(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】異なって向けられたナノビームを有するメタ表面によって形成された回折格子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20241002BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094685
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2022014711の分割
【原出願日】2018-01-25
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディアンミン リン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アンソニー クルグ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール サン ティレール
(72)【発明者】
【氏名】マウロ メッリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ぺロス
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー ポリアコフ
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/161175(WO,A1)
【文献】特表2018-514803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0025914(US,A1)
【文献】特開2007-265581(JP,A)
【文献】特表2018-519542(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205249(WO,A1)
【文献】特開2005-018061(JP,A)
【文献】特開2012-159802(JP,A)
【文献】Shulin Sun, et al.,"High-Efficiency Broadband Anomalous Reflection by Gradient Meta-Surfaces",Nano Letters,2012年12月28日,Vol.2012, No.12,p.6223-6229,https://doi.org/10.1021/nl3032668
【文献】Erez Hasman, et al.,"Polarization dependent focusing lens by use of quantized Pancharatnam-Berry phase diffractive optic,APPLIED PHYSICS LETTERS,2003年01月20日,VOL.82, NO.3,p.328-330,https://doi.org/10.1063/1.1539300
【文献】Yang Zhao, et al.,"Manipulating light polarization with ultrathin plasmonic metasurfaces",PHYSICAL REVIEW B,2011年11月16日,VOL.84,p.205428-1 - 205428-6,DOI: 10.1103/PhysRevB.84.205428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/30- 5/32
G02B27/00-27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムを製作する方法であって、前記方法は、
導波管の基板を提供することと、
前記基板上にメタ表面を形成することと
を含み、
前記メタ表面は、ある波長を有する可視光を回折するように構成され、前記メタ表面は、複数のユニットセルを備え、前記ユニットセルの各々は、第1および第2の組のナノビームを備え、前記ユニットセルを形成することは、
1つ以上の第1のナノビームを備える前記第1の組のナノビームを形成することと、
前記1つ以上の第1のナノビームに隣接して前記第2の組のナノビームを形成することであって、前記第2の組のナノビームは、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームを備え、前記波長は、可視光波長である、ことと、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームを覆ってかつ前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームの間に、透明スペーサ層を、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームが前記透明スペーサ層に内蔵されるように、形成することと、
前記複数のユニットセルが上に形成された前記基板の一部を覆って前記透明スペーサ層上に金属反射層を形成することと
を含み、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、入射光の方向に対してある回折角で前記入射光を回折し、全内部反射のもとで前記回折した光に前記基板内で伝搬させるように配列されており、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
前記ユニットセルは、前記波長以下の周期で反復する、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することおよび前記
複数の第2のナノビームを形成することは、前記
1つ以上の第1
のナノビームおよび
前記複数の第2のナノビームをリソグラフィによって画定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することおよび前記
複数の第2のナノビームを形成することは、前記
1つ以上の第1
のナノビームおよび
前記複数の第2のナノビームをナノインプリントによって形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することと、前記
複数の第2のナノビームを形成することとは、同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の第1のナノビームは、同一幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各ユニットセルの前記
複数の第2のナノビームは、同一幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユニットセルは、青色光、緑色光、または赤色光のうちの1つの波長以下の周期を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、二重層を備え、前記二重層は、第1の屈折率を有する下側層と、前記第1の屈折率より低い第2の屈折率を有する上側層とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の第1のナノビームと前記
複数の第2のナノビームとは、互いに対してある角度で向けられ、前記1つ以上の第1のナノビームによって回折される可視光と前記
複数の第2のナノビームによって回折される可視光との間に位相差を生じさせ、前記位相差は、前記角度の2倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の第1のナノビームと前記
複数の第2のナノビームとは、互いに対して90度回転された方位方向に向けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、前記波長未満である高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、半導体材料から形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、+20度よりも大きいかまたは-20度よりも小さい入射角を有する可視光が、0度の入射角を有する可視光の回折効率に対して10%超低減させられた回折効率を有するように、前記メタ表面の表面上に入射する前記可視光を回折するように構成されており、前記入射角は、前記可視光と、前記表面に垂直な平面との間の角度である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項14】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームは、基板上に形成され、そのバルク屈折率が前記基板の屈折率より少なくとも0.5大きい材料から形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、1.5より大きい屈折率を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームの前記ナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第3のナノビームを備える第3の組のナノビームを形成することをさらに含み、前記
複数の第3のナノビームは、前記1つ以上の第1のナノビームと前記
複数の第2のナノビームとの間に挿入されて形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の第1のナノビーム、前記複数の第2のナノビーム、および前記複数の第3のナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第4のナノビームを備える第4の組のナノビームを形成することをさらに含み、
前記
複数の第4のナノビームは、方位方向における前記
複数の第2のナノビームの前記
複数の第3のナノビームが配置されている側と反対の側上に配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記
複数の第4のナノビームは、方位方向に延び、前記方位方向は、入射光の伝搬方向から見ると、前記1つ以上の第1のナノビームに対する前記
複数の第2のナノビームの反時計回り方向における最小回転角を上回る角度だけ、前記1つ以上の第1のナノビームに対して反時計回り方向に回転されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記
複数の第4のナノビームの方位方向および前記
複数の第3のナノビームの方位方向は、互いに対して90度回転されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記透明スペーサ層は、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記
複数の第2のナノビームのバルク材料の屈折率より小さい屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、米国仮出願第62/451,608号(2017年1月27日出願)および米国仮出願第62/451,615号(2017年1月27日出願)の米国特許法§119(e)に基づく優先権の利益を主張する。これらの優先権文書の各々の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
(参照による組み込み)
【0002】
本願は、以下の特許出願の各々の内容を参照により組み込む:米国出願第14/331,218号(Magic Leap事件番号20020.00)、米国出願第14/641,376号(Magic Leap事件番号20014.00)、米国仮出願第62/012,273号(Magic Leap事件番号30019.00)、米国仮出願第62/005,807号(Magic Leap事件番号30016.00)、米国仮出願第62/333,067号(代理人事件番号MLEAP.066PR)、および米国特許出願第15/342,033号(代理人事件番号MLEAP.027A)。
(分野)
【0003】
本開示は、ディスプレイシステムに関し、より具体的には、拡張現実ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、もしくはそのように知覚され得る様式でユーザに提示される。仮想現実または「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実または「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実または「MR」シナリオは、一種のARシナリオであり、典型的には、自然世界の中に統合され、それに応答する仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオは、実世界内のオブジェクトによってブロックされて見える、または別様にそれと相互作用するように知覚されるAR画像コンテンツを含み得る。
【0005】
図1を参照すると、拡張現実場面1が、描写されている。AR技術のユーザは、人々、木々、背景における建物、およびコンクリートプラットフォーム30を特徴とする実世界の公園状設定20を見る。ユーザはまた、実世界プラットフォーム1120上に立っているロボット像40、およびマルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ50等の「仮想コンテンツ」を「見ている」と知覚する。これらの要素50、40は、実世界には存在しないという点で、「仮想」である。ヒトの視知覚系が複雑であるので、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進するAR技術の生産は、困難である。
【0006】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ARまたはVR技術に関連する種々の課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態によると、光学システムは、ある波長を有する可視光を回折するように構成される、メタ表面を含む。メタ表面は、複数の反復ユニットセルを含み、各ユニットセルは、2~4組のナノビームから成る。第1の組のナノビームは、1つ以上の第1のナノビームによって形成され、第2の組のナノビームは、1つ以上の第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームによって形成される。1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長い。ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する。
【0008】
いくつかの他の実施形態によると、光学システムは、可視光を伝搬するように構成される、導波管を含み、導波管は、その上に、上で説明される光学システムのメタ表面を有する、基板を含み、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、入射光の方向に対してある回折角で光を回折し、全内部反射のもとで回折光を基板内で伝搬するように配列される。
【0009】
いくつかの実施形態によると、頭部搭載型ディスプレイデバイスは、光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成され、頭部搭載型ディスプレイデバイスは、ユーザの頭部上に支持されるように構成される、フレームを含む。ディスプレイデバイスは、加えて、フレーム上に配置される、ディスプレイを含む。ディスプレイの少なくとも一部は、1つ以上の導波管を含み、1つ以上の導波管は、透明であって、透明部分が、ユーザの正面の環境の一部からの光をユーザの眼に伝送し、ユーザの正面の環境の一部のビューを提供するように、ユーザが頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置される。ディスプレイデバイスは、加えて、1つ以上の光源を含む。ディスプレイデバイスはさらに、光源からの光を1つ以上の導波管の中に結合する、もしくは光を1つ以上の導波管から外へ結合するように構成される、少なくとも1つの回折格子を含み、回折格子は、上で説明される光学システムのメタ表面を含む。
【0010】
さらに他の実施形態によると、光学システムを製作する方法は、基板を提供するステップと、基板上に複数のユニットセルを備えているメタ表面を形成するステップとを含む。メタ表面を形成するステップは、2~4組のナノビームから成る、ユニットセルを形成するステップを含む。ユニットセルを形成するステップは、1つ以上の第1のナノビームを含む、第1の組のナノビームを形成するステップと、1つ以上の第1のナノビームに隣接する、第2の組のナノビームを形成するステップとを含む。第2の組のナノビームを形成するステップは、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームを形成するステップを含む。1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長い。ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する。
【0011】
いくつかの実施形態によると、光学システムは、ある波長を有する可視光を回折するように構成される、メタ表面を含み、メタ表面は、複数の反復ユニットセルを含む。各ユニットセルは、第1の組のナノビームを含み、第1のナノビームのうちの2つ以上のものは、異なる幅を有する。各ユニットセルは、加えて、第2の組のナノビームを含み、第2のナノビームのうちの2つ以上のものは、異なる幅を有する。第2のナノビームは、第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離される。さらに、ユニットセルの第1のナノビームおよび第2のナノビームは、異なる向きを有する。
【0012】
他の実施形態によると、頭部搭載型ディスプレイデバイスは、光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成され、頭部搭載型ディスプレイデバイスは、ユーザの頭部上に支持されるように構成される、フレームを含む。ディスプレイデバイスは、加えて、フレーム上に配置される、ディスプレイを含む。ディスプレイの少なくとも一部は、1つ以上の導波管を含み、1つ以上の導波管は、透明であって、透明部分が、光をユーザの眼に伝送し、ユーザの正面の環境の一部のビューを提供するように、ユーザが頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置される。ディスプレイデバイスは、加えて、1つ以上の光源を含む。ディスプレイデバイスはさらに、光源からの光を1つ以上の導波管の中に結合する、もしくは光を1つ以上の導波管から外へ結合するように構成される、少なくとも1つの回折格子を含み、回折格子は、上で説明される光学システムによる、メタ表面を備えている。
【0013】
さらに他の実施形態によると、メタ表面を製作する方法は、基板を提供するステップを含む。本方法は、加えて、基板上に、複数のユニットセルを有するメタ表面を形成するステップを含む。メタ表面を形成するステップは、異なる幅を有する2つ以上の第1のナノビームを備えている、第1の組のナノビームを形成するステップを含む。メタ表面を形成するステップは、加えて、異なる幅を有する2つ以上の第2のナノビームを備えている、第2の組のナノビームを形成するステップを含み、第2のナノビームは、第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離される。第1のナノビームおよび第2のナノビームは、異なる向きを有する。
【0014】
種々の他の実施形態の例は、下記に提供される。
1.光学システムであって、
ある波長を有する可視光を回折するように構成されたメタ表面であって、
複数の反復ユニットセルであって、各ユニットセルは、2~4の組ナノビームから成り、第1の組のナノビームは、1つ以上の第1のナノビームによって形成され、
第2の組のナノビームは、1つ以上の第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームによって形成され、
1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する、
複数の反復ユニットセルを備えている、
メタ表面を備えている、
光学システム。
2.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、互いに対してある角度で向けられ、1つ以上の第1のナノビームによって回折される可視光と第2のナノビームによって回折される可視光との間に位相差を生じさせる、実施形態1に記載の光学システム。
3.位相差は、角度の2倍である、実施形態2に記載の光学システム。
4.可視スペクトル内の波長は、青色光、緑色光、または赤色光に対応する、実施形態1-3のいずれかに記載の光学システム。
5.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、互いに対して約90度回転された方位方向に向けられている、実施形態1-4のいずれかに記載の光学システム。
6.第1のナノビームの各々は、同一幅を有する、実施形態1-5のいずれかに記載の光学システム。
7.第2のナノビームの各々は、同一幅を有する、実施形態1-6のいずれかに記載の光学システム。
8.第2のナノビームの各々内の第1のナノビームの各々は、第1および第2のナノビームのうちの個々のものの間に同一間隔を有する、実施形態1-7のいずれかに記載の光学システム。
9.ユニットセルは、波長以下の周期で反復し、波長は、可視スペクトル内である、実施形態1-7のいずれかに記載の光学システム。
10.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、波長より小さい高さを有する、実施形態1-9のいずれかに記載の光学システム。
11.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、そのバルク屈折率が波長において2.0より高い材料から形成される、実施形態1-10のいずれかに記載の光学システム。
12.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、半導体材料または絶縁材料から形成される、実施形態1-11のいずれかに記載の光学システム。
13.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、シリコンを有する材料から形成される、実施形態1-12のいずれかに記載の光学システム。
14.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、多結晶性シリコン、非晶質シリコン、炭化ケイ素、および窒化ケイ素から成る群から選択される材料から形成される、実施形態1-13のいずれかに記載の光学システム。
15.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、可視光を、10%より大きい回折効率において、面法線平面に対して50度より大きい回折角で回折するように構成される、実施形態1-14のいずれかに記載の光学システム。
16.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、40度を超える入射角の範囲を有する入射光のために、回折効率において光を回折するように構成される、実施形態15に記載の光学システム。
17.面法線平面は、第1の方位方向に延びている、実施形態16に記載の光学システム。
18.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、透過モードで光を回折するように構成され、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と反対側における回折光の強度は、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と同一側上の回折光の強度と比較して、より大きい、実施形態17に記載の光学システム。
19.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、反射モードで光を回折するように構成され、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と同一側上の回折光の強度は、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と反対側における回折光の強度と比較して、より大きい、実施形態17に記載の光学システム。
20.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、基板上に形成され、そのバルク屈折率が基板の屈折率より少なくとも0.5大きい材料から形成される、実施形態1-19のいずれかに記載の光学システム。
21.基板は、1.5より大きい屈折率を有する、実施形態20に記載の光学システム。
22.基板は、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームによって回折される光が、全内部反射のもとで第2の方向に伝搬するように構成される、実施形態20-21のいずれかに記載の光学システム。
23.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、実質的に長方形の断面形状を有する、実施形態1-22のいずれかに記載の光学システム。
24.1つ以上の第1のナノビームは、一対の第1のナノビームを備えている、実施形態1-23のいずれかに記載の光学システム。
25.1つ以上の第1のナノビームは、第2のナノビームが隣接した複数の対の第1のナノビーム間に直接挿入されているように、一対のナノビームに直接隣接する、実施形態24に記載の光学システム。
26.1つ以上の第1のナノビームは、1つの第1のナノビームから成る、実施形態1-23のいずれかに記載の光学システム。
27.第1の1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第3のナノビームによって形成された第3の組のナノビームをさらに備え、第3のナノビームは、1つ以上の第1のナノビームと第2のナノビームとの間に挿入される、実施形態1-24および26のいずれかに記載の光学システム。
28.第3のナノビームは、第3のナノビームが共終端するように、同一長さを有する、実施形態27に記載の光学システム。
29.第3のナノビームのうちの隣接するものは、第1の方位方向に一定空間によって分離される、実施形態27-28のいずれかに記載の光学システム。
30.1つ以上の第1のナノビームは、第1の方位方向において、複数の第3のナノビームに対応する距離に及んでいる、実施形態27-29のいずれかに記載の光学システム。
31.第3のナノビームの各々は、同一幅を有し、第3のナノビームのうちの個々のものの間の間隔は、同一幅を有する、実施形態27-30のいずれかに記載の光学システム。
32.第3のナノビームは、入射光の伝搬方向から見ると、1つ以上の第1のナノビームに対する第2のナノビームの反時計回り方向における最小回転角より小さい角度だけ、1つ以上の第1のナノビームに対して反時計回り方向に回転される、第3の方位方向に延びている、実施形態27-31のいずれかに記載の光学システム。
33.第1の1つ以上の第1のナノビーム、複数の第2のナノビーム、および複数の第3のナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第4のナノビームによって形成された第4の組のナノビームをさらに備え、第4のナノビームは、第3のナノビームが配置される側と反対の第2の方位方向における第2のナノビームの側上に配置される、実施形態27-32のいずれかに記載の光学システム。
34.第4のナノビームは、入射光の伝搬方向から見ると、1つ以上の第1のナノビームに対する第2のナノビームの反時計回り方向における最小回転角より小さい角度だけ、1つ以上の第1のナノビームに対して反時計回り方向に回転される、第4の方位方向に延びている、実施形態33のいずれかに記載の光学システム。
35.第4の方位方向および第3の方位方向は、互いに対して約90度回転される、実施形態34に記載の光学システム。
36.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、第1の屈折率を有する下側層と、第1の屈折率より低い第2の屈折率を有する上側層とを備えている、二重層を備えている、実施形態1-35のいずれかに記載の光学システム。
37.上側層は、約2.0より低い屈折率を有する、材料から形成される、実施形態36に記載の光学システム。
38.上側層は、シリコンまたは炭素を含む、実施形態36-37のいずれかに記載の光学システム。
39.1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、透明スペーサ層内に埋設される、実施形態1-38のいずれかに記載の光学システム。
40.透明スペーサ層は、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームのバルク材料の屈折率より小さい屈折率を有する、実施形態39に記載の光学システム。
41.金属反射層が、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームを覆って形成される、実施形態1-38のいずれかに記載の光学システム。
42.光学システムであって、
可視光を伝搬するように構成された導波管であって、
その上に、実施形態1-41のいずれかに記載のメタ表面を有する、基板であって、1つ以上の第1のナノビームおよび第2のナノビームは、入射光の方向に対してある回折角で光を回折し、全内部反射のもとで回折光を基板内で伝搬するように配列される、基板を備えている、
導波管を備えている、
光学システム。
43.基板は、その屈折率が、1つ以上のナノビームおよび第2のナノビームが形成された材料のバルク屈折率未満である材料から形成され、それによって、全内部反射のもとで回折光を基板内で伝搬する、実施形態42に記載の導波管。
44.回折角は、50度を超える、実施形態42-43のいずれかに記載の導波管。
45.基板は、その屈折率が、1つ以上のナノビームおよび第2のナノビームが形成された材料のバルク屈折率より少なくとも0.5小さい、材料から形成される、実施形態42-44のいずれかに記載の導波管。
46.基板は、1.5より大きい屈折率を有する、実施形態42-45のいずれかに記載の導波管。
47. 光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成された頭部搭載型ディスプレイデバイスであって、
ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームと、
フレーム上に配置されたディスプレイであって、ディスプレイの少なくとも一部は、
1つ以上の導波管であって、透明であって、透明部分が、ユーザの正面の環境の一部からの光をユーザの眼に伝送し、ユーザの正面の環境の一部のビューを提供するように、ユーザが頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置される、1つ以上の導波管と、
1つ以上の光源と、
光源からの光を1つ以上の導波管の中に結合する、もしくは光を1つ以上の導波管から外へ結合するように構成される、少なくとも1つの回折格子であって、実施形態1-41のいずれかに記載のメタ表面を備えている、回折格子と、
を備えている、ディスプレイと、
を備えている、頭部搭載型ディスプレイデバイス。
48.1つ以上の光源は、ファイバ走査プロジェクタを備えている、実施形態47に記載のデバイス。
49.ディスプレイは、画像コンテンツを複数の深度平面上でユーザに提示するように、光をユーザの眼の中に投影するように構成される、実施形態47-48のいずれかに記載のデバイス。
