(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ヘルスケア製品のための界面活性剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/18 20170101AFI20241002BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241002BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241002BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241002BHJP
【FI】
A61K47/18
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/107
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2022554766
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021021596
(87)【国際公開番号】W WO2021183582
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517213094
【氏名又は名称】アドバンシックス・レジンズ・アンド・ケミカルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ADVANSIX RESINS & CHEMICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】アシルバサム,エドワード
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-082624(JP,A)
【文献】国際公開第1998/045233(WO,A1)
【文献】特表2004-514646(JP,A)
【文献】特表2020-506189(JP,A)
【文献】特表2018-533573(JP,A)
【文献】国際公開第2017/048528(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0081277(US,A1)
【文献】Michal NOVOTNY et al.,“Transkarbams as transdermal permeation enhancers: Effects of ester position and ammonium carbamate formation”,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年05月,Vol. 20, No. 9,p.2726-2728,DOI: 10.1016/j.bmcl.2010.03.077
【文献】HRABALEK,A. et al,Esters of ω-amino acids as flexible penetration enhancers,Pharmazie,1994年,Vol.49, No.5,p.325-328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A23L 33/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【化2】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化3】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つ、及び
少なくとも1種の有効成分、
を含む、固体ヘルスケア配合物。
【請求項2】
1種又は複数の賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記1種又は複数の賦形剤がバインダー、充填剤、崩壊剤、塩、着色剤、甘味剤、及び香味剤からなる群から選択される、請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
粉末、錠剤、又はカプセルとして構成される、請求項1に記載の配合物。
【請求項5】
以下の式:
【化4】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【化5】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化6】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つ、
少なくとも1種の有効成分;及び
水性成分、
を含む、ヘルスケアのための液体配合物。
【請求項6】
バッファーをさらに含む、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
以下のもの:甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は防腐剤の1つ又は複数をさらに含む、請求項5に記載の配合物。
【請求項8】
増粘剤をさらに含む、請求項5に記載の配合物。
【請求項9】
以下のもの:液滴、ペースト、膏薬、ローション又は軟膏の1つである、請求項8に記載の配合物。
【請求項10】
以下の式:
【化7】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【化8】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化9】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つ、
少なくとも1種の有効成分;
水相;及び
非水相と、
を含む、ヘルスケアのためのエマルジョン。
【請求項11】
バッファーをさらに含む、請求項10に記載のエマルジョン。
【請求項12】
以下のもの:甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は防腐剤の1つ又は複数をさらに含む、請求項10又は請求項11に記載のエマルジョン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体として参照により本明細書に取り込まれる、2020年3月11日出願の特許仮出願第62/988,178号の優先権を主張する。
【0002】
分野
本開示は、ヘルスケアにおける使用のための界面活性剤に関する。そのような界面活性剤は、アミノ酸の誘導体を含んでいてもよく、該誘導体は、表面活性特性を有する。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤(表面活性特性を有する分子)は、洗剤からエアケア製品まで、そして化粧品までの範囲内の配合物中での商業的適用で広範に用いられる。表面活性特性を有する化合物は多くの場合、ヒト又は動物の健康を改善することを意図した配合物に添加される。幾つかのヘルスケア製品としては、医薬品、ニュートラシューティカルズ、ビタミン及び/又はミネラルサプリメント、並びに創傷ドレッシングが挙げられる。界面活性剤は、多くのヘルスケア指向又はヘルスケア関係の配合物中の重要成分であり、それは少なくとも一部の理由として、幾つかの界面活性剤が、簡便にサイズ測定された用量で含まれ得る有効成分、安定化剤、充填剤、賦形剤、アジュバント若しくは同様のものの量の増加を支援するため、そして/又は配合物中に界面活性剤を含むことが、製品の製造及び/若しくは包装において有用なためである。
【0004】
界面活性剤は、無電荷、双性イオン性、陽イオン性、又は陰イオン性であってもよい。原則として、任意の界面活性剤分類(例えば、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、両性)が、クレンジング又はクリーニング適用に適するが、実際には多くのパーソナルケアクレンザー及び家庭用クリーニング製品が、2つ以上の界面活性剤分類からの2種以上の界面活性剤の組み合わせを配合されている。
【0005】
多くの場合、界面活性剤は、相対的に非水溶性の疎水性「テール」基と、相対的に水溶性の親水性「ヘッド」基と、を有する両親媒性分子である。これらの化合物は、2種の液体の間、液体と気体の間、又は液体と固体の間の界面などの界面で吸着され得る。相対的に極性の成分と相対的に非極性の成分を含む系では、疎水性テールが、相対的に非極性の成分(複数可)と優先的に相互作用し、親水性ヘッドが、相対的に極性の成分(複数可)と優先的に相互作用する。水と油の間の界面の場合、親水性ヘッド基が、優先的に水中に広がり、疎水性テールが、優先的に油中に広がる。親水性ヘッド基は、水-気体の界面に添加されると、優先的に水中に広がり、疎水性テールは、優先的に気体中に広がる。界面活性剤の存在は、水分子の間の分子間相互作用の少なくとも一部を崩壊させて、水分子間の相互作用の少なくとも一部を、水分子の少なくとも一部と界面活性の間の一般により弱い相互作用と置き換える。このことが、低下された表面張力をもたらし、界面を安定化させることに役立ち得る。
【0006】
界面活性剤は、充分に高い濃度では、極性溶媒への疎水性テールの暴露を限定するのに役立つ凝集体を形成する場合がある。そのような凝集体の1つが、ミセルである。典型的なミセルでは、分子が球の中に配列されて、界面活性剤(複数可)の疎水性テールが、優先的に球の内側に配置され、界面活性剤(複数可)の親水性ヘッドが、優先的にミセルの外側に配置され、ヘッドがより極性の溶媒と優先的に相互作用する。所与の化合物が表面張力に及ぼす効果と、それがミセルを形成する濃度が、界面活性剤の特徴を定義するものとして役立ち得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、界面活性剤を配合されたヘルスケア製品を提供し、そのようなヘルスケア製品としては、錠剤、粉末、液体、膏薬、軟膏、体表面での使用のためのクレンザー及び又はワイプ、並びに創傷ドレッシングが挙げられるが、これらに限定されない。これらの製品は、本明細書に開示された1つ又は複数の界面活性剤分類からの1種又は複数の界面活性剤を含むように配合されてもよい。
【0008】
本開示は、ヘルスケア製品における使用のための界面活性剤を、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体の形態で提供する。該アミノ酸は、天然由来若しくは合成アミノ酸であってもよく、又はそれらは、ラクタム、例えばカプロラクタムなどの分子の開環反応を介して得られてもよい。該アミノ酸は、表面活性特性を有する化合物を形成するように官能基化されていてもよい。特徴としてこれらの化合物は、低い臨界ミセル濃度(CMC)及び/又は液体の表面張力を低減する能力を有してもよい。
【0009】
本開示は、式I
【0010】
【0011】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と、を含む、活性剤(Active)を患者に送達するための配合物を提供する。
【0012】
本開示はさらに、式I
【0013】
【0014】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;非限定的に、鎮痛剤、抗生物質、抗高血圧剤、化学療法薬、抗精神病薬、抗うつ薬、精神安定剤、プロトンポンプ阻害薬、及び抗真菌剤からなる群から選択される少なくとも1種の薬物と、を含む、患者への活性剤の送達のための配合物を提供する。
【0015】
本開示はさらに、式I
【0016】
【0017】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;バインダー、崩壊剤、滑剤、着色剤及び/又は香味剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤と、を含む、活性剤を患者に到達するための固体の形態の配合物を提供する。
【0018】
本開示はまた、式I
【0019】
【0020】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;水相及び非水相のどちらか又は両方と;場合により少なくとも1種の着色剤及び/又は少なくとも1種の香味剤と、を含む、活性剤を液体の形態で送達するための配合物を提供する。
【0021】
本開示はさらに、式I
【0022】
【0023】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;水相と;非水性のものと;場合により少なくとも1種の着色剤及び/又は少なくとも1種の香味剤と、を含む、活性剤をエマルジョンの形態で送達するための配合物を提供する。
【0024】
本開示はさらに、式I
【0025】
【0026】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;水相及び非水性のものと;場合により少なくとも1種の着色剤及び/又は少なくとも1種の香味剤と、を含む、活性剤をエマルジョンの形態で送達するための配合物を提供する。
【0027】
本開示の上述及び他の特色、並びにそれらを実現する手法は、以下の態様の記載を添付の図面と合わせて参照することによってより明白となり、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施例1bに記載された通りのpH=7で測定された界面活性剤1での表面張力と濃度を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)での濃度(c)を表す。
【
図2】
図2は、実施例1cに記載された界面活性剤1での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)での表面経過時間を表す。
【
図3】
図3は、実施例2bに記載された通りのpH=7で測定された界面活性剤2での表面張力と濃度を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)での濃度(c)を表す。
【
図4】
図4は、実施例2cに記載された界面活性剤2での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)での表面経過時間を表す。
【
図5】
