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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】導電基板および合わせ板
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/32 20060101AFI20241003BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20241003BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20241003BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C03C17/32 C
B60S1/02 300
C03C27/12 M
C03C27/12 N
H05B3/84
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095609
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187712
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真
(72)【発明者】
【氏名】平川 学
(72)【発明者】
【氏名】内田 晶子
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099405(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230732(WO,A1)
【文献】特開2019-167275(JP,A)
【文献】特開2020-026217(JP,A)
【文献】実開平02-012913(JP,U)
【文献】特開2021-184336(JP,A)
【文献】特開2019-099404(JP,A)
【文献】特表2012-506808(JP,A)
【文献】特開平08-175339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/00 - 17/44
B60S 1/02
C03C 27/12
H05B 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板に積層された着色層及び導電体付きシートと、を備え、
前記導電体付きシートは、基材と、前記基材の一方の面上に配置されたパターン導電体と、前記パターン導電体によって接続される一対のバスバーと、を有し、
前記パターン導電体の一部は、前記着色層に設けられた開口部に重なるように配置されており、
前記一対のバスバーは、前記着色層に重なるように配置されており、
前記基材の縁部は、前記着色層に重なっており、
前記基材の縁部の一部は、前記着色層の縁部の一部に沿っており、
前記着色層の縁部の一部が前記基材の縁部の一部から突出している長さは、5mm以下であり、
前記一対のバスバーの各々は、位置決めマークを有し、
前記着色層には、前記開口部から離れて位置する二つの第2開口部が設けられ、
一つの開口部内に、一つの位置決めマークが観察される、導電基板。
【請求項2】
透明基板と、
前記透明基板に積層された着色層及び導電体付きシートと、を備え、
前記導電体付きシートは、基材と、前記基材の一方の面上に配置されたパターン導電体と、前記パターン導電体によって接続される一対のバスバーと、を有し、
前記パターン導電体の一部は、前記着色層に設けられた開口部に重なるように配置されており、
前記一対のバスバーは、前記着色層に重なるように配置されており、
前記基材の縁部は、前記着色層に重なっており、
前記基材の縁部は、前記開口部の縁部に沿っており、
前記基材の縁部が前記開口部の縁部から突出している長さは、5mm以上10mm以下であり、
前記一対のバスバーの各々は、位置決めマークを有し、
前記着色層には、前記開口部から離れて位置する二つの第2開口部が設けられ、
一つの開口部内に、一つの位置決めマークが観察される、導電基板。
【請求項3】
前記パターン導電体は、複数の線状導電体を有し、
各線状導電体は、2つの線状部と、2つの前記線状部を連結する連結部と、を有し、
前記連結部の線幅は、前記線状部の線幅より大きい、請求項1または2に記載の導電基板。
【請求項4】
各線状導電体における2つの前記線状部の抵抗の和の最小値に対する最大値の比は、1.2以下である、請求項に記載の導電基板。
【請求項5】
前記パターン導電体において、隣り合う2つの前記線状部の間の間隔の最小値に対する最大値の比は、1.2以下である、請求項3または4に記載の導電基板。
【請求項6】
前記連結部は、前記着色層に重なる位置に配置されている、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の導電基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電基板と、
前記透明基板の前記導電体付きシートが積層された側に配置された第2透明基板と、
前記導電基板と前記第2透明基板とを接合する接合層と、を備える、合わせ板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電基板および導電基板を有する合わせ板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、導電基板を有する合わせ板が広く用いられている。導電基板は、パターン導電体を有している。合わせ板は、例えば、車両等の移動体の窓ガラスに用いられるデフロスタ(霜取り装置)等に利用されている。合わせ板は、パターン導電体に通電されることによって、抵抗加熱により発熱する(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。車両の窓ガラスに適用された合わせ板は、パターン導電体の昇温により、窓ガラスの曇りを取り除いたり、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かしたり、または、窓ガラスに付着した水滴を蒸発させたりすることで、乗員の視界を確保することができる。
