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特許7564845生物医学的ターゲティング及びデリバリーの方法並びにそれを実行するための装置及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】生物医学的ターゲティング及びデリバリーの方法並びにそれを実行するための装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241002BHJP
   A61B 90/10 20160101ALI20241002BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20241002BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B90/10
A61B5/33 210
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022134950
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2019511716の分割
【原出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2022174116
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】62/381,423
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(73)【特許権者】
【識別番号】517157204
【氏名又は名称】ボイジャー セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VOYAGER THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】バンキウィッツ,クリストフ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブルース,キャスリン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ケルズ,エイドリアン ピー.
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-502276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0162552(US,A1)
【文献】国際公開第2007/064739(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 90/10
A61B 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能ターレット、台座、及び軌道ガイドを備える、被験対象の所望領域の磁気共鳴画像(MRI)支援ターゲティング用の調節可能ターゲティングシステムであって、
前記調節可能ターレットは、遠位端部、球形端部、及び前記遠位端部から前記球形端部へと走る複数のチャネルを備え、
前記台座は、
前記球形端部を受容するような寸法にされたソケットを形成する複数の環状壁部、
前記複数の環状壁部の間に配置される複数のスロット、及び、
被験対象の組織表面に前記台座を固定するための、前記環状壁部のうちの少なくとも1つと直交するフランジを備え、
前記軌道ガイドは、
平坦な表面を備える基部(または固体支持体)と、
各々が造影剤を含む内部空洞を備える複数のMRI可視針とを備え、
前記複数のMRI可視針の各々が、一方の端部で前記平坦な表面に固定され、複数のチャネルを有する調節可能ターレットの各々のチャネルに挿入されるような寸法にされ、前記調節可能ターレットは被験対象の組織表面に固定され、それにより、MRI画像装置を使用して前記挿入されたMRI可視針の各々の軌道を画像化することにより、前記チャネルをターゲティングすることが可能になり、
前記チャネルは、一方の端部が軌道ガイドの基部の平坦な表面に固定された複数のMRI可視針がチャネルに挿入されるように設けられている、調節可能ターゲティングシステム。
【請求項2】
ロッキングカラーを更に備え、
前記ロッキングカラーは、前記台座の外表面に設けられるねじ切り部と適合可能なねじ切り部を内表面に備え、
前記ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされ、前記ロッキングカラーを第2の方向に回すことにより、前記球形端部が除圧されて、前記調節可能ターレットの軌道の再ターゲティングが可能になり、
前記ロッキングカラーを前記第1の方向に回すことにより、前記台座と前記ロッキングカラーの間で前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ロッキングカラーを更に備え、
前記ロッキングカラーは、前記台座の外表面に設けられるねじ切り部と適合可能なねじ切り部を内表面に備え、
前記ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされ、前記ロッキングカラーを第2の方向に回すことにより、前記球形端部が除圧されて、前記調節可能ターレットの軌道の再ターゲティングが可能になり、
前記ロッキングカラーを前記第1の方向に回すことにより、前記ソケットの前記複数の環状壁部の間で前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記調節可能ターゲティングシステムが、前記被験対象の前記組織表面に固定されたとき前記台座及び前記ロッキングカラーが生体外になるように構成される、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記調節可能ターゲティングシステムが、前記被験対象の前記組織表面に固定されたとき前記調節可能ターレットが生体外になるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記球形端部が、前記遠位端部に対して反対側に、1つ又は複数のチャネルへの開口を備えた平坦な部分を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記球形端部及び前記平坦な部分が、前記ソケットに挿入されたとき、前記平坦な部分が前記台座の底表面と同一平面になるような寸法である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロッキングカラーが、把持を可能にするローレット加工された外表面を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロッキングカラーが、把持を可能にするローレット加工された外表面を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記台座が、前記環状壁部のうちの少なくとも2つに直交する複数のフランジを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のMRI可視針が、前記平坦な表面の幾何中心に対して対称に前記平坦な表面に固定される2本以上の針を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のMRI可視針が、前記複数のMRI可視針のうちの1本又は複数本の針に対して非対称に前記平坦な表面に固定される少なくとも1本の針を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのMRI可視針が、前記平坦な表面に対して垂直に固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのMRI可視針が、前記平坦な表面に対して広がった角度で固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記基部が、前記平坦な表面に対向して開口を備え、前記開口は、前記MRI可視針の前記内部空洞と一続きである、前記基部の中の空隙に隣接し、それにより、前記空隙及び前記内部空洞へのアクセスが可能になる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記開口を閉じるためのキャップをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記キャップと前記開口が、適合可能なねじ切り部を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記造影剤が、ガドリニウムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
MRI画像装置を更にそなえ、当該MRI画像装置は、前記軌道ガイドのMRI可視針が前記調節可能ターレットのチャネルに挿入されたときに前記MRI可視針を撮像するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の調節可能ターゲティングシステムと、
前記調節可能ターレットの複数のチャネルの中のチャネルに挿入されるような寸法にされたデリバリー装置又は電極とを備える、
調節可能ターゲティングデリバリーシステム。
【請求項21】
前記デリバリー装置又は電極が、前記デリバリー装置又は電極の長手方向に沿ったある点に配置された深さ止めを備え、前記デリバリー装置が前記の点を越えて前記1つ又は複数のチャネルに挿入されることが防止される、請求項20に記載のデリバリーシステム。
【請求項22】
請求項20に記載の調節可能ターゲティングデリバリーシステムと、
前記調節可能ターレットに接続され、命令でプログラムされたプロセッサによって制御されるアクチュエータとを備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
前記チャネルに挿入された軌道ガイドのMRI可視針の、受け取った磁気共鳴画像(MRI)に基づいて、前記調節可能ターレットのチャネルの軌道を決定させ、
前記決定した軌道を所望のユーザ入力軌道と比較させ、
前記比較に基づいて、前記決定した軌道を前記所望のユーザ入力軌道に位置合わせするのに必要な、前記調節可能ターレットの調節を計算させ、
前記調節を実行するように前記アクチュエータをトリガし、それによって前記決定した軌道を前記所望のユーザ入力軌道に位置合わせさせる、
自動化された調節可能ターゲティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月30日出願の米国仮特許出願第62/381,423号の利益を主張し、その出願は、参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって認められた許可番号P01CA118816の下で、政府の助成を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
先進的な薬物及び治療技法を使用する多くの生物医学的応用例では、被験対象内の的確な場所に薬物をデリバリーする又は治療を施すことが、今もなお必要とされている。したがって、治療物質の適切なターゲティングは、処置様式にかかわらず、依然として多くの治療手順の重要な側面である。
【0004】
的確なターゲティングが有益である例示的な生物医学分野には、神経内科及び神経外科が含まれる。たとえば、血液脳関門によって脳及び脊髄が保護区画化されていることにより、中枢神経系障害の処置が困難な場合がある。多くの状況において、脳実質へのマイクロインジェクションが、薬物、ウイルスベクター、又は細胞移植片をデリバリーするための重要な手順である。医療提供者が周囲の脳構造の残存損傷を最小限に抑えながら脳の疾患箇所に局所的に治療薬剤をデリバリーするのを効率的に支援できる、十分に的確で使いやすい脳ターゲティングシステムがないことにより、多くの脳疾患が依然として十分な処置を受けていない。薬剤のデリバリーに加えて、脳内の神経アブレーション及び頭蓋内手術も、てんかんなどの機能不全ニューロン及び脳腫瘍などの悪性組織によって特徴づけられる衰弱性神経障害の処置を可能にする。的確な薬剤のデリバリーと同様に、これらの技法では、効果的であるために、高い水準の確度が必要とされる。
【0005】
治療介入物を的確にターゲティングすることの利益は神経障害に限定されず、疾患組織の場所又は疾患を引き起こす細胞の発生源が知られている本質的に任意の処置パラダイムを含み得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、生物医学的システムをターゲティングするための方法を提供する。本方法の態様は、ターゲティング装置と適合可能な軌道ガイドのMRI可視針(visible style)の磁気共鳴画像(MRI)を使用して、ターゲティング装置の軌道を決定することを含む。ターゲティングされた生物医学的システムは、治療物質のターゲティングデリバリー、治療用装置の保持、治療用装置の位置決め及び他の使用法を含めた種々の目的のために利用することができる。記載の方法の実施において使用することができる装置及びシステムも提供され、これには軌道ガイド及び調節可能ターゲティングシステム、並びにコンピューティング装置によって実行されたとき記載の方法のステップをコンピューティング装置に実施させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が含まれるが、これらに限定れない。
【0007】
本開示の態様は、被験対象の所望領域の磁気共鳴画像(MRI)支援ターゲティングの方法であって、チャネルを備える調節可能ターレット(turret)を被験対象の組織表面に配置するステップと、調節可能ターレットのチャネルに軌道ガイドのMRI可視針を挿入するステップと、MRI画像装置を使用してMRI可視針を画像化するステップと、画像化するステップに基づいて、チャネルの軌道を決定するステップと、被験対象の所望領域をターゲティングするために、チャネルの決定した軌道に基づいて調節可能ターレットを調節するステップとを含む、方法を包含する。
【0008】
いくつかの実施形態では、調節可能ターレットは、生体外に配置される。いくつかの実施形態では、当該方法は、被験対象の組織表面に台座を固定するステップと、台座に調節可能ターレットをマウントするステップとをさらに含む。いくつかの実施形態では、台座は、生体外に配置される。いくつかの実施形態では、台座は、フランジを備え、固定するステップは、フランジを通して締結具をマウントして、被験対象の組織表面に台座を固定するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、調節するステップに続いて調節可能ターレットを定位置にロックするステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、ロックするステップは、ロッキングカラーを締めて、ロッキングカラーと台座の間で調節可能ターレットを圧縮するステップを含む。いくつかの実施形態では、ロックするステップは、ロッキングカラーを締めて、台座の複数の環状壁部の間で調節可能ターレットを圧縮するステップを含む。いくつかの実施形態では、チャネルは、ターレットと同軸でない。いくつかの実施形態では、調節するステップは、調節可能ターレットの長軸に対する回転調節を含む。いくつかの実施形態では、調節するステップは、調節可能ターレットの長軸に対する角度調節を含む。いくつかの実施形態では、調節可能ターレットは、複数のチャネルを備える。存在する場合、調節可能ターレットの中の複数のチャネルは、平行な場合もあり、平行でない(たとえば角度が付く、又は広がる)場合もある。いくつかの実施形態では、軌道ガイドは、複数のMRI可視針を備える。いくつかの実施形態では、軌道ガイドは、調節可能ターレットが有するチャネルと同じ数の針を有する。
【0009】
本開示の態様は、被験対象の所望領域への薬剤又は電流の磁気共鳴画像(MRI)支援デリバリーの方法であって、上述の方法のいずれかに従って、被験対象の所望領域をターゲティングするステップと、調節するステップの後、チャネルからMRI可視針を取り外すステップと、チャネルから被験対象の所望領域へと薬剤又は電流をデリバリーするステップとを含む、方法を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、薬剤のMRI支援デリバリーを含み、デリバリーするステップは、薬剤を収容したデリバリー装置をチャネルに挿入するステップを含む。いくつかの実施形態では、デリバリー装置は、ニードル、カニューレ、又は電極(たとえば刺激電極、記録電極など)を備える。いくつかの実施形態では、薬剤は、遺伝子治療ベクターである。いくつかの実施形態では、デリバリー装置は、デリバリー装置の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、デリバリー装置が前記の点を越えてチャネルに挿入されることを防止する。いくつかの実施形態では、方法は、電流のMRI支援デリバリーを含み、デリバリーするステップは、刺激電極をチャネルに挿入するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、電流のMRI支援記録を含み、デリバリーするステップは、記録電極をチャネルに挿入するステップを含む。いくつかの実施形態では、電極は、電極の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、電極が前記の点を越えてチャネルに挿入されることを防止する。
【0011】
本開示の態様は、被験対象の所望の領域への薬剤又は電流の磁気共鳴画像(MRI)支援デリバリーの方法であって、複数のチャネルを備える調節可能ターレットを被験対象の組織表面に配置するステップと、調節可能ターレットの複数のチャネルのそれぞれに、軌道ガイドの複数のMRI可視針のそれぞれを挿入するステップと、MRI画像装置を使用して複数のMRI可視針を画像化するステップと、画像化するステップに基づいて、複数のチャネルのうちの2つ以上のチャネルの軌道を決定するステップと、2つ以上のチャネルのうち、被験対象の所望の領域に最も近い軌道を備えるチャネルを特定するステップと、被験対象の所望の領域に最も近い軌道を備えるチャネルを通じて薬剤又は電流をデリバリーするステップとを含む、方法を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、特定したチャネルの決定した軌道に基づいて調節可能ターレットを調節し、被験対象の所望の領域に前記チャネルをターゲティングするステップをさらに含む。
【0013】
本開示の態様は、被験対象の所望の領域の磁気共鳴画像(MRI)支援ターゲティング用の軌道ガイドであって、平坦な表面を備える固体支持体と、造影剤を備える内部空洞を備えるMRI可視針とを備え、MRI可視針は、一方の端部で平坦な表面に固定され、被験対象の組織表面に固定される調節可能ターレットのチャネルに挿入されるような寸法にされ、それにより、MRI画像装置を使用して挿入されたMRI可視針の軌道を画像化することにより、チャネルをターゲティングすることが可能になる、軌道ガイドを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、軌道ガイドは、複数のMRI可視針を備える。いくつかの実施形態では、複数のMRI可視針は、平坦な表面の幾何中心に対して対称に平坦な表面に固定される2本以上の針を備える。いくつかの実施形態では、複数のMRI可視針は、複数のMRI可視針のうちの1本又は複数本の針に対して非対称に平坦な表面に固定される少なくとも1本の針を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのMRI可視針は、平坦な表面に対して垂直に固定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのMRI可視針は、平坦な表面に対して広がった角度で固定される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、平坦な表面に対向して開口を備え、開口は、MRI可視針の内部空洞と一続きである、固体支持体の中の空隙に隣接し、それにより、空隙及び内部空洞へのアクセスが可能になる。いくつかの実施形態では、軌道ガイドは、開口を閉じるためのキャップをさらに備える。いくつかの実施形態では、キャップと開口は、適合可能なねじ切り部を備える。いくつかの実施形態では、造影剤は、ガドリニウムを含む。
【0015】
本開示の態様は、遠位端部、球形端部、及び遠位端部から球形端部へと走る1つ又は複数のチャネルを備える調節可能ターレットと、台座であって、球形端部を受容するような寸法にされたソケットを形成する複数の環状壁部、環状壁部の外表面のねじ切り部、複数の環状壁部の間に配置される複数のスロット、並びに被験対象の組織表面に台座を固定するための、環状壁部のうちの少なくとも1つと直交するフランジを備える台座と、台座の外表面のねじ切り部と適合可能な内表面のねじ切り部を備えるロッキングカラー(locking collar)とを備え、ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、球形端部が圧縮されて、調節可能ターレットが所望の軌道にロックされ、ロッキングカラーを第2の方向に回すことにより、球形端部が除圧されて、調節可能ターレットの軌道の再ターゲティングが可能になる、調節可能ターゲティングシステムを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、台座とロッキングカラーの間で球形端部が圧縮されて、調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる。いくつかの実施形態では、ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、ソケットの複数の環状壁部の間で球形端部が圧縮されて、調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる。いくつかの実施形態では、調節可能ターゲティングシステムは、被験対象の組織表面に固定されたとき台座及びロッキングカラーが生体外になるように構成される。いくつかの実施形態では、調節可能ターゲティングシステムは、被験対象の組織表面に固定されたとき調節可能ターレットが生体外になるように構成される。いくつかの実施形態では、球形端部は、1つ又は複数のチャネルへの開口を備えた平坦な部分を遠位端部に対向して備える。いくつかの実施形態では、球形端部及び平坦な部分は、ソケットに挿入されたとき、平坦な部分が台座の底表面と同一平面になるような寸法にされる。いくつかの実施形態では、ロッキングカラーは、把持を可能にするローレット(刻み付き)加工された外表面を備える。いくつかの実施形態では、台座は、環状壁部のうちの少なくとも1つに直交する複数のフランジを備える。いくつかの実施形態では、システムは、上記のいずれかに記載の軌道ガイドをさらに備える。いくつかの実施形態では、システムは、軌道ガイドのMRI可視針が調節可能ターレットのチャネルに挿入されたときにMRI可視針を撮像するように配置されるMRI画像装置をさらに備える。
