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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びプローブヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021087799
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2022180989
(43)【公開日】2022-12-07
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 雅斗
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209789885(CN,U)
【文献】特開2022-114285(JP,A)
【文献】特開2019-126454(JP,A)
【文献】特開平09-220230(JP,A)
【文献】特開2015-205005(JP,A)
【文献】特開2009-066046(JP,A)
【文献】中国実用新案第210931522(CN,U)
【文献】中国実用新案第213156012(CN,U)
【文献】特開2007-175322(JP,A)
【文献】特開2017-000421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0068871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 50/00 - 50/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向き姿勢を有するプローブヘッドを保持するプローブホルダであって、前記プローブヘッドの後端部を収容する筒状の凹部を有するプローブホルダと、
記プローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を収容するカバー本体と、前記カバー本体から下方に伸長して前記凹部に差し込まれる係合部材と、を有するプローブヘッドカバーと、
を含み、
前記プローブホルダに保持された前記プローブヘッドの向きに対して前記プローブヘッドカバーの向きが合うように、前記凹部に対して前記係合部材が差し込まれる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記先端部が前記プローブヘッドカバーに収容された状態では、前記プローブヘッドカバーの天井面と前記先端部における送受波面との間に隙間が生じる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の超音波診断装置において、
前記プローブヘッドカバーは、前記先端部を非接触で包み込む中空形態を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記カバー本体と前記係合部材は一体化されている、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記凹部に差し込まれる前記係合部材は複数の係合片であり、
前記複数の係合片が前記凹部に差し込まれた状態で、前記複数の係合片の外面が前記凹部の内面に接する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
上向き姿勢を有するプローブヘッドを保持するプローブホルダと、
前記プローブホルダに係合する係合構造を有し、前記プローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を収容するプローブヘッドカバーと、
を含み、
前記プローブヘッドカバーの上部は、他のプローブヘッドカバーの下部と結合する形態を有し、
前記プローブヘッドカバーの下部は、他のプローブヘッドカバーの上部と結合する形態を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記プローブヘッドカバーは、その形態を保持することが可能な弾性を有する材料により構成されている、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記プローブヘッドカバーは透明性を有する材料により構成されている、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
超音波診断装置におけるプローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を非接触で収容することが可能な収容空間を有するカバー本体と、
前記カバー本体の下側に設けられ、前記プローブホルダに係合する係合構造と、
を含み、
前記プローブホルダは、前記プローブヘッドの後端部を収容する筒状の凹部を有し、
前記係合構造は、前記カバー本体から下方へ伸長した係合部材を有し、
前記プローブホルダに保持された前記プローブヘッドの向きに対してプローブヘッドカバーの向きが合うように、前記凹部に対して前記係合部材が差し込まれる、
