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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】防護用ガウン本体及び防護用ガウン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20241003BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/12 109
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020204656
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092091
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】518335126
【氏名又は名称】株式会社マツオカコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】谷川 正一郎
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 透
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-101354(JP,A)
【文献】特開2020-070504(JP,A)
【文献】特開2020-186515(JP,A)
【文献】国際公開第2016/071966(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3207262(JP,U)
【文献】特開2007-174720(JP,A)
【文献】特開2005-054299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
A41D 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体の前面の少なくとも一部を覆うように形成された前身頃部と、
着用者の身体の後面の少なくとも一部を覆うように形成され、送風手段を取り付けるための取付孔を有する後身頃部と、
を備え、
前記前身頃部と、前記後身頃部と、は着脱自在に形成され
前記前身頃部は、着用者の首元から膝付近までを覆う前面部と、着用者の腕部を覆う袖部と、着用者の背中の上部を覆う後面部と、を備え、
前記後身頃部は、着用者の背中の下部を覆うように形成され、
前記前面部の左右両端部と、前記後身頃部の左右両端部と、が第1接続手段によって着脱自在に接続され、
前記後面部の下端部と、前記後身頃部の上端部と、が第2接続手段によって着脱自在に接続されることを特徴とする防護用ガウン本体。
【請求項2】
前記袖部の上腕部の内側に位置する部分に、前記取付孔に取り付けられた前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気を排出するための第1空気排出部を備えることを特徴とする請求項に記載の防護用ガウン本体。
【請求項3】
前記袖部の先端部に、前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気が漏れることを防止する第1空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の防護用ガウン本体。
【請求項4】
前記後面部の下端部と前記後身頃部の上端部との間に、前記取付孔に取り付けられた前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気を排出するための第2空気排出部を備えることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体。
【請求項5】
前記取付孔は着用者の腰部に対応する位置に形成され、前記取付孔の下方に、前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気が下方に漏れることを防止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体。
【請求項6】
前記後身頃部は、前記後身頃部を前記着用者に装着するための装着手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体と、
前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に空気を導入する送風手段と、
前記送風手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする防護用ガウン。
【請求項8】
前記電源手段が前記送風手段に供給する電力を制御するための前記電源手段と別体の制御手段を備えることを特徴とする請求項に記載の防護用ガウン。
【請求項9】
着用者の腰部に装着され、前記電源手段及び前記制御手段を取り付け可能に構成されたベルト部材を備えることを特徴とする請求項に記載の防護用ガウン。
【請求項10】
前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入される空気が流れる方向を調整する風向調整手段を備えることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の防護用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護用ガウン本体及び防護用ガウンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、医療、介護等の現場では、患者や被介護者の血液、体液、飛沫等の液体が従業者に付着し、ウィルス、細菌等に感染することを防止するため、このような液体に対する防護機能を有する防護用ガウンが使用されている。
