IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特許7565005印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法
<>
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図1
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図2
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図3
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図4
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図5
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図6
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図7
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図8
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図9
  • 特許-印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241003BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241003BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F3/12 339
B41J29/38 201
G03G21/00 396
H04N1/00 127A
H04N1/00 838
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 385
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020065161
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163269
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】南川 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】堀田 彩加
(72)【発明者】
【氏名】出浦 祐視
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-192273(JP,A)
【文献】特開2019-014054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、制御部と、を有する印刷装置と、
契約に関する処理を実行する契約処理サーバと、を備え、
前記契約処理サーバは、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報を前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて登録する登録処理と、
前記印刷装置の前記制御部は、
外部装置から、印刷ジョブを受信するジョブ受信処理と、
前記ジョブ受信処理で前記印刷ジョブを受信したことを条件に、前記実行権限情報が前記印刷装置に記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認処理と、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを前記契約処理サーバに行う第1問い合わせ処理と、
を実行し、
前記契約処理サーバは、
前記問い合わせに対する回答を前記印刷装置に行う回答処理を実行し、
前記印刷装置の前記制御部は、
前記契約処理サーバからの前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、前記印刷部により、当該印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、制御部と、を有する印刷装置と、
契約に関する処理を実行する契約処理サーバと、を備え、
前記契約処理サーバは、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報を前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて登録する登録処理と、
前記印刷装置の前記制御部は、
前記登録処理で支払い済み情報が登録されたことを条件に受信した前記実行権限情報が前記印刷装置に記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認処理と、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを前記契約処理サーバに行う第1問い合わせ処理と、
を実行し、
前記契約処理サーバは、
前記問い合わせに対する回答を前記印刷装置に行う回答処理を実行し、
前記印刷装置の前記制御部は、
前記契約処理サーバからの前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、当該実行権限情報を記憶し、外部装置へ通知する通知処理と、
前記通知処理による前記通知に応じて前記外部装置から送信された印刷ジョブを受信するジョブ受信処理と、
前記印刷部により、前記ジョブ受信処理により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
前記実行権限情報は前記印刷装置の装置識別情報であり、
前記第1問い合わせ処理では、
前記装置識別情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを実行し、
前記契約処理サーバは、さらに
前記登録処理で登録された支払い済み情報の中に、前記問い合わせを受けた前記装置識別情報に対応付けられているものがあるか否か、を検索する契約情報検索処理を実行し、
前記回答処理では、
前記契約情報検索処理において、前記登録処理で登録された支払い済み情報の中に、前記装置識別情報に対応付けられものが見つかったか否かを当該印刷装置に回答する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項4】
前記契約処理サーバは、さらに、
第1印刷サービス契約に基づき第1契約情報を生成し、生成した当該第1契約情報を、前記印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済と、前記第1印刷サービス契約に係わる第1外部装置から送信された、当該第1外部装置に関連付けられる第1印刷装置の第1装置識別情報と、に対応付ける、決済関連処理を実行し、
前記第1問い合わせ処理では、
当該印刷装置の前記装置識別情報が前記第1装置識別情報であるか否かを問い合わせる、
ことを特徴とする請求項3記載の印刷システム。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
前記受信した前記印刷ジョブに、所定の印刷サービス契約に係わる所定の契約情報が関連付けられているか否かを判定する判定処理
を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置は、さらに、
前記ジョブ受信処理で受信した印刷ジョブに、前記実行権限情報が含まれるかを判断する第1権限情報判断処理と、
前記第1権限情報判断処理で前記印刷ジョブに前記実行権限情報が含まれると判断した場合は、当該実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを前記契約処理サーバに行う第2問い合わせ処理と、
前記第1権限情報判断処理で前記印刷ジョブに前記実行権限情報が含まれないと判断した場合は、前記印刷装置に前記実行権限情報が記憶されているか否かを判断する第2権限情報判断処理と、
を実行し、
前記第2権限情報判断処理で前記印刷装置に前記実行権限情報が記憶されていると判断した場合は、前記印刷制御処理を実行する、ことを特徴とする請求項2記載の印刷システム。
【請求項7】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
制御部と、
を有する印刷装置であって、
前記制御部は、
外部装置から、印刷ジョブを受信するジョブ受信処理と、