【0003】
また、移動体には、その内部にカメラ等の撮影装置が配置され得る。撮影装置は、移動体の窓ガラスを介して移動体の外部を撮影する。このような撮影装置は、例えば、移動体の操作や移動体の操作の補助のために用いられる。具体的な例として、撮影装置は、移動体の自動運転のために用いられる。窓ガラスの曇り等を取り除いて窓ガラスを介した視界を確保することで、撮影装置による撮影を良好に行うことができる。このため、窓ガラスは、少なくとも撮影装置に対面する位置にパターン導電体を有する合わせ板であることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-173402号公報
【文献】特開平8-72674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電基板において、パターン導電体は、基材上に配置されている。このような導電基板を介した視界において、基材が観察されることがある。基材が観察されると、基材を配置した領域を観察した際の意匠性を低下させ得る。したがって、導電基板において、基材を観察されにくくすることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、基材を観察されにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導電基板は、
透明基板と、
前記透明基板に積層された着色層及び導電体付きシートと、を備え、
前記導電体付きシートは、基材と、前記基材の一方の面上に配置されたパターン導電体と、を有し、
前記パターン導電体の一部は、前記着色層に設けられた開口部に重なるように配置されており、
前記基材の縁部は、前記着色層に重なっている。
【0008】
本発明の導電基板において、前記基材の縁部の一部は、前記着色層の縁部の一部に沿っていてもよい。
【0009】
本発明の導電基板において、前記着色層の縁部の一部が前記基材の縁部の一部から突出している長さは、5mm以下であってもよい。
【0010】
本発明の導電基板において、前記基材の縁部は、前記開口部の縁部に沿っていてもよい。
【0011】
本発明の導電基板において、前記基材の縁部が前記開口部の縁部から突出している長さは、5mm以上10mm以下であってもよい。
【0012】
本発明の導電基板において、
前記導電体付きシートは、前記パターン導電体によって接続される一対のバスバーをさらに有し、
前記一対のバスバーは、前記着色層に重なるように配置されていてもよい。
【0013】
本発明の導電基板において、
前記導電体付きシートは、前記パターン導電体によって接続される一対のバスバーをさらに有し、
前記一対のバスバーの少なくとも一方は、位置合わせ手段を有してもよい。
【0014】
本発明の導電基板において、前記パターン導電体は、前記着色層に重なる部分において位置合わせ手段を有してもよい。
【0015】
本発明の導電基板において、前記位置合わせ手段は、前記着色層に設けられた第2開口部に重なっていてもよい。
【0016】
本発明の導電基板において、前記パターン導電体は、暗色層を含んでもよい。
【0017】
本発明の導電基板において、
前記パターン導電体は、複数の線状導電体を有し、
各線状導電体は、2つの線状部と、2つの前記線状部を連結する連結部と、を有し、
前記連結部の線幅は、前記線状部の線幅より大きくてもよい。
【0018】
本発明の導電基板において、各線状導電体における2つの前記線状部の抵抗の和の最小値に対する最大値の比は、1.2以下であってもよい。
【0019】
本発明の導電基板において、前記パターン導電体において、隣り合う2つの前記線状部の間の間隔の最小値に対する最大値の比は、1.2以下であってもよい。
【0020】
本発明の導電基板において、前記連結部は、前記着色層に重なる位置に配置されていてもよい。
【0021】
本発明の合わせ板は、
上述したいずれかの導電基板と、
前記透明基板の前記導電体付きシートが積層された側に配置された第2透明基板と、
前記導電基板と前記第2透明基板とを接合する接合層と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基材を観察されにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施の形態を説明するための図であって、合わせ板を備えた移動体を概略的に示す斜視図である。特に図1では、移動体の例として、合わせ板で構成されたフロントウィンドウを備えた自動車を概略的に示している。
図2図2は、合わせ板と撮影装置とを備える撮影システムを概略的に示す断面図である。
図3図3は、図1の合わせ板をその板面の法線方向から示す図である。
図4図4は、図3のIV-IV線における合わせ板の断面図の一例である。
図5図5は、着色層の平面図である。
図6図6は、導電体付きシートの一例を示す平面図である。
図7図7は、導電体付きシートの他の例を示す平面図である。
図8図8は、着色層が設けられた側から観察した導電基板を示す平面図である。
図9図9は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図10図10は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図11図11は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図12図12は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図13図13は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図14図14は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図15図15は、合わせ板の製造方法の一例を説明するための図である。
