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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20241002BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241002BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241002BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/50
H01L33/62
H01L33/54
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023148722
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2023520519の分割
【原出願日】2022-07-08
(65)【公開番号】P2023169275
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021113809
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清一
(72)【発明者】
【氏名】橘田 芳仁
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 克弥
(72)【発明者】
【氏名】松浦 稜
(72)【発明者】
【氏名】上野 洸己
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-209602(JP,A)
【文献】特開2020-120118(JP,A)
【文献】特開2014-138185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上面に配置されたLEDと、
前記LEDを囲むように前記基板の上面に配置され、前記LEDからの光を反射する枠体と、
前記枠体の内側に配置され、前記LEDから出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、前記LEDを封止する単一の層である封止材と、を有し、
前記枠体は、前記基板上に配置され、前記LED側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、前記第1枠部上に配置され、前記LED側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部と、を少なくとも有し、
前記枠体は、樹脂及び酸化チタンの微粒子を含む白色樹脂であり、
前記LEDは、青色LED、紫色LED又は近紫外LEDであり、
前記基板は、前記LEDに電気的に接続される第1配線及び第2配線が前記基板の第1方向に沿って配列され、
前記基板の第1方向の両端に配置される前記枠体の幅は、前記基板の前記第1方向に直交する第2方向の両端に配置される前記枠体の幅より広い、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の上面に配置されたLEDと、
前記LEDを囲むように前記基板の上面に配置され、前記LEDからの光を反射する枠体と、
前記枠体の内側に配置され、前記LEDから出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、前記LEDを封止する単一の層である封止材と、を有し、
前記枠体は、前記基板上に配置され、前記LED側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、前記第1枠部上に配置され、前記LED側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部と、を少なくとも有し、
前記枠体は、樹脂及び酸化チタンの微粒子を含む白色樹脂であり、
前記LEDは、青色LED、紫色LED又は近紫外LEDであり、
前記基板は、前記LEDに電気的に接続される第1配線及び第2配線が前記基板の第1方向に沿って配列され、
前記基板の第1方向に配置される前記第1枠部の先端と前記LEDとの間の離隔距離は、前記第1方向に直交する第2方向に配置される前記第1枠部の先端と前記LEDとの間の離隔距離よりも長い、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板の上面に配置されたLEDと、
前記LEDを囲むように前記基板の上面に配置され、前記LEDからの光を反射する枠体と、
前記枠体の内側に配置され、前記LEDから出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、前記LEDを封止する単一の層である封止材と、を有し、
前記枠体は、前記基板上に配置され、前記LED側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、前記第1枠部上に配置され、前記LED側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部と、を少なくとも有し、
前記枠体は、樹脂及び酸化チタンの微粒子を含む白色樹脂であり、
前記LEDは、青色LED、紫色LED又は近紫外LEDであり、
前記基板は、前記LEDに電気的に接続される第1配線及び第2配線が前記基板の第1方向に沿って配列され、
前記基板の前記第1方向に直交する第2方向において、対向する一対の前記第1枠部の先端と前記基板の端部との間の離隔距離を加算した長さは、対向する一対の前記第1枠部の先端と前記LEDとの間の離隔距離を加算した長さよりも長い、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項4】
基板と、
前記基板の上面に配置されたLEDと、
前記LEDを囲むように前記基板の上面に配置され、前記LEDからの光を反射する枠体と、
前記枠体の内側に配置され、前記LEDから出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、前記LEDを封止する単一の層である封止材と、を有し、
前記枠体は、前記基板上に配置され、前記LED側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、前記第1枠部上に配置され、前記LED側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部と、を少なくとも有し、
前記枠体は、樹脂及び酸化チタンの微粒子を含む白色樹脂であり、
前記LEDは、青色LED、紫色LED又は近紫外LEDであり、
前記基板は、前記LEDに電気的に接続される第1配線及び第2配線が前記基板の第1方向に沿って配列され、
前記第1方向において対向する一対の前記第1枠部のそれぞれの先端、及び前記第1方向に直交する第2方向において対向する一対の前記第1枠部のそれぞれの先端と前記LEDとの間の離隔距離は、互いに相違する、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項5】
前記第1配線は、前記LEDからの光を反射する導電性材料で形成され、
前記LEDは、前記第1配線の上面に配置され、
前記第1枠部は、前記第1配線の外周部を被覆する、
請求項1~4の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子と、発光素子に電力を供給するための電極及び配線とを実装し、パッケージ化した発光装置が知られている。このような発光装置において、発光素子からの光の取出し効率を向上させることが求められている。
【0003】
特開2008-41290号公報には、発光素子を囲むように、発光素子からの光を反射する枠体を基板上に複数段重ねるように配置した発光装置において、発光素子から側方に出射された光が枠体で反射されて、発光装置の外部に取り出されることが記載されている。
【発明の概要】
【0004】
発光装置の発光面からは、できるだけ一様で可能な限り多くの光が出射される事が望ましい。そのために発光装置に枠体を設けた場合、発光素子から出射された光の一部は枠体で反射されるが、枠体が一様な面のみを有する場合、反射方向が制限されて、光の取出し効率が下がる可能性がある。
【0005】
そこで、特開2008-41290号公報に記載されるように、枠体を複数の曲面で構成することが考えられる。しかしながら、LED等の発光素子から出射される光の多くは、その上面付近から出射される。したがって、発光素子の上面と略同一の高さにおける枠体の反射面が、一様な面のみで構成されると、枠体の反射面が複数の曲面で構成されていても、光の取出し効率を大きく向上させることはできなかった。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、枠体を複数の曲面で構成した上で、曲面と曲面との接続部を、発光素子の上面と略同一の高さに配置することで、光の取出し効率を向上させることを可能とする発光装置を提供することを目的とする。