50.光学システムを製作する方法であって、
基板を提供するステップと、
基板上に、複数のユニットセルを備えている、メタ表面を形成するステップであって、ユニットセルは、2~4組のナノビームから成り、ユニットセルを形成するステップは、
1つ以上の第1のナノビームを備えている、第1の組のナノビームを形成するステップと、
1つ以上の第1のナノビームに隣接する第2の組のナノビームを形成するステップであって、第2の組のナノビームは、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームを備えている、ステップと、
を含み、
1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する、
ステップと、
を含む、方法。
51.1つ以上の第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、第1および第2のナノビームをリソグラフィによって画定するステップを含む、実施形態50に記載の方法。
52.1つ以上の第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、第1および第2のナノビームをナノインプリントによって形成するステップを含む、実施形態50に記載の方法。
53.1つ以上の第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、同時に実施される、施形態50-52のいずれかに記載の方法。
54.1つ以上の第1のナノビームは、同一幅を有する、実施形態50-53のいずれかに記載の方法。
55.各ユニットセルの第2のナノビームは、同一幅を有する、実施形態50-54のいずれかに記載の方法。
56.ユニットセルは、可視スペクトル内の波長以下の周期を有する、実施形態50-55のいずれかに記載の方法。
57.光学システムであって、
ある波長を有する可視光を回折するように構成されたメタ表面であって、
複数の反復ユニットセルであって、各ユニットセルは、
1つ以上の第1のナノビームによって形成された第1の組のナノビームと、
1つ以上の第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームによって形成された第2の組のナノビームと、
を備え、
1つ以上の第1のナノビームおよび複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
ユニットセルは、波長以下の周期で反復する、
複数の反復ユニットセルを備えている、
メタ表面を備えている、
光学システム。
58.波長の光をメタ表面に放出するように構成された光源をさらに備えている、実施形態57に記載の光学システム。
59.光源からの光を変調し、変調された光をメタ表面に出力するように構成された空間光変調器をさらに備えている、実施形態58に記載の光学システム。
60.波長は、青色光、緑色光、または赤色光に対応する、実施形態57-59のいずれかに記載の光学システム。
61.光学システムであって、
ある波長を有する可視光を回折するように構成されたメタ表面であって、
複数の反復ユニットセルであって、各ユニットセルは、
第1の組のナノビームであって、第1のナノビームのうちの2つ以上のものは、異なる幅を有する、第1の組のナノビームと、
第2の組のナノビームであって、第2のナノビームのうちの2つ以上のものは、異なる幅を有し、第2のナノビームは、第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離される、第2の組のナノビームと、
を備え、
第1のナノビームおよび第2のナノビームは、異なる向きを有する、
複数の反復ユニットセルを備えている、
メタ表面を備えている、
光学システム。
62.波長の光をメタ表面に放出するように構成された光源をさらに備えている、実施形態61に記載の光学システム。
63.光源からの光を変調し、変調された光をメタ表面に出力するように構成された空間光変調器をさらに備えている、実施形態62に記載の光学システム。
64.波長は、青色光、緑色光、または赤色光に対応する、実施形態61-63のいずれかに記載の光学システム。
65.第1の組のナノビームおよび第2の組のナノビームは、メタ表面が可視光を単一次数の回折光の中に回折するように構成されるように配列される、実施形態61に記載の光学システム。
66.第1の組のナノビームは、それぞれ、第1の幅および第2の幅を有する、一対の第1のナノビームを備え、第2の組のナノビームは、第3の幅および第4の幅を有する、交互の第2のナノビームを備えている、実施形態61-65のいずれかに記載の光学システム。
67.ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する、実施形態61-66のいずれかに記載の光学システム。
68.ユニットセルは、波長以下の周期で反復し、波長は、可視スペクトル内である、実施形態61-68のいずれかに記載の光学システム。
69.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、互いに対してある角度の向きで向けられ、第1の組のナノビームと第2の組のナノビームによって回折される可視光との間に位相差を生じさせる、実施形態61-68のいずれかに記載の光学システム。
70.位相差は、角度の2倍である、実施形態69に記載の光学システム。
71.向きの角度は、約90度である、実施形態69-70のいずれかに記載の光学システム。
72.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、波長より小さい高さを有する、実施形態61-67のいずれかに記載の光学システム。
73.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、そのバルク屈折率が波長において2.0より高い材料から形成される、実施形態61-72のいずれかに記載の光学システム。
74.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、半導体材料または絶縁材料から形成される、実施形態61-73のいずれかに記載の光学システム。
75.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、二酸化チタンから形成される、実施形態61-74のいずれかに記載の光学システム。
76.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、シリコン含有材料から形成される、実施形態61-75のいずれかに記載の光学システム。
77.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、単結晶性シリコン、多結晶性シリコン、非晶質シリコン、炭化ケイ素、および窒化ケイ素から成る群から選択される材料から形成される、実施形態61-76のいずれかに記載の光学システム。
78.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、面法線平面に対して50度より大きい回折角において、10%より大きい回折効率で可視光を回折するように構成される、実施形態61-77のいずれかに記載の光学システム。
79.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、40度を超える入射角の範囲を有する入射光のために、回折効率において光を回折するように構成される、実施形態78に記載の光学システム。
80.面法線平面は、第1の方位方向に延びている、実施形態79に記載の光学システム。
81.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、透過モードで光を回折するように構成され、第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と反対側における回折光の強度は、第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と同一側上の回折光の強度と比較して、より大きい、実施形態80に記載の光学システム。
82.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、反射モードで光を回折するように構成され、第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と同一側上の回折光の強度は、第1のナノビームおよび第2のナノビームの光入射側と反対側における回折光の強度と比較して、より大きい、実施形態80に記載の光学システム。
83.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、基板上に形成され、そのバルク屈折率が基板の屈折率より少なくとも0.5大きい材料から形成される、実施形態61-82のいずれかに記載の光学システム。
84.基板は、1.5より大きい屈折率を有する、実施形態83に記載の光学システム。
85.基板は、第1のナノビームおよび第2のナノビームによって回折される光が、全内部反射のもとで第2の方向に伝搬するように構成される、実施形態83-84のいずれかに記載の光学システム。
86.第1のナノビームおよび第2のナノビームは、実質的に長方形の断面形状を有する、実施形態61-85のいずれかに記載の光学システム。
87.第1のナノビームは、第2のナノビームが隣接した複数の対の第1のナノビーム間に直接挿入されているように、一対のナノビームに直接隣接する、実施形態61-85のいずれかに記載の光学システム。
88.可視光を伝搬するように構成される、導波管をさらに備え、メタ表面は、導波管にわたって配置され、メタ表面は、光の入射方向に対してある回折角で光を回折し、全内部反射のもとで回折光を基板内で伝搬するように配列される、第1のナノビームおよび第2のナノビームを備えている、実施形態61-87のいずれかに記載の光学システム。
89.基板は、その屈折率が、第1のナノビームおよび第2のナノビームが形成される材料のバルク屈折率より少なくとも0.5小さい、材料から形成される、実施形態61-88のいずれかに記載の光学システム。
90. 光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成された頭部搭載型ディスプレイデバイスであって、
ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームと、
フレーム上に配置されたディスプレイであって、ディスプレイの少なくとも一部は、
1つ以上の導波管であって、透明であって、透明部分が、光をユーザの眼に伝送し、ユーザの正面の環境の一部のビューを提供するように、ユーザが頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、ユーザの眼の正面の場所に配置される、1つ以上の導波管と、
1つ以上の光源と、
光源からの光を1つ以上の導波管の中に結合する、もしくは光を1つ以上の導波管から外へ結合するように構成される、少なくとも1つの回折格子であって、実施形態61-87のいずれかに記載のメタ表面を備えている、回折格子と、
を備えている、ディスプレイと、
を備えている、頭部搭載型ディスプレイデバイス。
91.1つ以上の光源は、ファイバ走査プロジェクタを備えている、実施形態90に記載のディスプレイデバイス。
92.ディスプレイは、画像コンテンツを複数の深度平面上においてユーザに提示するように、光をユーザの眼の中に投影するように構成される、実施形態90-91のいずれかに記載のディスプレイデバイス。
93.メタ表面を製作する方法であって、
基板を提供するステップと、
基板上に、複数のユニットセルを有するメタ表面を形成するステップであって、メタ表面を形成するステップは、
異なる幅を有する2つ以上の第1のナノビームを備えている、第1の組のナノビームを形成するステップと、
異なる幅を有する2つ以上の第2のナノビームを備えている、第2の組のナノビームを形成するステップであって、第2のナノビームは、第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離される、ステップと、
を含み、第1のナノビームおよび第2のナノビームは、異なる向きを有する、ステップと、
を含む、ステップと、
を含む、方法。
94.第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、同時に、第1および第2のナノビームをリソグラフィによって画定するステップを含む、実施形態93に記載の方法。
95.第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、第1および第2のナノビームをナノインプリントによって形成するステップを含む、実施形態93に記載の方法。
96.第1のナノビームを形成するステップおよび第2のナノビームを形成するステップは、同時に実施される、実施形態93-95のいずれかに記載の方法。
97.ユニットセルは、可視スペクトル内の波長以下の周期性を有する、実施形態93-96のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、ARデバイスを通した拡張現実(AR)のユーザのビューを図示する。
【0016】
【
図2】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステムの例を図示する。
【0017】
【
図3】
図3は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
【0018】
【
図4】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
【0019】
【
図5】
図5A-5Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
【0020】
【
図6】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。
【0021】
【
図7】
図7は、導波管によって出力された出射ビームの例を図示する。
【0022】
【
図8】
図8は、スタックされた導波管アセンブリの例を図示し、各深度平面は、複数の異なる成分色を使用して形成される画像を含む。
【0023】
【
図9A】
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含むスタックされた導波管の組の例の断面側面図を図示する。
【0024】
【0025】
【
図9C】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。
【0026】
【
図10A】
図10Aは、従来の光学要素の例として、アキシコンの断面図を図式的に図示する。
【0027】
【
図10B】
図10Bは、メタ表面から形成される光学要素の例として、メタ表面ベースのアキシコンの断面図を図式的に図示する。
【0028】
【
図10C】
図10Cは、
図10Bのメタ表面ベースのアキシコンがコリメートされたガウス左円偏光(LCP)光ビームで照明されるときに結果として生じる透過ビームプロファイルを図示する。
【0029】
【
図11A】
図11Aは、横方向電気(TE)偏光および直交横方向磁気(TM)偏光を有する入射光による上から下への照明下で、複数のナノビームを備えているメタ表面から形成される例示的波長板を図示する。
【0030】
【0031】
【
図11C】
図11Cは、
図11Aの例示的波長板から生じるTE-偏光ビームに対するTM-偏光のシミュレートされた位相遅延を図示する。
【0032】
【0033】
【
図12】
図12A-12Hは、それぞれ、0、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2および7π/4の角度θによる、波長板の高速軸における回転に対応する入射光の偏光ベクトルの変化を図示する。
【0034】
【
図13】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、2相レベル幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の断面側面図および見下げ図を図示する。
【0035】
【
図14】
図14は、
図13Aおよび13Bを参照して説明される例示的回折格子に関するシミュレートされた回折効率対入射角(α)を図示する。
【0036】
【
図15】
図15Aおよび15Bは、
図13Aおよび13Bを参照して説明される回折格子を通した透過に応じたTE-偏光に対する位相波面の2次元シミュレーションを図示する。
【0037】
【
図16A】
図16Aは、いくつかの実施形態による、マスク層が残される、いくつかの実施形態による、幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の断面側面図を図示する。
【0038】
【
図16B】
図16Bは、
図16Aに図示される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対マスク層の厚さを図示する。
【0039】
【
図16C】
図16Cは、いくつかの実施形態による、残されたマスク層が20nm厚である
図16Aに図示される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0040】
【
図16D】
図16Dは、いくつかの実施形態による、残されたマスク層が40nm厚である
図16Aに図示される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0041】
【
図17A】
図17Aおよび17Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【
図17B】
図17Aおよび17Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0042】
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、多結晶性シリコンから形成され、緑色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0043】
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、炭化ケイ素(SiC)から形成され、緑色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0044】
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による、窒化ケイ素(Si
3N
4)から形成され、緑色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0045】
【
図21】
図21は、いくつかの実施形態による、多結晶性シリコンから形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0046】
【
図22】
図22は、いくつかの実施形態による、非晶質シリコンから形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0047】
【
図23】
図23は、いくつかの実施形態による、炭化ケイ素(SiC)から形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0048】
【
図24】
図24は、いくつかの実施形態による、窒化ケイ素(Si
3N
4)から形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0049】
【
図25】
図25は、いくつかの実施形態による、4相レベル幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の見下げ図を図示する。
【0050】
【
図26】
図26は、いくつかの実施形態による、反射モードで回折するように構成される幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の断面図を図示する。
【0051】
【
図27】
図27は、
図26に図示される例示的回折に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0052】
【
図28】
図28A-28Dは、いくつかの実施形態による、幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の加工の種々の段階における中間構造の断面図である。
【0053】
【
図29】
図29A-29Dは、いくつかの他の実施形態による幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の加工の種々の段階における中間構造の断面図である。
【0054】
【
図30】
図30Aおよび30Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、2相レベル非対称幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている回折格子の断面側面図および見下げ図を図示する。
【0055】
【
図31A】
図31Aおよび31Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する多結晶性シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【
図31B】
図31Aおよび31Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する多結晶性シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0056】
【
図32A】
図32Aおよび32Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【
図32B】
図32Aおよび32Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【0057】
【
図33A】
図33Aおよび33Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【
図33B】
図33Aおよび33Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
ディスプレイシステム等の光学システムは、多くの場合、光学要素を利用して、光の伝搬を制御する。いくつかの用途では、コンパクトな光学システムの需要に起因して、従来の光学要素は、もはや好適でない場合がある。
【0059】
メタ表面、すなわち、メタ材料表面は、幾何学的光学と比較してはるかに小さいスケールにおいて、事実上平坦な無収差の光学系を実現する機会を提供する。理論によって限定されるわけではないが、いくつかの実施形態では、メタ表面は、共振光学アンテナとして機能する、表面構造の稠密配列を含む。光と表面構造の相互作用の共振性質は、光学波面を操作する能力を提供する。ある場合には、メタ表面は、単純パターン化プロセスによって形成される、薄くて比較的平面の要素を用いて、嵩張るまたは製造が困難な光学コンポーネントの置換を可能にし得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、回折格子を形成するためのメタ表面が、開示される。メタ表面は、複数の反復ユニットセルによって形成される、格子の形態をとり得る。各ユニットセルは、交差する方向に細長い、2組以上のナノビーム、すなわち、第1の方向に細長い、1つ以上の第1のナノビームと、第1の方向と異なる第2の方向に細長い、複数の第2のナノビームとを備え得る。例えば、見下げ図に見られるように、第1の方向は、概して、y-軸に沿い得、第2の方向は、概して、x-軸に沿い得る。いくつかの実施形態では、ユニットセルは、4組のナノビーム、すなわち、第1の方向に細長い、1つ以上の第1のナノビームと、第2の方向に細長い、複数の第2のナノビームと、第3の方向に細長い、複数の第3のナノビームと、第4の方向に細長い、複数の第4のナノビームとを備え得る。例として、第1および第2の方向は、互いに対して第1の角度(例えば、90°)を形成し得、第1および第3の方向ならびに第1および第4の方向は、互いに反対角度を形成し得る。いくつかの実施形態では、メタ表面は、複数の第1のナノビームが存在する、第1のナノビームがそれぞれ、同一幅を有するという意味において、対称であり得る。いくつかの他の実施形態では、メタ表面は、複数の第1のナノビームが存在する、ユニットセル内の第1のナノビームのうちの少なくとも1つが、第1のナノビームのうちの少なくとも1つの他のものと異なる幅を有するという意味において、非対称であると説明され得る。いくつかの実施形態では、対称または非対称メタ表面のユニットセルは、10nm~500nmまたは300nm~500nmを含む、10nm~1μmの範囲内の周期性を有し、メタ表面が回折するように構成される、または、例えば、導波管の中に内部結合する、もしくはそこから外へ外部結合するために、メタ表面に導かれる、光の波長未満であり得る。有利なこととして、本明細書に開示されるメタ表面は、広範囲の入射角にわたって、円偏光を伴う入射光のために、高回折角および高回折効率を伴う光の回折を提供することが見出されている。特に、いくつかの実施形態では、非対称メタ表面は、回折光を複数の回折次数のうちの1つの中に操向しながら、複数の回折次数のうちの他のものを低減させることができる。加えて、いくつかの実施形態では、メタ表面は、高波長選択性を伴って、光を回折する。
【0061】
いくつかの実施形態では、メタ表面は、ウェアラブルディスプレイシステム内で利用され、コンパクトな光学要素を提供し得る。ARシステムは、仮想コンテンツをユーザまたは視認者に表示しながら、依然として、ユーザが彼らの周囲の世界を見ることを可能にし得る。好ましくは、本コンテンツは、例えば、画像情報をユーザの眼に投影するアイウェアの一部としてのウェアラブル頭部搭載型ディスプレイ上に表示される。加えて、ディスプレイはまた、周囲環境からの光をユーザの眼に伝送し、その周囲環境のビューを可能にし得る。本明細書で使用されるように、「頭部搭載型」ディスプレイは、視認者の頭部上に搭載され得る、ディスプレイであることを理解されたい。
【0062】
ここで、図面を参照するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。
(例示的ディスプレイシステム)
【0063】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステム60の例を図示する。ディスプレイシステム60は、ディスプレイ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子的モジュールならびにシステムとを含む。ディスプレイ70は、フレーム80に結合され得、それは、ディスプレイシステムユーザまたは視認者90によって装着可能であり、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態では、アイウェアと見なされ得る。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられるように構成される(いくつかの実施形態では、示されない別のスピーカが、随意に、ユーザの他方の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/成形可能音制御を提供し得る)。ディスプレイシステムはまた、1つ以上のマイクロホン110もしくは他のデバイスを含み、音を検出し得る。いくつかの実施形態では、マイクロホンは、ユーザが、入力またはコマンド(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)をシステム60に提供することを可能にするように構成され、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にし得る。マイクロホンはさらに、周辺センサとして構成され、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)を収集し得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムはまた、周辺センサ120aを含み得、それは、フレーム80と別個であって、ユーザ90の身体(例えば、ユーザ90の頭部、胴体、四肢等の上)に取り付けられ得る。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特性評価するデータを入手するように構成され得る。例えば、センサ120aは、電極であり得る。
【0064】
図2を継続して参照すると、ディスプレイ70は、有線導線または無線接続性等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、それは、フレーム80に固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットもしく帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホンに内蔵される、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成において、ベルト結合式構成において)等、種々の構成で搭載され得る。同様に、センサ120aは、通信リンク120b、例えば、有線導線または無線接続性によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され得る。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサならびに不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを備えてもよく、その両方は、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、a)画像捕捉デバイス(カメラ等)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等のセンサ(例えば、フレーム80に動作可能に結合される、または別様にユーザ90に取り付けられ得る)から捕捉される、および/またはb)可能性として処理または読み出し後のディスプレイ70に渡すために、遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して入手および/または処理される、データを含む。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が、互いに動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140にリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンク等を介して、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含み得る。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つ以上のものは、フレーム80に取り付けられ得る、または有線もしくは無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する、独立構造であり得る。
【0065】