図16図16は、導電基板の一変形例を示す平面図である。
図17図17は、導電基板の他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0025】
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付板(基板)」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0026】
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
【0027】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0028】
図1図15は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、合わせ板を備えた自動車を概略的に示す図である。図2は、自動車の内部に配置される撮影装置と合わせ板とを備える撮影システムを概略的に示す図である。図3は、合わせ板をその板面の法線方向から見た図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った合わせ板の断面を示す図である。
【0029】
図1に示されているように、移動体の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が合わせ板10で構成されているものを例示する。合わせ板10は、自動車1の車体等に接着剤によって固定されている。本実施の形態において、合わせ板10は、発熱板として利用されている。また、自動車1は、バッテリー等の電源7と、電源7と合わせ板10とを接続する配線8と、を有している。
【0030】
図2には、合わせ板10で構成されているフロントウィンドウ5の一部と、フロントウィンドウに対面して配置された撮影装置4と、を有する撮影システム3が示されている。撮影装置4は、自動車1の内部に配置されており、合わせ板10を介して、自動車1の外部を撮影することができる。より詳しくは、撮影装置4は、合わせ板10の後述する着色層25の開口部26を介して、自動車1の外部を撮影することができる。ここで、撮影装置4は、動画を撮影することができるものであってもよいし、画像を撮像することがでるものであってもよいし、画像の撮像及び動画の撮影の両方ができるものであってもよい。以下、本明細書において、「撮影」とは、動画の撮影だけでなく、画像の撮像をも含むものとする。撮影装置4によって撮影された画像や動画は、例えば、自動車1の運転の補助や自動運転のために用いられ得る。
【0031】
この合わせ板10をその板面の法線方向から見たものを図3に示す。図3に示された合わせ板10の一部が、撮影装置4に対面する。そして、撮影装置4に対面する領域における合わせ板10の断面図であるIV-IV線に沿った断面図の一例が、図4に示されている。図4に示された例では、合わせ板10は、透明基板21及び導電体付きシート30を有する導電基板20と、透明基板21の導電体付きシート30が積層された側に配置された第2透明基板12と、導電基板20と第2透明基板12とを接合する接合層13と、を有している。導電基板20は、透明基板21に積層された着色層25をさらに有している。なお、図1および図3に示した例では、合わせ板10は湾曲しているが、その他の図では、理解の容易化のために、合わせ板10を平板状に図示している。
【0032】
導電体付きシート30は、基材31と、基材31上に配置された一対のバスバー35及びパターン導電体40と、を有している。パターン導電体40は、一対のバスバー35の間に配置される。
【0033】
バッテリー等の電源7によって配線8から一対のバスバー35を介してパターン導電体40に電圧を印加することで、パターン導電体40を抵抗加熱により発熱させることができる。パターン導電体40で発生した熱は透明基板21及び第2透明基板12に伝わり、透明基板21及び第2透明基板12が温められる。これにより、透明基板21及び第2透明基板12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、透明基板21及び第2透明基板12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。あるいは、撮影装置4による撮影を良好に行うことができる。尚、図示は省略するが、通常は、配線8において電源7と一対のバスバー35との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、合わせ板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じてパターン導電体40に電圧を印加する。
【0034】
以下、合わせ板10の各構成要素について説明する。
【0035】
まず、第2透明基板12について説明する。第2透明基板12は、図1で示された例のように自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界や撮影装置4による撮影を妨げないよう、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような第2透明基板12の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。第2透明基板12の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。また、第2透明基板12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた第2透明基板12を得ることができる。
