(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】蒸着マスク装置、蒸着マスク装置の製造方法及び有機デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20241003BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241003BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2020202997
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】池永 知加雄
(72)【発明者】
【氏名】関本 賢
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-056096(JP,A)
【文献】特開2012-233250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含むフレームであって、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を含むフレームと、
前記第3部分における前記第1面に固定された第1端と、前記第4部分における前記第1面に固定された第2端と、前記開口部に平面視で重なる複数の貫通孔と、を含む蒸着マスクと、
前記フレームに固定され、
前記フレームの前記第1面と前記蒸着マスク
との間に位置する支持体と、を備え、
前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔で構成された貫通孔群と、前記第1端と前記第2端とを接続する複数の梁と、を含み、
前記支持体は、前記第3部分における前記第1面に固定された第3端と、前記第4部分における前記第1面に固定された第4端と、を含む複数のカバー部材であって、前記第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含み、
複数の前記梁は、前記貫通孔群に対して前記第1部分の側に位置する第1梁と、前記貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置する第2梁と、を含み、
複数の前記カバー部材は、第1カバー部材と、前記第1カバー部材に対して前記第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含み、
前記第1カバー部材は、前記第1梁に平面視で重なり、
前記第2カバー部材は、前記第2梁に平面視で重なり、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に、前記貫通孔を前記開口部に露出する露出領域が位置し、
前記第1カバー部材は、一部の前記貫通孔に平面視で重な
り、
複数の前記カバー部材は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に位置する第3カバー部材を含み、
前記第1カバー部材と前記第3カバー部材との間に前記露出領域が位置し、
前記第3カバー部材と前記第2カバー部材との間に前記露出領域が位置する、蒸着マスク装置。
【請求項2】
前記第3部分及び前記第4部分に、前記第1方向に並ぶ複数の前記蒸着マスクが固定され、
複数の前記蒸着マスクは、第1蒸着マスクと、前記第1蒸着マスクに対して前記第1部分の側に位置するとともに前記第1蒸着マスクと隣り合う第2蒸着マスクと、を含み、
前記第1カバー部材は、前記第1蒸着マスクの前記第1梁及び前記第2蒸着マスクの前記第2梁に平面視で重なるとともに、前記第1蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なり、
前記第2カバー部材は、前記第1蒸着マスクの前記第2梁に平面視で重なる、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
【請求項3】
前記第1カバー部材は、前記第2蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項2に記載の蒸着マスク装置。
【請求項4】
複数の前記蒸着マスクは、前記第1蒸着マスクに対して前記第2部分の側に位置するとともに前記第1蒸着マスクと隣り合う第3蒸着マスクを含み、
前記第2カバー部材は、前記第3蒸着マスクの前記第1梁に平面視で重なる、請求項2又は3に記載の蒸着マスク装置。
【請求項5】
前記第2カバー部材は、前記第1蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項4に記載の蒸着マスク装置。
【請求項6】
前記第2カバー部材は、前記第3蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項4又は5に記載の蒸着マスク装置。
【請求項7】
前記支持体は、前記第1部分における前記第1面に固定された第5端と、前記第2部分における前記第1面に固定された第6端と、を含む支持部材を含み、
前記支持部材は、前記貫通孔群に平面視で重なり、
前記支持部材は、前記貫通孔群を複数の前記露出領域に区画する、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
【請求項8】
前記支持体は、前記第1部分における前記第1面に固定された第5端と、前記第2部分における前記第1面に固定された第6端と、を含む支持部材を含み、
前記蒸着マスクは、前記第2方向に並ぶ複数の前記貫通孔群を含み、
複数の前記貫通孔群は、第1貫通孔群と、前記第1貫通孔群に対して前記第4部分の側に位置するとともに前記第1貫通孔群と隣り合う第2貫通孔群と、を含み、
前記蒸着マスクは、前記第1貫通孔群と前記第2貫通孔群との間に位置する、前記第1梁と前記第2梁とを接続する梁接続部を含み、
前記支持部材は、前記梁接続部に平面視で重なる、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記第1貫通孔群を構成する一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項8に記載の蒸着マスク装置。
【請求項10】
前記支持部材は、前記第2貫通孔群を構成する一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項8又は9に記載の蒸着マスク装置。
【請求項11】
前記蒸着マスクは、前記第1方向に並ぶ複数の前記貫通孔群を含み、
複数の前記貫通孔群は、第3貫通孔群と、前記第3貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置するとともに前記第3貫通孔群と隣り合う第4貫通孔群と、を含み、
複数の前記梁は、前記第3貫通孔群と前記第4貫通孔群との間に位置する第3梁を含み、
前記第3カバー部材は、前記第3梁に平面視で重なる、請求項
1~10のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
【請求項12】
前記第3カバー部材は、前記第3貫通孔群の一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項
11に記載の蒸着マスク装置。
【請求項13】
前記第3カバー部材は、前記第4貫通孔群の一部の前記貫通孔に平面視で重なる、請求項
11又は
12に記載の蒸着マスク装置。
【請求項14】
前記第3カバー部材は、前記貫通孔群を複数の前記露出領域に区画する、請求項
1~10のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
【請求項15】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含むフレームであって、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、平面視で前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を含むフレームを準備する工程と、
前記フレームに、前記第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含む支持体を固定する工程であって、前記カバー部材の第3端を前記第3部分における前記第1面に固定するとともに、前記カバー部材の第4端を前記第4部分における前記第1面に固定するように、前記フレームに前記支持体を固定する工程と、
前記支持体を固定する工程の後、蒸着マスクの第1端を前記第3部分における前記第1面に固定するとともに前記蒸着マスクの第2端を前記第4部分における前記第1面に固定する工程であって、前記蒸着マスクの複数の貫通孔が前記開口部に平面視で重なるとともに前記支持体が
前記フレームの前記第1面と前記蒸着マスク
との間に位置するように、前記フレームに前記蒸着マスクを固定する工程と、を備え、
前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔で構成された貫通孔群と、前記第1端と前記第2端とを接続する複数の梁と、を含み、
複数の前記梁は、前記貫通孔群に対して前記第1部分の側に位置する第1梁と、前記貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置する第2梁と、を含み、
複数の前記カバー部材は、第1カバー部材と、前記第1カバー部材に対して前記第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含み、
前記蒸着マスクを固定する工程において、前記第1カバー部材は、前記第1梁に平面視で重なり、前記第2カバー部材は、前記第2梁に平面視で重なり、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に、前記貫通孔を前記開口部に露出する露出領域が位置し、前記第1カバー部材は、一部の前記貫通孔に平面視で重な
り、
複数の前記カバー部材は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に位置する第3カバー部材を含み、
前記第1カバー部材と前記第3カバー部材との間に前記露出領域が位置し、
前記第3カバー部材と前記第2カバー部材との間に前記露出領域が位置する、蒸着マスク装置の製造方法。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置を準備する工程と、
前記蒸着マスク装置の前記蒸着マスクを基板に密着させる工程と、
蒸着材料を、前記フレームの前記開口部、前記蒸着マスク装置の前記露出領域、及び前記貫通孔を通過させることにより、前記基板に前記蒸着材料を蒸着させて蒸着層を形成する工程と、を備え、
前記蒸着層を形成する工程において、前記蒸着層は、前記露出領域に対応する位置に形成される、有機デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施の形態は、蒸着マスク装置、蒸着マスク装置の製造方法及び有機デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン又はタブレットPC等の電子デバイスにおいて、高精細な表示装置が、市場から求められている。表示装置は、例えば、400ppi以上又は800ppi以上等の画素密度を有する。
【0003】
このような表示装置として、応答性の良さと、又は/及びコントラストの高さと、を有する有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、画素を構成する材料を、基板に蒸着させる方法が知られている。この場合、まず、貫通孔を含む蒸着マスクと、蒸着マスクを支持するフレームと、を備える蒸着マスク装置を準備する。次に、蒸着装置内で、蒸着マスクを基板に密着させた状態で、有機材料又は/及び無機材料等の蒸着材料を蒸着させる。このことにより、基板に、蒸着材料が付着して蒸着層が形成される。蒸着層は、有機EL表示装置の表示領域を構成する。
【0004】
蒸着マスクは、有機EL表示装置の表示領域の大きさに対応するように貫通孔の位置が設計される。新たに有機EL表示装置の蒸着層を形成する場合には、表示領域の大きさに対応した蒸着マスクを準備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、蒸着マスク装置のフレームに支持される蒸着マスクは、特定の有機EL表示装置に対応した構造を有している。
【0007】
本開示の実施の形態は、汎用性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施の形態による蒸着マスク装置は、フレームと、蒸着マスクと、支持体と、を備える。フレームは、第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面と、を含む。フレームは、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、第1方向とは異なる第2方向において開口部を挟んで第3部分に対向する第4部分と、を含む。蒸着マスクは、第3部分における第1面に固定された第1端と、第4部分における第1面に固定された第2端と、開口部に平面視で重なる複数の貫通孔と、を含む。支持体は、フレームに固定される。支持体は、蒸着マスクに対して第2面の側に位置する。蒸着マスクは、複数の貫通孔で構成された貫通孔群と、第1端と第2端とを接続する複数の梁と、を含む。支持体は、第3部分における第1面に固定された第3端と、第4部分における第1面に固定された第4端と、を含む複数のカバー部材であって、第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含む。複数の梁は、貫通孔群に対して第1部分の側に位置する第1梁と、貫通孔群に対して第2部分の側に位置する第2梁と、を含む。複数のカバー部材は、第1カバー部材と、第1カバー部材に対して第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含む。第1カバー部材は、第1梁に平面視で重なる。第2カバー部材は、第2梁に平面視で重なる。第1カバー部材と第2カバー部材との間に、貫通孔を開口部に露出する露出領域が位置する。第1カバー部材は、一部の貫通孔に平面視で重なる。
