(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】複合容器および複合容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/40 20060101AFI20241003BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20241003BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20241003BHJP
B29C 49/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D1/40 200
B65D1/02 110
B65D23/00 H
B29C49/22
(21)【出願番号】P 2020042205
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
(72)【発明者】
【氏名】須賀 勇介
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-200491(JP,A)
【文献】特開2007-015732(JP,A)
【文献】特開2009-128753(JP,A)
【文献】特開2019-072864(JP,A)
【文献】特開2009-040493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/40
B65D 1/02
B65D 23/00
B29C 49/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合容器において、
口部と首部と胴部と底部とを有する容器本体と、
前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材と、を備え、
前記プラスチック製部材のうち、前記容器本体の前記首部、前記胴部および前記底部のうちの少なくともいずれかに対応する位置に、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部が形成され、
前記プラスチック製部材に、ハーフカットからなる剥離補助線が形成され、
前記剥離補助線は、前記切り込み部から離間しており、
前記切り込み部と、前記剥離補助線との間に、ハーフカットからなる線またはミシン目線は形成されて
おらず、
前記切り込み部は、一対の端部を有し、
前記剥離補助線は、前記一対の端部からそれぞれ延びる破断予定線であって、前記切り込み部の前記一対の端部同士を結んだ直線に直交する方向に延びる破断予定線に交差するとともに、前記破断予定線同士の間で終端している、複合容器。
【請求項2】
前記容器本体のうち、前記首部、前記胴部および前記底部のうちの少なくともいずれかに、線状に延びる突起部が形成されており、前記切り込み部は、前記プラスチック製部材のうち、前記突起部に対応する位置に形成されている、請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記切り込み部の少なくとも一部は、前記突起部の基端線を跨いでいる、請求項2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記切り込み部は、円弧形状を有し、前記剥離補助線の少なくとも一部は、前記切り込み部が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項5】
前記切り込み部は、波形状を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項6】
複合容器の製造方法において、
プリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、前記プリフォームに対応する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを作製する工程と、
ブロー成形後の前記プラスチック製部材に対して、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部と、ハーフカットからなる剥離補助線を形成する工程と、を備え、
前記剥離補助線は、前記切り込み部から離間しており、
前記切り込み部と、前記剥離補助線との間に、ハーフカットからなる線またはミシン目線は形成されて
おらず、
前記切り込み部は、一対の端部を有し、
前記剥離補助線は、前記一対の端部からそれぞれ延びる破断予定線であって、前記切り込み部の前記一対の端部同士を結んだ直線に直交する方向に延びる破断予定線に交差するとともに、前記破断予定線同士の間で終端している、複合容器の製造方法。
【請求項7】
前記切り込み部は、円弧形状を有し、前記剥離補助線の少なくとも一部は、前記切り込み部が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成される、請求項6に記載の複合容器の製造方法。
【請求項8】
前記切り込み部および前記剥離補助線は、レーザーにより形成される、請求項6または7に記載に記載の複合容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合容器および複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。
【0003】
このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。
【0004】
ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。
【0005】
これに対して本出願人は、特許文献1において、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な複合容器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【0007】
上記した複合容器が備えるプラスチック製部材は、容器本体に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体から分離(剥離)して除去することができ、容器本体をリサイクルすることができる。しかしながら、プラスチック製部材は、容器本体に密着するように設けられており、その容器本体からの分離性には改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、容器本体の外側に設けられたプラスチック製部材の分離性を高めることが可能な、複合容器および複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態による複合容器は、口部と首部と胴部と底部とを有する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材と、を備え、前記プラスチック製部材のうち、前記容器本体の前記首部、前記胴部および前記底部のうちの少なくともいずれかに対応する位置に、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部が形成され、前記プラスチック製部材に、ハーフカットからなる剥離補助線が形成され、前記切り込み部から、前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去する際に破断される破断予定線が延び、前記剥離補助線は、前記破断予定線に交差する。
【0010】
一実施の形態による複合容器は、口部と首部と胴部と底部とを有する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材と、を備え、前記プラスチック製部材のうち、前記容器本体の前記首部、前記胴部および前記底部のうちの少なくともいずれかに対応する位置に、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部が形成され、前記プラスチック製部材に、ハーフカットからなる剥離補助線が形成され、前記剥離補助線は、前記切り込み部に交差する。
