(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】シュレム管を標的とするTie-2活性化物質
(51)【国際特許分類】
A61K 31/427 20060101AFI20241002BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241002BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20241002BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241002BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241002BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20241002BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20241002BHJP
A61K 31/428 20060101ALN20241002BHJP
A61K 31/497 20060101ALN20241002BHJP
A61K 31/433 20060101ALN20241002BHJP
A61K 31/426 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
A61K31/427
A61P27/02
A61P27/06
A61P43/00 111
A61K9/08
A61K47/36
A61K47/40
A61K45/00
A61K31/428
A61K31/497
A61K31/433
A61K31/426
(21)【出願番号】P 2021564557
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020030224
(87)【国際公開番号】W WO2020223209
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522129856
【氏名又は名称】アイポイント ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ピータース, ケビン
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528273(JP,A)
【文献】特表2016-516068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流出を
増加させることを必要とする被験体の眼において流体流出を
増加させるための、Tie-2活性化物質を含む組成物であって、前記組成物が、治療有効量の前記Tie-2活性化物質を含んで前記被験体に投与されることを特徴とし、前記組成物の前記投与が、投与しない場合と比較して、前記流体流出を少なくとも
30%
増加させ、
前記Tie-2活性化物質が、式
【化102】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、
前記投与が、前記被験体の前記眼の眼圧を少なくとも25%低下させる、組成物。
【請求項2】
前記投与によって
増加される前記流体流出が、房水の流出である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記投与が、前記被験体の前記眼の眼圧を少なくとも
30%低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の前記投与により、前記被験体のシュレム管でTie-2が活性化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体のシュレム管でHPTPβに結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体のシュレム管でHPTPβを阻害する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記流体流出が、2nL/分/mmHgから4nL/分/mmHg増加する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
前記投与が局所的である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記投与が、前記被験体の前記眼に局所的である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記投与が皮下投与、静脈内投与、硝子体内投与、筋肉内投与、経口投与、直腸投与、エアロゾル投与、非経口投与、点眼、肺投与、経皮投与、膣内投与、耳内投与、鼻腔内投与、眼球内投与、および局所投与から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記被験体に単位剤形として投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記単位剤形が液滴として製剤化されている、請求項1
1に記載の組成物。
【請求項13】
前記液滴が、前記単位剤形の1質量%~5質量%の量の前記Tie-2活性化物質を含む、請求項1
2に記載の組成物。
【請求項14】
前記液滴が、薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、請求項1
2に記載の組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、請求項1
4に記載の組成物。
【請求項16】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、請求項1
4に記載の組成物。
【請求項17】
流体流出を
増加させることを必要とする被験体の眼において流体流出を
増加させるための、単位剤形中にTie-2活性化物質を含む組成物であって、前記組成物が、治療有効量の前記Tie-2活性化物質を含んで前記被験体の眼に局所投与されることを特徴とし、前記組成物の前記投与が、投与しない場合と比較して、前記流体流出を少なくとも
30%
増加させ、前記Tie-2活性化物質が、式
【化103】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、前記単位剤形が10μMの前記Tie-2活性化物質を含
み、
前記投与が、前記被験体の前記眼の眼圧を少なくとも25%低下させる、組成物。
【請求項18】
前記投与が前記被験体の前記眼の流出能を増加させる、請求項1
7に記載の組成物。
【請求項19】
前記投与が、前記被験体の前記眼における房水の流出を増加させる、請求項1
7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2019年4月29日付で出願された米国特許仮出願第62/840,068号明細書の利益を主張し、その内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
開放隅角緑内障(OAG)は、世界中の失明の主な原因である。OAGの主なリスク因子は、眼圧(IOP)の上昇である。アンジオポエチン/Tie2経路は、シュレム管(SC)の発生および維持に関与しており、シュレム管は通常の流出(conventional outflow:CO)経路の中心的な構成要素である。この経路は、眼内の圧力をある程度調節する。
【0003】
参照による組み込み
本願において引用される各特許、刊行物および非特許文献は、その各々が個別に参照により援用されている場合と同様にその全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
いくつかの実施形態において、本発明は、流体流出を調節することを必要とする被験体の眼において流体流出を調節するための方法を提供する。この方法は、治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、Tie-2活性化物質を被験体に投与すると、投与しない場合と比較して、流体流出が少なくとも約20%調節される。
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明は、シュレム管の面積を増加させることを必要とする被験体のシュレム管の面積を増加させるための方法を提供する。この方法は、被験体に治療有効量のTie-2活性化物質を投与することを含み、Tie-2活性化物質を被験体に投与すると、投与しない場合と比較して、シュレム管の面積が少なくとも約10%増加する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、糖尿病性眼疾患の正常眼圧患者の眼圧(IOP)に対する、化合物1単独で、または硝子体内ラニビズマブに対する補助剤としての皮下効果を示している。
【0007】
【
図1B】
図1Bは、化合物1を投与されたすべての患者、化合物1のみを投与された患者、化合物1+ラニビズマブを投与された患者、およびプラセボを投与された患者における、患者レベルのIOPのベースラインからの平均的な経時変化を示している。
【0008】
【
図1C】
図1Cは、ベースラインIOPの関数としての、患者レベルのIOPのベースラインからの変化を示している。
【0009】
【
図1D】
図1Dは、化合物1 15mgをQDで、化合物1 15mgをBIDで、およびプラセボを投与されたすべての患者における、患者レベルのIOPのベースラインからの平均的な経時変化を示している。
【0010】
【
図2】
図2は、糖尿病黄斑浮腫(DME)のない重度の非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)の患者のIOPに対する、48週間にわたって1日1回(QD)および1日2回(BID)投与された化合物1の効果を示している。
【0011】
【
図3A】
図3Aは、化合物1を眼局所投与または皮下投与した正常眼圧のニュージーランド白ウサギにおける、8日間にわたるビヒクル対照と比較したIOPの毎日の平均的な変化を示している。
【0012】
【
図3B】
図3Bは、正常眼圧のニュージーランド白ウサギにQDまたはBID投与した4%化合物1 TOの7日間にわたるIOP値の曲線下面積(AOC)を示している。
【0013】
【
図3C】
図3Cは、化合物1を眼局所または皮下に投与したニュージーランド白ウサギにおける0日目のベースラインと比較した、処置終了時(7日目)および最後の投与から24時間後(8日目)のIOPの低下を示している。
【0014】
【
図4A】
図4Aは、3日間にわたり4%化合物1(w/w)をQD投与したC57マウスで観察されたIOPの変化を示している。
【0015】
【
図4B】
図4Bは、3日間にわたり4%化合物1(w/w)をQD投与したC57マウスで観察されたプラセボと比較したIOPの違いを示している。
【0016】
【
図4C】
図4Cは、4%化合物1(w/w)とプラセボを3日間QD投与したマウスの眼において観察された流出能を示している。
【0017】
【
図5A】
図5Aは、野生型(VE-PTP+/+)またはヘテロ接合ノックインマウス(VE-PTP+/mut)のいずれかの成体マウスの眼のシュレム管内皮細胞におけるVE-PTPの発現を示している。
【0018】
【
図5B】
図5Bは、VE-PTP(左上)またはVE-カドヘリン(右上)に特異的な抗体で染色した成体VE-PTP
+/+マウスの眼の矢状断面におけるVE-PTPおよびVE-カドヘリン発現、および、ヘテロ接合ノックアウトマウス(VE-PTP
+/mut、下部)におけるVE-PTPおよびVE-カドヘリン発現を示している。
【0019】
【
図5C】
図5Cは、PECAM-1、Prox-1、およびTie-2で染色されたVE-PTP+/+またはVE-PTP+/mutマウスの成体マウスの眼の免疫蛍光分析を示している。
【0020】
【
図5D】
図5Dは、化合物1またはビヒクルのいずれかで1時間局所的に処置され、PECAM-1、pY992-Tie-2および全Tie-2について染色された成体マウスの眼のホールマウント免疫蛍光染色を示している。
【0021】
【
図6A】
図6Aは、4%の化合物1またはビヒクルを含有する点眼薬(5μL)で4週間、BIDで処置した4週齢のマウスにおけるPECAM-1で染色したシュレム管の相対的なサイズを示している。
【0022】
【
図6B】
図6Bは、4%の化合物1およびビヒクルで処置したマウスの眼で測定された平均SC面積をまとめている。
【0023】
【
図7】
図7は、VE-PTP(HPTP-β)およびCD31の発現が、ヒトドナー細胞由来のヒトSCで見られたことを示している。
【0024】
【
図8】
図8は、本明細書に開示される第1B相治験の試験デザインを示している。
【0025】
【
図9】
図9は、ANCOVAモデルが化合物1のIOP低下における用量反応を支持したことを示している。
【0026】
【
図10】
図10は、処置レジメンの1日目と7日目で投与後2、4、8時間にIOPがベースラインから大幅に低下したことを示している。
【0027】
【
図11】
図11は、7日目の投与前0時間の時点(前回の投与から12時間後)でIOPの低下が持続していたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
ヒトでは、Tie-2活性化の負の調節因子であるVE-PTP(HPTP-β)はSC内皮で発現するが、線維柱帯では発現しない。Tie-2活性化物質の局所眼内投与は、SC内皮におけるTie-2活性化を増加させ、IOPを低下させ、流出能を増加させることができる。これらの効果は、VE-PTPがSCのバリア機能を選択的に標的とすることにより、SCのレベルで通常の流出のホメオスタシスのTie-2媒介性調節に関与して眼圧を低下させることができることを示している。
シュレム管
【0029】
シュレム管(SC)は、Prox1、VEGFR3、およびインテグリン鎖α9などのリンパ管内皮マーカーを発現する。SC内皮は、Tie-2、VEGFR2、PECAM1/CD31、およびエンドムチンなどの血管内皮マーカーも発現する。BMPR2とVEGFR-3は物理的に結合して、VEGFR-3がBMR媒介性受容体刺激と、SMADリン酸化およびDNA結合阻害(ID)遺伝子転写などの下流シグナル伝達に必要とされる複合体を形成することができる。VEGFR-3によってコードされるチロシンキナーゼの不活性化は、先天性遺伝性リンパ浮腫に関連している可能性があり得る。VEGFR-3は、シュレム管の発達に不可欠であり得、シュレム管におけるリンパ脈管新生の重要な調節因子となり得る。
【0030】
OAGは、網膜神経節細胞の死、視神経の変性、および進行性の視力喪失を特徴としている。眼圧(IOP)の上昇は、OAGの基本かつ主な変更可能なリスク因子である。IOPを効果的に下げることにより、視力喪失を遅らせ、その可能性を低くすることができる。
通常の流出(CO)経路。
【0031】
線維柱帯(TM)とSCを含むCO経路は、健康な眼では狭い範囲でIOPを調節し、OAGでは水流出に対する抵抗が増大する部位である。IOPを低下させる治療法は、房水の形成を減少させるか、または二次的なブドウ膜強膜流出経路からの流出を増加させることによって機能する。CO経路の病理を標的とした薬剤の開発は、単独での、または緑内障を処置する薬剤と組み合わせた処置の有効性の改善(REFS)に役立つ。
【0032】
アンジオポエチン(Angpt)-免疫グロブリン様ドメインおよびEGF様ドメイン2(Tie-2)経路を持つチロシンキナーゼは、CO経路の発生および維持において重要である。Tie-2は、発生中も、成熟したSC内腔が形成された後も、SC内皮細胞で発現し、活性化される。マウスの出生直後の発達の初期にTie-2またはTie-2リガンド(Angpt1およびAngpt2)の条件付きノックアウトによってTie-2経路を破壊すると、SC形成の失敗を引き起こす可能性がある。SC形成の失敗は、IOPの上昇およびヒト先天性緑内障に似た視神経病理に関連する可能性がある。同様に、8週齢のマウスのTie-2経路を破壊すると、SCの変性、IOPの上昇、およびOAGに似た視神経の病理が引き起こされ得る。Tie-2とAngpt1の両方の機能喪失変異は、先天性緑内障のリスクに関連している可能性があり、Angpt1プロモーター領域の一塩基多型はOAGリスクに関連している可能性がある。
【0033】
Tie-2を活性化する化合物は、例えば、腎症、急性腎障害、癌、急性肺傷害(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む全身性血管漏出症候群、高血圧緊急症/切迫症を含む高血圧症、肺動脈高血圧症、肝腎症候群、脳血管漏出、および脳浮腫をはじめとする、血管の安定性に関連する障害および損傷を処置することができる。
【0034】
Tie-2を活性化する化合物は、例えば、網膜症、眼球浮腫、および眼の血管新生を含む、眼の血管網の障害を処置することができる。網膜症、眼球浮腫、または新生血管を伴う疾患または症状の非限定的な例としては、例えば、糖尿病性黄斑浮腫、加齢黄斑変性(湿潤型)、脈絡膜新生血管、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症(中心または分枝)、眼球外傷、手術による浮腫、手術による新生血管、嚢胞性黄斑浮腫、眼球虚血、ブドウ膜炎が挙げられる。これらの疾患または状態は、進行性か非進行性かどうか、急性の疾患または症状の結果であるか慢性の疾患または症状の結果であるかどうかにかかわらず、眼の脈管構造の変化を特徴とする。
【0035】
Tie-2を活性化する化合物は、前眼房からの房水流出の機能障害に関連する障害を処置することもでき、例えば、緑内障、原発性緑内障、偽剥離性緑内障、色素性緑内障、原発性若年性緑内障、開放隅角緑内障、広隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、先天性緑内障、後天性緑内障、続発性緑内障、炎症性緑内障、水晶体性緑内障、または血管新生緑内障が挙げられる。いくつかの例では、本開示のTie-2活性化物質は、線維柱帯に関連する脈管構造を安定化させ、眼圧を低下させ、高眼圧症を処置することができる。
Tie-2のモジュレーター
【0036】
本明細書に開示される化合物は、Tie-2モジュレーターとして有効であり得る。本明細書に開示される化合物は、Tie-2を活性化することができる。化合物は、例えば、HPTB-βに結合するかまたはこれを阻害することにより、その活性に影響を与えることができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、被験体のシュレム管内のHPTPβに結合するかまたはこれを阻害することができる。そのような化合物は、例えば、リン酸化化合物などの天然基質の結合機構を模倣することによって結合することができる。化合物は、リン酸模倣物または生物学的等価体、例えば、スルファミン酸であり得る。化合物はまた、合成の効率と経済性のために、アミノ酸ビルディングブロックに由来するか、またはアミノ酸骨格を含むこともできる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、式
【化1】
の化合物{式中、
Aryl
1は、置換または非置換のアリール基であり、Aryl
2は、置換または非置換のアリール基であり、Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、ウレイド結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり、Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSO
2R
gまたはNHCOR
g(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、または
【化2】
(式中、
L
2は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、ウレイド結合、もしくはスルホンアミド結合または化学結合を形成するか、またはR
a、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
a、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
cのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し、R
gは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である)}またはその薬学的に許容され得る塩、互変異性体、もしくは双性イオンである。
【0038】
いくつかの実施形態において、Aryl1は、置換もしくは非置換のフェニルであり、Aryl2は、置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、Xはアルキレンである。いくつかの実施形態において、Aryl1は置換フェニルであり、Aryl2は置換ヘテロアリールであり、Xはメチレンである。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物は式
【化3】
の化合物(式中、
Aryl
1はパラ置換フェニルであり、Aryl
2は置換ヘテロアリールであり、Xは、メチレンである。L
2は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、ウレイド結合、またはスルホンアミド結合または化学結合を形成する。R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである)である。
【0040】
いくつかの実施形態において、Aryl1はパラ置換フェニルであり、Aryl2はチアゾール部分である。Xは、メチレンであり、L2は、Lが結合している窒素原子と一緒になって、カルバメート結合を形成し、Raは、置換または非置換のアルキルであり、Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、Rcは、Hであり、Rdは、Hである。
【0041】
いくつかの実施形態において、Aryl
2は、
【化4】
であり、式中、R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、ウレイド結合、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、ウレイド結合、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。
【0042】
いくつかの実施形態において、Reは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、Rfは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。いくつかの実施形態において、Reは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、Rfは、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。いくつかの実施形態において、Aryl1は、4-フェニルスルファミン酸であり、Raは、置換または非置換のアルキルであり、Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、Reは、Hであり、Rfは、ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Aryl1は、4-フェニルスルファミン酸であり、Raは、置換または非置換のアルキルであり、Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、Reは、Hであり、Rfは、アリールである。
【0043】
いくつかの実施形態において、Aryl
2は、
【化5】
であり、式中、R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、ウレイド結合、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、ウレイド結合、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。いくつかの実施形態において、R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。いくつかの実施形態において、R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、R
fは、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である。いくつかの実施形態において、Aryl
1は、4-フェニルスルファミン酸であり、R
aは、置換または非置換のアルキルであり、R
bは、置換または非置換のアリールアルキルであり、R
eは、Hであり、R
fは、ヘテロアリールである。
【0044】
いくつかの実施形態において、置換フェニル基は、
【化6】
であり、式中、
R
ph1、R
ph2、R
ph3、R
ph4、およびR
ph5の各々は、独立して、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、スルファミン酸、トシレート、メシレート、トリフラート、ベシレート、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホンアミド基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、ウレイド基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。
化学基の必要に応じた置換基
【0045】
必要に応じた置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アジド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホンアミド基、カルボキシル基、カルボキシアルデヒド基、イミン基、アルキル基、ハロ-アルキル基、アルケニル基、ハロ-アルケニル基、アルキニル基、ハロ-アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、ヘテロシクリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバメート基、アミド基、ウレイド基およびエステル基が挙げられる。
以下は、水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である:
i)C1~C12の直鎖、分枝状、または環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C1)、エチル(C2)、エテニル(C2)、エチニル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、シクロプロピル(C3)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、シクロブチル(C4)、ブテン-4-イル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6);
ii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C10)またはナフチレン-2-イル(C10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9複素環;
v)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール環;
vi)-(CR102aR102b)aOR101;例えば、-OH、-CH2OH、-OCH3、-CH2OCH3、-OCH2CH3、-CH2OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、および-CH2OCH2CH2CH3;
vii)-(CR102aR102b)aC(O)R101;例えば、-COCH3、-CH2COCH3、-COCH2CH3、-CH2COCH2CH3、-COCH2CH2CH3、および-CH2COCH2CH2CH3;
viii)-(CR102aR102b)aC(O)OR101;例えば、-CO2CH3、-CH2CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CH2CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、および-CH2CO2CH2CH2CH3;
ix)-(CR102aR102b)aC(O)N(R101)2;例えば、-CONH2、-CH2CONH2、-CONHCH3、-CH2CONHCH3、-CON(CH3)2、および-CH2CON(CH3)2;
x)-(CR102aR102b)aN(R101)2;例えば、-NH2、-CH2NH2、-NHCH3、-CH2NHCH3、-N(CH3)2、および-CH2N(CH3)2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR102aR102b)aCN;
xiii)-(CR102aR102b)aNO2;
xiv)-CHjXk;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3である);例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CCl3、または-CBr3;
xv)-(CR102aR102b)aSR101;-SH、-CH2SH、-SCH3、-CH2SCH3、-SC6H5、および-CH2SC6H5;
xvi)-(CR102aR102b)aSO2R101;例えば、-SO2H、-CH2SO2H、-SO2CH3、-CH2SO2CH3、-SO2C6H5、および-CH2SO2C6H5;および
xvii)-(CR102aR102b)aSO3R101;例えば、-SO3H、-CH2SO3H、-SO3CH3、-CH2SO3CH3、-SO3C6H5、および-CH2SO3C6H5;
ここで、各R101は、独立して、水素、置換もしくは非置換C1~C6の直鎖、分枝状、または環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環式、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR101単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R102aとR102bは、各々独立して、水素またはC1~C4の直鎖または分枝状アルキルであり、添え字「a」は、0から4である。
