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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】太陽光電池及び太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0745 20120101AFI20241002BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 31/0352 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L31/06 450
H01L31/04 280
H01L31/04 340
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024020441
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2022113428の分割
【原出願日】2022-07-14
(65)【公開番号】P2024040441
(43)【公開日】2024-03-25
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】202210647861.3
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】シウ フォン
(72)【発明者】
【氏名】モンレイ シュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】キンユー ジャン
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0067782(KR,A)
【文献】国際公開第2012/132615(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/098955(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114271(WO,A1)
【文献】特開2012-049183(JP,A)
【文献】特表2017-511597(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0049211(KR,A)
【文献】国際公開第2016/143698(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/111491(WO,A1)
【文献】特表2011-523230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0005914(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113921625(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0745
H01L 31/0236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光電池であって、
前面と前記前面に背向する背向面とを有する基板であって、前記背向面に、第1方向に沿って千鳥状に間隔を空けて配列された第1領域及び第2領域があり、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に、前記基板の内部へ窪んだ仕切領域がある基板と、
前記第1領域に形成される第1導電層と、
前記第2領域に形成され、前記第1導電層の導電タイプとは逆である第2導電層と、
前記第1導電層に電気的に接触する第1電極と、
前記第2導電層に電気的に接触する第2電極と、を備え、
前記第1導電層及び/又は第2導電層に対応する前記背向面には、幾つかの四角錐台テクスチャー構造領域が形成されており、
前記太陽光電池は、裏面パッシベーション層を更に備え、
前記裏面パッシベーション層は、前記第1導電層、前記第2導電層及び前記仕切領域の表面に位置し、前記第1電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第1導電層に電気的に接触し、前記第2電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第2導電層に電気的に接触することを特徴とする太陽光電池。
【請求項2】
前記裏面パッシベーション層には、開口が設けられ、前記第1電極と前記第2電極は、前記開口を通った後で前記第1導電層と前記第2導電層にそれぞれ電気的に接触することを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項3】
前記基板の前面には、正面パッシベーション層が形成されており、前記正面パッシベーション層の表面には、反射低減層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項4】
前記第1導電層及び前記第2導電層のうちの少なくとも1つと前記基板の背向面との間には、誘電体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項5】
前記誘電体層の厚さは、0.5nm~3nmであることを特徴とする請求項4に記載の太陽光電池。
【請求項6】
前記仕切領域の前記第1方向に沿う距離範囲は、50~200μmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項7】
前記仕切領域の前記基板の背向面の法線方向に沿う距離範囲は、1~6μmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項8】
前記仕切領域の面積と前記基板の背向面の面積との比は、10%~35%であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項9】
前記第1導電層又は前記第2導電層は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン又は多結晶シリコンによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池。
【請求項10】
太陽光発電モジュールであって、