図5は、実施例3bに記載された通りのpH=7で測定された界面活性剤3での表面張力と濃度を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)での濃度(c)を表す。
【
図6】
図6は、実施例3cに記載された界面活性剤3での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)での表面経過時間を表す。
【
図7】
図7は、実施例4bに記載された通りのpH=7で測定された界面活性剤4での表面張力と濃度を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)での濃度(c)を表す。
【
図8】
図8は、実施例4cに記載された界面活性剤4での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)での表面経過時間を表す。
【
図9】
図9は、実施例5bに記載された通りのpH=7で測定された界面活性剤5での表面張力と濃度を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)での濃度(c)を表す。
【
図10】
図10は、実施例5cに記載された界面活性剤5での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示し、Y軸は、メートルあたりのミリニュートン(mN/m)での表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)での表面経過時間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で用いられる語句「これらのエンドポイントを利用した任意の範囲内」は、値が列挙のより低い部分であるか、又は列挙のより高い部分であるかにかかわらず、任意の範囲がそのような語句の前に列挙された値の任意の2つから選択され得ることを文字通り意味する。例えば一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値とより高い値から選択されてもよい。
【0030】
本明細書で用いられる言語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖であり得る任意の飽和炭素鎖を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる語句「表面活性」は、会合された化合物が少なくとも部分的に溶解された媒体の表面張力、及び/又は他の相との界面張力を低下させることが可能であり、したがって液体/蒸気及び/又は他の界面で少なくとも部分的に吸着され得ることを意味する。用語「界面活性剤」は、そのような化合物に適用されてもよい。
【0032】
不正確さの用語法に関係して、用語「約」及び「およそ」は、述べられた測定を包含し、述べられた測定に適度に近い任意の測定も包含する、測定をいうために互換的に用いられてもよい。述べられた測定に適度に近い測定は、関連の技術分野の当業者により理解され、即座に確認される通り、述べられた測定から適度に小さな量だけ逸脱する。そのような逸脱は例えば、測定誤差、又は性能を最適化するために行われた微細な調整に起因され得る。関連の技術分野の当業者がそのような適度に小さな差異についての値を即座に確認しないことが決定された場合には、用語「約」及び「およそ」は、述べられた値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解され得る。
【0033】
値の範囲が、提供される場合、その範囲及び任意の他の言及された範囲の上限と下限の間の各介在値、又はその言及された範囲内の介在値が、本開示に包含されるものとする。例えば1μm~8μmの範囲が、言及されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、及び7μmに加え、1μm以上の値の範囲及び8μm以下の値の範囲も、明白に開示されるものとする。本明細書で用いられる用語「約」は、値の±5%、±10%、又は±20%が修正されていることを意味する。
【0034】
用語「エマルジョン」又は「エマルジョン配合物」は、径が一般に10ナノメートル~100ミクロンの間である液滴の形態の2種の混和可能な液体のコロイド分散物を意味する。エマルジョンは、連続相が水溶液であるなら記号O/W(水中油)により表され、連続相が油であるならW/O(油中水)により表される。O/W/O(油中水中油)などのエマルジョンの他の例としては、連続油相に分散された水滴に含有される油滴が挙げられる。「物理的に安定した」エマルジョンは、(1)500nm又は0.5μmを超えない平均液滴サイズ、及び(2)5℃又は室温で指定された貯蔵期間に0.05%を超えない5μmより大きな脂肪(PFAT5)の体積加重パーセンテージとして表される大きな径の脂肪球の集団、のための普遍的限界を定義するUSP<729>の下での基準に適合するであろう。加えて、物理的に安定したエマルジョンは、5℃又は室温で指定の期間貯蔵、活性剤の可視結晶を有さないであろう。結晶は、4倍~10倍の倍率で観察した場合に可視であると判断される。エマルジョンは、USP<729>の下での基準に適合し、活性剤の結晶が5℃又は室温で1週間、2週間、4週間、1か月、2か月、6か月、1年若しくは2年の期間、又は少なくとも1週間、2週間、4週間、1か月、2か月、6か月、1年若しくは2年の期間の貯蔵により可視にならなければ、物理的に安定している。
【0035】
本開示の「化学的に安定した」エマルジョンは、活性成分(即ち、送達される治療活性剤)の濃度が適当な貯蔵条件下で少なくとも1か月間、 約20%より多く変化しないものである。特定の態様において、本開示のエマルジョン中の活性剤濃度は、適当な貯蔵条件下で少なくとも1、2、3、4、5、6、9、12、15、18、又は24か月間、約5%、10%、15%又は20%より多く変化しない。
【0036】
一例において、本開示の安定したエマルジョン組成物は、広範囲の温度、例えば-20℃~40℃にわたり安定している。本開示の組成物は、約5℃~約25℃で貯蔵されてもよい。
【0037】
油中水エマルジョン中の「油相」は、水の相の溶解度限界を個別に超える配合物中の全ての成分をいい、これらは、蒸留水に1%未満の溶解度を一般に有する材料であるが、塩などの水の相の成分は、特定の油の溶解度を低下させて油相への分配をもたらす場合がある。油相は、油中水エマルジョンの非水性部分をいう。
【0038】
油中水エマルジョン中の「水相」又は「水の相」は、存在する水、及び水溶性である、即ち水への溶解度限界を超えていない任意の成分45をいう。本明細書で用いられる「水相」は、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、キレート化剤、錯化剤及び可溶化剤、抗酸化剤及び抗微生物防腐剤、加湿剤、懸濁剤、及び/又は粘度調整剤、張度及び湿潤又は他の生体適合性の材料などの医薬的に許容できる添加剤を含有し得る水含有液を包含する。水相は、油中水エマルジョンの非油分をいう。
【0039】
「乳化剤」は、個々の油相及び水相への注入可能なエマルジョンの分離を阻止する化合物をいう。本開示において有用な乳化剤は一般に、(1)本開示の安定したエマルジョンの他の原料と相溶性があり、(2)エマルジョンに含有される薬物の安定性又は有効性と干渉せず、(3)調製物中で安定していて劣化せず、(4)非毒性である。
【0040】
本明細書で用いられる用語「活性剤又は複数の活性剤」又は「有効成分」又は「複数の有効成分」は、ヒト及び/又は動物において有益な手法で作用する、又は作用すると思われる化合物をいい、本明細書において用いられるこれらの用語は、互換的に用いられてもよい。そのような化合物としては、医薬品、抗体、グラフト材料、移植片材料、ニュートラシューティカルズ、ビタミン、及びミネラルサプリメントが挙げられるが、これらに限定されず、そのような活性剤は、単独又は他の活性剤との組み合わせのどちらかで配合されてもよい。
【0041】
本明細書で用いられる「ネイティブ粒子(native particles)」は、任意の他の添加成分を含まない化合物の粒子をいい、即ち、活性剤のネイティブ粒子は、活性剤を含有して任意の添加された賦形剤(複数可)を含有しない粒子である。「薬物含有粒子」は、「活性剤のネイティブ粒子」及び1種又は複数の賦形剤を含む予備成形粒子をいう。薬物を含む粒子は、必然的にネイティブ粒子より大きなサイズである。薬物を含む粒子は、顆粒、ビーズ、ペレット、又はその他の方法でより小さな一次薬物粒子(primary drug particles)そのものを組み込み、流動及び移動のための従来の粉末の取り扱いに耐え得る他の操作された粒子若しくは集塊であり得る。
【0042】
本明細書で用いられ、他に断りがなければ、「粒子サイズ」及び「実際の粒子サイズ」は、配合物中に任意の他の成分(複数可)を含まない化合物の粒子サイズ、即ち、活性剤のネイティブ粒子の粒子サイズ又は活性剤を含む粒子の粒子サイズをいい、これらの幾つかは、「ドラッグイン粒子(drug-in particles)」と称され得る。
【0043】
I.少なくとも1種の活性剤を含む固体投与配合物
固体投与配合物は、粉末;少なくとも1種の液体の存在下若しくは非存在下で、マトリックスに印刷すること若しくは固体を圧縮すること、のどちらかにより形成される錠剤;又はカプセルとして、配合された少なくとも1種の活性剤を含むが、これに限定されない。
【0044】
幾つかの態様は、活性剤又は活性剤粒子が、界面活性剤、分散剤、賦形剤、バインダー、甘味剤及び香味剤からなる群から選択される少なくとも1種の他の非活性剤の存在下で配合された錠剤又はカプセルを包含する。
【0045】
幾つかの態様は、少なくとも1種の活性剤を、界面活性剤、分散剤、賦形剤、バインダー、甘味剤及び香味剤からなる群から選択される少なくとも1種の非活性剤と共に圧縮することにより、活性剤又は活性剤粒子が配合された錠剤を包含する。
【0046】
幾つかの態様は、少なくとも1種の活性剤を、界面活性剤、分散剤、賦形剤、バインダー、甘味剤及び香味剤からなる群から選択される少なくとも1種の非活性剤と同じ外包の中でカプセル化することにより、活性剤又は活性剤粒子が配合されたカプセルを包含する。
【0047】
本発明の幾つかの形態は、高濃度の少なくとも1種の活性化合物を含む配合物であり、これらの配合物の幾つかは、貯蔵及び取り扱いに耐える低い摩損度及び充分な硬度を呈し、同時に極めて急速な崩壊速度を呈し、経口投与された場合に一般に許容できる風味であり得る。
【0048】
幾つかの形態において、急速分散可能な固体投与剤形は、活性剤と、少なくとも1種の崩壊剤及び少なくとも1種のバインダー及び少なくとも1種の界面活性剤などの特有の賦形剤を含むバルク材料と、の薬物含有粒子を含む多孔質で三次元印刷されたマトリックスを含んでいてもよい。バルク材料は、滑剤、甘味剤及び/又は香味剤などの少なくとも1種の追加的賦形剤をさらに含んでいてもよい。
【0049】
幾つかの態様において、マトリックスは、粉末への印刷液(printing fluid)の付着により形成されてもよく、それにより粉末の粒子がバインダーにより結合されるようになる。マトリックスは、多孔質で、定義された全体的嵩密度、水性流体中での崩壊(分散)時間、水性流体への溶解時間、及び水分含量を有していてもよい。幾つかのマトリックスは、少量の水性液に接触又は浸漬された場合に、充分な硬度と、低い摩損度と、急速な分散速度とのバランスを提供する。本発明の幾つかの態様は、a)マトリックスの硬度が約1~約7キロポンド(kp)(約454~約3175kg)、約1~約3kp(約454~約1361kg)の範囲内であるもの;b)マトリックスが、15mlの水又は唾液に入れられた場合に、10秒以下で分散するもの;c)マトリックスを形成するのに用いられる印刷液によって、バインダーがマトリックスに導入されるもの;d)マトリックスを形成するのに用いられる原末によって、バインダーがマトリックスに導入されるもの;e)マトリックスが約150mg~約600mgの活性剤を含むもの;f)マトリックスが10~40の印刷されたインクリメンタル層(incremental layer)を含むもの;g)インクリメンタル層の厚さ(高さ)が0.006~0.014インチ(約0.15~0.36mm)又は0.008~0.012インチ(約0.20~0.30mm)の範囲内であるもの;h)マトリックスが多孔質で非圧縮のもの、を包含する。
【0050】
幾つかの態様において、活性剤は、結晶形態で存在する。その全ての多形が、企図される。活性剤又は任意の他の材料の結晶性が、非晶質材料の存在を決定する示差走査熱量測定(DSC)により決定され得る。幾つかの態様において、活性剤は、非晶質形態で、原末又はマトリックス中に存在する。
【0051】
幾つかの態様は、結合された甘味剤、バインダー、崩壊剤、界面活性剤、及び活性剤の薬物含有粒子を含み、バインダーがマトリックスに結合している、三次元印刷マトリックスを含む口内分散性投与剤形を提供する。マトリックスは、活性剤そのものにより結合されていても、又は結合されていなくてもよい。配合物が、印刷液によって形成されるなら、理想的には印刷液は、三次元印刷工程の間、任意の実質的量の活性剤を溶解しない。
【0052】
幾つかの態様において、活性剤含有粒子は、少なくとも1種の活性剤と、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種又は少なくとも5種の医薬賦形剤とを含む。幾つかの態様において、薬物含有粒子は、活性剤と、少なくとも1種のバインダーと、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の崩壊剤と、を含む。活性剤含有粒子は、甘味剤及び/又は香味剤をさらに含んでいてもよい。幾つかの態様において、薬物含有粒子は、OXCと、少なくとも2種のバインダーと、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の崩壊剤と、を含む。本発明の幾つかの態様は、a)マトリックス中の薬物含有粒子の含量が一般に、最終投与剤形のマトリックスの総重量に基づき55~85%wt、60~80%wt又は65~70%wtの範囲内であるもの;b)薬物含有粒子が、崩壊剤、バインダー、界面活性剤、及び活性剤のネイティブ粒子を含むもの;c)薬物含有粒子中のOXCのネイティブ粒子の含量が、薬物含有粒子の最終重量に基づき55~85%wt、60~80%wt又は65~70%wtの範囲内であるもの;d)薬物含有粒子中の崩壊剤の含量が、薬物含有粒子の最終重量に基づき0~30wt%、1~15wt%、又は2~5wt%の範囲内であるもの;e)薬物含有粒子のバインダーの含量が、薬物含有粒子の最終重量に基づき0~10wt%、1~7wt%、又は2~5wt%の範囲内であるもの;f)薬物含有粒子の界面活性剤の含量が、薬物含有粒子の最終重量に基づき0~10wt%、1~5wt%、又は1.4~4.2wt%の範囲内であるもの;g)薬物含有粒子が、湿式造粒により製造されたもの、を包含する。
