(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】エレベータの乗場装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B66B1/46 A
(21)【出願番号】P 2024001682
(22)【出願日】2024-01-10
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弥須生
(72)【発明者】
【氏名】遠田 真也
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-289946(JP,A)
【文献】特開平06-016348(JP,A)
【文献】特開2000-153968(JP,A)
【文献】実開昭54-148884(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110510466(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112125076(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと、第2プレートと、装置ユニットの支持体と、装置ユニットとを備え、乗場の壁の開口に構成されるエレベータの乗場装置であって、
第1プレートは、開口内にある1対の係合部に対応して1対の通穴を備え、開口を覆うように配置され、係合部及び通穴の箇所で固定具を用いて壁に固定され、
第2プレートは、第1プレートの通穴に挿通される固定具のうち少なくとも装置ユニット配置領域外に位置する固定具を隠すように第1プレートの正面側に配置され、装置ユニット配置領域内の箇所で固定具を用いて第1プレートに固定され、
支持体は、装置ユニット配置領域内に収まるように第2プレートの正面側に配置され、装置ユニット配置領域内の箇所で固定具を用いて第2プレートに固定される
エレベータの乗場装置。
【請求項2】
装置ユニットは、第1プレートの通穴間の距離よりも短い形状を有し、第1プレートの通穴に挿通される各固定具を装置ユニット配置領域外に位置させるように第2プレートの正面側に配置され、
第2プレートは、第1プレートの通穴間の距離よりも長い形状を有し、各固定具を隠すように第1プレートの正面側に配置される
請求項1に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項3】
第1プレート及び第2プレートは、平坦なプレートであり、
第2プレートは、第1プレートと接して重なるように第1プレートの正面側に配置される
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項4】
第2プレートは、第1プレートと同一形状を有し、第1プレートと一致して重なるように第1プレートの正面側に配置される
請求項3に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項5】
第1プレートは、平坦なプレートであり、
第2プレートは、平坦なプレートの外縁から突出する周壁を備え、第1プレートとの間に内部空隙を形成するように第1プレートの正面側に配置される
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項6】
第2プレートは、第1プレートよりも大きい形状を有し、第1プレートの厚みよりも大きい量で突出する周壁を備え、内部に第1プレートを収容するように第1プレートの正面側に配置される
請求項5に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の乗場装置を備える
エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部又は表示部の少なくとも一方を備えるエレベータの乗場装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
既設の乗場装置は、乗場の壁に開口を形成してボックスを埋め込み、ボックス内に電気機器や配線を収容し、操作部や表示部を備えるフェースプレートをボックスの開口を覆うように配置し、フェースプレートをねじやキャッチスプリングを用いて壁に取り付ける構造のものが多い。これに対し、現在の一般的な乗場装置は、ボックスを用いず、支持体を介して装置ユニットを壁に取り付ける壁掛け式である。そして、エレベータの更新時期が20~30年程度であることから、既設の乗場装置を壁掛け式の乗場装置に更新する機会が増えてきている。
【0003】