【0007】
本開示に係る発光装置は、基板と、基板の上面に配置された発光素子と、発光素子を囲むように基板の上面に配置され、発光素子からの光を反射する枠体と、枠体の内側に配置され、発光素子から出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、発光素子を封止する封止材と、を有し、枠体は、発光素子側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、第2内周曲面を有する第2枠部と、を有し、第1枠部と第2枠部との接続部は、発光素子の上面と同一の高さとなるように配置されている、ことを特徴とする。
【0008】
また、本開示に係る発光装置において、接続部における第1内周曲面の傾斜角は、接続部における第2内周曲面の傾斜角よりも小さい、ことが好ましい。
【0009】
また、本開示に係る発光装置において、接続部の基板の表面からの高さと発光素子の上面の基板の表面からの高さとの差は、発光素子の上面の基板の表面からの高さの±10%以下である、ことが好ましい。
【0010】
また、本開示に係る発光装置において、発光素子から接続部までの距離は、300μm以下である、ことが好ましい。
【0011】
また、本開示に係る発光装置において、発光素子から接続部までの距離に対する、第2枠部の高さの比は、0.2以上且つ1.5以下である、ことが好ましい。
【0012】
また、本開示に係る発光装置において、第2枠部は、第1枠部よりも厚く形成され、第1枠部の上部及び外周面を被覆する、ことが好ましい。
【0013】
また、本開示に係る発光装置において、第1枠部及び第2枠部は、樹脂及び酸化チタンを含み、第1枠部及び第2枠部において、樹脂を基準とする酸化チタンの含有量は30phr以上且つ130phr以下である、ことが好ましい。
【0014】
また、本開示に係る発光装置は、基板の上面において枠体に囲まれるように配置され、発光素子からの光を反射する導電性の配線パターンをさらに有し、発光素子は、配線パターンの上面に配置され、枠体は、配線パターンの外周部を被覆する、ことが好ましい。
【0015】
また、本開示に係る発光装置において、基板は、矩形の平面形状を有すると共に、発光素子に電気的に接続される第1配線及び第2配線が基板の長手方向に沿って配列され、基板の長手方向の両端に配置される枠体の幅は、基板の短手方向の両端に配置される枠体の幅より広く、封止材の上面は、正方形状の平面形状を有する、ことが好ましい。
【0016】
また、本開示に係る発光装置において、基板の長手方向に配置される第1枠部の先端と発光素子との間の離隔距離は、基板の短手方向に配置される第1枠部の先端と発光素子との間の離隔距離よりも長い、ことが好ましい。
【0017】
また、本開示に係る発光装置において、基板の短手方向において、対向する一対の第1枠部の先端と基板の端部との間の離隔距離を加算した長さは、対向する一対の第1枠部の先端と発光素子との間の離隔距離を加算した長さよりも長い、ことが好ましい。
【0018】
また、本開示に係る発光装置は、凹部が形成された配線パターンが上面に配置される基板と、基板の上面に配置された発光素子と、発光素子を囲むように基板の上面に配置される枠体と、枠体の内側に配置され、発光素子から出射された光の波長を変換した光を出射する蛍光体を含み、且つ、発光素子を封止する封止材と、を有し、枠体は、発光素子側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部と、第2内周曲面を有する第2枠部と、を少なくとも有し、第1枠部と第2枠部との接続部は、発光素子の上面と同一の高さとなるように配置され、基板は、矩形の平面形状を有すると共に、発光素子に電気的に接続される第1配線及び第2配線が基板の長手方向に沿って配列され、基板の長手方向の両端に配置される枠体の幅は、基板の短手方向の両端に配置される枠体の幅より広く、基板の長手方向に配置される一対の第1枠部は、凹部を覆うように配置される。
【0019】
本開示に係る発光装置は、光の取出し効率を向上させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る発光装置の平面図である。
図2図1に示す発光装置の断面図(その1)である。
図3図1に示す発光装置の断面図(その2)である。
図4図2に示す接続部の高さと発光素子の上面の高さとの関係について説明するための図である。
図5図2に示す接続部の高さと図1に示す発光装置の外部に出射される光の強度との関係を示す図である。
図6図1に示す発光素子から接続部までの距離について説明するための図である。
図7図2に示す第2枠部の高さについて説明するための図である。
図8図2に示す第2枠部の高さと図1に示す発光装置の外部に出射される光の強度との関係を示す図である。
図9図2に示す接続部における第1内周曲面と第2内周曲面との関係について説明するための図である。
図10】第1内周曲面と第2内周曲面との関係について説明するための図である。
図11】(A)は図1に示す発光装置の色度均一性を示す図であり、(B)は比較例の色度均一性を示す図である。
図12図1に示す発光装置の製造方法の流れの例を示すフロー図である。
図13図1に示す発光装置の製造方法の各工程について説明するための模式図である。
図14図1に示す枠体における酸化チタンの含有量について説明するための図である。
図15】第2実施形態に係る発光装置の平面図である。
図16図15に示す発光装置の断面図である。
図17】第3実施形態に係る発光装置の平面図である。
図18図17に示す発光装置の断面図である(その1)。
図19図17に示す発光装置の断面図である(その2)。
図20】第4実施形態に係る発光装置の断面図である。
図21】第5実施形態に係る発光装置の平面図である。
図22図21に示す発光装置の断面図である。
図23】第6実施形態に係る発光装置の平面図である。
図24図23に示す発光装置の断面図である。
図25】第7実施形態に係る発光装置の平面図(その1)である。
図26図25に示す発光装置の断面図(その2)である。
図27】第8実施形態に係る発光装置の平面図である。
図28図27に示す発光装置の断面図(その1)である。
図29図27に示す発光装置の断面図(その2)である。
図30】第9実施形態に係る発光装置の平面図である。
図31図30に示す発光装置の断面図(その1)である。
図32図30に示す発光装置の断面図(その2)である。
図33】実施形態に係る発光装置における短手方向の好ましい配置を説明するための図である。
図34】(a)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その1)であり、(b)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その2)であり、(c)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その3)であり、(d)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その4)であり、(e)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その5)であり、(f)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その6)であり、(g)は第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図(その7)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本開示の様々な実施形態について説明する。本開示の技術的範囲は、これらの実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0022】
図1は第1実施形態に係る発光装置の平面図であり、図2及び図3は発光装置1の断面図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図であり、図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。なお、以降では、図2及び図3における上側を発光装置1の上方と称し、下側を発光装置1の下方と称することがある。
【0023】
発光装置1は、基板11、配線パターン12、電極13、単一の発光素子14、枠体15及び封止材16を有する。
【0024】
基板11は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の電気絶縁性の樹脂により矩形の平板状に形成される。基板11の厚さは、例えば200μmである。
【0025】