ことを特徴とするプローブヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波診断装置及びプローブヘッドカバーに関し、特に、プローブヘッドを保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、通常、プローブホルダユニットを備える(例えば特許文献1を参照)。プローブホルダユニットは複数のプローブホルダの連結体であり、個々のプローブホルダによりプローブが保持される。具体的には、プローブは、プローブヘッド、ケーブル及びコネクタにより構成される。上向き姿勢を有するプローブヘッドがプローブホルダにより保持される。コネクタが超音波診断装置本体に対して着脱可能に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-287915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プローブホルダによりプローブヘッドが上向き姿勢で保持されている状態においては、通常、プローブヘッドの先端部が完全に露出しており、先端部(特に送受波面)を保護することが望まれる。例えば、先端部への部材の衝突、先端部への異物の付着等を防止し又はその可能性を低減することが望まれる。これに対し、先端部に布袋を被せたり先端部をスポンジで包んだりすることが考えられるが、そのような方法によると、先端部を十分に保護できず、また作業性が悪い。更には衛生面での問題が生じ易い。
【0005】
本開示の目的は、プローブホルダによりプローブヘッドが保持されている状態において、プローブヘッドの先端部を保護することにある。あるいは、本開示の目的は、プローブホルダによりプローブヘッドが保持されている状態において、プローブヘッドの先端部の衛生状態を保ちつつ、プローブヘッドの先端部を保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る超音波診断装置は、上向き姿勢を有するプローブヘッドを保持するプローブホルダと、前記プローブホルダに係合する係合構造を有し、前記プローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を収容するプローブヘッドカバーと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本開示に係るプローブヘッドカバーは、超音波診断装置におけるプローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を非接触で収容することが可能な収容空間を有するカバー本体と、前記カバー本体の下側に設けられ、前記プローブホルダに係合する係合構造と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、プローブホルダによりプローブヘッドが保持されている状態において、プローブヘッドの先端部を保護できる。あるいは、本開示によれば、プローブホルダによりプローブヘッドが保持されている状態において、プローブヘッドの先端部の衛生状態を保ちつつ、プローブヘッドの先端部を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る超音波診断装置の斜視図である。
図2】プローブホルダユニット及び複数のプローブヘッドカバーを示す図である。
図3】プローブヘッドカバーの斜視図である。
図4】プローブヘッドカバーのYZ断面図である。
図5】複数のプローブヘッドカバーが設けられたプローブホルダユニットの上面図である。
図6】複数のプローブヘッドカバーが設けられたプローブホルダユニットのYZ断面図である。
図7】プローブヘッドカバーが設けられたプローブホルダのXZ断面図である。
図8】積層状態を示す正面図である。
図9】積層状態を示すYZ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断装置は、プローブホルダ、及び、プローブヘッドカバーを有する。プローブホルダは、上向き姿勢を有するプローブヘッドを保持する。プローブヘッドカバーは、プローブホルダに係合する係合構造を有し、プローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を収容する。
【0012】
上記構成によれば、プローブヘッドカバーに何等かの外力が及んだ場合、その外力がプローブホルダにより吸収され、その外力がプローブヘッドへ伝わり難くなる。プローブヘッドカバーの形態として、先端部の全体を包み込むドーム状の形態、先端部を囲む円筒状の形態、等が挙げられる。
【0013】
実施形態において、先端部がプローブヘッドカバーに収容された状態では、プローブヘッドカバーの天井面と先端部における送受波面との間に隙間が生じる。この構成によれば、送受波面がプローブヘッドカバーで覆われ、送受波面の保護を高められる。すなわち、送受波面に対する部材の衝突や送受波面に対する異物の付着等を効果的に防止できる。
【0014】
実施形態において、プローブヘッドカバーは、先端部を非接触で包み込む中空形態を有する。先端部内には、振動素子アレイ等の電気部品が設けられ、先端部は生体表面に接触する部分である。上記構成によれば、先端部を物理的に保護でき、また、衛生面でも保護できる。
【0015】