前記ジョブ受信処理で前記印刷ジョブを受信し、前記印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報に対応付けて登録された前記印刷ジョブの実行権限情報が記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認処理と、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを契約処理サーバに行う問い合わせ処理と、
前記問い合わせ処理の前記問い合わせに対する前記契約処理サーバからの回答を取得する回答取得処理と、
前記回答取得処理において取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、前記印刷部により、前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御処理と、
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
制御部と、
を有する印刷装置であって、
前記制御部は、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了し、前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて支払い済み情報が登録されたことを条件に受信した前記実行権限情報が前記印刷装置に記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認処理と、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを契約処理サーバに行う問い合わせ処理と、
前記問い合わせ処理の前記問い合わせに対する前記契約処理サーバからの回答を取得する回答取得処理と、
前記回答取得処理において取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、当該実行権限情報を記憶し、外部装置へ通知する通知処理と、
前記通知処理による前記通知に応じて前記外部装置から送信された印刷ジョブを受信するジョブ受信処理と、
前記印刷部により、前記ジョブ受信処理により受信した前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、制御部と、を備える印刷装置に備えられた前記制御部に対し、
外部装置から、印刷ジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップで前記印刷ジョブを受信し、前記印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報に対応付けて登録された前記印刷ジョブの実行権限情報が記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認ステップと、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを契約処理サーバに行う問い合わせステップと、
前記問い合わせステップの前記問い合わせに対する前記契約処理サーバからの回答を取得する回答取得ステップと、
前記回答取得ステップにおいて取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、前記印刷部により、前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御ステップと、
を実行させるための、印刷プログラム。
【請求項10】
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、制御部と、を備える印刷装置に備えられた前記制御部に対し、
前記制御部は、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了し、前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて支払い済み情報が登録されたことを条件に受信した前記実行権限情報が前記印刷装置に記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認ステップと、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを契約処理サーバに行う問い合わせステップと、
前記問い合わせステップの前記問い合わせに対する前記契約処理サーバからの回答を取得する回答取得ステップと、
前記回答取得ステップにおいて取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、当該実行権限情報を記憶し、外部装置へ通知する通知ステップと、
前記通知ステップによる前記通知に応じて前記外部装置から送信された印刷ジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記印刷部により、前記ジョブ受信ステップにより受信した前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御ステップと、
を実行させるための、印刷プログラム。
【請求項11】
被印刷媒体に画像を形成する印刷システムが実行する印刷方法であって、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報を前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて登録する登録ステップと、
外部装置から、印刷ジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップで前記印刷ジョブを受信したことを条件に、前記実行権限情報が記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認ステップと、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを行う問い合わせステップと、
前記問い合わせに対する回答を取得する回答取得ステップと、
前記回答取得ステップにおいて取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成する、印刷制御ステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項12】
被印刷媒体に画像を形成する印刷システムが実行する印刷方法であって、
印刷ジョブを実行するために課される課金の料金の決済が完了したことを条件に、支払い済み情報を前記印刷ジョブの実行権限情報と対応付けて登録する登録ステップと、
前記登録ステップで支払い済み情報が登録されたことを条件に受信した前記実行権限情報が記憶されているか否かを確認する実行権限情報確認ステップと、
前記確認した実行権限情報に対応付けて、前記支払い済み情報が登録されているか否かを判断するための問い合わせを行う問い合わせステップと、
前記問い合わせに対する回答を取得する回答取得ステップと、
前記回答取得ステップにおいて取得した前記回答に基づき、前記確認した実行権限情報に対応付けて前記支払い済み情報が登録されていると判断をしたことを条件に、当該実行権限情報を記憶し、通知する通知ステップと、
前記通知ステップにおける前記通知に応じて送信された印刷ジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成する、印刷制御ステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から受信した印刷ジョブにより印刷を行う印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、ユーザの電子機器から受信された印刷データがMFPに記憶された後、さらにその印刷データがMFPからコンピュータに送信されて料金計算され、決済後にMFPが印刷するドキュメント印刷システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-118406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドキュメント印刷システムでは、例えば契約に沿って料金の決済をした正当なユーザが適正に印刷データの印刷を行う場合以外の、例えば決済したと成りすました不適正な印刷が行われる可能性については、特に配慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、印刷装置において不適正な印刷が行われることを防止できる、印刷システム、印刷装置、印刷制御処理プログラム、及び印刷方法を提供することにある。