【0009】
本開示の一実施の形態による蒸着マスク装置の製造方法は、フレームを準備する工程と、フレームに支持体を固定する工程と、フレームに蒸着マスクを固定する工程と、を備える。フレームは、第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面と、を含む。フレームは、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、平面視で第1方向とは異なる第2方向において開口部を挟んで第3部分に対向する第4部分と、を含む。支持体は、第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含む支持体を含む。フレームに支持体を固定する工程において、カバー部材の第3端が第3部分における第1面に固定されるとともに、カバー部材の第4端が第4部分における第1面に固定される。支持体を固定する工程の後、フレームに蒸着マスクが固定される。フレームに蒸着マスクを固定する工程において、蒸着マスクの第1端が第3部分における第1面に固定されるとともに蒸着マスクの第2端が第4部分における第1面に固定される。蒸着マスクの複数の貫通孔が開口部に平面視で重なるとともに支持体が蒸着マスクに対して第2面の側に位置するように、フレームに蒸着マスクが固定される。蒸着マスクは、複数の貫通孔で構成された貫通孔群と、第1端と第2端とを接続する複数の梁と、を含む。複数の梁は、貫通孔群に対して第1部分の側に位置する第1梁と、貫通孔群に対して第2部分の側に位置する第2梁と、を含む。複数のカバー部材は、第1カバー部材と、第1カバー部材に対して第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含む。蒸着マスクを固定する工程において、第1カバー部材は、第1梁に平面視で重なり、第2カバー部材は、第2梁に平面視で重なる。第1カバー部材と第2カバー部材との間に、貫通孔を開口部に露出する露出領域が位置する。第1カバー部材は、一部の貫通孔に平面視で重なる。
【0010】
本開示の一実施の形態による有機デバイスの製造方法は、上述の蒸着マスク装置を準備する工程と、蒸着マスク装置の蒸着マスクを基板に密着させる工程と、蒸着材料を、フレームの開口部、蒸着マスク装置の露出領域、及び貫通孔を通過させることにより、基板に蒸着材料を蒸着させて蒸着層を形成する工程と、を備える。蒸着層を形成する工程において、蒸着層は、露出領域に対応する位置に形成される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施の形態によれば、汎用性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施の形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。
【
図2】
図1の蒸着マスク装置を、フレームの第1面の側から見た平面図である。
【
図5】
図2の蒸着マスクの第2面を示す平面図である。
【
図6】
図2の蒸着マスクの有効領域を第2面の側から見た部分拡大平面図である。
【
図8】
図2のマスク支持機構を、フレームの第1面の側から見た平面図である。
【
図9】
図2の蒸着マスク装置を、フレームの第2面の側から見た部分拡大平面図である。
【
図10】
図2の蒸着マスク装置を用いて作製された有機EL表示装置の素子の一例を示す拡大平面図である。
【
図11】
図10の有機EL表示装置のD-D線に沿った断面図である。
【
図12】
図2の蒸着マスク装置を用いて作製された単一色の有機層が形成された基板を示す平面図である。
【
図13】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図14】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図15】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図16】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図17】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図18】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図19】
図9の蒸着マスク装置の一変形例を示す部分拡大平面図である。
【
図20】
図8のマスク支持機構の一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0014】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0015】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0016】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0017】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施の形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施の形態同士や、その他の実施の形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
【0018】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0019】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
【0020】
本明細書の一実施の形態においては、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施の形態を適用できる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置を製造するために、本実施の形態のマスクを用いてもよい。
【0021】
本開示の第1の態様は、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含むフレームであって、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を含むフレームと、
前記第3部分における前記第1面に固定された第1端と、前記第4部分における前記第1面に固定された第2端と、前記開口部に平面視で重なる複数の貫通孔と、を含む蒸着マスクと、
前記フレームに固定され、前記蒸着マスクに対して前記第2面の側に位置する支持体と、を備え、
前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔で構成された貫通孔群と、前記第1端と前記第2端とを接続する複数の梁と、を含み、
前記支持体は、前記第3部分における前記第1面に固定された第3端と、前記第4部分における前記第1面に固定された第4端と、を含む複数のカバー部材であって、前記第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含み、
複数の前記梁は、前記貫通孔群に対して前記第1部分の側に位置する第1梁と、前記貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置する第2梁と、を含み、
複数の前記カバー部材は、第1カバー部材と、前記第1カバー部材に対して前記第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含み、
前記第1カバー部材は、前記第1梁に平面視で重なり、
前記第2カバー部材は、前記第2梁に平面視で重なり、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に、前記貫通孔を前記開口部に露出する露出領域が位置し、
前記第1カバー部材は、一部の前記貫通孔に平面視で重なる、蒸着マスク装置、
である。
【0022】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスク装置において、
前記第3部分及び前記第4部分に、前記第1方向に並ぶ複数の前記蒸着マスクが固定され、
複数の前記蒸着マスクは、第1蒸着マスクと、前記第1蒸着マスクに対して前記第1部分の側に位置するとともに前記第1蒸着マスクと隣り合う第2蒸着マスクと、を含み、
前記第1カバー部材は、前記第1蒸着マスクの前記第1梁及び前記第2蒸着マスクの前記第2梁に平面視で重なるとともに、前記第1蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なり、
前記第2カバー部材は、前記第1蒸着マスクの前記第2梁に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0023】
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様による蒸着マスク装置において、
前記第1カバー部材は、前記第2蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0024】
本開示の第4の態様は、上述した第2の態様又は上述した第3の態様による蒸着マスク装置において、
複数の前記蒸着マスクは、前記第1蒸着マスクに対して前記第2部分の側に位置するとともに前記第1蒸着マスクと隣り合う第3蒸着マスクを含み、
前記第2カバー部材は、前記第3蒸着マスクの前記第1梁に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0025】
本開示の第5の態様は、上述した第4の態様による蒸着マスク装置において、
前記第2カバー部材は、前記第1蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0026】
本開示の第6の態様は、上述した第4の態様又は上述した第5の態様による蒸着マスク装置において、
前記第2カバー部材は、前記第3蒸着マスクの一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0027】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持体は、前記第1部分における前記第1面に固定された第5端と、前記第2部分における前記第1面に固定された第6端と、を含む支持部材を含み、
前記支持部材は、前記貫通孔群に平面視で重なり、
前記支持部材は、前記貫通孔群を複数の前記露出領域に区画する、
ようにしてもよい。
【0028】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持体は、前記第1部分における前記第1面に固定された第5端と、前記第2部分における前記第1面に固定された第6端と、を含む支持部材を含み、
前記蒸着マスクは、前記第2方向に並ぶ複数の前記貫通孔群を含み、
複数の前記貫通孔群は、第1貫通孔群と、前記第1貫通孔群に対して前記第4部分の側に位置するとともに前記第1貫通孔群と隣り合う第2貫通孔群と、を含み、
前記蒸着マスクは、前記第1貫通孔群と前記第2貫通孔群との間に位置する、前記第1梁と前記第2梁とを接続する梁接続部を含み、
前記支持部材は、前記梁接続部に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0029】
本開示の第9の態様は、上述した第8の態様による蒸着マスク装置において、
前記支持部材は、前記第1貫通孔群を構成する一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0030】
本開示の第10の態様は、上述した第8の態様又は上述した第9の態様による蒸着マスク装置において、
前記支持部材は、前記第2貫通孔群を構成する一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0031】
本開示の第11の態様は、上述した第1の態様から上述した第10の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
複数の前記カバー部材は、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に位置する第3カバー部材を含み、
前記第1カバー部材と前記第3カバー部材との間に前記露出領域が位置し、
前記第3カバー部材と前記第2カバー部材との間に前記露出領域が位置する、
ようにしてもよい。
【0032】
本開示の第12の態様は、上述した第11の態様による蒸着マスク装置において、
前記蒸着マスクは、前記第1方向に並ぶ複数の前記貫通孔群を含み、
複数の前記貫通孔群は、第3貫通孔群と、前記第3貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置するとともに前記第3貫通孔群と隣り合う第4貫通孔群と、を含み、
複数の前記梁は、前記第3貫通孔群と前記第4貫通孔群との間に位置する第3梁を含み、
前記第3カバー部材は、前記第3梁に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0033】
本開示の第13の態様は、上述した第12の態様による蒸着マスク装置において、
前記第3カバー部材は、前記第3貫通孔群の一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0034】
本開示の第14の態様は、上述した第12の態様又は上述した第13の態様による蒸着マスク装置において、
前記第3カバー部材は、前記第4貫通孔群の一部の前記貫通孔に平面視で重なる、
ようにしてもよい。
【0035】
本開示の第15の態様は、上述した第11の態様による蒸着マスク装置において、
前記第3カバー部材は、前記貫通孔群を複数の前記露出領域に区画する、