【0017】
本開示の態様は、上記のいずれかに記載の調節可能ターゲティングシステムと、調節可能ターレットの1つ又は複数のチャネルに挿入されるような寸法にされたデリバリー装置又は電極とを備える、調節可能なターゲティングデリバリーシステムを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、デリバリー装置又は電極は、デリバリー装置又は電極の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、デリバリー装置が前記の点を越えて1つ又は複数のチャネルに挿入されることを防止する。
【0019】
本開示の態様は、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、コンピューティング装置によって実行されたとき、調節可能ターレットのチャネルに挿入された軌道ガイドのMRI可視針の磁気共鳴画像(MRI)を受け取るステップと、受け取ったMRIに基づいて、チャネルの軌道を決定するステップと、決定した軌道を所望のユーザ入力軌道と比較するステップと、比較するステップに基づいて、決定した軌道を所望のユーザ入力軌道に位置合わせするのに必要な、調節可能ターレットの推奨調節を計算するステップと、推奨調節を表示するステップとをコンピューティング装置に実施させる、非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0020】
本開示の態様は、自動化された調節可能ターゲティングシステムであって、上記のものに記載の調節可能ターゲティングシステムと、調節可能ターレットに接続され、命令でプログラムされたプロセッサによって制御されるアクチュエータとを備え、前記命令は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、チャネルに挿入された軌道ガイドMRI可視針の、受け取った磁気共鳴画像(MRI)に基づいて、調節可能ターレットのチャネルの軌道を決定させ、決定した軌道を所望のユーザ入力軌道と比較させ、この比較に基づいて、決定した軌道を所望のユーザ入力軌道に位置合わせするのに必要な、調節可能ターレットの調節を計算させ、調節を実行するようにアクチュエータをトリガし、それによって決定した軌道を所望のユーザ入力軌道に位置合わせさせる、システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本明細書に記載の一実施形態による、所望の領域に装置をターゲティングする方法を示す図である。
図2】本明細書に記載の一実施形態による、障害物を避けながら所望の領域に装置をターゲティングする方法を示す図である。
図3】本明細書に記載の方法の一実施形態による、複数チャネルのターゲティング装置のチャネル選択を示す図である。
図4図4A~4Fは、本明細書に記載のターレットの中のチャネル又は軌道ガイドの針の例示的な配置を示す図である。
図5図5A及び5Bは、平行なチャネル及び平行でないチャネルを有するターゲティング装置ターレットを示す図である。
図6図6A及び6Bは、本明細書に記載の一実施形態によるターゲティングガイド及びその切断図である。
図7図7A及び7Bは、本明細書に記載の一実施形態による、複数のMRI可視針を有するターゲティングガイドを示す図である。
図8図8A及び8Bは、本明細書に記載のターゲティング装置の調節可能ターレットを示す図である。
図9図9A及び9Bは、本明細書に記載の、組立て後及び組立て前の複数構成要素のターゲティング装置を示す図である。
図10】本明細書に記載の複数構成要素のターゲティング装置の台座を示す図である。
図11】本明細書に記載の複数構成要素のターゲティング装置の台座に取り付けるように構成されるキャップを示す図である。
図12】非対称の溝を有する、ターゲティング装置の調節可能ターレットを示す図である。
図13】本明細書に記載の一実施形態による軌道ガイド及びターゲティング装置のシステムを示す図である。
図14図14A~14Cは、本明細書に記載の一実施形態による、組立て後の生体外ターゲティングシステムを示す図である。
図15図15A及び15Bは、生体内部分を備えた台座を有する、本明細書に記載のターゲティングシステムを示す図である。
図16】本明細書に記載のターゲティングシステムを示す図である。
図17】本明細書に記載のターゲティングシステムを示す図である。
図18】本明細書に記載のターゲティングシステムのプロセスの動きを示すフローチャートである。
図19】本明細書に記載の角度を付けた台座の一実施形態を示す図である。
図20】ターゲティングガイドが係合した状態で本明細書に記載の角度を付けた台座に挿入された、調節可能ターレットの一実施形態を示す図である。
図21】本明細書に記載の組込みハンドルを示す図である。
図22】本明細書に記載の一実施形態による、連結されていない構成での組込み/キャリブレーションシステムの構成要素を示す図である。
図23】本明細書に記載の一実施形態による、連結された構成での組込み/キャリブレーションシステムの構成要素を示す図である。
図24】本明細書に記載の一実施形態による、連結されていない構成での組込みハンドル、ターゲティングガイド、及び調節可能ターレットを示す図である。
図25】本明細書に記載の一実施形態による、連結された構成での組込みハンドル、ターゲティングガイド、及び調節可能ターレットを示す図である。
図26】本明細書に記載のチャネルリデューサの一実施形態を示す図である。
図27】本明細書に記載の一実施形態による、調節可能ターレットのチャネルに挿入された係合構成でのチャネルリデューサを示す図である。
図28】本明細書に記載の手術ナビゲーションシステムに組み込まれるターゲティングシステムのプロセスの考えられる動きの1つを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本明細書で使用される、「処置」又は「処置する」は、身体的(たとえば認識可能な症状の安定化)であれ、生理的(たとえば身体的パラメータの安定化)であれ、その両方であれ、疾患もしくは障害の進行を抑えること、又は疾患もしくは障害の発症を遅らせることを指す。本明細書で使用される、「処置」、「処置する」などの用語は、所望の薬理的効果及び/又は生理的効果を得ることを指す。この効果は、疾患もしくは異常、又はその症状を完全に又は部分的に予防するという点で予防的でもよく、かつ/あるいは疾患もしくは障害、及び/又はその疾患もしくは障害に起因する副作用の部分的又は完全な治癒という点で治療的でもよい。本明細書で使用される「処置」は、ヒトなどの哺乳動物の疾患又は障害の任意の処置を含み、疾患による死亡のリスクを低減すること、疾患の素因があった可能性があるが疾患を有しているとまだ診断されていなかった被験対象に障害の疾患が発生するのを予防すること、疾患又は障害を抑える、すなわちその発現を阻止すること(たとえば疾患の進行速度を遅くすること)、及び疾患を緩和する、すなわち疾患を退縮させることを含む。本発明の治療上の利益には、発症リスクの低減、又は神経の異常に関連付けられる疾患もしくは異常の重篤さの低減が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0023】
「査定する(assessing)」という用語は、任意の形態の測定を含み、或る要素が存在するか否かを決定することを含む。「決定する(determining)」、「測定する(measuring)」、「評価する(evaluating)」、「査定する(assessing)」及び「アッセイする(assaying)」という用語は交換可能に使用され、定量的決定及び定性的決定を含む。査定は、相対的でも絶対的でもよい。
【0024】
本明細書で使用される「入力する(inputting)」という用語は、たとえばユーザインターフェースの使用によってなど、コンピュータへの任意の形での情報の登録を指すために使用される。たとえば、いくつかの場合では、入力は、コンピュータシステム上に既に存在するか又はコンピュータシステム上で特定されているターゲティング又は軌道を選択するものである場合がある。他の場合では、入力は、コンピュータとインターフェースできる装置上でまず画像を生成して、又は生成せずに、たとえばコンピュータシステム内の画像上でターゲティング又は軌道を定めることによる、コンピュータシステムへのターゲティング又は軌道を含む場合がある。したがって、入力は、ユーザインターフェースを使用してなされてもよく、画像取込み装置などの、コンピュータシステムに情報を送るように構成された装置を使用してなされてもよく、これらの任意の組合せを使用してなされてもよい。
【0025】
本明細書で使用される「データ処理ユニット(data processing unit)」は、それに対して要求される機能を実施することになる、任意のハードウェア及び/又はソフトウェアの組合せを意味する。たとえば、本明細書での任意のデータ処理ユニットは、電子制御器、メインフレーム、サーバ、又はパーソナルコンピュータ(デスクトップ又はポータブル)などの形で利用可能なものなど、プログラム可能なデジタルマイクロプロセッサでもよい。データ処理ユニットがプログラム可能である場合、適したプログラミングが、遠隔の場所からデータ処理ユニットに伝達されてもよく、(磁気デバイス、光学デバイス、又はソリッドステートデバイスをベースとしたポータブル又は固定のコンピュータ可読記憶媒体などの)コンピュータプログラム製品に予め保存されてもよい。場合によっては、データ処理ユニットは、たとえば画像データの受取り及び処理に特化した画像処理ユニットのように、特定の目的に特化してもよい。
【0026】
本明細書で使用される「実行する(executing)」という用語は、プログラムを開始するためにユーザがとるアクションを指すのに使用される。
【0027】
本開示は、生物医学的システムをターゲティングする方法を提供する。本方法の態様は、ターゲティング装置と適合可能な軌道ガイドのMRI可視針の磁気共鳴画像(MRI)を使用して、ターゲティング装置の軌道を決定することを含む。ターゲティングされた生物医学的システムは、治療物質のターゲティングデリバリー、治療用装置の保持、治療用装置の配置、及び他の使用法を含めた種々の目的のために利用することができる。記載の方法の実施に使用することができる装置及びシステムも提供され、これには軌道ガイド及び調節可能ターゲティングシステム、並びにコンピューティング装置によって実行されたとき記載の方法のステップをコンピューティング装置に実施させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が含まれるが、限定はされない。
【0028】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は説明される特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら様々であり得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるので、本明細書で使用する術語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではないことも理解されたい。
【0029】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間にある、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ下限値の単位の10分の1までである各値、及びその指定の範囲内の任意の他の指定の値又はその範囲の間にある値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、このより小さい範囲に独立して含まれてよく、また指定の範囲内で明確に除外される任意の制限を条件に、やはり本発明に包含される。指定の範囲が限度値の一方又は両方を含む場合、含められたそれらの限度値のいずれか又は両方を除外した範囲も、本発明に含まれる。
【0030】
本明細書では、いくつかの範囲は、「約」という用語が前に付いた数値で提示される。本明細書では、「約」という用語は、それが前に付いたまさにその数、及びこの用語が前に付いた数に近いか又は近似なある数についての文言上の支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近い又は近似かどうかを決定する際、近いか又は近似のこの列挙されていない数は、それが提示された文脈において、具体的に列挙された数の実質的な均等物を提供する数であり得る。
【0031】
別段の定めがない限り、本明細書に使用される技術用語及び学術用語は、本発明が属する当業者が通例理解するものと同じ意味をもつ。本発明の実施又は試験では、本明細書に記載のものと同様又は均等な任意の方法及び材料も使用することができるが、ここでは代表的な例示的な方法及び材料について説明する。
【0032】
本明細書に引用する文献及び特許は、個々の文献又は特許のそれぞれが参照により援用されることを明確かつ個々に示されている場合と同様に、参照により本明細書に援用され、文献が引用された関連での方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に援用される。任意の文献の引用は、出願日以前にそれが開示されているためであり、先行発明のために本発明にはこうした文献に先行する権利がないという容認として解釈されるべきではない。さらに、提供されている発行日は実際の発行日とは異なる可能性があり、実際の発行日は個別に確認する必要がある場合がある。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意選択の任意の要素を除外するように起案される場合があることにさらに留意されたい。したがって、この記載は、クレームエレメントの列挙に関連して「もっぱら(solely)」、「のみ(only)」のような排他的な術語を使用するための、又は「否定的な」限定を使用するための先行基礎として機能するものである。
【0034】
本開示を読めば当業者には明らかになるように、本明細書において説明及び例示される個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、その他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離でき、又はそれらと組み合わせることができる、個別の構成要素及び特徴を有する。列挙される任意の方法は、列挙される事象の順序で実施されてもよく、論理的に可能な任意の他の順序で実施されてもよい。
【0035】
方法
本開示は、生物医学的システムをターゲティングする方法を提供する。「生物医学的システム」は、被験対象の処置、被験対象の状態の診断、被験対象に実施される生物医学的調査などを含むがこれらに限定はされず、医療用途又は治療用途で使用される構成要素の任意の装置又はシステムを意味する。本方法の態様は、排他的にではないが一般に、被験対象の表面にターゲティング装置を配置することと、被験対象上又は被験対象内での医療装置の適切な配置のためにターゲティング装置の軌道に依存する1つ又は複数の下流側用途のために、ターゲティング装置の軌道を確立、位置合わせ、及び/又は調節することとを含む。場合によっては、本方法の態様は、たとえば薬物デリバリー装置、ウイルスベクターデリバリー装置、ナノ粒子デリバリー装置、細胞投与デリバリー装置、細胞デリバリー装置などを含むがこれらに限定はされず、治療物質投与装置用の保持器として、本明細書に記載の装置又はその構成要素を利用することも含むことがある。本開示のターゲティング装置の実際の構成は様々であることになる。
【0036】
場合によっては、本開示のターゲティング装置は、1つ又は複数のチャネルを有する調節可能ターレットを含んでもよく、その軌道は、チャネルのうちの1つ又は複数に挿入される医療装置の適切な配置において頼りにされる。いくつかの実施形態によれば、ターゲティング装置は被験対象の表面に取り付けることができ、調節可能ターレットの調節により、ターレットの1つ又は複数のチャネルの軌道を調節して、被験対象の所望の領域をよりうまくターゲティングする、又は被験対象内の障害物を避けることが可能になる。
【0037】
ターゲティング装置は、初めは被験対象の組織表面に配置されてもよい。被験対象上のターゲティング装置の初期位置は、被験対象の1つ又は複数の所望のターゲティング領域の位置、被験対象内の1つ又は複数の障害物の位置などを含めた、多数の要因に応じて変動することになる。場合によっては、初期位置を確立する、ターゲティング装置が取り付けられる被験対象の組織表面は、医療装置をその上又はその内部に配置すべきである所望領域に最も近い組織表面であるために選択される。場合によっては、初期位置はアクセス可能な組織表面であるために選択され、その初期位置は、医療装置をその上又はその内部に配置すべきである所望領域に最も近いアクセス可能組織表面であってもよく、そうでなくてもよい。場合によっては、ターゲティング装置の初期の配置は、障害物が横たわっている位置、又はありそうな障害物が横たわっていそうな位置を考慮に入れる。たとえば場合によっては、被験対象の所望領域に最も近い組織表面は、それを使用するには障害物を通って医療装置を挿入することが必要になる可能性があるため、又は障害物を通って医療装置を挿入すべき可能性が高くなり得るために、使用されない場合がある。場合によっては、初期の配置は、障害物の位置又は障害物がありそうな位置を考慮に入れなくてもよく、ターゲティング装置が配置されてもよく、任意の障害物は、たとえば本明細書においてより詳細に説明するように、その後、ターゲティングする間に避けられてもよい。
【0038】
したがって、場合によっては、被験対象上でのターゲティング装置の初期位置は、被験対象の解剖学的特徴、並びに/又はたとえばターゲティング領域及び/もしくは任意の障害物(もし存在するなら)を画像化するために実施される術前の撮像に基づいて決定されてもよい。ターゲティング装置の初期位置は、こうした情報を考慮に入れて、医療専門家、たとえば内科医、外科医、放射線専門医などによって選択され得る。特定の状況に応じて、初期位置の選択は、コンピュータ支援を用いて又は用いずに(たとえば手術ナビゲーションシステムを使用して又は使用せずに)なされてもよい。
【0039】
場合によっては、被験対象上でのターゲティング装置の初期位置は、手術ナビゲーションシステムを必要とする初期ターゲティング手順に基づいて決定されてもよい。利用され得る例示的な手術ナビゲーションシステムには、たとえばBrainlab AG(Munich、Germany)から入手可能なBrainlab VarioGuide(登録商標)並びに関連する構成要素(たとえばZ-touch(登録商標)及びSoftouch(登録商標)のレジストレーションシステム、Kick(登録商標)ナビゲーションシステムなど)などの頭部ナビゲーションシステム、Stryker Corp.(Kalamazoo、Michigan)から入手可能なNAV3i(登録商標)プラットフォーム、Medtronic(Minneapolis、Minnesota)から入手可能なStealthStation(商標)手術ナビゲーションシステム及びその構成要素(たとえばVertek(商標)精密照準装置、StealthViz(商標)ソフトウェア、Nexframe(商標)定位システムなど)などの手術ナビゲーションシステムが含まれるが、これらに限定はされない。このようなシステムが利用される場合、本開示のターゲティング装置は、以下により詳細に論じる組込みハンドルの使用によって、又は手術ナビゲーションシステムの構成要素に本開示のターゲティング装置を物理的にもしくはその他の方法で連結する同様の組込み構成要素の使用によって、手術ナビゲーションシステムに組み込むことができる。
【0040】
本開示の方法に適用される場合、手術ナビゲーションシステムに支援された初期位置選択は、たとえば基準マーカの配置、光学ガイドのマウント及び/又は読取り、患者/被験対象のレジストレーション、定位計画(stereotactic planning)、定位フレーム又は他の構造的支持体のマウント、ナビゲーションシステム/構成要素の位置合わせなどを含むがこれらに限定はされず、こうしたシステムの使用に関連付けられる1つ又は複数のステップを含んでもよく、除外してもよい。たとえば場合によっては、本方法は、コンピュータナビゲーションシステムに被験対象の位置及び/又はその特徴を取り込み及び/又は方向づけるためにナビゲーションシステムによって検出される基準マーカを、被験対象に配置することを含んでもよい。ナビゲーションシステムの構成要素に既に存在しているか又はナビゲーションシステムにマウントされる光学ガイドも、コンピュータナビゲーションシステム内でシステム及び/又はその構成要素の相対位置関係を入力及び/又は方向づけるために検出されてもよい。被験対象の位置及び/又はその特徴は、コンピュータシステム内でシステム及び/又はその構成要素の位置にレジストレーションされ、これにより、ナビゲーションシステム内で、被験対象とナビゲーションシステムの構成要素との間の相対的な位置及び/又は向きを特定する空間マップを生成することができる。
【0041】
被験対象のレジストレーション(registration)は、上述のように、基準マーカの検出された位置に基づいてもよく、たとえばポインタ又はタッチセンシティブのレジストレーション装置を使用した表面の走査/マッチングを用いることなどにより、基準マーカを使用せずに実施されてもよい。検出した被験対象の位置及び/又はその特徴は、走査画像(たとえばCT走査画像、MRI走査画像など)にさらにレジストレーションすることができ、被験対象の表面位置を被験対象の体内の特徴に三次元で相関させることが可能になる。被験対象の体内の特徴のレジストレーションは、追加の走査を必要とする場合もあり、必要としない場合もある。たとえば場合によっては、被験対象に基準マーカを配置した後に追加の走査が実施されてもよく、基準マーカは走査画像上に画像化されてもよくされなくてもよい。場合によっては、被験対象の表面の走査/マッチングは、さらなる走査の必要なしに、前もって実施された走査画像にレジストレーションされてもよい。