配線パターン12は、基板11の上面に相互に離隔して設けられる平板状の第1配線121及び第2配線122を有する。第1配線121及び第2配線122は、矩形の平面形状を有し、銀で形成される。第1配線121及び第2配線122は、ワイヤボンディング処理によって、発光素子14との間と電気的な接続可能なボンディングワイヤが配置可能な面積を有する。また、第1配線121と第2配線122との間の離隔距離は、絶縁距離以上の長さを有する。第1配線121及び第2配線122がボンディングワイヤが配置可能な面積を確保し且つ第1配線121と第2配線122との間を絶縁距離以上離隔することで、基板11は、第1配線121及び第2配線122の配列方向を長手方向とする矩形の平面形状を有する。図1及に示す例では、第1配線121及び第2配線122は、基板11の長手方向に沿って並べて配列されている。第1配線121及び第2配線122の厚さは、例えば、50μmである。なお、配線パターン12は、金、銅又はアルミニウムを含む、発光素子14からの光を反射する他の導電性を有する材料で形成されてもよい。
【0026】
電極13は、基板11の下面に相互に離隔して設けられる第1電極131及び第2電極132を有する。第1電極131及び第2電極132は、金又は銅等の導電体で形成される。第1電極131は、基板11を上下に貫通する貫通孔(図1では破線で図示)を介して第1配線121と電気的に接続される。同様に、第2電極132は、基板11を上下に貫通する貫通孔(図1では破線で図示)を介して第2配線122と電気的に接続される。第1電極131及び第2電極132は、図示しない外部電源と接続され、配線パターン12を介して発光素子14に電力を供給するために用いられる。
【0027】
発光素子14は、図1図3に示すように、第2配線122の上面に、銀ペーストやはんだ等のダイボンドにより固着される。発光素子14は、例えば、440-455nmの波長の光を発する、InGaN系化合物半導体からなる青色LEDである。発光素子14の上面141には一対の素子電極が設けられ、第1の素子電極はボンディングワイヤ17を介して第1配線121と接続され、第2の素子電極はボンディングワイヤ18を介して第2配線122と接続される。
【0028】
発光素子14は、例えば、縦横の各辺が650μm、高さが260μmの略直方体形状を有する。発光素子14は、第1配線121と第2配線122との間に、外部電源から電流が供給されることに応じて発光する。発光素子14は、青色LEDに限らず、例えば紫色LEDまたは近紫外LEDであってもよく、その発光波長帯域は、紫外域を含む200-440nm程度の範囲内であってもよい。
【0029】
枠体15は、発光素子14並びに第1配線121及び第2配線122を囲むように、基板11の上面に、基板11の外周に沿って矩形状に配置される。枠体15は、シリコン樹脂又はエポキシ樹脂等の樹脂に酸化チタン(TiO)の微粒子を分散させることにより形成される白色樹脂であり、発光素子14からの光を反射する。
【0030】
枠体15は、発光素子14側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部151と、第1枠部151の上部に接続し、発光素子14側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部152とを有する。すなわち、枠体15は、第1枠部151の上に第2枠部152が積み重ねられた形状を有する。第1枠部151と第2枠部152との接続部153は、発光素子14の上面141と同一の高さとなるように配置されている。接続部153の基板11の表面からの高さが発光素子14の上面141の基板11の表面からの高さの±10%以下であるとき、接続部153の高さと発光素子14の上面141とは同一であるとされる。図2及び図3に示す例では、第1内周曲面及び第2内周曲面は、それぞれが上方に凸となる断面形状を有している。
【0031】
また、第2枠部152の横方向の幅は、第1枠部151の横方向の幅よりも小さい。すなわち、第2枠部152は、第1枠部151よりも薄く形成されている。第2枠部152を第1枠部151よりも薄く形成することにより、発光装置1の発光面積(封止材16の上面の面積をいう。)が大きくなり、発光装置1の光の取出し効率が向上する。
【0032】
封止材16は、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の透光性の樹脂である。封止材16は、枠体15によって囲まれる領域に、少なくとも発光素子14の上面141が露出しない高さまで充填されることにより、発光素子14を封止する。封止材16には、発光素子14からの光の波長を変換する蛍光体が混入されている。封止材16には、このような蛍光体として、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの黄色蛍光体が混入される。発光装置1は、青色LEDである発光素子14からの青色光と、青色光が黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とが混合されることで得られる白色光を出射する。なお、図1図3では、封止材16が透明であるものとして図示されており、以降も同様とする。
【0033】
前述した黄色蛍光体は一例であって、封止材16は、他の蛍光体を含有してもよい。例えば、封止材16は、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類を含有してもよい。この場合、発光装置1は、青色LEDである発光素子14からの青色光と、それによって緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。緑色蛍光体としては、発光素子14が出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、(BaSr)SiO:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。赤色蛍光体としては、発光素子14が出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、CaAlSiN:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。
【0034】
前述した緑色蛍光体及び赤色蛍光体は一例であって、封止材16は、前述した黄色蛍光体に少量の緑色蛍光体や少量の赤色蛍光体を添加しても良い。この場合、発光装置1は、青色LEDである発光素子14からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とが混合されることで得られる白色光を基本とし、同じく励起された緑色光や赤色光も混合されることで、前述の組み合わせほどではないが、演色性を高めた白色光を出射することができる。
【0035】
図3に示すように、発光素子14から上方に出射された光L1は、封止材16を透過して発光装置1の外部に出射される。発光素子14の上面141の近傍から側方に出射された光L2は、枠体15の接続部153の近傍に到達する。接続部153において、第1枠部151の内周面の傾斜角が小さいため、第1枠部151において光L2は上方に反射され、発光装置1の外部に出射される。仮に、接続部153における枠体15の内周面の傾斜角が大きい場合、発光素子14から側方に出射された光は上方ではなく対向する枠体15の方向に反射され、対向する枠体15の間で複数回の反射を繰り返しながら発光装置1の外部に出射される。この場合、複数回の反射により光が大きく減衰するため、発光装置1としての光の取出し効率が低下する。枠体15において、接続部153における第1枠部151の内周面の傾斜角が小さく形成されることにより、発光素子14から側方に出射された光が一回の反射で発光装置1の外部に出射されるため、光の取出し効率が向上する。
【0036】
また、発光素子14から側方に出射される光の多くは、発光素子14の上面141の近傍から出射される。枠体15において、接続部153が発光素子14の上面141と同一の高さに位置することにより、発光素子14から側方に出射される光の多くが一回の反射で発光装置1の外部に出射されるため、光の取出し効率がより向上する。
【0037】
図4は、接続部153の高さと発光素子14の上面141の高さとの関係について説明するための図である。図4は、図3と同様の断面における断面図である。接続部153の高さとは、図4に示すように、配線パターン12の上面に対する接続部153の高さH1をいう。発光素子14の上面141の高さとは、図4に示すように、配線パターン12の上面に対する発光素子14の上面141の高さH2をいう。
【0038】
