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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/52 20060101AFI20241002BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20241002BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20241002BHJP
   F17C 3/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B65D90/52
B63B25/16 101Z
B63B25/16 P
F17C13/00 302E
F17C3/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023537027
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2021019160
(87)【国際公開番号】W WO2022131810
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178481
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 サン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】ノー、 ミュン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 キュ-シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ウン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、 シ-イク
(72)【発明者】
【氏名】チャ、 イン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ヒ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、 ミン―クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 ドゥグ―キ
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-064818(JP,A)
【文献】特開2005-035559(JP,A)
【文献】特開平06-345184(JP,A)
【文献】特開平09-099996(JP,A)
【文献】特開2013-067396(JP,A)
【文献】特開2014-073854(JP,A)
【文献】特表2017-500254(JP,A)
【文献】特開2019-217931(JP,A)
【文献】実開平04-039200(JP,U)
【文献】特表2011-505298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/52
F17C 1/00-13/12
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
一端部が前記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、前記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して前記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材;を含み、
前記ソロ支持部材は、前記タンク本体部材の長さ方向に対して突出した形状と凹状が交互に形成されたウェーブした板材の形態で備えられた、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項2】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
一端部が前記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、前記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して前記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材;を含み、
前記ソロ支持部材は、前記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて幅が小さくなるように備えられる、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項3】
前記流動調節孔は、前記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうほど小さい直径で形成される、請求項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項4】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
一端部が前記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、前記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して前記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材;を含み、
前記流動調節孔は、前記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて大きい直径で形成される、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項5】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
一端部が前記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、前記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して前記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材;を含み、
前記流動調節孔は、前記タンク本体部材の底部に隣接する部分に形成される、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項6】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
一端部が前記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、前記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して前記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材;を含み、