【0036】
次に、接合層13について説明する。接合層13は、導電基板20と第2透明基板12との間に配置され、導電基板20と第2透明基板12とを互いに接合する。接合層13としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような接合層13の典型的な材料としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13の厚みは、0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。
【0037】
導電基板20は、透明基板21と、透明基板21に積層された着色層25及び導電体付きシート30と、を有している。
【0038】
透明基板21は、第2透明基板12と同様に、自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界や撮影装置4による撮影を妨げないよう、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような透明基板21の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。透明基板21の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。透明基板21は、板面の法線方向からの観察において、すなわち平面視において、第2透明基板12と略同一形状となっている。このような透明基板21は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた第2透明基板12を得ることができる。透明基板21は、第2透明基板12と同一の材料で同一に構成されていてもよいし、あるいは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
【0039】
着色層25は、合わせ板10や導電基板20を自動車1の車体等に固定するための接着剤を紫外線等から保護するために設けられる。このような接着剤は合わせ板10や導電基板20の周縁部に設けられるため、着色層25は、合わせ板10や導電基板20の周縁部に沿って設けられている。着色層25は、可視光透過率の低い層である。例えば、着色層25の可視光透過率は、90%以下である。また、着色層25は、合わせ板10や導電基板20に意匠性を付与することもできる。着色層25は、全体として均一な単色であってもよいが、意匠性の付与のため、合わせ板10の中心部に近づくにつれて可視光透過率が高くなっていてもよい。このような着色層25は、黒色であることが好ましいが、他の色であってもよい。着色層25は、典型的には黒色セラミックからなる層である。
【0040】
図4に示された例では、着色層25は、透明基板21の導電体付きシート30が配置された側とは逆側に設けられている。しかしながら、図示された例に限らず、着色層25は、透明基板21の導電体付きシート30が配置された側に設けられていてもよい。
【0041】
図3によく示されているように、合わせ板10の周縁部の一部において、着色層25に開口部26が設けられている。開口部26において、合わせ板10及び導電基板20は、撮影装置4に対面している。すなわち、開口部26を介して、撮影装置4は自動車1の外部を撮影することができる。本実施の形態においては、開口部26が設けられた位置において、合わせ板10の導電基板20に導電体付きシート30が設けられている。
【0042】
図5は、着色層25をシート面の法線方向から観察した平面図であって、着色層25の開口部26が設けられた部分を拡大して示す図である。図5に示されているように、着色層25の開口部26の近傍において、第2開口部27が設けられている。第2開口部27を介して、後述する位置合わせ手段としての位置決めマークMを観察することができる。
【0043】
開口部26及び第2開口部27においては、着色層25が設けられておらず、開口部26及び第2開口部27を取り囲む部分においては、着色層25が設けられている。言い換えると、開口部26及び第2開口部27は、着色層25の非形成部である。開口部26及び第2開口部27は、着色層25に設けられた穴であってもよいが、例えば穴を透明な樹脂によって埋めることで形成されてもよい。開口部26及び第2開口部27は、台形、矩形、円形等、種々の形状とすることができる。開口部26の大きさは、例えば直径が5cm以上30cm以下である。一方、第2開口部27の大きさは、例えば1mm以上25mm以下である。
【0044】
なお、合わせ板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、合わせ板10の透明基板21及び第2透明基板12、接合層13、後述する導電体付きシート30の基材31の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。合わせ板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能、接合機能等を例示することができる。
【0045】
次に、導電体付きシート30について説明する。導電体付きシート30は、基材31と、基材31上に設けられた一対のバスバー35及びパターン導電体40と、を有する。パターン導電体40は、一対のバスバー35の間を接続するように設けられている。本実施の形態において、導電体付きシート30は、合わせ板10において開口部26の周辺にのみ配置されている。しかしながら、導電体付きシート30は、合わせ板10において自動車1の乗員に対面する位置にのみ配置されていてもよい。あるいは、導電体付きシート30は、透明基板21及び第2透明基板12と略同一の平面寸法を有して、合わせ板10の全体にわたって配置されていてもよい。以下、導電体付きシート30の各構成要素について説明する。