【0046】
アルキルおよびアルキレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルキルおよびアルキレン基が挙げられる。アルキル基は、例えば、置換または非置換の、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
【0047】
直鎖アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。
【0048】
分枝状アルキル基には、任意の数のアルキル基で置換された任意の直鎖アルキル基が含まれる。分枝状アルキル基の非限定的な例としては、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルが挙げられる。
【0049】
環式アルキル基の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル(cycloheptlyl)およびシクロオクチル基が挙げられる。環式アルキル基には、縮合二環式化合物(bicycles)、架橋二環式化合物およびスピロ二環式化合物、ならびに高次の縮合系、架橋系およびスピロ系も含まれる。環式アルキル基は、任意の数の直鎖、分枝状または環式のアルキル基で置換され得る。
【0050】
アルケニルおよびアルケニレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基のオレフィン(単数または複数)は、例えば、E、Z、cis、trans、末端またはエキソ-メチレンであり得る。アルケニルまたはアルケニレン基は、例えば、置換または非置換の、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
【0051】
アルキニルまたはアルキニレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルキニル基が挙げられる。アルキニル(alkylnyl)またはアルキニレン基の三重結合は、内部または末端に存在し得る。アルキニルまたはアルキニレン基は、例えば、置換または非置換の、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
置換および非置換非環式ヒドロカルビルの非限定的な例としては、以下が挙げられる:
1)直鎖または分枝状アルキル。その非限定的な例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、および同類のものが挙げられる;置換直鎖または分枝状アルキル、その非限定的な例としては、ヒドロキシメチル(C1)、クロロメチル(C1)、トリフルオロメチル(C1)、アミノメチル(C1)、1-クロロエチル(C2)、2-ヒドロキシエチル(C2)、1,2-ジフルオロエチル(C2)、および3-カルボキシプロピル(C3)が挙げられる。
2)直鎖または分枝状アルケニル。その非限定的な例としてはエテニル(C2)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イルでもある)(C3)、ブテン-4-イル(C4)、および同類のものが挙げられる;置換直鎖または分枝状アルケニル、その非限定的な例としては、2-クロロエテニル(2-クロロビニルでもある)(C2)、4-ヒドロキシブテン-1-イル(C4)、7-ヒドロキシ-7-メチルオクタ-4-エン-2-イル(C9)、および7-ヒドロキシ-7-メチルオクタ-3,5-ジエン-2-イル(C9)が挙げられる。
3)直鎖または分枝状アルキニル。その非限定的な例としては、エチニル(C2)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、および2-メチル-ヘキサ-4-イン-1-イル(C7)が挙げられる;置換直鎖または分枝状アルキニル、その非限定的な例としては、5-ヒドロキシ-5-メチルヘキサ-3-イニル(C7)、6-ヒドロキシ-6-メチルヘプト-3-イン-2-イル(C8)、および5-ヒドロキシ-5-エチルヘプタ-3-イニル(C9)が挙げられる。
【0052】
置換および非置換環式ヒドロカルビルの非限定的な例としては、
3から20個の炭素原子を含む環が挙げられ、前記環を含む原子は炭素原子に限定され、さらに、各環は、1またはそれを超える水素原子を置換できる1またはそれを超える部分で独立して置換されてよい。以下は、置換および非置換炭素環(炭素環式環)の非限定的な例である:
i)単一の置換もしくは非置換炭化水素環を有する炭素環(炭素環式環)。その非限定的な例としては、シクロプロピル(C3)、2-メチル-シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、2,3-ジヒドロキシシクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロペンタジエニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘプチル(C7)、シクロオクタニル(C8)、2,5-ジメチルシクロペンチル(C5)、3,5-ジクロロシクロヘキシル(C6)、4-ヒドロキシシクロヘキシル(C6)、および3,3,5-トリメチルシクロヘキサ-1-イル(C6)が挙げられる。
ii)2またはそれを超える置換もしくは非置換縮合炭化水素環を有する炭素環(炭素環式環)。その非限定的な例としては、オクタヒドロペンタレニル(C8)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C9)、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-3H-インデン-4-イル(C9)、デカヒドロアズレニル(C10)が挙げられる。
iii)置換もしくは非置換の二環式炭化水素環である炭素環(炭素環式環)。その非限定的な例としては、ビシクロ-[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、1,3-ジメチル[2.2.1]ヘプタン-2-イル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、およびビシクロ[3.3.3]ウンデカニルが挙げられる。
【0053】
また、C
1~C
6のテザーリングされた環状ヒドロカルビル単位(炭素環単位、C
6またはC
10アリール単位、複素環単位、またはヘテロアリール単位のいずれか)も含まれ、これはC
1~C
6アルキレン単位を介して分子の別の部分、単位、またはコアに接続することができる。テザーリングされた環状ヒドロカルビル単位の非限定的な例としては、式
【化7】
(式中、R
aは、必要に応じて独立して選択される水素の1またはそれを超える置換基である)を有するベンジルC
1~(C
6)が挙げられる。さらなる例としては、その他のアリール単位、とりわけ、(2-ヒドロキシフェニル)ヘキシルC
6~(C
6);ナフタレン-2-イルメチルC
1~(C
10)、4-フルオロベンジルC
1~(C
6)、2-(3-ヒドロキシフェニル)エチルC
2~(C
6)、ならびに置換および非置換C
3~C
10アルキレン炭素環単位、例えば、シクロプロピルメチルC
1~(C
3)、シクロペンチルエチルC
2~(C
5)、シクロヘキシルメチルC
1~(C
6);が挙げられる。このカテゴリーに含まれるのは、置換および非置換のC
1~C
10アルキレン-ヘテロアリール単位、例えば、式
【化8】
(式中、R
aは、上記に定義される通りである)を有する2-ピコリルC
1~(C
6)単位である。さらに、C
1~C
12のテザーリングされた環状ヒドロカルビル単位には、C
1~C
10アルキレン複素環単位およびアルキレン-ヘテロアリール単位が含まれ、その非限定的な例としては、アジリジニルメチルC
1~(C
2)およびオキサゾール-2-イルメチルC
1~(C
3)が挙げられる。
【0054】
ハロ基は、任意のハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であり得る。
【0055】
ハロアルキル基は、任意の数のハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子で置換された任意のアルキル基であり得る。ハロアルケニル基は、任意の数のハロゲン原子で置換された任意のアルケニル基であり得る。ハロアルキニル基は、任意の数のハロゲン原子で置換された任意のアルキニル基であり得る。
【0056】
アルコキシ基は、例えば、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基で置換された、酸素原子であり得る。エーテルまたはエーテル基は、アルコキシ基を含む。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびイソブトキシが挙げられる。
【0057】
アリール基は、複素環式または非複素環式であり得る。アリール基は、単環式または多環式であり得る。アリール基は、本明細書中に記載される任意の数の置換基、例えば、ヒドロカルビル基、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子で置換され得る。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、トルイル、ナフチル、ピロリル、ピリジル、イミダゾリル、チオフェニルおよびフリルが挙げられる。
【0058】
アリール基の非限定的な例としては、i)C6またはC10の置換もしくは非置換アリール環;置換されているかまたは非置換であるフェニル環およびナフチル環{その非限定的な例としては、フェニル(C6)、ナフチレン-1-イル(C10)、ナフチレン-2-イル(C10)、4-フルオロフェニル(C6)、2-ヒドロキシフェニル(C6)、3-メチルフェニル(C6)、2-アミノ-4-フルオロフェニル(C6)、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル(C6)、2-シアノフェニル(C6)、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル(C6)、3-メトキシフェニル(C6)、8-ヒドロキシナフチレン-2-イル(C10)、4,5-ジメトキシナフチレン-1-イル(C10)、および6-シアノ-ナフチレン-1-イル(C10)が挙げられる};ならびにii)1または2の飽和環と縮合してC8~C20環系を得るC6またはC10のアリール環{その非限定的な例としては、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(C8)、およびインダニル(C9)が挙げられる}を挙げることができる。
【0059】
アリールオキシ基は、例えば、任意のアリール基で置換された酸素原子、例えば、フェノキシであり得る。
【0060】
アラルキル基は、例えば、任意のアリール基で置換された任意のアルキル基、例えば、ベンジルであり得る。
【0061】
アリールアルコキシ基は、例えば、任意のアラルキル基で置換された酸素原子、例えば、ベンジルオキシであり得る。
【0062】
複素環は、炭素ではない環原子、例えば、N、O、S、P、Si、Bまたは他の任意のヘテロ原子を含む任意の環であり得る。複素環は、任意の数の置換基、例えば、アルキル基およびハロゲン原子で置換され得る。複素環は、芳香族(ヘテロアリール)または非芳香族であり得る。複素環の非限定的な例としては、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、スクシンアミド、マレイミド、モルホリン、イミダゾール、チオフェン、フラン、テトラヒドロフラン、ピランおよびテトラヒドロピランが挙げられる。
【0063】
複素環の非限定的な例としては、1またはそれを超えるヘテロ原子を含む単一の環を有する複素環単位{その非限定的な例としては、ジアジリニル(C1)、アジリジニル(C2)、ウラゾリル(C2)、アゼチジニル(C3)、ピラゾリジニル(C3)、イミダゾリジニル(C3)、オキサゾリジニル(C3)、イソキサゾリニル(C3)、チアゾリジニル(C3)、イソチアゾリニル(C3)、オキサチアゾリジノニル(C3)、オキサゾリジノニル(C3)、ヒダントイニル(C3)、テトラヒドロフラニル(C4)、ピロリジニル(C4)、モルホリニル(C4)、ピペラジニル(C4)、ピペリジニル(C4)、ジヒドロピラニル(C5)、テトラヒドロピラニル(C5)、ピペリジン-2-オニル(バレロラクタム)(C5)、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-アゼピニル(C6)、2,3-ジヒドロ-1H-インドール(C8)、および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(C9)が挙げられる};ならびにii)2またはそれを超える環を有し、そのうちの1つが複素環である複素環単位{その非限定的な例としては、ヘキサヒドロ-1H-ピロリジニル(C7)、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾリル(C7)、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-インドリル(C8)、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル(C9)、およびデカヒドロ-1H-シクロオクタ[b]ピロリル(C10)が挙げられる}が挙げられる。
【0064】
ヘテロアリールの非限定的な例としては、i)単一の環を含むヘテロアリール環{その非限定的な例としては、1,2,3,4-テトラゾリル(C1)、[1,2,3]トリアゾリル(C2)、[1,2,4]トリアゾリル(C2)、トリアジニル(C3)、チアゾリル(C3)、1H-イミダゾリル(C3)、オキサゾリル(C3)、イソキサゾリル(C3)、イソチアゾリル(C3)、フラニル(C4)、チオフェニル(C4)、ピリミジニル(C4)、2-フェニルピリミジニル(C4)、ピリジニル(C5)、3-メチルピリジニル(C5)、および4-ジメチルアミノピリジニル(C5)が挙げられる};ならびにii)2またはそれを超える縮合環を有し、そのうちの1つがヘテロアリール環であるヘテロアリール環{その非限定的な例としては、7H-プリニル(C5)、9H-プリニル(C5)、6-アミノ-9H-プリニル(C5)、5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジニル(C6)、7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジニル(C6)、ピリド[2,3-d]ピリミジニル(C7)、2-フェニルベンゾ[d]チアゾリル(C7)、1H-インドリル(C8)、4,5,6,7-テトラヒドロ-1-H-インドリル(C8)、キノキサリニル(C8)、5-メチルキノキサリニル(C8)、キナゾリニル(C8)、キノリニル(C9)、8-ヒドロキシ-キノリニル(C9)、およびイソキノリニル(C9)が挙げられる}が挙げられる。
【0065】
ヘテロアリールの非限定的な例としては、式
【化9】
を有する1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、式
【化10】
を有する6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピリミジン、および式
【化11】
を有する1,2,3,4-テトラヒドロ-[1,8]ナフトピリジンが挙げられる。
【0066】
アシル基は、例えば、ヒドロカルビル、アルキル、ヒドロカルビルオキシ、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アリールアルコキシまたは複素環で置換されたカルボニル基であり得る。アシルの非限定的な例としては、アセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。
【0067】
アシルオキシ基は、アシル基で置換された酸素原子であり得る。エステルまたはエステル基は、アシルオキシ基を含む。アシルオキシ基またはエステル基の非限定的な例は、アセテートである。
【0068】
カルバメート基は、カルバモイル基で置換された酸素原子であり得、ここで、該カルバモイル基の窒素原子は、非置換であるか、または一つもしくは複数のヒドロカルビル、アルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはアラルキルで一置換されるかもしくは二置換される。窒素原子が、二置換されるとき、その二つの置換基は、窒素原子と一体となって、複素環を形成し得る。
本明細書に開示される化合物
【0069】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、式(I):
【化12】
を有し、式中、アミノ単位を有する炭素原子は、以下の式
【化13】
に示される立体化学を有する。
RおよびZを含む単位は、任意の構成を有する単位を含むことができ、したがって、本開示の化合物は、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの対または組合せであり得る。さらに、化合物は、塩または水和物として単離することができる。塩の場合、化合物は複数の陽イオンまたは陰イオンを含むことができる。水和物の場合、任意の数の水分子またはその小数部分(例えば、類似体の各分子に対して存在する1未満の水分子)が存在し得る。
R単位
【0070】
Rは、式
【化14】
を有する置換もしくは非置換のチアゾリル単位であり、
R
2、R
3、およびR
4は、幅広い種類の非炭素原子含有単位(例えば、水素、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、およびニトロ)または、本明細書に記載の置換および非置換の非環状ヒドロカルビルおよび環状ヒドロカルビル単位などの有機置換基単位から独立して選択され得る置換基である。炭素を含む単位は、例えば、1から12個の炭素原子、または1から10個の炭素原子、または1から6個の炭素原子を含むことができる。
【0071】
式(I)の化合物の例には、R単位が式
【化15】
を有するチアゾール-2-イル単位である化合物が含まれ、
式中、R
2およびR
3は、各々、以下から独立して選択される:
i)水素;
ii)置換もしくは非置換のC
1~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルキル;
iii)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルケニル;
iv)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖またはC
3~C
6分枝状アルキニル;
v)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アリール;
vi)置換もしくは非置換のC
1~C
9ヘテロアリール;
vii)置換もしくは非置換のC
1~C
9複素環;または
viii)R
2とR
3は、一緒になって、5から7個の原子を持つ飽和または不飽和の環を形成することができる。ここで、1から3個の原子は、必要に応じて、酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子であり得る。
【0072】
以下は、R2およびR3単位上の1またはそれを超える水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である。以下の置換基は、本明細書に記載されていないその他の置換基と同様に、各々、以下から独立して選択される:
i)C1~C12直鎖、C3~C12分枝状、またはC3~C12環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C1)、エチル(C2)、エテニル(C2)、エチニル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、シクロプロピル(C3)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、シクロブチル(C4)、ブテン-4-イル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6);
ii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C10)またはナフチレン-2-イル(C10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9複素環;本明細書に記載の通り;
v)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール環;本明細書に記載の通り;
vi)-(CR21aR21b)pOR20;例えば、-OH、-CH2OH、-OCH3、-CH2OCH3、-OCH2CH3、-CH2OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、および-CH2OCH2CH2CH3;
vii)-(CR21aR21b)pC(O)R20;例えば、-COCH3、-CH2COCH3、-COCH2CH3、-CH2COCH2CH3、-COCH2CH2CH3、および-CH2COCH2CH2CH3;
viii)-(CR21aR21b)pC(O)OR20;例えば、-CO2CH3、-CH2CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CH2CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、および-CH2CO2CH2CH2CH3;
ix)-(CR21aR21b)pC(O)N(R20)2;例えば、-CONH2、-CH2CONH2、-CONHCH3、-CH2CONHCH3、-CON(CH3)2、および-CH2CON(CH3)2;
x)-(CR21aR21b)pN(R20)2;例えば、-NH2、-CH2NH2、-NHCH3、-CH2NHCH3、-N(CH3)2、および-CH2N(CH3)2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR21aR21b)pCN;
xiii)-(CR21aR21b)pNO2;
xiv)-(CHj’Xk’)hCHjXk;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3であり、添え字j’は、0から2の整数であり、j’+k’=2であり、添え字hは、0から6の整数である);例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CHFCF3、-CCl3、または-CBr3;
xv)-(CR21aR21b)pSR20;-SH、-CH2SH、-SCH3、-CH2SCH3、-SC6H5、および-CH2SC6H5;
xvi)-(CR21aR21b)pSO2R20;例えば、-SO2H、-CH2SO2H、-SO2CH3、-CH2SO2CH3、-SO2C6H5、および-CH2SO2C6H5;および
xvii)-(CR21aR21b)pSO3R20;例えば、-SO3H、-CH2SO3H、-SO3CH3、-CH2SO3CH3、-SO3C6H5、および-CH2SO3C6H5;
ここで、各R20は、独立して、水素、置換もしくは非置換C1~C4直鎖、C3~C4分枝状、またはC3~C4環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR20単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R21aとR21bは、各々独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルであり、添え字pは、0から4である。
【0073】
式(I)の化合物の例には、式
【化16】
を有するR単位が含まれ、
式中、R
3は、水素であり、R
2は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n-プロピル(C
3)、iso-プロピル(C
3)、n-ブチル(C
4)、sec-ブチル(C
4)、iso-ブチル(C
4)、tert-ブチル(C
4)、n-ペンチル(C
5)、1-メチルブチル(C
5)、2-メチルブチル(C
5)、3-メチルブチル(C
5)、シクロプロピル(C
3)、n-ヘキシル(C
6)、4-メチルペンチル(C
6)、およびシクロヘキシル(C
6)から選択される単位である。
【0074】
式(I)の化合物の例には、式
【化17】
を有するR単位が含まれ、
式中、R
2は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n-プロピル(C
3)、iso-プロピル(C
3)、n-ブチル(C
4)、sec-ブチル(C
4)、iso-ブチル(C
4)、およびtert-ブチル(C
4)から選択される単位であり、R
3は、メチル(C
1)またはエチル(C
2)から選択される単位である。この態様のRの非限定的な例としては、4,5-ジメチルチアゾール-2-イル、4-エチル-5-メチルチアゾール-2-イル、4-メチル-5-エチルチアゾール-2-イル、および4,5-ジエチルチアゾール-2-イルが挙げられる。
【0075】
式(I)の化合物の例には、R3が水素であり、R2が置換アルキル単位であるR単位が含まれ、前記置換は、以下から選択される:
i)ハロゲン:-F、-Cl、-Br、および-I;
ii)-N(R11)2;および
iii)-OR11;
ここで、各R11は、独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルである。R単位上のR2またはR3水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例としては、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH2Cl、-CH2OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OH、-CH2CH2OCH3、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、および-CH2NH(CH2CH3)が挙げられる。
【0076】
R単位上のR2またはR3水素原子の代わりになり得る単位のさらなる非限定的な例としては、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2-メトキシシクロヘキシル、および4-クロロシクロヘキシルが挙げられる。
【0077】
式(I)の化合物の例であるR単位には、R3が水素であり、R2がフェニルまたは置換フェニルである単位が含まれ、R2単位の非限定的な例には、フェニル、3,4-ジメチルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-シクロプロピルフェニル、4-ジエチルアミノフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-メトキシフェニル、4-(ジフルオロメトキシ)-フェニル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニル、3-クロロフェニル(chloropheny)、4-クロロフェニル、および3,4-ジクロロ-フェニルが含まれ、これをRの定義に組み込むと、以下のR単位、4-フェニルチアゾール-2-イル、3,4-ジメチルフェニルチアゾール-2-イル、4-tert-ブチルフェニルチアゾール-2-イル、4-シクロプロピルフェニルチアゾール-2-イル、4-ジエチルアミノフェニルチアゾール-2-イル、4-(トリフルオロメチル)-フェニルチアゾール-2-イル、4-メトキシフェニルチアゾール-2-イル、4-(ジフルオロメトキシ)フェニルチアゾール-2-イル、4-(トリフルオロメトキシ)フェニルチアゾール-2-イル、3-クロロフェニルチアゾール-2-イル、4-クロロフェニルチアゾール-2-イル、および3,4-ジクロロフェニルチアゾール-2-イルが得られる。
【0078】
式(I)の化合物の例には、R2が、水素、メチル、エチル、n-プロピル、およびiso-プロピルから選択され、R3が、フェニルまたは置換フェニルであるR単位が含まれる。R単位の第1のカテゴリーの第5の態様によるR単位の非限定的な例としては、4-メチル-5-フェニルチアゾール-2-イルおよび4-エチル-5-フェニルチアゾール-2-イルが挙げられる。
【0079】
式(I)の化合物の例には、R3が水素であり、R2が、1,2,3,4-テトラゾール-1-イル、1,2,3,4-テトラゾール-5-イル、[1,2,3]トリアゾール-4-イル、[1,2,3]トリアゾール-5-イル、[1,2,4]トリアゾール-4-イル、[1,2,4]トリアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、イソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、イソキサゾール-5-イル、[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル、[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル、[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル、[1,2,4]チアジアゾール-3-イル、[1,2,4]チアジアゾール-5-イル、および[1,3,4]チアジアゾール-2-イルから選択される置換もしくは非置換のヘテロアリール単位であるR単位が含まれる。
【0080】
式(I)の化合物のさらなる非限定的な例としては、R2が置換もしくは非置換のチオフェン-2-イル、例えばチオフェン-2-イル、5-クロロチオフェン-2-イル、および5-メチルチオフェン-2-イルであるR単位が挙げられる。
【0081】
式(I)の化合物の例には、R2が置換もしくは非置換のチオフェン-3-イル、例えばチオフェン-3-イル、5-クロロチオフェン-3-イル、および5-メチルチオフェン-3-イルであるR単位が含まれる。
【0082】
式(I)の化合物の例には、R2およびR3が、一緒になって、5から7個の原子を有する飽和もしくは不飽和環を形成するR単位が含まれる。R単位の第1のカテゴリーの第6の態様による非限定的な例としては、5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イルおよび4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール-2-イルが挙げられる。
【0083】
式(I)の化合物のさらなる例には、式
【化18】
