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特許7564825分散型送信のためのチャネルサウンディング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】分散型送信のためのチャネルサウンディング
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/024 20170101AFI20241002BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20241002BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20241002BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20241002BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20241002BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20241002BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241002BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20241002BHJP
【FI】
H04B7/024
H04L27/26 114
H04L27/26 420
H04W16/28 130
H04W24/10
H04W28/16
H04W72/20
H04W84/12
H04W92/12
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021565736
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2019061923
(87)【国際公開番号】W WO2020224784
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100199705
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
【合議体】
【審判長】高野 洋
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0045366(US,A1)
【文献】国際公開第2017/215737(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0286962(US,A1)
【文献】Kome Oteri et.al.,”Clarifying Link Level Simulator Assumptions”,IEEE 802.11-15/1056r1,IEEE,2015年 9月13日
【文献】YANG,Ling et al.,11ax OFDMA Tone Plan Leftover Tones and Pilot Structure,IEEE 802.11-15/0819r0,IEEE,2015年 7月13日,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/15/11-15-0819-00-00ax-11ax-ofdma-tone-plan-leftover-tones-and-pilot-structure.pptx>
【文献】YU,Ross Jian,Spec Text Changes Regarding Single Stream Pilot,IEEE 802.11-18/1442r0,IEEE,2018年 9月 3日,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/18/11-18-1442-00-00ax-spec-text-changes-regarding-single-stream-pilot.doc>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02- 7/12
H04L 1/02- 1/06
H04L27/00-27/38
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された1次無線送信機のための方法であって、前記方法は、
利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合から、それぞれのチャネルサウンディングリソースを前記1次無線送信機と前記1つまたは複数の2次無線送信機とに割り当てること(330、411)であって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが、前記1次無線送信機および前記1つまたは複数の2次無線送信機を含む無線送信機のセットのうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、前記第1のチャネルサウンディング信号が、前記1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または前記1つまたは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、割り当てること(330、411)と、
前記1つまたは複数の2次無線送信機に、前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられた前記それぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信すること(340、412)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す前記情報が、
前記1つまたは複数の2次無線送信機によって前記無線受信機に送信されるべきユーザデータ、および/または
前記1つまたは複数の2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリング
と一緒に前記1つまたは複数の2次無線送信機に送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線受信機に、前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す前記情報を送信すること(350、413)をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す前記情報が、チャネルサウンディング告知信号と一緒に前記無線受信機に送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のチャネルサウンディング信号が、少なくとも前記1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で前記空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信すること(370、415)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースをミュートすることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1次無線送信機に割り当てられた前記それぞれのチャネルサウンディングリソースのための送信電力をスケーリングすること(360、414)をさらに含み、スケーリングファクタが、1よりも大きく、かつ、前記集合の利用可能なチャネルサウンディングリソースの総量と、前記1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースの量との間の比よりも小さいか、またはそれに等しい、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で前記空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することと同時に、前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信することをさらに含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
2次無線送信機のいずれかに割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で前記空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号送信することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のチャネルサウンディング信号が、前記1次無線送信機に関するチャネル推定のためのものである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
利用可能なチャネルサウンディングリソースの前記集合が単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された1次無線送信機のための装置であって、前記装置は、
利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、それぞれのチャネルサウンディングリソースの、前記1次無線送信機と前記1つまたは複数の2次無線送信機とへの割当てであって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが、前記1次無線送信機および前記1つまたは複数の2次無線送信機を含む無線送信機のセットのうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、前記第1のチャネルサウンディング信号が、前記1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または前記1つまたは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、割当てと、
前記1つまたは複数の2次無線送信機への、前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられた前記それぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の送信と
を引き起こすように設定された制御回路(500)を備える、装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す前記情報が、
前記1つまたは複数の2次無線送信機によって前記無線受信機に送信されるべきユーザデータ、および/または
前記1つまたは複数の2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリング
と一緒に前記1つまたは複数の2次無線送信機に送信される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御回路が、前記無線受信機への、前記1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す前記情報の送信を引き起こすようにさらに設定された、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のチャネルサウンディング信号が、少なくとも前記1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記制御回路が、前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で前記空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信を引き起こすようにさらに設定された、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記制御回路が、前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で前記空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信と同時に、前記1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号の送信をも引き起こすようにさらに設定された、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2のチャネルサウンディング信号が、前記1次無線送信機に関するチャネル推定のためのものである、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項13から19のいずれか一項に記載の装置のうちの1つまたは複数を備える送信機。