請求項1~9の何れか一項に記載の太陽光電池を接続して形成された電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を覆うためのパッケージ層と、
前記パッケージ層の前記電池ストリングから離間する表面を覆うための蓋板と、を備える、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電電池の技術分野に関し、特に太陽光電池及び太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
IBC(Interdigitated Back Contact)太陽光電池とは、受光面に電極がなく、正負電極がフィンガ状で交差して電池の背向面に配列されたものを指す。受光面が遮蔽される太陽光電池に比べて、IBC電池は、より高い短絡電流及び光電変換効率を有する。
【0003】
従来のIBC電池分離ドープ領域の作製には、主に3種類が含まれている。1、フォトリソグラフィ技術であり、複数回のマスク及びフォトリソグラフィにより、分離されたボロン、リンドープ領域をそれぞれ形成する。2、イオン注入技術であり、マスク及びレーザーグルービングを行ってから、所定の領域にイオン注入を実施し、分離されたボロン、リンドープ領域を形成する。3、ドープスラリー印刷であり、マスクレーザーグルービングによって拡散領域を形成してから、ボロン/リンスラリーを印刷してドープ領域を形成する。その中、フォトリソグラフィ技術の価格が高騰であり、イオン注入技術のドーピングが不安定であり、ドープスラリー印刷の洗浄工数が多かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、従来技術における技術課題を解決し、IBC電池のボロンドープ領域とリンドープ領域とを隔てることが可能であり、両極接触複合を回避し、且つIBC電池の効率を向上させることが可能である太陽光電池及び太陽光発電モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様において、本発明は、太陽光電池を提供する。当該太陽光電池は、
前面と前記前面に背向する背向面とを有する基板であって、前記背向面に、第1方向に沿って千鳥状に間隔を空けて配列された第1領域及び第2領域があり、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に、前記基板の内部へ窪んだ仕切領域がある基板と、
前記第1領域に形成される第1導電層と、
前記第2領域に形成され、前記第1導電層の導電タイプとは逆である第2導電層と、
前記第1導電層に電気的に接触する第1電極と、
前記第2導電層に電気的に接触する第2電極と、を備え、
前記仕切領域と、隣接する前記第1導電層及び/又は前記第2導電層との間には、境界領域があり、前記境界領域に対応する前記背向面の前記境界領域には、線状凹凸テクスチャー構造が形成されている。
【0006】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記仕切領域に対応する前記背向面には、幾つかの第1ピラミッド状テクスチャー構造領域が形成されている。
【0007】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記第1導電層及び/又は第2導電層に対応する前記背向面には、幾つかの第2ピラミッド状テクスチャー構造領域が形成されている。
【0008】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記第1導電層及び/又は第2導電層に対応する前記背向面には、幾つかの四角錐台テクスチャー構造領域が形成されている。
【0009】
上述した太陽光電池において、好ましくは、裏面パッシベーション層を更に備え、前記裏面パッシベーション層は、前記第1導電層、前記第2導電層及び前記仕切領域の表面に位置し、前記第1電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第1導電層に電気的に接触し、前記第2電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第2導電層に電気的に接触する。
【0010】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記基板の前面には、正面パッシベーション層が形成されている。
【0011】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記基板は、N型基板であり、前記第1導電層は、P型ドープ層を含み、前記第2導電層は、N型ドープ層を含む。
【0012】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記第1導電層及び前記第2導電層のうちの少なくとも1つと前記基板の背向面との間には、誘電体層が設けられている。
【0013】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記誘電体層は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化シリコン又は酸窒化シリコンを含む。
【0014】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記誘電体層の厚さは、0.5nm~3nmである。
【0015】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記誘電体層は、前記仕切領域に対応する前記基板の背向面を覆わない。
【0016】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記第1ピラミッド状テクスチャー構造領域の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~4μmである。
【0017】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記第2ピラミッド状テクスチャー構造領域の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~3μmである。
【0018】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記境界領域の前記第1方向に沿う距離範囲は、3μm~5μmである。