図2を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、遠隔処理モジュール150は、データおよび/または画像情報を分析ならびに処理するように構成される、1つ以上のプロセッサを備え得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得る、デジタルデータ記憶設備を備え得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、1つ以上の遠隔サーバを含み得、それは、情報、例えば、拡張現実コンテンツをローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に生成するための情報を提供する。いくつかの実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての計算は、ローカル処理およびデータモジュール内で行われ、遠隔モジュールからの完全に自律的使用を可能にする。
【0066】
ここで
図3を参照すると、「3次元」または「3-D」としての画像の知覚は、視認者の各眼への画像の若干異なる提示を提供することによって達成され得る。
図3は、ユーザに関する3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。眼210、220毎に1つの2つの異なる画像190、200が、ユーザに出力される。画像190、200は、視認者の視線と平行な光学またはz-軸に沿って距離230だけ眼210、220から間隔を置かれる。画像190、200は、平坦であり、眼210、220は、単一の遠近調節された状態をとることによって、画像上に焦点を合わせ得る。そのような3-Dディスプレイシステムは、ヒト視覚系に依拠し、画像190、200を組み合わせ、組み合わせられた画像の深度および/または尺度の知覚を提供する。
【0067】
しかしながら、ヒト視覚系は、より複雑であって、深度の現実的知覚を提供することは、より困難であることを理解されたい。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くの視認者は、そのようなシステムが不快であることを見出す、または深度の感覚を全く知覚しないこともある。理論によって限定されるわけではないが、オブジェクトの視認者は、両眼離反運動と遠近調節の組み合わせに起因して、オブジェクトを「3次元」として知覚し得ると考えられる。互いに対する2つの眼の両眼離反運動(すなわち、瞳孔が、眼の視線を収束させ、オブジェクトを固視させるために互いに向かって、またはそこから離れるように移動する、眼の転動)は、眼の水晶体および瞳孔の集束(または「遠近調節」)と密接に関連付けられる。通常条件下では、眼の水晶体の焦点を変化させる、または眼を遠近調節し、異なる距離における1つのオブジェクトから別のオブジェクトに焦点を変化させることは、「遠近調節-両眼離反運動反射」ならびに瞳孔拡張または収縮として知られる関係下で、同一距離までの両眼離反運動における整合変化を自動的に生じさせるであろう。同様に、両眼離反運動における変化は、通常条件下で、水晶体形状および瞳孔サイズの遠近調節における整合変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、各眼への若干異なる提示(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を表示する。しかしながら、そのようなシステムは、とりわけ、単に、場面の異なる提示を提供するが、眼が全画像情報を単一の遠近調節された状態において視認すると、「遠近調節-両眼離反運動反射」に対抗して機能するため、多くの視認者にとって不快である。遠近調節と両眼離反運動との間のより良好な整合を提供するディスプレイシステムは、3次元画像のより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0068】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図4を参照すると、z-軸上の眼210、220からの種々の距離におけるオブジェクトは、それらのオブジェクトが焦点が合うように、眼210、220によって遠近調節される。眼210、220は、特定の遠近調節された状態をとり、オブジェクトをz-軸に沿った異なる距離に焦点を合わせる。その結果、特定の遠近調節された状態は、特定の深度平面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部が、眼がその深度平面に対して遠近調節された状態にあるとき、焦点が合うように、関連付けられた焦点距離を有する、深度平面240のうちの特定の1つに関連付けられると言え得る。いくつかの実施形態では、3次元画像は、眼210、220毎に画像の異なる提示を提供することによって、また、深度平面の各々に対応する画像の異なる提示を提供することによってシミュレートされ得る。例証を明確にするために、別個であるように示されるが、眼210、220の視野は、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて重複し得ることを理解されたい。加えて、例証を容易にするために、平坦であるように示されるが、深度平面の輪郭は、深度平面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と焦点が合うように、物理的空間内で湾曲させられ得ることを理解されたい。
【0069】
オブジェクトと眼210または220との間の距離はまた、その眼によって視認されるようなそのオブジェクトからの光の発散の量を変化させ得る。
図5A-5Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図5A-5Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成される光場は、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率は、オブジェクトと眼210との間の距離の減少に伴って増加する。その結果、異なる深度平面では、光線の発散度も、異なり、発散度は、深度平面と視認者の眼210との間の距離の減少に伴って増加する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図5A-5Cおよび本明細書の種々の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、視認者の両眼210および220に適用され得ることを理解されたい。
【0070】
理論によって限定されるわけではないが、ヒトの眼は、典型的には、有限数の深度平面を解釈し、深度知覚を提供することができると考えられる。その結果、知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼にこれらの限定数の深度平面の各々に対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、視認者の眼によって別個に焦点を合わせられ、それによって、異なる深度平面上に位置する場面のための異なる画像特徴に焦点を合わせるために要求される眼の遠近調節に基づいて、および/または焦点がずれている異なる深度平面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度合図を提供することに役立ち得る。
【0071】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、
図2のシステム60であって、
図6は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、導波管アセンブリ260は、
図2のディスプレイ70の一部であり得る。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、明視野ディスプレイと見なされ得ることを理解されたい。
【0072】
図6を継続して参照すると、導波管アセンブリ260はまた、複数の特徴320、330、340、350を導波管間に含み得る。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つ以上のレンズであり得る。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて画像情報を眼に送信するように構成され得る。各導波管レベルは、特定の深度平面に関連付けられ得、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成され得る。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能し得、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用され得、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力のために各それぞれの導波管を横断して入射光を分散させるように構成され得る。光は、画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500の各々は、対応する導波管の縁であり得る、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510または視認者の眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であり得る。いくつかの実施形態では、光の単一ビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され、クローン化されたコリメートビームの全体場を出力し得、それは、特定の導波管に関連付けられた深度平面に対応する特定の角度(および発散量)において眼210のほうへ導かれる。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310に関連付けられ、その中に光を投入し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々は、対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のための画像情報を生成する、個別的なディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、例えば、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して、画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々に送り得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色(例えば、本明細書に議論されるように、異なる成分色(component color))の光を含み得ることを理解されたい。
【0074】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、それは、光モジュール530を備え、それは、発光ダイオード(LED)等の光エミッタを含み得る。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ550を介して、光変調器540、例えば、空間光変調器に導かれ、かつそれによって修正され得る。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を変化させるように構成され得る。空間光変調器の例は、液晶ディスプレイ(LCD)を含み、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に、最終的には、視認者の眼210に投影するように構成される、1つ以上の走査ファイバを備えている、走査ファイバディスプレイであり得る。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それぞれ、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられた1つの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール530から1つ以上の導波管270、280、290、300、310に透過するように構成され得ることを理解されたい。1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に向け直してもよいことを理解されたい。
【0076】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光モジュール540の動作を含むスタックされた導波管アセンブリ260のうちの1つ以上のものの動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、例えば、本明細書に開示される種々のスキームのいずれかに従って、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよび提供を調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一の一体型デバイスまたは有線もしくは無線通信チャネルによって接続される分散型システムであり得る。コントローラ560は、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(
図2)の一部であり得る。
【0077】
図6を継続して参照すると、導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって各それぞれの導波管内で光を伝搬するように構成され得る。導波管270、280、290、300、310の各々は、主要な上部および底部表面ならびにそれらの主要上部表面と底部表面との間に延びている縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有し得る。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310の各々は、各それぞれの導波管内で伝搬する光を導波管から外へ向け直し、画像情報を眼210に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成される、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含み得る。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、外部結合光学要素光はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内を伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折光学特徴を含む、格子であり得る。説明の容易性および図面の明確性のために、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置され得る、および/または導波管270、280、290、300、310の容積内に直接配置され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する、材料の層内に形成され得る。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、材料のモノリシック部品であり得、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、材料のその部品の表面上および/またはその内部に形成され得る。
【0078】
図6を継続して参照すると、本明細書に議論されるように、各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光(そのような導波管270の中に投入された)を送達するように構成され得る。コリメートされた光は、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達し得る前、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通過する、コリメートされた光を送出するように構成され得る。そのような第1のレンズ350は、眼/脳が、その次の上方の導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるように解釈するように、若干の凸面波面曲率を生成するように構成され得る。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前、その出力光を第1の350および第2の340レンズの両方を通過させる。第1の350および第2の340レンズの組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が次の上方の導波管280からの光であった光学無限遠から人物に向かって内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるように解釈するように、別の漸増量の波面曲率を生成するように構成され得る。
【0079】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最も高い導波管310は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他の側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約力を補償し得る。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面の両方は、静的であり得る(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方は、電気活性特徴を使用して動的であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つ以上のものは、同一の関連付けられた深度平面を有し得る。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度平面に設定される画像を出力するように構成され得る、または導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、深度平面毎に1つの組を伴う、同一の複数の深度平面に設定される画像を出力するように構成され得る。これは、それらの深度平面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成する利点を提供し得る。
【0081】
図6を継続して参照すると、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管に関連付けられた特定の深度平面のために、光をそれらのそれぞれの導波管から外へ向け直すことと、この光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力することの両方を行うように構成され得る。その結果、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有し得、それは、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積または表面特徴であり得、それは、具体的角度において光を出力するように構成され得る。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であり得る。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではないこともある。むしろ、それらは、単に、スペーサ(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、回折パターンを形成する回折特徴または「回折光学要素」(本明細書では、「DOE」とも称される)である。好ましくは、DOEは、ビームの光の一部のみがDOEの各交差点を用いて眼210に向かって偏向される一方、残りがTIRを介して導波管を通して移動し続けるように、十分に低い回折効率を有する。画像情報を搬送する光は、したがって、様々な場所において導波管から出射するいくつかの関連出射ビームに分割され、その結果、導波管内でバウンスする本特定のコリメートされたビームに関して、眼210に向かって非常に均一パターンの出射放出となる。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つ以上のDOEは、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切り替え可能であり得る。例えば、切り替え可能なDOEは、ポリマー分散液晶の層を備えてもよく、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを備え、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を著しく回折しない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに整合しない屈折率に切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折しる)。
【0084】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光および赤外線光カメラを含む、デジタルカメラ)が、眼210および/または眼210の周囲の組織の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出する、および/またはユーザの生理学的状態を監視するために提供され得る。本明細書で使用されるように、カメラは、任意の画像捕捉デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、赤外線光)を眼に投影し、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る、光源とを含み得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図2)に取り付けられ得、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し得る、処理モジュール140および/または150と電気通信し得る。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視し得る。
【0085】
ここで
図7を参照すると、導波管によって出力された出射ビームの例が、示される。1つの導波管が図示されるが、導波管アセンブリ260(
図6)内の他の導波管も同様に機能し得、導波管アセンブリ260は、複数の導波管を含むことを理解されたい。光640が、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって導波管270内を伝搬する。光640がDOE570上に衝突する点では、光の一部は、導波管から出射ビーム650として出射する。出射ビーム650は、略平行として図示されるが、本明細書に議論されるように、また、導波管270に関連付けられた深度平面に応じて、ある角度(例えば、発散出射ビームを形成する)において眼210に伝搬するように向け直され得る。略平行出射ビームは、眼210からの遠距離(例えば、光学無限遠)における深度平面に設定されるように現れる画像を形成するように光を外部結合する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得ることを理解されたい。他の導波管または他の外部結合光学要素の組は、より発散する、出射ビームパターンを出力し得、それは、眼210がより近い距離に遠近調節し、網膜に焦点を合わせることを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0086】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像が、成分色、例えば、3つ以上の成分色の各々に画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成され得る。
図8は、スタックされた導波管アセンブリの例を図示し、各深度平面は、複数の異なる成分色を使用して形成される画像を含む。図示される実施形態は、深度平面240a-240fを示すが、より多いまたはより少ない深度も、検討される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含む、それに関連付けられた3つ以上の成分色画像を有し得る。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続くジオプタ(dpt)に関する異なる数字によって図に示される。単なる例として、これらの文字の各々に続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、視認者からの深度平面の逆距離を示し、図中の各ボックスは、個々の成分色画像を表す。いくつかの実施形態では、異なる波長の光の眼の集束における差異を考慮するために、異なる成分色に関する深度平面の正確な場所は、変動し得る。例えば、所与の深度平面に関する異なる成分色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置され得る。そのような配列は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、および/または色収差を減少させ得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、各成分色の光は、単一専用導波管によって出力され得、その結果、各深度平面は、それに関連付けられた複数の導波管を有し得る。そのような実施形態では、文字G、R、またはBを含む、図中の各ボックスは、個々の導波管を表すものと理解され得、3つの導波管は、深度平面毎に提供され得、3つの成分色画像が、深度平面毎に提供される。各深度平面に関連付けられた導波管は、本図面では、説明を容易にするために互いに隣接して示されるが、物理的デバイスでは、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックで配列され得ることを理解されたい。いくつかの他の実施形態では、複数の成分色が、例えば、単一導波管のみが深度平面毎に提供され得るように、同一導波管によって出力され得る。
【0088】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、Gは、緑色であって、Rは、赤色であって、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態では、マゼンタ色およびシアン色を含む、光の他の波長に関連付けられた他の色も、赤色、緑色、もしくは青色のうちの1つ以上のものに加えて使用され得る、またはそれらに取って代わり得る。
【0089】
本開示全体を通した所与の光の色の言及は、その所与の色として視認者によって知覚される、光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含するものと理解されると理解されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得、緑色光は、約492~577nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得、青色光は、約435~493nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、光源530(
図6)は、視認者の視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、赤外線および/または紫外線波長の光を放出するように構成され得る。加えて、ディスプレイ250の導波管の内部結合、外部結合、および他の光向け直し構造は、例えば、結像および/またはユーザ刺激用途のために、この光をユーザの眼210のほうへディスプレイから外へ導きおよび放出するように構成され得る。
【0091】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管に衝突する光は、その光を導波管の中に内部結合するために向け直される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に向け直し、内部結合するために使用され得る。
図9Aは、それぞれ、内部結合光学要素を含む、複数または組660のスタックされた導波管の例の断面側面図を図示する。導波管の各々は、1つ以上の異なる波長もしくは1つ以上の異なる波長範囲の光を出力するように構成され得る。スタック660は、スタック260(
図6)に対応し得、スタック660の図示される導波管は、複数の導波管270、280、290、300、310の一部に対応し得るが、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの1つ以上のものからの光が、光が内部結合のために向け直されることを要求する位置から導波管の中に投入されることを理解されたい。
【0092】
スタックされた導波管の図示される組660は、導波管670、680、および690を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力面積とも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素700は、導波管670の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素710は、導波管680の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素720は、導波管690の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720のうちの1つ以上のものは、それぞれの導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る(特に、1つ以上の内部結合光学要素は、反射性偏向光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、それらのそれぞれの導波管670、680、690の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置され得、特に、それらの内部結合光学要素は、透過性偏向光学要素である。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720は、それぞれの導波管670、680、690の本体内に配置され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、他の光の波長を透過させながら、1つ以上の光の波長を選択的に向け直すような波長選択的である。そのそれぞれの導波管670、680、690の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素700、710、720は、いくつかの実施形態では、そのそれぞれの導波管670、680、690の他の面積内に配置され得ることを理解されたい。
【0093】
図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、互いから側方にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、各内部結合光学要素は、その光が別の内部結合光学要素を通過せずに、光を受け取るようにオフセットされ得る。例えば、各内部結合光学要素700、710、720は、
図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス360、370、380、390、および400から受け取るように構成され得、光を内部結合光学要素700、710、720の他のものから実質的に受け取らないように、他の内部結合光学要素700、710、720から分離され得る(例えば、側方に間隔を置かれる)。
【0094】