を有するチアゾール-4-イルまたはチアゾール-5-イル単位であるR単位が含まれ、
式中、R
4は、
i)水素;
ii)置換もしくは非置換のC
1~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルキル;
iii)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルケニル;
iv)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖または分枝状アルキニル;
v)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アリール;
vi)置換もしくは非置換のC
1~C
9ヘテロアリール;または
vii)置換もしくは非置換のC
1~C
9複素環
から選択される単位である。
以下は、R
4単位上の1またはそれを超える水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である。以下の置換基は、本明細書に記載されていないその他の置換基と同様に、各々、独立して選択される:
i)C
1~C
12直鎖、C
3~C
12分枝状、またはC
3~C
12環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C
1)、エチル(C
2)、エテニル(C
2)、エチニル(C
2)、n-プロピル(C
3)、iso-プロピル(C
3)、シクロプロピル(C
3)、3-プロペニル(C
3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C
3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C
3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C
3)、プロピン-1-イル(C
3)、n-ブチル(C
4)、sec-ブチル(C
4)、iso-ブチル(C
4)、tert-ブチル(C
4)、シクロブチル(C
4)、ブテン-4-イル(C
4)、シクロペンチル(C
5)、シクロヘキシル(C
6);
ii)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C
10)またはナフチレン-2-イル(C
10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC
1~C
9複素環;
v)置換もしくは非置換のC
1~C
9ヘテロアリール環;
vi)-(CR
21aR
21b)
pOR
20;例えば、-OH、-CH
2OH、-OCH
3、-CH
2OCH
3、-OCH
2CH
3、-CH
2OCH
2CH
3、-OCH
2CH
2CH
3、および-CH
2OCH
2CH
2CH
3;
vii)-(CR
21aR
21b)
pC(O)R
20;例えば、-COCH
3、-CH
2COCH
3、-COCH
2CH
3、-CH
2COCH
2CH
3、-COCH
2CH
2CH
3、および-CH
2COCH
2CH
2CH
3;
viii)-(CR
21aR
21b)
pC(O)OR
20;例えば、-CO
2CH
3、-CH
2CO
2CH
3、-CO
2CH
2CH
3、-CH
2CO
2CH
2CH
3、-CO
2CH
2CH
2CH
3、および-CH
2CO
2CH
2CH
2CH
3;
ix)-(CR
21aR
21b)
pC(O)N(R
20)
2;例えば、-CONH
2、-CH
2CONH
2、-CONHCH
3、-CH
2CONHCH
3、-CON(CH
3)
2、および-CH
2CON(CH
3)
2;
x)-(CR
21aR
21b)
pN(R
20)
2;例えば、-NH
2、-CH
2NH
2、-NHCH
3、-CH
2NHCH
3、-N(CH
3)
2、および-CH
2N(CH
3)
2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR
21aR
21b)
pCN;
xiii)-(CR
21aR
21b)
pNO
2;
xiv)-(CH
j’X
k’)
hCH
jX
k;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3であり、添え字j’は、0から2の整数であり、j’+k’=2であり、添え字hは、0から6の整数である);例えば、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2CF
3、-CHFCF
3、-CCl
3、または-CBr
3;
xv)-(CR
21aR
21b)
pSR
20;-SH、-CH
2SH、-SCH
3、-CH
2SCH
3、-SC
6H
5、および-CH
2SC
6H
5;
xvi)-(CR
21aR
21b)
pSO
2R
20;例えば、-SO
2H、-CH
2SO
2H、-SO
2CH
3、-CH
2SO
2CH
3、-SO
2C
6H
5、および-CH
2SO
2C
6H
5;および
xvii)-(CR
21aR
21b)
pSO
3R
20;例えば、-SO
3H、-CH
2SO
3H、-SO
3CH
3、-CH
2SO
3CH
3、-SO
3C
6H
5、および-CH
2SO
3C
6H
5;
ここで、各R
20は、独立して、水素、置換もしくは非置換C
1~C
4直鎖、C
3~C
4分枝状、またはC
3~C
4環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR
20単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R
21aとR
21bは、各々独立して、水素またはC
1~C
4直鎖またはC
3~C
4分枝状アルキルであり、添え字pは、0から4である。
【0084】
式(I)の化合物の例には、R4が水素であるR単位が含まれる。
【0085】
式(I)の化合物の例には、R4が、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、およびtert-ブチル(C4))から選択される単位であるR単位が含まれる。この態様のRの非限定的な例としては、2-メチルチアゾール-4-イル、2-エチルチアゾール-4-イル、2-(n-プロピル)チアゾール-4-イル、および2-(iso-プロピル)チアゾール-4-イルが挙げられる。
【0086】
式(I)の化合物の例には、R4が置換もしくは非置換のフェニルであるR単位が含まれ、その非限定的な例としては、フェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-メチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、および4-メトキシフェニルが挙げられる。
【0087】
式(I)の化合物の例には、R4が置換もしくは非置換のヘテロアリールであるR単位が含まれ、その非限定的な例としては、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル、2,5-ジメチルチアゾール-4-イル、2,4-ジメチルチアゾール-5-イル、4-エチルチアゾール-2-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、および3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イルが挙げられる。
【0088】
5員環のR単位の別の例には、式
【化19】
を有する置換もしくは非置換のイミダゾリル単位が含まれる。
【0089】
イミダゾリルのR単位の一例としては、式
【化20】
を有するイミダゾール-2-イル単位が挙げられ、
式中、R
2およびR
3は、各々、以下から独立して選択される:
i)水素;
ii)置換もしくは非置換のC
1~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルキル;
iii)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状、またはC
3~C
6環式アルケニル;
iv)置換もしくは非置換のC
2~C
6直鎖または分枝状アルキニル;
v)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アリール;
vi)置換もしくは非置換のC
1~C
9ヘテロアリール;
vii)置換もしくは非置換のC
1~C
9複素環;または
viii)R
2とR
3は、一緒になって、5から7個の原子を持つ飽和または不飽和の環を形成することができる。ここで、1から3個の原子は、必要に応じて、酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子であり得る。
【0090】
以下は、R2およびR3単位上の1またはそれを超える水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である。以下の置換基は、本明細書に記載されていないその他の置換基と同様に、各々、独立して選択される:
i)C1~C12直鎖、C3~C12分枝状、またはC3~C12環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C1)、エチル(C2)、エテニル(C2)、エチニル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、シクロプロピル(C3)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、シクロブチル(C4)、ブテン-4-イル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6);
ii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C10)またはナフチレン-2-イル(C10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9複素環;本明細書に記載の通り;
v)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール環;本明細書に記載の通り;
vi)-(CR21aR21b)zOR20;例えば、-OH、-CH2OH、-OCH3、-CH2OCH3、-OCH2CH3、-CH2OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、および-CH2OCH2CH2CH3;
vii)-(CR21aR21b)zC(O)R20;例えば、-COCH3、-CH2COCH3、-COCH2CH3、-CH2COCH2CH3、-COCH2CH2CH3、および-CH2COCH2CH2CH3;
viii)-(CR21aR21b)zC(O)OR20;例えば、-CO2CH3、-CH2CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CH2CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、および-CH2CO2CH2CH2CH3;
ix)-(CR21aR21b)zC(O)N(R20)2;例えば、-CONH2、-CH2CONH2、-CONHCH3、-CH2CONHCH3、-CON(CH3)2、および-CH2CON(CH3)2;
x)-(CR21aR21b)zN(R20)2;例えば、-NH2、-CH2NH2、-NHCH3、-CH2NHCH3、-N(CH3)2、および-CH2N(CH3)2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR21aR21b)zCN;
xiii)-(CR21aR21b)zNO2;
xiv)-(CHj’Xk’)hCHjXk;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3であり、添え字j’は、0から2の整数であり、j’+k’=2であり、添え字hは、0から6の整数である);例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CHFCF3、-CCl3、または-CBr3;
xv)-(CR21aR21b)zSR20;-SH、-CH2SH、-SCH3、-CH2SCH3、-SC6H5、および-CH2SC6H5;
xvi)-(CR21aR21b)zSO2R20;例えば、-SO2H、-CH2SO2H、-SO2CH3、-CH2SO2CH3、-SO2C6H5、および-CH2SO2C6H5;および
xvii)-(CR21aR21b)zSO3R20;例えば、-SO3H、-CH2SO3H、-SO3CH3、-CH2SO3CH3、-SO3C6H5、および-CH2SO3C6H5;
ここで、各R20は、独立して、水素、置換もしくは非置換C1~C4直鎖、C3~C4分枝状、またはC3~C4環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR20単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R21aとR21bは、各々独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルであり、添え字pは、0から4である。
【0091】
単位の一例としては、R単位が式
【化21】
を有する化合物が挙げられ、
式中、R
3は水素であり、R
2は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n-プロピル(C
3)、iso-プロピル(C
3)、n-ブチル(C
4)、sec-ブチル(C
4)、iso-ブチル(C
4)、およびtert-ブチル(C
4)から選択される単位である。
【0092】
R単位の別の例には、R2が、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、およびtert-ブチル(C4)から選択される単位であり、R3が、メチル(C1)またはエチル(C2)から選択される単位である化合物が含まれる。この態様のRの非限定的な例としては4,5-ジメチルイミダゾール-2-イル、4-エチル-5-メチルイミダゾール-2-イル、4-メチル-5-エチルイミダゾール-2-イル、および4,5-ジエチルイミダゾール-2-イルが挙げられる。
【0093】
R単位の例には、R3が水素であり、R2が選択された置換アルキル単位である化合物が含まれ、前記置換は以下から選択される:
i)ハロゲン:-F、-Cl、-Br、および-I;
ii)-N(R11)2;および
iii)-OR11;
ここで、各R11は、独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルである。
1.Rのこの実施形態を構成する単位の非限定的な例としては、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2Cl、-CH2OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OH、-CH2CH2OCH3、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、および-CH2NH(CH2CH3)が挙げられる。
【0094】
R単位の例には、R3が水素であり、R2がフェニルである単位が含まれる。
【0095】
R単位の例には、R3が水素であり、R2が1,2,3,4-テトラゾール-1-イル、1,2,3,4-テトラゾール-5-イル、[1,2,3]トリアゾール-4-イル、[1,2,3]トリアゾール-5-イル、[1,2,4]トリアゾール-4-イル、[1,2,4]トリアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、イソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、イソキサゾール-5-イル、[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル、[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル、[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル、[1,2,4]チアジアゾール-3-イル、[1,2,4]チアジアゾール-5-イル、および[1,3,4]チアジアゾール-2-イルから選択されたヘテロアリール単位である単位が含まれる。
Z単位
【0096】
Zは、式
【化22】
を有する単位であり、
R
1は、
i)水素;
ii)ヒドロキシル;
iii)アミノ;
iv)置換もしくは非置換のC
1~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状またはC
3~C
6環式アルキル;
v)置換もしくは非置換のC
1~C
6直鎖、C
3~C
6分枝状またはC
3~C
6(o C3-C6r)環式アルコキシ;
vi)置換もしくは非置換のC
6またはC
10アリール;
vii)置換もしくは非置換のC
1~C
9複素環;または
viii)置換もしくは非置換のC
1~C
9ヘテロアリール環
から選択される。
【0097】
以下は、R1単位上の1またはそれを超える水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である。以下の置換基は、本明細書に記載されていないその他の置換基と同様に、各々、独立して選択される:
i)C1~C12直鎖、C3~C12分枝状、またはC3~C12環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C1)、エチル(C2)、エテニル(C2)、エチニル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、シクロプロピル(C3)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、シクロブチル(C4)、ブテン-4-イル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6);
ii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C10)またはナフチレン-2-イル(C10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9複素環;本明細書に記載の通り;
v)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール環;本明細書に記載の通り;
vi)-(CR31aR31b)qOR30;例えば、-OH、-CH2OH、-OCH3、-CH2OCH3、-OCH2CH3、-CH2OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、および-CH2OCH2CH2CH3;
vii)-(CR31aR31b)qC(O)R30;例えば、-COCH3、-CH2COCH3、-COCH2CH3、-CH2COCH2CH3、-COCH2CH2CH3、および-CH2COCH2CH2CH3;
viii)-(CR31aR31b)qC(O)OR30;例えば、-CO2CH3、-CH2CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CH2CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、および-CH2CO2CH2CH2CH3;
ix)-(CR31aR31b)qC(O)N(R30)2;例えば、-CONH2、-CH2CONH2、-CONHCH3、-CH2CONHCH3、-CON(CH3)2、および-CH2CON(CH3)2;
x)-(CR31aR31b)qN(R30)2;例えば、-NH2、-CH2NH2、-NHCH3、-CH2NHCH3、-N(CH3)2、および-CH2N(CH3)2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR31aR31b)qCN;
xiii)-(CR31aR31b)qNO2;
xiv)-(CHj’Xk’)hCHjXk;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3であり、添え字j’は、0から2の整数であり、j’+k’=2であり、添え字hは、0から6の整数である);例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CHFCF3、-CCl3、または-CBr3;
xv)-(CR31aR31b)qSR30;-SH、-CH2SH、-SCH3、-CH2SCH3、-SC6H5、および-CH2SC6H5;
xvi)-(CR31aR31b)qSO2R30;例えば、-SO2H、-CH2SO2H、-SO2CH3、-CH2SO2CH3、-SO2C6H5、および-CH2SO2C6H5;および
xvii)-(CR31aR31b)qSO3R30;例えば、-SO3H、-CH2SO3H、-SO3CH3、-CH2SO3CH3、-SO3C6H5、および-CH2SO3C6H5;
ここで、各R30は、独立して、水素、置換もしくは非置換C1~C6直鎖、C3~C6分枝状、またはC3~C6環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR30単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R31aとR31bは、各々独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルであり、添え字qは、0から4である。
【0098】
R1単位の一例としては、置換もしくは非置換のフェニル(C6アリール)単位が挙げられ、各置換は、独立して、ハロゲン、C1~C4直鎖、分枝状アルキル、または環式アルキル、-OR11、-CN、-N(R11)2、-CO2R11、-C(O)N(R11)2、-NR11C(O)R11、-NO2、および-SO2R11から選択され;各R11は、独立して水素;置換もしくは非置換のC1~C4直鎖、C3~C4分枝状、C3~C4環式アルキル、アルケニル、またはアルキニル;置換もしくは非置換のフェニルまたはベンジルであるか;または2つのR11単位が一緒になって3~7個の原子を含む環を形成することができる。
【0099】
R1単位の例には、フェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,3-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,5-ジクロロフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、および3,5-ジメトキシフェニルから選択される置換C6アリール単位が含まれる。
【0100】
R1単位の例には、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4-トリフルオロフェニル、2,3,5-トリフルオロフェニル、2,3,6-トリフルオロフェニル、2,4,5-トリフルオロフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2,3,5-トリクロロフェニル、2,3,6-トリクロロフェニル、2,4,5-トリクロロフェニル、3,4,5-トリクロロフェニル、および2,4,6-トリクロロフェニルから選択される置換もしくは非置換のC6アリール単位が含まれる。
【0101】
R1単位の例には、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,3-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、2,3,4-トリメチルフェニル、2,3,5-トリメチルフェニル、2,3,6-トリメチルフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2-エチルフェニル、3-エチルフェニル、4-エチルフェニル、2,3-ジエチルフェニル、2,4-ジエチルフェニル、2,5-ジエチルフェニル、2,6-ジエチルフェニル、3,4-ジエチルフェニル、2,3,4-トリエチルフェニル、2,3,5-トリエチルフェニル、2,3,6-トリエチルフェニル、2,4,5-トリエチルフェニル、2,4,6-トリエチルフェニル、2-イソプロピルフェニル、3-イソプロピルフェニル、および4-イソプロピルフェニルから選択される置換C6アリール単位が含まれる。
【0102】
R1単位の例には、2-アミノフェニル、2-(N-メチルアミノ)フェニル、2-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、2-(N-エチルアミノ)フェニル、2-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、3-アミノフェニル、3-(N-メチルアミノ)フェニル、3-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、3-(N-エチルアミノ)フェニル、3-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、4-アミノフェニル、4-(N-メチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、4-(N-エチルアミノ)フェニル、および4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルから選択される置換C6アリール単位が含まれる。
【0103】
R
1は、ヘテロアリール単位を含み得る。C
1~C
9ヘテロアリール単位の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
【化23】
【化24】
【化25】
。
【0104】
R1ヘテロアリール単位は、置換されていても非置換であってもよい。水素の代わりになり得る単位の非限定的な例としては、以下から選択される単位が挙げられる:
i)C1~C6直鎖、C3~C6分枝状、およびC3~C6環式アルキル;
ii)置換もしくは非置換のフェニルおよびベンジル;
iii)置換もしくは(of)非置換のC1~C9ヘテロアリール;
iv)-C(O)R9;および
v)-NHC(O)R9;
ここで、R9は、C1~C6直鎖および分岐状アルキル;C1~C6直鎖およびC3~C6分枝状アルコキシ;または-NHCH2C(O)R10であり、R10は、水素、メチル、エチル、およびtert-ブチルから選択される。
【0105】
R1の例は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルから選択されるアルキル単位で置換された単位に関する。
【0106】
R1の例には、置換もしくは非置換のフェニルおよびベンジルで置換された単位が含まれ、フェニルおよびベンジルの置換は、以下の1またはそれを超えるなかから選択される:
i)ハロゲン;
ii)C1~C3アルキル;
iii)C1~C3アルコキシ;
iv)-CO2R11;および
v)-NHCOR16;
ここで、R11およびR16は、各々独立して、水素、メチル、またはエチルである。
【0107】
R1の例は、式-C(O)R9を有するカルボキシ単位で置換されたフェニルおよびベンジル単位に関する。R9は、メチル、メトキシ、エチル、およびエトキシから選択される。
【0108】
R1の例には、式-NHC(O)R9を有するアミド単位で置換されたフェニルおよびベンジル単位が含まれる。R9は、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、tert-ブチル、およびtert-ブトキシから選択される。
【0109】
R1の例には、1またはそれを超えるフルオロまたはクロロ単位で置換されたフェニルおよびベンジル単位が含まれる。
L単位
【0110】
Lは、添え字nが1に等しい場合に存在し、添え字nが0に等しい場合には存在しない連結単位である。L単位は式を有する:
-[Q]y[C(R5aR5b)]x[Q1]z[C(R6aR6b)]w-
ここで、QおよびQ1は、各々独立して、
i)-C(O)-;
ii)-NH-;
iii)-C(O)NH-;
iv)-NHC(O)-;
v)-NHC(O)NH-;
vi)-NHC(O)O-;
vii)-C(O)O-;
viii)-C(O)NHC(O)-;
ix)-O-;
x)-S-;
xi)-SO2-;
xii)-C(=NH)-;
xiii)-C(=NH)NH-;
xiv)-NHC(=NH)-;または
xv)-NHC(=NH)NH-
である。
【0111】
添え字yが1に等しい場合、Qが存在する。添え字yが0に等しい場合、Qは存在しない。添え字zが1に等しい場合、Q1が存在する。添え字zが0に等しい場合、Q1は存在しない。
R5aおよびR5bは、各々独立して、
i)水素;
ii)ヒドロキシ;
iii)ハロゲン;
iv)置換もしくは非置換のC1~C6直鎖またはC3~C6分枝状アルキル;または
v)式
-[C(R7aR7b)]tR8
(式中、R7aおよびR7bは、各々独立して、
i)水素;または
ii)置換もしくは非置換のC1~C6直鎖、C3~C6分枝状、またはC3~C6環式アルキルである)を有する単位
である。
【0112】
R8は、
i)水素;
ii)置換もしくは非置換のC1~C6直鎖、C3~C6分枝状、またはC3~C6環式アルキル;
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール;または
v)置換もしくは非置換のC1~C9複素環
から選択される単位である。
【0113】
R6aおよびR6bは、各々独立して、
i)水素;または
ii)C1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキル
である。
【0114】
添え字t、wおよびxは、各々独立して、0から4である。
以下は、R5a、R5b、R7a、R7b、およびR8単位上の1またはそれを超える水素原子の代わりになり得る単位の非限定的な例である。以下の置換基は、本明細書に記載されていないその他の置換基と同様に、各々、独立して選択される:
i)C1~C12の直鎖、分枝状、または環式アルキル、アルケニル、およびアルキニル;メチル(C1)、エチル(C2)、エテニル(C2)、エチニル(C2)、n-プロピル(C3)、iso-プロピル(C3)、シクロプロピル(C3)、3-プロペニル(C3)、1-プロペニル(2-メチルエテニルでもある)(C3)、イソプロペニル(2-メチルエテン-2-イル)(C3)、プロパ-2-イニル(プロパルギルでもある)(C3)、プロピン-1-イル(C3)、n-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、シクロブチル(C4)、ブテン-4-イル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6);