図5は、接続部153の高さと発光装置1の外部に出射される光の強度との関係を示す図である。図5のグラフにおいて、横軸は接続部153の配線パターン12の上面に対する高さH1であり、縦軸は発光装置1の外部に出射される光の強度比率Rである。強度比率Rは、接続部153の高さH2が0μmの場合(すなわち、接続部153の高さが配線パターン12の上面の高さと等しい場合)において発光装置1の外部に出射される光の強度を100%とした場合の強度比率である。なお、図5のグラフに示されるデータは、発光素子14の上面141の高さH2を260μm、枠体15の高さを460μmとして取得されたものである。また、図5には、発光素子14の上面141の高さH2及び枠体15の高さが一点鎖線により示されている。
【0039】
図5に示すように、高さH1が概ね110μm以上且つ410μm以下の範囲において、強度比率Rが102%以上となっている。すなわち、接続部153の高さH1と発光素子14の上面141の高さH2との差が150μm以下の範囲において、発光装置1の外部に出射される光の強度が2%以上大きくなっており、光の取出し効率が向上している。
【0040】
また、高さH1が概ね230μm以上且つ290μm以下の範囲において、高さH1が概ね110μm以上且つ410μm以下の範囲よりも強度比率Rが更に向上している。すなわち、接続部153の高さH1と発光素子14の上面141の高さH2との差が接続部153の高さH1の±10%の範囲において、発光装置1の外部に出射される光の強度が更に大きくなっており、光の取出し効率が更に向上している。
【0041】
図6は、発光素子14から接続部153までの距離について説明するための図である。図6は、図3と同様の断面における断面図である。発光素子14から接続部153までの距離Dとは、図6に示すように、発光素子14の枠体15に対向する側面と接続部153との間の水平方向における距離をいう。距離Dは、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。発光素子14から接続部153までの距離Dが小さいほど、発光素子14から側方に出射された光が接続部153に到達するまでの減衰量が小さくなるため、発光装置1の外部に出射される光の強度が大きくなり、光の取出し効率がより向上する。なお、図1図3に示す例では、発光素子14は、枠体15の中央に配置されているが、このような例に限られない。発光素子14は、発光素子14の四つの側面のうち少なくとも一つの側面と、その側面に対向する枠体15との距離Dが300μm以下となるように、枠体15の内側の任意の位置に配置されてもよい。
【0042】
また、発光素子14から接続部153までの距離Dが300μm以下とされることにより、封止材16が充填される領域が小さくなるため、樹脂及び蛍光体の必要量が低減され、製造コストを抑えることができる。
【0043】
図7は、第2枠部152の高さについて説明するための図である。図7は、図3と同様の断面における断面図である。第2枠部152の高さとは、接続部153の高さに対する第2枠部152の頂部の高さH3をいう。
【0044】
図8は、第2枠部152の高さと発光装置1の外部に出射される光の強度との関係を示す図である。図8のグラフにおいて、横軸は発光素子14から接続部153までの距離Dに対する第2枠部153の高さの比H3/Dであり、縦軸は発光装置1の外部に出射される光の強度比率Rである。図8に示すデータは、発光素子14から接続までの距離Dを150μmから400μmの範囲で変化させるとともに、第2枠部152の高さを適宜変化させて取得されたものである。強度比率Rは、上述の手法で取得されたデータのうち、光の強度が最も大きいものを100%とした場合の光の強度の比率である。
【0045】
図8に示すように、H3/Dが0.8のときに強度比率Rが最大となり、H3/Dが大きくなるに伴い強度比率Rが低下する。また、H3/Dが1.5よりも大きい場合、強度比率Rは95%を下回っている。したがって、H3/Dを1.5以下にすることによって、光の取出し効率が向上するまた、第2枠部153の高さH3が低い場合、発光素子の上面と封止材16の上面が接近し、封止材16の蛍光体が十分に励起されず、白色光が得られなくなるおそれがある。したがって、H3/Dを0.2以上とすることが好ましい。
【0046】
図9は、接続部153における第1内周曲面と第2内周曲面との関係について説明するための図である。図9に示す傾斜角θ1は、接続部153における第1内周曲面の傾斜角、すなわち、接続部153において第1枠部151の内周曲面に接する接平面と基板11とがなす角である。また、傾斜角θ2は、接続部153における第2内周曲面の傾斜角、すなわち、接続部153において第2枠部152の内周曲面に接する接平面と基板11とがなす角である。
【0047】
図9に示すように、傾斜角θ1は、傾斜角θ2よりも小さい。すなわち、接続部153の下側は、接続部153の上側よりも傾斜が緩やかである。接続部153の下側の傾斜を接続部153の上側の傾斜よりも緩やかにすることにより、発光素子14の上面141から接続部153の下側に向かって出射された光が上方に反射されやすくなり、発光装置1の光の取出し効率がより向上する。
【0048】
図10は、第1内周曲面と第2内周曲面との関係について説明するための図である。図10に示す傾斜角θは、第1枠部151の内周曲面と第2枠部152の内周曲面とに接する接平面の傾斜角、すなわち、第1枠部151の内周曲面と接点P1で接し且つ第2枠部152の内周曲面と接点P2で接する平面と基板11とがなす角である。第1枠部151の内周曲面と第2枠部152の内周曲面とに接する接平面の傾斜角θは、40度以上且つ50度以下であることが好ましく、45度であることがより好ましい。接平面の傾斜角θを40度以上且つ50度以下にすることにより、発光素子14から水平方向に出射される光の多くが枠体15において鉛直上方に反射されるため、発光装置1の光の取出し効率が改善するとともに、発光装置1から外部に出射される光束の広がりが抑えられ、発光装置1の光学特性が改善する。
【0049】
図11(A)は、発光装置1における色度均一性を示す図であり、図11(B)は、比較例における色度均一性を示す図である。比較例は、発光装置1において、枠体15の内周面を発光素子14の側に突出した内周曲面に代えて鉛直面としたものである。また、図11(A)及び(B)に示すグラフにおいて、横軸は短手断面(例えば、図1のIII-III線に沿う断面をいう)における光の出射方向の鉛直上方に対する角度であり、縦軸は鉛直上方に出射された光との色度差を示す。色度差は、CIE XYZ色空間における色度xの差である。
【0050】
図11(B)においては、出射角度が大きくなるにつれて色度差が増加している。すなわち、図11(B)は、比較例においてイエローリングが発生していることを示す。これに対し、図11(A)においては、出射角度が-40度から+40度までの範囲において色度がほぼ一様であり、-80度又は+80度においても色度差は比較例に対して5分の1以下である。すなわち、図11(A)は、発光装置1においてイエローリングが抑制され、色むらのない光が出射されていることを示す。
【0051】
比較例においては、発光素子14から斜め方向に出射された光は、鉛直上方に出射された光よりも、封止材16の内部における光路長が長くなる。したがって、斜め方向に出射された光は封止材16から出射されるまでにより多くの蛍光体を励起し、鉛直上方に出射された光よりも黄色がかった色となるため、イエローリングが発生する。これに対し、発光装置1においては、発光素子14から斜め方向に出射された光の一部は、枠体15の内周曲面において上方に反射される。したがって、黄色がかった光の出射方向が全体として均一化されるため、イエローリングが抑制される。
【0052】
図12は、発光装置1の製造方法の流れの例を示すフロー図であり、図13は、発光装置1の製造方法の各工程について説明するための模式図である。以下では、一個の発光装置1を製造するための製造方法が説明されるが、以下に説明される製造方法により複数の発光装置1が同時に製造されてもよい。
【0053】
最初に、基板・配線準備工程において、図13(A)に示すように、あらかじめ配線パターン12及び電極13が配置された基板11が準備される(ステップS101)。配線パターン12及び電極13は、例えば、無電解銀めっきにより基板11の上面及び下面の所定の位置にそれぞれ配置され、相互に電気的に接続される。
【0054】
発光素子配置工程において、図13(B)に示すように、第2配線122の上面に発光素子14が配置される(ステップS102)。また、発光素子配置工程において、ボンディングワイヤ17が発光素子14の第1の素子電極と第1配線121とを接続するように配置され、ボンディングワイヤ18が発光素子14の第2の素子電極と第2配線122とを接続するように配置される。
【0055】
次に、枠体配置工程において、図13(C)に示すように、基板11の上面に、配線パターン12及び発光素子14を囲むように枠体15が配置される(ステップS103)。まず、シリコン樹脂等の熱硬化性の樹脂液滴に酸化チタンの微粒子が分散されることにより、酸化チタンが含有される白色の樹脂液滴が準備される。続いて、基板11の上面に、配線パターン12を囲むように白色の樹脂液滴が塗布され、塗布された樹脂液滴を加熱して硬化させることにより、第1枠部151が形成される。このとき、第1枠部151の内周面は、樹脂液滴の表面張力により曲面となる。第1枠部151が硬化している間、又は硬化した後に、第1枠部151の上面を押圧することにより、第1枠部151の上面が平坦に形成される。