【0011】
一実施の形態による複合容器において、前記切り込み部は、一対の端部を有し、前記破断予定線は、前記一対の端部からそれぞれ延びるとともに、前記切り込み部の前記一対の端部同士を結んだ直線に直交する方向に延びていてもよい。
【0012】
一実施の形態による複合容器において、前記切り込み部は、全体として円弧形状を有し、前記剥離補助線の少なくとも一部は、前記切り込み部が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成されていてもよい。
【0013】
一実施の形態による複合容器において、前記容器本体のうち、前記首部、前記胴部および前記底部のうちの少なくともいずれかに、線状に延びる突起部が形成されており、前記切り込み部は、前記プラスチック製部材のうち、前記突起部に対応する位置に形成されていてもよい。
【0014】
一実施の形態による複合容器において、前記切り込み部の少なくとも一部は、前記突起部の基端線を跨いでいてもよい。
【0015】
一実施の形態による複合容器において、前記切り込み部は、波形状を有していてもよい。
【0016】
一実施の形態による複合容器の製造方法は、プリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、前記プリフォームに対応する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを作製する工程と、ブロー成形後の前記プラスチック製部材に対して、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部と、ハーフカットからなる剥離補助線を形成する工程と、を備え、前記切り込み部から、前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去する際に破断される破断予定線が延び、前記剥離補助線は、前記破断予定線に交差する。
【0017】
一実施の形態による複合容器の製造方法は、プリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、前記プリフォームに対応する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを作製する工程と、ブロー成形後の前記プラスチック製部材に対して、前記プラスチック製部材を貫通する切り込み部と、ハーフカットからなる剥離補助線を形成する工程と、を備え、前記剥離補助線は、前記切り込み部に交差する。
【0018】
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記切り込み部は、一対の端部を有し、前記破断予定線は、前記一対の端部からそれぞれ延びるとともに、前記切り込み部の前記一対の端部同士を結んだ直線に直交する方向に延びていてもよい。
【0019】
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記切り込み部は、全体として円弧形状を有し、前記剥離補助線の少なくとも一部は、前記切り込み部が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成されてもよい。
【0020】
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記切り込み部および前記剥離補助線は、レーザーにより形成されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、容器本体の外側に設けられたプラスチック製部材の分離性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による複合容器を示す水平断面図(
図1のII-II線断面図)である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による複合容器を示す底面図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図(
図3のIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による複合容器を示す拡大図(
図3のV部に対応する拡大図)である。
【
図6】
図6(a)-(b)は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態による複合容器を製造するための複合プリフォームを示す部分垂直断面図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態による複合容器を製造するための複合プリフォームを示す水平断面図(
図7のVIII-VIII線断面図)である。
【
図9】
図9(a)-(d)は、各種プラスチック製部材を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)-(f)は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す概略図である。
【
図11】
図11(a)-(b)は、一実施の形態による複合容器におけるプラスチック製部材の除去方法を説明するための断面図である。
【
図12】
図12(a)-(b)は、一実施の形態による複合容器におけるプラスチック製部材の除去方法を説明するための底面図である。
【
図13】
図13は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す底面図である。
【
図14】
図14は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す底面図である。
【
図15】
図15は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す底面図である。
【
図16】
図16は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す底面図である。
【
図17】
図17は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す底面図である。
【
図18】
図18は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す正面図である。
【
図19】
図19は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す垂直断面図(
図18のXIX-XIX線断面図)である。
【
図20】
図20は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す正面図である。
【
図21】
図21は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す垂直断面図(
図20のXXI-XXI線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1乃至
図12は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0024】
複合容器の構成
まず、
図1乃至
図6により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。
なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(
図1)における上方および下方のことをいう。
【0025】
図1乃至
図6に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(
図7および
図8参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
【0026】
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
【0027】