印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、制御部と、を有する印刷装置と、契約に関する処理を実行する契約処理サーバと、を備え、前記印刷装置の前記制御部は、外部装置から、印刷ジョブを受信するジョブ受信処理と、前記印刷ジョブの実行権限情報があるか否かを確認する実行権限情報確認処理と、前記確認した実行権限情報の有効性を判断するための問い合わせを前記契約処理サーバに行う問い合わせ処理と、を実行し、前記契約処理サーバは、前記問い合わせに対する回答を前記印刷装置に行う回答処理を実行し、前記印刷装置の前記制御部は、前記契約処理サーバからの前記回答に基づき前記印刷ジョブの前記実行権限情報が有効である旨の判断をしたことを条件に、前記印刷部により、当該印刷ジョブに含まれる印刷データに対応する画像を前記被印刷媒体に形成させる、印刷制御処理を実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷システムは、制御部を有する印刷装置と、契約処理サーバと、を備える。
外部装置から印刷ジョブが送信されると、印刷装置の制御部が実行するジョブ受信処理において、当該印刷ジョブが受信される。その後、実行権限情報確認処理において、当該印刷ジョブを実行する実行権限情報があるか否かの確認が行われる。そして、問い合わせ処理が実行され、上記確認した実行権限情報の有効性を判断するための問い合わせが、契約処理サーバに対し行われる。
【0008】
契約処理サーバでは、上記問い合わせに対する印刷装置への回答が回答処理において行われる。印刷装置では、上記回答に基づき、上記実行権限情報が有効である旨の確証が得られたことを条件に、印刷部によって、上記印刷ジョブの印刷データに対応する画像が被印刷媒体に形成される。
【0009】
以上のように、本願発明によれば、外部装置からの印刷ジョブに関して、印刷装置が自らに印刷権限があるかを確認し、ある場合は契約処理サーバに問い合わせることでその印刷権限が有効であるか否かの判断を行い、有効であるとの確証を得られた場合に、当該印刷ジョブが実行される。言い換えれば、印刷装置に当該印刷ジョブの印刷権限があると認められない場合には印刷が行われない。
これにより、当該印刷装置において上記印刷ジョブに基づく不適正な印刷が行われるのを防止することができる。不適正な印刷とは、例えば、当該印刷装置を使用しての印刷ジョブの実行契約が事前に成立しているユーザ以外の者が、当該印刷ジョブを送信した場合、あるいは、当該印刷装置が、事前に当該印刷ジョブの実行契約が成立している印刷装置とは異なる場合、等である。これにより、印刷サービス利用時におけるユーザからの信頼性を高めることができ、またサービス提供者にとっても不正利用等により不利益を被るのを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷装置において不適正な印刷が行われることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図2】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図3】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図4】印刷ジョブに契約IDが含まれていない変形例による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図5】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図6】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図7】契約IDを複合機が記憶保持する変形例による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図8】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図9】情報端末、メッセージ配信サーバ、複合機、契約サーバ、決済サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図10】3つの処理態様を切り替えて実行する変形例において、複合機により実行される制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る印刷システムを図1に示す。本実施形態は、顧客であるユーザが料金を支払って複合機200の印刷機能を使用する印刷サービスが提供される、印刷システム1の実施形態である。
【0013】
<印刷システムの概要>
図1において、この印刷システム1は、契約サーバ100と、複合機200と、情報端末300と、決済サーバ400と、を含んでいる。なお、情報端末300が外部装置の一例であり、契約サーバ100が契約処理サーバの一例である。これら契約サーバ100、複合機200、情報端末300、及び決済サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。
【0014】
<契約サーバ>
契約サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置して管理し、後述する契約に関する処理を実行するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。
【0015】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、決済ID記憶領域121と、マシンID記憶領域122と、契約ID記憶領域123と、画像データ記憶領域125と、を有している。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131を有している。なお、それぞれの記憶内容については後に詳述する。
【0016】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続された情報端末300、複合機200、決済サーバ400、に対するデータ通信を含む、後述の図2図3図5図6図8図9等に示す各種の処理を実行する。
【0017】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0018】
<決済サーバ>
決済サーバ400は、例えばネット決済を行うための各種オンラインサービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。
【0019】
<複合機>
複合機200は、例えば、上記印刷サービスを提供する事業者によって保有されている。この例では、例えば不特定のユーザによって使用可能な場所、すなわち、公共施設、店舗、各種サービス施設、等に複合機200が配置されている。なお、複合機200は印刷装置の一例である。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、ユーザが操作可能な操作部250と、通信インタフェース270と、を有している。これらスキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、及び通信インタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。
【0020】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230とを、含んでいる。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、画像データを記憶可能なデータ保存領域222を備えている。不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置230は、プログラム記憶領域232と、マシンID記憶領域234と、を備えている。プログラム記憶領域232に格納された各種プログラムのうち、後述の図2図3図5図6図8図9等のシーケンスフローの実行に係わる本実施形態の印刷プログラムは、例えば、ファームウェアとして予め格納されている。
【0021】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された上記印刷プログラムを実行し、本実施形態の印刷システム1による印刷方法をプロセッサ110と協働して実行する。これによって、プロセッサ210は、情報端末300から送信された画像データに基づき、印刷部290に画像を印刷させることができる。なおプロセッサ210が制御部の一例である。