ようにしてもよい。
【0036】
本開示の第16の態様は、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含むフレームであって、第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、平面視で前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を含むフレームを準備する工程と、
前記フレームに、前記第1方向に並ぶ複数のカバー部材を含む支持体を固定する工程であって、前記カバー部材の第3端を前記第3部分における前記第1面に固定するとともに、前記カバー部材の第4端を前記第4部分における前記第1面に固定するように、前記フレームに前記支持体を固定する工程と、
前記支持体を固定する工程の後、蒸着マスクの第1端を前記第3部分における前記第1面に固定するとともに前記蒸着マスクの第2端を前記第4部分における前記第1面に固定する工程であって、前記蒸着マスクの複数の貫通孔が前記開口部に平面視で重なるとともに前記支持体が前記蒸着マスクに対して前記第2面の側に位置するように、前記フレームに前記蒸着マスクを固定する工程と、を備え、
前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔で構成された貫通孔群と、前記第1端と前記第2端とを接続する複数の梁と、を含み、
複数の前記梁は、前記貫通孔群に対して前記第1部分の側に位置する第1梁と、前記貫通孔群に対して前記第2部分の側に位置する第2梁と、を含み、
複数の前記カバー部材は、第1カバー部材と、前記第1カバー部材に対して前記第2部分の側に位置する第2カバー部材と、を含み、
前記蒸着マスクを固定する工程において、前記第1カバー部材は、前記第1梁に平面視で重なり、前記第2カバー部材は、前記第2梁に平面視で重なり、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間に、前記貫通孔を前記開口部に露出する露出領域が位置し、前記第1カバー部材は、一部の前記貫通孔に平面視で重なる、蒸着マスク装置の製造方法、
である。
【0037】
本開示の第17の態様は、
上述した第1の態様から上述した第15の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置を準備する工程と、
前記蒸着マスク装置の前記蒸着マスクを基板に密着させる工程と、
蒸着材料を、前記フレームの前記開口部、前記蒸着マスク装置の前記露出領域、及び前記貫通孔を通過させることにより、前記基板に前記蒸着材料を蒸着させて蒸着層を形成する工程と、を備え、
前記蒸着層を形成する工程において、前記蒸着層は、前記露出領域に対応する位置に形成される、有機デバイスの製造方法、
である。
【0038】
以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は本開示の実施の形態の一例であって、本開示はこれらの実施の形態のみに限定して解釈されない。
【0039】
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、蒸着装置80は、蒸着源81と、ヒータ83と、蒸着マスク装置10と、を備えていてもよい。蒸着源81、ヒータ83及び蒸着マスク装置10は、蒸着装置80の内部に配置される。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための、図示しない排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源81は、例えば、るつぼであり、有機発光材料などの蒸着材料82を収容する。ヒータ83は、蒸着源81を加熱する。このことにより、真空雰囲気の下で蒸着材料82が蒸発する。蒸着マスク装置10は、蒸着源81と対向するように配置される。
【0040】
以下、蒸着マスク装置10について説明する。
図1に示すように、蒸着マスク装置10は、フレーム15と、蒸着マスク20と、を備えていてもよい。蒸着マスク20は、フレーム15に固定されていてもよい。フレーム15は、蒸着マスク20が撓むことを抑制するように、蒸着マスク20を、後述する第1面201に沿って所定の方向に引っ張った状態で支持する。
【0041】
蒸着マスク装置10は、上述したように蒸着装置80内に配置される。この場合、蒸着マスク20は、
図1に示すように、蒸着材料82を付着させる対象物である基板110の第1面110aに対向するとともに接触する。蒸着マスク20は、蒸着源81から飛来した蒸着材料82を通過させる複数の貫通孔25を有する。以下の説明において、蒸着マスク20は、第1面201と、第2面202と、を含んでいてもよい。第1面201は、基板110の側に位置する。第2面202は、第1面201とは反対側に位置する。
【0042】
蒸着装置80は、
図1に示すように、冷却板84を備えていてもよい。冷却板84は、蒸着マスク20とは反対側の基板110の第2面110bに位置する。冷却板84は、冷却板84の内部に冷媒を循環させるための流路を有していてもよい。蒸着工程には、冷却板84で基板110を冷却することにより、基板110の温度上昇を抑制できる。
【0043】
蒸着装置80は、磁石85を備えていてもよい。磁石85は、冷却板84の蒸着マスク20とは反対側の面に位置する。磁石85の磁力によって蒸着マスク20を基板110に引き寄せることができ、蒸着マスク20を基板110に密着できる。これにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制できる。この場合、基板110に形成される後述の有機層130の寸法精度や位置精度を向上できる。本明細書において、シャドーとは、蒸着マスク20と基板110との間の隙間に蒸着材料82が入り込み、これによって有機層130の厚みが不均一になる現象を意味する。磁石85の代わりに静電気力を利用する静電チャックを用いて、蒸着マスク20を基板110に密着させてもよい。
【0044】
図2は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面201を示す平面図である。
図2に示すように、蒸着マスク装置10は、第1方向D1に並ぶ複数の蒸着マスク20を備えていてもよい。本実施の形態において、各蒸着マスク20は、第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる矩形状の形状を有する。各蒸着マスク20の第2方向D2における両端部が、例えば溶接によって、フレーム15に固定されていてもよい。
【0045】
図2に示すように、蒸着マスク装置10は、支持体60を備えていてもよい。支持体60は、フレーム15と蒸着マスク20との間に位置する。支持体60は、フレーム15に固定されていてもよい。フレーム15と支持体60とを備える構成要素を、マスク支持機構75とも称する。
【0046】
以下、蒸着マスク装置10の構成について、
図2乃至
図4を用いて、より詳細に説明する。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
図4は、
図2のB-B線に沿った断面図である。
【0047】
まず、フレーム15について説明する。
【0048】
図2に示すように、フレーム15は、フレーム本体150と、開口部155と、を有する。フレーム本体150は、平面視で矩形枠状に形成されている。フレーム本体150の内側に開口部155が形成されている。平面視とは、フレーム15の第1面16の法線方向に沿って蒸着マスク装置10を見ることを意味する。
【0049】
フレーム本体150は、第1部分151と、第2部分152と、第3部分153と、第4部分154と、を含む。第1部分151と第2部分152とは、第1方向D1において開口部155の両側に位置する。第3部分153と第4部分154とは、第2方向D2において開口部155の両側に位置する。
【0050】
上述したように、第1方向と第2方向は、互いに交差していてもよい。
図2に示すように、第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交していてもよい。第1部分151及び第2部分152は、第2方向D2に延びていてもよい。第3部分153及び第4部分154は、第1方向D1に延びていてもよい。
【0051】
図3及び
図4に示すように、フレーム15は、第1面16と、第2面17と、第3面18と、第4面19と、を含む。第1面16は、蒸着マスク20の側に位置する。第2面17は、第1面16とは反対側に位置する。第3面18は、第1面16と第2面17との間に位置する面であって、開口部155に面する。第4面19は、第1面16と第2面17との間に位置する面であって、水平方向において第3面18とは反対側に位置する。
【0052】
第1面16は、第5面161と、第6面162と、第7面163と、を含んでいてもよい。第5面161は、第4面19の側に位置していてもよく、第4面19に接続されていてもよい。第6面162及び第7面163は、第5面161に対して第2面17の側に位置していてもよい。第6面162および第7面163はそれぞれ、第3面18の側に位置していてもよく、第3面18に接続されていてもよい。第5面161は、第1部分151、第2部分152、第3部分153及び第4部分154の各々に形成されていてもよい。第6面162は、第3部分153及び第4部分154の各々に形成されていてもよい。第7面163は、第1部分151及び第2部分152の各々に形成されていてもよい。第5面161の法線方向において、第5面161から第6面162までの距離は、第5面161から第7面163までの距離よりも大きくてもよい。蒸着マスク20は、第3部分153及び第4部分154における第5面161に固定されていてもよい。
【0053】
支持体60の後述するカバー部材61は、第3部分153及び第4部分154における第6面162に固定されていてもよい。第6面162は、第5面161の一部を切削することによって形成されてもよい。第6面162は、カバー部材61に沿うように第2方向D2に沿って延びていてもよい。第6面162によって、溝状の空間が形成され、この空間に、カバー部材61の第3端603及び第4端604が収容される。カバー部材61を引っ張った状態で第6面162に固定するために、第6面162は、第3面18から第4面19に延びていてもよい。この場合、第6面162は、第3面18に接続されるとともに第4面19に接続される。
【0054】
支持体60の後述する支持部材62は、第1部分151及び第2部分152における第7面163に固定されていてもよい。第7面163は、第5面161の一部を切削することによって形成されていてもよい。第7面163は、支持部材62に沿うように第1方向D1に沿って延びていてもよい。第7面163によって、溝状の空間が形成され、この空間に、支持部材62の第5端605及び第6端606が収容される。支持部材62を引っ張った状態で第7面163に固定するために、第7面163は、第3面18から第4面19に延びていてもよい。この場合、第7面n163は、第3面18に接続されるとともに第4面19に接続される。
【0055】
図2に示すように、フレーム15の第1部分151の長さ及び第2部分152の長さは、第3部分153の長さ及び第4部分154の長さよりも短くてもよい。第1部分151の長さ及び第2部分152の長さは、第2方向D2における長さを意味する。第3部分153の長さ及び第4部分154の長さは、第1方向D1における長さを意味する。
【0056】
次に、蒸着マスク20について、
図2、
図5乃至
図7を用いて説明する。
図5は、
図2の蒸着マスクの第2面を示す平面図である。
図6は、蒸着マスク20の第2面202における有効領域23の一部を拡大して示す平面図である。
図7は、
図6のC-C線に沿った断面図である。
【0057】
図2及び
図5に示すように、蒸着マスク20は、第2方向D2を長手方向とするように矩形状に形成されていてもよい。蒸着マスク20は、一対の耳部21A、21Bと、中間部22と、を有していてもよい。一対の耳部21A、21Bは、フレーム15に固定された部分であってもよい。中間部22は、一対の耳部21A、21Bの間に位置する。以下の説明において、一対の耳部21A、21Bのうち、フレーム15の第3部分153に固定された部分を第1端211とも称する。第1端211は、第3部分153における第1面16に固定されている。第1端211は、第5面161に固定されていてもよい。フレーム15の第4部分154に固定された部分を第2端212とも称する。第2端212は、フレーム15の第4部分154における第1面16に固定されている。第2端212は、第5面161に固定されていてもよい。
【0058】
蒸着マスク20の中間部22は、少なくとも1つの有効領域23と、周囲領域24と、を有していてもよい。周囲領域24は、有効領域23の周囲に位置する。
図2に示す例において、中間部22は、1つの有効領域23を含む。周囲領域24は、平面視で有効領域23を囲む。
【0059】
1つの有効領域23は、複数の有機EL表示装置100の表示領域105に対応してもよい。
図2に示す各蒸着マスク20は、表示領域105の多面付蒸着が可能である。より具体的には、
図2に示す蒸着マスク20は、複数の有機EL表示装置100の作製が可能である。
【0060】
有効領域23は、例えば、平面視で略矩形状の輪郭を有していてもよい。
図2及び
図5に示す有効領域23は、第2方向D2を長手方向とする略矩形状の輪郭を有する。図示はしないが、有効領域23は、有機EL表示装置100の表示領域105の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有していてもよい。例えば、有効領域23は、円形状の輪郭を有していてもよい。
【0061】
蒸着マスク20は、複数の貫通孔25を含む。貫通孔25は、開口部155に平面視で重なる。貫通孔25は、上述した第1端211と第2端212との間に位置する。貫通孔25は、有効領域23に位置する。
【0062】
図5及び