各導波管はまた、関連付けられた光分配要素を含み、例えば、光分配要素730は、導波管670の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素740は、導波管680の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素750は、導波管690の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態では、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る。いくつかの他の実施形態では、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の上部および底部両方の主要表面上に配置され得る、または光分配要素730、740、750は、それぞれ、異なる関連付けられた導波管670、680、690内の上部および底部主要表面の異なるもの上に配置され得る。
【0095】
導波管670、680、690は、例えば、材料のガス、液体および/または固体層によって離間ならびに分離され得る。例えば、図示されるように、層760aは、導波管670および680を分離し得、層760bは、導波管680および690を分離し得る。いくつかの実施形態では、層760aおよび760bは、低屈折率材料(すなわち、導波管670、680、690のうちの直接隣接するものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。好ましくは、層760a、760bを形成する材料の屈折率は、導波管670、680、690を形成する材料の屈折率を0.05もしくはそれを上回る、または0.10もしくはそれを下回る。有利には、より低い屈折率層760a、760bは、導波管670、680、690を通して光の全内部反射(TIR)(例えば、各導波管の上部および底部主要表面間のTIR)を促進する、クラッディング層として機能し得る。いくつかの実施形態では、層760a、760bは、空気から形成される。図示されないが、導波管の図示される組660の上部および底部は、直近クラッディング層を含み得ることを理解されたい。
【0096】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管670、680、690を形成する材料は、類似または同一であって、層760a、760bを形成する材料は、類似または同一である。いくつかの実施形態では、導波管670、680、690を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なり得る、および/または層760a、760bを形成する材料は、依然として、前述の種々の屈折率関係を保持しながら、異なり得る。
【0097】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790が、導波管の組660に入射する。光線770、780、790は、1つ以上の画像投入デバイス360、370、380、390、400(
図6)によって導波管670、680、690の中に投入され得ることを理解されたい。
【0098】
いくつかの実施形態では、光線770、780、790は、異なる色に対応し得る、異なる性質、例えば、異なる波長または異なる波長範囲を有する。内部結合光学要素700、710、720の各々は、光が、TIRによって、導波管670、680、690のうちのそれぞれの1つを通して伝搬するように、入射光を偏向させる。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720の各々は、他の波長を下層導波管および関連付けられた内部結合光学要素に透過させながら、1つ以上の特定の光の波長を選択的に偏向させる。
【0099】
例えば、内部結合光学要素700は、それぞれ、異なる第2および第3の波長または波長範囲を有する、光線1242および1244を透過させながら、第1の波長または波長範囲を有する、光線770を選択的に偏向させるように構成され得る。透過された光線780は、第2の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成される、内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向される。光線790は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成される、内部結合光学要素720によって偏向される。
【0100】
図9Aを継続して参照すると、偏向された光線770、780、790は、対応する導波管670、680、690を通して伝搬するように偏向される。すなわち、各導波管の内部結合光学要素700、710、720は、光をその対応する導波管670、680、690の中に偏向させ、光をその対応する導波管の中に内部結合する。光線770、780、790は、光をTIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬する角度で偏向される。光線770、780、790は、導波管の対応する光分配要素730、740、750に衝突するまで、TIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬する。
【0101】
ここで
図9Bを参照すると、
図9Aの複数のスタックされた導波管の例の斜視図が、図示される。前述のように、内部結合された光線770、780、790は、それぞれ、内部結合光学要素700、710、720によって偏向され、次いで、それぞれ、導波管670、680、690内でTIRによって伝搬する。光線770、780、790は、次いで、それぞれ、光分配要素730、740、750に衝突する。光分配要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820に向かって伝搬するように、光線770、780、790を偏向させる。
【0102】
いくつかの実施形態では、光分配要素730、740、750は、直交瞳エクスパンダ(OPE)である。いくつかの実施形態では、OPEは、光を外部結合光学要素800、810、820に偏向または分散し、いくつかの実施形態では、また、外部結合光学要素に伝搬するにつれて、この光のビームまたはスポットサイズを増加させ得る。いくつかの実施形態では、光分配要素730、740、750は、省略され得、内部結合光学要素700、710、720は、光を直接外部結合光学要素800、810、820に偏向させるように構成され得る。例えば、
図9Aを参照すると、光分配要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820と置換され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素800、810、820は、光を視認者の眼210(
図7)に導く、射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。OPEは、少なくとも1つの軸においてアイボックスの寸法を増加させるように構成され得、EPEは、OPEの軸と交差する、例えば、直交する軸においてアイボックスを増加させ得ることを理解されたい。例えば、各OPEは、光の残りの部分が導波管を辿って伝搬し続けることを可能にしながら、OPEに衝打する光の一部を同一導波管のEPEに向け直すように構成され得る。OPEへの衝突に応じて、再び、残りの光の別の部分は、EPEに向け直され、その部分の残りの部分は、導波管等を辿ってさらに伝搬し続ける。同様に、EPEへの衝打に応じて、衝突光の一部は、ユーザのほうへ導波管から外へ導かれ、その光の残りの部分は、EPに再び衝打するまで、導波管を通して伝搬し続け、その時点で、衝突する光の別の部分は、導波管から外へ導かれる等となる。その結果、内部結合された光の単一ビームは、その光の一部がOPEまたはEPEによって向け直される度に、「複製」され、それによって、
図6に示されるように、クローン化された光のビーム野を形成し得る。いくつかの実施形態では、OPEおよび/またはEPEは、光のビームのサイズを修正するように構成され得る。
【0103】
故に、
図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管の組660は、成分色毎に、導波管670、680、690と、内部結合光学要素700、710、720と、光分配要素(例えば、OPE)730、740、750と、外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820とを含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされ得る。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受け取る異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる。光は、次いで、それぞれの導波管670、680、690内にTIRをもたらすであろう角度で伝搬する。示される例では、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって偏光され、次いで、導波管を辿ってバウンスし続け、光分配要素(例えば、OPE)730、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)800と相互作用する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管670を通過し、光線780は、内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向される。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680を辿ってバウンスし、その光分配要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)810に進むであろう。最後に、光線790(例えば、赤色光)は、導波管690を通過し、導波管690の光内部結合光学要素720に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって、光分配要素(例えば、OPE)750に、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EP)820に伝搬するように、光線790を偏向させる。外部結合光学要素820は、次いで、最後に、光線790を視認者に外部結合し、視認者はまた、他の導波管670、680からの外部結合した光も受け取る。
【0104】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。図示されるように、導波管670、680、690は、各導波管の関連付けられた光分配要素730、740、750および関連付けられた外部結合光学要素800、810、820とともに、垂直に整列させられ得る。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、垂直に整列させられない。むしろ、内部結合光学要素は、好ましくは、非重複する(例えば、見下げ図に見られるように、側方に間隔を置かれる)。本明細書でさらに議論されるように、本非重複空間配列は、1対1ベースで異なるリソースから異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、特定の光源が特定の導波管に一意に結合されることを可能にする。いくつかの実施形態では、非重複の空間的に分離される内部結合光学要素を含む、配列は、シフト瞳システムと称され得、これらの配列内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
(メタ表面およびメタ表面に基づく光学要素)
【0105】
ディスプレイシステムは、光の伝搬を制御するために、種々の光学要素を採用し得る。しかしながら、頭部搭載型ディスプレイデバイス(例えば、
図2を参照して上記で説明されるディスプレイシステム80)を含む、ディスプレイシステム等のいくつかのコンテキストでは、従来の光学要素は、それらの比較的に重い重量、大型のサイズ、製造課題、および/または回折角ならびに回折効率等の光学性質における欠点に起因して、望ましくない、もしく好適ではない場合がある。
【0106】
例えば、
図9A-9Cを参照して上で説明されるように、種々の実施形態による、ディスプレイシステムは、光学要素(例えば、内部結合光学要素、光分配要素、および外部結合光学要素)を含み得、それは、回折格子を含み得る。さらに、
図9A-9Cをさらに参照して上で説明されるように、対応する導波管の中に結合される、光は、好ましくは、全内部反射(TIR)によって、導波管内を伝搬する。TIRを達成するために、回折格子は、面法線に対して比較的に高い回折角を有することが望ましくあり得る。加えて、高回折効率が、良好な光強度および画像明度を提供するために望ましい。しかしながら、可視光のための高回折角および高回折効率を達成することが可能な回折格子は、課題のままである。これらおよび他の必要性に対処するために、本明細書に開示される光学要素、例えば、回折格子の実施形態は、メタ表面を利用する。
【0107】
メタ表面は、反射または透過における光の偏光、位相、および/または振幅を局所的に修正し得る、表面構造を含み得る。メタ表面は、そこから、ビーム成形、レンズ効果、ビーム屈曲、および偏光分割を含む、種々の光学機能性が導出され得るように、そのパターンが光の波面を制御するように構成される、サブ波長サイズおよび/またはサブ波長離間移相要素のアレイを含み得る。光の波面を操作するために使用され得る、要因は、表面構造の材料、サイズ、幾何学形状、および向きを含む。異なる散乱性質を伴う表面構造を表面上に配列することによって、空間変形メタ表面が、生成されることができ、それ全体を通して、光学波面は、実質的に操作されることができる。
【0108】
レンズおよび波長板等の従来の光学要素では、波面は、波長よりはるかに厚い媒体内の伝搬位相を介して制御される。従来の光学要素と異なり、メタ表面は、代わりに、サブ波長サイズの共振器を移相要素として使用して、光の位相変化を誘発する。メタ表面は、比較的に薄く、厚さが均一である特徴から形成されるため、半導体処理技法等の薄膜処理技法ならびにナノインプリント技法等の直接印刷技法を使用して、表面を横断してパターン化されることができる。従来の光学要素とメタ表面の置換の一例が、
図10A-10Cを参照して図示される。
図10Aは、従来の光学要素、例えば、ガラスアキシコン1102の断面図を図式的に図示する。図示されるように、例えば、ガラスレンズから形成される、ガラスアキシコン等の典型的な従来の光学要素は、数ミリメートルの厚さであることができる。対照的に、
図10Bは、金属または半導体メタ表面から形成され、基板、例えば、石英基板上に配置され得る、光学要素、例えば、メタ表面アキシコン1104の断面図を図式的に図示する。従来のアキシコン1102と比較して、メタ表面アキシコン1104は、約数十~数百ナノメートル厚であって、それらを頭部搭載型ディスプレイデバイス等のコンパクトな光学要素を要求する光学システムのために好適にし得る。
図10Cは、メタ表面アキシコン1104が、550nm波長において、コリメートされたガウス左円偏光(LCP)光ビームで照明されるときに生じる、透過非回折ベッセルビームプロファイル1106を図示する。図示されるように、所望のビームプロファイル1106が、従来のアキシコンと比較して数桁もより薄くあり得る、メタ表面アキシコンを使用して達成されることができる。類似結果は、格子等の種々の他の光学要素に関しても取得されることができる。
(幾何学的位相メタ表面に基づく波長板)
【0109】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、光ビームが、光の偏光状態の空間内で閉サイクルに沿って辿られるとき、累積経路長ならびに幾何学的位相から動的位相を入手し得る。幾何学的位相から入手される動的位相は、偏光の局所変化に起因する。所望の位相面を形成するために幾何学的位相に基づく、いくつかの光学要素は、パンチャラトナムベリー位相光学要素(PBOE)と称され得る。PBOEは、高速軸の向きが波長板要素の空間位置に依存する、波長板要素から構築され得る。
【0110】
理論によって限定されるわけではないが、メタ表面を、関数θ(x,y)に従うそれらの高速軸向きを伴う、幾何学的位相光学要素、例えば、PBOEから形成される半波長板とともに形成することによって、入射円偏光ビームは、Φg(x,y)=+/-2θ(x,y)と等しい幾何学的位相を有する、反対ヘリシティのビームに完全に変換され得る。波長板要素の高速軸の局所向きを0~πに制御することによって、完全0~2π範囲を網羅しながら、光学要素全体を横断して、比較的に高いかつ均一な透過振幅を維持し、それによって、所望の波面を提供する、位相ピックアップ/遅延が、達成され得る。
【0111】
幾何学的位相に基づく波長板の例ならびに結果として生じる位相ピックアップ/遅延および吸収率が、
図11A-11Dを参照して図示される。
図11Aは、横方向電気(TE)偏光(構造の長さに対して垂直に分極された電場を伴う)および直交横方向磁気(TM)偏光下の入射光1108による上から下への照明下で、複数のナノビーム1104を備えているメタ表面から形成される、例示的波長板1100を図示する。共振構造の厚さは、入射光1104の自由空間波長と比較して、小さくあり得る。図示される例では、ナノビーム1104は、x-方向に120nm幅であって、z-方向に100nm厚である。図示される例では、ナノビーム1104は、Siから形成され、それは、
図11B-11Dを参照して説明されるように、着目波長範囲内の比較的に強い共鳴をサポートすることが見出されている。
【0112】
図11Bは、
図11Aを参照して上で図示される波長板1100から生じる、シミュレートされた位相波面を図示する。入射波面の有限要素シミュレーション1112と比較して、有限要素シミュレーション1116は、550nmにおけるTE-偏光ビームの波面が0.14π遅延されることを示す。波面のシミュレーション1120は、TM-偏光の波面がさらに1.15π遅延されることを示す。その結果、2つの直交偏光間の位相遅延は、約πであって、ビームアレイは、半波長板としての役割を果たす。
【0113】
図11Cは、
図11Aを参照して上で説明されるものに類似する、波長板から生じるTE-偏光ビームに対するTM-偏光の位相遅延のシミュレートされたスペクトルを図示する。波長を490nmから700nmまで掃引することによって、波長板の位相遅延は、約0.4πから1.2πまで変動する。シミュレートされたスペクトル1128、1132、および1136は、それぞれ、ナノビーム1104の公称厚100nmに関してビーム幅100nm、120nm、140nmを伴う、ナノビームアレイを備えているブレーズド格子に関する位相遅延を図示する。比較のために、シミュレートされたスペクトル1140は、天然複屈折結晶である、方解石の100nm厚フィルムに関して、0.063πの比較的に小さい位相遅延を示す。正方形記号は、120nmビームのアレイに関する実験測定値を図示し、シミュレーションとの良好な一致を示す。差込図は、実際に加工されたブレーズド格子1100のEM画像を示す。
【0114】
図11Dは、それぞれ、TMおよびTE照明下で、
図11Cの位相遅延スペクトル1132に対応する、ビーム幅120nmを伴う、ナノビームアレイを備えている波長板のシミュレートされた吸収スペクトル1144および1148を図示する。差込
図1152および1156は、それぞれ、波長600nmにおけるTE照明の磁場分布|Hy|およびTM照明の電場分布|Ey|を図示する。
【0115】
図11Cおよび11Dを参照すると、任意の理論によって拘束されるわけではないが、例えば、位相遅延スペクトル1132によって図示されるように、位相遅延における実質的変動は、吸収スペクトル1148によって示されるようなTE照明下の比較的に強い共鳴と、吸収スペクトル1144によって示されるような比較的に弱い2次TM共鳴とに起因し得る。共鳴の次数は、ナノビームの内側の最大場数によって決定される(
図11D、差込図)。図示されるように、例えば、吸収スペクトル1148によって図示されるようなアレイのTE吸収共鳴と、例えば、位相遅延スペクトル1132によって図示されるような位相遅延における関連付けられた変動とは、部分的に、幅を含む、ナノビーム1104の特徴サイズを変化させることによって、スペクトル的に調整され得る。
【0116】
以下では、
図12A-12Hを参照して、幾何学的に回転される波長板要素に基づく、幾何学的PB位相の構造1200が、説明される。特に、位相遅延πを伴う半波長板として構成される、PB位相が、説明される。8つの半波長板要素は、等しく間隔を置かれるように配列され、近傍波長板間の一定の向き角差Δθを特徴とし得る。例証目的のために、下行は、左円偏光、すなわち、|LCP>状態を伴う入射光ビームの偏光ベクトルの回転を図式的に描写する。中央行は、それらの高速軸が垂直軸に対して異なる角度θで向けられる、
図11A-11Dを参照して説明されるものに類似するナノビームアレイから構築された半波長板要素を図示する。上行は、波長板要素を通して遅れて透過された光の対応する偏光ベクトルを図式的に図示する。波長板の高速軸の円偏光および反時計回りの向き角は、光源の視点から定義される。
【0117】
依然として、
図12A-12Hを参照すると、入射光ビームは、それぞれ、xおよびy方向における等振幅と、偏光ベクトル間のπ/2の位相遅延1212とを有する偏光ベクトル1204および1208によって説明され得る。動作時、半波長板は、2つの垂直偏光間の位相を位相πだけ偏移させることによって作用する。本作用の正味結果は、低速軸に沿って導かれる電場を反転し、高速軸に沿って電場を維持することである。本作用はまた、元の偏光ベクトルが、その鏡像に反転され、高速軸がミラーとしての役割を果たすものとして見なされ得る。偏光ベクトルが時間的に回転する、螺旋入射状態を検討すると、波長板の作用がヘリシティを|LCP>から|RCP>に、またはその逆に切り替えることが分かり得る。
【0118】
図12Aの下行を参照すると、入射|LCP>ビームの電場は、ベクトル1204によって示されるように、初期時間t=t
0において、正のy軸に上向きに導かれる。4分の1の光学サイクル(すなわち、π/2)後、光は、ベクトル1208によって示されるように、負のy-方向に沿って導かれる。
図12Aの中央行における波長板の作用は、ベクトル1204および1208を高速軸の平面かつ光の伝搬方向に設置されたミラー内に鏡映させることである。本ミラーの作用は、ベクトル1204を正のx-方向に反転させ、ベクトル1208を元の方向に保つことである。その結果、|LCP>ビームは、|RCP>ビームに変換される。
【0119】
図12B-12Hは、波長板の高速軸が、それぞれ、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2および7π/4の角度θだけ回転されるとき、|LCP>ビームの偏光ベクトルが変化する様子を図示する。回転角から独立して、|RCP>出力ビームが、生産される。しかしながら、
図12Aを参照すると、ベクトル1204および1208の生産された位相遅延が、φ
g=2θによって求められる。例えば、
図12Eに示されるように、θ=π/2であるとき、波長板の作用は、ベクトル1204を同一方向に保ちながら、ベクトル1208を負のy-方向から正のy-方向に反転させることである。これは、LCPの入射光に関してφ
g=2θ=π遅延される、|RCP>ビームを生産する。したがって、図示される半波長板に関して、
図12Aに示される状態に到達するよりかなり前、光学サイクルの半分を費やすであろう。
【0120】
したがって、例証的例として、等間隔を置かれ、近傍間の一定の向き角差、例えば、Δθ=π/8を特徴とする、8つの半波長板要素を通過した後、透過されたRCP波は、近傍波長板間に一定位相差Δφg=π/4を示す。0~πで変動する高速軸向きを伴う8つの波長板要素を使用することによって、完全0~2π範囲を網羅する位相遅延/加速が、達成され得る。しかしながら、可視光に関する高回折角を有する、半波長板要素を製作することは、困難であり得る。これは、回折角が、とりわけ、周期的反復波長板要素の周期の長さに依存するためであって、比較的に多数の半波長板要素を比較的に短長の周期内に形成することは、空間制約に起因して困難であり得る。以下では、比較的に高い回折角および回折効率ならびに比較的に広い入射角を横断した回折効率の均一性において、完全0~2π範囲を網羅する、位相遅延/加速が、達成され得る、回折格子の実施形態である。
(幾何学的位相メタ表面に基づく回折格子)
【0121】
PBOEを備えているメタ表面の用途は、種々の他の用途の中でもとりわけ、回折格子、例えば、ブレーズド格子、集束レンズ、およびアキシコンを含む。本明細書に説明されるように、ブレーズド格子は、光ビームをいくつかの回折次数の中に操向することが可能である。ブレーズド格子は、1つ以上の回折次数、例えば、+1および/または-1次回折次数において高格子効率を達成し、したがって、他の次数(例えば、ゼロ次)における残留屈折力が低い間に、屈折力を所望の回折次数において集中させるように構成され得る。本開示では、回折格子として構成されるPBOEを備えている、メタ表面の種々の実施形態が、説明される。種々の実施形態による、回折格子は、高回折角、高回折効率、広範囲の受光角、および受光角の範囲内の高度に均一な回折効率のうちの1つ以上のものを含む、望ましい光学性質の組み合わせを有する。これらの望ましい光学性質は、メタ表面の要素の材料、寸法、および幾何学的構成を含む、本発明の種々の側面の組み合わせから生じ得る。
【0122】
本明細書に説明されるように、可視光は、赤色、緑色、または青色範囲を含む、種々の色範囲内の1つ以上の波長を有する、光を含み得る。本明細書に説明されるように、赤色光は、約620~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、緑色光は、約492~577nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得、青色光は、約435~493nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得る。したがって、可視は、約435nm~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含み得る。
【0123】
本明細書に説明されるように、例えば、平行、公称上平行、または略平行である、ナノビーム、ライン、線分、またはユニットセルとしての特徴は、長手方向に約10%未満、約5%未満、または約3%未満異なる、長手方向を有する、特徴を指す。加えて、垂直、公称上垂直、または略垂直である、特徴は、長手方向に約10%未満、約5%未満、または約3%未満90度から逸脱する、長手方向を有する、特徴を指す。
【0124】
本明細書に説明されるように、回折格子等の光を回折するように構成される構造は、透過モードおよび/または反射モードで光を回折し得る。本明細書に説明されるように、透過モードで光を回折するように構成される構造は、構造の光入射側と反対側における回折光の強度が、構造の光入射側と同一側上の回折光の強度と比較して、例えば、少なくとも10%超、20%超、または30%超上回る、構造を指す。逆に言えば、反射モードで光を回折するように構成される構造は、構造の光入射側と同一側上の回折光の強度が、構造の光入射側と反対側における回折光の強度と比較して、例えば、少なくとも10%超、20%超、または30%超上回る、構造を指す。
【0125】
本明細書に説明されるように、ビームまたはナノビームとも称される、ラインは、ある体積を有する、細長い構造である。ラインは、任意の特定の断面形状に限定されないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、断面形状は、長方形である。
【0126】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている、回折格子1300の断面側面図および見下げ図を図示する。回折格子1300は、2レベル幾何学的位相メタ表面を備えている。
図13Aを参照して図示される断面側面図は、
図13Bに図示される断面AA’のものである。回折格子1300は、可視スペクトル内の波長を有する光を回折するように構成される、メタ表面1308が形成される、表面を有する、基板1304を含む。メタ表面1308は、第1の向きを有し、概して、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている、1つ以上の第1のラインまたはナノビーム1312と、概して、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている第2の向きを有する、複数の第2のラインまたはナノビーム1316とを含む。第1のラインまたはナノビーム1312は、第1の組のナノビームを形成すると見なされ得、第2のラインまたはナノビーム1316は、第2の組のナノビームを形成すると見なされ得る。1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、第2の方向に互いに隣接して配置され、第1のライン1312および第2のライン1316は、メタ表面が回折するように構成される、光の波長未満の周期において、第2の方向に交互に反復する。
【0127】
好ましくは、第1のライン1312の各々は、同一幅を有する。いくつかの実施形態では、第2のライン1316は、隣接する対の1つ以上の第1のライン1312の間で、y-方向に側方にスタックされる。理論によって限定されるわけではないが、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、互いに対してある角度で向けられ、好ましくは、1つ以上の第1のライン1312によって回折される可視光と第2のライン1316によって回折される可視光との間に位相差を生じさせ、1つ以上の第1のライン1312によって回折される可視光と第2のライン1316によって回折される可視光との間の位相差は、角度の2倍である。
【0128】
いくつかの実施形態では、
図12A-12Hを参照して上で図示される波長板の組み合わせと同様に、0~πで変動し得る、第2のライン1316に対する1つ以上の第1のライン1312の相対的な向きによって生じる位相差を用いることで、完全0~2π範囲を網羅する位相ピックアップ/遅延が、達成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316のうちの一方が、例えば、互いに垂直に、他方に対してπだけ回転されると、2πの位相ピックアップ/遅延が、1つ以上の第1のライン1312と第2のライン1316との間に達成され得る。すなわち、
図12A-12Hと異なり、完全0~2π範囲を網羅する位相ピックアップ/遅延が、いくつかの実施形態によると、単に2つの異なる方向に向けられるラインを有する2レベル幾何学的位相メタ表面に基づいて、達成され得る。有利には、
図12A-12Hと異なり、
図12A-12Hを参照して図示される波長板の組み合わせを用いることで、図示されるメタ表面1308によって占有される占有面積は、よりコンパクトであり、可視スペクトル内の波長以下の周期を有し、それは、ひいては、回折されたビーム1338、1342の比較的に高い回折角θを可能にする。
【0129】
第1のライン1312および第2のライン1316は、光学的に透過性の材料から形成される。本願および本明細書全体を通して説明されるように、「透過性」または「透明」構造、例えば、透過性基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、または90%が、それを通過することを可能にし得る。故に、透明基板は、いくつかの実施形態では、ガラス、サファイア、またはポリマー基板であり得る。「反射」構造、例えば、反射基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、90%、またはそれを上回るものを反射させ、そこから反射させ得る。