【0019】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記線状凹凸テクスチャー構造の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~4μmである。
【0020】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記仕切領域の前記第1方向に沿う距離範囲は、50~200μmである。
【0021】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記仕切領域の前記基板の背向面の法線方向に沿う距離範囲は、1~6μmである。
【0022】
上述した太陽光電池において、好ましくは、前記仕切領域の面積と前記基板の背向面の面積との比は、10%~35%である。
【0023】
本発明は、太陽光電池の作製方法を更に提供する。当該作製方法は、以下のステップ、即ち、
基板を提供するステップであって、前記基板が前面と前記前面に背向する背向面とを有し、前記背向面に第1方向に沿って千鳥状に間隔を空けて配列された第1領域及び第2領域があり、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に前記基板の内部へ窪んだ仕切領域があるステップと、
前記基板の背向面に第1導電層を形成するステップと、
基板の背向面に対してレーザ光による膜切りを行い、前記第2領域及び前記仕切領域に位置する第1導電層を除去するステップと、
前記仕切領域及び第2領域に第2導電層を形成するステップと、
前記第2導電層の表面の前記第2領域に対応する箇所に第1保護層を形成するステップと、
前記第1保護層で覆われていない第2導電層を除去するステップと、
前記第1保護層を除去するステップと、
テクスチャリングするステップであって、前記仕切領域に対応する前記背向面に幾つかの第1ピラミッド状テクスチャー構造領域を形成し、前記第2導電層に幾つかの第2ピラミッド状テクスチャー構造領域を形成し、隣接する前記第1ピラミッド状テクスチャー構造領域と隣接する前記第2ピラミッド状テクスチャー構造領域との間に境界領域があり、前記背向面の前記境界領域に線状凹凸テクスチャー構造を形成するステップと、
前記第1導電層に第1電極を形成し、前記第2導電層に第2電極を形成するステップと、を含む。
【0024】
上述した太陽光電池の作製方法において、好ましくは、前記第1保護層は、インク(INK)保護層である。
【0025】
本発明は、太陽光発電モジュールを更に提供する。当該太陽光発電モジュールは、
上記太陽光電池を接続して形成された電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を覆うためのパッケージ層と、
前記パッケージ層の前記電池ストリングから離間する表面を覆うための蓋板と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
従来技術よりも、本発明では、IBC電池の局所構造設計を最適化することにより、仕切領域が第1導電層と第2導電層とを有効的に隔て、界面複合が減少し、且つ隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域との間に境界領域があり、背向面の境界領域に線状凹凸テクスチャー構造が形成されるため、基板背向面の入射光反射が増加し、太陽光電池の光線に対する吸収数が増加し、太陽光電池の変換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1-1】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の構造模式図である。
図1-2】本発明に関わる第2種構造の太陽光電池の構造模式図である。
図1-3】本発明に関わる第3種構造の太陽光電池の構造模式図である。
図2】本発明に関わる太陽光電池の仕切領域及び第2導電層のSEM図である。
図3図2の局所拡大模式図である。
図4】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図一である。
図5】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図二である。
図6】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図三である。
図7】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図四である。
図8】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図五である。
図9】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図六である。
図10】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図七である。
図11】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図八である。
図12】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図九である。
図13】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図十である。
図14】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図十一である。
図15】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図十二である。
図16】本発明に関わる第1種構造の太陽光電池の作製過程における構造模式図十三である。
図17】本発明に関わる太陽光発電モジュールの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照して説明した実施例は、例示的なものであり、本発明を説明するために用いられるだけであり、本発明を限定するものと解釈することができない。
【0029】
交差指型バックコンタクトは、IBC電池とも呼ばれる。IBC電池ボロンドープ領域とリンドープ領域とを有効的に隔てるとともにIBC電池の効率を向上させることは、解決すべき技術課題となっている。
【0030】