既設の乗場装置を壁掛け式の乗場装置に更新する場合、ボックス以外の構成を除去し、ボックスの開口を覆うように台座プレートを取り付け、台座プレートの正面側に支持体を取り付け、支持体に装置ユニットを掛けて取り付けるという更新方法が用いられる(特許文献1)。台座プレートは、ボックスの開口内にある1対のねじ穴に対応して1対の通穴を備え、ねじ穴及び通穴の箇所でねじを用いて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更新する装置ユニットが既設のボックスと同等の形状又はボックスよりも大きい場合、台座プレートの通穴に挿通されるねじは、装置ユニットに隠され、乗場装置を正面から見て意匠面にねじの頭が露出することはない。しかし、更新する装置ユニットが既設のボックスよりも小さい場合や、更新する装置ユニットが上方又は下方にずらして配置される場合、台座プレートの通穴に挿通されるねじは、隠されずに露出することになり、意匠性が低下するという問題が生じる。
【0006】
そして、既設の乗場装置は、表示部がアナログ式であることが多く、全般的に全長が長いのに対し、更新する装置ユニットは、表示部がデジタル式又は液晶であり、全長が短い。このため、更新する装置ユニットが既設のボックスよりも小さくなる場合の頻度は高く、この点、上記問題は顕著となり得る。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、固定具が意匠面に露出することがなく、意匠性に優れたエレベータの乗場装置及びエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータの乗場装置は、
第1プレートと、第2プレートと、装置ユニットの支持体と、装置ユニットとを備え、乗場の壁の開口に構成されるエレベータの乗場装置であって、
第1プレートは、開口内にある1対の係合部に対応して1対の通穴を備え、開口を覆うように配置され、係合部及び通穴の箇所で固定具を用いて壁に固定され、
第2プレートは、第1プレートの通穴に挿通される固定具のうち少なくとも装置ユニット配置領域外に位置する固定具を隠すように第1プレートの正面側に配置され、装置ユニット配置領域内の箇所で固定具を用いて第1プレートに固定され、
支持体は、装置ユニット配置領域内に収まるように第2プレートの正面側に配置され、装置ユニット配置領域内の箇所で固定具を用いて第2プレートに固定される
エレベータの乗場装置である。
【0009】
また、本発明に係るエレベータの乗場装置の一態様として、
装置ユニットは、第1プレートの通穴間の距離よりも短い形状を有し、第1プレートの通穴に挿通される各固定具を装置ユニット配置領域外に位置させるように第2プレートの正面側に配置され、
第2プレートは、第1プレートの通穴間の距離よりも長い形状を有し、各固定具を隠すように第1プレートの正面側に配置される
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータの乗場装置の一態様として、
第1プレート及び第2プレートは、平坦なプレートであり、
第2プレートは、第1プレートと接して重なるように第1プレートの正面側に配置される
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係るエレベータの乗場装置の一態様として、
第2プレートは、第1プレートと同一形状を有し、第1プレートと一致して重なるように第1プレートの正面側に配置される
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータの乗場装置の一態様として、
第1プレートは、平坦なプレートであり、
第2プレートは、平坦なプレートの外縁から突出する周壁を備え、第1プレートとの間に内部空隙を形成するように第1プレートの正面側に配置される
との構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明に係るエレベータの乗場装置の一態様として、
第2プレートは、第1プレートよりも大きい形状を有し、第1プレートの厚みよりも大きい量で突出する周壁を備え、内部に第1プレートを収容するように第1プレートの正面側に配置される
との構成を採用することができる。
【0014】
また、本発明に係るエレベータは、
上記乗場装置を備える
エレベータである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1プレートを固定する固定具は、第2プレート又は装置ユニットに隠され、第2プレートを固定する固定具及び支持体を固定する固定具は、装置ユニットに隠され、いずれの固定具も、乗場装置を正面から見て意匠面に露出することはない。このため、本発明によれば、乗場装置の意匠性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る乗場装置の正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る乗場装置のボックス(既設の乗場装置のボックス)の正面図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態1に係る乗場装置の第1プレートの正面図である。
