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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電子デバイス、電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/115 20230101AFI20241002BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241002BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241002BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241002BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20241002BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20241002BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20241002BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20241002BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20241002BHJP
【FI】
H10K50/115
G02B5/20
G09F9/00 338
G09F9/30 365
H05B33/10
H05B33/12 B
H05B33/14 Z
H05B33/22 A
H05B33/22 C
H05B33/22 Z
H10K50/15
H10K50/16
H10K59/10
H10K59/35
H10K71/20
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2023539525
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2021029248
(87)【国際公開番号】W WO2023013012
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】矢口 裕真
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0068911(KR,A)
【文献】特開2016-042450(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148791(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/208810(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0043862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0256591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/115
G02B 5/20
G09F 9/00
G09F 9/30
H05B 33/10
H05B 33/12
H05B 33/14
H05B 33/22
C09K 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を含む機能層を有する電子デバイスであって、
前記機能層は、前記機能層の外縁に形成され、外縁リガンドを含む外縁領域と、前記外縁領域に内接する主領域と、を有し、
前記外縁領域に含まれる単位体積当たりの前記外縁リガンドは、前記主領域における単位体積当たりの前記外縁リガンドよりも多い電子デバイス。
【請求項2】
前記主領域には前記外縁リガンドとは異なる主リガンドが含まれ、
前記主領域に含まれる単位体積当たりの前記主リガンドは、前記外縁領域における単位体積当たりの前記主リガンドよりも多い請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記主領域は、リガンドを含まない請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
nを2以上の自然数として、含有する前記ナノ粒子の種類が互いに異なるn種の範囲を備え、
(n-1)種の前記範囲のみが、それぞれ、前記主領域と、前記外縁領域とを含む請求項1から3の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
nを2以上の自然数として、含有する前記ナノ粒子の種類が互いに異なるn種の範囲を備え、
1種の前記範囲のみが、前記主領域と、前記外縁領域とを含む請求項1から3の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
1種の前記範囲のみが、前記主領域のみを含む請求項4または5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記外縁リガンドが極性を有する請求項1から6の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記外縁リガンドが、水酸化テトラメチルアンモニウム、2-アミノエタンチオール塩酸塩、2-メタンアミノエタンチオール塩酸塩、2-エタンアミノエタンチオール塩酸、2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩、2-メチルエチルアミノエタンチオール塩酸塩、および、2-ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩を含む群から、少なくとも一種を含む請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記外縁リガンドが非極性を有する請求項1から6の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記外縁リガンドが、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホン基、ホスフィン基、およびホスフィンオキシド基からなる群から少なくとも1種を含むリガンドである請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記ナノ粒子は量子ドットである請求項1から10の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記ナノ粒子が、電子と正孔との再結合により生成される励起子によって発光する請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、正孔輸送性を有する請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記ナノ粒子が、電子輸送性を有する請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記ナノ粒子が、特定の波長の光を吸収することにより、当該波長とは異なる波長にて発光する請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項16】
それぞれが発光素子を備えた、複数のサブ画素を有する画素を複数備え、
前記複数のサブ画素ごとに設けられた第1電極と、
前記複数のサブ画素に共通して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の発光層とを備え、
前記発光層の少なくとも1層は前記機能層である請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項17】
それぞれが発光素子を備えた、複数のサブ画素を有する画素を複数備え、
前記複数のサブ画素ごとに設けられた第1電極と、
前記複数のサブ画素に共通して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の発光層と、
前記第1電極と前記発光層との間、または、前記第2電極と前記発光層との間の何れかに設けられた正孔輸送層とを備え、
前記正孔輸送層の少なくとも1層は前記機能層である請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項18】
それぞれが発光素子を備えた、複数のサブ画素を有する画素を複数備え、
前記複数のサブ画素ごとに設けられた第1電極と、
前記複数のサブ画素に共通して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の発光層と、
前記第1電極と前記発光層との間、または、前記第2電極と前記発光層との間の何れかに設けられた電子輸送層とを備え、
前記電子輸送層の少なくとも1層は前記機能層である請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項19】
赤色光を発する赤色発光素子と、緑色光を発する緑色発光素子と、青色光を発する青色発光素子とを、少なくとも一つずつ備えた請求項16から18の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項20】
複数のサブ画素を有する画素を複数備え、
前記サブ画素のそれぞれに設けられた波長変換層と、
前記波長変換層に対して光を照射する光源部とを備え、
前記波長変換層の少なくとも1層は前記機能層である請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記サブ画素を区画するバンクを備え、
前記外縁領域の少なくとも一部が、前記機能層の何れかの平面視において前記バンクと重なる請求項16から20の何れか1項に記載の電子デバイス。
【請求項22】
第1ナノ粒子を含む第1機能層を成膜する第1機能層成膜工程と、
前記第1機能層の上層に第1レジスト層を成膜する第1レジスト層成膜工程と、
前記第1レジスト層に対して露光を行う第1露光工程と、
前記第1レジスト層の現像により、前記第1レジスト層の一部を除去する第1現像工程と、
前記第1機能層の一部を、前記第1レジスト層の側の表面からエッチングして第1外縁リガンドを導入し、前記第1機能層の少なくとも一部の外縁に、前記第1外縁リガンドおよび前記第1ナノ粒子を有する第1外縁領域を形成する第1エッチング工程とを含む電子デバイスの製造方法。
【請求項23】
前記第1機能層成膜工程で成膜される前記第1機能層は前記第1外縁リガンドとは異なる第1主リガンドを含み、
前記第1エッチング工程では、前記第1主リガンドを前記第1外縁リガンドに置換する請求項22に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項24】
前記第1機能層成膜工程で成膜される前記第1機能層はリガンドを含まない請求項22に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項25】
前記第1現像工程および前記第1エッチング工程を、第1エッチング液を用いて同時に、または、この順に連続して実行し、
前記第1エッチング液は、露光後の前記第1レジスト層を溶解するレジスト溶解成分と、前記第1外縁リガンドと、前記第1外縁リガンドを含む溶質が溶解する溶媒とを含む請求項22から24の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項26】
前記第1エッチング工程を、第1エッチング液を用いて実行し、
前記第1エッチング液は、前記第1外縁リガンドと、前記第1外縁リガンドを含む溶質が溶解する溶媒とを含む請求項22から24の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項27】
前記第1エッチング工程の後に、前記第1ナノ粒子と異なる第2ナノ粒子とを含む第2機能層を成膜する第2機能層成膜工程をさらに含む請求項25または26に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項28】
前記第2機能層は第2主リガンドを含み、
前記第2機能層の上層に第2レジスト層を成膜する第2レジスト成膜工程と、
前記第2レジスト層に対して露光を行う第2露光工程と、
前記第2レジスト層の現像により、前記第2レジスト層の一部を除去する第2現像工程と、
前記第2機能層の一部を、前記第2レジスト層の側の表面からエッチングし、前記第2機能層の少なくとも一部の外縁に、前記第2主リガンドと異なる第2外縁リガンドおよび前記第2ナノ粒子を有する第2外縁領域を形成する第2エッチング工程とをさらに含む請求項27に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項29】