【請求項21】
請求項20に記載の送信機および/または請求項13から19のいずれか一項に記載の装置のうちの1つまたは複数を備えるアクセスポイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線通信の分野に関する。より詳細には、本開示は分散型(多地点)送信に関する。
【背景技術】
【0002】
2つまたはそれ以上の無線送信機からの分散型(または多地点)協調送信はよく知られている。1つの例は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格によって規定された多地点協調(coordinated multi-point)(CoMP)コンセプトである。別の例は、IEEE802.11規格の拡張として提案された超高スループット(Extremely High Throughput)(EHT)コンセプトのための、2つまたはそれ以上のアクセスポイント(AP、無線送信機の一例)がいくつかの時空間ストリームを同じ受信局(STA、無線受信機の一例)に同時に送信する、分散型ダウンリンク多入力多出力(distributed downlink multiple-input multiple-output)(D-DL-MIMO)を使用する計画である。後者のいくつかのさらなる詳細は、Broadcom、Ron PoratおよびSrinath Puducheriによる、「Constrained Distributed MU-MIMO」、文献IEEE802.11-18/1439r0(2018年9月)において与えられている。
【0003】
2つまたはそれ以上の無線送信機が十分に協調しているとき、分散的に送信された信号は、無線受信機による受信において強め合うように結合される。これは、2つまたはそれ以上の無線送信機が、比較的静的で無干渉である相互通信チャネル、たとえば、有線接続へのアクセスを有するときに、しばしば達成可能である。
【0004】
しかしながら、2つまたはそれ以上の無線送信機が十分に協調していないとき、分散的に送信された信号は、一般に、無線受信機による受信において十分に強め合うように結合されない。たとえば、2つまたはそれ以上の無線送信機が、比較的静的でなく無干渉でない相互通信チャネル、たとえば、エアインターフェースを介してなどの無線接続へのアクセスしか有しないときには、不十分な協調が行われ得る。
【0005】
2つまたはそれ以上の無線送信機間の不十分な協調をハンドリングする1つの方法は、位相トラッキングを適用することであり、位相トラッキングでは、無線受信機においてキャリア周波数オフセットが推定され、補償される。
【0006】
したがって、分散型(または多地点)協調送信シナリオにおけるキャリア周波数オフセットの推定を可能にするための手法が必要である。好ましくは、それらの手法は、分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さのハンドリングのために好適であるべきである。
【発明の概要】
【0007】
(「含む(includes)/含む(including)」によって置換可能な)「含む/備える(comprises/comprising)」という用語は、本明細書中で使用されるとき、述べられた特徴、完全体、ステップ、または構成要素の存在を規定するようにとられるが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。本明細書で使用する際、単数形「a」、「an」および「the」は、コンテキストが明示しない限り、複数形をも含むことを意図するものである。
【0008】
一般に、本明細書で構成が言及されるとき、構成は、物理的製品、たとえば、装置として理解されたい。物理的製品は、1つまたは複数のコントローラ、1つまたは複数のプロセッサなどの形態の制御回路など、1つまたは複数の部品を備え得る。
【0009】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決するまたは軽減する、緩和する、またはなくすことである。
【0010】
第1の態様は、1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された1次無線送信機のための方法である。
【0011】
本方法は、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合から、それぞれのチャネルサウンディングリソースを1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とに割り当てることであって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号が、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、割り当てることを含む。
【0012】
本方法はまた、1つまたは複数の2次無線送信機に、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、1つまたは複数の2次無線送信機によって無線受信機に送信されるべきユーザデータ、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリングと一緒に、1つまたは複数の2次無線送信機に送信される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、無線受信機に、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、チャネルサウンディング告知信号(announcement signal)と一緒に無線受信機に送信される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルサウンディング信号は、少なくとも1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースをミュートすることをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースのための送信電力をスケーリングすることをさらに含み、スケーリングファクタは、1よりも大きく、かつ、集合の利用可能なチャネルサウンディングリソースの総量と、1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースの量との間の比よりも小さいか、またはそれに等しい。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することと同時に、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、2次無線送信機のいずれかに割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2のチャネルサウンディング信号は、1次無線送信機に関するチャネル推定のためのものである。
【0023】
いくつかの実施形態では、利用可能なチャネルリソースの集合は単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含む。
【0024】
第2の態様は、少なくとも1次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された2次無線送信機のための方法である。
【0025】
本方法は、1次無線送信機から、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、2次無線送信機に割り当てられるそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を受信することを含み、2次無線送信機に割り当てられた各チャネルサウンディングリソースは2次無線送信機にのみ割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースは、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号は、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである。
【0026】
いくつかの実施形態では、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、2次無線送信機によって無線受信機に送信されるべきユーザデータ、および/または2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリングと一緒に受信される。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法は、無線受信機に、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、チャネルサウンディング告知信号と一緒に無線受信機に送信される。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルサウンディング信号は、少なくとも2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法は、2次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本方法は、2次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースをミュートすることをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法は、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースのための送信電力をスケーリングすることをさらに含み、スケーリングファクタは、1よりも大きく、かつ、集合の利用可能なチャネルサウンディングリソースの総量と、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースの量との間の比よりも小さいか、またはそれに等しい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本方法は、2次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することと同時に、2次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信することをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本方法は、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2のチャネルサウンディング信号は、2次無線送信機に関するチャネル推定のためのものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、利用可能なチャネルリソースの集合は単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含む。
【0037】
第3の態様は、1つまたは複数の2次無線送信機と協調して1次無線送信機から空間多重化送信を受信するように設定された無線受信機のための方法である。
【0038】