このような防護用ガウンは、血液、体液、飛沫等の防護対象物の通過を防止できる所定の防護機能を備えた素材からなる服地によって少なくとも着用者の身体の前面の首元から膝付近までを覆うようにして一体的に形成され、使用後には全体を廃棄するように形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-012894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防護用ガウンは、防護機能を確保するために必然的に通気性の低い服地によって作製されることとなる。したがって、夏場の気温の高い時期に使用する場合や、医師の手術等の長時間に亘る労働に使用する場合には、通気性の不足により着用者の体温上昇を招き、作業環境を悪化させる点が問題となる。
【0005】
そこで、汗が蒸発する際の気化熱を利用して着用者の身体を冷却するための手段として、防護用ガウンと着用者の身体との間の空間に外部から空気を導入することで着用者の身体を冷却するためのファン等の送風手段を、防護用ガウンに備えることが考えられるが、このような送風手段は、コストの関係で、使い捨てにすることは現実的ではなく、繰り返し使用することが想定される。
しかし、上記のように全体を使い捨てることを前提に作製された防護用ガウンにそのままファン等の送風手段を取り付けた場合、防護用ガウンの脱衣時等にこのような送風手段までが血液、体液、飛沫等の防護対象物によって汚染されてしまい、再度使用するための消毒等に非常に手間が掛かってしまう。
【0006】
本発明の課題は、防護用ガウンに着用者の身体を冷却するための送風手段を備えつつ、このような送風手段が防護対象物によって汚染されるおそれを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、防護用ガウン本体において、
着用者の身体の前面の少なくとも一部を覆うように形成された前身頃部と、
着用者の身体の後面の少なくとも一部を覆うように形成され、送風手段を取り付けるための取付孔を有する後身頃部と、
を備え、
前記前身頃部と、前記後身頃部と、は着脱自在に形成され
前記前身頃部は、着用者の首元から膝付近までを覆う前面部と、着用者の腕部を覆う袖部と、着用者の背中の上部を覆う後面部と、を備え、
前記後身頃部は、着用者の背中の下部を覆うように形成され、
前記前面部の左右両端部と、前記後身頃部の左右両端部と、が第1接続手段によって着脱自在に接続され、
前記後面部の下端部と、前記後身頃部の上端部と、が第2接続手段によって着脱自在に接続されることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の防護用ガウン本体において、
前記袖部の上腕部の内側に位置する部分に、前記取付孔に取り付けられた前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気を排出するための第1空気排出部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の防護用ガウン本体において、
前記袖部の先端部に、前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気が漏れることを防止する第1空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体において、
前記後面部の下端部と前記後身頃部の上端部との間に、前記取付孔に取り付けられた前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気を排出するための第2空気排出部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体において、
前記取付孔は着用者の腰部に対応する位置に形成され、前記取付孔の下方に、前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入された空気が下方に漏れることを防止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体において、
前記後身頃部は、前記後身頃部を前記着用者に装着するための装着手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、防護用ガウンにおいて、
請求項1からのいずれか一項に記載の防護用ガウン本体と、
前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に空気を導入する送風手段と、
前記送風手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の防護用ガウンにおいて、
前記電源手段が前記送風手段に供給する電力を制御するための前記電源手段と別体の制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の防護用ガウンにおいて、
着用者の腰部に装着され、前記電源手段及び前記制御手段を取り付け可能に構成されたベルト部材を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の防護用ガウンにおいて、