前記第2エッチング工程の後に、前記第1ナノ粒子および前記第2ナノ粒子の双方と異なる第3ナノ粒子とを含む第3機能層を成膜する第3機能層成膜工程と、
前記第3機能層成膜工程の後に、残存する前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を剥離する剥離工程をさらに含む請求項28に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項30】
前記第2エッチング工程の後に、残存する前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を剥離する第1剥離工程と、
前記第1機能層および前記第2機能層の上層に第3レジスト層を成膜する第3レジスト成膜工程と、
前記第3レジスト層に対して露光を行う第3露光工程と、
前記第3レジスト層の現像により、前記第3レジスト層の一部を除去する第3現像工程と、
前記第3現像工程の後に、第3主リガンドと、前記第1ナノ粒子および前記第2ナノ粒子の双方と異なる第3ナノ粒子とを含む第3機能層を成膜する第3機能層成膜工程と、
前記第3機能層成膜工程の後に、残存する前記第3レジスト層を剥離する第2剥離工程をさらに含む請求項28に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項31】
前記第1エッチング液が、水酸化テトラメチルアンモニウム、2-アミノエタンチオール塩酸塩、2-メタンアミノエタンチオール塩酸塩、2-エタンアミノエタンチオール塩酸、2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩、2-メチルエチルアミノエタンチオール塩酸塩、および、2-ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩を含む群から少なくとも1種を含む溶質を、溶媒中に含む溶液である請求項25から30の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項32】
前記溶媒が、水、MeOH、PGMEA、DMF、アセトニトリル、エチレングリコール、および、DMSOを含む群から少なくとも1種を含む請求項31に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項33】
前記第1エッチング液が、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホン基、ホスフィン基、およびホスフィンオキシド基からなる群から少なくとも1種を官能基として含む溶質を、溶媒中に含む溶液である請求項25から30の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項34】
前記溶媒が、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、トルエン、および、ドデカンを含む群から少なくとも1種を含む請求項33に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項35】
前記第1エッチング液が、前記溶質を0.013mol/L以上含む請求項25から34の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項36】
露光後の前記第1レジスト層はアルカリに溶解し、
前記第1エッチング液はアルカリ性である請求項25から35の何れか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項37】
前記第1エッチング工程を、第1エッチング液を用いて実行し、
前記第1エッチング工程の後に、前記第1ナノ粒子と前記第1外縁リガンドとを含む前記第1エッチング液を回収する回収工程と、
前記回収工程において回収された前記第1エッチング液が含む第1外縁リガンドの少なくとも一部を前記第1主リガンドに置換する置換工程とをさらに含む請求項23に記載の電子デバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、および、当該電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、量子ドットを含有する発光層を備えた発光素子、および当該発光素子の製造方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2009-87760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する量子ドットを含む発光層は、例えば、洗浄工程等における水分の浸透等により、発光効率の低下、あるいは、発光寿命の減少が生じる場合がある。このように、ナノ粒子を含む機能層においては、水分の浸透等により機能が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電子デバイスは、ナノ粒子を含む機能層を有する電子デバイスであって、前記機能層は、前記機能層の外縁に形成され、外縁リガンドを含む外縁領域と、前記外縁領域に内接する主領域と、を有し、前記外縁領域に含まれる単位体積当たりの前記外縁リガンドは、前記主領域における単位体積当たりの前記外縁リガンドよりも多い。
【0006】
また、上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電子デバイスの製造方法は、第1ナノ粒子を含む第1機能層を成膜する第1機能層成膜工程と、前記第1機能層の上層に第1レジスト層を成膜する第1レジスト層成膜工程と、前記第1レジスト層に対して露光を行う第1露光工程と、前記第1レジスト層の現像により、前記第1レジスト層の一部を除去する第1現像工程と、前記第1機能層の一部を、前記第1レジスト層の側の表面からエッチングして第1外縁リガンドを導入し、前記第1機能層の少なくとも一部の外縁に、前記第1外縁リガンドおよび前記第1ナノ粒子を有する第1外縁領域を形成する第1エッチング工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
ナノ粒子を含む機能層への水分の浸透等を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る表示装置の概略断面図、および当該断面の一部拡大図である。
図2】実施形態1に係る表示装置の概略平面図である。
図3】実施形態1に係る表示装置の断面の他の一部拡大図である。
図4】実施形態1に係る表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る表示装置の製造工程における工程断面図である。
図6】実施形態1に係る表示装置の製造工程における他の工程断面図である。
図7】実施形態1に係る表示装置の製造工程における他の工程断面図である。
図8】実施形態1に係る表示装置の製造工程における他の工程断面図である。
図9】実施形態1に係る表示装置の製造工程における工程断面図の一部拡大図である。
図10】実施形態1に係る表示装置の製造工程における工程平面図である。
図11】実施形態1に係る表示装置の製造工程における他の工程平面図である。
図12】実施形態2に係る表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
図13】実施形態2に係る表示装置の製造工程における工程断面図である。
図14】実施形態2に係る表示装置の製造工程における他の工程断面図である。
図15】実施形態3に係る表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
図16】実施形態3に係る表示装置の製造工程における工程断面図である。
図17】実施形態3に係る表示装置の製造工程における他の工程断面図である。
図18】実施形態4に係る表示装置の概略断面図である。
図19】実施形態4に係る表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<表示装置の概要>
以下、実施形態1として、電子デバイスの一形態である表示装置について説明する。図2は、本実施形態に係る表示装置2の概略平面図である。図2に示すように、本実施形態に係る表示装置2は、後述する各サブ画素からの発光が取り出すことにより表示を行う表示領域DAと、当該表示領域DAの周囲を囲う額縁領域NAとを備える。額縁領域NAにおいては、表示装置2の各発光素子を駆動するための信号が入力される端子Tが形成されている。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示装置2の概略断面図、および当該断面の一部拡大図である。図1に示す表示装置2の概略断面図は、図2における、A-B線矢視断面図である。
【0011】
平面視において表示領域DAと重畳する位置において、本実施形態に係る表示装置2は複数の画素を備える。また、各画素は、複数のサブ画素を備える。各サブ画素は機能層を含み、機能層はナノ粒子を含む。サブ画素は、機能層に含まれるナノ粒子(例えば量子ドット)の種類が互いに異なる範囲である。図1に示す表示装置2の概略断面図には、表示装置2が備える複数の画素のうち、画素Pについて示している。特に、画素Pは、赤色サブ画素SPRと、緑色サブ画素SPGと、青色サブ画素SPBとを備える。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置2は、基板4上に発光素子層6を備える。特に、表示装置2は、図示しないTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)が形成された基板4上に、発光素子層6の各層が積層された構造を備える。なお、本明細書においては、後に詳述する、発光素子層6の発光層10から画素電極8への方向を「下方向」、発光層10から共通電極12への方向を「上方向」として記載する。
【0013】
<発光素子の概要>
発光素子層6は、基板4側から順に、第1電極としての画素電極8と、機能層としての発光層10と、第2電極としての共通電極12とを備える。換言すれば、発光素子層6は、発光層10を、画素電極8と共通電極12との間に備える。機能層はナノ粒子を含み、ナノ粒子は、例えば、量子ドットである。基板4の上層に形成された発光素子層6の画素電極8は、上述したサブ画素ごとに島状に形成され、基板4のTFTのそれぞれと電気的に接続されている。例えば、画素電極8は陽極であり、共通電極12は陰極である。なお、表示装置2においては、発光素子層6より上層において、発光素子層6を封止する、図示しない封止層が設けられていてもよい。
【0014】
本実施形態において、発光素子層6は、発光素子を複数備え、特に、サブ画素のそれぞれに1つずつ発光素子を備える。本実施形態においては、例えば、発光素子層6は、発光素子として、赤色サブ画素SPRに赤色発光素子6Rを、緑色サブ画素SPGに緑色発光素子6Gを、青色サブ画素SPBに青色発光素子6Bをそれぞれ備える。以降、本明細書において、特段の説明がない限り、『発光素子』とは、発光素子層6が含む、赤色発光素子6R、緑色発光素子6G、および、青色発光素子6Bの何れかを指す。
【0015】
ここで、画素電極8、および発光層10のそれぞれは、サブ画素ごとに個別に形成されている。特に、本実施形態においては、画素電極8は、赤色発光素子6R用の画素電極8R、緑色発光素子6G用の画素電極8G、および青色発光素子6B用の画素電極8Bを含む。また、発光層10は、赤色発光素子6R用の赤色発光領域LAR、緑色発光素子6G用の緑色発光領域LAG、および青色発光素子6B用の青色発光領域LABを含む。一方、共通電極12は、複数のサブ画素に対し共通に形成されている。
【0016】
したがって、本実施形態において、赤色発光素子6Rは、画素電極8Rと、赤色発光領域LARと、共通電極12とを含む。また、緑色発光素子6Gは、画素電極8Gと、緑色色発光領域LAGと、共通電極12とを含む。さらに、青色発光素子6Bは、画素電極8Bと、青色色発光領域LABと、共通電極12を含む。
【0017】
本実施形態において、赤色発光領域LARは赤色に発光する領域であり、赤色光を発する赤色発光層10Rを含む。緑色発光領域LAGは緑色に発光する領域であり、緑色光を発する緑色発光層10Gを含む。青色発光領域LABは青色に発光する領域であり、青色光を発する青色発光層10Bを含む。換言すれば、赤色発光素子6Rと、緑色発光素子6Gと、青色発光素子6Bとは、それぞれ、赤色光と、緑色光と、青色光とを発する発光素子である。さらに換言すれば、発光層10は、互いに発光色が異なる複数種の発光領域として、赤色光を発する赤色発光領域LARと、緑色光を発する緑色発光領域LAGと、青色光を発する青色発光領域LABとを備えている。