【0022】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイである。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0023】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表す画像データを生成する。
【0024】
印刷部290は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送しつつ、その搬送される用紙に対して所定の方式で画像を印刷する。以下は、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明する。なお、用紙が被印刷媒体の一例である。
【0025】
<情報端末>
情報端末300は、この例ではユーザの所有するデスクトップPC、タブレットPC、スマートフォン等の情報端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。情報端末300は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。また、情報端末300には、例えばOS上にて起動して展開する、上記印刷サービスを受けるためのアプリケーションプログラムが予め備えられている。なお、情報端末300に代えて、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の情報端末を用いてもよい。
【0026】
<実施形態の特徴>
上記構成の印刷システム1において、本実施形態の特徴は、契約に沿った正当なユーザ以外の不適正な印刷を防止するための処理にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0027】
<処理の流れ>
本実施形態において、複合機200のプロセッサ210と、契約サーバ100のプロセッサ110と、決済サーバ400のプロセッサと、情報端末300のプロセッサと、により実行される処理を表す制御手順を、図2及び図3により説明する。なお、以下、図2図3図5図6図8図9等に関する説明においては、各プロセッサの記述を省略し、「複合機200のプロセッサにおいて」「複合機200のプロセッサにより」等、を単に「複合機200において」「複合機200により」等で記載する。
【0028】
図2において、まず、ユーザが情報端末300に備えられた操作部を適宜に操作することで、印刷を行う対象とするプリンタ、この例では複合機200を指定した後(S60)、ユーザが予め用意した画像データを含む印刷ファイルを指定して印刷を指示する(S70)。この印刷指示を受けた情報端末300は、上記画像データに基づき、当該画像データの印刷のためにユーザに課金する料金を計算し、適宜の表示部に表示する(S76)。
【0029】
この計算の際には、例えば、情報端末300内の適宜の記憶領域に記憶された所定の料金テーブルに基づき、料金が計算される。またその際には、S70で印刷ファイルの指定の際に併せて情報端末300においてユーザにより設定された各種印刷設定の内容を加味して、計算が行われる。
なお、上記料金テーブルは、情報端末300が契約サーバ100からダウンロードして用いてもよい。あるいは、情報端末300が印刷ファイルと印刷設定とを契約サーバ100を契約サーバ100に送信し、契約サーバ100において料金計算を行ってもよい。さらには、その際に情報端末300は印刷ファイルは送信せず、印刷設定とページ数とを契約サーバ100に送信して料金計算を行ってよい。
【0030】
その後、上記表示された料金を見て確認したユーザが、情報端末300の上記操作部を適宜に操作し、決済すべき上記料金の決済金額とその料金の支払い方法とを指示することで(S80)、情報端末300から契約サーバ100に対し、決済開始要求が送信される(S82)。この決済開始要求には、上記決済金額と、上記支払方法と、上記S60で指定したプリンタ、この例では複合機200を識別するマシンIDと、が含まれている。
【0031】
契約サーバ100は、上記決済開始要求を受信すると(S82)、対応する決済開始指示を決済サーバ400へ送信する(S84)。この決済開始指示には、S82で受信した上記決済金額と、後述の決済完了通知を受信するための契約サーバ100のURLと、が含まれる。
【0032】
上記決済開始指示を受信した決済サーバ400は、当該料金の決済を識別するための決済IDを生成し、契約サーバ100へ送信する(S86)。このとき、情報端末300から後述の決済承認を行うための決済URLも、併せて契約サーバ100へ送信される(S88)。
【0033】
契約サーバ100は、上記決済IDの受信に対応して、当該決済により生じることとなる新たな印刷サービスの契約を識別するための、契約IDを生成する(S90)。このときの上記新たな印刷サービスの契約が第1印刷サービス契約の一例であり、上記生成される契約IDが第1契約情報の一例である。
【0034】
その後、契約サーバ100は、当該契約IDと、上記S88で受信した決済IDと、上記S82で受信したマシンIDと、を互いに関連付けた態様で、前述の契約ID記憶領域123、決済ID記憶領域121、マシンID記憶領域122、にそれぞれ記憶する(S95)。なお、上記S90,S95で実行する処理が第1決済関連処理の一例である。
【0035】
そしてS97で、上記S88で受信した決済URLと、上記生成した契約IDとが、情報端末300へと送信される。このS97で実行する処理が契約情報送信処理の一例であり、このときの送信先となる情報端末300が第1外部装置の一例である。
【0036】
情報端末300においては、上記決済URL及び契約IDの受信に対応して、予め備えられた決済アプリケーションが起動し、上記決済IDを含む所定の決済確認画面が表示される(S100)。ユーザが当該決済確認画面の内容を確認して上記決済URLにアクセスし(S101)、情報端末300に表示される画面において適宜の操作を行う。これにより、前述の決済を承認したこと、言い換えれば前述の料金の支払いを承諾したこと、を表す支払承認通知が、情報端末300から決済サーバ400へと通知される(S105)。
【0037】
上記承認の通知を受信した決済サーバ400からは、S84にて契約サーバ100から受信した決済完了通知を受信するための契約サーバ100のURLに基づき、上記決済IDを含む決済完了通知が契約サーバ100へと送信される(S110)。これに対応して契約サーバ100において、上記決済IDに関連付けられている上記契約IDに対し、料金支払い済の旨が登録される(S115)。
【0038】
一方、上記S105の後、情報端末300では、S120において、S100で受信した契約IDが契約サーバ100へ送信されることで、当該契約IDに対応する料金が支払われ決済が完了しているか否かの問い合わせが行われる。この問い合わせを受信した契約サーバ100では、受信した契約IDについての検索が行われ(S125)、その検索結果が上記問い合わせへの回答として情報端末300へと送信される(S130)。前述のS115において支払い済の登録がなされていたことが分かれば、S130では、契約IDについては対応する料金が支払い済である旨の回答が送信され、情報端末300において受信される(S130)。
【0039】
図3に移り、その後、情報端末300で上記画像データを含む印刷ジョブが生成され、複合機200へ送信される(S180)。このとき、上記印刷設定と、上記S120で受信した契約IDと、が含まれる形で、印刷ジョブが送信される。
【0040】
上記のようにして情報端末300から送信された印刷ジョブは、複合機200において受信される(S180)。これにより、印刷ジョブに含まれる、上記印刷設定及び上記契約IDは、複合機200において取得される。このS180がジョブ受信ステップの一例であり、このS180で実行する処理がジョブ受信処理の一例である。また、このS180で受信される契約IDが、当該S180で受信した印刷ジョブに係わる実行権限情報の一例である。
【0041】
その後、S181で、複合機200において、上記S180で受信した印刷ジョブに、契約IDが含まれているか否かが確認される。このS181が実行権限情報確認ステップの一例であり、S181で実行する処理が実行権限情報確認処理の一例である。
【0042】
複合機200は、S181で印刷ジョブに契約IDが含まれていることを確認した後、S182で、上記S120で受信した上記契約IDを契約サーバ100へ送信することで、当該契約IDが、前述のようにして既に支払い済として登録されている契約IDであるか否かを問い合わせる。この問い合わせは、言い換えれば、上記S120で受信した契約IDが、この時点で契約上有効である正当な契約ID、すなわち前述のS97で送信した契約IDと同一であるか否か、についての問い合わせである。このS182が問い合わせステップの一例であり、このS182で実行する処理が問い合わせ処理の一例である。