前記送風手段によって前記防護用ガウン本体と前記着用者の身体との間の空間内に導入される空気が流れる方向を調整する風向調整手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、防護用ガウンに着用者の身体を冷却するための送風手段を備えつつ、このような送風手段が防護対象物によって汚染されるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る防護用ガウンを着用者が着用した状態を示す正面図である。
図2】実施形態に係る防護用ガウンを着用者が着用した状態を示す背面図である。
図3】実施形態に係る防護用ガウンを着用者が着用した状態を示す側面図である。
図4】実施形態に係る防護用ガウンの防護用ガウン本体の前身頃部を、着用者が着用した場合に後方を向く側から見た図である。
図5】実施形態に係る防護用ガウンの防護用ガウン本体の後身頃部を、着用者が着用した場合に前方を向く側から見た図である。なお、ファンを後身頃部に装着し、接続ケーブルをファンに接続した状態を図示している。
図6】実施形態に係る防護用ガウンの電源部、制御部、接続ケーブル及びベルト部材を示す図である。なお、電源部及び制御部をベルト部材に装着し、接続ケーブルを電源部及び制御部に接続した状態を図示している。
図7】実施形態に係る防護用ガウンの後身頃部及びベルト部材を着用者が着用した状態を示す側面図である。なお、ファンを後身頃部に装着し、電源部及び制御部をベルト部材に装着し、接続ケーブルによってファン、電源部及び制御部を接続した状態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図7に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
また、以下においては、着用者Wが防護用ガウン100を着用した状態を基準として、着用者Wの前方向を前、着用者Wの後方向を後、着用者Wの上方向を上、着用者Wの下方向を下、着用者Wの右手方向を右、着用者Wの左手方向を左と定めて説明する。
【0024】
[第1 実施形態の構成]
実施形態に係る防護用ガウン100は、防護用ガウン本体1と、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に空気を導入する送風手段としてのファン2と、ファン2に電力を供給する電源部3と、電源部3がファン2に供給する電力を制御する制御部4と、ファン2、電源部3及び制御部4の間を接続する接続ケーブル5と、着用者Wの腰部に取り付けられるベルト部材6と、ファン2によって防護用ガウン本体1内に導入される空気を上方へと向けるための風向調整手段7と、を備える。
【0025】
[1 防護用ガウン本体]
防護用ガウン本体1は、血液、体液、飛沫等の液体に対する防護機能を有する服地によって形成され、図2及び図3に示すように、着用者Wの身体の前面の少なくとも一部を覆うように形成された前身頃部11と、着用者Wの身体の後面の少なくとも一部を覆うように形成された後身頃部12と、着用者Wの腰部を周回するように巻かれる腰紐13と、を備え、前身頃部11と後身頃部12とは、着脱自在に形成されている。
服地に使用する素材の種類としては、用途等に応じて、想定される防護対象物に対して十分な防護機能を有するものを適宜選択すればよい。
【0026】
[(1) 前身頃部]
前身頃部11は、防護用ガウン本体1のうち、着用者Wの身体の前面の少なくとも一部を覆うように形成された部分であり、図1から図4に示すように、着用者Wの首元から膝付近までを覆う前面部111と、着用者Wの腕部を覆う袖部112と、着用者Wの背中の上部を覆う後面部113と、を備える。なお、前面部111の着用者Wの胸部から膝にかけての部分及び袖部112の袖口から肘上までの部分については、血液、体液、飛沫等の防護対象物によって汚染される可能性が高い部分であることから、他の部分と比較して高度な防護機能を有する服地によって形成されていることが好ましい。
【0027】
[a 前面部]
前面部111は、図1図3及び図4に示すように、着用者Wの首元から膝付近までを覆うように形成され、左右両端部に第1線ファスナー1111を備える。
【0028】
[(a) 第1線ファスナー]
第1線ファスナー1111は、前身頃部11と後身頃部12とを着脱自在に接続するための手段であり、図1図3及び図4に示すように、前面部111の袖部112との接続部より下方の左右両端部に沿って配置されている。
【0029】
第1線ファスナー1111は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、後述の後身頃部12に備えられた第2線ファスナー122のエレメント(務歯)と噛み合うことで、前身頃部11の前面部111の左右両端部と、後身頃部12の左右両端部と、を着脱自在に接続することが可能となる。
なお、スライダー等の線ファスナーの開閉部品については、第1線ファスナー1111が備えるようにしてもよいし、第2線ファスナー122が備えるようにしてもよい。
【0030】
[b 袖部]
袖部112は、図1から図4に示すように、着用者Wの腕の全体を覆うように形成され、袖口に第1空気漏れ防止手段1121を備え、上腕の内側に位置する部分に第1空気排出部1122を備える。
【0031】
[(a) 第1空気漏れ防止手段]