【0042】
場合によっては、手術ナビゲーションシステムの1つ又は複数の構成要素のための構造的支持体、たとえば定位支持体が、被験対象、又は被験対象に関連付けられる要素(たとえば手術台)にマウントされてもよい。このような支持構造体のマウントは、被験対象の位置、並びに体外及び体内の特徴を含むその特徴がナビゲーションシステムの1つ又は複数の構成要素の位置にレジストレーションされる前に実施されてもよく、その後に実施されてもよい。たとえば場合によっては、たとえば被験対象のレジストレーションにおいて検出及び利用され得る1つ又は複数の光学ガイドを支持構造体が含む場合を含め、支持構造体は、被験対象のレジストレーションを完了する前にマウントされてもよい。場合によっては、支持構造体は、被験対象のレジストレーション後にマウントされ、支持構造体、及び/又はそれに取り付けられる1つもしくは複数の構成要素の位置が、レジストレーションに追加されてもよい(すなわちレジストレーションが更新されてもよい)。適した支持構造体には、たとえばフレーム、操作可能な剛性アームなどが含まれるが、これらに限定はされない。
【0043】
場合によっては、たとえば手術ナビゲーションシステムが利用される場合、本方法は、暫定的エントリーポイントを選ぶための定位計画をさらに含んでもよい。たとえば、被験対象、その特徴、及びシステムの1つ又は複数の構成要素のレジストレーション位置から、ユーザが、被験対象の中のターゲティング領域へ至る選択された暫定的な軌道に基づいて、ターゲティング装置の暫定的な初期位置を選択してもよい。暫定的な初期位置及び/又は暫定的な軌道の選択は、場合によってはコンピュータ支援されてもよい。たとえば、レジストレーションされた被験対象及び装置の位置と共にコンピュータナビゲーションシステムを使用して、1つ又は複数の進入経路及び/又は軌道がインシリコでプロットされてもよく、ある進入経路及びある軌道が、たとえば、いくつかの所望の特性(たとえば長さ、深さ、アクセスのしやすさ、1つ又は複数の障害物の回避、さらなるターゲティングの際の自由度、エントリーポイントの表面形状など)を有することに基づいて、コンピュータによって提案され、及び/又はユーザによって選択されてもよい。選択したこのような進入経路及び/又は軌道により、暫定的エントリーポイントが画定されてもよい。
【0044】
この例では、暫定的エントリーポイントを特定した後、本開示のターゲティング装置が、たとえば組込みハンドルにより、手術ナビゲーションシステムの構成要素に連結されてもよい。ナビゲーションシステムに組み込まれると、暫定的エントリーポイントに基づくターゲティング装置の初期位置が査定され得る。場合によっては、このような査定は、軌道ガイドの要素及び/又はキャリブレーション要素に基づいた、ターゲティング装置の1つ又は複数のチャネルの軌道の評価を含んでもよい。ターゲティング装置の初期位置は、このような査定の結果に基づいて、たとえば構造的支持体又はその構成要素を含めたナビゲーションシステムの構成要素を動かし、又は再位置合わせすることによって調節され得る。このような査定及び調節は、複数ラウンド実施されてもよく、場合によっては、定位計画の反復ラウンドを含んでもよい。場合によっては、以下により詳細に説明するキャリブレーション要素を利用して、たとえば組込みハンドルにターゲティング装置を連結する場合、暫定的エントリーポイントの査定は、少なくとも部分的には、キャリブレーション要素の、ターゲティング装置のチャネルから突出する部分に基づいてもよい。利用される場合、キャリブレーション要素は、たとえば本明細書に記載の、軌道ガイドを使用したさらなるターゲティング査定の前に、ターゲティング装置から取り外されてもよい。この手順に従った査定及び任意の必要な調節の後、最終エントリーポイントを決定することができ、最後に、ターゲティング装置の初期位置が選択され得る。
【0045】
ターゲティング装置の初期位置とターゲティング領域の間に骨などの固形組織が存在する場合、生物医学的システム又は他の医療装置の構成要素が固形組織を通り抜けてターゲティング領域のほうに向かうのを可能にするために、固形組織に穴が開けられてもよい。たとえば、ターゲティング領域が被験対象の脳内に配置され、初期位置は被験対象の頭蓋上にある場合、方法は、たとえば被験対象の頭蓋に穴(たとえば穿頭孔、頭骨切開など)を穿つ、又は他の方法で開ける、又は切り取ることにより、初期位置において被験対象の頭蓋に穴を開けることを含んでもよい。こうした穴が被験対象に導入される場所は、場合によっては、たとえば上述の暫定的エントリーポイントの査定/調節、及び最終エントリーポイントの決定に基づいてもよい。被験対象の固形組織の穴は、被験対象にターゲティング装置を配置及び/又は固定する前、間、又は後に開けられてもよい。
【0046】
場合によっては、ターゲティング装置が初めに固定される組織表面は、まず、ターゲティング装置を固定するために準備されてもよい。表面を準備する種々の方法が利用されてもよく、これには、たとえば剃毛又は他の方法での表面からの毛の除去、(たとえばアルコール、アルコールベースの洗浄剤、ヨウ素ベースの洗浄剤(たとえばポビドンヨード)の溶液、クロルヘキシジングルコン酸塩などを塗布することによる)表面の洗浄及び/又は滅菌、表面からの皮膚の1つ又は複数の層の除去、保護カバー(たとえばプラスチック接着ドレープ)を用いた表面の被覆などが含まれるが、これらに限定はされない。場合によっては、表面は、(たとえばwww(ドット)ast(ドット)orgにおいてオンラインで入手可能な)現行のAssociation of Surgical Technologists(AST) Standards of Practice for Skin Prep of the Surgical Patientに従って準備されてもよい。利用される場合、表面の準備は、ターゲティング装置の初期位置を選択するために使用される任意の処理の前に実施されてもよく、その後に実施されてもよい。場合によっては、たとえば緊急用途又は野外環境で使用されるときを含めて、被験対象の表面は準備されなくてもよく、ターゲティング装置を配置する前に最低限だけ準備されてもよい。
【0047】
場合によっては、ターゲティング装置は、被験対象の組織表面にターゲティング装置を固定するために使用することができる取外し可能又は取外し不可能な台座を含む。被験対象の組織表面に台座を取り付ける種々の方法が利用されてもよい。たとえば場合によっては、台座は、手術用接着剤、歯科用アクリル樹脂、サージカルテープ/スキンテープなどを含むがこれらに限定はされず、1つ又は複数の接着剤を使用することによって被験対象に取り付けられてもよい。しかし、接着剤の使用は必ずしも必要とされず、場合によっては、台座は接着剤を使用せずに取り付けられる。場合によっては、接着剤が使用されようとされまいと、台座は、たとえば縫合糸、ボタン、ステープル、クリップ、ねじなどを含むがこれらに限定はされず、1つ又は複数の締結具によって被験対象に取り付けられてもよい。以下により詳細に述べるように、場合によっては、ターゲティング装置の台座は、たとえばフランジ、切欠き、接着表面などを含むがこれらに限定はされず、被験対象への台座の取付けを容易にする1つ又は複数のフィーチャを含んでもよい。場合によっては、たとえば軟骨、骨などを含む被験対象の固形組織に台座をねじ込むことによって被験対象に台座を取り付けるために、フランジを通してねじが配置される場合を含め、このようなフィーチャを通して締結具が配置されてもよい。
【0048】
装置の台座は、被験対象の組織表面に直接的に取り付けられてもよく、たとえば取付けプレート、取付けフレームなどを含めた1つ又は複数の中間構造体を使用することによるものを含めて、間接的に取り付けられてもよい。中間構造体は、たとえば台座が取り付けられるはずの組織が台座の取付けに不十分である場合(たとえばサイズが不十分、所望の取付け方法には密度又は剛性が不十分など)を含めて、種々の状況で使用されてもよい。たとえば、軟組織、たとえば眼又は眼の近くに装置を挿入するために、被験対象の軟組織、たとえば被験対象の眼の上に台座を配置すべきとき、中間構造体(たとえばフレーム又はプレート)が使用されてもよい。しかし、こうした状況では中間構造体が必ずしも必要とされるわけではなく、場合によっては、たとえば、台座は、たとえば眼を含めた被験対象の小組織又はより密度の小さい組織に直接的に取り付けられてもよい。
【0049】
本方法に従ってターゲティングすることができるターゲティング領域の別の例には、たとえばヒト以外の霊長類又はヒトなどの脊椎動物の被験対象、たとえば哺乳動物の脊髄、又は脊髄の一部が含まれる。ターゲティングされ得る脊髄の一部には、たとえば遠心性及び/もしくは求心性の神経又はその神経線維を含む、たとえば頸部、胸部、腰部、仙骨部又は尾骨部が含まれるが、これらに限定はされない。場合によっては、ターゲティングされ得る脊髄の神経又は神経線維には、たとえば錐体路の神経又は神経線維(たとえば外側皮質脊髄路、前皮質脊髄路)、錐体外路の神経又は神経線維(たとえば赤核脊髄路、網様体脊髄路、オリーブ脊髄路、前庭脊髄路)、脊髄小脳路の神経又は神経線維(たとえば後脊髄小脳路、前脊髄小脳路)、前外側系の神経又は神経線維(たとえば外側脊髄視床路、前脊髄視床路)、後索内側毛帯系の神経又は神経線維(たとえば薄束、楔状束)脊髄卵巣線維(spino-ovary fiber)などが含まれる。
【0050】
場合によっては、以下により詳細に述べるように、角度を付けた台座が利用される。角度を付けた台座は、限定はされないが、たとえば台座が取り付けられる表面の形状が湾曲している場合、ターゲティング領域の位置を基準として台座が取り付けられる表面の形状により、角度を付けていない(すなわち直交する)台座を使用するとターゲティング領域を十分にターゲティングすることができない場合などを含めて、種々の理由のために本方法において利用することができる。場合によっては、いかなる理由であれ、より直接的な軌道を可能にするはずの初期位置に台座を取り付けることができない場合に、角度を付けた台座が利用できる。したがって、場合によっては、角度を付けた台座を用いると、台座が取り付けられる表面との関係において浅い軌道を利用して、当該ターゲティング領域に到達することが可能になる場合がある。
【0051】
場合によっては、ターゲティング装置は、装置の構成要素のすべて又はほぼすべてが被験対象の外側にとどまるように、被験対象に取り付けられてもよい。場合によっては、本開示の全体を通して、こうした取付けは、実質的に生体外、生体外、及び/又は完全に生体外と呼ばれることがある。たとえば、装置は、台座が被験対象の表面と同一平面、又はほぼ同一平面であるが、実質的に生体外又は完全に生体外にとどまるように取り付けられてもよい。場合によっては、装置は、ターレットが被験対象の表面と同一平面、又はほぼ同一平面であるが、生体外にとどまるように取り付けられてもよい。ある装置が実質的に生体外及び/又は完全に生体外であると説明されるとき、たとえばデリバリー装置、電極、カメラ、取付け締結具などを含む、被験対象に意図的に挿入されるいくつかの装置の構成要素は、一般に考慮されない。したがって、場合によっては、装置は、挿入された構成要素について検討することなく単に生体外と説明される場合もあり、意図的に挿入された構成要素を除外して、厳密に生体外であると説明される場合もある。
【0052】
被験対象にターゲティング装置を取り付けた後、装置の調節可能ターレット及びそのチャネルは、一般に、初期の位置もしくは向きを有する、又は初期の位置もしくは向きで配置されることになる。たとえば場合によっては、ターレットは、たとえば取付け表面に対して垂直に任意に配置されることを含めて、初めは任意に配置されてもよい。場合によっては、ターレットは、初めは所望の軌道に近づけて配置されてもよい。ターレットの初期位置とは、一般に、被験対象に取り付けた後であるが、任意の撮像に基づくターレット調節の前である、ターレットの位置を指す。
【0053】
本方法の態様は、軌道ガイドを使用して、調節可能ターレットの1つ又は複数のチャネルの軌道を決定することを含む。本明細書で使用される「軌道ガイド」という用語は、一般に、調節可能ターレットの1つ又は複数のチャネルに挿入され、MRIを使用して撮像されて、なすべきチャネルの軌道の決定を可能にし得る1本又は複数本のMRI可視針を有する、以下でより詳細に説明される装置を指す。したがって、軌道ガイドの針のMRI画像化により、チャネルの軌道と、軌道内又は軌道近くのターゲティング領域及び/又は任意の障害物の両方を同時に画像化することが可能になる。
【0054】
ここで図1に提示した例を参照すると、本開示のターゲティング装置が、被験対象の頭部に取り付けられている。次いで、調節可能ターレット(100)内のチャネルの軌道を決定するために、軌道ガイド(101)の針がチャネルに挿入され、システムは、その後MRIで撮像される。撮像の後、MRI可視針に基づいてチャネルの初期軌道(102)を決定することができ、初期軌道と被験対象の脳のターゲティング領域(103)の相対位置関係が決定され得る。軌道の位置と脳のターゲティング領域の位置との間の任意の差が判明すると、調節がなされて、軌道と脳のターゲティング位置を位置合わせすることができる。たとえば、調節可能ターレット(104)の角度調節をなして、ターゲティング領域に位置合わせされるか又はより近くに位置合わせされる、調節後の軌道(105)を得ることができる。
【0055】
ターゲティング装置の調節は、被験対象の所望領域のターゲティングを改善するために使用されるものに限定されない。たとえば、図2に示すように、場合によっては、障害物(200)を避けるためにターゲティングの調節がなされることもある。図示されている実施形態では、被験対象の脳の所望領域(201)が、調節可能ターレット(202)を有するターゲティング装置を使用してターゲティングされる。ターゲティングガイド(204)のMRI可視針(203)が調節可能ターレット(202)に挿入され、初期軌道(205)が決定される。図示されている実施形態では、決定した軌道(205)は被験対象の脳の所望領域(201)をターゲティングするのに十分であるが、軌道の経路上に障害物(200)が存在することが判明している。したがって、調節可能ターレットの角度調節がなされ(206)、それにより、障害物(200)を避けながら被験対象の脳の所望領域(201)を十分にターゲティングする所望の軌道(207)がもたらされる。場合によっては、「計算」手法又は「事前決定」手法と呼ばれることがある手法では、たとえば所望の軌道を得るためになされる調節が必ず最小限の回数になるように、所望の軌道を得るために必要な調節は、調節を行う前に計算される。場合によっては、通例「推量と確認(guess-and-check)」手法と呼ばれる手法では、どのような調節が必要かを計算することなく調節がなされ、調節後の軌道を分析して、それが所望の軌道を実現したか(たとえば所望領域がターゲティングされたか、1つ又は複数の障害物が避けられたかなど)を判定する。
【0056】
図1及び図2に図示しているのは角度調節であり、この場合、角度調節は、軌道装置の台座の中に載置されたターレットの一部によって画定される枢支点の周りで、調節可能ターレットの長軸に対して調節可能ターレットの角度を修正することと定義され得る。したがって、角度調節は、任意の都合のよい手段を使用して測定されてもよく、スタート軌道と修正した軌道との間の度数の変化として表すことができる。有用な角度調節は一様でなく、たとえば初期軌道、ターゲティング装置の特定の構成、ターゲティングすべき領域のサイズなどを含めた多数の要因に依存することになる。場合によっては、たとえば調節可能ターレットの丸みの付いた端部のサイズ、ターレットの直径、ロッキングリングのサイズ及び形状などを含むがこれらに限定はされず、より大きい調節を物理的に妨げるターゲティング装置の構成要素又はパラメータを含むターゲティング装置の構成によって最大角度調節が制限され得る場合、角度調節は、0.1°以下から60°以上の範囲でもよい。場合によっては、角度調節は、たとえば0.1°~55°、0.1°~50°、0.1°~45°、0.1°~40°、0.1°~35°、0.1°~30°などを含むがこれらに限定はされず、0.1°~60°の範囲でもよい。
【0057】
容易に理解されるように、調節可能ターレットの調節は角度調節に限定されず、たとえば回転調節も含む場合がある。本明細書で使用される「回転調節」という用語は、一般に、調節可能ターレットをその長軸の周りで回転させることを指す。回転調節では調節可能ターレットと同軸のチャネルの軌道を変化させることはできないが、回転調節により、ターレットと同軸でないチャネルの軌道が修正されることになる。回転調節をなす際には、調節可能ターレットは、たとえば1°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、85°、90°、95°、100°、105°、110°、115°、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°、170°、175°、180°、185°、190°、195°、200°、205°、210°、215°、220°、225°、230°、235°、240°、245°、250°、255°、260°、265°、270°、275°、280°、285°、290°、295°、300°、305°、310°、315°、320°、325°、330°、335°、340°、345°、350°、355°、これらの間の範囲などを含むがこれに限定はされず、360°までの実質的に任意の量を回転されてもよい。
【0058】
軌道ガイドを使用してなされる調節可能ターレットのチャネルの軌道の決定は、手動で実施されても自動で実施されてもよく、手動調節か又は自動調節かの選択は、たとえば、調節が手動でなされようと自動でなされようと必要な確度水準、(たとえば特定のターゲティングセッションの間に)調節が実施されそうな回数などであるがこれらに限定はされず、多数の要因に依存する。
【0059】
調節可能ターレットのチャネルの軌道の手動決定は、種々の手法によって実施され得る。一実施形態では、軌道を決定するために、MRI可視針のコンピュータ表示画像又は印刷画像上でMRI可視針の経路が辿られる。場合によっては、決定した軌道と所望の軌道との間の差を決定するために、一方はMRI可視針の経路によって定められ他方はターゲティングと調節可能ターレットの丸みの付いた端部によって定められる、2本の線が引かれる。2本の線の間の角度は、たとえば分度器である測定装置の使用によって、又はたとえば角度を測定するソフトウェアプログラミングであるコンピュータ支援測定によって決定されて、決定した軌道と所望の軌道の間の差が決まる。
【0060】
場合によっては、調節可能ターレットのチャネルの軌道の決定は自動化されてもよい。たとえば、プロセッサが、デジタルMRI画像からMRI可視針を認識し、針の軌道を自動でプロットするようにプログラムされてもよい。プロットされた軌道は、デジタルMRI画像上に表示されてもよく、表示されなくてもよい。場合によっては、プロットされた軌道が所望の軌道を実現したか(たとえば所望領域をターゲティングする、1つ又は複数の障害物を避けるなど)をユーザが決定することができるように、自動でプロットされた軌道は、デジタルMRI画像上に表示される。場合によっては、ユーザは、所望の軌道が得られたかどうか、及び/又は所望の軌道を得るためにどのような調節が必要になり得るかを示す入力をコンピュータシステムに提供することができる。
【0061】
場合によっては、所望の軌道が得られたかどうかを決定するために、自動でプロットされた軌道は、コンピュータシステムにプログラムされた命令に従って自動で分析される。たとえば、ユーザは、所望のターゲティング領域又は避けるべき1つもしくは複数の障害物を表す入力を提供することができ、コンピュータシステムは、軌道を自動で計算し、計算した軌道が所望領域をターゲティングするかどうか、及び/又は1つもしくは複数の障害物を避けるかどうかを自動で決定することができる。自動決定の後、次いで、コンピュータシステムは、計算した軌道が十分かどうかをユーザに示すことができ、十分でない場合、コンピュータシステムは、所望領域をターゲティングし及び/又は1つもしくは複数の障害物を避けるのに十分な軌道への調節を提案するようにさらにプログラムされてもよく、されなくてもよい。場合によっては、自動化されたシステムは、必要な調節を自動でなして所望の軌道を得るようにさらにプログラムされてもよい。
【0062】
容易に理解されるように、上述の軌道決定は、手動であれ自動であれ、場合によっては、複数の軌道に等しく適用されてもよい。たとえば、チャネルの軌道を決定し、調節をなし、軌道を再決定する処理が、たとえばチャネルの所望の軌道が得られるまで繰り返される場合、複数の軌道が、連続して、すなわち1つずつ順番に決定されてもよい。場合によっては、複数のチャネルの複数の軌道は、並行して、すなわち本質的に同時に決定されてもよい。たとえば、複数のMRI可視針を有する軌道ガイドが利用される場合、それらの複数の針のうちの、すべての針を含む2本以上の針に基づいて、2つ以上のチャネルの軌道が一度に決定されてもよい。
【0063】
場合によっては、たとえば、複数のチャネルの複数の軌道が決定されるとき、装置のターゲティングは、決定した各チャネルの軌道の比較に基づき、あるチャネルを別のチャネルより優先して選ぶことによって修正されてもよい。たとえば、図3に図示するように、第1のチャネル(301)の軌道(300)を決定することができ、その軌道が被験対象の脳の所望領域(302)を十分にターゲティングしないことが認識される場合がある。この時点で、調節可能ターレット(304)の第2のチャネル(303)が、ターゲティング領域への所望の軌道を得るかどうかを決定するために調べられてもよい。したがって、ターゲティングガイド(305)は第2のチャネル(303)へと動かされ、第2のチャネルの軌道(306)が決定され得る。第2のチャネルの軌道(306)が被験対象の脳の所望領域(302)をターゲティングするのに十分である場合、第2のチャネルが選ばれてもよく、たとえば調節可能ターレットのさらなる調節は必要とされないことがある。別法として、場合によっては、いずれのチャネルも所望領域を直接的にターゲティングできない場合があり、したがって、所望領域の最も近くをターゲティングする軌道を有するチャネルが選ばれ、ターゲティングの精度を上げるために、調節可能ターレットのさらなる調節が用いられる場合がある。
【0064】
