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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241002BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/30 308Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023554111
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2021037580
(87)【国際公開番号】W WO2023062683
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 典子
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10153461(US,B1)
【文献】特開2012-185338(JP,A)
【文献】国際公開第2011/033818(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/144970(WO,A1)
【文献】特開2020-93956(JP,A)
【文献】特開2003-50673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0355195(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113242643(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112531124(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C03C15/00-23/00
C08J7/04-7/06
G02B1/10-1/18
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能な屈曲可能部を含んでいる表示装置であって、
表示面を有している表示装置本体であって、前記表示面を構成する第1低反射層を有している表示装置本体と、
前記表示面を覆うカバー部材であって、前記第1低反射層と対向する第2低反射層を有しているカバー部材とを備えており、
前記第1低反射層と前記第2低反射層とは、前記屈曲可能部において、相対位置が可変であり、
前記第1低反射層および前記第2低反射層の一方である主低反射構造は、前記第1低反射層および前記第2低反射層の他方である副低反射構造と対向する面に、第1凹凸パターンと、前記第1凹凸パターンの表面に設けられた第1モスアイ構造とを有しており、
前記第1凹凸パターンは、断面視において第1正弦波状の表面を有しており、
前記第1正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期は、前記第1凹凸パターンが並ぶ方向に沿った前記表示装置の1画素の幅の整数倍と等しい表示装置。
【請求項2】
前記主低反射構造の表面反射率は、0.3%/面以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1モスアイ構造は、前記第1凹凸パターンに対して貼り付けられたモスアイフィルムに対して形成されている請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、屈曲困難な屈曲困難部を含んでおり、
前記第1凹凸パターンは、前記屈曲可能部に設けられており、
前記第1凹凸パターンを構成する複数の凸部の高さは、前記屈曲困難部に近いほど小さい請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1凹凸パターンは、前記屈曲困難部に設けられていない請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記副低反射構造は、前記主低反射構造と対向する面に、第2凹凸パターンと、前記第2凹凸パターンの表面に設けられた第2モスアイ構造とを有しており、
前記第2凹凸パターンは、断面視において第2正弦波状の表面を有しており、
前記第2正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期は、前記第2凹凸パターンが並ぶ方向に沿った前記表示装置の1画素の幅の整数倍と等しい請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲可能な表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2009-271531号公報
【文献】日本国特開2010-122481号公報