前記ソロ支持部材は、他端部に外側方向に延びるフランジ部が備えられ、断面が「T」字状に形成される、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項7】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔が形成され、前記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニット;を含み、
前記インナーフレームユニットは、
前記タンク本体部材の両側の長辺側壁部にそれぞれ備えられ、断面が「T」字状に形成され、前記流動調節孔が厚さ方向に貫通して複数個形成されたカップル支持部材;を含む、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の液化ガス貯蔵タンク;及び
前記液化ガス貯蔵タンクが設けられ、駆動力を提供するエンジン部を含む船体;を含む、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動車、船舶などの輸送燃料及び国内/外で用いられる各種燃料などとして用いられる石油資源は徐々に枯渇しており、油価上昇及び厳しくなる環境規制などに応じて代替エネルギーとして液化ガスの使用量が増加している。
【0003】
一例として、液化ガスは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas;LNG)または液化プロパンガス(Liquefied Propane Gas:LPG)などを含む。このような液化ガスは、気体状態よりも体積が大きく減って(例えば、LNGの場合、液化時の体積は1/600に減り、LPGの場合、液化時に1/250にまで大きく減ることがある)液化された状態での貯蔵及び輸送には便利であるが、温度を沸点(LNGの場合は約-162℃、LPGの場合は約-50℃)以下に維持しなければならないという困難がある。
【0004】
このような液化ガスを貯蔵するためには、液化ガスを沸点以下に維持させる極低温液化ガス貯蔵タンクが必要である。
【0005】
ところで、上記液化ガス貯蔵タンクは、船舶などの輸送機関の液化燃料を貯蔵する構造物であり、内部に液体が貯蔵されているため、必然的に船舶のような浮遊式構造物又は陸上輸送機関の移動によって液化ガス貯蔵タンクが常に水面または地面に対して水平を維持することができなくなり、これによって液体燃料の流動が発生する。
【0006】
このような液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生し、このような持続的な衝突には液化ガス貯蔵タンクの損傷を発生させるという問題がある。
【0007】
そのため、従来には液化ガス貯蔵タンクの内部に除水隔壁(swash bulk head wall)を設け、液化ガスの揺動による液化ガス貯蔵タンクの損傷を防止した。
【0008】
しかし、このような除水隔壁は、液化ガス貯蔵タンクの中間の隔壁形態で備えられ、高重量の部材として、液化ガス貯蔵タンクの内部に施工し難く、製作費用が増加するという問題があった。
【0009】
したがって、上述の問題を解決や改善するために、液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶に対する研究が必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止する液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を提供することを目的とする。
【0011】
他の側面で、本発明は、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンクを支持することができる液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクは、液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材及び上記タンク本体部材の内部に備えられて、除水隔壁を代替し、上記タンク本体部材の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調整孔が形成されて上記液化ガスの流動を調節するインナーフレームユニットを含むことができる。
【0013】
具体的には、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記インナーフレームユニットは、一端部が上記タンク本体部材の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、上記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して上記流動調節孔が複数個形成されたソロ支持部材を含むことができる。
【0014】
ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記ソロ支持部材は、上記タンク本体部材の長さ方向に対して突出した形状と凹状が交互に形成されたウェーブした板材の形態で備えられることができる。
【0015】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記ソロ支持部材は、上記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて幅が小さくなるように備えられることができる。
【0016】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記流動調節孔は、上記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて小さい直径で形成されることができる。
【0017】
または、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記流動調節孔は、上記タンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて大きい直径で形成されることができる。
【0018】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記流動調節孔は、上記タンク本体部材の底部に隣接する部分に形成されることができる。
【0019】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記ソロ支持部材は、他端部に外側方向に延びるフランジ部が備えられて、断面が「T」字状に形成されることができる。
【0020】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記インナーフレームユニットは、上記タンク本体部材の両側の長辺側壁部にそれぞれ備えられ、断面が「T」字状に形成され、上記流動調節孔が厚さ方向に貫通して複数個形成されたカップル支持部材を含むことができる。