第1空気漏れ防止手段1121は、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気が、袖部112の先端部(袖口)から漏れることを防止するための手段であり、例えば、袖部112の先端部の近傍に、着用者Wの手首を周回するようにゴム紐を配置し、当該ゴム紐によって袖部112の先端部を着用者Wの手首に密着させることによって形成されている。
【0032】
[(b) 第1空気排出部]
第1空気排出部1122は、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気を、着用者Wの身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部であり、図1から図4に示すように、袖部112の上腕部の内側に位置する部分の服地に切れ目を設けることによって形成されている。また、第1空気排出部1122は、切れ目の両側の服地が僅かに重なるように形成されていることが好ましい。
【0033】
[c 後面部]
後面部113は、図2から図4に示すように、着用者Wの背中の上部を覆うように形成され、下端部近傍に第1スナップボタン1131を備える。
【0034】
[(a) 第1スナップボタン]
第1スナップボタン1131は、前身頃部11と後身頃部12とを着脱自在に接続するための手段であり、図2から図4に示すように、後面部113の下端部に沿って複数箇所に、後述の後身頃部12に備えられた第2スナップボタン123との係合部が内側(着用者Wの身体側、図2から図4においては前方)に向くようにして配置されている。図2から図4においては、第1スナップボタン1131が3箇所に備えられている場合につき図示しているが、第1スナップボタン1131が備えられる個数はこれに限られない。
【0035】
第1スナップボタン1131は、後述の後身頃部12に備えられた第2スナップボタン123と係合させることで、前身頃部11の後面部113の下端部と、後身頃部12の上端部と、を着脱自在に接続することが可能となる。
【0036】
[(2) 後身頃部]
後身頃部12は、防護用ガウン本体1のうち、着用者Wの身体の後面の少なくとも一部を覆うように形成された部分であり、図2図3図5及び図7に示すように、着用者Wの背中の下部から膝の裏側付近までを覆い、ファン2を取り付けるためのファン取付孔121と、前身頃部11と接続するための第2線ファスナー122及び第2スナップボタン123と、着用者Wの肩に掛けるための肩掛けベルト124と、腰紐13を着用者Wの腰部を周回する位置において保持するための紐通し部125と、接続ケーブル5を防護用ガウン本体1の内面側に保持するためのケーブル保持手段126と、を備える。
る。
【0037】
[a ファン取付孔]
ファン取付孔121は、着用者Wが防護用ガウン100を着用した際に、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間と、防護用ガウン本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部であり、図2図3図5及び図7に示すように、後身頃部12上部の、前身頃部11と接続された状態で着用者Wが着用した際に着用者Wの腰の左右に対応する位置に形成されている。
【0038】
ファン取付孔121の直径は、後述のファン2の直径と略同一に形成され、ファン取付孔121を挿通するようにしてファン2を取り付けることで、ファン取付孔121を介して、外部の空気を防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間に取り込むことができる。
ファン取付孔121の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、後身頃部12を構成する服地のファン取付孔121周囲の部分を折り返して縫合する等の方法で、補強されていることが好ましい。
【0039】
[b 第2線ファスナー]
第2線ファスナー122は、前身頃部11と後身頃部12とを着脱自在に接続するための手段であり、図2図3図5及び図7に示すように、後身頃部12の左右両端部に沿って配置されている。
【0040】
第2線ファスナー122は、線ファスナーのエレメント(務歯)を含み、前身頃部11の前面部111に備えられた第1線ファスナー1111のエレメント(務歯)と噛み合うことで、前身頃部11の前面部111の左右両端部と、後身頃部12の左右両端部と、を着脱自在に接続することが可能となる。
【0041】
[c 第2スナップボタン]
第2スナップボタン123は、前身頃部11と後身頃部12とを着脱自在に接続するための手段であり、図5及び図7に示すように、後身頃部12の上端部に沿って複数箇所に、第1スナップボタン1131との係合部が外側(着用者Wの身体から遠い側、図5及び図7においては後方)に向くようにして配置されている。
【0042】
第2スナップボタン123は、前身頃部11の後面部113に備えられた第1スナップボタン1131と係合させることで、前身頃部11の後面部113の下端部と、後身頃部12の上端部と、を着脱自在に接続することが可能となる。図5及び図7においては、第2スナップボタン123が3箇所に備えられている場合につき図示しているが、第2スナップボタン123が備えられる個数はこれに限られない。ただし、第1スナップボタン1131と略同一の間隔で、左右方向に第1スナップボタン1131と同数が並ぶようにして配置されていることが求められる。
【0043】