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
【0028】
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
【0029】
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、胴部20と、底部30とを有している。
【0030】
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。容器本体10に内容液等の内容物が充填され、口部11に図示しないキャップが螺着されることにより、内容物入り複合容器10Aが作製される。
【0031】
首部13は、フランジ部17と胴部20との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
【0032】
胴部20は、首部13側から底部30側に向けて徐々に径が拡大する形状(水平断面において徐々に面積が拡大する形状)を有する第1部分21と、第1部分21の下方に設けられ、全体として略均一な径をもつ第2部分22と、を有している。このうち第2部分22は、円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20の第2部分22が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20の第2部分22が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
【0033】
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。このうち凹部31の外面31aは、後述する突起部33が形成された領域を除き、略一定の曲率半径で上方に向かって凹むように湾曲している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
【0034】
また、
図3および
図4に示すように、底部30の凹部31に、線状に延びる突起部33が形成されている。本実施の形態では、突起部33は、環状に延びており、底部30の凹部31の全周にわたって形成されている。なお、突起部33は、周方向において、底部30の凹部31の一部分のみに形成されていても良い。
【0035】
図4に示すように、突起部33は、第1傾斜面34と、第1傾斜面34よりも径方向内方に位置する第2傾斜面35と、第1傾斜面34と第2傾斜面35とを連結する連結面36とを含んでいる。第1傾斜面34は、下方に向かうにつれて径方向内方に傾斜しており、第2傾斜面35は、上方に向かうにつれて径方向内方に傾斜している。一方、連結面36は、水平面(容器本体10の中心軸線に対して垂直な面)に対して略平行になっている。
【0036】
このような突起部33は、ブロー成形型50の底部型50cの内面に凹部を設けることにより、ブロー成形時に形成される。この場合、容器本体10の底部30の内面には、突起部33に対応する窪み部37が形成される。なお、
図4において、突起部33が形成されていない場合の底部30の凹部31を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0037】
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。また、底部30における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば0.15mm以上2.0mm以下程度にすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上20g以下とすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0038】
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なお容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
【0039】
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを射出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
【0040】
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
【0041】
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
【0042】
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
【0043】
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、
図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
【0044】
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
【0045】
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。または、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30の中心部を除く、胴部20および底部30を覆うように設けられていても良い。
【0046】
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0047】
プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40は、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られる。
【0048】
プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。ところで、
図3乃至
図5に示すように、プラスチック製部材40に、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45が形成されている。プラスチック製部材40に切り込み部45が形成されていることにより、切り込み部45からプラスチック製部材40の分離を行うことができ、容器本体10の表面からプラスチック製部材40を容易に分離除去することができる。このため、複合容器10Aにおいて、容器本体10のリサイクルを行いやすくすることができる。
【0049】
本実施の形態では、切り込み部45は、容器本体10の底部30に対応する位置に形成されている。切り込み部45が、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に形成されていることにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。また、底部30の厚みは、胴部20の厚みよりも厚くなっていることが一般的である。このため、切り込み部45が容器本体10の底部30に対応する位置に形成されていることにより、後述するように、レーザーにより切り込み部45を形成する際に、万が一、容器本体10に傷が付いた場合であっても、容器本体10に孔が開いてしまう不具合を抑制することができる。この結果、内容物が複合容器10Aから漏れ出す不具合を効果的に抑制することができる。
【0050】
また、切り込み部45は、プラスチック製部材40のうち、突起部33に対応する位置に形成されている。この切り込み部45は、突起部33の第2傾斜面35よりも径方向外方に形成されている(
図5参照)。また、
図3および
図5に示すように、切り込み部45は、波形状を有している。切り込み部45が、プラスチック製部材40のうち、突起部33に対応する位置に形成され、波形状を有していることにより、後述するように、使用者が突起部33に爪先を引っ掛けることによって、切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。
【0051】