【0018】
ここで、青色光とは、例えば、400nm以上500nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光である。また、緑色光とは、例えば、500nm超600nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことである。また、赤色光とは、例えば、600nm超780nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことである。
【0019】
なお、本実施形態に係る発光素子層6は、上記構成に限られず、画素電極8および共通電極12の間の機能層に、さらに追加の層を備えていてもよい。例えば、発光素子層6は、画素電極8と発光層10との間の機能層として、発光層10に加えて、正孔注入層、または、正孔輸送層の少なくとも一方をさらに備えていてもよい。また、発光素子層6は、発光層10と共通電極12との間に、電子輸送層、または電子注入層の少なくとも一方をさらに備えていてもよい。
【0020】
発光素子層6が、機能層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、または電子注入層の何れかを、電荷輸送層として備える場合、当該電荷輸送層は、ナノ粒子として量子ドットを有していてもよい。この場合、電荷輸送層が含む量子ドットは、例えば、後述する、コアと該コアを覆うシェルとを含む、コア/シェル構造を有していてもよく、あるいは、コアのみの構造を有していてもよい。また、電荷輸送層は、量子ドットとして、ZnO、NiO、またはCuO等を含むナノ粒子半導体を備えていてもよい。さらに、電荷輸送層が含む量子ドットには、リガンドが配位していてもよい。
【0021】
画素電極8および共通電極12は導電性材料を含み、発光層10と電気的に接続されている。画素電極8と共通電極12とのうち、表示装置2の表示面に近い電極は半透明電極である。
【0022】
画素電極8は、例えばAg-Pd-Cu合金上にITO(Indium Tin Oxide,インジウムスズ酸化物)が積層された構成を有する。上記構成を有する画素電極8は、例えば、発光層10から発せられた光を反射する反射性電極である。したがって、発光層10から発せられた光のうち、下方向に向かう光が、画素電極8によって反射される。
【0023】
これに対して、共通電極12は、例えば半透明のMg‐Ag合金によって構成されている。つまり、共通電極12は、発光層10から発せられた光を透過する透過性電極である。したがって、発光層10から発せられた光のうち、上方向に向かう光が、共通電極12を透過する。このように、表示装置2は、発光層10から発せられた光を上方向に出射できる。
【0024】
以上のとおり、表示装置2においては、発光層10から上方向に発せられた光、および下方向に発せられた光の両方を、共通電極12(上方向)へと向かわせることができる。すなわち、表示装置2は、トップエミッション型の表示装置として構成されている。
【0025】
また、本実施形態において、半透明電極である共通電極12は、発光層10から発せられた光を、一部反射する。この場合、反射電極である画素電極8と、半透明電極である共通電極12との間において、発光層10から発せられた光のキャビティが形成されてもよい。画素電極8と共通電極12との間においてキャビティを形成することにより、発光層10から発せられた光の色度を改善することができる。
【0026】
なお、上述した画素電極8と共通電極12との構成は一例であり、別の構成を有していてもよい。例えば、表示装置2の表示面に近い電極が陽極であってもよい。この場合、当該陽極は半透明電極であってもよく、陰極が反射電極であってもよい。これにより、表示装置2は、発光層10から上方向に発せられた光、および下方向に発せられた光の両方を、陽極(下方向)へと向かわせることができる。すなわち、表示装置2は、ボトムエミッション型の表示装置として構成されていてもよい。
【0027】
発光層10は、陽極から輸送された正孔と、陰極から輸送された電子との再結合が発生することにより、光を発する層である。発光層10が含む材料等の詳細については後述する。
【0028】
なお、本実施形態に係る表示装置2は、基板4側に陽極を備えた発光素子を備えるが、これに限られない。例えば、本実施形態に係る表示装置2が備える発光素子層6は、基板4側から順に、陰極、発光層10、および、陽極を、積層して備えていてもよい。この場合、陰極はサブ画素ごとに島状に形成された画素電極であり、陽極は複数のサブ画素に対し共通に形成された共通電極である。
【0029】
本実施形態に係る表示装置2は、さらに、基板4上に、バンク14を備える。バンク14は、平面視において、互いに隣接するサブ画素の境界を跨ぐ位置に形成される。特に、画素電極8は、バンク14によって、画素電極8R、画素電極8G、および画素電極8Bに分離される。平面視においてバンク14と重なる領域は、発光を意図していない領域である非発光領域NLAである。なお、バンク14は、図1に示すように、画素電極8のそれぞれの周囲端部を覆う位置に形成されていてもよい。
【0030】
本実施形態において、バンク14のそれぞれは、共通電極12側に上面14Sを有する。ここで、本実施形態においては、バンク14のそれぞれは、上面14Sが、互いに隣接するサブ画素の境界を跨ぐように形成されている。このため、バンク14は、互いに発光色が異なるサブ画素を区画する。
【0031】
<外縁領域>
上面14Sを含む、バンク14の外表面における、発光層10の構成について、図1に示す、表示装置2の断面の一部拡大図を参照して説明する。図1に示す領域Cは、図1における表示装置2の概略断面図における、赤色サブ画素SPRと緑色サブ画素SPGとの境界を跨ぐ位置におけるバンク14の上面14Sの近傍に位置する領域である。また、図1に示す領域Cは、平面視においてバンク14と重なる位置にあるため、非発光領域NLAに含まれる。
【0032】
表示装置2における少なくとも1つの機能層は、主領域と、機能層の外縁に形成される外縁領域と、を有している。換言すれば、主領域は外縁領域に内接している。主領域には主リガンドが含まれ、外縁領域には主リガンドとは異なる性質を有する外縁リガンドが含まれる。ここで異なる性質とは、例えば、極性溶媒に対する溶解度が異なることを指す。例えば、「2種のリガンドが互いに異なる性質を有する」とは、例えば、一方のリガンドは極性溶媒に可溶であり、他方のリガンドは極性溶媒に難溶であるといった、互いの極性が異なることを指す。
【0033】
主領域には外縁リガンドが含まれないことが好ましいが、外縁リガンドが含まれていてもよい。少なくとも、外縁領域に含まれる単位体積当たりの外縁リガンドは、主領域における単位体積当たりの外縁リガンドよりも多い。また、外縁領域には主リガンドが含まれていても含まれていなくてもよいが、主領域に含まれる単位体積当たりの主リガンドは、外縁領域における単位体積当たりの主リガンドよりも多い。
【0034】
図1における領域Cの拡大図に示すバンク14の外表面には、赤色発光層10Rと緑色発光層10Gとが形成されている。ここで、赤色発光層10Rは、赤色第1主領域15Rと、赤色第1主領域15Rの緑色発光層10G側の端部の側面10RSに隣接して形成される赤色第1外縁領域16Rとを有する。また、赤色第1外縁領域16Rは、バンク14の上面14S上に形成され、緑色発光層10Gの、赤色発光層10R側の端部の側面10GSと接する。なお、赤色第1外縁領域16Rがバンク14の上面14Sに形成されていることから、赤色第1外縁領域16Rは、発光層10の平面視において、バンク14と重なる位置に形成されている。
【0035】
<主発光材料>
赤色第1主領域15R、および赤色第1外縁領域16Rについて、さらに、図1に示す、表示装置2の断面の他の一部拡大図を参照して説明する。図1に示す領域Dは、領域Cにおける、赤色第1外縁領域16Rと接する、赤色第1主領域15Rの側面10RSの近傍に位置する領域である。
【0036】
図1における領域Dの拡大図に示すように、赤色第1主領域15Rは、主発光材料として、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rを含む。本実施形態において、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rは、画素電極8からの正孔と共通電極12からの電子とが注入され、当該正孔および当該電子との再結合が生じることにより、励起子を生成する。さらに、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rは、生成した励起子によって励起されることにより、赤色に発光する。
【0037】
赤色量子ドット18Rのそれぞれは、例えば、コア22Rと、当該コア22Rの周囲を覆う、主シェルとしてのシェル24Rとを備えた、一般に、コア/シェル型と呼ばれる構造を有する。赤色量子ドット18Rにおける、電子と正孔との再結合および赤色光の生成は、主にコア22Rにおいて生じる。シェル24Rは、コア22Rの欠陥またはダングリングボンド等の発生を抑制し、失活過程を経るキャリアの再結合を低減する機能を有する。この場合、赤色主リガンド20Rは、シェル24Rの外表面に配位する。
【0038】
赤色量子ドット18Rは、コア22Rおよびシェル24Rのそれぞれの材料に、従来公知のコア/シェルを有する量子ドットのコア材およびシェル材に使用される材料を含んでいてもよい。また、本実施形態において、コア22Rは、直径R22Rを有し、シェル24Rは、厚みT24Rを有している。また、赤色主リガンド20Rは、赤色量子ドット18Rの凝集を低減する機能を有する、従来公知のリガンドに用いられる材料を含んでいてもよい。
【0039】
一方、図1における領域Dの拡大図に示すように、赤色第1外縁領域16Rは、複数の赤色量子ドット18Rと、当該赤色量子ドット18Rのそれぞれに配位する、外縁リガンドとしての赤色第1外縁リガンド28Rとを含む。
【0040】
本実施形態において、赤色第1主領域15Rが有する赤色主リガンド20Rと、赤色第1外縁領域16Rが有する赤色第1外縁リガンド28Rとは、互いに異なるリガンドである。例えば、赤色主リガンド20Rは、非極性溶媒に可溶、換言すれば、極性溶媒に難溶であり、赤色第1外縁リガンド28Rは、水を含む極性溶媒に可溶、換言すれば、非極性溶媒に難溶である。また、例えば、赤色主リガンド20Rが配位する赤色量子ドット18Rは、極性溶媒に難溶であり、赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rは、極性溶媒に可溶である。
【0041】
赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rは、赤色主リガンド20Rが配位する赤色量子ドット18Rと比較して、発光寿命が短い、あるいは、注入されたキャリアの密度に対する発光効率が低い。さらに、赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rは、発光しなくともよい。換言すれば、赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rは、発光寿命が0であってもよい。
【0042】
上記の通り、本実施形態に係る発光層10は、機能層である赤色発光層10Rを含む。赤色発光層10Rは、主領域である赤色第1主領域15Rと、外縁領域である赤色第1外縁領域16Rとを含む。本明細書において、主領域は、主に機能層の主機能を発揮できる領域であり、赤色発光層10Rにおいては、主に赤色に発光する発光領域に形成される。また、主領域は、非発光領域NLAにも形成されてもよい。外縁領域は、機能層である赤色発光層10Rの外縁に形成され、主領域に主に含まれる主リガンドとは異なる外縁リガンドを、リガンドとして主に含む領域である。外縁リガンドは、赤色発光層10Rにおいては、非発光領域NLAに形成される。
【0043】
<外縁領域の他の例>
バンク14の外表面における、発光層10の他の構成について、図3に示す、表示装置2の断面の他の一部拡大図を参照して説明する。図3に示す領域Eは、図1における表示装置2の概略断面図における、緑色サブ画素SPGと青色サブ画素SPBとの境界を跨ぐ位置におけるバンク14の上面14Sの近傍に位置する領域である。
【0044】
図3における領域Eの拡大図に示すバンク14の外表面には、緑色第1主領域15Gおよび緑色第1外縁領域16Gを有する緑色発光層10Gと、青色発光層10Bとが形成されている。ここで、緑色第1主領域15Gの、青色発光層10B側の端部の側面10GSに隣接して、緑色第1外縁領域16Gが形成されている。また、緑色第1外縁領域16Gは、バンク14の上面14S上に形成され、青色発光層10Bの、緑色発光層10G側の端部の側面10BSと接する。
【0045】