ii)置換もしくは非置換のC6またはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書ではナフチレン-1-イル(C10)またはナフチレン-2-イル(C10)とも呼ばれる);
iii)置換もしくは非置換のC6またはC10アルキレンアリール;例えば、ベンジル、2-フェニルエチル、ナフチレン-2-イルメチル;
iv)置換もしくは非置換のC1~C9複素環;本明細書の下文に記載の通り;
v)置換もしくは非置換のC1~C9ヘテロアリール環;本明細書の下文に記載の通り;
vi)-(CR41aR41b)rOR40;例えば、-OH、-CH2OH、-OCH3、-CH2OCH3、-OCH2CH3、-CH2OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、および-CH2OCH2CH2CH3;
vii)-(CR41aR41b)rC(O)R40;例えば、-COCH3、-CH2COCH3、-COCH2CH3、-CH2COCH2CH3、-COCH2CH2CH3、および-CH2COCH2CH2CH3;
viii)-(CR41aR41b)rC(O)OR40;例えば、-CO2CH3、-CH2CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CH2CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、および-CH2CO2CH2CH2CH3;
ix)-(CR41aR41b)rC(O)N(R40)2;例えば、-CONH2、-CH2CONH2、-CONHCH3、-CH2CONHCH3、-CON(CH3)2、および-CH2CON(CH3)2;
x)-(CR41aR41b)rN(R40)2;例えば、-NH2、-CH2NH2、-NHCH3、-CH2NHCH3、-N(CH3)2、および-CH2N(CH3)2;
xi)ハロゲン;-F、-Cl、-Br、および-I;
xii)-(CR41aR41b)rCN;
xiii)-(CR41aR41b)rNO2;
xiv)-(CHj’Xk’)hCHjXk;(式中、Xはハロゲンであり、添え字jは、0から2の整数であり、j+k=3であり、添え字j’は、0から2の整数であり、j’+k’=2であり、添え字hは、0から6の整数である);例えば、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CHFCF3、-CCl3、または-CBr3;
xv)-(CR41aR41b)rSR40;-SH、-CH2SH、-SCH3、-CH2SCH3、-SC6H5、および-CH2SC6H5;
xvi)-(CR41aR41b)rSO2R40;例えば、-SO2H、-CH2SO2H、-SO2CH3、-CH2SO2CH3、-SO2C6H5、および-CH2SO2C6H5;および
xvii)-(CR41aR41b)rSO3R40;例えば、-SO3H、-CH2SO3H、-SO3CH3、-CH2SO3CH3、-SO3C6H5、および-CH2SO3C6H5;
ここで、各R40は、独立して、水素、置換もしくは非置換C1~C6直鎖、C3~C6分枝状、またはC3~C6環式アルキル、フェニル、ベンジル、複素環、またはヘテロアリールであるか;または、2つのR40単位は、一緒になって、3~7個の原子を含む環を形成することができ;R41aとR41bは、各々独立して、水素またはC1~C4直鎖またはC3~C4分枝状アルキルであり、添え字rは、0から4である。
【0115】
L単位の一態様は、式
-C(O)[C(R5aR5b)]xNHC(O)-
を有する単位に関し、
ここで、R5aは、水素、置換もしくは非置換のC1~C4アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、および置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、添え字xは1または2である。いくつかの実施形態は、式
i)-C(O)[C(R5aH)]NHC(O)O-;
ii)-C(O)[C(R5aH)][CH2]NHC(O)O-;
ii)-C(O)[CH2][C(R5aH)]NHC(O)O-;
iv)-C(O)[C(R5aH)]NHC(O)-;
v)-C(O)[C(R5aH)][CH2]NHC(O)-;または
vi)-C(O)[CH2][C(R5aH)]NHC(O)-;
ここで、R5aは、
i)水素;
ii)メチル;
iii)エチル;
iv)イソプロピル;
v)フェニル;
vi)ベンジル;
vii)4-ヒドロキシベンジル;
viii)ヒドロキシメチル;または
ix)1-ヒドロキシエチル
を有する連結単位に関する。
【0116】
添え字xが1に等しい場合、この実施形態は、以下の非限定的なL単位の例を提供する
【化26】
。
【0117】
添え字xが2に等しい場合、この実施形態は、以下の非限定的なL単位の例を提供する
【化27】
。
【0118】
L単位の別の実施形態には、Qが-C(O)-である単位が含まれ、添え字xおよびzは0に等しく、wは1または2に等しく、第1のR
6a単位はフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,3-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,5-ジクロロフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、および3,5-ジメトキシフェニルから選択され;第2のR
6a単位は水素であり、R
6b単位は水素である。例えば、連結単位は式
【化28】
を有する。
【0119】
Lのこの実施形態の例には、本明細書の上文に記載の置換または非置換のヘテロアリール単位である、本明細書の上文に示された第1のR6a単位が含まれる。
【0120】
Lのこの実施形態の例には、式
-C(O)[C(R6aR6b)]w-;
(式中、R6aおよびR6bは水素であり、添え字wは1または2に等しい)を有する単位が含まれ;前記単位は、
i)-C(O)CH2-;および
ii)-C(O)CH2CH2-
から選択される。
L単位の別の実施形態には、式
-C(O)[C(R5aR5b)]xC(O)-;
(式中、R5aおよびR5bは水素であり、添え字xは1または2に等しい)を有する単位が含まれ;前記単位は、
i)-C(O)CH2C(O)-;および
ii)-C(O)CH2CH2C(O)-
から選択される。
L単位の別の実施形態には、式
-C(O)NH[C(R5aR5b)]x-;
(式中、R5aおよびR5bは水素であり、添え字wは0、1または2に等しい)を有する単位が含まれ;前記単位は、
ii)-C(O)NH-;
ii)-C(O)NHCH2-;および
iii)-C(O)NHCH2CH2-
から選択される。
L単位の別の例には、式
-SO2[C(R6aR6b)]w-;
(式中、R8aおよびR8bは水素またはメチルであり、添え字wは0、1または2に等しい)を有する単位が含まれ;前記単位は、
i)-SO2-;
ii)-SO2CH2-;および
iii)-SO2CH2CH2-
から選択される。
薬学的に許容され得る塩
【0121】
本開示は、本明細書に記載の任意の化合物の薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。薬学的に許容され得る塩には、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。化合物に付加されて酸付加塩を形成する酸は、有機酸であっても無機酸であってもよい。化合物に付加されて塩基付加塩を形成する塩基は、有機塩基であっても無機塩基であってもよい。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、金属塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、アンモニウム塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、リチウム塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩である。
【0122】
金属塩は、本開示の化合物への無機塩基の付加によって生じ得る。その無機塩基は、塩基性対イオン、例えば、水酸化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンまたはリン酸イオンと対になった金属カチオンからなる。その金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属または典型金属(main group metal)であり得る。いくつかの実施形態において、上記金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウムまたは亜鉛である。
【0123】
いくつかの実施形態において、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩または亜鉛塩である。
【0124】
アンモニウム塩は、本開示の化合物にアンモニアまたは有機アミンを添加することから生じ得る。いくつかの実施形態において、有機アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、またはピラジンである。
【0125】
いくつかの実施形態において、アンモニウム塩は、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、イミダゾール塩、またはピラジン塩である。
【0126】
酸付加塩は、本開示の化合物に酸を添加することから生じ得る。いくつかの実施形態において、酸は有機物である。いくつかの実施形態において、酸は無機物である。いくつかの実施形態において、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸(saccaric acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、またはマレイン酸である。
【0127】
いくつかの実施形態において、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート(saccarate)塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、またはマレイン酸塩である。
【0128】
本明細書には、本明細書に記載の方法に有用な化合物のカテゴリー、およびその薬学的に許容され得る塩形態が開示されている。例えば、式
【化29】
を有する化合物は、塩、例えばスルファミン酸の塩
【化30】
【化31】
を形成し得る。
これらの化合物はまた、双性イオンの形、例えば
【化32】
で、または強酸の塩として、例えば
【化33】
として、存在し得る。
【0129】
本開示のカテゴリーIの一態様は、Rが置換または非置換のチアゾール-2-イル単位であり、式
【化34】
を有する化合物に関し、その一実施形態は、式
【化35】
を有する阻害剤に関し、
ここで、R単位はチアゾール-2-イル単位であり、置換される場合は、R
2およびR
3単位で置換されている。RおよびR
5a単位は、表1にさらに説明されている。
【表1】
【0130】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、表1のうちの1つ、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される。
医薬組成物
【0131】
本開示の医薬組成物は、治療有効量のHPTPβの阻害剤を提供することができる。本開示の医薬組成物は、治療有効量のTie-2モジュレーターを提供することができる。
【0132】
本開示の医薬組成物は、本明細書に記載の任意の医薬化合物と、他の化学成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、可溶化剤、または賦形剤などとの組合せであり得る。医薬組成物は、化合物の生物への投与を容易にする。医薬組成物は、治療上有効な量を医薬組成物として、例えば、静脈内投与、硝子体内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、直腸投与、エアロゾル投与、非経口投与、点眼、肺投与、経皮投与、膣内投与、耳内投与、鼻腔内投与、眼球内投与、および局所投与などの様々な形態および経路によって投与することができる。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、被験体の眼に局所投与することができる。いくつかの実施形態において、被験体は、本開示の医薬組成物を自己投与することができる。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、約0.1mg/mL~約300mg/mL、約30mg/mL~約300mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約10mg/mL~約120mg/L、約15mg/mL~約20mg/mL、約20mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約30mg/mL、約30mg/mL~約35mg/mL、約35mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約45mg/mL、約45mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約55mg/mL、約55mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約65mg/mL、約65mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約85mg/mL、約85mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約95mg/mL、約95mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約110mg/mL、約110mg/mL~約120mg/mL、約120mg/mL~約130mg/mL、約130mg/mL~約140mg/mL、約140mg/mL~約150mg/mL、約150mg/mL~約160mg/mL、約160mg/mL~約170mg/mL、約170mg/mL~約180mg/mL、約180mg/mL~約190mg/mL、約190mg/mL~約200mg/mL、約200mg/mL~約220mg/mL、約220mg/mL~約240mg/mL、約240mg/mL~約260mg/mL、約260mg/mL~約280mg/mL、または約280mg/mL~約300mg/mLの量で医薬組成物に存在する。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、約0.1mg/mL~約100mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、約20mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約30mg/mL、約30mg/mL~約35mg/mL、約30mg/mL~約50mg/mL、約35mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約45mg/mL、約45mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約55mg/mL、約55mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約65mg/mL、約65mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約85mg/mL、約85mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約95mg/mL、または約95mg/mL~約100mg/mLの量で医薬組成物に存在する。いくつかの実施形態において、Tie-2活性化物質またはその薬学的に許容され得る塩は、少なくとも約30mg/mLの濃度で医薬組成物に存在する。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL 約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約17mg/mL、約18mg/mL、約19mg/mL、約20mg/mL、約21mg/mL 約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、約30mg/mL、約31mg/mL 約32mg/mL、約33mg/mL、約34mg/mL、約35mg/mL、約36mg/mL、約37mg/mL、約38mg/mL、約39mg/mL、約40mg/mL、約41mg/mL 約42mg/mL、約43mg/mL、約44mg/mL、約45mg/mL、約46mg/mL、約47mg/mL、約48mg/mL、約49mg/mL、約50mg/mL、約51mg/mL 約52mg/mL、約53mg/mL、約54mg/mL、約55mg/mL、約56mg/mL、約57mg/mL、約58mg/mL、約59mg/mL、約60mg/mL、約61mg/mL 約62mg/mL、約63mg/mL、約64mg/mL、約65mg/mL、約66mg/mL、約67mg/mL、約68mg/mL、約69mg/mL、約70mg/mL、約71mg/mL約72mg/mL、約73mg/mL、約74mg/mL、約75mg/mL、約76mg/mL、約77mg/mL、約78mg/mL、約79mg/mL、約80mg/mL、約81mg/mL 約82mg/mL、約83mg/mL、約84mg/mL、約85mg/mL、約86mg/mL、約87mg/mL、約88mg/mL、約89mg/mL、約90mg/mL、約91mg/mL 約92mg/mL、約93mg/mL、約94mg/mL、約95mg/mL、約96mg/mL、約97mg/mL、約98mg/mL、約99mg/mL、または約100mg/mLの量で医薬組成物に存在する。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、約1mg~約5mg、約5mg~約10mg、約10mg~約15mg、約15mg~約20mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約35mg、約30mg~約50mg、約35mg~約40mg、約40mg~約45mg、約45mg~約50mg、約50mg~約55mg、約55mg~約60mg、約60mg~約65mg、約65mg~約70mg、約70mg~約75mg、約75mg~約80mg、約80mg~約85mg、約85mg~約90mg、約90mg~約95mg、約95mg~約100mg、約100mg~約125mg、約125mg~約150mg、約150mg~約175mg、約175mg~約200mg、約200mg~約225mg、約225mg~約250mg、または約250mg~約300mgの量で医薬組成物または単位剤形に存在する。
【0137】
いくつかの実施形態において、Tie-2モジュレーターまたはその薬学的に許容され得る塩は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、または約300mgの量で医薬組成物または単位剤形に存在する。
【0138】
本明細書のいずれの化合物も精製することができる。本明細書のいずれの化合物も精製することができる。本明細書の化合物、例えばTie-2 モジュレーターは、少なくとも1%純粋、少なくとも2%純粋、少なくとも3%純粋、少なくとも4%純粋、少なくとも5%純粋、少なくとも6%純粋、少なくとも7%純粋、少なくとも8%純粋、少なくとも9%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも11%純粋、少なくとも12%純粋、少なくとも13%純粋、少なくとも14%純粋、少なくとも15%純粋、少なくとも16%純粋、少なくとも17%純粋、少なくとも18%純粋、少なくとも19%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも21%純粋、少なくとも22%純粋、少なくとも23%純粋、少なくとも24%純粋、少なくとも25%純粋、少なくとも26%純粋、少なくとも27%純粋、少なくとも28%純粋、少なくとも29%純粋、少なくとも30%純粋、少なくとも31%純粋、少なくとも32%純粋、少なくとも33%純粋、少なくとも34%純粋、少なくとも35%純粋、少なくとも36%純粋、少なくとも37%純粋、少なくとも38%純粋、少なくとも39%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも41%純粋、少なくとも42%純粋、少なくとも43%純粋、少なくとも44%純粋、少なくとも45%純粋、少なくとも46%純粋、少なくとも47%純粋、少なくとも48%純粋、少なくとも49%純粋、少なくとも50%純粋、少なくとも51%純粋、少なくとも52%純粋、少なくとも53%純粋、少なくとも54%純粋、少なくとも55%純粋、少なくとも56%純粋、少なくとも57%純粋、少なくとも58%純粋、少なくとも59%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも61%純粋、少なくとも62%純粋、少なくとも63%純粋、少なくとも64%純粋、少なくとも65%純粋、少なくとも66%純粋、少なくとも67%純粋、少なくとも68%純粋、少なくとも69%純粋、少なくとも70%純粋、少なくとも71%純粋、少なくとも72%純粋、少なくとも73%純粋、少なくとも74%純粋、少なくとも75%純粋、少なくとも76%純粋、少なくとも77%純粋、少なくとも78%純粋、少なくとも79%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも81%純粋、少なくとも82%純粋、少なくとも83%純粋、少なくとも84%純粋、少なくとも85%純粋、少なくとも86%純粋、少なくとも87%純粋、少なくとも88%純粋、少なくとも89%純粋、少なくとも90%純粋、少なくとも91%純粋、少なくとも92%純粋、少なくとも93%純粋、少なくとも94%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、少なくとも99%純粋、少なくとも99.1%純粋、少なくとも99.2%純粋、少なくとも99.3%純粋、少なくとも99.4%純粋、少なくとも99.5%純粋、少なくとも99.6%純粋、少なくとも99.7%純粋、少なくとも99.8%純粋、または少なくとも99.9%純粋であり得る。
【0139】
本明細書に開示される医薬組成物は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約15日、約20日、約25日、約30日、約35日、約40日、約45日、約2週、約4週、約6週、約8週、約10週、約12週、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、または約1年の間、安定であり得る。本明細書に開示される製剤は、例えば、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約60℃、約70℃、または約80℃で安定であり得る。
【0140】
本明細書に開示される医薬組成物は、局所的または全身的に、例えば、化合物を臓器に直接注射することにより、必要に応じてデポーまたは徐放性製剤で投与することができる。医薬組成物は、速放性製剤の形態、徐放性製剤の形態、または中間放出性製剤の形態で提供され得る。速放性の形態は、即時放出を提供することができる。徐放性製剤は、制御放出または持続遅延放出を提供することができる。
【0141】
経口用の医薬製剤は、1またはそれを超える固体賦形剤と1またはそれを超える本明細書に記載の化合物とを混合し、必要に応じて得られた混合物を粉砕し、所望により適した補助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して錠剤または糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。コアには適したコーティングを施すことができる。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、または二酸化チタンなどの賦形剤、ラッカー溶液、および適した有機溶媒または溶媒混合物を含み得る濃縮糖溶液を使用することができる。例えば、識別のために、または活性化合物用量の異なる組合せを特徴づけるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0142】
経口的に使用され得る薬学的調製物には、ゼラチンから作製された押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作製された密封軟カプセルが含まれる。いくつかの実施形態において、上記カプセルは、薬学的ゼラチン、ウシゼラチンおよび植物ゼラチンの一つまたは複数を含む硬ゼラチンカプセルを含む。ゼラチンは、アルカリ処理され得る。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに安定剤と混合した状態で活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性な化合物は、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールに溶解し得るかまたは懸濁し得る。安定剤が加えられ得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した投薬量で提供される。
【0143】
頬側または舌下投与の場合、組成物は、錠剤、舐剤またはゲル剤であり得る。
【0144】
非経口注射剤は、ボーラス注射または持続注入用に製剤化され得る。上記薬学的組成物は、油性または水性ビヒクルにおける滅菌された懸濁物、溶液またはエマルジョンとして非経口注射に適した形態であり得、製剤化剤(formulatory agents)、例えば、懸濁化剤、安定化剤または分散剤を含み得る。非経口投与のための薬学的製剤には、水溶性の形態の活性な化合物の水溶液が含まれる。活性な化合物の懸濁物は、油性の注射用懸濁物として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を高める物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含み得る。上記懸濁物は、好適な安定剤、または化合物の溶解度を高めることにより高度に濃縮された溶液の調製を可能にする作用物質も含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌された発熱物質非含有水で構成するための粉末の形態であり得る。
【0145】
活性な化合物は、局所的に投与され得、種々の局所的に投与可能な組成物、例えば、溶液、懸濁物、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バルム剤(balms)、クリームおよび軟膏に製剤化され得る。そのような薬学的組成物は、可溶化剤、安定剤、張度向上剤、緩衝剤および保存剤を含み得る。
【0146】
活性な化合物の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを使用し得、ポリマーまたは接着剤に溶解したまたは分散した、親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液であり得る。そのようなパッチは、薬学的化合物の連続的送達、拍動性送達または応需型送達のために構築され得る。経皮送達は、イオントフォレーシスパッチを用いて達成され得る。さらに、経皮パッチは、制御送達を提供し得る。吸収速度は、律速膜を使用することによって、またはポリマーマトリックス内もしくはゲル内に化合物を捕捉することによって、遅くすることができる。逆に、吸収促進剤を用いることによって、吸収を高めることができる。吸収促進剤またはキャリアには、皮膚を通過するのを助ける吸収性の薬学的に許容され得る溶媒が含まれ得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち材、化合物およびキャリアを含むレザバー、長時間にわたって制御された所定の速度で被験体の皮膚に化合物を送達する律速バリア、ならびにそのデバイスを皮膚または眼に固定する接着剤を含む包帯の形態であり得る。
【0147】
吸入による投与の場合、活性な化合物は、エアロゾル、ミストまたは粉末としての形態であり得る。薬学的組成物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレーの提示の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬量の単位は、定量を送達するバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または注入器において使用するための、例えばゼラチンの、カプセルおよびカートリッジは、化合物と好適な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含んで、製剤化され得る。
【0148】
化合物は、従来の坐剤基剤、例えば、カカオバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンおよびPEGを含む直腸用組成物、例えば、浣腸、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー坐剤または停留浣腸としても、製剤化され得る。坐剤の形態の組成物では、低融点ろう、例えば、脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物が使用され得る。
【0149】
本明細書中に提供される処置または使用の方法を実施する際、治療有効量の本明細書中に記載される化合物が、処置される疾患または状態を有する被験体に薬学的組成物として投与される。いくつかの実施形態において、上記被験体は、哺乳動物、例えば、ヒトである。治療有効量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、ならびに他の因子に応じて大幅に変わり得る。上記化合物は、単独で、または混合物の構成要素として1種もしくは複数種の治療剤と組み合わせて、使用され得る。
【0150】
