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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】毛髪用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20241002BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021158619
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2022058254
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020164646
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 修作
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-027975(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022046(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が4.1位以上4.3位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩 1質量%以上12質量%以下
(B)両性界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下
(C)アルキル基の炭素数が8~18であり、かつオキシエチレン基の平均付加モル数が4~16であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸の炭素数が8~22の脂肪酸アルカノールアミド、アルキル基の炭素数が8~22のアルキルグルコシド、及びアルキル基の炭素数が8~22のアルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤 0.1質量%以上8質量%以下
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1.2以上8以下であり、成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))が0.1以上9以下であり、かつ
成分(A)において未反応の原料オレフィンの含有量が3.0質量%未満である毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が、0.01以上50以下である請求項1に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との合計が、0.01質量%以上10質量%以下である請求項1又は2に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(B)が、カルボベタイン、及びスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項5】
スルホン酸基が1位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に40質量%以上75質量%以下である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項6】
スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に10質量%以上35質量%以下である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項7】
スルホン酸基が3位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に5質量%以上30質量%以下である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項8】
スルホン酸基が4位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に15質量%以上30質量%以下である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項9】
成分(A)中における、内部オレフィンスルホン酸又はその塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸又はその塩のオレフィン体の含有量との質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)が、50/50~100/0である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項10】
スルホン酸基が1位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に3.0質量%未満である請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項11】
毛髪用洗浄剤組成物において、次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が4.1位以上4.3位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩 1質量%以上12質量%以下
(B)両性界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下
(C)アルキル基の炭素数が8~18であり、かつオキシエチレン基の平均付加モル数が4~16であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸の炭素数が8~22の脂肪酸アルカノールアミド、アルキル基の炭素数が8~22のアルキルグルコシド、及びアルキル基の炭素数が8~22のアルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤 0.1質量%以上8質量%以下
を含有させ、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))を1.2以上8以下とし、成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))0.1以上9以下とし、かつ
成分(A)において未反応の原料オレフィンの含有量を3.0質量%未満とする、毛髪用洗浄剤組成物の低温安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の炭素数を有することで知られる内部オレフィンスルホン酸塩は、アニオン界面活性剤として優れた効果をもたらし得ることから、従来より様々な洗浄剤組成物に用いられている。
例えば、特許文献1には、内部オレフィンのスルホン酸化物と、特定の溶剤及び有機カルボン酸を含有し、特定のpH領域である水性毛髪洗浄剤が開示されており、その他各種界面活性剤を含有し得るものとしつつ、泡立ちやすすぎ性、乾燥後の毛髪のツヤ等について、優れた性能の付与を試みている。
【0003】
また特許文献2には、炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩と、硫酸基を含まない特定のアニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物が開示されており、さらに特許文献3には、かかる内部オレフィンスルホン酸塩とカチオン性ポリマー又は両性ポリマーを含有する皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物が開示されている。これら組成物においても、その他各種界面活性剤を用い得るものとしながら、泡の持続性やすすぎ性等を高めつつ、毛髪や皮膚への適用時における感触等の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-76983号公報
【文献】特開2015-27976号公報
【文献】特開2015-27975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内部オレフィンスルホン酸塩は、こうした種々の優れた性能を組成物に付与し得るものの、その炭素鎖長が長くなるにつれ疎水性が増強して融点が高まり、析出しやすくなるために組成物の低温安定性が低下する傾向にある。しかしながら、上記いずれの特許文献においても、良好な低温安定性を付与することについては、何らの検討もなされておらず、未だ改善の余地がある。
【0006】
すなわち、本発明は、特定の内部オレフィンスルホン酸又はその塩を用い、毛髪へ適用した際における性能を高めつつ、優れた低温安定性を有する毛髪用洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、種々検討したところ、平均二重結合位置が極限られた範囲のある原料オレフィンをスルホン化してなる特定の内部オレフィンスルホン酸又はその塩と、両性界面活性剤とを特定の質量比で含有しつつ、さらにノニオン界面活性剤を併用することにより、優れた洗髪効果を発揮するとともに良好な低温安定性を発現する毛髪用洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩
(B)両性界面活性剤
(C)ノニオン界面活性剤
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1以上50以下である毛髪用洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物によれば、毛髪へ適用した際、洗浄時においては良好な泡立ちとともに滑らかな泡質をもたらし、すすぎ時においては毛髪の柔らかさを実感できるだけでなく、優れた低温安定性をも有しており、有用性の高い組成物である。
なお、本発明の毛髪用洗浄剤組成物による毛髪の洗浄時における「良好な泡立ち」とは、洗髪する際に速やかに泡が立つ起泡力及び汚れの除去効果を実感するのに十分な泡量であることを意味する。また、本発明の毛髪用洗浄剤組成物による毛髪の洗浄時における「滑らかな泡質」とは、泡立ちがさっぱりとして柔らかい上、毛根から毛先まで保護効果が行き渡るのを実感できる滑らかな泡質であることを意味する。さらに、本発明の毛髪用洗浄剤組成物による毛髪の洗浄後、すすぎ時における「毛髪の柔らかさ」とは、すすぎ時に毛髪全体が柔らかくしなやかであることを実感できるだけでなく、仕上がり時には毛髪の一本一本がたおやかで健やかであることを実感できることをも含む意味である。
以下、本発明の毛髪用洗浄剤組成物を毛髪へ適用した際における、これら「良好な泡立ち」、「滑らかな泡質」、及び「毛髪の柔らかさの付与」なる効果を総じて「洗髪効果」とも称する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、成分(A)として、平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩を含有する。すなわち、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩は、平均二重結合位置が特定の極限られた範囲の原料オレフィンを出発原料として、これをスルホン化することにより得られる化合物であり、具体的には、原料オレフィンをスルホン化したのち、中和及び加水分解することにより得られる化合物である。
【0011】