【0130】
1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、紙面から突出し、紙面に沿って延び、幅を有する、突出部、隆起、縦溝、またはナノワイヤであるものとして説明され得る。加えて、または代替として、隣接する第1のライン1312間および/または隣接する第2のライン1316間の分離の領域は、紙面の中に陥凹し、間隔を有する、凹部、トラフ、陥凹、またはトレンチであるものとして説明され得る。いくつかの実施形態では、第1のライン1312および第2のライン1316は、y-z平面に実質的に長方形の断面形状を有する、細長い長方形構造である。しかしながら、第1のライン1312および第2のライン1316が、円形、楕円形、三角形、平行四辺形、菱形、台形、五角形、または任意の好適な形状の形状を取り得る、断面形状を有する、他の実施形態も、可能である。
【0131】
以下では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の寸法および幾何学的配列を含む、種々の構成が、説明され、その複合効果は、比較的に高い回折角、比較的に高い回折効率、比較的に広範囲の受光角、および受光角の範囲内の比較的に均一な効率のうちの1つ以上のものを含む、本明細書に説明される望ましい光学性質を伴う幾何学的位相光学要素に基づいて、格子を生産することである。
【0132】
依然として、
図13Aおよび13Bを参照すると、動作時、入射光ビーム1330、例えば、可視光が、表面1304Sに対して法線であって、第1のライン1312、例えば、y-z平面と平行方向に延びている、平面に対して測定される、入射角αにおいて、メタ表面1308上に入射すると、格子1300は、透過光ビーム1334として、入射光を部分的に透過させ、回折角θ
1における+1次1342の回折光ビームおよび回折角θ
2における-1次1338の回折光ビームとして、入射光を部分的に回折し、回折角は、αを測定するための同一平面、例えば、y-z平面に対して測定される。回折光ビーム1338および1342の一方または両方が、導波管として構成される基板1304内の全内部反射の発生のための臨界角θ
TIRを超える回折角で回折されると、回折光ビーム1338および1342は、光ビームが、光分配要素730、740、750および外部結合光学要素800、810、820(
図9B)に対応し得る、OPE/EPE1346に到達するまで、全内部反射(TIR)下でx-軸に沿ってそれらのそれぞれの反対方向に伝搬する。
【0133】
種々の実施形態によると、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、回折効率が高レベルにあるように、光子の低オーム損失を提供する、材料から形成される。任意の理論によって拘束されるわけではないが、とりわけ、光子のオーム損失は、第1のライン1312および/または第2のライン1316が、金属対半導体または絶縁である材料から形成されるかどうかに依存し得る。本明細書に説明されるように、材料が、金属、半導体、または絶縁であるかどうかは、エネルギー波ベクトル空間またはE-k空間内の材料の電子エネルギー帯構造に依存し得る。電子エネルギー帯構造は、価電子帯とも称され得る、最高被占軌道(HOMO)と、伝導帯とも称され得る、最低空軌道(LUMO)とを有するものとして説明され得る。絶縁体は、HOMOとLUMOとの間に、メタ表面が回折するように構成される波長範囲に対応するエネルギーを実質的に超える、エネルギーの差異を有する。半導体は、HOMOとLUMOとの間に、メタ表面が回折するように構成される波長範囲に対応するエネルギーに実質的に匹敵する、エネルギーの差異を有する。本明細書に説明されるように、金属は、HOMOとLUMOとの間に、ゼロまたは負のエネルギーの差異を有する。その結果、金属は、実質的濃度の自由または非局在化電子を有する。自由または非局在化電子は、集合的に、光と相互作用し、プラズモンを生成し得、それは、自由電子のプラズマ発振の量子化を引き起こす準粒子を指す。第1のライン1312および第2のライン1316の寸法のうちの少なくとも1つ、例えば、幅が、十分に小さい、例えば、入射光の波長未満であるとき、プラズモンは、表面に閉じ込められた状態となり、光と強く相互作用し、表面プラズモンをもたらし得る。いくつかの状況下では、入射光子の周波数が、正の原子核の復元力に対して発振する、表面電子の自然周波数に合致すると、表面プラズモン共鳴(SPR)が、生じ、伝導電子の共振発振をもたらし得る。
【0134】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316が、金属から形成されるとき、光子のオーム損失が、少なくとも部分的に、プラズモン共鳴によって生じ得、それは、SPR波長またはその近傍において生じ得る。故に、いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の各々は、いくつかの実施形態によると、自由電子の濃度が、例えば、約1×1019/cm3未満、約1×1018/cm3未満、約1×1017/cm3未満、または約1×1016/cm3未満である、非金属材料、例えば、半導体または絶縁体から形成される。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、いくつかの実施形態では、第1のライン1312および第2のライン1316の一方または両方は、金属から形成され得る。
【0135】
依然として、
図13A、13Bを参照すると、本発明者らは、いくつかの実施形態では、プラズモン生成から生じる低レベルのオーム損失、対応して、増加した回折効率を提供し得る、半導体または絶縁体を使用して、第1のライン1312および第2のライン1316を形成することが有利であり得ることを見出した。結果として生じる第1のライン1312および第2のライン1316は、偏光依存移相を透過光上に課し、その位相および偏光の両方を修正する。任意の理論によって拘束されるわけではないが、半導体または絶縁体から形成されるとき、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の各々は、有効屈折率を有し、偏光依存移相を透過光上に課す、ファブリペロー共振器として動作する、導波管と見なされ得る。プラズモン生成から生じるオーム損失を低減させ、回折効率を増加させるために、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、本明細書に議論されるように、比較的に低い自由電子濃度、比較的に高いバルク屈折率を含む、ある材料性質を有する材料から形成される。
【0136】
上で議論されるように、高回折効率を提供するために、他の利点を実現することに加え、第1のライン1312および/または第2のライン1316を、比較的に低濃度の自由電子を有する材料から形成させることが、望ましくあり得る。故に、半導体または絶縁体から形成されるとき、種々の実施形態下で、第1のライン1312および第2のライン1316の各々は、種々の実施形態によると、自由電子生成ドーパントで意図的にドープされない、または意図的にドープされるとき、それらは、約1×1019/cm3未満、約1×1018/cm3未満、約1×1017/cm3未満、もしくは約1×1016/cm3未満の濃度において、ドーパント、例えば、n-型ドーパントでドープされる。任意の理論によって拘束されるわけではないが、比較的に低いドーパント濃度は、例えば、他の利点の中でもとりわけ、プラズモン生成および/または表面プラズモン共鳴から生じるオーム損失を低減させる際に、有利であり得る。
【0137】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、第1のライン1312および/または第2のライン1316が、半導体または絶縁体から形成されるとき、プラズモン吸収から生じるオーム損失は、低減させられ得るが、一部のオーム損失は、依然として、弾性および非弾性電子遷移を含む、光子吸収電子遷移から生じる光学吸収から生じると考えられる。例えば、光学吸収は、半導体または絶縁体のHOMOとLUMOとの間のバンドギャップを上回るエネルギーを有する、光子が、吸収され、電子-正孔対の生成をもたらすときに生じ得る。故に、光吸収電子遷移から生じる光学吸収を低減させることが有利であり得る。故に、いくつかの実施形態では、第1のライン1312および/または第2のライン1316は、その吸収係数値が、約5×105/cm未満、約1×105/cm未満、5×104/cm未満、1×104/cm未満、約5×103/cm未満、約1×103/cm未満、約5×102/cm未満である、材料から形成される、またはその吸収係数値が、可視スペクトル内の波長を有する入射光に関して、上記の値のうちのいずれかによって定義された範囲内である、材料から形成され得る。
【0138】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、サブ波長特徴サイズを有する、第1のライン1312および第2のライン1316が、漏出モード共鳴をサポートするとき、光を閉じ込め、それによって、位相遅延をTEおよびTM照明下で生産された散乱光波に生じさせ得る。1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316内の光の閉じ込めの有効性は、共振器として動作する導波管として構成されることから生じ得、結果として生じる回折効率は、他の要因の中でもとりわけ、第1のライン1312および第2のライン1316の材料の屈折率ならびにサブ波長寸法に依存し得ることが見出されている。
【0139】
故に、いくつかの実施形態では、2.0より高い、2.5より高い、3.0より高い、3.3より高い、3.5より高い値、またはこれらの値のうちのいずれかの間の範囲内の値を有する、バルク屈折率(n1 bulk)を有する、材料から形成される、第1のライン1312および/または第2のライン1316を有することが望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、n1 bulkは、回折格子1300が回折するように構成される、波長、例えば、可視波長で測定される。
【0140】
他の利点の中でもとりわけ、比較的に高い屈折率は、ある半導体材料を使用して第1のライン1312および/または第2のライン1316を形成することによって、達成され得る。いくつかの実施形態では、半導体材料から形成されるとき、第1のライン1312および/または第2のライン1316は、元素第IV族材料(例えば、Si、Ge、C、もしくはSn)または第IV族材料(例えば、SiGe、SiGeC、SiC、SiSn、SiSnC、GeSn等)から形成される合金、第III-V族複合半導体材料(例えば、GaP、GaAs、GaN、InAs等)または第III-V族材料から形成される合金、第II-VI族半導体材料(CdSe、CdS、ZnSe等)または第II-VI族材料から形成される合金から形成され得る。これらの材料の各々は、結晶性、多結晶性、または非晶質であり得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1のライン1312および/または第2のライン1316は、シリコン、例えば、シリコン、非晶質シリコンまたは多結晶性シリコンから形成される。シリコンから形成されるとき、それは、シリコン処理技術を使用して、より容易に加工または統合され得る。
【0142】
他の利点の中でもとりわけ、比較的に高い屈折率はまた、ある絶縁体を使用して第1のライン1312および/または第2のライン1316を形成することによって達成され得る。絶縁体から形成されるとき、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316は、いくつかの実施形態によると、それらの化学量論および準化学量論形態を含む、遷移金属、例えば、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等を含む、酸化物から形成され得る。そのような酸化物の例は、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化亜鉛を含む。
【0143】
第1のライン1312および/または第2のライン1316はまた、いくつかの他の実施形態によると、それらの化学量論およびサブ化学量論形態を含む、第IV族元素、例えば、シリコンの酸化物、窒化物、または酸窒化物から形成され得る。そのような絶縁体の例は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、および酸窒化ケイ素(SiOxNy)を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、第1のライン1312および第2のライン1316は、同一半導体または絶縁体材料から形成され得、それは、メタ表面1308の加工を簡略化するために有利であり得る。しかしながら、種々の実施形態は、そのように限定されず、いくつかの実施形態では、第1のライン1312および第2のライン1316は、異なる半導体または絶縁材料から形成され得る。
【0145】
図13Aおよび13Bを継続して参照すると、上で説明される種々の材料から形成されることに加え、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、寸法の特定の組み合わせを有し、移相を光に誘発する、サブ波長サイズの共振器としての役割を果たす。
【0146】
種々の実施形態では、第1のライン1312のWnano1および第2のライン1316のWnano2の各々は、メタ表面1308が回折するように構成される、光の波長より小さく、好ましくは、可視スペクトル内の波長より小さい。いくつかの実施形態では、Wnano1およびWnano2の各々は、10nm~1μm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲内、例えば30nmである。いくつかの実施形態によると、1つ以上の第1のライン1312の各々は、同一幅Wnano1を有する。いくつかの実施形態によると、第2のライン1316の各々は、同一幅Wnano2を有する。いくつかの実施形態によると、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、同一幅を有する、すなわち、Wnano1=Wnano2である。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、Wnano1およびWnano2は、実質的に異なり得る。さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312のうちの異なるものおよび第2のライン1316の異なるものは、異なる幅を有し得る。
【0147】
いくつかの実施形態によると、第2の方向における1つ以上の第1のライン1312のうちの直接隣接するものは、一定間隔s
1によって分離される。加えて、第2の方向における互いに直接隣接する、1つ以上の第1のライン1312のうちの1つおよび第2のライン1316のうちの1つは、一定間隔s
2によって分離される。いくつかの実施形態によると、s
1およびs
2の一方または両方は、メタ表面1308が回折するように構成される、波長より小さい。加えて、第1のライン1312および第2のライン1316は、それぞれ、高さh
nano1およびh
nano2を有する。間隔s
1、s
2と高さh
nano1およびh
nano2の特定の組み合わせは、時として、受光角または視野(FOV)の範囲とも称される、入射角αの所望の範囲(Δα)が、取得されるように選定され得る。本明細書に説明されるように、所望の範囲Δαは、αの負および正の値に及ぶ角度の範囲によって説明され得、その範囲外では、回折効率は、α=0における回折効率に対して10%超、25%超、50%超、または75%超低下する。例えば、回折光の均一強度がΔα内で所望される場合、回折効率が比較的に平坦であるΔαを有することが、望ましくあり得る。
図13Aに戻って参照すると、入射光ビーム1330が、面法線、例えば、y-z平面に対して角度αでメタ表面1308および導波管1304の表面上に入射する。いくつかの実施形態によると、上で説明されるように、Δαは、Δα内の光ビーム1330が、面法線(例えば、y-z平面)に対して回折角θでメタ表面1308によって効率的に回折されるように、メタ表面1308に関する角度帯域幅に関連付けられる。特に、θが、θ
TIRである、またはそれ超えると、回折光は、全内部反射(TIR)下で基板1304内を伝搬する。
【0148】
Δαは、第2の方向における1つ以上の第1のライン1312のうちの隣接するものおよび第1の方向における第2のライン1316のうちの直接隣接するものによって生成される陰にする効果に依存し得ることが見出されている。すなわち、入射光ビーム1330が、ある値を上回る入射角αで入射すると、特徴のほうへ導かれる入射光ビームは、直接隣接する特徴によってブロックされ得る。例えば、Δαは、s1/hnano1、s2/hnano1、および/またはs2/hnano1の弧接線に関連付けられ得る。種々の実施形態では、比率s1/hnano1、s2/hnano1、および/またはs2/hnano1は、Δαが、20度(例えば、+/-10度)、30度(例えば、+/-15度)、40度(例えば、+/-20度)、または50度(例えば、+/-25度)を超える、もしくはこれらの値のうちのいずれかによって定義された角度の範囲であるように選択される。所望の比率s1/hnano1、s2/hnano1、および/またはs2/hnano1は、例えば、s1およびs2がそれぞれ、10nm~1μm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲内、例えば30nmである場合に実現され得る。当然ながら、s1およびs2の比較的に低い値は、hnano1およびhnano2が、対応して、比較的に低い値を有する場合に実現され得る。
【0149】
有利には、いくつかの実施形態によると、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316の材料の比較的に高い屈折率(n1)は、比較的に薄い厚さまたは低い高さを可能にする。故に、種々の実施形態では、第1のライン1312および第2のライン1316は、いくつかの実施形態によると、n1に応じて、10nm~1μm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~100nm、および10nm~50nmの範囲内、例えば107nmであり得る、hnano1およびhnano2を有する。例えば、hnano1およびhnano2は、n1が3.3を上回る、10nm~450nm、およびn1が3.3以下である、10nm~1μmであり得る。別の例として、第1のライン1312および第2のライン1316の高さは、10nm~450nmであり得、ナノビームは、シリコン(例えば、非晶質またはポリシリコン)から形成される。
【0150】
種々の実施形態によると、s1とWnano1の組み合わせは、s1およびWnano1の和として定義される、1つ以上の第1のライン1312のピッチ(pnano1)が、10nm~1μm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲から選択されたWnano1と、10nm~1μm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲から選択されたs1の和によって取得される値、例えばpnano1=95.5nmを有するように選択され得る。
【0151】
当然ながら、s1およびs2の比較的に小さい値が、実現され得、hnano1およびhnano2は、対応して、比較的に小さい値を有する。有利には、比較的に高い屈折率n1を伴う材料を使用して、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316を形成することで、s1、s2、hnano1、およびhnano2の比較的に小さい値が、取得され得る。これは、本発明者らが見出したように、hnano1およびhnano2が、第1のライン1312および第2のライン1316を形成する材料のバルク屈折率に反比例し得るためである。故に、2.0~2.5、2.5~3.0、3.0~3.5、および3.5より高いバルク屈折率を有する材料に関して、hnano1およびhnano2は、種々の実施形態では、それぞれ、500nm~1μm、300nm~500nm、100nm~300nm、および10nm~100nmの範囲内であり得る。したがって、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の高バルク屈折率n1を有する材料と、対応する寸法s1、s2、hnano1、およびhnano2との特定の組み合わせによって、全体的ピッチΛaも、対応して、減少され、それは、ひいては、下記にさらに説明されるように、回折角θを増加させ得る。
【0152】
好ましくは、hnano1およびhnano2は、実質的に等しく、それは、加工のために有利であり得る。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、hnano1およびhnano2は、実質的に異なり得る。
【0153】
種々の実施形態では、第1のライン1312および/または第2のライン1316は、そのバルク屈折率(n
1 bulk)が基板1304の屈折率n
2より高い、すなわち、n
1 bulk>n
2である、材料から形成される。いくつかの実施形態では、基板1304は、導波管として構成され得、導波管310、300、290、280、270(
図6)および/または導波管670、680、ならびに690(
図9A)に対応し得る。そのような用途では、基板は、好ましくは、空気のものの間であるが、n
1 bulk未満である、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、またはそれより高いが、n
1 bulk未満である、屈折率を有し、それは、基板1316から光を出力することによって画像を形成する、ディスプレイのΔαを増加させるための利益を提供し得る。基板1304を形成するための材料の例は、シリカガラス(例えば、ドープされたシリカガラス)、酸窒化ケイ素、遷移金属酸化物(例えば、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、ニオブ酸リチウム、酸化アルミニウム(例えば、サファイア))、プラスチック、ポリマー、または、例えば、本明細書に説明されるような好適な屈折率を有する、他の光学的に透過性の材料を含む。
【0154】
任意の理論によって拘束されるわけではないが、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316が、上で説明されるようなサブ波長寸法を有するとき、第1のライン1312および/または第2のライン1316aの屈折率は、それらのバルク屈折率値、すなわち、n1 bulkから逸脱し得る。例えば、共鳴の基本モードに関して、第1のライン1312および/または第2のライン1316は、約1(光が、主に空気中にあるとき)~約n1 bulk(光が、主にラインおよび/またはセグメント内にあるとき)で変動し得る、有効屈折率n1 effを有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、十分な値によって、n1 eff>n2の条件を満たすことが望ましい。故に、いくつかの実施形態では、第1のライン1312および/または第2のライン1316ならびに基板1304のための材料は、第1のライン1312および/または第2のライン1316の材料のバルク屈折率n1 bulkと、基板1304の屈折率n2との間の差異(n1 bulk-n2)が、十分に大きい、例えば、0.5またはより高い、1.0またはより高い、1.5またはより高い、2.0またはより高い、2.5またはより高い、もしくは3.0またはより高いように選択される。
【0155】
依然として、
図13Aおよび13Bを参照すると、メタ表面1308は、少なくともx-方向に反復する、複数のメタ表面ユニットセル1320を形成するものとして説明され得る。本明細書に説明されるように、メタ表面ユニットセル1320は、1つ以上の第1のライン1312と、第2のライン1316とを含む、x-方向における最小反復寸法を有する、占有面積として定義され得る。例として、各ユニットセル1320は、1つのユニットセル1320の第1のライン1312のうちの左のものの左垂直側から、直接隣接するユニットセル1320の第1のライン1312のうちの左のものの左垂直側まで測定されたユニットセル幅1320aに跨架し、それによって、図示される実施形態では、y-方向にスタックされた一対の第1のライン1312と、1列の第2のライン1316とを含む。
【0156】
本明細書に説明されるように、メタ表面ユニットセル1320の側方寸法またはユニットセル1320の反復ユニットの周期は、本明細書では、ユニットセルピッチΛ
aと称され得る。ピッチΛ
aは、導波管1304を横断してx-方向に規則的インターバルで、少なくとも2回、反復する。言い換えると、ユニットセルピッチΛ
aは、直近傍ユニットセル1320の同じ点の間の距離であり得る。種々の実施形態では、Λ
aは、格子1300が回折するように構成される、波長より小さくあり得、約435nm~780nmの範囲内の波長または任意の波長より小さくあり得る。少なくとも赤色光を回折するように構成される、いくつかの実施形態では、Λ
aは、約620~780nmの範囲内の波長(または任意の波長)未満であり得る。少なくとも緑色光を回折するように構成される、いくつかの他の実施形態では、Λ
aは、約492~577nmの範囲内の波長(または任意の波長)未満であり得る。少なくとも青色光を回折するように構成される、いくつかの他の実施形態では、Λ
aは、約435~493nmの範囲内の波長(または任意の波長)未満であり得る。代替として、種々の実施形態によると、Λ
aは、10nm~500nmまたは300nm~500nmを含む、10nm~1μmの範囲内であり得る。本明細書に開示されるメタ表面の各々は、光を回折するために利用され得、ディスプレイシステム250(
図6)の一部であり得、ディスプレイシステム1000は、狭帯域の波長を有する光をメタ表面に導くように構成され得ることを理解されたい。好ましくは、所与のメタ表面に関するΛ
aは、ディスプレイシステムの光源がメタ表面に導くように構成される、波長の帯域の最小波長未満である。
【0157】
いくつかの実施形態では、Λaは、比率mλ/(sinα+n2sinθ)未満である値を有し得、mは、整数(例えば、1、2、3…)であって、α、n2、およびθの各々は、本明細書の他の場所に説明される値を有することが見出されている。例えば、αは、40度を超える範囲Δα内であり得、n2は、1~2の範囲内であり得、θは、40~80度の範囲内であり得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、Λaは、複数のユニットセルによって形成される格子1300の表面1304Sを横断して実質的に一定であり得る。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、いくつかの他の実施形態では、Λaは、表面1304Sを横断して変動し得る。
【0159】
依然として、
図13Bを参照すると、いくつかの実施形態では、第2のライン1316の各々は、少なくとも2倍、3倍、4倍、またはそれを上回って、1つ以上の第1のライン1312のそれぞれより短い長さである。しかしながら、第2のライン1316が1つ以上の第1のライン1312より長い実施形態も、可能である。種々の実施形態によると、1つ以上の第1のライン1312は、200μm~5mm、200μm~1mm、または1mm~5mmの範囲内の長さL
1を有し得る。種々の実施形態によると、第2のライン1316は、100nm~500nm、100nm~300nm、および300nm~500nmの範囲内の長さL
2を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312は、メタ表面によって形成される光学要素の総側方寸法に対応する、例えば、ライン1312を備えているメタ表面によって形成される内部結合または外部結合光学要素の長さに対応する、長さL
1を有し得る。いくつかの実施形態では、第2のラインは、ユニットセルピッチΛ
aの約40%~約60%、例えば、Λ
aの約50%である、長さL
2を有する。いくつかの実施形態では、L
1は、1つ以上の第1のライン1312が、y-方向において、5つの第2のライン1316に対応する距離に及ぶようなものである。しかしながら、1つ以上の第1のライン1312は、種々の実施形態によると、y-方向において、1を上回る、例えば、10を上回る、20を上回る、50を上回る、または100を上回る、もしくは10、20、および100のうちのいずれかの間の範囲内の任意の好適な数の第2のライン1316に対応する距離に跨架し得ることを理解されたい。
【0160】
依然として、
図13Aおよび13Bを参照すると、いくつかの実施形態では、第2のライン1316の各々は、第2のライン1316が、x-方向に延び、1つ以上の第1のライン1312のうちのいずれにも交差することなく共終端するように、同一長さを有する。しかしながら、第2のライン1316が異なる長さを有する実施形態も、可能である。
【0161】
依然として、
図13Aの図示される実施形態を参照すると、1つ以上の第1のライン1312の延在方向(y-方向)は、第2のライン1316の延在方向(x-方向)と略垂直である。すなわち、第2のライン1316は、入射光の伝搬方向から(すなわち、紙面の向こう側に向けて)見ると、π/2の回転角だけ、1つ以上の第1のライン1312に対して回転される。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、第2のライン1316は、入射光の伝搬方向から(すなわち、紙面の向こう側に向けて)見ると、π/2より小さい角度だけ反時計回り方向に回転される、任意の方向に延び得る。例えば、第2のライン1316は、
図12B-12Hに図示される波長板のナノビームが
図12Aに図示される波長板に対して回転される、類似様式において、1つ以上の第1のライン1312に対して回転され得る。例えば、第2のライン1316は、それぞれ、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2、および7π/4の回転角θだけ、1つ以上の第1のライン1312に対して回転され得る。したがって、|LCP>ビームが、第1および第2のライン1312および1316を有するメタ表面1308上に入射すると、|RCP>出力ビームが、生産され、TEおよびTM偏光に対応する偏光ベクトルの結果として生じる位相遅延は、φ
g=2θの値を有し得、θは、波長板の高速軸が回転角θだけ回転されるときの回転角の変化である。特に、図示される実施形態に関して、1つ以上の第1のライン1312に対してθ=π/2回転される、第2のライン1316は、入射光ビーム、例えば、|LCP>ビームを回折し、それによって、回折|RCP>ビームが、生成され、回折ビームは、第2のライン1316によって、φ
g=2θ=πだけ遅延される。したがって、図示される実施形態のように、x-方向に交互の1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316が一定の向き角差Δθ=π/2を有する、メタ表面1308を通過した後、透過RCP波は、一定位相差Δφ
g=πを1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の隣接するものの間に示す。その結果、高速軸向きを0~πで変動させることによって、完全0~2π範囲を網羅する、位相ピックアップ/遅延が、達成され得るが、
図12A-12Hにおける図示される例と比較して、はるかにコンパクトなユニットセルピッチと、より高い回折角とを伴う。
(幾何学的位相メタ表面ベースの格子を有するディスプレイデバイス)