【文献】国際公開2010/055564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屈曲可能な表示装置は、表示面を有している屈曲可能な表示装置本体と、当該表示面を覆う屈曲可能なカバー部材とを備えていることが一般的である。
【0005】
屈曲可能な表示装置においては、表示装置の破損を防ぐため、表示装置本体とカバー部材との間に、空隙が形成されている場合がある。このような表示装置においては、屈曲状態において、以下の問題が発生するおそれがある。
【0006】
表示装置本体とカバー部材とが密着する密着部における光の反射率と、表示装置本体とカバー部材とが密着しない非密着部における光の反射率との差が大きい。このため、密着部にて反射した光と、非密着部にて反射した光とが、表示装置の観察者に個別に認識される、換言すれば、表示の均一性を損なう。この結果、表示品位が低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る表示装置は、屈曲可能な屈曲可能部を含んでいる表示装置であって、表示面を有している表示装置本体であって、前記表示面を構成する第1低反射層を有している表示装置本体と、前記表示面を覆うカバー部材であって、前記第1低反射層と対向する第2低反射層を有しているカバー部材とを備えており、前記第1低反射層と前記第2低反射層とは、前記屈曲可能部において、相対位置が可変であり、前記第1低反射層および前記第2低反射層の一方である主低反射構造は、前記第1低反射層および前記第2低反射層の他方である副低反射構造と対向する面に、第1凹凸パターンと、前記第1凹凸パターンの表面に設けられた第1モスアイ構造とを有しており、前記第1凹凸パターンは、断面視において第1正弦波状の表面を有しており、前記第1正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期は、前記第1凹凸パターンが並ぶ方向に沿った前記表示装置の1画素の幅の整数倍と等しい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、高表示品位の表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の概略構成を示す断面図である。
図2図1に示す表示装置の非屈曲状態と屈曲状態とを対比する断面図である。
図3】低反射構造の概略構成を示す断面図である。
図4】凹凸パターンが並ぶ方向に沿った、凹凸パターンの形状と、図1に示す表示装置の画素の形状との関係を示す概略図である。
図5】凹凸パターンが並ぶ方向に沿った、凹凸パターンの形状と、図1に示す表示装置の画素の形状との別の関係を示す概略図である。
図6】本発明の実施形態2に係る表示装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先に説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態に係る表示装置101の概略構成を示す断面図である。図2は、表示装置101の非屈曲状態と屈曲状態とを対比する断面図である。
【0012】
表示装置101は、屈曲可能な表示装置である。具体的に、表示装置101は、屈曲可能部91および屈曲困難部92を含んでいる。屈曲可能部91は、可撓性を有しており、屈曲可能な部分である。屈曲困難部92は、可撓性を有しておらず、屈曲困難な部分である。なお、屈曲可能および屈曲困難とは、それぞれ、少なくとも表示装置101の想定されている使用方法の範疇において、屈曲可能および屈曲不能であることである。
【0013】
表示装置101は、表示装置本体81およびカバー部材82を備えている。
【0014】
表示装置本体81は、表示パネル1、接着剤2、タッチパネル3、接着剤4、偏光板5、および第1低反射層6を有している。表示装置本体81は、表示パネル1、タッチパネル3、偏光板5、および第1低反射層6が、この順に積層された構造である。表示パネル1とタッチパネル3とは、例えばOCA(光学高透明接着剤)からなる接着剤2によって相互に接着されている。タッチパネル3と偏光板5とは、例えばOCAからなる接着剤4によって相互に接着されている。
【0015】
表示パネル1の一例として、OLED(有機発光ダイオード)表示パネルおよびQLED(量子ドット発光ダイオード)表示パネルが挙げられる。タッチパネル3は、表示パネル1上に貼り付けられるものに限定されず、オンセル型のタッチパネルであってもよいし、インセル型のタッチパネルであってもよい。偏光板5は、表示装置101における内部反射を抑制するためのものである。
【0016】
第1低反射層6は、低反射化が施された層である。第1低反射層6の表面反射率は、0.3%/面以下であることが好ましい。「○○%/面」とは、面に入射する光の○○%を反射させることを意味する。
【0017】
表示装置101が屈曲可能な表示装置であるため、表示装置本体81は屈曲可能である。表示装置本体81は、表示面10を有している。表示面10は、表示装置本体81が画像を表示する面である。表示装置本体81における最も上の層である第1低反射層6が、表示面10を構成することになる。