平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノエタノール塩、2-アミノメチルプロパンジオール塩等の有機アミン塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩は、必ずしも最初から塩の形でなくともよく、製造中における中和反応によって生ずる塩を用いてもよい。
なかでも、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸の塩としては、低温安定性を向上させる観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及び2-アミノエタノール塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩から選ばれる1種又は2種がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましく、すなわち炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムがさらに好ましい。
【0012】
また、こうした炭素数16の原料オレフィンから得られる生成物である、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩は、主として炭素数16のヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(ヒドロキシ体、略称「HAS」)と炭素数16のオレフィンスルホン酸又はその塩(オレフィン体、略称「IOS」)の混合物である。
【0013】
なお、成分(A)の出発原料である炭素数16の原料オレフィンは、主として二重結合の位置が炭素鎖の内部にあるが、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるα-オレフィンを微量に含有する場合もある。かかる原料オレフィンをスルホン化すると、主にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化する。さらにこれらβ-サルトン、γ-サルトン及びオレフィンスルホン酸は、中和・加水分解工程において、炭素数16のヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩と炭素数16のオレフィンスルホン酸又はその塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。また、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸又はその塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。
したがって、本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩とする。
【0014】
スルホン化されることによって成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩を形成する炭素数16の原料オレフィンは、平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である。平均二重結合位置がこのような値を示す炭素数16の原料オレフィンは、微量に含まれ得る1位も含め、2位~8位にわたり二重結合位置がブロードな分布を有する。
なお、原料オレフィンにおける二重結合位置及びその分布は、ガスクロマトグラフ質量分析計(略称「GC-MS」)を用いた測定により、確認することができる。具体的には、ガスクロマトグラフ分析計(以下、GCと省略)により炭素鎖長及び二重結合位置の異なる各成分を正確に分離し、それぞれを質量分析計(略称「MS」)にかけることにより、その二重結合位置を同定することができ、その各々GCピーク面積から求める。
【0015】
一方、かかる原料オレフィンをスルホン化することにより得られる成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩では、スルホン化により導入されるスルホン酸基の位置が炭素鎖の内部に存在するほど分離に困難を伴うため、確立的な分析方法が存在しないのが現状である。しかしながら、成分(A)におけるスルホン酸基の位置は、原料オレフィンにおける二重結合位置にほぼ対応し、1位も含め2位~8位にわたり過度に偏在することなくブロードな分布を示すものと充分に推認される。そのため、本発明において、出発原料である原料オレフィンにおける平均二重結合位置の値を元に、成分(A)を規定するものである。
【0016】
本発明で用いる成分(A)は、上記のような平均二重結合位置の値、すなわちブロードな二重結合分布を有する原料オレフィンから得られる内部オレフィンスルホン酸又はその塩であって、炭素鎖においてスルホン酸基が過度に偏在することなくブロードな位置に存在する。炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、炭素鎖の末端寄りにスルホン酸基が偏在すると、長尺化した炭素鎖の増大により融点が上昇して析出しやすくなるため、低温安定性が損なわれるおそれがある。また炭素鎖の内部寄りにスルホン酸基が偏在すると、洗浄時の泡質やすすぎ時の毛髪の感触が損なわれ、洗髪効果が低下するおそれがある。しかしながら、上記原料オレフィンから得られる成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩であれば、炭素鎖においてスルホン酸基が過度に偏在することなくブロードな位置に存在し、スルホン酸基の結合位置から末端までの炭素鎖が種々長さを有する内部オレフィンスルホン酸又はその塩が適度に混在してなる。そのため、後述する成分(B)及び成分(C)とも相まって、優れた洗髪効果を保持しつつ、良好な低温保存安定性を発現することができる。成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合においても、上記と同様である。
なお、成分(A)の出発原料である炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置(単位:位)とは、かかる炭素数16の原料オレフィン全量中に存在する、各炭素数16の原料オレフィンの二重結合位置の平均値を意味する。具体的には、炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置とは、下記式(1)により求められる値である。
【0017】
【数1】
【0018】
(式(1)中、nは、炭素数16の原料オレフィンに存在する二重結合の位置を表す整数(単位:位)を示す。Cnは、炭素数16の原料オレフィン全量100質量%中における、二重結合がn位に存在する炭素数16の原料オレフィンの含有量(単位:質量%)を示す。)
【0019】
成分(A)を形成する炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置は、良好な低温保存安定性の発現を確保する観点から、3.9位以上であって、好ましくは4.0位以上であり、より好ましくは4.1位以上である。また炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置は、優れた洗髪効果の発揮を確保する観点から、4.5位以下であって、好ましくは4.4位以下であり、より好ましくは4.3位以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置は、3.9位以上4.5位以下であって、好ましくは4.0~4.4位であり、より好ましくは4.1~4.3位である。
【0020】
また、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が2位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは32質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が2位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10~35質量%であり、より好ましくは15~32質量%であり、さらに好ましくは20~24質量%である。
【0021】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が3位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは14質量%以上であり、さらに好ましくは16質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは24質量%以下であり、さらに好ましくは19質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が3位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは14~24質量%であり、さらに好ましくは16~19質量%である。
【0022】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が4位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは17質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは19質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が4位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは15~25質量%であり、さらに好ましくは17~19質量%である。
【0023】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が5位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは13質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは19質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が5位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5~25質量%であり、より好ましくは10~19質量%であり、さらに好ましくは13~15質量%である。
【0024】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が6位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは11質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が6位である原料オレフィンの含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは7~15質量%であり、さらに好ましくは11~13質量%である。
【0025】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が7位又は8位である原料オレフィンの合計含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは22質量%以下であり、さらに好ましくは16質量%以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が7位又は8位である原料オレフィンの合計含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5~25質量%であり、より好ましくは7~22質量%であり、さらに好ましくは12~16質量%である。