本方法は、1次および2次無線送信機のうちの1つまたは複数から、1次および2次無線送信機に割り当てられた、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、それぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を受信することを含み、各利用可能なチャネルサウンディングリソースは無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースは、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号は、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである。
【0039】
いくつかの実施形態では、1次および2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、チャネルサウンディング告知信号と一緒に受信される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルサウンディング信号は、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および1つまたは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を受信することと、受信された第1のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定することとをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定することは、受信された第1のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機についての平均キャリア周波数オフセットを推定することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定することは、受信された第1のチャネルサウンディング信号の対応する各々に基づいて無線送信機の各々についてのそれぞれのキャリア周波数オフセットを推定することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を受信することと同時に、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも受信することをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機に関してチャネルを推定することをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、利用可能なチャネルリソースの集合は単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含む。
【0047】
第4の態様は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムをその上に有する、非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品である。そのコンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロード可能であり、そのコンピュータプログラムがデータ処理ユニットによって実行されたときに第1、第2、または第3の態様のいずれかによる方法の実行を引き起こすように設定される。
【0048】
第5の態様は、1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された1次無線送信機のための装置である。
【0049】
その装置は、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、それぞれのチャネルサウンディングリソースの、1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とへの割当てであって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号が、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、割当てを引き起こすように設定された制御回路を備える。
【0050】
その制御回路はまた、1つまたは複数の2次無線送信機への、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の送信を引き起こすように設定される。
【0051】
第6の態様は、少なくとも1次無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定された2次無線送信機のための装置である。
【0052】
その装置は、1次無線送信機からの、2次無線送信機に割り当てられた、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、それぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の受信であって、2次無線送信機に割り当てられた各チャネルサウンディングリソースが2次無線送信機にのみ割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号が、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、受信を引き起こすように設定された制御回路を備える。
【0053】
第7の態様は、第5または第6の態様のいずれかによる装置のうちの1つまたは複数を備える送信機である。
【0054】
第8の態様は、第7の態様の送信機および/または第5もしくは第6の態様のいずれかによる装置のうちの1つまたは複数を備えるアクセスポイントである。
【0055】
第9の態様は、1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、1次無線送信機から空間多重化送信を受信するように設定された無線受信機のための装置である。
【0056】
その装置は、1次および2次無線送信機のうちの1つまたは複数からの、1次および2次無線送信機に割り当てられた、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、それぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の受信であって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号が、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、受信を引き起こすように設定された制御回路を備える。
【0057】
第10の態様は、第9の態様による装置のうちの1つまたは複数を備える受信機である。
【0058】
第11の態様は、第10の態様の受信機および/または第9の態様による装置を備えるユーザ局である。
【0059】
第12の態様は、システムの1つまたは複数の2次無線送信機と協調して、空間多重化を使用してシステムの無線受信機への送信に参加するように設定された1次無線送信機を備えるシステムの制御ノードのための装置である。その装置は、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とへのそれぞれのチャネルサウンディングリソースの割当てであって、各利用可能なチャネルサウンディングリソースが無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられ、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースが、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号が、1次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのための、および/または1つもしくは複数の2次無線送信機によって送信された信号の位相トラッキングのためのものである、割当てを引き起こすように設定された制御回路を備える。
【0060】
第13の態様は、第12の態様による装置を備える制御ノードである。
【0061】
いくつかの実施形態では、上記の態様のいずれも、他の態様のいずれかについて上記で説明したように、様々な特徴のいずれかと同等かまたはそれに対応する特徴をさらに有し得る。
【0062】
いくつかの実施形態の利点は、分散型(または多地点)協調送信シナリオにおけるキャリア周波数オフセット(CFO)の推定を可能にする手法が提供されることである。いくつかの実施形態は、CFO推定の改善された正確さを提供する。
【0063】
いくつかの実施形態のさらなる利点は、より正確なチャネル推定が可能になることである。これは、チャネル推定の前の正確なCFO修正が可能になるので、チャネル推定の問題が緩和されることによる。
【0064】
いくつかの実施形態の利点は、分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さのハンドリングのための手法が提供されることである。
【0065】
いくつかの実施形態の別の利点は、分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さの推定のための手法が提供されることである。
【0066】
いくつかの実施形態の別の利点は、2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における推定された不完全さが、他の手法によって達成される対応する推定値よりも正確であり得ることである。
【0067】
またいくつかの実施形態の利点は、2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さの軽減が達成および/または改善され得ることである。
【0068】
またいくつかの実施形態の別の利点は、無線受信機において正確な位相トラッキングが達成され得ることである。
【0069】
添付の図面を参照しながら、実施形態の以下の詳細な説明から、さらなる目的、特徴および利点が明らかになろう。図面は必ずしも一定の縮尺であるとは限らず、代わりに、例示的な実施形態を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】いくつかの実施形態による、例示的なシグナリングを示す概略ブロック図である。
図2】いくつかの実施形態による、例示的なシグナリングを示す概略ブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップを示すフローチャートである。
図4】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップおよびシグナリングを示すフローチャートとシグナリングダイヤグラムとを組み合わせた図である。
図5】いくつかの実施形態による、例示的な装置を示す概略ブロック図である。
図6】いくつかの実施形態による、例示的な装置を示す概略ブロック図である。
図7】いくつかの実施形態による、例示的な推定された周波数誤差を示すグラフである。
図8】いくつかの実施形態による、例示的なコンピュータ可読媒体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
すでに上述したように、(「含む(includes)/含む(including)」によって交換可能な)「含む/備える(comprises/comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、完全体、ステップ、または構成要素の存在を規定するようにとられるが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。本明細書で使用する際、単数形「a」、「an」および「the」は、コンテキストが明示しない限り、複数形をも含むことを意図するものである。
【0072】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら、以下でより十分に説明し、例示する。本明細書で開示するソリューションは、しかしながら、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。
【0073】