上記技術課題を解決すべく、本発明の実施例は、太陽光電池を提供する。太陽光電池は、IBC電池であり、図1―1、図1―2又は図1―3に示すように、少なくとも基板1、第1導電層6、第2導電層7、第1電極8及び第2電極9を備える。
【0031】
基板1は、前面2と前面2に背向する背向面3とを有し、前面2は、太陽光の照射方向へ向かう受光面であり、背向面3は、前面2に背向する面である。
【0032】
基板1は、例えば、第1導電タイプドーパントを含む結晶性半導体(例えば、結晶シリコン)であってもよい。結晶性半導体は、単結晶シリコンであってもよく、また、第1導電タイプドーパントは、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などのV族元素を含むN型ドーパント、又はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのIII族元素を含むP型ドーパントであってもよい。
【0033】
背向面3には、第1方向D1に沿って千鳥状に間隔を空けて配列された第1領域101及び第2領域102があり、隣接する第1領域101と第2領域102との間には、基板1の内部に窪んだ仕切領域4があり、第1導電層6は、第1領域101に形成され、第2導電層7は、第2領域102に形成され、第2導電層7は、第1導電層6と導電タイプが逆であり、仕切領域4は、第1導電層6及び第2導電層7を物理的に隔離するために用いられ、それにより、第1導電層6は、第2導電層7と絶縁され、又は第1電極8は、第2電極9と絶縁され、電池の正負電極が短絡し、又は電池の漏電現象の発生を回避し、電池の信頼性を向上させる。
【0034】
第1電極8は、第1導電層6に電気的に接触し、第2電極9は、第2導電層7に電気的に接触し、幾つかの実施例において、第1電極8及び第2電極9の材料は、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの少なくとも1種の導電金属材料を含む。
【0035】
図2及び図3に示すように、仕切領域4に対応する背向面3には、幾つかの第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10が形成され、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10は、テクスチャリング(又はエッチング)プロセスによって形成され得る。テクスチャリングプロセスの態様は、化学エッチング、レーザエッチング、機械的エッチング、プラズマエッチングなどであってもよく、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10は、良好な光閉じ込め及び反射低減効果を有し、それにより、背向面3に入射された光線も利用されることが可能であり、光の有効接触面積を増加させ、光エネルギーの更なる利用を実現し、電池の発電効率を向上させる。
【0036】
幾つかの実施例において、第1領域101及び第2領域102のそれぞれに対応する背向面3には、幾つかの非第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10、例えば、階段状の平坦テクスチャー構造が形成されている。
【0037】
第1導電層6には、第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11が形成され、第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11は、テクスチャリングプロセスによって形成され得る。テクスチャリングプロセスの方式は、化学エッチング、レーザエッチング、機械法、プラズマエッチング等であってもよい。第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11は、良好な光閉じ込め及び反射低減効果を有し、それにより、背向面3に入射された光線も利用されることが可能であり、光の有効接触面積を増加させ、光エネルギーの更なる利用を実現し、電池の発電効率を向上させる。
【0038】
1つの実行可能な実施形態において、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10及び第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11と異なり、第1導電層6及び/又は第2導電層7に対応する前記背向面2には、幾つかの四角錐台テクスチャー構造領域(図示せず)が形成され、四角錐台テクスチャー構造領域は、同様に良好な光閉じ込め及び反射低減効果を有することができる。
【0039】
引き続き図2及び図3を参照すると、隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11との間には、境界領域5があり、背向面3の境界領域5には、線状凹凸テクスチャー構造12が形成され、当該線状凹凸テクスチャー構造12と第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10及び/又は第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11の表面との間には、異なる光閉じ込め構造が形成されている。これにより、界面複合が減少し、基板1の背向面3の入射光反射が増加し、太陽光電池の光線に対する吸収数が増加し、光線が電池によって再利用されるチャンスが増え、IBC電池の光電変換効率が向上する。
【0040】
図3に示すように、線状凹凸テクスチャー構造12は、間隔を空けて配布された帯状又は線状テクスチャー構造であり、幾つかの帯状又は線状テクスチャー構造は、互いに平行であり、帯状又は線状テクスチャー構造の互いに対向する両端は、それぞれ第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10及び第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11に接触する。入射光の電池裏面での反射率が2%~6%向上可能であり、より多くの入射光が電池裏面に到達した後で反射されて再度基板1に進入して吸収され、光電変換効率は、更に0.07%~0.15%向上する。
【0041】
図1―1又は図1―2に示すように、太陽光電池は、N型電池の構造であり、即ち、基板1は、N型結晶シリコン基板であり、第1導電層6は、P型ドープ層(即ちエミッタ)を含み、第2導電層7は、N型ドープ層(即ちベース)を含む。
【0042】