図6(b)は、実施形態1に係る乗場装置の第2プレートの正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る乗場装置の装置ユニットを取り付ける前の正面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る乗場装置の
図2に相当する断面図である。
【
図11】
図11(a)は、実施形態2に係る乗場装置の第1プレートの正面図である。
図11(b)は、実施形態2に係る乗場装置の第2プレートの正面図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る乗場装置の装置ユニットを取り付ける前の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、実施形態1に係る乗場装置について説明する。
【0018】
図1に示すように、乗場装置1は、装置の主構成として、壁掛け式の装置ユニット7を備える。装置ユニット7は、操作部70と、表示部71とを備える。操作部70は、上方呼び登録ボタンと、下方呼び登録ボタンとを備える。表示部71は、階床表示部と、かご状態表示部とを備える。階床表示部は、かごの位置に関する情報、すなわち、かごがどの階にいるかを表示する。かご状態表示部は、かごの移動に関する情報、すなわち、かごが上昇しているのか、停止中であるのか、下降しているのかを表示する。操作部70及び表示部71は、エレベータで用いられる一般的なものである。
【0019】
なお、操作部70及び表示部71を備える乗場装置1(装置ユニット7)は、乗場操作表示装置(操作表示ユニット)ともいう。乗場装置(装置ユニット)は、操作部70だけを備えるものや、表示部71だけを備えるものもある。操作部70だけを備える乗場装置(装置ユニット)は、乗場操作装置(操作ユニット)ともいい、表示部71だけを備える乗場装置(装置ユニット)は、乗場表示装置(表示ユニット)ともいう。
【0020】
図2及び
図3に示すように、乗場装置1は、既設のボックス2を利用して構成される。乗場装置1は、第1プレート3と、第2プレート4と、装置ユニット7の支持体5と、装置ユニット7とを備える。これらは、固定具60,61,…を用いて固定される。
【0021】
図4及び
図5に示すように、ボックス2は、乗場の壁に形成される開口に埋め込まれる。ボックス2は、既設の乗場装置1’で用いられていたものである。既設の乗場装置1’を乗場装置1に更新するにあたり、ボックス2以外の構成(フェースプレート4’等)が除去され、ボックス2だけが残される。
【0022】
ボックス2は、上下1対の係合部20,20と、上壁板21と、下壁板22と、左右の側壁板23,23と、底板24とを備える。ボックス2は、正面視にて縦長の長方形状を有する。係合部20は、上壁板21及び下壁板22からそれぞれ内方に向かって突出する内向き片21a,22aの箇所に設けられる。このため、係合部20は、上壁板21及び下壁部22のそれぞれの近傍に設けられる。係合部20は、内向き片21a,22aを挟むクリップの形態である。一例として、係合部20は、クリップに接合されるナットのねじ穴である。内向き片21a,22aには、ねじ穴と同心で通穴が形成される。
【0023】
図6(a)に示すように、第1プレート3は、正面視にて縦長の長方形状を有する。また、第1プレート3は、上下方向の長さがボックス2の開口(乗場の壁の開口と実質同じ、以下、単に開口という)の上下方向の長さよりも長い形状を有し、左右方向の幅が開口の左右方向の幅よりも大きい形状を有する。すなわち、第1プレート3は、開口よりも大きい形状を有する。第1プレート3は、平坦なプレートである。第1プレート3は、開口を覆うように配置される。第1プレート3は、剛性を有し、たとえば、アルミニウム、ステンレス、硬質樹脂(表面にメッキ処理)等の材質を用いて構成される。
【0024】
第1プレート3は、1対の係合部20,20に対応して1対の通穴30,30を備える。また、第1プレート3は、1対の通穴30,30間よりも内側の領域(装置ユニット配置領域、すなわち、乗場装置1を正面から見て装置ユニット7が所在する領域、装置ユニット7の正面視投影領域)内に、係合部31と、係合部32と、配線通し口34とを備える。一例として、係合部31は、上側の1箇所(一例として、左右方向の中央箇所)と、下側の2箇所(一例として、左右方向の線対称箇所)の合計3箇所に設けられる。一例として、係合部32は、上側の2箇所(一例として、左右方向の線対称箇所)と、下側の1箇所(一例として、左右方向の中央箇所)の合計3箇所に設けられる。一例として、通穴30は、ざぐり穴の一形態である皿穴であり、係合部31は、ブラインドナットのねじ穴であり、係合部32は、下穴をタップ加工したねじ穴である。配線通し口34は、装置ユニット7の配線をボックス2内の電気系統と接続するために通す開口である。