容易に理解されるように、複数のチャネルを有する調節可能ターレット及び複数のMRI可視針を有する軌道ガイドが利用される場合、複数のチャネルのうちの一部又は全部が複数のMRI可視針を同時に収容することができ、それにより実施すべきチャネル軌道の同時決定が可能になるので、上記の実施形態で述べたように第1のチャネルから針を取り外して第2のチャネルに針を配置することは、本質的には必要でない場合がある。したがって、場合によっては、複数のチャネルを有する調節可能ターレットおいて、複数の軌道が並行して決定されることがあり、軌道ガイドを取り外して再配置することなく、所望領域を最もうまくターゲティングする軌道を有するチャネルが選ばれてもよい。
【0065】
複数のチャネルを有する調節可能ターレットを使用したチャネル選択は、本明細書に記載のターレット調節のいずれかと組み合わせられてもよい。たとえば場合によっては、所望の軌道に最も近い軌道を有するチャネルが選択され、軌道の精度を上げるために、回転調節が実施されてもよい。場合によっては、所望の軌道に最も近い軌道を有するチャネルが選択され、軌道の精度を上げるために、角度調節が実施されてもよい。場合によっては、所望の軌道に最も近い軌道を有するチャネルが選択され、軌道の精度を上げるために、回転調節及び角度調節が実施されてもよい。
【0066】
チャネルの選択、ターレットの調節、又はそれらの組合せの後、選択した軌道/調節後の軌道が検証されてもよい。軌道の検証は、たとえば、軌道ガイドを使用して軌道を決定し、被験対象のMRI画像上に軌道をプロットすることを含むがこれに限定はされず、種々の手段で実施され得る。プロットされた軌道は、所望領域が実際にターゲティングされていること、プロットされた軌道がいかなる障害物も避けていることなどを検証するためにチェックされ得る。プロットされた軌道が実際に十分な軌道又は所望の軌道であることが検証により確定された場合、装置は十分にターゲティングされていると考えることができ、ターゲティングした装置の下流側での使用が実施されてもよい。プロットされた軌道が十分であることが検証により確定できなかった場合、所望の軌道が得られるまで、反復調節が用いられてもよい。
【0067】
方法の種々の時点において、調節可能ターレットの位置は、さらなる調節を防止するためにロックされてもよい。たとえば場合によっては、調節可能ターレットは、たとえば1つ又は複数のチャネルの初期軌道が決定されるまで、その初期位置でロックされてもよい。場合によっては、調節可能ターレットの位置は、調節の後、及び/又は調節可能ターレットのチャネルの軌道が十分にターゲティングされたと検証されたときにロックされてもよい。一般に、調節可能ターレットのロックは、調節可能ターレットを、普通の状態ではターレットのさらなる調節(角度調節及び/又は回転調節)ができない状態にすることを含む。場合によっては、ターレットのロックは、以下により詳細に述べるようにロッキングカラーの使用を必要としてもよく、これには、たとえば台座とロッキングカラーの間で調節可能ターレットの丸い端部を圧縮しそれによって運動を防止するロッキングカラーが含まれるが、これに限定はされない。
【0068】
上で簡単に論じたように、本明細書に記載の方法の種々の時点において、軌道ガイドのMRI可視針は、必要に応じて調節可能ターレットのチャネルから取り外されてもよく、及び/又は再配置されてもよい。一般に、調節可能ターレットの位置は、MRI可視針を取り外す前にロックされて、たとえば決定した軌道を維持することができる。チャネル選択、ターレット調節、又はそれらの組合せをなして十分な軌道又は所望の軌道を特定するか又はそこに到達した後、一般に、たとえばターゲティング装置を用いる治療方法の一部として、MRI可視針は取り外されて、ターゲティングしたチャネルへのアクセス及びターゲティングしたチャネルへの装置の挿入を可能にする。
【0069】
治療方法
本方法の態様は、場合によっては、たとえば上述のターゲティング装置の1つ又は複数のターゲティングしたチャネルを使用した、被験対象の所望の領域への磁気共鳴画像(MRI)支援デリバリーを含む。任意の所望の治療薬剤又は治療用装置が、本明細書に記載の方法に従って、被験対象の所望の領域にターゲティング及びデリバリーされ得る。本明細書に記載のターゲティングしたチャネルを通じてデリバリーすることができる薬剤及び治療用装置の非限定的な例には、たとえば薬物、ナノ粒子、生物由来物質(たとえば細胞、ウイルスなど)、電気プローブ(たとえば電極)、サーマルプローブ(たとえばヒートプローブ、コールドプローブなど)、撮像装置(たとえば内視鏡、ライトなど)、手術用具などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0070】
本開示の方法が適用可能な被験対象には、ヒトの被験対象だけではなく、獣医学的な被験対象(たとえばイヌ、ネコ、ウマなど)、及び研究動物である被験対象(たとえばネズミ、ラット、ウサギ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、霊長類など)が含まれる。本発明の方法は、たとえば真猿類を含めた霊長類に適用可能である。いくつかの実施形態では、方法は、ヒトに適用される。他の実施形態では、方法は、ヒト以外の霊長類に適用される。
【0071】
霊長類は、キツネザル、アイアイ、ロリス、ガラゴ、メガネザル、サル(monkey)、及び類人猿を含むグループである生物学的霊長目の一員であり、最後のカテゴリには大型類人猿が含まれる。霊長類は、原猿類と真猿類に分けられ、真猿類にはサル及び類人猿が含まれる。真猿類は、広鼻類又は新世界ザル、並びにアフリカ及び東南アジアの狭鼻類サルの、2つのグループに分けられる。新世界ザルには、オマキザル、ホエザル、及びリスザルが含まれ、狭鼻類には、ヒヒ、マカクなどの旧世界ザル、及び類人猿が含まれる。
【0072】
被験対象の任意の所望領域が、本明細書に記載の方法に従ってターゲティングされ得る。場合によっては、所望領域は、内胚葉に由来する組織、外胚葉に由来する組織、中胚葉に由来する組織を含むがこれらに限定はされない組織でもよい。神経組織と非神経組織の両方がターゲティングされ得る。場合によっては、たとえば脳の組織及び脊髄の組織を含めた中枢神経系(CNS)の神経組織がターゲティングされてもよい。場合によっては、末梢神経系の神経組織がターゲティングされてもよい。
【0073】
ターゲティングされ得る非神経組織には、皮膚/表皮、眼の組織、嗅覚系の組織、(内耳及び外耳を含めた)耳の組織、口及び喉の組織、(たとえば筋肉、結合組織などを含めた)首の非神経組織、心臓の組織、肺の組織、胃の組織、腸(たとえば小腸、大腸、結腸など)の組織、肝臓の組織、腎臓の組織、内分泌系の組織、リンパ系の組織、(たとえば骨髄を含めた)骨の組織、脈管系(たとえば動脈、静脈など)の組織、膵臓の組織、腕及び脚の組織(たとえば筋肉、関節の結合組織など)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0074】
場合によっては、本開示の方法は、中枢神経系又は末梢神経系を含めた哺乳動物の神経系内の対象領域への、薬剤の効果的なデリバリー/局在化に適用されてもよい。本質的には、たとえば脳、脊髄、脊髄神経節などを含むがこれに限定はされず、対象となる神経系の任意の領域が、本明細書に記載の方法に従ってターゲティングされ得る。
【0075】
場合によっては、本出願の方法は、哺乳動物の脳内の対象領域への、薬剤の効果的なデリバリー/局在化に適用されてもよい。本質的には、対象となる脳の任意の領域が、本明細書に記載の方法に従ってターゲティングされ得る。
【0076】
場合によっては、1つもしくは複数の脳葉、又は脳葉内の特定の領域がターゲティングされてもよく、これには、たとえば前頭葉(前頭葉全体、又はたとえば上前頭、吻側中前頭、尾側中前頭、弁蓋部、三角部、眼窩部、外側前頭眼窩、内側前頭眼窩、中心前、中心傍、前頭極、これらの組合せなどを含むがこれに限定はされない前頭葉の一部)、頭頂葉(頭頂葉全体又はたとえば上頭頂、下頭頂、縁上、中心後、楔前部、これらの組合せなどを含むがこれに限定はされない頭頂葉の一部)、側頭葉(側頭葉全体又はたとえば上側頭、中側頭、下側頭、上側頭溝の壁、紡錘状回、横側頭、嗅内、側頭極、海馬傍、これらの組合せなどを含むがこれに限定はされない側頭葉の一部)、及び後頭葉(後頭葉全体又はたとえば外側後頭、舌状回、楔部、鳥距溝、これらの組合せなどを含むがこれに限定はされない後頭葉の一部)が含まれるが、限定はされない。
【0077】
場合によっては、1つもしくは複数の脳構造、又は脳構造内の特定領域がターゲティングされてもよく、これには、たとえば菱脳構造(たとえば髄脳構造(たとえば延髄、延髄錐体、オリーブ、下オリーブ核、呼吸中枢、楔状束核、薄束核、介在核、延髄脳神経核、下唾液核、疑核、迷走神経の背核、舌下神経核、孤束核など)、後脳構造(たとえば橋、橋脳神経核、三叉神経感覚核(V)の主核又は橋核、三叉神経(V)の運動核、外転神経核(VI)、顔面神経核(VII)、内耳神経核(前庭神経核及び蝸牛神経核)(VIII)、上唾液核、橋被蓋、呼吸中枢、呼吸調節中枢、持続性吸息中枢、橋排尿中枢(バーリントン核)、青斑核、脚橋被蓋核、背外側被蓋核、橋被蓋網様核、上オリーブ複合体、傍正中橋網様体、小脳脚、上小脳脚、中小脳脚、下小脳脚、第四脳室、小脳、小脳虫部、小脳半球、前葉、後葉、片葉小節葉、小脳核、室頂核、挿入核、球状核、栓状核、歯状核など))、中脳構造(たとえば視蓋、四丘体、下丘、上丘、視蓋前野、被蓋、中脳水道周囲灰白質、傍小脳脚野、内側傍小脳脚核、外側傍小脳脚核、下傍小脳脚核(ケリカー・布施核)、内側縦束の吻側間質核、中脳毛様体、背側縫線核、赤核、腹側被蓋野、黒質、緻密部、網様部、脚間核、大脳脚、大脳脚枝、中脳脳神経核、動眼神経核(III)、滑車神経核(IV)、中脳道(中脳水道、シルヴィウス水道)など)、前脳構造(たとえば間脳、視床上部構造(たとえば松果体、手綱核、髄条、視床ひもなど)第三脳室、視床構造(たとえば視床前核群、前腹側核(Anteroventral nucleus)(前腹側核(ventral anterior nucleus)としても知られている)、前背側核、前内側核、内側核群、背内側核、正中核群、紐傍核、結合核、菱形核、視床髄板内核群、正中中心核、束傍核、中心傍核、外側中心核、内側中心核、外側核群、背側外側核、後外側核、視床枕、腹側核群、前腹側核、外側腹側核、後腹側核、後外側腹側核、後内側腹側核、視床後部、内側膝状体、外側膝状体、視床網様核など)、視床下部構造(たとえば前野、内側野、視索前野の一部、内側視索前核、視交叉上核、室傍核、視索上核(主)、視床下部前核、外側野、視索前野の一部、外側視索前核、外側核の前部、視索上核の一部、視索前野の他の核、正中視索前核、脳室周囲視索前核、隆起部、内側野、視床下部背内側核、腹内側核、弓状核、外側野、外側核の隆起部、外側隆起核、後部、内側野、乳頭核(乳頭体の一部)、後核、外側野、外側核の後部、視交叉、脳弓下器官、室傍核、下垂体茎、灰白隆起、隆起核、結節乳頭核、隆起部、乳頭体、乳頭核など)、腹側視床構造(たとえば視床核、不確体など)、脳下垂体構造(たとえば神経下垂体、中間部(中葉)、下垂体前葉など)、終脳構造、白質構造(たとえば放射冠、内包、外包、最外包、弓状束、鉤状束、貫通線維など)、皮質下構造(たとえば海馬(内側側頭葉)、歯状回、アンモン角(CA野)、アンモン角1野、アンモン角2野、アンモン角3野、アンモン角4野、扁桃体(辺縁系)(辺縁葉)、中心核(自律神経系)、内側核(副嗅覚系)、皮質核及び内側基底核(主嗅覚系)、外側核[要曖昧性除去]及び外側基底核(前頭側頭皮質系)、前障、大脳基底核、線条体、背側線条体(新線条体としても知られている)、被殻、尾状核、腹側線条体、側坐核、嗅結節、淡蒼球(被殻とともにレンズ核を形成する)、視床下核、前脳基底核、前有孔質、無名質、基底核、ブローカ対角帯、内側中隔核など)、嗅脳構造(たとえば嗅球、梨状葉皮質、前嗅核、嗅索、前交連、鉤など)、大脳皮質構造(たとえば前頭葉、皮質、一次運動皮質(中心前回、M1)、補足運動皮質、運動前野、前頭前皮質、脳回、上前頭回、中前頭回、下前頭回、ブロードマン領野:4、6、8、9、10、11、12、24、25、32、33、44、45、46、47、頭頂葉、皮質、一次体性感覚皮質(S1)、二次体性感覚皮質(S2)、後頭頂葉皮質、脳回、中心後回(一次体性感覚体性感覚野)、その他、楔前部、ブロードマン領野1、2、3(一次体性感覚野);5、7、23、26、29、31、39、40、後頭葉、皮質、一次視覚皮質(V1)、V2、V3、V4、V5/MT、脳回、外側後頭回、楔部、ブロードマン領野17(V1、一次視覚皮質);18、19、側頭葉、皮質、一次聴覚皮質(A1)、二次聴覚皮質(A2)、下側頭皮質、後部下側頭皮質、上側頭回、中側頭回、下側頭回、嗅内皮質、嗅周皮質、海馬傍回、紡錘状回、ブロードマン領野:9、20、21、22、27、34、35、36、37、38、41、42、中上側頭野(MST)、島皮質、帯状皮質、前帯状回、後帯状回、脳梁膨大後部皮質、灰白層、膝下野25、ブロードマン領野23、24;26、29、30(脳梁膨大後部野);31、32、など))が含まれるが、これらに限定はされない。
【0078】
場合によっては、1つもしくは複数の神経路、又は神経路の特定の部分がターゲティングされてもよく、これには、たとえば上述の脳葉及び脳構造の神経路、上縦束、弓状束、大脳脚、脳梁、錐体路又は皮質脊髄路、主ドーパミン神経路ドーパミン系、中脳皮質神経路、中脳辺縁系神経路、黒質線条体神経路、漏斗下垂体神経路、セロトニン神経路セロトニン系、縫線核、ノルエピネフリン神経路、青斑核などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0079】
場合によっては、疾患組織及び/又は疾患原因組織がターゲティングされてもよい。本方法に従って、たとえば疾患神経組織、固形腫瘍、神経腫瘍又はCNS腫瘍などを含むがこれらに限定はされず、任意の疾患組織及び/又は疾患原因組織がターゲティングされてもよい。本明細書で使用される「CNS腫瘍」又は「CNSの腫瘍」は、被験対象のCNSの原発腫瘍又は悪性腫瘍、たとえばCNS内での細胞の異常増殖を指す。CNSの異常増殖細胞は、CNS由来である場合もあり、他の組織に由来する場合もある。
【0080】
場合によっては、ターゲティングされる腫瘍には、神経膠腫(たとえば多形膠芽腫(GBM);原線維性(びまん性)星細胞腫、毛様細胞性星細胞腫、多形黄色星細胞腫及び脳幹部神経膠腫を含む星細胞腫;乏突起膠腫;上衣腫;並びに関連する室傍腫瘤病変);神経細胞性腫瘍;髄芽腫を含む低分化新生物;原発脳リンパ腫を含む他の実質腫瘍;胚細胞腫瘍;松果体実質腫瘍;髄膜腫;転移性腫瘍;腫瘍随伴症候群;神経鞘腫、神経線維腫、及び悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫)を含む末梢神経鞘腫瘍が含まれるが、これらに限定はされない。
【0081】
ターゲティングされ得る疾患神経組織には、たとえば髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、卒中、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病のうちの1つ又は複数に起因する神経組織疾患が含まれるが、これに限定はされない。
【0082】
本開示の方法は、たとえば被験対象の脳を含めた被験対象のターゲティング領域への治療薬剤のデリバリーに適用され得る。対象となる薬剤には、タンパク質、薬物、抗体、抗体フラグメント、免疫毒素、化学物質、タンパク質フラグメント、ウイルス、核酸(たとえば発現ベクター、遺伝子治療ベクター、小ヘアピン核酸、干渉核酸、アプタマーなど)、及び毒素が含まれるが、これらに限定はされない。
【0083】
場合によっては、本開示の方法は、たとえばアデノウイルス(AAV)遺伝子治療ベクターのデリバリーを含むがこれに限定されず、遺伝子治療ベクターのデリバリーを含んでもよい。
【0084】
場合によっては、本開示の方法は、細胞治療薬のデリバリーを含んでもよい。本明細書で使用される「細胞治療」という用語には、一般に、遺伝子組換え改変されていようとなかろうと、生きた細胞を被験対象にデリバリーすることから得られる治療が含まれる。細胞治療においてデリバリーされる有用な細胞には、たとえば幹細胞(たとえば成体幹細胞(たとえば間葉系幹細胞、脂肪組織由来幹細胞、筋衛星細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、造血幹細胞など)、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS)など)、及び最終分化細胞型又は一部分化細胞型が含まれるが、これらに限定はされない。有用な細胞型には、たとえば遺伝子改変T細胞などの遺伝子改変免疫細胞型も含まれる。
【0085】
細胞療法物質を含めた治療薬剤は、本明細書に記載の方法に従って任意の有効濃度で投与される。治療薬剤の有効濃度とは、特定の薬理的効果が減少又は増加することになる濃度である。当業者には、当技術分野で知られている方法及び本明細書に提供される方法に従った有効濃度の決定方法が知られている。
【0086】
治療薬剤の投薬量は、処置すべき疾患又は異常、及び個々の被験対象のステータス(たとえば種、体重、疾患の状態など)に依存することになる。的確なターゲティングデリバリーにより、場合によっては全身投与量より少ない有効投与量、又はさらには一般的領域(たとえば概して脳)にデリバリーされるが特にターゲティングされない投与量より少ない有効投与量が可能になり得る場合、投薬量は、薬剤がどのように投与されているかにも依存することになる。有効投薬量は、当技術分野で知られており、又は実験的に決定されてもよい。さらに、投薬量は、処置すべき特定の疾患又は異常に対する通常の投薬量に従って調節されてもよい。単回投与で十分な場合がしばしばあるが、望ましい場合、投与は繰り返されてもよい。投薬量は、不都合な副作用を生じさせるほど多くてはならない。投薬量は、一般に患者の年齢、異常、性別及び疾患の程度と共に変動することになり、またルーチンの方法(たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照)に従って、当業者によって決定されてもよい。また、投薬量は、なんらかの合併症が発生した場合には、それぞれの医師によって調節されてもよい。
【0087】
治療薬剤は、通常は、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせた有効量の各薬剤を含むことができ、加えて、他の薬用薬剤、調合薬剤、キャリア、アジュバント、希釈剤などを含んでもよい。「薬学的に許容可能な」は、生物学的に、又はその他の点で望ましくないことがない材料を意味し、すなわち、この材料は、望ましくないいかなる生物学的効果も生じさせることなく、又はその材料が含まれる医薬組成物のその他の構成要素のいずれとも有害な形で相互に作用することなく、選択された薬剤とともに個体に投与することができる。
【0088】
本方法による治療薬剤のデリバリーでは、一般に、ターゲティングガイドを使用して、ターゲティング装置が上述のように所望領域にターゲティングされることになる。ターゲティングの後、ターゲティングした装置のチャネルから針を取り外し、1本又は複数本の針を治療物質デリバリー装置と交換することにより、ターゲティングガイドが取り外されてもよい。ターゲティング装置のチャネル内の定位置に置かれると、治療物質デリバリー装置は、展開及び/又はアクティブ化されて、たとえば治療物質の放出、注入、散布などを生じさせることができる。デリバリーの後、デリバリー装置は取り外されてもよく、たとえば投薬プロトコルが繰返し投与を必要とする場合は定位置に残されてもよい。場合によっては、1回又は複数回の投与の後、ターゲティング装置は定位置に残されてもよく、その後の投与の前に、ターゲティングガイドを使用してターゲティングを確定し、必要なら調節してもよい。
【0089】
本方法は、治療物質のデリバリーに限定されず、たとえばターゲティング細胞アブレーション、ターゲティング電気刺激などの、ターゲティング手術用途も含む。場合によっては、ターゲティング装置が、本明細書に記載のようにあてがわれて、プローブ、たとえばアブレーションプローブ、電極などを被験対象の所望領域に導くことができ、プローブは、アクティブ化されて、ターゲティングアブレーション(たとえばターゲティング神経アブレーション)、ターゲティング刺激(たとえばターゲティング神経刺激)などを提供することができる。
【0090】
本方法は、治療物質のデリバリー及び手術用途に限定されず、ターゲティング診断も含む。場合によっては、診断装置が、的確な診断プロトコルのために、本明細書に記載の方法に従い、ターゲティング装置を通して設置されてもよい。たとえば場合によっては、本明細書に記載のターゲティングシステム及び方法を使用してバイオプシー捕集装置(たとえば細針吸引装置)をあてがい、所望のバイオプシーを精密にターゲティング及び捕集してもよい。場合によっては、本明細書に記載のターゲティングシステム及び方法を使用して診断撮像器具、たとえば内視鏡をあてがい、診断の目的のための所望の画像を精密にターゲティング及び収集してもよい。有用な内視鏡には、限定はされない。たとえばmicro ScoutCam内視鏡カメラを含め、たとえばMedigus Ltd(Omer、Israel)から市販されている内視鏡が含まれるが、限定はされない。
【0091】
装置及びシステム
本開示は、本明細書に記載の方法を実施する際に有用な装置及びシステムを含め、被験対象の所望の領域に生物医学的装置又は治療薬をターゲティングする方法において有用な装置及びシステムを提供する。本明細書に記載の装置は、軌道ガイド、調節可能ターレットターゲティングシステム、及びその構成要素を含む。場合によっては、記載のシステムは、撮像装置、生物医学的システム、コンピュータ支援手術ナビゲーションシステムなどを含んでもよい。記載の装置、システム、及びその構成要素は、適宜、手動で制御されてもよく、本明細書においてより詳細に説明するように、完全に又は部分的に自動化されてもよい。
【0092】
場合によっては、本明細書に記載の装置、又はその構成要素は、たとえば薬物デリバリー装置、ウイルスベクターデリバリー装置、ナノ粒子デリバリー装置、細胞内投与デリバリー装置、細胞デリバリー装置などを含むがこれらに限定はされず、治療物質投与装置のための保持器として機能してもよい。
【0093】