緑色発光層10Gは、緑色光を発する主発光材料を含む。緑色発光層10Gは、主発光材料として、緑色主リガンドが配位した緑色量子ドットを含む。
【0046】
緑色第1外縁領域16Gは、緑色発光層10Gが含む緑色主リガンドが配位した緑色量子ドットと異なる、緑色第1外縁リガンドが配位した緑色量子ドットを含む。緑色第1外縁領域16Gは、例えば、赤色第1外縁領域16Rと同じく、緑色主リガンドが配位した緑色量子ドットよりも発光効率の低い、または発光寿命の短い、緑色第1外縁リガンドが配位した緑色量子ドットを含んでいてもよい。
【0047】
<表示装置の奏する効果>
赤色発光層10Rの赤色発光領域LARは、赤色主リガンド20Rが配位する赤色量子ドット18Rを有する。加えて、赤色発光層10Rは、赤色発光層10Rの外縁に位置し、赤色主リガンド20Rとは異なる赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rを有する、赤色第1外縁領域16Rを備える。
【0048】
ナノ粒子を含む機能層が発揮する機能は、水分の浸透等により低下する場合がある。例えば、赤色発光層10Rは、製造工程において、または、表示装置の一部破損等により、水分に接する可能性がある。これらにより、赤色発光層10Rにおいては、発光効率または発光寿命の劣化が生じる可能性がある。しかし、本実施形態に係る赤色発光層10Rにおいては、赤色第1外縁領域16Rが、赤色発光層10Rの外縁から赤色第1主領域15Rへの水分の浸透等を抑える。これにより、赤色発光層10Rは、赤色発光領域LARを水分から保護し、赤色発光層10Rの機能の低下を抑え、発光効率または発光寿命の劣化を防ぐことができる。
【0049】
具体的には、例えば、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが、極性溶媒に可溶である場合、赤色第1主領域15Rが水分に接すると、水分が赤色第1主領域15R全体に浸透する場合がある。これにより、赤色発光層10Rにおいては、発光効率または発光寿命の劣化が生じる可能性がある。しかし、本実施形態においては、赤色第1外縁領域16Rに、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rとは異なり、極性溶媒に難溶である、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが含まれる。この場合には、赤色発光層10Rが、当該赤色発光層10Rの外縁において水分に接した場合においても、赤色第1外縁領域16Rにより赤色第1主領域15Rが水分に接触することを防ぎ、赤色発光層10Rの発光効率または発光寿命の劣化を防ぐことができる。
【0050】
また、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが極性溶媒に難溶である場合であっても、赤色第1主領域15Rが水分に接した場合には水分が赤色第1主領域15R全体に浸透する可能性がある。しかしながら、赤色第1外縁領域16Rには、極性溶媒に可溶である赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが含まれる。これにより、赤色発光層10Rの外縁において水分が保持されるために、当該水分が赤色第1主領域15R全体に浸透し難くなり、赤色発光層10Rの発光効率または発光寿命の劣化を防ぐことができる。
【0051】
緑色発光層10Gにおいても、同様に、緑色第1外縁領域16Gが、緑色発光層10Gの外縁から緑色第1主領域15Gへの水分の浸透等を抑える。これにより、緑色発光層10Gは、緑色発光領域LAGを水分から保護し、緑色発光層10Gの機能の低下を抑え、発光効率または発光寿命の劣化を防ぐことができる。
【0052】
なお、本実施形態において、青色発光層10Bは主領域のみを備えていてもよい。換言すれば、本実施形態に係る表示装置2の発光層10は、複数の発光層のうち、少なくとも一つの発光層が、主領域と、該発光層の外縁端部に形成された外縁領域とを有していればよい。
【0053】
上述の場合、発光層10は、発光色が互いに異なる、赤色発光層10Rと、緑色発光層10Gと、青色発光層10Bとの、3種の発光層を備える。さらに、発光層10は、赤色発光層10Rと、緑色発光層10Gとの、2種の前記発光層のみが、それぞれ、主領域と外縁領域とを含む。
【0054】
なお、発光層10は、赤色発光領域LARを有する赤色発光層10Rと、緑色発光領域LAGを有する緑色発光層10Gと、青色発光領域LABを有する青色発光層10Bとを備える。ただし、発光層10は、当該3種の発光層の他、黄色光を発する黄色発光領域を有する黄色発光層等を含む、他の発光層をさらに含んでいてもよい。例えば、発光層10は、nを2以上の自然数として、発光色が互いに異なるn種の発光領域を備え、(n-1)種の発光領域のみが、それぞれ、主領域と外縁領域とを含んでいてもよい。
【0055】
なお、本実施形態においては、表示装置2の赤色発光層10Rと緑色発光層10Gとのそれぞれが、主領域と外縁領域とを備える構成について説明したが、これに限られない。例えば、表示装置2が備える発光層のうち、赤色発光層10Rのみが、主領域と外縁領域とを備え、緑色発光層10Gは、主領域である緑色第1主領域15Gのみを備えていてもよい。
【0056】
<主発光材料の詳細>
本実施形態において、赤色第1主領域15Rにおける赤色主リガンド20Rと、赤色第1外縁領域16Rにおける赤色第1外縁リガンド28Rとは、互いに異なるリガンドである。このため、本実施形態に係る表示装置2は、赤色第1外縁領域16Rに対し、赤色第1主領域15Rと異なる機能を、含むリガンドの差異によって、より効率的に付与することができる。
【0057】
例えば、本実施形態において、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが、非極性溶媒に可溶であり、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが、極性溶媒に可溶であってもよい。赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが極性溶媒に可溶である場合、当該赤色量子ドット18Rは、赤色第1外縁領域16R側から赤色発光層10Rに浸透した水分の少なくとも一部を保持することができる。これにより、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが極性溶媒に可溶である場合、赤色発光層10Rは、赤色第1主領域15Rへの水分の浸透を防ぐことができる。これにより、赤色第1主領域15Rへの水分の浸透が低減し、赤色発光層10Rの主発光材料の劣化が低減する。
【0058】
例えば、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが非極性溶媒に可溶であるとする。この場合、赤色主リガンド20Rは、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホン基、ホスフィン基、およびホスフィンオキシド基からなる群から少なくとも1種を配位性官能基として含むリガンドであってもよい。
【0059】
上記配位性官能基としてチオール基を1つ有するリガンドとしては、例えば、オクタデカンチオール、ヘキサンデカンチオール、テトラデカンチオール、ドデカンチオール、デカンチオール、オクタンチオール等を含む、チオール系のリガンドが挙げられる。
【0060】
上記配位性官能基としてアミノ基を1つ有するリガンドとしては、例えば、オレイルアミン、ステアリル(オクタデシル)アミン、ドデシル(ラウリル)アミン、デシルアミン、オクチルアミン等を含む、第1級アミン系のリガンドが挙げられる。
【0061】
上記配位性官能基としてカルボキシル基を1つ有するリガンドとしては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリル(ドデカン)酸、デカン酸、オクタン酸等を含む、脂肪酸系のリガンドが挙げられる。
【0062】
上記配位性官能基としてホスホン基を1つ有するリガンドとしては、例えば、ヘキサデシルスルホン酸等を含む、ホスホン酸系のリガンドが挙げられる。
【0063】
上記配位性官能基としてホスフィン基を1つ有するリガンドとしては、例えば、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等を含む、ホスフィン系のリガンドが挙げられる。
【0064】
上記配位性官能基としてホスフィンオキシド基を1つ有するリガンドとしては、例えば、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド等を含む、ホスフィンオキシド系のリガンドが挙げられる。
【0065】
赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが、非極性溶媒に可溶である場合、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rは、例えば、極性溶媒に可溶である。この場合、赤色第1外縁リガンド28Rは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、2-アミノエタンチオール塩酸塩、2-メタンアミノエタンチオール塩酸塩、2-エタンアミノエタンチオール塩酸、2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩、2-メチルエチルアミノエタンチオール塩酸塩、および、2-ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩を含む群から、少なくとも一種を含んでいてもよい。また、赤色第1外縁リガンド28Rは、高極性溶媒に分散できる無機系リガンド(例えば、S2-,Cl-,Br-,I-,F-等)を含んでいてもよい。
【0066】
一方、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが、極性溶媒に可溶であり、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが、非極性溶媒に可溶であってもよい。この場合、赤色主リガンド20Rは、例えば、赤色第1外縁リガンド28Rが配位した赤色量子ドット18Rが、極性溶媒に可溶である場合の、赤色第1外縁リガンド28Rと同様のリガンドである。また、上記の場合、赤色第1外縁リガンド28Rは、例えば、赤色主リガンド20Rが配位した赤色量子ドット18Rが、非極性溶媒に可溶である場合の、赤色主リガンド20Rと同様のリガンドである。
【0067】
なお、本実施形態においては、赤色発光層10R、緑色発光層10G、および青色発光層10Bのそれぞれが、主発光材料として、無機の量子ドット材料を含む場合について説明した。しかしながら、これに限られず、本実施形態においては、赤色発光層10R、緑色発光層10G、および青色発光層10Bのそれぞれが、主発光材料として、有機発光材料を含んでいてもよい。
【0068】
この場合、赤色第1外縁領域16Rおよび緑色第1外縁領域16Gのそれぞれは、赤色発光層10Rおよび緑色発光層10Gのそれぞれが含む有機発光材料の変質物である、第1有機材料をそれぞれ含んでいてもよい。なお、有機発光材料の変質物とは、当該有機発光材料の一部元素を置換した材料、または、当該有機発光材料の酸化物等を含む。
【0069】
<表示装置の製造方法の概要>
本実施形態に係る表示装置2の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法について説明するためのフローチャートである。なお、上述した変形例に係る表示装置2は、特に説明のない限り、本実施形態に係る表示装置2と同一の手法により製造することが可能である。
【0070】
本実施形態に係る表示装置2の製造方法において、はじめに、基板4を形成する(ステップS2)。基板4の形成は、表示装置2の各サブ画素を形成する位置に合わせて、ガラス基板にTFTを形成することにより実行されてもよい。
【0071】
次いで、画素電極8を形成する(ステップS4)。画素電極8は、例えば、上述したように、スパッタ法等によって、導電性材料をサブ画素に対し共通に成膜したのち、当該導電性材料の薄膜をサブ画素ごとにパターニングすることにより形成してもよい。
【0072】
次いで、バンク14を形成する(ステップS6)。バンク14は、例えば、感光性材料を含む樹脂材料を基板4および画素電極8上に塗布した後、当該樹脂材料の、フォトリソグラフィによるパターニングを実行することにより形成してもよい。
【0073】
<発光層の成膜およびエッチング>
ステップS6以降の、本実施形態に係る表示装置2の製造方法における各工程について、図5から図8を参照してより詳細に説明する。図5から図8は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法の一部工程における、表示装置2の工程断面図である。なお、図5から図8を含む、本明細書における工程断面図は、特に説明のない限り、図1に示す表示装置2の断面と対応する位置の断面について示す。