【0025】
図6(b)に示すように、第2プレート4は、正面視にて縦長の長方形状を有する。また、第2プレート4は、上下方向の長さが第1プレート3の通穴30,30間の距離よりも長い形状を有する。また、第2プレート4は、第1プレート3と同一形状を有する。第2プレート4は、平坦なプレートである。第2プレート4は、第1プレート3と接しかつ(外縁が)一致して重なるように第1プレート3の正面側に配置される。第2プレート4は、第1プレート3と同じ材質を用いて構成される。あるいは、第2プレート4は、フェースプレートになることから、第1プレート3よりも意匠性が高い材質を用いて構成されるものであってもよい。
【0026】
第2プレート4は、第1プレート3の1対の通穴30,30に対応する箇所に、通穴や何らかの加工も備えない。また、第2プレート4は、装置ユニット配置領域内に、通穴41と、通穴42と、係合部43と、配線通し口44とを備える。通穴41は、第1プレート3の係合部31に対応して設けられる。通穴42は、第1プレート3の係合部32に対応して設けられる。一例として、係合部43は、上側の2箇所(一例として、左右方向の線対称箇所)と、下側の1箇所(一例として、左右方向の中央箇所)の合計3箇所に設けられる。一例として、通穴41は、丸穴であり、通穴42は、ざぐり穴の一形態である皿穴であり、係合部43は、下穴をタップ加工したねじ穴である。配線通し口44は、第1プレート3の配線通し口34に対応して設けられ、装置ユニット7の配線をボックス2内の電気系統と接続するために通す開口である。
【0027】
図7及び
図8に示すように、支持体5は、プレートの形態(支持プレート)である。支持体5は、正面視にて縦長の長方形状を有する。また、支持体5は、上下方向の長さが第1プレート3及び第2プレート4の上下方向の長さよりも短い形状を有し、左右方向の幅が第1プレート3及び第2プレート4の左右方向の幅よりも小さい形状を有する。すなわち、支持体5は、第1プレート3及び第2プレート4よりも小さい形状を有する。また、支持体5は、上下方向の長さが開口の上下方向の長さよりも短い形状を有し、左右方向の幅が開口の左右方向の幅よりも小さい形状を有する。すなわち、支持体5は、開口よりも小さい形状を有する。また、支持体5は、上下方向の長さが第1プレート3の通穴30,30間の距離よりも短い形状を有する。また、支持体5は、装置ユニット7よりも小さい形状を有し、装置ユニット配置領域内に収まる大きさを有する。支持体5は、第2プレート4と接して重なるように第2プレート4の正面側に配置される。
【0028】
支持体5は、装置ユニット配置領域内に、通穴51と、通穴53と、配線通し口54とを備える。通穴51は、第1プレート3の係合部31及び第2プレート4の通穴41に対応して設けられる。通穴53は、第2プレート4の係合部43に対応して設けられる。一例として、通穴51,53は、丸穴である。配線通し口54は、第1プレート3の配線通し口34及び第2プレート4の配線通し口44に対応して設けられ、装置ユニット7の配線をボックス2内の電気系統と接続するために通す開口である。
【0029】
図8(a)に示すように、第1プレート3は、固定具60を用いて壁に固定される。固定具60は、(軸部が)第1プレート3の通穴30に挿通され、(軸部が)開口内の係合部20に係合する。一例として、固定具60は、十字穴付きの皿小ねじである。上述のとおり、一例として、係合部20は、ねじ穴であり、通穴30は、皿穴であるため、固定具60は、(頭部が)第1プレート3の正面から突出せずに通穴30内に挿入される状態で、(ねじ部が)係合部20と螺合し、係合部20及び通穴30の箇所で第1プレート3を固定(締結)する。
【0030】
固定具60の頭が第1プレート3の正面から突出しないため、第2プレート4は、第1プレート3(の正面)と接して重なるように配置される。しかも、第2プレート4は、通穴30に対応する箇所に、通穴を備えない。このため、固定具60は、装置ユニット配置領域外に位置しながらも、第2プレート4に隠され、乗場装置1を正面から見て意匠面に露出することはない。
【0031】