上述のように、分散型(または多地点)協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機が十分に協調させられないとき、分散的に送信された信号は、一般に、無線受信機による受信において十分に強め合うように結合されない。したがって、分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さ(すなわち、不十分な協調)のハンドリングのための手法が必要である。
【0074】
2つまたはそれ以上の無線送信機の不十分な協調を軽減する1つの方法は、無線受信機による受信において、不十分な協調に関して、分散的に送信された信号を補償することである。無線受信機による不十分な協調の軽減は、比較的高いシンボルレートおよび/または比較的高い変調次数(order of modulation)が使用される状況において特に重要である。
【0075】
不十分な協調(すなわち、協調における不完全さ)は、たとえば、無線送信機の少なくとも2つの間の、および/または無線受信機と無線送信機のいずれかとの間のクロック周波数差を含み得る。相応して、そのような不完全さの軽減は、たとえば、位相トラッキングを含み得る。位相トラッキングは、たとえば、1つまたは複数のクロック周波数差を推定することと、それに応じて、受信された信号のうちの1つまたは複数を補償することとを含み得る。
【0076】
そのような(および他の)軽減の効果は、一般に、協調における不完全さの推定の正確さ(たとえば、CFO推定の正確さ)に依存する。したがって、分散型協調送信概念の1つの問題は、2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さをどのように推定するかである。
【0077】
以下で、分散型(または多地点)協調送信シナリオにおけるキャリア周波数オフセットの正確な推定を可能にするための手法が提供される、実施形態について説明する。本手法は、分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さのハンドリングに好適である。特に、いくつかの実施形態は、2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さの推定のための手法を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態が特に適用可能であり得るコンテキストを例示するために、IEEE802.11規格の拡張として提案された超高スループット(EHT)コンセプトのために示唆された分散型ダウンリンク多入力多出力(D-DL-MIMO)のための例示的なシグナリングを概略的に示す、図1および図2を参照する(Broadcom、Ron PoratおよびSrinath Puducheriによる、「Constrained Distributed MU-MIMO」、文献IEEE802.11-18/1439r0(2018年9月)も参照)。
【0079】
4096-QAM(直交振幅変調(quadrature amplitude modulation))をサポートする議論があるので、極めて高精度のチャネル推定(およびそれによる極めて正確な位相トラッキング)がEHTでは特に重要であり得ることに留意すべきである。さらに、EHTでは16個の空間ストリームをサポートすることが議論されるが、その場合、チャネルトレーニングフェーズは比較的長くなり得る(たとえば、最高208μs)。その場合、補償されていないCFOは、チャネルトレーニングフェーズの長さによるチャネル推定中の厳しい位相誤差につながり得る。したがって、正確な位相トラッキングは、この理由からも特に重要であり得る。
【0080】
しかしながら、実施形態は、いくつかの無線送信機と、1つまたは複数の関連付けられたユーザ局とを有するすべての分散型無線送信システムに等しく適用可能であり得、マスタ送信機(1次無線送信機)と、マスタ送信機に関連付けられた1つまたは複数のスレーブ送信機(2次無線送信機)とがあり、スレーブ送信機は、ユーザ局のうちの1つまたは複数への送信を実行するためにマスタ送信機によってトリガされ得ることにも留意するべきである。
【0081】
図1の例示的なシグナリングは、分散様式でのデータパケット、またはデータフレーム、(DATA)の送信のためのものであり、2つまたはそれ以上の無線送信機からのデータパケットは一般に同じ情報を含む。
【0082】
図1の例では、2つのアクセスポイント(AP1およびAP2)110、120が、同じ受信局(STA)130に(図1に、それぞれのデータパケット114、124によって表された)それぞれの時空間ストリームを同時に送信する。一般に、アクセスポイントのうちの一方(この場合はAP1)は、マスタノードとして働く1次無線送信機であり得、他方のアクセスポイント(この場合はAP2)は、スレーブノードとして働く2次無線送信機であり得、受信局は無線受信機であり得る。
【0083】
1次無線送信機110は、2次無線送信機120のためのトリガ信号(TRIG1)112を発信することによって、それぞれの時空間ストリームの分散型協調送信を開始する。いくつかの実施形態では、時空間ストリームのそれぞれのデータパケット114、124の送信は、トリガ信号112の終了から、指定された持続時間103(たとえば、短いフレーム間間隔(short interframe spacing)、(SIFS))後に、1次無線送信機と2次無線送信機とによって開始される。
【0084】
いくつかの実施形態では、無線受信機130は、それぞれのデータパケット114、124の送信の終了から、指定された持続時間105(たとえば、短いフレーム間間隔(SIFS))後に、肯定応答信号(acknowledgement signal)(ACK)136または否定応答信号(non-acknowledgement signal)を送る。
【0085】
(それぞれのデータパケット114、124によって表された)それぞれの時空間ストリームの送信は一般にMIMOモードで行われる。たとえば、送信は、空間多重化を可能にするために無線受信機に向けた狭いビームフォーミングを使用して行われ得る。
【0086】
特に、「Constrained Distributed MU-MIMO」は、無線送信機からの送信が、無線受信機において強め合う干渉を生成するように位相整合させられる、D-DL-MIMO方式を提案する。そのような方式は、一般に、正確な周波数と、無線送信機の位相同期と、無線受信機における正確なチャネル推定とを必要とする。チャネル推定の結果は、チャネル状態情報(Channel State Information)(CSI)の形態で無線送信機にフィードバックされ得る。チャネル推定のために使用されるプロシージャはチャネルサウンディングと呼ばれ、そのプロシージャは、図2に示されているように実装され得る。
【0087】
図2の例示的なシグナリングは、1次無線送信機(たとえば、アクセスポイントAP1、210)と、2次無線送信機(たとえば、アクセスポイントAP2、220)とに関する、無線受信機(たとえば、受信局STA、図示されていない)におけるチャネル推定のためのものである。たとえば、図2のAP1およびAP2は、それぞれ図1のAP1およびAP2に対応し得る。
【0088】
1次無線送信機210は、2次無線送信機220のためのトリガ信号(TRIG2)212を発信することによってチャネル推定機会を開始する。2つのアクセスポイント(AP1およびAP2)210、220は、受信局(STA)のための(図2に、ヌルデータパケット告知(null data packet announcement)(NDPA)、214、224によって表された)それぞれの告知パケットを送信し、それぞれの告知パケット214、224の送信は、トリガ信号212の終了から、指定された持続時間203(たとえば、短いフレーム間間隔(SIFS))後に、1次および2次無線送信機によって開始される。
【0089】
1次無線送信機210はまた、告知パケット214、224の終了から、指定された持続時間205(たとえば、短いフレーム間間隔(SIFS))後に、2次無線送信機220のための別のトリガ信号(TRIG3)216を発信する。2つのアクセスポイント(AP1およびAP2)210、220は、受信局(STA)のための(図2に、超高スループットヌルデータパケット(extremely high throughput null data packet)(EHT NDP)、218、228によって表された)それぞれの推定パケットを送信し、それぞれの推定パケット218、228の送信は、トリガ信号216の終了から、指定された持続時間207(たとえば、短いフレーム間間隔(SIFS))後に、1次および2次無線送信機によって開始される。推定パケット218、228は、無線受信機によるチャネル推定のために好適である。EHT NDPは、たとえば、この目的のために、いくつかのロングトレーニングフィールド(Long Training Field)(LTF)を含み得る。
【0090】
IEEE802.11-16規格は、2つ以上の時空間ストリームを利用しているときに(すなわち、MIMO動作中に)、チャネル推定のために、LTFに適用される、直交カバーコードとして採用される(しばしばP-行列と呼ばれる)直交行列のセットを規定している。802.11nでは、直交カバーコードはすべてのサブキャリアに適用されるが、802.11ac/axでは、直交カバーコードは(位相トラッキングのために使用される)パイロットサブキャリアに適用されない。
【0091】
したがって、802.11ac/axでは、パイロットサブキャリアは、MIMO動作中でもSISOモードで送信される(すなわち、そのサブキャリアがパイロットサブキャリアであるとき、同じ周波数領域シンボルはすべての時空間ストリーム中で送信される)。これにより、チャネル推定が実行される前でも、802.11ac/axをサポートする無線受信機が、LTFを介して位相トラッキングを実行することが可能になる。
【0092】
一般に、推定パケット118、128の送信は、少なくとも部分的に、チャネル推定が実行される前に位相トラッキングを可能にする、単入力単出力(single-input single-output)(SISOモード)で行われ得る。補償されない(残留)キャリア周波数オフセット(CFO)は劣化したチャネル推定につながり得るので、チャネル推定の前の位相トラッキングは有益であり得るとともに、位相トラッキングは、不十分な周波数の軽減と無線送信機の位相同期(協調)とをもたらす。
【0093】
D-DL-MIMOの場合、不十分な協調は、無線送信機の(および無線受信機の)クロックが互いに対してドリフトし、キャリア周波数オフセットと受信された信号の位相ドリフトとにつながることにつながる危険がある。図1を参照すると、これは、AP1、AP2およびSTAのクロックがデータパケット(DATA)の送信中に単独でドリフトし得る点で明らかになるであろう。そのようなドリフトは、AP1およびAP2のクロックが(たとえば、112などのトリガフレームを使用して)より早く同期させられている場合でも起こり得る。位相ドリフトは、特に、EHT NDPがSISOモードですべてのAPによって同時に送信されるときは不要である。
【0094】
分散型協調送信のために設定された2つまたはそれ以上の無線送信機の協調における不完全さのハンドリングのための手法が提供される実施形態について、本明細書で説明する。協調における不完全さの推定が、協調における不完全さの軽減とともに可能になる。
【0095】
図3は、1つまたは複数の2次無線送信機(図1の120および図2の220に相当)と協調して、空間多重化を使用して無線受信機(図1の130に相当)への送信に参加するように設定された1次無線送信機(図1の110および図2の210に相当)のための例示的な方法300を示す。
【0096】
随意のステップ310において、分散型送信(たとえば、D-DL-MIMO)が適用されるか否かが決定される。分散型送信が適用されない場合(ステップ310からのN経路)、1次無線送信機は、随意のステップ320によって示されているようにデフォルトチャネルサウンディングを使用する。
【0097】
分散型送信が適用される場合(ステップ310からのY経路)、1次無線送信機は、1次および2次無線送信機に関係する位相トラッキングのために、ステップ330に示されているように、無線送信機の異なる各々に異なるチャネルサウンディングリソースを割り当てる(それの各々は1次無線送信機としてまたは2次無線送信機として働く)。
【0098】