【0162】
本明細書に開示されるように、上で説明される種々の実施形態では、メタ表面1308は、光が、全内部反射を介して、基板1304を通して伝搬するように、内部結合光学要素(例えば、内部結合光学要素700、710、720(
図9A)のうちの1つ以上のもの)として実装され、入射光を内部結合し得る。しかしながら、メタ表面1308はまた、その上に衝突する光を基板1304内から偏向させるように構成され得ることを踏まえて、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるメタ表面は、内部結合光学要素を表面2000a上の異なる場所に形成する代わりに、またはそれに加え、外部結合光学要素570、580、590、600、610(
図6)もしくは800、810、820(
図9B)のうちの1つ以上のもの等の外部結合光学要素を形成するために適用され得る。いくつかの他の実施形態では、メタ表面1308は、光分配要素(例えば、OPE)730、740、750(
図9B)として利用され得る。異なる導波管が、異なる関連付けられた成分色を有する場合、各導波管に関連付けられた外部結合光学要素および/または内部結合光学要素は、導波管が伝搬するように構成される、光の波長または色に特有の幾何学的サイズおよび/または周期性を有し得ることを理解されたい。したがって、異なる導波管は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の異なる配列を伴う、メタ表面を有し得る。特に、異なる配列は、入射光ビームの波長または色に依存し得る。例えば、入射光ビームの色に応じて、Λ
aは、格子1300が回折するように構成される波長に従って、異なるように構成され得る。例えば、少なくとも赤色光、緑色光、または青色光を回折するために、メタ表面1308は、それぞれ、約620~780nmの範囲内の波長未満、約492~577nmの範囲内の波長未満、および約435~493nmの範囲内の波長未満である、Λ
aを有するように構成され得る。Λ
aをスケーリングするために、1つ以上の第1のライン1312および/または第2のライン1316の屈折率、幅、高さ、および間隔等のパラメータが、比例して調節され得る。代替として、Λ
aは、上で説明されるように、sinα、n
2、およびsinθのうちの1つ以上のものを補償することによって、入射光の異なる波長のために比較的に均一に保たれてもよい。
【0163】
図14は、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300の種々の実施形態による、例示的回折格子に対する回折効率対入射角αのシミュレーション1400を図示する。特に、シミュレーション1400は、透過モード下で、n
2=1.77、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=107nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=96nm、およびs
1=66nmを有する、多結晶性シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインを基板上に有する、回折格子に関してシミュレートされた、T-1次回折TE偏光緑色光(λ=520nm)の回折効率(η)を示す。図示されるように、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、比較的に広く、約40度を超え、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約32%の効率から約10%低下する。
【0164】
図15Aおよび15Bは、
図14を参照して上で図示されるシミュレーション1400に対応する、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300を通して透過されるTE偏光520nm波長光に関する、位相波面の2次元シミュレーション1500および1504を図示する。特に、シミュレーション1500および1504は、入射角αが、それぞれ、0度および20度である、照明条件に対応する。
【0165】
下記でより詳細に説明されるように、本明細書に開示される回折格子の加工は、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む、パターン化プロセスを伴ってもよい。フォトリソグラフィプロセスは、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316が形成される高屈折率材料の層上またはそれにわたって、フォトレジストおよび/または硬質マスク(反射防止コーティングとしての役割を果たし得る)等のマスク層を堆積させるステップを含み得る。続いて、マスク層は、最初に、高屈折率材料の下層をパターン化するためのテンプレートとしての役割を果たす、マスク層のパターンに現像および/またはパターン化され得る。続いて、パターン化されたマスク層をテンプレートとして使用して、高屈折率材料の下層は、第1および第2のラインにパターン化される。種々の実施形態では、パターン化されたマスク層は、除去され、それによって、第1および第2のラインを残す。しかしながら、いくつかの状況下では、パターン化されたマスク層をパターン化された第1および第2のラインから除去することが困難である、または望ましくない場合がある。例えば、いくつかのマスク層のための除去プロセスは、望ましくないことに、第1ならびに第2のラインの表面および/または暴露される基板の表面を損傷し得る。故に、本発明者らは、いくつかの状況下では、パターン化されたマスク層が残され得ることを見出した。以下では、
図16A-16Dを参照して、マスク層が残される、回折格子の実施形態が、説明される。
【0166】
図16Aは、いくつかの実施形態による、例えば、フォトリソグラフィおよびエッチングによって、1つ以上の第1のラインおよび第2のラインを形成した後、マスク層が残される、幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている、回折格子1600の断面側面図を図示する。特に、比較的に低い屈折率を有するマスク層を残すことは、有利には、回折効率対入射角(η対α)挙動を含む、結果として生じる光学応答に殆どまたは全く影響を及ぼし得ないことが見出されている。
図13Aおよび13Bを参照して上で図示される回折格子1300と同様に、回折格子1600は、可視スペクトル内の波長を有する光を回折するように構成される、メタ表面1608が形成される、表面1304Sを有する、基板1304を含む。メタ表面1608は、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている、1つ以上の第1のライン1312と、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている、複数の第2のライン1316とを含む。メタ表面1608の配列は、
図13Aおよび13Bを参照して上で図示されるメタ表面1308の配列に実質的に類似し得るが、
図16Aのメタ表面1608では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316上に、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316をエッチングして形成するためのテンプレートとしてパターン化されたマスク層1604がある。いくつかの実施形態によると、マスク層1604は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の材料の屈折率より低い、比較的に低い屈折率を有する、フォトレジストまたは硬質マスク層であり得る。いくつかの実施形態によると、硬質マスクおよび/または反射防止層(ARC)であり得る、マスク層1604は、その値が、約2.0より低い、約1.8より低い、約1.6より低い、または約1.4より低い、もしくはその値が、これらの値のうちのいずれかによって定義された範囲内である、屈折率を有する。いくつかの実施形態によると、マスク層1604は、シリコン含有またはシリカ含有マスク層から形成され得る。
【0167】
図16Bは、
図13Aおよび13Bを参照して上で図示される回折格子に類似するが、シミュレートされた回折格子に関して、マスク層1604が、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316(
図13Aおよび13B)上に配置される、例示的回折格子に対する回折効率(η)対マスク層1604(
図16A)の厚さのシミュレーション1610を図示する。特に、シミュレーション1610は、シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、その上に形成された、0~90nmの厚さに及ぶ、SiO
2から形成されるマスク層を有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=107nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=96nm、およびs
1=66nmである、回折格子に対してシミュレートされた、TE偏光緑色光(λ=520nm)に関する回折効率(η)を示す。シミュレーション1610は、それぞれ、α=0における透過回折次数T1およびT-1に対応する、シミュレートされた回折効率曲線1614および1618を図示する。シミュレーション1610は、厚さ最大90nmを有する、マスク層の存在が、回折効率にほぼ無視可能である影響(約1%以下)を及ぼすことを図示する。例えば、ηは、厚さ最大90nmを有するマスク層に関して、α=0において約1%未満に及ぶ。
【0168】
図16Cは、
図16Aを参照してシミュレートされたものであるが、シミュレートされた回折格子に関して、20nmの固定厚を有するマスク層1604が1つ以上の第1のライン1312上および第2のライン1316(
図13Aおよび13B)上に配置される、例示的回折格子に関する回折効率(η)対入射角αのシミュレーション1620を図示する。シミュレーション1620は、それぞれ、透過回折次数T1およびT-1に対応する、シミュレートされた回折効率曲線1614および1618を図示する。T-1次回折次数に関して
図14を参照して上で説明されるシミュレーション1400と比較して、シミュレートされた回折効率1628は、20nm厚マスク層の存在が、回折効率または視野にほぼ無視可能である影響(約1%以下)を及ぼすことを図示する。例えば、ηは、α=0における約32%であって、それは、+α=21度において約10%低下する。
【0169】
図16Dは、
図16Aを参照してシミュレートされたものであるが、シミュレートされた回折格子に関して、40nmの固定厚を有するマスク層1604が1つ以上の第1のライン1312上および第2のライン1316(
図13Aおよび13B)上に配置される、例示的回折格子に関する回折効率(η)対入射角αのシミュレーション1630を図示する。シミュレーション1630は、それぞれ、透過回折次数T1およびT-1に対応する、シミュレートされた回折効率曲線1624および1628を図示する。T-1次回折次数に関して
図14を参照して上で説明されるシミュレーション1400と比較して、シミュレートされた回折効率1628は、20nm厚マスク層の存在が、回折効率または視野にほぼ無視可能である影響(約1%以下)を及ぼさないことを図示する。例えば、ηは、α=0における約32%であって、それは、+α=21度において約10%低下する。
【0170】
以下では、
図17A-20を参照して、異なる高屈折率材料から形成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角αのシミュレーションが、図示され、回折格子は、可視スペクトル内の緑色光(例えば、λ=520nm)を回折するように構成される。
【0171】
図17Aおよび17Bは、非晶質シリコンから形成され、緑色可視光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション1700、1704を図示する。特に、シミュレーション1700および1704は、それぞれ、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおける、T-1次回折TEおよびTM偏光緑色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション1700および1704は、非晶質シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=90nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=96nm、およびs
1=66nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=5.02+0.363iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、約50(<-30~>+20)度において比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約28%の効率から約10%低下する。
【0172】
図18は、いくつかの実施形態による、多結晶性シリコンから形成され、λ=520nmにおける緑色可視光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション1400を図示する。シミュレーション1400は、
図14に図示されるものと同一シミュレーションであるが、
図17A、19、および20との容易な比較のために、異なるx-軸の範囲を用いて再プロットされている。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=4.41+0.182iであった。図示されるように、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、比較的に広く、約40度を超え、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約32%の効率から約10%低下する。
【0173】
図19は、いくつかの実施形態による、炭化ケイ素(SiC)から形成され、緑色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション1900を図示する。特に、シミュレーション1900は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおけるT-1次回折TE偏光緑色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション1900は、炭化ケイ素(SiC)から形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=260nm、W
nano1=W
nano2=65nm、p
nano1=96nm、およびs
1=31nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=2.65+0.005iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、約40(約-20~約+20)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約27%の効率から約10%低下する。
【0174】
図20は、いくつかの実施形態による、窒化ケイ素(例えば、Si
3N
4)から形成され、緑色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション2000を図示する。特に、シミュレーション2000は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおけるT-1次回折TE偏光緑色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション2000は、窒化ケイ素(例えば、Si
3N
4)から形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=300nm、W
nano1=W
nano2=60nm、p
nano1=96nm、およびs
1=36nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=2.20+0.002iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、>40(約<-30~約+10)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約21%の効率から約10%低下する。
【0175】
以下では、
図21-24を参照して、異なる高屈折率材料から形成される、例示的回折格子に関する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーションが、図示され、回折格子は、可視スペクトル内の青色光(例えば、λ=455nm)を回折するように構成される。
【0176】
図21は、いくつかの実施形態による、多結晶性シリコンから形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション2200を図示する。特に、シミュレーション2100は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=455nmにおけるT-1次回折TE偏光青色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション2100は、多結晶性シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=334nm、h
nano1=h
nano2=75nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=96nm、およびs
1=66nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=4.67+0.636iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、>40(約<-30~約>+10)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約22%の効率から約10%低下する。
【0177】
図22は、いくつかの実施形態による、非晶質シリコンから形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション2200を図示する。特に、シミュレーション2200は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=455nmにおけるT-1次回折TE偏光青色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション2200は、非晶質シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=334nm、h
nano1=h
nano2=60nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=96nm、およびs
1=66nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=5.363+1.015iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、>40(約<-30~約>+10)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約18%の効率から約10%低下する。
【0178】
図23は、いくつかの実施形態による、炭化ケイ素から形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション2300を図示する。特に、シミュレーション2300は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=455nmにおけるT-1次回折TE偏光青色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション2300は、炭化ケイ素から形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=334nm、h
nano1=h
nano2=220nm、W
nano1=W
nano2=60nm、p
nano1=96nm、およびs
1=36nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=2.67+0.01iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、約40(約-18~約+18)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約30%の効率から約10%低下する。
【0179】
図24は、いくつかの実施形態による、窒化ケイ素から形成され、青色光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション2400を図示する。特に、シミュレーション2400は、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=455nmにおけるT-1次回折TE偏光青色光の回折効率(η)を示す。シミュレーション2400は、窒化ケイ素から形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=334nm、h
nano1=h
nano2=260nm、W
nano1=W
nano2=60nm、p
nano1=96nmおよびs
1=36nmである、回折格子に関して実施された。シミュレーションのために使用された屈折の複素屈折率は、n=2.24+0.007iであった。図示されるように、TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、約20(約-8~約+12)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約21%の効率から約10%低下する。
【0180】
図25は、いくつかの他の実施形態による、幾何学的位相光学要素を有するメタ表面を備えている、回折格子2500の見下げ図を図示する。本明細書に開示されるメタ表面のいくつかの実施形態は、それぞれ、異なる方向に延びている、2~4組のナノビームから形成され得ることを理解されたい。
図13A-13Bは、2組のナノビームを有する、メタ表面を図示し、
図25は、4組のナノビームを有する、メタ表面を図示する。特に、
図25の回折格子2500は、4レベル幾何学的位相メタ表面を備えている。
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300と同様に、回折格子2500は、可視スペクトル内の波長を有する光を回折するように構成される、メタ表面が形成される、基板、例えば、導波管を含む。メタ表面は、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている、1つ以上の第1のライン2512と、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている、複数の第2のライン2516とを含む。1つ以上の第1のライン2512および第2のライン2516は、第2の方向に互いに隣接して配置され、第1のライン2512および第2のライン2516は、メタ表面が回折するように構成される、可視スペクトル内の波長未満の周期において、第2の方向に交互に反復する。いくつかの実施形態では、第2のライン2516は、隣接する対の第1のライン2512の間で、y-方向に側方にスタックされる。回折格子2500の1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の種々の特徴は、以下の差異を除き、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300の対応する特徴に類似する。
【0181】
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300と異なり、回折格子2500はさらに、それぞれ、第3の方向に延びている、複数の第3のライン2514と、それぞれ、第4の方向に延びている、複数の第4のライン2518との一方または両方を備えている。第1、第2、第3、および第4の方向の各々は、相互と異なり得る。複数の第3のライン2514は、第3の組のナノビームを形成すると見なされ得、複数の第4のライン2518は、第4の組のナノビームを形成すると見なされ得る。第3のライン2514は、第2のライン2516の第1の側上に配置され、1つ以上の第1のライン2512と第2のライン2516との間で第2の方向(例えば、x-軸方向)に挿入される。第4のライン2518は、第1の側と反対の第2のライン2516の第2の側上に配置され、別の1つ以上の第1のライン2512と第2のライン2516との間で第2の方向(例えば、x-方向)に挿入される。
【0182】
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300と異なり、回折格子2500は、1つのみの第1のライン2512を有し得る。いくつかの他の実施形態では、回折格子2500は、複数の第1のライン2512、例えば、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される回折格子1300等の一対の第1のラインを有し得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、第3のライン2514および/または第4のライン2518が、それぞれ、第3および第4の方向に共終端するように、第3のライン2514は、同一長さを有し、および/または第4のライン2518は、同一長さを有する。しかしながら、第3のライン2514のうちの異なるものおよび/または第4のライン2518のうちの異なるものが共終端しない、他の実施形態も、可能である。加えて、いくつかの実施形態では、共終端する第3のライン2514および共終端する第4のライン2518は、同一長さを有する。しかしながら、他の実施形態では、共終端する第3のライン2514および共終端する第4のライン2518は、異なる長さを有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、第3のライン2514のうちの隣接するものは、第1の方向(例えば、y-方向)に一定間隔によって分離され、および/または第4のライン2518のうちの隣接するものは、第1の方向に一定間隔によって分離される。しかしながら、第3のライン2514および/または第4のライン2518が一定間隔によって分離されない、他の実施形態も、可能である。加えて、いくつかの実施形態では、一定に間隔を置かれる第3のライン2514および一定に間隔を置かれる第4のライン2518は、同一一定間隔を有する。しかしながら、他の実施形態では、一定に間隔を置かれる第3のライン2514および一定に間隔を置かれる第4のライン2518は、異なる間隔を有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、第3のライン2514は、同一幅を有し、および/または第4のライン2518は、同一幅を有する。しかしながら、他の実施形態では、第3のライン2514および/または第4のライン2518は、異なる幅を有する。加えて、いくつかの実施形態では、同一幅を有する第3のライン2514および同一幅を有する第4のライン2518の幅は、同一である。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、同一幅を有する第3のライン2514および同一幅を有する第4のライン2518の幅は、異なる。加えて、いくつかの実施形態では、第3のライン2514および第4のライン2518は、第1のライン2512および第2のライン2416の一方または両方と同一幅を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、第3のライン2514は、入射光の伝搬方向から(例えば、紙面の向こう側に向かって)見ると、1つ以上の第1のライン2512に対する第2のライン2516の最小回転角より小さい角度だけ、1つ以上の第1のライン2512に対して反時計回り方向に回転される、第3の方向に延びている。いくつかの実施形態では、第2のライン2516は、1つ以上の第1のライン2512に対して90°またはπ/2回転され、第3のライン2514は、1つ以上の第1のライン2512に対して45°またはπ/4回転される。加えて、第4のライン2518は、入射光の伝搬方向から見ると、1つ以上の第1のライン2512に対して第2のライン2516の最小回転角を上回る角度だけ、1つ以上の第1のライン2512に対して反時計回り方向に回転される、第4の方向に延びている。いくつかの実施形態では、第2のライン2516は、1つ以上の第1のライン2512に対して90°またはπ/2回転され、第3のライン2514は、1つ以上の第1のライン2512に対して135°または3π/4回転される。
【0187】
いくつかの実施形態では、
図12A-12Hを参照して上で図示される波長板の組み合わせと同様に、1つ以上の第1のライン2512、第2のライン2516、第3のライン2514、および第4のライン2518の相対的な向きによって生じる位相差は、0~πで変動し得る。第3のライン2514、第4のライン2518、および第2のライン2516が、1つ以上の第1のライン2512に対してπ/4、3π/4、およびπ回転されると、π/2、3π/2、および2πの位相ピックアップ/遅延が、いくつかの実施形態によると、完全0~2π範囲を網羅する位相ピックアップ/遅延が達成され得るように、それぞれ、達成され得る。結果として、高速軸向きを0~πで変動させることによって、完全0~2π範囲を網羅する、位相ピックアップ/遅延が、達成され得るが、
図12A-12Hに図示される例と比較して、はるかにコンパクトなユニットセルピッチおよびより高い回折角を伴う。
(幾何学的位相メタ表面に基づくディスプレイデバイス)
【0188】
(例えば、
図9Aおよび9Bに戻って参照すると)ディスプレイシステムの種々の実施形態では、導波管の組1200は、透過モードで動作するように構成される、メタ表面回折格子を含み得る。種々の実施形態では、導波管の組1200は、各成分色(R、G、B)に対応する、導波管670、680、690を含み、それは、ひいては、その中またはその上に、
図13Aおよび13Bおよび25を参照して上で説明される、回折格子1300、2500を含む、またはそれに対応し得る、内部結合光学要素700、710、720のうちのそれぞれのものを形成している。導波管670、680、690は、加えて、その中またはその上に、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される、EPE/OPE1346を含む、またはそれに対応する、光分配要素(例えば、OPE)730、740、750および/または外部結合光学要素(例えば、EPE)800、810、820のそれぞれのうちのものを形成している。動作時、いくつかの実施形態では、入射光ビーム1330、例えば、可視光が、入射角αでメタ表面1308上に入射すると、格子1300、2500は、入射光を回折光ビーム1342、1338の中に回折角θ
2で回折する。回折光ビーム1338および1342の一方または両方が、屈折率n
2を有する導波管として構成される、基板1304のための全内部反射の発生のために、臨界角θ