本開示は、軌道ガイドを含む。本開示の軌道ガイドは、一般に、基部に取り付けられた少なくとも1つのMRI可視針を含むことになり、この場合、MRI可視針を撮像することにより、MRI可視針を内部に配置した装置の軌道を決定することが可能になる。軌道ガイドのMRI可視針は、特定の状況に応じて、可撓性でもよく、剛性でもよく、半剛性でもよい。MRI可視針は、場合によっては、可撓性の管及び剛性の管を含めて、管から作成されてもよく、遠位端部にキャップを有し、基部に取り付けられる近位端部で開く、又は閉じることができる。MRI可視針内の空洞又は内部空洞により、MRI可視針を造影剤で充填することが可能になり得る。場合によっては、たとえば、MRI可視針が、たとえばコーティングを備えるか又は備えない、MRI造影剤が埋め込まれた材料を含め、MRI可視材料で作成される場合を含めて、MRI可視針の他の構成が利用されてもよい。
【0094】
固体(たとえば粒子)、液体、及びゲルの造影剤を含むがこれらに限定はされず、任意の都合のよいMRI造影剤が、本明細書に記載のMRI針に用いられ得る。したがって、用途に応じて、たとえば針が剛性かそれとも可撓性かに応じて、使用される造影剤は様々でよく、限定はされない。たとえばガドリニウム(III)含有MRI造影剤(たとえば、ガドベン酸、ガドブトロール、ガドコレチン酸、ガドジアミド、ガドホスベセト、ガドメリトール、ガドマー17、ガドペンテト酸、ガドペンテト酸ジメグルミン、ガドテル酸、ガドテリドール、ガドベルセタミド、ガドキセテート、ガドキセト酸など)、酸化鉄含有MRI造影剤(たとえばFeridex、Resovist、Sinerem、Lumirem、PEG-fero(Ferugloseとしても知られる)など)、鉄白金含有MRI造影剤(たとえば鉄白金ベースのナノ粒子)、マンガン含有MRI造影剤(たとえばMnベースのナノ粒子)などが含まれ得る。
【0095】
ここで図6Aを参照すると、一実施形態では、本開示の軌道ガイドは、基部(601)に取り付けられる単一のMRI可視針(600)を含んでもよい。軌道ガイドの基部は、一般に、1本又は複数本のMRI可視針が取り付けられる表面、たとえば平坦な表面又は本質的に平坦な表面を有することになる。場合によっては、表面は、1本又は複数本の針が挿入され得る1つ又は複数の穴、あるいは1つ又は複数のウェルを含んでもよい。図示された実施形態では、MRI可視針は、遠位端部(602)にキャップを有する管で作成されて、管が造影剤で充填されることを可能にする。図6Bの断面図に見て取ることができるように、MRI可視針(600)は、たとえばMRI可視造影剤で充填することができる内側内部空洞(603)を有する。場合によっては、基部は、空隙又は空洞(604)を含んでもよく、これは、たとえば空隙と内部空洞の直接的な連結によって、又はたとえば図6Bに図示するような通路(605)などの中間連結部を用いて、MRI可視針の内部空洞(603)と一続きになる、又は合流する。
【0096】
場合によっては、本開示の軌道ガイドは、たとえば基部(700)と基部に直交して取り付けられた7本のMRI可視針(701)とを含む図7Aに図示した実施形態に提示するように、複数のMRI可視針を含むことがある。MRI可視針の実際の数は、たとえば軌道ガイドの全体的なサイズ、軌道ガイドが適合可能なターゲティング装置の寸法、所望のターゲティング用途の要件などを含むがこれらに限定はされない多数の要因に応じて変動し得る。したがって、ターゲティングガイドのMRI可視針の数は、たとえば1~64、1~55、1~50、1~45、1~40、1~36、1~30、1~24、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2~64、2~55、2~50、2~45、2~40、2~36、2~30、2~24、2~20、2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、5~64、5~55、5~50、5~45、5~40、5~36、5~30、5~24、5~20、5~19、5~18、5~17、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、5~9、5~8、5~7、10~64、10~55、10~50、10~45、10~40、10~36、10~30、10~24、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、10~14、10~13、10~12、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1などを含むがこれらに限定はされず、1から64以上の範囲でもよい。
【0097】
図7Aの軌道ガイドの実施形態は、閉止可能キャップ(703)が取り外された状態で、図7Bにさらに図示してある。キャップ(703)の取外しにより、基部の空洞(704)にアクセスできるようになり、造影剤の充填及び/又は交換が可能になり得る。キャップは、たとえば圧縮継手、又は図示されているようなキャップ(705)と基部(706)との適合可能なねじ切り部を含む、任意の適した手段で基部に固定され得る。さらに、軌道ガイドには、キャップと基部の間に封止部を形成して造影剤の漏れを防止する、たとえば図7Bに図示されているガスケット(707)などの1つ又は複数のガスケット又はOリングが用いられてもよく、用いられなくてもよい。場合によっては、軌道ガイドの構成要素のパーツは、ガスケット及び/又はOリングが必要でないように機械加工されてもよい。
【0098】
場合によっては、軌道ガイドは、取外し可能キャップを含まなくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、軌道ガイドは、1本又は複数本のMRI可視針の1つ又は複数の内部空洞へのアクセスが不要であるように構成されてもよく、こうした構成では、取外し可能キャップを含まなくてもよく、又はさもなければMRI可視針の内部空洞へのアクセスを提供しなくてもよい。場合によっては、MRI可視針が取外し可能キャップを基部に含まない場合、MRI可視針の内部空洞へのアクセスは、MRI可視針の遠位端部の1つ又は複数の取外し可能キャップによって実現されてもよい。利用される特定の構成及びMRI造影剤に応じて、造影剤を定期的に交換する必要がある場合もあれば、MRI造影剤を交換する必要がない場合もある。
【0099】
軌道ガイドのMRI可視針は、たとえば長さ、幅、直径などを含めた種々の寸法に沿ったサイズが様々でもよく、場合によっては、以下により詳細に述べるように、ターゲティング装置の調節可能ターレットのチャネルに挿入されるような構成及び/又は寸法にされてもよい。たとえば、ターゲティングガイドの基部から遠位端部までを測定したMRI針の長さは、MRI針が挿入されるチャネルの長さと本質的に同じでもよく、それより短くても、それより長くてもよい。MRI針のゲージは、針がターゲティング装置の調節可能ターレットのチャネルに挿入され、チャネルの軌道を決定するのを可能にできるような寸法にされ得る。たとえば、針のゲージは、チャネルの軌道と共形(conform)となるように十分に大きくてもよいし、チャネルに針を容易に挿入できるように十分に小さくてもよい。
【0100】
したがって、軌道ガイドのMRI可視針の寸法は様々でよい。場合によっては、MRI可視針の長さは、たとえば1cm~10cm、2cm~10cm、3cm~10cm、4cm~10cm、5cm~10cm、1cm~9cm、1cm~8cm、1cm~7cm、1cm~6cm、1cm~5cm、2cm~5cm、3cm~6cm、2cm~4cm、3cm~5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cmなどを含むがこれらに限定はされず、1cm以下から10cm以上の範囲でもよい。場合によっては、MRI可視針のゲージは、英国標準ワイヤゲージ(SWG)測定法による、たとえば42ゲージ、41ゲージ、40ゲージ、39ゲージ、38ゲージ、37ゲージ、36ゲージ、35ゲージ、34ゲージ、33ゲージ、32ゲージ、31ゲージ、30ゲージ、29ゲージ、28ゲージ、27ゲージ、26ゲージ、25ゲージ、24ゲージ、23ゲージ、22ゲージ、21ゲージ、20ゲージ、19ゲージ、18ゲージ、17ゲージ、16ゲージ、15ゲージ、14ゲージ、13ゲージ、12ゲージ、11ゲージ、10ゲージ、9ゲージ、8ゲージ、7ゲージ、6ゲージなどを含むがこれらに限定はされず、42ゲージ以下から6ゲージ以上の範囲でもよい。
【0101】
軌道ガイドが複数のMRI可視針を含む場合、針は、すべて同じ長さでもよく、そうでなくてもよい。たとえば場合によっては、軌道ガイドは、これらの複数の針のうちの1本又は複数本の針より短い、たとえば複数の針のうちの2本以上、3本以上、又はすべての針を含めた少なくとも1本の針を含んでもよい。これらの短針、又は個々の短針は、本開示の軌道ガイドに存在する場合、種々の目的を果たすことができる。たとえば場合によっては、短針は、以下に述べるようにターレットの非対称の溝と位置合わせするために利用されてもよい。場合によっては、軌道ガイドは、これらの複数の針のうちの1本又は複数本の針より長い、たとえば複数の針のうちの2本以上、3本以上、又はすべての針を含めた少なくとも1本の針を含んでもよい。これらの長針、又は個々の長針は、本開示の軌道ガイドに存在する場合、種々の目的を果たすことができる。たとえば場合によっては、長針は、以下に述べるようにターレットの丸みの付いた端部から突出させる(すなわちそこを越えて延在させる)ために利用されてもよい。複数の針のうちの他の針と比較すると、このような短針及び/又は長針の長さは、複数の針のうちの他の針の長さに比べて、限定はされない。たとえば±50%以下、±45%以下、±40%以下、±35%以下、±30%以下、±25%以下、±20%以下、±15%以下、±10%以下、±5%以下などを含め、最大で50%長いか又は短くてもよい。場合によっては、複数のMRI可視針を含む軌道ガイドは、たとえばこうした軌道ガイドが少なくとも1つの短針の長さと少なくとも1つの長針の長さの間の中間の長さの複数の針を含む場合を含めて、少なくとも1つの短針及び少なくとも1つの長針を含んでもよい。
【0102】
上述のように、軌道ガイド及び/又はそのMRI可視針は、本明細書に記載のターゲティング装置の調節可能ターレットと適合可能な寸法にされ得る。軌道ガイド及び/又はMRI可視針の任意の部分又は構成要素は調節可能ターレットと適合可能な寸法にされてもよく、これには、たとえば針の直径又はゲージが調節可能ターレットのチャネルと適合可能な寸法にされ得る場合が含まれる。場合によっては、チャネルと針は、長さが適合可能であるように構成される。場合によっては、軌道ガイドの基部は、針が挿入されるチャネルへの開口を有する調節可能ターレット表面と適合可能であるように構成される。たとえば、軌道ガイドの基部は、針がチャネルに挿入されたとき、基部が調節可能ターレットの表面と同一平面で接触できるように構成されてもよい。ターレットと軌道ガイドは、すべてのアスペクトで適合可能な寸法にされる必要はなく、たとえば針の長さとチャネルの長さが異なる、軌道ガイドの基部の平坦な表面のサイズとチャネル穴を有するターレットの平坦な表面のサイズが異なるなど、場合によっては異なってもよい。装置の機能に悪影響を与えない限り、ターレットと軌道ガイドの任意の対応する構成要素は、適合可能な寸法にされてもされなくてもよい。
【0103】
本開示の態様は、ターゲティング装置の調節可能ターレットを含む。一般に、本開示の調節可能ターレットは、遠位端部と、丸みの付いた端部、たとえば球形端部又は本質的に球形の端部とを含むことになる。説明される調節可能ターレットは、一般に、遠位端部から丸みの付いた端部へと走る少なくとも1つのチャネルも含んで、ターゲティングのために軌道ガイドの針を挿入することを可能にし、たとえば薬剤デリバリー、装置デリバリー、撮像などを含めた種々の目的のために1つ又は複数の生物医学的装置を挿入することを可能にする。場合によっては、調節可能ターレットは単一のチャネルを有してもよい。場合によっては、調節可能ターレットは複数のチャネルを有してもよい。したがって、調節可能ターレットのチャネルの数は、たとえば1~64、1~55、1~50、1~45、1~40、1~36、1~30、1~24、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2~64、2~55、2~50、2~45、2~40、2~36、2~30、2~24、2~20、2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、5~64、5~55、5~50、5~45、5~40、5~36、5~30、5~24、5~20、5~19、5~18、5~17、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、5~9、5~8、5~7、10~64、10~55、10~50、10~45、10~40、10~36、10~30、10~24、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、10~14、10~13、10~12、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1などを含むがこれらに限定はされず、たとえば1から64以上の範囲でもよい。
【0104】
調節可能ターレットの丸みの付いた端部のサイズは様々でよい。たとえば場合によっては、調節可能ターレットの本質的に球形の丸みの付いた端部は、直径が、たとえば1cm~10cm、2cm~10cm、3cm~10cm、4cm~10cm、5cm~10cm、6cm~10cm、7cm~10cm、8cm~10cm、9cm~10cm、1cm~9cm、1cm~8cm、1cm~7cm、1cm~6cm、1cm~5cm、1cm~4cm、1cm~3cm、1cm~2cmなどを含むがこれらに限定はされず、1cm~10cm以上の範囲でもよい。同様に、調節可能ターレットの長軸に沿った長さも、こうした長さもまたターレットの1つ又は複数のチャネルの長さに対応するか又はほぼ対応する場合には、様々でよい。場合によっては、調節可能ターレットの長さは、たとえば1cm~10cm、2cm~10cm、3cm~10cm、4cm~10cm、5cm~10cm、6cm~10cm、7cm~10cm、8cm~10cm、9cm~10cm、1cm~9cm、1cm~8cm、1cm~7cm、1cm~6cm、1cm~5cm、1cm~4cm、1cm~3cm、1cm~2cm、2cm~9cm、2cm~8cm、2cm~7cm、2cm~6cm、2cm~5cm、2cm~4cm、3cm~9cm、3cm~8cm、3cm~7cm、3cm~6cm、3cm~5cm、3cm~4cmなどを含むがこれらに限定はされず、1cm以下から10cm以上の範囲でもよい。ターレットの遠位端部とターレットの丸みの付いた端部のサイズの差も様々であることになる。たとえば、丸みの付いた端部が本質的に球形であり遠位端部が本質的に円筒形である場合、球形端部の最大直径と円筒の直径の比は、たとえば10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1などを含むがこれらに限定はされず、10:1超から1:1未満の範囲でもよい。
【0105】
調節可能ターレットは、対応する軌道ガイドと同じ数のチャネルを有するように構成されてもよく、そうでなくてもよい。加えて、調節可能ターレットは、軌道ガイドのチャネルが軌道ガイドの針と同じ構成であるように構成されてもよく、そうでなくてもよい。したがって、調節可能ターレットのすべてのチャネル、いくつかのチャネル、又は任意の1つのチャネルは、軌道ガイドの遠位表面、すなわちチャネルへの開口を有する表面の幾何中心に対して対称に配置されてもよく、非対称に配置されてもよい。したがって、軌道ガイドのすべての針、いくつかの針、又は任意の1本の針は、それらが取り付けられる表面、すなわちそれらが取り付けられる基部の表面の幾何中心に対して対称に配置されてもよく、非対称に配置されてもよい。加えて、場合によっては、ターレットが非対称に配置された1つ又は複数のチャネルを含むか否か、あるいは軌道ガイドが非対称に配置された1本又は複数本の針を含むか否かにかかわらず、調節可能ターレットのチャネルの配置と対応する軌道ガイドの針の配置とは、適合可能に構成されてもよい。
【0106】
チャネル及び/又は針の任意の都合のよい配置が、本開示の方法及び装置で用いられ得る。話を簡単にするために、種々の非限定的な配置について調節可能ターレットのチャネルを参照して以下に説明するが、こうした配置は軌道ガイドの針にも等しく適用され得ることが容易に理解されよう。単一のチャネルを有する実施形態では、チャネルは、たとえば図4Aに図示されるように、チャネル(400)がターレット(401)の幾何中心に、すなわちターレットの長軸と同軸に配置される場合、又はチャネル(402)がターレット(404)の幾何中心(403)から離して、すなわちターレットの長軸と非同軸に配置される場合を含めて、任意の都合のよい場所でターレットに配置されてもよい。
【0107】
図4Bの非限定的な例に図示されているように、複数のチャネルを有する実施形態では、複数のチャネルのうちの2つのチャネルが、ターレットの幾何中心に対して対称に配置されてもよく(405)、ターレットの幾何中心から等距離のところにあるが中心からオフセットされていてもよく(406)、2つのチャネルのうちの一方がターレットの中心に配置されてもよい(407)。図4Cの非限定的な例に図示されているように、3つ以上のチャネルを有する実施形態では、3つのチャネルがターレットの幾何中心の周りに対称に配置されてもよく(408)、ターレットの幾何中心の周りに非対称に配置されてもよく(409)、3つのチャネルのうちの1つがターレットの中心に配置されてもよい(410)。
【0108】
考えられるチャネル構成の別の例示的な描写が、4つのチャネル(図4D)、5つのチャネル(図4E)、及び6つ以上のチャネル(図4F)を有するターレットについて示されている。示されている例は、チャネルの構成について、したがって針の構成について限定的であることを意図したものではないことが理解されよう。このような構成は大きく異なってもよく、当該ターゲティングシステムの特定の所望の使用法に従って構成及び再構成されてもよいことが理解されよう。さらに、ターレットの幾何中心に関して上に述べたが、チャネル及び/又は針の構成の対称性は、たとえばシステムの別の1つ又は複数のチャネル、システムの別の1本又は複数本の針、システムの構成要素の表面の任意の軸、平面、又は中心などを含めた、システムの任意の他の構成要素又はそのアスペクトに関して述べられてもよい。
【0109】
調節可能ターレットのチャネル及び/又は軌道ガイドの針は、ターレット又はガイドそれぞれの長軸に平行に配置されてもよく、そうでなくてもよい。同様に、複数のチャネルを有する調節可能ターレットのチャネルは、互いに対して平行に配置されてもされなくてもよく、及び/又は複数の針を有する軌道ガイドの針は、互いに対して平行に配置されてもされなくてもよい。場合によっては、たとえば図5Aに図示されているように、調節可能ターレット(501)の各チャネル(500)は、調節可能ターレットの長軸に対して平行に構成されてもよく、それにより、それらの軌道は本質的に平行でとどまる。場合によっては、たとえば図5Bに図示されているように、調節可能ターレット(503)の各チャネル(502)は、調節可能ターレットの長軸に対してであれ、互いに対してであれ、その両方であれ、平行にならないように(すなわち非平行に)構成されてもよく、それに対応して、これらのチャネルの軌道は平行にならない。
【0110】
場合によっては、調節可能ターレットの長軸に対して非平行に調節可能ターレットの中に配置されるチャネルは、広がっている、及び/又は広がった軌道を有すると呼ばれることがある。本明細書で使用される「広がった」という用語は、一般に、たとえばチャネル又は針が取り付けられる装置の長軸に対して非平行であり、その長軸に対する角度が鋭角な、そのチャネル又は針の軌道を指すことになる。本装置の構成要素は、たとえば装置の長軸からの偏差角度で測定されるとき、種々の大きさまで広がってもよい。たとえば場合によっては、構成要素、たとえばチャネル又は針は、たとえば2度以上、3度以上、4度以上、5度以上、6度以上、7度以上、8度以上、9度以上、10度以上、15度以上、20度以上などを含むがこれらに限定はされず1度以上の角度だけ広がってもよいが、一般に、約40度を超えて広がることはない。装置は、平行な構成要素のみ、又は広がった構成要素のみを有しなくてもよい場合があり、したがって、場合によっては、平行な構成要素と広がった構成要素が組み合わせられてもよい。
【0111】
場合によっては、ターレットが単一位置に置かれるとき、複数のチャネルを有する調節可能ターレットを用いると、複数の装置を配置してたとえば複数の異なる領域をターゲティングすること、同じ領域内に複数の装置をターゲティングすることなどが可能になる場合がある。たとえば場合によっては、複数の平行なチャネルを有するターレットを利用して、平行な軌道に沿って、被験対象の同じか又は異なるターゲティング領域に複数の装置をターゲティングすることができる。場合によっては、複数の広がったチャネルを有するターレットを利用して、非平行な軌道に沿って、被験対象の同じか又は異なるターゲティング領域に複数の装置をターゲティングすることができる。場合によっては、たとえば、(平行であれ非平行であれ)複数の軌道が利用される場合、単一の領域に複数の装置がターゲティングされるので、たとえばそれぞれが複数の軌道のうちの1つに沿ってターゲティングされた複数の装置を同時に又は連携して使用することにより、刺激物質又は治療物質をその領域により強く適用することが可能になる場合がある。いくつかの実施形態では、腫瘍などのターゲティング領域が、カニューレなどの複数の治療物質デリバリー装置によってターゲティングされ、複数の治療物質デリバリー装置を介して1つ又は複数の薬剤を同時に投与する、又はその他の方法で連携して投与することにより、腫瘍をより強く治療物質にさらすことが可能になり得る。場合によっては、平行なチャネルを用いると、薬剤及び/又は刺激物質を単一のターゲティング領域に集中して適用することが可能になる場合がある。場合によっては、非平行な(たとえば広がった)チャネルを用いると、たとえば、装置の先端が調節可能ターレットから離れるように進む非平行軌道に沿って広がっていることにより、薬剤及び/又は刺激物質を単一のターゲティング領域により分散して適用することが可能になる場合がある。
【0112】
次に、図8Aに図示されている調節可能ターレットに着目する。図示されている実施形態では、本質的には、調節可能ターレットは、球形部分(800)と、円筒形部分(801)と、円筒形部分の遠位端部(803)の平坦な表面から球形部分の対向する端部へと走る複数のチャネル(802)とを有する。調節可能ターレットの丸みの付いた部分は、チャネルがターレットから抜ける地点に対応する平坦な表面を有してもよく、有しなくてもよい。たとえば、図8Bに図示されるように、場合によっては、調節可能ターレットの球形端部(804)は、チャネル開口(806)を含む平坦な表面(805)を有する。