【0043】
上記問い合わせを受けた契約サーバ100は、受信した契約IDが、上記S115で登録された契約IDの中に含まれているか否か、を検索し(S184)、その検索結果を複合機200へ回答する(S186)。このS186が回答ステップの一例であり、このS186で行う処理が回答処理の一例に相当する。また、その回答結果は、複合機200において取得される。この複合機200において実行される取得の手順が回答取得ステップの一例であり、この手順で実行する処理が回答取得処理の一例である。
【0044】
上記回答を受けた複合機200では、その回答結果の内容に応じて、上記S182で問い合わせた契約IDの有効性を判断する(S189)。回答結果が、上記問い合わせた契約IDが上記S115で登録された契約IDの中に含まれていたという内容であった場合は、問い合わせた契約IDは有効であると判断される。逆に、回答結果が、上記問い合わせた契約IDが上記S115で登録された契約IDの中に含まれていないという内容であった場合は、問い合わせた契約IDは無効であると判断される。
なおこの契約IDの有効性の判断は、言い換えれば、上記S180で受信した印刷ジョブに、前述の印刷サービス契約に係わる、料金支払い済の正当な契約IDが関連付けられているか否か、の判定に相当している。したがって、S189で実行する処理は、判定処理の一例である。
【0045】
複合機200において、上記S189で契約IDが有効であると判断できた場合には、S200で、前述の印刷サービス契約の中で事前に別途取り決められていた、複合機200による印刷カウント数の上限値情報の取得要求が契約サーバ100へ送信される。このときの取得要求には、前述の契約ID、及び、S180で受信した印刷設定が含まれる。なお、上記印刷カウント数の上限値情報が制限情報の一例であり、このS200で実行する処理が要求送信処理の一例である。
【0046】
上記上限値情報取得要求を受信した契約サーバ100は、上記S200で受信された契約IDに対し上記S95で関連付けられた決済金額と、上記S200で受信された印刷設定とに基づき、複合機200に許容する印刷カウント数の上限値を決定する(S210)。そしてその決定した上限値、この例では例えばNページ(Nは自然数)、が送信され、複合機200において受信される。これにより、これ以降、複合機200では、当該上限値による制限を満たす範囲内、すなわち印刷時にカウントされる印刷カウント数が上記上限値以下である範囲内において、印刷が実行される。なお、上記S210で実行する処理が、制限情報送信処理の一例に相当する。
【0047】
複合機200は、上記S210で前述の印刷カウント数の上限値を受信した後、S230で、上記S180で受信した印刷ジョブに含まれる画像データすなわち印刷データのうち、1ページ目を印刷開始する旨の通知を契約サーバ100へ行う(S215)。契約サーバ100は、この通知の受信に対応して、前述の印刷サービス契約に対応する料金の引き落とし先として予め指定されていた口座等における残高を、当該1ページ目の印刷分だけ、減少させる(S220)。これに対応して、契約サーバ100から複合機200へ、当該1ページ目の印刷OKの通知が送信される(S225)。
【0048】
上記通知に応じて、複合機200においては、S230で、上記1ページ目の印刷データに対応する画像が用紙に形成される(S230)。その後、S235で、上記同様、印刷データのうち、2ページ目を印刷開始する旨の通知が複合機200から契約サーバ100へ行われる(S225)。契約サーバ100は、これに応じて、前述同様、上記残高を当該2ページ目の印刷分だけ減少させ(S220)、複合機200へ、当該2ページ目の印刷OKの通知を送信する(S235)。
【0049】
以降、上記同様、各ページの印刷前に開始通知が複合機200から契約サーバ100へ通知され、契約サーバ100において当該ページ分の残高が減らされた後にOK通知が発せられ、複合機200において当該ページの印刷が行われる、という流れを繰り返す。
そして、複合機200において、上記S180で受信された印刷ジョブの全ページの印刷が完了したらS270がYes判定となり、S279において印刷完了通知が送信され、情報端末300において受信されて、このシーケンスフローを終了する。
【0050】
なお、複合機200における、上記S230,S250,・・S270が、印刷制御ステップの一例であり、これらS230,S250,・・S270で複合機200のプロセッサ210が実行する処理が、印刷制御処理の一例である。
【0051】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システム1では、情報端末300から印刷ジョブが送信されると、複合機200において当該印刷ジョブが受信される(S180)。その後、S181において、当該印刷ジョブを実行するための契約IDの有無の確認が行われる。そして、S182で、上記契約IDの有効性を判断するための問い合わせが、契約サーバ100に対し行われ、契約サーバ100が上記問い合わせに対してS186で回答する。複合機200では、上記回答に基づき、上記契約IDが有効である旨の確証がS189で得られたことを条件に、上記印刷ジョブの印刷データに対応する画像が用紙に形成される(S230,S250等)。
以上のように、本実施形態によれば、情報端末300からの印刷ジョブに関して、複合機200が自らに印刷権限があるかを確認し(S181)、ある場合は契約サーバ100に問い合わせることでその印刷権限が有効であるか否かの判断を行い(S189)、有効であるとの確証を得られた場合に、当該印刷ジョブが実行される。言い換えれば、複合機200に当該印刷ジョブの印刷権限があると認められない場合には印刷が行われない。
これにより、当該複合機200において上記印刷ジョブに基づく不適正な印刷が行われるのを防止することができる。不適正な印刷とは、例えば、当該複合機200を使用しての印刷ジョブの実行契約が事前に成立しているユーザ以外の者が、当該印刷ジョブを送信した場合、あるいは、当該複合機200が、事前に当該印刷ジョブの実行契約が成立している複合機とは異なる場合、等である。これにより、印刷サービス利用時におけるユーザからの信頼性を高めることができ、またサービス提供者にとっても不正利用等により不利益を被るのを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では特に、複合機200で印刷ジョブを実行するにあたり、S200で、印刷するときの制限情報を要求する制限情報要求、上記の例では印刷上限値取得要求が送信される。これに対応して、契約サーバ100から制限情報、上記の例では印刷カウント数の上限値が複合機200へと送信される(S210)。複合機200では、当該制限情報の画定する制限を満たす範囲内において用紙への画像形成が実行される。
以上の結果、前述のように複合機200に認められている印刷権限の中に予め何らかの制限が加えられている場合には、その制限の範囲内でのみ印刷ジョブを実行させることができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、契約サーバ100から複合機200にて受信される制限情報において印刷カウント数の上限値が制限されており、印刷カウント数がその上限値以下となるように画像形成が行われる。これにより、印刷権限の中に予め印刷カウント数の上限が定められている場合に、その上限値以下のカウント数でのみ印刷ジョブを実行させることができる。
【0054】
また、本実施形態では特に、情報端末300から受信した印刷ジョブに、契約IDが含まれている。その契約IDの有効性を判断するために、S182において問い合わせが行われる。これにより、S186において契約サーバ100から得た問い合わせの回答に基づき、S189で印刷ジョブ中の契約IDが有効であると判断できた場合には、印刷ジョブの送信元が、正当な権限を有するユーザの情報端末300であると明確に判別することができる。
【0055】
また、本実施形態においては特に、印刷サービスを提供するにあたり、予め、ユーザとの間で印刷サービスの契約が締結されている。そして、その印刷サービス契約に基づく契約IDにより、当該ユーザに対して、上記印刷ジョブを実行する正当な権限が保証される。すなわち、本実施形態の印刷システム1においては、契約サーバ100において上記S90にて、上記印刷サービス契約に基づく契約IDが生成され、さらにそれが印刷ジョブを実行するための料金決済に対応付けられる(S95)。そして料金決済に対応付けられた契約IDが、上記印刷サービス契約に係わる情報端末300へと送信される(S97)。