【0021】
本発明の他の実施例に係る船舶は、上記液化ガス貯蔵タンク及び上記液化ガス貯蔵タンクが設けられ、駆動力を提供するエンジン部を含む船体を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶は、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる利点がある。
【0023】
他の側面で、本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶は、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンクを支持することができる利点がある。
【0024】
これにより、液化ガス貯蔵タンクの製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンクの損傷を防止することができる効果がある。
【0025】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例に係る液化ガス貯蔵タンクを示した側面図である。
図2】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、ソロ支持部材がタンク本体部材の底部からトップ部に向かうにつれて幅が小さくなるように備えられた実施例を示した側面図である。
図3】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、流動調節孔がタンク本体部材の底部に隣接したソロ支持部材の部分に形成された実施例を示した側面図である。
図4】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、ソロ支持部材が備えられた実施例を示した正面図である。
図5】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、ソロ支持部材がウェーブした形態で備えられた実施例を示した正面図である。
図6】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、カップル支持部材が備えられた実施例を示した側面図である。
図7】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて、ソロ支持部材とカップル支持部材が備えられた実施例を示した正面図である。
図8】本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0028】
また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含み、明細書全体にわたって同一参照符号または類似する方式で付与された参照符号は、同一構成要素または対応する構成要素を示すものとする。
【0029】
本発明は、液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶に関するものであり、タンク本体部材10の内部に除水隔壁(swash bulk head wall)を代替するインナーフレームユニット20が備えられ、このようなインナーフレームユニット20が液化ガスの流動をガイドすることで、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる。
【0030】
他の側面で、本発明の液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶は、インナーフレームユニット20を備えることによって従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンク1を支持することができる。
【0031】
これにより、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンク1の損傷を防止することができる。
【0032】
図1は、本発明の実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1を示した側面図であり、図4は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、ソロ支持部材22が備えられた実施例を示した正面図である。
【0033】
上記図面を参照すると、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1は、タンク本体部材10及びインナーフレームユニット20を含むことができる。
【0034】
ここで、上記タンク本体部材10は液化ガスが貯蔵されることができる。上記インナーフレームユニット20は、上記タンク本体部材10の内部に備えられて、除水隔壁を代替し、上記タンク本体部材10の内周方向に少なくとも一部に備えられ、流動調節孔21が形成されて、上記液化ガスの流動を調節することができる。
【0035】
すなわち、上記インナーフレームユニット20が従来の除水隔壁に代替してタンク本体部材10の内部に備えられ、液化ガスの流動をガイドする役割を果たすものである。
【0036】
これにより、液化ガスがタンク本体部材10の内部の一側に衝撃を加える問題を改善することができ、高重量の除水隔壁を備えないため、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にして製作費用を節減させることができる。
【0037】
すなわち、上記インナーフレームユニット20が上記タンク本体部材10の内部に備えられ、上記タンク本体部材10の内部で液化ガスが一側から他側に突然偏る場合に、上記液化ガスの流動を一部遮断することで、上記液化ガスが上記タンク本体部材10に衝撃を加える問題を改善することができる。
【0038】
さらに、上記インナーフレームユニット20は、上記流動調節孔21が形成されることにより、上記液化ガスの流動遮断の程度を調節することができる。すなわち、上記流動調節孔21が形成された部分では上記液化ガスを通過させることができるため、上記液化ガスによる過度の抵抗力を緩和させながらも上記液化ガスの一部を遮断して、上記液化ガスが上記タンク本体部材10に加える衝撃を緩衝することができる。
【0039】
また、上記流動調節孔21は、上記インナーフレームユニット20の下端部に備えられることで、通常時には上記液化ガスが上記タンク本体部材10の左右に分散して均等に分布することができる。これに対する詳細な説明は、図3を参照して後述する。
【0040】
具体的には、インナーフレームユニット20は、一実施例としてソロ支持部材22を含むことができる。
【0041】
すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記インナーフレームユニット20は、一端部が上記タンク本体部材10の内部に結合されたドーナツ形状の板材形態で備えられ、上記液化ガスが通過するように厚さ方向に貫通して上記流動調節孔21が複数個形成されたソロ支持部材22を含むことができる。
【0042】