【0053】
本発明の一形態は、少なくとも1種の活性剤と、少なくとも1種の甘味剤と、少なくとも1種のバインダーと、少なくとも1種の崩壊剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の滑剤と、を含む口内分散性三次元印刷マトリックスを提供し、マトリックスは、バインダーにより結合された粒子を含み;マトリックスは、多孔質で非圧縮であり;マトリックスは、容量15mlの水性流体に15秒未満で分散し;活性剤は、活性剤と担体としての少なくとも1種の医薬賦形剤との小さな粒子を含む薬物含有粒子に含まれ、マトリックス中の活性剤の含量は、マトリックスの総重量に基づき35~60%wtの範囲内である。
【0054】
薬物を含む粒子、特に湿式造粒により調製された顆粒は、1~3kP(約454~約1361kg)の範囲内の硬度及び15秒以下又は10秒以下の水への分散時間を有する活性剤を含む、急速に分散可能な3DPマトリックスを調製するために用いられ得る。適切な薬物含有粒子は、65~70wt%の活性剤、21.5~23wt%の希釈剤/崩壊剤、例えば微結晶セルロース、3~5wt%のスーパー崩壊剤、例えばエコスカルメロース(ecoscarmellose)、1~4.5wt%の界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、及び2.5~5%のバインダー、例えばヒドロキシプロピルセルロースを含む。高剪断性湿式造粒により生成された薬物含有粒子は、約60~100ミクロンのDVO.5を有した。
【0055】
幾つかの態様において、マトリックスは、少量の水性流体に急速に分散する(崩壊する)。本発明の幾つかの態様は、マトリックスが、少量の水性流体に入れられた場合に、約30秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、又は約5秒以下で分散するものを包含する。幾つかの態様において、崩壊時間は、USP<701>に従って決定される。
【0056】
1.活性剤
活性剤は、ヒト又は動物の健康に有益な効果を有する、又は有すると考えられる任意の化合物を包含し得る。そのような活性剤としては、専ら処方箋により、又は処方箋がなくとも利用可能になり得る医薬化合物;ビタミン、ミネラル、乳児用粉ミルク;及び代用食、エネルギー飲料、及び/又はバー並びに同様のものなどのサプリメントが挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
活性剤を含む粒子は、約50~約400ミクロン、約50~約300ミクロン、約50~約250ミクロン、約60~約250ミクロン、約60~約100ミクロン、又は約75~約250ミクロンの範囲内の平均(average)、平均値(mean)、又は中央値粒子サイズを有する。
【0058】
幾つかの態様において、活性剤のネイティブ粒子は、約1~約90ミクロン、約1~約75ミクロン、約1~約50ミクロン、約1~約30ミクロン、約1~約15ミクロン、約1~約10ミクロン、約2~約14ミクロン、約10~約80ミクロン、約20~約70ミクロン、約20~約60ミクロン、又は約30~約50ミクロンの範囲内の平均、平均値、又は中央値粒子サイズを有する。幾つかの態様において、OXCネイティブ粒子は、約100ミクロン未満のDV90、約90ミクロン未満のDV90、約75ミクロン未満のDV90、約50ミクロン未満のDV90、及び/又は約75ミクロン未満のDV50、約50ミクロン未満のDV50、約40ミクロン未満のDV50、約30ミクロン未満のDV50、約20ミクロン未満のDV50、約10ミクロン未満のDV50、約5ミクロン未満のDV50、約1~約40ミクロンのDV50、約1~約30ミクロンのDV50、約1~約20ミクロンのDV50、約5~約15ミクロンのDV50、及び/又は約30ミクロン未満のDV10、約20ミクロン未満のDV10、約10ミクロン未満のDV10、約5ミクロン未満のDV10、約1ミクロン未満のDV10を有する粒子サイズ分布を有する。これらのDV10、DV50及びDV90値の全ての組み合わせ及び範囲が、企図される。ネイティブ粒子のサイズ分布及び/又は効果的な粒子サイズ分布は、モノモーダル、バイモーダル又はマルチモーダルであり得る。活性剤は、それぞれが自身のネイディブ粒子のサイズ分布及び/又は調製方法を有する、2つ以上の異なるネイティブ薬物粉末の混合物として存在し得る。薬物含有粒子は、それぞれが自身の効果的な粒子サイズ分布及び/又は調製方法を有する、2つ以上の異なる粉末の混合物として存在し得る。幾つかの態様において、活性剤は、粉砕された第一の形態と、微粒子化された第二の形態と、を含む。第一の形態の量は、0~25%wt、10~15%wt、又は13~15%wtの範囲内であり得、第二の形態の量は、それぞれ100~75%wt、90~85%wt、又は97~85%wtの範囲内であり得る。
【0059】
本発明の幾つかの態様は、活性剤を含むマトリックスが約150~約1200mg、約150mg、約300mg、約450mg、約600mg、約750mg、約900mg、約1050mg、又は約1200の活性剤を含むものを包含する。
【0060】
2.賦形剤
ヘルスケア配合物中の賦形剤は、配合物中の媒体及び/又は充填剤として役立つ固体配合物に添加された通例通り定義された不活性化合物である。医薬的有効成分を、多孔質構造(結合された粒子のマトリックス)に緩やかに包ませて、適当な水性流体、例えば唾液の存在下で急速な分散に供させる、小分子及びポリマーの両方の最も医薬的に許容できる賦形剤が用いられ得る。本発明の三次元印刷工程での使用に適したこれらの賦形剤の幾つかが、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Eds. A. Wade and P. J. Weller, Second edition, American Pharmaceutical Association, The Pharmaceutical Press, London, 1994)に列挙される。
【0061】
他に明確に言及されない限り、本明細書で用いられる賦形剤は、充填剤、希釈剤、バルキング剤、及び同様のものとして用いられる、又は通例そのように称される化合物をいうことができ、これらの名称が網羅的でなく、それらが排他的でなく、例えば具体的賦形剤が、希釈剤及び充填剤の両方に役立ち得ると理解されている。他に明確に言及されない限り、本明細書で用いられる賦形剤は、バインダー、コーティング、崩壊剤、甘味剤、香味剤、及び滑剤として用いられる、又は通例そのように称される化合物をいうことができる。
【0062】
賦形剤は、所与の配合物の安定性、感覚刺激特性及び/又は物理的特性に影響を及ぼし得る。活性剤の所与の配合物中の活性剤と賦形剤の重量比は、所与の配合物の治療的、物理的、外観的、及び又は感覚刺激特性を変化させるため様々であり得る。
【0063】
固体投与剤形のための適切なタイプの賦形剤としては、バインダー、崩壊剤、分散剤、充填剤、甘味剤、滑剤、香味剤、界面活性剤、保湿剤、防腐剤及び希釈剤が挙げられる。従来の医薬賦形剤が、用いられ得るが、それらは、いつも伝統的な医薬的処理と同じ手法で精密に機能するとは限らない。
【0064】
活性剤の配合物中の少なくとも1種の賦形剤の添加は、投与剤形中の薬物の硬度、分散時間、摩損度、投与剤形サイズ及び用量などの配合物の特性への影響を有し得る。薬物含有粒子中の賦形剤含量が、過度に低ければ、投薬の性能が、犠牲にされ得る。薬物含有粒子中の賦形剤含量が、過度に高ければ、粒子中に適切な用量の活性剤を含むように、投与剤形サイズが増加されなければならない可能性がある。
【0065】
3.バインダー
バインダーは、固体配合物に添加され得る賦形剤のサブクラスである。活性剤の固体配合物は多くの場合、同一又は他の活性剤並びに又は甘味剤、香味剤及び防腐剤などの他の賦形剤をはじめとする他の成分などの固体配合物中の粒子の間の会合を促進する化合物であるバインダー。本発明の配合物中で用いられ得る適切なバインダーとしては、ゼラチン、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルピロリドン、デンプン及び糖類が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なバインダーとしては、噴霧乾燥されたラクトース、フルクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
1つ又は複数のバインダーが、印刷されたマトリックス中に含まれ得る。バインダーは、原末、薬物含有粒子及び/又はプリントヘッドを通して分散された印刷液のどれかに含まれてもよい。バインダーは、各出現の際に独立して選択される。バインダーがプリントヘッドからの印刷液により接触される場合、又はバインダーが印刷液に存在する(即ち、可溶性である)場合のどちらかで、バインダーへの、そして/又はバインダーによる、粒子の接着が起こる。バインダーは、好ましくは水溶性であるか、水性流体に可溶性であるか、一部が水溶性であるか、又は一部が水性流体に可溶性である。幾つかの態様において、印刷液は、0~10%wtのバインダーを含む。幾つかの態様において、原末は、>0~50%witまで、10%~45%、20%~45%、25~40%、25~35%wtのバインダーを含む。幾つかの態様において、薬物含有粒子は、>0~10%、2~10%、2~7%、又は2~5%wtのバインダーを含む。幾つかの態様において、印刷されたマトリックスは、>0~50%wit、10%~45%、20%~45%、25~40%wtのバインダーを含む。幾つかの態様において、バインダーは、印刷液に存在しない、又はバルク材料に存在しない。
【0067】
適切なバインダーとしては、水溶性合成ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリトリトール、アルファー化デンプン、化工デンプン、アラビノガラクタンが挙げられる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
4.界面活性剤
本発明の固体経口投与剤形は、1種又は複数の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、レシピエントの口の内部に接触すると、そして/又はさらに患者により摂取されると、固体経口投与の崩壊速度を上昇させるように本発明の配合物中に含まれていてもよい。本発明の固体投与配合物は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の界面活性剤、そして場合により両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の他の界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。そのような界面活性剤は、本明細書に記載された本質的成分と物理的及び化学的に適合性がなければならない、又はその他に過度の製品安定性、美容性、若しくは性能を付与してはならない。
【0069】
本発明の幾つかの態様は、a)少なくとも1種の界面活性剤が、投与剤形の最終重量に基づき0.5~7.0%wtの範囲内の量で存在し;b)少なくとも1種の甘味剤が、投与剤形の最終重量に基づき0.01~2.0%の範囲内の量で存在し;c)少なくとも1種のバインダーが、投与剤形の最終重量に基づき5~15%の範囲内の量で存在し;d)少なくとも1種の崩壊剤が、投与剤形の最終重量に基づき10~30%の範囲内の量で存在し;そして/又はe)少なくとも1種の滑剤が、投与剤形の最終重量に基づき0~2%の範囲内の量で存在する、固体配合物を包含する。
【0070】
本開示の固体経口投与配合物における使用のための適切な界面活性剤は、式I
【0071】
【0072】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される1種又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと、を含む。
【0073】
詳細には適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書に記載された界面活性剤1~5のいずれかの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0074】
固体経口投与配合物中の界面活性剤系の濃度は、即座に製造され得、貯蔵され得、そしてヒト又は動物患者に投与され得る配合物を提供するのに充分でなければならない。
【0075】
印刷された固体配合物において、印刷液、原末及び活性剤含有粒子に界面活性剤を含むことは、最小量の水に入れられた場合に3DP投与剤形の急速な分散の確保を支援する。界面活性剤は、粒子の湿潤を増進するのに役立ち得る。界面活性剤は、界面活性剤を含まずに配合された別の3DP投与剤形に比較して、分散を増進するのに充分な量のみで存在する必要がある。しかし界面活性剤が、過度に多量で存在するならば、それは、投与剤形の食感、性能及び/又は物理的特性に負の影響を及ぼす場合がある。界面活性剤は、活性剤を含む顆粒、原末及び/又は印刷液中に含まれ得る。幾つかの態様において、薬物含有粒子中に存在する界面活性剤の総量は、薬物含有粒子に対する重量に基づき約0~5%、>0~5%、1~4.2%、2~3%wtの範囲内である。幾つかの態様において、活性剤含有粒子を除く原末中に存在する界面活性剤の量は、原末に対する重量に基づき約0~5%、>0~5%、1~4.2%、2~3%wtの範囲内である。
【0076】
5.崩壊剤