【0056】
続いて、平坦に形成された第1枠部151の上面に白色の樹脂液滴がさらに塗布され、塗布された樹脂液滴を加熱して硬化させることにより、第2枠部152が形成される。このとき、第2枠部152の内周面は、樹脂液滴の表面張力により曲面となる。また、第1枠部151の上面が平坦に形成されているため、樹脂液滴が第1枠部151の側面に沿って流れ落ちることが防止される。第2枠部152が硬化している間、又は硬化した後に、第2枠部152の上面を押圧することにより、第2枠部152の上面が平坦に形成される。このようにして、基板11の上面に枠体15が配置される。枠体15において、接続部153を形成するために成形加工や切削加工をする必要がないため、枠体15は簡易に製造可能である。
【0057】
図14は、枠体15における酸化チタンの含有量について説明するための図である。図14のグラフにおいて、横軸は、枠体15における樹脂を基準とする酸化チタンの含有量mを、樹脂の質量100に対する酸化チタンの質量として示したものであり、縦軸は、枠体15の反射率Sである。また、図14には、枠体15の厚さが40μmの場合のデータが実線で、厚さが60μmの場合のデータが破線で、厚さが100μmの場合のデータが一点鎖線でそれぞれ図示されている。
【0058】
図14に示すように、何れの厚さの場合も、酸化チタンの含有量mが0phr(すなわち、樹脂単体)のときに枠体15の反射率Sは10%未満となっており、含有量mが30phrのときには反射率Sは概ね80%以上となっている。他方で、酸化チタンの含有量を30phrから130phrまで増加させた場合の反射率Sの増加量は10%未満となっている。また、図示しないが、酸化チタンの含有量mを130phrよりも増加させた場合には、有意な反射率の増加は確認されなかった。したがって、枠体15の反射率を向上させるため、枠体15において、樹脂を基準とする酸化チタンの含有量mは、30phr以上且つ130phr以下であることが好ましい。
【0059】
なお、上述したように第1枠部151及び第2枠部152が樹脂液滴を基板11の上面に塗布することにより形成される場合、各枠部の幅と高さとの比は、樹脂液滴の粘性により定まる。したがって、図10に示した傾斜角θも概ね樹脂液滴の粘性により定まる。そして、樹脂液滴の粘性は、酸化チタンの含有量に応じて変化する。樹脂としてシリコン樹脂を用いた場合、酸化チタンの含有量を60phrとすると、枠体15の幅と高さとの比が概ね2:1となり、傾斜角θが40度以上50度以下となるためより好ましい。
【0060】
図12及び図13に戻り、封止材充填工程において、図13(D)に示すように、枠体15によって囲まれる領域に、発光素子14の上面141が露出しない高さまで封止材16が充填される(ステップS104)。
【0061】
最後に、ダイシング工程において、図13(E)に示すように、枠体15に沿って枠体15及び基板11が矩形状に切断されることにより、発光装置1が製造される(ステップS105)。このとき、第2枠部152の上面が平坦に形成されているため、切断位置がずれた場合でも、それが切断後の枠体15の高さに影響することはなく、均一な品質の発光装置1が製造される。
【0062】
以上説明したように、発光装置1は、基板11の上面に配置された発光素子14と、発光素子14を囲むように基板11の上面に配置され、発光素子14からの光を反射する枠体15とを有する。また、枠体15において、発光素子側に突出する第1内周曲面を有する第1枠部151と、第1枠部151の上部に接続し、発光素子側に突出する第2内周曲面を有する第2枠部152との接続部153は発光素子14の上面141と同一の高さに位置する。の接続部153の高さを発光素子14の上面141の高さと同一にすることにより、発光装置1は、光の取出し効率を向上させることを可能とする。
【0063】
また、発光装置1において、接続部153における第1内周曲面の傾斜角は、接続部153における第2内周曲面の傾斜角よりも小さいので、発光装置1は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0064】
また、発光装置1において、接続部153の高さと発光素子14の上面141の高さとの差は、100μm以下であることが好ましい。接続部153の高さと発光素子14の上面141の高さとの差を100μm以下にすることにより、発光素子14から側方に出射された光の多くが一回の反射で発光装置1の外部に出射されるため、発光装置1は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0065】
また、発光装置1は、接続部153の高さH1と発光素子14の上面141の高さH2との差を接続部153の高さH1の±10%以下とすることで、光の取出し効率を更に向上させることを可能とする。
【0066】
また、発光装置1において、発光素子14から接続部153までの距離は、300μm以下であることが好ましい。発光素子14から接続部153までの距離を300μm以下にすることにより、発光素子14から側方に出射された光が発光装置1の外部に出射されるまでの光路長が短くなるため、発光装置1は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0067】
また、発光装置1において、第1枠部151の内周面と第2枠部152の内周面とに接する接平面の傾斜角は、40度以上50度以下であることが好ましい。接平面の傾斜角を40度以上50度以下にすることにより、発光装置1から側方に出射された光が反射により発光装置1の上方に向かいやすくなるため、発光装置1は、光の取出し効率を向上させるとともに、光学特性を改善することを可能とする。
【0068】
また、発光装置1において、枠体15は樹脂及び酸化チタンを含み、樹脂に対する酸化チタンの含有量は30phr以上且つ130phr以下である。樹脂に対する酸化チタンの含有量を30phr以上且つ130phr以下にすることにより、枠体15の反射率が向上するため、発光装置1は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0069】
また、発光装置1において、第2枠部152は、第1枠部151よりも薄く形成されている。第2枠部152を第1枠部151よりも薄く形成することにより、発光装置1の発光面積が大きくなるため、発光装置1は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0070】
上述した説明では、枠体15は第1枠部151と第2枠部152とを有するものとしたが、さらに第2枠部152の上部に接続する第3枠部を有してもよい。この場合、第1枠部151と第2枠部152との接続部153と、第2枠部152と第3枠部との接続部との何れか一方が発光素子14の上面141と同一の高さに配置されればよい。また、枠体15は、四つ以上の枠部が積み重ねられた形状を有してもよい。すなわち、枠体15は、少なくとも第1枠部151と第2枠部152とを有していればよい。
【0071】
上述した説明では、発光素子14は、第2配線122の上面に配置されるものとしたが、第1配線121の上面に配置されるものとしてもよい。また、発光素子14は、基板11の上面に直接に配置されるものとしてもよい。
【0072】
上述した説明では、第2枠部152は発光素子14側に突出する第2内周曲面を有するものとしたが、第2枠部152の内周面は平面状に形成されてもよい。すなわち、第1枠部151の内周面のみが発光素子14側に突出する曲面であってもよい。この場合も、発光素子14の上面141から側方に出射された光が第1内周曲面で上方に反射されるため、発光装置1は、光取出し効率を向上させることを可能とする。
【0073】
上述した説明では、枠体15は矩形状であるものとしたが、このような例に限られず、枠体15は円形状等の、発光素子14を囲む任意の形状であってよい。
【0074】
図15は第2実施形態に係る発光装置2の平面図であり、図16は発光装置2の断面図である。図16は、図15のXVI-XVI線に沿う断面図である。発光装置2は、基板11に代えて基板21を有し、枠体15に代えて枠体25を有する点で発光装置1と相違する。なお、上述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0075】
基板21は、略正方形の平板状に形成される点で基板11と相違する。枠体25は、基板21の上面に、基板21の外周に沿って配置される。枠体25を基板21の外周に沿って配置することにより、枠体25の内周も略正方形の平面形状を有する。
【0076】