ところで、例えば、
図6(a)に示すように、切り込み部45が、突起部33に対して、(例えば径方向外方に)離れ過ぎている場合、使用者が突起部33に爪先を引っ掛けた場合であっても、切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を破断させることは困難になる。すなわち、使用者が突起部33に爪先を引っ掛けた場合、使用者の爪先は、突起部33の第1傾斜面34や第2傾斜面35に引っ掛かる。このため、切り込み部45が、突起部33に対して離れ過ぎている場合、使用者の爪先が切り込み部45から離れた位置に引っ掛かるようになり、切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を破断させることは困難になる。このため、容器本体10からプラスチック製部材40を剥離しにくくなる。
【0052】
また、例えば、
図6(b)に示すように、切り込み部45が突起部33の連結面36に形成されている場合においても、使用者が突起部33に爪先を引っ掛けた場合に、使用者の爪先が切り込み部45から離れた位置に引っ掛かるようになり、切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を破断させることは困難になる。このため、突起部33に対して所望の位置に切り込み部45を形成することが求められており、この場合、切り込み部45を形成する際に、高い加工精度が求められる。
【0053】
これに対して本実施の形態では、切り込み部45が波形状を有している。これにより、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33に対して所望の位置に形成することができる。すなわち、切り込み部45が波形状を有していることにより、高い加工精度が要求されることなく、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33の後述する基端線38a(または後述する基端線38b)近傍に容易に形成することができる。このため、環状に延びる突起部33のうち、基端線38a近傍に切り込み部45が形成された部分に、使用者が爪先を引っ掛けることによって、基端線38a近傍に形成された切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。また、切り込み部45が波形状を有していることにより、切り込み部45を目立たせることができ、使用者が切り込み部45を容易に認識することができる。
【0054】
この場合、
図5に示すように、切り込み部45の少なくとも一部は、突起部33の基端線38aを跨いでいる。これにより、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33に対して所望の位置に確実に形成することができる。ところで、本発明者らが種々研究した結果、使用者が突起部33に爪先を引っ掛けることによって、プラスチック製部材40を容易に破断させるためには、切り込み部45は、突起部33の基端線38a近傍に形成され、プラスチック製部材40によって、突起部33の第1傾斜面34が覆われていることが好ましいことを見出した(
図4参照)。これに対して、切り込み部45の少なくとも一部が、突起部33の基端線38aを跨いでいることにより、切り込み部45が突起部33の基端線38a近傍に形成され、プラスチック製部材40によって、突起部33の第1傾斜面34が覆われた部分を確実に形成することができる。なお、本明細書中、「基端線38a」とは、垂直断面において、突起部33よりも径方向外方に位置する点であって、底部30の凹部31の外面31aのうち、曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。また、「基端線38b」とは、垂直断面において、突起部33よりも径方向内方に位置する点であって、底部30の凹部31の外面31aのうち、曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。
【0055】
また、切り込み部45は、一対の端部45a、45bを有しており、全体として円弧形状を有している。これにより、切り込み部45は、環状に延びる突起部33に沿うように形成されている。このため、切り込み部45のうち、突起部33に対して所望の位置に位置付けられる部分を多く形成することができる。なお、本明細書中「全体として円弧形状を有する」とは、切り込み部45の波形状において、山部の頂点同士を滑らかに結んだ曲線および谷部の頂点同士を滑らかに結んだ曲線が、それぞれ略円弧形状であり、かつ、各々の略円弧形状の中心(以下、単に中心Oと記す)が互いに一致していることを意味する。
【0056】
また、切り込み部45がなす円弧形状において、中心角θは180°以下であることが好ましい。これにより、複合容器10Aの搬送中等において、切り込み部45を起点としてプラスチック製部材40が容器本体10の底部30から捲れてしまうことを抑制することができる。この中心角θは、例えば45°であってもよい。なお、中心角θは、45°未満でも良く、例えば30°であっても良い。また、底部30に複数の切り込み部45が形成されていてもよい。なお、本明細書中、切り込み部45がなす円弧形状の「円弧」とは、中心Oと端部45a、45bとを通る2つの直線L1、L2(
図5の一点鎖線参照)を半径とする円弧を意味する。
【0057】
ところで、切り込み部45から、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離除去する際に破断される破断予定線46(
図3および
図5の二点鎖線参照)が延びている。図示された例では、2本の破断予定線46が切り込み部45から延びている。この破断予定線46は、一対の端部45a、45bからそれぞれ延びるとともに、切り込み部45の一対の端部45a、45b同士を結んだ直線L3に直交する方向に延びている。具体的には、破断予定線46は、直線L3に直交する方向であって、切り込み部45の端部45a、45bから中心Oに向かう側に延びている。なお、本明細書中、「破断予定線」とは、切り込み部45をきっかけとしてプラスチック製部材40を破断させた場合に、プラスチック製部材40の破断が進行する予定の経路を示す線を意味する。この破断予定線46は、プラスチック製部材40の他の部分と区別できなくてもよく、区別できてもよい。破断予定線46がプラスチック製部材40の他の部分と区別できる場合、破断予定線46は、ハーフカット等の加工を施すことにより当該他の部分と区別できるようになっていてもよく、絵柄や色により当該他の部分と区別できるようになっていてもよい。なお、ハーフカットとは、プラスチック製部材40を外面側から薄肉化すること、またはプラスチック製部材40を貫通しない切り込みを、プラスチック製部材40に対して外面側から形成することをいう。
【0058】
また、プラスチック製部材40に、ハーフカットからなる剥離補助線47が形成されている。この剥離補助線47は、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離除去する際に破断される線であり、切り込み部45をきっかけとして開始されたプラスチック製部材40の破断の進行方向を変化させる役割を果たす。このようなハーフカットからなる剥離補助線47が形成されていることにより、容器本体10に傷が形成されることを抑制しつつ、プラスチック製部材40の破断の進行方向を容易に変化させることができる。
【0059】
剥離補助線47は、切り込み部45から離間する位置に形成されており、上述した破断予定線46に交差している。剥離補助線47が破断予定線46に交差していることにより、プラスチック製部材40の破断が、破断予定線46に沿って進行することによって破断予定線46と剥離補助線47との交点に到達した後、当該破断が剥離補助線47に沿って進行するようになっている。
【0060】
本実施の形態では、プラスチック製部材40に2本の剥離補助線47が形成されている。各々の剥離補助線47は、それぞれ切り込み部45の外側に延びている。ここで、本明細書中、「切り込み部45の外側」とは、