図8(b)に示すように、第2プレート4は、固定具61を用いて第1プレート3に固定され、支持体5は、固定具61を用いて第2プレート4(及び第1プレート3)に固定される。固定具61は、(軸部が)支持体5の通穴51、第2プレート4の通穴41に挿通され、(軸部が)第1プレート3の係合部31に係合する。一例として、固定具61は、十字穴付きのトラス小ねじである。上述のとおり、一例として、係合部31は、ねじ穴であり、通穴41,51は、丸穴であるため、固定具61は、(ねじ部が)通穴51,41を通って係合部31と螺合し、係合部31及び通穴41,51の箇所で第2プレート4及び支持体5を固定(締結)する。
【0032】
固定具61は、装置ユニット配置領域内に位置する。このため、固定具61は、装置ユニット7に隠され、乗場装置1を正面から見て意匠面に露出することはない。
【0033】
図8(c)に示すように、第2プレート4は、固定具62を用いて第1プレート3に固定される。固定具62は、(軸部が)第2プレート4の通穴42に挿通され、(軸部が)第1プレート3の係合部32に係合する。一例として、固定具62は、十字穴付きの皿小ねじである。上述のとおり、一例として、係合部32は、ねじ穴であり、通穴42は、皿穴であるため、固定具62は、(頭部が)第2プレート4の正面から突出せずに通穴42内に挿入される状態で、(ねじ部が)係合部32と螺合し、係合部32及び通穴42の箇所で第2プレート4を固定(締結)する。
【0034】
固定具62の頭が第2プレート4の正面から突出しないため、支持体5は、第2プレート4(の正面)と接して重なるように配置される。しかも、支持体5は、通穴42に対応する箇所に、通穴を備えない。しかも、固定具62は、装置ユニット配置領域内に位置する。このため、固定具62は、支持体5及び装置ユニット7に隠され、乗場装置1を正面から見て意匠面に露出することはない。
【0035】
図8(c)に示すように、支持体5は、固定具63を用いて第2プレート4に固定される。固定具63は、(軸部が)支持体5の通穴53に挿通され、(軸部が)第2プレート4の係合部43に係合する。一例として、固定具63は、十字穴付きのトラス小ねじである。上述のとおり、一例として、係合部43は、ねじ穴であり、通穴53は、丸穴であるため、固定具63は、(ねじ部が)通穴53を通って係合部43と螺合し、係合部43及び通穴53の箇所で支持体5を固定する。
【0036】
固定具63は、装置ユニット配置領域内に位置する。このため、固定具63は、装置ユニット7に隠され、乗場装置1を正面から見て意匠面に露出することはない。
【0037】
図2及び
図3に示すように、装置ユニット7は、正面視にて縦長の長方形状を有する。また、装置ユニット7は、上下方向の長さが第1プレート3及び第2プレート4の上下方向の長さよりも短い形状を有し、左右方向の幅が第1プレート3及び第2プレート4の左右方向の幅よりも小さい形状を有する。すなわち、装置ユニット7は、第1プレート3及び第2プレート4よりも小さい形状を有する。また、装置ユニット7は、上下方向の長さが開口の上下方向の長さよりも短い形状を有し、左右方向の幅が開口の左右方向の幅よりも小さい形状を有する。すなわち、装置ユニット7は、開口よりも小さい形状を有する。また、装置ユニット7は、上下方向の長さが第1プレート3の通穴30,30間の距離よりも短い形状を有する。装置ユニット7は、支持体5の係止爪50に掛けて取り付けられる。装置ユニット7は、第1プレート3の通穴30に挿通される各固定具60(2つの固定具60,60)を装置ユニット配置領域外に位置させるように、かつ、背面ないし背面側の端面が第2プレート4の正面に当接するように、第2プレート4の正面側に配置される。装置ユニット7は、下面という目立たない箇所で固定具64を用いて支持体5に固定される。
【0038】
実施形態1に係る乗場装置1の構成は、以上のとおりである。次に、実施形態1に係る乗場装置1の更新方法について
図8を参照しつつ説明する。方法は4種類あるが、いずれの更新方法も、既設の乗場装置1’の構成をボックス2を除いて除去する工程(工程1)と、固定具60を用いて第1プレート3を壁に固定する工程(工程2)とを備えることは共通している。
【0039】
第1の更新方法は、工程1、2と、
(工程3)固定具63を用いて2箇所又は3箇所で支持体5を第2プレート4に固定する工程
(工程4)固定具61を用いて3箇所で第2プレート4及び支持体5を第1プレート3に固定する工程
を備える。なお、第1の更新方法によれば、固定具62は用いず、係合部32及び通穴42の形成は必須でない。
【0040】
第2の更新方法は、工程1、2と、
(工程3)固定具62を用いて2箇所又は3箇所で第2プレート4を第1プレート3に固定する工程
(工程4)固定具61を用いて3箇所で支持体5を第1プレート3及び第2プレート4に固定する工程
を備える。なお、第2の更新方法によれば、固定具63は用いず、係合部43及び通穴53の形成は必須でない。
【0041】
第3の更新方法は、工程1、2と、