発光素子14は、枠体25の中央に位置するように、第2配線122の上面に配置される。発光素子14を枠体25の中央に位置するように第2配線122の上面に配置することにより、発光素子14の四つの側面と、各側面に対向する枠体25の接続部153との間の距離D1~D4は相互に略等しくなる。距離D1~D4は、何れも300μm以下であることが好ましく、何れも200μm以下であることがより好ましい。距離D1~D4を200μm以下にすることにより、発光素子14から各方向に出射された光が接続部153に到達するまでの減衰量が小さくなるため、発光装置2の外部に出射される光の強度が大きくなり、発光装置2は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0077】
図17は第3実施形態に係る発光装置3の平面図であり、図18及び図19は発光装置3の断面図である。図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図であり、図19は、図17のXIX-XIX線に沿う断面図である。発光装置3は、枠体15に代えて枠体35を有する点で発光装置1と相違する。
【0078】
枠体35は、内周が第1配線121及び第2配線122の外周に接するように配置される点で枠体15と相違する。すなわち、枠体35は、基板11の配線パターン12の外側の領域の全部を被覆する。配線パターン12の外側の領域とは、第1配線121及び第2配線122を包含する矩形又は凸形状図形の外側の領域をいう。
【0079】
基板11は絶縁性の樹脂によって形成されるため、発光素子14からの光を長時間にわたって照射されることで樹脂が劣化(スス化)し、枠体が基板11から剥離する場合がある。他方で、枠体35は、発光素子14からの光を反射するため、このような劣化を生じにくい。基板11において、第1配線121及び第2配線122より外側の領域の全部が枠体35によって被覆されることにより、基板11が劣化する範囲を小さくなるため、発光装置1は、枠体35が基板11から剥離する可能性を低減することを可能とする。
【0080】
また、枠体35は、第1配線121及び第2配線122の外周に接する。枠体3が第1配線121及び第2配線122の外周に接することにより、枠体35が発光素子14から枠体35の接続部153までの距離が小さくなり、発光素子14から側方に出射された光が接続部153に到達するまでの減衰量が小さくなるため、発光装置3は、光の取出し効率をより向上させることを可能とする。
【0081】
図20は第4実施形態に係る発光装置4の断面図である。図20は、図19と同様の断面における断面図である。発光装置4は、枠体15に代えて枠体45を有する点で発光装置1と相違する。
【0082】
枠体45は、第1配線121及び第2配線122の外周部を被覆するように配置される点で枠体15と相違する。すなわち、枠体45は、枠体35と同様に基板11の第1配線121及び第2配線122より外側の領域の全部を被覆するとともに、第1配線121及び第2配線122の外周部をさらに被覆する。
【0083】
第1配線121及び第2配線122は銀によって形成され、発光素子14からの光を反射して発光装置1の外部に出射される。硫化ガスは樹脂を透過する性質があるため、硫化ガスが存在する環境で発光装置が使用される場合、硫化ガスは樹脂である封止材16を透過して第1配線121及び第2配線122と反応して、第1配線121及び第2配線122を劣化させる。第1配線121及び第2配線122が劣化することにより、発光素子14からの光の第1配線121及び第2配線122における反射率が低下し、光の取出し効率が低下する場合がある。
【0084】
発光装置4において、枠体45が第1配線121及び第2配線122の外周部を被覆することにより、第1配線121及び第2配線122の外周部に到達した光は硫化ガスの影響を受けない枠体45で反射される。第1配線121及び第2配線122の外周部に到達した光が枠体45で反射することにより、発光装置4は、硫化ガスの影響による光の取出し効率の低下の度合いを抑えることを可能とする。光の取出し効率が低下する度合いをより抑えるために、枠体45は、第1配線121及び第2配線122の外周から100μmの範囲を被覆するように形成されることが好ましい。
【0085】
図21は第5実施形態に係る発光装置5の平面図であり、図22は発光装置5の断面図である。図22は、図21のXXII-XXII線に沿う断面図である。発光装置5は、枠体15に代えて枠体55を有する点で発光装置1と相違する。
【0086】
枠体55は、第1枠部551と、第1枠部551の上部に接続する第2枠部552と、第2枠部552の上部に接続する第3枠部553とを有する。第1枠部551は、発光素子14側に突出する第1内周曲面を有し、第2枠部552は、発光素子14側に突出する第2内周曲面を有し、第3枠部553は、発光素子14側に突出する第3内周曲面を有する。第3枠部553は、第1枠部551及び第2枠部552よりも厚く形成され、第2枠部552の上面を被覆するとともに、第1枠部551及び第2枠部552の外周面を被覆する。
【0087】
第1枠部551と第2枠部552との接続部554において、第1枠部551は上方に凸の断面形状を有し、第2枠部552は下方に凸の断面形状を有する。第1枠部551は上方に凸の断面形状を有し且つ第2枠部552は下方に凸の断面形状を有することにより、発光素子14から側方に照射された光が接続部554において上方に反射されるため、発光装置5は、光の取出し効率を向上させることを可能とする。
【0088】
同様に、第2枠部552と第3枠部553との接続部555において、第2枠部552は上方に凸の断面形状を有し、第3枠部553は下方に凸の断面形状を有する。第1枠部551は上方に凸の断面形状を有し且つ第2枠部552は下方に凸の断面形状を有することにより、発光素子14から側方に照射された光が接続部555において上方に反射されるため、発光装置1は、光の取出し効率を向上させることを可能とする。
【0089】
また、第2枠部552と第3枠部553との接続部555は、発光素子14の上面141と同一の高さに位置する。接続部555を発光素子14の上面141と同一の高さに位置させることにより、発光素子14から側方に出射される光の多くが一回の反射で発光装置1の外部に出射されるため、光の取出し効率がより向上する。なお、接続部555に代えて、第1枠部551と第2枠部552との接続部554が発光素子14の上面141と同一の高さに配置されてもよい。
【0090】
なお、第1枠部551と第2枠部552との接続部554において、第1枠部551及び第2枠部552が平面状に形成されてもよい。すなわち、接続部554において、V字形状又は鋸歯状の溝が形成されてもよい。この場合も、発光素子14から側方に照射された光が接続部554において上方に反射されるため、発光装置5は、光の取出し効率を向上させることを可能とする。また、同様に、第2枠部552と第3枠部553との接続部555において、V字形状又は鋸歯状の溝が形成されてもよい。
【0091】
図23は第6実施形態に係る発光装置6の平面図であり、図24は発光装置6の断面図である。図24は、図22のXXIV-XXIV線に沿う断面図である。発光装置6は、基板11に代えて基板61を有し、枠体15に代えて枠体65を有する点で発光装置1と相違する。
【0092】
基板61は、上面の外周部に複数の凹部611(図23では、破線により図示)を有する点で基板11と相違する。複数の凹部611は、矩形状の基板61の対向する一対の辺に沿って設けられる。枠体65は、下面の外周部に複数の凸部654を有する点で枠体15と相違する。複数の凸部654は、それぞれ凹部611と対応する位置及び形状に設けられる。枠体65は、凸部654が凹部611に嵌合することによって基板61に固定される。枠体65が基板61に固定されることにより、上述したように基板61を形成する樹脂が劣化(スス化)したとしても、枠体65が基板61から剥離される可能性が低減される。
【0093】
上述した説明では、凹部611は矩形状の基板61の対向する一対の辺に沿って設けられるものとしたが、このような例に限られず、凹部611は基板61の各辺に沿って設けられてもよく、何れか一つの辺のみに沿って設けられてもよい。また、上述した説明では、複数の凹部611が辺に沿って設けられるものとしたが、このような例に限られず、一つの辺の一端から他端に向かって延伸する一つの凹部611のみが設けられてもよい。
【0094】
図25は第7実施形態に係る発光装置7の平面図であり、図26は発光装置7の断面図である。図26は、図25のXXVI-XXVI線に沿う断面図である。発光装置7は、基板11に代えて基板71を有し、枠体15に代えて枠体75を有する点で発光装置1と相違する。
【0095】