【0046】
基材31は、バスバー35及びパターン導電体40を支持する基材として機能する。基材31は、可視光線波長帯域の波長(380nm~780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材31は、導電体付きシート30を透明基板21に接着させる。また、基材31と基材31に隣接する接合層13との境界を認識されにくくするため、基材31の屈折率は、接合層13の屈折率と同一であることが好ましい。このような基材31の材料としては、接合層13と同様の材料であるポリビニルブチラール(PVB)を例示することができる。また、基材31は、光透過性や、バスバー35及びパターン導電体40の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。基材31を十分に薄くすることで、基材31を観察されにくくすることができる。
【0047】
なお、「透明」とは、当該基材を介して当該基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
【0048】
後述するように、基材31に支持されたパターン導電体40が開口部26に重なるように配置されるため、基材31は、少なくとも着色層25に設けられた開口部26を覆っている。すなわち、基材31の寸法は、開口部26の寸法より大きくなっている。一方、基材31は、着色層25からはみ出していない。すなわち、基材31の寸法は、着色層25の寸法より小さくなっている。言い換えると、基材31の縁部31eは、着色層25に重なっている。さらに言い換えると、基材31の縁部31eは、開口部26の縁部26eと着色層25の縁部25eの間に位置している。なお、ある部材の縁部とは、当該部材の外周や輪郭の部分を意味する。
【0049】
図6は、導電体付きシート30の一例をシート面の法線方向から観察した平面図である。図6に示された例では、基材31の縁部31eの一部は、着色層25の縁部25eの一部に沿っている。基材31の縁部31eの一部は、着色層25の縁部25eの一部に一致していてもよいし、着色層25の縁部25eの一部の近傍において離間しながら略平行になっていてもよい。着色層25の縁部25eが基材31の縁部31eから突出している長さL1は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、0mm、すなわち着色層25の縁部25eの一部が基材31の縁部31eの一部に一致していることが最も好ましい。
【0050】
一方、図7は、導電体付きシート30の他の例をシート面の法線方向から観察した平面図である。図7に示された例では、基材31の縁部31eは、開口部26の縁部26eに沿っている。基材31の縁部31eは、開口部26の縁部26eの近傍において離間しながら略平行になっている。基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eから突出している長さL2は、5mm以上10mm以下であることが好ましく、6mm以上8mm以下であることがより好ましい。
【0051】
一対のバスバー35は、互いに離間して配置されている。バスバー35は、配線8及びパターン導電体40に接続している。配線8を介して電源7の電圧が一対のバスバー35に印加されることで、パターン導電体40に電圧が印加される。一対のバスバー35は、パターン導電体40に比べて抵抗が低くなっている。このため、一対のバスバー35は、抵抗加熱による発熱はしにくい。一対のバスバー35は、抵抗を低くするために、パターン導電体40の後述する線状導電体50に比べて線幅が大きくなっている。一対のバスバー35は、観察されにくいよう、着色層25に重なるように配置されていることが好ましい。
【0052】
図6および図7に示されているように、一対のバスバー35の少なくとも一方は、位置合わせ手段を有している。図示されている例では、一対のバスバー35の両方が、位置合わせ手段を有している。また、図示されている例では、位置合わせ手段は、十字型の位置合わせマークMである。このような位置合わせマークMは、バスバー35に印刷されることで設けられていてもよいし、バスバー35全体のパターニング時に同時にパターニングされることで設けられていてもよいし、バスバー35の一部に形成された凸部や凹部であってもよい。なお、十字型の位置合わせマークMは例示に過ぎず、例えば四角形、三角形、丸等の種々の位置合わせマークMを用いることができる。また、位置合わせ手段は、位置決めマーク以外の手段であってもよい。
【0053】
図8は、導電基板20を着色層25が設けられた側から観察した平面図である。図8に示すように、位置合わせ手段は、着色層25に設けられた第2開口部27に重なっている。言い換えると、第2開口部27は、バスバー35の位置合わせ手段に重なる位置に設けられている。これにより、位置合わせ手段は、第2開口部27を介して観察されることができる。
【0054】
パターン導電体40は、種々のパターンで配置することができる。図6及び図7に示された例では、パターン導電体40は、線状導電体50を有しており、一対のバスバー35の間を接続する複数の線状導電体50がストライプ状のパターンで配置されることによって形成されている。しかしながら、図示された例に限らず、パターン導電体40はメッシュ状のパターンで配置されていてもよい。また、線状導電体50は、直線に限らず、波線等の曲線であってもよい。
【0055】
パターン導電体40の一部は、着色層25に設けられた開口部26に重なるように配置されている。このため、パターン導電体40が発熱することで、開口部26に重なる位置において、透明基板21及び第2透明基板12を温めることができる。一方、パターン導電体40の他の一部は、着色層25に重なる位置において、一対のバスバー35に接続している。
【0056】