崩壊剤は、配合物の物理的特性を適合させるために固体配合物に添加される賦形剤のタイプである。多くの固体配合物は、マトリックスの硬度、摩損度及び分散時間を制御するための重要な原料である少なくとも1種のバインダー及び少なくとも1種の崩壊剤を含む。一般に、バインダー量が大きくなるほど、固体配合物の硬度が高くなり、摩損度が低くなり、分散時間が緩徐になる。その一方で、崩壊剤の量の増加は、より低い硬度、摩損度の上昇及びより急速な分散時間を提供する。したがって固体配合物は、均衡のとれた量のバインダー及び崩壊剤を含んでいてもよい。
【0077】
適切な崩壊剤としては、微結晶セルロース(MCC)、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロース)、粉末セルロース又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい崩壊剤としては、微結晶セルロース、例えばAVICEL(R)PH101、微結晶セルロースの2つの等級の組み合わせ、及びクロスカルメロースが挙げられる。AVICEL(R)の適切な等級は、以下の表に要約されている。投与剤形は、指定された等級の1つ又は組み合わせを含み得る。単一の等級又は等級の組み合わせを含有するそのような態様の全てが、企図される。
【0078】
成分のマトリックスを印刷することにより形成された固体配合物の場合、配合物は、印刷されたマトリックスに含まれ得る1種又は複数の崩壊剤を含んでいてもよい。崩壊剤は、原末及び/又は薬物含有粒子中に存在し得る。崩壊剤は、各出現で独立して選択される。幾つかの態様において、原末は、3~20%wt、3~15%wt、4~12%wt、又は10~16%wtの崩壊剤を含む。幾つかの態様において、薬物含有粒子は、15~35%wt、20~30%又は25~30%%wtの崩壊剤を含む。
【0079】
6.甘味剤
甘味剤は、感覚刺激特性を改変するために配合物に添加され得る賦形剤のタイプである。1種又は複数の甘味剤は、固体配合物、例えば印刷されたマトリックスを含む固体配合物に含まれ得る。甘味剤は、原末、薬物含有粒子、及び/又は固体を形成するために用いられる印刷液などの流体の中に存在し得る。固体マトリックスを印刷することにより形成された配合物において、少なくとも1種の甘味剤が、少なくとも1種の印刷液中に存在する場合に、より良好な矯味が観察される。甘味剤は、各出現で独立して選択されてもよい。印刷液、薬物含有粒子及び/又は原末は通例、少なくとも1種の甘味剤を有し得る。幾つかの態様において、原末は、>0~5%wt%、又は>0~2%wt%、又は>0~1.5%wtの甘味剤を含む。幾つかの態様において、印刷液は、>0~5%wt%、>0~4%wt%、>0~3%wt%、>0~2%wt%、0.1~5%wt%、0.1~4%wt%、0.1~3%wt%、0.1~2%wt%、0.5~3%wt又は1~3%wtの甘味剤を含む。幾つかの態様において、薬物含有粒子は、0~5%wtの甘味剤を含む。
【0080】
適切な甘味剤は、グリチルリチン酸誘導体、例えばMagnasweet(グリチルリチン酸モノアンモニウム)、スクラロース及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。印刷液中の好ましい甘味剤は、スクラロースである。甘味剤は、少なくとも印刷液中に存在するが、原末中にも存在してよい。
【0081】
7.香味剤
香味剤は、感覚刺激特性を改変するために配合物に添加され得る賦形剤のタイプである。1種又は複数の香味剤が、マトリックス中に含まれ得る。香味剤は、原末、薬物含有粒子、及び/又は印刷液中に存在し得る。香味剤は、好ましくは水溶性、水性流体に可溶性、一部が水溶性、又は一部が水性流体に可溶性である。香味剤は、原末中に存在するなら、好ましくは原末の調製前に担体粉末に塗布された形態で存在する。適切な担体粉末としては、デンプン、化工デンプン、セルロース、及び香味剤を吸収すること、吸着すること、包み込むこと、又はカプセル化することが可能な他の粉末を挙げることができる。幾つかの態様において、印刷液は、0~5%%wt、0.01~1.0%wt、又は0.05~0.5%wtの香味剤を含む。幾つかの態様において、原末は、0.1~10%wit、又は1~10%wt、2~8%wt、3~7%wtの、香味剤を組み込んだ担体粉末を含む。幾つかの態様において、印刷されたマトリックスは、0~10%wt、0.0110%wtの香味剤を含む。幾つかの態様において、香味剤は、印刷液に存在しない、又はバルク材料に存在しない。適切な香味剤としては、ペパーミント、スペアミント、ミント、バニラ、オレンジ、レモン、シトラス、ライム、グレープ、チェリー、ストロベリー、チョコレート、コーヒー又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
II.固体配合物を作製する方法
少なくとも1種の活性剤を含む錠剤が、当該技術分野で公知である任意の手段により製造されてもよい。例示的な方法としては、直接圧縮、乾式造粒、及び湿式造粒が挙げられる。これらの工程のステップは、当産業で知られた順序で実践される以下のステプのいずれかを含んでいてもよい。これらのステップは、固体原料を互いに混合すること、又は固体原料を、最終的な乾燥配合物を形成するのに充分少量の液体と混合すること、を含む。別の通例用いられるステップは、造粒、つまり均一で理想的には類似のサイズ及び形状の粒子を作り出すために通例用いられる工程である。配合物に応じて、造粒ステップは、最終配合物の個々の成分で、最終配合物の成分の混合物で、又は最終配合物で実践されてもよい。
【0083】
固体配合物を作出する工程が、液体、ゲル、若しくはペーストを最初に作出するステップを含むなら、又は配合が、少なくとも1種の固体原料を少なくとも1種の液体原料と混合するステップを含むなら、錠剤を形成させる工程は、配合物を乾燥させる工程を含む可能性がある。適切な乾燥工程は、配合物の成分及び所望の最終産物に依存するであろう。適切な乾燥工程としては、真空乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、凍結乾燥、パン又はトレイでの乾燥、及び当該技術分野で公知である任意の方法が挙げられる。錠剤を作出するための当該技術分野で公知である従来の手段は、配合物の所望の最終組成を含む混合物を圧縮することを含む。錠剤を形成させるために通例用いられる機器としては、スタンピング及びロータリープレスが挙げられる。一般に錠剤は、看護される患者集団への経口投与を容易にするようなサイズ及び形状にされる。
【0084】
錠剤を配合するためのさらに別の例示的方法としては、少なくとも1種の活性剤を含むマトリックスの三次元印刷が挙げられる。この工程の幾つかの変法の幾つかの要約が、実施例の節に見出され得る。
【0085】
III.液体配合物
液体配合物としては、液体有効成分、適切な溶媒、例えば水に溶解された有効成分、ゲル若しくはペーストに配合された有効成分、又は液体、ペースト、ローション若しくは軟膏に懸濁された粒子の形態の有効成分で作製された配合物を挙げることができる。
【0086】
IV.少なくとも1種の活性剤を含むエマルジョン
ヘルスケア適用において有用な幾つかの化合物は、ヒト又は動物患者の体内又は体表面における使用に適した溶媒に特有の可能性がなく、その上、ヘルスケア適用における個々の使用の配合物をクレンジングすることにおいて有用な幾つかの化合物は、そのような適用に効用があるその他の溶媒にあまり可溶性でない場合がある。幾つかのそのような化合物は、ヘルスケア適用における使用に適したエマルジョンに配合されてもよい。
【0087】
活性剤を含むエマルジョンは、非限定的に以下のものをはじめとする、患者に直接適用することを意図した外用薬として用いられても、又は外用薬の中に含まれてもよい:膏薬、軟膏、坐剤、ローション、点滴薬、及びスクラブ。活性剤は、患者に経口的に、肛門内に、又は吸入により投与され得るエマルジョン中に配合されてもよい。活性剤は、静脈内又は非経口投与に適したエマルジョン中に配合されてもよい。
【0088】
活性剤は、カプセル化されてもよく、カプセル化されると、活性剤は、患者において外用薬としての、そして/又は体内での使用のために、液体懸濁物に配合されてもよい。
【0089】
有用なエマルジョン配合物は、物理的に安定していなければならない。USP<729>に定義された液滴のサイズ限界は一般に、割り当てられた貯蔵寿命を通して適用される。全ての真のエマルジョンは、熱力学的に不安定であり、液滴サイズを増加させる傾向がある一定範囲の工程を経時的に受け得る。これらには、2つの液滴が衝突して単一の新しい液滴を形成する場合の直接の液滴合体、及び液滴が互いに接着してより大きな塊を形成する凝集が挙げられる。凝集体は、場合によっては、より大きな液滴へのさらなる合体の前駆体である場合がある。これらの工程では、大きな凝集体がコンテナ表面に上昇する「クリーミング」としても知られる現象をもたらす場合があり、最終的に「クラッキング」としても知られる、エマルジョン表面で遊離した油が可視になる場合がある。
【0090】
エマルジョン配合物は、化学的にも安定していなければならない。薬物は、分解する場合があり、例えば親油性薬物は、油相に分配してある程度の保護を付与するが、加水分解が、依然として油-水界面で起こり得る。非経口脂肪エマルジョン中で考えられる化学的分解としては、トリグリセリド及びレシチン中に存在する不飽和脂肪酸残基の酸化、並びに遊離脂肪酸(FFA)及びリゾリン脂質の形成につながるリン脂質の加水分解が挙げられる。そのような分解産物は、pHを低下させる場合があり、その後、さらなる分解を促進する場合がある。したがってpHが、製造の間に制御されなければならず、非経口エマルジョン配合物は、追加的制御を提供する緩衝剤を含んでいてもよい。割り当てられた貯蔵寿命の間のpHの任意の低下は、化学分解を示す場合がある。
【0091】
本発明の幾つかの形態において、エマルジョン配合物は、活性剤を皮膚内投与のためのエマルジョンに組み込んで、配合物の貯蔵寿命の間に安定を保持することが可能な配合物及び工程を同定するために調製及び特徴づけされる。
【0092】
一態様において、組成物は、約50nm~1000nm、50~500nm、50nm~400nm、50nm~300nm、50nm~200nm又は50nm~100nmの、動的光散乱(DLS)により決定された強度加重平均粒子サイズを維持する安定した系である。別の態様において、液滴サイズの平均値は、室温で少なくとも1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、2年又は3年の期間、500nm未満で維持される。
【0093】
別の態様において、平均値の液滴サイズは、5℃で少なくとも1か月、3か月、6か月、12か月、2年又は3年の期間、500nm未満で維持される。
【0094】
幾つかの形態は、非経口投与に適したエマルジョンを提供する。幾つかの形態は、静脈内投与に適したエマルジョンを提供する。幾つかの形態は、真皮下及び/又は皮下投与に適したエマルジョンを提供する。
【0095】
1.活性剤
少なくとも1種の活性剤を含む幾つかの安定した医薬組成物はまた、界面活性剤又は界面活性剤混合物、共界面活性剤、油を、水相と共に含む。組成物は、長期間にわたり安定を保持した、希釈及び静脈内投与に適する水中油エマルジョンの形態である。
【0096】
2.非水相
活性剤は、乳化剤、共乳化剤及び油と共に油相に存在してもよい。油相はその後、以下に記載される通り水及び等張化剤を含む水相と混和されて、安定したエマルジョンを作製する。幾つかの配合物において、油相は、約13:1の比で少なくとも1種の活性剤を含む油を有する。この比の利用は、水の相と混合された場合に、約12:1若しくは11:1より小さな、そして/又は約15:1、20:1若しくは11:1より大きな、そして/又は約15:1、20:1若しくは30:1より大きな、油:活性剤比を油相が含有するエマルジョンに比較して、より安定したエマルジョンを生じることができる。
【0097】
油(疎水性)相は、油を含む。トリグリセリドは、本明細書に記載された組成物中での使用のための例示的油である。特定の態様において、油は、植物油である、又は植物油を含む。「植物油」は、植物の種又は実に由来する油をいう。植物油は、典型的には、3つの脂肪酸(油の供給源に応じて、通常は14~22の炭素長であり、種々の数及び場所の不飽和結合を有する)がグリセロール上で3つのヒドロキシル基とのエステル結合を形成する場合に形成される、「長鎖トリグリセリド(LCT)」である。特定の態様において、高純度の等級の(超精製(super-refined)とも呼ばれる)植物油が、水中油エマルジョンの安全性及び安定性を確保するために用いられる。特定の態様において、植物油の制御された水素化により生成された水素化植物油が、用いられてもよい。例示的な植物油としては、アーモンドオイル、ババスオイル、カシスオイル、ボリジオイル、キャノーラ油、ひまし油、ココナッツオイル、コーン油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム油、バーム核油、菜種油、サフラワー油、大豆油、ひまわり油及びごま油が挙げられるが、これらに限定されない。これらの油の水素化及び/又は部分水素化形態が、用いられてもよい。具体的態様において、油は、サフラワー油、ごま油、コーン油、オリーブ油、及び/又は大豆油である、又はそれらを含む。より具体的態様において、油は、サフラワー油、及び/又は大豆油である、又はそれらを含む。油は、約9wt/wt%でエマルジョン中に存在するが、これは、約5wt/wt%~12wt/wt%、又は9wt/wt%~10wt/wt%の間で様々であってもよい。
【0098】
3.水相
活性剤エマルジョンの水相は、非限定的にスクロース、マンニトール、グリセリン若しくはデキストロース、又はそれらの混合物などのものをはじめとし、水と等張化剤の混合物であり得る。同じく水相に含まれるのは、pH改変剤である。オレイン酸ナトリウムが、所望のエマルジョン配合物に応じて、本発明の実施例の幾つかにおいて、エマルジョンのpHを約6~9に調整するために用いられてもよい。水相は、水を等張化剤、及びpH改変剤としてのオレイン酸ナトリウムと混合することにより生成される。用いられ得る他のpH改変剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、トリス、炭酸ナトリウム及びリノール酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。用いられるpH改変剤は、エマルジョンのpHを約6~9、7~8、又は約6、7、8若しくは9の好ましいpHに調整するのに効果的である。水相は、室温で混合することにより即座に形成し得る。