【0026】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が3~5位である原料オレフィンの含有量と、二重結合位置が6~8位である原料オレフィンの含有量との質量比(原料オレフィン35位/原料オレフィン68位)は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.3以上であり、さらに好ましくは1.7以上であり、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.5以下であり、さらに好ましくは2.2以下である。そして、炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が3~5位である原料オレフィンの含有量と、二重結合位置が6~8位である原料オレフィンの含有量との質量比(原料オレフィン35位/原料オレフィン68位)は、好ましくは1.0~4.0であり、より好ましくは1.3~3.5であり、さらに好ましくは1.7~2.2である。
【0027】
炭素数16の原料オレフィンにおいて、不可避的に存在し得る、二重結合位置が1位の原料オレフィン(α-オレフィン)の含有量は、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは3.0質量%未満であり、さらに好ましくは2.5質量%未満であり、或いは炭素数16の原料オレフィンにおいて、α-オレフィンを含有しないのが好ましい。
【0028】
なお、上記炭素数16の原料オレフィンは、炭素数16のアルコールの脱水反応により生成する二重結合位置が1位の原料オレフィン(α-オレフィン)を異性化(二重結合移行)することにより得ることができる。具体的には、1-ヘキサデカノール100質量部に対し、アルミナ等の固体酸触媒を好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下投入し、また好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは2~10質量部投入する。
次いで、好ましくは220℃以上、より好ましくは260℃以上、好ましくは350℃以下にて、また好ましくは220~350℃、より好ましくは260~350℃にて攪拌して、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、また好ましくは1~30時間、より好ましくは3~10時間異性化反応を行う。反応終了後の生成物を適宜蒸留することにより、上記炭素数16の原料オレフィンを得ることができる。
【0029】
上記炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が1位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは55質量%以上であり、好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは68質量%以下である。そして、上記炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が1位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは40質量%以上75質量%以下であり、より好ましくは50~70質量%であり、さらに好ましくは55~68質量%である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、スルホン酸基が1位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムの含有量についても、上記と同様である。
【0030】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは13質量%以上であり、さらに好ましくは17質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である。そして、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは10質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは13~30質量%であり、さらに好ましくは17~25質量%である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムの含有量についても、上記と同様である。
【0031】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が3位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。そして、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が3位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは5質量%以上30質量%であり、より好ましくは11~25質量%であり、さらに好ましくは15~20質量%である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、スルホン酸基が3位に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムの含有量についても、上記と同様である。
【0032】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が4位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは18質量%以上であり、さらに好ましくは19質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは23質量%以下である。そして、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が4位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは15質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは18~25質量%であり、さらに好ましくは19~23質量%である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、スルホン酸基が4位に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムの含有量についても、上記と同様である。
【0033】
なお、成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が1位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量は、成分(A)中に、好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは3.0質量%未満であり、さらに好ましくは2.5質量%未満であり、或いは成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が1位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩を含有しないのが好ましい。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、スルホン酸基が1位に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムの含有量についても、上記と同様であり、或いはスルホン酸基が1位に存在する内部オレフィンスルホン酸ナトリウムを含有しないのが好ましい。
【0034】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、ヒドロキシ体(HAS)の含有量とオレフィン体(IOS)の含有量との質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)は、生産性向上と不純物低減の観点から、好ましくは50/50~100/0であり、より好ましくは60/40~100/0であり、さらに好ましくは70/30~100/0であり、またさらに好ましくは75/25~100/0であり、またより好ましくは75/25~95/5である。
なお、かかる質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)は、HPLCにより成分(A)からヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけて得られるHPLC-MSピーク面積を元にして求められる。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、ヒドロキシ体(HAS)の含有量とオレフィン体(IOS)の含有量との質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)についても、上記と同様である。
【0035】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩は、原料オレフィンをスルホン化することにより得られることから、かかる成分(A)中には未反応の原料オレフィン及び無機化合物が残存する可能性がある。これらの成分の含有量は少ないほうが好ましい。成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合においても、同様である。
【0036】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、未反応の原料オレフィンの含有量は、成分(A)中に、好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは3.0質量%未満であり、さらに好ましくは1.5質量%未満であり、またさらに好ましくは1.0質量%未満である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、未反応の原料オレフィンの含有量についても、上記と同様である。
【0037】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、無機化合物の含有量は、成分(A)中に、好ましくは7.5質量%未満であり、より好ましくは5.0質量%未満であり、さらに好ましくは3.0質量%未満であり、またさらに好ましくは2.0質量%未満であり、よりさらに好ましくは1.6質量%未満である。
成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムにおける、無機化合物の含有量についても、上記と同様である。
【0038】
成分(A)の含有量は、優れた洗髪効果の発揮を有効に促進する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、またさらにより好ましくは5質量%以上であり、またさらにより好ましくは5.5質量%以上である。また、成分(A)の含有量は、良好な低温安定性を確保する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、またさらに好ましくは10質量%以下であり、またよりさらに好ましくは8.8質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは0.05~15質量%であり、さらに好ましくは0.1~12質量%であり、またさらに好ましくは1~10質量%であり、またさらにより好ましくは5~10質量%であり、またさらにより好ましくは5.5~10質量%であり、またさらにより好ましくは5.5~8.8質量%である。