幾つかの実施例において、図1―1に示すように、第1導電層6は、基板1の内部又は背向面4に形成されている。例えば、堆積、拡散又は印刷などの方法でP型ドーパントを用いて基板1の背向面4の所定の領域をドーピングすることにより、第1導電層6を形成する。この場合、P型ドーパントは、基板1とは逆の導電タイプの任意の不純物を有する。即ち、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Al)又はインジウム(In)などのIII族元素を用いることができる。第1導電層6の結晶構造は、基板1の結晶構造と同じであり、例えば、単結晶シリコンである。第2導電層7と基板1との間に誘電体層15が設けられ、本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層15は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化シリコン又は酸窒化シリコンのうちの1つ又は複数を含む。第2導電層7は、N型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。N型ドーパントは、基板1と同じ導電タイプを有する任意のドーパントであってもよい。即ち、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)又はアンチモン(Sb)などのV族元素を用いることができる。好ましくは、第2導電層7は、リンがドープされた多結晶シリコン層である。第2導電層7の結晶構造は、基板1の結晶構造と同じではない。
【0043】
幾つかの実施例において、図1―2に示すように、第2導電層7は、図1―1に示す第2導電層7と同じであり、ここで繰り返し述べない。異なることは、第1導電層6とシリコン基板1との間に同様に誘電体層15が設けられることである。本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層15は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化シリコン又は酸窒化シリコンのうちの1つ又は複数を含み、第1導電層6は、P型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。即ち、例えばホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのIII族元素のP型ドーパントを用いることができる。好ましくは、第1導電層6は、ホウ素がドープされた多結晶シリコン層である。第1導電層6の結晶構造は、基板1の結晶構造と異なる。
【0044】
幾つかの実施例において、図1―3に示すように、太陽光電池は、P型電池の構造であり、基板1は、P型結晶シリコン基板であり、第1導電層6は、P型ドープ層(即ち、ベース)を含み、第2導電層7は、N型ドープ層(即ち、エミッタ)を含む。
【0045】
P型ドープ層は、レーザ、又はドライエッチング、又はウェットエッチング、又は機械的なスクライブなどのプロセスにより基板1の上方に開口を形成し、P型結晶シリコン基板を露出させ、さらにP型結晶シリコン基板の背向面4に第1電極8を直接的に形成し、第1電極8を背向面4に接触させることにより、第1電極8内の金属原子が背向面3内に拡散し、ベース層を形成する。P型ドープ層は、金属電極と基板1で形成された合金層(例えば、Al―Si合金層)を含む。
【0046】
第2導電層7と基板1との間に誘電体層15が設けられ、本発明の選択可能な技術的手段として、誘電体層15は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化シリコン又は酸窒化シリコンのうちの1つ又は複数を含む。第2導電層8は、N型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。N型ドーパントは、基板1と同じ導電タイプを有する任意のドーパントであってもよい。即ち、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)又はアンチモン(Sb)のV族元素を用いてもよい。
【0047】
本発明の実施例では、基板1がN型結晶シリコン基板を例として本発明のIBC電池構造を説明する。
【0048】
図1―1、図15及び図16に示すように、裏面パッシベーション層13をさらに備え、裏面パッシベーション層13は、電池の裏面をパッシベーションすることができ、第1導電層6、第2導電層7及び仕切領域4の領域におけるダングリングボンドに対して、背向面3のキャリア複合速度を低下させ、光電変換効率を向上させる。裏面パッシベーション層13は、第1導電層6、第2導電層7及び仕切領域4の表面に位置し、第1電極8は、裏面パッシベーション層13を通り抜けて第1導電層6に電気的に接触し、第2電極9は、裏面パッシベーション層13を通り抜けて第2導電層7に電気的に接触する。本発明の選択可能な技術的手段として、裏面パッシベーション層13には、開口が設けられてもよく、それにより、第1電極8と第2電極9が通った後に、それぞれ第1導電層6と第2導電層7に電気的に接触することで、金属電極と第1導電層6及び第2導電層7との接触面積を減少させ、さらに接触抵抗を低減し、開路電圧を向上させる。
【0049】
好ましくは、裏面パッシベーション層13は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1種又は複数種の積層構造を含む。
【0050】
幾つかの実施例において、裏面パッシベーション層13の厚さ範囲は、10nm~120nmであり、具体的に10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm 又は120nm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0051】
好ましくは、基板1の前面2には、正面パッシベーション層14が形成され、正面パッシベーション層14は、基板1の前面2をパッシベーションする作用を果たすことができ、界面でのキャリアの複合を低減し、キャリアの伝送効率を向上させ、さらにIBC電池の光電変換効率を向上させる。
【0052】
好ましくは、正面パッシベーション層14は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1種の又は複数種の積層構造を含む。
【0053】