【0074】
ステップS6までの各工程を実行することにより、図5のステップS6に示すように、基板4上に、画素電極8とバンク14とが形成された構造体が形成される。なお、画素電極8は、導電性材料のサブ画素ごとのパターニングにより形成された、赤色サブ画素SPRにおける画素電極8Rと、緑色サブ画素SPGにおける画素電極8Gと、青色サブ画素SPBにおける画素電極8Bとのそれぞれを、島状の画素電極として含む。また、バンク14は、各サブ画素の境界と、各画素電極8の外周端部とを覆う位置に形成される。
【0075】
本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、バンク14の形成に次いで、赤色発光層10Rを成膜する(ステップS8)。ステップS8は、第1主リガンド(赤色主リガンド20R)および第1ナノ粒子(赤色量子ドット18R)を含む、第1機能層(赤色発光層10R)を成膜する、第1機能層成膜工程である。赤色発光層10Rは、複数のサブ画素に共通して形成される。赤色発光層10Rの成膜は、例えば、塗布等を用いて実行してもよい。
【0076】
次いで、赤色発光層10R上に、第1レジスト層38を成膜する(ステップS10)。ステップS10は、第1機能層(赤色発光層10R)の上層に、第1レジスト層38を成膜する、第1レジスト層成膜工程である。本実施形態に係る第1レジスト層38は、感光性を有する樹脂材料を含む。特に、第1レジスト層38は、例えば、紫外線を照射することにより、特定の現像液に対する溶解性が向上する、ポジ型のフォトレジストである。第1レジスト層38は、例えば、紫外線を照射することにより、アルカリ性の溶媒に溶解する。第1レジスト層38は、例えば、感光性を有する樹脂材料を含む溶液を、赤色発光層10R上に、塗布することにより成膜する。
【0077】
また、第1レジスト層38は、露光の有無に関わらず、特定の溶媒に可溶であってもよい。例えば、第1レジスト層38は、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に可溶であってもよい。加えて、第1レジスト層38は、紫外線を照射することにより、特定の現像液に対する難溶性を獲得する、ネガ型のフォトレジストであってもよい。
【0078】
次いで、第1レジスト層38の露光を実施する(ステップS12)。ステップS12は、第1レジスト層38に対する露光を行う、第1露光工程である。ステップS12においては、例えば、第1レジスト層38の一部を除去するための前段階として、第1露光工程を実行する。第1露光工程は、例えば、フォトマスクを用いて、第1レジスト層38の一部のみに紫外線を照射することにより実行する。
【0079】
次いで、第1レジスト層38の現像を実施する(ステップS14)。ステップS14は、第1レジスト層38の現像を行う、第1現像工程である。ステップS14においては、例えば、第1レジスト層38を特定の現像液によって洗浄することにより、第1レジスト層38の一部を除去する。
【0080】
本実施形態においては、緑色サブ画素SPGおよび青色サブ画素SPBと重なる位置に形成された第1レジスト層38のみを、ステップS14において除去する。このため、ステップS14の完了時点において、緑色サブ画素SPGおよび青色サブ画素SPBと重なる位置において、赤色発光層10Rが露出する。
【0081】
次いで、赤色発光層10Rの一部を、第1レジスト層38の側の表面からエッチングする(ステップS16)、第1エッチング工程を実行する。第1エッチング工程は、例えば、赤色発光層10Rが可溶である第1エッチング液により、第1レジスト層38から露出した赤色発光層10Rを洗浄することにより実施される。
【0082】
当該第1エッチング工程により、緑色サブ画素SPGおよび青色サブ画素SPBと重なる位置において、第1レジスト層38から露出した赤色発光層10Rのみがエッチングされる。このために、ステップS16においては、緑色サブ画素SPGおよび青色サブ画素SPBと重なる位置に形成された赤色発光層10Rが除去される。
【0083】
第1エッチング液は、例えば、赤色第1外縁リガンド28Rと、溶媒である水と、を含む。赤色主リガンド20Rが非極性溶媒に可溶であり、赤色第1外縁リガンド28Rが極性溶媒に可溶である場合、赤色第1主領域15Rの赤色主リガンド20Rは、第1エッチング液に接触することにより、赤色第1外縁リガンド28Rに置換される。これにより、赤色発光層10Rは水に溶けるようになり、赤色第1外縁リガンド28Rに置換された赤色発光層10Rは、第1エッチング液により除去される。
【0084】
<外縁領域の形成工程>
図9は、本実施形態に係る表示装置2の製造過程における表示装置2の断面の拡大図である。図9に示す領域Fは、図6のステップS16に示す領域Fの拡大図の一例である。ステップS14においては、第1レジスト層38から露出した赤色発光層10Rの端面が第1エッチング液に触れる。これにより、当該端面を含む、赤色発光層10Rの外縁が含む量子ドットに配位するリガンドは、赤色発光層10Rが含む量子ドットに配位するリガンドと異なるリガンドに置換される。これによって、赤色発光層10Rの外縁に赤色第1外縁リガンド28Rが導入される。
【0085】
含むリガンドが赤色第1外縁リガンド28Rに置換された赤色発光層10Rは、第1レジスト層38と重なるために、ステップS16において、少なくとも一部が除去されない。このため、ステップS16において、赤色発光層10Rの外縁のリガンドが置換され、かつ、バンク14の上面14S上に残存することにより、赤色第1外縁領域16Rが形成される。換言すれば、第1エッチング工程は、赤色発光層10Rの少なくとも一部の外縁に、主リガンドと異なる第1外縁リガンドを有する第1外縁領域を形成することが含まれる。また、赤色第1外縁領域16Rの形成の際に、第1レジスト層38から露出した、赤色発光層10Rの外縁が、第1エッチング液により一部除去されてもよい。
【0086】
第1エッチング液は、例えば、露光後の第1レジスト層を溶解するレジスト溶解成分と、第1外縁リガンドと、第1外縁リガンドを含む溶質が溶解する溶媒を含む。第1エッチング工程においては、例えば、第1ナノ粒子に第1外縁リガンドが配位するが、「第1外縁リガンドを含む溶質」は第1外縁リガンドが配位した状態の第1ナノ粒子を含んでいてもよい。
【0087】
一般的に知られていることだが、リガンド単体の溶媒への溶解性と、リガンドが量子ドットに配位したときの溶質の溶解性は完全に等しくはなく、一方の溶解性の範囲が狭くなる。具体的には、例えば、オレイン酸は単体では高極性溶媒のメタノールまたは非極性溶媒のトルエンに溶解することができる。一方、オレイン酸が量子ドットに配位することにより、オレイン酸の骨格に含まれる-COOHの極性部位が量子ドットとの配位で中和され、オレイン酸が配位した量子ドットの極性が低下する。よって、オレイン酸が配位した量子ドットは高極性のメタノールには溶解せず、トルエンなどの非極性溶媒にのみ溶解するようになる。このように、第1エッチング液は、第1外縁リガンドが配位した状態の第1ナノ粒子を溶解することができる溶媒を含んでいてもよい。
【0088】
なお、第1エッチング液に、水および当該水に溶解する赤色第1外縁リガンド28Rを添加する例を説明したが、これに限られない。例えば、第1エッチング液は、極性を有する溶媒として、MeOH(メタノール)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、アセトニトリル、エチレングリコール、および、DMSO(ジメチルスルホキシド)を含む群から、少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0089】
また、第1エッチング液は、上述した極性を有する溶媒に溶解する赤色第1外縁リガンド28Rを含んでいてもよい。例えば、第1エッチング液は、S、Cl、Br、またはIを含むハロゲンを、赤色第1外縁リガンド28Rとして含んでいてもよい。または、第1エッチング液は、S2-を含む無機系リガンドを含んでいてもよく、あるいは、極性分散用リガンドを含んでいてもよい。さらに、第1エッチング液は、赤色第1外縁リガンド28Rとして、上述した、TMAH、または2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩を含んでいてもよい。
【0090】
赤色第1外縁リガンド28Rを含む第1エッチング液が、赤色発光層10Rの外縁と接すると、当該接する部分において、赤色量子ドット18Rに配位するリガンドが、赤色主リガンド20Rと赤色第1外縁リガンド28Rとの間において平衡状態となる。ここで、第1エッチング液が含む赤色第1外縁リガンド28Rの濃度が、赤色発光層10Rが含む赤色主リガンド20Rの濃度よりも高いとする。この場合、赤色発光層10Rの外縁において、赤色量子ドット18Rに配位するリガンドの多くが、赤色第1外縁リガンド28Rに置き換わる蓋然性が向上する。具体的には、第1エッチング液は、赤色第1外縁リガンド28Rを、0.013mol/L以上含んでいてもよい。
【0091】
赤色発光層10Rの外縁の変質は、赤色発光層10Rの外縁における、赤色量子ドット18Rに配位するリガンドの置換に相当する。このため、赤色発光層10Rの外縁には、赤色量子ドット18Rに配位するリガンドが、赤色主リガンド20Rから赤色第1外縁リガンド28Rに置換された赤色第1外縁領域16Rが形成される。したがって、上述の場合には、赤色第1外縁領域16Rが含む量子ドットは、配位するリガンドを除き、赤色量子ドット18Rと同一の構成を備えていてもよい。
【0092】
<レジスト層の現像と主発光材料層のエッチングとの関係>
第1現像工程および第1エッチング工程は、第1エッチング液により、同時に、または、この順に連続して行われてもよい。なお、本明細書において、「2つの工程が連続して行われる」とは、当該2つの工程のうち、一方の先の工程を開始した場合、特定の操作を行うことなく、先の工程が完了し、他方の後の工程が開始することを指す。換言すれば、本明細書において、「2つの工程が連続して行われる」とは、2つの工程を実行するための作業が同一の作業であり、当該作業により、当該2つの工程が連続して実行されることを指す。
【0093】
例えば、第1レジスト層38がPGMEAに溶解し、紫外線照射でアルカリに溶解する場合、第1エッチング液に、例えば、レジスト溶解成分と、赤色第1外縁リガンド28Rと、溶媒である水と、を含み、アルカリ性である液を用いてもよい。これにより、第1エッチング液を、第1レジスト層38の現像液としても利用することができる。赤色第1外縁リガンド28Rは、例えばTMAHであり、第1エッチング液のレジスト溶解成分は、例えばTMAH現像液(2.38wt%)である。
【0094】
この場合、紫外線照射によりアルカリに溶解するようになった第1レジスト層38は、第1エッチング液により現像される。また、第1レジスト層38から露出した赤色発光層10Rに含まれていた赤色主リガンド20Rは、赤色第1外縁リガンド28Rに置換される。赤色発光層10Rは、赤色主リガンド20Rが赤色第1外縁リガンド28Rに置換されることにより、水に溶けるようになる。このため、含むリガンドが赤色第1外縁リガンド28Rに置換された赤色発光層10Rは、第1エッチング液により除去される。
【0095】
さらに、第1エッチング液は、赤色第1外縁リガンド28Rを含む。このため、赤色発光層10Rの端面が、第1エッチング液に触れた際に、赤色発光層10Rの外縁において、赤色量子ドット18Rに配位する赤色主リガンド20Rは、赤色主リガンド20Rと異なる赤色第1外縁リガンド28Rに置換される。これにより、赤色発光層10Rの外縁には、赤色第1外縁領域16Rが形成される。すなわち、第1レジスト層38の現像と、赤色発光層10Rのエッチングと、赤色第1外縁領域16Rの形成とが、第1エッチング液により、同時に、またはこの順に連続して実施されてもよい。
【0096】
第1エッチング液は、水溶液がアルカリ性を呈する溶質を個別に備えていてもよい。例えば、アルカリ性の第1エッチング液としては、例えば、KOHを含む水溶液を採用してもよい。また、第1エッチング液は、溶媒中に分散させた場合にアルカリ性を呈する赤色第1外縁リガンド28Rを含んでいてもよい。例えば、上述したTMAHを、第1エッチング液が赤色第1外縁リガンド28Rとして含む場合、当該第1エッチング液はアルカリ性を呈する。このように、溶媒中に分散させた場合にアルカリ性を呈する赤色第1外縁リガンド28Rを、第1エッチング液が含む場合、第1エッチング液をアルカリ性とするための溶質を、個別に第1エッチング液に添加する必要がなく、材料コストが低減する。
【0097】