図6に示すように、有効領域23に、複数の貫通孔25で構成された貫通孔群26が位置する。1つの有効領域23は、1つの貫通孔群26で構成されている。有効領域23は、貫通孔群26が占める領域であってもよい。貫通孔群26は、平面視でフレーム15の開口部155に重なっている。貫通孔群26は、2つ以上の貫通孔25が群を形成するように構成されていてもよい。貫通孔群26とは、規則的に配列された複数の貫通孔25の集合体を意味する用語として用いている。1つの貫通孔群26を構成する外縁の貫通孔25は、同様に規則的に配列されている複数の貫通孔25のうち最も外側に位置する貫通孔25である。1つの貫通孔群26における外縁の貫通孔25の外側には、同様に規則的に配列されて蒸着材料82の通過を意図する貫通孔25は存在していなくてもよい。規則的な配列の例として、例えば、
図5及び
図6に示すように、貫通孔25が、互いに直交する二方向に配列されていてもよい。
【0063】
図5に示すように、蒸着マスク20は、上述した貫通孔群26と、複数の梁27A、27Bと、を含んでいてもよい。本実施の形態では、蒸着マスク20は、1つの貫通孔群26を含んでいる。梁27A、27Bは、第1端211と第2端212とを接続する。複数の梁27A、27Bは、第1梁27Aと、第2梁27Bと、を含む。第1梁27Aは、貫通孔群26に対して第1部分151の側に位置する。第2梁27Bは、貫通孔群26に対して第2部分152の側に位置する。第1方向D1における貫通孔群26の両側に梁27A、27Bが位置する。第1梁27A及び第2梁27Bは、一方の耳部21Aと他方の耳部21Bとの間で第2方向D2に延びており、一対の耳部21A、21Bを接続する。第1梁27A及び第2梁27Bは、周囲領域24を構成している。
【0064】
貫通孔群26は、有効領域23と同様に、平面視で略矩形状の輪郭を有していてもよい。貫通孔群26は、第1群端261と、第2群端262と、第3群端263と、第4群端264と、を含んでいてもよい。
【0065】
第1群端261は、貫通孔群26の第1部分151の側に位置する端部である。第1群端261は、第2方向D2に沿って延びるとともに、第1部分151の側において貫通孔群26に外接する接線であってもよい。この接線は、最も第1部分151の側に位置する貫通孔25に外接する。
【0066】
第2群端262は、貫通孔群26の第2部分152の側に位置する端部である。第2群端262は、第2方向D2に沿って延びるとともに、第2部分152の側において貫通孔群26に外接する接線であってもよい。この接線は、最も第2部分152の側に位置する貫通孔25に外接する。
【0067】
第3群端263は、貫通孔群26の第3部分153の側に位置する端部である。第3群端263は、第1方向D1に沿って延びるとともに、第3部分153の側において貫通孔群26に外接する接線であってもよい。この接線は、最も第3部分153の側に位置する貫通孔25に外接する。
【0068】
第4群端264は、貫通孔群26の第4部分154の側に位置する端部である。第4群端264は、第1方向D1に沿って延びるとともに、第4部分154の側において貫通孔群26に外接する接線であってもよい。この接線は、最も第4部分154の側に位置する貫通孔25に外接する。
【0069】
第1群端261、第2群端262、第3群端263及び第4群端264によって、貫通孔群26が画定されていてもよい。上述した有効領域23は、第1群端261、第2群端262、第3群端263及び第4群端264によって画定されていてもよい。
【0070】
図7に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の第1面201から第2面202に貫通する。貫通孔25は、第1凹部30と、第1凹部30に接続された第2凹部35と、を有していてもよい。第1凹部30は、第1面201に位置する。第2凹部35は、第2面202に位置する。第1凹部30及び第2凹部35はそれぞれ、蒸着マスク20の母材となる金属板を両面からエッチングすることによって形成される。
【0071】
図6及び
図7に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されていてもよい。接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の開口面積が最小になる貫通部42を画成してもよい。
【0072】
図7に示すように、隣り合う二つの第1凹部30は、互いに離間している。隣り合う二つの第2凹部35は、互いに離間していてもよい。隣り合う二つの第2凹部35の間に第2面202が残存していてもよい。以下の説明において、隣り合う二つの第2凹部35の間で、第2面512のうちエッチングされずに残っている部分を、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20の強度を向上できる。このことにより、例えば搬送中等に蒸着マスク20が変形したり破損したりすることを抑制できる。このトップ部43の幅が、
図7において符号βで示されている。
【0073】
図示はしないが、隣り合う二つの第2凹部35が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間に、蒸着マスク20の第2面512が残存していない場所が存在していてもよい。また、図示はしないが、第2面512の全域にわたって隣り合う二つの第2凹部35が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。
【0074】
図7には、符号αが示されている、符号αは、蒸着マスク20の第1面201の有効領域23のうちエッチングされずに残っている部分の幅を表している。このような部分は、リブ部とも称される。
図7には、符号rが示されている。符号rは、貫通部42の寸法である。リブ部の幅α及び貫通部42の寸法rは、後述する有機EL表示装置100の寸法及び表示画素数に応じて適宜定められる。
【0075】
蒸着工程の際、蒸着マスク20の第1面201は、基板110の第1面110aに対向するとともに接触する。蒸着マスク20の第2面202は、蒸着材料82を保持したるつぼ81に対向する。蒸着材料82は、第2凹部35及び第1凹部30を通過して基板110の第1面110aに付着する。
図7において矢印で示すように、蒸着材料82は、るつぼ81から基板110に向けて基板110の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、基板110の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向にも移動する。蒸着マスク20の厚みTが大きいと、傾斜した方向に移動する蒸着材料82が、トップ部43、第2凹部35の壁面36又は第1凹部30の壁面31に付着し易くなる。この結果、貫通孔25を通過できない蒸着材料82が増える。従って、蒸着材料82の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の厚みTを小さくしてもよい。この場合、第2凹部35の壁面36の高さを小さくしてもよく、又は第1凹部30の壁面31の高さを小さくしてもよい。強度を確保できる範囲内で可能な限り蒸着マスク20の厚みTを小さくしてもよい。
【0076】
蒸着マスク20の厚みTは、例えば、5μm以上でもよく、8μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよい。蒸着マスク20の厚みTを5μm以上とすることにより、蒸着マスク20の機械的強度を確保でき、蒸着マスク20の損傷および変形を抑制できる。蒸着マスク20の厚みTは、例えば、20μm以下でもよく、25μm以下でもよく、30μm以下でもよく、35μm以下でもよい。蒸着マスク20の厚みTを35μm以下とすることにより、シャドーの発生を抑制できる。蒸着マスク20の厚みTの範囲は、5μm、8μm、10μm及び15μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、25μm、30μm及び35μmからなる第2グループによって定められてもよい。蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上35μm以下でもよく、5μm以上30μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上15μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、5μm以上8μm以下でもよく、8μm以上35μm以下でもよく、8μm以上30μm以下でもよく、8μm以上25μm以下でもよく、8μm以上20μm以下でもよく、8μm以上15μm以下でもよく、8μm以上10μm以下でもよく、10μm以上35μm以下でもよく、10μm以上30μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、10μm以上15μm以下でもよく、15μm以上35μm以下でもよく、15μm以上30μm以下でもよく、15μm以上25μm以下でもよく、15μm以上20μm以下でもよく、20μm以上35μm以下でもよく、20μm以上30μm以下でもよく、20μm以上25μm以下でもよく、25μm以上35μm以下でもよく、25μm以上30μm以下でもよく、30μm以上35μm以下でもよい。なお厚みは、周囲領域24の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1凹部30および第2凹部35が形成されていない部分の厚みである。従って厚みは、蒸着マスク20の厚みTであると言うこともできる。
【0077】
次に、
図2乃至
図4、
図8及び
図9を用いて支持体60について説明する。
図8は、支持体60を明瞭に示すため、
図2の蒸着マスク装置10から蒸着マスク20を取り除いた状態を示す平面図である。
図9は、
図2の蒸着マスク装置10を第2面17の側から示す部分拡大平面図である。
【0078】
図2乃至
図4に示すように、支持体60は、フレーム15に固定されている。
図3及び
図4に示すように、支持体60は、蒸着マスク20に対して第2面17の側に位置する。支持体60は、第2面17の側から蒸着マスク20を支持する。蒸着マスク20が磁石85によって基板110に密着している間、支持体60は、蒸着マスク20を介して基板110に密着する。支持体60は、基板110への蒸着マスク20の密着を補強する。
【0079】
支持体60は、カバー部材61と、支持部材62と、を含んでいてもよい。カバー部材61と支持部材62とは、別体に形成されていてもよい。
【0080】
図8に示すように、支持体60は、第1方向D1に並ぶ複数のカバー部材61を含んでいてもよい。
図8に示す例では、支持体60は、10本のカバー部材61を含む。各カバー部材61は、フレーム15の第3部分153における第1面16に固定された端部と、フレーム15の第4部分154における第1面16に固定された端部と、を含んでいてもよい。以下の説明において、第3部分153に固定されたカバー部材61の端部を第3端603とも称し、第4部分154に固定されたカバー部材61の端部を第4端604とも称する。各カバー部材61の第3端603は、第3部分153の第6面162(
図4参照)に固定されていてもよい。各カバー部材61の第4端604は、第4部分154の第6面162に固定されていてもよい。各カバー部材61は、第2方向D2を長手方向とするように、細長の矩形状に形成されていてもよい。
【0081】
図9に示すように、カバー部材61は、平面視で、蒸着マスク20の梁27A、27Bに重なっていてもよい。
図9では、蒸着マスク20の例として、後述する第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cが示されている。より具体的には、カバー部材61は、互いに隣り合う蒸着マスク20の間の隙間に重なっている。カバー部材61は、蒸着時に、この隙間を遮蔽し、この隙間を蒸着材料82が通過することを抑制する。
【0082】
カバー部材61は、フレーム15と蒸着マスク20との間に位置する。蒸着マスク20が磁石85によって引き寄せられていない間、カバー部材61は、自重によって下方に撓む蒸着マスク20を下方から支持する。カバー部材61も、自重及び蒸着マスク20から受ける力に起因して、下方に撓む。カバー部材61は、後述する支持部材62から受ける力にも起因して、下方に撓む。下方に撓むとは、フレーム15の第2面17を第1面16の下側に配置したときの、カバー部材61の撓みの様子を意味している。
【0083】
図8に示すように、支持体60は、第2方向D2に並ぶ複数の支持部材62を含んでいてもよい。
図8に示す例において、支持体60は、7本の支持部材62を含む。各支持部材62は、フレーム15の第1部分151における第1面16に固定された端部と、フレーム15の第2部分152における第1面16に固定された端部と、を含んでいてもよい。以下の説明において、第1部分151に固定された支持部材62の端部を第5端605とも称し、第2部分152に固定された支持部材62の端部を第6端606とも称する。各支持部材62の第5端605は、第1部分151の第7面163(
図3参照)に固定されていてもよい。各支持部材62の第6端606は、第2部分152の第7面163に固定されていてもよい。各支持部材62は、第1方向D1を長手方向とするように、細長の矩形状に形成されていてもよい。
【0084】
図2に示すように、各支持部材62は、平面視で蒸着マスク20の貫通孔群26の一部に重なっていてもよい。支持部材62は、フレーム15に固定された全ての蒸着マスク20を横断していてもよく、これらの蒸着マスク20を支持していてもよい。
【0085】
図3に示すように、支持部材62は、カバー部材61と蒸着マスク20との間に位置する。蒸着マスク20が磁石85によって引き寄せられていない間、支持部材62は、自重によって下方に撓む蒸着マスク20を下方から支持する。支持部材62も、自重及び蒸着マスク20から受ける力に起因して、下方に撓んでいる。
【0086】
図9を用いて、本実施の形態における蒸着マスク装置10についてより詳細に説明する。
【0087】