図5に示すように、直線L3に直交する直線であって、一対の端部45a、45b間を二等分する中間点を通る直線L4から遠ざかる側を意味する。各々の剥離補助線47が、それぞれ切り込み部45の外側に延びていることにより、プラスチック製部材40が剥離補助線47に沿って破断した際に、プラスチック製部材40の破断を、後述する剥離片Pの幅Wが増加する方向に進行させることができる。
【0061】
また、各々の剥離補助線47は、それぞれ少なくとも一部が、全体として円弧形状を有する切り込み部45よりも径方向内方に位置するように形成されている。この場合、剥離補助線47の少なくとも一部は、切り込み部45が弧(すなわち、直線L1、L2を半径とする円弧)を構成する扇形状に重なる位置に形成されている。これにより、プラスチック製部材40の破断が破断予定線46からずれて進行した場合であっても、プラスチック製部材40の破断を、剥離補助線47に沿って進行させることができる。
【0062】
プラスチック製部材40としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、プラスチック製部材40の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
【0063】
プラスチック製部材40は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
【0064】
プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
【0065】
また、プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。
【0066】
プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0067】
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
【0068】
複合プリフォームの構成
次に、
図7および
図8により、複合プリフォームの構成について説明する。
【0069】
図7および
図8に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
【0070】
プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
【0071】
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
【0072】
この場合、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aのうち、胴部20aの全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
【0073】
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。または、プラスチック製部材40aは、底部30を除く、胴部20aを覆うように設けられていても良い。
【0074】
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0075】
プラスチック製部材40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
【0076】
なお、プラスチック製部材40aが熱収縮作用をもつ場合、円筒状のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aの下端部(口部11aとは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
【0077】
プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
【0078】
プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0079】
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
【0080】
図9(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与することができる。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したダイレクトブローチューブやシート成形チューブ、射出成形チューブを挙げることができる。
【0081】
また、
図9(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブを用いることができる。
【0082】
また、
図9(c)および
図9(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、
図9(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、
図9(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
【0083】
複合容器の製造方法
次に、
図10(a)-(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法について説明する。
【0084】
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(
図10(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
【0085】
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(
図10(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。
【0086】
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0087】
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(
図10(a)-(b))と、ブロー成形を行う一連の工程(
図10(c)-(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0088】
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(
図10(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0089】
また、ブロー成形型50を準備する。そして、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、複合容器10Aを作製するためのブロー成形型50に送られる(
図10(d)参照)。
【0090】
容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40は、このブロー成形型50を用いて作製される。この場合、ブロー成形型50は、金属型または樹脂型である型本体52を備えており、型本体52は、互いに分割された一対の胴部型50a、50bと、底部型50cとからなる(
図10(d)参照)。型本体52の内面は、複合容器10Aの首部13、胴部20および底部30に対応する形状を有している。
図10(d)において、一対の胴部型50a、50b間は互いに開いており、底部型50cは上方に上がっている。この状態で型本体52の一対の胴部型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
【0091】
次に、
図10(e)に示すように、底部型50cが下がったのちに一対の胴部型50a、50bが閉鎖され、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cにより密閉されたブロー成形型50が構成される。次に、プリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