図2及び図3に示すように、第1スナップボタン1131と、第2スナップボタン123とを係合させた状態においても、これらの間の部分には、着用者Wが防護用ガウン100を着用した際に、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間と、防護用ガウン本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる隙間が形成されることとなる。すなわち、このような隙間が、ファン2によって後述のように後身頃部12に形成されたファン取付孔121から防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気を、着用者Wの身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための第2空気排出部として機能することとなる。
【0044】
なお、図5及び図7においては、第2スナップボタン123が左右方向に3個並ぶように一列のみ配置された場合について図示しているが、複数列が上下に並ぶように配置し、いずれの列を第1スナップボタン1131と係合させるかによって、前身頃部11に対する後身頃部12の高さ、ひいてはファン取付孔121に取り付けられるファン2の着用者Wに対する位置を調整可能としてもよい。
【0045】
[d 肩掛けベルト]
肩掛けベルト124は、着用者Wの肩に掛けるためのベルトであり、図5に示すように、後身頃部12の左右2か所に、肩掛けベルト124の両端部が後身頃部12を構成する服地の上端部付近に接続されるようにして備えられている。後身頃部12がこのような肩掛けベルト124を備えることで、図7に示すように、後身頃部12を、単体で着用者Wに装着することが可能となる。すなわち、肩掛けベルト124が、後身頃部12を着用者Wに装着するための、本発明における装着手段として機能することとなる。
また、肩掛けベルト124は、例えばベルトアジャスター等から構成された長さ調整手段1241を備え、長さを調整することができるように構成されている。
【0046】
[e 紐通し部]
紐通し部125は、腰紐13を、着用者Wの腰部を周回する位置において保持するための手段であり、図2図3及び図7に示すように、例えば、一般的なベルト通しのように、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより、腰紐13を挿通可能な開口部を有するリング状に形成され、当該開口部に腰紐13を挿通させることによって、これを保持することができるように構成されている。
また、紐通し部125は、ファン取付孔121よりも下方の位置に、ファン取付孔121の下方の位置で腰紐13を保持するように形成されている。
【0047】
なお、図2図3及び図7においては、紐通し部125が後身頃部12の左右両端部付近の2か所に備えられている場合について図示したが、紐通し部125が備えられる位置はこれに限られず、例えば、後身頃部12に代えて前身頃部11に備えられるようにしてもよいし、後身頃部12に加えて前身頃部11にも備えられるようにしてもよい。
【0048】
[f ケーブル保持手段]
ケーブル保持手段126は、接続ケーブル5を、防護用ガウン本体1の内面側において保持するための手段であり、図5に示すように、例えば、帯状の面ファスナーの一端部を後身頃部12の服地の内面側に取り付け、これによって接続ケーブル5を挟むことによって、接続ケーブル5を保持することができるように構成されている。
なお、ケーブル保持手段126が備えられる位置及び個数は、図5に示すものに限られず、例えば、さらに多数のケーブル保持手段126を備え、接続ケーブル5の位置を強固に固定できるようにしてもよい。
【0049】
[(3) 腰紐]
腰紐13は、図1から図3に示すように、前身頃部11及び後身頃部12の上から着用者Wの腰部に巻かれる部材であり、後身頃部12に備えられた紐通し部125に通すようにして着用者Wの腰部に巻かれた上で、着用者Wの後方において縛るようにして使用される。
なお、腰紐13は、前身頃部11及び後身頃部12の上から着用者Wの腰部に巻くことができる細長いものであればよく、紐状のものであっても、扁平な帯状のものであってもよい。図1から図3においては、帯状に形成された場合について図示している。
【0050】
腰紐13を、ファン取付孔121の僅かに下方の位置において、前身頃部11及び後身頃部12の上から着用者Wの腰部に巻くことで、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気が、下方へと漏れてしまうことを防止することができる。すなわち、腰紐13が、本発明における第2空気漏れ防止手段として機能することとなる。
【0051】
[2 ファン]
ファン2は、図2図3図5及び図7に示すように、防護用ガウン本体1の後身頃部12のファン取付孔121を挿通するようにして防護用ガウン本体1に取り付けられ、ファン取付孔121を介して、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間へと送風し、当該空間に空気を導入するためのものである。ファン2には、電源部3より、接続ケーブル5を通じて必要な電力が供給される。
ファン2は、ファン取付孔121を挿通するようにして防護用ガウン本体1に取り付けられ、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間へと空気を導入できるものであればよく、その具体的な構成は任意である。また、本実施形態の場合、後身頃部12に設けられた2か所のファン取付孔121に、1対(2個)のファン2を取り付けるように構成されているが、後身頃部12にファン取付孔121を1か所のみ設けて、ファン2を1個のみ取り付けるようにしてもよいし、後身頃部12にファン取付孔121を3か所以上設けて、3個以上のファン2を取り付けるようにしてもよい。