基板71は、上面に複数の凹部711(図25では、矩形の破線により図示)を有する点で基板11と相違する。複数の凹部711は、矩形状の基板71の対向する一対の辺に沿って延伸し、且つ、枠体75の内周に沿って設けられる。枠体75は、下面の内周部に複数の凸部754を有する点で枠体15と相違する。複数の凸部754は、それぞれ凹部711と対応する位置及び形状に設けられる。枠体75は、凸部754が凹部711に嵌合することによって基板71に固定される。凸部754を凹部711に嵌合することによって枠体75を基板71に固定することにより、発光装置6と同様に、基板71を形成する樹脂が劣化(スス化)したとしても、枠体75が基板71から剥離される可能性が低減される。また、凸部754が枠体75の内周に沿って設けられることにより、発光素子14から下方に出射されて基板71を透過した光が凸部754において反射され、発光装置7の側面から外部に漏出することが無くなる。
【0096】
上述した説明では、凹部711は矩形状の基板61の対向する一対の辺に沿って設けられるものとしたが、このような例に限られず、凹部711は基板71の各辺に沿って設けられてもよく、何れか一つの辺のみに沿って設けられてもよい。また、上述した説明では、凹部711が辺に沿って延伸して設けられるものとしたが、このような例に限られず、辺に沿って複数の凹部711が設けられてもよい。
【0097】
図27は第8実施形態に係る発光装置8の平面図であり、図28は発光装置8の断面図であり(その1)、図29は発光装置8の断面図である(その2)。図28図27のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図であり、図29図21のXXIX-XXIX線に沿う断面図である。発光装置8は、枠体15に代えて枠体85を有する点で発光装置1と相違する。
【0098】
枠体85は、発光素子14側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部851と、第1枠部851の上部に接続し、発光素子14側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部852とを有する。枠体85は、枠体15と同様に、第1枠部851の上に第2枠部852が積み重ねられた形状を有する。第1枠部851と第2枠部852との接続部853は、発光素子14の上面141と同一の高さとなるように配置されている。第1内周曲面及び第2内周曲面は、それぞれが上方に凸となる断面形状を有している。
【0099】
第1枠部851及び第2枠部852は、基板11の長手方向の両端に配置される部分の幅が基板11の短手方向の両端に配置される部分の幅よりも広くなるように形成される。第1枠部851及び第2枠部852は、基板11の長手方向の両端の幅が基板11の短手方向の両端の幅よりも広いので、基板11の長手方向の両端に配置される枠体85の幅は、基板11の短手方向の両端に配置される枠体85の幅より広い。
【0100】
長手方向に配置される第2枠部852の対向する第2内周曲面の上端との間の距離DLは、短手方向に配置される第2枠部852の対向する第2内周曲面の上端との間の距離DSと同一である。距離DLと距離DSとの差が距離DLの±10%以下であるとき、距離DLが距離DSと同一であるとされる。距離DLが距離DSと同一なので、第2枠部852の第2内周曲面の上端に端部が接するように配置される封止材16の上面を平面視したときの形状は、正方形である。封止材16の上面、すなわち発光装置8の発光面の平面形状は、正方形である。
【0101】
発光装置8は、発光面が方形状の平面形状を有するので、長手方向及び短手方向に延伸する辺を有する矩形の基板11の長手方向及び短手方向に同一の指向性を有する点光源として機能することができる。枠体85は、第1配線121とボンディングワイヤ17とを接合する接合部、及び第2配線122とボンディングワイヤ18を接合する接合部を覆いことで保護する。また、枠体85は、貫通孔の上方に配置される第1配線121及び第2配線122を覆うように配置される。貫通孔の上方に配置される第1配線121及び第2配線122は、第1配線121及び第2配線122の他の部分よりも凹む凹部となることがある。発光装置8では、枠体85が貫通孔の上方に形成される第1配線121及び第2配線122の凹部を覆うように配置されるので、第1配線121及び第2配線122に形成される凹部に蛍光体が沈殿することが防止される。発光装置8では、第1配線121及び第2配線122に形成される凹部に蛍光体が沈殿しないので、凹部に沈殿した蛍光体から黄色光が出射されることにより色ムラが生じることを防止できる。また、発光装置8では、枠体85が第1配線121及び第2配線122に形成される凹部を覆うように配置されるので、凹部に気泡が発生した場合でも光学特性が低下するおそれは低い。
【0102】
図30は第9実施形態に係る発光装置9の平面図であり、図31は発光装置9の断面図であり(その1)、図32は発光装置9の断面図である(その2)。図31図30のXXXI-XXXI線に沿う断面図であり、図32図30のXXXII-XXXII線に沿う断面図である。発光装置9は、枠体85に代えて枠体95を有する点で発光装置8と相違する。
【0103】
枠体95は、発光素子14側に突出した第1内周曲面を有する第1枠部951と、第1枠部951の上部に接続し、発光素子14側に突出した第2内周曲面を有する第2枠部952とを有する。枠体95は、枠体85と同様に、第1枠部951の上に第2枠部952が積み重ねられた形状を有する。第1枠部951と第2枠部952との接続部953は、発光素子14の上面141と同一の高さとなるように配置されている。第1内周曲面及び第2内周曲面は、それぞれが上方に凸となる断面形状を有している。
【0104】
第1枠部951及び第2枠部952は、第1枠部851及び第2枠部852と同様に、基板11の長手方向の両端に配置される部分の幅が基板11の短手方向の両端に配置される部分の幅よりも広くなるように形成される。第1枠部951及び第2枠部952は、基板11の長手方向の両端の幅が基板11の短手方向の両端の幅よりも広いので、基板11の長手方向の両端に配置される枠体95の幅は、基板11の短手方向の両端に配置される枠体95の幅より広い。
【0105】
長手方向に配置される第2枠部952の対向する第2内周曲面の上端との間の距離DLは、第1枠部851及び第2枠部852と同様に、短手方向に配置される第2枠部952の対向する第2内周曲面の上端との間の距離DSと同一である。距離DLが距離DSと同一なので、第2枠部952の第2内周曲面の上端に端部が接するように配置される封止材16の上面を平面視したときの形状は、正方形である。封止材16の上面、すなわち発光装置9の発光面の平面形状は、発光装置8の発光面の平面形状と同様に正方形である。
【0106】
しかしながら、長手方向に配置される第1枠部951の先端と発光素子14との間の離隔距離DL1は、短手方向に配置される第1枠部951の先端と発光素子14との間の離隔距離DS1よりも長い。短手方向に配置される第1枠部951は、基板11の端部と発光素子14の間の距離が比較的近く且つ基板11の表面が平坦であるため、第1枠部951の先端と発光素子14との間の離隔距離の制御が容易である。一方、長手方向に配置される第1枠部951は、基板11の端部と発光素子14の間の距離が比較的遠く且つ基板11の表面に凹凸が形成されるため、第1枠部951の先端と発光素子14との間の離隔距離の制御が容易ではない。
【0107】
発光装置9では、長手方向に配置される第1枠部951を短手方向に配置される第1枠部951よりも発光素子14から離隔して配置することで、第1枠部951が発光素子14に接触して発光装置9の発光効率が低下するおそれを低くすることができる。
【0108】
また、発光装置9では、長手方向に配置される第1枠部951を短手方向に配置される第1枠部951よりも発光素子14から離隔して配置することで、長手方向の指向性を短手方向の指向性と相違させることができる。
【0109】
発光装置9では、長手方向に配置される第1枠部951を短手方向に配置される第1枠部951よりも発光素子14から離隔して配置させるが、実施形態に係る発光装置では、発光素子の四方と第1枠部との間の離隔距離を互いに相違させて配置してもよい。発光素子の四方と第1枠部との間の離隔距離を互いに相違させて配置することで、出射光の指向性のピーク位置を発光素子14の頂上から変位させることができる。
【0110】
また、実施形態に係る発光装置では、短手方向において、基板の端部と第1枠部の先端との間の離隔距離は、第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離よりも長いことが好ましい。実施形態に係る発光装置では、短手方向において、対向する一対の第1枠部の先端と基板の端部との間の離隔距離を加算した長さは、対向する一対の第1枠部の先端と発光素子の端部との間の離隔距離を加算した長さよりも長いことがさらに好ましい。また、実施形態に係る発光装置では、短手方向において、基板の端部と第1枠部の先端との間の離隔距離は、基板の端部と第2枠部の先端との間の離隔距離の2倍以下であることが好ましい。
【0111】
図33は、実施形態に係る発光装置における短手方向の好ましい配置を説明するための図である。図33は、図3に対応する断面図である。
【0112】