薬学的組成物は、活性な化合物を、薬学的に使用され得る調製物に加工するのを容易にする賦形剤および補助剤を含む1種または複数種の生理的に許容され得るキャリアを用いて製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路に応じて改変され得る。本明細書中に記載される化合物を含む薬学的組成物は、例えば、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、湿式粉砕(levigating)、乳化、カプセル封入、捕捉または圧縮プロセスによって、製造され得る。
【0151】
薬学的組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤または賦形剤、および遊離塩基もしくは薬学的に許容され得る塩の形態の、本明細書中に記載される化合物を含み得る。本明細書中に記載される方法および薬学的組成物には、結晶型(多形としても知られる)および同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性な代謝産物の使用が含まれる。
【0152】
本明細書中で記載される化合物を含む組成物を調製するための方法は、該化合物を1種または複数種の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤またはキャリアとともに製剤化して、固体、半固体または液体の組成物を形成する工程を含む。固体の組成物には、例えば、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が含まれる。液体の組成物には、例えば、化合物を溶解させた溶液、化合物を含むエマルジョン、または本明細書中に開示されるような化合物を含むリポソーム、ミセルもしくはナノ粒子を含む溶液が含まれる。半固体の組成物としては、例えば、ゲル、懸濁物およびクリームが挙げられる。上記組成物は、液体の溶液もしくは懸濁物、使用前の液体への溶解または懸濁に適した固体の形態、またはエマルジョンとして存在し得る。これらの組成物は、微量の無毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤および他の薬学的に許容され得る添加物も含み得る。
【0153】
本開示において使用するのに適した剤形の非限定的な例としては、飼料、食物、ペレット、舐剤、液剤、エリキシル剤、エアロゾル、吸入剤、スプレー、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、ゲル剤、ゲルタブ(geltab)、ナノ懸濁剤、ナノ粒子、マイクロゲル、坐剤、トローチ剤、水性または油性の懸濁剤、軟膏、パッチ、ローション、歯磨剤、エマルジョン、クリーム、滴剤、分散性の散剤または顆粒剤、硬または軟ゲルカプセル内のエマルジョン、シロップ剤、植物性医薬品(phytoceuticals)、栄養補助食品およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0154】
本開示は、例えば点眼薬などの単位剤形で投与することができる。被験体に投与される各液滴の平均量は、約0.1μl、約0.2μl、約0.3μl、約0.4μl、約0.5μl、約0.6μl、約0.7μl、約0.8μl、約0.9μl、約1μl、約2μl、約3μl、約4μl、約5μl、約5μl、約10μl、約15μl、約20μl、約30μl、約40μl、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl、約90μl、または約100μlであり得る。単位剤形(例えば点眼薬)は、質量で約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約10.5%、約11%、約11.5%、約12%、約12.5%、約13%、約13.5%、約14%、約14.5%、約15%、約15.5%、約16%、約16.5%、約17%、約17.5%、約18%、約18.5%、約19%、約19.5%、または約20%の本開示の化合物を含み得る。例えば点眼薬などの単位剤形は、質量で約0.01%から約20%の本開示の化合物、例えば質量で約0.01%から約15%、約0.01%から約10%、約0.01%から約9%、約0.01%から約8%、約0.01%から約7%、約0.01%から約6%、約0.01%から約5%、約0.01%から約4%、約0.01%から約3%、約0.01%から約2%、約0.01%から約1%、約0.5%から約5%、約1%から約15%、約1%から約10%、約1%から約9%、約1%から約8%、約1%から約7%、約1%から約6%、約1%から約5%、約1%から約4%、約1%から約3%、約1%から約2%、約2%から約5%、約3%から約5%、または約2%から約6%の本開示の化合物を含み得る。
【0155】
例えば点眼薬などの単位剤形は、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約140mg/mL、約160mg/mL、約180mg/mL、または約200mg/mLの本開示の化合物を含み得る。
【0156】
被験体に、例えば点眼薬で投与される1回分の用量は、約0.5μg、約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約150μg、約200μg、約250μg、約300μg、約350μg、約400μg、約450μg、約500μg、約550μg、約600μg、約650μg、約700μg、約750μg、約800μg、約850μg、約900μg、約950μg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、または約2mgの本開示の化合物であり得る。いくつかの実施形態において、1日を通して1回または複数回で、複数の液滴を眼に投与することができる。
【0157】
本明細書に記載の製剤での使用に適した賦形剤の非限定的な例としては、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)、ランダムメチル-β-シクロデキストリン(RM-β-CD)、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(HP-γ-CD)、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン(HE-β-CD)、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(DMβCD)、生理食塩水、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸塩、アスコルビン酸、アセチルシステイン、塩化ベンザルコニウム、ホウ酸、ヒアルロン酸、ヒプロメロース、プロピレングリコール、ソルビン酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸二ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、グリセロール、マンニトール、トロメタモール、チロキサポール、界面活性剤、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0158】
被験体に投与される個々の用量は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mgまたは約500mgの本開示の化合物であり得る。被験体に投与される個々の用量は、約0.1mg~約25mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約75mgまたは約0.1mg~約100mgであり得る。被験体に投与される個々の用量は、約0.5mg~約10mg、約0.5mg~約20mgまたは約0.5mg~約30mgであり得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される個々の用量は、約10mgの本開示の化合物であり得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される1回分の用量は、本開示の化合物の約15mgであり得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される1回分の用量は、本開示の化合物の約20mgであり得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される1回分の用量は、本開示の化合物の約30mgであり得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される本開示の化合物の1回分の用量は、1日2回の約15mg、または1日1回の約30mgであり得る。
【0159】
本開示での使用に適した薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例としては、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、付着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、ガム、コーティング剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、抗菌剤、植物セルロース系材料および球形化剤、ならびにこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0160】
本開示の組成物は、例えば、即時放出形態または制御放出製剤であり得る。即時放出製剤は、化合物の迅速な作用を可能にするように製剤化され得る。即時放出製剤の非限定的な例としては、容易に溶解可能な製剤が挙げられる。制御放出製剤は、薬物放出速度および薬物放出プロファイルが、生理学的要求および時間治療学的要求に合致し得るように適合されたか、あるいは、プログラムされた速度で薬物の放出をもたらすように製剤化された、薬学的製剤であり得る。制御放出製剤の非限定的な例としては、顆粒剤、遅延放出顆粒剤、ヒドロゲル(例えば、合成または天然起源)、他のゲル化剤(例えば、ゲル形成食物繊維)、マトリックスベースの製剤(例えば、少なくとも一つの活性成分が分散したポリマー材料を含む製剤)、マトリックス内の顆粒剤、ポリマー混合物および顆粒塊が挙げられる。
【0161】
開示される組成物は、必要に応じて、約0.001重量%から約2重量%の薬学的に許容され得る防腐剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、防腐剤は、アルコール、例えば、エタノール、2-フェニルエタノールまたはベンジルアルコールである。
【0162】
いくつかの実施形態において、制御放出製剤は、遅延放出形態である。遅延放出形態は、化合物の作用を長期間遅延させるように製剤化することができる。遅延放出形態は、1またはそれを超える化合物の有効量の放出を、例えば、約4、約8、約12、約16、または約24時間遅延させるように製剤化することができる。
【0163】
制御放出製剤は、徐放型であり得る。徐放型は、例えば、化合物の作用を長時間にわたって持続するように製剤化され得る。徐放型は、有効用量の本明細書中に記載される任意の化合物を約4、約8、約12、約16または約24時間にわたって提供する(例えば、生理的に有効な血液プロファイルを提供する)ように製剤化され得る。
【0164】
薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)(これらの各々が、その全体が参照により組み込まれる)に見られる。
【0165】
開示される方法は、HPTPβ阻害剤または薬学的に許容され得るその塩を薬学的に許容され得るキャリアとともに投与することを含む。そのキャリアは、活性成分の任意の分解を最小限に抑えるように、かつ被験体における任意の有害な副作用を最小限に抑えるように選択され得る。
【0166】
開示される方法は、Tie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩を薬学的に許容され得るキャリアとともに投与する工程を含む。そのキャリアは、活性成分の任意の分解を最小限に抑えるように、かつ被験体における任意の有害な副作用を最小限に抑えるように選択され得る。
【0167】
本明細書の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体からなる医薬組成物に簡便に製剤化され得る。例えば、E.W.Martin Mack Pub.Co.(ペンシルベニア州イーストン)によるRemington’s Pharmaceutical Sciences、最新版を参照されたい。この本は、流体担体を含む典型的な担体、および、本明細書に記載の化合物の製剤の調製と併せて使用することができる、医薬組成物を調製する従来の方法を開示しており、参照により本明細書に組み込まれる。そのような医薬品は、ヒトおよびヒト以外に組成物を投与するための標準的な担体であり得、それには滅菌水、生理食塩水、および生理学的pHの緩衝液などの溶液が含まれる。その他の組成物は、標準的な手順に従って投与することができる。例えば、医薬組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、および麻酔薬などの1またはそれを超える追加の有効成分も含むことができる。
【0168】
薬学的に許容され得る液体担体の非限定的な例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、グリセロール、エタノール、およびデキストロース溶液が挙げられる。溶液のpHは、約5~約8であり得、さらに約7~約7.5であり得る。さらなる担体には、化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性調製物が挙げられ、マトリックスは、フィルム、リポソーム、微粒子、およびマイクロカプセルなどの成形品の形態である。
【0169】
開示される方法は、化合物またはその薬学的に許容され得る塩を医薬組成物の一部として投与することに関する。開示される方法は、HPTPβ阻害剤またはその薬学的に許容され得る塩を医薬組成物の一部として投与することに関する。様々な実施形態において、本開示の組成物は、活性剤を溶液中、懸濁液中、またはその両方に含む液体を含み得る。液体組成物には、ゲルが含まれ得る。一実施形態では、液体組成物は水性である。あるいは、組成物は軟膏の形をとることができる。もう一つの実施形態において、組成物は、その場でゲル化可能な水性組成物である。いくつかの実施形態において、組成物は、その場でゲル化可能な水性溶液である。
【0170】
医薬製剤は、本明細書に開示される化合物に加えて、追加の担体、ならびに増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、および界面活性剤を含むことができる。医薬製剤は、抗菌剤、抗炎症剤、または麻酔薬などの1またはそれを超える追加の有効成分も含むことができる。
【0171】
賦形剤は、不活性増量剤であるのと同じくらい単純で直接的な役割を果たすことができる。また、本明細書において使用される賦形剤は、成分を胃に安全に送達することを確実にするためのpH安定化系またはコーティングの一部であり得る。
【0172】
Tie-2モジュレーターまたはその薬学的に許容され得る塩はまた、鼻、喉、または気管支通路などの体の空洞にエアロゾル形態で活性治療薬を送達するための、液体、乳濁液、または懸濁液中に存在することができる。これらの製剤中の他の配合剤に対するTie-2モジュレーターまたはその薬学的に許容され得る塩の比率は、剤形が必要とするものに応じて変化し得る。
【0173】
意図する投与様式に応じて、開示される方法の一部として投与される医薬組成物は、固体、半固体または液体剤形の形態、例えば、例えば正確な投与量の単回投与に適した単位剤形の錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、粉末、液体、懸濁液、ローション、クリーム、ゲルであり得る。組成物は、上記のように有効量のTie-2活性化因子またはその薬学的に許容され得る塩を薬学的に許容され得る担体と組み合わせて含むことができ、さらに、他の薬剤、医薬品、担体、アジュバント、希釈剤などを含むことができる。
【0174】
固体組成物の場合、無毒の固体担体には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムが含まれる。一実施形態では、0.1mLの液体あたり約4mgの量のTie-2活性化物質またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物が調製される。液相は、滅菌水と適切な量の糖類または多糖類を含む。
【0175】
本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物は、予防的または治療的処置のために投与することができる。組成物は、任意の数の活性剤を含むことができる。治療用途では、組成物を、すでに疾患または状態に罹患している被験体に、疾患または症状の徴候を治癒するかまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、あるいは疾患または症状を治し、癒し、改善し、軽減し、和らげ、寛解させるかまたはその可能性を低下させるのに十分な量で投与することができる。化合物は、症状を発症、罹患、または悪化させる可能性を減らすかまたは低下させるためにも投与されてよい。この使用に有効な量は、疾患または症状の重症度および経過、以前の治療、被験体の健康状態、体重、薬物への反応、および処置する医師の判断に基づいて変化する可能性がある。
【0176】
複数の治療薬を任意の順序でまたは同時に投与することができる。同時の場合、複数の治療薬は、単一の統一された形態で、または複数の形態で、例えば複数の別個の丸剤または注射として提供され得る。化合物は、一緒にまたは別々に、単一のパッケージまたは複数のパッケージに充填され得る。治療薬の1つまたはすべてを複数回投与で投与することができる。同時でない場合、複数回投与間のタイミングは変化する可能性がある。
【0177】
本明細書中に開示される化合物および組成物は、キットとしてまとめられ得る。いくつかの実施形態において、本開示は、キットを提供し、該キットは、本明細書中に開示される化合物または薬学的に許容され得るその塩、および本明細書中に記載される状態の処置においてそのキットを使用する際の書面の指示書を備える。いくつかの実施形態において、本開示は、キットを提供し、該キットは、本明細書中に開示される化合物または薬学的に許容され得るその塩、抗体、および本明細書中に記載される状態の処置においてそのキットを使用する際の書面の指示書を備える。
【0178】
本明細書中に記載される化合物は、疾患または状態が発生する前、発生している間、または発生した後に投与され得、化合物を含む組成物を投与するタイミングは、様々であり得る。例えば、上記化合物は、予防薬として使用され得、状態または疾患の傾向を有する被験体に、該疾患または状態が発生する可能性を低下または低減させるために連続的に投与され得る。上記化合物および組成物は、該徴候が発生している間、またはその徴候が発生した後できるだけ早く、被験体に投与され得る。上記化合物の投与は、徴候の発生の最初の48時間以内、徴候の発生の最初の24時間以内、徴候の発生の最初の6時間以内または徴候の発生の3時間以内に開始され得る。最初の投与は、任意の実用的な経路を介して、例えば、本明細書中に記載される任意の経路によって、本明細書中に記載される任意の製剤を用いて行われ得る。
【0179】
化合物は、疾患または状態の発生が検出された後または疑われた後にできる限り早く、かつその疾患の処置に必要な長さの時間、例えば、約1ヶ月間~約3ヶ月間にわたって、投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物が投与され得る時間の長さは、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約2か月、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約3か月、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約4か月、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約5か月、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、約18か月、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月約23か月、約2年、約2.5年、約3年、約3.5年、約4年、約4.5年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年であり得る。処置の長さは、それぞれの被験体について変動し得る。
可溶化剤
【0180】
本明細書に記載のTie-2モジュレーターは、1またはそれを超える可溶化剤および防腐剤を含む組成物中に存在し得る。本開示の医薬組成物中の可溶化剤または添加剤の濃度は、約0.1mg/mL~約300mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、約20mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約30mg/mL、約30mg/mL~約35mg/mL、約35mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約45mg/mL、約45mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約55mg/mL、約55mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約65mg/mL、約65mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約85mg/mL、約85mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約95mg/mL、約95mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約110mg/mL、約110mg/mL~約120mg/mL、約120mg/mL~約130mg/mL、約130mg/mL~約140mg/mL、約140mg/mL~約150mg/mL、約150mg/mL~約160mg/mL、約160mg/mL~約170mg/mL、約170mg/mL~約180mg/mL、約180mg/mL~約190mg/mL、約190mg/mL~約200mg/mL、約200mg/mL~約220mg/mL、約220mg/mL~約240mg/mL、約240mg/mL~約260mg/mL、約260mg/mL~約280mg/mL、または約280mg/mL~約300mg/mLであり得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、本開示のTie-2モジュレーターの医薬組成物中の溶解度は、少なくとも約10mg/mL、例えば約10mg/mL~約120mg/mL、約30mg/mL~約35mg/mL、約30mg/mL~約200mg/mL、約35mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約45mg/mL、約45mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約55mg/mL、約55mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約65mg/mL、約65mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約85mg/mL、約85mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約95mg/mL、約95mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約110mg/mL、約110mg/mL~約120mg/mL、約120mg/mL~約130mg/mL、約130mg/mL~約140mg/mL、約140mg/mL~約150mg/mL、約150mg/mL~約160mg/mL、約160mg/mL~約170mg/mL、約170mg/mL~約180mg/mL、約180mg/mL~約190mg/mL、約190mg/mL~約200mg/mL、約200mg/mL~約220mg/mL、約220mg/mL~約240mg/mL、約240mg/mL~約260mg/mL、約260mg/mL~約280mg/mL、または約280mg/mL~約300mg/mLなどである。
【0182】
いくつかの実施形態において、本開示のTie-2 モジュレーターの医薬組成物中の溶解度は、少なくとも約30mg/mL、例えば、少なくとも約40mg/mL、少なくとも約50mg/mL、少なくとも約60mg/mL、少なくとも約70mg/mL、少なくとも約80mg/mL、少なくとも約90mg/mL、または少なくとも約100mg/mLである。
【0183】
本開示の化合物の溶解度は、化合物を含有する組成物に添加剤または薬剤を添加することによって増加させてよい。可溶化剤は、本開示の化合物の溶解度を約1%、約2%、約3%、約4%、5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75% 約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、約325%、約350%、約375%、約400%、約450%、または約500%増加させることができる。
【0184】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、本明細書の化合物またはその薬学的に許容され得る塩約20部対可溶化剤約1部(約20:約1)から本明細書の化合物またはその薬学的に許容され得る塩約1部対可溶化系約20部(約1:約20)の比を含み得る。例えば、本明細書中の約100mgの化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む製剤は、約5mgから約2000mgの可溶化剤を含むことができる。もう一つの実施形態では、この比は、可溶化系の数またはモルと比較した、数またはモルまたは化合物に基づき得る。
【0185】
以下は、本明細書の化合物と可溶化剤の比の非限定的な例である。以下の例は、代替的に、シクロデキストリンなどの可溶化剤と本明細書中の化合物の重量比を説明する。比は、約20:約1;約19.9:約1;約19.8:約1;約19.7:約1;約19.6:約1;約19.5:約1;約19.4:約1;約19.3:約1;約19.2:約1;約19.1:約1;約19:約1;約18.9:約1;約18.8:約1;約18.7:約1;約18.6:約1;約18.5:約1;約18.4:約1;約18.3:約1;約18.2:約1;約18.1:約1;約18:約1;約17.9:約1;約17.8:約1;約17.7:約1;約17.6:約1;約17.5:約1;約17.4:約1;約17.3:約1;約17.2:約1;約17.1:約1;約17:約1;約16.9:約1;約16.8:約1;約16.7:約1;約16.6:約1;約16.5:約1;約16.4:約1;約16.3:約1;約16.2:約1;約16.1:約1;約16:約1;約15.9:約1;約15.8:約1;約15.7:約1;約15.6:約1;約15.5:約1;約15.4:約1;約15.3:約1;約15.2:約1;約15.1:約1;約15:約1;約14.9:約1;約14.8:約1;約14.7:約1;約14.6:約1;約14.5:約1;約14.4:約1;約14.3:約1;約14.2:約1;約14.1:約1;約14:約1;約13.9:約1;約13.8:約1;約13.7:約1;約13.6:約1;約13.5:約1;約13.4:約1;約13.3:約1;約13.2:約1;約13.1:約1;約13:約1;約12.9:約1;約12.8:約1;約12.7:約1;約12.6:約1;約12.5:約1;約12.4:約1;約12.3:約1;約12.2:約1;約12.1:約1;約12:約1;約11.9:約1;約11.8:約1;約11.7:約1;約11.6:約1;約11.5:約1;約11.4:約1;約11.3:約1;約11.2:約1;約11.1:約1;約11:約1;約10.9:約1;約10.8:約1;約10.7:約1;約10.6:約1;約10.5:約1;約10.4:約1;約10.3:約1;約10.2:約1;約10.1:約1;約10:約1;約9.9:約1;約9.8:約1;約9.7:約1;約9.6:約1;約9.5:約1;約9.4:約1;約9.3:約1;約9.2:約1;約9.1:約1;約9:約1;約8.9:約1;約8.8:約1;約8.7:約1;約8.6:約1;約8.5:約1;約8.4:約1;約8.3:約1;約8.2:約1;約8.1:約1;約8:約1;約7.9:約1;約7.8:約1;約7.7:約1;約7.6:約1;約7.5:約1;約7.4:約1;約7.3:約1;約7.2:約1;約7.1:約1;約7:約1;約6.9:約1;約6.8:約1;約6.7:約1;約6.6:約1;約6.5:約1;約6.4:約1;約6.3:約1;約6.2:約1;約6.1:約1;約6:約1;約5.9:約1;約5.8:約1;約5.7:約1;約5.6:約1;約5.5:約1;約5.4:約1;約5.3:約1;約5.2:約1;約5.1:約1;約5:約1;約4.9:約1;約4.8:約1;約4.7:約1;約4.6:約1;約4.5:約1;約4.4:約1;約4.3:約1;約4.2:約1;約4.1:約1;約4:約1;約3.9:約1;約3.8:約1;約3.7:約1;約3.6:約1;約3.5:約1;約3.4:約1;約3.3:約1;約3.2:約1;約3.1:約1;約3:約1;約2.9:約1;約2.8:約1;約2.7:約1;約2.6:約1;約2.5:約1;約2.4:約1;約2.3:約1;約2.2:約1;約2.1:約1;約2:約1;約1.9:約1;約1.8:約1;約1.7:約1;約1.6:約1;約1.5:約1;約1.4:約1;約1.3:約1;約1.2:約1;約1.1:約1;または約1:約1であり得る。
シクロデキストリン
【0186】