【0113】
場合によっては、調節可能ターレットは、1つ又は複数のチャネルに挿入されたものを固着するための1つ又は複数の手段を含んでもよい。たとえば、図8A及び図8Bの実施形態に図示されるように、調節可能ターレットは、1つ又は複数のねじ(807)と、1つ又は複数のチャネルへと延在する対応するねじ穴とを含んでもよく、それにより、ねじは、締められると、チャネルに挿入された任意の装置又は他の構成要素をチャネルの中に固着させる。それに対応して、たとえば装置又は他の構成要素が取り外されるとき、ねじ又は他の締結具は、緩められて取外しを可能にすることができる。
【0114】
場合によっては、調節可能ターレットの全部又は一部は、たとえば調節可能ターレットに造影剤を埋め込むこと、調節可能ターレットの空洞を造影剤で充填することなどによって、MRI可視にされてもよい。場合によっては、調節可能ターレットの全部又は一部がMRI可視にされる場合、調節可能ターレットのMRI可視部分が、本明細書に記載のMRI可視針のターゲティングの目的を果たすことができる。たとえば、調節可能ターレット全体がMRI可視にされる場合、MRI装置を用いてターレットを画像化することにより、軌道の決定及び/又は軌道調節が可能になり得る。別の例では、調節可能ターレットが、調節可能ターレットの1つ又は複数のチャネルに平行な、MRI可視部分、埋め込まれたMRI可視要素、又は造影剤で充填された空洞を含む場合、このMRI可視部分、埋め込まれたMRI可視要素、又は造影剤で充填された空洞により、軌道の決定及び/又は軌道調節が可能になり得る。一実施形態では、本明細書に記載の調節可能ターレットは、調節可能ターレットの1つ又は複数のチャネルに平行に、及び/又は隣り合って、調節可能ターレットの長軸に沿ってMRI可視部分を含むことができる。
【0115】
調節可能ターレットの長軸に沿ったMRI可視部分は、長さが様々でよく、たとえば調節可能ターレットの全長、調節可能ターレットの全長より短い長さ、調節可能ターレットの長さの半分を超える長さ、調節可能ターレットの長さの約半分、調節可能ターレットの長さの半分未満、調節可能ターレットの長さの約100%、調節可能ターレットの長さの約90%~約100%、調節可能ターレットの長さの約50%~約100%、調節可能ターレットの長さの約75%~約100%、調節可能ターレットの長さの約50%、調節可能ターレットの長さの約10%~約50%、調節可能ターレットの長さの約25%~約50%、調節可能ターレットの長さの約25%~約75%、調節可能ターレットの長さの約10%~約90%、調節可能ターレットの長さの約10%などを走っていてもよい。
【0116】
場合によっては、本開示の調節可能ターレットは、MRI可視帯を含んでもよい。本明細書で使用される「MRI可視帯」は、(たとえばその半分、又はその大部分などを含めて)調節可能ターレットの円周又はその一部を囲む、(たとえば造影剤で充填された空洞を含む)MRI可視材料の、円形、半円形、又は楕円形のストリップを意味する。MRI可視帯は、調節可能ターレットの長軸に対して垂直に配置されてもよい。MRI可視帯は、調節可能ターレットの長軸に沿った任意の位置に配置されてもよい。MRI可視帯は、調節可能ターレットもしくはそのチャネル、又は調節可能ターレットのチャネルに挿入された装置の位置の決定において種々の機能を果たすことができる。たとえば場合によっては、MRI画像装置を使用してMRI可視帯を画像化することにより、調節可能ターレットもしくはそのチャネル、又は調節可能ターレットのチャネルに挿入された装置の位置に関連する深さ計算を実施することができる。
【0117】
一実例として、一実施形態では、MRI可視帯を有する調節可能ターレットのチャネルに装置が挿入され、装置の一方の端部、又は装置の長さに沿った特定の位置が、帯に位置合わせされる。次に、調節可能ターレットはMRI撮像され、ターゲティング領域とMRI可視帯の間の距離の測定を伴う深さ計算が実施される。こうした深さ計算により、調節可能ターレットのチャネルの中に装置をどの程度挿入すべきかをユーザが決定することができ、それにより、装置は所望のターゲティング領域に到達する。深さ計算及び他の目的のためにMRI可視帯を使用する他の構成は、容易に明らかになろう。場合によっては、調節可能ターレットの全部又は一部はMRIで見えなくされてもよい、すなわち、普通に利用されるMRI撮像パラメータの下では本質的に透明であってもよい。
【0118】
本装置及びシステムの調節可能ターレットは、たとえば調節してから次の調節まで調節可能ターレットを固着するため、及び/又は被験対象に調節可能ターレットを固着するために、他の構成要素と適合可能に構成されてもよい。場合によっては、調節可能ターレットは、たとえば図9Aに図示されるような複数構成要素のターゲティング装置の一部であってもよい。図9Aの実施形態では、複数構成要素のターゲティング装置は、たとえば上述のような調節可能ターレット(900)、台座構成要素(901)、及びロッキング構成要素(902)を有する。図9Aに図示してある実施形態の分解バージョンを示す図9Bに見て取ることができるように、台座構成要素(903)は、調節可能ターレットの丸みの付いた端部(904)を受容するように構成されてもよく、たとえば、調節可能ターレットの丸みの付いた端部が台座構成要素に「はめ込まれ」てもよい。
【0119】
ロッキング構成要素(905)は、調節可能ターレット(906)の遠位端部、たとえば円筒形の端部が、ロッキング構成要素の内径を自由に通り抜けることができるように構成することができる。ロッキング構成要素の内径は、一般に、調節可能ターレットの丸みの付いた端部(904)の直径よりも小さく構成されることになる。一般に、こうした相対的サイズ構成により、この複数構成要素の装置が組み立てられたとき、たとえば台座の外側表面の適合可能ねじ切り部(907)とロッキング構成要素の内側表面のねじ切り部(908)とを用いて、ロッキング構成要素が調節可能ターレットの丸みの付いた端部を圧縮することが可能になる。
【0120】
したがって、ロッキングカラーをある方向に回す、すなわちロッキングカラーを締めることにより、ターレットの丸い端部は、ロッキングカラーと台座の間で圧縮され、ターレットの調節が制限される。ロッキングカラーを反対の方向に回す、すなわちロッキングカラーを緩めることにより、ロッキングカラーと台座の間でのターレットの丸い端部の圧縮が解かれ、ターレットの調節が可能になる。
【0121】
ロッキングカラーは、ターレットの丸い端部を効果的に圧縮して調節を制限するために、必ずしもターレットの丸い端部に接触する必要はない。たとえば場合によっては、ロッキングカラーは、台座にのみ接触し、調節可能ターレットの丸い端部には接触しないように構成される。こうした例では、ロッキングカラーを回すことにより、ターレットの丸い端部に直接的に接触することなく、限定はされない。たとえば以下により詳細に述べる台座の複数の環状壁部を含めた台座を、ターレットの丸い端部のほうへと圧縮することができる。したがって、場合によっては、ロッキングカラーの最小内径は、調節可能ターレットの丸い端部の最大直径より大きくてもよい。しかし、たとえば台座の複数の環状壁部の構成を含むがこれに限定はされず、台座の構成に応じて、ロッキングカラーの最小内径は、調節可能ターレットの丸い端部の最大直径よりも必ずしも大きくなくてもよい。
【0122】
場合によっては、ロッキングカラーは、システムの構成要素が係合されたとき、ターレットの最大角度調節に影響を与えない、又は影響を最小限だけに抑えるように構成される。したがって、装置の構成要素が組み立てられたときでも、そうでない場合のターレットの最大調節に近い、大幅な角度調節が可能になる。
【0123】
いくつかの実施形態では、ロッキングカラーは、台座に係合する下端部と、台座の反対側の上端部とを有することができ、この場合、上端部は、最大角度調節においてターレットが上端部に接触しないように、十分に大きい直径を有する。たとえば、複数構成要素の装置の一実施形態の切断図が示されている図14Cに示すように、ロッキングカラー(1400)は、台座(1405)に係合する下端部(1404)と、本質的にはターレット(1403)の最大角度調節「X」に一致するか又はそれより大きい内径(1402)をもつリングである上端部(1401)とを有する。したがって、場合によっては、ロッキングカラーの上端部は、ロッキングカラーの下端部の直径より大きい直径を有することになる。
【0124】
場合によっては、ロッキングカラーは、ロッキングカラーを回すため、すなわちロッキングカラーの締緩用に構成された上部のリング形状の端部を囲む、平坦な表面を含んでもよい。たとえば、図14Aに図示される実施形態では、ロッキングカラーは、ロッキングカラーを回すように構成される平坦な表面(1406)を有する。こうした平坦な表面は、テクスチャを付けられてもよく、付けられなくてもよい。たとえば場合によっては、ロッキングカラーの平坦な表面は、ロッキングカラーの把持を容易にしてロッキングカラーを回しやすくするために、ローレット加工されてもよい。テクスチャ付け及び/又はローレット加工は、説明したようなロッキングカラーの平坦な表面に限定されず、場合によっては、装置の任意の構成要素の任意の他の表面が、把持を容易にするために、同様に適宜テクスチャ付け及び/又はローレット加工されてもよい。
【0125】
システムの個々の構成要素は、組み立てられたシステムの、すべての構成要素を含む1つ又は複数の構成要素が、実質的に生体外になるように構成されてもよい。場合によっては、台座は、台座が実質的に、及び/又は完全に生体外のままであるように、被験対象に取り付けられる。場合によっては、ターレットは、ターレットが実質的に、及び/又は完全に生体外のままであるように、被験対象に取り付けられる。たとえば、図14A、及び図14Aの実施形態を90度回転した図を示す図14Bに図示されるように、組立て済みユニットは、台座(1407)で被験対象に取り付けられ、被験対象の外側にとどまる場合によっては、台座が被験対象に取り付けられ、組立て済みユニットは、ターレットの丸みの付いた端部が、台座が取り付けられる被験対象の表面と実質的に同一平面に配置されるように構成される。ターレットが、チャネル開口を含む丸みの付いた端部に平坦な表面を有する場合、ターレットが台座に対して垂直に位置合わせされると、平坦な表面の平面は、被験対象にインターフェースする台座の表面と実質的に平行、又は実質的に同一平面になる。
【0126】
構成要素又はシステムが完全に又は実質的に生体外であると述べられている本明細書の例では、こうした説明において、構成要素又はシステムを取り付けるために被験対象に挿入され得る任意の締結具は除外される。同様に、構成要素又はシステムが実質的に又は完全に生体外であるという説明では、システムの構成要素が、普通は生体外であるがいくつかの調節位置では生体内空間から生体外空間を隔てる平面を最小限に突破するという状況は除外される。たとえば場合によっては、最大角度調節がターレットに適用されたとき、ターレットのごく一部が、台座を越えて被験対象のほうに延在する場合がある(たとえば図14A及び図14Bを参照)。しかし、本明細書に記載したように、こうした例も、やはり実質的に及び/又は完全に生体外であると考えられる。
【0127】
対照的に、ターゲティングシステムの台座は、被験対象の中に延在し、生体内から生体外を隔てる平面を実質的に突破するように構成されてもよい。こうした状況の描写の1つが、図15A、及び図15Bの対応する断面図に示されている。この状況は、ターレット(1500)、ロッキングカラー(1501)、及び台座(1502)を含み、台座は、被験対象の組織表面に取り付けられたときに被験対象の中へと延在するねじ切り部分(1503)を含む。したがって、台座の一部が生体内に配置されるので、ここに説明された状況は、完全に又は実質的に生体外ではない。この構成の結果は図15Bの断面図に見て取ることができるが、最大(「MAX」)に近い角度調節では、ターレットの1つ又は複数のチャネルの軌道(1504)が、台座の生体内縁部(1505)によって遮られる場合がある。対照的に、図14Cの断面図に見て取ることができるように、台座が実質的に又は完全に生体外である実施形態では、台座の任意の縁部と1つ又は複数のチャネルの軌道の干渉は最小限に抑えられる。
【0128】
場合によっては、システムが組み立てられ被験対象に取り付けられたとき、ターゲティングシステムの台座は実質的に又は完全に生体外にとどまるが、ターレットの丸い端部は被験対象へと突出し、したがって生体内に存在することがある。こうした例では、組み立てられたときに生体内になるターレットの丸みの付いた端部の量は、ターレット及び台座の特定の構成に応じて変動し得る。
【0129】
場合によっては、ターゲティングシステムは、軌道ガイドと、実質的に生体外である、複数構成要素のターレットをベースとしたシステムとを含んでもよい。場合によっては、このようなシステムの軌道ガイドは、針がターレットのチャネルに挿入されたとき、軌道ガイドが実質的に又は完全に生体外にとどまるような長さの針で構成されてもよい。場合によっては、このようなシステムの軌道ガイドは、針がターレットのチャネルに挿入されたとき、軌道ガイドの針がターレットの丸みの付いた端部を越え、したがって少なくとも部分的に生体内に配置されるような長さの針で構成されてもよい。
【0130】
調節可能ターレットの丸い端部を受容するように構成される台座は、組み立てられた複数構成要素の装置を被験対象の組織表面に取り付ける働きをすることもできる。被験対象の表面に台座を取り付ける任意の都合のよい手段が利用されてもよく、台座は、こうした多様な取付け方法が可能になるように構成及び/又は修正されてもよい。場合によっては、たとえば図10台座の実施形態に図示されるように、台座は、台座の1つ又は複数の壁部に直交する向きを含むがこれに限定はされず、都合のよい任意の向きで配置され得る、1つ又は複数の取付けフランジ(1000)を含んでもよい。本装置の台座のフランジの数は様々であることになり、たとえばこれらに限定はされないが1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上などを含んでもよい。
【0131】
場合によっては、台座は、調節可能ターレットの丸みの付いた端部を受容する「ソケット(socket)」を集合的に形成する、複数の環状壁部(1001)を有してもよい。台座は、環状壁部の外表面のねじ切り部(1002)と、環状壁部同士の間に配置される複数のスロット(1003)とを含んでもよい。たとえば図10に図示されている、ねじが切られた環状壁部間にスロットを有する構成では、ロッキングカラーが台座にねじ込まれて締められるとき、調節可能ターレットの丸みの付いた端部への本質的に均一な圧縮を生じさせることが可能になる。台座のサイズは、調節可能ターレットの球形端部を受容するような寸法にされるが、様々でよい。たとえば場合によっては、台座によって覆われる面積は、たとえば1cm~100cm、1cm~75cm、1cm~50cm、1cm~25cm、1cm~20cm、1cm~15cm、1cm~10cm、1cm~9cm、1cm~8cm、1cm~7cm、1cm~6cm、1cm~5cm、10cm~100cm、25cm~100cm、50cm~100cm、75cm~100cmなどを含むがこれらに限定はされず、1cm未満から100cm以上の範囲でもよい。
【0132】
図10に図示されているように、台座は、場合によっては角度が付いておらず、台座の底面(及び/又はそれが取り付けられる表面)と環状壁部との間に本質的な直交関係を有してもよい。場合によっては、有用な台座に角度が付いており、台座の底面(及び/又はそれが取り付けられる表面)と環状壁部との間に非直交関係を有してもよい。図19には、角度を付けた台座の一例が図示してある。このように、角度を付けた台座は、角度を付けた台座(2001)に挿入されるターレット(2000)と、ターレットに挿入される軌道ガイド(2002)と、係合するロッキングカラー(2003)とを有する、図20に図示される複数構成要素のターゲティングシステムで利用されてもよい。角度を付けたガイドの角度(台座の底面又は台座が取り付けられる被験対象の表面と比較した、たとえば垂直からの開き、たとえば垂直からの環状壁部の開き)は変動してもよく、30°以下、25°以下、20°以下、15°以下、10°以下、5°以下などを含むがこれらに限定はされず、30°以上の範囲でもよい。場合によっては、角度を付けた台座の角度は、たとえば20°、15°、10°、5°などでもよい。
【0133】
場合によっては、1つ又は複数の側部開口(たとえば1つ又は複数の環状壁部の1つ又は複数の側部開口)、ロッキングカラーが完全に係合したときに覆われない、環状壁部のうちの2つの間の延在スロット、台座の底面から上に延在するスロットなどを有する台座が利用されてもよい。このような開口は、たとえば、ターレットが台座内の所定の位置にあるとき、台座の底面の主開口を通じて被験対象へのアクセスを提供することを含めて、種々の目的のために構成されてもよい。たとえば場合によっては、台座の開口から装置を挿入して、たとえば薬剤、電流などの刺激物質をデリバリーしてもよい。こうした開口から挿入することができる有用な装置には、たとえばカテーテル、電極(たとえばDBS電極、記録電極など)などが含まれるが、これらに限定はされない。場合によっては、たとえば本明細書に記載のターゲティングシステムを使用して装置(たとえば電極又はカテーテル)が配置されてもよく、次いで、台座の開口により、台座の取外しを含めてターゲティング装置を取り外した後、装置の配置が乱されることなく、装置の一部、又は装置に取り付けられる構成要素(たとえばワイヤもしくは管)が定位置にとどまることが可能になり得る。開口は、ロックのための、調節可能リング、カニューレ、記録電極又は刺激電極を介した頭蓋へのアクセスとしても機能することができる。当該台座要素の側部の開口の他の使用法は、容易に明らかになろう。
【0134】
場合によっては、装置又はシステムは、装置又はシステムを覆いかつ/あるいは使用していないときに任意の開口を残屑がない状態に保つキャップをさらに含んでもよい。有用なキャップには、たとえば、ターレットの遠位端部を覆うように構成されたキャップ、台座を覆うように構成されたキャップなどが含まれるが、これらに限定はされない。場合によっては、たとえばターレットを台座から「抜き取る」ことによってターレットが台座から取外し可能であることにより、ターレットが取り外され、台座の中心を通る露出した穴が残る場合がある。場合によっては、システム又は装置は、ターレットが取り外されたときに台座の上に嵌合して台座の中心の任意の露出した穴を覆うように構成されるキャップを含んでもよい。ターレットが取り外されたときに台座を覆うように構成されるキャップの一実施形態が、図11に図示されている。本明細書に記載のキャップは、たとえば圧縮力、締結具などを含めた任意の都合のよい手段によって定位置に保持され得る。したがって、キャップはねじが切られてもよく、ねじが切られていなくてもよい。たとえば場合によっては、台座の環状壁部の外側ねじ切り部と適合可能な内側ねじ切り部を備えるキャップが構成され、それにより、たとえば装置が使用されていないとき、キャップは定位置にねじ込まれ得る。
【0135】
上記で幾分詳細に述べたように、本明細書に記載の装置及びシステムの種々の構成要素は、対称でも非対称でもよい。装置及びシステムの構成要素の対称性には、内的な対称性と、たとえば2つの構成要素が対称に配置又は取付けされる、別の構成要素に対する対称性とが含まれる。
【0136】
場合によっては、装置又はシステムの構成要素に非対称性が存在することにより、画像を方向づける撮像中の基準点、すなわち撮像された軌道ガイドのある面を撮像された軌道ガイドの別の面から区別する基準点を提供することができる。たとえば視覚的に見ることができるか又はMRI画像上で特定することができる、システムの任意の非対称性を利用して、システムの1つ又は複数の構成要素を方向づけることができる。
【0137】
たとえば場合によっては、ターレットは、たとえば溝又はくぼみであるがこれらに限定はされず、基準点として働く非対称性を含んでもよい。一例として、図12に図示されているターレットの実施形態では、ターレットは、ターレットを方向づけ、及び/又はターレットの特定のチャネルを特定するために使用される基準点として働く、ターレット上のある位置にある溝(矢印)とともに構成される。非対称性として働くことができる他の有用な特徴には、たとえば平坦部分、ねじ穴、ねじなどが含まれるが、これらに限定はされない。
【0138】
場合によっては、MRI画像装置で見たとき、非対称性がユーザ又はコンピュータにターゲティングガイドの向きを示す基準点及び手段として働くことができるように、軌道ガイドの針は、非対称に構成されてもよい。たとえば、図13に図示されている一実施形態では、軌道ガイド(1300)(左図では針が取り付けられていない状態で示され、右図では針が取り付けられた状態で示されている)は、針の非対称構成を有する。この非対称構成のうち、1本を除くすべての針は、調節可能ターレットの対称なチャネル(1301)に対応する。ターレットは、非対称な溝(1302)も含む。図示されている実施形態では、非対称な針(1303)が、非対称な溝(1302)に位置合わせされるように構成され得る。したがって、軌道ガイドの針がチャネル及びターレットの溝に挿入されたとき、MRI撮像を使用して、非対称な針によるターゲティングシステムの方向づけ及びターレットの各チャネルの特定が可能になる。
【0139】
本開示のシステムは、MRI画像装置をさらに含んでもよい。本明細書で使用される「MRI画像装置」という用語は、一般に、当業者にはよく知られた核磁気共鳴画像の原理を使用して機能する任意の装置を指し、限定はされず、関連する医療分野(medical art)において市販されている装置を含む。場合によっては、本開示のシステムは、たとえば患者及び/又は機器の配置及び/又はレジストレーションで利用される、たとえば本明細書に記載のシステムを含めた手術ナビゲーションシステムで利用される、たとえば1つ又は複数の光学撮像構成要素など、光学に基づく撮像構成要素をさらに含んでもよい。
【0140】