割当ては、(利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合から)1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とにそれぞれのチャネルサウンディングリソースを割り当てることを含み、各利用可能なチャネルサウンディングリソースは無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられる。
【0099】
利用可能なチャネルリソースの集合は、たとえば、単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含み得る。時間リソースは、たとえば、LTFの持続時間などに関して分類され得る。周波数リソースは、たとえば、サブキャリアなどに関して分類され得る。チャネルサウンディング機会は、たとえば、推定パケット(図2の218に相当)の送信として規定され得る。
【0100】
各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースは、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信(たとえば、SISOモード送信)のためのものである。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、割当てステップ330は、1次無線送信機中に含まれていないデバイス、たとえば、制御ノードからの割当てを受信することを含み得ることに留意すべきである。
【0102】
その場合、ステップ340に示されているように他の無線送信機に割当て情報が送信される。このステップは、1つまたは複数の2次無線送信機に、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信することを含む。
【0103】
たとえば、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、1つまたは複数の2次無線送信機によって無線受信機に送信されるべきユーザデータ(図1のデータパケット124に含まれるべきデータに相当)と一緒に1つまたは複数の2次無線送信機に送信され得る。代替または追加として、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、1つまたは複数の2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリングと一緒に1つまたは複数の2次無線送信機に送信され得る(図2の212および216に相当)。
【0104】
割当てはまた、随意のステップ350によって示されているように、無線受信機に送信され得る。このステップは、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報、ならびに1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を(無線受信機に)送信することを含む。
【0105】
たとえば、1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とに割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報は、チャネルサウンディング告知信号と一緒に無線受信機に送信され得る(図2の214に相当)。
【0106】
ステップ340およびステップ350が一定の順序で実行されるとして図3に示されている場合でも、いくつかの実施形態は、それらが、別の順序で、あるいは部分的にまたは完全に並行して実行されることを特徴とすることに留意すべきである。
【0107】
随意のステップ370によって示されているように、1次無線送信機は、割当てに従ってチャネルサウンディング信号を送信し得る。このステップは、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信すること(図2の218に相当)を含む。1次無線送信機によって送信された第1のチャネルサウンディング信号は、一般に、少なくとも1次無線送信機に関係する位相トラッキングのためのものである。
【0108】
いくつかの実施形態では、ステップ370はまた、1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースをミュートすることを含む。ミュートは、1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースの完全なミュートであり得るか、または、1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースのための第1のチャネルサウンディング信号のみをミュートすることを含み得る。
【0109】
代替または追加として、ステップ370は、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することと同時に、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号を送信することをもさらに含み得、第2のチャネルサウンディング信号は、1次無線送信機に関係するチャネル推定のためのものである。第2のチャネルサウンディング信号は、一般に、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で、ならびに2次無線送信機のいずれかに割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で(1次無線送信機によって)送信され得る。
【0110】
随意のステップ360によって示されているように、1次無線送信機は、チャネルサウンディング信号を送信する前に送信電力をスケーリングし得る。このステップは、1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースのための送信電力をスケーリングすることを含む。スケーリングは、電力ブーストとして使用され得、第1のチャネルサウンディング信号を送信するためにあまりリソースが使用されないときに実現可能である。スケーリングは、(たとえば、1次無線送信機に割り当てられた利用可能なチャネルサウンディングリソースのための)完全なスケーリングであり得るか、または第1のチャネルサウンディング信号のみをスケーリングすることを含み得る。
【0111】
スケーリングファクタは、1よりも大きく、かつ、集合の利用可能なチャネルサウンディングリソースの総量と、1次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースの量との間の比よりも小さいか、またはそれに等しくなり得る。第1のチャネルサウンディング信号を送信するためにすべての利用可能なチャネルサウンディングリソースが使用されたかのように、同じ送信電力を達成するために、1次無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースがミュートされている場合、一般に、スケーリングファクタはその比に等しい。
【0112】
ステップ330の割当て、ステップ340の送信、および(場合によっては)随意のステップ350の送信は動的または半静的であり得る。動的手法では、割当ておよび送信は(たとえば、各チャネルサウンディング機会について、いくつかの一定の時間間隔において、またはイベントトリガされて)繰り返し実行される。半静的手法では、割当ておよび送信は、(たとえば、1次無線送信機の設置時に)最初に1回実行され、場合によっては、(たとえば、新しい2次無線送信機の設置時に)システムが変化したときに更新される。
【0113】
分散型送信が適用されるか否かの決定は、ステップ320およびステップ370から随意のステップ310へのループバックによって示されているように、(たとえば、各チャネルサウンディング機会について、いくつかの一定の時間間隔において、またはイベントトリガされて)繰り返し実行され得ることに留意すべきである。繰り返しは、動的手法のために方法全体に適用し得るか、または半静的手法のためにステップ330、340および350を除外し得る。
【0114】
図4は、1次無線送信機410(AP1、図1の110および図2の210に相当)のための、2次無線送信機420(AP2、図1の120および図2の220に相当)のための、および無線受信機430(STA、図1の130に相当)のための例示的な方法ステップおよびシグナリングを示す、フローチャートとシグナリングダイヤグラムとを組み合わせた図である。
【0115】
1次無線送信機410は、2次無線送信機420と協調して、空間多重化を使用して無線受信機430への送信に参加するように設定される。同様に、2次無線送信機420は、1次無線送信機410と協調して、空間多重化を使用して無線受信機430への送信に参加するように設定される。無線受信機430は、2次無線送信機420と協調して、1次無線送信機410からの空間多重化送信を受信するように設定される。
【0116】
図4は、分散型送信が適用されるときの動作を示す。図3と共に例示されているように、分散型送信が適用されるか否かの決定があり得、分散型送信が適用されることが決定されると(ステップ310からのY経路に相当)、図4の手法が適用され得る。
【0117】
1次無線送信機410は、ステップ411によって示されているように、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合から、それぞれのチャネルサウンディングリソースを1次無線送信機410(すなわち、それ自体)と2次無線送信機420とに割り当てる(図3のステップ330に相当)。
【0118】
利用可能なチャネルリソースの集合は、たとえば、単一チャネルサウンディング機会の時間および/または周波数リソースを含み得る。時間リソースは、たとえば、LTFなどの持続時間に関して分類され得る。周波数リソースは、たとえば、サブキャリア(たとえば、パイロットサブキャリア)などに関して分類され得る。チャネルサウンディング機会は、たとえば、推定パケットの送信として規定され得る(図2の218に相当)。
【0119】
各利用可能なチャネルサウンディングリソースは、無線送信機410、420の多くても1つに(たとえば、すべての利用可能なリソースが使用されるときはちょうど1つに)割り当てられる。これは、いかなる2つの異なる無線送信機も、同じ割り当てられた利用可能なチャネルサウンディングリソースを有することができないこと、およびいかなる利用可能なチャネルサウンディングリソースも2つまたはそれ以上の異なる無線送信機に割り当てられることができないことを意味する。したがって、割当ては、異なる無線送信機に割り当てられたチャネルサウンディングリソースが直交する(重複しない)ように行われる。
【0120】
ステップ412に示されているように、1次無線送信機410は、2次無線送信機420に、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報442を送信し(図3のステップ340に相当)、2次無線送信機420は、ステップ422に示されているように情報442を受信する。情報442は、各2次無線送信機について固有であり(たとえば、受信している2次無線送信機に割り当てられたチャネルサウンディングリソースのみを示し)得るか、またはすべての2次無線送信機について同一であり(たとえば、2次無線送信機の各々に割り当てられたチャネルサウンディングリソースを示し)得る。情報442の送信により、2次無線送信機420は、第1のチャネルサウンディング信号を送信するために2次無線送信機420がどのチャネルサウンディングリソースを使用するべきかを知ることが可能になる。
【0121】
2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報442は、たとえば、1つまたは複数の2次無線送信機によって無線受信機に送信されるべきユーザデータと一緒に2次無線送信機に送信され得る(図1のデータパケット124中に含まれるべきデータに相当)。代替または追加として、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報442は、たとえば、1つまたは複数の2次無線送信機の協調動作をトリガするための制御シグナリングと一緒に2次無線送信機に送信され得る(図2の212および216に相当)。
【0122】
