入された通孔6cとは別の通孔6c(つまり、前記巻き回し方向にずれた別の通孔)にそれぞれ係止して、巻き回し部材6の両端部6a、6aの前記重合箇所6bが留められている。そこで、巻き回し部材6によって圧縮された配管材101の外層1aの復帰力を受けて、巻き回し部材6は、その環状が拡径する方向に付勢されて(つまり、巻き回し部材6は、その両端部6a、6aの先端が、巻き回し方向に沿って互いに近接する方向に付勢されて)、挿入部8aが挿入された各通孔6cは、その通孔6cが形成された前記端部6aの先端側の内面が、挿入部8aに圧接され、別の通孔6cのそれぞれは、その別の通孔6cが形成された前記端部6aの先端側が、係止部8bに圧接されている。
【0020】
具体的には、構造物2は、例えば天井からなり、その天井に対し、配線・配管材1が、配線・配管材支持装置3によって吊り下げられる。配線・配管材1としての配管材101は、前述した外層1aを備えるが、内層1bは、例えば、硬質の管あるいは可撓性を有する管からなる。
【0021】
巻き回し部材6は、例えば合成樹脂製あるいは金属製であって、一定幅で帯状に形成されている。そして、前記通孔6cは、巻き回し部材6の幅中央に位置し、その巻き回し部材6の長手方向に沿って一定の間隔で並ぶように複数設けられる。また、巻き回し部材6は、これら通孔6c、6cに加えて、通孔6c、6c間に、小径となる孔6dを有している。
【0022】
留め具8は、例えば合成樹脂製であって、ベース部8cとフック部8dと第1および第2係止部801、802とが一体に形成される。ベース部8cは、長手の板状に形成される。フック部8dは、ベース部8cの一側から延出される。詳細には、フック部8dは、ベース部8cの一側から延出された挿入部8aと、その挿入部8aの延出された先から折れ曲がって延びてベース部8cと対面するフック部本体8eとを有する。図示実施の形態においては、留め具8は、ベース部8cが、巻き回し部材6の環状の外側に位置し、フック部本体8eが、環状の内側に位置するように配置される。第1係止部801は、前述したように、ベース部8cの他側に設けられるが、詳細には、第1係止部801は、ベース部8cの他側の先端部分から、フック部本体8e側であって挿入部8aから離れる側に斜めに爪状に突出して形成される。第2係止部802は、前述したように、フック部8dの先端側に設けられるが、詳細には、第2係止部802は、フック部8d(フック部本体8e)の先端部分から、ベース部8c側であって挿入部8aに近づく側に斜めに爪状に突出して形成される。
【0023】
また、留め具8には、摘み8fが設けられる。詳細には、摘み8fは、ベース部8cの他側の先端部分から、外側に半丸状に突出して形成される。そこで、この摘み8fを指で摘まんで、留め具8を巻き回し部材6の重合箇所6bに取り付けたり、重合箇所6bから取り外したりすることができる。
【0024】
ところで、巻き回し部材6を構造物2に固定するにあたっては、固定部材9が用いられる。図示実施の形態においては、固定部材9は、固定体10と雄ねじ部材11とを備える。固定体10は、例えば合成樹脂製であって、板状に形成されている。この固定体10は、構造物2側の面(図示実施の形態においては、上面)が、巻き回し部材6が載る載置面10aとなっている。そして、固定体10は、中央に貫通孔10bを有する。そこで、雄ねじ部材11が、固定体10の貫通孔10bと巻き回し部材6の通孔6cを通り構造物2(詳しくは、構造物2に設けられた雌ねじ部2a)にねじ込まれることで、固定体10とともに巻き回し部材6が、構造物2に固定される。
【0025】