シクロデキストリンの非限定的な例としては、β-シクロデキストリン、メチルβ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンナトリウム塩、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン(HE-β-CD)、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(DMβCD)、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(HPγCD)、およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)ナトリウム塩が挙げられる。シクロデキストリンは、大きな環式構造を有し得、その構造の中心をチャネルが通っている。シクロデキストリンの内部は疎水性であり得、疎水性分子と良好に相互作用することができる。シクロデキストリンの外部は、バルク溶媒にさらされているいくつかのヒドロキシル基のために、高度に親水性であり得る。本明細書に開示される化合物などの疎水性分子がシクロデキストリンのチャネル内で捕捉されると、非共有結合性の疎水性相互作用によって安定化された複合体が形成され得る。この複合体は、水に可溶性であり得、捕捉された疎水性分子をバルク溶媒に運ぶことができる。
【0187】
本開示の組成物は、無作為にメチル化されたβ-シクロデキストリン(RAMEBまたはRMCD)を含み得る。本開示の組成物は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、または少なくとも21個のメチル基を含むRAMEBを含み得る。
【0188】
開示される可溶化系は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を含む。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン[CAS No.128446-35-5]は、Cavitron(商標)として商業的に入手可能である。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンまたはHPβCDとしても知られていると説明され、以下の式
【化36】
のいずれかによって表され得る。
【0189】
Cavitron(商標)の平均分子量は、およそ1396Daであり、平均置換度は、1つの環グルコース単位あたり約0.5~約1.3単位の2-ヒドロキシプロピルである。
ポリビニルピロリドン
【0190】
可溶化剤の別の非限定的な例は、以下の式
【化37】
を有するポリビニルピロリドン(PVP)であり、
式中、添え字nは、約40~約200である。PVPは、約5500~約28,000g/molの平均分子量を有し得る。一つの非限定的な例は、およそ10,000g/molの平均分子量を有するPVP-10である。その他の非限定的な例としては、ポビドンK12、ポビドンK25、ポビドンK27、ポビドンK29/32、ポビドンK30、およびポビドンK90が挙げられる。いくつかの実施形態において、可溶化剤は、ポビドンと酢酸ビニルモノマーを含むブロック共重合体などの共重合体であり得る。一つの非限定的な例は、コポビドンK25-31であり、質量比3:2、平均分子量40000の1-ビニル-2-ピロリドンと酢酸ビニルの共重合体である。
ポリアルキレンオキシドおよびそのエーテル
【0191】
可溶化剤の別の非限定的な例としては、ポリアルキレンオキシド、およびアルコールまたはポリオールのポリマーが挙げられる。ポリマーは、混合されていてもよいし、単一モノマーの反復サブユニットを含んでいてもよい。
ポリエチレングリコール
【0192】
本開示のポリアルキレンオキシドは、以下の式
HO[CH2CH2O]xH
のポリエチレングリコールであり得、式中、xは、ポリマー中のエチレンオキシド単位の平均数を表す。
【0193】
例えば、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200から約20,000、例えば、PEG200、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1450、PEG1500、PEG4000、PEG4600、およびPEG8000であり得る。同じ実施形態では、組成物は、PEG400、PEG1000、PEG1450、PEG4600およびPEG8000から選択される1またはそれを超えるポリエチレングリコールを含む。
ソルビタン誘導体
【0194】
いくつかの実施形態において、可溶化剤は、ソルビタン誘導体、例えばソルビタンエステルまたはポリソルベートであってよい。ソルビタンエステルは、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタンモノパルミテートであり得る。いくつかの実施形態において、可溶化剤はポリソルベートであり、それには、脂肪酸でエステル化されたソルビタンのポリエトキシ化誘導体、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、およびポリソルベート80、ならびにPEG-20ソルビタンイソステアレートおよびPEG-40ソルビタンジイソステアレートが含まれ得る。例示的な実施形態では、可溶化剤は、1モルのソルビトールとソルビトール無水物に対しておよそ20モルのエチレンオキシドと共重合したソルビトールとその無水物のオレイン酸エステルである、ポリソルベート80(Tween(商標)80)を含む。ポリソルベート80は、ソルビタンモノ-9-オクタデカノエートポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体で構成されている。
ポリプロピレングリコール
【0195】
他のポリアルキレンオキシドは、式
HO[CH(CH3)CH2O]xH
を有するポリプロピレングリコールであり、添え字xは、ポリマー中のプロピレンオキシ単位の平均数を表す。添え字xは、整数または分数で表すことができる。例えば、平均分子量が8,000g/モルのポリプロピレングリコール(PPG8000)は、式
HO[CH(CH3)CH2O]138HまたはHO[CH(CH3)CH2O]137.6H
で表すこともでき、ポリプロピレングリコールを一般的な略記法でPPG8000と表すこともできる。
【0196】
ポリプロピレングリコールの別の例は、約1200g/mol~約20,000g/molの平均分子量を有し得る、すなわち、平均分子量が約8,000g/molのポリプロピレングリコール、例えば、PPG8000であり得る。
【0197】
可溶化剤には、式
HO(CH2CH2)y1(CH2CH2CH2O)y2(CH2CH2O)y3OH
を有するポロキサマーも含まれる。これは、2つのポリエチレンオキシ単位が隣接するポリプロピレンオキシ単位で構成される非イオン性ブロック共重合体である。添え字y1、y2、およびy3は、ポロキサマーの平均分子量が 約1000g/mol~約20,000g/molであるような値を有する。そのような可溶化剤には、例えば、米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイドに記載されているものを含む、ポロキサマー124、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー331、またはポロキサマー407が含まれ得る。
アルコール
【0198】
可溶化剤の非限定的な例としては、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の非限定的な例としては、アルコール、例えば、C1~C4直鎖アルキル、C3~C4分枝状アルキル、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、2-ヒドロキシプロパノール、プロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール;置換もしくは非置換アリール、ベンジルアルコール、および2-フェニルエタノールが挙げられる。
Tie-2活性化物質による被験体の処置
【0199】
本開示は、血管障害に苦しむ被験体を、Tie-2の活性化剤またはHPTPβの阻害剤で処置するための方法を提供する。被験体は、ヒトであり得る。処置は、臨床治験においてヒトを処置することを含み得る。処置は、本開示全体に記載される1またはそれを超えるTie-2の活性化物質を含む医薬組成物を被験体に投与することを含み得る。処置は、Tie-2分子のリン酸化を促進する治療を被験体に投与することを含み得る。
【0200】
本開示は、血管障害に苦しむ被験体を、治療有効量のTie-2の活性化物質またはHPTPβの阻害剤で処置するための方法を提供する。被験体は、ヒトであり得る。処置は、臨床治験においてヒトを処置することを含み得る。処置は、本開示全体に記載される1またはそれを超えるTie-2の活性化物質を含む医薬組成物を被験体に投与することを含み得る。処置は、Tie-2分子のリン酸化を促進する治療を被験体に投与することを含み得る。治療有効量は、約0.1mg~約100mgまたは約0.5mg~約30mgであり得る。
【0201】
投与される可能性のある被験体の非限定的な例としては、以下が挙げられる。被験体は、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーならびに他の類人猿およびサル種);農場動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタ);家庭動物(例えば、ウサギ、イヌおよびネコ);および実験動物(ラット、マウスおよびモルモットを含む)であり得る。被験体は、任意の年齢であり得る。被験体は、例えば、高齢者、成年、青年、前青年期の者(pre-adolescent)、小児、幼児および乳児であり得る。
【0202】
本明細書に記載の被験体は、Ang1を発現することができる。本明細書に記載の被験体は、Ang2を発現することができる。本明細書に記載の被験体は、Ang1とAng2の両方を発現することができる。
【0203】
いくつかの症状では、Ang-2のレベルが上昇し、循環中のAng-1/Ang-2の比が変わる可能性がある。いくつかの実施形態において、治療は、循環中のAng-1/Ang-2の比を変えることによって、病状の転帰を改善することができる。治療は、約1:約1、約2:約1、約3:約1、約4:約1、約5:約1、約6:約1、約7:約1、約8:約1、約9:約1、または約10:約1のAng-1/Ang-2比またはAng-2/Ang-1比をもたらすことができる。
【0204】
非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)などの糖尿病性眼疾患に罹患している被験体は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Ophthalmology.1991;98(5 Suppl):786-806に記載されるように、糖尿病性網膜症重症度スケール(DRSS)に基づいて、本開示の化合物による処置を検討することができる。いくつかの実施形態において、被験体のDRSSスコアは約40~約56、約41~約55、約42~約54、約43~約53である。
【0205】
いくつかの実施形態において、被験体は、中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫に罹患していない。
【0206】
被験体は、眼圧に基づいて本開示の化合物による処置を検討することができる。いくつかの実施形態において、被験体の眼は、眼圧が約40mmHg以下、約39mmHg以下、約38mmHg以下、約37mmHg以下、約36mmHg以下、約35mmHg以下、約34mmHg以下、約33mmHg以下、約32mmHg以下、約31mmHg以下、約30mmHg以下、約29mmHg以下、約28mmHg以下、約27mmHg以下、約26mmHg、または約25mmHg以下である。
眼圧と流出能
【0207】
本明細書に開示されるTie-2活性化物質を被験体に投与することにより、被験体の眼圧を、例えば、約0.1mmHg、約0.2mmHg、約0.3mmHg、約0.4mmHg、約0.5mmHg、約0.6mmHg、約0.7mmHg、約0.8mmHg、約0.9mmHg、約1mmHg、約1.1mmHg、約1.2mmHg、約1.3mmHg、約1.4mmHg、約1.5mmHg、約1.6mmHg、約1.7mmHg、約1.8mmHg、約1.9mmHg、約2mmHg、約2.1mmHg、約2.2mmHg、約2.3mmHg、約2.4mmHg、約2.5mmHg、約2.6mmHg、約2.7mmHg、約2.8mmHg、約2.9mmHg、約3mmHg、約3.1mmHg、約3.2mmHg、約3.3mmHg、約3.4mmHg、約3.5mmHg、約3.6mmHg、約3.7mmHg、約3.8mmHg、約3.9mmHg、約4mmHg、約4.1mmHg、約4.2mmHg、約4.3mmHg、約4.4mmHg、約4.5mmHg、約4.6mmHg、約4.7mmHg、約4.8mmHg、約4.9mmHg、約5mmHg、約5.1mmHg、約5.2mmHg、約5.3mmHg、約5.4mmHg、約5.5mmHg、約5.6mmHg、約5.7mmHg、約5.8mmHg、約5.9mmHg、約6mmHg、約6.1mmHg、約6.2mmHg、約6.3mmHg、約6.4mmHg、約6.5mmHg、約6.6mmHg、約6.7mmHg、約6.8mmHg、約6.9mmHg、約7mmHg、約7.1mmHg、約7.2mmHg、約7.3mmHg、約7.4mmHg、約7.5mmHg、約7.6mmHg、約7.7mmHg、約7.8mmHg、約7.9mmHg、約8mmHg、約8.1mmHg、約8.2mmHg、約8.3mmHg、約8.4mmHg、約8.5mmHg、約8.6mmHg、約8.7mmHg、約8.8mmHg、約8.9mmHg、約9mmHg、約9.1mmHg、約9.2mmHg、約9.3mmHg、約9.4mmHg、約9.5mmHg、約9.6mmHg、約9.7mmHg、約9.8mmHg、約9.9mmHg、約10mmHg、約11mmHg、約12mmHg、約13mmHg、約14mmHg、約15mmHg、約16mmHg、約17mmHg、約18mmHg、約19mmHg、または約20mmHgだけ低下させることができる。
【0208】
本明細書に開示されるTie-2活性化物質を被験体に投与することにより、被験体の眼圧を、例えば、約0.1mmHg~約20mmHgだけ、約0.1mmHg~約15mmHgだけ、約0.1mmHg~約10mmHgだけ、約0.1mmHg~約9mmHgだけ、約0.1mmHg~約8mmHgだけ、約0.1mmHg~約7mmHgだけ、約0.1mmHg~約6mmHgだけ、約0.1mmHg~約5mmHgだけ、約0.1mmHg~約4mmHgだけ、約0.1mmHg~約3mmHgだけ、約0.1mmHg~約2mmHgだけ、約0.1mmHg~約1mmHgだけ、約0.5mmHg~約20mmHgだけ、約0.5mmHg~約15mmHgだけ、約0.5mmHg~約10mmHgだけ、約0.5mmHg~約9mmHgだけ、約0.5mmHg~約8mmHgだけ、約0.5mmHg~約7mmHgだけ、約0.5mmHg~約6mmHgだけ、約0.5mmHg~約5mmHgだけ、約0.5mmHg~約4mmHgだけ、約0.5mmHg~約3mmHgだけ、約0.5mmHg~約2mmHgだけ、約0.5mmHg~約1mmHgだけ、約1mmHg~約20mmHgだけ、約1mmHg~約15mmHgだけ、約1mmHg~約10mmHgだけ、約1mmHg~約9mmHgだけ、約1mmHg~約8mmHgだけ、約1mmHg~約7mmHgだけ、約1mmHg~約6mmHgだけ、約1mmHg~約5mmHgだけ、約1mmHg~約4mmHgだけ、約1mmHg~約3mmHg、または約1mmHg~約2mmHgだけ低下させることができる。
【0209】
被験体の眼圧は、例えば、圧平眼圧測定、動的輪郭眼圧測定、圧入眼圧測定、気動眼圧測定、リバウンド眼圧測定、電子圧入眼圧測定、または経眼瞼眼圧測定によって測定することができる。
【0210】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療有効量のTie-2活性化物質を投与することによって、流体流出能を調節することを必要とする被験体の眼の流体流出能を調節するための方法を提供し、ここで、Tie-2活性化物質の被験体への投与は、投与しない場合と比較して、流体流出能を少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%調節する。いくつかの実施形態において、投与は、流体流出を増加させる。いくつかの実施形態において、投与によって調節される流体流出は、房水の流出である。
【0211】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することによって、流体流出能を調節することを必要とする被験体の眼の流体流出能を調節するための方法を提供し、ここで、Tie-2活性化物質の被験体への投与は、投与しない場合と比較して、流体流出能を約5%~約50%、約5%~約40%、約10%~約40%、約15%~約40%、約20%~約40%、約21%~約40%、約22%~約40%、約23%~約40%、約24%~約40%、約25%~約40%、約26%~約40%、約27%~約40%、約28%~約40%、約29%~約40%、約30%~約40%、約30%~約45%、または約30%~約50%だけ調節する。
【0212】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物の被験体への投与は、流体流出能を約2nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約2.5nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約3nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約3.5nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約4nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約4.5nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約5nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHg、約2nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約2.5nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約3nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約3.5nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約4nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約4.5nL/分/mmHg~約5nL/分/mmHg、約2.5nL/分/mmHg~約3.5nL/分/mmHg、約3nL/分/mmHg~約4nL/分/mmHg、約4.5nL/分/mmHg~約5.5nL/分/mmHg、または約5nL/分/mmHg~約6nL/分/mmHgだけ増加させる。
【0213】
いくつかの実施形態において、本開示は、糖尿病性眼疾患の正常眼圧患者の眼圧を低下させる方法を提供する。正常眼圧は、約24mmHg以下の眼圧を指し得る。正常眼圧は、約5mmHg~約24mmHg、約6mmHg~約24mmHg、約7mmHg~約24mmHg、約8mmHg~約24mmHg、約9mmHg~約24mmHg、約10mmHg~約24mmHg、約5mmHg~約23mmHg、約5mmHg~約22mmHg、約5mmHg~約21mmHg、約5mmHg~約20mmHg、約6mmHg~約23mmHg、約6mmHg~約22mmHg、約6mmHg~約21mmHg、約6mmHg~約20mmHg、約8mmHg~約22mmHg、約8mmHg~約20mmHg、約10mmHg~約24mmHg、約10mmHg~約22mmHg、約10mmHg~約20mmHg、約11mmHg~約19mmHg、または約12mmHg~約18mmHgである眼圧を指し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される被験体は、眼圧が約16mmHg以下である正常眼圧である。
視力
【0214】
本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される被験体における視力喪失の可能性を低下させることができる。
【0215】
本明細書に記載の被験体は、視力に基づいて評価され得る。視力はスネレン(Snellan)分数で表すことができる。本明細書に開示される被験体の視力は、約20/200、約20/100、約20/70、約20/50、約20/40、または約20/20であり得る。
【0216】
本開示の化合物は、被験体の眼の視力を高めることができる。視力の改善は、被験体が早期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)の視力検査表で読むことができる、複数行に配置された文字の数によって判断することができる。ETDRS視力検査表の各行には5つの文字があり、被験体が読むことのできる文字の数のカウントによって視力を判定することができる。
【0217】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物を投与することにより、被験体の視力は、例えば、少なくとも約3ETDRS文字、少なくとも約4ETDRS文字、少なくとも約5ETDRS文字、少なくとも約6ETDRS文字、少なくとも約7ETDRS文字、少なくとも約8ETDRS文字、少なくとも約9ETDRS文字、少なくとも約10ETDRS文字、少なくとも約11ETDRS文字、少なくとも約12ETDRS文字、少なくとも約13ETDRS文字、少なくとも約14ETDRS文字、少なくとも約15ETDRS文字、少なくとも約16ETDRS文字、少なくとも約17ETDRS文字、少なくとも約18ETDRS文字、少なくとも約19ETDRS文字、少なくとも約20ETDRS文字、少なくとも約25ETDRS文字、少なくとも約30ETDRS文字、少なくとも約35ETDRS文字、または少なくとも約40ETDRS文字だけ向上させることができる。
【0218】
いくつかの実施形態において、投与により、被験体の眼の最良矯正視力が少なくとも2の早期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)文字、例えば、少なくとも約3ETDRS文字、少なくとも約4ETDRS文字、少なくとも約5ETDRS文字、少なくとも約6ETDRS文字、少なくとも約7ETDRS文字、少なくとも約8ETDRS文字、少なくとも約9ETDRS文字、少なくとも約10ETDRS文字、少なくとも約11ETDRS文字、少なくとも約12ETDRS文字、少なくとも約13ETDRS文字、少なくとも約14ETDRS文字、少なくとも約15ETDRS文字、少なくとも約16ETDRS文字、少なくとも約17ETDRS文字、少なくとも約18ETDRS文字、少なくとも約19ETDRS文字、少なくとも約20ETDRS文字、少なくとも約25ETDRS文字、少なくとも約30ETDRS文字、少なくとも約35ETDRS文字、または少なくとも約40ETDRS文字だけ増加し、この際、被験体の眼は、投与前に20/100を超える視力を有する。
シュレム管面積
【0219】
本開示の化合物は、被験体のシュレム管の面積を増加させることができる。いくつかの実施形態において、被験体を本開示の化合物で処置すると、被験体のシュレム管の面積を少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、または少なくとも約30%増加させることができる。
【0220】
いくつかの実施形態において、被験体を本開示の化合物で処置すると、被験体のシュレム管の面積を約1%~約30%、例えば約2%~約30%、約3%~約30%、約4%~約30%、約5%~約30%、約6%~約30%、約7%~約30%、約8%~約30%、約9%~約30%、約10%~約30%、約11%~約30%、約12%~約30%、約13%~約30%、約14%~約30%、約15%~約25%、約5%~約20%、約5%~約19%、約5%~約18%、約5%~約17%、約5%~約16%、約5%~約15%、約6%~約15%、約7%~約15%、約8%~約15%、約9%~約15%、または約10%~約15%増加させることができる。
【実施例】
【0221】
本明細書に開示される化合物の非限定的な例を表2に列挙する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
実施例1:化合物1の皮下投与は、糖尿病黄斑浮腫の正常眼圧患者のIOPを低下させる。
【0222】
糖尿病性眼疾患を有する正常眼圧のヒト患者を対象とした第2相ヒト臨床治験を実施して、化合物1のナトリウム塩の皮下投与によるIOPへの影響を評価した。
【化38】
方法
【0223】
患者のIOPは、皮下(SC)化合物1(ナトリウム塩)単独の、または補助として硝子体内ラニビズマブ試験の影響を評価するためにデザインされた二重遮蔽並行群を使用して測定した。中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(DME)を合併した糖尿病性網膜症の144人のヒト被験体を、3か月間の3つの処置:1)化合物1(15mg)SCを1日2回(BID)とシャムの月1回の硝子体内注射(IVT);2)化合物1のSC BIDとラニビズマブ(0.3mg)の月1回のIVT;および3)プラセボのSC BIDとラニビズマブのIVTのうちの1つに無作為化した。ベースライン時、平均年齢は61.3±1.3歳であり、被験体の59%は男性であり、82.6%が2型糖尿病であり、平均HBA1cは7.5%±1.3%であり、平均最良矯正視力は60.2ETDRS文字(スネレン20/63)であり、平均IOPは15.7mmHg±3.4であった。眼の安全性評価は、ベースライン時と3か月の処置期間中に月1回実施され、各時点で試験眼と僚眼の両方で圧平眼圧測定による単一のIOP測定などが行われた。プロトコルによると、すべての患者のベースラインIOPは24mmHg未満(正常眼圧)であった。
【0224】
事前に指定された安全性分析では、ベースラインIOPからの変化をt検定を使用して分析した(帰無仮説はベースラインからの変化0)。有意水準は0.05に設定した。被験体レベルのIOP測定値の事後分析は、各時点で被験体内の両眼の平均のベースラインからの変化であった。各時点の統計的検定は、ベースラインIOP(被験体内の両眼で平均したもの)を共変数として用いるANCOVAを使用して完了した。さらに、混合モデルの反復測定ANCOVAを使用して、すべての時点で平均化された統計的検定が完了した。有意水準は0.05に設定した。
結果
【0225】
ベースラインからの平均IOP変化への影響を
図1Aおよび表3に示す。ベースラインからの一貫した低下(ベースラインからの平均変化±標準誤差)が、すべての時点で両方の化合物1群で見られた。この知見は、8週および12週の時点で、両群および両眼(試験眼と僚眼)で統計学的に有意であった。
*p≦0.05;
**p≦0.01;
***p≦0.005。
【表3】
【0226】
化合物1の皮下投与は、ベースラインと比較して平均IOPを0.8~1.8mmHg低下させた。IOPの低下は、4週目の時点での化合物1+シャム群を除いて、化合物1処置群の両眼(試験眼と僚眼)ですべての時点で統計的に有意であった。化合物1によるIOPの低下は、すべての時点でラニビズマブの有無にかかわらず、処置された眼において同様であった。比較すると、プラセボ+ラニビズマブ群の患者は、試験眼または僚眼のいずれにおいても、ベースラインからの平均IOPに有意な変化を示さなかった(平均変化は-0.3~+0.1mmHg)。
【0227】
群内および群間の比較を容易にするため、被験体レベル(試験眼と僚眼の平均)のIOP変化の分析を行った。結果は表4および
図1Bに要約されている。
【表4】
【0228】
図1Bは、化合物1を投与されたすべての患者、化合物1のみ(化合物1+シャム)を投与された患者、化合物1+ラニビズマブを投与された患者、およびプラセボを投与された患者における、患者レベルのIOP(各患者の両眼、試験眼と僚眼の平均)のベースラインからの平均的な経時変化を示している。ベースライン(すべての化合物1処置群でp≦0.001)およびプラセボ(化合物1を投与されたすべての患者でp=0.005、化合物1+シャムでp=0.017、化合物1+ラニビズマブでp=0.013)からのIOPの差は統計的に有意であった(MMRM ANCOVA)。
【0229】
両方の化合物1処置群における被験体レベルのIOP低下は統計的に有意であったが(化合物1+シャムではp=0.001、化合物1+ラニビズマブではp<0.001)、プラセボ処置患者ではIOPに有意な変化は観察されなかった(p=0.56)。さらに、治験来院全体にわたるIOPの低下は、化合物1+シャム群(p=0.017)と化合物1+ラニビズマブ群(p=0.013)の両方でプラセボのそれよりも有意に大きかった。結果をベースラインのIOPによって層別化した場合、より高いベースラインIOPは、より大きなIOP低下に一貫して関連していた。この結果は、圧力に依存するCO経路の抵抗の低下に一致する(
図1C)。
図1Cでは、ベースラインからの患者レベルのIOPの変化は、ベースラインIOPの関数として表されている(<16、≧16または≧18;プラセボ調整平均±標準誤差)。ベースラインIOPが高くなるほど、一貫してIOP低下が大きくなることは、圧力依存性の通常の流出経路の抵抗の低下に一致していた。
実施例2:化合物1の皮下投与は、糖尿病黄斑浮腫の正常眼圧患者のIOPを低下させる。
【0230】
第2相無作為化プラセボ対照二重遮蔽ヒト臨床治験を実施して、中等度から重度の非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)の患者に皮下投与された化合物1(15mgを1日1回、または15mgを1日2回、12か月間;ナトリウム塩)の安全性と有効性を評価した。
方法
【0231】
対象となる被験体は、中等度から重度のNPDRをもつ18~80歳であった。適格眼の主な選択基準には、早期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)重症度スコア≧43および≦53、中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(DME)の証拠がなく、ETDRS視力チャートを使用したETDRS≧70文字が含まれていた。試験眼の眼球除外基準には、最大IOP低下治療でIOP≧30mmHgと定義される制御不能な緑内障が含まれた。
【0232】
被験体は、化合物1を1日1回(QD)15mg投与群、化合物1を1日2回(BID)15mg投与群、またはプラセボBID処置群のいずれかに1:1:1で無作為化された。被験体は、滅菌済みの事前に充填された使い捨てシリンジとして供給された、マスクされた試験薬(化合物1またはプラセボ)を自己投与した。被験体は、48週間の処置期間中、毎月臨床現場を訪れた。IOP評価を含む一連の包括的な眼科評価は、圧平眼圧測定またはTono-Pen(登録商標)のいずれかで12週間ごとに実施され、その方法は研究全体を通じて一貫していた。1日目と24週目に、投与前にIOPを測定した。