実施形態において、プローブホルダは、プローブヘッドの後端部を収容する凹部を有する。係合構造は、凹部に差し込まれる部材を有する。この構成によれば、プローブホルダ側に特別な構造を設ける必要がなくなる。もちろん、プローブホルダ及びプローブヘッドカバーの両者に係合構造を設けてもよい。
【0016】
実施形態において、凹部に差し込まれる部材は複数の係合片である。複数の係合片が凹部に差し込まれた状態で、複数の係合片の外面が凹部の内面に接する。実施形態においては、複数の係合片の外面の並びにより構成される円筒面の曲率が凹部における内面の曲率に相当する。
【0017】
実施形態において、プローブヘッドカバーの上部は、他のプローブヘッドカバーの下部と結合する形態を有する。プローブヘッドカバーの下部は、他のプローブヘッドカバーの上部と結合する形態を有する。この構成によれば、複数のプローブヘッドカバーを積層させることが可能となる。
【0018】
実施形態において、プローブヘッドカバーは、その形態を保持することが可能な弾性を有する材料により構成されている。この構成によれば、プローブヘッドカバーにその機能を発揮させつつ、プローブヘッドがプローブヘッドカバーに当たった場合にプローブヘッドに及ぶ衝撃を緩和できる。実施形態において、プローブヘッドカバーは透明性を有する材料により構成されている。この構成によれば、プローブヘッドを視認した上でそれを選択することが可能となる。透明性を有する材料には半透明材料が含まれる。
【0019】
実施形態に係るプローブヘッドカバーは、カバー本体、及び、係合構造を有する。カバー本体は、超音波診断装置におけるプローブホルダに保持されたプローブヘッドの先端部を非接触で収容することが可能な収容空間を有する。係合構造は、カバー本体の下側に設けられ、プローブホルダに係合する。
【0020】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断装置10が示されている。超音波診断装置10は、医療機関において使用され、生体(被検者)への超音波の送受波により得られた受信データに基づいて超音波画像を形成する医用装置である。なお、図1において、X方向は左右方向であり、Y方向は奥行方向(前後方向)であり、Z方向は垂直方向(上下方向)である。
【0021】
超音波診断装置10は、例えば、カート式の超音波診断装置である。超音波診断装置10は、図示されていない装置本体12を有する。装置本体12は箱状の形態を有し、その下部には複数のキャスタが設けられている。装置本体12は、図示されていない支持機構を介して、操作パネル14を支持している。操作パネル14は入力デバイスであり、それは複数のボタン、複数の摘み、トラックボール、キーボード等を有する。
【0022】
操作パネル14の奥側にはディスプレイ16が設けられている。操作パネル14によりアーム機構を介してディスプレイ16が支持されてもよい。ディスプレイ16は、有機EL表示器、LCD等により構成される。ディスプレイ16には超音波画像が表示される。操作パネル14の前側にはハンドルが設けられている。
【0023】
操作パネル14の右側にはプローブホルダユニット18が設けられている。操作パネル14の左側にプローブホルダユニットが設けられてもよい。プローブホルダユニット18は、図示の例において4つのプローブホルダ20A~20Dを有する。プローブホルダ20A~20Dにより任意数のプローブが保持される。
【0024】
各プローブは、プローブヘッド22A~22C、ケーブル及びコネクタにより構成される(図1においてはプローブヘッド22A~22Cが抽象的に表現されている)。プローブヘッド22A~22C内には、複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられている。振動素子アレイにより超音波ビームが形成され、超音波ビームが電子走査される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式等が知られている。走査方式や用途の違いを反映して、様々な形態及び様々なサイズを有するプローブが提供されている。各ケーブルの端部(接続端部)がプローブヘッド22A~22Cの後端部に連結されている。実施形態においては、プローブホルダ20A~20Dが、それぞれ、上向き姿勢にあるプローブヘッド22A~22Cにおける後端部を収容しつつそれを支持している。その状態において、プローブホルダ20A~20Dが、それぞれ、ケーブル端部を保持しており、これにより各プローブヘッド22A~22Cの起立姿勢が維持されている。
【0025】
4つのプローブホルダ20A~20Dの内で、任意数のプローブホルダ20A~20Cに対して、プローブヘッドカバー24A~24Cが取り付けられる(図1においてはプローブヘッドカバー24A~24Cが抽象的に表現されている)。図1においては、3つのプローブヘッド22A~22Cが3つのプローブヘッドカバー24A~24Cに収容されている。プローブヘッドカバー24A~24Cは係合構造を有し、それを利用してプローブヘッドカバー24A~24Cがプローブホルダ20A~20Cに取り付けられる。
【0026】
プローブヘッドカバー24A~24Cは、互いに同一の形態を有している。プローブヘッドカバー24A~24Cの形態として、箱状の形態、円筒状の形態、筒状の形態、等を採用し得る。起立状態にあるプローブヘッド22A~22Cを非接触で包み込めるように、プローブヘッドカバー24A~24Cの形態を定めるのが望ましい。例えば、複数種類のプローブヘッドを非接触で収容できるように、プローブヘッドカバー24A~24Cの形態を定めるのが望ましい。