なお、第1エッチング液は、非極性有機溶媒および当該非極性有機溶媒に溶解する赤色第1外縁リガンド28Rを含んでいてもよい。非極性有機溶媒に溶解する赤色第1外縁リガンド28Rには、例えば、上述した、疎水性を有するリガンドを採用することができる。非極性有機溶媒は、例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、トルエン、および、ドデカンを含む群から少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0098】
この場合、ステップS16において、赤色第1外縁リガンド28Rが配位する赤色量子ドット18Rは、第1エッチング液が含む非極性有機溶媒に可溶となる。このため、赤色量子ドット18Rのリガンドが置換された赤色発光層10Rのみが、非極性有機溶媒を含む第1エッチング液によって除去される。
【0099】
<第1レジスト層の剥離による緑色主発光材料層のパターニング>
赤色発光層10Rのエッチング工程に次いで、緑色発光層10Gを成膜する(ステップS18)。ステップS18は、第2主リガンド(緑色主リガンド)が配位し、かつ、第1ナノ粒子(赤色量子ドット)と異なる第2ナノ粒子(緑色量子ドット)を含む、第2機能層(緑色発光層10G)を成膜する、第2機能層成膜工程である。特に、緑色発光層10Gは、緑色光を発する量子ドットを含み、主リガンドとして、当該量子ドットに配位するリガンドを含む。ここで、残存した第1レジスト層38と重なる位置において、緑色発光層10Gは、第1レジスト層38上に形成される。なお、緑色発光層10Gの成膜は、成膜する層が含む材料を除き、赤色発光層10Rの成膜と同一の手法によって実行してもよい。
【0100】
<第2エッチング工程>
次いで、緑色発光層10G上に、第2レジスト層40を成膜する(ステップS20)。ステップS20は、第2レジスト成膜工程である。本実施形態に係る第2レジスト層40は、第1レジスト層38と同一の構成を備えていてもよい。また、第2レジスト層40の成膜は、ステップS10と同一の手法により実施されてもよい。
【0101】
次いで、第2レジスト層40の露光を実施する(ステップS22)。ステップS22は、第2レジスト層40に対して露光を行う、第2露光工程である。ステップS22においては、例えば、第2レジスト層40の一部を除去するための前段階として、第2露光工程を実行する。第2露光工程は、第1露光工程と同一の手法により、第2レジスト層40に対する露光を実施することにより実行してもよい。
【0102】
次いで、第2レジスト層40の現像を実施する(ステップS24)。ステップS24は、第2レジスト層40の現像を行う、第2現像工程である。ステップS24においては、例えば、第2レジスト層40を特定の現像液によって洗浄することにより、第2レジスト層40の一部を除去する。
【0103】
本実施形態においては、青色サブ画素SPBと重なる位置に形成された第2レジスト層40のみを、ステップS24において除去する。このため、ステップS24の完了時点において、青色サブ画素SPBと重なる位置において、緑色発光層10Gが露出する。
【0104】
次いで、緑色発光層10G(第2機能層)の一部をエッチングする(ステップS26)、第2エッチング工程を実行する。第2エッチング工程は、例えば、第2エッチング液により、第2レジスト層40から露出した緑色発光層10Gを洗浄することにより実施される。なお、第2エッチング液は、上述した第1エッチング液と同一の構成を備えていてもよい。
【0105】
当該第2エッチング工程により、青色サブ画素SPBと重なる位置において、緑色発光層10Gがエッチングされる。このために、ステップS26においては、青色サブ画素SPBと重なる位置に形成された緑色発光層10Gが除去される。
【0106】
図9に示す領域Gは、図8のステップS26に示す領域Gの拡大図の一例である。ステップS26においては、第2レジスト層40と重なる位置においても、第2レジスト層40から露出した緑色発光層10Gの外縁が第2エッチング液に触れる。これにより、当該端部の近傍が含む量子ドットに配位するリガンドが、緑色発光層10Gが含む量子ドットに配位する主リガンドと異なる外縁リガンドに置換する。
【0107】
当該変質した緑色発光層10Gは、第2レジスト層40と重なるために、ステップS26において除去されない。このため、ステップS26において、緑色発光層10Gの外縁が変質し、かつ、バンク14の上面14S上に残存することにより、緑色第1外縁領域16Gが形成される。換言すれば、第2エッチング工程においては、第2機能層の少なくとも一部の側面に、第2主リガンドと異なる第2外縁リガンドを有する第2外縁領域を形成する工程が同時に実行される。
【0108】
これにより、ステップS26の完了時点において、緑色サブ画素SPGと重なる位置への、緑色第1主領域15Gと緑色第1外縁領域16Gとを備えた緑色発光層10Gの形成が完了する。加えて、ステップS26の完了時点において、青色サブ画素SPBと重なる位置における緑色発光層10Gが除去される。
【0109】
なお、緑色第1外縁領域16Gの形成は、上述した、赤色第1外縁領域16Rの形成と同一の手法により実施されてもよい。換言すれば、ステップS24およびステップS26における、第2レジスト層40のパターニングと、緑色発光層10Gのエッチングと、緑色第1外縁領域16Gの形成とは、同時に実施されてもよい。また、緑色第1外縁領域16Gの形成の際に、第2レジスト層40から露出した、緑色発光層10Gの外縁が、第2エッチング液により一部除去されてもよい。
【0110】
<第2レジスト層の剥離による青色発光層のパターニング>
次いで、第3主リガンドが配位し、かつ、第1ナノ粒子(赤色量子ドット)および第2ナノ粒子(緑色量子ドット)の双方と異なる、第3ナノ粒子を含む青色発光層10Bを、第3機能層として成膜する(ステップS28)。ステップS28は、第3機能層成膜工程である。特に、青色発光層10Bは、第3ナノ粒子として、青色光を発する青色量子ドットを含み、第3主リガンドとして、当該青色量子ドットに配位する青色主リガンドを含む。ここで、残存した第2レジスト層40と重なる位置において、青色発光層10Bは、第2レジスト層40上に形成される。なお、青色発光層10Bの成膜は、成膜する層が含む材料を除き、赤色発光層10Rまたは緑色発光層10Gの成膜と同一の手法によって実行してもよい。
【0111】
次いで、残存した第1レジスト層38および第2レジスト層40の剥離を実行する(ステップS30)。ステップS30は、剥離工程である。第1レジスト層38および第2レジスト層40が、PEGMAを含む有機溶媒に可溶である場合、ステップS30は、例えば、当該有機溶媒によって、第1レジスト層38および第2レジスト層40を洗浄することによって実施してもよい。これにより、第1レジスト層38および第2レジスト層40上に形成された青色発光層10Bについても、第1レジスト層38および第2レジスト層40の剥離と同時に除去される。したがって、ステップS30において、青色発光層10Bは、青色サブ画素SPBと重なる位置のみに残存する。
【0112】
したがって、ステップS30の完了時点において、青色サブ画素SPBと重なる位置への、青色発光層10Bの形成が完了し、発光層10の形成が完了する。なお、青色発光層10Bの形成工程においては、青色発光層10Bと隣接する層のエッチング工程が存在しない。このため、青色サブ画素SPBには、外縁領域が形成されない。上記に説明した製造方法においては、最後に形成される発光領域が、外縁領域を含まない。このため、発光色が互いに異なるn種の発光領域を、表示装置2が備える場合、(n-1)種の発光領域のみが、それぞれ、主領域と第1外縁領域とを含むことになる。
【0113】
次いで、発光層10の上層に、複数のサブ画素の共通の共通電極12を成膜することにより、発光素子層6の形成が完了する。共通電極12の成膜は、画素電極8の形成工程における、導電性材料の成膜と同一の手法により実施してもよい。なお、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、発光素子層6の形成工程の後に、発光素子層6の上層に、封止層を形成してもよい。以上により、本実施形態に係る表示装置2が製造される。
【0114】
<サブ画素の形成パターンの例>
本実施形態に係る表示装置2が含む各サブ画素の形成パターンについて、図10および図11を参照して説明する。図10および図11は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法の一部工程における、表示装置2の工程平面図である。
【0115】
本明細書の工程平面図においては、それぞれ、紙面に向かって左右2画素分、上下3画素分の、計6つの画素Pを抜き出した平面図を示している。なお、本明細書の工程平面図には、画素P同士の境界を点線にて示している。さらに、本明細書の工程平面図においては、図示の簡単のために、外縁領域の図示を省略している。加えて、本明細書の工程平面図においては、図示の簡単のために、レジスト層の図示を省略し、当該レジスト層を透過して図示している。
【0116】
本実施形態においては、赤色発光層10Rと、緑色発光層10Gと、青色発光層10Bとのそれぞれが、複数の画素に渡って共通に形成されていてもよい。この場合、本実施形態に係る製造方法におけるステップS16、およびステップS30のそれぞれは、例えば、図10のステップS16A、およびステップS30Aに示す構造が得られるように実行される。
【0117】
また、本実施形態においては、赤色発光層10Rと、緑色発光層10Gと、青色発光層10Bとの何れか1つが、全ての画素に渡って共通に形成されていてもよい。この場合、本実施形態に係る製造方法におけるステップS16、およびステップS30のそれぞれは、例えば、図10のステップS16B、およびステップS30Bに示す構造が得られるように実行される。これにより、図10のステップS30Bに示すように、緑色発光層10Gが全ての画素に共通して形成された表示装置2が製造できる。
【0118】
あるいは、本実施形態に係る製造方法におけるステップS16、およびステップS30のそれぞれは、例えば、図11のステップS16C、およびステップS30Cに示す構造が得られるように実行されてもよい。これにより、図11のステップS30Cに示すように、赤色発光層10Rが全ての画素に共通して形成された表示装置2が製造できる。
【0119】
さらに、本実施形態においては、1種の発光領域を全ての画素に共通して備え、かつ、残る2種の発光領域を、島状に備えていてもよい。この場合、本実施形態に係る製造方法におけるステップS16、およびステップS30のそれぞれは、例えば、図10のステップS16D、およびステップS30Dに示す構造が得られるように実行される。これにより、図11のステップS30Dに示すように、全ての画素に対し共通の赤色発光層10Rに囲まれる位置に、島状の緑色発光層10Gおよび青色発光層10Bが形成された表示装置2が製造できる。
【0120】
なお、図11のステップS30Dに示す構造を表示装置2が備える場合、ステップS16において、赤色発光層10Rの端部のみが、第1レジスト層38から露出する。このため、図11のステップS30Dに示す構造を表示装置2が備える場合、ステップS16において、赤色発光層10Rの端部にのみ、赤色第1外縁領域16Rが形成される。ゆえに、図11のステップS30Dに示す構造を備えた表示装置2は、緑色発光層10Gに、緑色第1主領域15Gのみが形成され、緑色第1外縁領域16Gが形成されない。
【0121】
<製造方法に関わる効果>
本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、赤色発光層10Rをエッチングする際、赤色発光層10Rが含む赤色量子ドット18Rに配位するリガンドを、赤色主リガンド20Rから赤色第1外縁リガンド28Rに置換する工程を含む。当該工程により、赤色発光層10Rのエッチング工程と、赤色発光層10Rの外縁への赤色第1外縁領域16Rの形成とを、併せて実施することができる。
【0122】
このため、本実施形態に係る表示装置2の製造方法によれば、赤色発光層10Rのエッチングを行った後、別途赤色第1外縁領域16Rの形成を行う必要がない。したがって、当該製造方法によれば、製造工程のタクトタイムの短縮、および製造工程の簡素化を実現する。
【0123】
また、赤色発光層10Rのエッチング工程と、赤色発光層10Rの外縁への赤色第1外縁領域16Rの形成とを、併せて実施することにより、製造工程における、水による洗浄等による外縁領域からの水分浸透から、主領域が保護される。このため、上記構成により、主領域への水分の浸透等により主領域の機能が低下することが防がれる。
【0124】