【0039】
成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩は、炭素数16の上記原料オレフィンを三酸化硫黄と反応させてスルホン化することにより得られ、具体的には、原料オレフィンをスルホン化した後、中和し、次いで加水分解することにより得ることができる。
より具体的には、上記原料オレフィンをスルホン化する際の三酸化硫黄の使用量は、成分(A)の収率を向上させる観点及び反応性を向上させる観点から、原料オレフィン1モルに対し、好ましくは0.8モル以上であり、より好ましくは0.9モル以上であり、さらに好ましくは0.95モル以上である。また、上記原料オレフィンをスルホン化する際の三酸化硫黄の使用量は、経済性の観点及び成分(A)の不要な着色を抑制する観点から、好ましくは1.2モル以下であり、より好ましくは1.1モル以下であり、さらに好ましくは1.05モル以下である。そして、上記原料オレフィンをスルホン化する際の三酸化硫黄の使用量は、原料オレフィン1モルに対し、好ましくは0.8~1.2モルであり、より好ましくは0.9~1.1モルであり、さらにより好ましくは0.95~1.05モルである。
上記原料オレフィンをスルホン化する際の反応温度は、三酸化硫黄及び成分(A)の凝固を防ぐ観点から、好ましくは0℃以上であり、また成分(A)の不要な着色を抑制する観点から、好ましくは50℃以下である。そして、原料オレフィンをスルホン化する際の反応温度は、好ましくは0~50℃である。
【0040】
中和では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、2-アミノエタノール等のアルカリ化合物を反応させる。かかるアルカリ化合物の添加量は、原料オレフィンや無機塩等の不純物の生成を抑制する観点、及び反応性を向上させる観点から、スルホン酸基1モルに対し、好ましくは1.0モル倍量以上であり、より好ましくは1.03モル倍量以上である。また、アルカリ化合物の添加量は、経済性の観点、及び原料オレフィンや無機塩等の不純物の生成を抑制する観点から、スルホン酸基1モルに対し、好ましくは2.5モル倍量以下であり、より好ましくは2.0モル倍量以下であり、さらに好ましくは1.5モル倍量以下である。そして、アルカリ化合物の添加量は、スルホン酸基1モルに対し、好ましくは1.0~2.5モル倍量であり、より好ましくは1.03~2.0モル倍量であり、さらにより好ましくは1.03~1.5モル倍量である。
中和における、スルホン化した原料オレフィンとアルカリ化合物との混合の際の温度、及び反応温度は、副反応による内部オレフィンや無機塩等の不純物の生成を抑制する観点から、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは35℃以下であり、さらに好ましくは30℃以下であり、よりさらに好ましくは25℃以下であり、反応性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上であり、よりさらに好ましくは20℃以上である。またスルホン化した原料オレフィンとアルカリ化合物とを混合する際の温度、及び反応温度は、好ましくは0~40℃であり、より好ましくは10~35℃であり、さらに好ましくは15~30℃であり、よりさらに好ましくは20~25℃である。
【0041】
中和後に行う加水分解での反応温度は、水の存在下、反応性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは140℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。また、加水分解での反応温度は、生成物の分解を抑制する観点から、好ましくは220℃以下であり、より好ましくは180℃以下である。そして、加水分解での反応温度は、好ましくは120~220℃であり、より好ましくは140~180℃であり、さらに好ましくは160~180℃である。
加水分解での反応時間は、反応を完結させる観点から、好ましくは30分間以上であり、より好ましくは45分間以上である。また、加水分解での反応時間は、生産性を向上させる観点から、好ましくは240分間以下であり、より好ましくは180分間以下であり、さらに好ましくは120分間以下であり、よりさらに好ましくは90分以下である。そして、加水分解での反応時間は、好ましくは30~240分間であり、より好ましくは45~180分間であり、さらにより好ましくは45~120分間であり、よりさらに好ましくは45~90分間である。これらの反応は、連続して行うことができる。また反応終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
なお、成分(A)が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムであって、かかる炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムを得る場合においても、上記と同様である。
【0042】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、成分(B)として、両性界面活性剤を含有する。かかる成分(B)を後述する成分(C)とともに含有することにより、上記成分(A)とも相まって、相乗的に優れた洗髪効果を発揮するとともに、良好な低温安定性を確保することができる。
【0043】
成分(B)としては、具体的には、カルボベタイン、及びスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、炭素数6~22、好ましくは炭素数8~18のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン、及びスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なかでも、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現とを両立する観点から、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、及びラウリルスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタインら選ばれる1種又は2種がより好ましい。
【0044】
成分(B)の含有量は、後述する成分(C)とも相まって、優れた洗髪効果の発揮を有効に促進する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、またさらにより好ましくは1.2質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、後述する成分(C)とも相まって、良好な低温安定性を確保する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、またさらに好ましくは10質量%以下であり、またさらにより好ましくは5質量%以下であり、またさらにより好ましくは4.8質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは0.05~15質量%であり、さらに好ましくは0.1~12質量%であり、またさらに好ましくは1~10質量%であり、またさらにより好ましくは1~5質量%であり、またさらにより好ましくは1~4.8質量%であり、またさらにより好ましくは1.2~4.8質量%である。
【0045】
成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、優れた洗髪効果を有効に兼ね備える観点から、1以上であって、好ましくは1.2以上である。また、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、50以下であって、好ましくは25以下であり、より好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下であり、よりさらに好ましくは8以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、1以上50以下であって、好ましくは1~25であり、より好ましくは1~15であり、さらに好ましくは1~10であり、よりさらに好ましくは1.2~10であり、よりさらに好ましくは1.2~8である。
【0046】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、成分(C)として、ノニオン界面活性剤を含有する。かかる成分(C)を含有することにより、上記成分(A)及び成分(B)と相まって、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現とを両立することができる。
【0047】
成分(C)としては、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、及びアルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、より具体的には、アルキル基の炭素数が6~22、好ましくは炭素数8~18のものが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、オキシエチレン基の平均付加モル数が3~50であるのがより好ましく、4~16であるのがさらに好ましい。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、脂肪酸の炭素数が6~22、好ましくは炭素数8~22のモノ又はジアルカノールアミドが挙げられる。
アルキルグリコシドとしては、アルキル基の炭素数が6~22、好ましくは炭素数8~22のものが挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が6~22、好ましくは炭素数8~22のものが挙げられる。
なかでも、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現とを両立する観点から、脂肪酸アルカノールアミドがより好ましい。
【0048】
成分(C)の含有量は、成分(B)とも相まって、優れた洗髪効果の発揮を有効に促進する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは0.5質量%以上である。また、成分(C)の含有量は、成分(B)とも相まって、良好な低温安定性を確保する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下であり、またさらに好ましくは6質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01~15質量%であり、より好ましくは0.05~10質量%であり、さらに好ましくは0.1~8質量%であり、またさらに好ましくは0.5~6質量%である。
【0049】
成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上であり、よりさらに好ましくは1以上である。また、成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、優れた洗髪効果をも有効に兼ね備える観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは9以下であり、またさらに好ましくは8.8以下であり、またよりさらに好ましくは4.8以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))は、好ましくは0.01~50であり、より好ましくは0.05~25であり、さらに好ましくは0.1~9であり、またさらに好ましくは1~8.8であり、またよりさらに好ましくは1~4.8以下である。