好ましくは、正面パッシベーション層14の表面には、さらに反射低減層22が設けられ、反射低減層22は、入射光線の反射を低減し、光線に対する屈折を向上させ、それにより、光線の利用率を向上させ、光電変換効率を向上させる。幾つかの実施例において、反射低減層22と類似し、正面パッシベーション層14は、入射光線に対して反射低減作用を果たすことができる。
【0054】
好ましくは、第1導電層6と第2導電層7の少なくとも1つと基板1の背向面3との間に極薄型の誘電体層15が設けられ、誘電体層15は、基板1の背向面3を界面パッシベーションし、界面でのキャリアの複合を低減し、キャリアの伝送効率を保証し、本実施例に関わる技術的手段では、図9乃至図16に示すように、誘電体層15は、第2導電層7と基板1の背向面3との間に設けられている。
【0055】
本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層15は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化シリコン又は酸窒化シリコンのうちの1つ又は複数を含む。
【0056】
幾つかの実施例において、誘電体層15の厚さは、0.5nm~3nmである。誘電体層15の厚さが大きすぎると、多くのキャリアのトンネル効果が影響を受け、キャリアは、伝送して誘電体層15を通過しにくく、さらに誘電体層15のトンネリング及びパッシベーション効果に影響を与え、電池の光電変換効率は、徐々に低下する。誘電体層15の厚さが小さすぎると、電極スラリーとの接触に不利である。好ましくは、誘電体層15の厚さは、0.5nm~3nmである。具体的には、誘電体層15の厚さは、0.5nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、2.0nm、2.2nm、2.4nm、2.6nm、2.8nm、3nmなどであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0057】
幾つかの実施例において、誘電体層15は、仕切領域4に対応する基板1の背向面3を覆わない。第1導電層6がP型ドープ層であり、第2導電層7がN型ドープ層である場合、誘電体層15は、トンネル酸化層として選択され、トンネル酸化層は、多数キャリアがトンネリングして第1導電層6及び第2導電層7に進入することを許可すると同時に、少数キャリアの通過を阻止し、さらに多数キャリアは、第1導電層6及び第2導電層7内に横方向に輸送されて第1電極8又は第2電極9により収集され、トンネル酸化層と第1導電層6及び第2導電層7は、トンネル酸化層のパッシベーション接触構造を構成し、優れた界面パッシベーション及びキャリアの選択的な収集を実現し、キャリアの複合を低減し、IBC電池の光電変換効率を向上させる。なお、トンネル酸化層の実際の効果に完璧なトンネルバリアを備えなくてもよく、それは、例えばピンホールなどの欠陥を含んでもよく、それは、他の電荷キャリア伝送メカニズム(例えばドリフト、拡散)がトンネル効果に対して主導を占めることをもたらすことができるためである。
【0058】
幾つかの実施例において、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~4μmである。具体的に、距離は、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10の頂部表面と底部表面との間の距離が上記範囲に規定されたときに、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10は、良好な光閉じ込め効果及び反射低減効果を有し、光電変換効率を更に向上させる。
【0059】
幾つかの実施例において、第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~3μmである。具体的に、距離は、1μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11の頂部表面と底部表面との間の距離が上記範囲に規定されたときに、第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11は、良好な光閉じ込め効果及び反射低減効果を有し、光電変換効率を更に向上させる。
【0060】
幾つかの実施例において、境界領域5の第1方向D1に沿う距離範囲は、3μm~5μmである。具体的に、距離は、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。境界領域5が広すぎると、背向面3の有効面積が無駄にされる可能性があり、有効キャリアも収集されにくく、電池性能を低下させる。境界領域5が狭すぎると、良好な正負極の絶縁作用を果たすことができない。
【0061】
幾つかの実施例において、図2及び図3に示すように、線状凹凸テクスチャー構造12の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~4μmである。具体的に、距離は、1μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。線状凹凸テクスチャー構造12の頂部表面と底部表面との間の距離が上記範囲に規定されたときに、線状凹凸テクスチャー構造12によって入射光の反射を増加可能であり、光電変換効率を更に向上させる。
【0062】
幾つかの実施例において、仕切領域4の第1方向D1に沿う距離範囲は、50~200μmであり、具体的に、距離は、50μm、70μm、90μm、110μm、130μm、150μm、170μm、190μm、200μmなどであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。仕切領域4が広すぎると、背向面3の有効面積が無駄にされる可能性があり、有効キャリアも収集されにくく、電池性能を低下させる。仕切領域4が狭すぎると、良好な正負極の絶縁作用を果たすことができない。
【0063】
幾つかの実施例において、仕切領域4の基板の背向面3の法線方向に沿う距離範囲は、1~6μmであり、具体的に、距離は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μmなどであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0064】