【0092】
これにより、複合プリフォーム70は、ブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形され、ブロー成形型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。そして、容器本体10の底部30に、線状に延びる突起部33(
図4参照)が形成される。
【0093】
このようにして、容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40が得られる。
【0094】
その後、
図10(f)に示すように、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cが互いに離れ、ブロー成形型50内から、容器本体10および容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40が取出される。
【0095】
次に、ブロー成形後のプラスチック製部材40に対して、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45を形成する。この場合、切り込み部45は、例えば、レーザーにより形成されてもよい。このように、容器本体10に密着した状態のプラスチック製部材40に対してレーザーにより切り込み部45を形成することにより、レーザー光の焦点をプラスチック製部材40に合わせやすくすることができる。このため、複合容器10Aの所望の位置に切り込み部45を容易に形成することができ、複合容器10Aの生産性を向上させることができる。また、容器本体10の形状に合わせて切り込み部45を形成することができるため、例えば複合プリフォーム70のプラスチック製部材40aの延伸率等を考慮することなく、所望の形状の切り込み部45を形成することができる。
【0096】
なお、使用するレーザーは特に限定されるものではない。使用するレーザーとしては、例えば、炭酸ガスレーザー、He-Neレーザー、Arレーザー、エキシマレーザー、金属蒸気レーザー、ファイバレーザー、Nd:YAGレーザーを含むYAGレーザー類、及びそれらの高調波レーザー等が挙げられる。これらの中でも、装置が比較的小型で安価であることから、炭酸ガスレーザーが好ましい。また、使用するレーザーの波長は、使用するレーザーの種類により変化し、例えば、炭酸ガスレーザーの場合、9.4μm及び10.6μmであり、Nd:YAGレーザーの場合、1064nmとなる。また、波長についてもこれに限られるものでなく、プラスチック製部材40に含有されている樹脂材料の種類等に応じて適宜変更して使用することが好ましい。
【0097】
この際、まず、レーザーを照射するための図示しない照射装置(例えば、キーエンス社製、ML-Z9500)を準備する。次に、プラスチック製部材40に対して、照射装置からレーザーを照射する。これにより、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に形成された突起部33に対応する位置に、切り込み部45が形成される。このように、切り込み部45が容器本体10の底部30に対応する位置に形成されることにより、複合容器10Aの外観が損なわれることを抑制することができる。
【0098】
また、切り込み部45は、波形状を有するように形成される(
図5参照)。さらに、切り込み部45は、一対の端部45a、45bを有し、全体として円弧形状を有するように形成される。これにより、切り込み部45は、環状に延びる突起部33に沿うように形成される。
【0099】
また、この際、ブロー成形後のプラスチック製部材40に対して、ハーフカットからなる剥離補助線47を形成する。この場合、剥離補助線47は、例えば、レーザーにより形成されてもよい。この場合においても、容器本体10に密着した状態のプラスチック製部材40に対してレーザーにより剥離補助線47を形成することにより、レーザー光の焦点をプラスチック製部材40に合わせやすくすることができる。このため、剥離補助線47の形成を容易に行うことができ、複合容器10Aの生産性を向上させることができる。また、容器本体10の形状に合わせて剥離補助線47を形成することができるため、例えば複合プリフォーム70のプラスチック製部材40aの延伸率等を考慮することなく、所望の形状の剥離補助線47を形成することができる。なお、使用するレーザーは特に限定されるものではなく、上述した切り込み部45を形成するレーザーと同様のものを用いることができる。
【0100】
この剥離補助線47は、破断予定線46(
図5参照)に交差するように形成される。この際、剥離補助線47の少なくとも一部が、切り込み部45が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成されることが好ましい。
【0101】
このようにして、複合容器10Aが得られる。
【0102】
その後、複合容器10Aの口部11を介して、複合容器10A内へ内容物が充填される。
【0103】
ところで、容器本体10をリサイクルする際、複合容器10Aのプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去する必要がある。上述したように、切り込み部45は、突起部33に対応する位置に形成されている。また、切り込み部45は、波形状を有している。これにより、切り込み部45の少なくとも一部を、例えば突起部33の基端線38a近傍に容易に形成することができる。このため、
図11(a)に示すように、環状に延びる突起部33のうち、基端線38a近傍に切り込み部45が形成された部分に、使用者が爪先を引っ掛けることによって、基端線38a近傍に形成された切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。このため、プラスチック製部材40を容器本体10の底部30から容易に引き剥がすことができる。
【0104】
また、この場合、
図11(b)に示すように、プラスチック製部材40のうち容器本体10の底部30から剥離した部分によって、剥離片Pが形成される。また、剥離片Pと底部30との間に隙間Gが形成される。このため、使用者が剥離片Pを摘まみやすくなる。この結果、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0105】
プラスチック製部材40を容器本体10から分離して除去する場合、まず、使用者が剥離片Pを引っ張ることにより、プラスチック製部材40が、切り込み部45をきっかけとして破断する。この際、プラスチック製部材40は、破断予定線46(
図5参照)に沿って破断する。そして、プラスチック製部材40の破断が進行すると、破断が、破断予定線46に交差する剥離補助線47に到達する。ここで、剥離補助線47は、切り込み部45の外側に延びており、プラスチック製部材40の破断は、
図12(a)に示すように、剥離片Pの幅Wが増加する方向に進行する。このため、剥離片Pがプラスチック製部材40を容器本体10から分離している途中で千切れてしまうことを抑制することができる。なお、
図12(a)において、破断される前の剥離補助線47を破線で示している。
【0106】
その後、
図12(b)に示すように、剥離片Pを更に引っ張ることにより、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30に対応する位置に、プラスチック製部材40を貫通する切り込み部45が形成され、プラスチック製部材40に、ハーフカットからなる剥離補助線47が形成されている。また、切り込み部45から、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離除去する際に破断される破断予定線46が延び、剥離補助線47が、破断予定線46に交差している。これにより、プラスチック製部材40の破断が、破断予定線46に沿って進行することによって破断予定線46と剥離補助線47との交点に到達した後、プラスチック製部材40の破断を剥離補助線47に沿って進行させることができる。このため、プラスチック製部材40の破断の進行方向を変化させることができ、プラスチック製部材40を容器本体10から分離している途中で、プラスチック製部材40が千切れてしまうことを抑制することができる。