【0050】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上であり、よりさらに好ましくは0.5以上である。また、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、優れた洗髪効果をも有効に兼ね備える観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは10以下であり、またさらに好ましくは8以下であり、またさらにより好ましくは4以下である。そして、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))は、好ましくは0.01~50であり、より好ましくは0.05~25であり、さらに好ましくは0.1~10であり、またさらに好ましくは0.5~10であり、またよりさらに好ましくは0.5~8であり、またよりさらに好ましくは0.5~4である。
【0051】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との合計は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。また、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との合計は、優れた洗髪効果をも有効に兼ね備える観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下である。そして、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との合計は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01~45質量%であり、より好ましくは0.1~25質量%であり、さらに好ましくは1~20質量%であり、さらにより好ましくは1~10質量%以下である。
【0052】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、上記成分(A)と相まった、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現を一層確実なものとする観点から、上記成分(A)以外のアニオン界面活性剤(D)を含有することができる。
【0053】
成分(D)としては、具体的には、スルホン酸塩、アミノ酸塩、スルホコハク酸塩、硫酸エステル塩、及びカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
成分(D)のスルホン酸塩とは、成分(A)以外のスルホン酸塩であって、かかるスルホン酸塩としては、より具体的には、N-アシルメチルタウリン塩等のアミノエチルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、並びに炭素数が14のα-オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0054】
アミノ酸塩としては、より具体的には、アシルグルタミン酸塩、サルコシン誘導体、アラニン誘導体、グリシン誘導体、及びアルギニン誘導体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
スルホコハク酸塩としては、スルホコハク酸アルキルエステル塩、及びポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
カルボン酸塩としては、脂肪酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0055】
なかでも、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現とを両立する観点から、アミノエチルスルホン酸塩、アミノ酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アミノエチルスルホン酸塩、アミノ酸塩、スルホコハク酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、アミノエチルスルホン酸塩がさらに好ましい。
【0056】
成分(D)の含有量は、優れた洗髪効果の発揮を有効に促進する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上である。また、成分(D)の含有量は、良好な低温安定性を確保する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、またさらに好ましくは9質量%以下である。そして、成分(D)の含有量は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01~30質量%であり、より好ましくは0.05~15質量%であり、さらに好ましくは0.1~12質量%であり、またさらに好ましくは1~9質量%である。
【0057】
成分(D)に、炭素数16以外の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が含まれる場合、泡の滑らかさ及び低温安定性を向上させる観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中の内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量))は、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、よりさらに好ましくは0.8以上であり、よりさらに好ましくは0.85以上であり、よりさらに好ましくは0.9以上であり、よりさらに好ましくは0.95以上である。
【0058】
成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。また、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、優れた洗髪効果をも有効に兼ね備える観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは9以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、好ましくは0.01~100であり、より好ましくは0.05~25であり、さらに好ましくは0.1~9である。
【0059】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、上記成分と相まって、優れた洗髪効果の発揮と良好な低温安定性の発現を一層確実にする観点から、カチオン性ポリマー(E)を含有することができる。ここで「カチオン性ポリマー」とは、水に溶解したとき陽イオン化する置換基を有するポリマーを意味する。
【0060】
成分(E)としては、具体的には、カチオン化ポリガラクトマンナン、カチオン化ヒドロキシアルキルセルロース、ジアリル四級アンモニウム塩重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含む共重合体、及び架橋型カチオン性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
カチオン化ポリガラクトマンナンとしては、より具体的には、カチオン化グアガム、カチオン化タラガム、及びカチオン化ローカストビーンガム等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
カチオン化ヒドロキシアルキルセルロースとしては、より具体的には、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、及びカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース等から選ばれる1種又は2種が挙げられる。
ジアリル四級アンモニウム塩重合体としては、より具体的には、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/アクリルアミド共重合体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含む共重合体としては、アクリル酸/アクリル酸メチル/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、及びアクリル酸/アクリルアミド/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
架橋型カチオン性ポリマーとしては、より具体的には、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体等が挙げられる。
なかでも、カチオン化ヒドロキシアルキルセルロース、及び架橋型カチオン性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースがさらに好ましい。
【0061】
成分(E)の含有量は、優れた洗髪効果の発揮を有効に促進する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、成分(E)の含有量は、良好な低温安定性を確保する観点から、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。そして、成分(E)の含有量は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物中に、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~3質量%であり、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
【0062】
成分(A)の含有量と成分(E)の含有量との質量比((A)/(E))は、良好なハンドリング性を発揮する観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上である。また、成分(A)の含有量と成分(E)の含有量との質量比((A)/(E))は、成分(A)の不要な析出を有効に抑制して、良好な低温安定性を発揮する観点から、好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下であり、さらに好ましくは100以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(E)の含有量との質量比((A)/(E))は、好ましくは1~1000であり、より好ましくは5~500であり、さらに好ましくは10~100である。