これにより、その後のS182にて、受信した印刷ジョブに含まれる契約IDが、上記のようにしてS97で情報端末300に送信された契約IDであるか、言いかえれば、受信した印刷ジョブが正規に契約が為されたジョブであるかどうか、を問い合わせることができる。
【0056】
また、本実施形態では特に、複合機200において印刷ジョブが受信されると、S189において、S180で受信した印刷ジョブに、上記印刷サービス契約に係わる、契約サーバ100で登録済の契約IDが関連付けられているか否か、が判定される。これにより、印刷ジョブに登録済の契約IDが関連付けられていた場合は、印刷ジョブの送信元の情報端末300に正当な権限があることを判別することができる。
【0057】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0058】
(1)印刷ジョブに契約IDが含まれていない場合
本変形例では、複合機200は、例えば、前述の印刷サービスの提供を受ける特定のユーザによって保有されている。すなわち例えば、当該ユーザの所有する住居、倉庫、事業所、等に配置されている。
【0059】
本変形例における印刷システムの要部を、上記実施形態の図1に対応する図4に示す。
図4に示すように、本変形例の印刷システムにおいては、複合機200の記憶装置215の構成が上記実施形態と異なる。すなわち、揮発性記憶装置220において、前述のデータ保存領域222に加え、契約ID記憶領域224が備えられている。上記以外の構成は図1と同様である。
【0060】
本変形例において、複合機200のプロセッサ210と、契約サーバ100のプロセッサ110と、決済サーバ400のプロセッサと、情報端末300のプロセッサと、により実行される処理を表す制御手順の要部を、上記図2及び図3にそれぞれ対応する図5及び図6により説明する。
【0061】
図5において、本変形例では、上記図2と同様、まず、ユーザは、印刷を行う対象とするプリンタを指定する(S60)。その後、ユーザは、情報端末300に備えられた操作部を適宜に操作することで、印刷サービスを受けた時に支払う料金の引き落とし先として予め準備されている、上記特定のユーザの口座等における残高を管理する残高管理ページの表示操作を行う(S62)。これに対応して、情報端末300から契約サーバ100に対し、残高管理ページ取得要求が送信される(S64)。この残高管理ページ取得要求には、上記S60で指定したプリンタ、この例では複合機200を識別するマシンIDと、が含まれている。
【0062】
契約サーバ100は、上記残高管理ページ取得要求を受信すると(S64)、対応する残高管理ページを表示するための適宜のファイル形式の表示データを情報端末300へ出力する。これにより、上記情報端末300において当該表示データが取得され、所定の残高管理ページが表示される(S66)。ユーザは、この表示された残高管理ページの残高を見て確認した後、上記実施形態と同様、情報端末300の上記操作部を適宜に操作し、決済すべき上記料金の決済金額とその料金の支払い方法とを指示する(S80)。これにより、これ以降、上記実施形態における図2と同様のS82~S130が実行される。
【0063】
すなわち、契約サーバ100の決済開始指示に応じて決済IDが生成され(S86)、契約サーバ100で新たな印刷サービスの契約のために生成された契約ID、マシンID、情報端末300から受信した決済金額、が関連付けられて記憶される(S90,S95)。なお、本変形例においても、上記新たな印刷サービスの契約が第1印刷サービス契約の一例であり、上記生成される契約IDが第1契約情報の一例である。また本変形例では、上記S90,S95で実行する処理が第2決済関連処理の一例である。
【0064】
決済URL及び上記契約IDは情報端末300へと送信され、表示された決済確認画面をユーザが確認後、決済承認通知が情報端末300から決済サーバ400へと通知され、決済完了通知に応じて、決済IDに対応する契約IDに、料金支払い済の旨が登録される。これにより、その後の情報端末300からの問い合わせに対し、料金が支払い済である旨の回答がなされる(S130)。
【0065】
その後、図6に移り、本変形例では、ユーザが、前述のS60と同様、印刷を行う対象とするプリンタを指定する(S170)。その後、ユーザは、上記実施形態の図2のS70と同様、情報端末300に備えられた操作部を適宜に操作することで、予め用意した画像データを含む印刷ファイルを指定して印刷を指示する(S175)。その印刷ファイルの指定の際には、各種印刷設定の内容も併せて設定される。
【0066】
その後、上記図2のS180に対応するS180Aにおいて、情報端末300で上記画像データを含む印刷ジョブが生成され、複合機200へ送信される。このとき、上記印刷設定が含まれる形で、印刷ジョブが送信される。送信された印刷ジョブが複合機200において受信されることで、印刷ジョブに含まれる上記印刷設定が複合機200において取得される。本変形例ではこのS180Aがジョブ受信ステップの一例であり、このS180Aで実行する処理がジョブ受信処理の一例である。
【0067】
その後、上記図3のS181に対応するS181Aで、複合機200にマシンIDが備えられているか否かが確認される。このマシンIDは実行権限情報の一例である。本変形例においてはこのS181Aが実行権限情報確認ステップの一例であり、S181Aで実行する処理が実行権限情報確認処理の一例である。
【0068】
その後、複合機200は、S181Aで、当該複合機200にマシンIDが備えられていることが確認されたことに対応して、S183で、契約ID取得要求を契約サーバ100へ送信する。この契約ID取得要求には当該複合機200のマシンIDが含まれている。なお、本変形例においてはこのマシンIDが第1装置識別情報の一例であり、当該マシンIDを上記S64で送信したその送信元である情報端末300が、第1外部装置の一例である。
複合機200による、この契約ID取得要求の送信により、前述のS115で既に支払い済として登録されている契約IDの中に、前述のS95で当該マシンIDに対応付けられた契約IDがあるか否か、が契約サーバ100に問い合わされる。見方を変えれば、この問い合わせは、上記マシンIDが、前述のS115で既に支払い済として登録されている契約IDに関連付けられているマシンIDであるか否か、の問い合わせに相当している。さらに言い換えれば、この問い合わせは、マシンIDが前述の契約上有効である正当な契約IDに対応した正当な実行権限を有しているか、についての問い合わせである。
本変形例ではこのS183が問い合わせステップの一例であり、このS183で実行する処理が問い合わせ処理の一例である。
【0069】
上記契約ID取得要求を受信した契約サーバ100は、上記S115で登録された契約IDの中に、上記受信したマシンIDに対して事前に対応付けられているものがあるか否かを検索する(S185)。このS185で実行する処理が、契約情報検索処理の一例である。その後、契約サーバ100は、その検索結果を複合機200へ回答する(S187)。すなわち、受信したマシンIDに対応付けられている契約IDが見つかったら、上記回答として、その契約IDが複合機200へと送信される。本変形例ではこのS187が回答ステップの一例であり、このS187で行う処理が回答処理の一例に相当する。この送信された契約IDは、複合機200において取得され、上記契約ID記憶領域224に記憶される。この複合機200において実行される取得の手順が回答取得ステップの一例であり、この手順で実行する処理が回答取得処理の一例である。
【0070】
上記契約IDを受信した複合機200では、上記実施形態の図3のS189に対応するS189Aで、上記回答結果の内容に応じて、上記マシンIDに係わる実行権限の有効性を判断する。すなわち、S185での検索でS183で送信したマシンIDに対応する契約IDが見つかり、複合機200において当該契約IDがS187で取得された場合は、有効な契約IDが得られたので当該マシンIDの実行権限は有効であると判断される。一方S185での検索でS183で送信したマシンIDに対応する契約IDが見つからず、S187において契約IDが受信されなかった場合は、有効な契約IDが存在しなかったため当該マシンIDの実行権限は無効であると判断される。
なおこのマシンIDの実行権限の有効性の判断は、言い換えれば、上記S180Aで受信した印刷ジョブに、前述の印刷サービス契約に係わる、料金支払い済の正当な契約IDが関連付けられているか否か、の判定に相当している。したがって、S189Aで実行する処理は、本変形例における判定処理の一例である。
【0071】
図6における、これ以降のS200~S279は上記実施形態の図3と同様であり、説明を省略する。
【0072】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