【0052】
[3 電源部]
電源部3は、ファン2に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵されている。また、電源部3には、図6に示すように接続ケーブル5が接続され、接続ケーブル5を通じてファン2及び制御部4と接続される。電源部3は、ファン2に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0053】
[4 制御部]
制御部4は、電源部3によってファン2に供給される電力を制御するための手段であり、図6に示すように接続ケーブル5が接続され、接続ケーブル5を通じてファン2及び電源部3と接続される。また、制御部4は、例えばタクタイルスイッチからなるスイッチ(図示せず)を備え、当該スイッチの操作により、着用者Wが、電源部3によるファン2への電力供給のオン/オフの切り替えや、電源部3がファン2に供給する電力の値の切り替え等を行うことができるように構成されている。
また、制御部4は、図6に示すように、クリップ状の取付手段41を備え、ベルト部材6等に取り付け可能となるように構成されている。
【0054】
[5 接続ケーブル]
接続ケーブル5は、図5及び図6に示すように、ファン2、電源部3及び制御部4と着脱自在に接続され、これらの間を接続するケーブルであり、接続ケーブル5を通じて、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力が供給される。なお、図5及び図6においては接続ケーブル5の全体が図示されていないが、一端部が二股に枝分かれして図5に示すように二つのファン2に接続され、他端部が二股に枝分かれして図6に示すように電源部3及び制御部4に接続されることとなる。
接続ケーブル5の具体的構成は、ファン2、電源部3及び制御部4の間を接続し、制御部4による制御に従って電源部3からファン2に電力を供給することができるものであればよく、その具体的な構成は任意である。
【0055】
[6 ベルト部材]
ベルト部材6は、図7に示すように、防護用ガウン本体1よりも内側(着用者Wの身体側)において、着用者Wの腰部に巻き付けられるようにして取り付けられるベルト状の部材であり、電源部3及び制御部4を取り付け可能に構成され、電源部3及び制御部4を着用者Wに装着するために用いられる。
【0056】
ベルト部材6は、例えば、図6に示すように、ベルト本体61と、電源部取付手段62と、制御部取付手段63と、長さ調整手段64と、接続手段65と、を備える。
【0057】
ベルト本体61は、図6に示すように、ベルト部材6の本体をなす帯状の部材である。
【0058】
電源部取付手段62は、ベルト部材6に電源部3を取り付けるための部分であり、例えば、図6に示すように、電源部3を収納するための袋状に形成された袋部621と、袋部621の開口部が形成される側に配置され、袋部621に収納された電源部3を押さえるための押さえベルト622と、を備え、電源部3を袋部621に収納した後に押さえベルト622によって押さえることで、電源部3をベルト部材6に取り付けることができるように構成されている。
【0059】
制御部取付手段63は、ベルト部材6に制御部4を取り付けるための部分であり、例えば、図6に示すように、ベルト部材6の上下幅を拡張する拡張部631と、拡張部631に、一般的なベルト通しのように、細長い布を2か所において縫い付けることにより、制御部4を挿通可能な開口部を有するリング状に形成された保持部632と、を備え、制御部4を保持部632に挿通させた状態で、クリップ状の取付手段41によって保持部632を構成する細長い布を挟むことで、制御部4をベルト部材6に取り付けることができるように構成されている。
【0060】
なお、電源部取付手段62、制御部取付手段63のいずれも、例えば面ファスナー等を用いて、ベルト本体61の任意の位置に取り付けることができるように構成されていることが好ましい。
【0061】
長さ調整手段64は、例えばベルトアジャスター等を備えて構成され、ベルト本体61の長さを調整することができるように構成されている。
【0062】
接続手段65は、例えば、バックル等を備えて構成され、ベルト本体61の両端部を接続することができるように構成されている。
【0063】
ベルト部材6がこのような構成を備えることから、電源部取付手段62に電源部3を取り付け、制御部取付手段63に制御部4を取り付けた上で、長さ調整手段64によってベルト本体61の長さを適切な長さに調整したベルト部材6を、着用者Wの腰部に巻き付けて接続手段65を用いて固定することで、電源部3及び制御部4を着用者Wに装着することが可能となる。
【0064】
[7 風向調整手段]
風向調整手段7は、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入される空気が流れる方向を調整し、上方へと向けるための手段であり、図5に示すように、半球の一部を切り取った形状となるように形成され、ファン2の空気が排出される側(着用者Wの身体に向く側)に、ファン2の下側に位置するように取り付けることで、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入される空気を、上方へと向けることができるように構成されている。この風向調整手段7によって、防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内への空気導入部分が極度に膨張することを緩和しつつ、当該空間内に取り入れた空気を、上方へと効率良く案内することができる。