幾つかの実施例において、仕切領域4の面積と基板1の背向面3の面積との比は、10%~35%であり、具体的に、比は、10%、15%、20%、25%、30%、35%などであってもよく、無論、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。仕切領域4の面積の占める割合が大きすぎると、背向面3の有効面積が無駄にされる可能性があり、有効キャリアも収集されにくく、電池性能を低下させ、仕切領域4の面積の占める割合が小さすぎると、良好な正負極の絶縁作用を果たすことができない。
【0065】
上記実施例によると、本発明は、N型太陽光電池の作製方法を更に提供し、以下のステップ、即ち、
基板1を提供するステップであって、基板1が前面2と前面2に背向する背向面3とを有し、背向面3に、第1方向D1に沿って千鳥状に間隔を空けて配列された第1領域101及び第2領域102があり、隣接する第1領域101と第2領域102との間に仕切領域4があるステップと、
基板1の背向面3に第1導電層6を形成するステップと、
基板1の背向面3に対してレーザ光による膜切りを行い、第2領域102及び仕切領域4に位置する第1導電層6を除去するステップと、
基板1の背向面3に第2導電層7を形成するステップと、
第2導電層7の表面の第2領域102に対応する箇所に第1保護層18を形成するステップと、
第1保護層18で覆われていない第2導電層7を除去するステップと、
第1保護層18を除去するステップと、
テクスチャリングするステップであって、仕切領域4に対応する背向面3に幾つかの第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10を形成し、第2導電層7に幾つかの第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11を形成し、隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11との間に境界領域があり、背向面3の境界領域5に有線状凹凸テクスチャー構造12を形成するステップと、
第1導電層6に第1電極8を形成し、第2導電層7に第2電極9を形成するステップと、を含む。
【0066】
上記作製方法を利用して製造された太陽光電池では、IBC電池の局所構造設計が最適化されたため、仕切領域4が第1導電層6と第2導電層7とを有効的に隔て、界面複合が減少し、且つ隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11との間に境界領域5があり、背向面3の境界領域5に線状凹凸テクスチャー構造12が形成されるので、基板1の背向面3の入射光反射が増加し、太陽光電池の光線に対する吸収数が増加し、太陽光電池の変換効率が向上する。
【0067】
以下、本技術的手段を具体的に説明する。
S10ステップでは、図4に示すように、基板1は、N型結晶シリコン基板であることが好ましく、前面2は、太陽光の照射方向に面する受光面であり、背向面3は、前面2に対向する表面であり、第1導電層6は、第1領域101に形成され、第2導電層7は、第2領域102に形成され、第2導電層7は、第1導電層6と、導電タイプが逆であり、仕切領域4は、第1導電層6及び第2導電層7を隔離するために用いられ、それにより、正負極の絶縁性能を向上させ、電池の漏電現象の発生を回避し、電池の信頼性を向上させる。
【0068】
S20ステップでは、図5及び図6に示すように、基板1にテクスチャリングを行い、基板1の背向面3に第1導電層6を形成し、本発明の実施例では、第1導電層6は、P型ドープ層(即ちエミッタ)を含み、温度800~1200℃で2h~5h拡散し、ホウ素を基板1にドーピングし、N型シリコンウェハ基板1の背向面3に第1導電層6を形成し、シート抵抗は、70~120ohm/sqであり、ドープ層にさらに拡散して形成されたホウケイ酸ガラス(BSG)を有し、BSG層16は、隔離作用を果たし、第1導電層6をより良く保護し、BSG層16の厚さは、100~200nmである。理解できるように、ホウ素拡散プロセスの場合、基板1の前面2にもP型ドープ層及び部分的なBSG層16が形成され、この部分のホウケイ酸ガラスを除去する必要があり、好ましくは、濃度2%~15%の鎖状HF酸を用いて前面2に位置するBSG層16を除去する。
【0069】
S30ステップでは、図7及び図8に示すように、基板1の背向面3にレーザによる膜切りを行い、第2領域102及び仕切領域4に位置する第1導電層6を除去する。具体的には、まず、背向面3にレーザによる膜切りを行い、レーザによる膜切りパターンは、フォーク状を呈し、第2領域102及び仕切領域4の総和に対応し、対応する領域のBSG層16を除去した後、研磨してレーザによる損傷を除去し、具体的には、レーザ光パワーが8W~15Wであり、膜の開口幅が300μm~600μmであり、研磨温度が50℃~65℃であり、研磨時間が400s~800sであり、研磨液が、体積分率1%~5%のNaOH又は体積分率1%~3%のKOH、及び体積分率0.5%~2.5%の添加剤を含み、研磨深さが2~5μmである。
【0070】
S40ステップでは、図9に示すように、基板1の背向面3に第2導電層7を形成し、第2導電層7は、N型ドープ層(即ち、ベース)を含み、具体的には、まず熱酸化で誘電体層15(トンネル酸化層)を成長し、誘電体層15の厚さは、0.1~1nmであり、誘電体層15に低圧化学気相堆積法により真性多結晶シリコンを堆積し、多結晶シリコンの厚さは、100~200nmの範囲であり、温度700~1000℃で1h~3h拡散し、リンを真性多結晶シリコンにドーピングし、N型シリコンウェハ基板1の裏面にパッシベーション接触構造を形成し、パッシベーション接触構造は、誘電体層15と第2導電層7との積層であり、第2導電層7のシート抵抗は、25~45ohm/sqであり、N型多結晶シリコンに、さらに拡散して形成されたリンケイ酸ガラス(PSG)を有し、PSG層17は、1層のバリア層とすることができ、PSG層17の厚さは、20~100nmの範囲である。
【0071】
S50ステップでは、図10に示すように、第2導電層7の表面の第2領域102に対応する箇所に第1保護層18が形成され、幾つかの実行可能な実施形態では、第1保護層18は、インク(INK)保護層であり、第2導電層7のPSG層17にスクリーン印刷又はインクジェット塗布の方式を採用し、1層のフォーク状のインク(INK)保護層を塗布し、当該インク(INK)保護層のパターンは、製造されるIBC電池のグリッド線パターンである。
【0072】