【0099】
水相は、エマルジョン配合物の安定性を促進する緩衝剤をさらに含有してもよい。薬物は、分解する場合があり、例えば親油性薬物は、油相に分配されて、ある程度の保護を付与するが、加水分解が、依然として油-水界面で起こり得る。非経口脂肪エマルジョン中で考えられる化学的分解としては、トリグリセリド及びレシチン中に存在する不飽和脂肪酸残基の酸化、並びに遊離脂肪酸(FFA)及びリゾリン脂質の形成につながるリン脂質の加水分解が挙げられる。そのような分解産物は、pHを低下させ、その後、さらなる分解を促進する場合がある。したがってpHが、製造の間に制御されなければならず、エマルジョン配合物は、追加的制御を提供する緩衝剤を含んでいてもよい。割り付けられた貯蔵寿命の間のpHの任意の低下は、化学分解を示す場合がある。
【0100】
4.バッファー
適切なバッファーは、当業者に周知であり、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、トリスバッファー、炭酸バッファー、コハク酸バッファー、マレイン酸バッファー、又はホウ酸バッファーが挙げられるが、これらに限定されない。トリスバッファーは、幾つかの例示的配合物中で用いられ、エマルジョンのpHが、約8~9に調整され得る。特別な態様において、バッファーは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、改変PBS(PBS-mod)、及びクエン酸バッファーの群から選択される。幾つかの態様において、水相は、バッファーを含み、バッファーは、油相と混合された場合に、実質的に等張の水中油エマルジョンを提供するであろう。
【0101】
本明細書に記載された組成物に有用な緩衝剤としては、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、トリスバッファー、炭酸バッファー、コハク酸バッファー、マレイン酸バッファー、又はホウ酸バッファーが挙げられるが、これらに限定されない。特別な態様において、バッファーは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、改変PBS(PBS-mod)、及びクエン酸バッファーの群から選択される。幾つかの態様において、水相は、バッファーを含み、バッファーは、油相と混合された場合に、実質的に等張の水中油エマルジョンを提供するであろう。幾つかの態様において、水相が、緩衝剤を含有する場合、水相は、等張化剤を含まない。同じくバッファーが、水相に添加された場合、pH調整剤が、水相に添加されなくてもよい。バッファーが水相に添加され得ること、又はバッファーがエマルジョンに添加され得ることが、理解される。
【0102】
5.等張化剤
幾つかの態様において、水相が、スクロースなどの等張化剤を含有する。等張化剤は、約0%~30%、0%~25%、又は約20%の等張化剤(wt/wt)を有するように水相に添加される。驚くべきことに、凍結-解凍テストによる決定で、水相に約20%のスクロース(wt/wt)を含有する組成物が特に安定したエマルジョンを生成することが、見出された。したがって好ましい態様は、水相が約10%、15%、若しくは20%wt/wt未満の等張化剤、又は約30%、40%若しくは50%wt/wtを超える等張化剤を含有するエマルジョンに比較して、より大きな化学的及び/又は物理的安定性を付与する等張化剤を含むエマルジョンを包含する。
【0103】
幾つかの配合物において、水相は、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(「デキサメタゾンリン酸エステル」とも称される)をさらに含む。デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムは、水中に溶けやすいコルチコステロイドである。デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムのための日用量は、疾患又は障害の重症度に応じて、約0.5mg~20mg、より好ましくは約14mg~18mg又は16mgの範囲内である。したがってデキサメタゾンをさらに含む活性剤エマルジョンが、水相中にデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含有してもよい。したがって静脈内投与に適したエマルジョンの水相は、約0.5mg~20mg、14mg~18mg、又は約16mgのデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含有してもよい。
【0104】
幾つかの配合物において、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムの溶液は、水相中にデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含有するエマルジョンを調製するために、滅菌濾過の前に微細なエマルジョンに混合され得る。
【0105】
静脈内投与に適したエマルジョンを作製する幾つかの方法。
【0106】
そのような配合物は、皮下投与を意図した活性剤を調製するために用いられる従来の無菌方法に従って作製されてもよい。
【0107】
6.防腐剤
本明細書に開示された液体配合物のいずれかに添加され得る防腐剤としては、殺菌剤、殺真菌剤及び抗酸化剤が挙げられる。
【0108】
7.界面活性剤
エマルジョンは、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の界面活性剤、そして場合により両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の他の界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0109】
本開示のコンディショナー配合物中での使用のための適切な界面活性剤は、式I
【0110】
【0111】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される1種又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと、を含む。
【0112】
詳細には適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書に記載された界面活性剤1~5のいずれかの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0113】
V.エマルジョンを作製する方法
1つのそのような配合物の例示的エマルジョンにおいて、水相は、高速均質化の下で油相と混和されて、粗大なエマルジョンを生成する。実施例1、2、3、4、5及び6に記載される通り、混和された水相及び油相は、IKA Ultra-Turrax T25分散装置を用いて20,000rpmの速度で1分間均質化される。この第一の均質化ステップで用いられる速度は、例えば2000rpm~25,000rpm、又は15,000rpm~22,000rpmで様々であってもよい。均質化ステップの時間もまた、例えば0.5分~1時間、又は1分~45分で様々であり得る。この粗製のエマルジョンはその後、マイクロフルイダイザーであり得る高圧ホモジナイザーにより微細なエマルジョンに均質化される。マイクロフルイダイザーのインタラクションチャンバー及び冷却コイル部分が、アイスバスによるなど、水により冷却される。アイスバスの温度は、約0℃~10℃、又は約2~6℃の間であってもよい。高圧均質化の結果、生じたエマルジョンの温度は、約0℃~60℃、15℃~60℃、20℃~40℃の間、又は約25℃であってもよい。マイクロフルイダイザーは最初、水でプライミングされ、その後、粗製のエマルジョンが導入される。ホモジナイザーからの産出物は最初、廃棄され、プライミング水及びプライミング水とエマルジョンの混合物を除去し、その後、蒸気が外観上一定になれば、清浄な容器に回収される。高圧ホモジナイザーのサイクルが、油滴サイズを充分に低減するために繰り返されてもよい。均質化に用いられる圧力は、様々であってもよい。圧力は、405000~30000psiの間であってもよい。マイクロフルイダイザーの通過の数は、所望の液滴サイズを実現するために様々であってもよい。通過の数は、約2~20、2~15、4~15、4~12又は7~8であってもよい。
【0114】
医薬配合物はその後、室温でフィルターシステムに通されてもよく、そして/又はオートクレーブ処理されて、滅菌を実現してもよい。滅菌を実現するために用いられるフィルターは、当業者により選択されてもよく、0.2μmの公称孔径を有してもよい。用いられるフィルター材料は、様々であってもよい。一態様において、フィルターは、ナイロンである。別の態様において、フィルターは、Posidyne(登録商標)フィルター(水溶液中で正味の正電荷ゼータ電位を呈する共有結合電荷修飾ナイロン6,6膜)である。大規模な生成のために、上記の方法は、修正される必要があり得る。熟練の実践者は、異なる順序で、そして異なる処理機器を使用してこれらの材料を混和して、所望の最終結果を実現することができる。
【0115】
本開示の一態様において、均質化は、約25℃未満の温度への均質化生成物の中間的冷却を伴って、油粒子/小滴サイズが2ミクロン(μm)未満であるエマルジョンを実現するために繰り返しのサイクルで実行され得る。
【0116】
最終的なエマルジョンは、水性部分(水相)に分散された油部分(油相)を含む。油相中の成分と活性剤の比は、注射のために調製された配合物の安定性に影響を与え得るエマルジョンの重要な特徴である。本明細書に記載された通り、油相は、活性剤、油及び乳化剤を含み、それらの例は、本明細書において提供されている。
【0117】
幾つかの配合物において、最終的な活性剤エマルジョンは、0.7wt/wt%の活性剤を含有するが、約0.2wt/wt%~1.5wt/wt%、0.4wt/wt%~1.0wt/wt%、又は0.6wt/wt%~0.7wt/wt%の範囲であってもよい。約130mgの活性剤を含有するエマルジョンが、調製されるが、約100mg~1000mg、100mg~500mg、250mg~750mg又は100mg~200mgの活性剤を含有する調製物もまた、本開示により調製されてよい。
【0118】
一態様において、油相中の油:活性剤の比(wt%:wt%)は、約11:1~15:1、12:1~14:1、13:1~13.5:1、13:1~14:1、又は12:1~15:1の範囲内である。別の態様において、油:活性剤の比は、約11:1、11.5:1、12:1、12.5:1、13:1、13.5:1、14:1、14.5:1又は15:1である。
【0119】
乳化剤と活性剤の比もまた、様々であってよい。例えば、油部分の中の乳化剤:活性剤の比(wt%:wt%)は、約15:1~30:1、20:1~25:1、18:1~22:1、又は10:1~30:1の範囲内である。一態様において、乳化剤:活性剤(wt%:wt%)は、約15:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1又は23:1である。
【0120】
油相中の成分の比は、(乳化剤+油):活性剤の比(wt%:wt%)で代替的に表されてもよい。本開示で想定される比は、約20:1~40:1、25:1~35:1、30:1~35:1若しくは33:1~37:1の範囲内であってもよく、又は例えば、約30:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1若しくは40:1であってもよい。
【0121】
VI.静脈内灌流のための配合物
静脈内エマルジョンは多くの場合、毛細血管の遮断及び塞栓を起こすことなくエマルジョンの血流内循環を可能にするために、非常に小さな液滴サイズを有する。これらのサイズ限界は、本明細書で以後にUSP<729>と称される、脂質注射可能エマルジョンにおける小滴サイズ分布のためのUSP33-NF28 General Chapter<729>により類型化され、USP<729>は、(1)500nm又は0.5μmを超えない平均液滴サイズ、及び(2)最終(dinal)脂質濃度にかかわらず0.05%を超えない5μmより大きな脂肪(OFAT5)の体積加重パーセンテージとして表される大きな直径の脂肪小滴の集団、についての普遍的限界を定義する。
【0122】
本発明の幾つかの形態は、アルコールと少なくとも1種の界面活性剤の混合物に溶解された、医薬的に許容できる塩基の形態又は酸の塩の形態の活性剤を含むヘルスケア適用に適した配合物に関し、幾つかの配合物において、界面活性剤は、Macrogol 15ヒドロキシステアリン酸及び/又は本明細書に開示された本発明の界面活性剤を、25/75~80/20、好ましくは73/27~77/23.0012の範囲内の界面活性剤/アルコール重量比で含んでいてもよい。幾つかの態様において、活性剤は、エタノールと、本明細書の以後に記載される12-ヒドロキシステアリン酸のポリエトキシル化モノエステルとジエステルの混合物を含む界面活性剤と、の混合物に可溶化されてもよい。
【0123】
1.溶媒
液体配合物に適した溶媒は、患者の体内への、又はヒト若しくは動物患者の体表面への摂取、塗布、又は注射に安全かつ効果的と認識された任意の液体である。より高濃度で患者に投与された場合の既知又は未知の毒性にかかわらず、配合物中に少量で存在する場合の幾つかの溶媒が本発明の配合物の使用に適することが、当該技術分野において理解されている。通例用いられる溶媒としては、米国食品医薬品局により一般に安全と認められる物質(GRAS)により指定された液体が挙げられる。幾つかの適切な溶媒としては、水、アルコール、及びグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
2.界面活性剤
幾つかの配合物において、界面活性剤は、重量で約35%~約55%のモノエステル及びジエステルと、約30%~約40%のポリエチレングリコール H(OCHCH),OHと、追加的界面活性剤と、を含む。それは、主成分として重量で35%~55%のモノエステル及びジエステルと、30%~40%のポリエチレングリコールH(OCH2CH2),OHと、場合により100%に調合する他の化合物と、を含む。それは、重量で10%~20%のモノエステルと、25%~35%のジエステル、30%~40%のポリエチレングリコールH(OCH2CH)-OHに加え、100%に調合する他の化合物も含む。