次に、以上の構成からなる配線・配管材支持装置3、および配管材の配設構造4の作用効果について説明する。配線・配管材支持装置3によると、帯状の巻き回し部材6が、配線・配管材1の外周回りに巻き回しされ、その巻き回しされる中間部分が構造物2に固定されるとともに、その巻き回し部材6の両端部6a、6aの、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所6bが、留め具8によって留められる。このとき、巻き回し部材6の各端部6aにおいて、留め具8の挿入部8aが、重合箇所6bの通孔6cに挿入され、その通孔6cにおける巻き回し部材6の端部6aの先端側の内面に当接し、また、留め具8の係止部8bが、重合箇所6bの別の通孔6cに入り込み、その別の通孔6cにおける巻き回し部材6の端部6aの先端側に係止する。こうして、巻き回し部材6のいずれの端部6aにおいても、挿入部8aと係止部8bとが、通孔6cと別の通孔6cにおける巻き回し部材6の端部6aの先端側と係り合うことで、巻き回し部材6の両端部6a、6aを安定して留めることができる。
【0026】
また、留め具8は、係止部8bとして第1係止部801と第2係止部802とを備え、それら第1係止部801と第2係止部802とは、互いに、相手が係止する別の通孔6cに入ることができるように構成されている。これにより、第1係止部801と巻き回し部材6における他方の端部602(6a)との干渉とか、第2係止部802と巻き回し部材6における一方の端部601(6a)との干渉を避けて、別の通孔6cへの係止を的確に行うことができる。
【0027】
また、配管材の配設構造4によると、帯状の巻き回し部材6が、厚み方向に圧縮変形可能で復帰力を有する外層1aを備えた配管材101の外周回りに巻き回しされ、その巻き回しされる中間部分が構造物2に固定されるとともに、その巻き回し部材6の両端部6a、6aの、先端側が互いに反対側を向くようにして重ね合わされた重合箇所6bが、留め具8によって留められている。このとき、配管材101の外層1aの復帰力を受けて、巻き回し部材6は、その環状が拡径する方向に付勢され、巻き回し部材6の各端部6aにおいて、挿入部8aが挿入された通孔6cは、端部6aの先端側の内面が、挿入部8aに圧接され、別の通孔6cは、端部6aの先端側が、係止部8bに圧接されている。こうして、巻き回し部材6のいずれの端部6aにおいても、挿入部8aと係止部8bとが、通孔6cと別の通孔6cにおける巻き回し部材6の端部6aの先端側と係り合うことで、巻き回し部材6の両端部6a、6aを安定して留めることができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、構造物2は、天井以外に、壁とか柱とか梁等であってもよい。また、支持する対象は、圧縮変形可能な外層1aを備えた配管材101に限らず、その他の配管材であってもよく、また、配線材であってもよい。
【0029】
また、
図10に示すように、巻き回し部材6が構造物2に固定された箇所において、その巻き回し部材6を構造物2に固定するための固定部材9(図示実施の形態においては、固定体10とか雄ねじ部材11)と、配管材101とが当接するようにしてもよい。これにより、配管材101を、構造物2に近接して設置することができ、特に、配管材101を天井裏等の狭い場所に設置する場合に有効である。また、このことは、配管材101が、圧縮変形可能な外層1aを備えるものに限らず、また、配管材101以外に、配線材においても同様である。
【0030】
また、留め具8は、第1係止部801が、挿入部8aを基準にして、巻き回し部材6における一方の端部601の先端側にあり、第2係止部802が、挿入部8aを基準にして、巻き回し部材6における他方の端部602の先端とは反対側にあるが、それら第1係止部601と第2係止部602のいずれか一方、あるいは、両方が、挿入部8aを基準にして、逆の側にあってもよい。
【0031】
また、留め具8の挿入部8aは、巻き回し部材6の両端部6a、6aの通孔6c、つまり二つの通孔6c、6cを貫くように設けられるが、例えば、ベース部8cが、両端部6a、6aに挟まれる位置に設けられるなどして、挿入部8aが、各端部6aの通孔6cに個別に挿入されるよう、二つ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 配線・配管材
101 配管材
1a 外層
2 構造物
3 配線・配管材支持装置
4 配管材の配設構造
6 巻き回し部材
6a 端部
6b 重合箇所
6c 通孔
8 留め具
8a 挿入部
8b 係止部
801 第1係止部
802 第2係止部
8c ベース部
8d フック部
9 固定部材