上記に概要を述べたように、場合によっては、本開示のターゲティング装置又はその1つもしくは複数の構成要素は、手術ナビゲーションシステムに一体に組み込まれるような構成及び/又は寸法(dimension)でよい。こうした組込みは、たとえば組込みハンドルの使用であるがこれに限定はされず、種々の手段によって実現することができる。一般に、組込みハンドルは、手術ナビゲーションシステムに取り付けられ得る装置であり、ユーザによって手動で操作される場合もあり、コンピュータ制御されるものを含めて1つ又は複数の機械的構成要素によって制御される場合もある。場合によっては、組込みハンドルは、手術ナビゲーションシステムの構成要素でもよく、このようなシステムとともに商業的に提供されてもよい。場合によっては、組込みハンドルは、手術ナビゲーション装置の構成要素及び本開示のターゲティング装置の構成要素と適合可能であるようにカスタム設計されてもよい。有用な組込みハンドルは、装置、たとえば医療装置(たとえば電極、カテーテルなど)が挿入され得る中心チャネルを有する管部分と、たとえば本開示のターゲティング装置、又はたとえばターゲティングガイド、キャリブレーション要素、ターレットの円筒形端部などを含むその構成要素などの別の装置にハンドルを連結するためのインターフェース部分とを有することができる。
【0141】
例示的な組込みハンドルが図21に図示されており、これは、手術ナビゲーションシステムの構成要素(たとえばフレーム、器具保持器など)を組込みハンドルに取り付ける部分としても機能し得る説明した管部分(2100)と、全体として中空の連結部分(2101)であって、それにより別個の装置の一部が連結部分に挿入され、場合によってはたとえば図示している圧縮ねじ(2102)などの固着部材で固着されるのを可能にする連結部分(2101)とを有する。図22には、すべて連結されていない構成で、適合可能なキャリブレーション要素(2201)及びターゲティング装置の当該ターレット(2202)に位置合わせされた組込みハンドル(2200)が示されている。いくつかの実施形態では、有用なキャリブレーション要素は、組込みハンドルの連結部分の中空開口に嵌合する寸法にされたバレル部分(2203)を含むことができる。連結部分の中空開口の寸法を含めた組込みハンドルの寸法は様々でよいので、キャリブレーション要素の当該バレル部分の寸法も様々でよい。場合によっては、組込みハンドルの連結部分の中空開口の内径は、たとえば10mm~50mm、10mm~40mm、10mm~30mm、10mm~20mmなどを含むがこれらに限定はされず、10mm以下から50mm以上の範囲でもよい。場合によっては、キャリブレーション要素のバレル部分の外径は、たとえば10mm~50mm、10mm~40mm、10mm~30mm、10mm~20mmなどを含むがこれらに限定はされず、10mm以下から50mm以上の範囲でもよい。
【0142】
組込みハンドルの長軸に沿った連結部分の長さも様々でよく、場合によっては、たとえば10mm~100、10mm~75mm、10mm~50mm、10mm~40mm、10mm~30mm、15mm~50mm、15mm~40mm、15mm~30mm、20mm~50mm、20mm~40mm、20mm~30mmなどを含むがこれらに限定はされず、10mm以下から100mm以上の範囲でもよい。当該キャリブレーション要素のバレル部分の長さは、組込みハンドルの連結部分の中空開口の内部の深さと同じでもよく、それより短くても長くてもよい。したがって、バレル部分の長さは様々であることになり、たとえば10mm~100、10mm~75mm、10mm~50mm、10mm~40mm、10mm~30mm、15mm~50mm、15mm~40mm、15mm~30mm、20mm~50mm、20mm~40mm、20mm~30mmなどを含むがこれらに限定はされず、10mm以下から100mm以上の範囲でもよい。場合によっては、バレル部分は、限定はされず、たとえば少なくとも5mm長い、少なくとも10mm長いなどを含めて、連結部分の中空開口の深さよりも少なくとも2mm長い。場合によっては、バレル部分は、限定はされないがたとえば15mm未満、10mm未満、5mm未満などを含めて、連結部分の中空開口の深さよりも20mm未満だけ長い。
【0143】
組込みハンドルの管部分の中のチャネルの直径は様々であることになり、場合によっては、管部分に挿入される装置に対応するようなサイズにされてもよい。場合によっては、管部分の中のチャネルの直径は、たとえば1mm~15mm、1mm~10mm、1mm~5mmなどを含むがこれらに限定はされず、1mm以下から20mm以上の範囲でもよい。場合によっては、管部分の中のチャネルの直径は、そこに挿入すべき1つ又は複数の装置に適当なゲージでもよく、こうしたチャネルのゲージは様々であることになり、SWG測定法による、たとえば42ゲージ、41ゲージ、40ゲージ、39ゲージ、38ゲージ、37ゲージ、36ゲージ、35ゲージ、34ゲージ、33ゲージ、32ゲージ、31ゲージ、30ゲージ、29ゲージ、28ゲージ、27ゲージ、26ゲージ、25ゲージ、24ゲージ、23ゲージ、22ゲージ、21ゲージ、20ゲージ、19ゲージ、18ゲージ、17ゲージ、16ゲージ、15ゲージ、14ゲージ、13ゲージ、12ゲージ、11ゲージ、10ゲージ、9ゲージ、8ゲージ、7ゲージ、6ゲージなどを含むがこれらに限定はされず、42ゲージ以下から6ゲージ以上の範囲でもよい。場合によっては、チャネルは、組込みハンドルの連結部分へと延在するか又はそれと合流してもよい。したがって、本明細書に記載の組込みハンドルは、一般に、管部分端部のチャネルの開口と、連結部分端部の、中空開口内のチャネルの開口とを含むことになる。
【0144】
場合によっては、利用されるキャリブレーション要素は、組込みハンドル内のチャネルの少なくとも一部に、たとえば連結端部の中空部分のチャネルの開口に収まるような寸法にされた、管位置合わせフィーチャ(2204)を含んでもよい。管位置合わせフィーチャの外径は様々でよく、たとえば1mm~15mm、1mm~10mm、1mm~5mmなどを含むがこれらに限定はされず、1mm以下から20mm以上の範囲でもよい。場合によっては、管位置合わせフィーチャの外径は、SWG測定法による、たとえば42ゲージ、41ゲージ、40ゲージ、39ゲージ、38ゲージ、37ゲージ、36ゲージ、35ゲージ、34ゲージ、33ゲージ、32ゲージ、31ゲージ、30ゲージ、29ゲージ、28ゲージ、27ゲージ、26ゲージ、25ゲージ、24ゲージ、23ゲージ、22ゲージ、21ゲージ、20ゲージ、19ゲージ、18ゲージ、17ゲージ、16ゲージ、15ゲージ、14ゲージ、13ゲージ、12ゲージ、11ゲージ、10ゲージ、9ゲージ、8ゲージ、7ゲージ、6ゲージなどを含むがこれらに限定はされず、42ゲージ以下から6ゲージ以上の範囲でもよい。
【0145】
場合によっては、利用されるキャリブレーション要素は、ターレット(2202)のチャネルに挿入するように構成されるキャリブレーション針(2205)を含んでもよい。場合によっては、キャリブレーション針は、バレル部分と同軸になるように構成されてもよく、場合によっては、ターレットの中心チャネルに挿入されるように構成されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、(図23に図示されるように)組込み/キャリブレーション構成要素が完全に連結されたとき、すべての構成要素を含め、構成要素のうちの2つ以上が同軸になり得る。場合によっては、キャリブレーション針は、ターレットに完全に挿入されたとき、針の自由端部が球形端部においてターレットのチャネルから突出するような寸法にされてもよい。存在する場合、キャリブレーション針の突出端部(2300)は、ターゲティング装置のキャリブレーション、及び手術ナビゲーションシステムへのターゲティング装置の組込みに利用することができる。たとえば場合によっては、図23に図示されるように、完全に連結された組込み/キャリブレーションシステムは、ナビゲーションシステムにレジストレーションされて、針の突出端部に基づいた軌道の決定を可能にすることができる。組込み/キャリブレーションシステムの1つ又は複数の構成要素のレジストレーションは、タッチもしくはポインタに基づいたレジストレーション、又は組込み/キャリブレーションシステムの1つもしくは複数の構成要素への1つもしくは複数の光学ガイドの配置を含む、任意の都合のよい手段で実現することができる。ナビゲーションシステムに組込み/キャリブレーションシステムをレジストレーションした後、連結された構成要素は、ナビゲーションシステムを使用して初期軌道に位置合わせされ得る。連結された組込み/キャリブレーションシステムを所望の初期軌道に位置合わせすることにより、被験対象の暫定的エントリーポイントが、針の突出端部の位置に基づいて決定され得る。上述のように、こうした暫定的エントリーポイントは、ターゲティング装置の初期位置を確立する際に利用することができる。
【0146】
ナビゲーションシステムへの組込み及び任意のキャリブレーションステップを実施した後、場合によっては、キャリブレーション要素は取り外されてもよい。場合によっては、キャリブレーション要素は、手術ナビゲーションシステムに組み込むことができる軌道ガイドと交換されてもよい。たとえば、図24に図示されているように、軌道ガイド(2400)は、軌道ガイドの台座端部(2401)の全体又は一部が組込みハンドル(2403)の連結部分(2402)の中空開口に嵌合するように構成されてもよい。したがって、軌道ガイド(2400)は組込みハンドル(2403)に連結することができ、軌道ガイドの針は、ターゲティング装置のターレット(2404)に挿入され得る。完全に連結された軌道ガイド、組込みハンドル、及びターレットのシステムの一実施形態が、図25に図示してある。場合によっては、軌道ガイドの少なくとも1本の針は、完全に連結されたとき、針の端部(2500)がターレットの球形端部を越えて延在するように構成されてもよい。上述の方法によるターゲティングガイド及び調節可能ターレットを利用したターゲティングプロセスは、ターゲティング装置に連結される組込みハンドルとともに利用することができる。場合によっては、ターゲティング装置に連結される組込みハンドルを利用するターゲティングプロセスは、その組込みハンドルに関連付けられた手術ナビゲーションシステムを使用して追跡及び/又は分析され得る。
【0147】
生物医学的システム
本開示の態様は、ターゲティングした治療薬を被験対象にデリバリーするための1つ又は複数の生物医学的システムをさらに含み得るターゲティング装置を含む。当該生物医学的システムは、その装置又はその動作可能部分が、本明細書に記載のターゲティング装置のチャネルを通って物理的に投入され得る限り、上述の治療方法のいずれかをデリバリー又は実施するための任意の適した装置を含むことになる。
【0148】
場合によっては、治療方法のいずれかをデリバリー又は実施する装置は、ターゲティング装置とサイズが一致してもよい。この文脈での「サイズが一致する」は、装置の外径が、ターゲティング装置の調節可能ターレットのチャネルに挿入され、少なくとも部分的にそこを通ることができるように構成され得るということを意味する。たとえば場合によっては、装置の外径は、チャネルの内径と同じか又はほぼ同じゲージでもよい。チャネルの直径に装置の直径を一致させる、又はほぼ一致させることにより、2つの構成要素の間に望ましくない隙間又は遊びができるのを防止することができる。場合によっては、たとえばチャネルの直径よりも著しく小さい直径の装置を利用することが所望される場合、たとえば図26に図示されているリデューサを利用して、ターレットのチャネルの内径を実質上小さくすることができる。たとえば、図27に図示されるように、調節可能ターレットのチャネルにリデューサを挿入して、内径を実質上小さくすることができる。リデューサの使用により、たとえば14GAから16GAへの減径など、第1のゲージを第2のより小さいゲージに減径することを含むがこれに限定はされず、ターレットチャネルの内径の任意の所望の減径が実現され得る。
【0149】
場合によっては、本開示のターゲティング装置を使用して利用される生物医学的システムは、治療物質デリバリー装置、たとえば薬物デリバリー装置である。たとえばニードル、カニューレ、浸透圧ポンプ、カテーテルなどを含むがこれらに限定はされず、任意の適した薬物デリバリー装置が、本装置に用いられ得る。
【0150】
場合によっては、本開示のターゲティング装置を使用して利用される生物医学的システムは、被験対象の所望領域に電流又は他のエネルギー(たとえば熱)をデリバリーするための治療装置である。たとえばヒートプローブ、電極などであるがこれらに限定はされず、治療物質デリバリー用の任意の適したプローブが、本装置に用いられ得る。
【0151】
場合によっては、当該ターゲティングシステムのチャネルを通してターゲティングされる生物医学的装置は、深さ止めを含んでもよい。本明細書で使用される「深さ止め」という用語は、被験対象への生物医学的装置の不都合で望ましくない過度の挿入を防止するために使用される任意の機構を指す。場合によっては、このような深さ止めは、深さ止めがターゲティング装置の調節可能ターレットに接触したとき生物医学的装置が被験対象へと進むのを防止するのに十分な直径で構成され得る。
【0152】
場合によっては、本開示の生物医学的システムは、対応する生物医学的治療装置を備えた、MRI撮像ユニット及びターゲティング装置を有する統合型システムを含む。このようなシステムでは、MRI撮像ユニット、並びに任意選択でターゲティング装置及び/又はデリバリー装置は、プロセッサなどの処理装置に通信可能に接続され得る。
【0153】
たとえば、図16に図示されている実施形態では、本開示のシステムは、ターゲティングガイドがMRI画像装置(「MRI」)に対してある位置関係に置かれた状態のターゲティング装置を含んで、MRI画像装置がターゲティング装置、ターゲティングガイド、及び被験対象の処置の所望の領域を撮像することを可能にし得る。さらに、MRI画像装置は、MRI画像装置から画像を受け取り、画像を処理し、結果を出力するように構成される処理ユニットに接続され得る。場合によっては、画像の処理は、ターゲティング装置の1つ又は複数のチャネルの軌道を決定して、その結果をユーザに表示するか又はその他の方法で伝えることを含む場合がある。場合によっては、プロセッサに接続されたMRI画像装置は軌道ガイドのMRI画像を出力するが、軌道の任意の決定はすべて手動で行われる。
【0154】
図17に図示してある実施形態は、図16の実施形態を拡張したものであり、この場合、システムは、処理ユニットとターゲティング装置の間の接続部をさらに含む。プロセッサとターゲティング装置の間の接続部は、種々の相互排他的でない目的のために使用することができる。たとえば場合によっては、薬剤、電流、又は他の治療薬のデリバリーは、適切にターゲティングされると、さらなるユーザ入力を伴って又は伴わずに、コンピュータによってデリバリーがトリガされるように、プロセッサによってコンピュータ制御されてもよい。
【0155】
場合によっては、ターゲティング装置のターゲティング調節はコンピュータ制御されてもよい。たとえば、ターゲティング装置は、ターゲティング調節がコンピュータ制御され得るように、調節可能ターレットに動作可能に結合される1つ又は複数のコンピュータ制御モータ又はアクチュエータをさらに含んでもよい。コンピュータ制御されるターゲティング調節は、調節を定めるユーザ入力に依存してもよく、コンピュータ計算した軌道及び調節に基づいて自動化されてもよい。調節が手動であろうとコンピュータ決定されようと、記載のシステムは、一般に、被験対象のターゲティング領域を定める少なくとも1つのユーザ入力を含むことになる。
【0156】
図17のプロセッサユニットは、MRI画像装置から画像を受け取るように構成される画像処理ユニット(IPU)と、IPUから受け取ったデータから軌道を決定し、決定した軌道とユーザが入力した所望の軌道との間の差を計算し、任意の必要な調節を信号で伝えるように構成されるデータ処理ユニット(DPU)とを含むことができる。場合によっては、信号で伝えられる必要な調節は、信号を運動命令に変えるコンピュータドライバ(「ドライバ」)へと転送することができ、それにより、ユーザ又はモータ/アクチュエータによって駆動される構成要素が、必要とされるターゲティング装置の調節を実施する。被験対象への治療薬のデリバリーも、ユーザ制御されてもよく、たとえばデリバリー信号をトリガするために使用される1つ又は複数のドライバによってコンピュータ制御されてもよい。
【0157】
図18には、記載のシステムを使用して本明細書に開示するターゲティング方法を実施し、被験対象に手順及び/又は治療物質をデリバリーするプロセスのステップが略述してある。本質的には、本明細書に記載の機器を使用するとき、被験対象にターゲティング装置の台座を取り付け、ターレットを台座にはめ込む。ターゲティングガイドを使用してターレットにMRI可視針を挿入し、MRI走査を実施する。MRI走査から初期軌道を決定し、システムは、決定した軌道とユーザが入力した所望の軌道を比較する。システムは、この比較に基づいて調節を計算し、ユーザ、又は調節をなすように構成されたシステムの構成要素に調節の信号を出す。調節は、ユーザ又はシステムによって実施され、調節後の軌道が査定される。調節後の軌道が十分である場合、MRI可視針は取り外されてもよく、処置薬がデリバリーされ得る。調節後の軌道が不十分な場合、システムはMRI走査へとループバックし、軌道の決定及び調節を繰り返すことができる。言及したように、図18に略述した個々のプロセスは、適宜コンピュータ制御されてもよい。
【0158】
上に概要を述べたように、場合によっては、本開示のシステムは、手術ナビゲーションシステムに組み込まれてもよい。図28には、手術ナビゲーションシステムに組み込まれた本明細書に記載のシステムを使用して本明細書に記載のターゲティング方法を実施し、被験対象に手順及び/又は治療物質をデリバリーするプロセスのステップの一例が略述してある。本質的には、本明細書に記載の機器及び構成要素を使用するとき、被験対象及び利用される任意の定位装置、又は構造的支持体もしくは剛性アームなどのその構成要素を、手術ナビゲーションシステムにレジストレーションする。場合によっては、被験対象及び/又はシステムの構成要素をレジストレーションする際、手術ナビゲーションソフトウェア、及びこのようなソフトウェアを実行するワークステーションが利用されてもよい。当該手順の前及び/又は当該手順と同時に取得された被験対象の生物医学的画像が、ソフトウェア内で被験対象のレジストレーション位置に組み込まれるか又は重ねられてもよい。
【0159】
レジストレーションの後、組込みハンドル、キャリブレーション要素、及びターレットを含む組込み/キャリブレーションシステムを組み立て、定位装置及び/又はナビゲーションシステムの構成要素に組み込む。場合によっては、任意選択で、キャリブレーション要素、ターレット、台座などのターゲティングシステムの1つ又は複数の構成要素を、手順のこの時点で、又はこれより後のある時点で、ナビゲーションシステムにレジストレーションしてもよい。組み立てられた組込み/キャリブレーションシステムを利用して、たとえば上述のように暫定的エントリーポイントを特定する。場合によっては、たとえばターゲティングガイド、及びターゲティングガイドに基づく計算した暫定的軌道を使用することにより、暫定的エントリーポイントを確定してもよい。場合によっては、暫定的エントリーポイントは、外観検査によって確定されてもよい。
【0160】
エントリーポイントを確定し次第、たとえば、被験対象に穴を開ける、穿つ、又は切り取る(たとえば被験対象の頭蓋に穴を開ける、穿つ、又は切り取る)ことなどにより、エントリーポイントを作成してもよい。示したように、エントリーポイントを設けた後、ターゲティング装置の台座を被験対象に取り付けることができる。場合によっては、台座は、エントリーポイントを作成する前に取り付けてもよい。
【0161】
台座を被験対象に取り付け次第、たとえば、軌道ガイド及びターレットに組込みハンドルを連結することにより、軌道ガイドをシステムに組み込むことができる。軌道ガイドが挿入された状態のターレットを台座に挿入して、初期軌道を確立することができる。MRI走査を実施する。MRI走査から軌道を決定し、システムは、決定した軌道とユーザが入力した所望の軌道を比較する。システムは、この比較に基づいて調節を計算し、ユーザ、又は調節をなすように構成されたシステムの構成要素に調節の信号を出す。調節は、ユーザ又はシステムによって実施され、調節後の軌道が査定される。調節後の軌道が十分である場合、MRI可視針は取り外されてもよく、処置薬がデリバリーされ得る。調節後の軌道が不十分な場合、システムはMRI走査へとループバックし、軌道の決定及び調節を繰り返すことができる。
【0162】
既に述べたように、図28に略述した個々のプロセスは、適宜コンピュータ制御されてもよい。ターゲティングプロセスの任意のステップ又は構成要素は、たとえば定位装置の構成要素、ターゲティング装置の構成要素、又はそれらのなんらかの組合せの光学追跡により、手術ナビゲーションシステムによって追跡又は査定されてもよい。場合によっては、ナビゲーションシステムは、こうした追跡及び/又は査定に基づいて、ユーザーにフィードバックを提供してもよい。
【0163】
場合によっては、本明細書に記載のシステムの構成要素は、有線データ接続によって接続されてもよい。たとえばUSBケーブル、同軸ケーブル、シリアルケーブル、C2Gケーブル又はCat2ケーブル、Cat5/Cat5e/Cat6/Cat6aケーブル、トークンリングケーブル(Cat4)、VGAケーブル、HDMIケーブル、RCAケーブル、光ファイバケーブルなどの市販のケーブルであるがこれらに限定はされず、任意の適した適当な有線データ接続が、たとえば本明細書に記載の説明したシステムの構成要素を接続するのに用いられ得る。場合によっては、たとえばデータセキュリティが大して懸念されない場合、たとえば高周波接続(たとえばPAN/LAN/MAN/WAN無線ネットワーキング、UHF無線接続など)、赤外線データ伝送接続、無線光データ接続などを含むがこれらに限定はされない無線データ接続が利用されてもよい。
【0164】
本開示の装置及びシステムは、情報を記憶できる「メモリ」をさらに含んでもよく、これにより、情報はコンピュータによって後日アクセス及び検索することが可能になる。記憶された情報にアクセスするために使用する手段に基づいて、任意の都合のよいデータ記憶構造を選ぶことができる。いくつかの態様では、情報は、「パーマネントメモリ」(すなわちコンピュータ又はプロセッサへの電力供給の終了によって消去されないメモリ)に記憶されてもよく、「非パーマネントメモリ」に記憶されてもよい。コンピュータのハードディスク、CD-ROM、フロッピーディスク、ポータブルフラッシュドライブ及びDVDは、すべてパーマネントメモリの例である。ランダムアクセスメモリ(RAM)は、非パーマネントメモリの一例である。パーマネントメモリ内のファイルは、編集可能かつ再書込み可能であり得る。