また、レジスト層のフォトリソグラフィの回数が低減するために、上記製造方法においては、各発光領域の位置合わせがより厳密に実施できるようになる。また、各発光領域の第1外縁領域の位置ズレは、主発光領域の位置ズレと比較すると表示装置2による表示に大きく影響を及ぼさない。このため、上記製造方法においては、各発光領域の位置ズレの許容範囲が広くなる。したがって、上記製造方法は、高精細の表示装置2の製造をより簡便とする点において有利である。
【0125】
加えて、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、各レジスト層の現像と、赤色発光層10Rのエッチングと、赤色第1外縁領域16Rの形成とを、同一の工程において実行できる。当該工程は、レジスト層の現像工程における現像液、および赤色発光層10Rのエッチング液を適切に設計することにより実施することができる。上記工程により、本実施形態に係る表示装置2の製造方法は、必要な工程数および材料コストを低減することが可能である。
【0126】
なお、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、発光層のエッチング工程、またはレジスト層の剥離工程において、廃液から主発光材料のみを分離し、当該主発光材料を再利用してもよい。廃液からの主発光材料の分離は、例えば、当該廃液の遠心分離により実施してもよい。
【0127】
また、主発光材料が、主リガンドが配位する主量子ドットを含む場合、上記エッチング工程において得られる廃液が含む主量子ドットに配位するリガンドが、第1外縁リガンドに置換している場合がある。この場合、本実施形態においては、当該廃液から抽出した主量子ドットおよび第1外縁リガンドを含む溶液を、主リガンドが分散する溶液と撹拌することにより、主量子ドットに配位するリガンドを主リガンドに再度置換してもよい。
【0128】
具体的には、各エッチング工程に次いで、当該エッチング工程において用いたエッチング液から、量子ドットと、当該量子ドットに配位する外縁リガンドとを回収する回収工程を実行してもよい。また、回収工程に次いで、回収された量子ドットに配位するリガンドを、外縁リガンドから主リガンドに置換する置換工程をさらに実行してもよい。
【0129】
発光素子層6は、画素電極8と発光層10との間に、機能層として、主リガンドが配位する量子ドットと、当該主リガンドとは異なる外縁リガンドが配位する量子ドットを有する正孔注入層、または正孔輸送層を備えていてもよい。この場合、当該量子ドットは、正孔輸送性を有する。
【0130】
上記構成において、正孔注入層、または正孔輸送層は、主リガンドが配位する量子ドットを主領域に備え、外縁リガンドが配位する量子ドットを、当該主領域の少なくとも一部の側面に隣接して位置する外縁領域に備える。ここで、主領域における正孔輸送効率は、外縁領域における正孔輸送効率よりも高くともよい。
【0131】
発光素子層6は、発光層10と共通電極12との間に、機能層として、主リガンドが配位する量子ドットと、当該主リガンドとは異なる外縁リガンドが配位する量子ドットを有する電子注入層、または電子輸送層を備えていてもよい。この場合、当該量子ドットは、電子輸送性を有する。
【0132】
上記構成において、電子注入層、または電子輸送層は、主リガンドが配位する量子ドットを主領域に備え、外縁リガンドが配位する量子ドットを、当該主領域の少なくとも一部の側面に隣接して位置する外縁領域に備える。ここで、主領域における電子輸送効率は、外縁領域における電子輸送効率よりも高くともよい。
【0133】
上述した、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、または電子輸送層は、発光層が含む量子ドットおよびリガンドの種類を除き、本実施形態に係る発光層10と同一の手法により製造できる。
【0134】
〔実施形態2〕
<第3レジスト層>
本実施形態に係る表示装置2は、実施形態1に係る表示装置2と比較して、製造方法の差異を除き、同一の構成を備える。本実施形態に係る表示装置2の製造方法について、図12から図14を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法について説明するためのフローチャートである。図13および図14は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法の一部工程における、表示装置2の工程断面図である。
【0135】
本実施形態に係る表示装置2の製造方法は、上述したステップS26までは、実施形態1に係る表示装置2の製造方法と同一の手法により実行される。このため、本実施形態においては、ステップS26の完了時点において、図13のステップS26に示す構造が得られる。
【0136】
本実施形態においては、ステップS26に次いで、実施形態1に係るステップS30と同一の手法により、第1レジスト層38および第2レジスト層40の剥離を実施する(ステップS34)。ステップS34は、第1剥離工程である。本実施形態に係るステップS34により、緑色発光領域LAGの形成が完了する。
【0137】
次いで、画素電極8B、バンク14、赤色発光層10R、および緑色発光層10Gの上層に、第3レジスト層42を成膜する(ステップS36)。ステップS36は、第3レジスト成膜工程である。本実施形態に係る第3レジスト層42は、第1レジスト層38または第2レジスト層40と同一の構成を備えていてもよい。また、第3レジスト層42の成膜は、実施形態1におけるステップS10と同一の手法により実施されてもよい。
【0138】
次いで、第3レジスト層42の露光を実施する(ステップS38)。ステップS38においては、例えば、第3レジスト層42の一部を除去するための前段階として、第3露光工程を実行する。第3露光工程は、上述した各実施形態に係る、第1露光工程または第2露光工程と同一の手法により、第3レジスト層42に対する露光を実施することにより実行してもよい。
【0139】
次いで、第3レジスト層42の現像を実施する(ステップS40)。ステップS40は、第3レジスト層42の現像を行う、第3現像工程である。ステップS40においては、例えば、第3レジスト層42を特定の現像液によって洗浄することにより、第3レジスト層42の一部を除去する。
【0140】
本実施形態においては、青色サブ画素SPBと重なる位置に形成された第3レジスト層42のみを、ステップS40において除去する。このため、ステップS40の完了時点において、青色サブ画素SPBと重なる位置において、画素電極8Bおよびバンク14が露出する。
【0141】
次いで、実施形態1に係るステップS28と同一の手法により、青色発光層10Bを成膜する(ステップS42)。本実施形態に係るステップS42において、赤色サブ画素SPRと緑色サブ画素SPGのそれぞれと重なる位置においては、第3レジスト層42の上層に青色発光層10Bが形成される。
【0142】
次いで、残存した第3レジスト層42の剥離を実行する(ステップS44)。ステップS44は、第2剥離工程である。これにより、第3レジスト層42上に形成された青色発光層10Bについても、第3レジスト層42の剥離と同時に除去される。したがって、ステップS44において、青色発光層10Bは、青色サブ画素SPBと重なる位置のみに残存する。
【0143】
本実施形態に係るステップS42およびステップS44のそれぞれは、実施形態1に係るステップS28およびステップS30のそれぞれと同一の手法により実施できる。次いで、実施形態1におけるステップS32と同一の手法により、共通電極12の成膜を実行することにより、本実施形態に係る表示装置2が製造される。
【0144】
本実施形態においても、赤色発光領域LARは、他の発光領域のパターニングに使用するレジスト層を利用したエッチング工程により形成できる。このため、本実施形態に係る表示装置2の製造方法によれば、必要となる工程数を削減することができる。
【0145】
また、本実施形態に係る表示装置2の製造方法におけるステップS34においては、ステップS34の前のステップであるステップS26において剥離する第1レジスト層38の上層に緑色発光層10Gが形成されている。しかしながら、ステップS34においては、第2レジスト層40の上層に青色発光層10Bが形成されていない状態において、第1レジスト層38および第2レジスト層40の剥離を実行する。このため、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、実施形態1に係る表示装置2の製造方法と比較して、ステップS34において除去する層が、青色発光層10Bの厚みだけ薄くなる。したがって、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、ステップS34における第1レジスト層38および第2レジスト層40の剥離がより容易に実行できる。
【0146】
〔実施形態3〕
<緑色発光層のパターニングの別法>
本実施形態に係る表示装置2は、前述の各実施形態に係る表示装置2と比較して、緑色発光領域LAGが、緑色発光層10Gのみを備える点においてのみ構成が異なる。換言すれば、本実施形態に係る表示装置2は、緑色発光領域LAGが、緑色第1外縁領域16Gを備えていない。
【0147】
本実施形態に係る表示装置2の製造方法について、図15から図17を参照して説明する。図15は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法について説明するためのフローチャートである。図16および図17は、本実施形態に係る表示装置2の製造方法の一部工程における、表示装置2の工程断面図である。
【0148】
本実施形態に係る表示装置2の製造方法は、上述したステップS16までは、実施形態2に係る表示装置2の製造方法と同一の手法により実行される。このため、本実施形態においては、ステップS16の完了時点において、図16のステップS16に示す構造が得られる。
【0149】
本実施形態においては、ステップS16に次いで、実施形態2に係るステップS34等と同一の手法により、第1レジスト層38の剥離を実施する(ステップS45)。次いで、前述した各実施形態に係るステップS20と同一の手法により、第2レジスト層40の成膜を実施する(ステップS46)。
【0150】
次いで、前述した各実施形態に係るステップS22と同一の手法により、第2レジスト層40の露光工程を実施する(ステップS48)。ステップS48は、第2レジスト層40に対する露光を行う、第2露光工程である。ステップS48においては、例えば、第2レジスト層40の一部を除去するための前段階として、第2露光工程を実行する。第2露光工程は、例えば、上述した第1露光工程と同一の手法により実行する。
【0151】
次いで、第2レジスト層40の現像を実施する(ステップS50)。ステップS50は、第2レジスト層40の現像を行う、第2現像工程である。ステップS50においては、例えば、第2レジスト層40を特定の現像液によって洗浄することにより、第2レジスト層40の一部を除去する。
【0152】
本実施形態に係るステップS50おいては、緑色サブ画素SPGと重なる位置における第2レジスト層40のみを除去する。このため、本実施形態に係るステップS50の完了時点においては、緑色サブ画素SPGと重なる位置における画素電極8Gおよびバンク14のみが第2レジスト層40から露出する。
【0153】
次いで、前述した各実施形態に係るステップS26と同一の手法により、緑色発光層10Gの成膜を実施する(ステップS52)。本実施形態に係るステップS52において、緑色発光層10Gは、緑色サブ画素SPGと重なる位置の、画素電極8Bおよびバンク14の上層に形成される。また、および、本実施形態に係るステップS52において、緑色発光層10Gは、赤色サブ画素SPRおよび青色サブ画素SPBのそれぞれと重なる位置に残存した、第2レジスト層40の上層に形成される。
【0154】
次いで、実施形態2に係るステップS34等と同一の手法により、第2レジスト層40の剥離を実施する(ステップS54)。ステップS54の実行により、第2レジスト層40が剥離されるとともに、第2レジスト層40の上層に形成された緑色発光層10Gが併せて除去される。これにより、緑色サブ画素SPGと重なる位置における緑色発光層10Gが残存する。
【0155】
したがって、ステップS54の完了時点においては、緑色発光層10Gを含む緑色発光領域LAGの形成が完了する。なお、本実施形態においては、緑色発光領域LAGの形成に、緑色発光層10Gと隣接する層のエッチングを実施しない。このため、緑色発光領域LAGには、緑色第1外縁領域16Gが形成されていない。
【0156】
図17のステップS54に示す通り、ステップS54の完了時点において得られる構造は、実施形態2に係るステップS34の完了時点において得られる構造と同一である。したがって、ステップS54に次いで、実施形態2に係るステップS36から以降の各工程を順に実施することにより、本実施形態に係る表示装置2が得られる。
【0157】
本実施形態においても、赤色発光領域LARは、他の発光領域のパターニングに使用するレジスト層を利用したエッチング工程により形成できる。このため、本実施形態に係る表示装置2の製造方法によれば、必要となる工程数を削減することができる。