S60ステップでは、第1保護層18で覆われていない第2導電層7を除去してから、第1保護層18を除去してテクスチャリングし、仕切領域4に対応する背向面3には、幾つかの第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10が形成され、第1導電層6には、幾つかの第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11が形成され、隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11との間には、境界領域5があり、背向面3の境界領域5には、線状凹凸テクスチャー構造12が形成されている。具体的に、
【0073】
S601では、図11に示すように、体積分率1%~20%のHF酸を用いて、第1保護層18で覆われていないPSG層17を腐食し、腐食時間が5s~60sである。
【0074】
S602では、図12に示すように、第1保護層18で覆われていないPSG層17を除去した後、アルカリ溶液を用いて第1保護層18を溶出し、アルカリ溶液がNaOH濃度1%~10%の溶液であり、時間が180s~300sである。
【0075】
S603では、図13に示すように、アルカリ溶液においてテクスチャリング又はアルカリ研磨を行い、アルカリ溶液がNaOH濃度0.5%~5%の溶液であり、温度が60~80℃であり、反応時間が240s~500sであり、PSG層17による保護のない第2導電層7を除去して仕切領域4を形成する。
【0076】
S603では、図14に示すように、テクスチャリング処理後の基板1に対してRCA洗浄を行ってから、1%~10%のHF溶液において洗浄を行い、基板1の表面をきれいに洗浄して基板1の表面の誘電体層15、BSG層16及びPSG層17を除去することにより、背向面3の異なる領域に異なる形態の構造を形成する。仕切領域4には、第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10が形成されている。第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10の頂部と底部との距離(又は高さ)範囲は、2~4μmである。第2導電層7には、幾つかの第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11が形成されている。第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11の頂部と底部との距離(又は高さ)範囲は、1~3μmである。隣接する第1ピラミッド状テクスチャー構造領域10と隣接する第2ピラミッド状テクスチャー構造領域11との間には、境界領域5がある。境界領域5の幅は、3~5μmであり、背向面3の境界領域5には、線状凹凸テクスチャー構造12が形成されている。
【0077】
S70ステップでは、図15及び図16に示すように、基板1の前面2と背向面3にそれぞれ正面パッシベーション層14と裏面パッシベーション層13を堆積し、正面パッシベーション層14は、酸化アルミニウム及び酸化シリコン、窒化シリコンの積層であり、裏面パッシベーション層13は、酸化アルミニウム及び窒化シリコンであり、基板1の背向面3に銀アルミニウムペースト及び銀ペーストを印刷し、銀アルミニウムペーストの印刷は、第1導電層6に合わせて第1電極8を形成し、銀ペーストは、第2導電層7に位置合わせて第2電極9を形成し、焼結して金属化を完了する。
【0078】
上記実施例に基づき、図17に示すように、本願は、太陽光発電モジュールを更に提供し、当該太陽光発電モジュールは、電池ストリング19とパッケージ層20と蓋板21とを含む。電池ストリング19は、上述した太陽光電池を接続して形成されたものであり、隣接する電池ストリング19の間に例えばタブ線などの導電ストリップを介して接続される。パッケージ層20は、電池ストリング19の表面を覆うために用いられる。蓋板21は、パッケージ層20の電池ストリング19から離間する面を覆うために用いられる。
【0079】
幾つかの実施例において、電池ストリング19の数は、少なくとも2つであり、電池ストリング17は、並列接続及び/又は直列接続の方式により電気的に接続される。
【0080】
幾つかの実施例において、パッケージ層20は、電池ストリング19の正面及び裏面に設けられたパッケージ層を含み、パッケージ層20の材料は、EVA、POE又はPETなどのゴム膜を含むが、それらに限定されない。
【0081】
幾つかの実施例において、蓋板21は、電池ストリング19の正面及び裏面に設けられた蓋板21を含み、蓋板21は、良好な光透過能力を有する材料が選択され、ガラス、プラスチックなどを含むが、それらに限定されない。
【0082】
最後に説明すべきことは、以上各実施例が単に本発明の技術案を説明するためのものであり、制限用のものではない。上記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上記各実施例に記載された技術案について、変更又は一部若しくは全部の技術特徴に対して均等物による置換を行うことが可能であることは、理解されるべきである。しかし、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させることなく、何れも本発明の請求項及び明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造的な衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術特徴は、何れも任意の方式で組み合わせることができる。本発明は、本文における特定の実施例に限定されず、請求項の範囲内に収まる全ての技術案を含むべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 基板、101 第1領域、102 第2領域、2 前面、3 背向面、4 仕切領域、5 境界領域、6 第1導電層、7 第2導電層、8 第1電極、9 第2電極、10 第1ピラミッド状テクスチャー構造領域、11 第2ピラミッド状テクスチャー構造領域、12 線状凹凸テクスチャー構造、13 裏面パッシベーション層、14 正面パッシベーション層、15 誘電体層、16 BSG層、17 PSG層、18 第1保護層、19 電池ストリング、20 パッケージ層、21 蓋板、22 反射低減層、D1 第1方向。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17