図9に示すように、フレーム15に固定された複数の蒸着マスク20は、第1蒸着マスク20Aと、第2蒸着マスク20Bと、第3蒸着マスク20Cと、を含む。第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cは、第1方向D1に並んでいる。第2蒸着マスク20Bは、第1蒸着マスク20Aに対して第1部分151の側に位置する。第2蒸着マスク20Bは、第1蒸着マスク20Aと隣り合っている。第3蒸着マスク20Cは、第1蒸着マスク20Aに対して第2部分152の側に位置する。第3蒸着マスク20Cは、第1蒸着マスク20Aと隣り合っている。
【0088】
フレーム15に固定された複数のカバー部材61は、第1カバー部材61Aと、第2カバー部材61Bと、を含む。第2カバー部材61Bは、第1カバー部材61Aに対して第2部分152の側に位置する。
【0089】
第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20Aの第1梁27Aに平面視で重なっていてもよい。この場合、第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20Aの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20Aにおける第1群端261の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。
【0090】
第1カバー部材61Aは、第2蒸着マスク20Bの第2梁27Bに平面視で重なっていてもよい。この場合、第1カバー部材61Aは、第2蒸着マスク20Bの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第1カバー部材61Aは、第2蒸着マスク20Bにおける第2群端262の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。
【0091】
図9においては、第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20Aにおける第1群端261に近接した2列の貫通孔25に第1カバー部材61Aが重なっている例が示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、第1カバー部材61Aは、第1群端261に近接した1列の貫通孔25に重なっていてもよく、又は第1群端261に近接した3列以上の貫通孔25に重なっていてもよい。同様に、
図9においては、第1カバー部材61Aは、第2蒸着マスク20Bにおける第2群端262に近接した2列の貫通孔25に第1カバー部材61Aが重なっている例が示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、第1カバー部材61Aは、第2群端262に近接した1列の貫通孔25に重なっていてもよく、又は第2群端262に近接した3列以上の貫通孔25に重なっていてもよい。後述する第2カバー部材61Bについても同様である。
【0092】
第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aの第2梁27Bに平面視で重なっていてもよい。第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aにおける第2群端262の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。第2カバー部材61Bは、第3蒸着マスク20Cの第1梁27Aに平面視で重なっていてもよい。この場合、第2カバー部材61Bは、第3蒸着マスク20Cの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第2カバー部材61Bは、第3蒸着マスク20Cにおける第1群端261の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。
【0093】
互いに隣り合う2つのカバー部材61の間に露出領域70が位置する。
図9に示す例では、第1カバー部材61Aと第2カバー部材61Bとが互いに隣り合っている。第1カバー部材61Aと第2カバー部材61Bとの間に、露出領域70が位置する。露出領域70は、貫通孔25を開口部155に露出する。
【0094】
図9に示すように、フレーム15に固定された複数の支持部材62は、第1支持部材62Aと、第2支持部材62Bと、第3支持部材62Cと、を含む。第2支持部材62Bは、第1支持部材62Aに対して第4部分154の側に位置する。第3支持部材62Cは、第2支持部材62Bに対して第4部分154の側に位置する。
【0095】
各支持部材62A、62B、62Cは、蒸着マスク20の複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、各支持部材62A、62B、62Cは、1つの貫通孔群26を、複数の露出領域70に区画している。各支持部材62A、62B、62Cによって区画される複数の露出領域70は、第2方向D2において互いに異なる位置に位置する。第2方向D2における支持部材62A、62B、62Cの両側に露出領域70が形成されている。言い換えると、露出領域70は、互いに隣り合う支持部材62の間に位置する。
図9に示す例では、第1支持部材62Aと第2支持部材62Bとの間に、露出領域70が位置する。第2支持部材62Bと第3支持部材62Cとの間に、他の露出領域70が位置する。第2支持部材62Bの両側に位置する露出領域70の各々で露出される貫通孔25は、1つの貫通孔群26を構成している。
【0096】
図9においては、各支持部材62A、62B、62Cは、貫通孔群26の複数の貫通孔25のうち、2列の貫通孔25に重なっている例が示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、各支持部材62A、62B、62Cは、1列の貫通孔25に重なっていてもよく、又は3列以上の貫通孔25に重なっていてもよい。
【0097】
複数の支持部材62のうち、第3部分153の最も近くに位置する支持部材62は、平面視で蒸着マスク20の一方の耳部21Aに重なっていてもよい。当該支持部材62の第4部分154の側には露出領域70が位置しているが、第4部分154とは反対側には、露出領域70は位置していなくてもよい。また、複数の支持部材62のうち、第4部分154の最も近くに位置する支持部材62は、平面視で蒸着マスク20の他方の耳部21Bに重なっていてもよい。当該支持部材62の第3部分153の側には露出領域70が位置しているが、第3部分153とは反対側には、露出領域70は位置していなくてもよい。
【0098】
露出領域70は平面視で略矩形状の輪郭を有していてもよい。露出領域70は、第1方向D1に沿うとともに第2方向D2に沿うように形成されていてもよい。露出領域70は、第1領域端701と、第2領域端702と、第3領域端703と、第4領域端704と、を含んでいてもよい。第1領域端701は、露出領域70の第1部分151の側に位置する端部である。第1領域端701は、第2方向D2に沿って延びている。第2領域端702は、露出領域70の第2部分152の側に位置する端部である。第2領域端702は、第2方向D2に沿って延びている。第3領域端703は、露出領域70の第3部分153の側に位置する端部である。第3領域端703は、第1方向D1に沿って延びている。第4領域端704は、露出領域70の第4部分154の側に位置する端部である。第4領域端704は、第1方向D1に沿って延びている。
【0099】
第1領域端701、第2領域端702、第3領域端703及び第4領域端704によって、露出領域70が画定されている。第1領域端701及び第2領域端702は、カバー部材61によって画定されていてもよい。第3領域端703及び第4領域端704は、支持部材62によって画定されていてもよい。例えば、
図9に示すように、第1蒸着マスク20Aにおいて露出領域70の第1領域端701は、第1カバー部材61Aによって画定されていてもよい。当該露出領域70の第2領域端702は、第2カバー部材61Bによって画定されていてもよい。当該露出領域70の第3領域端703は、第1支持部材62Aによって画定されていてもよい。当該露出領域70の第4領域端704は、第2支持部材62Bによって画定されていてもよい。
【0100】
このようにして、各カバー部材61及び各支持部材62によって、露出領域70が画定されていてもよい。本実施の形態では、貫通孔群26が占める領域が、複数のカバー部材61及び複数の支持部材62によって、複数の露出領域70に区画されている。露出領域70は、上述した有機EL表示装置100の表示領域105に対応している。1つの露出領域70は、1つの表示領域105に対応している。
【0101】
カバー部材61の厚みは、例えば、10μm以上でもよく、20μm以上でもよく、30μm以上でもよく、40μm以上でもよい。カバー部材61の厚みを10μm以上とすることにより、カバー部材61の撓み量が大きくなり過ぎることを抑制できる。カバー部材61の厚みは、例えば、60μm以下でもよく、70μm以下でもよく、80μm以下でもよく、90μm以下でもよい。カバー部材61の厚みを90μm以下とすることにより、開口部155を通過した蒸着材料82がカバー部材61に付着することを抑制できる。カバー部材61の厚みの範囲は、10μm、20μm、30μm及び40μmからなる第1グループ、及び/又は、60μm、70μm、80μm及び90μmからなる第2グループによって定められてもよい。カバー部材61の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。カバー部材61の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。カバー部材61の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上90μm以下でもよく、10μm以上80μm以下でもよく、10μm以上70μm以下でもよく、10μm以上60μm以下でもよく、10μm以上40μm以下でもよく、10μm以上30μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、20μm以上90μm以下でもよく、20μm以上80μm以下でもよく、20μm以上70μm以下でもよく、20μm以上60μm以下でもよく、20μm以上40μm以下でもよく、20μm以上30μm以下でもよく、30μm以上90μm以下でもよく、30μm以上80μm以下でもよく、30μm以上70μm以下でもよく、30μm以上60μm以下でもよく、30μm以上40μm以下でもよく、40μm以上90μm以下でもよく、40μm以上80μm以下でもよく、40μm以上70μm以下でもよく、40μm以上60μm以下でもよく、60μm以上90μm以下でもよく、60μm以上80μm以下でもよく、60μm以上70μm以下でもよく、70μm以上90μm以下でもよく、70μm以上80μm以下でもよく、80μm以上90μm以下でもよい。
【0102】
支持部材62の厚みは、例えば、60μm以上でもよく、70μm以上でもよく、80μm以上でもよく、90μm以上でもよい。支持部材62の厚みを60μm以上とすることにより、支持部材62の撓み量が大きくなり過ぎることを抑制できる。支持部材62の厚みは、例えば、110μm以下でもよく、120μm以下でもよく、130μm以下でもよく、140μm以下でもよい。支持部材62の厚みを140μm以下とすることにより、開口部155を通過した蒸着材料82が支持部材62に付着することを抑制できる。支持部材62の厚みの範囲は、60μm、70μm、80μm及び90μmからなる第1グループ、及び/又は、110μm、120μm、130μm及び140μmからなる第2グループによって定められてもよい。支持部材62の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。支持部材62の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。支持部材62の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、60μm以上140μm以下でもよく、60μm以上130μm以下でもよく、60μm以上120μm以下でもよく、60μm以上110μm以下でもよく、60μm以上90μm以下でもよく、60μm以上80μm以下でもよく、60μm以上70μm以下でもよく、70μm以上140μm以下でもよく、70μm以上130μm以下でもよく、70μm以上120μm以下でもよく、70μm以上110μm以下でもよく、70μm以上90μm以下でもよく、70μm以上80μm以下でもよく、80μm以上140μm以下でもよく、80μm以上130μm以下でもよく、80μm以上120μm以下でもよく、80μm以上110μm以下でもよく、80μm以上90μm以下でもよく、90μm以上140μm以下でもよく、90μm以上130μm以下でもよく、90μm以上120μm以下でもよく、90μm以上110μm以下でもよく、110μm以上140μm以下でもよく、110μm以上130μm以下でもよく、110μm以上120μm以下でもよく、120μm以上140μm以下でもよく、120μm以上130μm以下でもよく、130μm以上140μm以下でもよい。
【0103】
蒸着マスク20の材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを含んでいてもよい。例えば、蒸着マスク20の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いてもよい。ニッケルを含む鉄合金、又はニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、又は38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金等を挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、蒸着マスク20の熱膨張係数を低くできる。例えば、基板110としてガラス基板が用いられる場合に、蒸着マスク20の熱膨張係数を、ガラス基板と同等に低くできる。これにより、蒸着工程の際、基板110に形成される有機層130の寸法精度や位置精度が、蒸着マスク20と基板110との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制できる。