随意のステップ413に示されているように、1次無線送信機410はまた、無線受信機430に、無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報443を送信し得(図3のステップ350に相当)、無線受信機430は、随意のステップ433に示されているように情報443を受信する。情報443は、各無線送信機について固有であり(たとえば、送信している無線送信機に割り当てられたチャネルサウンディングリソースのみを示し)得るか、またはすべての無線送信機について同一であり(たとえば、無線送信機の各々に割り当てられたチャネルサウンディングリソースを示し)得る。
【0123】
代替または追加として、随意のステップ423に示されているように、2次無線送信機420は、無線受信機430に、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報444を送信し得、無線受信機430は、随意のステップ433に示されているように情報444を受信する。情報444は、各2次無線送信機について固有であり(たとえば、送信している2次無線送信機に割り当てられたチャネルサウンディングリソースのみを示し)得るか、またはすべての無線送信機について同一であり(たとえば、無線送信機の各々に割り当てられたチャネルサウンディングリソースを示し)得る。
【0124】
情報443、444の送信により、無線受信機430は、それぞれの第1のチャネルサウンディング信号を送信するために、どのチャネルサウンディングリソースがどの無線送信機410、420によって使用されるかを知ることが可能になる。
【0125】
無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報443、444は、チャネルサウンディング告知信号と一緒に無線受信機に送信され得る(図2の214および224に相当)。
【0126】
ステップ411、412および422は動的にまたは半静的に実行され得る。動的手法では、割当て411および送信/受信412、422は、(たとえば、各チャネルサウンディング機会について、いくつかの一定の時間間隔において、またはイベントトリガされて)繰り返し実行される。半静的手法では、割当て411および送信/受信412、422は、(たとえば、1次無線送信機の設置時に)最初に1回実行され、場合によっては、(たとえば、新しい2次無線送信機の設置時に)システムが変化したときに更新される。
【0127】
さらに、ステップ413、423および433は、場合によって同じく、動的にまたは半静的に実行され得る。動的手法では、送信/受信413、423、433は、(たとえば、各チャネルサウンディング機会について、いくつかの一定の時間間隔において、またはイベントトリガされて)繰り返し実行される。半静的手法では、送信/受信413、423、433は、(たとえば、1次無線送信機の設置時に)最初に1回実行され、場合によっては、(たとえば、新しい2次無線送信機の設置時に)システムが変化したときに更新される。
【0128】
ステップ413、423および433のための動的手法は、ステップ411、412および422のための動的または半静的手法のいずれかと組み合わせられ得る。ステップ413、423および433のための半静的手法はステップ411、412および422のための半静的手法と組み合わせられ得る。
【0129】
随意のステップ415に示されているように、1次無線送信機410はまた、無線受信機430に、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されてない(たとえば、SISOモード送信、ビームフォーミングなし)第1のチャネルサウンディング信号445を送信し得(図3のステップ370に相当)、無線受信機430は、随意のステップ435に示されているように第1のサウンディング信号445を受信する。
【0130】
相応して、随意のステップ425に示されているように、2次無線送信機420はまた、無線受信機430に、2次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない(たとえば、SISOモード送信、ビームフォーミングなし)第1のチャネルサウンディング信号446を送信し得、無線受信機430は、随意のステップ435に示されているように第1のサウンディング信号446を受信する。
【0131】
ステップ415および435は一般に同時に実行される。たとえば、ステップ415および435を同時に実行することは、EHT NDPがすべてのAPから同時に送信されることを意味し得る。
【0132】
ステップ415および/または435は、図3のステップ370と共に説明したように、送信している無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースをミュートすることをさらに含み得る。ミュートは、送信している無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースの完全なミュートであり得るか、または、送信している無線送信機に割り当てられていない利用可能なチャネルサウンディングリソースのための第1のチャネルサウンディング信号のみをミュートすることを含み得る。
【0133】
さらに、随意のステップ414および424に示されているように、無線送信機は、送信している無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースのための送信電力をスケーリングし得る(図3のステップ360に相当)。スケーリングは、(たとえば、送信している無線送信機に割り当てられた利用可能なチャネルサウンディングリソースのための)完全なスケーリングであり得るか、または第1のチャネルサウンディング信号のみをスケーリングすることを含み得る。
【0134】
したがって、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースは、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、送信された第1のチャネルサウンディング信号の各々は、第1のチャネルサウンディング信号を送信した(1次および2次)無線送信機に関係する位相トラッキングのためのものである。
【0135】
随意のステップ435に示されているように、無線受信機430は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のサウンディング信号445、446を受信する。
【0136】
無線受信機430は、受信された第1のチャネルサウンディング信号445、446に基づいて、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセット(CFO)を推定する。
【0137】
推定は、各無線送信機について個々にCFOを推定することを含み得る。したがって、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定することは、受信された第1のチャネルサウンディング信号の対応する各々に基づいて、無線送信機の各々についてのそれぞれのキャリア周波数オフセットを推定することを含み得る。
【0138】
代替または追加として、推定は、無線送信機のための集合的CFO(たとえば、平均CFO)を推定することを含み得る。したがって、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定することは、受信された第1のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機についての平均キャリア周波数オフセットを推定することを含み得る。
【0139】
推定されたCFOは、位相トラッキングによって不十分な協調を軽減するために使用され得る。たとえば、各無線送信機から受信された信号は、個々のCFO推定を使用して個々に補償され(位相回転させられ)得、および/または無線送信機から受信された信号は、平均CFO推定を使用してまとめて補償され得る。
【0140】
そのような軽減がチャネル推定の前に実行されるとき、チャネル推定の正確さは改善され得る。
【0141】
ステップ415および425において、無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信することと同時に、無線送信機410、420は、(無線送信機に関係するチャネル推定のための)無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号をも送信し得る。空間多重化された(たとえば、MIMOモード送信、ビームフォーミング)第2のチャネルサウンディング信号のために使用されるチャネルサウンディングリソースは、一般に非直交である(1つまたは複数の次元において重複し得る)。第2のチャネルサウンディング信号は、一般に、1次無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で、ならびに2次無線送信機のいずれかに割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で(無線送信機の各々によって)送信され得る。
【0142】
空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号は無線受信機によって受信され、1次および2次無線送信機に関するチャネルは第2のチャネルサウンディング信号に基づいて推定される。
【0143】
図5は、制御回路(CNTR)500を備える例示的な装置510を概略的に示す。装置510は、送信機中におよび/またはアクセスポイント(たとえば、アクセスポイントAP1 110、210、410またはAP2 120、220、420のいずれか)中に含まれ得るか、または包含可能であり得る。
【0144】
制御回路500は、図3および図4のいずれかにおいて説明した方法ステップのうちの1つまたは複数の実行を引き起こすように設定され得る。たとえば、制御回路500は、図3および図4のいずれかにおいて説明した方法ステップのうちの1つまたは複数を実行するように設定され得る.
【0145】
装置510は、1次無線送信機(たとえば、アクセスポイントAP1 110、210、410のいずれか)のための、および/または2次無線送信機(たとえば、アクセスポイントAP2 120、220、420のいずれか)のためのものであり得る。いずれの場合にも、無線送信機は、1つまたは複数の他の無線送信機と協調して、空間多重化を使用して無線受信機への送信に参加するように設定され、1つの無線送信機は1次無線送信機として働き、残りの無線送信機は2次無線送信機として働く。
【0146】
装置510が1次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500は、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合からの、1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とへのそれぞれのチャネルサウンディングリソースの割当てを引き起こすように設定され、各利用可能なチャネルサウンディングリソースは、無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられる(図3のステップ330および図4のステップ411に相当)。前に説明したように、各割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースは、それぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のためのものであり、第1のチャネルサウンディング信号は、1次および/または2次無線送信機に関係する位相トラッキングのためのものである。
【0147】
この目的のために、制御回路500は、割当器(assigner)(ASS、たとえば、割当て回路または割当てモジュール)501を備え得るか、またはさもなければそれに関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。割当器501は、利用可能なチャネルサウンディングリソースの集合から、それぞれのチャネルサウンディングリソースを1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とに割り当てるように設定され得、各利用可能なチャネルサウンディングリソースは無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられる。