【0125】
界面活性剤/エタノール比は、73/27~77/23の範囲内であり、式(I)で示される化合物の濃度は、5~25mg/mlの範囲内である。
【0126】
該医薬配合物は、灌流溶液を形成するように希釈されることを意図されてもよい。
【0127】
V.ヘルスケア灌流を行うための方法
本発明の幾つかの形態は、灌流によりヒト又は動物に投与され得る配合物中での使用のための少なくとも1種の活性剤を配合するための方法を包含する。そのような方法は、以下のステップの少なくとも幾つかを含んでいてもよい:少なくとも1種の界面活性剤を液体になるまで加熱するステップ、及び又は室温で液体である、若しくは室温で適切な溶媒に適切に可溶性である、界面活性剤を添加するステップ;少なくとも1種のアルコールを添加するステップ;必要に応じて混合物を周囲温度に冷却し、少なくとも1種の活性剤を配合物に添加するステップ;並びに例えば濾過により、配合物を滅菌するステップ。
【0128】
本発明の幾つかの形態はまた、医薬溶液1容量を等張溶液20~500容量に希釈することにより得られる、医薬的に許容できる塩基の形態又は酸の塩の形態で少なくとも1種の活性剤を含む灌流溶液に関する。幾つかの配合物において、活性剤は、0.01~1.2mg/mlの範囲内の濃度で存在し、0.48~37mg/mlの範囲内の濃度の界面活性剤、及び0.35~35mg/mlの範囲内の濃度のエタノールが、等張溶液中に希釈される。灌流溶液は、ヒト又は動物に投与されることを意図される。
【0129】
本発明の幾つかの形態は、医薬溶液1容量を等張溶液20~500容量で希釈することからなる、灌流溶液を調製するための方法に関する。
【0130】
本発明の幾つかの形態において、医薬配合物は、液体医薬配合物中で慣例的に用いられる少なくとも1種の他の添加剤を含んでいてもよい。それは、例えば抗酸化剤、防腐剤、バッファーなどであってもよい。本発明の別の態様によれば、医薬配合物は、界面活性剤、アルコール及び活性剤のみを含む。
【0131】
V.界面活性剤
ヘルスケア配合物は、集合的に界面活性剤系とも称される、1つ又は複数の界面活性剤分類から選択される1種又は複数の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤系は、O/Wエマルジョンのための乳化剤として機能する。
【0132】
本開示の本発明のヘルスケア配合物中での使用のための適切な界面活性剤は、式I
【0133】
【0134】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される1種又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと、を含む。
【0135】
本開示によって提供される1つの具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)であり、以下の式を有する:
【0136】
【0137】
本開示によって提供される第二の具体的な化合物は、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)であり、以下の式を有する:
【0138】
【0139】
上記の構造において、「N→O」の表記は、窒素と酸素との間の非イオン性結合相互作用を意味することを意図している。
【0140】
本開示によって提供される第三の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)であり、以下の式を有する:
【0141】
【0142】
本開示によって提供される第四の具体的な化合物は、4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4)であり、以下の式を有する:
【0143】
【0144】
本開示によって提供される第五の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)であり、以下の式を有する:
【0145】
【0146】
これらの界面活性剤は、様々な方法によって合成され得る。1つのそのような方法は、ラクタムを開環してN末端及びC末端を有するアミノ酸を得ることを含む。N末端を、1又は複数のアルキル化剤及び/又は酸と反応させることで、第四級アンモニウム塩が得られ得る。別の選択肢として、N末端を酸化剤と反応させることで、アミンNオキシドが得られ得る。C末端を、酸の存在下でアルコールと反応させることで、エステルが得られ得る。
【0147】
アミノ酸は、天然若しくは合成であってよい、又はカプロラクタムなどのラクタムの開環反応から誘導されてもよい。開環反応は、酸又はアルカリ触媒反応であってよく、酸触媒反応の例を以下のスキーム1に示す。
【0148】
【0149】
アミノ酸は、少なくは1個の又は多くは12個の炭素を、N末端とC末端との間に有し得る。アルキル鎖は、分岐鎖又は直鎖であってよい。アルキル鎖には、窒素、酸素、又は硫黄が介在していてもよい。アルキル鎖は、さらに、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてもよい。N末端窒素は、アシル化又は1若しくは複数のアルキル基でアルキル化されていてもよい。例えば、アミノ酸は、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸であってよい。
【0150】
界面活性剤1は、以下のスキーム2に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0151】
【0152】
界面活性剤2は、以下のスキーム3に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が過酸化水素で酸化されて、アミンオキシドが得られる。
【0153】
【0154】
界面活性剤3は、以下のスキーム4に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0155】
【0156】
界面活性剤4は、以下のスキーム5に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、還流下の酢酸エチル中、1,4-ブタンスルトンで処理されて、所望されるスルホネートが得られる。
【0157】
【0158】
界面活性剤5は、以下のスキーム6に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-アミノヘキサノエートが得られる。N末端が塩酸でプロトン化されて、所望される塩酸塩が得られる。
【0159】
【0160】
本開示の化合物は、表面活性特性を呈する。これらの特性は、様々な方法によって測定し、表され得る。界面活性剤を表し得る1つの方法は、分子の臨界ミセル濃度(CMC)による。CMCは、ミセルを形成する界面活性剤の濃度として定義され得るものであり、それよりも高い濃度では、追加の界面活性剤はすべてミセルに取り込まれる。
【0161】
界面活性剤濃度が上昇するに従って、表面張力は低下する。表面が界面活性剤分子で完全に覆われると、ミセルが形成し始める。この時点が、CMCを、さらには最小表面張力を表している。界面活性剤をさらに添加しても、表面張力にさらに影響を与えることはない。CMCは、したがって、界面活性剤濃度の関数として表面張力の変化を観察することによって測定され得る。この値を測定するためのそのような1つの方法は、ウィルヘルミープレート法である。ウィルヘルミープレートは、通常、ワイヤで天秤に取り付けられた薄いイリジウム-白金プレートであり、空気-液体界面に対して垂直に配置される。天秤を用いて、濡れによってプレートに働く力が測定される。次に、この値を用い、式1に従って表面張力(γ)が算出され:
式1:γ=F/l cosθ
式中、lは、濡れ周長(w及びdをそれぞれプレートの厚さ及び幅とした場合に、2w+2d)に等しく、cosθについては、液体とプレートとの間の接触角は、現存文献値がない場合は0と仮定する。
【0162】
界面活性剤の性能を評価するために用いられる別のパラメータは、動的表面張力である。動的表面張力は、特定の表面又は界面の経過時間に対する表面張力の値である。界面活性剤が添加された液体の場合、これは、平衡値と異なり得る。表面が生成された直後は、表面張力は、純液体の表面張力と等しい。上記で述べたように、界面活性剤は、表面張力を低下させるものであるため、表面張力は、平衡値に到達するまで低下する。平衡に到達するのに要する時間は、界面活性剤の拡散速度及び吸着速度に依存する。
【0163】
動的表面張力を測定する1つの方法は、最大泡圧式張力計によるものである。この装置は、キャピラリーによって液体中に形成された気泡の最大内圧を測定する。測定された値は、気泡形成の開始から最大圧力となるまでの時間である、ある特定の表面経過時間での表面張力に相当する。表面張力の表面経過時間に対する依存性は、気泡が生成される速度を変動させることによって測定することができる。
【0164】
表面活性化合物は、接触角によって測定される固体基材上での湿潤能力によっても評価され得る。液滴が、空気などの第三の媒体中で固体表面と接触する場合、液体、気体、及び固体間で三相線が形成される。三相線で役割を果たしており、液滴の接線である表面張力の単位ベクトルと、表面と、の間の角度が、接触角として表される。接触角(湿潤角としても知られる)は、液体による固体の濡れ性の尺度である。完全濡れの場合、液体は固体上に完全に拡がっており、接触角は0°である。濡れ特性は、典型的には、任意の化合物に対して1~100×CMCの濃度で測定されるが、濃度に依存する特性ではないことから、濡れ特性の測定値は、これよりも高い又は低い濃度で測定されてもよい。
【0165】
1つの方法では、光学接触角ゴニオメーターが、接触角の測定に用いられ得る。この装置は、デジタルカメラ及びソフトウェアを用いて、表面上の液体の静止液滴の輪郭形状を分析することによって接触角を求める。
【0166】
本開示の表面活性化合物に対する考え得る用途としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、洗剤、スポットフリーリンス溶液、床及びカーペットクリーナー、落書き除去用の洗浄剤、作物保護用の湿潤剤、作物保護用の補助剤、並びにエアロゾルスプレーコーティング用の湿潤剤として用いるための製剤が挙げられる。
【0167】
当業者であれば、化合物間の少しの相違が、著しく異なる界面活性剤特性に繋がり得ることから、異なる用途においては、異なる基材と共に異なる化合物が用いられ得ることは理解される。
【0168】
以下の限定されない実施形態は、異なる界面活性剤の異なる特性を示すために提供される。以下の表1では、界面活性剤の略称と、それらの対応する化学構造との関連を示している。
【0169】
【0170】
5つの化合物の各々は、表面活性剤として有効であり、数ある用途の中でも、湿潤剤又は発泡剤、分散剤、乳化剤、及び洗剤用として有用である。
【0171】
界面活性剤1、界面活性剤3、及び界面活性剤5は、カチオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途、及び表面処理剤などの、パーソナルヘアケア製品などの、いくつかのさらなる特別な用途の両方に有用であり、また、撥水性表面を生成するために用いることもできる。
【0172】
界面活性剤4は、非イオン性であり、シャンプー、洗剤、硬質表面クリーナー、及び様々な他の表面洗浄製剤に用いることができる。
【0173】
界面活性剤5は、双性イオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途のすべてにおける共界面活性剤として有用である。
【0174】
配合物中で用いられる本明細書に開示された化合物の量は、約0.001wt%、約0.05wt%、約0.1wt%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、若しくは約5wt%のように低くても、又は約8wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、若しくは約25wt%のように高くても、又は前述の値の任意の2つを利用した任意の範囲内であってもよい。
【0175】
実施例
核磁気共鳴(NMR)分光法は、Bruker 500MHz分光計で行った。臨界ミセル濃度(CMC)は、ウィルヘルミープレート法により、Pt-Irプレートを備えた張力計(DCAT 11,DataPhysics Instruments GmbH)を用いて23℃で特定した。動的表面張力は、最大泡圧式張力計(Kruss BP100,Kruss GmbH)を用いて23℃で特定した。接触角は、デジタルカメラを備えた光学接触角ゴニオメーター(OCA 15 Pro,DataPhysics GmbH)を用いて特定した。
【0176】
例1a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0177】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、アセトニトリル(10mL)中に溶解した。次に、炭酸ナトリウム(0.388g、3.66mmol)を添加し、反応物を室温で10分間撹拌した。ヨウ化メチル(0.57mL、9.16mmol)を添加し、反応混合物を24時間にわたって40℃に加熱し、続いて室温まで冷却した。この混合物をろ過し、濃縮して、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドを、黄色固体として92%の収率で得た。1H NMR (DMSO)δ 4.00(t,J=6.7Hz,2H),3.30-3.22(m,2H),3.04(s,9H),2.34(t,J=7.4Hz,2H),1.70-1.63(m,2H),1.62-1.46(m,4H),1.31-1.20(m,20H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0178】
例1b:
界面活性剤1の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約33mN/m、すなわち33mN/m±3.3mN/mである。
図1は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。プロットから、表面張力は、CMCでは約34mN/mであり、1.0mmol以上の濃度では、約33.8mN/mである。