【0018】
カバー部材82は、表示装置本体81の表示面10を覆うものである。カバー部材82は、第2低反射層7、ウィンドウフィルム8、およびハードコート層9を有している。カバー部材82は、第2低反射層7、ウィンドウフィルム8、およびハードコート層9が、この順に積層された構造である。
【0019】
第2低反射層7は、低反射化が施された層である。第2低反射層7の表面反射率は、0.3%/面以下であることが好ましい。
【0020】
ウィンドウフィルム8の一例として、PET(Poly Ethylene Terephthalate)フィルムが挙げられる。ハードコート層9は、ウィンドウフィルム8の上面に設けられている。
【0021】
第1低反射層6と第2低反射層7とは、相互に対向している。一方、第1低反射層6と第2低反射層7とは、屈曲可能部91において、相互に固定されておらず相対位置が可変である。
【0022】
第1低反射層6および第2低反射層7は例えば、表示装置101に設けられた、筐体等の支持体(図示しない)に対して固定されていてもよい。屈曲困難部92にスペーサ(図示しない)を設け、第1低反射層6および第2低反射層7は例えば、このスペーサに対して固定されていてもよい。
【0023】
表示装置101によれば、屈曲可能部91において、表示装置本体81とカバー部材82とが相互に固定されていない。これにより、ウィンドウフィルム8が圧縮応力を受けること、およびハードコート層9が引張応力を受けることを抑制することができる。この結果、ウィンドウフィルム8およびハードコート層9の破損、ならびに、ウィンドウフィルム8の剥がれを抑制することができる。
【0024】
従って、表示装置101によれば、屈曲可能な表示装置101を屈曲したときに、カバー部材82が破損したり、表示面10からカバー部材82が剥がれたりするおそれを低減することができる。
【0025】
表示装置本体81においては第1低反射層6が、カバー部材82においては第2低反射層7が、表示装置本体81とカバー部材82との空隙11に面している。これにより、図2に示す屈曲状態において、表示装置本体81とカバー部材82とが密着する密着部12における光の反射率と、表示装置本体81とカバー部材82とが密着しない非密着部13における光の反射率との差を小さくすることができる。密着部12および非密着部13は、それぞれ、当該屈曲状態における空隙11の非形成部分および空隙11の形成部分であるとも言える。例えば、密着部12における光の反射率と、非密着部13における光の反射率との差は、0.4%/面以下と非常に小さい。このため、密着部12にて反射した光と、非密着部13にて反射した光とが、表示装置101の観察者に個別に認識されるおそれは低い。従って、表示の均一性が高い高表示品位の表示装置101を実現することができる。
【0026】
空隙11は、前述したとおり表示装置本体81とカバー部材82との空隙であり、具体的には、第1低反射層6と第2低反射層7との空隙である。図2に示す非屈曲状態において、表示装置本体81およびカバー部材82の積層方向に沿った空隙11の幅W11は、0より大きければよい。一方、幅W11は、できるだけ0に近いことが好ましい。なぜなら、幅W11の分表示装置101全体の厚みが厚くなるためである。幅W11を形成するために、スペーサなどの部材点数および/または工程数が増えるデメリットもある。また、屈曲困難部92については、屈曲可能部91と同様に第1低反射層6と第2低反射層7とが相互に固定されておらず相対位置が可変であることが好ましいが、固定されていないことは必須でない。
【0027】
図3は、低反射構造14の概略構成を示す断面図である。低反射構造14は、第1低反射層6の一構成例である。低反射構造14は、第2低反射層7の一構成例でもある。換言すれば、第1低反射層6および第2低反射層7の少なくとも一方は、低反射構造14によって構成されている。第1低反射層6および第2低反射層7の一方である低反射構造14が主低反射構造であり、第1低反射層6および第2低反射層7の他方が副低反射構造である。副低反射構造も低反射構造14であることが好ましい。
【0028】
低反射構造14の表面反射率は、0.3%/面以下であることが好ましいことは前述したとおりである。低反射構造14は、主低反射構造である場合、副低反射構造と対向する面に、凹凸パターン(第1凹凸パターン)15と、凹凸パターン15の表面に設けられたモスアイ構造(第1モスアイ構造)22とを有している。低反射構造14は、副低反射構造である場合、主低反射構造と対向する面に、凹凸パターン(第2凹凸パターン)15と、凹凸パターン15の表面に設けられたモスアイ構造(第2モスアイ構造)22とを有している。また、低反射構造14において、モスアイ構造22は、モスアイ構造22が形成されたフィルムの形態、すなわちモスアイフィルム23の形態で設けられている。
【0029】