【0027】
図2の(A)及び(B)には、具体的な構成が示されている。(A)には、プローブホルダユニット18が示されている。それはプローブホルダ20A~20Dにより構成される。プローブホルダ20A~20Dにより、プローブヘッド22A~22Cが保持されている。(B)には、プローブヘッドカバー24A~24Dが装着されているプローブホルダユニット18が示されている。プローブホルダ20A~20Dにプローブヘッドカバー24A~24Dが取り付けられ、それらの中にプローブヘッドが収容されている。各プローブヘッド22A~22Cにおいて、その後端部がプローブホルダ20A~20Dに収容され、その先端部がプローブヘッドカバー24A~24Dにより覆われている。
【0028】
例えば、最も手前側に保持されたプローブの使用時には、そのプローブヘッド22Aを覆っているプローブヘッドカバー24Aが取り外され、プローブヘッド22Aが取り上げられる。取り外されたプローブヘッドカバー24Aを元の位置に戻してもよいし、他のプローブヘッドカバーに積み重ねてもよい。
【0029】
図3には、プローブヘッドカバー24が示されている。x方向は第1水平方向であり、y方向は第2水平方向であり、z方向は垂直方向(上下方向)である。
【0030】
プローブヘッドカバー24は、カバー本体26及び係合構造28を有する。それらは一体化されており、単一部品を構成している。プローブヘッドカバー24は、例えば、透明性及び弾性を有する材料により構成される。例えば、それがシリコーンゴムにより構成されてもよい。透明性を有する材料でプローブヘッドカバー24を構成すれば、プローブ選択時にプローブヘッドの形態を視認することが可能となる。弾性を有する材料によりプローブヘッドカバー24を構成すれば、プローブヘッドとプローブヘッドカバー24との衝突時に、プローブヘッドを保護し得る。
【0031】
カバー本体26は、y方向に広がった箱形の中空体であり、それは胴部30及び上部32により構成される。カバー本体26の下側には、プローブヘッドの先端部を受け入れる開口36が形成されている。収容空間34内にプローブヘッドの先端部が非接触で収容される。胴部30におけるy方向の両端は切り欠かれており、それぞれ切欠き部36a,36bが構成されている。例えば、操作パネルとの接触を回避する必要がある場合に切欠き部36a,36bが設けられる。上部32は天井壁を有し、天井壁の下面が天井面である。上部32と胴部30の間に段差32aが生じている。
【0032】
係合構造28は、2つの差し込み片38,40により構成される。2つの差し込み片38,40の内で2つの脚部40Aがプローブホルダの凹部内に差し込まれる。具体的には、2つの脚部40Aの外面が凹部の内面に密着する。2つの外面の並びにより円筒面が構成され、その曲率は、円筒面としての凹部の内面の曲率と同じである。差し込み片38,40は互いに対称の形態を有する。
【0033】
差し込み片38,40は、それぞれ、脚部40Aと肉厚部40Bとを有する。脚部40Aは胴部30から下方へ伸長している。肉厚部40Bは胴部30の外面上の盛り上がり部分である。2つの差し込み片38,40は、x方向に一定距離を置いて並んでいる。
【0034】
図4には、プローブホルダ20及びプローブヘッドカバー24の断面が示されている。プローブホルダ20は、ケース42及び弾性構造体44により構成される。弾性構造体44はインナーカバー46とケーブル保持部48により構成される。それらは一体化されている。それらを構成する材料は例えばシリコーンゴムである。インナーカバー46は、ケース42の内面の全体を覆っている。インナーカバー46の底壁の上面が支持面46Aである。
【0035】
支持面46Aにより、上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部(後端面)が支持される。ケーブル保持部48は、筒状の形態を有し、その内面には複数のリブからなるリブ列50が形成されている。リブ列50によってケーブル端部が保持される。ケーブル端部は、剛性を高めるためのケーブルブーツを有する。プローブヘッドの後端部が支持面46Aにより支持されている状態で、ケーブル端部を保持することにより、プローブヘッドの起立姿勢が維持される。
【0036】
図4においては、プローブヘッドが示されていないが、凹部内にプローブヘッドの後端部が収容される。凹部内には係合構造28を構成する2つの差し込み片38,40が差し込まれており、それらが凹部の内面46Bに密着している。プローブヘッドカバー24がプローブホルダ20に取り付けられている。プローブヘッドの先端部はプローブヘッドカバー24の収容空間34に収容される。その状態では、先端部における送受波面が天井面100に対して隙間を介して対向する。実際には、先端部それ全部がプローブヘッドカバー24から隔てられる。
【0037】
図5には、プローブホルダユニット18の上面が示されている。プローブホルダ20A~20Dに対してプローブヘッドカバー24A~24Dが取り付けられている。個々のプローブヘッドの向き(回転角度)に応じて、プローブヘッドカバー24A~24Dの向き(回転角度)が決まる(例えば、符号24A1,24B1,24C1を参照)。各プローブホルダ20A~20Dの手前側(図5において左側)には、溝52を介してアーム54が設けられている。アーム54の端部にフック56が形成されている。フック56はケーブルフックである。