【0063】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、原料オレフィンをスルホン化して成分(A)を得る際に媒体ともなり得る水、減粘剤、多価アルコール類、防腐剤、還元剤のほか、通常の化粧品原料として用いられる他の成分を含有することができる。かかる成分としては、感触向上剤、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、着色剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、パール光沢剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0064】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、洗浄時の泡立ちの観点から、5%水分散液のpHとして、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは3.2以上であり、さらに好ましくは4.3以上である。また、本発明の毛髪用洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、毛髪等の絡まり抑制の観点から、5%水分散液のpHとして、好ましくは7.0以下であり、より好ましくは6.5以下であり、さらに好ましくは6.0以下である。そして、本発明の毛髪用洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、5%水分散液のpHとして、好ましくは3.0~7.0であり、より好ましくは3.2~6.5であり、さらに好ましくは4.3~6.0である。
【0065】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、通常、水性媒体を含有する。水性媒体としては、水;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオールが挙げられ、水が好ましい。水性媒体の含有量は、の毛髪用洗浄剤組成物の剤型に応じて適宜選択することができるが、毛髪用洗浄剤組成物中に、通常5~99質量%であり、好ましくは30~98質量%である。
【0066】
このように、本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、毛髪へ適用した際、洗浄時においては良好な泡立ちとともに滑らかな泡質をもたらし、すすぎ時においては毛髪の柔らかさを実感できるという性能を発現するとともに、優れた低温安定性をも有している。
したがって、本発明の毛髪用洗浄剤組成物を用いれば、毛髪の洗浄方法としても有用性が高い。かかる毛髪の洗浄方法とは、具体的には、例えば、予め毛髪を水で湿らせ、本発明の毛髪用洗浄剤組成物を毛髪に塗布して洗浄した後、水ですすぐ洗浄方法である。
また、本発明の毛髪用洗浄剤組成物を用いれば、毛髪用洗浄剤組成物の低温安定化方法としても有用性が高い。
【0067】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の毛髪用洗浄剤組成物を開示する。
[1]次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩
(B)両性界面活性剤
(C)ノニオン界面活性剤
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1以上50以下である毛髪用洗浄剤組成物。
[2]成分(A)を形成する炭素数16の原料オレフィンにおける平均二重結合位置が、好ましくは4.0位以上であり、より好ましくは4.1位以上であり、好ましくは4.4位以下であり、より好ましくは4.3位以下である上記[1]の毛髪用洗浄剤組成物。
[3]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が2位である原料オレフィンの含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは32質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下である上記[1]又は[2]の毛髪用洗浄剤組成物。
[4]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が3位である原料オレフィンの含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは14質量%以上であり、さらに好ましくは16質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは24質量%以下であり、さらに好ましくは19質量%以下である上記[1]~[3]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0068】
[5]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が4位である原料オレフィンの含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは17質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは19質量%以下である上記[1]~[4]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[6]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が5位である原料オレフィンの含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは13質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは19質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である上記[1]~[5]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[7]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が6位である原料オレフィンの含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは11質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以下である上記[1]~[6]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[8]炭素数16の原料オレフィンにおいて、二重結合位置が7位又は8位である原料オレフィンの合計含有量が、炭素数16の原料オレフィン中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは22質量%以下であり、さらに好ましくは16質量%以下である上記[1]~[7]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0069】
[9]成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が1位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは55質量%以上であり、好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは68質量%以下である上記[1]~[8]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[10]成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは13質量%以上であり、さらに好ましくは17質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である上記[1]~[9]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[11]成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、スルホン酸基が3位に存在する内部オレフィンスルホン酸又はその塩の含有量が、成分(A)中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である上記[1]~[10]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0070】
[12]成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩において、ヒドロキシ体(HAS)の含有量とオレフィン体(IOS)の含有量との質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)が、好ましくは50/50~100/0であり、より好ましくは60/40~100/0であり、さらに好ましくは70/30~100/0であり、またさらに好ましくは75/25~100/0であり、またより好ましくは75/25~95/5である上記[1]~[11]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[13]成分(A)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、またさらにより好ましくは5質量%以上であり、またさらにより好ましくは5.5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、またさらに好ましくは10質量%以下であり、またよりさらに好ましくは8.8質量%以下である上記[1]~[12]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0071】
[14]成分(B)が、好ましくはカルボベタイン、及びスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤であり、より好ましくは炭素数6~22、好ましくは炭素数8~18のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン、及びスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、及びラウリルスルホベタインから選ばれる1種又は2種以上であり、よりさらに好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタインら選ばれる1種又は2種である上記[1]~[13]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[15]成分(B)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、またさらにより好ましくは1.2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下であり、またさらに好ましくは10質量%以下であり、またさらにより好ましくは5質量%以下であり、またさらにより好ましくは4.8質量%以下である上記[1]~[14]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[16]成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が、好ましくは1.2以上であり、好ましくは25以下であり、より好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下であり、よりさらに好ましくは8以下である上記[1]~[15]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0072】