すなわち、情報端末300から送信された印刷ジョブがS180Aで複合機200において受信された後、S181Aにおいて当該印刷ジョブを実行するためのマシンIDの有無の確認が行われる。そしてS183で、上記確認したマシンIDの実行権限に係わる有効性を判断するための問い合わせが契約サーバ100に対し行われ、契約サーバ100が上記問い合わせに対してS187で回答する。複合機200では、上記回答に基づき、上記マシンIDの実行権限が有効である旨の確証がS189Aで得られたことを条件に、上記印刷ジョブの印刷データに対応する画像が用紙に形成される(S230,S250等)。
【0073】
以上のように、本変形例においても、上記実施形態と同様、情報端末300からの印刷ジョブに関して、複合機200が自らに印刷権限があるかを確認し(S181A)、その後契約サーバ100に問い合わせることで有効な印刷権限であるか否かの判断を行い(S189A)、有効であるとの確証を得られた場合に、当該印刷ジョブが実行される。言い換えれば、複合機200に当該印刷ジョブの印刷権限があると認められない場合には印刷が行われない。これにより、上記実施形態と同様、当該複合機200において上記印刷ジョブに基づく不適正な印刷が行われるのを防止できる。この結果、ユーザからの信頼性を高め、サービス提供者も不利益を被るのを抑制できる。
なお、特に本変形例では、1つの複合機200(マシンID)に対し、複数の契約IDを関連付けることも可能である。その場合、それら複数の契約IDのうち1つの契約IDを使い切ったとしても、別の契約IDに自動的に切り替えて使用することができる。
【0074】
また、本変形例では特に、複合機200で印刷ジョブを実行するにあたり、予め、ユーザとの間で印刷サービスの契約が締結されている。そして、その印刷サービス契約に基づく契約IDにより、当該ユーザに対して、上記印刷ジョブを実行する正当な権限が保証される。すなわち、本変形例では、S183において、上記複合機200が、正当な契約IDにより印刷ジョブの実行を保証されているかが問い合わされる。契約サーバ100からの回答結果において複合機200に対応する正当な契約IDが存在していた場合には、当該複合機200が、当該契約IDに基づき当該印刷ジョブを実行する正当な権限を備えることを、明確に判別することができる。
【0075】
また、本変形例では特に、上記S183での問い合わせで送信される契約ID取得要求に、複合機200のマシンIDが関連付けられている。これに応じて、契約サーバ100ではS185において契約IDの検索が実行され、上記マシンIDに対し事前に関連付けられている、登録済の契約IDが存在するか否か、が検索される。そして、そのマシンIDに対し事前に関連付けられていた上記契約IDが見つかった場合、言い換えれば当該複合機200に対し正当な印刷権限を事前に与えていた契約IDが見つかった場合、契約サーバ100からの回答において当該契約IDが複合機200へ送信される。これにより、複合機200固有のマシンIDに基づき、当該複合機200が上記印刷ジョブを実行する正当な権限を備えることを確実に判別することができる。
なお、上記では、1つのマシンIDごとに契約IDを関連付けていたが、これに限られず、ユーザIDごとに契約IDを関連付けるようにしてもよい。その場合は、複合機200では、例えばS180Aにおいて情報端末300からユーザIDを取得しておき、S183において、マシンIDに加えユーザIDも契約サーバ100へ送信するようにすればよい。この場合、ユーザIDは実行権限情報の一例である。
【0076】
また、本変形例では特に、上記のように予めユーザとの間で印刷サービスの契約が締結されている。その際、その印刷サービスの契約に係わる情報端末300から、当該情報端末300に関連付けられる複合機200のマシンIDが送信され、契約サーバ100で受信されている(S64)。この状態で、契約サーバ100において対応する契約IDが生成され(S90)、さらにそれが印刷ジョブを実行するための料金決済と、上記受信したマシンIDと、に対応付けられる(S95)。これにより、S183において、実質的に、複合機200のマシンIDが上記対応付け済のマシンIDに該当するか、を問い合わせることで、当該複合機200が、料金決済が済んだ印刷ジョブを正当な印刷権限にて実行できることを、確実に判別することができる。
【0077】
(2)契約IDを複合機が記憶保持する場合
本変形例においても、上記変形例(1)と同様、複合機200は、例えば、前述の印刷サービスの提供を受ける特定のユーザによって保有されている。
【0078】
本変形例における印刷システムの要部を、上記変形例(1)の図4に対応する図7に示す。
図7に示すように、本変形例の印刷システムにおいては、複合機200の記憶装置215の構成が上記変形例(1)と異なる。すなわち、揮発性記憶装置220には、前述のデータ保存領域222のみが備えられる一方、不揮発性記憶装置230に、前述のプログラム記憶領域232及びマシンID記憶領域234に加え、契約ID記憶領域236が備えられている。上記以外の構成は図4と同様である。
【0079】
本変形例において、複合機200のプロセッサ210と、契約サーバ100のプロセッサ110と、決済サーバ400のプロセッサと、情報端末300のプロセッサと、により実行される処理を表す制御手順の要部を、上記図5及び図6にそれぞれ対応する図8及び図9により説明する。
【0080】
図8において、本変形例においては、まず、上記変形例(1)の図5と同様のS60~S130が行われる。すなわち、ユーザによる操作で情報端末300に残高管理ページが表示された後、契約サーバ100において決済IDが生成される(S86)。その後、契約サーバ100で新たな印刷サービスの契約のために生成された契約ID、マシンID、情報端末300から受信した決済金額、が関連付けられて記憶される(S90,S95)。なお、本変形例においても、上記新たな印刷サービスの契約が第1印刷サービス契約の一例であり、上記生成される契約IDが第1契約情報の一例であり、上記S90,S95で実行する処理が第2決済関連処理の一例である。
決済URL及び上記契約IDが情報端末300へと送信され(S97)、表示された決済確認画面をユーザが確認後、決済承認通知が決済サーバ400へと通知され、決済完了通知に応じて、決済IDに対応する契約IDに、料金支払い済の旨が登録される(S115)。これにより、その後の情報端末300からの問い合わせに対し、料金が支払い済である旨の回答がなされる(S130)。
【0081】
その後、本変形例では、ユーザにより、情報端末300において上記S100で受信された契約IDが存在することを確認しかつ当該契約IDを複合機200に保存するための操作が、情報端末300に対しなされる(S140)。なお、このユーザの保存操作の際には、あらかじめ定められた管理者パスワードも併せて入力される。これは、当該ユーザ以外の他の者の悪意、いわゆる成りすましにより契約IDの保存操作がなされることを防止するためである。
【0082】
情報端末300は、上記操作に対応し、複合機200に対し、契約IDを複合機200に保存する契約ID保存指示を送信する(S145)。この問い合わせには、上記の契約ID及び管理者パスワードが含まれる。なお本変形例においては、このときに情報端末300から送信され複合機200において取得される契約IDが、後述のS180Aで受信する印刷ジョブに係わる実行権限情報の一例である。
【0083】
複合機200は、上記契約ID保存指示の受信に対応し、上記図6のS181Aに相当するS181Bで、この時点で当該複合機200に契約IDが備えられているか否か、を確認する。本変形例においてはこのS181Bが実行権限情報確認ステップの一例であり、S181Bで実行する処理が実行権限情報確認処理の一例である。
【0084】
その後、複合機200は、契約サーバ100に対し、受信した契約IDを送信し、当該契約IDが、前述のようにしてS115において支払い済の契約IDとして登録されているか否かを問い合わせる(S150)。
この問い合わせは、言い替えれば、当該送信された契約IDと同一のものがS115で契約上有効なものとして登録された契約IDの中に存在するか、すなわち複合機200において後述の印刷ジョブを実行する正当な権限があるか否か、を確認するための問い合わせである。本変形例ではこのS150が問い合わせステップの一例であり、このS150で実行する処理が問い合わせ処理の一例である。
【0085】
上記のようにして複合機200から送信された契約IDは契約サーバ100において受信される(S150)。契約IDを受信した契約サーバ100は、上記受信した契約IDが、前述のように料金支払い済の契約IDであるか否か、言い替えれば、上記受信した契約IDと同一のものが上記S115で登録された契約IDの中にあるか否か、を検索して確認する(S155)。本変形例では、このS155で実行する処理が、契約情報検索処理の一例である。