モスアイ構造とは、蛾の目構造とも呼ばれ、反射防止処理を行う部材の表面に、光の波長(例:380nm)以下のピッチの凹凸パターンを隙間無く配列することで、外界(例:空気)と当該部材の表面との境界における屈折率の変化を擬似的に連続なものとする構造である。モスアイ構造によれば、屈折率界面に関係無く光のほぼ全てを透過させ、当該部材の表面における光反射をほぼ無くすことができる。
【0030】
図3によれば、凹凸パターン15は、凹部16および凸部17を有している。凹凸パターン15は、少なくとも屈曲可能部91に対して形成されており、屈曲可能部91の屈曲方向と垂直な方向、換言すればストライプ状の凹凸パターン15の畝が、表示装置101の屈曲辺と垂直になる方向(図3の左右方向)に沿って形成されている。一方、モスアイ構造22は、少なくとも屈曲可能部91に対して、通常はさらに屈曲困難部92に対して形成されている。
【0031】
低反射構造14における凹凸パターン15およびモスアイ構造22を含んでいる面が、別の低反射構造14と対向する側の面となる。つまり、第1低反射層6においてはカバー部材82側(より詳細には第2低反射層7と対向する側)の面が、第2低反射層7においては表示装置本体81側(より詳細には第1低反射層6と対向する側)の面が、それぞれ凹凸パターン15およびモスアイ構造22を含んでいる。
【0032】
図4は、凹凸パターン15が並ぶ方向に沿った、凹凸パターン15の形状と、表示装置101の画素20の形状との関係を示す概略図である。画素20は、表示パネル1に対して形成されている。
【0033】
図4において、凹凸パターン15のピッチP15を規定する。ピッチP15は、凹凸パターン15において相互に隣接する2つの凸部17のうち一方である凸部18の頂点と、同他方である凸部19の頂点との間隔と定義される。ピッチP15は、凹凸パターン15が並ぶ方向に沿った表示装置101の1つの画素20(1画素)の幅W20の整数倍と等しい。図4においては、ピッチP15と幅W20とが等しい、換言すれば、ピッチP15は幅W20の1倍であるが、ピッチP15は幅W20の2倍以上(但し、整数倍)であってもよい。
【0034】
図4において、凹凸パターン15は、凹凸パターン15の断面(図4に示す面)視において正弦波状の表面を有している。この正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期C15は、凹凸パターン15が並ぶ方向に沿った表示装置101の1つの画素20(1画素)の幅W20の整数倍と等しい。図4においては、1周期C15と幅W20とが等しい、換言すれば、1周期C15は幅W20の1倍であるが、1周期C15は幅W20の2倍以上(但し、整数倍)であってもよい。
【0035】
図5は、凹凸パターン15が並ぶ方向に沿った、凹凸パターン15の形状と、表示装置101の画素20の形状との別の関係を示す概略図である。
【0036】
図5に示すように、ピッチP15および1周期C15の各々は、幅W20の2倍と等しくてもよい。
【0037】
表示装置101においては、ピッチP15および/または1周期C15が幅W20の整数倍と等しい構成により、以下の効果を奏する。表示装置101に設けられた多数の画素20毎に、それに対応する視野角特性が共通化されるため、表示画素の色味の変化が抑制された、高表示品位の表示装置101を実現することができる。
【0038】
なお、1つの画素20に対する、凹部16および凸部17の位置合わせは、特に必要無い。なぜなら、低反射構造14は表示パネル1から十分離れた位置に設けられることから、1つの画素20から低反射構造14に入射する光は十分拡散された光となるため、このような精緻な位置合わせはさほど重要でないためである。
【0039】
凹凸パターン15の高さ方向の基準点21からの凹部16の深さH16および凸部17の高さH17の各々は、ピッチP15と同程度であることが好ましい。但し、深さH16および高さH17の各々がピッチP15より小さくても、ある程度の低反射化の効果は見込める。
【0040】
ピッチP15、1周期C15、深さH16、および高さH17の各々は、第1低反射層6と第2低反射層7とで異なっていてもよい。
【0041】
深さH16および/または高さH17が大きい場合、凹凸パターン15を直接加工してモスアイ構造22を形成することが難しい。このため、モスアイ構造22は、凹凸パターン15に対して貼り付けられたモスアイフィルム23に対して形成されていることが好ましい。すなわち、第1低反射層6は、凹凸パターン15に対して貼り付けられており、モスアイ構造22が形成されたモスアイフィルム23を有していることが好ましい。同様に、第2低反射層7は、凹凸パターン15に対して貼り付けられており、モスアイ構造22が形成されたモスアイフィルム23を有していることが好ましい。
【0042】