【0104】
フレーム15を構成する材料としては、上述した蒸着マスク20の材料と同一でもよい。例えば、フレーム15を構成する材料に、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。
【0105】
支持体60の各カバー部材61及び各支持部材62を構成する材料はそれぞれ、上述した蒸着マスク20の材料と同一でもよい。例えば、カバー部材61及び支持部材62を構成する材料に、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。
【0106】
次に、上述の蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
【0107】
まず、フレーム準備工程として、
図2及び
図8に示すように、開口部155が設けられたフレーム15を準備する。フレーム15の作製方法は任意である。例えば、切削加工によってフレーム15を作製してもよい。
【0108】
続いて、カバー部材固定工程として、
図8に示すように、第1方向D1に並ぶ複数のカバー部材61がフレーム15に固定される。例えば、カバー部材61の第3端603は、第3部分153における第6面162(
図4参照)に固定される。カバー部材61の第4端604は、第4部分154における第6面162に固定される。各カバー部材61は、フレーム15に溶接によって固定されてもよい。各カバー部材61は、引っ張った状態でフレーム15に固定されてもよい。フレーム15の第2面17を第1面16の下側に配置した状態では、各カバー部材61は、自重によって下方に撓んでいてもよい。
【0109】
カバー部材固定工程においては、各カバー部材61は、所望の表示領域105に対応する露出領域70を画定するように配置される。例えば、第1方向D1における露出領域70の寸法に沿うように、各カバー部材61が配置されてもよい。例えば、図示しないが、カバー部材61のアライメントマークと、フレーム15のアライメントマークとを用いて、カバー部材61がフレーム15に対して位置合わせされてもよい。このことにより、各露出領域70の第1方向D1における寸法が、所望の表示領域105に対応する寸法に調整される。
【0110】
次に、支持部材固定工程として、
図8に示すように、第2方向D2に並ぶ複数の支持部材62がフレーム15に固定される。例えば、支持部材62の第5端605は、第1部分151における第7面163(
図3参照)に固定される。支持部材62の第6端606は、第2部分152における第7面163に固定される。各支持部材62は、フレーム15に溶接によって固定されてもよい。各支持部材62は、引っ張った状態でフレーム15に固定されてもよい。フレーム15の第2面17を第1面16の下側に配置した状態では、各支持部材62は、自重によって下方に撓んでいてもよい。
【0111】
支持部材固定工程においては、各支持部材62は、所望の表示領域105に対応する露出領域70を画定するように配置される。例えば、第2方向D2における露出領域70の寸法に沿うように、各支持部材62が配置されてもよい。例えば、図示しないが、支持部材62のアライメントマークと、フレーム15のアライメントマークとを用いて、支持部材62がフレーム15に対して位置合わせされてもよい。このことにより、各露出領域70の第2方向D2における寸法が、所望の表示領域105に対応する寸法に調整される。
【0112】
このようにして、フレーム15に、カバー部材61と支持部材62とを含む支持体60が固定される。フレーム15と支持体60とを備えたマスク支持機構75が得られる。
【0113】
次に、マスク固定工程として、
図2に示すように、複数の貫通孔25を含む蒸着マスク20がフレーム15に固定される。例えば、蒸着マスク20の第1端211が第3部分153における第5面161に固定される。蒸着マスク20の第2端212が第4部分154における第5面161に固定される。各蒸着マスク20は、フレーム15に溶接によって固定されてもよい。各蒸着マスク20は、引っ張った状態でフレーム15に固定されてもよい。フレーム15の第2面17を第1面16の下側に配置した状態では、各蒸着マスク20は、自重によって下方に撓んでいてもよい。
【0114】
マスク固定工程においては、各蒸着マスク20の貫通孔群26は、平面視で開口部155に重なる。各蒸着マスク20の第1梁27A及び第2梁27Bに、対応するカバー部材61が平面視で重なる。各カバー部材61は、対応する蒸着マスク20の貫通孔25の一部にも重なる。各カバー部材61によって、露出領域70の第1領域端70A及び第2領域端70Bが画定される。
【0115】
マスク固定工程においては、各蒸着マスク20の複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に、支持部材62が平面視で重なる。各支持部材62によって、露出領域70の第3領域端70C及び第4領域端70Dが画定される。
【0116】
このようにして、各蒸着マスク20の貫通孔群26が、
図9に示すような複数の露出領域70に区画される。所望の露出領域70を有する蒸着マスク装置10が得られる。各蒸着マスク20は、上述したマスク支持機構75に支持される。
【0117】
次に、有機EL表示装置100の製造方法について説明する。
【0118】
有機EL表示装置100について詳細に説明する。
図10は、
図2の蒸着マスクを用いて作製された有機EL表示装置の素子の一例を示す拡大平面図である。
図11は、
図10の有機EL表示装置100をD-D線に沿った断面図である。
図12は、
図2の蒸着マスク装置10を用いて作製された単一色の有機層が形成された基板110の一例を示す平面図である。なお、
図10及び
図11では、蒸着工程の後に形成される、後述する第2電極140を省略している。有機EL表示装置100は、有機デバイスの一例である。有機EL表示装置100は、上述した本実施の形態による蒸着マスク装置10を用いることによって、基板110に形成された有機層130を備えている。1つの有機EL表示装置100は、1つの表示領域105を含んでいてもよい。
【0119】
図11に示すように、有機EL表示装置100は、基板110と、基板110上に位置する素子115と、を備える。素子115は、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を含んでいてもよい。
【0120】
有機EL表示装置100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいてもよい。絶縁層160は、第1電極120の端部に重なっていてもよい。
【0121】
有機EL表示装置100は、アクティブマトリクス型であってもよい。例えば、図示はしないが、有機EL表示装置100は、複数の素子115のそれぞれに電気的に接続されているスイッチを備えていてもよい。スイッチは、例えばトランジスタであってもよい。スイッチは、対応する素子115に対する電圧又は電流のON/OFFを制御してもよい。
【0122】
基板110は、素子115が位置する第1面110aと、第1面110aとは反対側に位置する第2面110bと、を含んでいてもよい。基板110は、絶縁性を有する板状の部材であってもよい。基板110は、可視光を透過させる光透過性を有していてもよい。
【0123】
基板110が、所定の光透過性を有する場合、基板110の光透過性は、有機層130からの発光を透過させて表示できる光透過性であってもよい。例えば、可視光領域における基板110の透過率が80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。基板110の透過率は、JIS K7361-1に準ずるプラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法によって測定されてもよい。
【0124】
基板110は、可撓性を有していてもよく、又は可撓性を有していなくてもよい。有機EL表示装置100の用途に応じて基板110の材料は選択されてもよい。例えば、基板110は、ガラス基板であってもよい。
【0125】
素子115は、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を含んでいてもよい。有機層130は、蒸着層の一例である。
【0126】
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることによって、何らかの機能を実現するように構成されていてもよい。又は、素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることによって、何らかの機能を実現するよう構成されていてもよい。例えば、素子115が、有機EL表示装置100の画素である場合、素子115は、映像を構成する光を放出してもよい。
【0127】
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物や、その他の導電性を有する無機材料などを含んでいてもよい。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物などの、光透過性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
【0128】
有機層130は、有機材料を含む。有機層130に通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮できる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130には、通電によって光を放出する発光層、又は通電によって光の透過率若しくは屈折率が変化する層等であってもよい。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
【0129】
図10及び
図11に示すように、有機層130は、第1有機層130Aと、第2有機層130Bと、第3有機層130Cと、を含んでいてもよい。例えば、第1有機層130Aは、赤色発光層であってもよい。例えば、第2有機層130Bは、青色発光層であってもよい。例えば、第3有機層130Cは、緑色発光層であってもよい。以下の説明において、有機層の構成のうち、第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cに共通する構成を説明する場合には、「有機層130」という用語及び符号を用いる。
【0130】
第1電極120、第1有機層130A及び第2電極140を含む積層構造を、第1素子115Aとも称する。第1電極120、第2有機層130B及び第2電極140を含む積層構造を、第2素子115Bとも称する。第1電極120、第3有機層130C及び第2電極140を含む積層構造を、第3素子115Cとも称する。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cはそれぞれ、サブ画素である。
【0131】
以下の説明において、素子の構成のうち、第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cに共通する構成を説明する場合には、「素子115」という用語及び符号を用いる。
図10のような平面図において、素子115の輪郭は、平面視において第1電極120及び第2電極140と重なる有機層130の輪郭であってもよい。有機EL表示装置100が絶縁層160を備える場合、素子115の輪郭は平面視において第1電極120及び第2電極140と重なるとともに絶縁層160と重ならない有機層130の輪郭であってもよい。
【0132】
図10には、各素子115A、115B、115Cの配列の一例が示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、各素子115A、115B、115Cの配列は任意である。
【0133】
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
【0134】
有機層130が、通電によって光を放出する発光層である場合、有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを含んでいてもよい。
【0135】
例えば、第1電極120が陽極である場合、有機層130は、発光層と第1電極120との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよい。あるいは、正孔注入輸送層は、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、又は正孔注入機能及び正孔輸送機能の両機能を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入層及び正孔輸送層が積層された構成を有していてもよい。
【0136】
第2電極140が陰極である場合、有機層130は、発光層と第2電極140との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよい。あるいは、電子注入輸送層は、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、又は電子注入機能及び電子輸送機能の両機能を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入層及び電子輸送層が積層された構成を有していてもよい。
【0137】
有機層130が発光層である場合、有機層130は、発光材料を含む。発光層は、レベリング性を良くする添加剤を含んでいてもよい。発光材料には、公知の材料を用いてもよい。例えば、発光材料には、色素系材料、金属錯体系材料、又は高分子系材料を用いてもよい。
【0138】
有機層130の膜厚は、電子と正孔とが再結合して発光できる膜厚であれば任意である。有機層130の膜厚は、例えば1nm以上であってもよい、有機層130の膜厚は、例えば500nm以下であってもよい。