【0148】
装置510が1次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500はまた、1つまたは複数の2次無線送信機への、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の送信を引き起こすように設定される(図3のステップ340および図4のステップ412に相当)。
【0149】
この目的のために、制御回路500は、トランシーバ(TX/RX)530の形態で図5に示されている送信機(たとえば、送信回路または送信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ530は、1つまたは複数の2次無線送信機に、1つまたは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信するように設定され得る。
【0150】
装置510が2次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500は、1次無線送信機からの、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の受信を引き起こすように設定される(図4のステップ422に相当)。
【0151】
この目的のために、制御回路500は、トランシーバ(TX/RX)530の形態で図5に示されている受信機(たとえば、受信回路または受信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ530は、1次無線送信機から、2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を受信するように設定され得る。
【0152】
装置510が1次または2次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500は、無線受信機への、1次無線送信機および/または1つもしくは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の送信を引き起こすようにさらに設定され得る(図3のステップ350ならびに図4のステップ413および423に相当)。
【0153】
この目的のために、制御回路500は、トランシーバ(TX/RX)530の形態で図5に示されている送信機(たとえば、送信回路または送信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ530は、無線受信機に、1次無線送信機および/または1つもしくは複数の2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を送信するように設定され得る。
【0154】
装置510が1次または2次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500は、無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信を引き起こすようにさらに設定され得る(図3のステップ370ならびに図4のステップ415および425に相当)。上述のように、空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信は、無線送信機に割り当てられていないチャネルサウンディングリソースのミュートおよび/または第1のチャネルサウンディング信号のための送信電力のスケーリングを含み得る(図3のステップ360ならびに図4のステップ414および424に相当)。
【0155】
この目的のために、制御回路500は、トランシーバ(TX/RX)530の形態で図5に示されている送信機(たとえば、送信回路または送信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ530は、無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を送信するように設定され得る。
【0156】
装置510が1次または2次無線送信機のためのものであるとき、制御回路500は、(空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信と同時に)無線送信機に割り当てられた各それぞれのチャネルサウンディングリソース中での空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号の送信を引き起こすようにさらに設定され得、第2のチャネルサウンディング信号は、無線送信機に関係するチャネル推定のためのものである。
【0157】
図6は、制御回路(CNTR)600を備える例示的な装置610を概略的に示す。装置610は、受信機中におよび/またはユーザ局(たとえば、ユーザ局STA130、430のいずれか)中に含まれ得るか、または包含可能であり得る。
【0158】
制御回路600は、図4において説明した方法ステップのうちの1つまたは複数の実行を引き起こすように設定され得る。たとえば、制御回路600は、図4において説明した方法ステップのうちの1つまたは複数を実行するように設定され得る。
【0159】
制御回路600は、1次および2次無線送信機のうちの1つまたは複数からの、1次および2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報の受信を引き起こすように設定される(図4のステップ433に相当)。
【0160】
この目的のために、制御回路600は、トランシーバ(TX/RX)630の形態で図6に示されている受信機(たとえば、受信回路または受信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ630は、1次および2次無線送信機のうちの1つまたは複数から、1次および2次無線送信機に割り当てられたそれぞれのチャネルサウンディングリソースを示す情報を受信するように設定され得る。
【0161】
制御回路600は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中での空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の受信を引き起こすようにさらに設定され得る(図4のステップ435に相当)。
【0162】
この目的のために、制御回路600は、トランシーバ(TX/RX)630の形態で図6に示されている受信機(たとえば、受信回路または受信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ630は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号を受信するように設定され得る。
【0163】
制御回路600は、受信された第1のチャネルサウンディング信号に基づいて、1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットの推定を引き起こすようにさらに設定され得る(図4のステップ435に相当)。
【0164】
この目的のために、制御回路600は、推定器(EST、たとえば、推定回路または推定モジュール)601を備え得るか、またはさもなければそれに関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。推定器601は、受信された第1のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機についてのキャリア周波数オフセットを推定するように設定され得る。
【0165】
制御回路600は、空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の受信と同時に、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中での空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号の受信を引き起こすようにさらに設定され得る。
【0166】
この目的のために、制御回路600は、トランシーバ(TX/RX)630の形態で図6に示されている受信機(たとえば、受信回路または受信モジュール)に関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。トランシーバ630は、各示されたそれぞれのチャネルサウンディングリソース中で空間多重化された第2のチャネルサウンディング信号を受信するように設定され得る。
【0167】
制御回路600は、第2のチャネルサウンディング信号に基づいて、1次および2次無線送信機に関するチャネルの推定を引き起こすようにさらに設定され得る。
【0168】
この目的のために、制御回路600は、推定器(EST、たとえば、推定回路または推定モジュール)601を備え得るか、またはさもなければそれに関連付けられ(たとえば、動作可能に接続可能であるか、または接続され)得る。推定器601は、第2のチャネルサウンディング信号に基づいて1次および2次無線送信機に関してチャネルを推定するように設定され得る。
【0169】
したがって、いくつかの実施形態によれば、D-DL-MIMOのためのチャネルサウンディングに対する手法が提供される。その手法により、無線受信機が、各無線送信機について別個にチャネルサウンディングリソース(たとえば、LTFフィールド)を介して位相トラッキングを実行することが可能になり得る。そのような位相トラッキングは、好ましくはチャネル推定の前に実行され得る。これは、各無線送信機に重複しないチャネルサウンディングリソース(たとえば、パイロットサブキャリア)を割り当てることによって達成される。
【0170】
位相トラッキングは、無線送信機のためのCFO(個々のCFOおよび/または集合的、たとえば平均CFO)を推定することと、相応して受信された信号を補償する(たとえば、位相回転する)こととを含み得る。比較的高い次数の変調が使用されるときは、復調プロセスが残留CFOに特に敏感であるので、正確な位相トラッキングが特に重要である。
【0171】
チャネル推定値が生成される前に、チャネル推定のためのチャネルサウンディング信号(たとえば、LTF中の第2のチャネルサウンディング信号)中で残留CFOが適切に補償されると、チャネル推定の正確さは改善され得る。チャネル推定値は、一般に、無線送信機にチャネル状態情報(CSI)を与えるために使用され得る。
【0172】
たとえば802.11n方法に従ういくつかの従来技術手法はチャネル推定中の位相ドリフトを無視する。たとえば、そのような手法は、EHT NDPに属するLTF中のパイロットを省略し得る。残留CFOを無視することはチャネル推定値の劣化につながるので、そのような手法は不十分な結果をもたらす。
【0173】
次に、CFO推定値の正確さを改善することによって本明細書で提示する実施形態が改善された位相トラッキングをどのように可能にし得るかを明らかにするために、例示的な状況について説明する。例示的な状況は、たとえば、IEEE802.11ac/axによるチャネルサウンディング方法が使用されるときに適用可能である。
【0174】
802.11ac/axにおいて使用される従来技術の位相トラッキング方法は、送信機(TX)側にただ1つのクロックがあり、受信機(RX)側にただ1つのクロックがあり、したがって、CFOはTX側クロックとRX側クロックとの間の相対的クロックドリフトによることを暗黙的に仮定している。
【0175】
しかしながら、分散型送信シナリオ(たとえば、EHT)では、3つまたはそれ以上の、場合によっては同期していない(RX側に1つ、TX側に2つまたはそれ以上の)クロックがあり得るので、この仮定は当てはまらないことがある。以下の例示的な状況において明らかになるように、802.11ac/axにおいて使用される従来技術の位相トラッキング方法の、3つまたはそれ以上のクロックをもつシナリオへの適用は、CFO推定に関する問題につながる。
【0176】
無線受信機(STA)は、もちろん、様々な実装形態において別の数の受信(RX)アンテナを有し得るが、説明の目的で、無線受信機(STA)は2つのRXアンテナを有することが仮定される。また、2つの無線送信機(AP1およびAP2)がD-DL-MIMOのために使用されることが仮定される。