【0165】
本明細書に開示される方法を実施するための装置及びシステム内に、実質的に任意の回路が機能的構成で構成されてもよい。たとえば専用に構成されたコンピュータを含め、こうした回路のハードウェアアーキテクチャが当業者にはよく知られており、これは1つ又は複数のプロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、内部又は外部のデータ記憶媒体(たとえばハードディスクドライブ)を含むハードウェア構成要素を備えることができる。こうした回路は、グラフィック情報を処理して表示手段に出力する1つ又は複数のグラフィックボードも備えることができる。上記の構成要素は、たとえば特定用途向けコンピュータの中の回路内のバスによって適切に相互接続することができる。回路は、モニタ、キーボード、マウス、ネットワークなどの汎用の外部構成要素と通信するための適したインターフェースをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、本方法及びプログラムの処理能力を高めるために、回路は、並列処理が可能でもよく、並列コンピューティング又は分散コンピューティング用に構成されたネットワークの一部でもよい。いくつかの実施形態では、記憶媒体から読み取られたプログラムコードは、回路に挿入される拡張ボード又は回路に接続される拡張ユニットに提供されるメモリに書き込まれてもよく、拡張ボード又は拡張ユニットに提供されるCPUなどが、記載した機能を果たすように、プログラミングの命令に従って演算の一部又は全部を実際に実行してもよい。
【0166】
たとえば上述の本開示の装置及びシステムの構成要素に加えて、本開示のシステムは、たとえばモニタ及び/又はスピーカなどのデータ出力装置、たとえばインターフェースポート、キーボードなどのデータ入力装置、作動可能構成要素、電源などの、多数の追加の構成要素を含んでもよい。
【0167】
コンピュータ可読媒体
本開示は、本明細書に記載の方法のための命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体を含めたコンピュータ可読媒体を含む。本開示の態様は、コンピューティング装置によって実行されたときに本明細書に記載の方法の1つ又は複数のステップをコンピューティング装置に実施させる命令を記憶する、コンピュータ可読媒体を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法による命令は、「プログラミング」の形でコンピュータ可読媒体上にコード化することができ、この場合、本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行及び/又は処理のためにコンピュータに命令及び/又はデータを与えることに関与する、任意の記憶媒体又は伝送媒体を指す。記憶媒体の例には、こうした装置がコンピュータの内部にあるか外部にあるかにかかわらず、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリーカード、ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、ソリッドステートディスク、及びネットワークアタッチストレージ(NAS)が含まれる。情報を収めたファイルがコンピュータ可読媒体に「記憶」されてもよく、この場合、「記憶する」とは、情報が後日コンピュータによってアクセス及び検索できるように、情報を記録することを意味する。
【0169】
本明細書に記載の、コンピュータに実施される方法は、任意の数のコンピュータプログラミング言語の1つ又は複数で記述され得るプログラミングを使用して実行することができる。こうした言語には、たとえばJava(Sun Microsystems,Inc.、Santa Clara、CA)、Visual Basic(Microsoft Corp.、Redmond、WA)、及びC++(AT&T Corp.、Bedminster、NJ)、並びに任意の多くの他の言語が含まれる。
【0170】
キット
本開示の追加の態様は、たとえば、被験対象の所望領域のMRI支援ターゲティングの方法、被験対象の所望領域への薬剤又は電流のMRI支援デリバリーの方法などの本開示の方法の実施に使用するためのキットを含む。キットは、少なくとも1つの軌道ガイド、及び場合によっては、1つ又は複数の調節可能ターレット、1つ又は複数の台座、1つ又は複数のロッキングカラー、1つ又は複数のキャリブレーション要素、1つ又は複数の生物医学的装置(たとえば電極、カテーテル、カニューレなど)を含んでもよく、これらの各構成要素については上でより詳細に説明した。キットは、(たとえば別個の容器又はコンテナに入った)造影剤、光学ガイド、取付け金具(たとえばねじ)、生物医学的接着剤、組込みハンドルなどの、1つ又は複数の追加の構成要素をさらに含んでもよい。キットの種々の構成要素は多様なサイズ及び構成で提供されて、たとえば利用される生物医学的装置、処置すべき被験対象のサイズなどに基づいて、特定の用途に最も適当な構成要素のキットをユーザが選択することを可能にし得る。
【0171】
上記の構成要素に加えて、本キットは、(いくつかの実施形態では)本方法を実施するための説明書をさらに含んでもよい。これらの説明書は、種々の形態で本キットに存在してもよく、そのうちの1つ又は複数がキットに存在してもよい。これらの説明書が存在し得る形態の1つは、キットの包装、添付文書などの中の、適した媒体又は基体上の印刷情報、たとえば情報が印刷された1枚又は複数枚の紙である。これらの説明書のさらに別の形態は、情報が記録されているコンピュータ可読媒体、たとえばディスケット、コンパクトディスク(CD)、フラッシュドライブなどである。存在する可能性がある、これらの説明書のさらに別の形態は、リモートサイトで情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0172】
添付の特許請求の範囲とは別に、本開示は、以下の条項(clauses)によっても定義される。
条項1:被験対象の所望の領域の磁気共鳴画像(MRI)支援ターゲティングの方法であって、
チャネルを備える調節可能ターレットを被験対象の組織表面に配置するステップと、
前記調節可能ターレットの前記チャネルに軌道ガイドのMRI可視針を挿入するステップと、
MRI画像装置を使用して前記MRI可視針を画像化するステップと、
前記画像化するステップに基づいて、前記チャネルの軌道を決定するステップと、
前記被験対象の前記所望の領域をターゲティングするために、前記チャネルの前記決定した軌道に基づいて前記調節可能ターレットを調節するステップとを含む、方法。
条項2:前記調節可能ターレットが、生体外に配置される、条項1に記載の方法。
条項3:前記被験対象の前記組織表面に台座を固定するステップと、前記台座に前記調節可能ターレットをマウントするステップとをさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
条項4:前記台座が、生体外に配置される、条項3に記載の方法。
条項5:前記台座が、フランジを備え、前記固定するステップが、前記フランジを通して締結具をマウントして、前記被験対象の前記組織表面に前記台座を固定するステップを含む、条項3又は4に記載の方法。
条項6:前記調節するステップに続いて前記調節可能ターレットを定位置にロックするステップをさらに含む、条項1から5のいずれかに記載の方法。
条項7:前記ロックするステップが、ロッキングカラーを締めて、前記ロッキングカラーと前記台座の間で前記調節可能ターレットを圧縮するステップを含む、条項6に記載の方法。
条項8:前記ロックするステップが、ロッキングカラーを締めて、前記台座の複数の環状壁部の間で前記調節可能ターレットを圧縮するステップを含む、条項6又は7に記載の方法。
条項9:前記チャネルが、前記ターレットと同軸でない、条項1から8のいずれかに記載の方法。
条項10:前記調節するステップが、前記調節可能ターレットの長軸に対する回転調節を含む、条項1から9のいずれかに記載の方法。
条項11:前記調節するステップが、前記調節可能ターレットの長軸に対する角度調節を含む、条項1から10のいずれかに記載の方法。
条項12:前記調節可能ターレットが、複数のチャネルを備える、条項1から11のいずれかに記載の方法。
条項13:前記複数のチャネルが、少なくとも2つの平行なチャネルを備える、条項12に記載の方法。
条項14:前記複数のチャネルが、少なくとも2つの平行でないチャネルを備える、条項12又は13に記載の方法。
条項15:前記決定するステップが、前記複数のチャネルのうちの少なくとも2つのチャネルの軌道を決定するステップを含む、条項12から14のいずれかに記載の方法。
条項16:前記軌道ガイドが、複数のMRI可視針を備える、条項1から15のいずれかに記載の方法。
条項17:前記軌道ガイドが、前記調節可能ターレットのチャネルに挿入されたとき前記チャネルの端部を越えて延在する少なくとも1つのMRI可視針を備える、条項1から16のいずれかに記載の方法。
条項18:前記軌道ガイドが、前記調節可能ターレットが有するチャネルと少なくとも同じ数の針を有する、条項1から17のいずれかに記載の方法。
条項19:前記軌道ガイドが、前記調節可能ターレットが有するチャネルよりも少なくとも1本多い針を有する、条項18に記載の方法。
条項20:被験対象の所望領域への薬剤又は電流の磁気共鳴画像(MRI)支援デリバリーの方法であって、
条項1から19のいずれかに従って、前記被験対象の前記所望の領域をターゲティングするステップと、
前記調節するステップの後、前記チャネルから前記MRI可視針を取り外すステップと、
前記チャネルから前記被験対象の前記所望の領域へと前記薬剤又は前記電流をデリバリーするステップとを含む、方法。
条項21:薬剤のMRI支援デリバリーを含み、前記デリバリーするステップが、前記薬剤を収容したデリバリー装置を前記チャネルに挿入するステップを含む、条項20に記載の方法。
条項22:前記デリバリー装置が、ニードル又はカニューレを備える、条項21に記載の方法。
条項23:前記薬剤が、遺伝子治療ベクターである、条項21又は22に記載の方法。
条項24:前記デリバリー装置が、前記デリバリー装置の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、前記デリバリー装置が前記の点を越えて前記チャネルに挿入されることを防止する、条項21から23のいずれかに記載の方法。
条項25:電流のMRI支援デリバリーを含み、前記デリバリーするステップが、電極を前記チャネルに挿入するステップを含む、条項20に記載の方法。
条項26:前記電極が、前記電極の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、前記電極が前記の点を越えて前記チャネルに挿入されることを防止する、条項25に記載の方法。
条項27:被験対象の所望の領域への薬剤又は電流の磁気共鳴画像(MRI)支援デリバリーの方法であって、
複数のチャネルを備える調節可能ターレットを被験対象の組織表面に配置するステップと、
前記調節可能ターレットの前記複数のチャネルのそれぞれに、軌道ガイドの複数のMRI可視針のそれぞれを挿入するステップと、
MRI画像装置を使用して前記複数のMRI可視針を画像化するステップと、
前記画像化するステップに基づいて、前記複数のチャネルのうちの2つ以上のチャネルの軌道を決定するステップと、
前記2つ以上のチャネルのうち、前記被験対象の前記所望の領域に最も近い軌道を備えるチャネルを特定するステップと、
前記被験対象の前記所望の領域に最も近い軌道を備える前記チャネルを通じて前記薬剤又は前記電流をデリバリーするステップとを含む、方法。
条項28:前記2つ以上のチャネルが平行である、条項27に記載の方法。
条項29:前記2つ以上のチャネルが平行でない、条項27に記載の方法。
条項30:前記特定したチャネルの前記決定した軌道に基づいて前記調節可能ターレットを調節し、前記被験対象の前記所望の領域に前記チャネルをターゲティングするステップをさらに含む、条項27から29のいずれかに記載の方法。
条項31:被験対象の所望の領域の磁気共鳴画像(MRI)支援ターゲティング用の軌道ガイドであって、
平坦な表面を備える固体支持体と、
造影剤を収容するように構成された内部空洞を備えるMRI可視針とを備え、
前記MRI可視針が、一方の端部で前記平坦な表面に固定され、被験対象の組織表面に固定される調節可能ターレットのチャネルに挿入されるような寸法にされ、それにより、MRI画像装置を使用して前記挿入されたMRI可視針の軌道を画像化することにより、前記チャネルをターゲティングすることが可能になる、軌道ガイド。
条項32:複数のMRI可視針を備える、条項31に記載の軌道ガイド。
条項33:前記複数のMRI可視針が、前記平坦な表面の幾何中心に対して対称に前記平坦な表面に固定される2本以上の針を備える、条項32に記載の軌道ガイド。
条項34:前記複数のMRI可視針が、前記複数のMRI可視針のうちの1本又は複数本の針に対して非対称に前記平坦な表面に固定される少なくとも1本の針を備える、条項32に記載の軌道ガイド。
条項35:少なくとも1つのMRI可視針が、前記平坦な表面に対して垂直に固定される、条項31から34のいずれかに記載の軌道ガイド。
条項36:少なくとも1つのMRI可視針が、前記平坦な表面に対して広がった角度で固定される、条項31から35のいずれかに記載の軌道ガイド。
条項37:前記固体支持体が、前記平坦な表面に対向して開口を備え、前記開口は、前記MRI可視針の前記内部空洞と一続きである、前記固体支持体の中の空隙に隣接し、それにより、前記空隙及び前記内部空洞へのアクセスが可能になる、条項31から36のいずれかに記載の軌道ガイド。
条項38:前記開口を閉じるためのキャップをさらに備える、条項37に記載の軌道ガイド。
条項39:前記キャップと前記開口が、適合可能なねじ切り部を備える、条項38に記載の軌道ガイド。
条項40:前記造影剤をさらに備える、条項31から39のいずれかに記載の軌道ガイド。
条項41:前記造影剤が、ガドリニウムを含む、条項31から40のいずれかに記載の軌道ガイド。
条項42:条項31から39のいずれかに記載の軌道ガイドと、
造影剤とを備える、
キット。
条項43:前記MRI可視針を受容する寸法にされた少なくとも1つのチャネルを備える調節可能ターレットをさらに備える、条項42に記載のキット。
条項44:前記調節可能ターレットが、複数のチャネルを備える、条項43に記載のキット。
条項45:前記複数のチャネルが、少なくとも2つの平行なチャネルを備える、条項44に記載のキット。
条項46:前記複数のチャネルが、少なくとも2つの平行でないチャネルを備える、条項43又は45に記載のキット。
条項47:前記調節可能ターレットの球形端部を受容するように構成された台座をさらに備える、条項43から46のいずれかに記載のキット。
条項48:前記台座に取り付けられるように構成されたロッキングカラーをさらに備え、前記ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされ、前記ロッキングカラーを第2の方向に回すことにより、前記球形端部が除圧されて、前記調節可能ターレットの軌道の再ターゲティングが可能になる、条項47に記載のキット。
条項49:遠位端部、球形端部、及び前記遠位端部から前記球形端部へと走る1つ又は複数のチャネルを備える調節可能ターレットと、
台座であって、
前記球形端部を受容するような寸法にされたソケットを形成する複数の環状壁部、
前記環状壁部の外表面のねじ切り部、
前記複数の環状壁部の間に配置される複数のスロット、並びに
被験対象の組織表面に前記台座を固定するための、前記環状壁部のうちの少なくとも1つと直交するフランジ
を備える台座と、
前記台座の前記外表面の前記ねじ切り部と適合可能な内表面のねじ切り部を備えるロッキングカラーとを備え、
前記ロッキングカラーを第1の方向に回すことにより、前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされ、前記ロッキングカラーを第2の方向に回すことにより、前記球形端部が除圧されて、前記調節可能ターレットの前記軌道の再ターゲティングが可能になる、調節可能ターゲティングシステム。
条項50:前記ロッキングカラーを前記第1の方向に回すことにより、前記台座と前記ロッキングカラーの間で前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる、条項49に記載のシステム。
条項51:前記ロッキングカラーを前記第1の方向に回すことにより、前記ソケットの前記複数の環状壁部の間で前記球形端部が圧縮されて、前記調節可能ターレットが所望の軌道にロックされる、条項49又は50に記載のシステム。
条項52:前記調節可能ターゲティングシステムが、前記被験対象の前記組織表面に固定されたとき前記台座及び前記ロッキングカラーが生体外になるように構成される、条項49から51のいずれかに記載のシステム。
条項53:前記調節可能ターゲティングシステムが、前記被験対象の前記組織表面に固定されたとき前記調節可能ターレットが生体外になるように構成される、条項49から52のいずれかに記載のシステム。
条項54:前記球形端部が、前記1つ又は複数のチャネルへの開口を備えた平坦な部分を前記遠位端部に対向して備える、条項49から53のいずれかに記載のシステム。
条項55:前記球形端部及び前記平坦な部分が、前記ソケットに挿入されたとき、前記平坦な部分が前記台座の前記底表面と同一平面になるような寸法にされる、条項54に記載のシステム。
条項56:前記ロッキングカラーが、把持を可能にするローレット加工された外表面を備える、条項49から55のいずれかに記載のシステム。
条項57:前記台座が、前記環状壁部のうちの少なくとも1つに直交する複数のフランジを備える、条項49から56のいずれかに記載のシステム。
条項58:前記調節可能ターレットが、複数の平行なチャネルを備える、条項49から57のいずれかに記載のシステム。
条項59:前記調節可能ターレットが、複数の平行でないチャネルを備える、条項49から58のいずれかに記載のシステム。
条項60:条項31から41のいずれかに記載の軌道ガイドをさらに備える、条項49から59のいずれかに記載のシステム。
条項61:前記軌道ガイドのMRI可視針が前記調節可能ターレットのチャネルに挿入されたときに前記MRI可視針を撮像するように配置されるMRI画像装置をさらに備える、条項60に記載のシステム。
条項62:条項49から61のいずれかに記載の調節可能ターゲティングシステムと、
前記調節可能ターレットの前記1つ又は複数のチャネルに挿入されるような寸法にされたデリバリー装置又は電極とを備える、
調節可能なターゲティングデリバリーシステム。
条項63:前記デリバリー装置又は電極が、前記デリバリー装置又は電極の長手方向に沿ったある点に配置される深さ止めを備えて、前記デリバリー装置が前記の点を越えて前記1つ又は複数のチャネルに挿入されることを防止する、条項62に記載のシステム。
条項64:命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピューティング装置によって実行されたとき、
調節可能ターレットのチャネルに挿入された軌道ガイドのMRI可視針の磁気共鳴画像(MRI)を受け取るステップと、
前記受け取ったMRIに基づいて、前記チャネルの軌道を決定するステップと、
前記決定した軌道を所望のユーザ入力軌道と比較するステップと、
前記比較するステップに基づいて、前記決定した軌道を前記所望のユーザ入力軌道に位置合わせするのに必要な、前記調節可能ターレットの推奨調節を計算するステップと、
前記推奨調節を表示するステップとを前記コンピューティング装置に実施させる、
非一時的コンピュータ可読媒体。
条項65:自動化された調節可能ターゲティングシステムであって、
条項62又は63に記載の調節可能ターゲティングシステムと、
前記調節可能ターレットに接続され、命令でプログラムされたプロセッサによって制御されるアクチュエータとを備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
前記チャネルに挿入された軌道ガイドMRI可視針の、受け取った磁気共鳴画像(MRI)に基づいて、前記調節可能ターレットのチャネルの軌道を決定させ、
前記決定した軌道を所望のユーザ入力軌道と比較させ、
前記比較に基づいて、前記決定した軌道を前記所望のユーザ入力軌道に位置合わせするのに必要な、前記調節可能ターレットの調節を計算させ、
前記調節を実行するように前記アクチュエータをトリガし、それによって前記決定した軌道を前記所望のユーザ入力軌道に位置合わせさせる、システム。
【0173】
前述の発明は、理解しやすくする目的で、説明及び例示のためにいくらか詳細に説明されてきたが、本発明の教示に照らし、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱しない限り、本発明に一定の変更及び修正がなされてもよいことは、当業者には容易に明らかになる。
【0174】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示する。当業者であれば、本明細書では明示的に説明又は図示していないが、本発明の原理を具体化しその趣旨及び範囲に含まれる種々の構成が考案可能であろうことが理解されよう。さらに、本明細書に列挙した例及び条件付きの文言は、本発明の原理及び当技術分野の進展のために本発明者らによって与えられる概念を読者が理解する助けとなることを主に意図しており、こうした具体的に列挙された例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様及び実施形態、並びにその具体的な例を列挙する、本明細書での記載は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含するものである。その上、こうした均等物には、現在知られている均等物と将来開発される均等物の両方、すなわち構造にかかわらず同じ機能を果たす、開発される任意の要素が含まれることが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載する例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
図1
図2
図3
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図5
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