このように、上記ソロ支持部材22は、液化ガスが突然流動する場合には障害物としての役割を果たすため、ソロ支持部材22の周辺で液化ガスが元の位置に位置するようにガイドする役割を果たす。すなわち、ソロ支持部材22は、ソロ支持部材22の周辺の液化ガスの流動が突然変動する問題を改善する。
【0043】
ここで、本発明のソロ支持部材22は、タンク本体部材10の内周方向に連続して備えられることができる。
【0044】
すなわち、上記ソロ支持部材22は、上記タンク本体部材10を内部で支持する役割を果たし、これにより従来の除水隔壁を除去し、本発明のインナーフレームユニット20に代替されても、上記タンク本体部材10を支持することができる。このようなソロ支持部材22の支持機能は、ソロ支持部材22がタンク本体部材10の内周方向に連続したドーナツ形状の板材形態で備えられることにより、さらに強固に支持することができる。
【0045】
換言すると、上記ソロ支持部材22は、円板状の部材に中央部が開口したドーナツ板の形態で備えられ、この外側端部である一端部が上記タンク本体部材10の内部に結合されることができる。ここで、上記ソロ支持部材22は、上記タンク本体部材10の幅方向zに結合されることもでき、上記タンク本体部材10の長さ方向xに結合されることもできる。
【0046】
さらに、上記ソロ支持部材22は、上記流動調節孔21が形成されることによって、上記液化ガスの流動遮断の程度を調節することができる。
【0047】
一例として、上記流動調節孔21が上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて大きい直径で形成されるか、その反対に上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて小さい直径で形成されることもできる。
【0048】
すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記流動調節孔21は、上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて大きい直径で形成されることができる。
【0049】
これによると、上記液化ガスの突然の流動によって上記液化ガスが上記タンク本体部材10に加える衝撃を緩衝するとともに、上記液化ガスが上記ソロ支持部材22に加える抵抗力を分散して上記ソロ支持部材の寿命を延ばすことができる。
【0050】
すなわち、上記タンク本体部材10の内部でスロッシングが発生しても、上記液化ガスは上記タンク本体部材10の下部にさらに多く分布する。したがって、上記ソロ支持部材22の下部に形成される上記流動調節孔21の直径は比較的大きく形成し、上部に形成される上記流動調節孔21の直径は比較的小さく形成することで、比較的大きな抵抗力を受ける上記ソロ支持部材22の下部は上記液化ガスによる抵抗力を比較的大きく減らし、比較的小さい抵抗力を受ける上記ソロ支持部材22の上部は上記液化ガスによる抵抗力を比較的小さく減らすようになる。
【0051】
これにより、上記ソロ支持部材22は全体的に均一な抵抗力を受けるため、一部分が他の部分に比べてより早く破損されて寿命が短縮するという問題を改善することができる。
【0052】
または一例として、上記流動調節孔21は上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて小さい直径で形成されることができるが、これに対する詳細な説明は図2を参照して後述する。
【0053】
また、上記ソロ支持部材22は、断面が「T」字状に形成されることができる。これに対する詳細な説明は、図3を参照して後述する。
【0054】
そして、本発明の液化ガス貯蔵タンク1は、ポンプユニット30をさらに含むことができる。ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1のポンプユニット30は、タンク本体部材10の内部と外部を連結する排出管部が備えられることができる。そして、上記ポンプユニット30は、上記排出管部を介して上記タンク本体部材の内部に貯蔵された液化ガスを吸引して外部に伝達することができる。
【0055】
図2は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、ソロ支持部材22がタンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて幅wが小さくなるように備えられた実施例を示した側面図である。
【0056】
上記図面を参照すると、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記ソロ支持部材22は、上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて幅wが小さくなることができる。
【0057】
すなわち、上記タンク本体部材10の内部でスロッシングが発生しても、上記液化ガスは上記タンク本体部材10の下部にさらに多く分布するようになる。したがって、上記ソロ支持部材22の下部の幅wを比較的大きく形成し、上記ソロ支持部材22の上部の幅wは比較的小さく形成することで、比較的大きな抵抗力を受ける上記ソロ支持部材22の下部は、上記液化ガスによる比較的大きな抵抗力を支持するように備えられ、上記ソロ支持部材22の上部は、上記液化ガスによる比較的小さい抵抗力を支持するように備えられることができる。
【0058】
これにより、上記ソロ支持部材22は、全体的に均一な抵抗力を支持するように最適化された形態で備えられることができ、これによって上記ソロ支持部材22の重量を減少させることができる。
【0059】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記流動調節孔21は、上記タンク本体部材10の底部10aからトップ部10dに向かうにつれて小さい直径で形成されることができる。
【0060】
これにより、上記ソロ支持部材22に作用する液化ガスの抵抗力を減少させ、上記液化ガスの抵抗力によって上記ソロ支持部材22が破損して寿命が短縮するという問題を改善する。
【0061】
また、上記ソロ支持部材22の幅wが小さくなるにつれて、上記流動調節孔21の直径も小さくなるため、上記ソロ支持部材22の各部分において、上記ソロ支持部材22が上記タンク本体部材10を支持する支持力は均一に維持することができる。
【0062】
図3は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、流動調節孔21がタンク本体部材10の底部10aに隣接するソロ支持部材22の部分に形成された実施例を示した側面図である。
【0063】
上記図面を参照すると、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記流動調節孔21は、上記タンク本体部材10の底部10aに隣接する部分に形成されることができる。
【0064】
すなわち、上記ソロ支持部材22が備えられ、上記液化ガスの突然の流動によって上記液化ガスが上記タンク本体部材10に加える衝撃を緩衝すると同時に、上記流動調節孔21が上記ソロ支持部材22の下部に備えられ、通常時には上記液化ガスが上記タンク本体部材10の左右に分散して均等に分布することができる。