なお、ピッチP15が400nmを超えると青色の波長成分で色付くことがあるが、ピッチP15を300nm以下とすることで十分にその影響は抑制され、ピッチP15を200nm以下とすることでほとんど影響を受けない。また、凸部17のアスペクト比は、0.7以上かつ1.1以下であることが好ましく、0.9以上かつ1.1以下である場合に特に有効である。高さH17は、140nm以上かつ220nm以下であることが好ましく、180nm以上かつ220nm以下である場合に特に有効である。なお、凸部17のアスペクト比とは、凸部17の底辺の幅W17に対する高さH17の割合を言う。すなわち、高さH17を幅W17で割った値(高さH17/幅W17の値)がアスペクト比に相当する。
【0043】
〔実施形態2〕
図6は、本実施形態に係る表示装置102の概略構成を示す断面図である。説明を簡潔にするために、本実施形態においては、モスアイ構造22およびモスアイフィルム23の存在を無視して、図6の図示および説明を行う。
【0044】
表示装置102において、第1低反射層6は、前述した凹凸パターン15を含んでいる。凹凸パターン15は、屈曲可能部91に設けられている。凹凸パターン15を構成する複数の凸部17の高さH17は、屈曲困難部92に近いほど小さい。また、凹凸パターン15は、屈曲困難部92に設けられていない。
【0045】
表示装置102において、第2低反射層7は、前述した凹凸パターン15を含んでいる。凹凸パターン15は、屈曲可能部91に設けられている。凹凸パターン15を構成する複数の凸部17の高さH17は、屈曲困難部92に近いほど小さい。また、凹凸パターン15は、屈曲困難部92に設けられていない。
【0046】
高さH17が屈曲困難部92に近いほど小さいことにより、特に屈曲可能部91と屈曲困難部92との境界で、光の反射率が急激に変化することを抑制することができる。このため、屈曲可能部91にて反射した光と、屈曲困難部92にて反射した光とが、表示装置102の観察者に個別に認識されるおそれは低い。従って、表示の均一性が高い高表示品位の表示装置102を実現することができる。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置は、屈曲可能な屈曲可能部を含んでいる表示装置であって、表示面を有している表示装置本体であって、前記表示面を構成する第1低反射層を有している表示装置本体と、前記表示面を覆うカバー部材であって、前記第1低反射層と対向する第2低反射層を有しているカバー部材とを備えており、前記第1低反射層と前記第2低反射層とは、前記屈曲可能部において、相対位置が可変であり、前記第1低反射層および前記第2低反射層の一方である主低反射構造は、前記第1低反射層および前記第2低反射層の他方である副低反射構造と対向する面に、第1凹凸パターンと、前記第1凹凸パターンの表面に設けられた第1モスアイ構造とを有しており、前記第1凹凸パターンは、断面視において第1正弦波状の表面を有しており、前記第1正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期は、前記第1凹凸パターンが並ぶ方向に沿った前記表示装置の1画素の幅の整数倍と等しい。
【0048】
本発明の態様2に係る表示装置は、前記態様1において、前記主低反射構造の表面反射率は、0.3%/面以下である。
【0049】
本発明の態様3に係る表示装置は、前記態様1または2において、前記第1モスアイ構造は、前記第1凹凸パターンに対して貼り付けられたモスアイフィルムに対して形成されている。
【0050】
本発明の態様4に係る表示装置は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記表示装置は、屈曲困難な屈曲困難部を含んでおり、前記第1凹凸パターンは、前記屈曲可能部に設けられており、前記第1凹凸パターンを構成する複数の凸部の高さは、前記屈曲困難部に近いほど小さい。
【0051】
本発明の態様5に係る表示装置は、前記態様4において、前記第1凹凸パターンは、前記屈曲困難部に設けられていない。
【0052】
本発明の態様6に係る表示装置は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記副低反射構造は、前記主低反射構造と対向する面に、第2凹凸パターンと、前記第2凹凸パターンの表面に設けられた第2モスアイ構造とを有しており、前記第2凹凸パターンは、断面視において第2正弦波状の表面を有しており、前記第2正弦波状の表面を構成する正弦波の1周期は、前記第2凹凸パターンが並ぶ方向に沿った前記表示装置の1画素の幅の整数倍と等しい。
【0053】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0054】
6 第1低反射層
7 第2低反射層
10 表示面
14 低反射構造
15 凹凸パターン
16 凹部
17~19 凸部
20 画素
22 モスアイ構造
23 モスアイフィルム
81 表示装置本体
82 カバー部材
91 屈曲可能部
92 屈曲困難部
101、102 表示装置
C15 正弦波の1周期
H17 凸部の高さ
P15 凹凸パターンのピッチ
W20 1画素の幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6