[17]成分(C)が、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、及びアルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上のノニオン界面活性剤であり、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、オキシエチレン基の平均付加モル数が3~50であるのがより好ましく、4~16であるのがさらに好ましく、アルキルグリコシドとして、アルキル基の炭素数が6~22であるのがより好ましく、炭素数8~22のものがさらに好ましく、アルキルグリセリルエーテルとして、アルキル基の炭素数が6~22であるのがより好ましく、炭素数8~22のものがさらに好ましい上記[1]~[16]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[18]成分(C)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、またさらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下であり、またさらに好ましくは6質量%以下である上記[1]~[17]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0073】
[19]成分(A)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((A)/(C))が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上であり、よりさらに好ましくは1以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは9以下であり、またさらに好ましくは8.8以下であり、またよりさらに好ましくは4.8以下である上記[1]~[18]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[20]成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上であり、よりさらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは10以下であり、またさらに好ましくは8以下であり、またさらにより好ましくは4以下である上記[1]~[19]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[21]成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との合計は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下である上記[1]~[20]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[22]成分(A)の炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムである上記[1]~[21]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
[23]成分(D)に炭素数16以外の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が含まれる場合における、毛髪用洗浄剤組成物中の内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量))は、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、よりさらに好ましくは0.8以上であり、よりさらに好ましくは0.85以上であり、よりさらに好ましくは0.9以上であり、よりさらに好ましくは0.95以上である上記[1]~[22]いずれか1の毛髪用洗浄剤組成物。
【0074】
[24]次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩
(B)両性界面活性剤
(C)ノニオン界面活性剤
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1以上50以下である毛髪用洗浄剤組成物を毛髪に適用する、毛髪の洗浄方法。
[25]成分(D)に炭素数16以外の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が含まれる場合における、毛髪用洗浄剤組成物中の内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量))は、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、よりさらに好ましくは0.8以上であり、よりさらに好ましくは0.85以上であり、よりさらに好ましくは0.9以上であり、よりさらに好ましくは0.95以上である上記[24]の毛髪の洗浄方法。
【0075】
[26]次の成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩
(B)両性界面活性剤
(C)ノニオン界面活性剤
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1以上50以下である毛髪用洗浄剤組成物による、毛髪用洗浄剤組成物の低温安定化方法。
[27]成分(D)に炭素数16以外の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が含まれる場合における、毛髪用洗浄剤組成物中の内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量))は、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、よりさらに好ましくは0.8以上であり、よりさらに好ましくは0.85以上であり、よりさらに好ましくは0.9以上であり、よりさらに好ましくは0.95以上である上記[26]の毛髪用洗浄剤組成物の低温安定化方法。
【0076】
[28]成分(A)~(C):
(A)平均二重結合位置が3.9位以上4.5位以下である炭素数16の原料オレフィンをスルホン化してなる、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸又はその塩
(B)両性界面活性剤
(C)ノニオン界面活性剤
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が1以上50以下である毛髪用洗浄剤組成物の、低温安定化を図るための使用。
[29]成分(D)に炭素数16以外の内部オレフィンスルホン酸又はその塩が含まれる場合における、毛髪用洗浄剤組成物中の内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(内部オレフィンスルホン酸又はその塩の総量))は、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.6以上であり、よりさらに好ましくは0.8以上であり、よりさらに好ましくは0.85以上であり、よりさらに好ましくは0.9以上であり、よりさらに好ましくは0.95以上である上記[28]の低温安定化を図るための使用。
【実施例
【0077】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
また、各種物性の測定方法は以下のとおりである。
【0078】
[各種物性の測定方法]
(i)原料オレフィンの二重結合位置の測定方法
原料オレフィンの二重結合位置は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、原料オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。結果、それぞれのピーク面積より原料オレフィンの二重結合位置を求めた。
なお、測定に使用した装置及び分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:HP6890,HEWLETT PACKARD社製)、カラム(商品名:Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量4.6mL/分
【0079】
(ii)内部オレフィンスルホン酸ナトリウムのスルホン酸基結合位置に応じた含有量の測定方法
スルホン酸基が結合している内部オレフィンスルホン酸ナトリウムについて、そのスルホン酸基結合位置に応じた各内部オレフィンスルホン酸ナトリウム含有量は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(HPLC-MS)により測定した。具体的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりスルホン酸基が結合しているヒドロキシ体を分離し、それぞれを質量分析計(MS)にかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の含有量を求めた。
なお、測定に使用した装置及び条件は次の通りであった。HPLC装置「LD20ASXR」((株)島津製作所製)、カラム「ODS Hypersil(登録商標)」(4.6×250mm、粒子サイズ:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加 メタクリロニトリル/水=95/5(v/v)溶液)、グラジェント(0分(A/B=60/40)→15.1~20分(30/70)→20.1~30分(60/40)、MS装置「LCMS-2020」((株)島津製作所製)、ESI検出(陰イオン検出m/z:321.10(炭素数16又は18の(A)成分))、カラム温度(40℃)、流速(0.5mL/min)、インジェクション容量(5μL)
【0080】
(iii)ヒドロキシ体/オレフィン体の質量比の測定方法
内部オレフィンスルホン酸ナトリウムのヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC-MSにより測定した。具体的には、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。
なお、測定に使用した装置および条件は次の通りである。HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:L-columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、グラジェント(0分(A/B=30/70%)→10分(30/70%)→55分(0/100%)→65分(0/100%)→66分(30/70%)→75分(30/70%))、MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D)),MS検出(陰イオン検出 m/z60-1600、UV240nm)
【0081】
(iv)原料オレフィンの含有量の測定方法
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム中の未反応原料オレフィンの含有量は、GCにより測定した。具体的には、内部オレフィンスルホン酸ナトリウム水溶液にエタノールと石油エーテルを添加した後、抽出し石油エーテル相にオレフィンを得た。結果、そのGCピーク面積から原料オレフィンを定量した。
なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:アジレントテクノロジー6850,アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム15m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量3.8mL/分
【0082】
(v)無機化合物の含有量の測定方法