(工程3)固定具62を用いて3箇所で第2プレート4を第1プレート3に固定する工程
(工程4)固定具63を用いて3箇所で支持体5を第2プレート4に固定する工程
を備える。なお、第3の更新方法によれば、固定具61は用いず、係合部31、通穴41,51の形成は必須でない。
【0042】
第4の更新方法は、工程1、2と、
(工程3)固定具61を用いて3箇所で第2プレート4及び支持体5を第1プレート3に固定する工程
を備える。なお、第4の更新方法によれば、固定具62,63は用いず、係合部32、通穴42、係合部43及び通穴53の形成は必須でない。
【0043】
以上のとおり、実施形態1に係る乗場装置1によれば、第1プレート3を固定する固定具60は、第2プレート4に隠され、第2プレート4を固定する固定具61,62及び支持体5を固定する固定具61,63は、装置ユニット7に隠され、いずれの固定具60~63も、乗場装置1を正面から見て意匠面に露出することはない。このため、実施形態1に係る乗場装置1によれば、乗場装置1の意匠性を向上することができる。
【0044】
また、実施形態1に係る乗場装置1によれば、第1プレート3及び第2プレート4は、外縁が一致するように重ねられる。これにより、乗場装置1を正面から見たときに、第1プレート3及び第2プレート4は、段差を生じず、1枚のプレートの様相を呈する。このため、実施形態1に係る乗場装置1によれば、乗場装置1の意匠性をさらに向上することができる。
【0045】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る乗場装置について説明する。なお、以下においては、主として実施形態1に係る乗場装置1と異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1に係る乗場装置1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0046】
図9~
図13に示すように、異なる点は、第2プレート4の形態が異なる点と、これに伴って固定具61,63の形態が異なる点と、係合部32及び通穴42が形成されず固定具62を用いない点である。
【0047】
第2プレート4は、上下方向の長さが第1プレート3の上下方向の長さよりも長い形状を有し、左右方向の幅が第1プレート3の左右方向の幅よりも大きい形状を有する。すなわち、第2プレート4は、第1プレート3よりも大きい形状を有する。第2プレート4は、平坦なプレートの外縁から第1プレート3に向かって突出する周壁45を備える。周壁45は、第1プレート3の厚みよりも大きい量で突出する。これにより、第2プレート4は、内部に第1プレート3を収容するように、かつ、周壁45の先端面が乗場の壁面に当接するように、かつ、第1プレート3との間に偏平な内部空隙を形成するように、第1プレート3の正面側に配置される。内部空隙は、装置ユニット7の配線とは別系統の配線(たとえば、装置ユニット7の下に並んで配置される車いす用装置ユニットの配線)を引き回すために用いられる。
【0048】
第1プレート3と第2プレート4との間に内部空隙が形成されるため、
図13(b)に示すように、固定具61の軸部には、スペーサ65が外挿される。また、
図13(c)に示すように、第2プレート4は、第1プレート3の厚みよりも小さい厚みを有するため、第2プレート4には、ねじ穴ではなく、通穴43が形成され、固定具63は、ナット66を備える。ねじ63とナット66とで第2プレート4及び支持体5を締結する。
【0049】
このように、実施形態2に係る乗場装置1も、実施形態1に係る乗場装置1が奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上記実施形態においては、装置ユニット7は、2つの固定具60,60を装置ユニット配置領域外に位置させるように配置されるが、第2プレート4は、第1プレート3と一致して重なるように配置され、2つの固定具60,60は、第2プレート4に隠される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、装置ユニットは、一方の固定具のみを装置ユニット配置領域外に位置させるように配置され、第2プレートは、一方の固定具のみを隠すように配置されるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、乗場装置1は、縦長に構成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。乗場装置は、横長に構成されるものであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、既設のボックス2が利用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。1対の係合部が提供されるのであれば、ボックスを残置させることは必須ではない。