【0065】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記ソロ支持部材22は、他端部に外側方向に延びるフランジ部22aが備えられ、断面が「T」字状に形成されることができる。
【0066】
このように、上記ソロ支持部材22は、断面の形態を「T」字状に限定して、さらに支持力を高めることができる。
【0067】
図5は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、ソロ支持部材22がウェーブした形態で備えられた実施例を示した正面図である。
【0068】
上記図面を参照すると、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記ソロ支持部材22は、上記タンク本体部材10の長さ方向xに対して突出した形状と凹状が交互に形成されたウェーブした板材の形態で備えられることができる。
【0069】
すなわち、上記ソロ支持部材22は、一部分が一側の短辺側壁部10bに向かって突出し、これと隣接する上記ソロ支持部材22の他の部分は他側の短辺側壁部10bに向かって突出して形成されることができる。
【0070】
ここで、短辺側壁部10bは、タンク本体部材10のトップビューにおいて比較的長さが短い上記タンク本体部材10の側壁部を意味する。また、長辺側壁部10cは、タンク本体部材10のトップビューにおいて比較的長さが長い上記タンク本体部材10の側壁部を意味する。
【0071】
このように上記ソロ支持部材22がウェーブした板材の形態で備えられることで、上記液化ガスがタンク本体部材10の一側から他側に突然移動してタンク本体部材10に衝撃を加える問題をさらに改善することができる。すなわち、上記ソロ支持部材22は、ウェーブした曲面を含む形態で形成され、これによって液化ガスがソロ支持部材22の曲面部分を伝って流動されることができるようにガイドする。これによって、上記液化ガスは、ソロ支持部材22に伝達された流動流入方向に戻されるように流動されることができる。
【0072】
したがって、上記液化ガスが上記タンク本体部材10の一側から他側に突然偏る問題を改善し、上記液化ガスが上記タンク本体部材10に衝撃を加える問題を改善することができる。
【0073】
また、上記ソロ支持部材22は、一側の上記短辺側壁部10bに向かって突出形状及び凹状が交互に形成されるため、上記ソロ支持部材22によって上記タンク本体部材10の両側方向のいずれかの方向でも突然伝達される液化ガスによる衝撃問題を防止することができる。
【0074】
一例として、上記ソロ支持部材22の一部分は一側の短辺側壁部10bに向かって曲面を形成し、これと隣接する上記ソロ支持部材22の他の部分は他側の短辺側壁部10bに向かって曲面を形成するようになる。これによると、上記ソロ支持部材22の一部分は、一側の短辺側壁部10bから突然伝達される上記液化ガスの一部を一側の上記短辺側壁部10bに再度戻すように誘導し、これと隣接する上記ソロ支持部材22の他の部分は、他側の上記短辺側壁部10bから突然伝達される上記液化ガスの一部を他側の上記短辺側壁部10bに再度戻すように誘導することができる。
【0075】
図6は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、カップル支持部材23が備えられた実施例を示した側面図であり、図7は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において、ソロ支持部材22とカップル支持部材23が備えられた実施例を示した正面図である。
【0076】
上記図面を参照すると、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の上記インナーフレームユニット20は、上記タンク本体部材10の両側の長辺側壁部10cにそれぞれ備えられ、断面が「T」字状に形成され、上記流動調節孔21が厚さ方向に貫通して複数個形成されたカップル支持部材23を含むことができる。
【0077】
すなわち、上記カップル支持部材23は上記タンク本体部材10を支持する役割を果たし、これによって従来の除水隔壁を除去し、本発明の上記インナーフレームユニット20に代替されても上記タンク本体部材10を支持することができる。
【0078】
上記カップル支持部材23は、断面の形態を「T」字状に限定して、さらに支持力を高めることができる。
【0079】
そして、本発明の上記カップル支持部材23は、上記タンク本体部材10の両側の長辺側壁部10cに備えられ、上記タンク本体部材10の底部10aには備えられないため、上記タンク本体部材10の底部10aに位置する上記液化ガスは、均一に分散して位置することができる。
【0080】
また、上記カップル支持部材23は、液化ガスが突然流動する場合には、障害物としての役割を果たすため、上記長辺側壁部10cの周辺の液化ガスが元の位置に位置するようにガイドする役割を果たす。すなわち、上記カップル支持部材23は、上記長辺側壁部10cの周辺の液化ガスの流動が突然変動する問題を改善することができる。
【0081】
さらに、上記カップル支持部材23には上記流動調節孔21が形成されて、上記液化ガスの流動を調節することができる。
【0082】
図8は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶を示した側面図である。
【0083】
上記図面を参照すると、本発明の他の実施例による船舶は、上記液化ガス貯蔵タンク1及び上記液化ガス貯蔵タンク1が設けられ、駆動力を提供するエンジン部2aを含む船体2を含むことができる。
【0084】
ここで、上記液化ガス貯蔵タンク1は、上述した液化ガス貯蔵タンク1の説明に代える。
【0085】
そして、上記船体2は、上記液化ガス貯蔵タンク1が設けられ、駆動力を提供するエンジン部2aを含むことができる。
【0086】
すなわち、本発明の船舶が上述した液化ガス貯蔵タンク1を含むことにより、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの突然の流動発生により液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる。
【0087】
このように本発明の船舶は、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンク1の損傷を防止することができる。
【0088】
また、液化ガス貯蔵タンク1を軽量化することができるため、船舶の運用効率を高めることができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0090】
1 液化ガス貯蔵タンク
2 船体
10 タンク本体部材
20 インナーフレームユニット
21 流動調節孔
22 ソロ支持部材
23 カップル支持部材
30 ポンプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8