【0139】
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含む。第2電極140は、図示しないマスクを用いる蒸着法によって有機層130の上に形成されてもよい。第2電極140を構成する材料には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、又は炭素等が用いられてもよい。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、又は2種類以上の材料を組み合わせて用いられてもよい。2種類以上の材料を用いる場合には、各材料からなる層が積層されてもよい。導電性材料に、2種類以上の材料を含む合金が用いられてもよい。例えば、導電性材料に、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、アルカリ金属類又はアルカリ土類金属類の合金等が用いられてもよい。
【0140】
有機EL表示装置100は、有機層130等の基板110上の要素を覆う封止層(図示せず)を備えていてもよい。封止層は、有機EL表示装置100の外部の水蒸気等が有機EL表示装置100の内部に入ることを抑制できる。これにより、有機層130等が水分に起因して劣化することを抑制できる。封止層は、例えば有機材料で構成された層を含んでいてもよい。有機材料は、封止層で光の屈折が生じることを抑制するために、有機層130と等しい屈折率を有していてもよく、又は有機層130に近い屈折率を有していてもよい。有機材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の無機材料で封止されていてもよい。この場合、封止層は、有機材料の層と無機材料の層とが積層された積層構造を有していてもよい。第2電極140と封止層との間には、平坦化層(図示せず)が介在されていてもよい。平坦化層は、基板110上の要素の凹凸に入り込むことにより、封止層の密着性を向上させるための層であってもよい。
【0141】
このような有機EL表示装置100の製造方法は、蒸着マスク装置10を用いて基板110に蒸着材料82を付着させて有機層130を形成する工程を備えていてもよい。より具体的には、本実施の形態による有機EL表示装置100の製造方法は、準備工程と、位置合わせ工程と、密着工程と、蒸着工程と、裁断工程と、を備えていてもよい。
【0142】
まず、準備工程として、上述した蒸着マスク装置10を準備してもよい。
【0143】
準備工程の後、位置合わせ工程として、蒸着マスク装置10が基板110に対して位置合わせされる。位置合わせ工程においては、蒸着マスク装置10が蒸着装置80の内部に取り付けられる。この際、基板110に対する蒸着マスク20の貫通孔25の位置が調整されてもよい。例えば、図示しないが、蒸着マスク20のアライメントマークと、基板110のアライメントマークとを用いて、基板110に対する貫通孔25の位置が調整されてもよい。
【0144】
位置合わせ工程の後、密着工程として、蒸着マスク20の第1面201が、基板110の第1面110aに密着してもよい。より具体的には、基板110の第2面110bに磁石85が配置される。磁石85の磁力によって蒸着マスク20が基板110に引き寄せられる。蒸着マスク20の第1面201が、基板110の第1面110aに密着する。また、支持体60の各カバー部材61及び各支持部材62も、磁石85の磁力によって基板110に引き寄せられる。各カバー部材61及び各支持部材62が、蒸着マスク20の第2面202に密着する。このことにより、カバー部材61又は支持部材62は、平面視で重なっていた貫通孔25を遮蔽する。カバー部材61及び支持部材62は、基板110への蒸着マスク20の密着を補強する。
【0145】
密着工程の後、蒸着工程として、基板110に、蒸着材料82を蒸着させて有機層130A、130B、130Cが形成される。この際、蒸着材料82は、フレーム15の開口部155、露出領域70及び貫通孔25を通過して基板110に到達する。有機層130A、130B、130Cは、対応する正孔輸送層上に形成される。
【0146】
より具体的には、蒸着装置80の内部の圧力を真空雰囲気まで低下する。その後、蒸着材料82を蒸発させて正孔輸送層に飛来させる。飛来した蒸着材料82は、蒸着マスク20の各貫通孔25を通過して、所望の正孔輸送層に付着する。このことにより、第1電極120及び絶縁層160に、貫通孔25のパターンに対応したパターンで有機層130A、130B、130Cが形成される。
【0147】
ここで、有機層130A、130B、130Cは、第1電極120と当該第1電極120に隣接する絶縁層160に跨がるように形成される。図示しないが、絶縁層160上において隣り合う有機層130A、130B、130Cは、重なり合っていてもよい。
【0148】
本実施の形態では、有機層130A、130B、130Cは、基板110のうち露出領域70に対応する位置に形成される。有機層130A、130B、130Cは、対応する蒸着材料82を用いて、別々に形成されてもよい。この場合、有機層130A、130B、130Cは、基板110に所望の順番で形成される。
図12には、一例として、有機層130B、130Cが形成される前に、基板110に有機層130Aが形成されている例が示されている。基板110に形成された有機層130Aが、有機EL表示装置100の表示領域105を構成するように形成される。
【0149】
より具体的には、各カバー部材61及び各支持部材62で区画された露出領域70を蒸着材料82が通過する。この際、露出領域70で開口部155に露出した貫通孔25を蒸着材料82が通過する。カバー部材61又は支持部材62で遮蔽されていた貫通孔25には、蒸着材料82が通過することが抑制される。このことにより、基板110の第1面110aのうち露出領域70に対応する領域に蒸着材料82が付着して、表示領域105毎に有機層130Aが形成される。
【0150】
他の色の有機層130B、130Cを形成する場合には、各色のパターンに対応した貫通孔25を有する蒸着マスク20が用いられる。各色の蒸着マスク20を用いて作製された蒸着マスク装置10においても、各カバー部材61及び各支持部材62を用いて露出領域70が形成されていてもよい。この場合、各表示領域105を構成するように、有機層130B、130Cが基板110に形成される。各色の蒸着マスク装置10の露出領域70の形状、大きさ及び位置は、同一であってもよい。
【0151】
このようにして、基板110の各表示領域105において、各色の有機層130A、130B、130Cが形成される。各色の蒸着マスク20で、対応する正孔輸送層に各色の蒸着材料82が付着する。例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料及び青色用の有機発光材料が一の基板110にそれぞれ蒸着する。このようにして、基板110の各表示領域105に、有機層130A、130B、130Cが形成される。
【0152】
有機層130A、130B、130Cが形成された後、有機層130A、130B、130C上に、電子輸送層及び電子注入層が形成される。その後、第2電極140が形成される。第2電極140は、各有機層130A、130B、130Cを覆うように形成され、有機層130A、130B、130C上において、第1電極120と当該第1電極120に隣接する絶縁層160に跨がるように形成される。例えば、第2電極140は、平面視において隣り合う2つの有機層130A、130B、130Cに跨がるように連続的に形成されてもよい。
【0153】
形成された第2電極140に、上述した平坦化層及び封止層が形成される。このようにして、基板110に設けられた有機層130A、130B、130C等の要素が、封止層で封止される。
【0154】
蒸着工程の後、裁断工程として、有機EL表示装置100の表示領域105毎に基板110が裁断されてもよい。この場合、例えば、互いに隣り合う表示領域105の間で、ダイシングソーを用いて基板110が裁断される。
【0155】
このようにして、基板110に、各色の有機層130A、130B、130Cが形成された表示領域105を有する有機EL表示装置100が得られる。
【0156】
このように本実施の形態によれば、支持体60の第1カバー部材61Aが、蒸着マスク20の複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、蒸着マスク20に形成された貫通孔群26の大きさとは異なる大きさを有する表示領域105で有機層130A、130B、130Cを形成できる。このため、蒸着マスク20を、貫通孔群26の大きさとは異なる大きさの表示領域105を有する有機EL表示装置100の製造に用いることができる。この結果、蒸着マスク20の汎用性を向上できる。例えば、所定の表示領域105を有する有機EL表示装置100を製造するために作製された蒸着マスク20を、他の大きさの表示領域105を有する有機EL表示装置100を製造するために用いることができる。このため、新たに有機EL表示装置100の有機層130A、130B、130Cを形成する場合に、既存の蒸着マスク20を有効活用することができ、新たに専用の蒸着マスク20を作製することを不要にできる。
【0157】
また、本実施の形態によれば、上述したように、支持体60の第1カバー部材61Aが、蒸着マスク20の複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、第1カバー部材61Aの第1方向D1における寸法を大きくできる。このため、蒸着マスク20を基板110に密着させる際には、第1カバー部材61Aを、蒸着マスク20を介して基板110に密着できる。この結果、基板110への蒸着マスク20の密着を補強することができ、基板110と蒸着マスク20との密着性を向上できる。
【0158】
また、本実施の形態によれば、第1蒸着マスク20Aに対してフレーム15の第1部分151の側に第2蒸着マスク20Bが位置し、第1カバー部材61Aが、第1蒸着マスク20Aの第1梁27A及び第2蒸着マスク20Bの第2梁27Bに平面視で重なっている。このことにより、第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを下方から支持できる。また、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを基板110に密着させる際には、第1カバー部材61Aを第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを介して基板110に密着できる。このため、基板110への蒸着マスク20A、20Bの密着を補強することができ、基板110と蒸着マスク20A、20Bとの密着性を向上できる。
【0159】
また、本実施の形態によれば、第1カバー部材61Aは、第1蒸着マスク20Aの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、第1蒸着マスク20Aにおいて一部の貫通孔25を第1カバー部材61Aによって遮蔽することができ、第1蒸着マスク20Aに対応する露出領域70の第1領域端70Aの位置を調整できる。このため、基板110に形成される表示領域105の大きさを調整できる。
【0160】
また、本実施の形態によれば、第1カバー部材61Aは、第2蒸着マスク20Bの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、第2蒸着マスク20Bにおいて一部の貫通孔25を第1カバー部材61Aによって遮蔽することができ、第2蒸着マスク20Bに対応する露出領域70の第2領域端70Bの位置を調整できる。このため、基板110に形成される表示領域105の大きさを調整できる。
【0161】
また、本実施の形態によれば、第1蒸着マスク20Aに対してフレーム15の第2部分152の側に第3蒸着マスク20Cが位置し、第2カバー部材61Bが、第3蒸着マスク20Cの第1梁27Aに平面視で重なっている。このことにより、第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20A及び第3蒸着マスク20Cを下方から支持できる。また、第1蒸着マスク20A及び第3蒸着マスク20Cを基板110に密着させる際には、第2カバー部材61Bを第1蒸着マスク20A及び第3蒸着マスク20Cを介して基板110に密着できる。このため、基板110への蒸着マスク20A、20Cの密着を補強することができ、基板110と蒸着マスク20A、20Cとの密着性を向上できる。
【0162】
また、本実施の形態によれば、第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、第1蒸着マスク20Aにおいて一部の貫通孔25を第2カバー部材61Bによって遮蔽することができ、第1蒸着マスク20Aに対応する露出領域70の第2領域端70Bの位置を調整できる。このため、基板110に形成される表示領域105の大きさを調整できる。
【0163】
また、本実施の形態によれば、第2カバー部材61Bは、第3蒸着マスク20Cの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっている。このことにより、第3蒸着マスク20Cにおいて一部の貫通孔25を第2カバー部材61Bによって遮蔽することができ、第3蒸着マスク20Cに対応する露出領域70の第1領域端70Aの位置を調整できる。このため、基板110に形成される表示領域105の大きさを調整できる。
【0164】
また、本実施の形態によれば、蒸着マスク20の貫通孔群26に、支持部材62が平面視で重なっている。支持部材62は、貫通孔群26を複数の露出領域70に区画している。このことにより、貫通孔群26を構成する複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25を、支持部材62によって遮蔽することができ、有機EL表示装置100の表示領域105の第3領域端70C又は第4領域端70Dの位置を調整できる。このため、基板110に形成される表示領域105の大きさを調整できる。
【0165】