【0233】
IOPデータは、混合モデル反復測定ANCOVAを使用して分析され、被験体内の反復測定として訪問が行われた。このモデルには、ベースラインからの変化が従属変数として含まれていた。モデルからのp値はベースラインIOPによって調整した。
結果
【0234】
正常なIOPをもつ糖尿病患者の両眼(試験眼および僚眼)で平均した眼圧(mmHg)への化合物1の効果は、
図1Dおよび表5に要約されている。
【表5】
【0235】
図1Dは、化合物1 15mgをQD(丸)で、化合物1 15mgをBID(四角)で、およびプラセボ(三角)を投与されたすべての患者における、患者レベルのIOP(各患者の両眼の平均)のベースラインからの平均的な経時変化を示す。ベースラインからのIOPの変化は、化合物1のQD(p=0.041)およびBID(p<0.0001)処置群で統計的に有意であったが、プラセボ群(p=0.502)では有意ではなかった。プラセボと比較した化合物1 BID群のIOPの平均低下は1.15mmHg(p=0.0002)であった。プラセボと比較した化合物1 QD群のIOPの0.70mmHgの平均低下は(p=0.0552)(MMRM ANCOVA)であった。
【0236】
化合物1は、ベースライン後のすべての時点でIOPを低下させたが、プラセボ処置群ではIOPのわずかな上昇が観察された。化合物1の投与量とIOPの低下との関係が観察され、すべての時点でBIDの投与量のほうが低下が大きく、0.22~0.71mmHgの範囲であった。混合効果モデルの反復測定分析により、ベースラインからの変化は、化合物1のQD(p=0.041)およびBID(p<0.0001)処置群について統計学的に有意であったが、プラセボ群(p=0.502)では有意ではなかったことが示された。プラセボと比較した化合物1 BID群のIOPの1.15mmHgの平均低下は統計上有意であった(p=0.0002)。ただし、プラセボと比較した化合物1 QD群の0.70mmHgの低下は、統計的有意性に達しない傾向を示した(p=0.0552)。24週目の訪問時には、薬物動態を評価することができるように、IOP測定後までAMの投与を控えた。BIDおよびQD投与群でそれぞれ約12時間または24時間の投与間隔があったにもかかわらず、IOPの低下は、AM投与が控えられなかった他の時点と同様であった、これは化合物1の持続的なIOP低下効果を示唆している。
実施例3:延長した48週間の治験における化合物1の皮下投与によるIOP効果。
【0237】
糖尿病性黄斑浮腫(DME)を伴わず、視力が20/40以上の中等度から重度の非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)の167人の患者を、NPDRの処置における化合物1(ナトリウム塩)の効果に関する48週間の研究に登録した。IOPは、ベースラインと、12、24、36、および48週目に測定した。治験は3つの試験アームで構成された。1)15mgの化合物1をBIDで皮下投与される患者;2)プラセボをQDで皮下投与、および15mgの化合物1をQDで皮下投与されている患者;3)プラセボをBIDで皮下投与されている患者。結果は
図2に要約されている。
【0238】
図2の両方のパネルは、QD群とBID群の両方でIOPの低下を示し、用量依存性を支持する傾向がある。24週目の投与前に測定されたIOP(楕円)は、QD投与を支持する持続的なIOP効果を示す(BIDは前の投与から12時間超、QDは前の投与から24時間超)。MMRM(混合効果モデルの反復測定)分析LOCF:ベースラインからの処置内変化-化合物1、QD、p=0.04;化合物1、BID、p<0.0001;化合物1群対プラセボの比較-化合物1、QD、p=0.0553;化合物1、BID、p<0.0002。
実施例4:化合物1の局所眼内投与は、正常眼圧のウサギのIOPを低下させる。
【0239】
化合物1のIOPへの影響を調べるために、化合物1を、正常眼圧のニュージーランド白ウサギへの皮下注射か局所点眼により送達し、IOPを経時的に追跡した(
図3A~
図3C)。この研究では、25匹の雌のニュージーランド白ウサギに化合物1のナトリウム塩を7日間QDまたはBIDで両眼に局所投与(30μL滴)するか、または1日2回皮下投与するか、またはビヒクルを1日2回両眼に局所投与した。点眼薬(4%化合物1またはビヒクル)が投与され、試験スタッフは処置に対してマスクされた。
【0240】
5つの用量群(1群にウサギ5匹)を試験した:1)ビヒクル対照-15%HPβCD(1%デキストロース);2)1.5%(15mg/mL)化合物1、BID;3)4%(40mg/mL)化合物1、BID;4)4%(40mg/mL)化合物1、QD;5)10mg/kg(40mg/mL)化合物1、BID皮下投与。
【0241】
IOPの測定は、ベースライン時(投与開始前)、および2~8日目に1日1回実施した。IOP測定を実施する前に、1~2滴の0.5%プロパラカイン溶液を局所麻酔として眼に適用した。IOP測定は、朝の投薬の2時間後に空気眼圧計で実施した。唯一の例外は、8日目の測定であり、最終投与の24時間後に実施された。
【0242】
IOPデータは、混合設計の2因子ANOVAを使用して分析し、時間を被験体内因子、処置を被験体間因子として用いた。7日目と8日目のIOP値は、一元配置ANOVAを使用して分析した。7日目と8日目のベースラインIOPからの変化を各動物について計算し、結果として得られる値を一元配置ANOVAを使用して分析した。曲線下面積(AUC)は、各群の研究全体を通して、すべての朝のIOP測定値について計算した。異なる群のAUC値は、一元配置ANOVAを使用して分析した。適切な場合には、Tukeyの多重比較検定を使用して事後検定を行った。有意水準は0.05に設定した。
【0243】
4%化合物1のQDおよびBIDでの局所眼内投与は、ビヒクル対照または1.5%化合物1 BIDの局所投与よりも有意に大きなIOP低下作用を示した(p≦0.001;ANOVA)。
【0244】
IOPの定常状態の効果は、4.0%の化合物1の毎日の局所眼投与後3日目までに観察された。IOPの有意な低下は、化合物1を高用量局所眼投与した2つの群で、最後の投与から24時間後の8日目でも持続した。ビヒクル対照と比較して、10mg/kgのBID皮下注射の有意な最大IOP低下効果が3日目および4日目に観察されたが(p<0.01)、その効果はウサギでは投与の最終日(7日目)まで持続せず、ビヒクル対照または1.5%化合物1のBIDとの差はなかった。
【0245】
試験中、化合物1の有害作用は、細隙灯生体顕微鏡を使用した局所耐性には観察されなかった。眼科検査でのMcDonald-Shadduck(修正)スコアリングにより、1日目に各群の一部のウサギに軽度の結膜充血(スコア’+1’)が示唆されたが、4日目にこの所見の発生率は低下した。これらの知見は、投与後24時間持続しなかった(8日目)。
【0246】
ウサギでのIOP低下は、皮下投与よりも局所眼内投与による方が大きかった。この結果は、IOP調節への化合物1の局所作用を裏付ける。
【0247】
図3Aは、ビヒクル対照と比較したIOPの日平均変化を示している。4%化合物1の局所眼(TO)QDまたはBIDでのIOPの低下は、投与後24時間持続した(8日目)。
図3Bに示すように、QDまたはBIDで投与された4%化合物1、TOの7日間にわたるIOP値の曲線下面積の計算値は、TOビヒクル対照(ビヒクル)のIOP AUC値または1.5%TO BIDまたは10mg/kg皮下(SC)BIDよりも統計的に有意に低かった。n=5/群;
*p≦0.05、ビヒクルと比較;
**p≦0.01、ビヒクルと比較;#p≦0.05、化合物1 1.5% BIDと比較;##p≦0.001、化合物1 1.5% BIDと比較。
【0248】
図3Cに示すように、化合物1の局所眼投与は、ニュージーランド白ウサギにおいて皮下投与よりもIOPの大幅な低下をもたらした。観察されたIOPの低下は、最後の投与後24時間持続した。
実施例5:化合物1の局所眼内投与は、正常眼圧のマウスのIOPを低下させ、流出能を増加させる。
【0249】
C57マウスのナイーブ眼のIOPに対する化合物1の効果を、1日1回の局所投与後3日間モニターした。さらに、SCにおけるTie-2経路の役割、およびIOPの調節における通常の流出経路の役割のために、流出能に対する化合物1のIOP低下効果をマウスの眼で評価した。
方法
【0250】
マウスは、許容され得る動物の管理および使用のガイドラインに従って取り扱われた。C57BL/6(C57)マウスを透明なケージで飼育/収容し、12時間:12時間の明暗サイクルで21℃の飼育室で飼育した。マウスは4~6か月齢で検査された。
IOP測定
【0251】
各動物を、片方の眼に1つのマスクされた処置(点眼薬、4%化合物1またはビヒクル)、反対側の眼にもう1つのマスクされた処置を1日1回、3日間連続して受けるように無作為に割り当てた。両眼のIOPは、点眼薬の投与前に、リバウンド眼圧測定を用いて毎日午前11時から午後1時の間に測定した。3日目にIOP測定値を収集した後、化合物1またはプラセボの最後の1滴を投与し、2時間後および4時間後にIOPを再度測定した。IOP測定のために、マウスをケタミン(60mg/kg)とキシラジン(6mg/kg)で麻酔した。マウスが動きを停止し、浅い眠りに漂っている間の麻酔がかかるまでに、IOPを直ちに測定した。記録された各IOP測定値は、1時点につき6回の独立した測定値の平均の結果であり、同じ眼から合計36回の測定値が得られた。
流出能測定
【0252】
iPerfusionシステムをマウスの流出能の測定に使用した。このシステムは、低流量(nL/分)のマウスの両眼の流出能を測定するように設計されている。流出能は、房水が線維柱帯から流れて定常状態のIOPを維持する能力の尺度である。
【0253】
化合物1またはプラセボのいずれかによる3日間の処置の後、眼球を除去し、マスクした方法で流出能を測定した。簡単に説明すると、マウスをイソフルランを使用して安楽死させ、新たに眼球除去されたマウスの両眼を、少量のシアノアクリレート接着剤を使用して、温度制御された灌流チャンバ内の2つの安定化プラットフォームに取り付けた。灌流チャンバに、リン酸緩衝生理食塩水(DBG、5.5mM)中の予熱したD-グルコースを充填し、35℃に温度調節した。ガラス製マイクロニードルに、実施例4に記載の局所処置と同じ、マスクした方法でビヒクルかまたは10μMの化合物1のいずれかを埋め戻した。マイクロニードルを、2つの平行な灌流システムに接続し、実体顕微鏡を使用して視覚化されたマイクロマニピュレーターを使用して各眼球の前房に挿入した。
【0254】
マウスの両眼を9mmHgで45~60分間灌流して順応させ、薬物またはビヒクルを流出経路に送達した後、4.5、6、7.5、9、10.5、12、15、18、および21mmHgの9つの連続した圧力ステップを行った。眼球からの流出を複数の圧力で測定して流出能を測定した。
【0255】
非線形流圧モデルを使用して、マウスの流出能の圧力依存性を説明した。基準の能力は、生きているマウスの通常の流出経路にわたる生理的な圧力低下に近似した、8mmHgの基準圧力で分析した。対応のある両側t検定を使用して、両眼の間の能力の差が統計的に有意であると判断した。
結果
【0256】
処置前のIOPの変化を、処置前(0日目)と処置(プラセボまたは化合物1)とを比較することによって評価した(平均±標準誤差、n=14)。IOPは、投与の前に3日間連続して1日1回測定した。
図4Aに示すように、化合物1は、0日目のIOPと比較して、1日目と2日目の投与直前の測定でそれぞれ-0.74±0.43mmHgおよび-1.00±0.27mmHgだけIOPを経時的に低下させ、3日目の投与前に測定されたIOPの変化は-1.6±0.3mmHgとなった。IOPの低下は、3日目に最大かつ有意であったため(p=0.017)、IOPは、3日目の処置後2時間および4時間の2つの追加の時点で評価した。IOPの低下は、これらの追加の時点でより顕著であり、約30%の大幅な低下が見られた(平均±SE:0日目の前処置とプラセボ処置の両方と比較して、2時間で-3.85±1.1mmHg、4時間で-3.1±0.6mmHg;プラセボ処置した眼のみと比較した場合、2時間で-5.66±1.0mmHg、4時間で-4.87±0.75mmHg;対応のあるスチューデントのt検定により、p<0.01)(
図4B)。
【0257】
化合物1で処置した眼の流出能(中央のバーは中央値であり、範囲は最小から最大を示し、個々のデータポイントが示されている、n=9)を3日間評価し(
*p≦0.05、
**p≦0.01)、薬剤とプラセボ処置した反対側の眼を比較した。
図4Cに示すように、化合物1は、対照と比較して流出能を33%大幅に増加させた(3.4±0.4対2.5±0.2nL/min/mmHg、p=0.047)。
【0258】
流出能の増加は、マウスとウサギの両方におけるVE-PTP阻害の最大IOP効果と一致していた。マウスとヒトCO経路は両方とも連続的なSCを有するという類似性があり、ヒトのIOP低下効果が流出能の増加によって媒介され得ることが示唆される。
実施例6:VE-PTPとTie-2の発現は両方ともシュレム管に局在する。
【0259】
化合物1の有望な通常の流出先を決定するために、VE-PTP発現をマウスの前眼部で評価した。
方法
化合物1によるマウスの処置
【0260】
VE-PTP発現を、内因性VE-PTPプロモーターから核局在性β-ガラクトシダーゼを発現するVE-PTPノックインレポーターマウス(VE-PTP/mut)のSCの内皮で評価した。C57BL/6JRjマウスも対照動物として実験に使用した。ケタミン(125mg/kg)およびキシラジン(12.5mg/kg)を使用してマウスを麻酔した。10μLの化合物1の点眼液(4%化合物1)またはビヒクルを各眼に適用した。投与の1時間後にマウスを安楽死させ、眼球を免疫蛍光分析のために処理してTie-2リン酸化を検出した。
抗体
【0261】
以下の一次抗体を、示された濃度での免疫蛍光染色に使用した:VE-PTP(ラット-a-マウス-VE-PTP、クローン109.1、10μg/mL)、VE-カドヘリン(ウサギ-a-マウス-VE-カドヘリン、pAB42)、Prox1(ヤギ-抗ヒト-Prox1、AF-2727、2μg/mL);PECAM-1(ラット-抗マウスPECAM-1、クローン1G5.1(3μg/mL)+クローン5D2.6(1μg/mL);Tie-2(ヤギ-抗マウス-Tie-2、AF762、5μg/mL);ホスホ-Tie-2(ウサギ-a-pY992-Tie2、AF2720、10μg/mL)。以下のAlexa Fluor標識二次抗体を2μg/mLの濃度で使用した:ロバ-抗ラット-IgG-Alexa-488(A-21208);ロバ-抗ヤギ-IgG-Alexa-568(A-11057);ロバ-抗ヤギ-IgG-Alexa-647(A-10042);ロバ-a-ウサギ-IgG-Alexa-568(A-21447)。
β-ガラクトシダーゼ活性の検出
【0262】
β-ガラクトシダーゼ活性を検出するために、除去した眼球を2%PFAで15分間、RTで固定した後、X-Gal染色液(PBS中1mg/mL X-Gal、5mM K4Fe(CN)6、5mM K3Fe(CN)6、2mM MgCl2)中37℃で一晩インキュベートした。翌日、角膜を分離し、透過処理し、ブロッキングバッファー(PBS中5%ロバ血清、0.3%Triton-X-100)中、RTで1時間ブロックし、ブロッキングバッファー中で一次抗体ともに4℃で一晩インキュベートした。洗浄バッファー(PBS中0.3%Triton-X-100)で15分間、RTで6回洗浄した後、角膜をブロッキングバッファー中で二次抗体とともに暗所で4時間、RTでインキュベートし、続いて洗浄バッファーで15分間、RTで6回洗浄した後、DAKO蛍光マウンティング培地にマウントした。分析は、共焦点顕微鏡を使用して行った。
免疫蛍光染色
【0263】
ホールマウント角膜標本の免疫蛍光染色のために、マウスの脈管構造をPBSで灌流し、続いて左心室を介して1%PFAで灌流した。眼球を除去し、眼球を4%PFAで30分間、RTで固定し、続いて固定液(PBS中1%PFA、0.1%Triton-X-100、0.1%NP-40)中で30分間、RTでインキュベートした。固定した眼球から角膜を分離し、透過処理し、ブロッキングバッファー(PBS中5%ロバ血清、0.2%BSA、0.2%Triton-X-100)中、RTで1時間または一晩ブロックした。ブロッキングバッファーに希釈した一次抗体とのインキュベーションをRTで一晩行った。洗浄バッファー(PBS中0.3%Triton-X-100)で60分間、RTで6回洗浄した後、角膜をブロッキングバッファーに希釈した二次抗体とともにRTで一晩インキュベートし、続いて洗浄バッファーで30分間、RTで6回洗浄した後、DAKO蛍光マウンティング培地にマウントした。分析は、共焦点顕微鏡を使用して行った。ホスホチロシンを検出するために、1mMオルトバナジン酸ナトリウムをすべてのバッファーに添加した。
【0264】
眼球のクリオスタット切片の免疫蛍光染色のために、マウスの脈管構造をPBSで灌流し、続いて左心室を介して1%PFAで灌流した。眼球を除去し、眼球を2%PFAで15分間、RTで固定し、続いてPBSで3×5分間洗浄し、最適切断温度(OCT)培地(Neg-50)に包埋し、-16°Cで切断した。切片を、VE-PTPに対して10μg/mL mAb109.1、またはマウスVE-カドヘリンに対して5μg/mL pAb42とともにインキュベートし、続いて二次抗体とともにインキュベートした。
組織学的解析
【0265】
成体ネズミの眼の組織学的解析のために、マウスの脈管構造をPBSで灌流し、続いて左心室を介して1%PFAで灌流した。眼球を除去し、眼球を2%PFAで15分間、RTで固定し、続いてX-Gal染色液中で37℃で一晩インキュベートした。眼を4%PFAでRTで2時間、後固定し、OCT(最適切断温度の化合物)に包埋し、凍結した。凍結したブロックを10μmの切片に切断した。分析は、共焦点顕微鏡を使用して行った。
結果
【0266】
野生型(VE-PTP
+/+)またはVE-PTPプロモーター下でβ-ガラクトシダーゼを発現するヘテロ接合のノックインマウス(VE-PTP
+/mut)のいずれかの成体マウスの眼をX-Gal染色後に輪切りにし、VE-PTP発現を視覚化した。
図5Aに示すように、β-ガラクトシダーゼ活性はSCの核で検出されたが、VE-PTP
+/mutマウスのTMでは検出されなかった。並行して、成体マウスの眼の矢状クライオスタット切片を、VE-PTP(
図5B、左上)またはVE-カドヘリン(
図5B、右上)に特異的なモノクローナル抗体で染色した。
【0267】
VE-PTP
+/+またはVE-PTP
+/mutマウスの成体マウス眼のホールマウント免疫蛍光分析では、眼球除去した眼をホールマウントとしてX-galまたはPECAM-1、Prox-1、およびTie-2を検出する抗体で染色した。角膜輪部の全体の厚さは共焦点イメージングによって視覚化した。SCを含む光学切片のサブセットを示す。SC内皮細胞はPECAM-1、Prox1、およびTie-2を発現した(
図5C)。
【0268】
VE-PTP媒介性シグナル伝達を評価するために、VE-PTP阻害後のSCにおけるチロシンリン酸化およびTie-2の活性化を、化合物1の単回局所眼内投与の1時間後に評価した。化合物1またはビヒクルのいずれかで1時間局所的に処置され、PECAM-1、pY992-Tie-2および全Tie-2について染色された成体マウスの眼のホールマウント免疫蛍光染色を行った。角膜輪部の全体の厚さを共焦点イメージングによって視覚化した。SCを示す光学切片のサブセットを
図5Dに示す(スケールバー:20μm;SC=シュレム管;AV=房水静脈。CB=毛様体;BV=血管;TM=線維柱帯)。
【0269】
図5Dに示すように、チロシンリン酸化Tie-2に特異的な抗体によるSCの染色は、化合物1の局所眼内投与後に増強された。
【0270】
SC内皮のハイブリッドの性質と一致して、レポーター遺伝子発現で評価した場合、VE-PTPは均一に発現しておらず、発現レベルは一般に血管内皮細胞よりも低いようであった。しかし、SCの内壁を含むすべての領域で発現が見出された。
【0271】
本明細書の例は、線維柱帯の細胞上で様々な内皮マーカーが発現しているにもかかわらず、TMはTie-2やVE-PTPを発現しないことを示唆する。知見は、化合物1のIOP低下効果がSC内皮に媒介され得ることを示唆する。
【0272】
図7は、ヒトドナーの眼のSCにおけるVE-PTP(HPTP-β)の発現を示す。左パネルは、VE-PTPに特異的な抗体を使用して、シュレム管(SC)の内皮細胞に限定された、ヒトドナーの眼からの通常の流出組織のラベリングを示す。右パネルは、血管内皮細胞マーカーであるCD31に対する抗体によるSCの選択的染色を示す。分析した切片は、細胞核を限局化するためにDAPIで対比染色した。TM:線維柱帯、倍率バー=50μm。ウサギ抗ヒトVE-PTP抗体(hVE-PTP1~8)は、ヒトVE-PTPの細胞外フィブロネクチンIII型様ドメイン1~8の組換え型に対してウサギで生成され、抗原を使用してアフィニティー精製された。
実施例7:化合物1の局所眼内投与は、マウスのシュレム管の面積を増強する。
【0273】
化合物1の眼内投与によるVE-PTPの阻害がマウスのSCサイズに有益な効果をもたらすかどうかを判断するために、4週齢のC57Bl6マウスを4%化合物1またはビヒクルを含む点眼薬(5μL)を用いてBIDで4週間、1日2回処置した。点眼薬を適用する前に、イソフルラン蒸発器を使用してマウスを麻酔した。角膜のホールマウントをPECAM-1で染色し(
図6A)、SC面積を測定した(
図6B)。
図6Aに示すように、示されている20倍の視野は146μm
2の面積を表す。画像は、0.89μmのステップサイズと1エアリーユニットのピンホールを備えたZスタックとしてキャプチャされ、最大強度の投影として表示される。定量化のために(
図6B)、2匹のマウスの4つの眼に対して条件ごとに16枚の20倍画像でSC面積を測定した;
*p≦0.05。化合物1による処置は、ビヒクルと比較して、局所眼内化合物1処置でSC面積を約12.2%(±4.7%;p=0.022)増強した。
実施例8:化合物1のQDとBIDでの眼局所投与の効果を研究する第IB相試験。
【0274】
多施設二重遮蔽無作為化プラセボ対照反復用量漸増(MAD)コホート試験が、最大48人の正常眼圧患者において実施された。コホート1の被験体の場合、1日目の両眼のIOPは12mmHg~23mmHgの間(両端を含む)であった。コホート2~4は、スクリーニング中の2つの別々の日のIOP評価のすべての時点で、処置前のIOPが少なくとも片方の眼で16mmHg以上23mmHg以下、両眼で23mmHg以下の被験体に限定された。追加の炭酸脱水酵素阻害剤の液滴またはコリン作動薬の液滴を投与された被験体は、-1日目の少なくとも7日前から洗い流された。
【0275】
試験デザインを
図8に示す。
図8は、コホート1~3が1日1回の投与を7日間受けたのに対し、コホート4は1日2回の投与を7日間受けたことを示している。-1日目(投与1日目の前日)、1日目、および7日目に、すべてのコホートについて、両眼のIOPのベースラインの昼間の時点の評価を、投与前と、翌日の予定投与時間に対して投与後2、4、および8時間に行った。
【0276】
コホート1~4では、PK評価のための採血は、1日目と6日目の投与前、投与後0.25、0.5、1、2、4、8、および12時間に実施された。
【0277】
以下の表6は、各コホートに投与された化合物1の点眼液を示す。
【表6】
【0278】
コホート1では、1日目と2日目の朝に、すべての被験体に1回の投与(それぞれの用量レベルに対応する投与溶液(化合物1またはプラセボ)の約30μLの1滴)を右眼のみに行った。懸念の原因となる治験薬(IMP)に関連するAEが観察されなかった場合は、3日目から7日目の朝に1日1回両眼に処置を投与した。それ以降のすべてのコホートでは、用量投与は7日間すべて両眼に行った(ただし、コホート4では、1~6日目に1日2回(午前と午後)両眼に投与され、7日目の朝に両眼に最終の単回投与が投与された)。
【0279】
昼間の時点でのIOPの評価を、すべてのコホートで1日目と7日目に投与前と投与後2、4、8時間に両眼で実施した。
【0280】
治験に使用した化合物1の点眼液は、15% w/v HPβCDおよび1% w/vマンニトールを含有するビヒクル中の化合物1(0.5% w/v~4.0% w/v、または5mg/mL~40mg/mL;ナトリウム塩として)の無菌の保存されていない溶液として製剤化し、1N塩酸および/または1N水酸化ナトリウムでpHを6.5~7.5に調整した。この溶液を0.22μmの滅菌フィルターで濾過し、0.5mLを、眼科用送達に適した使い捨ての無菌の用量投与ボトルに無菌的に充填した。プラセボは、化合物1点眼液のビヒクルと同じであった。化合物1は、米国薬局方(USP)の管理された室温で保存した。
【0281】
図9は、ANCOVAモデルが化合物1のIOP低下における用量反応を支持したことを示している。
図9のデータは、40mg/mLのQDおよびBID用量での試験眼の昼間の平均低下量が、15mg/mL用量よりも優れており、それぞれ-1.93mmHg(p=0.003)および-2.24mmHg(p<0.001)であったことを示す。
【0282】
図10は、40mg/mL投与により、処置レジメンの1日目と7日目の投与後2、4、8時間にIOPがベースラインから大幅に低下したことを示している。
【0283】
図11は、40mg/mL投与により、7日目の投与前0時間の時点(前回の投与から12時間後)でIOPの低下が持続していたことを示している。
実施形態
【0284】
以下の非限定的な実施形態は、本発明の例示的な例を提供するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0285】
実施形態1. 流体流出を調節することを必要とする被験体の眼において流体流出を調節するための方法であって、該方法が、治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、被験体にTie-2活性化物質を投与すると、投与しない場合と比較して、流体流出が少なくとも約20%調節される方法。
【0286】
実施形態2. 投与によって調節される流体流出が房水の流出である、実施形態1に記載の方法。
【0287】
実施形態3. 投与により被験体の眼の眼圧が少なくとも約15%低下する、実施形態1または2に記載の方法。
【0288】
実施形態4. Tie-2活性化物質の投与により被験体のシュレム管でTie-2が活性化される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
実施形態5. Tie-2活性化物質が被験体のシュレム管でHPTPβに結合する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
実施形態6. Tie-2活性化物質が被験体のシュレム管でHPTPβを阻害する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
実施形態7. 調節が、被験体の眼における流体流出の増加である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
実施形態8. 流体流出が少なくとも約25%増加する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
実施形態9. 流体流出が、約2nL/分/mmHgから約4nL/分/mmHg増加する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0294】
実施形態10. 投与が局所的である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0295】
実施形態11. 投与が被験体の眼に局所的である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
実施形態12. 投与が皮下である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
実施形態13. Tie-2活性化物質が被験体に単位剤形として投与される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
実施形態14. 単位剤形が液滴として製剤化されている、実施形態13に記載の方法。
【0299】
実施形態15. 液滴が単位剤形の約1質量%~約5質量%の量のTie-2活性化物質を含む、実施形態14に記載の方法。
【0300】
実施形態16. 液滴が薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0301】
実施形態17. 薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、実施形態16に記載の方法。
【0302】
実施形態18. 薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、実施形態16に記載の方法。
【0303】
実施形態19. 実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法であって、Tie-2活性化物質が、式
【化39】
の化合物{式中、
Aryl
1は、置換または非置換のアリール基であり、Aryl
2は、置換または非置換のアリール基であり、Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり、Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSO
2R
gまたはNHCOR
g(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、または
【化40】
の化合物{式中、
-L
2は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2が結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、もしくはスルホンアミド結合または化学結合を形成するか、またはR
a、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
a、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。
-R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
cのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
gは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である)である}、
またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0304】
実施形態20.