【0065】
また、風向調整手段7には、例えば伸縮性を有する環状のベルト(図示せず)が備えられ、当該ベルトをファン2の周囲に巻き付けるようにして、ファン2に対して、着脱自在に、かつ、取り付け位置を調整することができるように構成されている。これによって、不要な場合には風向調整手段7を取り外すことができると共に、取り付け位置を調整することで、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入される空気を向ける方向を調整することが可能となる。
【0066】
[第2 使用方法の説明]
実施形態に係る防護用ガウン100について、着用者Wが使用前に着衣する際の手順及び使用後に脱衣する際の手順を説明する。
【0067】
[1 着衣時]
(1) ベルト部材6に電源部3及び制御部4を取り付ける。また、後身頃部12にファン2を取り付ける。さらに接続ケーブル5をケーブル保持手段126によって後身頃部12に固定する。
(2) ベルト部材6を着用者Wの腰部に取り付け、肩掛けベルト124によって後身頃部12を装着した後に、接続ケーブル5によってファン2、電源部3及び制御部4を接続する。
(3) 前身頃部11を装着する。
(4) 前身頃部11の第1線ファスナー1111と、後身頃部12の第2線ファスナー122とを接続すると共に、前身頃部11の第1スナップボタン1131と、後身頃部12の第2スナップボタン123とを接続する。
(5) 腰紐13を、紐通し部125に通しつつ、前身頃部11及び後身頃部12の上から着用者Wの腰部に巻き、着用者Wの後方で縛る。
【0068】
[2 脱衣時]
(1) 腰紐13をほどいた上で、後身頃部12の汚染を避けるために、前に引き抜いて外し、廃棄する。
(2) 前身頃部11の第1線ファスナー1111と、後身頃部12の第2線ファスナー122との接続を解除すると共に、前身頃部11の第1スナップボタン1131と、後身頃部12の第2スナップボタン123との接続を解除する。なお、この際には、着用者Wの手が汚染されている場合には、手が汚染されていない第3者の支援を受けることが好ましい。
(3) 前身頃部11を、裏面が表に出て裏返しになるようにして脱いだ上で、廃棄する。
(4) 手指を消毒した上で、接続ケーブル5の電源部3及び制御部4への接続を解除し、後身頃部12を脱ぐ。
(5) ベルト部材6を着用者Wから取り外す。
(6) ファン2から接続ケーブル5を外し、後身頃部12からファン2を外す。
【0069】
[第3 実施形態の効果]
防護用ガウンは、その使用後には、汚染された外面が他所に触れてしまうことを防止するため、使用時に外面に位置していた面が内側に向くように、これを裏返すようにして脱衣することが通常であるが、例えば、従来の防護用ガウンのように全体が一体的に形成された防護用ガウン本体にファンを取り付けた場合、ファンをどこに取り付けたとしても、このような脱衣時に、ファンが設置されている箇所も、汚染箇所と接触してしまう可能性が高い。
【0070】
これに対し、本実施形態に係る防護用ガウン100によれば、防護用ガウン本体1が、前身頃部11及び後身頃部12を備え、これらが着脱自在とされると共に、後身頃部12にファン2を取り付けるためのファン取付孔121が形成されている。
これによって、着用者Wは、前身頃部11と、ファン2を取り付けるためのファン取付孔121が形成されている後身頃部12とを、別々に着脱することが可能となり、防護用ガウン100の使用後に、上記のように、汚染されている可能性の高い前身頃部11をまず脱ぎ、その後、手指を消毒した後に、ファン2が取り付けられた後身頃部を脱ぐという手順で脱衣することができることから、前身頃部11に付着した血液、体液、飛沫等の防護対象物が脱衣時に後身頃部12に装着された送風手段としてのファン2に付着してしまうおそれを低減できる。
【0071】
また、防護用ガウン100のうち、ファン取付孔121を形成する必要のある後身頃部12を再利用しつつ、血液、体液、飛沫等による汚染の可能性が高い前身頃部11のみを使い捨てることができることから、防護用ガウン本体1の全体を使い捨てる場合と比較して、コストの増大を抑制しつつ、防護用ガウンに送風手段としてのファン2を備えることが可能となる。
なお、前身頃部11については、上記のように使い捨てることが好ましいものの、使用する現場の状況や用途等によっては、再利用可能な素材で形成した上で、消毒の上再利用することも可能である。
【0072】
また、前身頃部11が、着用者Wの首元から膝付近までを覆う前面部111と、着用者Wの腕部を覆う袖部112と、着用者Wの背中の上部を覆う後面部113と、を備え、後身頃部12が、着用者Wの背中の下部を覆うように形成されていることで、汚染の可能性の高い部位の全体を、使い捨てることを前提に形成された前身頃部11によって覆うことが可能となる。
また、前身頃部11の前面部111に防護用ガウン本体1の着脱用の線ファスナー等を備える必要がないことから、汚染の可能性が高い前身頃部11の前面部111から縫い目を排除でき、防護機能を高めることができる。
【0073】
また、防護用ガウン本体1の前身頃部11の袖部112が、袖部112の先端部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段1121を備えることで、袖口から排出される空気が着用者Wの作業の妨げとなることを防止することができると共に、袖部112の上腕部の内側に位置する部分に、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気を排出するための第1空気排出部1122を備えることで、第1空気漏れ防止手段1121によって袖口の開口部を塞ぎつつ、空気の排出に支障を生じさせることなく十分な冷却効果を発揮させることが可能となる。