線状導電体50は、不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、少なくとも開口部26に重なる位置において、線状導電体50によって覆われていない基材31上の領域の割合、すなわち非被覆率は、70%以上90%以下程度と高くなっている。また、少なくとも開口部26に重なる位置において、線状導電体50の線幅は、2μm以上30μm以下程度となっている。このため、少なくとも開口部26に重なる位置において、線状導電体50が設けられている領域は、全体として透明に把握され、線状導電体50の存在が開口部26を介した合わせ板10の透視性を害さないようになっている。
【0057】
図4に示された例では、線状導電体50は、全体として矩形状の断面を有している。線状導電体50の線幅の平均W、すなわち、合わせ板10の板面に沿った幅の平均Wは2μm以上30μm以下とし、高さ(厚さ)の平均H、すなわち、合わせ板10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)の平均Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体50によれば、その線状導電体50が十分に細線化されているので、線状導電体50を効果的に不可視化することができる。
【0058】
なお、上述したように、合わせ板10の透視性または合わせ板10を介した視界を確保する観点から、非被覆率(開口率とも呼ばれる)が高くなるように、線状導電体50は基材31上に形成されている。その結果、図4に示すように、接合層13と導電体付きシート30の基材31とは、隣り合う線状導電体50の間となる領域を介して接触している。すなわち、線状導電体50は、接合層13内に埋め込まれた状態となっている。
【0059】
また、図4に示されたように、線状導電体50は、導電層57、導電層57の表面のうち、透明基板21に対向する側の面を覆う第1暗色層58、導電層57の表面のうち、第2透明基板12に対向する側の面及び両側面を覆う第2暗色層59を含むようにしてもよい。とりわけ、線状導電体50は、第1暗色層58を少なくとも含んでいることが好ましい。優れた導電性を有する金属材料からなる導電層57は、比較的高い反射率を呈する。そして、線状導電体50をなす導電層57によって光が反射されると、その反射した光が観察されるようになり、観察される視界を妨げる場合がある。また、外部から導電層57が観察されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、第1暗色層58及び第2暗色層59が、導電層57の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1暗色層58及び第2暗色層59は、導電層57よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この第1暗色層58及び第2暗色層59によって、導電層57が観察されづらくなり、乗員や撮影装置の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。なお、第1暗色層58及び第2暗色層59のいずれか一方が省略されていてもよい。
【0060】
なお、図示は省略するが、バスバー35も、金属材料からなる導電層と、導電層の表面に形成された暗色層と、を有していてもよい。暗色層によって比較的高い反射率を呈する導電層が観察されづらくなり、乗員や撮影装置の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
【0061】
このような線状導電体50及びバスバー35を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、及び、これらの金属の1種以上を含んでなる合金の一以上を例示することができる。
【0062】
次に、合わせ板10の製造方法の一例について、説明する。
【0063】
まず、図9に示すように、基材31上に第1暗色層58を形成するようになる暗色膜58aを設け、暗色膜58a上に導電層57を形成するようになる金属膜57aを設ける。金属膜57a及び暗色膜58aは、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
【0064】
その後、図10に示すように、金属膜57a上に、レジストパターン60を設ける。レジストパターン60は、形成されるべき線状導電体50に対応した形状となっている。このレジストパターン60は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
【0065】
次に、レジストパターン60をマスクとして、金属膜57a及び暗色膜58aをエッチングする。このエッチングにより、金属膜57a及び暗色膜58aがレジストパターン60と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、図11に示すように、パターニングされた金属膜57aから、線状導電体50の一部をなすようになる導電層57が形成される。また、パターニングされた暗色膜58aから、線状導電体50の一部をなすようになる第1暗色層58が形成される。
【0066】
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図12に示すように、レジストパターン60を除去する。
【0067】
その後、図13に示すように、導電層57の第1暗色層58が設けられた面と反対側の面及び側面に第2暗色層59を形成する。第2暗色層59は、例えば導電層57をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電層57をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2暗色層59を形成することができる。また、導電層57の表面に第2暗色層59を設けるようにしてもよい。また、導電層57の表面を粗化して第2暗色層59を設けるようにしてもよい。