【0038】
図6には、プローブホルダユニットのYZ断面が示されている。プローブホルダ20A~20Dの内で、プローブホルダ20A~20C内にプローブヘッド22A~22Cの後端部が収容されている。プローブホルダ20A~20Dにはプローブヘッドカバー24A~24Dが取り付けられている。プローブホルダ20A~20Dの先端部が、プローブヘッドカバー24A~24Dにより、非接触で包み囲まれている。天井面100A~100Cと各先端部の送受波面102A~102Cとの間には隙間60A~60Cが存在している。
【0039】
プローブヘッド22A~22Cのいずれを収容してもそれがプローブヘッドカバー24A~24Cの内面に接しないように、プローブヘッド22A~22Cの形態が定められている。もっとも、プローブヘッド22A~22Cがプローブヘッドカバー24A~24Cに接触してもそれが軽微なものであればその接触は許容され得る。各送受波面は、生体表面に接する部分であり、音響的に見ても重要な部分である。しかもそこには超音波検査時に音響ゼリーが塗布される。よって、各送受波面が各プローブヘッドカバー24A~24Cの内面に接しないように、各プローブヘッドカバー24A~24Cを構成することが望まれる。
【0040】
実施形態に係るプローブヘッドカバー24A~24Cによれば、仮に、落下物がプローブヘッドカバー24A~24C上に落下してもその衝撃力はプローブホルダユニットに及ぶことになるので、プローブヘッド22A~22Cを効果的に保護できる。水平方向から何等かの部材がプローブヘッドカバー24A~24Cに衝突した場合も基本的に同様である。また、異物が落下してきた場合、それがプローブヘッド22A~22Cに付着してしまうことも防止できる。
【0041】
なお、水平方向からの衝撃の防止又は緩和という観点からは、プローブヘッドカバー24A~24Cの天井壁を除外してもよいし、それらをそれぞれ筒状の形態で構成してもよい。落下物からの保護という観点からは、プローブヘッドカバー24A~24Cの胴部を複数の支柱で構成してもよい。
【0042】
図7には、プローブホルダ20C及びプローブヘッドカバー24CのXZ断面が示されている。既に説明したように、プローブヘッドカバー24Cの天井面100Cとプローブヘッド22Cの送受波面102Cの間には隙間60Cが存在している。プローブヘッド22Cは、その後端部を除いて、プローブホルダ20C及びプローブヘッドカバー24Cに対して接触していない。
【0043】
図8には、積層状態が示されている。プローブホルダ20にはプローブヘッドカバー22Eが載せられており、その上に、プローブヘッドカバー22Fが載せられている。具体的には、プローブヘッドカバー22Eにおける2つの差し込み片62の内で脚部62Aがプローブホルダ20の凹部に差し込まれている。2つの差し込み片62の内で肉厚部62Bはプローブホルダ20よりも上側に露出している。
【0044】
プローブヘッドカバー22Eの上部がプローブヘッドカバー22Fの下部に入り込んでおり、それらが結合している。プローブヘッドカバー22Fにおける2つの差し込み片64の内で脚部64Aがプローブヘッドカバー22Eの外側に差し込まれており、その下端68がプローブヘッドカバー22Eにおける肉厚部62Bの上端66に当たっている。その状態では、プローブヘッドカバー22Fの下端がプローブヘッドカバー22Eにおける段差に当たっている。これらの当接により、プローブヘッドカバー22Fによるプローブヘッドカバー22Eへの更なる入り込みが防止されている。
【0045】
積層状態では、プローブホルダ20とプローブヘッドカバー22Eとの間での一定の結合力が働き、また、プローブヘッドカバー22Eとプローブヘッドカバー22Fとの間での一定の結合力が働くので、積層体が容易に崩れてしまうことはない。必要に応じて、3個以上のプローブヘッドカバーからなる積層体を構成し得る。
【0046】
図9には、積層体のYZ断面が示されている。プローブホルダ20とプローブヘッドカバー22Eの内部空間にプローブヘッド22Cが収容されている。プローブヘッド22Cに連なるケーブル端部が保持され、これによりプローブヘッド22Cの起立姿勢が維持されている。プローブヘッドカバー22Eの上部がプローブヘッドカバー22Fの下部に入り込んでおり、それらが結合されている。
【0047】
個々のプローブヘッドカバーの落下を防止するため、個々のプローブヘッドカバーを開閉運動可能にプローブホルダユニットに取り付けてもよい。複数のプローブヘッドを同時に覆うプローブヘッドカバーを設けることも考えられる。汎用的なプローブヘッドカバーと専用のプローブヘッドカバーとを併用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 超音波診断装置、14 操作パネル、16 ディスプレイ、18 プローブホルダユニット、20,20A~20D プローブホルダ、22,22A~22C プローブヘッド、24,24A~24D プローブヘッドカバー、26 カバー本体、28 係合構造、38,40 差し込み片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9