【0158】
また、本実施形態に係る表示装置2の製造方法におけるステップS54においては、剥離する第2レジスト層40の上層に緑色発光層10Gが形成されているものの、第1レジスト層38が形成されていない。このため、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、実施形態2に係る表示装置2の製造方法と比較して、ステップS54において除去する層が、第1レジスト層38の1層分の厚みだけ薄くなる。したがって、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、ステップS54における第2レジスト層40の剥離がより容易に実行できる。
【0159】
さらに、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、発光層のエッチングを実施する工程が、赤色発光層10Rのエッチングを実施する工程のみを含む。換言すれば、本実施形態に係る表示装置2の製造方法においては、主発光材料層のエッチングを一回のみ実施する。このため、上記製造方法によれば、エッチング工程の工程数が低減し、タクトタイムが短縮する。加えて、上記製造方法によれば、エッチング工程において使用するエッチング液が1種のみにて完結するため、製造コストの低減が実現する。
【0160】
実施形態2に係る表示装置2の製造方法と同じく、本実施形態に係る表示装置2の製造方法において、青色サブ画素SPBと重なる位置には、緑色発光層10Gが形成されない。このため、当該製造方法によれば、本来形成すべき位置とは異なる位置に形成される主発光材料の種類を1種のみとすることができ、混色が発生する蓋然性を低減する。
【0161】
〔実施形態4〕
<波長変換層を備えた表示装置>
図18は、本実施形態に係る表示装置44の概略断面図である。本実施形態に係る表示装置44は、平面視において、図2に示す表示装置2と同じく、各サブ画素からの発光が取り出すことにより表示を行う表示領域DAと、当該表示領域DAの周囲を囲う額縁領域NAとを備える。図18は、図1に示す表示装置2の断面図と同じく、平面視において表示領域DAと重畳する位置における断面の一部を示す。
【0162】
図18に示すように、本実施形態に係る表示装置44は、光源部46と、当該光源部46上のバンク14と、光源部46上およびバンク14上の、機能層としての波長変換層48とを備える。なお、本明細書においては、バンク14からみて、光源部46への方向を「下方向」、波長変換層48への方向を「上方向」として記載する。
【0163】
光源部46は、波長変換層48に対して光を照射する。波長変換層48は、光源部46からの光を吸収し、当該光源部46からの光と異なる波長の光を発する。本実施形態に係る波長変換層48は、発光領域を複数備え、当該発光領域として、赤色発光領域LARと、緑色発光領域LAGと、青色発光領域LABとを備える。特に、波長変換層48の各発光領域は、それぞれが吸収する光よりも長波長の光を発する。
【0164】
本実施形態において、表示装置44は、サブ画素を複数備え、波長変換層48は、サブ画素のそれぞれに1つずつ発光領域を備える。本実施形態においては、例えば、波長変換層48は、発光領域として、赤色サブ画素SPRに赤色発光領域LARを、緑色サブ画素SPGに緑色発光領域LAGを、青色サブ画素SPBに青色発光領域LABをそれぞれ備える。
【0165】
本実施形態において、赤色発光領域LARは、赤色光を発する赤色波長変換層48Rを含み、緑色発光領域LAGは、緑色光を発する緑色波長変換層48Gを含み、青色発光領域LABは、青色光を発する青色波長変換層48Bを含む。換言すれば、波長変換層48は、互いに発光色が異なる複数種の発光領域として、赤色光を発する赤色発光領域LARと、緑色光を発する緑色発光領域LAGと、青色光を発する青色発光領域LABとを備えている。
【0166】
本実施形態に係る波長変換層48の赤色発光領域LARは、赤色発光層10Rに代えて赤色波長変換層48Rを備える点のみを除き、前述の何れかの実施形態に係る発光層10の赤色発光領域LARと同一の構成を備える。例えば、本実施形態に係る波長変換層48の赤色発光領域LARは、赤色波長変換層48Rと、赤色波長変換層48Rの少なくとも一部の側面上に位置する赤色第1外縁領域16Rとを含む。
【0167】
また、赤色波長変換層48Rは、前述の何れかの実施形態に係る赤色発光層10Rと、同一の主発光材料を備えている。例えば、赤色波長変換層48Rは、主発光材料として、図1に示す、赤色量子ドット18Rと、当該赤色量子ドット18Rに配位する赤色主リガンド20Rとを備えている。
【0168】
さらに、本実施形態に係る赤色第1外縁領域16Rは、前述の何れかの実施形態に係る赤色第1外縁領域16Rと同一の構成を備える。例えば、本実施形態に係る赤色第1外縁領域16Rは、図1に示す、赤色量子ドット18Rと、当該赤色量子ドット18Rに配位する赤色第1外縁リガンド28Rとを備えている。
【0169】
本実施形態に係る波長変換層48の緑色発光領域LAGは、緑色発光層10Gに代えて緑色波長変換層48Gを備える点のみを除き、前述の何れかの実施形態に係る発光層10の緑色発光領域LAGと同一の構成を備える。例えば、本実施形態に係る波長変換層48の緑色発光領域LAGは、緑色波長変換層48Gと、緑色波長変換層48Gの少なくとも一部の側面上に位置する緑色第1外縁領域16Gとを含む。また、緑色波長変換層48Gは、前述の何れかの実施形態に係る緑色発光層10Gと、同一の主発光材料を備えている。
【0170】
本実施形態に係る波長変換層48の青色発光領域LABは、青色発光層10Bに代えて青色波長変換層48Bを備える点のみを除き、前述の何れかの実施形態に係る発光層10の青色発光領域LABと同一の構成を備える。青色波長変換層48Bは、前述の何れかの実施形態に係る青色発光層10Bと、同一の主発光材料を備えている。
【0171】
なお、本実施形態に係るバンク14は、前述の各実施形態に係るバンク14と同一の構成を備える。例えば、本実施形態に係るバンク14は、平面視において、互いに隣接するサブ画素の境界を跨ぐ位置に形成される。また、波長変換層48の、第1外縁領域を含む非発光領域NLAは、当該第1外縁領域を、平面視において、バンク14と重なる位置に備える。本実施形態に係るバンク14は、前述の各実施形態に係るバンク14と同一の材料からなる。
【0172】
本実施形態において、光源部46は、波長変換層48のそれぞれの発光領域に対し、個別に光を照射してもよい。例えば、光源部46は、サブ画素ごとに、紫外光を発する発光素子を備えていてもよく、当該発光素子が、サブ画素ごとに制御されてもよい。あるいは、光源部46は、紫外光を発するバックライトユニットと、当該バックライトユニット上に形成され、バックライトユニットから波長変換層への光量をサブ画素ごとに制御する液晶素子とを備えていてもよい。
【0173】
本実施形態に係る波長変換層48の主領域と第1外縁領域とは、互いに異なるリガンドが配位する量子ドットを含む。このため、本実施形態に係る表示装置44は、波長変換層48の発光領域が含む第1外縁領域に対し、当該発光領域の主領域と異なる機能を、含むリガンドの差異によって、より効率的に付与することができる。
【0174】
本実施形態に係る表示装置44の製造方法について、図19を参照して説明する。図19は、本実施形態に係る表示装置44の製造方法について説明するためのフローチャートである。
【0175】
本実施形態に係る表示装置44の製造方法において、はじめに、光源部46を形成する(ステップS56)。光源部46の形成は、表示装置44の各サブ画素を形成する位置に合わせて、従来公知の手法により、紫外光を発する発光素子を形成することにより実行されてもよい。あるいは、光源部46の形成は、紫外光を発するバックライトユニット上に、表示装置44の各サブ画素を形成する位置に合わせて、従来公知の手法により、液晶素子を形成することにより実行されてもよい。
【0176】
本実施形態に係る表示装置44の製造方法においては、光源部46の形成に次いで、バンク14を形成する(ステップS6)。本実施形態に係るバンク14は、前述の各実施形態に係るバンク14と比較して、同一の材料からなり、かつ、同一の位置に形成される。したがって、本実施形態に係るバンク14は、前述の各実施形態に係るステップS6と同一の手法により製造できる。
【0177】
次いで、波長変換層48の製造を実施する。ここで、上述したように、本実施形態に係る波長変換層48は、前述の各実施形態に係る発光層10と、同一の構成を備えている。したがって、本実施形態に係る波長変換層48は、前述の各実施形態に係る発光層10と同一の方法によって製造できる。例えば、図19に示すように、ステップS6に次いで、実施形態1に係る表示装置2の製造方法における、ステップS8からステップS30までを、発光層10を波長変換層48に代えて、順に実施することにより、本実施形態に係る波長変換層48を形成できる。これにより、本実施形態に係る表示装置44の製造が完了する。
【0178】
上述の通り、本実施形態における波長変換層48は、前述の各実施形態に係る発光層10と同一の方法によって製造できる。したがって、本実施形態においても、赤色発光領域LARは、他の発光領域のパターニングに使用するレジスト層を利用したエッチング工程により形成できる。このため、本実施形態に係る表示装置44の製造方法によれば、必要となる工程数を削減することができる。
【0179】
例えば、本実施形態に係る表示装置44は、バンク14を透明材料によって形成してもよく、あるいは、バンク14を備えていなくともよい。
【0180】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0181】
例えば、上記各実施形態においては、主に機能層が発光層である場合について説明した。しかしながら、上記各実施形態において、機能層が電荷輸送層であり、電荷輸送層がナノ粒子を含んでいてもよい。また、上記各実施形態において、当該電荷輸送層は、主リガンドを含む主領域と、電荷輸送層の外縁に形成され、外縁リガンドを含む外縁領域と、を有していてもよい。さらに、上記各実施形態において、発光層と電荷輸送層との両方が、少なくとも一部に主リガンドを含む主領域と、外縁リガンドを含む外縁領域とを有していてもよく、電荷輸送層のみに、主領域と外縁領域とが形成されていてもよい。
【0182】
また、上記各実施形態においては、電子デバイスが表示装置である場合について説明した。しかしながら、上記各実施形態において、表示装置以外の電子デバイスが、ナノ粒子を含む機能層を有する構成としてもよい。この場合、上記各実施形態において、当該機能層が、主リガンドを含む主領域と、機能層の外縁に形成され、外縁リガンドを含む外縁領域と、を有し、外縁リガンドが主リガンドと異なるリガンドである構成が用いられてもよい。
【0183】
また、主領域には、リガンドが含まれなくてもよい。例えば、機能層である電荷輸送層が、主領域に、ZnO、NiO、またはCuO等を含むナノ粒子を備える場合、これらのナノ粒子にはリガンドが配位していなくともよい。なお、機能層におけるリガンドの有無は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を使用したスペクトル分光により確認できる。例えば、上述した、リガンドを含まない機能層に対し、FT-IRを使用したスペクトル分光を行った場合、リガンドが含む有機物に由来した、特定波長の光の吸収が観測されない。また、主領域にリガンドが含まれない場合、機能層成膜工程においては、リガンドが含まれない機能層が成膜される。
【0184】
表示装置以外の電子デバイスの例としては、例えば、ナノ粒子材料を含む、光センサ、太陽電池、またはトランジスタ等がある。
【0185】
また、上記各実施形態においては、ナノ粒子(例えば、量子ドット)にリガンドが配位した例を示した。しかしながら、上記各実施形態において、電子デバイスには、機能層に含まれるナノ粒子に配位しないリガンドが存在していてもよい。また、主領域と外縁領域とにおいて、リガンドの配位状態が異なっていてもよい。
【0186】
さらに、上記各実施形態においては、主にリフトオフにより機能層が形成されたが、リフトオフ以外の方法によって、主領域と外縁領域とを含む機能層を有する電子デバイスが形成されてもよい。
【符号の説明】
【0187】
2 表示装置
6 発光素子層
8 画素電極
10 発光層(機能層)
12 共通電極
14 バンク
15R 赤色第1主領域
15G 緑色第1主領域
16R 赤色第1外縁領域
16G 緑色第1外縁領域
18R 赤色量子ドット
20R 赤色主リガンド
28R 赤色第1外縁リガンド
46 光源部
48 波長変換層(機能層)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19