また、防護用ガウン100は、防護用の手袋と併用されることが多く、この場合、防護用の手袋によって袖口を覆ってしまうこととなるが、第1空気排出部1122が袖口以外の位置に設けられていることによって、防護用手袋と併用し、袖口が覆われてしまった場合においても、空気の排出に支障が生じることなく、冷却機能を維持することができる。
【0074】
また、防護用ガウン本体1の前身頃部11の後面部113の下端部と、後身頃部12の上端部と、が複数のスナップボタンによって接続されることで、スナップボタンによる接続箇所の間に、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気を排出するための隙間(本発明における第2空気排出部)が形成される。これによって、防護用ガウン本体1を構成する服地に孔を空けずとも、空気排出部を形成することが可能となる。また、防護用ガウン本体1の前身頃部11の後面部113の下端部と、後身頃部12の上端部と、が複数のスナップボタンによって接続されることで、係合させるスナップボタンの数を調整することによって、第2空気排出部の開口面積を調整することも可能となる。
【0075】
また、防護用ガウン本体1が、ファン取付孔121の下方の位置において、前身頃部11及び後身頃部12の上から着用者Wの腰部に巻かれる腰紐13を備えることで、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入された空気が、下方へと漏れてしまうことを防止することができ、着用者Wの上半身を効率的に冷却することが可能となる。
【0076】
また、防護用ガウン本体1の後身頃部12が、後身頃部12を着用者Wに装着する装着手段としての肩掛けベルト124を備えることで、着用者Wは、後身頃部12のみでも着用状態を維持し易くなることから、防護用ガウン100の使用後に、前身頃部11のみを脱衣し易くなる。また、防護用ガウン100の使用後に前身頃部11のみを取り外して脱衣した際に、後身頃部12が落下してファン2等が破損することを防止できる。
【0077】
また肩掛けベルト124が長さ調整手段1241を備えることで、着用者Wの体形に合わせて、ファン2の位置が下がり過ぎたりすることなく、適切に位置するように調整することが可能となる。
【0078】
また、防護用ガウン100が、電源部3とは別体の制御部4を備えることで、着用者Wがファン2の電源のオン/オフや、電源部3がファン2に供給する電力の制御(風量の調整)等の操作を行うために、電源部3自体を操作する必要がなくなることから、防護用ガウン100の操作が容易となる。
【0079】
また、防護用ガウン100が、ベルト部材6を備え、ベルト部材6に電源部3及び制御部4が取り付けられることで、防護用ガウン本体1に掛かる重量を軽減でき、また、電源部3及び制御部4を防護用ガウン本体1から分離できることから、防護用ガウン100の着脱を容易にすることができる。
【0080】
また、防護用ガウン100が、ベルト部材6を備え、ベルト部材6に電源部3及び制御部4が取り付けられることで、防護用ガウン本体1から電源部3及び制御部4を分離することができ、汚染されている可能性の高い前身頃部11をまず脱ぎ、その後、手指を消毒した後に、電源部3及び制御部4を取り外すという手順で脱衣することが可能となることから、前身頃部11に付着した防護対象物が脱衣時に電源部3及び制御部4に付着してしまうおそれを低減できる。
なお、上記のような汚染のおそれは、電源部3及び制御部4を後身頃部12に取り付けた場合にも低減できるが、この場合、後身頃部に、ファン2、電源部3及び制御部4の全ての重量が掛かることから、着用時のバランスが悪くなるおそれがある。この点、ベルト部材6に電源部3及び制御部4が取り付けられる本実施形態によれば、このようなバランスの悪化を抑制しつつ、電源部3及び制御部4が汚染されるおそれを低減できる。
【0081】
また、ファン2に取り付けられ、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間内に導入される空気が流れる方向を調整する風向調整手段7を備えることで、ファン2によって防護用ガウン本体1と着用者Wの身体との間の空間に導入された空気によって、当該空間内への空気導入部分が極度に膨張することを緩和しつつ、導入された空気を上方へと効率的に送ることが可能となり、冷却効果を向上することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 防護用ガウン
1 防護用ガウン本体
11 前身頃部
111 前面部
1111 第1線ファスナー(線ファスナー、接続手段)
112 袖部
1121 第1空気漏れ防止手段
1122 第1空気排出部
113 後面部
1131 第1スナップボタン(スナップボタン、接続手段)
12 後身頃部
121 ファン取付孔(取付孔)
122 第2線ファスナー(線ファスナー、接続手段)
123 第2スナップボタン(スナップボタン、接続手段)
124 肩掛けベルト(装着手段)
13 腰紐(第2空気漏れ防止手段)
2 ファン(送風手段)
3 電源部(電源手段)
4 制御部(制御手段)
6 ベルト部材
7 風向調整手段
W 着用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7