実施形態に係る発光装置では、基板11の端部と第1枠部151の先端との間の離隔距離W1Lは、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離(WD-W1L)よりも長いことが好ましい。また、実施形態に係る発光装置では、基板11の端部と第1枠部151の先端との間の離隔距離W1Rは、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離(WD-W1R)よりも長いことが好ましい。
【0113】
実施形態に係る発光装置では、対向する一対の第1枠部151の先端と基板11の端部との間の離隔距離を加算した長さは、対向する一対の第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離を加算した長さよりも長いことがさらに好ましい。一対の第1枠部151の先端と基板11の端部との間の離隔距離を加算した長さは(W1L+W1R)で示され、一対の第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離を加算した長さは(2×WD-(W1L+W1R))で示されるので、
(W1L+W1R)≧(2×WD-(W1L+W1R)) (1)
との関係が成り立つ。式(1)の左辺の(2×WD)は、基板11の短手方向の長さ(WS)及び発光素子14の幅(WE)から(WS-WD)で示されるので、式(1)は、
(W1L+W1R)≧((WS-WD)-(W1L+W1R)) (2)
となり、基板11の短手方向の長さ(WS)、発光素子14の幅(WE)、及び一対の第1枠部151の先端と基板11の端部との間の離隔距離を加算した長さ(W1L+W1R)は、
2≧(WS-WD)/(W1L+W1R)
との関係を有する。
【0114】
実施形態に係る発光装置では、短手方向において、基板11の端部と第1枠部151の先端との間の離隔距離W1Lは、基板11の端部と第2枠部152の先端との間の離隔距離W2Lの2倍以下であることが好ましい。また、実施形態に係る発光装置では、短手方向において、基板11の端部と第1枠部151の先端との間の離隔距離W1Rは、基板11の端部と第2枠部152の先端との間の離隔距離W2Rの2倍以下であることが好ましい。例えば、発光素子14の幅(WE)が、基板11の短手方向の長さ(WS)の2倍以上となる、WS≦2×WE、つまり、WDが小さくなるとき、発光素子14の両端において、発光素子14から側方に向かう光が、第1枠部151から透過することを抑制し、発光装置1の出射光の量を維持することができると共に、光の指向性を狭くすることができる。
【実施例1】
【0115】
図34(a)~34(g)は、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離を変化させたときの指向性を示す図である。図34(a)~34(g)において、横軸は角度を示し、縦軸は放射強度を示す。図34(a)~34(g)に示すシミュレーションは、Synopsys社製のLightToolsをシミュレータとして使用して実行された。図34(a)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が80μmであるときの指向性を示し、図34(b)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が180μmであるときの指向性を示す。図34(c)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が280μmであるときの指向性を示し、図34(d)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が380μmであるときの指向性を示す。図34(e)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が480μmであるときの指向性を示し、図34(f)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が580μmであるときの指向性を示す。図34(g)は第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が680μmであるときの指向性を示す。
【0116】
図34(a)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が80μmであるとき、放射強度は、角度が±25°のときに0°の放射強度の±1%の範囲であり、最大となる。また、放射強度は、角度が±35°のときに0°の放射強度の±5%の範囲であり、平坦な光の指向性が得られている。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が80μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より1%増加する。図34(b)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が180μmであるとき、放射強度は、角度が±25°のときに0°の放射強度の±1%の範囲であり、最大となる。また、放射強度は、角度が±35°のときに0°の放射強度の±5%の範囲であり、平坦な光の指向性が得られている。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が180μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より1%増加する。図34(c)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が80μmであるとき、放射強度は±25°のときに最大となる。また、放射強度は、角度が±40°のときに0°の放射強度の±5%の範囲であり、平坦な光の指向性が得られている。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が280μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より4%増加する。
【0117】
図34(d)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が380μmであるとき、放射強度は±25から±30°のときに最大となる。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が380μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より6%増加する。図34(e)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が480μmであるとき、放射強度は±30°のときに最大となる。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が840μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より10%増加する。図34(f)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が580μmであるとき、放射強度は±35°のときに最大となる。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が580μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より14%増加する。図34(g)に示すように、第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が680μmであるとき、放射強度は±35°のときに最大となる。第1枠部151の先端と発光素子14の端部との間の離隔距離が680μmであるとき、放射強度の最大値は、0°の放射強度より16%増加する。
【0118】
発光装置では、放射強度の最大値が0°の放射強度より5%以上増加すると、光出力としてばらつきを感じられるため、好ましくない。図34(a)~34(c)に示す実施例では、放射強度の最大値が0°の放射強度より%未満であり、良好な指向性を有する。一方、図34(d)~34(g)に示す比較例では、放射強度の最大値が0°の放射強度より%以上であり、良好な指向性を有さない。
【0119】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
図1
図2
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図5
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図10
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図33
図34