【0179】
例1c:
界面活性剤1の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図2は、表面張力対時間としての結果のプロットを表し、1ms~75msの時間間隔で、表面張力が約55.5mN/mから約39.9mN/mに急速に低下することを示している。75ms~50,410msの時間間隔では、表面張力は、約39.9mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0180】
例1d:
界面活性剤1の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角32°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、67.1°であった(表2)。
【0181】
【0182】
例2a:
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0183】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、蒸留水(80mL)中に溶解した。過酸化水素(50%溶液、1.04g、30.5mmol)を添加した。反応物を加熱して12時間還流し、次に溶媒を真空除去した。得られた固体をアセトンで洗浄して、所望されるN-オキシドを90%の収率で得た。1H NMR(500MHz,DMSO)δ 4.00(t,J=6.6Hz,2H),3.30-3.26(m,2H),3.18(s,6H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),1.76-1.73(m,2H),1.54-1.57(m,4H),1.30-1.24(m,22H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0184】
例2b:
界面活性剤2の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.08mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約28mN/m、すなわち28mN/m±2.8mN/mである。
図3は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、0.08mmol以上の濃度において、表面張力が30mN/m以下であることも示している。
【0185】
例2c:
界面活性剤2の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図4は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ7.6秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから分かるように、動的表面張力は、4900ms以上の表面経過時間で、40mN/m以下である。
【0186】
例2d:
界面活性剤2の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、水よりも非常に低い接触角39.3°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、57.4°であった(表3)。
【0187】
【0188】
例3a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0189】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(100mg、0.305mmol)を、水(10mL)中に溶解した。濃塩酸(11.14mg、0.305mmol)を添加した。
【0190】
例3b:
界面活性剤3の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1.4mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約30mN/m、すなわち30mN/m±3mN/mである。
図5は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、2.7mmol以上の濃度において、表面張力が33mN/m以下であることも示している。
【0191】
例3c:
界面活性剤3の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図6は、表面張力対時間のプロットを表し、1~100msの時間間隔で、表面張力が約50mN/mから約40mN/mに急速に低下することを示している。100~50000msの時間間隔では、表面張力は、40mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0192】
例3d:
界面活性剤3の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角42.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、66.6°であった(表4)。
【0193】
【0194】
例4a:
4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0195】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、酢酸エチル(30mL)中に溶解した。次に、1,4-ブタンスルトン(0.62g、4.57mmol)を添加し、この混合物を加熱して12時間還流した。反応物を室温まで冷却し、溶媒を真空除去した。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.7Hz,2H),3.29-3.15(m,4H),2.97(s,6H),2.47(t,J=7.4Hz,2H),2.33(t,J=7.4Hz,2H),1.81-1.70(m,2H),1.66-1.55(m,6H),1.32-1.23(m,20H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0196】
例4b:
界面活性剤4の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約38mN/m、すなわち38mN/m±3.8mN/mである。
図7は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約38mN/mであり、1mmol以上の濃度では、表面張力は37mN/m以下である。
【0197】
例4c:
界面活性剤4の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図8は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ1秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、4000ms以上の表面経過時間で、40.5mN/m以下である。
【0198】
例4d:
界面活性剤4の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角46.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、62.7°であった(表5)。
【0199】
【0200】
例5a:
6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)の合成
6-アミノヘキサン酸(5.0g、38.11mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(6.41g、38.11mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(7.24g、38.11mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-アミノヘキサノエートを40%の収率で得た。
【0201】
ドデシル6-アミノヘキサノエート(100mg、0.363mmol)を、水(10mL)中に溶解した。次に、濃塩酸(13.23mg、0.363mmol)を添加した。
【0202】
例5b:
界面活性剤5の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.75mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約23mN/m、すなわち23mN/m±2.3mN/mである。
図9は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約23mN/mであり、0.7mmol以上の濃度では、表面張力は23.2mN/m以下である。
【0203】
例5c:
界面活性剤5の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図10は、表面張力対時間のプロットを示し、化合物が、およそ1.5秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、3185ms以上の表面経過時間で、28.5mN/m以下である。
【0204】
例5d:
界面活性剤5の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、非常に低い接触角16.6°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、39.3°であった(表6)。
【0205】
【0206】
実施例6:
固体経口投与のための配合物
この実施例において、本明細書に記載された界面活性剤1~5の1種又は複数であり得る界面活性剤を含む、固体経口投与における使用のための配合物が、記載される。この配合物は、薬物などの少なくとも1種の活性剤を含む固体経口投与を提供する際に有用であり、即座に製造され、貯蔵されて、ヒト又は動物患者に、又はそれらにより投与される。配合物の成分が、以下の表7に示される。加えて配合物は、甘味剤、香味化合物などの他の化合物を含んでいてもよい。
【0207】
以下の工程は、活性剤オキシカルバゼピンの薬物含有粒子を作製するために用いられる。示された量の以下の原料が、用いられる。
【0208】
【0209】
【0210】
例示的な薬物含有粒子が、湿式造粒により4L~200Lの規模で作製される。以下の機器及び操作パラメータが、用いられてもよい。
【0211】
【0212】
粉末は全て重量測定され、高剪断造粒機のボウルに添加される。乾燥粉末が低速で1分間混合される。低速のミキサー及びチョッパーを用い、合計1164g(最終湿重量の25.5%)の水に関して95mL/分の速度で、水が添加される。ボウルをこするために、この工程の間、造粒機が一旦停止される。湿式造粒物が50℃の流動層ドライヤーで1~2%LODまで乾燥される。乾燥された材料は、3000rpmのComilを用いて一連のスクリーンを通して摩砕され、粒子サイズを3DPの許容範囲まで低減する。摩砕は、050Gスクリーンで開始し、018Rスクリーンで終了する。目詰まりを予防するために、中間のスクリーン(016C)に通されてもよい。
【0213】
実施例7:
三次元印刷での口内分散性投与剤形の調製
以下の工程は、オキシカルバゼピンの結合された薬物含有粒子を含み、本明細書に記載された界面活性剤1~5の1種又は複数をさらに含む、マトリックスを含む矯味された三次元印刷での口内分散性投与剤形を調製するために用いられる。印刷液及び原末の原料が、以下に示された量で用いられる。
【0214】
【0215】
本明細書で知られる、又は言及される任意の三次元プリンター機器アッセンブリが、用いられ得る。所定の厚さである原末のインクリメンタル層が、前の粉末層の上に伸ばされて、印刷液が、所定の飽和レベル、ラインスペーシング及び印刷液流動性に従って液滴としてインクリメンタル層に塗布されて、内部の粒子を結合させる。マトリックスが印刷されたインクリメンタル層の目標量を含むまで、この2つのステップ工程が実行される。以下の印刷パラメータは、Z-Corp lab scaleプリンター(モデルZ310)で用いられる。プリンターは、HP-10プリントヘッドを具備し、液滴サイズ30~60μm及びラインスペーシング450~600μmの走査速度で操作される。連続したプリントパターンが、投与剤形を通して用いられる。印刷液配合物と原末配合物の指定された組み合わせが、用いられる。0.008~0.011インチの層厚が、用いられる。90%~116%の飽和が、用いられる。印刷液I-Aが、用いられる。薬物含有粒子と原末配合物の多くの異なる組み合わせが、用いられてもよい。印刷されたマトリックスが、固定されていない未印刷の粉末から分離され、印刷されたマトリクスが、任意の適切な手段により乾燥されて、溶媒及び水分の量を所望のレベルまで低減し、それにより最終的な3D口内分散性投与剤形を生成する。投与剤形の分散時間、表面テクスチャ(平滑度)及び硬度が、その後、決定される。
【0216】
実施例8:
インクリメンタル層の間に種々の構成を有する矯味された三次元印刷での口内分散性投与剤形の調製
上記の3DP工程に従うが、それは、インクリメンタル層の硬度及び組成が様々である異なる構成の投与剤形を調製するために複数の異なるやり方で実行され得る。以下の工程は、投与剤形の内部の硬度に比較して上面及び下面により大きな硬度を有する投与剤形を提供し得る。この方策は、異なる機械的特性を有する投与剤形中の区分の作出を援助する。このアプローチは、最上層及び最下層の組成が中間層と異なる投与剤形を設計するために用いられる。この設計は、より強力な最上及び最下層を有し、それにより硬度を上昇させて摩損度を低減した投与剤形を可能にし、硬度がより低い大きな中間部分を有することで、急速に分散する投与剤形を可能にする。
【0217】
方法A:
この工程では、異なるインクリメンタル層に、又は同じインクリメンタル層の中の異なる所定の領域内に付着されたバインダーの量が、変動される。これらの投与剤形を調製するために、上記の実施例の工程に従うが、例外として、バインダーの濃度が異なる印刷液を用いることにより、粉末に付着された印刷液を通したバインダーの量がインクリメンタル粉末層の間で変動する。