【0068】
以上の工程によって、基材31上にパターン導電体40が形成され、導電体付きシート30が作製される。なお、一対のバスバー35は、金属膜57aのパターニングによって線状導電体50の導電層57と一体的に形成されてもよいし、或いは、基材31上に設けられた線状導電体50とは別途の導電体としてもよい。
【0069】
その後、図14に示すように、基材31の側から透明基板21を積層して、導電体付きシート30と透明基板21とを接合する。透明基板21の導電体付きシート30が設けられた側とは逆側には、着色層25が設けられている。着色層25は、例えば黒色セラミックが印刷されたシートを貼合することで透明基板21に設けることができる。これにより、導電基板20が作製される。
【0070】
最後に、図15に示すように、導電基板20にパターン導電体40の側から接合層13及び第2透明基板12を積層して、導電基板20と第2透明基板12とを接合する。これにより、図4に示した合わせ板10が作製される。
【0071】
ところで、導電基板を有する合わせ板において、基材が観察されることがある。基材が観察されると、基材を配置した領域を観察した際の意匠性を低下させ得る。基材は、基材の縁部が観察されることで認識される。したがって、基材の縁部を観察されにくくすることで、基材自体を観察されにくくすることができる。
【0072】
本実施の形態では、基材31の縁部31eは、着色層25に重なっている。着色層25は可視光透過率が低く、したがって着色層25に重なっている部材は観察されにくくなる。基材31の縁部31eが着色層25に重なっていることで、導電基板20の板面の法線方向からの観察において、基材31の縁部31eが観察されにくくなる。すなわち、基材31を観察されにくくすることができる。
【0073】
また、本実施の形態の一例では、基材31の縁部31eの一部は、着色層25の縁部25eの一部に沿っている。この場合、導電基板20の平面視において、基材31の縁部31eが着色層25の縁部25eと区別されにくい。すなわち、基材31が着色層25と同一の形状として観察されやすい。このため、基材31をより観察されにくくすることができる。
【0074】
とりわけ、着色層25の縁部25eの一部が基材31の縁部31eの一部から突出している長さL1は、5mm以下である。この場合、導電基板20の平面視において、特に基材31の縁部31eが着色層25の縁部25eと区別されにくい。すなわち、基材31が着色層25とより同一に観察されやすい。このため、基材31をより観察されにくくすることができる。
【0075】
あるいは、本実施の形態の他の例では、基材31の縁部31eは、開口部26の縁部26eに沿っている。この場合、導電基板20の平面視において、基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eと区別されにくい。すなわち、基材31が開口部26と同一の形状として観察されやすい。このため、基材31をより観察されにくくすることができる。
【0076】
とりわけ、基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eから突出している長さL2は、5mm以上10mm以下である。基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eから5mm以上離間していることで、基材31上の着色層25と重なるようにバスバー35を配置することができる。また、基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eから離間している長さが10mm以下であるため、導電基板20の平面視において、基材31の縁部31eが開口部26の縁部26eとより区別されにくい。すなわち、基材31が開口部26と同一の形状として観察されやすい。このため、基材31をより観察されにくくすることができる。
【0077】
また、一対のバスバー35は、着色層25に重なるように配置されている。バスバー35は、線幅が大きくなっているため、観察されやすい。バスバー35を着色層25に重なるように配置することで、バスバー35を観察されにくくすることができる。これにより、導電基板20を介した視界の悪化を抑制することができる。
【0078】
さらに、一対のバスバー35の少なくとも一方は、位置合わせ手段を有している。この位置合わせ手段によって、バスバー35を着色層25に重なるように、導電体付きシート30を容易に配置することができる。とりわけ、位置合わせ手段は、着色層25に設けられた第2開口部27に重なっている。すなわち、第2開口部27を介して位置合わせ手段を観察することができる。第2開口部27によって、バスバー35を着色層25に重なるように、導電体付きシート30をより容易に配置することができる。
【0079】
また、パターン導電体40は、暗色層58,59を含んでいる。より詳しくは、パターン導電体40の線状導電体50が暗色層58,59を含んでいる。同様に、バスバー35も暗色層を含んでいる。暗色層によって、パターン導電体40やバスバー35は、観察されにくくなる。このため、パターン導電体40やバスバー35によって導電基板20を介した視界が悪化することを、抑制することができる。
【0080】
以上のように、本実施の形態の導電基板20は、透明基板21と、透明基板21に積層された着色層25及び導電体付きシート30と、を備え、導電体付きシート30は、基材31と、基材31の一方の面上に配置されたパターン導電体40と、を有し、パターン導電体40の一部は、着色層25に設けられた開口部26に重なるように配置されており、基材31の縁部31eは、着色層25に重なっている。このような導電基板20によれば、基材31の縁部31eが観察されにくくなる。すなわち、基材31を観察されにくくすることができる。