【0086】
その後、契約サーバ100は、その検索後の確認結果を複合機200へ回答する(S160)。すなわち、登録済の契約IDの中に、受信した契約IDと同一のものが見つかったら、当該契約IDについての料金が支払い済であるとの回答が複合機200へと送信される。本変形例ではこのS160が回答ステップの一例であり、このS160で行う処理が回答処理の一例に相当する。この送信された回答は、複合機200において取得される。この複合機200において実行される取得の手順が本変形例における回答取得ステップの一例であり、この手順で実行する処理が回答取得処理の一例である。
【0087】
上記回答を受信した複合機200では、上記図6のS189Aに相当するS189Bで、上記回答結果の内容に応じて、上記契約IDの有効性を判断する。すなわち、S150で送信した契約IDについて、S160で料金が支払い済であるとの回答を得た場合は、有効な契約IDが得られたと判断される。一方S150で送信した契約IDについて、S160で料金が支払い済であるとの回答を得られなかった場合は、有効な契約IDが存在しなかったと判断される。
なおこの契約IDの有効性の判断は、言い換えれば、後述のS180Aで受信する印刷ジョブに、前述の印刷サービス契約に係わる、料金支払い済の正当な契約IDが関連付けられているか否か、の判定に相当している。したがって、本変形例においては、S189Bで実行する処理が判定処理の一例である。
【0088】
その後、複合機200では、S165において、上記S145で受信した契約IDが上記契約ID記憶領域236に保存された後、対応する保存済通知が情報端末300へと送信される(S167)。
【0089】
その後、図9に移り、上記図5と同様のS170~S180Aが実行される。すなわち、ユーザの各指定により情報端末300から印刷ジョブが送信され、複合機200において受信される(S180A)。なお、本変形例においてもS180Aがジョブ受信ステップの一例であり、S180Aで実行する処理がジョブ受信処理の一例である。
【0090】
そして、複合機200では、上記印刷ジョブの受信に対応して、上記S165で契約ID記憶領域236に保存されていた契約IDが読み出される(S190)。
図9における、これ以降のS200~S279は上記実施形態の図3及び変形例(1)の図6と同様であり、説明を省略する。
【0091】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
すなわち、情報端末300から送信された印刷ジョブがS180Aで複合機200において受信されるのに先立ち、S181Bにおいて当該印刷ジョブを実行するための契約IDの有無の確認が行われる。そしてS150で、上記確認した契約IDに係わる有効性を判断するための問い合わせが契約サーバ100に対し行われ、契約サーバ100が上記問い合わせに対してS160で回答する。複合機200では、上記回答に基づき、上記契約IDが有効である旨の確証がS189bで得られたことを条件に、上記印刷ジョブの印刷データに対応する画像が用紙に形成される(S230,S250等)。
【0092】
以上のように、本変形例においても、上記実施形態と同様、情報端末300からの印刷ジョブに関して、複合機200が自らに印刷権限があるかを確認し(S181B)、その後契約サーバ100に問い合わせることで有効な印刷権限であるか否かの判断を行い(S189B)、有効であるとの確証を得られた場合に、当該印刷ジョブが実行される。言い換えれば、複合機200に当該印刷ジョブの印刷権限があると認められない場合には印刷が行われない。これにより、上記実施形態と同様、当該複合機200において上記印刷ジョブに基づく不適正な印刷が行われるのを防止できる。この結果、ユーザからの信頼性を高め、サービス提供者も不利益を被るのを抑制できる。
【0093】
また、本変形例では特に、複合機200で印刷ジョブを実行するにあたり、予め、ユーザとの間で印刷サービスの契約が締結されている。そして、その印刷サービス契約に基づく契約IDにより、当該ユーザに対して、上記印刷ジョブを実行する正当な権限が保証される。すなわち、本変形例では、S150において、上記複合機200が、正当な契約IDにより印刷ジョブの実行を保証されているかが問い合わされる。契約サーバ100からの回答結果において複合機200に対応する正当な契約IDが存在していた場合には、当該複合機200が、当該契約IDに基づき当該印刷ジョブを実行する正当な権限を備えることを、明確に判別することができる。
【0094】
(3)3つの処理態様を切り替えて実行する場合
すなわち本変形例においては、複合機200が、上記図2及び図3に示した実施形態による処理と、上記図5及び図6に示した変形例(1)による処理と、上記図8及び図9に示した変形例(2)による処理と、のいずれも実行可能な構成である。そして、情報端末300から印刷ジョブを受信したときに、その印刷ジョブに契約IDが備えられているかどうか等に応じて、上記3つの処理のうちいずれを行うかが切り替えられる。
【0095】
本変形例において複合機200のプロセッサ210により実行される、上記処理の切替に係わる制御手順を、図10のフローチャートにより説明する。
【0096】
図10において、まず印刷ジョブが受信されることでS400がYes判定される。その後、S405で、上記受信した印刷ジョブに契約IDが含まれているか否かが判定される。
【0097】
印刷ジョブに契約IDが含まれていればS405がYes判定となり、この場合は上記実施形態で説明した処理内容となることからS410に移行し、図3に示したS181以降の処理が、情報端末300及び契約サーバ100と協働して実行される。その後、このフローを終了する。
【0098】
一方、上記S405において印刷ジョブに契約IDが含まれていなければNo判定となり、S415に移行して、複合機200に契約IDが記憶されているか否かが判定される。
【0099】
複合機200に契約IDが記憶されていない場合、上記変形例(1)で説明した処理内容となることからS420に移行し、図6に示したS181A以降の処理が、情報端末300及び契約サーバ100と協働して実行される。その後、このフローを終了する。
【0100】
一方、複合機200に契約IDが記憶されていた場合は、上記変形例(2)で説明した処理内容となることからS430に移行し、図9に示したS190以降の処理が、情報端末300及び契約サーバ100と協働して実行される。その後、このフローを終了する。
【0101】
本変形例においては、3つの処理のうちいずれが実行されるかに応じて、前述の実施形態、変形例(1)、変形例(2)と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(4)その他
すなわち、以上では、印刷に係わる料金について、「計算」による算出を例にとって説明しているが、料金を決定する手法はこれに限られない。すなわち、前述の料金テーブルにおいて、例えば印刷ジョブでの印刷ページ数、カバレッジ等の種々のパラメータの複数の区分範囲それぞれに対し個別に料金金額が対応付けられており、そのテーブルを参照し、特に演算をすることなく料金を決定してもよい。
例えば印刷ページの例でいうと、1つのテーブルに、例えば印刷ページ数が〇ページ~△ページの場合××円、印刷ページ数が△ページ~□ページの場合××円、・・・・のように記録されている。そして印刷ジョブのページ数が取得されたら、当該テーブルを参照することで、前述のような計算による算出を行わなくても、直接料金を決定することができる。
【0103】
また、以上は、複合機200がインクジェット方式で印刷を行う場合に本発明を適用した例で説明したがこれに限られない。すなわち、複合機200がレーザ方式で印刷を行う場合にも本発明は適用でき、上記同様の効果を得る。さらにはインクジェット方式やレーザ方式にも限られず、熱転写方式等の他の公知の方式で印刷を行う印刷装置に対しても適用可能である。
【0104】
また、以上において、図2図3図5図6図8図9等に示すシーケンスフローは本発明を当該フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0105】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0106】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷システム
100 契約サーバ
110 プロセッサ
200 複合機(印刷装置の一例)
210 プロセッサ(制御部の一例)
290 印刷部
300 情報端末(外部装置の一例)
400 決済サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10