【0218】
方法B:
これらの投与剤形を調製するために、先に定義された工程に従うが、例外として、粉末に付着された印刷液の量がインクリメンタル粉末層の間で変動する。上及び下のインクリメンタル層が、より多量の印刷液を受け、中間部のインクリメンタル層が、より少量の印刷液を受ける。
【0219】
方法C:
この工程では、投与剤形の上及び下のインクリメンタル層に用いられた印刷パターンは、連続したパターンである。インクリメンタル層の中間部の印刷パターン。
【0220】
方法D:
この工程では、投与剤形の上及び下のインクリメンタル層に用いられた印刷パターンは、連続したパターンである。インクリメンタル層の中間部の印刷パターンは、環状/中空の高飽和印刷であり、環に囲まれたエリアに印刷がない。
【0221】
方法E:
この工程では、投与剤形の上及び下のインクリメンタル層に用いられた印刷パターンは、連続したパターンである。インクリメンタル層の中間部の印刷パターンは、外部の高飽和印刷に囲まれた内部グレースケール印刷の組み合わせである。
【0222】
実施例9
静脈内注射のためのエマルジョンの調製
アプレピタントエマルジョンを調製するために、油相が最初、活性剤アプレピタント750mg及び卵レシチン15.0g(LIPOID E80)をエタノール12.0mlと混和することにより調製される。この混合物が、60℃で加熱すること、及び200rpmで15分間撹拌すること、により溶解される。得られた溶液に、大豆油10.0gが添加される。60℃での加熱及び200rpmでの撹拌が、さらに15分間継続される。スクロース5.60g及び本発明の界面活性剤0.500gを注射用の水70.0mlに溶解することにより、水相が調製される。この混合物が、300rpm及び室温で30分間撹拌される。その後、水相が油相に添加され、続いて高速均質化(Ultra-Turrax(登録商標)IKA T25)に速度20,000rpmで1分間供されて、粗製のエマルジョンを生成する。その後、この粗製のエマルジョンが、18,000psiの圧力で氷冷高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M-IIOL,F12Y interaction chamber)に8回通される。得られた微細なエマルジョンが、0.2μmナイロンシリンジフィルター(Corning)に通されることにより滅菌される。エマルジョン組成物の詳細が、以下の表11に提供される。
【0223】
強度加重粒子サイズは、動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano)を利用して測定されてもよく、非負最小二乗法(NNLS)フィットを利用して解析されてもよい。強度加重粒子サイズは、キュムラントフィットを利用して決定されてもよい。ゼータ電位が、レーザドップラーマイクロ電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer NanoZS)により測定されてもよい。注射可能なエマルジョンのpHは、8.0~9.0の間であってもよい。このアプレピタント含有エマルジョンは、そのままの状態で注射され得、又は5%デキストロース若しくは0.9%生理食塩水で輸液のために希釈され得る。
【0224】
【0225】
実施例10
静脈内注射のためのエマルジョンの調製
エマルジョン中の活性剤アプレピタントを調製するために、油相が最初、活性剤アプレピタント450mg及び卵レシチン9.00g(LIPOID E80)とエタノール4.0mlとを混和することにより調製される。この混合物が、60℃で加熱すること、及び200rpmで15分間撹拌すること、により溶解される。得られた溶液に、大豆油6.00gが添加される。60℃での加熱及び200rpmでの撹拌が、さらに15分間継続される。スクロース3.36g及び界面活性剤0.300gを注射用の水42.0mlに溶解することにより、水相が調製される。この混合物が、300rpm及び室温で30分間撹拌される。その後、水相が油相に添加され、続いて高速均質化(Ultra-Turrax(登録商標)IKA T25)に速度20,000rpmで1分間供されて、粗製のエマルジョンを生成する。その後、この粗製のエマルジョンが、18,000psiの圧力で氷冷高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M-IIOL,F12Y interaction chamber)に8回通される。得られた微細なエマルジョンが、0.2μmナイロンシリンジフィルター(Corning)に通されることにより滅菌される。エマルジョン組成物の詳細が、表12に提供される。
【0226】
強度加重粒子サイズは、動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano)を利用して測定されてもよく、非負最小二乗法(NNLS)フィットを利用して解析されてもよい。強度加重粒子サイズは、キュムラントフィットを利用して決定されてもよい。ゼータ電位が、レーザドップラーマイクロ電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer NanoZS)により測定されてもよい。注射可能なエマルジョンのpHは、8.0~9.0の間であってもよい。このアプレピタント含有エマルジョンは、そのままの状態で注射され得、又は5%デキストロース若しくは0.9%生理食塩水で輸液のために希釈され得る。
【0227】
【0228】
形態
形態1は、式I
【0229】
【0230】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と、を含む、固体ヘルスケア配合物である。
【0231】
形態2は、少なくとも1種の有効成分が薬物、タンパク質、細胞、組織、ビタミン、サプリメント、及びミネラルからなる群から選択される、形態1による配合物である。
【0232】
形態3は、1種又は複数の賦形剤をさらに含む、形態1又は形態2による配合物である。
【0233】
形態4は、1種又は複数の賦形剤がバインダー、充填剤、崩壊剤、塩、着色剤、甘味剤、及び香味剤からなる群から選択される、形態3による配合物である。
【0234】
形態5は、粉末、錠剤、又はカプセルとして構成される、形態1~4のいずれかによる配合物である。
【0235】
形態6は、界面活性剤が以下の式:
【0236】
【0237】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、形態1~5のいずれかによる配合物である。
【0238】
形態7は、界面活性剤が以下の式:
【0239】
【0240】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、形態1~5のいずれかによる配合物である。
【0241】
形態8は、界面活性剤が以下の式:
【0242】
【0243】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態1~5のいずれかによる配合物である。
【0244】
形態9は、界面活性剤が以下の式:
【0245】
【0246】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、形態1~5のいずれかによる配合物である。
【0247】
形態10は、界面活性剤が以下の式:
【0248】
【0249】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態1~5のいずれかによる配合物である。
【0250】
形態11は、式I
【0251】
【0252】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;水性成分と、を含む、ヘルスケアのための液体配合物である。
【0253】
形態12は、バッファーをさらに含む、形態11による配合物である。
【0254】
形態13は、以下のもの:甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は防腐剤の1つ又は複数をさらに含む、形態11又は形態12のどちらかによる配合物である。
【0255】
形態14は、増粘剤をさらに含む、形態11~13のいずれかによる配合物である。
【0256】
形態15は、以下のもの:液滴、ペースト、膏薬、ローション又は軟膏の1つである、形態14による配合物である。
【0257】
形態16は、界面活性剤が以下の式:
【0258】
【0259】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、形態11~15のいずれかによる配合物である。
【0260】
形態17は、界面活性剤が以下の式:
【0261】
【0262】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、形態11~15のいずれかによる配合物である。
【0263】
形態18は、界面活性剤が以下の式:
【0264】
【0265】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態11~15のいずれかによる配合物である。
【0266】
形態19は、界面活性剤が以下の式:
【0267】
【0268】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、形態11~15のいずれかによる配合物である。
【0269】
形態20は、界面活性剤が以下の式:
【0270】
【0271】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態11~15のいずれかによる配合物である。
【0272】
形態21は、式I
【0273】
【0274】
(式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオンと;少なくとも1種の有効成分と;水相と;非水相と、を含む、ヘルスケアのためのエマルジョンである。
【0275】
形態22は、バッファーをさらに含む、形態21のエマルジョンである。
【0276】
形態23は、以下のもの:甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は防腐剤の1つ又は複数をさらに含む、形態21又は形態22のどちらかのエマルジョンである。
【0277】
形態24は、界面活性剤が以下の式:
【0278】
【0279】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、形態21~23のいずれかによる配合物である。
【0280】
形態25は、界面活性剤が以下の式:
【0281】
【0282】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、形態21~23のいずれかによる配合物である。
【0283】
形態26は、界面活性剤が以下の式:
【0284】
【0285】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態21~23のいずれかによる配合物である。
【0286】
形態27は、界面活性剤が以下の式:
【0287】
【0288】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、形態21~23のいずれかによる配合物である。
【0289】
形態28は、界面活性剤が以下の式:
【0290】
【0291】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、形態21~23のいずれかによる配合物である。
【0292】
形態29は、界面活性剤が以下の式:
【0293】
【0294】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0295】
【0296】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0297】
【0298】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0299】
【0300】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0301】
【0302】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つを含む、形態1~5のいずれかによるエマルジョンである。
【0303】
形態30は、界面活性剤が以下の式:
【0304】
【0305】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0306】
【0307】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0308】
【0309】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0310】
【0311】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0312】
【0313】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つを含む、形態11~15のいずれかによるエマルジョンである。
【0314】
形態31は、界面活性剤が以下の式:
【0315】
【0316】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0317】
【0318】
を有するドデシル 6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0319】
【0320】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0321】
【0322】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0323】
【0324】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及び
それらの組み合わせ、
の少なくとも1つを含む、形態21~23のいずれかによるエマルジョンである。