【0054】
また、上記実施形態においては、既設のボックス2の既設の係合部20が利用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。係合部は、ボックス内において新設されるものであってもよい。
【0055】
また、第2プレートは、上下方向の長さが第1プレートの上下方向の長さよりも長い又は短い形状を有するものであってもよく、左右方向の幅が第1プレートの左右方向の幅よりも大きい又は小さい形状を有するものであってもよい。すなわち、第2プレートは、第1プレートよりも大きい形状又は小さい形状を有するものであってもよい。
【0056】
また、装置ユニットは、上下方向の長さが第1プレート又は第2プレートの上下方向の長さと同じ形状又はこの長さよりも長い形状を有するものであってもよく、左右方向の幅が第1プレート又は第2プレートの左右方向の幅と同じ形状又はこの幅よりも大きい形状を有するものであってもよい。すなわち、装置ユニットは、第1プレート又は第2プレートと同一形状又は第1プレート又は第2プレートよりも大きい形状を有するものであってもよい。また、装置ユニットは、上下方向の長さが開口の上下方向の長さと同じ形状又はこの長さよりも長い形状を有するものであってもよく、左右方向の幅が開口の左右方向の幅と同じ形状又はこの幅よりも大きい形状を有するものであってもよい。すなわち、装置ユニットは、開口と同一形状又は開口よりも大きい形状を有するものであってもよい。また、装置ユニットは、上下方向の長さが第1プレートの通穴間の距離と同じ形状又はこの距離よりも長い形状を有するものであってもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、固定具60は、2箇所で用いられ、固定具61は、3箇所で用いられ、固定具62,63は、2箇所又は3箇所で用いられる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではない。好適な固定を実現する上で、固定具、係合部、通穴の数は、1つ、2つ、3つ又は4つ以上の適宜の数を選択することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、固定手段(締結手段)として、ねじ及びねじ穴が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。固定手段(締結手段)は、リベット等、公知となっている別の固定手段(締結手段)であってよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、支持体5は、プレートである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。支持体は、プレートでなく、ブロック状の部材であってもよく、極端に言えば、係止爪だけであってもよい。要は、装置ユニットを引っ掛けて支持できる構造であれば、どのような形態であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…乗場装置(乗場操作表示装置、乗場操作装置、乗場表示装置)、1’…既設の乗場装置、2…ボックス(既設のボックス)、20…係合部(ねじ穴)、21…上壁板、21a…内向き片、22…下壁板、22a…内向き片、23…側壁板、24…底板、3…第1プレート、30…通穴(皿穴)、31…係合部(ねじ穴)、32…係合部(ねじ穴)、34…配線通し口、4…第2プレート、4’…既設のフェースプレート、41…通穴(丸穴)、42…通穴(皿穴)、43…係合部(ねじ穴)、通穴(丸穴)、44…配線通し口、45…周壁、5…支持体(支持プレート)、50…係止爪、51…通穴(丸穴)、53…通穴(丸穴)、54…配線通し口、60…固定具(皿小ねじ)、61…固定具(トラス小ねじ)、62…固定具(皿小ねじ)、63…固定具(トラス小ねじ)、64…固定具(小ねじ)、65…スペーサ、66…ナット、7…装置ユニット(操作表示ユニット、操作ユニット、表示ユニット)、70…操作部、71…表示部
【要約】
【課題】固定具が意匠面に露出することがなく、意匠性に優れたエレベータの乗場装置及びエレベータを提供する。
【解決手段】乗場装置は、第1プレート3と、第2プレート4と、装置ユニット7の支持体5と、装置ユニット7とを備える。第1プレート3を固定する固定具60は、第2プレート4に隠され、第2プレート4を固定する固定具61,62及び支持体5を固定する固定具61,63は、装置ユニット7に隠され、いずれの固定具60~63も、乗場装置を正面から見て意匠面に露出することはない。
【選択図】
図3