TIRを超える回折角で回折されると、すなわち、条件θ
2>θ
TIRおよびθ
1>θ
TIRの一方または両方が満たされると、回折光ビーム1338および1342の一方または両方は、全内部反射(TIR)によって、x-軸に沿ってそれらのそれぞれの反対方向に伝搬する。続いて、いくつかの実施形態では、回折光ビーム1346は、
図9Aおよび9Bを参照して上で説明される、直交瞳エクスパンダ(OPE)1346または射出瞳エクスパンダ(EPE)1346に到達するまで、TIRモード下で基板1304の中に結合される。
【0189】
図13Aおよび13Bおよび
図25を参照して上で図示される、格子1300、2500は、透過性モードで動作するように構成されるが、他の実施形態も、可能である。いくつかの他の実施形態では、
図9Aおよび9Bに戻って参照すると、いくつかのディスプレイデバイスは、反射モードで動作するように構成される回折格子を有する、導波管の組1200を含む。これらの実施形態では、導波管の組1200は、各成分色(R、G、B)に対応する、導波管670、680、690を含み、それは、ひいては、その中またはその上に、その断面図が、
図26に関して説明される、回折格子2600を含む、またはそれに対応する、内部結合光学要素700、710、720のうちのそれぞれのものを形成している。回折格子2600は、反射モードで光を回折するように構成される、メタ表面2608を含み、
図13Aおよび13Bおよび25を参照して上で説明される、回折格子1300、2500と異なり、動作時、メタ表面2608の側面上に入射する光は、メタ表面2608の光入射側と同一側に向かって回折する。回折格子2600は、可視スペクトル内の波長を有する光を回折するように構成される、メタ表面1308が形成される、表面1304Sを有する、基板1304を含む。メタ表面2608は、1つ以上の第1のライン1312と、複数の第2のライン1316とを含み、その材料組成、寸法、および表面1304S上の側方配列は、それぞれ、
図13Aおよび13Bおよび25を参照して上で説明される、回折格子1300、2500のものに類似する。特に、見下げ図は、図示されないが、メタ表面1308は、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている、1つ以上の第1のライン1312と、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている、複数の第2のライン1316とを含み、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、第2の方向に互いに隣接して配置され、可視スペクトル内の波長未満の周期で第2の方向に交互に反復する。
【0190】
理論によって限定されるわけではないが、いくつかの実施形態では、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明されるメタ表面1308と同様に、格子2600のメタ表面2608では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、互いに対してある角度で向けられ、1つ以上の第1のライン1312によって回折される可視光と第2のライン1316によって回折される可視光との間に位相差を生じさせ、1つ以上の第1のライン1312によって回折される可視光と第2のライン1316によって回折される可視光との間の位相差は、角度の2倍である。
【0191】
図示されていないが、
図25を参照して上で説明される回折格子2500と同様に、いくつかの他の実施形態では、回折格子2600はさらに、それぞれ、第3の方向に延びている、複数の第3のライン2514と、それぞれ、第4の方向に延びている、複数の第4のライン2518との一方または両方を備えている。加えて、いくつかの実施形態では、図示される回折格子2600は、1つのみの第1のライン2512を有する。
【0192】
図13Aおよび13Bおよび25を参照して上で説明される、1つ以上の第1のライン1312、第2のライン1316、第3のライン2514、および第4のライン2518の他の種々の可能性として考えられる配列も、その詳細な説明が省略される、
図26の回折格子2600に実装され得る。
【0193】
図13Aおよび13Bおよび25を参照して上で説明される格子1300および2500と異なり、格子2600では、光学的に透過性のスペーサ層2604が、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316にわたって、またはその上に、例えば、直上に形成され得る。加えて、反射層2612も、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316にわたって、またはその上に、例えば、直上に、および/またはスペーサ層2604にわたって、またはその上に、例えば、直上に形成され得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、スペーサ層2604は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316がスペーサ層2604に内蔵されるように、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の直上に形成され、それに接触する。スペーサ層2604は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1326の高さを高さdだけ上回る、高さまたは厚さhspacerを有する。高さdは、いくつかの実施形態によると、5nm~1μm、5nm~500nm、または10nm~300nmの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサ層2604は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316が形成されるバルク材料の屈折率n1 bulkより低い、屈折率nspacerを有する。いくつかの実施形態では、nspacerはまた、基板1304の屈折率n2より低い。種々の実施形態では、nspacerは、1~2、1.1~1.7、または1.1~1.5、例えば1.2の屈折率を有する。種々の実施形態では、スペーサ層2604は、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、スピンオンガラス、電子ビームレジストまたはフォトレジスト、およびポリマーを含む、スピンコーティングによって堆積され得る、材料から形成され得る。スピンコーティングによって堆積されると、スピンコーティングされたままの材料は、粘性流を受け得るため、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316にわたるスペーサ層2604の厚さは、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316が存在しない領域、例えば、スペーサ層2604が基板1304の直上に形成される領域内のスペーサ層2604の厚さと比較して、より薄くなり得ることを理解されたい。
【0195】
いくつかの実施形態では、反射層2612が、スペーサ層2604の直上に形成される。本実施形態では、反射層2612は、それにわたって形成されるスペーサ層2604によって、1つ以上の第1のライン2612および第2のライン2616から分離される。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、反射層2612は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の直上に形成され得る。これらの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、反射層2612に内蔵され得る。すなわち、反射層2612は、1つ以上の第1のライン1312間および/または第2のライン1316間の空間を充填し得る。
【0196】
反射層2612は、アルミニウム、銀、金、および銅等の金属または金属材料等、光、例えば、可視光を実質的に反射する、材料から形成され得る。いくつかの他の実施形態では、反射層2612は、反射ポリマー等の他の光反射材料から形成され得る。空間層2604の直上に形成されるとき、反射層2612の高さまたは厚さhrは、例えば、150nmより厚い、500nmより厚い、または1μmより厚い、もしくはこれらの厚さの間の範囲内である、実質的に非透過性かつ無細孔となるように十分に厚くなり得る。反射層2612が、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の直上に形成される、実施形態では、反射層2612の厚さは、1つ以上の第1のライン1312および第2のラインを埋設するために十分であり得、それぞれの厚さhnano1およびhnano2を上回り得る。
【0197】
図27は、
図26を参照して上で説明される回折格子2600の種々の実施形態による、例示的回折格子に関する回折(η)対入射角(α)のシミュレーション2700を図示する。特に、シミュレーション2700は、多結晶性シリコンから形成される1つ以上の第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、反射モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=h
nano2=50nm、W
nano1=W
nano2=30nm、p
nano1=95.5nm、s
1=65.5nm、およびd=50nmである、回折格子に関してシミュレートされた、T-1次回折TE偏光緑色光(λ=520nm)の回折効率(η)を示す。図示されるように、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、比較的に広く、約45度(-25~+20度)を超え、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における約40%の効率から約10%低下する。
(幾何学的位相メタ表面を製作する方法)
【0198】
以下では、幾何学的位相メタ表面を製作する方法が、説明される。いくつかの実施形態では、幾何学的位相メタ表面は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316を形成するための高屈折率材料のより低い屈折率基板1304上への堆積の使用に続き、リソグラフィおよびエッチングプロセスを使用してパターン化することによって、加工され得る。いくつかの他の実施形態では、幾何学的位相メタ表面は、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の高屈折率材料のより低い屈折率基板1304上への堆積の使用に続き、ナノインプリント技法を使用してパターン化することによって、加工され得る。
【0199】
図28A-28Dは、それぞれ、いくつかの実施形態による、リソグラフィおよびエッチングを使用した、幾何学形状位相メタ表面を有する回折格子の加工の種々の段階における、中間構造2800A-2800Dの断面図を図示する。
図28Aの中間構造2800Aを参照すると、本方法は、メタ表面1308をその上に形成するために好適な表面1304Sを有する、基板1304を提供するステップを含む。基板1304は、屈折率n2と、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される、種々の他の材料属性とを有する、光学的に透過性の材料を含む。本方法は、加えて、表面1304S上に、屈折率n
1 bulkと、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明される、種々の他の材料属性とを有する、高屈折率層1310を形成するステップを含む。高屈折率層1310は、
図13Aおよび13Bを参照して上で説明されるように、パターン化されるとき、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316を形成するために好適である。高屈折率層1310は、いくつかの実施形態によると、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)等のプラズマベースのCVDプロセスおよび低圧化学蒸着(LPCVD)等の熱ベースのCVDプロセスを含む、化学蒸着(CVD)等の任意の好適な技法を使用して、堆積され得る。高屈折率層1310はまた、他の技法の中でもとりわけ、物理蒸着(PVD)、蒸発、および原子層堆積を使用して、堆積され得る。本方法は、加えて、高屈折率層1310上に、マスク層1604Aを形成するステップを含む。マスク層1604Aは、下層高屈折率層1310の後続エッチングのためのテンプレートを提供するために好適な材料の1つ以上の層から形成される、もしくはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、マスク層1604Aは、フォトレジストであり得、それは、スピンコーティングされた後、後焼締が続き得る。いくつかの他の実施形態では、マスク層1604は、高屈折率層1310上に形成される硬質マスク層と、硬質マスク層上に形成されるフォトレジスト層とを含む、複数の層を含み得る。硬質マスク層は、例えば、フォトレジスト層が、下層高屈折率層1310への後続エッチングパターン転写の間、十分なエッチング選択性を提供し得ないとき、含まれてもよい。硬質マスク層はまた、反射防止コーティングとしての役割を果たし、後続露光プロセスの間、反射を低減させ得る。いくつかの実施形態では、硬質マスク層は、スピンコーティングされたポリマーまたは高屈折率層1310を堆積させるための堆積技法のいずれかによって堆積されるフィルムであり得る。含まれるとき、硬質マスク層は、上層フォトレジスト層より優れたエッチング選択性を提供し得る。いくつかの実施形態では、フォトレジストは、正のフォトレジストまたは負のフォトレジストであり得る。正のフォトレジストは、光に暴露されるフォトレジストの部分がフォトレジスト現像液に可溶性となる、フォトレジストのタイプである一方、負のレジストは、光に暴露されるフォトレジストの部分がフォトレジスト現像液に不可溶性となる、フォトレジストのタイプである。
【0200】
いくつかの実施形態では、フォトレジストおよび/または硬質マスク層は、フォトレジストおよび/または硬質マスク層が下層高屈折率層1310のエッチングを通して比較的に無傷のままであるように、高屈折率層1310に対して十分なエッチング選択性を有し得る、シリコンまたは酸化ケイ素を含む材料から形成され得る。これらの実施形態では、シリコンもしくは酸化ケイ素含有フォトレジストおよび/または硬質マスク層は、
図16Aを参照して上で説明されるように、パターン化後、1つ以上の第1のラインおよび/または第2のラインの上部に留まってもよい。
【0201】
図28Bの中間構造2800Bを参照すると、堆積および堆積後焼締後、本方法は、フォトレジストの一部を光のパターンに選択的に暴露することによって、マスク層1604のフォトレジスト層をパターン化するステップを含む。光、例えば、コヒーレントUV光または電子ビームへの暴露は、化学変化、例えば、ポリマー架橋結合をフォトレジスト内に生じさせ、それは、フォトレジストの暴露部分が正のフォトレジストのための現像液溶液によって選択的に除去されることを可能にする、またはフォトレジストの非暴露部分が負のフォトレジストのための現像液溶液によって選択的に除去されることを可能にする。選択的除去に応じて、結果として生じるパターン化されたマスクフォトレジストは、高屈折率層1310上に留まり、それによって、例えば、エッチングによって、含まれるとき、下層硬質マスク層の後続パターン化のためのテンプレートとしての役割を果たす。結果として生じる中間構造2800Cは、パターン化されたマスク層1604を示し、それは、パターン化されたフォトレジストと、随意に、含まれるとき、パターン化された硬質マスク層とを含む。
【0202】
図28Cの中間構造2800Cを参照すると、パターン化されたマスク層1604は、下層高屈折率層1310を、
図13Aおよび13Bを参照して上でより詳細に説明されるように、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている1つ以上の第1のライン1312と、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている複数の第2のライン1306とにエッチングするためのテンプレートとして使用され得る。種々の実施形態では、高屈折率層1310は、エッチング、例えば、異方的にドライエッチングされ得る。採用されるエッチングプロセスは、マスク層1604を早期に除去することなく、および/または基板1304の暴露部分を不必要に損傷することなく、高屈折率層1310の一部が除去されるように、マスク層1604および/または基板1304に対して好適な選択性を有し得る。
【0203】
中間構造2800Dを参照すると、いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316上のマスク層1604が、そこから除去される。マスク層1604のレジスト部分は、アッシングと称されるプロセスにおいて、例えば、液体レジスト剥離液または酸素ベースのプラズマを使用することによって除去され得る。所望に応じて、含まれるとき、下層硬質マスク層が、続いて、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316もしくは基板1304に実質的に影響を及ぼすことなく、硬質マスクを選択的に除去する、ウェットまたはドライエッチングプロセスを使用して、除去され得る。しかしながら、いくつかの実施形態、例えば、
図16Aを参照して上で説明される実施形態では、マスク層1604、例えば、フォトレジスト/硬質マスクまたは硬質マスクは、除去されることなく残され得る。
【0204】
図29A-29Dは、それぞれ、いくつかの実施形態による、幾何学的位相メタ表面ナノインプリント技法を有する回折格子の加工の種々の段階における、中間構造2900A-2900Dの断面図を図示する。いくつかの実施形態では、それぞれ、
図29A、29C、および29Dの中間構造2900A、2900C、および2900Dを形成する方法は、それぞれ、
図28A、28C、および28Dの中間構造2800A、2800C、および2800Dを形成する方法に類似する。しかしながら、
図29Bの中間構造2900Bを形成する方法は、
図28Bの中間構造2800Bを形成する方法と異なり、その差異は、下記に説明される。
【0205】
図29Bの中間構造2900Bを参照すると、
図28Bを参照して上で説明される方法と異なり、光または電子ビームを使用して、フォトレジストの一部を選択的に暴露および除去することによって、フォトレジスト層をパターン化する代わりに、図示される実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の形成に従って所定のトポロジパターンを有する、ナノインプリントテンプレート2904またはナノインプリント金型が、マスク層1604Aのインプリントレジストと接触させられる。いくつかの実施形態では、テンプレート2904は、例えば、インプリントレジストのガラス遷移温度を上回る、ある温度下で、熱可塑性ポリマーから形成されるインプリントレジストの中に押圧され、それによって、テンプレート2904のパターンを軟化したインプリントレジストに転送する。冷却された後、テンプレート2904は、インプリントレジストから分離され、パターン化されたレジストは、高屈折率層1310上に残される。いくつかの他の実施形態では、インプリントレジストの中に押圧された後、インプリントレジストは、UV光下で架橋結合によって硬化される。
【0206】
図示されていないが、反射モードメタ表面、例えば、
図26を参照して説明されるメタ表面2608は、
図28Dまたは29Dに示される中間構造の追加の処理を通して形成され得る。例えば、スペーサ層2604または反射層が、1つ以上の第1のライン1312と第2のライン1316との間の開放容積内に堆積され得る。いくつかの他の実施形態では、1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316は、トレンチをブランケットスペーサ層2604またはブランケット反射層内にエッチングし、続いて、トレンチを1つ以上の第1のライン1312および第2のライン1316の高屈折率材料で充填することによって、形成され得る。
【0207】
種々の実施形態による、その上にメタ表面が形成された導波管として構成される、基板1304は、本明細書に開示されるシステム250(
図6)等のディスプレイシステムを形成するために使用され得ることを理解されたい。例えば、メタ表面は、本明細書に説明されるように、内部結合、光分散、および/または外部結合光学要素として利用され得る。いくつかの実施形態では、メタ表面の加工後、導波管2000は、画像情報を空間光変調器から導波管の中に投入するための光パイプ等の光パイプに光学的に結合され得る。光パイプは、いくつかの実施形態では、光ファイバであり得る。光パイプの例は、画像投入デバイス360、370、380、390、400(
図6)および走査光ファイバを含む。いくつかの実施形態では、それぞれ、メタ表面1308を有する、複数の導波管が、提供され得、これらの導波管の各々は、1つ以上の画像投入デバイスに光学的に結合され得る。
(非対称光学要素を有する幾何学的位相メタ表面)
【0208】
上で説明されるように、PBOEを備えている、メタ表面の用途は、光ビームをいくつかの回折次数の中に操向することが可能な回折格子、例えば、ブレーズド格子としてのそれらの使用を含む。例えば、
図13Aおよび13Bに関して上で説明されるように、回折格子1300は、複数の回折次数、例えば、+1および-1次回折次数に対して最大格子効率を達成するように構成され得る。例えば、
図13Aおよび13Bに関して上で説明されるように、PBOEに基づくブレーズド格子1300は、透過光ビーム1334として、入射光を部分的に透過させ、回折角θ
1における+1次1342の回折光ビームおよび回折角θ
2における-1次1338の回折光ビームとして、入射光を部分的に回折するように構成され得、回折角は、αを測定するための同一平面、例えば、y-z平面に対して測定される。回折光ビーム1338および1342の一方または両方が、導波管として構成される基板1304内の全内部反射の発生のために、臨界角θ
TIRを超える回折角で回折されると、回折光ビーム1338および1342は、光ビームが、光分配要素1214、1224、1234および外部結合光学要素1250、1252、1254(
図9B)に対応し得る、OPE/EPE1346に到達するまで、全内部反射(TIR)下でx-軸に沿ってそれらのそれぞれの反対方向に伝搬する。しかしながら、いくつかの用途に関して、回折光を複数の回折次数のうちの1つ、例えば、+1次回折光1338または-1次回折次数1338のうちの一方の中に集中させながら、複数の回折次数のうちの他方、例えば、+1次1338または-1次回折次数1338の他方を低減させることが望ましくあり得る。例えば、
図13A/13Bに戻って参照すると、基板1304が、回折光ビーム1338および1342が、光ビームが片側に配置されるOPE/EPE1346に到達するまで、全内部反射(TIR)下でx-軸に沿って伝搬するように、導波管として構成されるとき、回折光を単一回折次数の中に集中させることは、実際に視認者に出力されるために利用可能である、より多量の光を提供する。
【0209】
図30Aおよび30Bを参照すると、光を特定の回折次数に操向するように構成される、2相レベル非対称幾何学的位相メタ表面が、図示される。
図30Aおよび30Bは、それぞれ、ある波長を有する可視光を回折するように構成される、メタ表面3008を含む、回折格子3000の断面側面図および見下げ図を図示し、メタ表面は、複数の反復ユニットセル1320aを備えている。各ユニットセルは、第1のナノビーム3012のうちの少なくとも2つが相互と比較して異なる幅を有するという意味において非対称である、2つ以上の第1のナノビーム3012を備えている、第1の組のナノビームを備えている。各ユニットセルはまた、そのうちの少なくとも2つが異なる幅を有する、非対称の第2のナノビーム3016を含む、複数の第2のナノビーム3016を備えている、第2の組のナノビームを備えている。第2のナノビームは、第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離され、第1のナノビーム3012および第2のナノビーム3016は、異なる向きを有する。有利には、これらの非対称ナノビームを伴うメタ表面は、光が、複数の回折次数のうちの1つ、例えば、+1次回折光1342または-1次回折次数1338のうちの一方の中により効率的に操向されながら、複数の回折次数のその他、例えば、+1次1342または-1次回折次数1338のうちの他方を低減させるように、光を回折し得ることが見出されている。
【0210】
いくつかの実施形態では、回折格子3000は、2レベル幾何学的位相メタ表面を備えている。
図30Aを参照して図示される断面側面図は、
図30Bの線AA’に沿って得られた断面のものである。回折格子3000は、可視スペクトル内の波長を有する光を回折するように構成されるメタ表面3008が形成される、表面を有する、基板1304を含む。メタ表面3008は、第1の向きを有し、概して、第1の側方方向(例えば、y-方向)に延びている、第1のラインまたはナノビーム3012と、概して、第2の方向(例えば、x-方向)に延びている、複数の第2のラインまたはナノビーム3016とを含む。第1のラインまたはナノビーム3012は、第1の組のナノビームを形成すると見なされ得、第2のラインまたはナノビーム3016は、第2の組のナノビームを形成すると見なされ得る。第1のライン3012および第2のライン3016は、第2の方向に互いに隣接して配置され、第1のライン3012および第2のライン3016はある周期、例えば、メタ表面が回折するように構成される光の波長未満の周期において、第2の方向に、交互に反復する。有利には、第US9,507,064号のもの等の構造と比較して、空間変形向きを伴うメタ表面は、複数の偏光、例えば、TEおよびTM偏光を有する、光を効率的に回折することができる。
【0211】
例えば、種々の材料の屈折率ならびに格子の動作原理を含む、回折格子3000の物理的および光学的性質は、上で説明される種々の実施形態、例えば、
図13A/13Bに関して上で説明される回折格子1300に類似することを理解されたい。加えて、回折格子3000のユニットセルピッチΛ
aならびに第1のナノビーム3012および第2のナノビーム3016の寸法、例えば、高さ、長さ、および幅は、上で説明される種々の実施形態に類似するが、それらの詳細な説明は、簡潔にするために、本明細書では省略される。
【0212】
しかしながら、上で説明されるいくつかの実施形態と異なり、第1のナノビーム3012のうちの少なくとも1つは、第1のナノビーム3012の別のものと異なる幅を有し、第2のナノビーム3016のうちの少なくとも1つは、第2のナノビーム3016の別のものと異なる幅を有する。図示される実施形態では、ユニットセルは、互いに異なる、第1の幅Wnano1-1および第2の幅Wnano1-2を有する、一対の第1のナノビーム3012を備えている、第1の組のナノビームを含む。ユニットセルは、加えて、互いに異なる、第3の幅Wnano2-1および第4の幅Wnano2-2を有する、複数の第2のナノビーム3016を備えている、第2の組のナノビームを含む。したがって、図示される実施形態では、第1の組のナノビームは、2つの異なる幅を有する、交互ナノビームを含み、第2の組のナノビームは、2つの異なる幅を有する、交互ナノビームを含む。しかしながら、実施形態は、そのように限定されず、第1および/または第2の組のナノビームは、他の幅を有する、追加のナノビームを有することができる。
【0213】
以下では、第1のライン3012および第2のライン3016の寸法および幾何学的配列を含む、種々の構成が、説明され、その複合効果は、回折光を複数の回折次数のうちの1つの中に操向しながら、複数の回折次数のうちの他のものを低減させるとともに、TEおよびTM偏光の両方に関して、比較的に高い回折角、比較的に高い回折効率、比較的に広範囲の受光角および受光角の範囲内の比較的に均一効率、ならびに比較的に高い効率のうちの1つ以上のものを含む、上で説明される種々の望ましい光学性質を達成することである。
【0214】
詳細には、
図30Aを参照すると、動作時、入射光ビーム1330、例えば、可視光が、表面1304Sに対して法線であって、第1のライン1312と平行方向に延びている平面、例えば、y-z平面に対して測定された入射角αでメタ表面3008上に入射すると、格子3000は、透過光ビームとして、入射光を部分的に透過させ、回折角θ
1における+1次1342の回折光ビームとして、入射光を部分的に回折しながら、回折角θ
2における-1次(明確にするために示されていない)の回折光ビームを実質的に抑制し、回折角は、αを測定するための同一平面、例えば、y-z平面に対して測定される。上で説明されるものと同様に、+1次1342の回折光ビームが、導波管として構成される基板1304内の全内部反射の発生のための臨界角θ
TIRを超える回折角で回折されると、回折光ビームは、光ビームがOPE/EPE1346(明確にするために示されていない、例えば、
図13Aおよび13B参照)に到達するまで、全内部反射(TIR)下でx-軸に沿って伝搬する。
【0215】
種々の実施形態では、第1のライン1312のWnano1および第2のライン1316のWnano2の各々は、メタ表面1308が回折するように構成される、光の波長より小さく、好ましくは、可視スペクトル内の波長より小さい。いくつかの実施形態では、Wnano1-1、Wnano1-2、Wnano2-1、およびWnano2-2の各々は、10nm~1μm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲内、例えば30nmである。いくつかの実施形態では、Wnano1-1は、Wnano2-1と実質的に等しく、Wnano1-2は、Wnano2-2と実質的に等しい。いくつかの他の実施形態では、Wnano1-1、Wnano2-1、Wnano1-2、およびWnano2-2の各々は、異なり得る。
【0216】
いくつかの実施形態によると、第2の方向(x-方向)における第1のライン1312のうちの直接隣接するものは、間隔s1-1によって分離される。加えて、第1のライン1312のうちの1つは、異なる一定間隔s1-2およびs1-3によって、反対側上の第2のライン1316のうちの1つから分離される。いくつかの実施形態によると、s1-1、s1-2、およびs1-3の各々は、メタ表面3008が回折するように構成される、波長より小さい。
【0217】
いくつかの実施形態によると、第1の方向(y-方向)における第2のライン3016のうちの直接隣接するものは、2つの異なる幅Wnano2-1およびWnano2-2を有する、交互に反復する第2のライン3016と交互に反復する、間隔s2-1およびs2-2によって分離される。いくつかの実施形態によると、s2-1およびs2-2の各々は、メタ表面3008が回折するように構成される、波長より小さい。
【0218】
図30Aを継続して参照すると、第1のライン3012および第2のライン3016は、高さh
nanoを有し、それは、同一または異なり得る、例えば、
図13A/13Bに関して上で説明されるものと寸法が類似し、寸法と、例えば、視野(FOV)に及ぼす技術的効果とに関するその説明は、簡潔にするために、本明細書では説明されない。さらに、異なるナノビームの間隔と高さの所望の比率は、例えば、間隔s
1-1、s
1-2、s
1-3、s
2-1、およびs
2-2がそれぞれ、10nm~1μm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲内、例えば30nmである場合、実現され得る。当然ながら、s
1-1、s
1-2、s