無機化合物の含有量は、電位差滴定や中和滴定により測定した。具体的には、Na2SO4の含有量は、硫酸根(SO4 2-)を電位差滴定によって求めることで定量した。また、NaOHの含有量は、希塩酸で中和滴定することで定量した。
【0083】
[製造例a1:炭素数16の原料オレフィンa1の製造]
攪拌装置付きフラスコに1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)350g(原料アルコールに対して5質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/min)を流通させながら8時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%であった。得られた粗アルケンオレフィンを蒸留用フラスコに移し、136~160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa1を得た。得られた原料オレフィンa1の二重結合分布は、C1位1.8質量%、C2位21.8質量%、C3位18.7質量%、C4位18.6質量%、C5位14.3質量%、C6位11.4質量%、C7、8位の合計が13.6質量%であり、平均二重結合位置が4.17であった。
【0084】
[製造例a2:炭素数16の原料オレフィンa2の製造]
反応時間を7.5時間に変更した以外、製造例a1と同様にして、オレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa2を得た。得られた原料オレフィンa2の二重結合分布は、C1位2.4質量%、C2位23.2質量%、C3位18.7質量%、C4位18.2質量%、C5位13.9質量%、C6位11.2質量%、C7、8位の合計が12.4質量%であり、平均二重結合位置が4.08であった。
【0085】
[製造例a3:炭素数16の原料オレフィンa3の製造]
反応時間を8.5時間に変更した以外、製造例a1と同様にして、オレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa3を得た。得られた原料オレフィンa3の二重結合分布は、C1位2.3質量%、C2位20.7質量%、C3位16.8質量%、C4位17.5質量%、C5位14.7質量%、C6位12.9質量%、C7、8位の合計が15.2質量%であり、平均二重結合位置が4.28であった。
【0086】
[製造例a4:炭素数16の原料オレフィンa4の製造]
反応時間を6時間に変更した以外、製造例a1と同様にして、オレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa4を得た。得られた原料オレフィンa4の二重結合分布は、C1位2.4質量%、C2位31.8質量%、C3位23.7質量%、C4位16.9質量%、C5位10.3質量%、C6位7.1質量%、C7、8位の合計が7.9質量%であり、平均二重結合位置が3.58であった。
【0087】
[製造例a5:炭素数16の原料オレフィンa5の製造]
反応時間を11時間に変更した以外、製造例a1と同様にして、オレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa5を得た。得られた原料オレフィンa5の二重結合分布は、C1位0.4質量%、C2位15.4質量%、C3位13.8質量%、C4位15.3質量%、C5位18.5質量%、C6位15.0質量%、C7、8位の合計が21.6質量%であり、平均二重結合位置が4.78であった。
【0088】
[製造例a6:炭素数18の原料オレフィンa6の製造]
攪拌装置付きフラスコに1-オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王社製)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/min)を流通させながら11時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%であった。得られた粗アルケン内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、148~158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数18の原料オレフィンa6を得た。得られた原料オレフィンa6の二重結合分布は、C1位1.8質量%、C2位26.4質量%、C3位21.1質量%、C4位17.5質量%、C5位11.7質量%、C6位8.3質量%、C7位5.9質量%、C8、9位の合計が7.4質量%であり、平均二重結合位置が4.00であった。
【0089】
[製造例1:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA1の製造]
製造例a1で得られた原料オレフィンa1を、外部にジャケットを有する薄膜式スルホン化反応器に入れ、反応器外部ジャケットに10℃の冷却水を通液する条件下で三酸化硫黄ガスを用いてスルホン化反応を行った。スルホン化反応の際のSO3/内部オレフィンのモル比は1.01に設定した。得られたスルホン化物を、理論酸価に対して1.04モル倍量の水酸化ナトリウム(アルカリ剤)で調製したアルカリ水溶液と混合し、連続法にて30℃にて1時間中和した。得られた中和物をオートクレーブ中で170℃にて1時間加熱して加水分解を行い、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA1を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA1中に含有される原料オレフィンの含有量は0.4質量%、無機化合物は0.39質量%であった。
【0090】
[製造例2:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA2の製造]
原料オレフィンとして、製造例a2で得られた原料オレフィンa2を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA2を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA2中に含有される原料オレフィンの含有量は0.7質量%、無機化合物は0.49質量%であった。
【0091】
[製造例3:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA3の製造]
原料オレフィンとして、製造例a3で得られた原料オレフィンa3を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA3を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA3中に含有される原料オレフィンの含有量は0.5質量%、無機化合物は0.54質量%であった。
【0092】
[製造例4:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA4の製造]
原料オレフィンとして、製造例a4で得られた原料オレフィンa4を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA4を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA4中に含有される原料オレフィンの含有量は0.4質量%、無機化合物は0.42質量%であった。
【0093】
[製造例5:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA5の製造]
原料オレフィンとして、製造例a5で得られた原料オレフィンa5を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA5を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA5中に含有される原料オレフィンの含有量は0.2質量%、無機化合物は0.43質量%であった。
【0094】
[製造例6:炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA6の製造]
原料オレフィンとして、製造例a6で得られた原料オレフィンa6を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA6を得た。得られた炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA6中に含有される原料オレフィンの含有量は0.5質量%、無機化合物は0.45質量%であった。
【0095】
得られた原料オレフィンa1~6、及び内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA1~6の各物性値について、表1~2に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
[実施例1~14、比較例1~8]
得られた内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA1~A6、又は炭素数14のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムA7(リポランLB-400、ライオン社製)を用い、表3~6に示す組成の毛髪用洗浄剤組成物を常法により調製した。具体的には、成分(A)、成分(B)、及び適量の水、必要に応じて成分(C)をビーカーに取り、60℃に加温して混合し、室温まで冷却した後、水分を補充し、pH調整剤(コハク酸、又はコハク酸二ナトリウム水溶液)でpHを5.6に調整して、各毛髪用洗浄剤組成物を得た。
得られた毛髪用洗浄剤組成物を用い、下記方法にしたがって各評価を行った。
結果を表3~6に示す。
【0099】
《洗髪効果の評価》
下記の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。
(プレーンシャンプーの組成)
(成分) (質量%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 11.3
(エマールE-27C(花王社製、有効分27質量%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド 3.0
(アミノーン C-11S(花王社製))
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
【0100】
質量20g、長さ20cmの日本人未処理毛の毛束を上記プレーンシャンプーで洗浄し、泡立ち評価用の毛束を得た。得られた評価用毛束を35~40℃の温水で十分に湿らせた後、ここに各毛髪用洗浄剤組成物1gを塗布し、1分間洗浄した。5人の専門パネラーにより下記評価基準にしたがって、洗浄時における「良好な泡立ち」、「滑らかな泡質」、すすぎ時における「毛髪の柔らかさ」の各項目につき点数評価を行い、その平均値を求めた。
なお、かかる平均値「3」を標準とし、評価の指標とした。5人のパネラーの平均評点が3点以上であれば、合格であると判断した。
【0101】
7:非常によい
6:よりよい
5:よい
4:ややよい
3:標準
2:よくない
1:非常によくない
【0102】
《低温安定性の評価》
得られた各毛髪用洗浄剤組成物をスクリュー瓶に入れ、-5℃の恒温槽に格納した。次いで、下記基準にしたがって、時間の経過により析出物が生成するか否かを視認し、評価を行った。
a:6時間経過しても析出物の生成が確認されなかった
b:5時間以上6時間未満経過する間において、析出物の生成が確認された
c:5時間未満経過するまでに、析出物の生成が確認された
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】