また、本実施の形態によれば、支持部材62が、平面視で貫通孔群26に重なっている。このことにより、支持部材62は、蒸着マスク20を下方から支持できる。また、蒸着マスク20を基板110に密着させる際には、支持部材62を蒸着マスク20を介して基板110に密着できる。このため、基板110への蒸着マスク20の密着を補強することができ、基板110と蒸着マスク20との密着性を向上できる。
【0166】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0167】
第1変形例について説明する。
【0168】
上述の本実施の形態においては、支持体60の第2カバー部材61Bが、第1蒸着マスク20Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっているとともに、第3蒸着マスク20Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図13に示すように、第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてなくてもよい。あるいは、例えば、第2カバー部材61Bは、第3蒸着マスク20Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。また、
図13に示すように、第2カバー部材61Bは、第1蒸着マスク20Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっていないとともに、第3蒸着マスク20Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。
【0169】
第2カバー部材61Bが、第1蒸着マスク20Aの貫通孔25に重なっていない場合、第1方向D1における第2カバー部材61Bの寸法は、第1方向D1における第1カバー部材61Aの寸法よりも小さくてもよい。第2カバー部材61Bが、第2蒸着マスク20Bの貫通孔25に重なっていない場合においても、同様である。
【0170】
第2変形例について説明する。
【0171】
上述の本実施の形態においては、各蒸着マスク20A~20Cが、1つの貫通孔群26を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図14に示すように、各蒸着マスク20A~20Cは、第2方向D2に並ぶ複数の貫通孔群26を含んでいてもよい。複数の貫通孔群26は、第1貫通孔群26Aと、第2貫通孔群26Bと、を含んでいてもよい。第2貫通孔群26Bは、第1貫通孔群26Aに対して第4部分154の側に位置している。第1貫通孔群26Aと第2貫通孔群26Bは、互いに隣り合っている。蒸着マスク20は、梁接続部28を含んでいてもよい。梁接続部28は、第1貫通孔群26Aと第2貫通孔群26Bとの間に位置している。梁接続部28Cは、第1梁27Aと第2梁27Bとを接続する。支持体60の支持部材62は、梁接続部28に平面視で重なっていてもよい。
【0172】
第2支持部材62Bを例にとって説明すると、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aと第2貫通孔群26Bとの間に位置する梁接続部28に平面視で重なっている。第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aの複数の貫通孔25のうち第4群端264の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。この場合、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aに対応する露出領域70の第4領域端704を画定する。あるいは、第2支持部材62Bは、第2貫通孔群26Bの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第2支持部材62Bは、第2貫通孔群26Bの複数の貫通孔25のうち第3群端263の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。この場合、第2支持部材62Bは、第2貫通孔群26Bに対応する露出領域70の第3領域端703を画定する。また、
図14に示すように、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっているとともに、第2貫通孔群26Bの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。
【0173】
第1支持部材62A及び第3支持部材62Cも、第2支持部材62Bと同様に構成されていてもよい。
【0174】
第3変形例について説明する。
【0175】
上述の第2変形例においては、支持体60の第2支持部材62Bが、第1貫通孔群26Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっているとともに、第2貫通孔群26Bの一部の貫通孔25に平面視で重なっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図15に示すように、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。あるいは、例えば、第2支持部材62Bは、第2貫通孔群26Bの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。また、
図15に示すように、第2支持部材62Bは、第1貫通孔群26Aの一部の貫通孔25に平面視で重なっていないとともに、第2貫通孔群26Bの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。
【0176】
第2支持部材62Bが、第1貫通孔群26Aの貫通孔25に重なっていない場合、第2方向D2における第2支持部材62Bの寸法は、第2方向D2における第1支持部材62Aの寸法よりも小さくてもよい。この場合、第2方向D2における第2支持部材62Bの寸法は、第2方向D2における第3支持部材62Cの寸法よりも小さくてもよい。第2支持部材62Bが、第2貫通孔群26Bの貫通孔25に重なっていない場合においても、同様である。
【0177】
第4変形例について説明する。
【0178】
上述の本実施の形態においては、各蒸着マスク20A~20Cが、1つの貫通孔群26を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図16に示すように、各蒸着マスク20A~20Cは、第1方向D1に並ぶ複数の貫通孔群26を含んでいてもよい。複数の貫通孔群26は、第3貫通孔群26Cと、第4貫通孔群26Dと、を含んでいてもよい。第4貫通孔群26Dは、第3貫通孔群26Cに対して第2部分152の側に位置している。第3貫通孔群26Cと第4貫通孔群26Dは、互いに隣り合っている。蒸着マスク20は、第3梁27Cを含んでいてもよい。第3梁27Cは、第3貫通孔群26Cと第4貫通孔群26Dとの間に位置している。第3梁27Cは、一方の耳部21Aと他方の耳部21Bとの間で第2方向D2に延びており、一対の耳部21A、21Bを接続する。
【0179】
支持体60の複数のカバー部材61は、第3カバー部材61Cを含んでいてもよい。第3カバー部材61Cは、第1カバー部材61Aと第2カバー部材61Bとの間に位置している。第1カバー部材61Aと第3カバー部材61Cとの間に露出領域70が位置している。第3カバー部材61Cと第2カバー部材61Bとの間に他の露出領域70が位置している。
【0180】
第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cと第4貫通孔群26Dとの間に位置する第3梁27Cに平面視で重なっていてもよい。第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cの複数の貫通孔25のうち第2群端262の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。この場合、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cに露出領域70の第2領域端702を画定する。あるいは、第3カバー部材61Cは、第4貫通孔群26Dの複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。より具体的には、第3カバー部材61Cは、第4貫通孔群26Dの複数の貫通孔25のうち第1群端261の比較的近くに位置する貫通孔25に重なっていてもよい。この場合、第3カバー部材61Cは、第4貫通孔群26Dに露出領域70の第1領域端701を画定する。また、
図16に示すように、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっているとともに、第4貫通孔群26Dの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。
【0181】
第5変形例について説明する。
【0182】
上述の第4変形例においては、支持体60の第3カバー部材61Cが、第3貫通孔群26Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっているとともに、第4貫通孔群26Dの一部の貫通孔25に平面視で重なっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図17に示すように、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。あるいは、例えば、第3カバー部材61Cは、第4貫通孔群26Dの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。また、
図17に示すように、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cの一部の貫通孔25に平面視で重なっていないとともに、第4貫通孔群26Dの一部の貫通孔25に平面視で重なっていなくてもよい。
【0183】
第3カバー部材61Cが、第3貫通孔群26Cの貫通孔25に重なっていない場合、第1方向D1における第3カバー部材61Cの寸法は、第1方向D1における第1カバー部材61Aの寸法よりも小さくてもよい。この場合、第1方向D1における第3カバー部材61Cの寸法は、第1方向D1における第2カバー部材61Bの寸法よりも小さくてもよい。第3カバー部材61Cが、第4貫通孔群26Dの貫通孔25に重なっていない場合においても、同様である。
【0184】
第6変形例について説明する。
【0185】
上述の第4変形例においては、支持体60の複数のカバー部材61が、第3カバー部材61Cを含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図18に示すように、複数のカバー部材61は、第3カバー部材61Cを含んでいなくてもよい。言い換えると、第1カバー部材61Aと第2カバー部材61Bとの間に他のカバー部材61は位置していなくてもよい。この場合、第3梁27Cには、カバー部材61は重なっていない。第1カバー部材61Aと第2カバー部材61Bとの間に位置する露出領域70は、第3貫通孔群26Cの貫通孔25と、第4貫通孔群26Dの貫通孔25とを開口部155に露出する。
図18に示す例では、基板110のうち露出領域70に対応する位置に、2つの有機EL表示装置100の表示領域105が形成される。
【0186】
第7変形例について説明する。
【0187】
上述の第4変形例においては、第3カバー部材61Cは、第3貫通孔群26Cと第4貫通孔群26Dとの間に位置する第3梁27Cに平面視で重なっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図19に示すように、第3カバー部材61Cは、第3梁27Cに平面視で重なっていなくてもよい。
【0188】
図19に示す例においては、各蒸着マスク20A~20Cは、1つの貫通孔群26を含んでいてもよい。言い換えると、
図19に示す各蒸着マスク20A~20Cには、
図16等に示すような、第1方向D1に並ぶ複数の貫通孔群26は形成されていない。
【0189】
第3カバー部材71Cは、貫通孔群26の複数の貫通孔25のうちの一部の貫通孔25に平面視で重なっていてもよい。第3カバー部材71Cは、貫通孔群26を複数の露出領域70に区画する。第1方向D1における第3カバー部材61Cの両側に露出領域70が形成されている。言い換えると、露出領域70は、互いに隣り合うカバー部材61の間に位置する。
図19に示す例では、第1カバー部材61Aと第3カバー部材61Cとの間に、露出領域70が位置する。第3カバー部材61Cと第2カバー部材61Bとの間に、他の露出領域70が位置する。第3カバー部材61Cの両側に位置する露出領域70の各々で露出される貫通孔25は、1つの貫通孔群26を構成している。
【0190】
第1方向D1における第3カバー部材61Cの寸法は、第1方向D1における第1カバー部材61Aの寸法よりも小さくてもよい。第1方向D1における第3カバー部材61Cの寸法は、第1方向D1における第2カバー部材61Bの寸法よりも小さくてもよい。
【0191】
第8変形例について説明する。
【0192】
上述の本実施の形態においては、カバー部材61と支持部材62とが、別体に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、
図20に示すように、カバー部材61と支持部材62とは、一体に形成されていてもよい。この場合、カバー部材61と支持部材62とが、金属板からエッチングすることによって形成されてもよい。あるいは、カバー部材61と支持部材62とが、溶接によって互いに固定されていてもよい。この場合、カバー部材61と支持部材62とが、互いに溶接で固定されて支持体60を形成した後に、支持体60がフレーム15に固定されるようにしてもよい。または、カバー部材61と支持部材62とがそれぞれフレーム15に固定された後に、カバー部材61と支持部材62とが互いに溶接で固定されて支持体60を形成してもよい。
【0193】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。