【0108】
また、このようなハーフカットからなる剥離補助線47が形成されていることにより、容器本体10に傷が形成されることを抑制しつつ、プラスチック製部材40の破断の進行方向を容易に変化させることができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、切り込み部45が、全体として円弧形状を有し、剥離補助線47の少なくとも一部が、切り込み部45が弧を構成する扇形状に重なる位置に形成されている。これにより、プラスチック製部材40の破断が破断予定線46からずれて進行した場合であっても、プラスチック製部材40の破断を、剥離補助線47に沿って進行させることができる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、切り込み部45が、プラスチック製部材40のうち、突起部33に対応する位置に形成されている。これにより、突起部33に使用者が爪先を引っ掛けることによって、切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。このため、プラスチック製部材40が容器本体10から容易に引き剥がされ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、切り込み部45の少なくとも一部が、突起部33の基端線38aを跨いでいる。これにより、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33に対して所望の位置に確実に形成することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態によれば、切り込み部45は、波形状を有している。これにより、高い加工精度が要求されることなく、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33の基端線38a近傍に容易に形成することができる。このため、環状に延びる突起部33のうち、基端線38a近傍に切り込み部45が形成された部分に、使用者が爪先を引っ掛けることによって、基端線38a近傍に形成された切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。この結果、プラスチック製部材40が容器本体10の底部30から容易に引き剥がされ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0114】
なお、上記実施の形態において、切り込み部45を形成した後に、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を収縮させても良い。この際、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を、ヒートガンなどの温風を用いて加熱しても良い。加熱する方法はヒートガン、ドライヤーなどの温風以外に、蒸気や加熱した冶具、レーザーを用いても良い。蒸気の場合は、シュリンクラベルを装着する際のシュリンクトンネルを利用することも考えられる。また、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱する際に、容器が変形しない程度にその周辺が温められてもよい。この場合、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40が収縮することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を容器本体10に対して浮き上がらせることができる。これにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を摘まみやすくなり、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。なお、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を加熱することにより、切り込み部45周囲のプラスチック製部材40を収縮させる場合、プラスチック製部材40としては、収縮する作用をもつものが用いられる。
【0115】
また、上記実施の形態において、切り込み部45および剥離補助線47が、それぞれレーザーによって形成される例について説明した。しかしながら、これに限られず、切り込み部45および剥離補助線47が、それぞれ、カッターや抜き型に使用されるトムソン刃またはビク刃、腐食(エッチング)加工により作製するピナクル刃またはそれらをシャープニング加工した刃物、その他切削により作製する刃物(彫刻刃)によって形成されてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態において、プラスチック製部材40に2本の剥離補助線47が形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、
図13に示すように、プラスチック製部材40に形成される剥離補助線47の本数が1本であってもよい。また、図示はしないが、プラスチック製部材40に形成される剥離補助線47の本数が3本以上であってもよい。
【0117】
また、上記実施の形態において、切り込み部45が波形状を有している例について説明した。しかしながら、これに限られず、
図14に示すように、切り込み部45が円弧形状を有していてもよい。また、図示はしないが、切り込み部45が直線形状を有していてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態において、剥離補助線47が、切り込み部45から離間する位置に形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、
図15に示すように、剥離補助線47が、切り込み部45に直接連結されていてもよい。また、この場合、
図16に示すように、剥離補助線47が、突起部33の基端線38aに沿って延びていてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態において、切り込み部45が、突起部33の第2傾斜面35よりも径方向外方に形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、
図17に示すように、切り込み部45が、第2傾斜面35に重なるように形成されていてもよく、第1傾斜面34よりも径方向内方に形成されていてもよい。また、この場合、切り込み部45が、基端線38bを跨いでいてもよい。この場合においても、環状に延びる突起部33のうち、基端線38b近傍に切り込み部45が形成された部分に、使用者が爪先を引っ掛けることによって、基端線38b近傍に形成された切り込み部45をきっかけとして、プラスチック製部材40を容易に破断させることができる。このため、プラスチック製部材40が容器本体10の底部30から容易に引き剥がされ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。なお、図示された例においては、剥離補助線47が、切り込み部45よりも径方向内方に形成されているが、これに限られない。例えば、図示はしないが、剥離補助線47が、切り込み部45よりも径方向外方に形成されていてもよい。この場合、破断予定線46が切り込み部45の一対の端部45a、45bから、それぞれ径方向外方に延びていてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態において、容器本体10のうち、底部30に、突起部33が形成されている例について説明した。しかしながら、これに限られず、
図18および
図19に示すように、容器本体10のうち、首部13に、線状に延びる突起部33Aが形成されていてもよい。この突起部33Aは、直線状に延びていてもよい。また、突起部33Aは、首部13の全周にわたって形成されていても良く、周方向において、首部13の一部分のみに形成されていても良い。
【0121】