【0177】
前述のように、チャネル推定の前の位相トラッキングを可能にするために、パイロットサブキャリアは、D-DL-MIMO動作のためにも802.11ac/axにおいてSISOモードで送信される。したがって、本明細書で提示されるいくつかの実施形態に従って示唆されることに反して、AP1とAP2の両方が、同じパイロットシンボル(チャネルサウンディング信号)を同じサブキャリア中でSISOモードで送信する場合、時間tにおいてパイロットサブキャリアn中で、STAのk番目のアンテナにおいて受信される信号
は、
としてモデル化され得、ここで、sは、AP1とAP2の両方によって送信される既知のパイロットシンボルを示し、wは雑音をモデル化しており、
は、サブキャリアnについての、AP m=1、2から受信アンテナk=1、2への伝搬に対応するチャネルを表し、θ、θは、それぞれAP1およびAP2のCFOをモデル化している。後の時間tにおいて、パイロットサブキャリアn中でSTAのk番目のアンテナにおいて受信される信号
は、
としてモデル化され得、ここで、チャネル
は時間tと時間tとの間で変化していないことが仮定される。一般性の喪失なしに、s=s=1であることも仮定され得る。
【0178】
802.11ac/ax方法に従って、チャネル推定値が生成される前にCFOを補償するために、STAは、EHT NDPを受信すると(s、sはLTF中で送信される)、チャネル推定前に、位相ドリフト(CFO)を推定することを試み得る。CFOを推定する1つの方法は、
によって規定される統計値
を使用することによるものである。この状況において経験される問題を強調するために、信号対雑音比(SNR)は非常に高いので、雑音項w(t)およびw(t)は無視され得ることがさらに仮定される。
【0179】
パイロットシンボルs、sが、ただ1つの無線送信機(AP1)によって送信された場合、統計値は、
として表され得、時間tと時間tとの間の差がわかっているとき、θによって表されるCFOは、
の位相から容易に抽出され得る。
【0180】
しかしながら、パイロットシンボルs、sは2つの無線送信機(AP1およびAP2)によって送信されるので、統計値は、
として表される。この統計値の重大な問題は、項
および項
の位相がランダム性を有し、位相トラッキングにおいて無視できない雑音をもたらすことである。この問題は、受信された信号が本質的に無雑音である(すなわち、雑音項w(t)およびw(t)が無視され得る)場合でも起きることに留意すべきである。また、この問題は、AP1とAP2との間の同期が完全である(すなわち、θ=θ)場合でも起きることに留意すべきである。
【0181】
したがって、SISOを使用して2つの無線送信機にパイロットシンボルを同時に送信させることは、項
および項
が、チャネルの統計値に依存し、完全な同期および極めて高いSNRにおいてさえ現れる、極めて大きい推定誤差をもたらすので、CFOは、この手法を使用して正確に推定され得ないことになる。したがって、AP:sとSTAとの間の不十分な協調は、この手法を使用して正確にハンドルされ得ない。さらに、この手法を使用してAP1とAP2との間の不十分な協調(すなわち、θ≠θ)を推定する可能性はない。したがって、AP:s間の不十分な協調は、この手法を使用して正確にハンドルされ得ない。
【0182】
したがって、本明細書で提示されるいくつかの実施形態によれば、SISOチャネルサウンディングのために、AP1とAP2の両方によって同じチャネルサウンディングリソース(たとえば、サブキャリア)中で送信されないチャネルサウンディング信号(たとえば、パイロットシンボル)があるべきであることが示唆される。
【0183】
したがって、以前に詳述したように、1次無線送信機は、位相トラッキングのためのそれぞれの空間多重化されていない第1のチャネルサウンディング信号の送信のために、1次無線送信機と1つまたは複数の2次無線送信機とにそれぞれのチャネルサウンディングリソースを割り当てる(各利用可能なチャネルサウンディングリソースは無線送信機のうちの多くても1つに割り当てられる)ことが示唆される。
【0184】
上記で説明した例示的な状況に戻り、重複しないパイロットサブキャリアがLTF中にAP1およびAP2に割り当てられる(すなわち、EHT NDP中に含まれる各LTFが、パイロットとして指定されるいくつかのサブキャリアを有し、異なるAPが、パイロットの重複しないグループに割り当てられる)ようにそれを調整すると、サブキャリアn中で、時間tにおいて、STAのk番目のアンテナにおいて受信される信号
は、
としてモデル化され得ることがわかり、ここで、n≠nは、それぞれLTF中のAP1およびAP2のパイロットサブキャリアのためのインデックスであることと、AP1は、サブキャリアn上でパイロットを送信し、サブキャリアn上ではミュートされることと、AP2は、サブキャリアn上でパイロットを送信し、サブキャリアn上ではミュートされることとが仮定される。
【0185】
その場合、STAは、たとえば統計値
を使用して、CFO項θ、i=1、2を推定することができる。統計値
から推定量(estimator)
を取得するためのよく知られている統計技法がある。
【0186】
図7は、従来技術による手法710についての、および本明細書の実施形態によって示唆される手法720についての、STAにおける推定された周波数誤差の例示的な累積分布関数(CDF)を示す。
【0187】
設定は、2つのAPがそれぞれ4つの送信(TX)アンテナを有し、1つのSTAが2つのRXアンテナを有する、上記で説明した例示的な状況と同様であり、チャネルは、レイリーフェージングモデル(Rayleigh fading model)を使用してモデル化される。(20MHzのチャネル帯域幅をもつ802.11axと同様に)周波数が2MHzだけ分離された、8つのパイロットトーンがあり、受信機において雑音がない(すなわち、雑音が無視され得るほどSNRが高い)ことが仮定される。また、パイロットトーンが無相関であると仮定され得るように、チャネルのコヒーレンス帯域幅は1MHzよりも小さいことが仮定される。
【0188】
さらに、APは、AP1とAP2との間の35Hzの残留相対CFO(周波数相違)が残る程度まで同期させられていること、および、STAは、AP1に対する82.5Hzの残留CFO、およびAP2に対する117.5Hzの残留CFOが残る粗周波数補正を実行していることが仮定される。したがって、正しく推定された平均CFOは100Hzになるはずである。
【0189】
従来技術手法は、実際のCFO82.5HzとCFO117.5Hzとの正確な平均値である、100Hzの平均値をもつCFO推定値710を生成することがわかる。しかしながら、受信された信号が無雑音であるにもかかわらず、異なるCFO推定値は多くの値にわたる。実際には、これは図7において直接見ることができないとしても、従来技術手法は、最低2000Hzから最高4000HzのCFO推定値710を生成する。受信された信号は無雑音であるので、推定におけるすべての雑音は、上記で説明したように、チャネル認識(realization)のみに依存し、雑音とは無関係である形式
および
の項に由来する。CFO推定値の著しいゆらぎは、一般に、劣化した、または無用でさえあるチャネル推定値をもたらす。
【0190】
また、本明細書の実施形態によって示唆される手法は、実際のCFO82.5HzとCFO117.5Hzの正確な平均値である、100Hzに常に等しいCFO推定値720を生成することが見られ得る。CFO推定値のゆらぎはなく、これにより、一般に、チャネル推定が改善される。
【0191】
説明された実施形態およびそれらの等価物は、ソフトウェアまたはハードウェアまたはそれらの組合せにおいて実現され得る。実施形態は汎用回路によって実行され得る。汎用回路の例は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、コプロセッサユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、他のプログラマブルハードウェアを含む。代替または追加として、実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)など、専用回路によって実行され得る。汎用回路および/または専用回路は、たとえば、ユーザ局またはアクセスポイントなど、装置に関連付けられるか、または装置中に含まれ得る。
【0192】
実施形態は、本明細書で説明する実施形態のいずれかによる構成、回路、および/または論理を備える(ユーザ局またはアクセスポイントなど)電子装置内に現れ得る。代替または追加として、(ユーザ局またはアクセスポイントなど)電子装置は、本明細書で説明する実施形態のいずれかによる方法を実行するように設定され得る。
【0193】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、プラグインカード、埋込みドライブまたは読取り専用メモリ(ROM)など、コンピュータ可読媒体を含む。図8は、コンパクトディスク(CD)ROM800の形態の例示的なコンピュータ可読媒体を示す。コンピュータ可読媒体は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムをその上に記憶している。コンピュータプログラムは、たとえば、ユーザ局またはアクセスポイント810中に含まれ得る、データプロセッサ(PROC、たとえば、データ処理回路またはデータ処理ユニット)820にロード可能である。データプロセッサにロードされると、コンピュータプログラムは、データプロセッサに関連付けられるかまたはデータプロセッサ中に含まれるメモリ(MEM)830に記憶され得る。いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラムは、データプロセッサにロードされ、データプロセッサによって実行されると、たとえば、図3図4に示されたまたはさもなければ本明細書で説明した方法のいずれかによる方法ステップの実行を引き起こし得る。
【0194】
一般に、本明細書で使用するすべての用語は、異なる意味が、明確に与えられない限り、および/またはその用語が使用されるコンテキストから暗示されない限り、関連がある技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0195】
本明細書では、様々な実施形態を参照した。しかしながら、当業者は、依然として特許請求の範囲内に入るであろう説明された実施形態に対する多数の変形形態を認識するであろう。
【0196】
たとえば、本明細書で説明した方法実施形態は、一定の順序で実行されるステップによる例示的な方法を開示している。しかしながら、イベントのこれらのシーケンスは、特許請求の範囲から逸脱することなく別の順序で行われ得ることを認識されたい。さらに、いくつかの方法ステップは、順番に実行されるものとして説明したが、それらは並行して実行され得る。したがって、本明細書で開示された方法のステップは、あるステップが、別のステップに後続するかまたは先行するものとして明示的に説明されない限り、および/または、あるステップが、別のステップに後続するかまたは先行しなければならないことが暗黙的である場合、開示された厳密な順序で実行されなくてもよい。
【0197】
同じように、実施形態の説明において、特定のユニットへの機能ブロックの分割は決して限定的なものではないことに留意するべきである。反対に、これらの分割は例にすぎない。1つのユニットとして本明細書で説明された機能ブロックは2つまたはそれ以上のユニットに分離され得る。さらに、2つまたはそれ以上のユニットとして実装されるものとして本明細書で説明された機能ブロックは、より少ない(たとえば単一の)ユニットに合体され得る。
【0198】
本明細書で開示された実施形態のいずれかのいかなる特徴も、好適な場合はいつでも、任意の他の実施形態に適用され得る。同様に、実施形態のいずれかのいかなる利点も他の実施形態に適用し得、その逆もまた同様である。
【0199】
したがって、説明された実施形態の詳細は、説明の目的で提示された例にすぎず、特許請求の範囲内に入るすべての変形形態は特許請求の範囲に包含されるものであることを理解するべきである。
図1
図2
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図8