・Aryl1が、置換または非置換のフェニルであり;
・Aryl2が、置換または非置換のヘテロアリールであり;
・Xが、アルキレンである、
実施形態19に記載の方法。
【0305】
実施形態21.
-Aryl1が、置換フェニルであり;
-Aryl2が、置換ヘテロアリールであり;
-Xが、メチレンである、
実施形態19または20に記載の方法。
【0306】
実施形態22. Tie-2を活性化する前記化合物が、以下の式
【化41】
の化合物であり、式中、
-Aryl
1は、パラ置換フェニルであり;
-Aryl
2は、置換ヘテロアリールであり;
-Xは、メチレンであり;
-L
2は、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはL
2が結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であり;
-R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
-R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである、
実施形態19~21のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
実施形態23. 実施形態22に記載の方法であって、
-Aryl1は、パラ置換フェニルであり、
-Aryl2は、置換チアゾール部分であり、
-Xは、メチレンであり、
-L2は、L2が結合している窒素原子と一緒になって、カルバメート結合を形成し、
-Raは、置換または非置換のアルキルであり、
-Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RcはHであり、
-RdはHである、
方法。
【0308】
実施形態24. Aryl
2が、
【化42】
であり、式中、
-R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態19~23のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
実施形態25.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態24に記載の方法。
【0310】
実施形態26.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態24に記載の方法。
【0311】
実施形態27.
-Aryl1が、4-フェニルスルファミン酸であり;
-Raが、置換または非置換のアルキルであり;
-Rbが、置換または非置換のアリールアルキルであり;
-Reが、Hであり;
-Rfが、ヘテロアリールである、
実施形態19~26のいずれか1つに記載の方法。
【0312】
実施形態28. 化合物が、
【化43】
である、実施形態19に記載の方法。
【0313】
実施形態29. 化合物が、
【化44】
である、実施形態19に記載の方法。
【0314】
実施形態30. 実施形態24に記載の方法であって、
-Aryl1は、4-フェニルスルファミン酸であり、
-Raは、置換または非置換のアルキルであり、
-Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-ReはHであり、
-Rfはアルキルである
方法。
【0315】
実施形態31. 化合物が、
【化45】
である、実施形態19に記載の方法。
【0316】
実施形態32. 化合物が、
【化46】
である、実施形態19に記載の方法。
【0317】
実施形態33. 実施形態19から23のいずれか1つに記載の方法であって、Aryl
2が、
【化47】
、
の化合物{式中、
-R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である
方法。
【0318】
実施形態34.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態33に記載の方法。
【0319】
実施形態35.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態33に記載の方法。
【0320】
実施形態36.
-Aryl1が、4-フェニルスルファミン酸であり;
-Raが、置換または非置換のアルキルであり;
-Rbが、置換または非置換のアリールアルキルであり;
-Reが、Hであり;
-Rfが、ヘテロアリールである、
実施形態33に記載の方法。
【0321】
実施形態37. 化合物が、
【化48】
である、実施形態19に記載の方法。
【0322】
実施形態38. 化合物が、
【化49】
である、実施形態19に記載の方法。
【0323】
実施形態39. 化合物が、
【化50】
である、実施形態19に記載の方法。
【0324】
実施形態40. 化合物が、
【化51】
である、実施形態19に記載の方法。
【0325】
実施形態41. シュレム管の面積を増加させることを必要とする被験体のシュレム管の面積を増加させるための方法であって、前記方法が前記被験体に治療有効量のTie-2活性化物質を投与することを含み、前記被験体に前記Tie-2活性化物質を投与すると、投与しない場合と比較して、前記シュレム管の面積が少なくとも約10%増加する、方法。
【0326】
実施形態42. 投与により、被験体の眼の眼圧が少なくとも約30%低下する、実施形態41に記載の方法。
【0327】
実施形態43. Tie-2活性化物質の投与により、被験体のシュレム管でTie-2が活性化される、実施形態41または42に記載の方法。
【0328】
実施形態44. Tie-2活性化物質が、被験体のシュレム管でHPTPβに結合する、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
実施形態45. Tie-2活性化物質が、被験体のシュレム管でHPTPβを阻害する、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
【0330】
実施形態46. 投与が局所的である、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
実施形態47. 投与が被験体の眼に局所的である、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0332】
実施形態48. 投与が皮下である、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0333】
実施形態49. Tie-2活性化物質が、被験体に単位剤形として投与される、実施形態41~48のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
実施形態50. 単位剤形が液滴として製剤化されている、実施形態49に記載の方法。
【0335】
実施形態51. 液滴が、単位剤形の約1質量%~約5質量%の量のTie-2活性化物質を含む、実施形態49に記載の方法。
【0336】
実施形態52. 液滴が、薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、実施形態50または51に記載の方法。
【0337】
実施形態53. 薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、実施形態52に記載の方法。
【0338】
実施形態54. 薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、実施形態52に記載の方法。
【0339】
実施形態55. 実施形態41~54のいずれか1つに記載の方法であって、Tie-2活性化物質が、式
【化52】
の化合物{式中、
Aryl
1は、置換または非置換のアリール基であり、Aryl
2は、置換または非置換のアリール基であり、Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり、Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSO
2R
gまたはNHCOR
g(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、または
【化53】
、
の化合物{式中、
-L
2は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2が結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、もしくはスルホンアミド結合または化学結合を形成するか、またはR
a、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
b、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2、R
a、R
cおよびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
dのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成する。
-R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2、R
a、R
b、およびR
cのいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
gは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である)である}、
またはその薬学的に許容され得る塩である、方法。
【0340】
実施形態56.
-Aryl1が、置換または非置換のフェニルであり;
-Aryl2が、置換または非置換のヘテロアリールであり;
-Xが、アルキレンである、
実施形態55に記載の方法。
【0341】
実施形態57.
-Aryl1が、置換フェニルであり;
-Aryl2が、置換ヘテロアリールであり;
-Xが、メチレンである、
実施形態55または56に記載の方法。
【0342】
実施形態58. 実施形態55~57のいずれか1つに記載の方法であって、Tie-2を活性化する化合物が、式
【化54】
(式中、
-Aryl
1は、パラ置換フェニルであり、
-Aryl
2は、置換ヘテロアリールであり、
-Xは、メチレンであり、
-L
2は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2が結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、またはスルホンアミド結合または化学結合を形成し、
-R
aは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-R
bは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-R
cは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
-R
dは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである)の化合物である、方法。
【0343】
実施形態59. 実施形態58に記載の方法であって、
-Aryl1は、パラ置換フェニルであり、
-Aryl2は、置換チアゾール部分であり、
-Xは、メチレンであり、
-L2は、L2が結合している窒素原子と一緒になって、カルバメート結合を形成し、
-Raは、置換または非置換のアルキルであり、
-Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RcはHであり、
-RdはHである、
方法。
【0344】
実施形態60. Aryl
2が、
【化55】
であり、式中、
-R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態55~59のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
実施形態61.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態60に記載の方法。
【0346】
実施形態62.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態60に記載の方法。
【0347】
実施形態63.
-Aryl1が、4-フェニルスルファミン酸であり;
-Raが、置換または非置換のアルキルであり;
-Rbが、置換または非置換のアリールアルキルであり;
-Reが、Hであり;
-Rfが、ヘテロアリールである、
実施形態55~62のいずれか1つに記載の方法。
【0348】
実施形態64. 化合物が
【化56】
である、実施形態55に記載の方法。
【0349】
実施形態65. 化合物が
【化57】
である、実施形態55に記載の方法。
【0350】
実施形態66.
-Aryl1は、4-フェニルスルファミン酸であり、
-Raは、置換または非置換のアルキルであり、
-Rbは、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-ReはHであり、
-Rfはアルキルである、
実施形態60に記載の方法。
【0351】
実施形態67. 化合物が
【化58】
である、実施形態55に記載の方法。
【0352】
実施形態68. 化合物が
【化59】
である、実施形態55に記載の方法。
【0353】
実施形態69. 実施形態55~59のいずれか1つに記載の方法であって、Aryl
2が、
【化60】
、
の化合物{式中、
-R
eは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
fは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
方法。
【0354】
実施形態70.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態69に記載の方法。
【0355】
実施形態71.
-Reが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
-Rfが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態69に記載の方法。
【0356】
実施形態72.
-Aryl1が、4-フェニルスルファミン酸であり;
-Raが、置換または非置換のアルキルであり;
-Rbが、置換または非置換のアリールアルキルであり;
-Reが、Hであり;
-Rfが、ヘテロアリールである、
実施形態69に記載の方法。
【0357】
実施形態73. 化合物が
【化61】
である、実施形態55に記載の方法。
【0358】
実施形態74. 化合物が
【化62】
である、実施形態55に記載の方法。
【0359】
実施形態75. 化合物が
【化63】
である、実施形態55に記載の方法。
【0360】
実施形態76. 化合物が
【化64】
である、実施形態55に記載の方法。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
流体流出を調節することを必要とする被験体の眼において流体流出を調節するための方法であって、前記方法が、治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記被験体に前記Tie-2活性化物質を投与すると、投与しない場合と比較して、前記流体流出が少なくとも約20%調節される、方法。
(項目2)
前記投与によって調節される前記流体流出が、房水の流出である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記投与が、前記被験体の前記眼の眼圧を少なくとも約15%低下させる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記Tie-2活性化物質の前記投与により、前記被験体のシュレム管でTie-2が活性化される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体のシュレム管でHPTPβに結合する、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体のシュレム管でHPTPβを阻害する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記調節が、前記被験体の前記眼における前記流体流出の増加である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記流体流出が少なくとも約25%増加する、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記流体流出が、約2nL/分/mmHgから約4nL/分/mmHg増加する、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記投与が局所的である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記投与が、前記被験体の前記眼に局所的である、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記投与が皮下である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体に単位剤形として投与される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記単位剤形が液滴として製剤化されている、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記液滴が、前記単位剤形の約1質量%~約5質量%の量の前記Tie-2活性化物質を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記液滴が、薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記Tie-2活性化物質が、式
【化65】
の化合物{式中、
Aryl
1
は、置換または非置換のアリール基であり、Aryl
2
は、置換または非置換のアリール基であり、Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり、そしてYは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSO
2
R
g
またはNHCOR
g
(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、または
【化66】
(式中、
-L
2
は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
が結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合または化学結合を形成するか、またはR
a
、R
b
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
a
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
、R
b
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
b
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
、R
a
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
c
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2
、R
a
、R
b
、およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
d
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2
、R
a
、R
b
、およびR
c
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;そして
-R
g
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である)である}、
またはその薬学的に許容され得る塩である、項目1に記載の方法。
(項目20)
-Aryl
1
が置換もしくは非置換のフェニルであり、
-Aryl
2
が置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、そして
-Xがアルキレンである、
項目19に記載の方法。
(項目21)
-Aryl
1
が置換フェニルであり、
-Aryl
2
が置換ヘテロアリールであり、そして
-Xがメチレンである、
項目20に記載の方法。
(項目22)
Tie-2を活性化する前記化合物が、式
【化67】
の化合物(式中、
-Aryl
1
は、パラ置換フェニルであり、
-Aryl
2
は、置換ヘテロアリールであり、
-Xが、メチレンであり、
-L
2
は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
が結合している前記窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、またはスルホンアミド結合、または化学結合を形成し;
-R
a
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
b
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
c
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、そして
-R
d
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである)
である、項目21に記載の方法。
(項目23)
-Aryl
1
が、パラ置換フェニルであり、
-Aryl
2
が、置換チアゾール部分であり、
-Xが、メチレンであり、
-L
2
が、L
2
が結合している前記窒素原子と一緒になって、カルバメート結合を形成し;
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
c
が、Hであり、そして
-R
d
が、Hである、
項目22に記載の方法。
(項目24)
Aryl
2
が、
【化68】
(式中、
-R
e
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、項目23に記載の方法。
(項目25)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目24に記載の方法。
(項目26)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目24に記載の方法。
(項目27)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、ヘテロアリールである、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記化合物が、
【化69】
である、項目19に記載の方法。
(項目29)
前記化合物が、
【化70】
である、項目19に記載の方法。
(項目30)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、アルキルである、項目24に記載の方法。
(項目31)
前記化合物が、
【化71】
である、項目19に記載の方法。
(項目32)
前記化合物が、
【化72】
である、項目19に記載の方法。
(項目33)
Aryl
2
が、
【化73】
(式中、
-R
e
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、項目23に記載の方法。
(項目34)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目33に記載の方法。
(項目35)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
f
が、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目33に記載の方法。
(項目36)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、ヘテロアリールである、項目33に記載の方法。
(項目37)
前記化合物が、
【化74】
である、項目19に記載の方法。
(項目38)
前記化合物が、
【化75】
である、項目19に記載の方法。
(項目39)
前記化合物が、
【化76】
である、項目19に記載の方法。
(項目40)
前記化合物が、
【化77】
である、項目19に記載の方法。
(項目41)
シュレム管の面積を増加させることを必要とする被験体のシュレム管の面積を増加させるための方法であって、前記方法が前記被験体に治療有効量のTie-2活性化物質を投与することを含み、前記被験体に前記Tie-2活性化物質を投与すると、投与しない場合と比較して、前記シュレム管の面積が少なくとも約10%増加する、方法。
(項目42)
前記投与が、前記被験体の前記眼の眼圧を少なくとも約30%低下させる、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記Tie-2活性化物質の前記投与により、前記被験体の前記シュレム管でTie-2が活性化される、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体の前記シュレム管でHPTPβに結合する、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体の前記シュレム管でHPTPβを阻害する、項目41に記載の方法。
(項目46)
前記投与が局所的である、項目41に記載の方法。
(項目47)
前記投与が、前記被験体の前記眼に局所的である、項目41に記載の方法。
(項目48)
前記投与が皮下である、項目41に記載の方法。
(項目49)
前記Tie-2活性化物質が、前記被験体に単位剤形として投与される、項目41に記載の方法。
(項目50)
前記単位剤形が液滴として製剤化されている、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記液滴が、前記単位剤形の約1質量%~約5質量%の量の前記Tie-2活性化物質を含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記液滴が、薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、項目50に記載の方法。
(項目53)
前記薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記Tie-2活性化物質が、式
【化78】
の化合物{式中、
Aryl
1
は、置換または非置換のアリール基であり、Aryl
2
は、置換または非置換のアリール基であり、Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり、Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSO
2
R
g
またはNHCOR
g
(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、または
【化79】
(式中、
-L
2
は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
が結合している窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合または化学結合を形成するか、またはR
a
、R
b
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
a
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
、R
b
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
b
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
、R
a
、R
c
およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
c
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2
、R
a
、R
b
、およびR
d
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;
-R
d
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL
2
、R
a
、R
b
、およびR
c
のいずれかと一緒になって、置換または非置換の環を形成し;そして
-R
g
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である)である}、
またはその薬学的に許容され得る塩である、項目41に記載の方法。
(項目56)
-Aryl
1
が置換もしくは非置換のフェニルであり、
-Aryl
2
が置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、そして
-Xがアルキレンである、
項目55に記載の方法。
(項目57)
-Aryl
1
が置換フェニルであり、
-Aryl
2
が置換ヘテロアリールであり、そして
-Xがメチレンである、
項目56に記載の方法。
(項目58)
Tie-2を活性化する前記化合物が、式
【化80】
の化合物(式中、
-Aryl
1
は、パラ置換フェニルであり、
-Aryl
2
は、置換ヘテロアリールであり、
-Xが、メチレンであり、
-L
2
は、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL
2
が結合している前記窒素原子と一緒になって、アミド結合、カルバメート結合、またはスルホンアミド結合、または化学結合を形成し;
-R
a
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
b
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、
-R
c
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、そして
-R
d
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである)
である、項目57に記載の方法。
(項目59)
-Aryl
1
が、パラ置換フェニルであり、
-Aryl
2
が、置換チアゾール部分であり、
-Xが、メチレンであり、
-L
2
が、L
2
が結合している前記窒素原子と一緒になって、カルバメート結合を形成し;
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
c
が、Hであり、そして
-R
d
が、Hである、
項目58に記載の方法。
(項目60)
Aryl
2
が、
【化81】
(式中、
-R
e
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、項目59に記載の方法。
(項目61)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目60に記載の方法。
(項目62)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目58に記載の方法。
(項目63)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、ヘテロアリールである、項目58に記載の方法。
(項目64)
前記化合物が、
【化82】
である、項目55に記載の方法。
(項目65)
前記化合物が、
【化83】
である、項目55に記載の方法。
(項目66)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、アルキルである、項目58に記載の方法。
(項目67)
前記化合物が、
【化84】
である、項目55に記載の方法。
(項目68)
前記化合物が、
【化85】
である、項目55に記載の方法。
(項目69)
Aryl
2
が、
【化86】
(式中、
-R
e
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
は、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキシアルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、項目58に記載の方法。
(項目70)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目69に記載の方法。
(項目71)
-R
e
が、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、またはアルコキシ基であり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり、そして
-R
f
が、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、項目69に記載の方法。
(項目72)
-Aryl
1
が、4-フェニルスルファミン酸であり、
-R
a
が、置換または非置換のアルキルであり、
-R
b
が、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-R
e
が、Hであり、そして
-R
f
が、ヘテロアリールである、項目69に記載の方法。
(項目73)
前記化合物が、
【化87】
である、項目55に記載の方法。
(項目74)
前記化合物が、
【化88】
である、項目55に記載の方法。
(項目75)
前記化合物が、
【化89】
である、項目55に記載の方法。
(項目76)
前記化合物が、
【化90】
である、項目55に記載の方法。