1-3、s
2-1、およびs
2-2の比較的に低い値は、h
nano1およびh
nano2が対応して比較的に低い値を有する場合に実現され得る。
【0219】
種々の実施形態によると、s1-1とWnano1-1またはWnano1-2のうちの1つの組み合わせは、s1-1とWnano1-1またはWnano1-2のうちの1つの和として定義される、第1のライン3012のピッチ(pnano1)が、10nm~1μm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲から選択されたWnano1-1、Wnano1-2と、10nm~1μm、10nm~300nm、10nm~100nm、または10nm~50nmの範囲から選択されたs1の和によって取得される値を有するように選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、pnano1=95.5nmである。
【0220】
当然ながら、s1-1、s1-2、s1-3、s2-1、およびs2-2の比較的に小さい値が、実現され得、hnanoは、対応して比較的に小さい値を有し得る。有利には、比較的に高い屈折率n1を伴う材料を使用して、第1のライン1312および/または第2のライン1316を形成することによって、s1-1、s1-2、s1-3、s2-1、およびs2-2、hnanoの比較的に小さい値が、取得され得る。これは、本発明者らが見出したように、数量hnanoは、第1のライン3012および第2のライン3016を形成する材料のバルク屈折率に反比例し得るためである。故に、2.0~2.5、2.5~3.0、3.0~3.5、および3.5より高いバルク屈折率を有する材料に関して、hnanoは、種々の実施形態では、それぞれ、500nm~1μm、300nm~500nm、100nm~300nm、および10nm~100nmの範囲内であり得る。したがって、第1のライン3012および第2のライン3016の高バルク屈折率n1と、対応する寸法1-1、s1-2、s1-3、s2-1およびs2-2、hnanoとを有する、材料の特定の組み合わせによって、全体的ピッチΛaも、対応して、減少され得、それは、ひいては、下記にさらに説明されるように、回折角θを増加させる。
【0221】
図31Aおよび31Bは、多結晶性シリコンから形成され、緑色可視光を回折するように構成される例示的回折格子に対する回折効率(η)対入射角(α)のシミュレーション3100、3104を図示する。特に、シミュレーション3100および3004は、それぞれ、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおけるT+1(3114、
図31A)およびT-1(3118、
図31A)次回折TE偏光緑色光と、λ=520nmにおけるT+1(3124、
図31B)およびT-1(3128、
図31B)次TM偏光緑色光との回折効率(η)を示す。シミュレーション3100および3104は、多結晶性シリコンから形成される第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano1=107nm、W
nano1-1=W
nano2-1=30nm、およびW
nano1-2=W
nano2-2=45nm、s
1-1=58nm、s
1-2=23nm、s
1-3=35nm、s
2-1=s
2-2=58nmである、回折格子に関して実施された。
【0222】
図31Aに図示されるように、TE偏光に関して、回折格子3000は、入射光を比較的に効率的にT+1次回折ビーム3114の中に回折しながら、T-1次回折ビーム3118を低減させ、対応する回折効率は、それぞれ、α=0における50%および約10%を超える。T+1次TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、約50(約20~>+20)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における50%を超える効率から約10%またはそれを上回って低下する。
図31Bに図示されるように、TM偏光に関して、回折格子3000は、入射光をT+1次回折ビーム3124とT-1次回折ビーム3128との間で比較的均一に回折し、対応する回折効率は、α=0における20%より低い。
【0223】
図32Aおよび32Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。特に、シミュレーション3200および3204は、それぞれ、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおけるT+1(3214、
図32A)およびT-1(3218、
図32A)次回折TE偏光緑色光と、λ=520nmにおける、T+1(3224、
図32B)およびT-1(3228、
図32B)次TM偏光緑色光との回折効率(η)を示す。シミュレーション3200および3204は、非晶質シリコンから形成される第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード動作下、Λ
a=382nm、h
nano=85nm、W
nano1-1=W
nano2-1=25nmおよびW
nano1-2=W
nano2-2=40nm、s
1-1=63nm、s
1-2=25nm、s
1-3=38nm、s
2-1=s
2-2=63nmである、回折格子に関して実施された。
【0224】
図32Aに図示されるように、TE偏光に関して、回折格子3000は、入射光をT+1次回折ビーム3214の中に比較的に効率的に回折しながら、T-1次回折ビーム3218を低減させ、対応する回折効率は、それぞれ、α=0における約42%および約13%である。T+1次TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、>40(<-30~>+10)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における40%を超える効率から約10%またはそれを上回って低下する。
図32Bに図示されるように、TM偏光に関して、回折格子3000は、入射光をT+1次回折ビーム3224とT-1次回折ビーム3228との間で比較的均一に回折し、対応する回折効率は、α=0における15%を超える。
【0225】
図33Aおよび33Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、TEおよびTM偏光された緑色光に対する非晶質シリコンから形成される例示的回折格子に対するシミュレートされた回折効率(η)対入射角(α)を図示する。特に、シミュレーション3300および3304は、それぞれ、面法線に対してαで回折格子上に入射する、λ=520nmにおけるT+1(3314、
図33A)およびT-1(3318、
図33A)次回折TE偏光緑色光と、λ=520nmにおけるT+1(3324、
図32B)およびT-1(3328、
図32B)次TM偏光緑色光との回折効率(η)を示す。シミュレーション3300および3304は、非晶質シリコンから形成される第1のラインおよび第2のラインをn
2=1.77を有する基板上に有し、透過モード下で、Λ
a=382nm、h
nano185nm、W
nano1-1=W
nano2-1=30nmおよびW
nano1-2=W
nano2-2=45nm、s
1-1=58nm、s
1-2=23nm、s
1-3=35nm、s
2-1=s
2-2=58nmである、回折格子に関して実施された。
【0226】
図33Aに図示されるように、TE偏光に関して、回折格子3000は、入射光をT+1次回折ビーム3314の中に比較的に効率的に回折しながら、T-1次回折ビーム3318を低減させ、対応する回折効率は、それぞれ、α=0における約39%および約13%である。T+1次TE偏光緑色光に関して、入射角(Δα)または視野(FOV)の範囲は、>40(<-30~>+10)度と比較的に広く、その範囲外では、回折効率ηは、α=0における35%を超える効率から約10%またはそれを上回って低下する。
図33Bに図示されるように、TM偏光に関して、回折格子3000は、入射光をT+1次回折ビーム3324とT-1次回折ビーム3328との間で比較的均一に回折し、対応する回折効率は、α=0における15%を超える。
【0227】
本発明の種々の例示的実施形態が、本明細書で説明される。非限定的な意味で、これらの例が参照される。それらは、本発明のより広く適用可能な側面を例証するように提供される。種々の変更が、説明される本発明に行われてもよく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、均等物が代用され得る。
【0228】
例えば、有利には、複数の深度平面を横断して画像を提供する、ARディスプレイとともに利用されるが、本明細書に開示される拡張現実コンテンツはまた、単一深度平面上に、および/または仮想現実ディスプレイを用いて、画像を提供するシステムによって表示され得る。多重化された画像情報(例えば、異なる色の光)が導波管の中に導かれる、いくつかの実施形態では、複数のメタ表面、例えば、光の色毎にアクティブである1つのメタ表面が、導波管上に提供され得る。いくつかの実施形態では、メタ表面を形成する突出部のピッチもしくは周期性および/または幾何学的サイズは、メタ表面を横断して変動し得る。そのようなメタ表面は、光がメタ表面上に衝突する場所における幾何学形状およびピッチに応じて、異なる波長の光を向け直す際にアクティブであり得る。いくつかの他の実施形態では、メタ表面特徴の幾何学形状およびピッチは、偏向された光線が、類似波長のものであっても、異なる角度でメタ表面から離れるように伝搬するように、変動するように構成される。また、複数の分離されたメタ表面が、基板表面を横断して配置され得、メタ表面の各々は、いくつかの実施形態では、同一幾何学形状およびピッチを有する、またはメタ表面のうちの少なくとも一部は、いくつかの他の実施形態では、他のメタ表面と異なる幾何学形状および/またはピッチを有することを理解されたい。
【0229】
また、有利には、ウェアラブルディスプレイ等のディスプレイに適用されるが、メタ表面は、コンパクトで薄型の光再指向要素が所望される、種々の他のデバイスに適用され得る。例えば、金属表面が、概して、光学プレート(例えば、ガラスプレート)、光ファイバ、顕微鏡、センサ、腕時計、カメラ、および画像投影デバイスの光再指向部分を形成するために適用され得る。
【0230】
加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの行為またはステップを、本発明の目的、精神、または範囲に適合させるように、多くの修正が行われてもよい。さらに、当業者によって理解されるであろうように、本明細書に説明および図示される個々の変形例の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれらと組み合わせられ得る、個別的なコンポーネントおよび特徴を有する。全てのそのような修正は、本開示に関連付けられる請求項の範囲内であることを意図している。
【0231】
本発明は、本デバイスを使用して実施され得る方法を含む。本方法は、そのような好適なデバイスを提供する行為を含み得る。そのような提供は、ユーザによって実施され得る。換言すると、「提供する」行為は、本方法において必要デバイスを提供するために、取得する、アクセスする、接近する、位置付ける、設定する、アクティブ化する、電源投入する、または別様に作用するようにユーザに要求するにすぎない。本明細書に記載される方法は、論理的に可能である記載された事象の任意の順序で、ならびに事象の記載された順序で実行され得る。
【0232】
本発明の例示的側面が、材料選択および製造に関する詳細とともに、上記で記載されている。本発明の他の詳細に関して、これらは、上記の参照された特許および公開に関連して理解されるとともに、概して、当業者によって把握または理解され得る。同じことが、一般的または理論的に採用されるような追加の行為の観点から、本発明の方法ベースの側面に関して当てはまり得る。
【0233】
説明を容易にするために、特徴の相対的位置を示す種々の単語が、本明細書で使用される。例えば、種々の特徴は、他の特徴「の上に」、「にわたって」、その「側面に」、「より高く」、または「より低く」あるものとして説明され得る。相対的位置の他の単語も、使用され得る。相対的位置の全てのそのような単語は、全体として特徴によって形成される集約構造またはシステムが、説明目的のために、基準点としてある向きにあると仮定するが、使用時、構造は、並行に、反転されて、または任意の数の他の向きに位置付けられ得ることを理解されたい。
【0234】
加えて、本発明は、種々の特徴を随意に組み込む、いくつかの例を参照して説明されているが、本発明は、本発明の各変形例に関して考慮されるように説明または指示されるものに限定されるものではない。種々の変更が、説明される本発明に行われてもよく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、(本明細書に記載されるか、またはいくらか簡潔にするために含まれないかどうかにかかわらず)均等物が代用され得る。加えて、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定または介在値が、本発明内に包含されることを理解されたい。
【0235】
また、説明される発明の変形例の任意の随意的な特徴が、独立して、もしくは本明細書に説明される特徴のうちのいずれか1つ以上の特徴と組み合わせて、記載および請求され得ることが考慮される。単数形の項目の言及は、複数の同一項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書で、およびそれに関連付けられる請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」、および「the」は、特に別様に記述されない限り、複数の指示対象を含む。換言すると、冠詞の使用は、上記の説明ならびに本開示に関連付けられる請求項で、対象項目の「少なくとも1つ」を可能にする。さらに、そのような請求項は、任意の随意的な要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、請求項要素の記載に関連する「だけ」、「のみ」、および同等物等のそのような排他的用語の使用、または「否定的」限定の使用のための先行詞としての機能を果たすことを意図している。
【0236】
そのような排他的用語を使用することなく、本開示に関連付けられる請求項での用語「備えている」は、所与の数の要素がそのような請求項で列挙されるか、または特徴の追加がそのような請求項に記載される要素の性質を変換するものと見なされ得るかどうかにかかわらず、任意の追加の要素の包含を可能にするものとする。本明細書で特に定義される場合を除いて、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、請求項の有効性を維持しながら、可能な限り広義の一般的に理解されている意味を与えられるものである。
【0237】
本発明の範疇は、提供される例および/または本明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示に関連付けられる請求項の用語の範囲のみによって限定されるものとする。実際、本明細書に説明される新規装置、方法、およびシステムは、種々の他の形態において具現化され得る。さらに、本明細書に説明されるシステムおよび方法の形態における種々の省略、代用、および変更が、本開示の精神から逸脱することなく、行われてもよい。例えば、ブロックは、所与の配列で提示されるが、代替実施形態は、異なるコンポーネントおよび/または回路トポロジを伴う類似機能性を実施し得、いくつかのブロックは、削除される、移動される、追加される、細分割される、組み合わせられる、および/または修正され得る。これらのブロックの各々は、種々の異なる方法で実装され得る。上で説明される種々の実施形態の要素および行為の任意の好適な組み合わせが、組み合わせられ、さらなる実施形態を提供することができる。上で説明される種々の特徴およびプロセスは、互いから独立して実装され得る、または種々の方法で組み合わせられ得る。本開示の特徴の全ての好適な組み合わせおよび副次的組み合わせは、本開示の範囲内であることを意図している。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学システムであって、
前記光学システムは、ある波長を有する可視光を回折するように構成されたメタ表面を備え、前記メタ表面は、複数の反復ユニットセルを備え、各ユニットセルは、2~4組のナノビームから成り、
第1の組のナノビームが、1つ以上の第1のナノビームによって形成され、
第2の組のナノビームが、複数の第2のナノビームによって形成され、前記複数の第2のナノビームは、前記1つ以上の第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離されており、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
前記ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する、
光学システム。
(項目2)
前記1つ以上の第1のナノビームと前記第2のナノビームとは、互いに対してある角度で向けられ、前記1つ以上の第1のナノビームによって回折される可視光と前記第2のナノビームによって回折される可視光との間に位相差を生じさせる、項目1に記載の光学システム。
(項目3)
前記位相差は、前記角度の2倍である、項目1に記載の光学システム。
(項目4)
前記可視スペクトル内の前記波長は、青色光、緑色光、または赤色光に対応する、項目1に記載の光学システム。
(項目5)
前記1つ以上の第1のナノビームと前記第2のナノビームとは、互いに対して約90度回転された方位方向に向けられている、項目1に記載の光学システム。
(項目6)
前記第1のナノビームの各々は、同一幅を有する、項目1に記載の光学システム。
(項目7)
前記第2のナノビームの各々は、同一幅を有する、項目1に記載の光学システム。
(項目8)
前記第2のナノビームの各々内の前記第1のナノビームの各々は、前記第1および第2のナノビームのうちの個々のものの間に同一間隔を有する、項目1に記載の光学システム。
(項目9)
前記ユニットセルは、前記波長以下の周期で反復し、前記波長は、前記可視スペクトル内である、項目1に記載の光学システム。
(項目10)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、前記波長より小さい高さを有する、項目1に記載の光学システム。
(項目11)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、そのバルク屈折率が前記波長において2.0より高い材料から形成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目12)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、半導体材料または絶縁材料から形成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目13)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、シリコンを有する材料から形成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目14)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、多結晶性シリコン、非晶質シリコン、炭化ケイ素、および窒化ケイ素から成る群から選択される材料から形成されている、項目13に記載の光学システム。
(項目15)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、10%より大きい回折効率において、面法線平面に対して50度より大きい回折角で前記可視光を回折するように構成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目16)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、40度を超える入射角の範囲を有する入射光に対して前記回折効率において光を回折するように構成されている、項目15に記載の光学システム。
(項目17)
前記面法線平面は、前記第1の方位方向に延びている、項目16に記載の光学システム。
(項目18)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、透過モードで光を回折するように構成され、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームの光入射側と反対側における回折光の強度は、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームの前記光入射側と同じ側における回折光の強度と比較して、より大きい、項目17に記載の光学システム。
(項目19)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、反射モードで光を回折するように構成され、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームの光入射側と同じ側の回折光の強度は、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームの前記光入射側と反対側における回折光の強度と比較して、より大きい、項目17に記載の光学システム。
(項目20)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、基板上に形成され、そのバルク屈折率が前記基板の屈折率より少なくとも0.5大きい材料から形成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目21)
前記基板は、1.5より大きい屈折率を有する、項目20に記載の光学システム。
(項目22)
前記基板は、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームによって回折される光が、全内部反射のもとで前記第2の方向に伝搬するように構成されている、項目20に記載の光学システム。
(項目23)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、実質的に長方形の断面形状を有する、項目1に記載の光学システム。
(項目24)
前記1つ以上の第1のナノビームは、一対の第1のナノビームを備えている、項目1に記載の光学システム。
(項目25)
前記1つ以上の第1のナノビームは、前記第2のナノビームが隣接した複数の対の第1のナノビーム間に直接挿入されているように、前記一対のナノビームに直接隣接している、項目24に記載の光学システム。
(項目26)
前記1つ以上の第1のナノビームは、1つの第1のナノビームから成る、項目1に記載の光学システム。
(項目27)
前記第1の1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第3のナノビームによって形成された第3の組のナノビームをさらに備え、前記第3のナノビームは、前記1つ以上の第1のナノビームと前記第2のナノビームとの間に挿入されている、項目1に記載の光学システム。
(項目28)
前記第3のナノビームは、前記第3のナノビームが共終端するように、同一長さを有する、項目26に記載の光学システム。
(項目29)
前記第3のナノビームのうちの隣接するものは、前記第1の方位方向に一定空間によって分離されている、項目27に記載の光学システム。
(項目30)
前記1つ以上の第1のナノビームは、前記第1の方位方向において、複数の第3のナノビームに対応する距離に及んでいる、項目27に記載の光学システム。
(項目31)
前記第3のナノビームの各々は、同一幅を有し、前記第3のナノビームのうちの個々のものの間の間隔は、同一幅を有する、項目27に記載の光学システム。
(項目32)
前記第3のナノビームは、第3の方位方向に延び、前記第3の方位方向は、入射光の伝搬方向から見ると、前記1つ以上の第1のナノビームに対する前記第2のナノビームの反時計回り方向における最小回転角より小さい角度だけ、前記1つ以上の第1のナノビームに対して反時計回り方向に回転されている、項目27に記載の光学システム。
(項目33)
前記第1の1つ以上の第1のナノビーム、前記複数の第2のナノビーム、および前記複数の第3のナノビームに対して異なる向きに細長い複数の第4のナノビームによって形成された第4の組のナノビームをさらに備え、前記第4のナノビームは、前記第2の方位方向における前記第2のナノビームの前記第3のナノビームが配置されている側と反対の側上に配置されている、項目27に記載の光学システム。
(項目34)
前記第4のナノビームは、第4の方位方向に延び、前記第4の方位方向は、入射光の伝搬方向から見ると、前記1つ以上の第1のナノビームに対する前記第2のナノビームの反時計回り方向における最小回転角を上回る角度だけ、前記1つ以上の第1のナノビームに対して反時計回り方向に回転されている、項目33に記載の光学システム。
(項目35)
前記第4の方位方向および前記第3の方位方向は、互いに対して約90度回転されている、項目34に記載の光学システム。
(項目36)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、二重層を備え、前記二重層は、第1の屈折率を有する下側層と、前記第1の屈折率より低い第2の屈折率を有する上側層とを備えている、項目1に記載の光学システム。
(項目37)
前記上側層は、約2.0より低い屈折率を有する材料から形成されている、項目36に記載の光学システム。
(項目38)
前記上側層は、シリコンまたは炭素を含む、項目36に記載の光学システム。
(項目39)
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、透明スペーサ層内に埋設されている、項目1に記載の光学システム。
(項目40)
前記透明スペーサ層は、1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームのバルク材料の屈折率より小さい屈折率を有する、項目39に記載の光学システム。
(項目41)
金属反射層が、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームを覆って形成されている、項目1に記載の光学システム。
(項目42)
可視光を伝搬するように構成された導波管をさらに備え、前記導波管は、基板を備え、前記基板は、その上に前記メタ表面を有し、前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記第2のナノビームは、入射光の方向に対してある回折角で光を回折し、全内部反射のもとで前記回折光に前記基板内で伝搬させるように配列されている、項目1に記載の光学システム。
(項目43)
前記基板は、その屈折率が前記1つ以上のナノビームおよび前記第2のナノビームが形成された材料のバルク屈折率未満である材料から形成され、それによって、全内部反射のもとで前記回折光に前記基板内で伝搬させる、項目42に記載の導波管。
(項目44)
前記回折角は、50度を超える、項目42に記載の導波管。
(項目45)
前記基板は、その屈折率が前記1つ以上のナノビームおよび前記第2のナノビームが形成された前記材料のバルク屈折率より少なくとも0.5小さい、材料から形成されている、項目42に記載の導波管。
(項目46)
前記基板は、1.5より大きい屈折率を有する、項目42に記載の導波管。
(項目47)
前記光学システムは、光をユーザの眼に投影し、拡張現実画像コンテンツを表示するように構成された頭部搭載型ディスプレイデバイスであり、前記頭部搭載型ディスプレイデバイスは、
前記ユーザの頭部上に支持されるように構成されたフレームと、
前記フレーム上に配置されたディスプレイと
を備え、
前記ディスプレイの少なくとも一部は、
1つ以上の導波管であって、前記1つ以上の導波管は、透明であり、前記ユーザが前記頭部搭載型ディスプレイデバイスを装着すると、前記ユーザの眼の正面の場所に配置され、それによって、前記透明部分は、前記ユーザの正面の環境の一部からの光を前記ユーザの眼に伝送し、前記ユーザの正面の前記環境の前記一部のビューを提供する、1つ以上の導波管と、
1つ以上の光源と、
少なくとも1つの回折格子と
を備え、
前記少なくとも1つの回折格子は、前記光源からの光を前記1つ以上の導波管の中に結合すること、または光を前記1つ以上の導波管から外へ結合することを行うように構成され、前記回折格子は、メタ表面を備えている、項目1に記載の光学システム。
(項目48)
前記1つ以上の光源は、ファイバ走査プロジェクタを備えている、項目47に記載のデバイス。
(項目49)
前記ディスプレイは、画像コンテンツを複数の深度平面上でユーザに提示するように、光を前記ユーザの眼の中に投影するように構成されている、項目47に記載のデバイス。(項目50)
光学システムを製作する方法であって、前記方法は、
基板を提供することと、
前記基板上に複数のユニットセルを備えているメタ表面を形成することと
を含み、
前記ユニットセルは、2~4組のナノビームから成り、前記ユニットセルを形成することは、
1つ以上の第1のナノビームを備えている第1の組のナノビームを形成することと、
前記1つ以上の第1のナノビームに隣接した第2の組のナノビームを形成することと
を含み、
前記第2の組のナノビームは、サブ波長間隔によって互いから分離された複数の第2のナノビームを備え、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
前記ユニットセルは、約10nm~1μm以下の周期で反復する、方法。
(項目51)
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することおよび前記第2のナノビームを形成することは、前記第1および第2のナノビームをリソグラフィによって画定することを含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することおよび前記第2のナノビームを形成することは、前記第1および第2のナノビームをナノインプリントによって形成することを含む、項目50に記載の方法。
(項目53)
前記1つ以上の第1のナノビームを形成することと、前記第2のナノビームを形成することとは、同時に実施される、項目50に記載の方法。
(項目54)
前記1つ以上の第1のナノビームは、同一幅を有する、項目50に記載の方法。
(項目55)
各ユニットセルの前記第2のナノビームは、同一幅を有する、項目50に記載の方法。(項目56)
前記ユニットセルは、前記可視スペクトル内の波長以下の周期を有する、項目50に記載の方法。
(項目57)
光学システムであって、
前記光学システムは、ある波長を有する可視光を回折するように構成されたメタ表面を備え、前記メタ表面は、複数の反復ユニットセルを備え、
各ユニットセルは、
1つ以上の第1のナノビームによって形成された第1の組のナノビームと、
複数の第2のナノビームによって形成された第2の組のナノビームと
を備え、
前記複数の第2のナノビームは、前記1つ以上の第1のナノビームに隣接して配置され、サブ波長間隔によって互いから分離されており、
前記1つ以上の第1のナノビームおよび前記複数の第2のナノビームは、異なる方位方向に細長く、
前記ユニットセルは、前記波長以下の周期で反復する、
光学システム。
(項目58)
前記波長の光を前記メタ表面に放出するように構成された光源をさらに備えている、項目57に記載の光学システム。
(項目59)
前記光源からの光を変調し、前記変調された光を前記メタ表面に出力するように構成された空間光変調器をさらに備えている、項目58に記載の光学システム。
(項目60)
前記波長は、青色光、緑色光、または赤色光に対応する、項目57に記載の光学システム。