【0081】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0082】
上述した実施の形態では、バスバー35が、位置合わせ手段としての位置決めマークMを有している。しかしながら、例えば図16に示されているように、位置合わせ手段としての位置決めマークMは、バスバー35とは別の部材として設けられていてもよい。図16は、導電基板20の一変形例を導電体付きシート30が設けられた側から観察した平面図である。図示された例では、パターン導電体40が、位置合わせ手段としての位置決めマークMを有している。位置合わせ手段は、線状導電体50から独立していてもよいし、線状導電体50と接続していてもよい。位置合わせ手段は、観察されにくいよう、着色層25に重なる部分に設けられている。位置合わせ手段は、パターン導電体40の一部として、線状導電体50と同様に金属膜57aのパターニングによって形成することができる。また、この位置決めマークMは、上述した実施の形態と同様に、第2開口部27を介して観察されることができる。したがって、このような位置合わせ手段によっても、バスバー35を着色層25に重なるように、導電体付きシート30を容易に配置することができる。
【0083】
また、上述した実施の形態では、一対のバスバー35は、開口部26を介して対向するように配置されている。すなわち、一対のバスバー35の間に、開口部26が位置している。しかしながら、図17に示されているように、一対のバスバー35は、開口部26に対して同じ側に配置されていてもよい。図17は、導電基板20の他の変形例を導電体付きシート30が設けられた側から観察した平面図である。この場合、線状導電体50は、2つの線状部51と、2つの線状部51を連結する連結部52と、を有している。2つの線状部51は、それぞれ別のバスバー35に接続している。線状部51が、開口部26に重なるように配置されている。連結部52の線幅は、抵抗加熱による発熱をしにくいよう、線状部51の線幅より大きくなっている。連結部52は、着色層25に重なる位置に配置されていることが好ましい。連結部52が着色層25に重なる位置に配置されていると、線幅が大きくなっている連結部52は、観察されにくくなる。
【0084】
各線状導電体50において、発熱量を均一にすることが望まれる。このため、各線状導電体50の抵抗を均一にすることが好ましい。連結部52の抵抗は線状部51に比べて低くなっているため、2つの線状部51の抵抗の和が線状導電体50の抵抗にほぼ等しい。したがって、各線状導電体50における2つの線状部51の抵抗の和のばらつきを小さくすることが好ましい。具体的には2つの線状部51の抵抗の和の最小値に対する最大値の比が、1.2以下であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0085】
線状部51の抵抗は、線状部51の長さに比例する。連結部52は、長さの長い線状部51と短い線状部51とを連結している。より具体的には、連結部52は、nを自然数として、線状部51のうちn番目に長い線状部51とn番目に短い線状部51とを連結している。これにより、各線状導電体50における2つの線状部51の抵抗の和のばらつきを小さくすることができる。
【0086】
また、パターン導電体40が配置された導電体付きシート30を均一に発熱させるために、パターン導電体40において、隣り合う2つの線状部51の間隔が一定であることが好ましい。すなわち、パターン導電体40において、隣り合う2つの線状部51の間の間隔Dは、ばらつきが小さいことが好ましい。具体的には、隣り合う2つの線状部51の間の間隔Dの最小値に対する最大値の比が、1.2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0087】
図4に示された例では、導電基板20において、基材31の一方の側にパターン導電体40が配置されており、基材31の他方の側に透明基板21が配置されている。しかしながら、図4に示された例に限らず、基材31の他方の側にパターン導電体40及び透明基板21が配置されていてもよい。この場合、パターン導電体40は基材31に埋め込まれた状態となり、パターン導電体40を介して基材31が透明基板21と接触する。
【0088】
また、図4に示された例では、着色層25は、透明基板21に接するように積層されている。しかしながら、着色層25は、透明基板21から離間して積層されていてもよい。例えば、着色層25は、第2透明基板12に積層されていてもよい。
【0089】
上述した実施の形態において、合わせ板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、合わせ板10が、平板状に形成されていてもよい。
【0090】
合わせ板10は、自動車1のリアウィンドウ等に用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の移動体の窓或いは扉の透明部分に用いてもよい。
【0091】
さらに、合わせ板10は、移動体以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉の透明部分、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の収納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 自動車
3 撮影システム
4 撮影装置
5 フロントウィンドウ
7 電源
8 配線
10 合わせ板
12 第2透明基板
13 接合層
20 導電基板
21 透明基板
25 着色層
25e 縁部
26 開口部
27 第2開口部
30 導電体付きシート
31 基材
31e 縁部
35 バスバー
40 パターン導電体
50 線状導電体
51 線状部
52 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17