突起部33Aは、第1傾斜面34Aと、第1傾斜面34Aよりも下方に位置する第2傾斜面35Aと、第1傾斜面34Aと第2傾斜面35Aとを連結する連結面36Aとを含んでいる。第1傾斜面34Aは、下方に向かうにつれて径方向外方に傾斜しており、第2傾斜面35Aは、下方に向かうにつれて径方向内方に傾斜している。一方、連結面36Aは、垂直断面において、容器本体10の中心軸線に対して略平行になっている。
【0122】
このような突起部33Aは、ブロー成形型50の胴部型50a、50bの内面に凹部を設けることにより、ブロー成形時に形成される。この場合、容器本体10の首部13の内面には、突起部33Aに対応する窪み部37Aが形成される。なお、
図19において、突起部33Aが形成されていない場合の首部13を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0123】
本変形例においては、
図18および
図19に示すように、切り込み部45は、首部13に対応する位置に形成されており、突起部33Aに対応する位置に形成されている。また、切り込み部45は、全体として直線形状を有している。なお、本明細書中、「全体として直線形状を有する」とは、切り込み部45の波形状において、山部の頂点同士が略同一直線上に位置するとともに、谷部の頂点同士が略同一直線上に位置し、かつ、各々の直線が互いに略平行であることを意味する。
【0124】
図示された例においては、切り込み部45は、第2傾斜面35Aよりも上方に形成されており、基端線38cを跨いでいる。また、本変形例では、剥離補助線47は、切り込み部45の下方に形成されている。なお、図示はしないが、切り込み部45は、突起部33Aの第1傾斜面34Aに対応する位置よりも下方に形成され、基端線38dを跨いでいてもよい。この場合、剥離補助線47は、切り込み部45の上方に形成されていてもよい。なお、本明細書中、「基端線38c」とは、垂直断面において、突起部33Aよりも上方に位置する点であって、首部13の外面13aのうち、曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。また、「基端線38d」とは、垂直断面において、突起部33Aよりも下方に位置する点であって、首部13の外面13aのうち、曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。
【0125】
本変形例によれば、首部13に、径方向外方に突出する突起部33Aが形成され、切り込み部45が、突起部33Aに対応する位置に形成されている。また、切り込み部45は、波形状を有している。これにより、高い加工精度が要求されることなく、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33Aの基端線38c近傍に容易に形成することができる。このため、プラスチック製部材40が容器本体10の底部30から容易に引き剥がされ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0126】
ところで、複合容器10Aにおいて、容器本体10の首部13は容器本体の胴部20よりも径が小さくなっている。すなわち、容器本体10の首部13は、ブロー成形によりプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させた場合に、容器本体の胴部20よりも周方向への延伸倍率が小さくなる部分となる。これにより、プラスチック製部材40のうち容器本体10の首部13に対応する部分は、容器本体10の胴部20に対応する部分よりも厚みが厚くなっている。このため、切り込み部45をプラスチック製部材40のうち容器本体10の首部13に対応する位置に形成することにより、切り込み部45をきっかけとして、厚みの厚いプラスチック製部材40を容易に破断させることができ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0127】
また、本変形例によれば、突起部33Aが、直線状に延び、切り込み部45が、全体として直線形状を有している。この場合、切り込み部45は、直線状に延びる突起部33Aに沿うように形成される。このため、切り込み部45のうち、突起部33Aに対して所望の位置に位置付けられる部分を多く形成することができる。
【0128】
また、
図20および
図21に示すように、容器本体10のうち、胴部20に、線状に延びる突起部33Bが形成されていてもよい。本変形例では、突起部33Bは、胴部20の第2部分22に形成されている。この突起部33Bは、直線状に延びていてもよい。また、突起部33Bは、胴部20の全周にわたって形成されていても良く、周方向において、胴部20の一部分のみに形成されていても良い。なお、突起部33Bは、胴部20の第1部分21に形成されていてもよい。
【0129】
突起部33Bは、第1傾斜面34Bと、第1傾斜面34Bよりも下方に位置する第2傾斜面35Bと、第1傾斜面34Bと第2傾斜面35Bとを連結する連結面36Bとを含んでいる。第1傾斜面34Bは、下方に向かうにつれて径方向外方に傾斜しており、第2傾斜面35Bは、下方に向かうにつれて径方向内方に傾斜している。一方、連結面36Bは、垂直断面において、容器本体10の中心軸線に対して略平行になっている。
【0130】
このような突起部33Bは、ブロー成形型50の胴部型50a、50bの内面に凹部を設けることにより、ブロー成形時に形成される。この場合、容器本体10の胴部20の内面には、突起部33Bに対応する窪み部37Bが形成される。なお、
図21において、突起部33Bが形成されていない場合の胴部20を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0131】
本変形例においては、
図20および
図21に示すように、切り込み部45は、胴部20に対応する位置に形成されており、突起部33Bに対応する位置に形成されている。本変形例では、切り込み部45は、胴部20の第2部分22に形成されている。なお、切り込み部45は、胴部20の第1部分21に形成されていてもよい。
【0132】
図示された例においては、切り込み部45は、第2傾斜面35Bよりも上方に形成されており、基端線38eを跨いでいる。また、本変形例では、剥離補助線47は、切り込み部45の下方に形成されている。なお、図示はしないが、切り込み部45は、突起部33Bの第1傾斜面34Bに対応する位置よりも下方に形成され、基端線38fを跨いでいてもよい。この場合、剥離補助線47は、切り込み部45の上方に形成されていてもよい。なお、本明細書中、「基端線38e」とは、垂直断面において、突起部33Bよりも上方に位置する点であって、胴部20の外面20bのうち、突起部33B近傍において曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。また、「基端線38f」とは、垂直断面において、突起部33Bよりも下方に位置する点であって、胴部20の外面20bのうち、突起部33B近傍において曲率が変化する点(断面視で屈曲する部分)を周状に結んだ線をいう。
【0133】
本変形例によれば、胴部20に、径方向外方に突出する突起部33Bが形成され、切り込み部45が、突起部33Bに対応する位置に形成されている。また、切り込み部45は、波形状を有している。これにより、高い加工精度が要求されることなく、切り込み部45の少なくとも一部を、突起部33Bの基端線38e近傍に容易に形成することができる。このため、プラスチック製部材40が容器本体10の底部30から容易に引き剥がされ、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離して除去することができる。
【0134】
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 容器本体
10A 複合容器
10a プリフォーム
11 口部
13 首部
20 胴部
30 底部
33、33A、33B 突起部
38a~38f 基端線
40、40a プラスチック製部材
45 切り込み部
45a、45b 端部
46 破断予定線
47 剥離補助線